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1947/06/30 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第46号
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1947/06/30 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第46号

#1
第002回国会 財政及び金融委員会 第46号
昭和二十三年六月三十日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○損害保險料率算出團体に関する法律
 案(内閣送付)
○物資の割当に関する手数料等の徴收
 に関する法律案(内閣送付)
○簡易生命保險事業における戰爭危險
 に因る死亡に基く保險金の支拂によ
 る損失の補てんに関する法律案(内
 閣送付)
○製造たばこの定價の決定又は改定に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○貿易資金特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
   午前十一時三十九分開会
#2
○委員長(黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。先ず損害保險料率算出團体に関する法律案並びに簡易生命保險事業における戰爭危険に因る死亡に基く保險金の支拂による損失の補てんに関する法律案、物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法律案、この三案が予備審査のために付託に相成りましたのでありますから、この三案ついて、政府より提案理由の説明を求めたいと思います。
#3
○政府委員(森下政一君) 最初に損害保險料率算出團体に関する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 損害保險事業の保險料率は、過去の損害率、將來の損害発生の予想及び経費率によつて定められますが、損害発生の予想の中には、周期的に大火などの異常災害が起ることも考慮に入れる必要があります。而して損害保險の対象は、建物、家財、機械、設備、原材料、商品、船舶、運送品、積荷、人体に対する傷害その他多岐に亘り、損害高の程度は建物の構造、その用途、水利、消防施設、地勢、氣象、商品の性質、船舶の構造、航路の状況、施設管理の良否、人心の動向等極めて複雜な要素によつて左右されるのであります。この故に損害保險については、廣汎な資料と、専門的知識と、多年の経驗とを、集積して初めて合理的であり、妥当であり、且つ公平な保險料率を求めることができるのであります。前に申述べましたような複雜多岐な要素により保險料率が算出されるということは、その原價計算がむずかしく主観的な測定が行われる余地があるこりを意味するものであります。從つて保險料率の算出を各個の保險会社の自由に委せるときは、保險料率は保險会社間の過度の競爭により知らない間に不当に切下げられる傾向を有するものであります。かくて一たび異常災害が起りますときに、損害額が保險会社の担保力を超過し、保險契約者及び被保險者に迷惑を及ぼし、延いては損害保險事業の信用を傷つけるに至るのでありまして、このことは過去の経驗に徴しても明らかであります。現在の保險業法では、保險料率を大藏大臣の認可に係わ、せらる外、その第十一條において保險料率の統制協定を認め、又大藏大臣は保險会社に対し統制協定を命ずることもできることになつておるのであります。独占禁止法の制定後においても、「独占禁止法の適用除外に関する法律」により昨年十月三十一日まではこの保險料率の統制協定に関する保險業法第十一條は独占禁止法の適用から除外されておりました。併しながらこの規定は同業者間の自治協定を公認し、促進するものであり、明らかに独占禁止濃の精神に反するので、昨年十一月後の事態については適切な対策を講ずる必要があつたわけであり、保險業法の全面的改正の際これを解決する予定となつていたのでありますが、保險業法の改正が急速に進まない関係上、本件を切離して至急処理することが必要となつて参りました。これが対策といたしましては、公正な科学的保險料率を算出する損害保險料率算出團体の設立を認め、損害保險会社が任意その会員となることにより、合理的保險料率を利用し得る途を開くと共に、他面において料率團体の構成、業務の運営についても適切な規則を加え、業者間の自由競爭を不当に抑制せんようにすることが適当であると考えられるのであります。かくして損害保險事業の健全な発達及び保險契約者等の保護を図り、併せてこの法律に基く正当な行爲については、独占禁止法の適用を排除しようとするのがこの法律案を提出する理由であります。法案の大要は次の通りであります。
 第一に、損害保險料率算出團体は、公正且つ合理的な保險料率を算出し、保險料率に関する諸般の資料を会員たる損害保險会社の利用に供することをその目的とするものであつて、この法律に基く特殊法人とし、その設立については大藏大臣の認可を受けなければならない。損害保險会社は、任意に会員となつて保險料率又はその施設を利用することができるものといたしたのであります。脱退は勿論自由であります。
 第二に、会員が料率團体の算出した保險料率を利用する場合は、会員たる保險会社が個々に保險業法に基き保險料率変更の認可を受けなければならないものとし、且つ料率團体が会員に代つて認可を受けることを禁止いたします。
 第三に、料率国体をして保險料率算呂の資料の閲覧、料率の周知等の公開的措置を取らしめることといたしました。
 第四に、料率團体に対する大藏大臣の検査の権限、その他必要な監督の権限を規定しましした。
 第五に、保險業法第十一條の統制協定に関する規定を削除すると共に、本法による行爲については独占禁止法の適用を除外することといたしたのであります。大要以上のごとくであります。どうぞ速かに御審議をお願いいたします。
 次に、「簡易生命保險事業における戰爭危険に因る死亡に基く保險金の支拂による損失の補てんに関する法律」案提出の理由を御説明申上げます。
 政府において管掌いたしております簡易生命保險の事業につきましては、御承知のごとく、郵便年金事業と併せて簡易生命保險及郵便年金特別会計という一つの特別会計を設けまして、これを保險勘定及び年金勘定に区分して経理しているのでありますか、保險勘定におきましては、今次の戰爭に因る死亡事故に対する保險金の支拂が、これらの被保險者のために積立てた積立金を超過いたしましたことによりまして、昭和二十二年度末までに、四億七千三百二十余万円の損失を生じたのであります。この損失の生じました理由は、主として保險料の料率の引上を行わなかつたことに原因するものであります。即ち保險数理上から申しますれば、御承知のごとく、今次の職歴のごとき保險上の危險率の極めて大きい危險が新たに生じて参りました場合におきましては、その危險の率に相應する保險料を増加徴収する必要があるのでありますが、当時の諸般の事情からいたしまして、戰爭危險率を加味した保險料に改正することなく、戰前の保險料を以て、引続き契約を締結して参りましたことに基因するのでもあります。向、民間経営の生命保險及び損害保險につきましても、簡易生命保險におけると同様の事態が生じたのでありますが、これらに対しましては、生命保險中央会法、損害保險中央会法等に基きまして、その損失は國庫においてこれを補償することとなつておりますことは、御承知の通りであります。簡易生命保險事業における昭和二十二年度末までに生じました戰爭危険に基く損失の額は先に申上げました通りでありますが、海外からの同胞の引揚げが促進いたしまして、保險事故発生の事実が逐次判明して参りますので、昭和二十三年度におきましては、約一億二千万円の損失が生ずると見込まれますが、昭和二十四年度以後におきましても引続き相当額の損失が生ずると予想せられますが、かくては簡易生命保險事業の運営に多大の支障を來すこととなりますので、民間保險事業における損失の補償とも睨み合せまして、今回本法律によりまして簡易生命保險事業における戰爭危険に基く損失は、一般会計の負担において、これを補てんすることと致し、これに必要な措置を講じようと存ずるのであります、即ち保險勘定における今次の戰爭に基く損失は、本事業運営の実情に顧みまして、昭和二十二年度末までに生じました損失額四億七千二百二十余万円につきましては、一般会計の負担においてする保險勘定に対する交付公債を以てこれを補てんすることとし、昭和二十三年度において生ずると推定されます損失額一億二千万円につきましては、今後戰爭危険に基く事故に対する保險金の支拂を現金を以てしなければなりません関係上、一般会計から特別会計の保險勘定に対する現金による繰入を以てこれを補てんいたす所存の下に、過般提出いたしました昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算に必要な額を計上いたしたのであります。尚昭和二十四年度以後におきまして生ずると予想されます損失額の補てんにつきましても、逐次、昭和二十三年度までの分に対すると同様な措置を取る所存であります。尚先に申上げました交付公債につきましては、政府において、これを交付するに必要な額に相当する公債の発行権限を得る必要がありますので、これに関する規定を本法律案中に設けておりますが、更に戰事危険に基く損失の範囲、損失額の決定方法及び損失の補いてんの時期に関する規定も本法律案の中に設けた次第であります。以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。
 最後に、物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法律案提案の理由を御説明申上げます。臨時物資需給調整法に基く命令の規定による生産用資材の割当事務に要する経費につきましては、現在全額國費を以て賄つておるのでありますが、この経費は相当の額に上り、これを本年度の予算について見ますると、凡そ十九億円と相成つておるのであります。この割当事務は、直接には当該資材の割当の申請をする者又は割当を受けた者の利益のために行われるのでありますから、一種のサービス料としてこれらの受益者から一定の申請手数料及び割当料を徴収して歳入の増加を図り、これを以てこの事務の取扱に要する経費の財源に充てることが、現在の財政状況から考えて、適当であると認められますので、本法に基いて申請手数料及び割当料を徴収することにいたそうとするのであります。尚申請手数料等の徴収を確実にするため、申請手数料に相当する金額の収入印紙を貼らない割当申請書は、これを行政機関において受理しないこととし、又割当公文書に割当料に相当する金額の収入印紙を貼らないで、割当資材の取引を行なつたとき、及び当該収入印紙に消印を押さないで取引を行なつたときは、当該割当公文書を無効とすることとし、併せ規定いたしたのであります。以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。どうぞ御賛成あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(黒田英雄君) これらの法案につきましての御質疑は又後にお願いいたしたいと思います。
 次に、製造たばこの定價の決定又は改正に関する法律案を議題といたします。本法案はすでに質疑終了に相成つておるのでありますけれども……速記を止めて。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて。只今製造たばこの法律案を申上げましたが、これはちよつとあとに廻しまして、先程政府委員から提案理由の説明のあつた三案につきまして御質疑のある方は御質疑を願います。
#6
○波多野鼎君 この損害保險料率算出團体に関する法律案ですが、この提案理由の説明にもあつたのですが、業者が自治協定をやることは独占禁止法の違反になるので、併し自由競爭に委して置いたんでは困るというのでこの法律案を出したというのですが、この法律案そのものは大体業者の自治協定と同じじやないですか。その辺はどうなんですか。
#7
○説明員(長崎正造君) これは保險会社を会員とする同業者團体でありますが、大藏大臣に対する認可の申請は保険業法によつて個々別々に申請しなければならないというような建前になつております。それからその他公開的措置を取らせるとかいうようなことをいたしまして、私的独占とかカルテルによつて消費者に損害を與えるというようなことが成るべくないようにしているわけであります。まあ要するにこれは一方において損害保險会社が料率の協定に協力することを認め、他面において独占禁止法の精神に反することのないように規制するというような建前になつております。で、会員はこの料率團体から脱退することもできる。アウトサイダーも認めるというような建前になつているわけであります。
#8
○波多野鼎君 そうしますとアウトサイダーを認めることになれば、やつぱり自由競爭的なことになりますから、非常に僕は鵺的法律案じやないかと思うのですが……。
#9
○説明員(長崎正造君) そういう妥協的な法律案なんです。
#10
○波多野鼎君 併しアウトサイダーを認めるという建前の上に、実はアウトサイダーを認めないことになるのでしよう。運営上は……。
#11
○説明員(長崎正造君) そういうこともあり得るので、そういう場合には独占禁止法上実質的にと申しますか、事業活動で同一歩調を取るという場合も起り得るので、そういう場合にもこの法律に基くものについては独占禁止法の適用を……。併し建前としてはどこまでもアウトサイダーを認めるし、大藏大臣に対する認可の申請は個々別々になし得るというので、不当にこういう料率團体というようなものは、会員を拘束するということがないように考慮を拂つております。こういうものであります。
#12
○波多野鼎君 独占禁止法の精神を一面において蹂躪したような性質のものですね。
#13
○説明員(長崎正造君) 法規の建前といたしましては、実質的に現在の保險業法を改正して行くということになつておると思います。後はその時の事情によつて大藏大臣が同一料率を会社が採用して來た場合に、それをそのまま認可するという、協定というようなとこが起ると想像されます。協定というよりは統一的の料率が採用されるということも想像されます。現在実際問題としてはそういうような問題が起るのではないかと思います。
#14
○波多野鼎君 それからこの物資の割当に関する手数料の徴収に関する法律案ですが、この申請に手数料を取るということはどうかと思いますが、財政上の理由で取つてもいいのだというのですが、それならば申請に対する政府の認可ということも迅速に取運ぶようなことも一方において考えないといけないと思う。手数料ばかり取つて、認可申請はいつまでも引延ばして置くというような、今までのやり方を改めませんと、片手落になると思います。そいう点は何か考えておりますか。
#15
○政府委員(村上一君) 只今の御質問にお答え申上げます。実はその点につきましては実務担当官職の方からお答え申上げるのが適当であるかと存じますが、一應私からお答え申上げます。その点につきましては御承知のように臨時物資需給調整法に基きます指定生産割当事務と申しますか、昨年の確か暮であつたと思います。始めました当初は事務当局も非常に不慣というような点もありまして、只今御指摘がございましたように、なかなか割当事務がスムースに行かないというような実情もございましたので、そこへ持つて行つて手数料を取上げるということも、端的に申しますと少し酷じやなかろうかというような点もございましたので、実は只今まで手数料を徴収するということは延び延びになつておつた次第であります。その後約一年になるのですが、実情を見ますと大体軌道に乘つて來たようであります。当初は相当ござごたいたしましたが、今度は大体スムースに行き得るという見込で、実施官廳ではそれぞれ或る程度の自信を得ておられるようであります。今度御審議願つております程度の手数料ならば取ることにいたしまして、そうひどいことはないというふうな考えを持つております。一方財政の状況は御承知の通りでございまして、本件に関しまする歳出は二十億近いというような状況でございます。これは本年度予算ですでに二十億円でございます。平年度におきましては尚若干増加するわけであります。これを見合います程度の歳入も徴収したらどうかという意見も前から持つておりました。そこで只今御指摘がありましたように事務の実績が相当上つて來たという現在の時期を見まして、今度これを徴収させて頂く、こういう趣旨で本案を提案しておる次第であります。尚御指摘のございました事務をスムースに的確にやつて行くということにつきましては、安本を始めそれぞれの所管廳においても十分考慮いたしております。又引続き努力をいたすつもりでございます。
#16
○波多野鼎君 何かその点について法的措置を講ずることは考えておりませんか。例えば戰爭中やつたように申請後二週間経ても政府が何ら返事しないときは認可したものと認めるといつた調子のことを敏速にやつて貰わないと、事業活動はできないと思います。安本や主務当局の間でスムースにやろうというような申合せの程度では、どうも実績は挙らないと思います。特に今のように官紀の弛緩しておる時に手数料だけ取るということは非常に片手落ちだという感じがします。
#17
○政府委員(村上一君) 誠に御尤もと存じます。ただ法規的に、例えば御指摘のございましたように、申請後一定期間を経過したものは申請通り認可しものと認めるという段階まで持つて行きますことにつきましては、只今のところそこまで関係当局では考えておりません。
#18
○委員長(黒田英雄君) それでは只今の法案につきましての御審疑は本日は、この程度にいたして置きまして、次に、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律案を議題にいたします。本案につきましてはすでに質疑終了になつておりますので、直ちにこれから討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
#20
○栗山良夫君 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律案に対しましては、次に申述べまする理由によりまして私は修正案を提出いたしたいと存じます。修正案の内容につたましては、その理由を申上げましてから御説明をいたしたいと思いますが、一應謄写版にいたしまして、お手許にお配り申上げたような内容に相成つております。先ず第一に今度の「たばこ」の値上げの不合理性と申しますか、それを最も端的に指摘し得るものは、專賣当局、専賣労組との間におきまして、質疑の過程において、或いは公聽会の過程におきまして明らかに相成りましたことは、当局労組共に一致してこの値上には原則的に反対であつたということが一つの特異な現象であります。國鉄或いは逓信の場合には当局と労組との間に反対賛成のはつきりした喰違いができておりまするが、私共の知る限りにおいては特異性を認めぎるを得ないのであります。これは畢竟するに國家財源の不足を他の財源に負うことなくしてすべて「たばこ」へ集中して來たそういうことに結論付けざるを得ないのであります。ここに今回の「たばこ」値上の不合理性を最も如実に表明しているものと思わざるを得ないのであります。更にこれを掘下げて考えまするならば、國鉄逓信の場合におきましては、その企業の経営的内容をすでに説明せられておりますように、極め厖大なる赤字を出しているのであります。これを値上げするか、或いは一般会計より補給するか、いずれにいたしましても何らかの措置を取らなけば企業の健全なる運営はできない、こういうふうに相成るのでありまするけれども、「たばこ」の場合はすでに製造原價も公表せられた通りでありまして、販賣價絡との間における差の開きというものは、一般商品の價格が決定される場合の常識を逸した極めて暴利的な傾向を持つたところの價格である、こういう工合に言わぎるを得ないのであります。若しこういうような暴力的な價格が政府の手によつて行われるということになり、而も今までの日本の社会的通念からいたしまして、「たばこ」の値段は日傭労務者の賃金或いはその他の第二次、第三次的な消費財の闇價格に直接的な影響を及ぼすことは國民の等しく知つておるところでありまして、そういう意味から申しましても、この値上が極めて不合理性を持つているということを言わざるを得ないと思うのであります。更に私共が最も懸念いたしますることは、いわゆる賃金生活者の実質賃金確保に対する影響であります。政府は、三千七百円ベースの設定を裏付けるために、合理性を持たせるために、飽くまでも物量による実質賃金の確保を期待いたしたい、努力をしたい。こういうことを述べておられるのでありまするけれども、この三千七百円ベースに直接的な大きな影響を及ぼすものの一つに、この「たばこ」の値上を挙げざるを得ないのであります。言うまでもなく、只今「ピース」一個を毎日配給以外に補充するといたしましても、三千七百円ベースの中へ千五百円は食い込むわけでありまして、只今俸給生活者は殆んど全部喫煙をいたしておる実情であります。この家庭生活に及ぼす影響は極めて深刻であると言わざるを得ないのであります。自由販賣と雖も、極力値下をすべき時期でありまして、こういうような値上にはどうしても賛成するわけには行かないのであります。過日中央大学の教授が言われたときも明らかでありまするが、配給百本、自由購入五十本、こういうような実際生活には不足の数量を以ていたしましても、國民消費資金の五%を超えまして、七%になると言われておるのでありまして、若し毎日一箱ずつを賣うとするならば、遥かに高い消費支出となるのであります。この点におきましても勤労生活者の生活の脅威を與えていることは事実です、今後この値上を許すならば、更に大きな影響を與えるということは火を見るよりも明らかであろうと思うのであります。殊に私共は家庭配給量の増加の計画を政府に質したのでありまするが、將來の不確定な増産によつてこれを補おう、こういうような答弁より得られなかつたわけであります。私共が現在、この深刻な三千七百円ベースを目前に控えまして、実質賃金の裏付け、物量による裏付けは、不確定なる將來に期待するわけではなくして、現在直ちに奥行に入つて貰いたいのであります。そういうような明らかな見通しも得ることができなかつたのであります。そこで以上三点ばかりの理由を申上げたわけでありまするが、そういうような理由からいたしまして、原則として配給「たばこ」は据置く、それから自由販賣「たばこ」も据置でありまして、新製品に対しては、政府の發表された値段より若干引下げて、闇「たばこ」との均衡も得まして、そうして新らしい價格を設定いたしまして、一つの價格体系を「たばこ」の上に打立てたいというのが修正案の目標であります。國民経濟力の限度から申しましても、恐らくこの程度の價格でなければ、九百三十四億の厖大な益金を今度の値上によつて予定されておることは、恐らく見積り過大でありまして、この程度で十分、この程度でなければ予定の収入は得られない、こういうような見込も立てておるのが私共の修正案を提出いたしました理由であります。
 修正案の内容は、両切たばこの「ピース」は、單位十本でございまして五十円に据置き、それから「憩」は十本四十四でございましたのを三十五円、「ハッピー」十本三十円でありましたものを二十五円、「きんし」十本十一円ありましたのを六円、それから刻みたばこは「ききよう」を三十グラム二十円、「みのり」を三十グラム十五円、手巻用刻み「たばこ」「のぞみ」三十グラム十五円、このように止どめたい。こういう考えでございます。以上修正案の提案理由並びにその修正案の全部を御説明申上げた次第であります。
#21
○中西功君 私は今出されました修正案に賛成するのでありますが、少し今日の政府が採つておる「たばこ」政策について我々の考えを述べたいと思います。
 この「たばこ」の今日の値上或いは又「たばこ」の價格自体が全く大衆課税であるということについては殆んど異議はないと思います。その点については先程栗山委員からも非常に明瞭に述べられております。政府はこの度これを値上するに当りまして、「たばこ」は嗜好品であるというふうなことを構想しておりますが、こういうことは全くでたらめである。明らかに大衆課税だと思います。そうしてこれが我々の生活に非常な影響を持つことは極めて当然でありますが、尚私は申上げたいのは、恐らく政府は財源が他にないために止むを得ない措置だというふうにまあ言つておるのだろうと思われますので、果して財源がないのかという点、そして政府の今日のこの値上それ自身に大さな矛盾があるという点を私は強く指摘したいと思うのであります。今日においてもよく財源がない、あるということが昨常に問題になつておりますか、今の政府の立場は大衆課税によつては幾らでも財源はあるけれども、そり他の財源はないというふうなはつきりした建前であつて、これは昨日もこり委員会においても所得税の見積りについて木村委員から非常なはつきりした意見が述べられておるところを見ましても、我々は「たばこ」を値上げして得られる税金の額ぐらいは所得税の方で簡單に産み出すこともできると思われますが、それはともかくといたしまして、現に今の政府の「たばこ」政策自体は非常な矛盾があると思います。又非常に下策であると思われるので、あります。
 第一に農民、即ち「たばこ」を作つておる農家に対する賣上價絡というものか全くなつておらない。これが生産費を償わないということもこれははつきり指摘されております。從つてここに闇の根源ができるわけであります。いろいろ方法で闇がこの「たばこ」を作つておる。農家からの横流れが行われておりますが、一つの例で言えば農家とその「たばこ」の闇集賣者との間に暗黙の契約があつて、夜になつて頻々として「たばこ」の葉が盗まれというふうな方法で、廣汎に行われております。これは明らかに今の政府の「たばこ」賣上價格が非常に低價である。そのために農民は或る場合には決死的にも一「たばこ」を横に流、これは米の場合と全く同じであります。このために政府として増産もできないというふうな状態になつていると思われます。從つて又他方においてこういうふうな状態で、即ち闇が横行するというふうな状態で「たばこ」の値上をする、更にその値上自体によつても今度は余計に闇を繁栄させるわけであります。今日いわゆる私設專賣局と称せられるものが極めて廣汎に横行しておつて、その額が相当の数に達するということは、これは誰でも知つております。ですからこの度の値上はますます「たばこ」の収益それ自体さへも減少してしまうというような愚策であります。でありますからこれを要約いたしますと、一方においては、我々勤労大衆の非常な大きな負担になるだけではなくて、同時に「たばこ」を件つている農民自身の生活さへ何らこれによつて改善はされないどころか、反対に闇「たばこ」をますます横行させる結果、究極においては我々自身は非常に損をしているのに政府には我々が入つて來ない、こういうふうな結果に達するだうろと思うのであります。これが結局專賣局においても労働者からも反対があり、当局においても余り喜ばれない原因だと思うのであります。我々といたしましてはこういう矛盾をみすみす見逃がしてたばこ値上に賛成するということは、非常に全くできないことでありまして、実除に「たばこ」のこの問題を深刻に正しく正直に良心的に考えてやる人ならば、誰しもこういうふうな下手な、ただその場その場で財源がないために、ここに見出すというふうな政府のやり方に対しては、絶対賛成ができないじやないかと我々は考えます。そういう意味で私達はもつと根本的にこの「たばこ」の問題を考えなければならん。それに対しては政府の農民に対する政策それ自体も、本当に変えて行かなければいけないし、今日のこういうふうな闇の横行に対する政府の政策それ自体も、根本的に考えて行かなければならんと思うのでありますが、これを今勤労大衆が非常に要望しております。
 ともかくも「たばこ」は價格は据置にして欲しいという熾烈な要求、これは今日物價値上反対運動として議会外において非常に大きく盛り上つているのでありますが、そういう要望に應えて、我々は少くとも栗山委員の修正案に賛成したいし、又賛成することが決して政府を困らせることであるとか何とかいうようなことではなくして、眞に「たばこ」政策そのものを本当に確立して行く第一歩だと思いますので、私はそれに賛成したいと思うのであります。
#22
○山田佐一君 ちよつと一遍速記をやりて貰いたい。
#23
○委員長(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて。それではこの程度で休憩いたします。午後の開会時間は又あすこに掲示しますから、どうぞ御承知願います。
   午後零時三十三分休憩
   午後三時一分開会
#25
○委員長(黒田英雄君) それではこれより休憩前に引続きまして財政及び金融委員会を開会いたします。これより懇談会に移ります。
  午後三時二分懇談会に移る
  午後三時論十五分懇談会を終る
#26
○委員長(黒田英雄君) それでは懇談会を終わりまして討論を続けます。栗山委員からの修正案と、中西委員からのそれに対する賛成の御意見の発表があつたんですが、他に御意見ございますか。
#27
○山田佐一君 私は栗山委員が修正意見を出されまして、大体の趣旨においは、徒らに價格を上げて増収を図るということが、今日の状態から見て如何かと思うのであります。大体私の原案は栗山君の原案と趣旨は一緒でありまするが、数字の上において相違がありのであります。それは販売價格において軒並みに二割引下、賣入價格において葉「たばこ」の二割價格を引上げて見入れる。而してこの歳入の欠陥は生産能力の増加を図つて、一割乃至一割二分の生産増加を図つて財源のバランスを取る、こういう案を提出いたしまする次第であります。今日の「ピース」の賣行状態から申しましても、この上の値上げをされるということは如何かと思うのと、そうして徒らに政府は低物價政策、インフレ抑圧と口で言いつつも、このインフレの先がけをするような「たばこ」の値上を率先いたすということは、私はその趣旨の上において、どうかと思うのです。民間に直きは何倍なつたというと、「ピース」一つ幾らだ、「たばこ」一つ幾らだということは、すべての民間取引の上において影響を、及ぼすのでありまするみら、この上に財源がないからと言つて直ちに「たばこ」の値上をする、而も嗜好品であるから当り前だという御趣旨でありまするが、これにも或る程度の價格には限界点があると思うのであります、尚一層政府は又この上において物價騰貴をやつて、幾らでも物價を上げて行くのだ。今の六十円にしても、今は賣行が止まるかも知れないが、その中に幾らでも物價が又改訂されれば購賣力ができるという見解ならば別でありますが、そうなれば曾ての政策と矛盾すると思うのであります。その意味におきまして原案の「たばこ」の賣價から二割引下げ、而して農家の葉「たばこ」製造家の今の原價では引合わないのでありますから、これに対しても二割の價格を引上げて、而して農家の供出意欲を刺戟して、喜んで供出させるようにして、而して脱税と密作、闇「たばこ」の撲滅に資して貰いたいと思うのであります。右修正案を提出いたします。
#28
○深川タマヱ君 先程から私は「きんし」に加工をいたしまして、少し値段を高くして、高い値段のものを引下げる案と、それふら「きんし」と高い「たばこ」との内容を入れ混ぜましてというような案を申しましたが、「きんし」そのものが分量が少いので大した効果はないといたしますと、残る案は、高賣つておる「たばこ」の中に混ぜ物をするのであります。その混ぜ物は只今「いたどり」というようなものだけを入れられておりますが、民間にはもう少しいろいろな物でたばこの代用をつとめられるやうな物があるように聞いておるのでありますが、専門家の專賣局の方にきつと御存じ……御存じでなければ至急に聞き合す方法もあると存じますが、これが探入れらればよし、探入れられなければ別宴がございます。
#29
○委員長(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて。他にご発言ございませんか。他に御発言がなければ、討論は終結したものとみなして、直ちに採択に入りたいと思いますが御異議ありませんか。
   〔「異議なし」を呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは製造「たばこ」の定價の決定又は改定に関する法律案を議題といたしまして採決に入ります。先ず栗山君提出の修正案を議題といたします。この修正案を当委員会の修正案といたすことに賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者少数〕
#32
○委員長(黒田英雄君) 少数であります。よつて栗山君提出の修正案は否決せられました。
 次に、山田君提出の修正案を議題といたします。山田君の提出は價格をおのおの二割引下げるという案であるのでございます。この修正案を委員会の修正案といたすことに御賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者少数〕
#33
○委員長(黒田英雄君) 少数と認めます。よつて山田君提出の修正案は秘決せられました。次に、原案全部を議題といたします。本案賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#34
○委員長(黒田英雄君) 多数を認めます。よつて本法案は多数を以て原案通り可決せられました。尚本会議におきまする委員長の口頭報告は、先例によりましてお任せを願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」を呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは委員長が議院に提出する報告書につきまして、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#36
○委員長(黒田英雄君) 次に貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御審議を願います。本案につきまして御質疑はございますか。
#37
○中西功君 これはこの前予算委員会の質甜瞬で、この問題が問題になりまして、そうして一應今後起つて來る状態を予想して考えて見ると、ここに書いてある額程要らない。即ち二十七、八億ぐらいでよろしいのだというふうな答弁があつたのであります。商工省当局のそういう答弁が実際あるのであります。ですから、これは私おかしなことだと思うのです。その点はつきりさせて貰う必要があると思うのです。
#38
○政府委員(新井茂君) 只今の質問にお答えいたします。私予算委員会にちよつと出ておりませんので、その答弁の内容については承知いたしておりませんが、先般お手許に御配布いたしました資料にもあります通り、本年度におきましては約四十八億程度の赤字になる予想でございますので、その資金を支障なく賄いまして、輸出に支障なからしめますためには、約五十億の限度において本資金を獲得する必要がある、かように存じます。
#39
○中西功君 ですからそんなふらに両方の答弁が喰違つておる。両もこれは事務当局の方なんです。答弁が喰違つておるというのでは非常に困るのですがね。その答弁の内容は翌日の日本経濟新聞にも載つておりました。
#40
○委員長(黒田英雄君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#41
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて。本日はこの程度で散会いたします。
   午後四時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
   委員
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           石川 準吉君
          尾形六郎兵衞君
           田口政五郎君
           深川タマヱ君
           星   一君
           小林米三郎君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
           栗山 良夫君
  政府委員
   大藏政務次官  森下 政一君
   貿易廳次長   新井  茂君
   大藏事務官
   (主計局法規課
   長)      村上  一君
  説明員
   大藏事務官
   (銀行局保險課
   長)      長崎 正造君
ソース: 国立国会図書館
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