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1947/08/14 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第5号
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1947/08/14 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第5号

#1
第001回国会 予算委員会 第5号
昭和二十二年八月十四日(木曜日)
    午後三時十四分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 小島 徹三君 理事 庄司 一郎君
      荒畑 勝三君    稻村 順三君
      海野 三朗君    加藤シヅエ君
      河合 義一君    竹谷源太郎君
      中崎  敏君    中原 健次君
      西村 榮一君    安平 鹿一君
      山花 秀雄君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    工藤 鐵男君
     長野重右ヱ門君    山崎 岩男君
      淺利 三朗君    磯崎 貞序君
      西村 久之君    世耕 弘一君
      苫米地英俊君    今井  耕君
      野坂 參三君
 出席國務大臣
         大藏大臣   栗栖 赳夫君
         國務大臣   米窪 滿亮君
         國務大臣   和田 博雄君
 出席政府委員
   經濟安定本部物價局長   谷口  孟君
       大藏政務次官   小坂善太郎君
        大藏事務官   東條 猛猪君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 物價及び賃銀に關する件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一號)
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 それではこれより開會いたします。
 きようは前に保留してありました大藏大臣に對する御質問と、特に本日御出席を願つて、賃金と物價の問題に關しまして、和田安定本部總務長官に對する御質疑を進めたいと存じます。大藏大臣はただいま本會議に出席されていますが、間もなくこちらにおいでになりまするから、それまで和田安定本部總務長官に對する質問に移りたいと思います。
#3
○西村(榮)委員 本日總理大臣が本會議で報告かつ感謝された貿易再開許可の問題について、大藏大臣竝びに安本長官に御質問したいのですが、いつやればよろしいでしようか。
#4
○鈴木委員長 それでしたら大藏大臣がおみえになつてからの方が好都合だと思います。和田安定本部總務長官に對する御質疑の方はございませんか。
#5
○野坂委員 本日の質問はきのうからの繼續であります。きのうは結局勞働省設置の問題について豫算が出されておりますが、この中の少くとも新規要求だけ見ても五千萬圓のうち六割近くのものが人件費になつております。この基準をお聽きしたのですけれども、大體きのうのお答えでは千八百圓になるということである。
 そこでまず第一にお聽きしたいのは、この千八百圓の基準の問題、第二には昨日の新聞にもみえておりましたが、新聞記者の方にも發表されたといふ統計が出ております。それには十一月には黒字が四百圓ばかりできるということが書かれてある。この問題については私ばかりではなく、川島君なども質問しておられて、これは委員全體の聽かんとするところであると思う。豫算の根據は結局ここにあるのではないかと思う。こういう問題について大まかにいえば二つの點について御説明を願いたいと思う。御説明を願つたあとで細かい點についてまた質問をいたします。
#6
○和田國務大臣 豫算の單價が千八百圓になつておる點はすでにお答えしたのでありまして、その點はきのうの答辯以上に附け加えることはないのでありますが、御質問の要點が、なぜ千八百圓という基準をとつたかということについての御質問でありますならば、私からお答えいたしてもいいと思います。工業の業種別平均賃金を千八百圓にとりましたのは、今度の新しい物價の改訂を行いまして、ここに新物價の體系をつくり、インフレーシヨンをその體系において阻止し、また物價體系を維持していく、この物價の改訂の中に織込むべき生産要素の一つとしての勞務者をどう見るかということについて、われわれは各業種別賃金千八百圓を採用したのであります。なぜ千八百圓を採用したかと言いますと、一應官公吏の千六百圓というものが標準的な賃金となつておりましたので、これをわれわれの方といたしましては、最初は物價體系に織込むべき標準の賃金としてとつたわけであります。またわれわれの改訂について採用すべき標準賃金の問題につきましては、給與審議會の準備會、特別小委員會というところにも諮りまして、いろいろと御相談を願つたわけでありますが、給與審議會の方でこれを十分に審査していくだけの時間がないといふこと、しかも政府の方といたしましては、やはり早く物價の改訂を行つて、新しい物價體系をそこに整えていく必要があつたので、物價の改訂は賃金の方がきまらないからといつて、これを長く延ばしていくわけにはまいりませんでしたので、給與審議會の方も、これは政府の責任において物價體系に織込むべき標準賃金をきめることを認められたわけであります。そこで政府は千八百圓というものを一應採用いたしたわけであります。これはわれわれの考えといたしましては、物價と賃金との惡循環をどうしてもここで同時的に解決していく、しかもその解決する場合に、貨幣賃金に對しても、これはどこまでも實質賃金の充足ということを根本の態度として、その線に沿つて貨幣賃金の確立ということでいきたい。物價と賃金とをこの際同時的に決定するには、どうしてもそういう根本的な態度をとつていくより方法はないと思いまして、いろいろと考慮しました末、千八百圓という業種別賃金として採用いたしたわけであります。これは御承知のように給與審議會の方では二千六百圓という案も出たわけでありますが、しかしわれわれといたしましてはこの價格改訂に織込むべき平均賃金を、二千六百圓というような高いところにとりましたのでは、結局物價の安定ということは何もなくなり、また財政面の負擔も相當大きなものになりまして、その面からむしろ實質賃金の確保ということが崩れてくるということを考えて、われわれとしては千八百圓というところを妥當とみましてこれを採用いたしたわけであります。從つて千八百圓を業種別の平均賃金といたしまして、物價の改訂を行うということにいたした次第であることを、御了承いただきたいと思うのであります。
#7
○野坂委員 次の第二の問題にはいる前に今の問題について少しお聽きしたいことがあります。つまり四百圓の黒字が出るあの根據が實は詳しく聽きたい。その前にもう少し千八百の問題について二、三聽きたいことがあります。この問題は給與審議會でも、十分勞働者と資本家その他の代表の間に十分討論されたので、私ここでは繰返しません。繰返す必要もありますけれども、審議を早く進めるために約します。政府側としてはこの千八百圓できめられたのが四十日前だつた。このときに一體この價格で食えると思つていたかどうか。言いかえれば勞働者側の方では、今申されましたように二千六百圓とか、二千四百圓とか、こういうような考え方が出ておつた。なぜならばこのときは御存じのように、實際七割近くがやみで買わなければならない状態であつた。しかも政府は千八百圓をきめて、勞働者側はそれの何割か以上のものを要求しておる。千八百圓で實際食えるか。はたしてこれが妥當であつたかどうか、こういう點をお聽きしたい。
#8
○和田國務大臣 お斷りいたしておきたいのは、千八百圓というものは新しい物價の改訂をやる。その價格體系に織込むべき賃金でありまして、公定價格の中に織り込むべき賃金、その業種別賃金でありまして、實際上に縛られておる賃金ではないのでありますから、そのところは御了承願いたいのであります。當時千六百圓を平均賃金にとりましたときの實情からいきましても、そのときの各業種別賃金を見ましても、それ以下のものもむしろ相當あるわけであります。從つてわれわれとしてはこの千八百圓をとつたときに、それが物價に及ぼす影響、その物價が上つてきたそのはね返りというものを十分に考慮いたしまして、そのはね返りは配給の改善なり、免税點の引上げなり等によつて十分にカバーできるという見透しをもつて、千八百圓というものをきめた次第であります。
#9
○野坂委員 そうすると、千八百圓というのは物價體系をきめる單なる紙の上の基準にすぎない。實際はもつとたくさん出ておる。こういうお答えと解釋してよろしいのですか。
#10
○和田國務大臣 實際はそれより高いものもあれば低いものもあるわけであります。
#11
○野坂委員 昨日も實は質問した問題でありますが、もう一度繰り返します。そうすると、いま勞働者側で、たとえば官公勞側でも昨日本人二千圓の生活特別基金を要求しておるが、官公勞側のこういう新しい給與の増額は、許される餘地が十分あると理解して差支えないのですか。
#12
○和田國務大臣 これは財政の面からいつて餘地がないものと思います。
#13
○野坂委員 結局これはくぎづけだということになる。そう解釋してよろしいか。
#14
○和田國務大臣 これはくぎづけという意味ではありません。各企業々々において餘裕があれば、國體交渉等によつて、實際の賃金が千八百圓よりも上り得ることがあるということをいつておるのでありまして、實際以上の力があれば、それ以上に上るということがあり得るわけであります。
#15
○野坂委員 各企業々々では團體交渉で上げ得る。ところが官公吏は豫算でわくがはめられておるから、千八百圓基準を突破することは絶對できない。こういうことになりはしないかと思うが、その點はどうか。
#16
○和田國務大臣 企業の場合も同じで、さらに給與、賃金を上げることによつて赤字になれば、實質的に上げるわけにいかない。しかし企業自體が能率が改善され、勞働生産性が高まつていつて、新しい物價體系のもとにおいて、とにかく一應のコストが安定する。そこに餘力が出てくるならば、自然に上つてくる。こういうことに解釋しておるのであります。
#17
○野坂委員 普通の官公吏諸君においてあれが適用できるかどうか。事業の收益が上るという豫想ができない。すると一般企業ではある程度緩和できるかもしれないが、今豫算で賄われている官公吏の給料は、絶對上げられないというわくをはめてあるではないか。ここを聽きたい。
#18
○和田國務大臣 豫算の關係で上げられないと思います。また千八百圓基準が、あなたの第二の御質問にお答えするように、配給の改善によつて食糧確保ができれば、この間に生計費の上から言えば四・五人平均世帯においては十一月に黒字が出るということであります。
#19
○野坂委員 くどいようですが、いま一度お聽きしたい。官公吏はいまの豫算では上げ得られないと解釋したい。以上の安本長官の答えではできないと思う。これが一つ。これに關連してもう一つ聽きたいことは、もし豫算の面で何らかの餘裕が生れるという場合においては、官公吏の給與もまた上げ得るという餘地は殘されているわけですか。
#20
○和田國務大臣 この點は昨日米窪さんがお答えいたしたと同樣のお答えをいたしたいと思います。
#21
○野坂委員 そうしますと、つまり上げ得るというのですか。
#22
○和田國務大臣 上げ得ないというわけであります。
#23
○野坂委員 結局、官公吏の給與は、今より絶對に上げられないということですね。それでよくわかりました。但し、昨日米窪さんの方からも、かりにもし豫算に餘裕があつたとすれば上げ得る、こういうふうに言われたが、そう了解して差支えありませんか。
#24
○和田國務大臣 それは私それでよいと思います。
#25
○野坂委員 そうすれば、官公吏諸君が國體交渉によつて、豫算の方面でもし新しい税を課するとかというような方法によつて、豫算に餘裕をつくれば、給與の増額もでき得る。こう私は了解して差支えないと思いますが、どうでしようか。
#26
○和田國務大臣 多少假定論がはいつておりますから、どうかと思うのでありますが、現在の財政の状態においては、私はできないということを申し上げたいのであります。あなたのように假定を立てて、非常にここに大きな財源でもあつて、財政上非常に餘裕が出てくれば、それは上げ得る可能性が出てくるということだろうと思います。ただそれを上げることが、日本の經濟全般から見て、はたしてどうかという問題は殘るだろうと思いますが、もしそういう假定を許されるならば、そういうお答えができると思います。
#27
○野坂委員 假定と言われるが、しかし豫算自體が假定なんです。豫算はまだ一つも出ていないじやないか。豫算を審議するのは、この委員會で審議し決定する。この假定のもとに私たちは話をしている。そうすれば、豫算審議の上で、われわれ、一般の官公吏諸君が、これらの、たとえば新しい財源を見出すということが努力の結果でき得れば、もちろん給與も上げ得るということが言い得ると思うが、これは私の意見です。
 それから次に、この千八百圓案が大體きめられた時には、大體遲配、缺配というものはなくなる、こういう豫想のもとにやられた。ところが實際はそうではなくて、遲配、缺配がずつと續いている。この點における勞働者側の餘分な負擔というものは、一體政府の方ではどういうふうにこれを補償するつもりか、これをお聽きいたしたい。
#28
○和田國務大臣 これは補償するということはできないと思います。ただわれわれといたしましましては、御承知のように配給の面において今後できるだけの努力を拂いまして、あるいは輸入の食糧を殖やしてもらうとか、内地における麥、馬鈴薯の供出を促進して、今後遲配がないようにしていきたいと考えています。
#29
○野坂委員 私の言つているのは今から先の問題ではない。今から先の問題については、發表されたように、大體十一月には黒字が出るということになつておりますから、この問題ではなくて、過去における四十日間の遲配をどうしてくれるかという問題です。今たとえば官公吏諸君の方で二千圓の手取り給料を要求しているのも、結局過去における遲配、缺配をどうしてくれるか、それは政府がちやんと約束している。しかもこれをそのまま猫ばばにするつもりかどうか。この點をはつきり伺いたい。
#30
○和田國務大臣 これはまだ今後の問題もあるわけでありますから、配給の面、食糧の面において、今申し上げました通り、できるだけ遲配を取戻すという努力をわれわれはいたしたいのでありまして、補償するというようなことはただいまのところ考えておりません。
#31
○野坂委員 まだはつきりしないのは、遲配、缺配をなくするのはこれからのことで、發表された統計を見ましても、これから先の遲配、缺配をようやくなくするという程度です。私の言うのは、過去における四十日の遲配をどうしてくれるかという問題です。
#32
○和田國務大臣 だから過去のものも、これからの努力によつては、まだ埋め得る可能性もあるわけでありますから、それをやるというのであつて、過去のものを補償するということをわれわれは考えているわけではありません。
#33
○野坂委員 この發表された統計數字を見ただけでも、過去のものは補償できないように書いてある。これをどうするかということです。
#34
○和田國務大臣 これは何遍お答えしても同じであります。補償はしないということであります。
#35
○野坂委員 わかりました。結局過去の遲配、缺配によつて勞働者は大きな犠牲を拂つておりますが、これはそのまま猫ばばする、これより解釋できないと思います。おそらく皆さんも今の話から導き出された結論は同じじやないかと思います。
 それから次には、これは皆さんがおそらく一ばん聽きたいであろうと思う點でありますが、安本の方で發表されたらしい千八百圓生活を基準として、遲配、缺配をなくしていけば、十一月には四百圓近い黒字が出てくる、こういう家計表です。これについての根據を一つできるだけ詳しく御説明願いたいと思います。
#36
○和田國務大臣 こまかい數字は政府委員から御説明いたさせます。
#37
○谷口政府委員 お答えいたします。十一月の千八百圓基準における生計費の豫定でありますが、配給による支出というものを、飲食費八百二十六圓九十七錢、自由購入による支出の全額を六百九十圓八十四錢、合計いたしまして支出が飲食費において千五百十七圓八十一錢となるのであります。次に住居費は五十三圓八十九錢、光熱費七十九圓八十三錢、それから被服費等いろいろありますが、配給による支出というものが合計千四百三十九圓八十三錢と計算されるのであります。それから自由購入による支出というものが合計九百十圓七十七錢となるのでありまして、これを合計して支出總額二千三百五十圓六十錢ということになつてまいります。この場合、前提となつておりますのは、飲食物費は昭和二十二年の二月から四月までの東京都における給料生活者の家計調査の結果を本にいたしまして、食糧緊急對策その他の施策の效果の見込を入れて修正したわけであります。それから飲食物以外についての算出の基礎は、昭和二十一年の七月における東京都の勞働者世帶二百五十三世帶の平均消費量というものを基礎にいたしまして、これを最近及び將來、ある程度の見込みを入れました全額で算定して出したものであります。それからこの家計によつて攝取せられます熱量と申しますのは、一人あたり一日平均千五百五十カロリーとなつております。今のようなぐあいにいたしまして、十一月の家計を調べてみをすと、四・二人の世帶におきましては、千八百圓の基準の生計費の收入というものは、二千九百二十圓になるのであります。そこで家計費の方は二千三百五十圓六十錢とこうなつておりますが、同時に勤勞者の所得税があるのでありまして、この所得税は三百二十圓を見込んでおります。現行税法によりますと、これよりもさらに百四十圓近いものが餘計拂われておるのでありますが、これは今度税法の改正によりまして、大體百四十圓見當の輕減になる見込みであります。かくいたしまして、家計の支出を考えてみますと、生計費と税金とこめて二千六百七十圓六十錢となるのであります。さき、申しましたように、四・二人の世帶の勤勞所得というものが二千九百二十圓になつておりますし、その他に收入の面といたしましては、家計の實際調査の結果、出てまいります百五十圓の副收入というものを見込んでおるのであります。かくして實際の收入というものは二千九百二十圓プラスの百五十圓、三千七十圓と相なります。これから先ほどの家計の支出というものの合計の二千六百七十圓六十錢を差引きまして、ここに三百九十九圓四十錢という計算が出てまいつている次第であります。
#38
○野坂委員 ちよつとお聽きしたいのですが、ここでは二合五勺及びその他の副食物がはいつて千五百五十カロリーというものが出たわけです。ところがこれらの主食分をみますと、これから實は米を食べて、副食物を食べて、いわゆるむだな分を外へ出して、そうしてみますと、實際上ここで、たとえば二合五勺だけでカロリー量は千二百ばかりになる。それに副食物その他が加わつて今述べましたような配給分というようなものがはいれば、大體においてこれから得られるカロリーは千五百五十ではなく、千四百カロリーであります。
#39
○谷口政府委員 この點は精密に計算いたしまして、配給されるものと、自由購入によつて何がしかの補給をいたすことになり、結局千五百五十カロリーというものが出ておるのであります。先ほども申しました計算の基礎の中の飲食物費の中でも、自由購入による支出が六百九十圓と見込んであるのであります。これを合しまして、千五百五十カロリーというふうに計算しておるわけであります。
#40
○野坂委員 しかしたとえば安本の中の生活物資局などの發表によりますと、一人が普通に生きていくに必要なものが二千百カロリーというふうに言われておりますが、それはそうですか。
#41
○谷口政府委員 これはいろいろのとり方があると思います。從つて二千カロリーということも出ましようし、二千カロリー以下でも生きられるということも言えましよう、程度の問題ですが、今敗戰國に許されております大體のめやすが、千五百五十カロリーというふうに考えられていると思います。
#42
○野坂委員 しかし實際上あなた自身はこれでは食つておられないはすです。そうなつてくると、實際ただ起きて寢轉んでおつても二千百カロリーはどうしても必要だということは普通に言われておる。私の意見ではなくあなたの方の局が言つている。そうしてみると普通に働く者はこれではもちろんいけない。二千四百カロリーということが普通に言われております。千五百五十カロリーとこの差額をどうしたか。これがこの計算にはいつているか。
#43
○谷口政府委員 それははいつておりません。それは今申します通りに千五百五十カロリーでありまして、特に端境期における去年の實績をみましても、端境期におきましては、二千カロリーというものはとうていとれないのであります。一應の計算としましては千五百五十カロリーというものをもとにして生計費をはじいたわけであります。
#44
○野坂委員 そうしますと普通の勤勞者は二千三、四百、これは低く見積つてある。そうしますと千五百五十との間に約一千内外のカロリーの差がある。このカロリーをどうして補給するか。これがもしこの計算の中にはいつていなければ、この計算は、ただ千五百五十でわれわれが生きることのできない、餓死状態にある。こういう人間をもとにした、まるで紙の上に描いたような計算しかできていない。
#45
○谷口政府委員 千五百五十カロリーで生きられないということは主觀の問題でありまして、私は千五百五十カロリーで生き得ると思います。
#46
○野坂委員 これは主觀ではありません。あなた方の御調査に基いて私は常識で考えて言つているのです。私たちは今國會で論議しているのです。小學校の子供でも千五百五十カロリーでおとなが生活できると思つているものはだれもありません。責任ある地位にある者がこういうことを言えるかどうか。しからざればわれわれ議員を侮辱したものです。結局ここへ出された千五百五十カロリーでは人間は皆死にます、これは死骸をもとにした計算です。私たちは生きる人間のためにやつている。これはひとつ大臣に答えていただきたい。あなたにもし言いにくい點があれば、言いにくいなら言いにくいと言われればよい。
#47
○和田國務大臣 われわれの方としましては、前提として今敗けた國で、外國から非常に食糧の輸入を得ている建前から言いまして、一應千五百五十カロリーというものを標準にして出しているのであります。從つて標準的に考えまして、あるいは二千百といい、二千四百という標準はあり得ると思うのであります。しかしわれわれの一應の立場としまして、パステルとしましては、千五百五十カロリーはどういう形でとるかということを、ただいまお示しいたしたのであります。もちろん勞務者に對しましては、このほかに勞務の加配ということを考えまして、勞務者へは、もつとたくさんのものがいくように考えておる次第であります。
#48
○野坂委員 その點がお聽きしたいのです。勞務加配米とか、勞務者が加配米でもらわなくても、やみで買わなければならぬ分量は、おそらく一人あたりどうしても三合以上食えなければならぬ。そうすると五勺ずつ毎日やみで買わなければならぬ。これが加配されるかやみで買うか、こういう點が重要になつてくると思います。あなた方の方でこれを完全に加配する自信があつてこの表を出したのかどうか。
#49
○和田國務大臣 われわれの方としましては、加配米というものは非常にごもつともと考えまして、一應千五百五十カロリーという基礎で一般はやつておりまするが、勞務者に對する加配米というものは、石炭初め重點的な産業につきましては、殊に政府が加配してこれを確保していくという態勢をとつているのでありまして、これらにつきましても、今後われわれとしましては最善の努力を拂いまして、加配米は確保していきたいと考えている次第であります。
#50
○野坂委員 しかしこの表では結局加配米なしで生計を立てたということが、大體基礎になつていると思います。大體そう解釋してよいと思いますか。
#51
○和田國務大臣 もちろん千五百五十カロリーというものが基礎になつております。
#52
○野坂委員 そうするとその間における五勺、かりに五勺とすればこれをどうして買うか、その金はどこから出てくるか、この根據はどこにも少しも出ていないと思います。これはどうなんです。
#53
○和田國務大臣 そこで私が言いたいのは、流通秩序を確立してやみの値段を下げて、そうして價格に餘裕をもたしていく。こういう政策をやつていこうということを繰返し申し上げておるのであります。
#54
○野坂委員 しかしそれは千五百五十カロリーである。二合五勺について今の遲配をなくすとか、流通秩序云々ということであります。私たちは二合五勺ではなくして、三合の場合はどうするか、これに對する手が少しも打たれていない。そうすると勞働者は千五百カロリーしかとれない。あとのものは一體どうするかという點であります。
#55
○和田國務大臣 私たちは三合を配給できるということは、今の状態においては言えないのであります。二合五勺のベースで、食糧の今の状態から言えば、どこまでも行かなければならない實情であります。
#56
○野坂委員 私たちはどこまでも生きておる人間、しかも働いておる人間を問題にしております。そうすれば二合五勺では食えないことははつきりしておる。どうしても三合なければならない。そうするとこの五勺をどうしてくれるかということは、政府は考えておられるはずである。もし考えないとすれば、これを發表すること自體大きな問題だと思う。しかしそこに行く前に五勺をどうしてくれるかということをはつきり言つていただきたい。
#57
○和田國務大臣 私は三合を配給するということを言つておるのではないのであります。どこまでも二合五勺を配給すると言つておるのであります。そこで二合五勺では食えないとおつしやいますが、二合五勺を基礎にして、ほかの副食物その他のものがあれば、やはり食つて行けるのであります。勞務の加配等につきましては、われわれは二合五勺では足りないから、勞務者に對しては特に加配米を考えて配給を多くしていく、こういう政策をとつておりますから、三合を必ず食つていかなければならないという前提に立つておるわけではないのであります。ただいまの状態では二合五勺しか配給できないのであります。
#58
○野坂委員 私たちのは實際の生活を言つておる。實際ここにおられる皆さんも、二合五勺で生きておられるのは一人もいない。三合以上おそらく食べておられる。普通の工場の勞働者あるいは會社の職員という人も、おそらく三合内外は必ず食べておられる。これに對する對策をわれわれは今問題にしておる。この千八百圓の基準にかけられるものは、勞働者もあり、職員もあると思いますが、こういうものはみなやはり三合内外食べていかなければならぬ。そうするとここに出されたこの表は、全然こういうことを考えない、生きていけないような千五百カロリーを基準にしたということは、全然現實を離れたもので。あるいは三合なければ生きられない人間を侮辱したものである、こういうふうにしかわれわれはとれない。こういうふうに理解して差支えないものですか。
#59
○和田國務大臣 どうもこれは意見の相違ですから……。
#60
○野坂委員 これは意見ではない、事實のことなんです。
 その次にはこの表を見まして、こまかいようですがもう少しお聽きしたいことは、ここに載つておる家賃はいくらを基準にされておりますか。つまり食糧以外のいろいろな出費のうち、家賃はいくらと計算されておりますか。
#61
○和田國務大臣 住居費は、こまかい調べはちよつともつておりませんが、大體八月で言うと、住居費の支出總計が八十九圓五十五錢ということになつております。これは修繕なんかいろいろなものの費用がはいつておりまして、住居費全體です。
#62
○野坂委員 たとえば被服費というのは……。
#63
○和田國務大臣 被服費は二百二十圓十二錢ということになつております。
#64
○野坂委員 これは一人當りですか、一世帶ですか。
#65
○和田國務大臣 四人家族平均の世帶になつております。
#66
○野坂委員 そうすると二百二十圓とすると、四人家族とすれば、一人當り五十五圓になりますね。
#67
○和田國務大臣 そうでございます。
#68
○野坂委員 そうすると、この被服費というものも、これは今の實際においては一箇月五十圓、こういうことを見れば問題にならないと思います。もう一つお聽きしたいのは、郵便料金はどういうことになつておりますか。
#69
○和田國務大臣 これはやはり八月で全體で申しますが、六十一圓九十八錢、これは交通、通信、運搬全部引つ括めてそうなつております。
#70
○野坂委員 これはやはり四人家族ですね。
#71
○和田國務大臣 そうです。
#72
○野坂委員 それから東京附近の者はみんな通勤しておりますが、この通勤代はどういうふうになつておりますか。
#73
○和田國務大臣 それはやはり交通、通信、運搬費全部引つ括めてのものの中にはいつていると思います。なんでしたらこの資料を差上げてもよろしいと思います。あとでゆつくりごらん願いたいと思います。
#74
○野坂委員 それから序でに和田安本長官にお聽きしたいのは、先ほどの問題で、解決方法として、たとえば四十日間における過去の遲配、これは缺配になるかも知れませんが、これをなくするために、何か特別の手段を講ずるというふうな案はありませんか。たとえば勤勞所得税を一時中止するとか、こういうような案でもありますか。
#75
○和田國務大臣 いろいろなそういう事柄については、われわれとしてもひとつ考えてみたいと思つております。
#76
○野坂委員 しかしこれは今の勞働者側の一番緊急な問題になつていると思います。これは早急に解決さるべきもので、そうしますと今のお言葉の中から、この解決の見透しがある、可能がある、こう解釋していいものですか。
#77
○和田國務大臣 いろいろななにもありますから、われわれとしては研究したい、こう申し上げるほかないと思います。
#78
○野坂委員 それから主食以外のいろいろの出費の中で、今聽くところによりますと、郵便料金などはこれからまだ上る。たとえば二倍に上るというふうなことも一般に言われておりますが、こういう點についてはこれは事實ですか。
#79
○和田國務大臣 その點は通信會計の特別會計の方の豫算で、今やつていることでありまして、ただいますぐに二倍にあげるということはわれわれとして考えておりません。單なる噂だろうと思います。
#80
○野坂委員 今しばらくそういうことはないとみて差支えないですか。
#81
○和田國務大臣 さよう考えまして結構であります。
#82
○野坂委員 一般に申しまして、主食以外のいろいろな物資の値上りという點について、どういうふうな見透しをもつておられますか。
#83
○和田國務大臣 やはりこれは全體の經濟の安定等に關係してくるわけでありまして、本日も發表になりましたような、たとえばクレヂツト五億ドルの供與がはいつてくるというようなことになつてきますれば、これはいろいろな點で日本の經濟というものが、やはりインフレーシヨンに對してはいろいろな對策を續けてきたこともありましようし、見透しとしては安定の方に近づいていくのではないかと思います。やはり個々の具體的のものについてそれぞれの生産配給の速度とか、いろいろなものがありましようから、一々細かくは申し上げられませんが、そういうふうになろうと解釋しております。
#84
○野坂委員 大體安定しておるというふうに解釋されておるのですか。
#85
○和田國務大臣 私は決定的に安定しておるとは申し上げないのであります。安定の方に向つてきておる、こう申し上げてよろしいと思います。
#86
○野坂委員 そうすると、やはり物價の上る見透しもあろう、こう解釋しておりますか。
#87
○和田國務大臣 私はやみ價格も。主食なんかについては下るだろうと思います。
#88
○野坂委員 私が言うのは主食以外のことであります。
#89
○和田國務大臣 主食が下つてくれば、ほかのやみ物價も從來の例によりますれば、下つてくると思います。
#90
○野坂委員 大體下るというわけですか。
#91
○和田國務大臣 そういうふうに考えます。
#92
○野坂委員 そうしますと、中には、たとえばここに統計に見られます八月、九月、十月、十一月とありまるが、その中の主食以外のもの、わかりやすい例で言えば、光熱費というものは八月も十一月も同じように計算してある。こういうものも下るつもりでこういうような同じ額にされたのか。普通光熱費は、八月の夏よりも十一月は寒いので、これが場合によつては倍近くも上るというのが普通になつていますが、こういう計算の點はどういうふうになつていますか。
#93
○和田國務大臣 物價の點について、全體的に個々のものがどう下るかということは、個々の商品の事情にもよると思いますから、私はつきり今個々の物について申し上げられませんが、しかし大體の方向としてはやはり日本の經濟というものは、これ以上のインフレを防いでおるということをやつておるわけでありますから、この主食なんかについては、やはり一應の物價の値下りの傾向が出れば、そのほかのものも下る傾向になろうということを私は申し上げたのであります。光熱費等につきましても、御承知のように薪炭というものが非常に供給が窮屈になりますれば、これは使う量そのものが減つてくることによつて、家計費の方面には少くなつてくる面もあろうと思います。家計調査をすれば出てくるものと思います。今のお話の點について細かい資料を持つておりませんから、それがどういう計算になつておるかということは申し上げられません。
#94
○野坂委員 私たちの普通の常識では、八月の光熱費が十一月と同じということは大體考えられません。十一月は相當上ると思つている。こういうことは大した重要な問題ではないと思います。
 最後にお聽きしたいのは、先ほど申し上げましたように、この發表された表によると千五百五十カロリー、二合五勺を基準にされている。しかしこれは實際上實際の人間には適用せられない數字である。普通の人間はこういう生活はやつていない、こういうふうな、ある、まるで存在しないような人間を土臺にして、こういうものを計算して、ここで發表されておること自身の、ほんとうの意圖を私は聽きたい。きのうもここで問題になりましたが、これに明らかにそういうものを出しておいて、だれが見ても――これは私だけではありません、これが發表されたき皆笑つている。勞働者諸君も皆笑つています、こんなでたらめなことがあるか。四百圓黒字が出るなんて、こんなことをいう人はどういう頭をもつているのかということを言つている。そういうものをこの際出した政治的意圖はどこにあるのか。きのうもここで問題になりました。私たちも大體今の意圖から考え得る點は、ともかくもそういう黒字になるというような一つの幻想を與えている。勞働者諸君その他のサラリーマンたちの生活を改善したいということの要求を、これによつて水をぶつかける。こういう意圖しかほかになんの意味もない。數字的にいつても根據がないこういう發表をされたのは、こういう意圖であると私たちは考えています。おそらく和田安本長官はこれに賛成されるかどうか、聽いても、もう聽く必要はないと思います。私たちはこういう印象を受けています。私たちが安本長官に特にお願いしたいのは、この安本の方でいろいろ發表されております。白書から始まつていろいろなものが出ている。この統計自體においても、私の聞くところによれば、安本の内部においてさえああいう白書自體の計數についていろいろな異論があるらしい。私たちがざつと見たところでも、非常に大きな虚構もある。こういうところから見ると、ああいうものをどしどし出されることは、はたして一體得策であるか。おそらく政府側としては何よりも第一に政治的意圖をもつてやり、白書にしても、今度のこういう發表にしても、これによつてある安心を感一般の民衆に與え、しかも實際に何も安定していない。千八百圓で食えないことははつきりしておる。それにもかかわらずただ數字の面だけの一つのごまかし、手品を使つて、民衆を欺瞞するとしかわれわれには考えられない。こういうことをたびたび繰返されれば、簡單には問題が片づかないだろうということをひとつ申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
#95
○鈴木委員長 そのほかに安本長官に御質問ございませんか。
#96
○山花委員 ただいま野坂議員の方からいろいろ質問がございまして、それに關連する問題でございますが、千八百圓という標準賃金は、大體標準世帶を中心にしてきめられたものであるかどうか。これを一つ聽いてあと質問にはいりたいと思います。
#97
○和田國務大臣 千八百圓を標準世帶に直しますれば、二千九百二十圓になるのであります。
#98
○山花委員 引續いてお尋ねします。私は昭和二十年の暮から昭和二十一年の一月に、これは御承知かと思いますが、最低賃金をきめる政府の中央賃金委員會の專門委員として、賃金問題に參畫していたものでございます。そのときに勞働者の一人の標準カロリーは、千九百六十カロリーということで、賃金のきめ方を協議したのであります。その賃金委員會でいろいろ問題になりましたのは戰爭中に國民の食物を規制するために、いわば政府側に立つた榮養學者とでもいいましようか。そういう人々の説によると、輕勞働は二千カロリー、中勞働が二千六百カロリー、重勞働が三千二百カロリー、こういうふうに發表されておるのであります。その賃金委員會のときにいろいろ問題になりまして、千九百カロリーということになると、輕勞働すらもできないではないか。この問題は一體どうだという問題が起きましたときに、とにかく日本は敗戰國家だから、敗戰國家の國民が世間並の物を食うということは輸入食糧を懇請するにしてもぐあいが惡いから、大體千九百六十カロリーということでひとつ落ち著けて考えなくてはいかん、こういう議論が非常になされたのであります。もちろん千九百六十カロリーではとても勞働者としては食えない。特に加配米もあのときにはだんだんなくなりましたときでありまして、じつとしていても二千五百カロリー、二千二百カロリー必要だと言われておつたときでありますが、それが今度の案によると、千五百五十カロリーということになりますので、約四百カロリーあの當時から減つておるのであります。これはあの千九百六十カロリーのときもいろいろ説明されていたが、それから四百カロリーも減つておる、この四百カロリー減つたという理由の裏づけを、われわれが納得するように御答辯を願ひたいと思います。
#99
○和田國務大臣 多少どうもいろいろな點で説明が不十分だつたと思います。千五百カロリーということを私どもはベースにして、二合五勺ということを言つておるのでありますが、平均以上に食べておる方もやはりあるのでありまして、二千百カロリー食べておるものもあるということを御承知願いたいと思います。
#100
○山花委員 そこで話の要點が大分わかりましたが、それはたしか大人も子供も赤ん坊も加えて四・二世帶の平均が、大體千四百何十カロリーということになつております。千五百五十カロリーというものは、四・二世帶のいわゆる一人平均でこういう數字が出たのかどうか、それともそのうちの主人公の表がこういうふうに出たのかどうか、この點はつきりしていただければ結構であります。
#101
○和田國務大臣 それはあなたの前の意見の世帶全部の平均であります。
#102
○山花委員 そうなりますと主人公は一體どのくらいのカロリーで計算しておるかどうか、これが平均とすれば、主人公は一體どのくらいの計算をしておるか。
#103
○和田國務大臣 主人は二千百になつております。
#104
○山花委員 それでは昭和二十一年度の最低賃金を決めるときには千九百六十カロリーと言われていて、そのときたしか私の記憶だと千四百何十カロリーが平均ということになつておりますが、ただいまの説明によりますと、主人公が二千百カロリーで、千五百五十カロリーというのが平均ということに了承してよろしゆうございますか。
#105
○和田國務大臣 さようであります。
#106
○山花委員 今度の千八百圓の賃金と物價が六十五倍ですが、この關係は日本經濟を再建し、日本のインフレを抑えるために私もそういうふうな形で行かなくてはならぬ、こういうふうに理解しておるものでありますが、そこで問題になりますのは、ただいま野坂委員の方からもいろいろ質問がございましたが、これを圓滿に流通させるために若干のズレが出る、大體二月ぐらいのズレがでるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。二月とか、一月半とか一月とかいうようなズレは、おのおの見る人の眼によつて若干の狂いはあるだろうと思います。そこで千八百圓のこの賃金體系は、なんといつても私は最低の生存を賄うに足る賃金だというふうに考えておるわけなのでありますが、そういたしますと、從來たけのこ生活とか、たまねぎ生活とか盛んに言われておりまして、今日の勞働階級はこの一月乃至二月、私は二月と見ておりますが、二月のズレをどこからひねり出すかという點になりますともう無一文の状態でありまして、これはどこからも引出すこともできないというのが、今日の勞働階級の實情であります。政府はこういうような點をお考えになつたかどうかわかりませんが、この間の新聞を見ておりますと、官吏の俸給を二十一日に支拂うべきものを前渡しというような形で、一日に支拂うというようなことがちよつと出ておりましたが、この前渡しというのはこういうずれを側面的に解決する一つの案として、前渡制度というのをお考えになつたのかどうか、この點について一つ御答辯願いたい。
#107
○和田國務大臣 私はお話のような作用もあるかと思います。
#108
○山花委員 それではお伺いしたいのですが、官吏の方は大體そういう形で一應問題の解決はつく、今野坂委員の質問につきましても、豫算の面にもし餘裕ができるならば、この千八百圓の問題をいくらか解決し得る、こういうような御答辯でございましたが一般企業の方にまいりますと、團體交渉權を利用して、企業内容のよいところは、何も千八百圓にこだわる必要はない、こういうふうに御答辯あつたと記憶しております。企業内容のいいところはそれで一應問題が解決いたしますが、今日の經營自體で企業内容が非常によくない。勞働者も資本家もともに協力してやつても、當面なかなか企業が改善できない。特に六十五倍の價格、言いかえれば大幅の公定價格の引上げによつて、向う半年なり一年なり勞資が相協力して懸命にやれば、企業採算が成立つというような工場が若干あるのではないか。若干というよりむしろそういう工場が相當多くあるだろうと思うのであります。當面の半年か一年の期間中は、どうしても企業が惡くて、勞働階級の要求を、この千八百圓より以上にきくことができない。また場所によつては千八百圓以下のところも相當あるのであります。これらの問題の解決につきまして、一月乃至二月のこのずれは、本來ならば政府が政策を圓滿に遂行する上においては保證しなくてはならぬ、こういうふうに考えておりますが、もし政府が財政その他の點で保證できないときには、一般の企業家はこれらのずれに對して、責任をもつて、このくらいの聲明をやる義務が政府にあるのではなかろうか、こういうふうに考えております。そこで企業内容のいいところは解決いたしますが、企業内容の惡いところの解決は一體どうするかということになると、資本家も勞働階級の切實なる要求は、いかに理解してもどうにもならぬというのが今日の實情でありまして、そういうように半年先、一年先には圓滿に解決のできるという見透しのついた企業、當面いかんともいたし方ないというような企業に對しては、特にこのずれの生活を保證する、言いかえれば勞働賃金に關してのみ金融の措置を――これは大藏大臣から御答辯願えればいいと思いましたが、今大藏大臣おりませんので、そういう特別な金融措置を行う意思があるかどうかという點について、もし大藏大臣以外の方でもいいから御答辯願えればお願いします。
#109
○鈴木委員長 山花君、今大藏大臣は本會議で緊急質問があり、その答辯のために本會議に出席されておりますが、間もなくこちらへこられますから、直接大藏大臣から御答辯を聽くことにしてはどうですか。
#110
○山花委員 そう願えれば一番いいのです。大體私の質問はそれでおしまいであります。
#111
○鈴木委員長 ほかに總務長官に對する御質問はございませんか。稻村順三君。
#112
○稻村委員 大體山花君が質問したことなのでありまして、ごく簡單な問題で質問したいと思つておることは、たとえば千五百五十カロリーというものは平均でありますからして、現實において二千百カロリーのものを今保證するというような配給があつたといたしましても、正式ルートからの配給がよけいないということは、結局この間においてやみのものを買うことになつてくる。そのことがいわゆる勞働攻勢の一つの大きな原因になつておる。そういうことが最近の財界へ相當強く反映いたしまして、第三次公定價格の改訂が行われることを見越して、最近資材難あるいは金融難なりでもつて、相當潰れかかつている中小工業、これが手をまわして資材を買い集めている。こういう傾向が相當強くなつているように見受けるのであります。そうして勞働攻勢に備えて、勞働攻勢が起つたら、こういうものをやみ賣りをして、そのやみ賣りによつて勞働攻勢に對處しようという準備を整えているものすら、現在あるわけであります。こういうものに對して、政府は緊急に政策を建てる必要があると思うのでありますが、これに對しての政府のお考えをちよつと伺いたいと思います。
#113
○和田國務大臣 今度の價格改訂の場合に、價格の上つたために、販賣業者その他のものから、最近政府においてとる。こういうことにいたしまして、原材料の値上りを待つために抱えておるというものに對しては、そう意味から抑えて行こう。こう實は考えておるのでありまして、殊にすぐ最近きめた物價體形をこわして、またもう一遍價格改訂をやろうということは、毛頭考えていないのであります。われわれといたしましては、今度價格改訂できめたものは、どこまでもこれは追求してとつていく。そうしてひとつの財源にしたい。こう考えておるのであります。
#114
○稻村委員 それから先ほど山花君が質問しましたところの、ずれの問題でありますが、これに對しましてまず第一に、先ほどいろいろな人から問題にされましたインフレーシヨンの進行ということが、やはり問題になると思うのであります。この物價體系をつくつて六十五倍という一應の、めやすをおいていきましても、このめやすが軌道に乘るためには相當の時間がかかり、この間に混亂が起る。その混亂がさらにインフレを増長するという形で、物價が相當上つていくということがあると思うのであります。その場合にわれわれとして千八百圓のベースをもう少し高い點にめやすをおく。そうはなはだしく高くするというわけにいかないとしましても、その間のずれを、先ほど金融面において保證するとか、その他いろいろな議論もありましたが、それを見越して、もう少し高いめやすにベースをおくことができないものかどうか、こういうことに御質問したいと思います。
#115
○和田國務大臣 私はその點はできないし、またやつてはならぬだろうと思うのであります。千八百圓というものは繰返し申し上げましたように、新しい物價體系を建てるときに、言いかえれば公定價格をかえるときに、織込むべき一つの要素としての勞賃であります。それをまた一遍高いところへかりに考えることになれば、そこで相當價格體系をかえなければならぬということになると、これはどこまで行つても賃金と物價が、ぐるぐる短期間の間にまわつていくだけでありまして、從つてそういうことをやるのではなくして、やはり平均千八百圓ということを基礎にした物價水準を維持するために、實質賃金の内容を確保していくような方法において、これは堅持していく。こういうようにいたしませんと、價格そのものが常に變動にさらされて、企業自體が不安定な状態に、ただちに陥るということになろうかと思うのでありまして、やはり公定價格の制度をとつております以上は、一定期間は新しい水準を維持していかなければならないということに努力することが、正しいのではないかと思います。
#116
○稻村委員 事實安定本部の公定價格の問題は、もちろんいろいろな點でバランスというようなもの、あるいはパリチーというようなものを考えなければいけないが、要素としては重要な要素があるのであります。しかし資本主義經濟の一つの原則的な問題からすれば、必ずしもパリチーということばかりが基礎になるということではない。こういうふうに考えておるのであります。その點、各價格がどこどこと言つたらおかしいが、それぞれの條件のもとにおいて、公定價格には一定の要素というものがあり得る。こういう建前から考えてみますと、必ずしも賃金を三十倍に見て、それを基礎にして一般物價とのめやすを六十五倍というふうに見ないとしましても、たとそば賃金を三十五倍に見ても、なお資本主義經濟の原則から見ますると、他の物價が六十五倍というめやすがつくということが、あり得ると思うのであります。それがまた現實ではないかというふうに考える。それを物價指數の動きのあとをたどりまして、ただそのパリチーばかりを見ていきますと、一つちよつと動かすと、ほかのものが全部狂つてくるというようなことになるのでありまして、あまり均衡ということの方のものを考えないという考え方で、公定價格を決定した非難が免れないのじやないか。こういうふうに私は考えられるのであります。この點に關しましてわれわれがもしそういうふうな論理的な追究をすることによりまして、たとえば賃金は三十五倍にしても、それによつて六十五倍のめやす點は動かないものだというような見透しのもとにそういうことが理解できるような建前から、われわれがこの委員會において、もしこれを三十五倍なら三十五倍というところにするというような決定をなした場合において一番決定權をもつております議會、殊に常任委員會であるこの豫算委員會で、そういうふうな決定をなした場合に、政府はこれに對して責任があると思うのでありますが、その點ちよつと安本長官に意見を伺いたい。
#117
○和田國務大臣 ちよつと理解に苦しんだのですが、結局今度の價格體系のやり方は、基準年度の六十五倍というところに、一應價格の安定帶を置きまして、そうして價格體系のやり方は、個々の商品について原價計算主義をとつて居らぬわけであります。從つてその原價の中に組み入れられるべき勞賃が、業種別に平均すれば千八百圓になるわけであります。從つて各品目の原價計算の中に、千八百圓の賃金もその他いろいろ參酌してはいつておるのであります。從つて個々の商品の價格は、どこまでもその商品の原價計算を基礎にしてきめられておる。しかしそれは物價水準からいけば、六十五倍の線を引いて、それ以上八十倍、百五十倍になるものは、需要者價格を六十五倍に引下げて、引下げる以上は、その差額は價格差額給金百二十億を組んで、財政がこれを負擔して、企業の面には引下げたことによつて、何もマイナスがこないようにしていこうという建前をとつておるのでありまして、その意味において六十五倍という安定帶によつて、價格を安定さすという點においては、あるいは均衡理論と言えるかどうかわかりませんが、しかし個々の商品の價格については、それぞれの商品の特殊性を生かした原價計算で考慮をいたしておりまして、それらを考えた上で價格を決定いたしておりますから、御心配ないと思います。われわれとしては、どこまでも今度の價格改正については、そういうやり方を考えていくことが必要ではないかと考えております。
#118
○稻村委員 そればは最後にもう一つお尋ねいたします。千八百圓より高い安いの問題がありますが、これは商品別によつて、千八百圓のベースよりも高い賃金と、低い賃金を平均するという考えなのですか。それとも個々の勞働者にとつてはどういうものですか。その點をひとつ……。
#119
○和田國務大臣 千八百圓は業種別の平均賃金です。これは價格改訂をやるときに、價格の原價の中に織りこむ要素として、全國平均すれば千八百圓ということです。從つてある業は二千八百圓、ある業は千八百圓というように一應業種別にわけてあの發表はしておつたのであります。それを全國平均すれば千八百圓、たとえば紡績業は、賃金は千三百圓足らず。しかし全國平均すれば千八百圓。それを一應價格體系の基準にしたということであります。從つて肥料なら肥料をとつてみると、肥料の勞賃は千八百圓よりも高い勞賃である。それが肥料において實質的な勞賃だとすれば、原價計算をやるときに、實質賃金を考慮して價格決定をいたしておるのであります。
#120
○稻村委員 そうすると大體考えられるのは、非常に勞賃の低い業種が出てくるわけであります。そこの生産樣式が、たとえば生産の技術的變化によつて、非常に變化を來したという場合であつても、そういう場合には生産能率が上るから、賃金は一應高くなり得るわけであります。先ほどの安本長官の説明を聽いても、きのうの米窪國務大臣の話を聽いても、そういうように餘裕ができてくれば、一應餘裕ができただけ賃金を上げていくことになると思うのであります。そうしますと、事實において日本のような非常に荒廢したところにおいては、アメリカから機械がはいつてくるとか、あるいは副原料がはいつてくることによつて相當能率を上げ得る。生産の合理化をなし得るという條件が出てくる。その場合に非常に短かい期間でできるものもできてくる。そうすると、すでに平均千八百圓のベースは正常的に考えても、實を言うと崩れるというか、何というか、そういうようなことになつてくるのでありますが、そういうことは一應考えていいのですか、どうですか。
#121
○和田國務大臣 どうお答えしたらいいですか。かりに一つの企業が、今度の價格改訂に從つて製品の價格改訂をされる。しかしその業種の技術が非常に進歩し、經營が合理化され、今度改訂された價格でも多くの利潤が出てくるようになり、賃金の面においても支拂能力ができた場合に、團體交渉で現實に拂われる以上の賃金を獲得することは、これはちつとも差支えない。ただ千八百圓は、今度價格改訂をやるときに織込むべき全國平均の賃金というだけでありまして、その改訂された價格において技術の進歩が行われ、生産費のコストが安くなり、そうしてその價格でゆとりができてくれば、實質的に賃金が上つてくることは當然です。だから賃金を平均する必要はない。
#122
○稻村委員 これで私の質問を終ります。
#123
○野坂委員 これはきのう米窪國務大臣も言われ、またきよう和田安本長官も言われたことでありますが、これは千八百圓の基準にすぎない、たとえば團體交渉によつて、この基準を上まわる給料を得ることもできる、こういうお答えであつた。そうすると、これと今問題になつている價格體系との關係になりますが、もしこれが許されて、團體交渉の結果、各企業々々において――もちろん全部ではありませんが、勞働者側の要求が通り、給料がずつと上つてくる場合には、いわゆる價格體系はどうなる。崩れないかどうかということだけです。
#124
○和田國務大臣 實際上げる能力もないのに、無理をして上げれば企業コストが高くなるから、企業自體が潰れる場合もある。今も言つたように、經營の合理化が行われ、餘裕ができて賃金がずつと上つてくれば、價格體系自體はちつとも崩れることにならぬと思います。
#125
○野坂委員 たとえば合理化といつたところで、これはすぐ現實に實現されることは大體見透しはないと思う。しかし今の生活問題は、きよう、あすの問題です。そこでさつき勞働者側の攻勢という言葉も出ましたが、勞働者側の攻勢はきよう、あすの生活苦から逃れるために、とにかく今食えるだけの金をもらいたい。こういうのが現實の痛切な聲であります。この場合合理化を別個にしても、勞働者の希望を容れて、要求を容れる。いわば資本家側の利潤をもつと少くしてやるということ、だから今言つたような單なる合理化の結果上げるというのではなくして、合理化なしでも上げるという可能性も全然ないわけではない。こうした場合においては今言つたように、價格體系というものは一體どうなるのですかということをお聽きして、私の質問を終りたいと思います。
#126
○和田國務大臣 これはこの前にお答えした通りでありまして、むりに上げていけば結局崩れてくるということになるわけであります。
#127
○苫米地(英)委員 今物價體系によつて原資材の値段が非常に上つたのであります。このために産業人は多くの資金を要する。ところが他方においては製品の新しいなにがきまらない。從つて生産はほとんど全面的に停頓しておる。こういう状態があるのであります。こういうことになると、これはやはりその物價體系全體にも、それから生活費にも反映してくると思うのであります。これはきわめて重大なことだと思うのであります。私はこの點に對して政府はどういうお考えをもつておるか。どういう方針でおやりになるのか伺つておきたいと思います。
#128
○和田國務大臣 實は價格の改訂を非常に今急がしております。第二次製品のものも八月一ぱいにはぜひやりたいと思いまして、非常に今急がしてやつておりますから、その點はしばらくお待ち願いたいと思います。金融の點はお話のような點もあろうかと思いまして、あるいは國家の財政の支拂を早めるとか、また特別な金融の措置をとるとかしたいと思いまして、これはいずれ近いうちに政府の方策を發表することになろうかと思つております。
#129
○鈴木委員長 大藏大臣はただいま本會議において答辯中だそうであります。答辯はいわゆる水害地に關する問題でありますから、きわめて簡單だと思いますので、間もなくここに來られると思いますから、來られるまでちよつと休憩します。
    午後四時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時四十三分開議
#130
○鈴木委員長 それでは開會いたします。
 さきに西村榮一君から爲替資金設定に關しまして緊急質問をいたしたいとのことでありますから、それを先にお許ししたいと思います。西村君。
#131
○西村(榮)委員 本日總理大臣が本會議で報告とともに感謝されました貿易基金五億ドルの制定につきまして、大藏大臣に御質問申し上げたいのであります。まず第一點は、その五億ドルの爲替基金によつて日本經濟を再建するために、すなわち貿易再開のために、いかなる品目のものを、どの程度の量で輸入されることが可能であるか、この點御説明願いたいと思います。
#132
○栗栖國務大臣 御答辯いたします。本日總理から説明がありましたように、占領下日本輸出入囘轉基金の設定が認められたのであります。總計は推算をいたしますと大體五億ドルと相なるのであります。そのうちいくらを、どういう品目について使うかというようなことは、未だ明瞭になつておらぬのであります。ただ多分近く綿花とかそういうものの資金に、最初に使われることになろうと存じておる次第でございます。
#133
○西村(榮)委員 大體の計畫はおもちになつておられると思いますが、ただいま大臣の答辯では、どういう品目のものを、どれだけ輸入を懇請し、そしてそれがどういう形において、どの方面に出ていくかというふうなことも、もう少し伺いたいのでありますが、それは後囘しにいたします。
 次にお伺いしたいことは、わが國が將來得意とする市場は、主として南方、中國、インド竝びに朝鮮方面だと思うのでありますが、そういうふうな場合においては、ドルの資金というものがきわめて薄い。そこでドルで貿易基金をもらつて、すなわちクレジツトのような形でもらつておいて、ポンド地域竝びにドルの資金のない方面に輸出した場合においては、その代金の囘收は一體どうなるか。同時に次にお伺いしたいことは、日本の現在の生産能力において、生産施設において大體五億ドルのクレジツトが、消化して餘りあるかどうか。同時に現在資材を輸入してそれを輸出するだけの時間、すなわち年に何囘くらい囘轉できるか。この二點をお伺いいたします。
#134
○鈴木委員長 西村君にお諮りいたしますが、この問題はまだ政府のいろいろな事情で、政府の方においてこまかくお答えになることのできない事情もあるように考えられるのであります。從つて一問一答というのではなくして、この問題について、政府の事情の許す限り詳しく報告してもらい、それに關する所見をまず述べてもらう。こういうふうにしてはいかがでありましようか。
#135
○西村(榮)委員 差支えありません。
#136
○栗栖國務大臣 では本問題についての、發表し得る限りをここで申し上げてみたいと思います。大體今囘の貿易再開にあたりまして、この囘轉資金、リヴオルヴイング・フアンドを設定いたすことを許されましたことは、日本の貿易再開の上に、從來の貿易よりも非常に大きな進歩であるわけであります。從來は御承知のように、内地側で輸出物を貿易廳が買上げる場合と、そうしてそれを連合國に渡しまして、連合國がアメリカその他でこれを處分する場合との間には、全然リンク、關連のないものであります。しかし今囘は、關連をもたすことになるという點において、非常に大きな注意すべき點があると思うのであります。さらに貿易その他のためにこれを使いまして、そうして輸出品を出す。こういうことと、原料を輸入する。そうしてその資金をどういうようにつくるかという途が、はつきりこれでつくことに相なるのであります。これが第二點として非常に注目すべきものだと思うのであります。どういうように資金をつけますかといいますと、まずクレジツトと、クレジツトの基礎であるところの囘轉基金というものとを設定した點が、はつきりいたしておるのであります。クレジツトはアメリカその他の連合國で設定されるわけでありますが、その基礎であるところの囘轉基金を、この日本に置いたという點が非常に注目すべき點であるのであります。それでこの目的としておりますところを申し上げますと、占領目的と占領政策の達成をはかるということ、そうしてこの連合國と日本との相互の利益のために必要とする輸入を日本にいたす。その日本に輸入をいたすに關連しまして、クレジツトの基礎をつくるために、この囘轉基金を設ける。こういう趣意に相なつておるのであります。囘轉基金は日本の内地に置かれるのであります。
 しからばそれはどういうような資産によつて置かれるか。こういうことが次に問題になると思うのであります。この資産は大體二つにわけられると思うのであります。まず最初は、一億三千七百萬ドルに相當するところの金、銀その他であります。これは昨日のワシントン特電にも現われておりますように、連合國の方において今占有されておるのでありまして、そうしてこれは賠償の物資に充てられる豫定のものであります。それに先立ちまして、それまではこの囘轉基金の中の資産として使用ができる。こういうことに相なつておるわけであります。そのほかに、まずこの囘轉基金によりまして物資を連合國から輸入をいたしまして、そうしてその物資を加工その他によつて輸出物をつくる。輸出物をつくりまして、それを輸出して代金が出てくるわけであります。その代金がこの囘轉基金の中に加えられていくわけであります。そこでわれわれ國民が耐乏を重ねましても、りつぱな品物を、輸出という關係においてどんどん働いていくならば、この基金がだんだん大きくなつてまいるのでありまして、そうしてその基金が大きくなればそれだけ、いろいろ輸入物資がまた大きくなる。こういうようにするものであります。
 それから基金でありますが、この基金はどういうように使うかと申しますと、先ほどもちよつと申し上げましたように、まず輸出入をするその材料に使うところの品物を輸入する場合に、これが使えるのであります。しかも輸入をして、なお輸入から一年以内にこれを製品にして輸出までもつていける、こういうものについてだけこれが使用ができるのであります。使用の方法としては、このクレジツトの基金、つまりクレジツト・ベース、こういうものとして使用ができるのであります。なおまた支拂資金としても使用ができるのであります。この基金は、先ほども申し上げましたように、二つの種類のものから成り立つております。輸出の代金等がこの中にはいつておりますから、從つて支拂の資金としても使うことができる。こういうことに相なつておるわけであります。しこうしてこの金額、殊にこの特定の金その他の金額でありますが、そういうものの一五%までは、一般物資の輸入にもこれが使えるということになつておるわけであります。そうでございますから、この基金をどんどん囘轉し、利用し、輸出を振興してこの基金が大きくなれば、一般物資の輸入等の目的に使うことも大きくなり、日本の經濟再建には大きな働きをするような仕組に相なつておるわけであります。なおこの基金には使用の限度があるわけであります。本基金の保有しております金、米ドルその他自由兌換性のある通貨は、本基金當初の特定資産の三〇%未滿になるとか、あるいは本基金をベースとするところの債務の三〇%を下つてはいけない。こういうような制限もくつついておるわけであります。かような取極めで基金ができたわけであります。これを運用してまいりますと、大體これは五億ドルぐらいまでの債務を背負うことができるのであります。ベースでありますから全部でなしに、一部をカバーするというような關係から、このくらいのことができるということになるわけであります。なおこの基金の設定とともに、各種のクレジツトができることが豫定されるのであります、まずその最初といたしましては、棉花關係のものも生じようと思つておるのであります。しかしこれはまだいろいろ手續中でございまして、今ただちにいくらできると申し上げるまでに至つておらぬのであります。そのほかのものにつきましても、どういうようなクレジツトを豫定されておるかまで申し上げるに至らぬような次第であります。このクレジツトは、本來のクレジツトに比べますと、占領下における特殊の情勢のためにつくられた一種のクレジツトのもとをなすリヴオルヴイング・フアンドでございまして、性質は特殊なものでございますけれども、將來連合國の好意によりましてこれだけの基礎が今囘開かれるということは、やがてわれわれが貿易その他たゆまざる努力、國内態勢の整備と相まちまして、やはり新らしいクレジツトあるいは長期その他のものも、だんだんと豫定されてくることに相なろうと思うのであります。われわれがこれを契機にして、貿易その他についてこの輸出の振興というものを、大いにはかるということに努めなければならぬと思う次第であります。
#137
○西村(榮)委員 大體わかりましたが、なお二三點お伺いいたしたい。そうすると輸入から輸出の間における原材料と、期間は一年ということでありますが、それと同時に今度貿易が開かれて、わが國の經濟が貿易に支えられるということになれば、今までのように封鎖經濟間における重點産業主義の政策をいささか修正しなければならぬ。たとえて言えば、これは貿易品の原材料の輸入が許されるということであるから、從來までは食糧對策として、肥料の増産に電力、勞力いろいろなものを集中して、一年百二十萬トンぜひやろうということになつておるのですが、貿易なら貿易ということに轉換すると、その方へいろいろなものを割かれる。そうすると肥料が八十萬トンなり、百萬トンなりに減産することになれば、そこに日本の食糧政策に影響してくる。そういうふうな場合に、肥料の輸入などというふうなものも、この五億ドルのクレジツトの中から許されるか。こういう點はお答えできなければできないで結構ですが、できれば……。
#138
○栗栖國務大臣 お答えいたします。このレヴオルヴイング・フアンドは大體講和條約が締結されるまでのものであると性質上考えております。なおこれは輸出貿易のための囘轉基金でありまして、そのほかのあらゆる方面におきまして、いろいろな信用供與の方法も考えたい、かように考えておる次第であります。肥料に關するものがこのクレジツトによつてカバーされるか、あるいは別個のクレジツトになるかということは、今後の事情によつてきまるものと思う次第であります。
#139
○鈴木委員長 ここに付議されておる議題がありまして、この質疑を急ぎたいと思います。大藏大臣としては今のクレジツトの問題についてはお話のできる範圍のことは、ただいまお話されたと思います。
#140
○西村(榮)委員 それでは私の質問を打切りまするが、大藏竝びに安本當局に對して希望を申し述べておきたいと思います。
 この貿易再開を契機として日本の産業は相當整備されていく。それに對する失業の問題があり、同時にこの貿易の再開をチヤンスとして、日本の經濟再建の長期計畫が樹立される一つのチヤンスが來たと思います。これらについて至急對策を立てていただきたいという希望を申し上げて打切ります。
#141
○鈴木委員長 先ほど山花君の大藏大臣に對する質問の答辯がまだ殘つておりますが……。
#142
○栗栖國務大臣 勤勞者その他に對する生活資金の不足を、金融の面で補う方法はないかというお尋ねであつたと思います。これに對してお答えをいたします。特にそういう生活資金を金融の面で補うというような直接な方法を私は考えておらないのであります。しかしながらこの物價の改訂のずれ、その他の事情によりまして、それに必要なる資金の放出は、復興金融金庫その他を動員いたしていたすことに相なつておるのであります。それが均霑をいたしまして、この改訂中の生活資金の補充に相當の效果をあげるであろうと、かように考えておる次第でございます。
#143
○山花委員 ちよつとお答えが的が外れているのではないかと思います。私の尋ねましたのは、物價と賃金との關係が急速にうまくいくまでの、たとえば一月ないし二月のずれの問題、このずれの問題が團體交渉によつて個々の企業と話をする場合に、採算のとれる企業は圓滿に解決がつくかもわかりませんが、採算の今すぐとれない、言いかえれば、一つの製品が倍加された公定價格で、すぐに現金化されないようなこういう企業で、先行きの見透しがあつても、現實どうにもできない、こういうような場合には、それらの先行き製品を擔保にして、特に勞働者と資本家が話がまとまつたときに、勞働賃金に關してのみ、特別のそういう製品なり、もしくはその事業形態の先行きのことを考慮して、金融の特別の措置を講ぜられるかどうか。それを講じてもらわなければ、このずれの問題が解決できない。官吏の場合は安本長官が言われましたように、給料の前渡しというような特別制度を設けてこの問題の解決をしている。官吏と同樣、一般企業における勞働階級にも、そういう特別の措置をひとつとつてもらいたい。またそういう特別の措置をとることによつて、今度の政策の圓滿な遂行化がはかられるのではなかろうか、こういう意味でお尋ねしたのであります。生活資金という意味ではないのであります。
#144
○栗栖國務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問に對しては私も趣意はまことに同感であります。そこでこういうような政策をとり、すでに實行に移しておるのであります。それはこの新物價の改訂その他がありましても、ずれというものがありまして、この轉換期におきましては物價の改訂をしたがゆえに、今まで赤字を續けておつた企業が直ちに黒字になるというものではないのであります。これには若干の日子をかさないといかぬのであります。そういうものにつきましては十分金融の必要、將來の金融の必要、こういうことも考えまして、そうして普通の銀行業務としてでき得るものについては普通銀行をしてこれに當らしめる。しかしながら普通の金融業務としてむずかしい場合におきましても、なお復興金融金庫というものを活用いたしまして、そうして金融に當らしめる。かように措置いたしておるのであります。なおそれは單に賃金をカバーするための資金のみならず、さらに續けて生産を必要とするところの運轉資金その他というものもカバーするに足るだけの資金は、この供給をいたしたいと考えておるのであります。そこでこの復興金融金庫も一般金融機關においても、最近は金融規正の結果、集積しております貯蓄の純増のうちの半分をもつてそういう産業資金を賄わせておるのであります。やはりこれも轉換期におきましては資金の貯蓄その他も十分でない場合もあるのでございますから、それにまたないで必要に應じて個個の事業を十分檢討いたした上、經營の合理化その他をも考えまして、必要なる資金はさらに日銀資金を普通銀行、あるいは復興金融金庫に放出して、この信用をつけさすというようにも考えておるわけであります。なおこれがためにはこういう轉換期には復興金融金庫に相當の資金需要が集まることと考えられるのであります。そこで復興金融金庫も先にきめましたように三百億の資本増加をいたしまして、その資金の需要にも應じたいと考えておる次第でございます。
#145
○山花委員 ただいまの答辯でよくわかりました。私の質問はこれで打切ります。
#146
○磯崎委員 大藏大臣に御質疑を申し上げますが、この議會が召集されまして期日がきわめて殘り少くなつております。おそらく片山首班内閣における重要な豫算案も、とうに御提出御審議を得られるような形になるのではないかということを、常に首を伸ばしておるのでございますが、未だその運びになりません。この際率直のお尋ねいたしますが、片山内閣の全貌を現わすべき主要な豫算案がいつ御提出に相なるか。これをひとつ承りたいと思います。
#147
○栗栖國務大臣 お答えいたします。追加豫算案を速やかに提出いたしたいと思いまして、いろいろ編成及び關係方面にも連絡をとつておるわけでございます。一般豫算につきましては大體話をつけておるのでございますが、なほ二、三まとまらぬ點がございます。なおかつ今囘は、一般會計の追加豫算だけを議會に出して、つじつまを合わすような形式的の措置をとつて、特別會計をそのままにしておくということは、國民にありのままを知らす上においてもおもろしくないという建前から、特別豫算、その中でも鐡道と遞信の特別豫算を檢討いたしまして、一定の年限をかすに從つて黒字化するような計畫も大體立てまして、實は關係各方面とも打合わせまして、全部出揃えば大體一週間ぐらいでとりきめようということになつております。たいへん遲れて恐縮の次第でございますが、二十日前後にはこれがまとまるのではないかと考えておる次第でございます。
#148
○磯崎委員 ただいまの御説明ではほぼ了承いたしましたが、私は御提案の際に詳細御質疑申し上げたいとは考えておりますが、この場合一言御意見を拝聽したい。すなわち現下の緊迫せる食糧事情、あるいは高進に高進を續けておりますインフレ下におきまして、國民生活は逼迫した重大な關頭にお互いが立つておるのでありまして、この際一國の財政政策はきわめて重大なものであります。從いまして新しき栗栖財政、現内閣の財政政策がかかつて目下の最も重要な問題であります。閣議やその他におきましての藏相の御高見その他は、新聞紙上を通じて伺つてはおりますが、いわゆる栗栖財政に對する片鱗でもこの席上において御發表を得ますならば光榮だと存じております。
#149
○栗栖國務大臣 今囘追加豫算その他をもる上に現われました現内閣がとりました方針について、ごく大要を申し上げてみたいと思います。
 まず先ほども申し上げましたように追加豫算ですが、それも一般會計と特別會計とを別々にいたしまして、特別會計には、全貌を隱して赤字などそのままにしておき、一般會計だけをつじつまを合わすような、形式上のバランスをとるというようなことは避けまして、實質上でなるべくバランスをとつていきたいと考えておる次第でありまります。一般會計につきまして大體均衡を得さすことができるのではないかと考えております。特別豫算の方につきましては、これは大體に官業がおもでありまして、黒字化することはできないのでありますけれども、三年なり五年の年次ををかすに從つて、黒字化ができるような方針を立てて、經營の健全化という點から經營を刷新し、その改善を實現さすように努めたいと考えておる次第でございます。
 かような次第でございますので、赤字公債はとらない立場でございます。しかしさように申しましても、すでに一般會計、特別會計の本豫算において、若干赤字公債が計上されております。特別會計においては今囘の追加豫算の面においても、若干赤字公債によらざるを得ないことになるであろうと思うのであります。その赤字公債につきましては、これは從來のような市場と隔離した條件で發行いたしまして、日本銀行の引受けという安きにつきまして、市場では全然消化されない。そうして日銀資金が放出し放しになるというような政策は避けまして、赤字公債も市場で消化する。市場で消化するためには、この條件等にも改訂を加えまして、大體利囘り四分五厘のペースに立たすような方針をとつたのであります。
 なおこれが引受けにつきまして、市場消化について金融機關その他を動員する立場もあり、資金の蓄積その他を見合わせましてこれをやりたいと考えまして、實は昨日も金融機關の集まりに出ましてその方針を説明し、大體了解を得たような次第でございます。なお財政については今申し上げるような次第でございますが、地方財政についても同じように健全化いたしたいと考えております。
 なお金融につきましても、從來は財政の面で切りつめて、その尻がすべて金融の面に來ておるというような結果が見えておるのでありますが、これは極力避けたいと存ずるのであります。ただいまも政府支拂が相當延滯いたしておるのでありまして、この政府支拂いも相當促進させるつもりでありまして、貿易關係のごときは七月末にほとんど支拂いをして、なお石炭その他の政府の支拂い、土木關係につきましても一部は支拂いもし、なお今月中には相當の金額の支拂いもいたしたいと考えております。そうしてこの金融面の資金は金融面へ、こういうように流して、通貨の安定、經濟の安定、財政の安定の方面に進ませたいと考えているような次第でございます。
#150
○磯崎委員 ただいまお説を拜聽いたしましたが、おそらくいろいろ御配慮願つていることでございましようが、いわゆるさきに問題になりました新物價體系ないし賃金制度によりまして、おそらく相當な歳出は見込まれなければならなぬ、こういう形に運命づけられているように思われます。今豫算編成中であろうと想像しますから、國家豫算につきましては、まず全貌を拜承いたしまして御質疑をいたしまするが、ただ、ただいま仰せの通り、地方財政の問題で各地方府縣におきましては、いずれも既決の豫算がございまして今日まで進行しております。たまたま片山内閣になりまして、いわゆる狙いの強い御發足でありますが、例の飲食料理店の閉鎖、それに伴うところの飲食税ないし遊興税、こうした税を相當府縣によつては見積つておつたが、これらが今後見積り得ない形になり、その他收入において減額を豫想せられるに相反しまして、歳出につきましてはさきに申しましたいわゆる物件費は、相當飛躍的な増蒿を豫想しなければならぬ。さらにまた人件費の増蒿、こうした問題は當然この歳出にはつきり出てくるものでございます、これらの問題を想像しますると、おそらく地方財政はまさに破綻に瀕しているように想像されます。これに對しまして、むろんこの政府は地方に適當なる財源を與え、交付金制度もとられ、あるいは起債その他の制度についての御施策もありましようが、これらにつきまして、さしあたりどんなふうにお考えになつておられましようか。もう既に各府縣におきましては端境期で、いわゆる給料の支出さえ困難でありまして、その資金を求めるのに混迷しているような事情でありますから、この點につきまして藏相の御説明を煩わしたいと思います。
#151
○栗栖國務大臣 この地方財政につきまして、ただいまの御質問のようなおそれの多いものが多々あるのであります。そこでこれは元來内務省と大藏省の共管になつておりますので、財政については大藏省において主として力こぶを入れないといかぬ關係がございます。大藏省の中におきましても、そういうものを取扱う部局を事實上ただいまは擴充をいたしまして、各地方からの要求あるいは地方の實情等を調査をし、そうして大體短期資金等で借りて一時を凌いでいるものが相當あるのでございます。これは實は昨日地方銀行の會合に出ますときも、そういう要望が非常にあるのであります。これは國家資金計畫の線に沿いまして、このほか起債その他によつて長期化をはかりまして、低利で相當の長い期間でなし崩して整理をするようにいたしたいと考えます。なお今囘の追加豫算につきましては、地方税の分與税が相當額殘してあるのであります。そのほかいろいろ足らないところが多かろうと思われるのであります。なおそういう足りないものにつきましては、あるいは財政の建直しについて刷新をはかり收入減のところは、あるいは場合によりましては國庫負擔とし、あるいは地方税というものを、民力を涸渇しない程度において起させまして、整理をつけさせたいと考えております。
 なお六・三制の義務教育費につきましても、これは國庫の大きな負擔になつても、ほかのものと見合わせて困るような點もありますが、三十一億の中で大體半分近い金額は國庫の負擔といたしますし、なお殘りは地方の財源で賄い得るものは賄わせますし、なお足りないものは、起債の方法によらしめる。その起債の方法も漫然たるわくをただ與えるというのでは何にもならぬわけでございますので、預金部資金その他を動員いたしまして、裏づけのある資金でこれを賄つていく、かように考えておる次第であります。
#152
○鈴木委員長 磯崎君にお諮りいたしますが、まだ……。
#153
○磯崎委員 もうお示しがありますから三分間程度で、また後日の機會に詳細御質疑を試みますが、ただいま申しましたごとく、地方財政は相當窮乏しておる。殊にいわゆる六・三制に伴い、各町村はたいへん過重なる負擔をかけられます。こうした問題は當然資金面にも現われ、いろいろそうした御配慮を願うのですが、これはまた他日の機會に質疑を試みます。かりに資金を貸すというわくを與えられましても、今お説のごとくにほとんど手に入れるのが困難であります。しかも資金を得ても物資を手に入れることはさらに一段と困難であるということを考えますと、片山内閣においてもいろいろ御配慮を願つておりまするが、教育各般の問題の實現に對しましても、容易ならざる暗礁が前途に横たわつております。これらはいずれも關係大臣の方等もおいでくださつた機會において御質疑を續けることにいたしまして、とにかく大藏當局の深甚なる御配慮を御注文申し上げておきたいのであります。
 最後に、過日もちよつと申し上げておきましたが、先ほども同僚からちよつと御質疑のありましたいわゆる五億ドルのクレジツト問題に對しまして、まことに詳細な御説明があつたのでありますが、まだ質疑漏れの分としまして、その金額の内譯としましては、金でどれくらい、銀でどれくらい、あるいは寶石でどれくらいというようなことが明細にわかつておりますれば、その問題も大藏大臣からお示し願えれば好都合と思います。
#154
○栗栖國務大臣 それはただいまのところ、はつきりと日本國政府所有のものがまだわからぬわけでありますので、ここで申し上げることができないのをお許し願いたいと思います。
#155
○鈴木委員長 米窪國務大臣に對して、簡單に野坂議員から御質問の申出がございます。野坂君。
#156
○野坂委員 これはきのうから引續きの問題で、先ほど和田安本長官の御囘答に對して、米窪國務大臣が勞働省の大臣になられますから、その責任の立場からももう一度御返事願いたい。それは昨日米窪國務大臣がこう言われました。一般企業において例の千八百圓の基準をはずして、團體交渉によつて勞働者側の要求を容れる以上、上げることもあり得ると言われたのに對して、今安本長官に聽いたところでは、そうであるが、物價體系の關係では、もしこれが合理化という問題と關連してやればそれは問題はないが、そうでない場合には、物價體系が崩れるかもしれない、こういうふうに言われた。これは米窪國務大臣も大體同一の御意見と見て差支えないですか。
#157
○米窪國務大臣 お答え申し上げます。大體それは新物價體系は、一應六箇月すえおきということになつております。それは豫定通りに資材その他のものが、正常の配給ルートに乘つてきまして物價が下つてきて、そしてそこでもつて、各企業ごとに團體交渉によつて賃金が上げられるように好轉してきた場合においては、六箇月間ですえおきでやつて、また六箇月後においては新しく第二次物價體系が立てられる。その物價體系が變つていく場合においては、標準賃金もまた變り得る、こういうことであります。
#158
○野坂委員 そうすると新物價體系が保たれるのは、ことしいつぱいということに理解して差支えないでしようか。
#159
○米窪國務大臣 七月の初めにきめたのでありますから、大體十二月の終りまでであります。
#160
○野坂委員 そうしますとこの間には、たとえば勞働者との團體交渉によつて賃金を上げるということは、物價體系を崩すことになるので、賃金の増額の要求は容れることはできないということになりますか。
#161
○米窪國務大臣 民間の企業において勞働者との團體交渉によつて、この物價體系を崩すまでにならなくても、餘裕のある企業經營者においては、千八百圓以上の平均給與を、現在ある業種別によつては出しておる。從つてそれらのことについてはその企業のいわゆる經營協議會なり、あるいはその他の團體交渉によつてきめられていくのでございます。但し勞働者の力が非常に強くて、その企業を危いところまで押しこめていつて、なおかつ給與を上げるというようなことになると、それは物價體系を崩すことになるので、政府としては好ましくない、こういうように考えます。
#162
○野坂委員 もう一言念のためにお聽したいのは、そうすれば物價體系を崩さないということが鐵則であつて、これをもし崩すようなかりに要求があるとすれば、これは頑として聽き入れることができない、こういう方針と見て差支えないですか。
#163
○米窪國務大臣 大體そういう方針と思います。
#164
○鈴木委員長 この際大藏大臣が給與の問題に關しまして御報告しておきたい件があるそうであります。大藏大臣。
#165
○栗栖國務大臣 官廳職員の給與に關する經費につきまして簡單に御報告申し上げたいと思います。本件につきましてはその主要な事項は、すべて前内閣當時組合と折衝し決定したものでありますが、總選擧その他の事情のため、今日まで國會に對し御報告いたす運びとなつておらなかつた關係上、便宜私から御報告申し上げたいと存ずる次第であります。
 御承知の二・一スト中止命令が司令部から發せられました當時、政府と組合との間は對立状態のまま、何ら妥結に達した事項はなかつたのであります。その後政府側から給與改善に關する議案を提出し、組合側も遂にこれを承認し、これによつて政府職員の給與水準は、從前の平均月收六百圓から千二百圓に引上げられ、本年一月分に溯及實施せられたのであります。ここまでの經過につきましては、さきに九十二囘帝國議會に、右千二百圓水準の實施に必要な昭和二十一年度追加豫算及び昭和二十二年度總豫算を提出いたしました際、當時の大蔵大臣からその御了解を經たところであります。
 右の千二百圓水準政府議案は組合側が一應承諾いたしましたものではありますが、二・一ストによつて提起された問題は、必ずしもこれによつて完全に解決せられたわけではなかつたのであります。さらに殘された各般の問題を取上げ、政府側、組合側が引續いて協議をするために、妥結の條件として官公職員待遇改善委員會準備委員會が設置せられたのであります。この委員會は昨年第九十議會において勞働關係調整法案が議決せられました際、衆議院の附帶條件としてその設置方を決議せられた本格的な待遇改善委員會の設置に至るまでの準備委員會たるの形式をとつておるのでありますが、實質的には二・一スト後、殘された未解決の問題を處理する、政府、組合間の團體交渉の機關たるものであります。從いまして政府といたしましては、この委員會で決定された事項につきましては、これを實行に移すために必要な順序をとる義務を、組合に對して負うものと了解しておるのであります。この準備委員會は今日までにすでに八囘の委員會及び十六囘の小委員會を開催し、政府側、組合側の各委員相互間に協議が行われておるのであります。その委員會におきまして政府と組合の間に折衝が行われ、その結果妥結に達しました重要な事項が二件ございます。
 その一は、四月十五日決定をいたしました暫定加給の改正であります。これには三つの要素を含んでおります。その一つは職員の年齢に應じた最低給與が定められ、これによつて職種のいかんを問わず、各人の最低生活を確保せしめるという、二・一スト以來の組合側の最も強い要望を、同じく組合側の希望する年齢給の形において取入れたことであります。その二はさきの政府試案に基いて定まつておりました臨時家族手當の定額に、若干の増額が行われたことであります。またその三は新たに特別地域が設けられ、生計費の特に高い地域に勤務する職員には、三割の臨時勤務地手當が支給せられることと相なつな點であります。
 その第二は五月七日決定いたしました月收千六百圓水準の點であります。給與水準の問題は、かねてから準備委員會の議題となつていたのでありますが、政府側、組合側が愼重に審議檢討を重ねました結果、遂にこの水準をもつて兩者間に話合いがついたのであります。終戰以來爭議行爲による賃上げ闘爭の結果、給與の收善が行われたことはむしろ一般的でありましたが、かように使用者側と勞務者側とが爭議行爲によらないで、直接お互いに議論を盡した結果、話會いによつて給與改善案が妥結せられましたことは、終戰後の勞働界にとつて畫期的な事實であります。千六百圓水準の基礎は、内閣統計局が司令部の指導のもとに、全國主要都市において調査しております消費者價格調査によつておるのでありまして、この調査は各階層、名職業を通ずる平均的な生計費として、最も客観的な信用のできる數字と認められるのであります。この水準によりまして、必ずしもすべての官公職員が一人殘らず完全に生活を保證せられるものとは言い切れないのであります。しかし少くとも全國民の平均生活費程度のそれよりも、多くも少くもない程度の金額は、これを官公職員に對しても支給することが、公正かつ妥當な措置であると信じ、政府としましてはこの千六百圓水準案に同意した次第であります。この千六百圓水準は、新基本給の決定によりまして初めて完全に具體化されるわけでありますが、新基本給の決定はその合計につきまして、政府、組合間に意見の一致を見ない點が殘つておりますため、未だ實行されておりません。しかしながら最近の職員の生活の逼迫はこれをそのまま放置しておくわけにはまいりませんので、政府は規定の豫算を差繰り、本年一月以降、千六百圓水準と千二百圓水準の差額の一部を、概算拂的な意味をもつてすでに支給濟であります。しこうしてこの分を含めました昭和二十二年度、前年分の必要な豫算につきましては、近く本國會に提案されます補正豫算案に計上し、各位の御審議を仰ぐ手配となつておる次第であります。
 以上はいずれ補正豫算におきまして具體的な計數によりまして、各位の御協贊を仰ぐこととなるわけでありますが、事柄の性質上ここであらかじめ今日までの經過を御報告し、各位の御了承をお願いいたしたいと存ずる次第であります。
 なおこの機會に一言御報告いたし、御了解を願つておきたいと存じます。今囘關係豫算の實施といたしまして、政府職員に對し超過勤務手當を給することといたしたいと存じますので、この際、皆樣の御了解を得ておきたいと存じます。これは昭和二十年勅令第百六十一號、官吏の俸給等の基準に關する勅令にもとずきまして、政令で實施し得るのでありますが、事柄が給與という見地から相當重要と存じますので、特にここに發言いたしまして御了解を得たいと存ずる次第でございます。
#166
○鈴木委員長 ただいま大藏大臣から御報告がございましたが、これは御報告でありまして、一應これを了承しておきたいと存じますが、いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○鈴木委員長 それではそのほかに大藏大臣への何か御質問はございますか。
#168
○小島委員 本日はこの程度で審議を打切つて、明日討論採決ということにしたいと思います。
#169
○鈴木委員長 小島君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○野坂委員 ちよつと議事進行について一言お尋ねしたいのですけれども、今まで私たちに出されておる資料は非常に少いのです。出ておるのは非常に大まかな數字しか出ておりません、細目は全然わかりません。先ほど當局の人にお聽きすれば、まだ印刷ができないと言う。こういう状態のもとで、この委員會で、この勞働省の豫算を私はきめることはできない。雲をつかむようなこういう材料だけで、無責任にこれを決定することは、われわれはやるべからざることと思います。この細目がいつできるか。これによつてこの委員會の進行状態もお考えになつて、きめていただきたいと思います。
#171
○小坂政府委員 ただいま野坂委員からの御發言まことにごもつともでございます。われわれといたしましても、極力資材を早くいたしまして準備いたしたいと思います。いろいろと印刷能力等の關係もございまして、今のところちよつといつ正確に提出するということも、明言しかねると思います。できるだけ早くやるという程度で御了承願います。
#172
○鈴木委員長 それでは本日はこれで散會いたしまして、明日討論を續けたいと思います。
   午後五時四十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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