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1955/12/14 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 外務委員会 第10号
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1955/12/14 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 外務委員会 第10号

#1
第023回国会 外務委員会 第10号
昭和三十年十二月十四日(水曜日)
   午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 前尾繁三郎君
   理事 石坂  繁君 理事 北澤 直吉君
   理事 須磨彌吉郎君 理事 山本 利壽君
   理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
      芦田  均君    伊東 隆治君
      犬養  健君    植原悦二郎君
      大橋 忠一君    菊池 義郎君
      草野一郎平君    高岡 大輔君
      並木 芳雄君    福田 篤泰君
      渡邊 良夫君    戸叶 里子君
      細迫 兼光君    松岡 駒吉君
      森島 守人君    岡田 春夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  森下 國雄君
        外務事務官
        (条約局長)  下田 武三君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      河崎 一郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済企画庁計
        画部原子力室
        長)      島村 武久君
        外務事務官
        (国際協力局第
        四課長)    松井佐七郎君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十二月十四日
 委員松本俊一君辞任につき、その補欠として犬
 養健君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十三日
 千島、樺太の返還等に関する陳情書(東京都千
 代田区神田神保町二丁目二十番地清水亘)(第
 一七二号)
 賠償問題に関する陳情書(大阪市西区土佐堀通
 一丁目大阪工業会長吉野孝一)(第一七三号)
 韓国抑留漁船乗組員の帰還促進に関する陳情書
 (東京都議会議長四宮久吉)(第一七四号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第二号)
    ―――――――――――――
#2
○前尾委員長 これより会議を開きます。
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑は一応終了いたしておりますが、なお正力国務大臣に対する質疑が残っておりますので、この際これを許します。菊池義郎君。
#3
○菊池委員 内輪の与党の質問でありますから、簡単に答えていただきたい。この六十億円内外ではほんの試験的な、研究的なことしかできないわけでございましょうが、これが一応の研究、試験を終りますと、その後どういうように原子力の事業を発展させていこうというお考えでありますか。これを民間などにも開放して、どしどし民間の事業としてやらせることもいいと私は考えております。並行してやってもいいし、英国などにおきましては、元の大臣ブラウデンが社長になって、原子力の国策会社を経営しておる、こういうように将来はこれを民間にも開放してやらせるという構想を持っておられますかどうか、その点を伺いたい。
#4
○正力国務大臣 今お話の点でありますが、原子力はむろん初のうちは国家だけであります。しかしあとでは民間にやらせるつもりですが、ただおそるべき力がありますから、どうしてもある条件をつけて、政府の厳重な監督のもとにやらせていく、全く野放しにはいたさぬつもりでおります。
#5
○菊池委員 将来のことがありますが、原子産業が発達しますと、莫大な失業者が出る。これによって石炭、石油、電力等ほとんど二千分の一の価格でもって事業の運営ができるというようなことがいわれております。それから人手も原子力によりますと、十分の一くらいでもって間に合うようになろうといわれております。将来のこの大きな失業問題などについても、何か構想を持っておられますかどうですか。
#6
○正力国務大臣 原子力のおそるべき力についていろいろ論議せられておりますが、将来どういくかということについての見通しは、ばくとした見通しでありまして、詳細なものは持っておりません。しかし私は失業問題のことは、そういうことはないと思います。これによって非常に事業が興りますので、力の大きいだけまた事業も興りやすいのでありますから、失業問題のことはそれほど心配することはなかろうと思っております。
#7
○菊池委員 大臣は原子力を産業方面に主として応用するように研究を進めるというお話でありましたが、あわせて医療方面にも応用するという建前でもって研究を進められたらよかろうとわれわれは考えておる。専門家の話を聞くと、だいぶあらゆる方面に応用ができるらしい。胃ガンがなおるとか、あるいはその他だいぶいろいろな医療に応用ができるらしいのであります。さらに美容方面にこれを応用しても、専門家の話では、顔のあざが二日でもって完全にとれる、これは中曽根君の話です。それから頭に毛のないところに、立ちどころに毛がはえるということも言っておる、これはまず大臣が隗より始めよということが至当と思いますが、(笑声)そういうわけでありますから、医療にも応用するという建前でもって研究を進められたらよかろうと思うのですが、そういうお考えはございませんか。
#8
○正力国務大臣 むろんお話の通りに、原子力というのは、産業だけではなしに、医学の方面においても、また農産物などに利用しても非常に増産ができると思います。それから医療の方面でも、先ほどあざという話があったが、むろんあざは現に読売の原子力博覧会に出ておるくらいであります。それからガンは事実上アメリカでは初期のものは大体なおるらしいです。それはもう確からしいです。とにかく今現在……。(「はげはどうです」と呼ぶ者あり)むろん毛がはえるでしょう。(「それは正力さんがまっ先に試験すべきだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。(笑声)実際各方面に役立つらしいです。とにかくガンにきくことは事実ですね。僕はこれで医学の革命ができると思います。現に医者の方はみんなそう言うております。確かにこれによって医学の革命ができる。それから農産物が、確かにこれによると増産ができますね。アメリカでも現在麦や何かが二毛作になっておるそうです。日本で米が二毛作になったり、それから麦が二毛作になったとしますれば、大へんな増収になります。だからどうしても一日も早くやらなければならぬ、一日早ければ一日早いだけ得だ、こういう考えでおりますから、どうぞよろしく……。
#9
○菊池委員 頭に毛がはえるということになれば、全国何百万、何千万の頭のはげた諸君はこぞって寄付をすることを惜しまないと思う。もったいない国家の金を六十億も使うなら、ほんとうにそれが事実であるならば、何百億の金が直ちにできます。われわれも貧乏な者ではあるが、そろそろはげかけておりますから、五億や十億は借金しても出資しますよ。(笑声)そういうふうに人心の機微に触れるようなことでもって金を集めることを考えたらよかろうと思う。私の質問はこれで終ります。
#10
○前尾委員長 穗積七郎君。
#11
○穗積委員 正力所管大臣もおられますから、先に原子力に関する日米協定についてお尋ねをいたします。委員長に重ねてお断わりしておきますが、外務大臣が見えましたら、あとで一般国際情勢に対する留保した質問をお許しいただきたいと思います。
 昨日もちょっとお尋ねしたのですが、正力国務大臣は、日米間の細目取りきめの要領なるものは、これは外務省発表ですが、ごらんになりましたかどうか、先にお尋ねしておきます。
#12
○正力国務大臣 ちょっと見ましたが、そのことについては外務省の方から答弁いたしますから、どうぞよろしく……。
#13
○穗積委員 所管大臣の責任においてお尋ねいたしますが、これはあくまでフリー・トーキングを日米間でやったものを、日本の政府の係官が簡単にメモした程度のものでございまして、向うとこういう覚書またはメモ程度でも交換したり、あるいは向うの承認を求めて発表したものではございません。そこで、実は心配でございましたから局長に重ねてお尋ねしたのは、この案によって、これから本式の細目協定が交渉の上で取りかわされるわけですが、その本式の細目協定には、ここにメモされた内容以外のもの、あるいは内容と違ったもの、それらは細目協定の中へは盛られない、こういうことを実は確約を得ておるわけでございます。そこでそのことについても正力担当大臣は、その間の事情を十分御承知でございますかどうか、それも伺っておきたい。
#14
○正力国務大臣 詳細なことは知りませんから、いずれそれは外務省の方からお答えいたしますから……。
#15
○穗積委員 はなはだどうもおぼつかないのですが、あなたは実はこの問題の担当大臣であり、しかも日本の民間の原子力開発についての非常な先達でもあるわけでございます。ですから実際行われることになると、政府の担当大臣としてのあなたのお考えというものが、非常に大事になってくるわけです。ですから今後の日米間の話し合いやあるいは国内の実施については、今私が申しました通りの報告を外務省はされ、私の質問に対して、これ以外の内容を持ったものは細目協定の中には入れません、またこれとは反対のものも入れませんということを、はっきり確約されておるわけですが、そのことをあなたはお聞きになって――今外務省の方がおられますから、打ち合せていただいてもいいが、私の言うことに間違いはないと思います。そういう事情をお聞きなった上で、そのことを担当大臣として国民に確約できますかどうか、伺っておるわけです。
#16
○正力国務大臣 外務省で答弁したことについては、私は国民に確約いたします。
#17
○穗積委員 そうしますと、続いてお尋ねいたしますが、特に第七条、第八条に、いろいろな取締り規定または義務規定がございますが、これを実施するについてのアメリカ側に保証を与えるための話し合いは、ここに合意または同意といういろいろの言葉が使ってありますが、一体それの内容についての話し合いは、どういう形でこの両者間の合意を保証する方法をおとりになるのでございましょうか、そのことも伺っておきたい。
#18
○正力国務大臣 これは協定だけでございまして、細目協定は作りません。
#19
○穗積委員 そうしますと、これは一体どういう形でしょうか。勝手に話し合って――国会や国民には一番心配な点なんです。学界においてもそうなのです。そのことについて確たる取りきめがないということは、実は義務を負わないで安心のように見えますし、義務が免除されておるようだが、ないことは、逆にそういう基準がなければ、力関係でもって相手の要求は何でも通ってしまう。あらゆる措置について、こまかい干渉も受けなければならぬという心配が出てくるわけですが、その間のことは一体どういうふうにされるつもりなのか。ここで特に私は具体的にお尋ねしますが、第七条のこの「必要な保管の措置を維持する」云々、それから、これは一々言えば切りがありませんが、ここから始まりますいろいろな措置について、こういう程度のものはやってもらいたい、こういうものはいたします、それなら安心だというようなこの話し合いは、当然あるべきだと思う。今まで全然なかったのかどうか、これからされるとすれば、それは一体どういう内容のものを、どういう形で相手と約束をするのか、その三点について逐次答弁をしていただきたいと思います。
#20
○下田政府委員 その前に、穗積先生は細目取りきめの要領というのを案とおっしゃいましたが、これは実は案でも何でもないのでございます。御承知のように、原子炉をいよいよ作ってウランを借りるという段になって細目取りきめが締結されるわけでありますから、各国とも協定の締結と細目取りきめの締結との間には、時間的な開きがございます。でございますから、協定は二十三カ国と結んでおりますが、細目取りきめができたのはスイスの一国だけであります。従って日本側も、いよいよ原子炉ができてウランを借りるというときになるわけでありまして、この細目取りきめの要領というのは、松井課長が原子力委員会の担当官と話しましたときに、その話というのは、スイスとの細目取りきめができたあとでございますから、向う側の係官にも、大体細目取りきめのサブジェクトとはこういうものだということは、頭に入れた上での話であったのであります。その話を全部頭に入れまして、その松井課長の頭に入ったものを、ここにおもな点を全部あげたものが要領でございまして、一度頭に入ったものを消化してここに表現したのが要領であります。これは案でも何でもないのでございます。
 そこでただいまお尋ねの点でございますが、第七条、八条等に、保管の措置その他いろいろ書いてございます。これは他人のものを借りるから、念のための、何と申しますか精神規定でありまして、協定に精神規定を掲げればそれで足りる。アメリカ側としても、このこまかいことの措置に一々日本側に口出しをしたり、あるいは日本との間にこまかい取りきめを結ぶなんというようなことは、毛頭考えておりません。この精神規定に基きまして、日本政府がウランをさらにある機関に貸すという際に、その契約なり何なりの中に、善良なる保管者の注意をもって取り扱うということをはっきりきめますれば、あとはその現実にウランを管理する機関が細心の注意を払って、善良なる管理者としての取扱いをすればいいのであります。要するに、協定には精神的な注意規定は掲げられてあるが、その実際の施行は、全部日本政府と並びに日本政府の委託を受けた機関の良識にまかせているわけであります。御心配のようなこまかい点につきまして、今後一々アメリカから文句をいわれ、あるいは指図を受けるというようなことは、日本側も全然考えておりませんし、アメリカの政府当局にもそういう考えはないということを、はっきり申し上げたいと思います。
#21
○穗積委員 それではちょっとお尋ねしますが、今局長が言われましたことは、今までの話し合いでそういう問題に、向うもこちらも触れなかったということでそういうふうに解釈されているのか、これは完全に善良なる管理者の注意をもってやればいいと、その具体的方法については日本政府に全部一任して、自主的にやらしてもらいたいということを話し合って、相手に確認を求めてあるのかどうか、その点が第一点。第二点は、そこでそういうことであったといたしましても、日本がとりましたいろいろな保持のための措置について、条約上は報告の義務はなかろうかと思いますが、事実上は一々向うに報告をされるつもりであるかどうか、この二点について関連してお尋ねしておきます。
#22
○下田政府委員 第一点につきましては、何ら保管措置について細目取りきめ等の必要のないということは、明確に了解ができております。第二の点につきましては、協定に掲げられました限り、つまり記録を保持し年次通報を行う、それから向うの役人がオブザベーションのために参ります、そのために監察を許すという、この三つのことが協定に約されておるだけでございまして、それ以外のことは何もすることはないのでございます。
#23
○穗積委員 それから続いてこの細目取りきめの要領を基準にしてちょっとお尋ねいたしますが、ウラン二三五を一グラムにつき二十五ドルという価格決定がなされておる、話し合いができておる。これは国際的に見まして、他の今まで協定取りきめで実施に移りました国に渡されました価格と上下はございませんかどうか、その間の事情をまず報告していただきたい。
#24
○河崎政府委員 お答えいたします。ウランの賃貸料の問題でありますが、今までに細目取りきめが結ばれておりますのは、スイスとアメリカだけでございます。スイスとアメリカの例によりますと、賃借料といたしまして、一グラム二十五ドルの四%が払われることになっております。二十五ドルというのは消耗した、使い切った部分に対するウランの価格でございます。これはまだ相当先にならないと払わないわけでございまして、ただ使用料として一グラム二十五ドルの何%かを払うということが、大体日米間で話し合った内容でございます。
#25
○穗積委員 私の質問したのは、支払いの条件ではございません。賃貸価格そのものの高い安いを伺っておるのです。今までの国際的な基準から見て、これがフェア・プライスであると考えておられるのかどうか、その間の事情を説明してもらいたいと言ったのですから、重ねて説明してもらいたい。
 そこでついででありますから、時間を節約するために一括してこの価格の問題について質問し七おきます。第一点は、濃縮度のパーセンテージが変りました場合には、この価格もスライディングするものと思うが、そういう話し合いになっておるのか、それが第二点。第三点は、この契約は五カ年になっております。そこでこの価格は五カ年の間不変なものであるか、国際市場の動きについて、おそらくこの価格はわれわれ考えるところでは下ると思うが、その場合においてもこれはフイックスな価格であるのか、スライディングな価格であるのか、その点もはっきりしておいていただきたい。つまり価格の点について、この三点について順を追うて説明していただきたい。
#26
○河崎政府委員 一グラムについて二十五ドルというのは一応の基準でございまして、日本の場合はアメリカ側と非公式に話し合いました結果、スイスの場合よりあるいはもう少し安くなるかもしれないという話を聞いております。それから濃縮度が変った場合には、これはその基準が正比例してスライドすることはもちろんであります。それから今後この研究が進んで供給がふえますと、ウランの値段がさらに安くなることは当然予想されることであります。
#27
○穗積委員 それではもう一ぺん、明敏なる局長でありますから私の質問の言外の要旨をおくみ取り願って御答弁願いたい。というのは、二十五ドルというのはフイックスでしょう。二十五ドル以下の価格を基準とするというのですか、以下という文章が入るのですか、どうですか。
 それからあなたのお答えが重複して、何べんも立ったりすわったりするのはめんどうですから、まとめて伺っておきますが、今の国際価格は下ることが予想されるわけです。今の局長の御答弁では、それは下るということが予想されておるということですが、その決定は年々話し合いをして決定するのか、国際的なフェア・プライスが下った場合には、そのつど自動的に成り行き相場で決定することになるのか。それから濃縮度によって価格はスライドするというのですが、その比率の一定の価格表というものはできておるのですか、それをちゃんと説明をしていただきたい。
#28
○松井説明員 御説明申し上げます。まず第一に現在は濃縮度二〇%のものを基準にいたしまして、一グラム二十五ドルのバリューを使っております。これは使用料及び消耗料の算定のときの基準になるわけであります。しからばこれが一五%の場合はどうなるかと申しますと、二十分の十五になるのであります。二十五ドルが正比例して変ります。そのスライドの表は別にいただいておりません。ただその原則論を一応了解しておるのであります。
 それから第二の点の、一グラム二十五ドルの値段が今後下るのではないかということですが、これはあるいはそうなるかもしれません。実は今までアメリカは濃縮ウランの価格は秘密にしておりましたが、御承知の通り去る八月のジュネーヴの原子力平和利用会議のときに、アメリカは非常な英断をもって、非常に安い値段でもって基準をきめました。そして今後はどんなに下ってもこれ以上下ることはないという自信を持っておるようです。従って協定の案は、一応五年間で形式的に作ると思いますが、しかしながら今後国際情勢が変れば、もちろん細目協定は国家間の交渉でありますから、日本がたとえばイギリスはもっと安いではないかという話を持ち出せば、改訂の余裕はあるものと考えております。
#29
○穗積委員 そういう国際相場の変化がありましたときには、そのつど申し入れてやるというのであるか、年間はフイックスされたものになるのか、その価格の切りかえは年間でやるのか、あるいは相場の成り行きによって、そのつど話し合いによって合意の上でやるのか、その方法は一体話し合いができておるのかどうかということを聞いておるのです。この支払い方法は年払いになっておるわけですね。そうすると年の初めにきめたものが三月ばかりしたら国際相場が予想以上に下った、そのときに交渉を始める、始めましても改訂するのは次年度からの改訂になるのか、その話し合いの時期と方法はどういうふうにしてやるのか、またその話し合いがついたときの値段の改訂は、年間で切りかえていくのか、途中でも切りかえられるのか、そのことはどういう話し合いになっておるかということをお伺いしておるのです。
#30
○松井説明員 国際価格が変った場合どうするかという問題、それからそれに対する交渉の方法その他につきましては、まだ米側と全く話はしておりません。さっき条約局長がおっしゃった通り、これはまだ仮の問題で、基本点に対する意見の交換をした程度でありまして、そういう細目のことにつきましては、まだ意思の疎通は行なっておりません。
#31
○穗積委員 次は正力大臣にお尋ねをいたしたいと思います。アメリカから受け入れました濃縮ウランによって日本の学者が研究をいたしましたもの、たとえばアメリカもまだ持っていないような研究の成果を上げた場合におきましては、アメリカに対してそのことを公開して報告をしてやる義務があるのか。きのうも実は外務省の方に特許法との関係を伺っておいたのですが、正力大臣は国内で最高の責任者であられると思うから、私からもう一ぺん関連して伺っておきたい。そのときには一体報告の義務があるかどうか。これは報告の義務があるとわれわれはこの協定からは判断するのですが、そうした場合にそれが国際的な初めての発明であるという場合には、その特許権はアメリカがおさめるのか、日本がおさめるのか、その間はどういうふうに理解しておられるか、伺っておきたいと思います。
#32
○正力国務大臣 お答えいたします。アメリカに報告する義務はありません。その必要はありません。(「そんなことはない、七条のCに書いてある。」と呼ぶ者あり)いや、ありません。
 それから特許については日本で発明したことは日本で特許を取ります。
#33
○穗積委員 通報の義務というのはあるのではありませんか。
#34
○下田政府委員 ここにも書いてありますように、「その出力及び原子炉燃料の燃焼に関する記録を保持し、かつ、これらの事項に関して」「年次通報を行う」ということになっております。従いまして日本人がこの操作をしている間にある発明をして、その発明に基いて特許権を得ようとすれば、当然日本の特許法に基きまして日本の特許権を得るわけでありまして、その日本人の発明したものを向うに通報するという義務は、第七条からは全然出て参りません。
#35
○穗積委員 ちょっと今与党の理事がこられて私語がございまして、局長の答弁がわかりませんでしたが、これは発見発明は通報の義務があるのですね、結論だけ伺っておきます。
#36
○下田政府委員 ございません。この通報の義務のあるのは第七条のCに掲げられた事項だけでありまして、発明発見等をいたしました場合に通報する義務はございません。好意として通報するということは別でございます。義務はございません。
#37
○穗積委員 それから正力さん、特許のやつはどういうふうになりましょうか。通報の義務は今御答弁がありましたが。
#38
○正力国務大臣 日本人の発明した特許は日本の国内法によって日本人が取ります。
#39
○穗積委員 この協定は前文にも書いてありますように、アメリカの原子力法を基準とした協定だと思うのだが、その百五十二条に、「委員会との契約の実施中に考案された発明」云々ということで実は規定してありますが、この規定との関係はどういうふうになりましょうか。
#40
○下田政府委員 この原子力法はアメリカの国内法でございまして、アメリカ人が委員会との契約の実施中に考案された発明につきましては、百五十二条の適用があるわけであります。しかしそれはアメリカ人だからアメリカの国内法の適用を受けるのでありまして、昨日申し上げましたように、この協定において取り上げられた事項のみが日本側と関係を持ってくるのでありまして、協定で取り上げておりません、百五十二条の特許の点につきましては、日本には全然適用がございません。
#41
○穗積委員 その間のことはむろん向うとそごはございませんね。話し合い済みでございますね、念を押しておきます。
#42
○下田政府委員 これは当然のことでありまして、何らの誤解はございません。
#43
○穗積委員 次に正力さんにお尋ねいたしますが、今度の協定によりますと、政府が建設する場合と、民間の個人または団体に授権する場合と二つが想定されます。そこで民間のものに授権する場合には、これは第三条によりましてアメリカ側の合意を必要としますかどうか、明らかにしていただきたい。
#44
○下田政府委員 アメリカから賃貸しました濃縮ウランを使用する限りにおいては、やはり協議することになります。
#45
○穗積委員 その間についての原則的な基準は話し合いが済んでおりますか。
#46
○河崎政府委員 それは技術的の面について協議するということに相なっております。
#47
○穗積委員 そうするとどういう団体、どういう人に、その建設、研究をゆだねるということについては、日本の選択にまかされている。従って合意ということはその技術的な点についてのみということでございますか。その点の区別をはっきりと、合意を要するものと、要せざるものとの限界を明確にしていただきたいと思います。
#48
○河崎政府委員 協議を要する事項は、ただ炉のタイプとか炉の出力とか、放射線の防御措置とか、ほんとに純然たる技術的問題のみでございまして、これをだれにやらすかということは全然協議の対象になりません。
#49
○穗積委員 次に正力大臣にお尋ねいたしますが、これは受け入れました後の国内のことに関連いたします。昨日科学技術振興対策特別委員会において通りました基本法によりますと、公社の考え方が出ておるわけですね。そこで今後これを実施する場合におきましては、公社の設立並びにその設立された公社の選択の問題が出てこようと思うのだが、これについては具体的に一体どういう構想、基準をお持ちになっておるか発表していただきたいと思います。
#50
○正力国務大臣 公社にするかどうかということは、まだ正式に決定したわけではありません。これは非常に重大な問題ですから、今度委員会ができましてから、委員会で一つよくお願いいたします。
#51
○穗積委員 そうしますと、実は前もって正力大臣に了解していただきたいのは、私どもはこの基本法とこの協定とは非常に密接な関連のあるものだとして、実は基本法の審議にも合同審査を申し入れて、ぜひ具体的に質問をしたり、これの実施に当ります政府の考え方も伺っておきたい、こう思ったのですが、いろいろな会期の都合、あるいは与党の御都合でもってその余裕がなかったわけです。ですからその質問は外務委員会において、担当大臣である正力大臣にお尋ねをするということで、実は委員長並びに与党の理事との間の了解がついておるわけです。そういう意味で質問するわけでございます。そこでそういうことになりますとこれについては一体別個の法律を作って、そういうものを公平に行われるような措置をおとりになるつもりかどうか。委員会の主観的な自由裁量によってこれが決定されるのか、どういうことが妥当であるとお考えになっておるか、お尋ねをしたい。
#52
○正力国務大臣 今お話の通りに、公社にする場合でも、特別法人にする場合でもみな法律を作ります。とにかく営利会社にせぬということだけはここで明言いたしておきます。
#53
○穗積委員 実は私どもどうも懸念いたしますことは、原子力の開発、研究等については、相当膨大な予算を必要とするわけです。経済的条件を必要とするから……。そうなりますと、どうしても大きな資本を必要とする。そうしていきますと、巨大な独占資本家が将来動力発電の問題等につきましても主導権を持っていくような結果になると思う。そうして一方日本の研究の立場から見ましても、こういうことは営利的な考え方でなくて、国家百年の大計を考えて、国の計画、国の良心に従ってやるべきだと思う。そういうことになると、この研究並びに開発等は、むしろ日本におきましては、政府みずからがやるという方針をおとりになった方がよくはないかという疑点を実は持っておるわけです。その間の事情については、正力大臣は一体どういうふうにお考えになっておられるか。今営利の対象にはさせない、営利事業にはさせないということでございますが、そういう名目であっても、今までの公社その他の実情を見ますと、必ずしもそうではないのであって、むしろそのことが国家資本を独占的に利用せしめて、そうして一部の者の主導権が強化されていく、こういうことになる危険がありますから、今後そういう点はぜひ避けていくべきだというふうに思うのですが、あなたのお考えを一つ伺っておきたいと思います。
#54
○正力国務大臣 先ほども申し上げましたように、営利会社にはせぬということはきめております。それから国家が指導するということもきめております。それから大資本によって左右されるようなことは断じてない、したくないと思っております。
#55
○穗積委員 そういたしますと、今のところはこの協定によりますと、並行して国家がやってもよし、民間に授権してやらしてもよしということになっておりますが、将来は原子力発電等が始まりますと、あるいはまたその他農業用、医学用の利用が始まりますと、民間の営利会社の組織によって、株式会社の組織によってやられる場合もどんどん出てくる。それがかえって原子力の利用を普及せしめるためにも必要だというような状況も考えられないことはない。現在の経済体制そのままにしておきますならば……。そういうような場合においても、いやしくも原子力問題については民間の株式会社組織にはやらせないという原則を堅持されるつもりであるのかどうなのか、そういう事情も出てくると思うのです。今この法律を通し、協定を通す時期においてはそういう御答弁であっても、将来そういうことも予想されますが、その原則はその場合においてすらなおかつ堅持されるのかどうか、伺っておきたいと思います。
#56
○正力国務大臣 必要の段階に入りますれば多少考慮しなければならぬと思っておりますが、とにかく国家が野放しにしない、どこまでも指導していくという方針だけは堅持していくつもりであります。
#57
○穗積委員 私の伺っているのは具体的に伺っているのです。国内におきます経済の運営というものは、すべて国家が責任を持っておるといえば持っておる。現在でもそうでしょう。いかなる産業についても、たとえばバス会社からふろ屋に至るまで国家の監督のもとにおって、ちゃんと公衆の利益に反しないような措置がとってあるといえばとってあると言えるのです。そういうことではなくて、今申しました通りに、原子力発電のみならず、その他の原子力利用が非常にポピュラライズされましたときには、そのときにおいてもこの原則をおとりになるのかどうか。今おっしゃった営利会社にはやらせない、または営利を目的としておる個人にもやらせないということであるなら、その原則は一体どこまで続くのかということを伺っておるのですから、問題をそらさずに明確に、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#58
○正力国務大臣 遠き将来のことについてはもう少し事情に照らして考えなくちゃならぬと思いますけれども、とにかく近き将来においてはそういうことは考えておりません。
#59
○穗積委員 実は原子力に対するあなたの頭の程度というものはよくわからないのですが、あなたの頭の程度で想定されて、アメリカから受け入れます濃縮ウランの取扱いについてのみ言っておられるのか。そうでなくして、発電が始まりあるいは民間会社が、どんどんアメリカから買い入れをやってやりたいということが出てくる、あるいは農業や医療用に利用しようというような動きが出てくるということは、そんなに遠くないと思う。少くとも準備は始まると思う。あなたは近い将来とか遠い将来とか言っておられますが、われわれも率直に言ってしろうとでございますが、ただ今までの原子力発展の速度のカーブを描いてきますと、われわれが十年と思っておったことが三年ぐらいにできてしまう。はなはだしきに至っては半年でずっと情勢変化が生ずるということもあり得るわけです。すなわちこの仮協定を結んだ時代とそれから八月のあのジュネーヴの原子力会議が行われて後の空気というものはずっと変ってきている。だからこの六月に結んだ協定がもう十一月の今日になると時代おくれのような協定にすらなっているという進み方なんです。ですからそういうことまで、遠い将来とか近い将来とかいうばく然としたお答えでなくして、もう少しさようなことを用意しておかかりにならぬと、せっかく基本法ができましても、これは立ちおくれになってしまうと思うのです。
#60
○正力国務大臣 仰せの通りです。それでこの原子力委員会というものが必要で、各方面の権威を集めてこれと相談する、こういうわけであります。
#61
○岡田委員 関連して。先ほど下田さんがそういうふうに言われたけれども、私はそう解釈できない。七条のCに、出力及び原子炉燃料の燃焼に関する記録を保持し、かつ、これらの事項に関して報告するということがありますね。これはなぜこういうことが出てきたかというと、あなたもおわかりのように、濃縮ウラン燃料体の所有権は日本にはないわけです。アメリカに所有権があるわけです。アメリカに所有権があるから、その所有権に基いて報告の雑務を課するのであるということを、きのうあなた方言っておるわけです。そうすると、その燃料体を運転することによって作られた記録というものは、「出力及び原子炉燃料の燃焼に関する記録」というのですから、燃焼に関する包括的な規定なのです。これは、単に燃料の記録ですからという抽象的な答弁ではだめなのです。これは全体に対する報告の義務を課せられていると解釈すべきなのです。とすれば、百五十二条におきまして、あなたは先ほど抽象的な答弁をしているけれども、アメリカ原子力法の百五十二条において、これは読んでごらんになったらおわかりの通り、「委員会との契約の実施中に考案された発明、委員会との契約、下請契約、取極、その他の関係に基いてなされたか又は考案された発明又は発見で特殊核物質又は原子力の生産又は利用に有用なものは、その契約又は取極が委員会による資金の支出を伴ったかどうかにかかわらず、すべて委員会によってなされ又は考察されたものとみなされる。」このように考案、発明あるいは発見というのが、一切がっさいAECが収用することになっている。なぜこういうことになっているかというと、単に特許権を収用するというのは、軍事上の目的だけではありません。これは生産の技術に関する面についても、その生産の技術の特許権を確保するという意味があるのです。これは原子力法全体の精神なのです。その精神からいって、所有権がアメリカにあるものを運転したことによって出された報告、その報告の記録の中から出された発見なり発明なり考案というものの所有権は、当然アメリカがこの法律に基いて収得するということが言い得るわけです。いいですか、言い得るとするならば――あなたは日本の国内法で特許権を確立しますと言ったのだが、それじゃきのう配付された原子力基本法を見ると、日本の原子力基本法においては、公益上必要と認めるときは特許法により措置する。こういうことを言っているのだが、そうなると、アメリカでも、一つの発明なり発見に対して、この百五十二条の規定によってアメリカは特許権を設定するでしょう。日本でも、これは一つの特許であるといって特許権を申請するでしょう。その場合にどちらが優先するかというと、所有権があるということでアメリカに取られる。これはそればかりではないので、従属関係からいっても取られるということは目に見えているのだが、そういうことになってくるということは明らかなのだ。日本の国内の法律にアメリカの原子力法は適用しないという形式上の御答弁だけでは答弁になりません。あなたはそうじゃないと御答弁になるだろうと私は想像するが、うそかほんとうか、あと何年か原子力の研究を進めてごらんなさい。五年か十年のあとになってはっきりして、そのときにあなたは恥をかかないようにしておいて下さい。
#62
○下田政府委員 岡田委員の仰せになりましたことは全部正しいのでございますが、ただその正しいというのはアメリカ国内に限ってでございます。アメリカの国境を出ましたらこれの適用はございません。それで仰せの通り、これは原子力法の基本観念でございますが、しかしそれは何も原子力に限りませんで、アメリカのいわゆる軍事特許、軍事上の意味から必要である秘密特許にも全体に通じた観念でございます。つまりある場合には、政府の持っておる軍事上の秘密特許を使用させる業者が、さらに新しい改良の発明をした場合にもそれをまた政府の手におさめるという、アメリカの軍事上の必要から来る一貫した思想でございます。これはしかしあくまでもアメリカ国内だけで行われることでありまして、日本にこの百五十二条を適用するというようなことは、とうてい日本政府として容認しがたい解釈であります。もし協定でそういうことを約束いたしましたならばその義務を負うでありましょう。しかしその百五十二条というのは、この協定では全然取り上げていない問題でございまして、この七条のCに申します燃焼といいますのは、これは人のウランを借りておるのでありまして、そのウランの燃焼状況を知りたいというのが向うの関心事でございます。しかしその燃焼の過程において、日本人が自分の頭でもってでっち上げた発明まで取り上げるというようなことは、とうていあり得ないことでございます。そういうことをいたしますには、またそのための条項を設けなければ不可能であります。
#63
○岡田委員 私はそこに問題があると思う。なぜ百五十二条の特許の問題について、この協定なり細目協定の中に明文化しないのですか。それはあなたも御存じのように、学者、学界あるいは業界関係において、特許法とのこの問題については、おそらく国際裁判なりその他の方法をとらなければ解決できまいということがすでに言われているのです。そういうふうに疑念が持たれているのに、細目協定の中にも書かれないで、この協定にもないから大丈夫だと言っても、それは話が通らない。なぜなら燃焼に関する記録の中でのみ、発明、発見、考案というものが出された場合、その詳細を報告しなければならないのです。報告しなければなならいとするならば、その報告されたレポートの所有権というのはアメリカにあるのです。アメリカにある所有権を日本の方で特許でありますと言ったって、これは世の中は通らない。このことを言っているのです。こっちで発明したのだって所有権は向うで、レポートは全部取られてしまう。
#64
○下田政府委員 かりにそういうようなことを交渉でアメリカが要求いたしましたと仮定いたしましたら、日本政府はもちろんその真意をただしております。そういうことはアメリカから交渉中にも一度も申したことはありません。
 もう一つは、ただいま日米間で別途、特許、技術情報に関する交換協定の交渉をいたしております。その協定の交渉中におきまして、原子力法弟百五十二条にいうような原子力の特許というものを日本にも貸してくれるかという話題も出たのであります。しかしアメリカ自身も、原子力に関する限りは、技術あるいは特許の情報交換の範囲に含めたくないということを言っておるのでございます。でありますから、別途やっております日米交渉から見ましても、御指摘のような心配のないことははっきりいたしております。
#65
○穗積委員 今は岡田君の関連質問で、私の質問の途中ですから質問を続けさしていただきたい。
 今下田条約局長が岡田君と条約並びに原子力法の解釈について問答があったのだが、そのことは重要なことですから、私もう一ぺん確認しておきたいのだが、直接交渉に当られた河崎さん、または松井さんですか、向うと話し合いに行かれた方々は、今の問題については疑義を残さない話し合いをして、相手の了解を求めてありますね。
#66
○河崎政府委員 七条C項のただいまおっしゃったことにつきましては、当然のことでして、先方との間に全然話し合いはございません。ただあとの方のインスペクションについての話合いは、昨日御説明いたしました通りあったわけでございます。
#67
○穗積委員 次に正力大臣にお尋ねをいたします。受け入れました濃縮ウランまたはその設備等を利用して原子力の研究をする研究者、学者ですね、これの選定は何を基準にしてだれがやるか。これは今度の基本法によります委員会が決定するわけでございますか。
#68
○正力国務大臣 それは委員会でよく相談してやります。決してそれに対して思想上の問題はありません。
#69
○穗積委員 このことは実は重要な点ですが、そうしますと、委員会の自主的な、または極端に言えば全く主観的な裁量によって、この学者はいい、この学者はさしてはいけない、やらせるならこの学者に限るというようなことを選定されるわけでございますかどうか。それについては三人か四人の委員にすべてがまかされるということであっては非常な不安を生ずるだろうと思うので、その場合においては何らかの客観的な基準なり何なりがなくちゃならぬと思うのです。そういうものについての御用意はいかがなものでありますか。
#70
○正力国務大臣 研究所の委員については委員会において任命いたしますが、学者については研究所の人にまかしております。
#71
○穗積委員 そうすると学者の選定は研究所の所長に一任されるということですね。そういう意味ですか。
#72
○正力国務大臣 所長のみならず、研究所の役員については政府で任命いたします。
#73
○穗積委員 あなたは私の質問の要旨をそんたくされて、何べんも立ったりすわったりさせないで、もう少し親切な答弁をしていただきたいと思うのです。心配になるのは、原子力の憲法ともいうべき今度の原子力法の第二条か第三条には、研究の自由と公開の原則というものがはっきりうたってあるわけです。これが一番問題になるところです。その場合において、こういう協定があるために、せっかくアメリカから受け入れた貴重なる物質並びに設備が、委員会の主観的に欲する少数の学者にのみエンクローズされてしまって公開されない。すなわちそのことが一部の他の多くの学者には自由が得られないという結果になるわけです。そのことを心配しておるわけです。つまりその研究者を決定する基準は何であるのか。そしてまた第二に私が続いてお尋ねしたいのは、研究に参加する者、研究を視察いたしまして、研究所の予算をもらって、研究所からサラリーをもらい研究費をもらって研究するのはその研究所の所員だけでございましょうが、その研究所の所員の選定に漏れた他の学者、たとえば東京大学の物理学の若い学者たちが、その設備に従って、自分の費用で、つまり研究所以外の費用によってその研究に参加して勉強したいという場合においても、これは拒否されることになるのか、それは自由であるのか、そういう点が実は問題になっておるわけですから、その間の事情をよく了察されて、何べんも立ないで済むように一つすべて親切に答弁していただきたいと思います。
#74
○正力国務大臣 いろいろ御心配あるようでありますが、これは根本として申し上げます。つまり研究の自由ということはどこまでも尊重いたします。従ってこの研究者について、その研究所の所長初め役員は政府で任命いたしますけれども、その養成する人間についてまでは政府は干渉いたしません。研究所に自由にやらせます。そうしてまた、ほかにやりたい人があればそれは喜んでやらせます。それで決して自由を束縛することはありません。研究の自由はどこどこまでも尊重いたします。従って人についてもあまり干渉いたしませんから御安心を願いたい。
#75
○穗積委員 そういたしますと、一体この研究所の所長と、それから所員、これは予算によって制約されると思うが、それからあとの研究者というものはどういうものになりますか。研究所長と所員は政府で任命いたしますか、委員会で任命いたしますね。それ以外のものはどうなりますか。それ以外でこういうものを養成したいというような場合においては所長に一任されておる。そのワクは予算だけである、そういう場合に定員法との関係はどうなりますか。所長が自由にできるということにはならぬと思う。
#76
○正力国務大臣 それは全所員というわけではない。政府で任命するのはただ幹部だけであります。ほかは向うの研究所でやればよろしい。
#77
○穗積委員 非常に大事な点ですから具体的に伺っておきたい。そうすると、所長と幹部というのはどこまでですか。
#78
○正力国務大臣 それは研究生とは別であります。役員だけです。
#79
○穗積委員 そうすると研究員というものは所員でありますか。正式に所員になるわけですか。
#80
○正力国務大臣 所員全部じゃないのです。その幹部だけです。
#81
○穗積委員 その所員はどうなりますか。
#82
○正力国務大臣 だから所員は幹部が適当に研究させる、それは自由であります。
#83
○穗積委員 所長の自由ですか。
#84
○正力国務大臣 所長はこちらで任命します。
#85
○穗積委員 所長がその所員の選定をする場合には委員会の承諾を求める必要がありますか。
#86
○正力国務大臣 そんな必要はありません。
#87
○穗積委員 通報の義務はありますか。
#88
○正力国務大臣 それはおもなる者だけです。
#89
○穗積委員 おもなる者だけであって、所員にはこういう者を採用いたしましたということは委員会に通報する義務はありませんね。
#90
○正力国務大臣 ありません。
#91
○穗積委員 そういたしますと、この所員の制限というものは予算によってのみ縛られるわけですね。
  〔発言する者あり〕
#92
○前尾委員長 静粛に願います。
#93
○正力国務大臣 その通りであります。
#94
○穗積委員 そうすると、問題になりますのは、予算にもどうせワクがあると思うのです。予算にもワクがございますから、この原子力研究を希望するすべての学者を、研究所の所員として参加せしめることは困難なことは当然でございます。そうなりましたときにその所員として選択されなかった他の学者がみずからの計画によって、そうしてみずからの費用によって受け入れました濃縮ウラン並びに設備を利用して原子力の研究をした場合においては、自由にこの物質並びに設備は公開されますかどうか。
#95
○島村説明員 これは詳細に申し上げたいと思いますが、先ほど正力国務相から申し上げましたように、新しい原子力の研究所、お尋ねの基本法に盛られました原子力研究所の詳細につきましては、これは別に法律をもって定めることになりますので、あらためて御審議願うことでございまして、役員の任命をたとえば所長でございますか総裁でございますか、そういう名前の者だけに限りますか、あるいは役員全部について政府が任免権を持つようにいたしますか、そういう詳細までは何もきまっておるわけではございませんが、考え方といたしましては、そういう首脳につきまして政府の監督権を確保したらどうかというふうに考えておるわけでございます。所員につきましてはそういうことで総裁なり何なり幹部が政府の監督下に直接任免権を持つものである以上、所員となります学者、技術者等につきましては、これはもうあげて総裁なり何なりそのヘッドに一任して差しつかえないのじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
 またその次のお尋ねでございますが、所員は予算に制約されてだれでもかれでも所員にするわけにはいかぬだろう、その他の学者に対してそれじゃ門戸を閉ざすのか、こういうお話だと思うのでありますが、これは新しい原子力研究所でございませんで、従来できております財団法人の原子力研究所におきましても、広く各大学の教授その他の学者の方々にも委員になっていただいて、それぞれ部門ごとにも委員会を作りまして、密接な協力のもとに研究所を運営していくということにもなっております。また計画といたしましては、その原子力研究所の中に、所員だけが利用するのではない開放研究室というものも作りまして、たとえば以前理化学研究所等にございまして、非常に成績を上げました開放研究室というようなものも作りまして、そこには所員以外の各大学、その他民間の企業等からも来て、自由に研究していただくというように、公開してやっていきたいと、そういうふうな構想でおるわけであります。もちろん当初入れます炉は一基、来年、再来年あたりになりましても二基程度でございましょう。従いまして、すべての学者の方々が思い思いに自分の欲するがままに研究をすることができるかどうかということは、炉の数、それこそ出力等その他に制約されることはありましょうけれども、その辺は学者同士の委員会等によりまして、研究方法を相談いたしてやっていくということになっておりますので、御心配のような点等は全然なかろうかと存じます。
#96
○穗積委員 そうしますと、その内部におきまする研究の公開並びに自由についての運営の方法、これは委員会からは何らの拘束を加えない。所長といいますか、総裁というか、あるいはまたそこに運営委員会みたいなものができるかもしれないが、それが全く自由かつ民主的に自主的な裁量にまかせられると理解してよろしゅうございますか。
#97
○島村説明委員 おっしゃる通りでございます。
#98
○穗積委員 正力大臣に申し上げますが、室長のお答えの通りでありますか。このことに対してあなたも全く同じ方針でお進みになるつもりであるか。あなたのお考えを一ぺん確認しておきたいと思います。
#99
○正力国務大臣 その通りと思います。その方針であります。
#100
○穗積委員 最後にもう一点お尋ねしたいのであります。実は原子力研究に関します予算の問題でございます。これにも実はおそらく委員会側が大体決定することになろうと思うが、そうすると各大学におきまするあるいは民間の研究所あるいは民間の学者等が自主的にやります原子力研究、これも今度の委員会によって統括され、何といいますか、管掌されるわけですね。その研究の方法と予算と、二つの点についてお尋ねしたい。
#101
○島村説明員 御承知と思いますけれども、昨日の科学技術振興対策特別委員会の方で附帯決議がつきまして、原子力委員会あるいは原子力局で事務をとりますところの経費の範囲につきましては、大学経費によるところの分は除かれるということになっております。そのように御承知願いたいと思います。
#102
○穗積委員 研究の計画、方法についてはどうですか。
#103
○島村説明員 大学で行われますところの研究がいかように行われますか、そういう計画につきましては委員会としてはタッチいたさないと了解いたしております。
#104
○穗積委員 そうしますと、その研究所、つまりその受け入れに伴って生ずる物質並びに設備を中心とする組織並びに研究でございますね。それに対してのみ委員会は発言をするのであって、それ以外の官公私立の大学の研究所あるいは財団法人の民間の研究所あるいは民間の個人の研究者、これの原子力研究についでの計画、方法並びに予算については全然委員会はタッチしない、こういうことになるわけですか。
#105
○島村説明員 原子力基本法で構想せられておりますことに抵触するような点が出て参りますれば――と申しますことは、たとえば今おっしゃいましたような機関におきまして原子炉を設置するというような事態になりますれば別といたしまして、その範囲外になりますれば、当然委員会のタッチするところではございません。
#106
○穗積委員 終ります。
#107
○前尾委員長 これにて本件に関する質疑は終了いたしました。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。北澤直吉君。
#108
○北澤委員 ただいま議題となりました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件に関し、私は自由民主党を代表し、次の理由によって賛成の意を表明せんとするものであります。
 理由の第一は、原子力の平和的利用は、世界におきまする第二次の産業革命の原動力とも言うべきものでありまして、原子力の平和的利用の研究ないし原子力発電その他各方面の実際的利用の面において、日本が一日おくれることはそれだけ日本の発展に不利を来たすことであります。十八世紀の後半、蒸気機関の発明を中心とする第一次の産業革命において先鞭をつけた英国初め欧米諸国は、近代の物質文明において優位を占め、いわゆる先進国として世界の指導的立場に立ち、アジア諸国が精神文明においては欧米諸国にまさりながらも、第一次の産業革命においておくれをとったがために、いわゆる後進国として長年の間悲惨な運命をたどったことは周知の通りであります。日本が明治維新後広く知識を世界に求めることを国是とし、積極的に開国進取の政策をとり、他のアジア諸国に先んじて欧米の物質文明を取り入れ、産業革命を断行した結果、明治、大正、昭和の世界の五大強国の一つであった日本を作り上げましたことも、今さら多言を要しないところであります。日本は原子爆弾の洗礼を受けた世界唯一の国でありますが、原子力の平和的利用におきましては、欧米諸国に比しまして著しくおくれておることは残念ながら事実であります。戦いに敗れ、武力を失い、経済力の弱くなった日本として、また九千万になんなんとする膨大な人口を擁しながら、領土狭く、天然資源に恵まれない日本として国家民族の発展をはかり、アジアの安定勢力の一つとしての本来の使命を果すためには、一日もすみやかに原子力の平和的利用の開発を促進し、来たるべき第二次の産業革命において、他国に比し優位を占めることが絶対必要と思われるのであります。
 理由の第二は、今回の日米協定により、米国から濃縮ウランの提供とこれに伴う技術等の援助を受けるについては、一定の条件がつけられておりますが、これは最小限度のやむを得ない条件でありまして、米国以外の国より援助協力を受けるの自由、また研究の自由、その他わが国の自主性を何ら制限するものでないことであります。このことは米国が今回の日米協定とほぼ同様の協定をイギリス、カナダ等二十三カ国との間に締結しておることを見れば一目瞭然であります。一部には今回の日米協定をもって、米国よりのいわゆるひもつきであると疑い、(「その通り」)その協定に対し消極的態度をとり、または反対する者もなきにしもあらずでありますが、これは独断的に日本を米国の植民地とみなし、一部公式論者のインフェリオリティ・コンプレックス、すなわち劣等感に由来するものでなければ、(「ノーノー」)全く誤解に基くものでありまして、現代科学の最先端を行く原子力の平和的利用の開発を目的とするこの協定に対し、進歩主義者をもってみずから任ずる人々の間に、消極的態度をとる者があるやに見受けられますことは、まことに不可解でありまして、かかる人たちこそ、いわゆる保守主義者よりもさらに保守的な頭脳の持ち主であると言われても、弁解の余地がないであろうと思うのであります。
 終りに私は、本日米協定と本日本院上程の原子力基本法及び原子力行政機構設置に関する法律の三位一体によりまして、ここに画期的な原子力の平和的利用に関する体制が一応整備するわけでありますから、政府においてもアジア原子力センターの日本誘致、アジア原子カブールの実現等、原子力時代に即応する原子力外交を積極果敢に展開するよう要望しまして、賛成討論を終ります。(拍手)
#109
○前尾委員長 松本七郎君。
#110
○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件に、賛成の意見を申し上げんとするものであります。
 この原子力の平和的利用ということについては、最初の軍事的利用の被害者である日本国民は、特に強い熱望を持っておるのでございます。それが戦争という誤まった道に入ったばかりに、この原子力の平和的利用ということについても、日本は非常に立ちおくれを来たしておる、従ってそれをすみやかに回復したいという気持が起るのは当然のことでございます。その限りにおいてはわれわれもこれに無条件に賛成するものでございますが、この協定についていろいろ今まで審議してきたところで明らかなように、このことについては一面大きな不安のあるものもまた当然でございます。それは先ほどからいろいろ論議がかわされましたように、協定自身に何らか日本の独立性、自主性を制限するような条項があるのではないか、これは今日の日本の置かれておる立場からすれば当然起る不安でございます。そこでこの不安が一体完全に取り去られるかどうかということは、この委員会における審議の最も大きな中心点であったわけでございますが、この点については必ずしもこれなら絶対大丈夫だという安心を私どもは持つことができないのでございます。それならそういうようなところに多少の不安があるにもかかわらず、なぜこれに賛成をするかということが実は大事なところなのでございます。私どもは今日の日本の立場からすれば、こういう協定を結んだ場合に、特にアメリカという今の特殊な大きな力を持った国、また日本と特別の関係がある国と、このような協定を結ぶということに、多少の危険があることは私は当然だと思う。ただその危険を今後排除して、そうして完全にこの原子力というものを独立国にふさわしい自主的に、平和的に活用できるように研究も進めていく、将来は完全にこの平和利用を進展させるという体制を、今後日本の政府が積極的にとることが必要であると思います。それならわれわれは今の政府にそれだけのことが期待できるかと申しますと、この点も残念ながら全幅の期待は持つことができません。それでもわれわれはなおこれに賛成するゆえんは、第一には先ほど北澤さんも言われましたように、この原子力が平和的に利用されるということは第二の産業革命である、これがほんとうに戦争に利用されずして、平和的に完全に大衆のために利用されるならば、これは人類の幸福に大きな貢献をするのでございます。そういう面に私どもは今後積極的に努力していきたい、そういう熱願を抱いておるわけでございます。そういう熱望を持っておりましても、国際的な環境その他からわれわれのその熱望を果すような条件が整わなければ、これはただの悲願に終るわけでございますが、幸いに最近はあのジュネーヴ会議以来国際的な環境もだんだん好転しつつあるような空気が強くなってきております。こういう国際的な環境を大きく改善するために、日本も積極的に協力することによりまして、この平和的な利用の面を、ほんとうにわれわれが安心してこれにすがることができるような面を切り開いていくことができるのではないか、そういう努力を今後私どもは積極的にする決意を持って、この協定に賛成をしたいと思うのでございます。
 またこの原子力の利用そのものにつきましても、先ほど質疑の中でも穗積委員から指摘されましたように、これをいかように今後の発電その他に利用されるかというその利用の仕方、体制という問題についても、私どもはこれと積極的に取り組む理由を見出すのでございます。私も委員会で質問をいたしましたときに指摘いたしましたように、アメリカでさえこの原子力の利用ということに関しては大きな幾つかの財閥が一緒になって協力してやらなければ、とても手に負えないほど膨大な資本を要するのでございます。従って日本で今後これが研究を進め、さらに発電その他に進んでいく段階になりました暁には、この第二次産業革命の中心勢力であり、基本産業のうちの特に基本になろうとしておるこの原子力産業というものを、国が中心になって、やはり公けの機関で運営され、経営される必要が必ずや出てくると思います。それはどういうことかといえば、そのことは私どもの目標にしておる社会主義体制というものが今後非常に近まることを意味するのでございます。こういう意味で、私どもはこれと積極的に取り組む覚悟を持って立ち上ろうとしているわけでございます。従ってアメリカとの関係においていろいろな困難があり、また不安がありますが、当面国民がその平和的利用を望むの余り、どうかするとこの不安というものに目が向けられない傾向がありますので、私どもは平和利用を打ち出す一方には原子爆弾を全面的に禁止する、軍事的には絶対に使用しないという面にも、平和的に利用する以上今後日本は積極的に努力すべきだと思います。ましてや近く国際連合に入ろうとしておる日本でございますから、なおさら一方には平和的に利用し、片方にはこれを軍事的に利用することを禁止する国際的な運動にも、日本は協力をなすべきであることを特に強調いたしまして、私は賛成するものでございます。(拍手)
#111
○前尾委員長 岡田春夫君。
#112
○岡田委員 長い間この協定を審議いたして参りましたけれども、同僚委員と残念ながら意見を異にいたしまして、私は反対をいたします。と申しましたからといって、原子力を平和的に利用して、これを発展させるということについては反対なのではございません。平和的に利用することについては、あくまでも正しく、そして日本の自主的な力によって発展をさせてもらわなければならないということを望んでやまないものの一人であります。しかしながらこの協定を見ました場合において、私たちはこの日本の自主的な発展のために、このような協定に賛成ができないわけであります。
 概論的に申しますならば、今度の原子力協定によってアメリカの原子力産業のもとに、日本の原子力研究並びにその産業が支配される結果を招くであろうという点を私たちは悩んでおります。いまさら言うまでもなく、アメリカにおける原子力研究は、まず第一は、軍事的な目的においてその第一歩が踏み出されました。そのためにこの原子力の研究が常に平和的な展開の面においては他国と比べておくれておったのであります。しかも高度に発展をいたしましたアメリカの帝国主義的な段階においては、その独占的な企業の性格として、原子力を平和的に利用するという点においては、幾多の面において阻害を与えております。たとえば一九四六年にすでになくなっているバンデンバーグあるいはマクマホーンという二人の上院議員は共同声明を出して、もし原子力の機関車が発見をされて、ニューヨークからワシントンまで走るようなことになるならば、その燃料費はわずか二、三ドルで済むようなことになるであろうから、そうなると鉄道及び石炭会社の株は無価値になって、鉄道株を保有する保険会社は破産をし、ついに経済恐慌が起るであろうというような、平和利用に対するきわめて恐怖的な態度をとっておったのであります。それだけに、アメリカにおける原子力の平和的な利用に対する研究については、他国と比べてきわめておくれて参りました。すでにソ同盟においては、昨年五千キロワットの原子力発電が実験をされ、来年には原子力の十万キロワットの発電が実施せられようとしている段階である。またイギリスにおいても、来年の末には十万キロワットの原子力発電が行われようとしている。それにもかかわらず、アメリカは原子力発電においては、予定としては三年後の見通しがあるだけであって、必ずしもその見通しが正確なものではないのであります。このように、平和的な利用の段階においては、アメリカは著しく先進国の中においておくれている状態であります。このような国と日本の国が、今原子力の協定を結んでいかなければならない理由が、私にはわかりません。私は、もし日本の原子力をほんとうにすみやかに、先ほど正力国務大臣の言われましたように、日本の自主的な力において発展させるとするならば、なぜ三等国であるアメリカの原子力の研究に依存しなければならないかということが、まず第一にわからないのであります。しかもこの原子力の協定を通じて見ますと、昨日の答弁を通じても明らかになりましたように、この協定の中には、アメリカの原子力法の規定をそのまま受け入れたところが随所にあるわけであります。この点は正力さんも、昨日はっきりおわかりいただいたはずだと私は思うのであります。これは下田政府委員がその点についても答弁をいたしておりますので、こういう点を通じても、アメリカの原子力法を母法としてこの協定が作られている。言葉をかえて言うならば、アメリカの国内法が、この協定を通じて日本の国内法規を制限するという態度をとろうとしている。その橋渡しの役割をこの協定がしていると私はいわなければならないと考えるのであります。従って日本はアメリカの国内法によって規律される結果になることを私は憂えているものであります。私たちはこのような点においても、この協定に対して賛成するわけにはいきません。
 第二の問題は、いわゆるひも、秘密の問題でありますが、ひもや秘密の問題については、ないないと盛んに言っておられる。ところが昨日正力さんもお聞きの通りに、ウラン燃料体の中には秘密があるということを、政府委員の中ではっきり答弁をいたしております。このように秘密のあるものを今日本の国が受け入れようとしている。この秘密に対して、分解も解体も、日本の原子力の研究者がこれをすることを許されないという形で、アメリカからひもをつけられようとしているのであります。こういう点においても、私はこの協定の中に隠されたひもについて、決して賛成できるものではありません。私たちはこの点においても反対をいたします。
 第三の点は、国内の受け入れ体制の問題であります。昨日から急遽原子力基本法あるいは原子力委員会設置法、その他の法案が提出されて、一瀉千里にこれらの法案が通されようといたしておりますが、なるほど基本法の内容を見ますと、表面においては、文章はきわめてきれいである。自主的に公開をして、民主的に平和的にやっていきますと、このように書いている。しかしその中身は何もない。その中身において自主的に運営をやるための保障は、何らあの基本法の中に書かれておらない。民主的な運営の保障についても、内容ができておらない。平和的にも、また他の面においても、その保障の書かれておらない基本法である。要すれば日本の国内において受け入れの体制が確立されておらない。確立されておらないだけに、この確立されておらないどさくさまぎれに、アメリカの原子力支配が日本の国内を支配してしまうという状態にあることを、われわれは憂えておるわけであります。
 また先ほど私が質問した特許権の問題にいたしましても、私はあれだけではまだ了解をいたしません。関連質問ですから途中でよしましたけれども、日本は報告をしなければならない。レポートの所有権はアメリカにある。そうすると、その所有権を握っておるアメリカが、そのレポートに基いて特許権を取得するのは当然です。こういう形がはっきり出てくる。こういう点についても明らかに日本の受け入れ体制はアメリカの支配のもとに作られつつあることを、はっきりわれわれは知らなければならないと思うのであります。
 最後に、先ほど北澤君から賛成の討論において、ことさらにひも、ひもと言って心配しておるが、これは劣等感であるというお話であったけれども、私は北澤君の意見をお聞きしておるときに感じました。あのような御意見については、はなはだ失礼であるが、おりの中のサルの優越感であって、あれは優越感ノイローゼであるといわなければなりません。あなたはコンプレックスと言うから、ノイローゼでお返しをしておきたいと思います。
 以上簡単でありますが、反対の討論を申し上げます。
#113
○前尾委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#114
○前尾委員長 起立多数。よって本件は承認するに決しました。
 なお本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○前尾委員長 御異議なければ、さように決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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