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1947/03/19 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第10号
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1947/03/19 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第10号

#1
第002回国会 財政及び金融委員会 第10号
昭和二十三年三月十九日(金曜日)
   午後二時五分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○政府職員の俸給等に關する法律案
 (内閣送付)
○政府職員の俸給等の支給に關する措
 置等に伴う大藏省預金部外三特別會
 計に對する一般會計の繰入金に關す
 る法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それではこれより委員會を開會いたします。本日は豫備審査のためにこの委員會に付託されております政府職員の俸給等に關する法律案竝に政府職員の俸給等の支給に關する措置等に伴う大藏省預金部外三特別會計に對する一般會計の繰入金に關する法律案、この二つの案を議題にいたしまして審議をお願いいたしたいと存じます。先ず政府委員より提案理由の説明をお願いしたいと思います。
#3
○政府委員(河野一之君) 只今議題と相成つております政府職員の俸給等に關する法律案及び政府職員の俸給等の支給に關する措置等に伴う大藏省預金部外三特別會計に對する一般會計の繰入金に關する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 先ず政府職員の俸給等に關する法律案について御説明申上げます。政府は昨年全遞その他官公職員勞働組合の爭議に關する中央勞働委員會の裁定案を受諾いたしたのでありますが、この調停案に基き新給與案を審議するため設置せられました臨時給與委員會は、本年一月二十七日以降、約四旬餘りに亙り愼重審議を重ねた結果、去る二月二十日第一報告書を、三月六日には第二報告書をそれぞれ政府に提出するに至つたのでございます。
 政府といたしましては臨時給與委員會に多くの組合の參加を得ることができなかつたことを、甚だ遺憾と存じておるのでありますが、この委員會の構成運營の面から見まして、その到達した結論が、ともかくも現状において望み得られる限りの客觀的資料を使用いたしまして、周到な檢討を加えた結果作成せられたものでありまするので、この報告書の内容は現在としては最も公正安當なものであり、從つてこれに從うことが政府職員の給與問題を、最も民主的に處理することとなると考えるのであります。
 右の見地に立ちまして、政府といたしましては右の報告に基く新給與案の實施が、その内容から見て、今日の國家財政に取り誠に重大なる負擔であるにも拘りませず、政府職員の現行給與水準が特に低きに失し、その生活が極度の窮迫に陷つておる事實を率直に認めて、新給與案を實施するため、これに必要な豫算と共にこの法律案を提出いたしました次第でございます。
 この法律案の内容を簡單に申上げますると、先ず本則におきまして、内閣總理大臣、最高裁判所長官、日本國憲法第七條の規定によるいわゆる認證官等を除いた職員に對し、臨時給與委員會の第一報告書及び第二報告書に基いて新給與水準、即ち二千十九百二十圓水準上による俸給等を本年一月に溯つて支給することといたし、右の俸給仕等の額及びその支給に關する事項は別に法律でこれを定めることとしてあるのであります。尚内閣總理大臣等この法律の適用を受けない者の俸給等につきましても、別に法律でこれを定めることといたしておるのであります、從つて右の法律につきましては、近も案を立てて本國會の審議をお願いする豫定であります。新給與水準による給與の内容を要約して申上げますと、次の通りでございます。
 先ず第一に、新給與水準は、昭和二十三年一月一日以降二千九百二十圓、これは税込でありますが、二千九百二十圓となるのでございます。これは現在の政府職員の所定の勤務時間を基礎といたしたものでありまして、超過勤務手當は含まない數字でございます。第二に、本俸は現在の暫定加給、暫定加給臨時増給及び臨時手當を廢止いたしまして一本の新本俸といたしまして、その準水は二千圓を下らないように措置することといたしてございます。而してこの新本俸への切替えに當りましては、必らずしも機械的に各人の受ける現號俸を基礎とすることなく、各人の職務の内容、責任の輕重、勞働の強度、勞働時間、勞働環境、事務、技術、勞務の別、その他勞働に關する諸條件竝びに民間における同一條件の者との權衡を勘案して決定する方針でありまして、これはいわゆる職階制給與制度への一歩前進を意味するものであります。
 第三に家族手當の支給額は、家族一人當り二百二十五圓に引上げる考えでございます。
 第四に、勤務地手當につきましては、各府縣に組合側を中心とする地區區分調査委員會を、又中央には政府側、組合側合同の地域給委員會を設置いたしまして、現行の臨時勤務地手當の段階の増加、支給率の幅の擴大及び地域區分の指定等の問題につきまして、民主的且つ合理的な解決を圖つて行きたいと考えております。尚臨時勤務地手営の段階は、現行の四段階を五段階程度に増加いたし、四割級の地域を新設することが適當と考えられ、更に寒冷地給及び積雪地給のごときも、これを臨時勤務地平當に取り入れることが適當であろうと考えられるのでありますが、これらの問題はいずれも右の委員會での審議に俟つこととするわけでございます。
 第五には、特殊勤務手當につきましては、勞働の價値に關係ある諸條件の中で、本俸に取り入れることが不可能か、又は不適當なものは、これを特殊勤務手當として支給されることになるわけでございます。
 以上が新給與水準による給與の骨子でありますが、これが完全な實施には、諸般の情勢からいたしまして、尚若干の時日を必要とするのであります。併しながら他面政府職員の生活の實情を思いまするとき、新給與案の實施に至るまでの間のつなぎといたしまして、新給與水準の一部の内拂いを必要とする事態に當面しておる次第であります。從いましてこの法律案の附則におきまして、右の二千九百二十圖のうち二千五百圓程度を暫定給與といたしまして、本年一月に遡及いたしまして内佛いすることといたし、その暫定給與の種類、支給方法等を規定いたした次第でございます。
 勿論暫定給與とは申しましても、本格的な給與の實施を豫想いたしまして、この線に沿うよう規定いたしたわけでありますが、その要領を簡單に申上げますと、次の通りであります。
 第一に、暫定給與の種類は、暫定俸給、暫定扶養手當及び暫定勤務地手當の三つといたします。
 第二に、暫定俸給の額は、現俸給又は給料、暫定加給及び暫定加給臨時増給の合計額に對して、それぞれ所定の勤務時間制に應じまして、十五割乃至十七割を乘じて算出いたしました額でございます。尚暫定俸給では、從來の官吏と雇傭人との身分の別による俸給と給料の別及び月給と日給との區分を一切撤廢して、一律に月給制といたしました。
 第三に、暫定不用手當は、從來の臨時家族手當に相當す乙ものでございますが、これは扶養親族一人當りの給與を從前の百五十圓から二百二十五圓に増額いたしました。
 第四に、暫定勤務地手當は、從來の臨時勤務地手當のことでございますが、これについては、前に申上げましたように、新たに地區々分調査委員會を設置いたし、この委員會におきまして、民主的且つ合理的解決を圖ることといたしてありますので、それまでの間は從前の例をそのまま施行いたすこととしてございます。
 第五に、尚政府は、最近における政府職員の官紀の状況に顧みまして、政府職員の官紀肅正に關し閣議決定をいたしたのでありますが、この閣議決定の趣旨に從い、職員、法令又は本屬上司の承認なく執務をしない場合においては、その執務しない期間の暫定給與を減額いたすことにしてございます。
 第六には、最後に、從前の給與との調整について規定を設けまして、本年一月一日以降すでに支給された從前の規定による給與は、この法律による暫定給與の内拂いと見なすことといたしまして、両者の差額を本年一月に遡つて追給することといたしてございます。
 次にこの法律案を實施するに必要な豫算金額でありますが、一月乃至三月までの分で、一般會計所屬職員の分二十三億五千四百餘萬圓、特別會計所属職員の分三十七億九千四百餘萬圓、合計六十一億四千九百餘萬圓でありまして、右の金額は、只今本國會に提案中の昭和二十二年度一般會計豫算補正第十五號及び特別會計豫算補正第十號に計上してございます。
 尚この法律によりまして、政府は二千五百圓程度の暫定給與を支給する權限を得るのでありますが、この權限を行使し實際支給するに當りましては、各組合と團體交渉を行なつて支給いたす方針であります。この方針により政府は十三日附を以ちまして通告文を發し、各組合と交渉を開始いたし、國鐵勞働組合からは十五日すでにこれを承諾する旨の囘答に接しており、他の組合も亦速かにこれを承諾されんことを切に希望する次第でございます。
 以上本法律案につき御説明を申上げましたが、次に政府職員の俸給等の支給に關する措置等に伴う大藏省預金部外三特別會計に對する一般會計の繰入金に關する法律案の提案の理由を御説明申上げます。
 政府は、今囘、先程も申上げました通り、臨時給與委員會の第一報告書及び第二報告書に基きまして、政府職員の給與水準を引上げると共に、給與體係の整備を圖ることといたしまして、これに關する法律案を別途提出したことは只今申上げた通りでありますが、大藏省預金部特別會計、國有鐵道事業特別會計、通信事業特別會計竝びに簡易生命保險及郵便年金特別會計の保險勘定及び年金勘定におきましては、その收支の状況に顧みまして、今囘の措置に要します經費等の財源は、これを一般會計からこれらの會計に繰入れる必要があるのであります。
 即ち、大藏省預金部特別會計におきましては一億九千六百八萬三千圓、國有鐵道事業特別會計におきましては十九億九百十四萬二千圓、通信事業特別會計におきましては九億三千百九十四萬一千圓、簡易生命保險及郵便年金特別會計の保險勘定におきましては一億六千七百八十一萬五千圓、同會計の年金勘定におきましては四百八十三萬四千圓を、それぞれ繰入れることといたしました。
 尚この一般會計からする繰入金につきましては、各特別會計の性質に鑑みまして、これらの會計が後日健全な財政状況になりました曉におきましては、その繰入額に相當する金額に達するまで豫算の定めるところによりましてそれぞれ一般會計へ繰戻す豫定でありまして、これに關する規定も同時に設けた次第でございます。
 以上兩法律案につきまして、立案の趣旨及び法律案の概要について御説明申上げた次第でありまするが、政府職員の生計の實情その他諸般の事情を御了承願ひまして、速かに御賛成下さるよう切望いたす次第でございます。
#4
○委員長(黒田英雄君) 大藏大臣も見える筈でありまするが、政府委員に御質問がございますならばお願いいたします。
#5
○木村禧八郎君 只今本法律案の提案の御趣旨が説明がございましたのですが、今の御説明によりますと、この臨時給與委員會の第一囘報告書及び第二囘報告書に基いてこの給與を決定したということになつておりますが、これは非常に合理的であり、科學的である、そういうお話ですが、我々一應檢討したところによりますと、この報告書自體においてこれは相當いろいろな問題がある。特に給與に關する諸統計の非常に不完全であるということ、報告書自體において……、従つて消費者價格調査については可なり權威あるものが出ておるけれども、勤勞者の消費水準についてはまだ安全な統計ができていない。従つて非常に推定によつていろいろでき上つておると思います。ですから本當に科學的、合理的であるということはいい得ないと思います。特に二千九百二十圓の算定の基礎として、これは民間給與との均衡を保つために昭和二十一年十一月から一日までの三ケ月異動平均によつて二千八百五十圓という金額を出されましたが、私達の調べによりますと、實は昨年十一月から十二月に非常に物價は騰貴しておる。これは通貨が昨年度約千二百億殖えましたが、その半分の六百億圓が十月から十二月にずつと殖えておる。それで總理廳統計局の消費者物價を見ても恐らく急騰していることと思う。というのは生計費の方の調査を見ますと、全都市において十一日一は五千八百七圓の生計費が十二月に一學に八千四百六十五圓となつておるからであります、六大都市においては十一月が六千六百八十四圓が九千六百八十一円に一學に跳ね上がつておる。ここに十一、十二の期間に非常な物價騰貴があつたと思うのです。ですからこれは三ケ月異動平均でずつと延して見て、そうしてやつたのでは本當の生計費、が出て來ないと思うのです。その點これは統計不備であるから困難かと思うのですが、ここに私は一つやはり缺陥があると思う。この點についてお伺いいたしたい。それからもう一つは一般國民水準との關係ですが、これを見ますと、大體最初民間給與との均衡で一應水準が定めてあるのですが、後は一般國民水準との均衡はそれと大盤最後が合うように操作してある。そうして一般國民水準との均衡については、委員會において大體勞働者側委員は全部がC・P・Sの乙地の平均をとるということを主張した。それでこの報告書によりましても、大體C・P・Sの乙地の平均が凡そ全國的生活水準を示すものであろうということを言つておるのです。ですから大體C・P・Sの乙地の平均を採るのが正しいと思うのですし、まあ加藤勞働大臣がおられないので甚だ殘念なんですが、勞働大臣としては勞働者側委員の主張を取入れて、そうしてC・P・Sの乙地、これを基準にして算定し決めるべきであると思う。ところが、その他の委員は若干修正を加うべしという意見であつて、勞働者側以外のその他の委員の意見によつて修正を加えて、そうしてまあでき上つておる。そういう點など、非常にこれは不合理ではないかと思うのです。非常に合理的であり科學的であるというように言われておりますけれども、そういう點において不合理性があると思う。その最初は算定の基礎、最初の二千八百五十圓算定の基礎において不合理がある。それから一般的國民生活水準との權衡において不合理がある。それから後は勞働大臣でないと、政治的なあれですから、その二點について一應御答辯を願いたいと思います。
#6
○政府委員(今井一男君) お答え申上げます。今囘の臨時給與委員會の結論も、政府の立場から見まして、從来のいろいろの給與水準を出したものよりは、より科學的であり、より檢討を加えたというに過ぎないのでありまして、その點は確かに現在まで許されておるありとあらゆる資料を使つたことは事實でございますが、その資料が皆非常に議論がある。少くとも完璧とは言えない。特に消費水準につきましては消費者價格調査は可なりの權威が認められますが、民間勤勞統計が皆相當補正すべきものがあり、その補正についてまだ完全なものがで上つておらないということは御指摘の通りであり、又報告書にもその點はちやんと認めてございます。ただ問題を解決するために據りどころとするにはそれ以外に方法がなかつたということに御了承頂く外はないのでございますが、又政府といたしましてもこの報告書を受取つてから後に更にこの缺點を修正するために検討できないことはないのでありますが、とにかく會計年度は差迫つており、組合側は勿論いろいろの事情もありますが、更に若干の日子を加えましてもこれ以上のものができるという見通しがありません。又時間的な餘裕がそれを許しませんので、このままに置くことが一番過當だと、こういうことになつたのであります。お話にもございましたように、C・P・Sの方が勤勞統計よりも、より確實なものであるという意味合におきましてC・P・S本位に調査をやりたいということは、實はぶちまけますと委員一同の考えで、これがそういうわけで、第一報告書ができ上つたのでありますが、それが或る事情のために引繰り返りまして、ここに民間統計が主になりまして、片一方は檢算的なものになつたということは事實でありますが、併しながら含みといたしましては、最初の原案でありますC・P・S本位で考えましたことは事實であります。その點成るべく具體的な資料に寄りかかろうという気持は各委員に強かつたことも、これも申上げられる點でございます。ただ御承知の通り十二月から急に物價はC・P・Sの方が上つております。確かにC・P・Sの絶對額は殖えております。併しながら購入カロリーも非常に殖えておりますが、この實効賃格の上に現われますと、お話の通り或る程度上つておることは事實でありますが、これは實効價格は一月までは掴んでおりません。おりませんが實効價格の面からしますと、一月において却つて下つておるということも、これも略々確實に數學な檢討で我々得ております。具體的に申しますというと、これは一應の算定でございますが、二十一年の五月から二十二年三月までを平均を百といたしますと、實効價格指數によりますと、十一月に二百五十が十二月に二百八十二に上つておると認められます。これは本年度下半期において最も著しく上つたものと思われますが、それが一月二百六十三程度に低下するであろうということは傍證によりまして推定されるのであります。從いましてC・P・Sの絶對額の上つた程には上つておりませんし、上らないだろうということは略々明瞭でありますし、又民間勤勞統計は必ずしもこの實効價格の指數と足取りを一にいたしませんので、二千八百五十圓という勤勞統計の三ケ月の異動平均の傾向値によりますと、必ずしも實情と離れておるものとは私共考え難い面もございます。ただ勤勞統計そのものの持つ弱點はその儘殘されておりますが……、C・P・Sの乙地を中心に決めようといたしますと、これは委員一同の全面的に同感したところでありまして、ただその消費水準をその儘持つて來て賃金の基礎にせよという勞働者側委員の意見と、更に國民全體が赤字生活を營んでおりますので、その中の幾分は皆な賣食いなり何なりで凌いでおる。又これを世帶主一人が普通毎月の月給でそれをカヴアーするという状態にないということも、これもいろいろな資料からはつきりしておりますが、これをどの程度に引くことが、結局國民の現實的な消費水準にマッチきせる所以であるかということにつきまして、可なりな議論が闘わされまして、そこは東京都の例えば勤勞者の家計調査にとりますというと、大體消費額の八十%が世帶主の勤勞收入によつて得られておるというような資料がございましたが、いろいろのデータから勘案いたしまして、これは九十%というところで妥當であろう、これによつて實際の從來の勤勞者の、いわゆる自分の生活を賄うために貰う勤勞者の世帶主の月収の割合を殖やしたことになるであろうという見地で、結局委員の大多數の意見が九十%に落着いたのでありまして、この九十%が現實の姿より一歩出ておるものであることは確信を持つております。但し組合側の方といたしましては、飽くまで木村委員の仰せの如く、C・P・Sの全額を世帶主の勤勞者收入によつてカヴアーすべしという主張が最後まであつたことも事實であります。その點は現實的の姿と離れておる、少くとも理想論としてはかくあるべきであるが、日本の國情としてはそこまで行つておらないというような意見の方が多數を占めましたので、結局その九十%に落着いた次第であります。ただそれも少くとも現状よりは向上するといつたことを十分頭に置いた上での結論でございまして、政府側委員も、結局その中立側委員に賛成をして多數議決でそういつた報告書になつたわけであります。
#7
○木村禧八郎君 先の第一點の方の二千八百五十圓暫定の基礎については了承できましたが第二の方の生計費のカヴアーの點については、國民一般が赤字生活にある。從つてその赤字を或る程度まで認めるという前提ですが、それについては相當異論かあると思うのですが、それは安本で、どの程度正確か知りませんが、安本で作成した分配國民所得あれを見ましても、非常に偏在しておるわけですね。國民所得は大體個人業所得が二十二年度においては六十%、勤勞所得が三十一%ですね。これはまあインフレの影響があるのでしようが、非常に所得が偏在していて、勤勞所得が著しく低い。從つて國民所得が赤字生活であるから、その外に出でなきやならんということはこれは問題であろうと思いますやはりどうしてこういう赤字であるかという……、これは片一方の方の個人業所得は昭和五―九年平均よりも實質において殖えているのですね。昭和五―九年の平均を百とすると、二十二年度の個人業所得は百十九になるのです。指數において……。これは五―九年の物價に直して。それで實質的にそういうふうに殖えているのです。ですから一方において非常に黒字の生活があるのです。ですからそれを一律に平均して、國民所得が赤字だから、やはり赤字家計を一應認めて、そうして生計費の九十%を賃金でカヴアーせよというのはここに少し無理があり、從つて勞働者側の委員が全部反對しているのに、そうでない方 委員の賛成によつてそういう算定のやり方であつた。この點については見解の相違か、或いは利害の對立という點になるかも知れませんが、この科學的……科學的と言われるのはどうかと思うのです。
#8
○政府委員(今井一男君) 私も少し申上げ方がなんと言いますか、正確でなく、委員會の空氣をその儘お傳えしなかつたように思いますので、若干訂正さして頂く必要があると思うのですが、赤字ということも確かに委員會の議に出たことも事實でありますが、赤字生活を皆がやつておるから、從つてこうして行けという簡單な結論で出たのではございません。その點私少し誇張し過ぎた嫌いがありますので訂正させて頂きたいのでございますが、一番言われましたのは、それより強い點は、世帯主以外の家族の中で働く人間がある。これは實際平均いたしますと、統計の一・四、或いは一・三くらいの数字が出るのが普通であります。一世帶の中で働く人という数字につきましては……。從つて世帶主全部がそれをカヴアーするということは、これは百%という結論が出るのでございますが、そのほかに子供が働く、親が働く、妻が働くという事實が相當ございます。
 それからもう一つは今度出そうという二千九百二十圓というベースは、経常的な勤務、即ち朝何時から晩何時までという勤務時間で働く作業に對する收入でありまして、それ以外のオーヴアー・タイムの關係は全然入つておりません。殊に官廳職員の勤務時間と申しますのは、民間に較べて著しく低いのであります。それで餘働きますれば勿論餘計收入が殖える。その點もカヴアーしなければならん。それを幾ら幾らと見ることについては非常にむつかしいので、又檢算的に使つた意味に過ぎない點からいろいろの要素を含めまして、結局最後のところは九十%ということに落著いたのでありまして、赤字ということばかり申上げたのは私の非常に失言でありますから訂正いたします。
#9
○木村禧八郎君 更にお伺いしたいことはスライド制なんでありますけれども、これは報告書にもありますが、何かこれは制度的にやるのでなく、何か委員會見たいなものを設けて、それで實際にスライド的に行くようにそこで處置する、そういうようなことなんですか、委員會の報告書の趣旨は……。
#10
○政府委員會(今井一男君) 報告書の精神は、いわゆる機械的なスライドはどうも問題が多い、のみならず、又これが勞働者の必ずしも勤勞に報ゆる所以でもない。從つて適時にスライドの實質を收めるような措置を講ずる。そこでそのやり方としては、やはり普通の團體交渉のような行き方よりは、今囘のような式の、比較的技術的な委員會のようなものを持つて措置するのがよかろう。それを常設するか、その時時設けるかにつきましては、委員會として別に結論を持ちません。
#11
○木村禧八郎君 併しながら、さつきの二千九百二十円の算定のいろいろの作業のやり方を見ておりますと、これを延長して行けば、結局スライド的な、そういう制度的なスライドになつて行くのじやないかと思います。
#12
○政府委員(今井一男君) それはお話の通りでございますが、ただあの委員會のこの一月のやり方をそのまま、永久的にこの方式は正しいのだということにしても、或いは工合が惡いような場合が起りはしないだろうか。例えば一例を申上げますと、C・P・Sの絶對額ばかりを用いますと、生活實態は非常なウエーヴが付く。C・P・Sとしては餘り上らない。併しながら内容としては低下しておるという場合もあります。そういつたものを直ぐ樣絶對額で行くのがいい……。幸いにして七月から十二月まではC・P・Sの實態がよくなつておりますから、その意味からこれをスライドとしてはいいのですが、そうういつた點がありますが、方式としては今ここにコンクリートのものを決めて置くことは、これは勤勞者のためによくない。むしろその精神を汲んでこういう方式を採つたらよかろうといつた意味でございます。
#13
○木村禧八郎君 それから給與と職階制の問題ですが、これはこの報告書によりますと、いかにインフレーシヨンが昇進すると言つて、この點は輕視しがたい。まあそういうふうなフラット的な給與ですが、この給與の體系は宜しくないというあれですけれども、併しこれは實際問題として、第一次大戰後のドイツを見ても、インフレーシヨンがこうなつて來ますと、どうしてもそういう職階的な給與というものは困難になつてくるのじやないかと思います。實際問題として、それは皆生活給に近くなつて來ざるを得ない。そのときでも、大内教授など言つておりますが、高等官、判任官ですね。殆んどもう給與は同じになつて来るという點ですね。これは餘り職階制に囚われてやると、インフレが昂進したときに、これは相當問題になるのじやないか。併しただ他面能率を害するという點がありますから、それはむずかしい點ですけれども、これに依ると、相當厳重に職階制をやるべしというような方向らしいですが、併しそれが餘り窮屈にやると、今度インフレが昂進して行く場合に、生活給にどうしても實際問題としてならざるを得ないように、そこに非常にギヤツプが出て來やしないですか。
#14
○政府委員(今井一男君) 誠に御尤な御説なのでございますが、この報告書に考えておりますことは、決して平時のような或いはあるがままの姿によつて職階制を採ることができるとか、採ることが適當であるとかいう意見ではごぜいません。相當經濟情勢によつては幅が極めて壓縮されるといつたことは御指摘の通りと考えます。ただ併しながら、その幅を付ける付け方自身は、職階制の精神で以つてすべきではなかろうか。いわゆる給仕と次官が一對二になつたという話もございますが、そういつたことは、そういつたことに假りになるといたしましても、その幅を付ける付け方は、單に年齢とかなんとかによらないで、職務というものを中心としたもので、その幅の格付けをするということに重點がございます。御趣旨と餘り變つたことも報告しておるわけではございません。
#15
○委員長(黒田英雄君) 大藏大臣と勞働大臣が見えましたから、兩大臣に御質問の方はこの場合御質問願いたいと思います。
#16
○木村禧八郎君 勞働大臣にお伺いしたいのですが、只今今井給與局長からいろいろ技術的點について御答辯を煩わしたのですが、その結果、今度の臨時給與委員會の第一報告書及び第二報告書に基いて決めたところのこの給與二千九百二十圓、これはだんだんお話を伺いますと、相當技術的にも問題が殘つておる。それで本當に合理的であり、科學的であるということは言い切れないという點が、相當あることが分つたのでありますが、特に勞働大臣にお伺いしたいのは、この今囘の給與は大體民間給與との均衡を保つということが主になつておるようですが、それと同時に、一般國民生活水準の生活を官廳勞働者に可能ならしめるということもまあ考えられておるのです、ところでこの委員會においては一般國民的水準の生活を官廳勞働者に可能ならしめんとする場合に、大體C・P・Sの乙地の平均をそのまま採れ。これが大體において全國的な生活水準である。そういうことがその報告書の大體の意見で、それで勞働者側委員は、全部このC・P・S乙地をそのまま勤勞者の給與水準にせよ。そういう意見なんです。ところが先程今井局長のお話もありました通り、その他の委員が若干の修正を加うべし、そうしてその家計費を一家の主人が全部これをカバーすべきものでないし、又、國民的赤字というものを勘案して、大體九〇%を給與においてカバーするというお話だつた。併しこれについては私は分配國民所得の偏在という點から言つてその家計費の九〇%を給與でカバーするという點については反對なんでありまして、特に加藤勞働大臣は、勞働階級の味方であり、そうして永い間、又、勞働運動をされた先輩であるのであります。又今度の内閣にお入りになつたのも、勞働階級の地位を向上し、生活を安定させるために閣内において闘う。そういう意味合においてお入りになつたと思うのです。從つてそういう場合におきまして、勞働者側委員全部がC・P・S乙地をそのまま勤勞者の給與水準にすべしという意見である場合に、勞働大臣とされては、特に我々の先輩として、閣議において勞働者の和益のために闘われるといつてお入りになつた加藤勞働大臣とされては、この勞働者側の委員の意見を相當尊重されなければならない筈なんであります。この點について勞働大臣はその點を、主張されたのでありましようかどうか。そうしてどうしてもその主張が通らずに、止むなくこの結果を呑むようになつたのであるか。その間の事情をお伺いしたいと思うのであります。
#17
○國務大臣(加藤勘十君) 只今の木村君のお尋ねに對しまして、給與委員會の構成が、不幸にして國鐵の組合の代表者が參加されたのみで、他の組合の代表者が參加されなかつたという點において、十全であるということは言われないと存じますが、從來の政府が一方的に行つて來た形式と比較しますれば、民主的な方向へ向いて進んでおるということは言われると思うのです。それから又一ケ月間の日子を費して決定されたものでありまして、賃金問題の基本的な解決は私はなかなかこれからの短時日では決定はむずかしいと思いますが、併し差迫つた當面の給與問題を解決するという點に重點が置かれました點から、一ケ月間の期間で可能な限りの手段が盡されてこの結論が生れたものと思うわけであります。そういう點では固より十分であるとは申上げられませんが、ともかく一應この給與委員會において決定されて、その答申が得られたものを政府が承認する。
 その政府の承認したことについて、お前は勤勞者の立場から主張したかどうか、こういうお尋ねでありましたが、すでにこのことは私共がこの芦田内閣に參加するより前に決まつておつたのではないかと思いまして、私が初めてこの話を聞いたときは、すでに二千九百二十圓というものは決つておつたように思います。從つて二千九百二十圓の是非について私は何も述べてはおりません。この點そういうように御諒承願いたいのであります。
#18
○波多野鼎君 政府職員の俸給等に關する法律案の第七條でございますが、この第七條には職員が執務しないときは、その執務しないことにつき、特に承認のあつた場合を除く外、第四條第二項の規定にかかわらず、暫定俸給から減額するという規定が出ております。これはこの前からの閣議決定の線に沿つて、こういうふうに條文化されたものと考えますが、これについてお伺いしたいのは勞調法の第四十條竝びに勞組法の第十一條、この兩條とどういうような關係になるか、特に勞調法の第四十條においては、勞働者が爭議をやつた場合に、そのことを理由として勞働者に不利な扱いをしてはならないという趣旨の規定がございますが、その規定とどう關連してお考えになつておいでになるかその點をお伺いしたい。
#19
○國務大臣(加藤勘十君) 只今お尋ねになりました爭議が行われた場合に賃金、俸給が日割勘定で除外されるということについては、ストライキの一般原則として、ストライキをやつたときに賃金が支拂われないということは最早これは當然のことでありまして、そのことについては私は議論をしては彼これ言う餘地はないと思います。ただ問題は、現實の問題となつて來ると思いますが、それが果して爭議行爲であるかどうかということの先ず認定が必要だと思います。勞調法第三十八條によれば、爭議権のない職員がありまするが、そういう爭議権のない職員が爭議をやつた場合においては、これはもう爭議行爲である限りにおいては當然のことと思いますが、今おつしやつたような四十條の規定の問題については、嚴密にそれが爭議行爲であるかないかが判斷決定された後でなければ決らないわけであります、その四十條の規定を無視してただ一方的、行政的だけで、これは爭議行爲であると決めてしまうということはできぬと思います。その點については愼重にその具體的な事實に應じて判斷をして、そういう法的決定俟つて後に決せらるべきである、こういうふうに理解しております。
#20
○波多野鼎君 そうしますと、法的な決定があつた後に、遡及して差引く場合がある。こういう御趣旨ですか。
#21
○國務大臣(加藤勘十君) この政府職員の俸給等に關する法律要求の中の第七條の今度の新しい規定は、今までは爭議行爲の場合でありましたが、この條文によりますと、仕事をしない場合には、それが爭議でなくても賃金、俸給のその分は支拂われない。つまり働かない者には報酬は與えられぬという原則の上に立つているものと御諒承願いたいと思います。
#22
○波多野鼎君 例えば職員などがよく職場大會などをやりますが、そういう場合直ぐ樣一時間についていくら減額するというような措置をとられるということでありますか。
#23
○國務大臣(加藤勘十君) その點は、職場大會を開く例をとりますれば、そういう場合にそこの職場の責任者と申しますか、直屬の管理者と申しますか、そういう責任者の承諾を得て行なつた場合には、これは當然問題はないのであります。そういう責任者の承諾なくして行なわれた場合にはこの法律が適用される、こういうふうになると御了承願います。
#24
○波多野鼎君 別問題ですが、丁度大藏大臣がおいでになるので伺います。第二條の點と關連いたしますが、大體二千九百二十圓の新給與をお拂いになる。その内拂として二千五百圓を暫定的にお拂いになる。その残額四百二十圓については、あとで別に法律案を御提出になつてお拂いになるということになつておるようですが、そう理解して差支ありませんか。
#25
○國務大臣(北村徳太郎君) 御理解の通りであります。
#26
○波多野鼎君 そうした場合に、別の法律案が可決されるのが四月以降になつたと假定いたしまして、一月に遡及してお拂いになるお考えですか、どうですか。
#27
○國務大臣(北村徳太郎君) これはさきに御説明があつたかと思いますが、いわゆる職階制的な勞働の質量に應じた拂い方をするというのが建前でありましたために、一應二千五百圓は拂う。あとの四百二十圓を以てその調整に充てる。こういうことが趣旨であります。ただ支拂が遲れてはならないと存じますので、その職階制的な準備については相當に只今進行いたしておりまして、恐らくどんなに遲くとも四月中にはこれは全體でき上るであろう。かように考えておりますので、從つて四月中に支拂可能な状態になるように法律案も成るべく急いで提出いたしたい。かように存じております。
#28
○木村禧八郎君 この法律案の第四條でありますが、第四條によりますと、時間毎に給與の仕方が違つておる。十五割、十六割、十七割となつておりますが、特に鐵道などは十七割に當るというので、鐵道などは本案に對して割合に外よりも早くこれを認めるという關係があるのではないか全遞などは十五割の方になるので、その點で非常に不均衡があるというので、こういう點は一律に支給はできないものか。そういうことが要望されているのですが、この點はそういう措置はできないものでございましようか、そういう措置を取ることによつて爭議の解決にも相當良い影響があるのではないかというようなことも聞いておるのでありますが、この點一つお伺いします。
#29
○委員長(黒田英雄君) ちよつとお諮りしますが、政府委員ではないのでありまするが、給與局の第一課長阪田君が見えておりますから、阪田君の説明をお伺いしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(黒田英雄君) 異議なしと認めます。
#31
○説明員(阪田泰二君) それではちよつと御説明申上げます。只今の問題は、勤勞時間によりまして十五割、十六割、十七割というふうに差が付いておりますので、一見この間に差等があるように見えるわけでありますが、實際問題といたしましては、御承知の昨年から勞働基準法が施行されまして、政府職員につきましても所定の時間以上働いた場合には必ずそれに應じて時間割の超過勤務手當が出るという、こういうことになつておつて、實行されておるわけであります。從いまして、ここはこういうふうな勤務時間、決つた勤務時間でありますが、この決つた勤務時間が違つたのに應じて率が書いてありますが、こういうふうに書いてありましても實際例えば第一號の四十一時間半の勤務時間、こういうものが第三號のものと同様四十八時間働きました場合には差額の六時間半というものにつきましては超過勤務手當が出ますので、それを合計いたしました總體の收入額というものは同じ勞働時間を勤務すれば同じ額になるように、この率というものは調節して作つてあるのでありますが、ぴつたり同じということには行きませんが、殆んど同じ額になるようになつております。そういうふうな態勢にありませんと、同じ職場におきまして所定勤務時間が違つておるというふうなものは、實際には同じ時間働いた場合に超過勤務手當の關係で、反對に勤務手當が不公平になつて參りますので、そういうような超過勤務手當が新たにできたというような點を考慮いたしまして、調整したということになつておるわけであります。從つて、ここで新しく差別をしようという考えではないわけでありますから、左樣御了承を願います。
#32
○中西功君 この政府職員の俸給等に關する法律案、これと、それから第一囘國會で我々が何囘かに亙つて審議いたしました政府職員の俸給等に關する法律案と比較いたしますと、非常に違つておると思うのであります。即ち當時千八百圓竝びに千六百圓の差額二百圓を支給するというふうなときの法律案は非常に簡單でありまして、こういうふうな附則は全然付いていなかつたのであります。ところが、この度は附則が付いている。而も仰々しい附則が澤山付いておるというところが非常に特徴でありまして、前、千六百圓と千八百圓の差額を、政府が支給するというときには、御存じのように、當時官公廳勞組は千八百圓を認めていなかつたのであります。併し、ともかくも政府として一應決めておることだから政府の一方的な責任においてこれは支給するというふうにして無條件に支給して來ておると思うのであります。我我も又そういうふうにして、政府の態度に對して當時贊意を表したと思うのでありますが、ところがこの度は衆議院の豫算委員會における審議におきましても、可なり條件の問題が問題になり、非常に曖昧な状態になつたというだけでなくしてこの法律案においてはこういう附則が非常に澤山設けられて、結局これ程條件はないというかも知れないが、併しこれ程澤山條件が附いているわけであります。私は第一、加藤勞働大臣に最初一つお聽きしたいと思いますのは、さつき木村委員に對する勞相の見解では、二千九百二十圓のベースの是非について自分は言つておるんじやない。恰もこのベースの問題については自分にも異議があるというふうな口振りではありますが、若しこれが昨日の衆議院における答辯のように暫定的のものであつて、四月になれば新しい物價體系と共に變えるんだ、こういうふうな考えでありましたならば、何故に第二條、即ち二千五百圓の暫定給與を支給するというふうなことをするかどうか、若し四月から勞相としてもう一度これを徹底的に檢討し直すという考えがあるならば、この際二千五百圓だけやつて、あとをなにか特別の給與として取つて置くというようなことは必要はないと思います。よろしく即時二千九百二十圓を支給すべきだと思うのであります。併しそういうふうに四月において再檢討すると言つておるが、實は四月において再檢討するのは、むしろべースよりも職階制による給與體系、これをやるというふうな下心があるから、結局こういう第二條が出て來るんだろうと思いますし、本當に二千九百二十圓のべースを檢討するということが十分に勇氣があるのかどうか、その點ではこの二條があることによつて非常におかしいと思うのであります。更にこの第二條の「支給することができる。」即ち支給するということでなくしてそこに尾鰭が附いておる。「支給することができる」。ここに非常に曖昧さがある、條件があるとかなんとか言いますが「支給することができる」ということにして、非常に曖昧な態度、最初加藤勞相が衆議院委員會で言つたように、而も後でそれを取消したわけでありますが、最初言つたようなことがここの言葉の中に浸み出ておると僕は思うのであります。これに對する加藤勞相の御意見を第一お聽きしたいのであります。更に序でに申しますが、第四條の先の木村委員の質問にもありましたが、これは國鐵勞組自身でさえが現在一律に十七割とすべきだ。即ち一、二、三の區別をなくすべきだ。そうでなければ組合間の摩擦を激化させる、千六百圓から千八百圓のときにも一律に支給したのであります。これは本當の暫定的であるという氣持があるならば、當然こういうふうなややこしい職階的な或いは勞働時間的ないろいろややこしいことを言わずに、ここで暫定支給として十七割を全部一律にすべきが本當だと思うのであります。こういうふうなことにも組合間の摩擦や、そうしたものをむしろ喜んでおるような點が現われておると私は思うのであります。更に第七條に至つては先の波田野委員から言われましたように、これは非常に問題があると思うのであります。勞調法の第四十條に對する違反の問題、或いは勞働組合法十一條の規定に對する違反の問題ということになりますが、この勞調法に關してはいろいろ問題があつたと思うのであります。加藤勞働大臣は曾て野にあつたときに、この勞調法に對しては相當猛烈な反對運動をせられたと私たちは記憶しておるのであります。殊にさつき第三十八條を引用して、官吏、即ち現業以外の行政に携わる者はストライキ權がないというふうなことを一つ引用されて、そうしてこの第七條が合理化されたように伺つたのでありますが、加藤勞相自體の從來の主張からして、日本の勞働組合が遲ておる特殊な状態、即ち勞働者自體の生活が世界の水準から見て非常に貧困化している。そういうところから従來の慣習として、日本の勞働者はストライキ、爭議をして資本家から取る、爭議費用も取るというようなことをして來ておると思う。それが最近に至つてその當然の權利さえも奪われようとしていると思うのでありますが、そういうふうなことは永い間勞働運動をやられた加藤勞相自身はよく知つておられる。日本の特殊の事情から來ておることも知つておられることと思う。現在それをなくするということは、日本の勞働者に對する一つのいわゆる攻撃であるということを知つておられると思うのでありますが、尚加藤勞働大臣が本當に従來の自分達が言つて來た主張からして、或いは又曾つて弊調法に日本の勞働者と共に反對して來た立場から見て、この第一條の規定が本當に正しいと考えるかどうか、その點をはつきり言つて頂きたい。それが第三點であります。
 最後は、昨日衆議院でいろいろその條件の問題が問題になつたと思うのです。結局において私たちまだその條件がどういうふうな具體的な條件かということを、それに對する政府側の意嚮というものがはつきりしないのです。例えば技術的な點で遲れることがあるかも知れんというふうなことが言われるのでありますが、この技術的な點ということが問題なのです。技術的な點ならば國鐵も全遞も同じなのであります。みんないわゆる技術的な點ということならば、これは給與を一應ここで決つた場合に早速それを個人のもの並みに算定し直すということが結局、技術的な問題だと思うのでありますが、それならば國鐵も全遞も同じなのであります。實際に單に技術的なことというのはそういうことかどうか、そうして單なる技術的なことで遲れることがあるという意味なのか。それとも全遞が受けない、國鐵が受けたというような差から來る遲延の問題なのか、この點を最後にもつとはつきり我々に聞かしてもらいたい。以上四點は加藤勞相のはつきりした答辯を求めたいと思います。
#33
○國務大臣(加藤勘十君) 只今の中西君の御質問にお答え申しまするが、ただ端的に二千九百二十圓で生活が可能であるかどうか、こういう課題が出されたとしますれば、恐らく何人と雖も二千九百二十圓では困難である。こういうことは當然言い得られると存じます。そういう意味におきまして、私が二千九百二十圓で滿足しているというようなことは、私は毛頭思つておりません。
 それから四月云々ということを今お述べになりましたが、私の考えておりますような點、又昨日來申上げておりますやうな點はこの、二千九百二十圓の新給與は本年一月の物價を基準として、それで一月から三月までの間の給與として決められたものでありまして、四月以降はこの一月物價を基準として算定されたものとはおのずから違つた條件が生まれて來る。どういう事態が起るか。或いは物價の改訂の問題であるとか、その他いろいろな事情が發生して來るに從つて、それに對處する何らかの形態において勤勞者の生活が保障せられるような方向が採らなければならん。こういう意味でありまして、必ずしもそれは四月と限定したわけではありませんで、當然又そういう今申しまするような新事態の發生に對處し得られることが考慮されなければならん。こういう意味であります。
 又二千九百二十圓の中二千五百圓を内拂いして、他の四百圓程度のものが殘されるということは、今申しまするように、これは一日から三月までの間の問題でありまするから、技術的に處理し得られるものならば、當然これは三月一杯の中に片附けられなければならない性質のものだと思います。ところが、實際問題として技術的に職種或いは地域などの問題を考慮しますると、時間的に三月一杯にはむつかしいから、これが四月に亙つて時間的にそれだけ延びる、こういう意味でありまして、私の言う四月以降における新事態に處する意味と、この四百圓そこそこのものの技術的處理に關する問題とは、全く別な範疇に屬するものである。こういうことを御了承願いたいと存じます。
 それから第四條の問題でありまするが、これは順次勞働基準法の規定に從う方向へ向うために、職種の問題などが考慮されなければならん。こういうことから、ここに、二千五百圓でありまするから、尚四百二十圓でありまするか、その問題が技術的にそれと對應するように處理される。こういう意味であります。
 それから第七條の問題でありまするが、日本の勞働組合の戰爭前における運動の形から申しますれば、今中西君の言われた通りでありました。組織の數も二十年、二十何年も經つても依然として殆ど數うるに足りない微々たる状態の時におきましては、非常に勞働者の力は弱かつたし、更にそういう經濟的に弱いばかりでなく、政治的にも勞働者の行動の自由を拘束し、抑壓する多くの權力機構がありました。これは又御承知の通りであります。そういう時期における運動において、やはりストライキをやつた期間、賃金が支拂われないのは、資本家側から行けば當然でありましようが、勞働者側から行けば、實際に食えないんだから、それを爭議費用という形式において爭議の結末のときに支給されておつた。又それが勞働組合の爭議の場合においての一つの慣例のようになつて來たことも、今お述べになつた通りであります。ところが、敗戰の後に生れた日本の勞働組合運動は、そういう勞働者の自由な行動を抑制するような政治的な權力機構というものはなくなりました。のみならず、勞働組合の組織については、それとは逆に非常に促進助成されるような方向が選ばれまして、僅か二年有余の今日殆ど六百萬を數えるという厖大な組織を見たということは、これ亦世界の勞働組合運動の歴史に末だ例を見ない事實であります。こういう點から、從つて日本の勞働組合の戰爭後の發展状態において尚、數の厖大なるに比して質的に自己訓練の足らないところも出て來ると思います。そういうような特殊の事情のあるということはよく分りまするが、やはり勞働組合は勞働者の自主的な組織として、經濟的にも、又組合運營の上におきましても、當然、勞働者の自主的な能力、力に俟つということは、言うまでもないことでありまして、我々はできるだけそういり方向に一日も早く組合が成長、充實することを念願しておるわけであります。そういう點から私は今日の特殊な段階における特殊な條件として、成る種のものは他の國の勞働組合の上では計されないことであつても、日本においては許されなければならないし、又或る種の問題は、曾てそういうふうに習慣的に獲得し得られておつたというようなものでも、勞働組合が正しい生長のために、除くものは除かかれて、順次その方向に進んで行かなければならないと、こう考えております。そういう點から見まして、それでは、そういうことが現在の時期において果して妥當であるかどうかという時期の問題が、當然考えられることと存じますが、私は今日この段階において、この程度のことは順次勞働組合の自己訓練の上から言つても必要ではないかと、こういうふうに考えます。
#34
○木村禧八郎君 これはどなたか御質問なさつたかどうか分りません。ちよつと席を外しておりましたが……、この第二條の終りでありますが、「月收二千五百圓の暫定給与を支給することができる。」という點です。この點は支給するというふうに修正することができないのでしようか。どうですか。それはですね。支給することができるということは、この二千九百二十圓を呑まない組合には支給しないこともできると、そういうことを意味するようなものがあると思うのです。從つて、もつとはつきりするために、前に衆議院で北村大藏大臣も加藤勞働大臣も御説明になつておるように、呑まなくても支拂うのであるということを、もつとはつきりさせるために、第二條において「月收二千五百圓の暫定給與を支給する。」と、そういうふうにすることができるというのでなく、「する」というふうに修正される御意思はありませんか。
   〔中西功君「賛成、そうして貰いたいな。そうしなければ合わん。」と述ぶ〕
#35
○國務大臣(加藤勘十君) これはちよつと大藏省の方から説明して貰いたいですね。私はよく分らんです。
#36
○委員長(黒田英雄君) それでは説明員に答辯して貰いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(黒田英雄君) では阪田説明員。
#38
○説明員(阪田泰二君) それでは私からお許しを得まして申上げたいと思います。この法律の規定の形といたしましては、本則の方におきまして臨時給與委員の第一報告書、第二報告書に示されました二千九百二十圓の俸給、新らしい給與體系を採つて給與する、こういうことが規定してあるわけでありまして、それに伴いまして、その完全な實施を見るまで取敢えず二千五百圓まで出して行くことができる。こういうような意味で附則の第二條の規定ができておるわけであります。それで大體こういうふうな給與關係の法規におきましては、政府といたしましては結局國會の承認を得なければ、如何なる給與も出し得ない、こういうわけでありますから、こういう法律案、或いは豫算案によりましてこれだけの給與を支出することができる。こういうような權限と言いますか、委任と言いますか、そういうものを國會の方から頂くというような形になるわけであります。そういうような形、或いはこの本則と附則との振合い、この意味合からこういう言葉を使つておるのでありまして、大體從來の例なり、今までの考え方からいたしまして、こういう表現が今の場合最も適當ではないかと、かように私は考えておる次第であります。
#39
○木村禧八郎君 それは慣例上こういうふうに作文されるとして、それならば別に差支ないのですが、若しかかる意味でしたら問題はない。併し實際においてそれでは尚更ここで確かめて置きたいのは、「することができる。」ということは二千九百二十圓を呑まない組合には支給しないということが、この蔭に潜んでおる。その蔭にある。そういうことが非常に懸念されて、そうしてわれわれはこの暫定支給を支給するというふうに修正すべきであると主張しておるわけであります。若しそういうことがないということを、勞働大臣がはつきり御言明頂けば、それはこの通りでも差支ない。その點はどうですか。
#40
○國務大臣(加藤勘十君) その點につきましては、恐らく大藏大臣が先きにお答えしたことと存じますが、決して條件ではないということは、大藏大臣と同樣に繰返して申上げることができます。
#41
○中西功君 その條件でないということが非常にはつきりしないので、昨日からいろいろ問題が起つておるのだと思います。條件ではないと言う。さつき私が申しましたように、千六百圓と千八百圓の差額のときの法律案とこれとは非常に違つております。これには條件が付いておるのですが、これだけで見ても條件でない、無條件だということは言えないものだと思いますが、それは別にしても、さつき私が言いましたように、技術的に遲れることがあるかも知れんというようなことが言われるのですが、一體その技術的とはどういうことかということを、はつきり入れて貰う必要があると思います。それは衆議院における答辯にもそういうことがあつたと思いますが、技術的というのは一體どういうことですか。
#42
○國務大臣(加藤勘十君) 技術的という意味は、三千五百圓の、それ以上の四百圓そこそこのものは、職種それから地域等の、それは二千九百二十圓を前提として初めて生れて來る問題でありますから、そういう點についてのことが考慮されておるわけでありまして、それ以外に別に技術的という點に彼これ問題はないのでありますが、それについても、それを決めるについて各組合において調査研究されておる。そういう職種なり地域なりの問題を、何等かの形において委員會のような形を設けて、それによつてそういうことを檢討して、それで最後の決定を見たいと、こういう意味でありまして、その外に別に他意あるわけではないのです。
#43
○中西功君 そうなりますと、二千九百二十圓のうち二千五百圓は、これは完全に無條件に暫定支出するものだ。あとの四百何ぼについては、ここに書かれておるように、いろいろの問題があるから、多少遲れるかも知れんと、こういうことになるわけですね。
#44
○國務大臣(加藤勘十君) その點は昨日も衆議院で申上げましたように、又今ここに申上げますように、二千九百二十圓というものが前提になつて、初めて四百圓というものの技術的な處理についての協議機關が持たれることになるわけでありますから、一ついろいろな事情を考慮して貰つて、組合側においても二千九百二十圓のその案を一應御諒承願うと、こういうことにならないと、その技術的な問題への次の發展が見られぬわけであります。そこで先ず二千九百二十圓の問題を御諒承願つて、それから各組合から委員を出して頂いて、次のそういう技術的な點についての檢討をし、そこで決定したい。こういう意味であります。
#45
○中西功君 その場合、だから二千五百圓を暫定給與として支給することについては法律にちやんと決まるわけでありますし、組合が二千九百圓を承認しようが、しまいが、政府の責任において支給するのだと思います。ただ、あとここに書いてあるような職階制の問題とか、何とかということがあつて、そうしてもつと深く、その二千五百圓を超すものについての分については、組合側との折衝、そうした問題で時間が取るかも知れんという意味じやないかと思うのであります。だから二千五百圓を即時支給するという問題については、これを二千九百二十圓ベースを承認しようが、しまいが、これは文句なしにこれは支給できることだと思うのです。で、それならば、そうじやなくして、二千九百二十圓を承認しなければ二千五百圓も支拂われないというのであれば、結局これじや條件になつておらんということにはならんと思うのであります。少くとも二千五百圓を超える部分、四百何ぼについては技術的な問題で遲れることがあるかも知れないが、二千五百圓の暫定給與については無條件にやる。これがいわゆる受諾を條件としないという加藤勞相や大藏大臣の今までの言明の實際の内容じやないかと思うのであります。その點如何でしようか。
#46
○國務大臣(加藤勘十君) 同じことを繰返すようでありますが、四百二十圓というものの技術的な處置ということが、二千九百二十圓を前提として初めて生れて來る問題でありまするから、従つて二千九百二十圓の問題を御了承願う。そうして委員を一つ出して頂いて協議をしたい。こういうわけであります。そういうように一つ御了承願いたいと思います。
#47
○中西功君 どうも僕は、加藤勞働大臣の頭が僕の頭と大分違うようた氣がするのであります。その呑むことを、呑むか呑まないか、具體的に言えば、國鐵が呑み、全遞が呑まない。こういう場合にこだわらずにこれは支給するというのが根本的な建前のことと思うのであります。その場合、ここに第二條附則に……、わざわざ第二條に「月收二千五百圓の暫定給與を支給することができる」とこういうふうにわざわざここに書いて法律の條文になつておる場合に、この二千五百圓についてはとにかく無條件に、即ち二千五百圓というとおかしいが、いわゆる千八百圓と二千五百圓のこの差額、即ち六百圓についてはこれは無條件に支給する。ただ後の二千五百圓を超える部分、即ち四百二十圓については、これはここにも書いてありますように、暫定的ないろいろの法律とか、職階制というようなものがあるでしようから、それについては勞働者、組合側との間にいろいろ折衝をするので、この折衝をする必要上組合側が委員を完全に出さないというようなことにでもなれば、それだけ遲れるというふうな意味にもなると思うのであります。ところが千八百圓と二千五百圓の差額を支給するというのは、これは千八百圓と二千五百圓の差額であつて、決して二千九百二十圓というものがあろうとなかろうとこれは良いものだと思うのであります。二千九百二十圓という問題が出て來るのは、二千五百圓と二千九百二十圓との差の問題として出て來るので、それは次のもう一つの問題である、二千五百圓をここにはつきりやると書いてある以上は、問題は千八百圓と二千五百圓の差額を即時支給する、これについては政府が一方的な責任で、自分の責任でやるというわけですから、それによつてやればいいのであります。そう思うのです。
#48
○國務大臣(加藤勘十君) ただ單に給與という點だけから見ますれば、今お話のようなことも一通り考えられることでありますが、御承知のように、この二千九百二十圓という新給與の生れて來たということは、組合側からそれぞれ要求が出まして、その要求に基いて中勞委が裁定をして、一つの爭議行爲としての、若しくは要求事項としての結果として、給與委員會において審議されて生れて來たもので、それを政府が承認した。こういう形になつておりまするので、ただ單にこれは政府が法律の、例えば俸給令とか、なんとかいうようなものによつて決定したものとは少し性質が違うのでありまして、どうしてもこれは一つの問題自體を片附けるという意味もここに含まれておるわけでありまするから、そこで組合側の現在の情勢ではなかなかこれでは俺の方は承知はできんというような、こういうような状態におられまするので、この點は一つ極力今日の諸般の情勢を綜合判斷して頂いて、一應これによつて今までの經濟的要求に關する限りのものは處理して、そうして今先程も申しまする通り、次の、來年度における物價、その他の新事態に對しては、改めてこれに對する、露骨に言えば、委員會のようなものでも、或いは國體交渉のようなもので、設けられて、そこで更に新しき事態に應ずる審議を進めて行きたい。こういうわけでありますから、その點を一つ御了承を願いたいと思います。
#49
○中西功君 それで政府が團體交渉或いは中勞委の裁定、いろいろのことに關連いたしまして、この水準を呑んで貰いたいというふうに考えておることは、これはもう……、まあ政府の意向として、それは別に問題ではないと思うのです。ただここで今まで實際に給與を呑んでも、或いは承認しても承認しないでも、とにかく條件は付けないのだ、一應政府の責任において支給するのだということを今まで言つて來ておるのに、實際の問題になると非常に曖昧になり、いろいろな點で、結局二千九百二十圓を呑まなければやらんみたいなことになつておる。そういうようなことに結局は落著いて行くわけなんです。だから私の言つてるのは、そういうふうな勞働者側との、組合との交渉云々じやなくして、その言われて來ておる言葉自身が非常にはつきりしない。二つが中で矛盾しておるものがあるというふうなことを言つてる。それをはつきりさして貰いたいということを要求しておるのですが、政府としてこういうふうに法律として國會に提出する以上は、自分の責任で提出するわけであります。更に又、實際に國鐵は承認したけれども、その他の官公勞組では承認していないというときに、こういうときに、政府が法律を出しておる。國會に出しておるということは、政府はそういう事態を認める。そういうことの上に立つてこの法律を出しておるわけです。別の言葉で言えば、官公勞方面の全體の支持を受けられない。即ち承認したところでないということは、我々と政府の問題じやなくして、政府自身の責任の問題だ。で、政府自身が、我々ここへ來て財政金融委員會や豫算委員會で言うことは、そういうふうな自分自身が勞働組合側との間の十分な了解を得られないという尻をここに持つて來るべきじやないと思う。それで飽くまでも自分の責任でそれを解決すべきなんです。我々に對して持つて採るのは、この豫算の支出の面、或いはこういう給與をやりますし、政府の責任においてやりますということを言えばいいのです。それを受諾する、しないとか、なんとかいう條件を、何時もまるきり自分の不始末をここへ持つて來ているのです。そうしてあわよくば國會の權威によつて勞働組合の問題を解決して貰おうと言わぬばかりの態度を執つている。別の言葉で言えば、問題を國會に轉嫁しているというところに問題があるから、これを喧しく言うわけなのです。呑むか呑まんか、それは勞働組合の自主的な立場によるし、政府の手腕にもよるだろうと思うのです。そういうことと別箇に、われわれに對してはこういう支出を國民的立場かち良いかどうかということを聞くのが政府の立場だろうと思う。ですから私はそういう問題は、例えば二千五百圓の支給ということについては、われわれ勿論早くやつて貰いたいのですが、ただ支給する以上はそこに政府の責任がある。これが呑む呑まんという問題を介在させずに、あつさりと男らしく支給すると言つて、そうして國會の承認を求めらるべきであると思うのです。ですから、それで自分の不始末を國會に轉嫁して來ると、なんと言うか加藤勞相にしてはあまり手際がよいことじやないと思うのであります。一つその點を……。
#50
○國務大臣(加藤勘十君) 中西君のいろいろな御意見を承りまして、或點においてはその通りだとも思いますし、或點については多少見解の相違もありますが、政府の責任を國會に轉嫁するというような意圖はこれは微塵もありません。これは飽くまでも政府の責任は政府の責任である。ただ今も申しまする通り實際問題としての支拂手續の上において、どうしてもこの際は一つ組合の方に御了承を願うように努力する。こういう考を政府としては強く持つているわけでありまして、今朝の閣議におきましても、この點について受諾された所についてはこれは問題ではありませんが、まだ受諾を見ていない組合の方に對しては、極力内外の諸般の情勢をお話しして御了承を願うということのために最善の努力をする。こういうことを決めているような状態でありまして、決して責任を國會の方に轉嫁して云々というようなことはございませんから、この點だけは一つそうでないことを御了承願いたいと思います。
#51
○川上嘉君 本法の三項ですが、「前二項の俸給等の額及びその支給に關する事項は、別に法律で、これを定める。」こういうのですが、現在の官公勞組の逼迫した動きというものは加藤勞相の十二分に御承知のことと思いますが、これを別に法律で定めて、どうして同時にこれを出さないのでしようか。どういつた理由があつてこれが遲れるのか、それを細かに説明して貰いたいのです。
#52
○國務大臣(加藤勘十君) その點は大藏相の方で立案された意圖があると思いますから、大藏當局から御説明なり御答辯なり願いたいと思います。
#53
○説明員(阪田泰二君) この臨時給與委員會の第一報告書、第二報告書、特に第二報告書の方には新しい給與體系につきまして可成り具體的なところまで規定してあるわけです。従いましてその方針を採用するということを第二項まで定めてありまするので、その邊までは別に法律を出さなくてもはつきりしておるわけであります。併しながらこれが結局具體的の給與になりまして、誰々がどれだけ月給を貰う、或いはどういう手當をどれだけ貰う、そういうところまでは規定をしておりませんから、具體的にいえば、新しい俸給をどういう職務によつて――どういうようにするか俸給の表はどんなふうにするか、更に現在の各人の貰つている俸給から新しい俸給に切換えるためには、どういう手續なり計算なりでやつて行くか、或いは更に進んでどういうふうな機構でこの新しい給與制度を立てることをやつて行くか、いろいろそういうように具體的にこの給與水準の給與が實現するまでの手續につきましては、尚相當決めなければならない事項があるわけでありますが、これにつきましては先般政府から組合口に通告いたしました事項の末尾にも慥か書いてあつたと思いますが、細目につきましては政府と組合の方の話合の上で一つ決めるというようなことを政府といたしましては考えておりますので、そういうような事項も具體的に法律にしてここで決めて行きたい。こういうような意圖から、この第三項が規定されているわけであります。
#54
○川上嘉君 そこはそこといたしまして、現在の官公勞組の要求又は現在の物價指數から比較しても、又先程の加藤勞相のお話から承つても、二千九百二十圓は實際要求額の本當の内譯に過ぎないとしか我々には考えられない。そうしてその二千九百二十圓の内譯であるところの二千五百圓の暫定給與が確かに支給されるものかどうかも分らない。この作文上から見ると支給することができるというが、支給しなくてもいい。こういう工合にも解釋できますし、こういつた書き方は從來の所得税法などにもございまして、脱税した者は處罰することができるということがあるが、未だ一囘も所得税法では適用したことがない。こういつたことから考えましても、支給することができるということは、如何にもこれは從來の官僚獨善の、作文で以て、端的にいえばごまかそうとするのであつて、これをはつきりと支給するといつて貰いたい。そこを特に希望するのです。
 それから第四條の關係もこれは時間で非常に差がある。十五割、十六割、十七割とありますが、この十五割の方は、御存じの通り普通の官廳なら毎日八時間ずつ勤務して、月曜から金曜まで四十時間、土曜日は四時間働いて四十四時間、普通の官廳は殆ど四十四時間未滿となつている。あと十七割も貰えるというようなところは殆んど一部しかない。こういうことになりますと、先程から中西委員にも説明がありました通り、各官公勞組の間に非常に分裂を生ずる倶れがある。こういつた分裂を企圖したものの如くに見えるのでありますが、これも一律に十七割にして貰いたいという希望。
 更に次に第七條は先刻から中西委員からも質問があつたのでありますが、これは明かに勞調法の第四十條に牴觸している。だからこの七條は速かに削除して貰いたい。大體官公吏の最低生活も保障されない段階において、一日休んだからそれを差引くという行き方はとても不合理である。
 尚次にお伺いしたいことはここに「特に承認のあつた場合を除く外、」こういうふうにありますが、「特に承認のあつた」とは如何なる場合を言うのか、具體的に説明して貰いたい。以上三點について勞相の確たる所信を一つお伺いしたい。第二條を訂正する意思がありや否や、第四條を訂正する意思がありや否や、第七條を削除する意思があるや否や、こういつた點についてお伺いしたいと思います。
#55
○國務大臣(加藤勘十君) やはり技術的な點はよく分らんので、一つ大藏省から答えて貰いたいと思います。
#56
○委員長(黒田英雄君) 今の「特に承認があつた場合」もこれは第十七條の方はあなたの方で……。速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#57
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて下さい。
#58
○國務大臣(加藤勘十君) 只今お尋ねになりました點につきまして、多くは立法技術の問題に屬しますので、これはむしろ大藏省の立法に當られた、草案の作成に當られた大藏當局から御説明願つた方が、便宜ではないかと思いますが、ただこの第四條のこういう時間による均衡が勞働組合の分裂を意圖するものではないかという、こういう御見解のようでありますけれども、私はその點は決してそういう考え方は持つておりません。飽くまで組合は組合一本として當然交渉の相手方になられるわけでありまして、組合として要求が出ておるのでありまするから、當然組合の方において、これを了承されれば、組合が分裂するというようなことは決してないと、こういうように了解いたしております。第七條は、これが何か爭議によつて特別の差別を付けられたということになりますれば、勞調法第四十條の規定に抵觸するように思われまするが、これはもうすべての國を通じて働かざるものには支拂わない。ノー・プレー、ノーペイというこの原則が、或る程度段階的でありまするが織込まれておるということは、一つ御承知願いたいと思うのであります。この點は先程中西君にお答えいたしました場合にも、それ程はつきりした言葉ではありませんでしたが、順次日本の勞働組合が勞働組合として飽くまで自主的な運營、自主的な統制を持ち得る方向へ發展して行くために、そういう恩惠的な過去の封建的なものを殘すような習慣は順次に取つて行きたい。これを一遍に取つてしまうことによつて大きな障害か與えられるようたな合は、これは固よりそう一遍にやるべきではなく、徐々になさらなければなりませんが、そうでない限りにおいては、やはりこういう封建的な恩惠的な習慣というものは徐々になくして行くように努めることこそ、私は勞働組合の正しい成長發展を希望する所以だとこういうふうに解釋しております。どうか立法技術の點につきましては大藏當局の説明をお聞き下さいますように、ただ現在勞働大臣としてどういうように考えておるかという御質問に對しては、今申上げますような考え方を持つておる。こういうように御了承願いたいと思います。
#59
○委員長(黒田英雄君) 如何でしよう。この程度でちよつと懇話會に移つて、更に懇談した後、委員會を再開するということにしたら如何でしようか、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(黒田英雄君) それではこれから懇談會に移ります。
   午後三時五十四分懇話會に移る
   ―――――・―――――
   午後六時八分懇話會終る
#61
○委員長(黒田英雄君) それでは懇談會を閉じまして、只今より委員會に入ります。尚質疑も殘つているようでありますから、明日午前十時に開會することにして、本日はこれにて散會いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(黒田英雄君) 本日はこれにて散會いたします。
   午後六時九分散會
 出席者は左の通り
   委員長     黒田 英雄君
   委員
           木村禧八郎君
           下條 恭兵君
           波多野 鼎君
           玉屋 喜章君
           松嶋 喜作君
           星   一君
           石川 準吉君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           西郷吉之助君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
           川上  嘉君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
   勞 働 大 臣 加藤 勘十君
  政府委員
   大藏事務官
   (主計局次長) 河野 一之君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
  説明員
   大藏事務官
   (給與局第一課
   長)      阪田 泰二君
ソース: 国立国会図書館
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