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1955/12/17 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第6号
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1955/12/17 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第6号

#1
第023回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第6号
昭和三十年十二月十七日(土曜日)
   午後一時四十九分開議
 出席委員
   委員長 原 健三郎君
   理事 臼井 莊一君 理事 木村 文男君
   理事 中馬 辰猪君 理事 中山 マサ君
   理事 堀内 一雄君
      逢澤  寛君    高岡 大輔君
      田村  元君    辻  政信君
      保科善四郎君    眞鍋 儀十君
      田中 武夫君    山下 榮二君
 委員外の出席者
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      内田 藤雄君
        検     事
        (入国管理局次
        長)      下牧  武君
        法務事務官
        (入国管理局入
        国審査課長)  田村 坂雄君
        厚生政務次官  山下 春江君
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      田辺 繁雄君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海外同胞引揚に関する件
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 本日は、海外同胞引揚に関する件について、調査を進めます。
 昨日、社会党の戸叶委員に対し、本委員会に、本日までにソ連地区抑留者から日本国民に伝えていただきたいと言って、訪ソ議員団に渡された原文並びにその発表して掲載された新聞雑誌等の提出方を要請いたしました。その結果、本日までに本委員会に提出されましたのは、その原文七通を受け取っております。その他のものはまだ入手に至っておりません。このことを御報告いたしておきます。
 この際木村文男君より発言を求められておりますので、これを許します。木村文男君。
#3
○木村(文)委員 昨日の当委員会におきまして、私が社会党の戸叶委員に対し提出方を要求いたしました関係の書類といいますか、訪ソ議員団に抑留者から託されました国民大衆に発表されたいという手紙そう他のものの提出は、ただいまの委員長の御報告によりまして、七通であるということでございますが、私は念のために、その七通を託された側の氏名のある者はこの際はっきりしていただきたい。また氏名のない者はうち何通であるかということを、はっきりさしていただきたいと思います。
#4
○原委員長 特定の氏名のないのが三通ございます。三通の中の一通は、死亡者の名簿だけでございます。それから署名のあるのが四通あります。その四通の内訳は、一つは一九五五年九月二十九日ハバロスク市「六建」作業隊員一同、もう一つは九月二十九日付で、高知県出身、田村義彦、もう一つは「日本青年に告ぐ」という題名で、安井武雄、もう一通は、喫茶店ロンドン(元)喫茶ダルニー、坂井慶太、妻百合子、この四通であります。
#5
○木村(文)委員 抑留者から訪ソ議員団に、全国民または日本青年に与うなどという題名で発表方を託された手紙その他のものにつきましては、戸叶委員は、昨十六日の当委員会におきまして、日本週報その他の新聞等に発表した、こういうお話がございましたが、私はその戸叶委員の発表は、依頼を受けまして、訪ソ議員団が公式にこれを発表したものであるかどうかということを、きょう戸叶委員が出席しておりませんので、社会党側の委員の方から代表してお答えを願いたいと思います。
#6
○山下(榮)委員 私は訪ソ議員団でも何でもないので、その間の事情を全く承知していないのであります。もの報告せよということなら、後刻、調べまして、御報告申し上げたいと思います。
#7
○木村(文)委員 それからきのうの戸叶委員のお話によりますと、発表したのは、つまり飛行場において午前九時から午後四時まで事務当局の者が立ち会いまして、そこにおいて自由に一つというわけで、これを発表する形式をとったというようなお話と、そのほか日本週報その他の新聞にというお話がございましたが、もし発表したとするならば、原文のまま、あらゆる報道機関に発表したものであるかどうか、これも念のため、社会党側の委員から代表して御発言を願いたい。
#8
○山下(榮)委員 ただいま伺いますと、原文のままを新聞社あるいは雑誌社の方にお見せをして発表された、こう言われるのであります。
#9
○木村(文)委員 原文のまま新聞社、雑誌社等に発表したと言われたとのお話がございましたが、もしそのまま発表したとするならば、それは訪ソ議員団が帰ってきまして、どういう形式のもとに発表されたか。
#10
○山下(榮)委員 そういう前後のいきさつ等について詳しくお聞きになるのであれば、当事者がこの席上に参りました機会に一つ質問していただきたいと思うのであります。不幸にいたしまして、戸叶議員は、地元で、従来の左右両党の統一大会のために本日帰郷されておるのであります。従って欠席でありまして、そういう要請がございますならば・いずれ後日、本人が当委員会に出席されたときに一つお聞きいただきたいと思うのであります。
 なお、この機会に、私一言だけ申し上げておきたいと思うのであります。どうも昨日からきょうの今の話を伺っておりますと、まるで検事が被告を調べるかのごとき感じを私は受けるのであります。もう少し、そういう考え方でなしに、いろいろ疑義があるといたしまするならば、それらの関係の議員諸君の出席を願って、その間の事情を初めから詳しくお聞き願うならば、皆さんの疑義のある点も了解できるのではなかろうか、こう思うのであります。どうも伺っておると、憶測されて質問さるるかどがあり得るやに拝聴できるのであります。どうかそういう点は――何も社会党の議員諸君も何らかの思惑があってやっていることではないのでありますからして、それらの諸君が当委員会に出席をされて、前後のいきさつを一つつまびらかにする機会を作っていただきたい、こう思うのであります。
#11
○木村(文)委員 今、社会党の代表の方から、当事者である戸叶委員の出席の際に私の質問をやってくれというお話でございましたが、その点につきましては了承いたします。
 次の御釈明的な御発言でありますが、実はこの問題は、今御発言がありました通り、私どもばかりでない。ことに真実をこめて託されました抑留者の方々の祖国愛に燃えた日本民族に対するお便りであるわけであります。それだけに、抑留者の方々が、その結果がどうなっておるかということを非常に心配されているということ、これは一昨日の当委員会における引揚者でありまする参考人の四人の方々の御発言によりましても、十分うかがい知ることができるのであります。のみならず、この問題は、おそらくわれわれ当委員会の委員だけの問題でなくして、国民の間においても、いろいろの点において不審を抱いておる点なきにしもあらずの問題であると、私どもは解釈しているのであります。でありますので、この際国会議員としての権威の上からいいましても、ただいまの社会党の代表の方の御発言のように、明らかにして、一つは抑留者のその御心配を取り除き、一つは国民の方々の、もし疑惑の念ありとするならば、これをとってやるのが私どもの務めではありますまいか。こう考えますので、その点を私は委員の立場から申し上げておるのでありまして、従って、検事のような立場に立って、これを詰問的な意味で申し上げておるのではございません。すべてを明るくするために申し上げておるのでありますから、その点は誤解のないよう御了承願いたいと思います。
#12
○田村委員 ただいまちょっと関連いたしまして、申し述べたいと思います。先般私は大成丸の引揚者の出迎えに参った一人でございますが、あの引揚者の方々が、衆議院の社会党の受田新吉君あるいは参議院の山下義信さんを前に置いて、非常に怨嗟の声を放たれた。私はつぶさにそれを見て参りました。これは何としても徹底的に究明しなければなるまいということを強く感じたのでございます。そこで、私は御承知のごとく年令が非常に若うございますので、中に、私が年令が若いから社会党の代議士と勘違いをされた方がございまして、私に対して非常に食ってかかられた方がおられました。私が、自分は社会党じゃない。保守党だということを申しましたところが、ようやく了とせられた。そのときに食ってかかられた言葉からいいましても、社会党の国会議員特に訪ソ議員団の諸君が、引揚者の方々あるいは向うに抑留されておる方々からいかに恨まれておられるかということが、実際に私はわかったような気がいたしました。そういう点で、この問題は、そういう観点からも徹底的に御究明願いたいということを、出迎えに参りました一員として、特に発言をいたした次第でございます。
#13
○木村(文)委員 次に私は、昨日中山委員の提出いたしました動議に対する賛成演説の内容の中に、この際国民大衆運動の一つとして、抑留者に対して、国会を中心にし、政府を中心にし、国をあげて抑留者救援の熱意を持っているのだという一つの表現をするために、日本の郵便切手に記念郵便切手を発行するよう政府に私は要望いたしたのでありますが、このことにつきましては、国会議員が率先して、その実を示そうという立場から、超党派的に、議員一人当り千円というような程度の醵金をいたしまして、お慰めの意を表したい、こういう要望をいたしたのでありますが、先日の、前述いたしました記念切手の発行の問題につきましては、継続審議といたしまして、来たるべき通常国会におきまして、法的な措置を講ぜられるよう委員長においてお取り計らいを願いたいと思うのであります。
#14
○原委員長 ただいまの木村君の御発言は、そのように善処いたします。さらに山下君からも御意見がありましたので、引き続き、この問題は次会において取り計らいます。
#15
○中山(マ)委員 今の切手の問題についてでありますが、これまで私どももいろいろな場合に、こういうことのために国民運動を起すといっても、それを起すことについて金が要る。だから切手が一番いいんじゃなかろうかということで、これまでやってみましたけれども、これがなかなかむずかしいことであるということでケリがついてしまったことが再々あるのでございます。けさの新聞を見ましても、そういうふうに書いておるのでございます。当局としては、あるいはむずかしいとお考えになるでございましょうけれども、苦しい生活をしている人たちのためでございますから、それを乗り越えてやっていただくようにお願いしたいと思います。お金がかからないで結果を大きくするためには、これが一番いいんじゃないかと考えますので、けさの新聞を見て、少しどうかという心配をいたしておりますので、どうぞそういうことで一つあっさりあしらわれないように、委員長のお力添えをお願いいたします。
#16
○原委員長 中山マサ君の御意見に従って善処いたします。
    ―――――――――――――
#17
○原委員長 次に、明日中共地区よりの引揚船興安丸が舞鶴に入港いたしますが、これら引揚者の受け入れ援護並びに乗船者に外国人がおるようであるので、これらの者に対する入国管理の処置等について、政府当局の説明を求めます。入国管理局長内田藤雄君。
#18
○内田説明員 簡単に御説明申し上げます。
 元来われわれ引き揚げと考えておりますものの通常の概念といたしましては、当然海外におります日本人が日本へ帰国するというものであると考えております。ただ実際上あちらで婚姻その他の事情によりまして、まだ日本の国籍を持っていない方が日本に来られるということももちろんあり得ると存じますが、本来の趣旨から申せば、日本国籍の方が日本にお帰りになるものであると考えます。ところが最近ときどき日本国籍であるかどうかが非常に問題の方が日本に帰って、いわゆる引き揚げで帰ってきたような例が間々ございます。ことに今回は、まだ情報でございますが、相当多数、しかも初めから日本国籍でないことが明らかなような方が、引揚者として興安丸に乗っておられるのではないかということでございます。それでわれわれといたしましては、御承知のように、外国人の方が日本に入国せられます場合には、通常の場合、旅券を所持し、かつその旅券に日本政府の発給いたしました、これは在外公館で取り扱うわけでございますが、査証を持って日本に入っていただく。それが成規の入国の仕方であるわけでございます。ただ国交等のないような場合には、ただいま申しましたような手続がとり得ない場合もございますので、そういう場合には、渡航証明書というものをやはりもよりの在外公館において発給いたしまして、それを持って入国していただくというのが、成規の手続であるわけでございます。ところが、今回のごとく、そうした旅券をお持ちであるかどうかこれはまだわかりませんが、しかし査証をお持ちになっていないということ、あるいは渡航証明書を持っておられないということはまず確実だと存じますが、そういう外国人の方が日本に入国されようとする場合に、われわれとしてどうするか、これは純粋に、法律的に考えますならば、成規の入国でないということで、広い意味の不法入国ということにならざるを得ないわけでございます。しかし繰り返し申し上げますように、船が着きまして、実際どういう事情によったのか調べてみなければわからぬわけでございますが、ともかく三団体の方があちらに行かれまして、しかも乗船をやむを得ないと認められたという事情もございましょうし、また実際これは想像でございますけれども、日本の方が、子供さんでも連れて帰られるのに、その夫の中国籍の方が一緒に来られるというような、人情から見てまことにやむを得ないような場合もあろうかと存じます。そういう場合に、ただ法律をたてにとりまして上陸を拒否する、あるいはこのまま収容施設に入れる、こういうことはいかにも妥当でないように存じますので、ただいまわれわれの考えておりますことは、一応事情を伺いました上で、特にその事情がわれわれの納得できないようなものでございますれば格別でありますが、そうでない限りはともかく上陸していただいて、その落ちつき先に一応落ちついていただく、そうしてその間にわれわれがその国籍等に疑問を持つ方、あるいは外国籍であることが明らかなような方につきましては、さらに調査いたしまして、その調査の結果に基きまして結論を出したい、こう考えておる次第でございます。大体ただいまも考えておりますところは、以上の通りであります。
#19
○中山(マ)委員 援護局にお伺いいたしますが、そういういわゆる日本人にあらざる引揚者は、大体何人ぐらいでございますでしょうか。
#20
○田辺説明員 船からの電報によりますると、二百八十三名、これが総人員でございます。そのうちで中国人といってきている者が二十七名、ソ連人といってきているのが一名ございます。これは上陸してからいろいろ調べてみないとわかりませんが、一応の情報としては、そういうことになっております。
#21
○中山(マ)委員 いかなる状態でお引き揚げになるかわかりませんけれども、引き揚げて見えたときに、援護局は、こういう人にもやはり同様な一万円、あるいは引揚者に与えるだけの恩恵をお与えになるかどうか。私も今晩たってあした向うに行かなければなりませんので、実はただお尋ねするというだけでなしに、参考として聞かせていただきたいと思います。
#22
○田辺説明員 実は、こういったケースは今回が初めてでございませんので、管理局長さんからお話がありましたように、従来もあったのであります。こういう人たちは、私どもの考えによりますれば、引揚者の範疇に入りませんので、従って引揚者に対する当然の処遇をいたしておりません。しかし現実に来た方でございますので、必要最小限度のものはしなければならぬので、実情に応じたお世話をいたしておりますから、今回もその程度のお世話をしなければならぬと思っております。
#23
○中山(マ)委員 これはみな家族関係において帰ってきている人たちと御考察になりますか。
#24
○田辺説明員 これは、理屈から考えて分類してみますと、日本人の夫で、中国人の妻との間に生まれた子供を連れて帰ってくる場合、それから日本人の夫が単身で帰ってきている場合、中国人の夫と別れて日本人の妻子が帰ってきている場合が従来ございます。これに対して、今回帰られますのは、中国人の夫が、日本人の妻子に同伴して来る場合が考えられます。それから先ほど申し上げましたケースで別れてきた場合、その別れた片方が来る場合、つまり日本人の夫は帰って来ているが、何らかの事情でおくれて中国人の妻子が来る場合が考えられるし、日本人の妻子は帰ってきたが、それを追っかけて中国人の夫が来るということも、理論上は考えられるわけであります。そういう場合はあるかどうかわかりませんが、おそらく家族関係が多いのではないかと想像されます。もっともそのほかに中国人でない方も、家族関係で帰ってこられた例が従来ございますし、今回もそういう方があるのではないかと想像されます。従ってこれらの方々は、一人々々の事情によって、調べた上で結論を出すというお話でございますので、その結論によっては、日本に入国が認められる方もあるし、認められない方もあろうと思います。
#25
○中山(マ)委員 昨日の新聞でありましたか、ソ連の方でありましたか、夫はすでに向うで資本主義を助けたという名義でもって捕えられて殺されたが、夫の国に帰りたいということで、お子様を連れて帰られ、洋裁でしたか、露語でしたか、横浜に帰って教えていらっしゃるとかいうことでしたが、この方はどういうふうにしてお帰りになったか、またこういう人たちには援護の手はお伸べになったでありましょうか。
#26
○内田説明員 私の記憶が間違っておらなければ、だいぶ前のことでございますが、現地で日本人の方と結婚されましたソ連の婦人が、子供さんを連れて引き揚げてこられたという例があったようでございます。それでそのケースは、ただいま申し上げましたような形で一応われわれの方で審査をいたしました結果、事情がいろいろお気の毒でございましたので、われわれの方で特別在留ということで、在留を許す措置をとっております。それで、今、日本におられるはずでございます。
#27
○中山(マ)委員 それは法務省関係のお話でありますが、援護局は、この人に関してどういうことをして差し上げていらっしゃるのですか。
#28
○田辺説明員 おそらくこの方は、結婚した当時において、すでに日本の国籍を取得しておられる。従って日本人になっているということで措置されているのではないかとも思います。だいぶ年配の方でなかったかと思いますので、そういう場合がありますれば、もちろんずっと前に結婚されておられるはずであります。日本の国籍を取得されておるんじゃないかとも思いますが、取得していないとすれば、外国人として処遇して、在留の許可が認められた。しかし舞鶴へ上ったときは、外国人に準じまして、先ほど申し上げましたように必要なお世話をして参ったと思います。
#29
○中山(マ)委員 それでは、今の話は内縁関係ですね。だから特殊な外人と見て、一時残留を認めるということで、その人には今後それを一年に一ぺんでございますか、二年に一ぺんでございますか、ずっと切りかえていくことによって、その人の希望に従って、日本に在留することをお認めになるという御方針なんでしょうか。それとも何という恒久的なお考えなしに、一時残留としていらっしゃるのでしょうか。どちらなんでしょうか。
#30
○内田説明員 特別在留許可は、通常の場合には、一年を与えます。これは通例でございまして、私の記憶では、この方の場合も、たしか一年の残留資格を差し上げたと思います。それで、私どもの了解しておりますところでは、その方が結婚をなすったという事実はあるのでございます。ただそのときは外地のことでもございますし、正規の日本国籍を得る意味の婚姻がなされておらなかった。そこで一応将来その方が日本国籍を得られますれば、もちろん問題は解消するわけでございますが、外国籍でおられます限り、一応入管令の外国人としての取扱いをとらざるを得ないわけでございまして、その間、格別のことがない限り、一年ごとの更新で、途中でその更新を拒否して、お帰ししょうというような考えは持っておりません。
#31
○中山(マ)委員 そういう人の場合に、いわゆる夫の死後、日本籍につくという便法はございますか。
#32
○内田説明員 それは帰化の問題になるわけでございまして、もちろん方法はございます。ただその条件が、たしか私の記憶では、五年以上日本に在留するとかいろいろな要件がございますから、その要件を満たす状態になりませんと、帰化の申請を出しても許可されないと考えますが、方法があることは事実でございます。
#33
○中山(マ)委員 それならば、もし御本人が御希望の節は、ぜひ一つ親切にお扱い願いたいと思います。日本の夫を慕い、日本に来るというその御心情を一つ了とせられまして、できるだけの温情をお示し願いますようにお願いいたします。
 私、次にお尋ねいたしたいのは、法務省として、あるいは援護局として、このたびたくさんの方々が帰ってくるのに、いわゆる落ちついた先でいろいろと調査を受ける。そうしないと、そこに落ちつくことができないというようなことで、船からおりるときに、今までいろいろな手を用いられたのでございます。そういう場合に遭遇したと御仮定になりましたならば、われわれ行っている者としては、どういう処置をとったらいいものか。これは逸脱する質問かもしれませんけれども、願わくは思想的な動きを持つ人がないことを祈るのでございますけれども、そういう場合には、一体法務省としてどうなさるか。ずいぶん舞鶴でも再々騒いだ体験に私どもはぶつかっておりますから、伺っておきたいと思います。
#34
○内田説明員 ただいまの御質問の意味は、上陸を拒否したような場合でございますか。
#35
○中山(マ)委員 ええ。いわゆるここに置いてくれるという確信を与えなければおりないというようなことをもし言い出した場合、これは実際私は行かなければならないのですから、参考までに法務省のお考えを伺っておきたいと思います。みな迷惑する立場に追い込まれるのですから……。
#36
○内田説明員 仮定の問題でございますから、ちょっと御答弁に苦しむのでございますが、現地へ、たとえて申しますならば、われわれの方の係官も出ておりますけれども、その係官は、いかにその当事者に要求をされましても、そういうふうに将来ずっと日本に置いてやるというような約束をいたす権限を全然持っていないわけでありますから、そういうことを幾ら言われましても、われわれの方として、いかんともいたし方ないわけでございます。あまりに秩序を害するような行動に出ました場合には、それに応じた適当の方法をとるより仕方がないと存じます。繰り返して申し上げますが、入管令という法律によりまして、在留資格を与えます最後の権限は法務大臣に与えられておるわけでございまして、あるプロセスと申しますか、手続を経た上で、法務大臣がそういうことをなし得るということになっておりますから、出先の者が勝手にそういうことをいたす権限はありません。法律上ないことをいかに要求されましても、いたし方がないと考えます。
#37
○原委員長 ほかに御質疑はございませんか。
#38
○田中(武)委員 ちょっとお伺いします。後日調査をして、ずっとおられる人と帰す人に分けてきめるということですね。そうすると、一応は全部どこかに収容してやるわけですね。
#39
○内田説明員 そういうことをなるべくいたしたくないと思っておるわけであります。従いまして、大体先ほど援護局長からもお話がございましたように、ただいまのところは、二十数名の方に一応落ちつき先に落ちついていただきまして、――もちろん一応の審査と申しますか、事情聴取は舞鶴でいたすつもりでおりますけれども、大体見当もつきましょうし、それに応じまして、落ちつき先に行っていただきまして、以後は、われわれの方の地方事務所がございますから、そこで調査をいたしたい、こういう考えでございます。ですから、一カ所に集結して収容するとか、そういうことはいたさないつもりでございます。
#40
○田中(武)委員 もう一つお伺いしたいのですが、先ほど中山委員の御質問の中に、思想的なことの云々ということがありましたが、その場合、思想というものによって、取扱いを変えるというようなことはあるのですか。
#41
○内田説明員 思想ということのみで取扱いを変えるつもりはございません。しかし思想を背景といたしまして、実際上日本の治安に非常に有害なものであるという認定がなされ得るほど顕著な事実がございました場合には、これはまた考えなければならぬとも存じますが、思想がどうだからどうするという考えは持っておりません。
#42
○臼井委員 過日、ソ連から引き揚げてきた方にいろいろお話を伺いましたが、慰問品をこちらから送る。そういう問題につきましては、すでに決議等も行われて、着々御準備中だと思うのです。実は外務省の方にお伺いしたいのですが、本日おいでにならないそうですけれども、幸いに政務次官がいらっしゃいますからお伺いしたいのです。ハバロフスクでは、何らの読みものも見られないという話です。イワノボでは、本年の初めから朝日新聞がソ連の方から入れられて読まれておるということです。これはあるいはこちらから送っているのかもしれませんけれども、そういうところで内地のそういう新聞が読めれば、いろいろの事情もわかって、非常に心強いかと思うので、この点について外務当局と御相談の上、何とか他の地区にも新聞が送られるように努力していただきたい。やはりイワノボでは新聞が入ることを非常に喜んでおりまして、非常に力強く感じておりますから、何とか他の、ハバロフスクその他でも新聞の購読ができるように、こちらの方から交渉すべきじゃないか、こう思うのでありますが、その点について、一つお考えをお伺いいたしたいと思います。
#43
○山下説明員 ただいま臼井委員の御指摘の点は、これは全く私も同感でございまして、ただいまの状態では、そのようなことができるかどうかというようなことを、私確信を持ってお答えできませんが、さっそく外務省と交渉いたしまして、ぜひそういうものに飢えておられる方々の御満足を得るように努力いたしたいと思っております。
#44
○臼井委員 なお、松木全権も、本月末には、ことによるとあちらの再交渉にロンドンにおいでになるそうですが、これらの問題もやはりロンドン会議を通して、ソ連当局に対して、人道問題として交渉すべき問題の一つだと考えるのであります。
 なおそれと同様、またそれ以上に必要だと思われる薬品類でございますが、これも、ハバロフスクでは、薬という文字があれば全然入れない。これに対しては、昨日も、これを菓子に精製して送るというような方法等の点も、いろいろお話し合いがあったようであります。これもやはりそういう方法をとりあえずはとるとしても、冬を迎えてのあれでございますから、ビタミン剤というようなものは、当然これは送り得るようにすべきである。それからまた、それを受け入れないというのはどういう根拠によるか、それらもやはり正式にロンドン会議を通じて、向うの見解をただすということに一つ政府部内で外務省とお話し合って、松本全権等に、正式にそういう点を交渉願うようにお話し合いを願いたいということを申し上げたい。
#45
○山下説明員 その点はごもっともでございまして、昨日、委員会の御決議もございましたが、その前に、大成丸のお帰りの方々から直接伺いましたので、直ちに手を打ちまして、とりあえずビタミンの入っているお菓子等でおしのぎ願いますよう、それらの準備を目下進めております。後段の、それでは十分とはいえないから、それらの問題に対する解決も、ロンドン会議によって解決されるべきであるという御議論もごもっともでございまして、外務省の方とも、この問題については熱心に研究をいたしまして、必ずそれが伝達されるように努力をいたしたい所存でございます。
#46
○山下(榮)委員 ただいまの答弁はまことに時宜を得たお考えと思ったのですが、昨日あるいは一昨日から、ソ連からの引揚者の方々のお話を伺ってみると、どうもわれわれが納得いきにくいのは、なぜこちらから送った薬をソ連が渡せないのか、そこに何か原因があるかということがわれわれはわからぬのであります。従って今おっしゃるように、あるいは来月早々から始まるであろうロンドン交渉等で、松木全権が、日本人にはこういうわけで薬が必要である、ぜひ日本から送っていった薬を抑留者に渡すようにしてもらいたい。日ソ関係の根本的な問題を解決することは必要ではあるけれども、さしあたりの問題を、それぞれその日その日に解決していくということが、これはきわめて重要でなければならぬと思うのであります。お話を伺ってみると、ビタミン不足等において、それぞれ病気にかかり、あるいは命を失っていく人が少くない。こう聞いておるのでありまして、さしあたり一つ松本全権にそういうこともあわせて交渉願って、一日もすみやかに解決する方法をとってもらいたい。これは、できることならば、当引揚委員会の申し合性か、決議か等で松本全権に一つ依頼して、ぜひそれを最初に取り上げて話をしてもらう、こういう方法をとっていただきたいと思います。
#47
○山下説明員 この問題がなぜ到達しないかということは、私よりも田辺局長の方が詳しいと思いますから、後ほど補足していただきますが、これは私の仄聞いたしましたところによると、薬に対する国内の統制のかげんではないかと思うのでございます。従いまして、ドイツからのビタミンとかあるいはブドウ糖とか明記したものは渡すのだそうでございます。ところが日本では、総括して仁丹でも薬といってやる。薬はソ連の国内法上、そういう自由な扱いができないということに触れておるかに聞いております。これは研究いたしますれば、あるいは即座に解決する問題かもしれませんが、お説の通り、これは松本全権にぜひ委員会の御意思及び厚生省の意思を十分伝達いたしまして、解決の方途を講ずるつもりでございます。
#48
○臼井委員 今の山下次官のお話、薬としてあるなら、あちらの国内法で云々ということであれば、たとえば、実際に手に渡る方法として、レッテルを張りかえて、薬ということでなく、ビタミン剤として出す、あるいは剤ということがいけなければ、適当に向うに向くような方法にして、どうしたら受け入れてくれるか、こちらとしても、おもな薬品としてはビタミン剤が主であろうと思います。この間のお話では、ドイツ人には、イワノボでは渡るけれども、ハバロフスクではビタミン剤でもいかぬ、こういうようなことでございますので、ドイツ人には許して、こちらに許さぬという差別があるならば、これらも大いに論争の問題だと思う。どうか一つよろしくお願いします。
#49
○田中(武)委員 最後にちょっと委員長にお願いしておきたい。本日の当初に、ソ連在留の問題が出ておりましたが、その際に、田村委員から、先日大成丸を出迎えに行ったときに、自分は若いので社会党と間違えられて、引揚者から相当怨嗟の声を聞いて云々ということを聞きました。その際、私もう少し詳細にそのことを伺いたいと思っていましたが、あとの審査の関係もあり、また委員長から、いわゆるソ連抑留者の問題については、後日関係委員の出ておるときにやっていただくということになっておりましたので、質問しなかったのであります。その際、今、田村委員が中座され、私ちょっと出かけて行って話をしたのであります。この点もう少し詳細に明らかにしていただきたいと思います。
#50
○原委員長 今、田中委員の御発言がありましたが、次会に聴取することにいたします。
 それで、質疑はこれにて終了いたしましたが、ソ連抑留者から国民に発表してもらいたいという手紙を掲載された新聞、雑誌を、すみやかに本委員会に提出願いとうございますが、まだ本日は提出をいたしておりません。よろしくお取り計らいを願います。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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