くにさくロゴ
1955/12/16 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
1955/12/16 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第5号

#1
第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第5号
昭和三十年十二月十六日(金曜日)
   午後二時二分開議
 出席委員
   委員長 原 健三郎君
   理事 臼井 莊一君 理事 木村 文男君
   理事 中馬 辰猪君 理事 中山 マサ君
   理事 堀内 一雄君 理事 戸叶 里子君
      大橋 忠一君    高岡 大輔君
      辻  政信君    仲川房次郎君
      眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君
      穗積 七郎君    森島 守人君
      山下 榮二君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小林 英三君
 出席政府委員
        厚生政務次官  山下 春江君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 委員受田新吉君及び楯兼次郎君辞任につき、そ
 の補欠として森島守人君及び穗積七郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海外同胞引揚に関する件
 請 願
  一 ソ連未帰還同胞の帰還促進に関する請願
   (小川半次君紹介)(第五号)
  二 在外夫帰還同胞の帰還促進等に関する請
   願(原茂君紹介)(第一二四号)
  三 同(下平正一君紹介)(第一六二号)
  四 在外未帰還同胞の帰還促進等に関する請
   願(松平忠久君紹介)(第二二四号)
  五 在外未帰還同胞の帰還促進等に関する請
   願(井出一太郎君紹介)(第三八七号)
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 本日は、海外同胞引揚に関する件について、調査を進めます。
 初めに、請願日程の審査に入ります。
 日程第一、ソ連未帰還同胞の帰還促進に関する請願、日程第二ないし第五、在外未帰還同胞の帰還促進等に関する請願の審査をいたします。
 紹介議員の出席がありませんので、私より説明いたします。
 日程第一の請願の要旨は、日ソ交渉の再開に当っては、政府は、引き揚げ問題を初期の目的通り分離優先し、全生存者の無条件早期帰還、消息不明者の調査究明に対する具体的方針の確立、死亡者の氏名公表と遺骨及び遺品発送の取りきめ等、未帰還全同胞の問題に関する完全なる解決をはかられたいというのであります。
 日程第二ないし第五の請願の要旨は、現在なお、ソ連、中共地域における未帰還問題が、生存を確認されながら、残留を余儀なくされている者、あるいは戦犯に問われている者等、本人はもちろん、留守家族の胸中は察するに余りある。ついては、ソ連及び中共における死亡者、遺骨を含む全未帰還者について生死の資料を通報し、服役者については、すみやかに釈放送還の措置をとられるとともに、在留同胞の帰国希望者には直ちに帰還の機会を与え、また巣鴨戦犯の釈放についてもすみやかに解決するよう努力されたいというのであります。
 右請願について政府の意見を伺うのでありますが、政府当局が出席されませんので、政府当局の意見はこれを省略いたします。
 これについて、委員の発言はございませんか。――御発言がなければ、ただいま審査いたしました請願は、その趣旨が適切でありますので、本日の請願日程第一の請願は、これを採択の上内閣に送付すべきものと決し、日程第二ないし第五の各請願は、いずれも採択すべきものと決することとし、報告書の作成等に関しては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○原委員長 異議なきものと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後二時四分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時八分開議
#4
○原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、厚生大臣に御注意を喚起いたしたいと思います。歴代厚生大臣は本委員会に出席するのがきわめて悪いそうでございますが、小林厚生大臣においては、特にこの点御留意のほどをお願い申し上げておきます。
 ただいま中山マサ君より発言を求められておりますので、これを許します。中山マサ君。
#5
○中山(マ)委員 緊急動議を提出いたします。
   海外抑留同胞に対する慰問措置に関する決議
  最近の引揚者の報告による在ソ同胞の生活の窮状にかんがみわれらはこれを看過することができない。よつてすみやかに援助の手を延べる要あり。政府は右目的達成のため全抑留同胞に対し早急に適切の手段を講べきである。
 右決議する。
 この動議を提出いたしまするので、どうか一つ皆様方の御賛同を得たいと思います。(拍手)
#6
○原委員長 ただいま、中山マサ君より動議が提出されましたが、これについて発言があれば、これを許します。木村文男君。
#7
○木村(文)委員 ただいまの中山委員からの動議に、自由民主党を代表いたしまして、賛成の意を表したいと思います。
 ただいまの動議の内容にもございました通り、わが抑留者の皆さんがどれくらい苦労をされておるかということは、当委員会におきまして、これまでしばしば引揚者を参考人として御出席を求めまして、その事情を聴取いたしました。その結果によりましても、私どもは国民の一人として、また代表として、その窮状を聞くたびに胸打たれ、そぞろ涙にむせぶときさえあるのであります。こういうような抑留者の方々を一日も早く帰還せしめるところの方途は、政府において十分これまで手を尽しておられることとは存じますが、しかしながら、今なお千三百六十五名がソ連地区に抑留されているというような現状でございます。私どもは何とかしてこの抑留者が一日も早く帰還するよう、最善の方途と努力をしなければならぬことはもちろんでありますが、抑留されておりますその窮状を少しでも軽くする、何とかして、医療の面においても、あるいは食事の面においても、保健の面においても、少しでもその苦しみを軽くしてあげたいという気持を持ち、かつその方途を日夜考えておるところでございます。しかしながらソ連当局の、またその他の地区においても同じでありますが、いろいろの手続上、外交上の問題等がございまして、思うようにこれが対策ができないというようなこともあるのであります。聞くところによりますると、これらの苦労をしておる中にも、抑留者は常に祖国を思い、昨日、引き揚げて参りました参考人として当委員会に出られた方々の御発表によりますると、われわれはたとい異境の土にこのまま骨を埋むるとも、今開かれておりまする日ソ交渉の国策の上に、われわれを助けるために、その国策の大本をあやまたないようにという切々の伝言をもたらしたことを拝聴いたしまして、いかに国を憂い、その祖国の隆盛をこいねがわれておるかという心情をしのぶに、涙なくして私どもは済ますことはできないのであります。しかるに、この抑留者の諸氏は、ドイツ人の抑留者と比べますと、私はあまりにもかわいそうでならない、気の毒でならない、こう思うのであります。それは昨日の参考人の陳述にもありました通り、ドイツ民族は、国をあげての同胞愛に訴え、そうして一日にドイツ人抑留者に対して祖国から届くところの慰問品は、一人に対して六個から二十個以上になる。反対に、われわれの同胞である抑留者は、ほとんどその慰問品の来ることさえ珍しいというようなことを聞かされまして、しかもそのドイツ民族が送ってくれるその中に、これは日本人に回してくれというわけで、そのドイツ民族のあたたかい贈りものが、わが日本抑留者に対して一日に一人に対して三個の届くというようなことを聞かされまして、私どもは、ほんとうにきのう、穴があれば入りたいというような気持に打たれたのであります。そこで、私どもは、この際ドイツ民族のわれわれの同胞に対して寄せられた御好意に対し、国民の一人としても、また国民の代表としての立場においても、この席からはるかなる敬意と感謝をささげたいのでございます。
 しこうして、私どもはこれらのことを考えますに、この際政府においては、民間団体にだけこれをゆだねないで、幸いいまだかって、先ほど委員長の言われた通り、厚生大臣がこの委員会に顔を出したととがないのが、今回大臣みずから当委員会に御出席になられたのでありますから、私はこの機会に特に希望したいことは、政府がみずから先頭に立って、日本民族全体に同胞愛のその真髄を訴えて、そうして国民的な運動を展開してもらいたいのであります。私どもはただ政府にそれを迫るだけでなしに、こう申し上げるためには、私ども国会議員、両院相そろうてこの際応分の醵金をいたしまして、そうして、抑留せられておる方々の御労苦に対し、少しでもお慰めの道を講じてやりたいと考えておる次第でございます。私は当委員会が本日終りますと、同僚の皆さんに御協力を願いまして、超党派的にこれを進めまして、その機関を通し、国会議員全部の醵金方を私は要請いたしたいと考えておるのであります。
 なおその慰問のためには、政府はおそらく十分な方途を講じて運動を展開して下さるだろうと思いますが、もちろんソ連だけでなしに、中共その他の地区に抑留せられておる方々にも、同様の方途を講じてもらいたいのであります。
 なお、つけ加えて申し上げますが、その際には、かつて日本軍人としてともに戦ってくれた朝鮮人、台湾人、満人等があると思いますが、それらの方々にも、どうぞ適当なる慰問の道を講じていただきたいのであります。
 最後につけ加えて希望いたしたいことは、せっかくこの委員会において決議までするのでありますから、国民全般にその思想を吹き込ませるためにも、何とかして政府は、また厚生大臣は、横の連絡をとられまして、この抑留者救出の意味を盛るところの郵便切手を発行するように特にお願いを申し上げまして、中山委員の本動議に対し、賛成の意見といたしたいと思います。
#8
○原委員長 次に、森島守人君。
#9
○森島委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの動議に対して全幅的の賛成を表明する次第でございます。十年以上異国の土地に抑留せられておる方々の御境遇に対しましては、衷心より同情を禁じ得ないのでありまして、ただいま木村委員からお話のありましたことにつきましては、私大体全幅的に賛成をいたします。私も最近イワノボとハバロフスクの両収容所を見て参りましたが、ただいまもお話のありました通り、ドイツ人に対するドイツ国からの贈りもの等に比べますと、非常な差のあることは事実でございます。ドイツ人からおすそ分けを受けて、下着類を着たり洋服を着たりしている人も非常に多いようでございます。また土地柄、新鮮な野菜がないということで、ビタミンの不足に苦しんでおられる方も相当の数に上っておるのでございます。これらの人々の希望しておりましたことは、ビタミンの入った食物や衣類、ことに下着類あるいはくつ下、あるいは寒いところで仕事をいたしますので、えり巻なんかもほしいという希望が表明せられておりました。なるほど各家族からは月々物は送っておられるようでございますけれども、大事な働き手を奪われておる家庭でございまして、毎月一回送るといたしましても、その負担は相当に重いものになると私は思うのでございまして、これはどうしても国民全体の力によって、救援の手を差し伸べるというほか道がないと思っております。私も帰りまして以来、県当局や県の赤十宇社等と接触いたしまして、この運動を起すことにいたしました。これは何しろ限られた地域でございますから、幸いこの委員会でこの問題が重要な問題として取り上げられたのでありますから、この機を逸せずに、政府におかれましても、全国的の運動を起すよう、一つ特別の配慮を願いたいと思うのでございます。さらに気の毒なのは、朝鮮人や満州人それから白系露人、蒙古人等も百五、六十名以上に上っておると思いますが、これらは戦争中日本に協力をしたという関係で、戦犯に問われておるのであります。これらの人々に対しましては、故国の関係もあるのでありましょうが、何一つ見舞品が行っておりません。手紙一本来ていないということで、同居しておられる日本の抑留者の方々も、わずかなものでも分けてやるという状況でございますので、これらの点に関しましても、遺漏のないように政府でお考え願いたい、こう思うのでございます。
 私は、以上の趣旨によりまして、この際一刻も早くこれに着手せられることを強く希望いたしまして、賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
#10
○原委員長 中山マサ君の動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#11
○原委員長 起立総員。よって委員会の決議とすることに決しました。
 なお、政府当局に対する送付等の手続については、委員長に御一任を願います。
 この際厚生大臣から発言を求められております。これを許します。小林厚生大臣。
#12
○小林国務大臣 戦敗によりまして、遠く異境の空におきまして呻吟をせられておりまするわれわれの同胞のことを考えますると、まことに申し上げる言葉もないと思います。ことに私は昨日、最近ソ連から御帰還になりました代表の諸君にも会いまして、つぶさに抑留生活の苦しい状態も承わったのでありますが、ただいま中山先生の動議によりまして、本委員会において満場一致によって決定されました御趣旨につきましては、政府といたしましても十分に御趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#13
○原委員長 この際、戸叶里子君の発言を許します。戸叶君。
#14
○戸叶委員 きのうの委員会でまだ解決されておりませんでした点について、私発言させていただきたと思います。
 きのう、ソ連から引き揚げてこられました方々から、私どもは非常にとうといいろいろな言葉を伺ったのでございます。その中で、訪ソ議員団に託した手紙で、国民に公開されておらないものがあるようで残念であるとの御発言がございまして、私もその議員団の一人といたしまして、私どもが預かって参りました手紙については、どういう方法をもってお送りしたかということを、お答えしたわけでございます。しかしなおその他の手紙につきまして何かあるような御発言でございましたので、私ども訪ソ議員団八人のほかに事務局の者が一人参りまして、山口房雄と申しますが、この人が全部の手紙を最後に預っておりましたので、さっそくその点を調べて、本日の委員会でその山口氏を呼ぶなり、あるいは私の得た知識を発表するなりするということを昨日お約束いたしました。そこで私さっそく山口氏と連絡をとりまして、本日山口氏が来ておりますので、御不審の点がございましたら、直接山口氏に皆様からお聞きいただきたいと思います。ただ私は委員といたしまして、きのう連絡をして聞きました点を、ごく簡単に申し上げたいと思います。
 引き揚げてこられた方々の御不審に思われました手紙の件でございますが、それが発表されておらないかのようにおっしゃいましたが、実はいろいろ調べてみましたところ、第一信は、香港から、十月五日の朝日の西村特派員扱いで発表され、同じく毎日新聞にも香港から送られております。日本へ帰って参りましてからは、羽田に十月七日の夕方の九時に着きましたけれども、九時から四時までの間すべての手紙を置きまして、そこに山口氏がついて、各社の方々にどうぞこのすべてをごらん下さいと言って、新聞社の方がどれでも載せることを自由のようにしておいだそうでございます。その次には、日本赤十字社におきまして、私どもが呼び出されて参りまして、留守家族の人とお目にかかりましたときにも、わが党の穗積委員がその手紙を朗読いたしております。これは十月九日でございます。その後は、その手紙を野溝さんのところに置きまして、すでに公開したのであるけれども、だれかまた何かの参考に見たい方があろうかというので、野溝さんの事務所にお預かりしたそうであります。その後日本週報の二百四十五号に詳しくその手紙が出ているそうでございます。さらに未帰還調査部長のところへこの手紙を十月の十七日の午後に持って参りまして、そうして、こういうものがありますが、御参考までに何かにお使いになるならお使い下さいということで、なお念のためにお示ししてきております。さらに、これはこの手紙そのままを載せてはおりませんけれども、「日ソ交渉と未帰還者」という題で、十月十一日に大滝さんが朝日新聞の投稿にこの内容を載せておられるそうでございます。それらの点を見ましても、この委員会の委員の方々には、お忙しくてお読みにならない方がおありだったかもしれませんが、こういうふうに機会あるごとに公表しているということが山口氏の発言によってわかりましたので、私御報告いたします。なお、詳しいことをお聞きになりたいならば、山口氏がそこにおりますから、どうぞ御質問いただきたいと存じます。
#15
○原委員長 これに関連して、どなたか……。
#16
○臼井委員 ただいま戸叶委員から、昨日問題の「日本青年に告ぐ」というようなもの、その他の託された文書については、一応公開してあるというお話でございますが、本委員会等においては、一応国民の代表としての立場からそういうお手紙を拝見いたしたい、かように考えまするので、訪ソ議員団のあちらへ参りました方々において、もしその文書がございましたら、その印刷文を一ついただきたいと同時に、あちらから託された原文を一つ御提出願って、そうして一応われわれも拝見いたしたい。かように考えますので、委員長において、一つその提出方をよろしくお願いいたします。
#17
○原委員長 臼井委員のおっしゃるのは、その掲載した文書でございますか。
#18
○臼井委員 いや、掲載した文書も添えて、その原文を一つ委員長においてお取り寄せを願いたい、かように思います。
#19
○原委員長 戸叶さんにお願いいたしますが、本委員会に対して、掲載された文書、新聞雑誌等できるだけ、それと、もし原文もお見せいただけたらという希望です。どうぞ至急お取り計らいをお願いいたします。
#20
○戸叶委員 了承いたしました。
#21
○臼井委員 その提出は急を要するのですが、少くとも今日中か明日中あたりでも――本日お願いできますか。
#22
○戸叶委員 明日そろえて提出いたします。
#23
○臼井委員 なお事務局もおいでのようですが、託された、あて名の書いてない、国民にあてたと考えられる文書は一体何通ですか。
#24
○戸叶委員 正確な数字はわかりませんけれども、大体五通だそうでございます。
#25
○臼井委員 なお、それをきょう御提出願えればきょう拝見できるのですが、それができないようですから、一つ継続審議にして、明日なおその点について拝見したいと思いますが、委員長において適当にお取り計らい願います。
#26
○原委員長 他に発言がなければ、本日はこの程度にいたしたいと思います。
 これにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト