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1955/12/12 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1955/12/12 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第023回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和三十年十二月十二日(月曜日)
   午後三時二十三分開議
 出席委員
   委員長 有田 喜一君
   理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君
   理事 長谷川四郎君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君
      赤澤 正道君    加藤 精三君
      小平 久雄君    中曽根康弘君
      楢橋  渡君    西村 直己君
      橋本 龍伍君    山口 好一君
      田万 廣文君    八木  昇君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 田中 榮一君
        総理府事務官
        (内閣総理大臣
        官房審議室長) 賀屋 正雄君
        経済企画政務次
        官       齋藤 憲三君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済企画庁原
        子力室長)   島村 武久君
        総理府事務官
        (経済企画庁原
        子力室長補佐) 村田  浩君
        通商産業事務官
        (工業技術院調
        整部長)    小出 榮一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第八号)
 原子力委員会設置法案(内閣提出第九号)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 これより会議を開きます。
 一昨日に引き続きまして、総理府設置法の一部を改正する法律案及び原子力委員会設置法案の両案を一括議題といたし、質疑を続行いたします。岡良一君。
#3
○岡委員 前会も質疑をいたしましたが、なお二、三ただしておきたい点がありますので、この際お尋ねをいたします。でき得べくんば正力国務大臣の責任ある御答弁をお願いいたします。
 第一には、せっかく組織を変えまして委員会等が設置をされるということに相なりましたあかつきにおいて、委員会の運営等に要する予算は現在どこが請求なさることになっておるのでありますか。
#4
○正力国務大臣 お答えいたします。今までは通産省にありました。それからまた企画庁にあったりしましたが、今度原子力局の方に移すことになっております。
#5
○岡委員 原子力局が予算を要求なさる。もうすでに来年度予算の編成は作業を進めておられまするし、また要求予算額はすでに御提出のはずと私は承知しておるのでありますが、幾ばくを御要求になりましたか。
#6
○正力国務大臣 今まで、各省から、通産省あるいは企画庁から予算を請求しておりますから、それはそのままにしておきまして、今度技術庁ができますれば、そこでまたみな組みかえることに考えております。
#7
○岡委員 委員会に与えられた任務は、原子力の研究のみならず、開発利用等についても大きな権限が与えられるわけでありますが、そこで、現在要求されている予算の中で、特に大きな費目、たとえば実験原子炉の購入に要する費用とか、あるいはまた施設の建設に要する費用とか、大きな予算の項目を、別に大臣でなくてもけっこうでありますから、この際お漏らしを願えれば、けっこうだと思います。
  〔委員長退席、権名委員長代理着席〕
#8
○田中政府委員 現在の人件費、庁費につきましては、今年度一応移しがえの措置をとりたいと思います。それから、明年度につきましては、原子力局においてこれを全部一括いたしまして要求するようにいたします。現在は各省においてこれを要求いたしておりますので、その総括の計数につきましては他の政府委員から説明いたします。
#9
○島村説明員 三十一年度の予算要求は、ただいま正力国務相及び田中副長官から申し上げました通り、各省から出ておりまして、要求されておりますその大体のトータルでございますが、先ほど来お話がございましたように、原子力関係の予算というもののうちにどの程度の範囲のものを含めるかということによりまして、合計額が当然に変ってくるわけでございますが、また一方、各省と大蔵省との間におきまして、必ずしも、一度出されました予算要求が変らないで、そのまま現在に至っておるとも考えられませんので、実は私どもの方で大ざっぱに見積りました数字でございますが、それによりますと、大体六十七億くらいが大蔵省に要求されておるという現状でございます。そのうちの大きなものといたしましては、通産省関係が五十一億ばかりを占めるわけでございます。その内訳は、原子力研究所関係、これが約十六億、それから原子燃料開発公社、この考え方も多少その後変っておるようでございますけれども、その関係として十三億、それから国立研究所、通産省関係でございますけれども、これに対します研究の費用、これが約五億円余り、それから民間企業に対しますところの委託研究等で約十六億というようになっております。大体その合計になりますので、大きなものといたしましては、通産省関係が一番多くて、六十数億のうち五十億余りが通産省関係でございます。なお、通産省関係のこまかい点につきましては、通産省からもきょう御出席がございますので、詳細御必要でございましたら、通産省の方からお答えがあると存じます。
#10
○岡委員 実験原子炉を購入する費用は、要求予算には計上はいたしてないのでございますか。
#11
○島村説明員 実験原子炉を購入いたします費用は、先ほど申し上げました通産省予算のうち、原子力研究所に対する出資金のうちに織り込まれてございます。
#12
○岡委員 実験原子炉の購入に要する費用はどの程度を御要求でございますか。
#13
○島村説明員 実験原子炉といたしましては、別に原子力利用準備調査会の方で決定せられましたスケジュールが一応あるわけでございます。予算要求はその線に沿って通産省から出されていると思いますが、三十一年度におきましては、ウォーター・ボイラー、それから三十一年度の後半にはCP5というものを発注いたすような計画になっておりまして、これに要します原子炉の購入費といたしましては、二億二千万円余りが計上されております。
#14
○岡委員 私ども聞くところによりますと、すでにアメリカでは商業的な目的で実験原子炉の製造、販売が行われておる、日本の方へ濃縮ウランの受入れについての協定申し入れの際にも、商社のリストがついておる、政府の方で幾らでもあっせんしましょうということも入っておったように聞くのでありますが、そのような形で、いわば利潤を目的として、アメリカの実験原子炉製作会社が日本に売り込みをしつつあると想像できるわけであります。そういう場合に、日本とすれば、初めてのことでもあり、念には念を入れてこれを購入しなければなるまいと思うのでありまするが、この点についての樹配慮について、いかなる御方針をお持ちであるか、お尋ねをしたいと思います。
#15
○村田説明員 お答え申し上げます。この件につきましては、ただいま御質問のあったように、各商社からいろいろの資料その他の送付がございますが、政府としましては、お話のごとく、慎重に検討して購入したいと思っておりますので、最近設立せられました原子力研究所の専門家を中心にします交渉団と申しますか、買付団と申しますか、これを米国に早急に派遣しまして、米国において原子力委員会とも連絡いたし、各製造会社とも折衝しまして、最終的に決定したいというような考えでございます。
#16
○岡委員 どうか、こういう点は、遺憾のないようにもちろんお運び願えると思いますが、御努力を願いたいと思います。
 なお、この予算につきましては、最近、各大学、特に国立大学等においても、原子力の研究には若い学徒の諸君や進歩的な教授が相当努力をいたされておるようでありますが、これらの研究に要する費用というものは、今述べられました費用とは別口に取り扱われておるのでありますか。
#17
○村田説明員 およそのところは、原子力研究所を中心としまして、技術者の養成を行いたいというふうに考えておるわけでございますが、目下、技術者の具体的な養成方法、あるいは海外に対する派遣、留学等につきましては、詳細を関係当局とともに検討中でございます。
#18
○岡委員 私がお尋ねしておるのは、たとえば大学に物理学の講座がある。その中には特に原子物理学について専門的な研究を進めておる講座がある。あるいは研究室がある。そういう大学の希望に対して、当然文部省としては何ほどかの予算措置を講ずる。このような予算というものは、この一括取り扱われる原子力局なり原子力委員会の配分外の、ワク外の文部省予算として、大学に流れるものであるかという点なんです。
#19
○小出説明員 私通産省でございますが、かわりましてお答えいたします。先ほど島村原子力室長からお答えいたしました来年度の各省の原子力に関係いたしまする要求予算の総額六十七億、そのうちには、ただいま御指摘になりました大学自体の講座研究等に要しまする要求予算は含まれておりません。別になっております。文部省関係で先ほどの六十七億の中に含まれておるものといたしましては、たとえば大学に原子炉を設置するという計画がございます。これは東京工業大学、京都大学にそれぞれ原子炉を一基ずつ置く。その関係が三億二千万円ほどの要求になっております。それから大学自体の原子力の研究に必要な設備を拡充する費用、これが重水関係において約三千八百万円、そういうようなものが入っておりますけれども、講座自体に直接関連するものは含まれていないように承知いたしております。
#20
○岡委員 そうしますと、講座自体と申しますが、講座というものは、看板だけあっても研究ができないので、それに伴う研究のための施設、あるいは実験原子炉、その他重水に関する、かなり高度な近代的装置が全部必要なんです。これがなくては大学では原子物理学の研究は進まない。こういう費用というものは、それでは原子力局の方で一括配分をせられるということになって、文部省の予算とは別口で原子力局がやる、こういうふうなお話でございますか。
#21
○小出説明員 文部省、特に大学関係の具体的な、それぞれの講座別あるいは研究費別の費目の詳細については、私承知しておりませんけれども、原子力の関係予算といたしまして、来年度にすでに各省から要求いたしておりまする六十七億の総額の中に含まれておりまする文部省関係の要求予算といたしましては、先ほど私が申しました大学自体に原子炉を設置する費用、あるいはただいま御指摘になりました重水とか、あるいは金属関係の研究に必要な設備の拡充費とか、そういうものだけが入っておるという、現在までの各省予算の要求の内容といたしましては、そういう関係になっておるということを御説明申し上げたのであります。その他の文部省自体のあるいは大学自体の予算の要求内容につきましては承知いたしておりません。私としてはお答えいたしかねます。
#22
○岡委員 それでは、こういうふうに理解をしていいのですか。現在各省にまたがる原子力関係予算は六十七億余である、この予算というものは、この設置法の第二条第三号にうたわれておる関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積り配分というこの計画の中に入るものであって、当然原子力委員会がその配分を決定する、こう理解していいのでございますか。
#23
○田中政府委員 私からちょっと補足的に説明をいたします。先ほどの御質問の趣旨はちょっと違っておったと思いますが、大学の講座とか研究、そういうものなどは文部省予算の一括いたしました研究費の中に計上をされるものでございまして、従いまして、これは、第二条の三号にいうところの、この原子力局で取り扱う予算の外にあるものでございます。従って、原子力局としては、そういう予算には全然関係のないものでございます。ここで申しまする大学の研究施設の見積額と申しますのは、ただいま申しました大学で数億の金を要する原子炉を設置する場合、あるいはそれに関連した膨大な付属設備を新たに設置するというような、非常に膨大な経費を要するようなものは、一応この原子力局において予算、経費の見積りの場合においてこれに関係する、こういうことになるわけであります。それでこの関係する度合いでございますが、これは一応文部省予算として文部省を経由して原子力局の方に協議がございます。その際に、原子力局としても、場合によっては、その経費が非常に不足の場合におきましては、原子力局の意見としては、いま少し設備を整備したらどうかということで、むしろ予算の増大を原子力局の方から意見として開陳する場合もございましょうし、また、数カ所に同じようなものができたとき、そのほか不適当なものがある場合には、それを節約したらどうかという程度の意見を、これは原子力局としてさらに膨大な施設をするものでありますから、その程度の意見を開陳して協議することは当然のことと思います。そのほかの大学における個々の研究の費用とかそうしたものは、大学研究費の中に含めておりますから、ここでは当然除外されまして、原子力局としては別に関係をいたしません。
#24
○岡委員 何と申しましても、わが国としては一番おくれて取りかかったものであるだけに、やはり全国の特に若い教授や学徒の諸君に献身的に取っ組んでいただきたいと思うのです。そうならば、まず手近なところでは、国立大学で優秀な教授がおられるというところでは、特別に講座を設けるか、特別な研究のセクションを設けて、できるだけ国立研究所に協力する態勢で研究を進あてもらわなければいけないと思うのです。そういう研究ということになれば、当然相当膨大な施設と費用が要るだろうと思います。また、おそらく、理想的にいえば、実験原子炉の一つくらいはほしいとどこの大学でも言い出すかもしれません。そういう費用の配分の決定は、原子力局が、今おっしゃるお言葉によれば、することになります。ただ、講座に伴う講師の手当というような、いわばごく少い程度の費用は、大学の方の経費として文部省が取り扱う。しかし、人件費の問題じゃなく、やはり施設の問題またいい施設があれば優秀な学徒がどんどん集まるわけなのです。ところが、その施設を作るために必要な予算については、原子力局が一括配分する決定権を持っているということになりますと、これは、まことに遺憾なことではありますが、日本の従来の大学内にも、国立大学双方にセクショナリズムがある。官庁自体にもセクショナリズムがある。日本の科学技術の発展を官庁のセクショナリズムにおいてはばんでおった事例は、私は数えるにいとまないと思う。そういう事態が、せっかくこうして取りかかろうとする、しかも国家的な規模において取りかかろうとする原子力研究の過程において、最も重要な予算面においてセクショナリズムが行われるということにもしなるとするならば、私は非常に不幸だと思う。そういう点は、絶対にそういうことはないのだという、保証といっても無理な話ですが、その辺のはっきりとわれわれの納得のできるような方針があったら、お聞かせを願いたいと思います。
#25
○齋藤政府委員 ただいまの御質問の要旨につきましては、われわれも、従来、原子力問題をいかに扱うべきかということを、合同委員会におきましては、熱心に論議を重ねて参ったところであります。ただいま御指摘の予算の関係につきましては、午前中の内閣委員会との合同審査の際にも申し上げました通りに、大学における研究の自由はあくまでも確保していく。それでございまするから、大学において原子力問題を研究するのに必要な予算は、これは従来通り大学においてあくまでも文部省予算として確保する、ただし、その研究が、今度は実際応用面になって参りまして、幾多の施設を必要とするというときになりますと、ただいまお話のように、各大学でもこれを要求するかもしれぬ、そういたしますると、この原子力研究に必要なところの施設というものは、将来際限もなく要求があり、それからまた、その施設を行なっていかなければ、とうていそれを実用化するということにはいかないと思うのであります。そこで、そういう場合になりましたならば、最も有効適切にその研究を実現化するような施設を行う場合、それはただいま計画しておりまするところの原子力研究所のあり方――もちろん原子力研究所も各大学に公開してこれを使うような方法でやらなければいかぬ。私たちのおそれますことは、新聞でも御承知の通り、一つのサイクロトロンを作りますにも、あるいはより以上の設備をいたしますにも、ほんとうに研究ということになりますと、これは膨大な金を要する状態になっていくのであります。それでございますから、大学における研究それ自体は、各大学の立場において従来通り研究を進めていく、その予算はあくまでも文部省の予算として確保していくのでございますが、この研究から生じてきたところの原子力の利用開発が具体化していくその施設というものは、各省無制限にこれを作っていくよりは、総合統一して利用価値の多いものを作って、そしてここに各大学の研究結果を持ち寄って、原子力問題が実際に早く平和利用の段階に突入し得るようにやる方がいいのではないか、こういう意図から、付置研究機関あるいはその他の実際問題にぶつかって、重複を避けて総合統一する必要のあるような問題がたくさん出てくるから、そういう原子力予算に対しては、原子力委員会において慎重に協議もし、そうして決定する必要があるのじゃないか、こう考えて、そういう方向に条文を作成いたしたのであります。
#26
○岡委員 私は何も五十七の国立大学に全部実験原子炉を作れというわけでもなければ、全部が原子炉を作りたいという予算要求をするというわけでもありません。ただ、問題は、やはり学者は、学者の良心的な立場から、実験原子炉を持ち、あるいは重水の研究についての相当精密な施設等も要求するという、良心的な要求というものは十分あり得ると思うのです。そういう場合に、そのような要求に基く裏づけとしての予算というものについては、やはり学者の希望というものを十分に考慮して、今おっしゃった総合的な統一ある原子力研究の進め方をする、こういう心がまえがおありなのかどうかということ、またそういう要求は現に出ておるやにも私は聞いておるのでありまするが、現在そういう要求が出ておるという事実に対して、あなた方はどういうお気持を持っておられるかということを私はお聞きしているのでありまして、重ねて御答弁願いたいと思います。
#27
○齋藤政府委員 通常国会に、科学技術庁になりますか、科学技術省になりますか、これは未知の問題でありますが、科学技術に関する総合統一の行政官庁を設けよう、こういう構想が政府にありまして、通常国会にはその実現を期しておるという構想も、ただいま御指摘のことと同じ考えから出発いたしておるのであります。現在の日本の科学技術に関する実情は、御承知の通りに各分野々々にばらばらになっておりまして、これを総合統一する行政機関がないのであります。そこに非常に日本の新しい産業、新しい技術を進展せしむる上において大きな欠陥がある、こういうことを指摘されておるのは御承知の通りでありまして、原子力関係におきましても、もちろん、ただいまお話のように、各大学、名学者の立場において、それぞれ研究する方向も違いまするし、また要求する問題もあると思うのでございますが、これをばらばらにして勝手な状態に放置しておくよりは、むしろ、原子力全体から考えて、各大学の得意とするところを生かしていくということを大局から見ていくことは、日本の原子力を進展せしむる上において非常に大切なことではないか。だから、各大学における研究は、従来の立場において予算は文部省一体でもってこれを確保していくが、大局から関連生を持つところの原子力問題に対しては、原子力委員会においてこれを慎重審議して、もちろんその大学の要求することをも十分考えの中に入れてこれを決定して、万違算なきを期して、その予算その他に関するところの調整を行なった方が、日本の立場において非常に有利である、こういう考え方から出発いたしたのでございまするから、ただいま御指摘のように、研究者の意向を十分に取り入れて問題を決していくということにおいては、万違算なきを期するつもりでおるのであります。
  〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕
#28
○岡委員 御趣旨はよくわかりました。そういたしますると、原子力委員会の設置法第二条における三号、「関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」というこの一項に対するわれわれの解釈は、少くとも、原子炉を作るとかその他膨大な経費を要する原子物理学の実験的な研究機関の施設に要する費用等については、これは原子力委員会がこの配分計画を策定するものである、しかしながら、このようにしてできたあらゆる施設というものについては、日本の専門的な学界の知能が最も能率的に原子炉の研究を進め得るような配慮のもとに予算の配分はする、こういうふうに理解をしてよろしいのでありますか。
#29
○齋藤政府委員 さようにお考えになってよろしいと思います。
#30
○岡委員 それでは、先ほど室長の御答弁の中に、民間の施設に対しても十六億かの補助を与えるということがありました。聞けば日立なり旭化成なりも重水等でかなり顕著な研究を進めておってくれておるようではありますが、なお具体的にその使途についての御説明を願いたいと思います。
#31
○小出説明員 原子力関係におきまして、民間に対しまする研究委託費の問題でございますが、すでに、三十年度におきましても、これらの民間に対しまする研究委託費の関係の予算が約一億八、千九百万円あります。このうち、すでに、大蔵省とも相談いたしまして、またそれぞれ関係方面とも相談をいたしまして配分を決定いたしましたものが相当ございまして、なお未決定保留になっておりますものの残額が約七千万円ほどございます。この研究委託の内容は、いろいろ材料関係でありますとか、あるいは放射線の危害防止の関係でございますとか、各方面にわたっておるのでございますが、来年度三十一年度において、先ほど原子力室長から御説明をいたしました六十七億のうちで、要求いたしております民間団体への試験研究委託費の総額は、約十六億六千七百万円になっております。その内訳といたしましては、重水関係におきまして約四億四千三百万円、それから黒鉛の関係におきまして約三千万円、それから原子炉の遮蔽材料関係で約一億三千万円、金属材料の研究につきまして六千万円、それからB10の濃縮関係におきまして四千二百万円、それからテフロン関係で一億一千万円、キャニングの関係で四千八百万円、その他原子力研究所自体に委託いたしまして研究いたしますもの、廃棄処理関係等もございますが、それらを除きまして、放射線の危害防止等の関係におきまして七千万円、それから機械装置に関しまする試作研究費といたしまして六億三千八百万円、そういうような各種の材料関係、あるいは廃棄物処理関係、あるいは機械装置の関係、ないしは放射線の危害防止の関係等、各種のものにつきましてそれぞれの民間の試験研究機関に調査を委託する、こういう予算を要求いたしております。
#32
○岡委員 それでは、その中で、特に金額の大きいグラファイトなり重水の調査研究の委託はどこの会社の試験研究所でありますか。そしてどういう内容をもって政府は調査研究の委託に関する契約をしておられるのでありますか。
#33
○小出説明員 これは、もちろん来年度に入りましてそれぞれの研究委託先を調査決定するわけでございますが、先ほど申しました本年度の研究委託のすでに交付決定いたしておりまするものといたしましては、原子炉用の黒鉛関係につきましては、昭和電工に約九百六十万円、それから同じく昭和電工に対しまして、重水の交換反応関係といたしまして千六百万円、それからそのほかに旭化成工業、これは回収電解法によりまする重水の濃縮研究、これが約千百万円、それから都立大学の千谷教授の都立大学における重水の濃度測定の研究に対しまして約二百四十万円、そういうふうな配分をいたしております。
#34
○岡委員 その数字は今年の数字でありますか。
#35
○小出説明員 今年度でございます。
#36
○岡委員 来年度十六億という、本年度に比べて約十倍の調査研究費というふうに先ほど承わったのですが、相当莫大な国費を、民間のいわば会社の試験研究所に調査研究を委託するという場合、その契約の内容はどういうようなことに普通取り扱っておられるのですか。
#37
○小出説明員 三十年度に比較しまして、お話のように来年度においては相当膨大な研究委託費を要求いたしておりまするが、これは、一般的に申しまして、来年度におきましては、今年度よりもさらに飛躍いたしまして、相当中間プラント的なものの建設までも研究を進めよう、そういう意味におきまして金額も相当にかさんでくる、こういう関係になっております。具体的に申しますと、たとえば重水関係の交換反応法の研究につきましては約八千七百万円、その内容につきましては、交換反応塔を六本作るとか、あるいはこれに付属いたしまするところの附帯設備の設備費ないしはそれの運転費、改造費、それからこれに使いまするいろいろな材料等の消耗品の費用、ないしは役務費、光熱費というようなものをそれぞれ一応詳細に計算をいたしまして、その総額が約八千七百万円に達する、こういうような内容になっております。同じく重水関係で、水素の液化分溜法というものによりますところの研究費が約二億七千万円ということになっておりますが、これは、三十年度から手をつけまして、大体本年度一ぱいに一千立米のパイロット・プラントを作りまして、そして技術の導入をはかる、こういうような関係であります。これは技術導入をいたしまするので、そういった水素の液化分溜装置の輸入をしなければならぬ。それに約三億二千万円ほどの金が要る。本年度においては、すでにその輸入のための手付金を一部払うことになっております。これをさらに来年度においては本格的に輸入をいたしまして技術の導入をはかる、こういうような関係であります。その他回収電解法によりまするものが約八千六百万円でございます。これは、三十年度中に中間プラントの設備に手をつけまして、そしてさらにそれを減容電解槽三十槽を設置するというような関係から、相当大きな金額が必要になる、大体そういうふうな内容になっております。
#38
○岡委員 初めてのことでもありまするから、ともかく官民あげてこの問題と真剣に取り組むという態勢で、民間の試験所等を十分に御活用いただくことは、私ども何も異議がありません。どうか一つ、お互いに、それこそ有機的な調整ある研究を進められて、所期の目的を達せられたいと思うだけであります。
 なお、先般の質疑において、私も考え違いをしておりましたが、御指摘のように、なるほど、今度の濃縮ウラン受け入れ協定の中には、いわゆる機密条項というものはありません。ところが、私が多少調べてみますと、すでにアメリカも二十八カ国との間に原子力に関する協定を結んでおりまして、しかもその過半にはいわゆる秘密保持の条項が入っております。なぜ日本だけこれが入っておらないのかということを、私は非常に奇異に感じております。なぜ日本との協定においてはそれが入っておらないのか。これは正力さんの方が御事情がおわかりと思いますので、この間の消息をお漏らしを願いたい。
#39
○齋藤政府委員 私からかわってお答え申し上げたいと思うのであります。先般の昭和三十一年度における民間に委託すべき研究費の内訳は、私の承知いたしておりますところでは、二十九年度の予算及び三十年度の予算は工業技術院でこれを決定配分いたしておったのであります。その経過からかんがみまして、三十一年度では十六億内外の民間研究委託費が適当である、そういうふうに結論づけたと聞いておるのであります。ただし、このただいま計画いたしております民間の委託研究費も、原子力委員会が設置せられ、科学技術庁が設置せられましたならば、当然もう一段と高度化した民間委託研究費のあり方が検討せられるだろう、また、そういうふうに検討せられて、これがもっと権威づけられた形において、国民すべての納得がいくような研究費の使い方になってもらいたい、かように考えております。
 第二段の、濃縮ウラン双務協定に対して、日本には秘密条項がないが、他国にはある、なぜそうなったのかという御質問に対しましては、私は率直に申してわからないのでございます。ただ、先ほど申し上げました通りに、濃縮ウランの双務協定の内容を検討して参りますと、秘密協定を作り得ないと私は考えております。濃縮ウラン二三五を六キログラム賃貸して研究用の原子炉を作るということは、もうすでに普通の事態でありまして、いやしくも、原子力に手を染めて、濃縮ウラン三二五わずか六キログラムをもって医学ないしはその他の研究用に用いる原子炉というものに対しましては、もうすでに秘密のありようがない、いかにこれを秘密づけようとしても、秘密のありようがない、当然これは普通の双務協定においては秘密条項はできないのだ、特別に何かアメリカがひもをつけるとかなんとかいう建前から何かの秘密条項を持っていけば、そういう場合も出るかもしれませんが、私たちは、最初から、この濃縮ウラン二三五、六キログラムの賃貸双務契約については、これは当りまえのことであって、ひももつかないし、ひものあるべきものじゃない、かように考えておったのでございます。そういう意図から、今日の日本とアメリカとの間における双務協定のあり方は当然のことで、どういう他国との秘密条項があるかは存じませんが、日本の立場としてアメリカと双務協定を結ぶ上においては、この双務協定のあり方は当然の形である、さように私は考えます。
#40
○岡委員 私もあまりむずかしい理論はわかりませんが、私はそうとも言えないと思うのです。最近の発表なんかを見ますと、ウラニウム二三五よりも、かえって二三八が特に大きな爆発力を期待する機動力になるのだということも、実験的に証明されたように言っておりますが、そうなれば二三五というものに何ら秘密がないのだという簡単な割り切り方も、これは、日進月歩に進んでおる学問でありますから、そう簡単に割り切れないのではないかと私は思いますが、私も、この点、きわめて浅学でありますから、これ以上申し上げる力もございません。
 そこで、お尋ねしたいのは、ただ、問題は、秘密保持の条項はない、しかし秘密保持をいや応なく強制されるという事態がこの協定の中にあると思うのです。このことは、日本の原子力研究の発達の上においても、いわば大きなマイナスではなかろうかと思われる。それはどういうことかというと、要するに、ウラニウム二三五が二〇%含まれておると申しますか、このアルミニウムの棒でも持ってくるのでしょう。この間ジュネーヴでの実験を見ると、二十四本のアルミニウムの棒を水中におろして、何か怪しげな燐光を放っておりました。そこで、いわば動力源でありますから、石炭と同じように、燃えかす、いわゆる灰ができるのです。ところが、この灰については日本はノー・タッチでいかなければならないということになれば――しかし、原子力の秘密と申しますよりも、研究の一番大きな材料は、やはり実験原子炉をもらって、その中性子で同位元素をアクティヴィーレンしてアイソトープを作るということではないと思う。やはり、研究という立場からいえば、燃えかすの灰に私は問題があると思う。この灰には日本はノー・タッチだ。これは非常な秘密を強制されると思う。現在のあの協定に基く受け入れ方では、せっかくここに原子力委員会を作り原子力基本法を作っても、果して所期のごとく日本の原子力研究が発達するだろうか、あるいはそれに伴っての平和利用も期待するごとく伸びることができるのかということに、私は非常な疑問を持つのです。これはうしろの方の若手の方が専門の意見を持っておられると思いますが、何か私どもの蒙を開いていただければけっこうだと思います。
#41
○島村説明員 お尋ねの点でございますけれども、私もとても御納得のいくように技術的に御説明申し上げることもできませんので、ごく常識的に申し上げたいと思うのでございます。先ほど御指摘がございましたように、日米の原子力協定には秘密条項は一切ございません。その他の国とアメリカとの協定の場合には、秘密を守る義務を当然書かれておるというお話でございますが、私も本日ここに他の国との協定の資料を持ち合せございませんので、おそらくはこういうふうな意味の条文であったかと思うのでございますが、他の国の協定の中には、この原子炉の管理あるいは燃料の管理につきまして、アメリカ合衆国の原子力法によらなければならぬというような意味の規定があった、おそらくそれをさしておっしゃっておるのだろうと思うのであります。日本の場合におきましては、他の国との引き合いにおいて申しますのはどうかと思いますが、とにかく相当自信を持っていい国でもございますので、その協定の中にアメリカの原子力法によるというような表現の協定を結ぶことは、どうも率直に申しまして不面目であるというような意味から、そういう表現を避けるように外務省の方で努力したものであろうと私は思うのであります。ただ、その場合に、日本につきましてはもちろん平和的な利用に限られておりますし、日本の独特の事情もございまして、その機密を守るということが非常に工合が悪いものでございますから、従って、その内容を繰り返します場合にも、機密条項ということは絶対日本とアメリカの場合には排除したというふうにお考え下さって、けっこうではないかと思うのでございます。従いまして、特に日本の場合には機密資料は通報されないということが明文をもって協定の中にうたわれておりますし、また機密を含むところの資材の貸与あるいはあっせんというようなこともやらないということになっておるわけでございます。イギリスとの協定、あるいはカナダでございますとか、そのほかの特殊の国につきましては、アメリカは特に機密条項までをもっと明瞭な形において含んだ協定もいたしておりますことは、御存じの通りでございます。これはもっぱら軍事的な目的にも関連させての協力を意味しておりますので、そういう条項が入っておる。日本の場合には、そういう意図は全然ございませんから、特に機密をあくまでも排除してやるということになっておるわけでございます。
 なお、機密の点が絶対排除せられておっても、事実上機密を強制されるようなことになっておるではないかというお話でございます。私は、別にお引きになりました灰の処理がそれに当てはまるかどうかということは、ちょっと問題だと思うのでございますが、御指摘になりました灰の処理につきましては、先日も申し上げましたように、一応原則としてはこれに手を触れないで返すということになっておりますので、機密ではございません。あるいは、もし日本が機密を守るということを約束した場合に、灰の処理が認められるかどうかという考え方もございましょうが、ただいまのところ、政府といたしましては、機密を条件にしたそのような認められ方というものは絶対承知しないで、あくまで公明に公開のもとにやれるような意味におきまして、なお灰に手をつけるということを認めてもらえるという趣旨で、この細目協定以降、現実に燃料を借りましてそういう意味の研究が始まりました際には、そういうような了解をつけたいというつもりでおるわけでございます。
 なお、全般的な問題といたしまして、そういうような機密が事実上強制されるようなもとで原子力の開発が将来やっていけるかどうかというお話でございますが、私どもも、この濃縮ウランのみによって日本の原子力の開発をやっていくということになりますと、当然そのようなことも考えなければならぬ。相当重要視しなければならない問題となると思います。従いまして、日本といたしましては、むしろ、アメリカから貸与を受ける濃縮ウランだけによって原子力の開発を進めていくということでなしに、日本の独特の技術を開発いたしまして、そういったようなことにわずらわされずに済んでいくような方向に主眼が置かれなければならぬと考えるわけであります。それでは、なぜ濃縮ウランを受け入れるかということになりますが、それは、日本がそういうような技術をつちかいますための前提として、とりあえず濃縮ウランを借りまして、日本で本格的な原子炉、実験原子炉にいたしましても、日本人の手による、日本人の知能によるところの原子炉を作っていきます場合に、必要な前提としての研究をこの濃縮ウランによってやりたい、たとえば、濃縮ウランを受け入れることによりまして、日本が将来作りたいと考えておりますところの原子炉のいろいろな材料の実験をやるということに、この濃縮ウランの実験炉を使いたいというふうに考えております。従いまして、重点はあくまで国産原子炉というところに置いて考えなければならないわけであります。私どもといたしましては、さような意味で、濃縮ウランというもので今後すべてをやっていこうというのでありますと、いろいろ御心配の点も出てくるわけでございますが、これは日本人が自分で作る原子炉のための準備的な段階として受け入れるのだというふうに考えますならば、これを受け入れることも非常に有用である、そういうふうに考えておるわけであります。御答弁になりましたかどうかと思いますが、一応お答えいたします。
#42
○岡委員 よくわかりました。そういう意味で、政府の若手の皆さんがせっかく大きな構想のもとに努力しておられるその御努力は、私は十分多としておるのです。だから、濃縮ウランの受入れの是非についても、私は私なりの考えを持っておるのでありますが、ただ、今のような形で受け入れては、結局、完成された自動車を輸入する、原料のガソリンも輸入する、その排気ガスは持っていかれるというような受け入れであって、ほんとうに日本人の手による自主的な原子力研究が発展しない。その応用が達成されるかどうかという点には、私どもも、科学者の一人として、いささか懸念を持つから、老婆心までに実は申し上げておるのです。これも専門家の意見で定説かどうか私も自信がありませんが、いわば卑俗に申し上げまして二十プロの濃縮ウランが燃える燃えかすとして灰ができる、この灰は主としてプルトニウムを精製しておるという形になる、こういうことを専門家が言っておりますが、それは事実なんですか。
#43
○島村説明員 濃縮ウランを使いまして炉を稼働いたしました場合に、いわゆる灰が生ずるというふうに申しておりますが、その灰が主としてプルトニウムになっておるというふうには私ども考えておりません。プルトニウムもごく一部できる、プルトニウムが得られるものができるというふうには聞いておりますが、それは主としてというふうには聞いておりません。
#44
○岡委員 非常に学問的なことだから、この程度でやめましょう。
 それで、いま一つ先ほどのお考えに触れてお尋ねしたいことは、いよいよ日本が濃縮ウランを受け入れ、日本の国が研究所を作る、大学の学者も協力してくれるということで、いろいろ新しい研究が進められ、民間の研究所でも進められてくる。そこで特許というふうなものが起ってくると思うのですが、いわば日本独自の研究の達成点というものが生まれてくるという場合に、日本の学者の努力によって得られた、あるいは日本の政府の大きなバックのもとに得られた特許権というものはどういうことになりますか。
#45
○齋藤政府委員 この原子力に関します特許の取扱いは、政府といたしましても今後重大な関心を持って研究を進めていかなければならない問題だと思っておるのであります。欧米では、強力な国家意思によって、この原子力に関する特許に対していろいろな処置を講じておるようであります。日本におきましては、いまだ、この原子力に関する特許は、新聞でも報道せられてありますように、野放しの状態になっておるわけであります。これに対して、特許法の十五条及び四十条の規定を応用するだけでいいか、もっと大所高所から、原子力の特許というものは立場を異にした取扱いをした方がいいか、と同時に今日の特許庁そのままの状態でいいのかというような問題に対しましては、政府といたしましても、非常な関心を持って目下慎重に研究を進めつつある状態でありまして、まだその結論には達しておりませんが、どうしても、原子力の特許に関しましては、何らか特段の処置を講じなければならないのではないかというところまでいっているような状態でございます。
#46
○岡委員 それは国内上の特許に関する許可あるいは特許権の占有の問題でありますが、これは、五カ年間濃縮ウランを原料として受け入れるというアメリカとの関係において、何ら拘束されることはありませんか。
#47
○齋藤政府委員 まだアメリカにおきましても原子力に関する特許は一切公表しておられないような実情にもありますので、どういう点を外国において特許として押えているのか、これもはっきりしておらないような状態であると聞いているのであります。また、仄聞するところによりますと、ぼつぼつ外国特許も日本の特許をとるべく出願され始めていると聞いているのであります。従って、濃縮ウラン双務協定によって日本が今後研究用の原子炉を作って参ります過程において、どことどことが外国特許に触れているかというようなことは、まだはっきりわからないのでございますが、おそらく、双務協定に基く濃縮ウラン利用によって研究用の原子炉を作るという範囲内においては、特許に関する問題は起きないのが当然ではないか、かように考えております。
#48
○岡委員 外務省から出ている各国原子力情報と称するものを見ると、アメリカは一応特許権はAECが持っている。そうしてAECが逐次これを公開するということで、一応原子力委員会がまず特許権を取得するような手続になっており、よほどの例外については、AECが特許庁長官にその旨申し出て、民間の特許として認められる。これは例外だというふうにこの書物には書いてあるようであります。それから、アメリカの原子力法を見ますと、その百五十三条において、かなり自由に特許権を得ることができるというような取扱いになってはおりますけれども、ただ、ことで、私が非常に疑問に思うのは、百五十三条と百五十二条では軍事的利用、非軍事的利用ということを区別して書いて、非軍事的利用については非常に寛大な取扱いができるようにしてありますが、しかし、この軍事的利用と非軍事的利用というもののいわば判断は、結局原子力委員会が一つの基準を設けてやっているわけなんです。そうしますと、わが方は、非軍事的利用、平和利用のために得た、またそういう性格のものであるという特許内容が、その事実が、軍事的利用である、また利用し得るものであるという見方で、AECの方から日本人の特許権として認められない。というのは、通報しなければならないし、また査察を受けなければならないという取りきめになっておりますから、わが方の原子力研究の発達に関する事情を相当しさいにアメリカ原子力委員会は把握しているわけです。そういうことになりますと、非軍事的利用かあるいは軍事的利用かということをアメリカのAECが決定をするその結果として、わが方の学者なりのせっかくの努力として得た新しい特許も、結局アメリカのAECの手に把握されて公開をされない、日本ですらがその特許権を持てないような事態も、アメリカの原子力法だけを見ておれば憂慮される。こういうことについては一体どういうふうに措置されるのですか。
#49
○島村説明員 アメリカの原子力法の百五十三条を御指摘になりましたが、その通りでございまして、非常に常識的に申しますと、アメリカにおいては、非軍事的利用の場合だけに限って、特許について秘密特許というような制度を考え、あるいは特許権を収用するとかなんとかいう措置をやっておるわけでございます。これは、昨年のアメリカの原子力法の改正に伴いまして、そういう道をあけたわけでございまして、従来秘密特許とされておりましたものも、すでに八百十一件でございますか、次々に解除いたしております。従いまして、先生が御指摘になりました点は、むしろ、私どもの方から、平和利用については、アメリカのような国におきましても、次々と特例を廃止せられて、公開の原則に戻りつつある傾向だということを申し上げたいのでございますが、さらに、具体的にお話しになりました、日本で、濃縮ウランを借りて研究をして、特許に該当するような発明等がなされた場合に、日本は協定に基いてアメリカの原子力委員会にこれを通報しなければならないということと、日本における特許制度との関係でございますが、これは両立し得るのでございます。日本では、その発明をした者が特許法に基きまして特許の申請をいたしました場合には、当然日本国の特許法によりまして特許をその者に付与するということができるわけでございます。ただ、その内容につきましては、アメリカに対して通報しなければならぬというだけのことでございます。従いまして、日本国内におきます限り、日本の特許法によってその利益が保護せられるということになるわけでございます。ただ、アメリカが通報によってそのことを知ったといたしました場合に、アメリカで日本人がその特許を申請し得るかどうかということになりますと、これはアメリカの国内法によるわけでございますので、それが純平和的なものに限られるということでございますれば、アメリカの原子力法によりましても当然特許を受け得ることになるわけでございますけれども、アメリカの判定いかんによりまして、アメリカ国内ではそれが秘密の必要があるということになりますならば、アメリカでは特許を受けられないというようなことも観念的には考えられる。ただ、日本において特許せられておるようなことを、アメリカだけが国内に対してアメリカの法律によって秘密にしておくというようなことは、常識的には考えられませんので、御指摘になりました点は、形式的な意味からも、また実質的な意味からも、一応関係はなく、御心配のような点はございますまいと申し上げる次第でございます。
#50
○岡委員 それでは、アメリカの原子力法――御説のように、マクマホン法から見れば、昨年は非常にいわば公開主義にのっとっての大きな改革がもたらされておる。これは私どもも非常に歓迎すべきことだと思うのですが、にもかかわらず、非軍事的利用、軍事的利用というのがしばしば原子力法に区別してあります。この軍事的利用と非軍事的利用というのは、研究者としての立場からどういう点に差異があるのでしょうか。
#51
○齋藤政府委員 この特許は、聞きますると、なかなか特許技術がございまして、特許を申請する際に、たとえて申しますならば、平和利用という形で特許を申請しても、その実質は非常に軍事的な特許になり得るものもある。これは特許庁によく聞いてみたのでございますが、特許というものは特許申請の目的というものだけに全部をかけていくわけにはいかない。いろいろな特許のとり方がある。それでございますから、原子力の平和利用に関する特許申請の態勢をとっておいても、その影響するところは非常に広範な特許もある。それから推理して、いろいろに利用、応用のできる特許もある。それでございますから、やはり、特許全体に関しましては、一応これは軍事的に用いられるところの特許であるか、発明であるか、あるいは、軍事的には全然関係なくして、これは平和利用だけに限定せられるべきところの特許であるかということは、特許申請の文面以外に、やはり専門的に検討を加えていかなければならない点もあるというので、アメリカといたしましても、一応原子力委員会でこれをつかまえて、全部検討を加えて、これは全然軍事的に関係はない、あくまでも平和的に限られるところの特許であるというようなはっきりしたものは、どんどん開放していっているのではないかと想像されるのでございます。従って、御指摘のように、日本の特許も、今後いろいろな特許が出てくると思いますが、その特許分だけでその発明の全般を推理していくわけにはいかぬ。非常に広範な問題がそこに包含されておる発明もある。でありますから、そういう特許に関しましては、日本におきましてもやはり相当の注意を払っていく必要があるのではないかということが、今考えられておるわけでございます。これは、事特許に関しますることは民族の英知の上に立つ発明でございますから、今後どういう発明が出てくるかわからぬ。それでございますから、将来日本の繁栄も大きくかけられておる原子力問題に対する発明というものに対しましては、政府といたしましても、重大な関心を時って、この発明の全部に対して注意を払う必要があるのではないか、さように考えて、目下その点に対しましては鋭意研究を続けておるような状態でございます。
#52
○岡委員 それは次官のおっしゃる通りだと思うのです。だから私はその点を聞いておるのですが、問題は、アメリカの原子力法による非軍事的利用とか、あるいは平和的利用とか、軍事的利用という概念ですね。卑俗な例で申せば、かりにアメリカがビキニで水爆をやった、そのときには重水を使った、重いから飛行機で運べなかった、だから百五十メートルのタワーでやった、この間ソビエトの方では五千メートルの高空でやった、トリウムを使ったから軽くて持ち運びができた、今度さらにそれが学問的研究としてオネスト・ジョンの弾頭に使えるんだ、こういう研究が達成した場合、これは学者は何もオネスト・ジョンの弾頭に熱核爆裂をやろうとしてやっておるのではないけれども、日本の英知がそこまでたまたま高度の発明をやったわけです。ところが、それが今度は軍事的な観点から軍事的に利用し得るものとして判定をされた場合には、これは特許権は十分値するかもしれないが、この特許権はアメリカのAECがとってしまう。日本人にはその特許権というものは与えられないという事態が十分に起るんじゃないかと思うのです。僕は、通報をし査察を受けるということを入れておるというところに、そういう可能性を十分考える。そうすると、日本の学者がまじめに平和利用のためにというので進めておる研究というものが、その先行きにおいては大きなチェックを受ける不安がある。これをはっきり受けないんだという保証を与えていただきたいというのが、私のお尋ねをしておる趣旨なんです。重ねて御意見を聞かしていただきたい。
  〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕
#53
○齋藤政府委員 ただいまの御質疑でございますが、このウラニウム三二五の協定からは、そういう問題は生じないと考えるのでございます。ウラニウム双務協定から生まれます通報は、単にこれをもって研究用の原子炉を作っていろいろ研究を行うという過程における通報を行うのでございまして、これから生じてくるいろいろな研究を行いましたその結果に基く日本の特許というものは、これとは別個なものでございます。このウラニウム二三五を持って参りまして、研究用の原子炉を使いまして、それを幾ら消費したとか、あるいはどういう状態に今運行されているとかいうことは、これは通報の課題にはなるかもしれませんが、それから生まれてきますところのいろいろな研究から結果づけられた日本の発明の通報は、何も通報の範囲内には私は入らないと思う。そういうことをうたっているのではなくして、日本の研究のために研究用の原子炉は作るのであって、その研究の結果までアメリカが全部通報の中に入れてよこせということではこの双務協定は全然ない、さように考えております。
#54
○岡委員 次官は、ウラニウム二三五を、二〇%くらいのものを六キロぐらい持ってきたところで、それが別に軍事的利用の新機軸を生み出すような研究になり得るものではない、こうおっしゃいますが、私は学問の研究というものは決してそういうものじゃないと思う。二三五が五キロであろうが一キロであろうが、問題はやはり二三五から出発しておるのですから、十分になり得るのじゃないか。これがなるということも早計でしょうが、ならないということも私はこれは早計だと思うのです。そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、問題は、先ほど次官も御心配になったように、学者は学者の良心から研究をした、しかし、その研究をして得た結果というものは、世界にない軍事的利用に大きな効果を持つものであるということは十分あり得るわけなんです。おそらく、何も原子爆弾を作るために世界の原子物理学者は原子力を研究したのではなく、ただ、たまたまそれが、アメリカの軍部なら軍部の手によって、広島、長崎にあの原子爆弾が落された、学者は何も広島、長崎の日本人を殺すためにやったのではない。そういう形で新しい研究が生まれてくる。ところが、これが軍事的に非常に効果があるものであるということになった場合――これは私はなり得るということを前提としているのですが、その場合に、なり得るという判断をすると、アメリカ原子力法の特許についての制限がそこに適用されてくるわけなんです。そうすると、原子力委員会がそれはいけないといえば、アメリカ国内ではその発明者である日本が特許権をもらうことができないということになってくる。そういう取扱いが日本の学者の場合にも適用されないという保証がありますか。ここなんですよ。
#55
○齋藤政府委員 先ほど申し上げましたのは、ウラニウム二三五を六キログラムでもって軍事的に関係のある大きな発明は生まれないということを申し上げたのではないのであります。これは、研究の結果、御説の通り大きな発明が生まれるかもしれません。しかし、この双務協定はそういう問題と関連性がないということでございます。これは日本の研究用に六キログラムを貸すのですから、その研究の結果、世界を驚倒させるような大きな軍事力を持つ発明が生まれるかもしれない。しかし、その発明が生まれました場合に、その特許権は、第一に日本において特許を出願いたしますと、一年間は世界特許を申請する優先権が生まれます。ところが、その特許をアメリカで許可するか許可しないかは別個の問題でありますけれども、とにかく特許を許可する許可しないは別問題として、あくまでもその場合に日本としてはその特許権に対して優先権を持つということは、私は今日の特許法のあり方だと存じております。ですから、その研究の結果生まれました発明というものは、日本において特許の優先権を持つのは当然であり、同時に、日本の政府が特許申請を受けましたときから一年間は、いかなる場合においても世界特許を申請するだけの優先権を持つということになっておりますから、アメリカにおいて特許をよこさないという問題も生ずるかもしれませんが、日本の特許権が侵害されることはない、さように考えております。
#56
○岡委員 そうあれば実はそれに越したことはないのですけれども、アメリカのような国でも、原子力法というきわめて権力的な法律で、おそらく市民の最も自由な権利とも言うべき特許権についてこれを与えないというふうな手きびしい制約を加えておるわけです。ところが、その国から濃縮ウランをもらって、いわば慈恵的な恩典のもとに日本の学者が研究をした結果、学者は軍事的な利用目的とはしなかったものが、彼の研究した結果は実に軍事的利用に一新紀元を画するような研究となった場合に、アメリカにこういう法律があるということ、アメリカから濃縮ウランを受け入れているということ、そうして査察や通報の義務を負っておるということ、これら一連の事情から、この日本の学者の特許に値する研究の業績というものに対して、日本の国内法による特許法に基いて自由にその学者に特許権が与えられるかどうかということは、国際慣例上からも、またいろいろな事情からも、非常に慎重な考慮が要るのではないか、少くとも研究の余地があるのではないかと思うのです。これは私もさらに調べてみたいと思います。私は何もひもをつけようとして申し上げておるのではないのですから、これでいけるのだという確信のある御答弁を、この機会でなく、この次の委員会にぜひとも一つお願いをいたしまして、私の質問はこれで終りたいと思います。
#57
○椎名委員長代理 他に御質疑はありませんか。――他に御質疑がなければ、両案に対す質疑はこれにて一応終局いたします。
 なお、次会は、明日午前十時より開会いたし、討論採決に入りたいと存じますから、さよう御了承願います。
#58
○岡委員 ちょっと議事進行について。今討論採決に入りたいとおっしゃいましたが、わが党としては、実はこの法案その他関連法案に対する態度をきょう最終決定いたしますので、その上で討論採決の方へ持っていっていただきたい。私は決して故意にこの審議を妨げる意図は毛頭ございませんから、その点はどうぞ御信用いただきたいと思います。
#59
○椎名委員長代理 了解いたしました。
 それでは、明日午前十時から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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