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1955/12/10 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
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1955/12/10 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和三十年十二月六日
 有田喜一君が委員長に、小笠公韶君、椎名悦三
 郎君、長谷川四郎君、前田正男君、南好雄君、
 岡良一君及び志村茂治君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
昭和三十年十二月十日(土曜日)
    午後一時三十八分開議
 出席委員
   委員長 有田 喜一君
   理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君
   理市 長谷川四郎君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君
      赤澤 正道君    加藤 精三君
      小平 久雄君    橋本 龍伍君
      山口 好一君    福田 昌子君
      八木  昇君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 田中 榮一君
        総理府事務官
        (内閣総理大臣 
        官房審議室長) 賀屋 正雄君
        経済企画政務次
        官       齋藤 憲三君
        通商産業事務官 
        (鉱山局長)  松尾 金蔵君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済企画庁
        原子力室長)  島村 武久君
        通商産業事務官
        (工業技術院調
        整部長)    小出 栄一君
    ―――――――――――――
十二月十日
 総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第八号)
 原子力委員会設置法案(内閣提出第九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第八号)
 原子力委員会設置法案(内閣提出第九号)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 これより会議を開きます。
 本日の議事に入ります前に、正力国務大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。正力国務大臣。
#3
○正力国務大臣 私は今回原子力担当の大臣になりました。何分どうぞよろしくお願いいたします。ことに、私は原子力の知識も非常に浅いものでありますから、何とぞ御指導をお願いいたします。簡単ながらごあいさついたします。
    ―――――――――――――
#4
○有田委員長 それでは、これより本日本委員会に付託されました原カ委員会設置法案及び総理府設置法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。正力国務大臣。
#5
○正力国務大臣 今回提出いたしました原子力委員会設費法案及び総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 原子力の研究、開発及び利用を促進し、国民の福祉に役立たせることは、今日のわが国にとってきわめて緊急を要し、かつ重要な問題であります、しかるに、わが国における、これら原子力に関する行政を所掌する行政組織は、いまだ整備を見るに至らず、強力にかつ総合的に推進する機関を急速に設ける必要に迫られているのであります。申すまでもなく、原子力利用に関する行政は、できるだけ民主的な運営をはかることが必要であると考えられますので、政府といたしましては、この際、総理府に強力な合議制による委員会を設けることとし、あわせてその決定を尊重して、原子力利用に関する行政を総合的に推進する担当部局として同じく総理府に原子力局を設けることとし、これがため、必要なこれら二つの法律案を提出いたした次第であります。
 次に、原子力委員会設置法の内容につきましておもな点を説明いたします。
 まず、委員会の所掌事務は、原子力の研究、開発及び利用に関する政策、関係行政機関の施策の総合調整、関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積り及び配分計画、試験研究の助成、核燃料物質及び原子炉の規制、障害防止の基本、研究名、技術者の養成訓練等、原子力利用に関する重要事項について企画し、審議し、決定することであります。しかして、委員会がこれらの事項について決定しましたときは、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととなっております。また、委員会は、所管の重要事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができることとなっております。
 次に、委員会の組織でありますが、本委員会は、委員長及び委員四人をもって組織し、委員長は、国務大臣をもって充てることといたしております。また、委員の任命は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命し、委員の任期は三年といたしております。さらに、委員の身分保障につきましては、禁治産者、準禁治産者となり、または、破産の宣告を受けたとき、禁固以上の刑に処せられたとき、及び内閣総理大臣が心身の故障のため職務の執行ができないと認めた場合または委員たるに適しない非行があると認めた場合のほかは、在任中、その意に反して職を失ったり、罷免されることはないことといたしました。また、常勤の委員は、原則として、報酬を得て他の職務に従事し、または営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うことは禁止されております。
 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案につきましては、総理府に新たに原子力局を設けることに伴いまして、総理府の任務につき所要の改正を加え、新たに原子力局の所掌事務に関する規定を設けた次第であります。
 何とぞ慎重御審議のほどをお願いいたす次第であります。
#6
○有田委員長 以上をもって政府の説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。岡良一君。
#7
○岡委員 私は、ただいま御提案の原子力委員会設置法案並びに総理府設置法の一部を改正する法律案、この両案の審議に入るに先だちまして、ただいまごあいさつをいただきましたように、正力さんが原子力担当相に御就任をされました。かねて、私ども、正力さんは原子力の問題には多大の関心を寄せられ、従って、先般もゼネラル・ダイナミック・コーポレーションの代表を日本にお招きになりまして、広く国民に原子力についての理解を深められるというふうな御努力をも聞いておるのであります。この際この方が原子力担当相になられたということは、宿願をお達しになったものともわれわれは感じ、まことに喜ばしく存じておりますが、この際、両案の審議に先だちまして、かねての御抱負、御経験よりいたしまして、日本の原子力行政に対して具体的にどういう構想をお持ちであるか。何もしかつめらしい御議論を承わろうとは思いませんが、ごく楽な気持で、正力さんの忌憚のない御構想を承わればけっこうであります。
#8
○正力国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えいたします。
 原子力行政をやるにつきまして、第一に私が考えておりますことは、原子力の利用は平和に限ること、これが第一の原則であります。次いで、学術会議において三原則をきめました民主的運営、技術の公開、研究の自由、この三原則はどこどこまでも尊重いたす考えであります。次に申し上げたいのは、原子力の研究は各方面の協力が必要であります。各方面の力を合せてやっていきたい。従って、あらゆる階級、権威者に加わっていただきたいと、こう思う次第であります。大原則としまして、それだけ考えている次第であります。
 なおまた、平和利用として私ども、ぜひ必要だと考えておるのは、この同位元素、アイソトープを、一つ産業に、また医学にぜひ用いなくちゃならぬ。なお、特に私が力を入れていきたいと思うのは発電であります。今、世間では、まだ遠い将来のように考えておりますが、私は、どうしても、この発電を、少くとも実験は五年以内、できたら、実験どころでない、実用に供するように持っていきたいという私の希望であります。
 どうぞ、この意味において私はこの任に当るつもりでおりますから、よろしくお願いいたします。
#9
○岡委員 ただいま平和利用に限るという基本的な御方針については、われわれは双手をあげて賛成をいたす次第であります。御存じのように、日本は、長崎、広島、さらにはビキニと、三回も原爆あるいは水爆の犠牲を浴びております。おそらく世界ではただ一つの犠牲民族ともいえるかもしれません。今日まで五十年、七十年の間、世界のすぐれた物理学者が何とかして原子力を人間の手で作り出そう、人間の手で持とう、この努力が実を結びまして、実用の段階まで入ってきた。この人類のとうとい知恵というものは、決して人間を殺傷したりあるいはまた文明を破壊するものであってはならぬ、あくまでも人類の福祉と文明の発展のためにこそ貢献すべきものだという、これはきわめて常識的な原理だと思いますが、特に地球上初めて大きな犠牲を浴びておるその体験に基づいての日本人一同の私は悲願だと思います。今、幸い、国務大臣である正力さんのお言葉として、はっきりそれを承わったことは、われわれもまことに欣快にたえません。
 そこで今学術会議の技術の公開という点について申されたのでありますが、たとえば、まだ私ども浅学ではありますが、今外務委員会で審議されておりまする濃縮ウランの協定、あれがいよいよ実施されるということになりますると、協定に基づいて、あるいはアメリカの原子力委員会から人が派遣をされまして、日本の技術の内容にまで立ち入って査察をするのだというようなこと、また通報をしなければならないという義務なども課されておるのでありまするが、こういう場合、そういういうな手続が事実上において技術の公開ということを妨げるような原因になりはしないか、こういう憂いを一部には持っている者があるようであります。そういう点については、果して、正力さんの御抱負のごとくに、平和利用、そのための技術の公開――技術の公開は平和利用の大原則だと私は思っておるのでありまするが、その技術の公開が果して可能なのであろうかどうか、一部に心配をされておるような事態が起らないであろうかどうかという点について、正力さんのお考えを承わりたいと思います。
#10
○正力国務大臣 ただいまの御質問はもっともで、アメリカから技術者が来て、そうして指導したりすると、おのずとそこに公開の原則に反することがあるようになりはしないかという御心配はもっともと思います。それはできるだけ方法を講じますから、どうぞ御安心を願います。
#11
○岡委員 御決心はまことに私どもうれしいのでありまするけれども、ただ事実上そういう事態が起らないかという懸念を一部に持っておる。それももっともだと思える節がありますので、これは、将来のことではありますが、ぜひとも、正力さんの責任において、このような事態、いわゆる技術の公開が妨げられないということについての御決心を、具体的に、またもし万一そういう事態があったときには、お示しを願うことを心からお願いいたします。
 なお、これも私十分深く存じ上げてのことではないのでありまするが、今あれを受け入れるということ、これについては、先般同僚の諸君も一諸外国をつぶさに視察をされまして、その結論としては、日本の原子力の研究、あるいは応用、あるいはそれに対する行政的な措置等の非常な立ちおくれということを超党的な形で御確認を願い、ここにいよいよこの問題がこうして正式に取り上げられて参ったのでありますが、ただ、しかし、今あれを受け入れるということは、いわば完成した、よくでき上った自動車が来るのである、そしてガソリンも来るのである、完成自動車と、そしてその原料であるガソリンをもらう、そうしていわばハンドルの操縦が多少日本とすれは勉強することができるというような印象を、私実は持っておるのでありまするが、もしそうであるとすれば、事実上せっかく外国をお回りになって、立ちおくれは十分御認識になったとはいうものの、そのようなことだけでとどまるならば、あまり、われわれとしては、その立ちおくれを克服するための非常にありがたい協定だとも思い切れないような気もいたすのであります。そういう点についての正力さんのお考えはいかがでございましょうか。
#12
○正力国務大臣 協定についてはいろいろありますが、私は、このさっきの御心配を防ぐことにつきましては、今度原子力委員会ができますから、委員会によく諮り、慎重審議して御心配のないようにいたしたいと思っております。
 それからなお、日本の技術、研究のおくれておることは御承知の通りであります。それでありますから、努めて研究所の人間やまた大学の要員を海外に派遣したいと思います。そうして、海外においては、今アイソトープなんかの学校もありますし、また研究所もありますから、海外においてもみな喜んで受けてくれるようでありますから、そこへ努めてやって、そうして広く研究したいと思っておる次第であります。
#13
○岡委員 御抱負は私どもきわめて賛成であるのでありますが、しかし、一たん協定を結ぶということになれば、その協定によって日本の国内法の実施も拘束をされるわけであります。おそらく他国に濃縮ウランを供与するというあの協定自体は、アメリカ国内の原子力法の数カ条によってきびしく拘束を受けておるはずだと思います。そういうことになりますと、原子力委員会がいかにその理想を実現しようと思っても、あるいはアメリカとの間における義理合いとか、また、アメリカの側からすれば、国内法によって政府が制約されておるという二重の事情等も生じ得るのではなかろうか、その結果として、原子力委員会の今の国務大臣のおっしゃったような正しい抱負というものが、事実上大きく抵抗を受けてきやしないかということを案ずるのであります。その点についての懸念は毛頭要らないということであれば、けっこうでありますが、私はまだ浅学にしてよくその間の事情を存じませんので、要らないのであるならば、その感じを具体的に御説明を願いたいと思います。
#14
○正力国務大臣 ただいまの御質問でありますが、ウラニウムの協定などについて、先ほど予算委員会でも外務大臣の答弁がありましたが、その点は十分考慮してあると私は思っておりますから、なお一つよくこの点は研究いたします。
#15
○岡委員 それでは大臣の善処を願うことにいたしましょう。
 そこで、平和利用ということで今はっきりと言明をいただいたのでありますが、私ども、新聞紙の情報から見ておりますると、現在、原子力の問題が、私どもの好ましくない、いわば東西両陣営の冷たい戦いの渦巻の中に入り込んできておるのではないかという感じがするのであります。なぜかと申しますると、アメリカの大統領が、一昨年の十二月の八日でありましたか、原子力の平和利用、同時に他国に濃縮ウランを供与する用意がある。これに引き続きまして、年を明けて、たしか二月十日でありましたが、ソ同盟のモロトフは、また自分と関係の深い国に対する原子力の原料物質の供与、施設の供与等をうたっております。現に、先般モロトフは、インドのネールに対して、ネールがモスクワを訪問いたしましたときに、実験原子炉の設立に要する技術と施設の供与ということを約束いたしております。そういう形で、原子力が両陣営の間のこの忌まわしい、冷たい戦いの中に巻き込まれてきておる。こういうような情勢を考えましたときに、日本がこの原子力の問題を取り上げるには、よほど慎重を必要とするのではないかということを私は考えるのであります。いわば、そのいずれかの側の思惑の中に日本がはまるということになれば、いかに日本では平和利用と申しましても、事実上平和利用の道が大きく閉じてくるんじゃないかという懸念を、私は正直のところ持っておるのでありますが、この点について国務大臣はいかにお考えでありましようか。
#16
○正力国務大臣 ただいまの御心配はまことにもっともだと思うのであります。両陣営の戦いの中に巻き込まれるんじゃないか。おっしやる通りであります。その点は非常に重要なことでありますから、できるだけその方法は講じます。まだ今ここにこういう方法をとるということを具体的に申し上げることができぬのは残念でありますが、具体的にその方法は講ずるように努力いたしますから、どうぞ……。
#17
○岡委員 それは、はっきりした方法がこれからあるものではなく、もっと事前に慎重な用意が必要であったかと私は思うのであります。しかし、これは委員会の議題外でありますから触れませんが、ただ、原子力を日本が今後大いに応用し、研究を発進させていくという場合には、何と申しましても、やはりウラン原鉱が欠くべからざるものだと思うのであります。ところで、聞くところによれば、手近なところでウラン原鉱はどこにあるか、日本国内でも、最近の新聞を見ると、あちこちにウラニウム鉱の発見が報ぜられてはおりますけれども、しかし、それがどの程度に原料として用いられ得るかということについては、私はまだ何ら確証を持っておりません。ただ、国際的な情報などを読んでおりますると、インドにはかなり豊富なウラン原鉱があるということをいっております。これはインドの政府も言明を最近いたしております。そこで、日本が原子力の国内における発達をはかろうとする場合、国内においてあれば、もちろんこれほどましなことはありませんが、もしないとすれば、やはりインドのウラン原鉱というものは当然われわれが着目をしなければならないものではないかと思う。ところが。一方、ネールは、モロトフとの約束で、ソビエトとの間に施設や技術の供与についての協定を結び、日本はアメリカとの間に濃縮ウラン受け入れの協定を結ぶという形で、事実上はやはり原子力が東西両陣営の葛藤の中に巻き込まれてきておる。また、そういう事実を日本みずからが作り上げておるということになると、いかに日本が、原子力の発展をこいねがい、またその応用によって、平和な姿における日本の産業なり、国民の福祉に貢献せしめようという意図があったとしても、事実上手近なインドのウラン鉱というものが日本の手に入るということに大きな障害が起ってきやしないかということも、実は、私は、これは少し深案じかもしれませんが、感じておるのであります。ウラン鉱の原料の問題にあわせて、このような形で、手近なアジアのウラニウム鉱か日本の手に入手することにおいて困難な条件を日本が求めて作るということは、日本の原子力の発展のためにはあまり好ましいことではないんじゃないかと、私は正直に思うのでありますが、この点についての国務大臣の御見解を承わりたいと思います。
#18
○正力国務大臣 ただいまの御心配はもっともなことでありますが、私ども今度法案ができましていよいよ第一に着手するのは、ウランその他の資源燃料です。この燃料を探すことにすぐかかりたい。しかもそれは十分にやりたいと思います。それは日本内地にもやはり相当あるかのごとく伝えられておりますから、これは、ぜひウラニウムその他の捜査にかかりますから、どうぞこの点は御安心して下さい――とは言いませんが、とにかく捜査にかかりますから、どうぞよろしく……。
#19
○岡委員 もちろん、ある一部の地質学者にいわせれば、地球が固まっているからには、当然その全地殻にはウランがあるのだと言う人もあるくらいでありますから、それは一生懸命お探しになればあるにはあると思いますが、そう簡単にも参らぬかと思います。それはさておきまして、原子力の平和利用ということになりますと、今度、国際連合の政治委員会の総会も、原子力平和利用機構を設置するということを決定したように伝えております。まことに私どもとしては喜ばしいことだと思うのであります。あわせて日本もやはり国連に加入の公算が非常に強いということも伝えられております。そうなりますと、やはり平和利用機構の中における日本の立場、日本の発言というものは、当然、大きな犠牲国家として、いろいろな面で、特にまた原子力の平和利用の発達には、その障害を防ぐという方法が伴わなくては発達し得るものではないのでありますから、そういう意味における日本の医学者の体験などというものは、貴重な平和利用の基礎資料となると思うのであります。そこで、平和利用機構ができたということに相なりますと、これに対して、日本としては――これは先の話ではありまするが、私は当然国連に加入さるべきものであるといつも思っておりますので、されたものとして私は国務大臣の御意見を聞かしていただきたいのでありますが、平和利用機構というものはいかに運営さるべきものだとお思いになりますか、その辺の御抱負を承わりたい。
#20
○正力国務大臣 国連に、お話の通り入ることになると思いますから、私どももその線に沿うて一つ大いにやりますが、先ほどの御心配の放射能その他、これは大へんな問題でありますので、この点は政府としても厚生省でやっておるのでありますが、私どももできるだけそれに協力してやりたいと思っております。
#21
○岡委員 私は、実は、もっと積極的な正力さんのお考えを聞きたかったのです。あなたはそういう点はおそらくちゃんとお考えに願っているはずだと私は信じてお伺いしているのでありますが、やはり御就任早々で、あまりうかつなことは言えないと思われるのでしょうが、決してそういう御心配は要らないと思います。私はこう考える。意見を申し上げて恐縮ですが、御存じの通り今日本だけが平和利用、平和利用と言ったところで、それは日本だけのかけ声に終るというのが現在の実情だと思うのです。しかしそれでもいい。日本は、日本の国内において、原子力の恵みというものを国の文明なり国民の福祉に役立たしめていくということは、これはもうそれだけで十分意味のあることだと思います。そこで原子力の扱取い、特に水爆その他の兵器に関する取扱いの問題は、米ソの間でも、御存じの通りなわけで、四年越しお互いがああだこうだと言って解決がついておりません。そのいずれが是か非かということを私は申し上げようと思いませんが、ただ、しかし、こういう形でペンディングされているということは、これは世界の人類にとっては迷惑しごくだと思うのです。たまたま、この間、ジュネーヴでは、平和利用会議で、三千人に近い原子物理学者が集まって、国境を越えた科学者の良心であすこまでディスカッションを重ねました。その結果、彼らの決議は、おそらく国連も採択せざるを得ないという事情において、このたび平和利用会議ができた。これは、現在、政治的な問題として、原子兵器の取扱いに対する米ソの対決というものの中へ割って入って、そしてこの解決をせしめる非常に重大な役割を持っていると私は思うのです。そういう役割を持っている原子力平和利用機構であってみれば、これに対しては、やはり、わが国としても、かくあるべきだという一つの構想くらいは持って、かりに国連に加盟していなくても、日本の国会なら国会が、それができたということになれば、民族としての意思表示くらいしてもいいじゃないかとさえ私は思っているのです。そういう意味で、たとえば原子力平和利用機構がいよいよできたならば、これは、何よりもまず、先ほども言ったように、日本の学術会議も採択しているように、研究、技術の公開、情報の交換ということはもちろんやらなければなりますまい。しかし、特に必要なことは、現在ある特殊な国を除いては、ほとんど大国に独占されている原子力が全世界に普及されるということであります。それによって、初めて世界の人々も、原子力というものの価値を、恐怖から科学的な認識に転換してくる。そういうことによって、原子力の平和利用というものが、大きな世界の世論として、さらに国際原子力平和利用を私は拍車すると思う。こういうことからいえば、私は、原料のない国、施設のない国というようなものに対しても、やはり、原子力の研究、情報の公開ということだけではなく、施設なり原料というものまでも国際原子力平和利用機関がプールして、いわば各国にこれを配給してくれるというような形にまでいかしめねばならないし、また日本が、平和利用のためにという大きな旗じるしのもとに、いよいよ原子力行政というものに積極的に乗り出した以上は、やはり、国際的にはそれくらいの抱負を持って、そうして日本だけの平和利用じゃなくて、全世界に平和利用を普及せしめるという、それくらいな抱負を持って臨むべきじゃないかと私は思うのです。こういう点は、決して御謙遜ではなく、正力さんにはやはり雄大な御抱負がおありだと思うのです。この間新聞を見ると、すっかり正力さんの放射能に委員会が当てられたということが出ておりましたが、大いに当ててもらいたいと思います。先ほどからの御答弁を伺うと、非常に御謙遜なさっているので、かえって私どもの方が恐縮しているぐらいなのですが、一つ率直に御見解を承わりたいと思います。
#22
○正力国務大臣 ただいまの、ごもっともな御注意をいただきまして、まことにありがとうございました。大いにこれを尊重して、なお考究いたします。
#23
○岡委員 これで終ります。
#24
○有田委員長 志村茂治君。
#25
○志村委員 原子力委員会の設置法について御質問いたしたいと思います。
 今後の日本の原子力の開発の中心機関であるこの原子力委員会は、ここに書いてありますように、原子力利用に関して企画し、審議し、決定するということになっておるのでございまして、この決定に基いて、将来の日本の原子力開発の方向もきまり、そうして具体的な運営も決定されることになるのでありますが、こういう重大な委員会であればこそ、われわれは、特に、国民各階層の意見を十分取り入れたものでなければならない、国民の総力をここに結集し、国民がすべて自分たちの代表をこの委員会に送ったという意識を持たせなければいけない、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん、高度の科学技術を使うものでありますから、その研究に十分な知識を持っておる科学技術者がこれに入るべきはもちろんでありますが、国民各層の代表もこれに入れていただきたい、こう考えておる次第でございます。つきましては、第六条に「委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。」ということになっております。この委員長は国務大臣ということになっておりますが、その他の四人の委員の人選につきまして、科学技術者を入れる、あるいは財界を入れるということはもちろん希望いたしますが、また今まで忘れられておりました労働組合、いわゆる労働階級の代表もこれに入れていただきたい。今まで、フランスあるいはイギリス、カナダ、アメリカとも、この組織の中には常に労働者代表を入れておるのであります。ここには明記されておりませんが、そういうような意向をお持ちであったならば、この際明らかにしていただきたい、こう考えております。
#26
○正力国務大臣 ただいまのお話は私もごもっともと思います。それで、要するにこの委員にはできるだけ各界の権威を入れたいと思います。そうして今の御趣意には私も共鳴しておりまして、なるべくそういうふうにしたいと思っております。
#27
○志村委員 抽象的にお話のようでございますが、それでは労働階級の代表を入れる、こう解釈してよろしゅうございますか。
#28
○正力国務大臣 まあそう御解釈になってもよかろうかと思っております。
#29
○志村委員 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案のうち、原子力開発の事務を取り扱うものが、原子力局として総理府の中に設置されておるのであります。原子力は言うまでもなく高度な科学技術の集中でありますから、一方において、原子力を開発するために、科学技術を全部ここに総力を結集しなければならないと同時に、将来の科学技術の発達のためには、その応用部面として原子力をまた利用しなければならない。言いかえれば、科学技術と原子力の開発とは一体不可分の関係にあると私たちは考えておるのであります。現在ここで原子力局だけを置いて原子力開発に関する事務は一応とられますが、この科学技術との連絡がはっきりいたさないのであります。私たちとしては、将来でけっこうでございます。しかもそれは近い将来であることを希望いたしますが、この原子力局を中心として、科学技術省なり庁なりというものを作っていただきたいということを考えておりますが、御所見をお伺いします。
#30
○正力国務大臣 お答えいたします。科学技術庁を次の国会になるたけ設置するように法案を提出したいと思っております。
#31
○志村委員 その科学技術庁とか、省あるいは科学技術本部とか、いろいろな関係があると思います。私たちとしては、今外局に該当しております特許庁とか、工業技術院とか、あるいは原子力局――これはわれわれは原子力総局という形に持っていきたい。それがためには外局という形にしたいと考えておるのでありますが、そのためには科学技術庁であってはいけないと思うのです。もう少し大きい省の形にしていただきたい。あるいは本部、いわゆる省の程度の大きさのものに持っていっていただきたいと思いますが、その点のお考えはいかがでしょうか。
#32
○正力国務大臣 今の点については、よく考慮いたしまして努力いたします。
#33
○志村委員 終りました。
#34
○有田委員長 八木昇君。
#35
○八木(昇)委員 簡単に二、三の点を御質問いたしたいと思います。
 第一は、濃縮ウランを用いての原子炉の開発でいくか、あるいは天然ウラン原子炉によるところの開発でやっていくかという今後の基本的な方針について、お伺いしたいと思います。今度アメリカから濃縮ウランを受け入れになり、そういう濃縮ウランを用いてやっていけば莫大な経費を必要とする。そういう面から、ともすると日本の原子力関係の諸問題が非常に強くアメリカの影響を受けていくことになりはしないか。発電関係について考えましても、現在、水力でも、火力の発電関係ですらも、いろいろ外資の関係その他があって、いろいろな設備はアメリカの機械がどんどん入っておるのです。こういうようなことを非常におそれておる向きが相当あると思う。そこで、今後の日本の原子力開発の基本的な方向としては、一体天然ウラン原子炉の発展を目ざしていくものであるか、それとも、今濃縮ウランの受け入れをしようとしておるものとの関係において、いかなる基本的な方針を持っておられるか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#36
○正力国務大臣 現在の過程においては濃縮ウランでいきますが、行く行くこれは天然の方にいかなくちゃならぬと思いますが、この点はよく研究してみます。いずれにしても、目下実験程度でありますから、今度はほんとうの発電をするということになってくると、やはりそこへいかなくちゃならぬと思います。
#37
○八木(昇)委員 そこで、先ほどのどなたかの御質問にも関連してくるのですが、そうなってきますと、国内のウラニウムやあるいはトリウム、こういったものの資源が一体どういうものであるか。それからまた、そういった資源を外国から入手しょうとすれば、その見込みはどういうものであるか。こういうところが問題になってくると思うのです。そこで、国内のウランあるいはトリウムの開発、そういったものについての構想といいますか、それの根本だけをこの際明らかにしておいていただきたい。
#38
○正力国務大臣 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、いよいよ法律がきまりますれば、その探索には至急かかっていかなければならぬと思っております。そうして、先ほども申し上げたように、日本内地にもあるだろうという見込みでおるのでありますから、とにかく至急相当大がかりの捜査を始めす。
#39
○八木(昇)委員 それでは、この原子力委員会設置法案に関連して、一、二点お伺いいたします。
 日本では、原子力というと、長崎や広島に原爆が落されたり、ビキニの問題があったり、ソ連の水爆の実験の問題があったり、そういうことばかりが一般の関心なんです。そこで今度原子力委員会というものをこしらえる、それは平和利用のためだ、こういうふに口では言われても、非常な懸念がある。そこで、原子兵器というものについては、もう一切日本ははっきりと障壁を設け、平和利用に関してのみやっていくということをこの際明らかにするためには、この法案の中にも、あるいはほかの点にも、平和利用という言葉が入っていなければならぬ。この原子力委員会設置法案の「目的及び設置」の第一条でも、原子力の研究、開発及び利用、こういうふうに書いてあります。ですから、これは平和の目的に限ってやっていくのだということを、どこかに具体的にはっきりしておくべきではないか、実は私はこういう考えを持つわけです。それで、平和利用ということを言いましても、アメリカあたりにおいてすらも、現実の実用になった原子力発電所というのもはまだないはずです。実験的にある程度成功しておるかどうか知りませんが、まだその段階のところへ持ってきてただ口先で宣伝してもなかなか国民には納得がいきかねると思います。ですから、先ほど申しましたように平和利用だということをはっきり法律の上でも明文化する御意図はないかという点を一つ承わりたい。
#40
○正力国務大臣 ただいまの御質問はごもっともですが、これは基本法にはっきり明記します。
#41
○八木(昇)委員 次に、先ほど志村委員から御質問のありました第六条、これと直接関係はございませんが、いろいろな思想の傾向とか――原子力学者の中には、非常に有能な学者であって、思想的には共産主義を信ずるというような人もあるだろと思うのです。だとすれば、どうもそういう者が警戒されがちになりはしないかという懸念が、一部学者の中になきにしもあらずという印象を受ける。しかし、将来いろいろな研究所でどんどんやっていかれるについて、そういった思想の有無ということによって全然分け隔てをしないというふうに、先ほどの御答弁の中から理解したのでございますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#42
○正力国務大臣 それは、お尋ねの通り、そういうことは認めませんから、どうぞ御安心下さい。
#43
○八木(昇)委員 それから、もう一点ですが、原子力委員会の権限といいますか、こういう点に関して、この法案によりますと原子力委員会がいろいろなことを企画、審議、決定をするその場合内閣総理大臣はこの決定を尊重しなければならぬというふうに第三条でなっておるわけです。そこで、特に原子力問題というものは、時の内閣、時の政治勢力というようなものによってよこしまに左右されるおそれの生ずるようなことがあっては、これは事が原子力問題であるだけにきわめて重大である、こう思うわけです。だとしますると、第三条の表現は非常に弱いと申しますか、原子力委員会というものがともすると内閣の諮問機関みたいな感じが私としてはするわけです。そこで、この間の取扱い、たとえば原子力委員会の決定と内閣総理大臣の意思というものがうまく合わないという場合には、一体具体的にはどういうことに今後なさっていこうと考えられるかという点を御説明願いたい。
#44
○正力国務大臣 この委員会というものは、形においては諮問機関のようになっておりますが、事実は決定機関に近いもので、非常にこれは強いものです。従って、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならぬという義務を負わされておりますから、事実上の決定機関のようなもでありますから、御安心を願います。
#45
○八木(昇)委員 最初は、そういうふうに、政府が現在の政府であって、そうして大臣がずっとやっていかれれば、そういうふうに運営されるものと信じますけれども、しかし、このままでは、どうも内閣が横車を将来押さないとも限らないように感じますので、そういうことに陥らないようにするためには、こういうふうにやっていきたいというような何かもっと具体的な意見はないのですか。
#46
○正力国務大臣 その点は、こういう明文で、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならないという強いことをいっておりますから、これは非常に強いものでありますから、そういう心配はないと私は思います。御安心を願います。
#47
○八木(昇)委員 一応終ります。
#48
○有田委員長 前田正男君。
#49
○前田(正)委員 本日、日本の原子力の平和利用推進のために、まず民主的な運営を期さなければならない機関といたしまして、原子力委員会及び総理府の原子力局の法案が提出されたことは、将来の日本の原子力平和利用のための大きな発展を意味する画期的な日であると、私たちは喜んである次第であります。
 具体的な内容につきましてはすでに私も本会議で質問いたしましたので、この際詳細な質問は省略いたしたいと思いますが、ただ一点、本日お配りいただきました原子力委員会設置法案並びに昨日閣議で決定いたされました原子力委員会設置要綱、両方とも閣議決定でありますから、今後必ずこの通り行われるものという確信をわれわれは持っております。先ほどの科学技術庁に、将来原子力局を吸収するというようなことも、私らとしては、科学技術庁ではなしに、もっと大きな省にしたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、この原子力行政というものは科学技術の中に入るということも、すでに閣議決定を見た要綱として私たち国会に配付されたのでありますから、その点は間違いない。こういうことは心配しないのでありますが、実はこの両方の資料の中に漏れておりますことで、政府とわれわれ与党との間で話し合った問題がありますので、その点を一つ確認しておきたいと思います。
 と申しますのは、科学技術関係の予算の問題のことでありますが、実は、われわれ、当初は、この原子力平和利用関係の予算に対する処置といたしましては、各省庁試験研究機関の原子力利用に関する経費及び原子力利用に関する補助金、助成金、交付金、出資金、委託金、その他それらに類する経費の予算は、総理府に一括計上し、必要に応じ各省の予算に移しかえるものとするというような大体の構想であったのであります。しかしながら、この原子力局が総理府にある間におきましては、事実上こういうような一括計上するようなこともないし、また陣容も不十分でありますので、この際総理府に原子力局を設ける間は、この問題を、本日お配りいただきましたような閣議決定要綱にあります通りに、「原子力利用関係予算に係る経費の見積及び配分に関すること。」という程度にいたしたのであります。いずれ、新年度三十一年度から、科学技術の強力な行政が行われまして、機関ができて、それに原子力局というものが吸収されましたときには、先ほど私が読み上げましたような、すなわち関係予算は一括計上して必要に応じて各省の予算に移しかえるわけであります。原則は、次の強力な機関ができて、原子力行政というものを一緒に科学技術行政に吸収したときに行うのだというふうに、政府と与党との間に了解ができておると思うのでありますが、この点について、委員会におきまして、率直に政府のお考えを御披瀝願いたいと思います。
#50
○正力国務大臣 ただいまの御質問については、その御趣意に沿うようにしたいと思っております。
#51
○岡委員 実は、法案をきょういただいたはかりなので、内容を――重大な問題でありますので、いろいろしさいに当局の御見解を聞きたいのですけれども、余裕がないのが非常に残念でありますので、その点はまたあらためて質問することを保留いたしたいと思いますが、さしあたり瞥見してわからないところだけ御説明を願いたいと思います。
 第二条の第四号、「核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること。」というのは具体的にどういう意味でございますか。
#52
○齋藤政府委員 大臣にかわって御答弁を申し上げますが、この原子力委員会は、当然原子力基本法と並行して審議せられるのが理想の形だと思っておるのでありますが、いずれ、政府におきましても、原子力基本法を提案する時期があると思うのであります。そういたしますと、原子力基本法に関連する法規もまた当然それに伴って出て参ります。核燃料物質及び原子炉の取扱いに関する関係法規も出て参ります。それには幾多規制を要すべき事項がございますので、その原子炉及び核燃料物質に関する障害防止とか、あるいは取締り規定とか、許可または認可というような事項がたくさん出て参ります。それを一括して規制という言葉でここに表わしたものである、さよう御了承願います。
#53
○岡委員 しかし、そういうことであれば、原子力基本法というものがすでに国会に提出されなくては、これは審議し得ないということになるのじゃないですか。まあこれはいいでしょう。そこまで別に言いがかりをつける意味じゃないのですが、原子力基本法を、これは議員提出立法でも政府提出でも早く出していただかなければ、党としましてもこの取扱いはそれと並行的に解決をするという方針を決定しておるのでありますから、これはぜひとも一つ善処願いたいと思います。
 それでは、「原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること。」という項目が第五号に掲げられております。私、さっきも申しましたように、今正カさんはとにかくウランを探してみせる――これはもちろん必要なことです。ぜひやってもらわなければならぬと思います。ただ、日本として外国に発表し得る原子力に関する文献は、医学的文献なんです。障害の防止また障害の治療に関する文献は、おそらく、広島のABCCよりも、日本の医学界は、ビキニの経験で、十分なる文献を持っております。これは私は非常に貴重な世界的文献だと思うのですが、今のところこれをまだ一本の体系にまとめていこうとする機関もないという非常に粗雑な形になりまして、学術会議の中にその専門部門がありますけれども、予算がなくてそれでもできないのです。これはぜひとも一つ原子力委員会の手始めの仕事としてやってもらわなければならぬと私は思うのですが、その点御所信を聞きたい。
#54
○正力国務大臣 今の質問はまことにごもっともで、私も同感です。ぜひ一つ、日本だけがああいう災害にあって、日本だけが実地の医学療法をやったのでありますから、それに関する文献だけはできるだけ集めて、そうしてこれは世界に知らせなくちゃならぬと思います。まことにごもっともなことだと思います。
#55
○岡委員 第三条の、今ほどの御質問にもお答えになりましたが、いわゆる決定の尊重ということなのです。こういう道義的な規定は、もうこれまで総理府に直属したり総理大臣の直轄にある委員会、審議会においてはこういう決定はあるのです。しかし事実上立法的にも予算的にもなかなか尊重されない。特にこれだけは尊重されなければならぬと思うのだが、実にその点私どもは遺憾に思うのです。これは一つほんとうに尊重をしてもらわなければならぬと思うのです。
 それから、「委員の服務」、第十三条の「委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。」こういう規定があります。原則的にいえば、先ほどおっしつたように、技術が公開さるべきものであれば、それをいわば主宰すると申しますか、統括すると申しますか、とにかく行政的な内容も技術の内容と同時に公開されるのがほんとうじゃないかと思うのです。これはしかし非常に理屈っぽい言い方ですが、特に私は原子力の問題ではそこまでこだわりたいのです。一体、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない、秘密を漏らすんだから公開する、公開をした場合にそれが困る事態が起るというような秘密というのは、内容については将来起ることでしょうが、一応うたわれた以上はそういうものがあると思うのだが、大体原則的にどういうものが秘密の内容になるのですか。
#56
○正力国務大臣 これは技術に関係しないことであります。職務上知っている。だから技術に際してはどこまでも公開であります。秘密ではありません。技術以外のことであります。
#57
○岡委員 もちろん技術以外のことなので、技術は公開されるとさっきおっしゃいましたので、そこで技術以外のことで秘密というのは、具体的な内容をいえばどういう概念が秘密なのですか。
#58
○田中政府委員 第十三条の規定は、これは、実は、従来内閣に付置されております各種委員会の委員会規程には、大体委員として職務上知り得た秘密を他に発表するとか、そういうことは委員として発表することはできないことになっておる。差し控えてもらいたい。しかし、技術の公開というものは、当然公開すべきものと決定したものは私は公開して差しつかえないと思う。ただ、委員の資格において職務上守らねばならない機密だけはこれは当然守る、こういう趣旨に御解釈願って差しつかえないのじゃないかと思います。
#59
○岡委員 そうすると、他の同性質の委員会にもやはりこういう規定がみんなあるのですか。実例としてはどういう委員会があるのか。
#60
○田中政府委員 他の委員会にも大体かような規定が載っているわけであります。それをそのまま引用いたしましてここに使ったわけでございます。
#61
○岡委員 具体的にどういう委員会にあるんですか。――それでは一つお調べいただいて、こういう高さの委員会で、こういう規定のある委員会名と、第何条にあるということを一つ資料として御報告願いたいと思います。
 それから、技術は公開する、しかし、これを統括する行政事務の中においては、他に漏らしてはいけないものもある。その行政事務の中にある技術について、ここまでは漏らしていいが、ここまでは漏らしちゃならないというふうに、技術の公開に一つのワクを設ける決定を委員会がするということについても、やはり秘密の中に含めるという、今のあなたのお答えの中でそう解釈される節があったので、そういったことも秘密の中に含まれるかどうかということをお聞きしたい。
#62
○田中政府委員 私の説明が非常に不足で誤解を招きまして、恐縮いたします。この委員は一面におきまして公務員たる資格を持っております。ことに第十四条には非常勤の委員ということもございますので、委員すなわち公務員たる資格における委員としての順守規定をここに設けたのでございます。従いまして、委員がいろいろ技術の点につきまして公開をするということになった場合におきましては、これは公開しても差しつかえないのでございますが、委員が公務員としての職務をとる上におきまして知り得た機密を漏らしてはいけない、こういうふうに解釈しております。
#63
○岡委員 実は、原子力協定にも、濃縮ウラン受け入れの協定にも、やはり秘密の保持ということが前々から一つの問題になっておったと思うのです。そこで、特にそれとからめて、私どもはこの秘密の内容について深い関心を持つわけなんです。この秘密の保持ということを委員の服務規定として強調されたることに関連しまして、今申し上げた濃縮ウラン受け入れ協定の場合、アメリカ側が要求している秘密の保持というものが、やはりこの秘密の内容に入ってくるわけでございますか。
#64
○田中政府委員 この原子力平和利用に関しまする日米の協定につきましては、条文上におきまして、秘密を守らねばならぬとか秘密があるとかいった規定は現在ございません。
#65
○岡委員 あの協定にはなくても、協定の基本法であるアメリカ国内の原子力法の百二十三条にちゃんとあるじゃないですか。外国に出すにはこれこれこれは秘密だと言っているじゃありませんか。そうしてみると、あの協定の中になくたって、アメリカ国法である原子力法の百二十三条七項の秘密というものは、やはりここに援用されてくるんじゃないですか。
#66
○島村説明員 私からかわって御説明申し上げますけれども、アメリカの原子力法というものは、もちろん秘密条項を規定したものがございます。しかしながら、今回の日本とアメリカとの間におきます協定には、さようなアメリカ側において秘密とせられるようなものは、一切日本に情報提供としても知らされないことになっておりますので、従いまして、あの協定に基きまして日本が知り得たことにつきましては、一助秘密がない。従いまして、この委員会の仕事といたしましても、そういう意味での秘密は一切ないとお考え願いましてけっこうでございます。
#67
○岡委員 これは私があなた方専門家に申し上げるには少し浅学ですが、たとえば、ウラニウム二三五を濃縮ウランとして、スイング・ブールの中で発電をしていくときには、その灰にはプルトニウムが出てくるでしょう、そうすると、プルトニウムについては日本は研究ができないのですか。どの程度にプルトニウムができたのか、プルトニウム以外の希元素で放射能のあるものができるのかどうか。これはアメリカの原子力法では秘密です。すると、こういうことは、この原子力委員会の所管事務として研究を助成し、研究が進んでいく過程で、日本の学者はノータッチでいなければならぬ。たとえば、アルミニウムの棒で来るのか、あるいはサルファイトとして来るのかわかりませんが、来たらそのまま返すんですか。研究できるんですか。
#68
○島村説明員 灰の処理につきましては、あの協定にございますように、現在のところでは原則としてそのまま日本側では手をつけないということになっておりますのですが、例外といたしまして、アメリカの許可を得ました場合には、これを処理してもいいということになっております。
 従いまして、今御指摘になりましたように、アメリカ側で――さようなことを考え得るかどうかわかりませんのでございますけれども、かりに機密があるという理由で日本に対して承認しない場合には、日本としてはその秘密を知り得ないわけでございます。従って、知り得た秘密をどうするという問題にはなるまいと思います。また、アメリカ側が、日本の要請によりまして、その灰を処理することを認めてくれた場合には、それによって何らかの知識なり何なり得られましても、それは秘密にする必要はないということになると思います。
#69
○岡委員 しかし、それは、ないということになるとは申されますけれども、そこにくれは、それはアメリカの原子力法によって規定された秘密のワク内に入ってくるでしょう。プルトニウムの灰の処理といいますか、捨てるわけではないですが、学問の研究として、それをさらに厳密な定量なり定質的な検査の材料として取り上げてくる。その結果として一応の科学的結論が出てくるということは、その方法とその結論というものは、アメリカ原子力法によれば秘密のワク内に入っているじゃありませんか。そうすれば、そのことは、やはり秘密ということで、この法律の秘密のワク内に入ってくるじゃありませんか。そうすれば、技術の公開ということが大きなチェックを受けてくるということになりはしないか。これも私ども十分勉強しておらないですが、ただ、しろうと考えで心配してお尋ねしておるのです。
#70
○島村説明員 お答え申し上げますが、アメリカの例の百二十三条によりまして、プルトニウムのどの辺までのことが秘密になっておりますかということは私も存じておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、灰の処理につきましては、一応、現在のところでは、原則としては手を触れてはならぬということになっておりまして、例外として、アメリカの承認を取りつけたときには、その承認のおそらく条件に従って自由に研究することができることになると思います。従いまして、その結果にについて秘密を守らなければならぬというようなことは何もございませんので、向うが認めた範囲におきましては、日本は自由に研究し、かつ発表もして差しつかえないというふうに考えておるわけでございます。従いまして、御指摘になりましたような意味におきまして、アメリカの百二十三条が規定しておりますことを、そのまま日本に――アメリカでは秘密だけれども、日本では秘密でなくなるというような関係に立つとは私考えませんけれども、いずれにいたしましても、灰の処理は日本でできる、日本で今まで知り得なかったことが知り得たという段階になりましたら、日本は当然それについて秘密を守らなければならぬという義務がなくなるというふうに解しておるわけでございます。
#71
○岡委員 大体、占領時代に、日本人は非常に投書好きだという皮肉な批判を受けたことがありますが、おそらく、アメリカの方でも、プルトニウムの灰が出てきても、これにさわらしては秘密が漏れるかもしれないというので、ノー・タッチということで、結局秘密を守れということなんです。しかし、そこまで問題を進めていけば、これはしようのないことですから申し上げません。実は委員長にお願いしたいのですが、この法律案はきょういただいたばかりで、まだ調べておりませんので、また次回の委員会で多少の――この法律案はお急ぎのようであることは、重々事情はわかっておりますが、なお二、三点質問をお許し願いたい思います。質問を保留いたしまして、一応私はこの程度で終ります。
#72
○有田委員長 他に御質疑はありませんか。――他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、次回に質疑を続行いたします。
    ―――――――――――――
#73
○有田委員長 なお、この際お諮りいたします。ただいま本委員会において審議いたしております原子力委員会設置法案並びに総理府設置法の一部を改正する法律案の両案について、両案に関係のある内閣委員会と連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○有田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会は来たる十二日月曜日午前十時三十分より開会いたしたい存じますから、さよう御了承願います。
 本日はこれで散会いたします。
    午後二時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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