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1947/07/02 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第48号
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1947/07/02 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第48号

#1
第002回国会 財政及び金融委員会 第48号
昭和二十三年七月二日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○軍事公債の利子支拂の特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○金融機関再建整備法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
○割増金附貯蓄の取扱に関する法律案
 (内閣送付)
○当せん金附証票法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後一時四十五分開会
#2
○委員長(黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。本日は先ず軍事公債の利子支拂の特例に関する法律案を議題といたしまして御質疑を願いたいと思います。
#3
○波多野鼎君 軍事公債の利拂問題ですか。質問がなかつたら打切りにして下さい。どなたも発言ないのでありますから。
#4
○松嶋喜作君 あるのでありますけれども、事務的のことと余り細かいことを大臣に伺つてもどうかと思つて今考えておりますのですか、決してないのではないのです。沢山ありますから。いや、大臣が見えておるから大臣に一つ伺います。沢山ありますが、この軍公の利拂延期というのは非常に不徹底だと思うのでありますが、一体どこを狙つておやりになるのか、数字的には大体心得ておるのでありますが、尚その数字の点については事務当局に伺いたいと思いますが、政府の所有しておる方面を除けば大体十五億円ぐらいの利拂延期になるという、こういうように承知しておるのでありますが、一体眼目は、政府の利拂延期をさるる最も大きな狙いはどこにあるのか、一つ大臣に伺いたいと思います。
#5
○國務大臣(北村徳太郎君) この問題は、この財政金融委員会では恐らく今日が初めてだろうと思いますが、相当國会内においては論議が盡されておりますので、定めし政府側の言い分もお聞き願つておると思うのでありますが、大体こういう問題の発端から申上げますと、連立内閣でございますから、三党それぞれの中で、先ず重要な問題として三党で政策を話合つた点がございます。その話合いに基きまして、軍事公債の利拂停止について或る処置を講ずるというような、政策の出にまあ一つ約束があつたのです。これはまあいろいろ練つた上で、そういうところへ持つて行つたのでありますが、それを実行するということに相成りまして、從つて今回そのような措置をとつたわけであります。これはまあ專ら連立内閣の基本的一つの政策である三党政策協定に基くものであるというふうに御理解願いたいのであります。こんなことをやつて十五億くらいの金しか浮いて來ないのに、一体なぜやるのかといつた意味のお考えも必ずあると思うのですが、いろいろ考えようがあると思うのですけれども、一面においては、多年に亘りましての軍事公債なるが故に、利子を否定するのみならず、利子の否定を通じて、やがで元本も否定するという思想も相当世の中にある。それがために多少の不安を與えておる向きも少くないと思うのです。私共といたしましては、かような不安を除去しながら一應の妥結点を見ることが必要である。今、非常に不徹底という言葉がありましたが、私も率直に不徹底と思いますけれども、これで先ず軍事公債というものも元本の安全性を確保することができる、こういう点においては多年もやもやしておつて、結局軍事公債というものは打切りになるのではないかという不安が、今回の措置によつて一應明確に或る意味においては保証されたという点は、今回やつたことの一つの狙いといいますか、効果であろうと考えてもいいじやないか、まあ、そう一つお考えを願つて、すでに予算の中に予算的の措置を講じているのでありますから、どうか一つ御承認を願いたいと私共は考えております。
#6
○松嶋喜作君 それで却つて安心するであろうというお話ですが、これは立場によつて違うので、料理店の停止でも、一年と言いながら段々継続して行く、こういうことで果して三年で済むかどうかということは、これまでの政府のやり方では頗る不安だ、或いは何年続くかも知れんという不安があります。又聞くところによりますと、地方銀行は、こういうことをされるのでは、これからの公債というものは我々は持たんということを決議した事実さえあります。これは無論政府御当局の勧説とか、或いはその態度のよろしくないというようなことを、強くおつしやれば又態度は変るかも知れませんけれども、一應そういうふうな公債は持たん、非常に有力な……現在金融機関が七割一分の公債を持つておる。その中でも地方銀行は相当有力な所持者である。こういう人達が、一時の昂奮かも知れませんけれども、これからは國債を引受けん、こういうような決議さえしたということは事実であります。こういう点、又過般投資を意図してやつて來たアメリカの人達が、軍公利拂問題の話を聞いて、これはまだ投資その時期にあらずと言つて帰つたという話も聞いておりますが、かような点は大藏大臣はお聞きになつておるかおらんか知りませんが、若しそれが果して事実でありとすれば、御反省なさる氣持は起きなかつたでしようかどうか、その点を一つ伺いたい。
#7
○國務大臣(北村徳太郎君) 誠に微妙な心理的な問題に入つて来ると思いますが、銀行の関係者から、このことについて反対の意思は表明されております。これは、こういうことをやつて呉れては困るというような、反対の表明は確かに聞いておるのであります。併しこれは私はまあ協力をして貰えるものと信じております。現に救國貯蓄運動の三千億については、私共と一緒になつて協力して貰つておりますから、この点は誠に國のために、こういう問題に……必ずしもこれは小さい問題と言えないかも知れませんが、何も日本の銀行家がこういう問題にこだわつて、重要な國策に背馳するような行動を取るとは断じて信じておりませんし、現に救國貯蓄運動の面においては非常によく協力して頂いておりますから、このことは、さして問題にはならんのではないか、こういうふうに考えております。それから、いろいろ考えようでありまして、余り強くこの利拂を先に延ばしたということだけで、非常に強い反撃というものが起りますと、逆に又元へ戻つて、元本さえも否定するというような思想が一方にあるのでありますから、この点はまあ銀行家諸君も十分に考えて頂いて、この線でこれを食い止めると言うと語弊があるかも知れませんが、而も將來において安全を確保するというような方向に、一緒に協力して貰うという考えにおいて、軍事公債なるが故に非常な虐待をするということを防いで、安全性を確保するように、我々と共に協力して貰うというふうに相談はできると考えております。
#8
○松嶋喜作君 直接大藏大臣に伺つたことはございませんが、新聞紙等によりますと、若し軍公利拂延期によつて、金融機関等に非常な損害を被むる、非常に不利不便を感ずるというような時があつたら、それに対しては十分の措置を講ずる、善処するというような意味のことを、しばしば新聞で拜見しておりまするが、具体的に申せば、軍公利拂がして貰えないという場合に、例えば日銀に行つて、その軍公の利拂の額に相当する資金を借りるというようなことは一つの方法でありまするが、それは日銀、大藏御当局において、さような場合は、スムースに利拂をしたと同様程度の資金の運用面において利益を得るような措置をするというように取つてよろしいでしようか、その点はつきり一つお伺いしたいのであります。
#9
○國務大臣(北村徳太郎君) これはまだ私共のとりました措置といたしましては、当時発表いたしましたように、すでに経過した分でありますから、既経過の利息の未收利息として貸借対照表に上げるということは認めべきだというので、一應その措置はさようにいたしました。但し未收利息として上げますけれども、ただ既経過の分でありながら、現実に金が入らない。この問題は金融問題になりますので、これは日本銀行と一般金融機関との関係になる。ところが、御承知の通り、この軍事公債なるものは、他の公債と同様に、金融機関の所有する限りのものは全部登録公債になつておるというような関係で、日本銀行に登録されておるのであります。日本銀行としては金融機関の中央銀行としての金融をおやりになつておるわけでありますから、これはビジネスとしてやつて貰えるものと思いますし、又総裁と私との間で話合いまして、特に困難の場合には一つせいぜい便宜を図つて貰いたい。借りたものに対してどうというようなことはしていないのであります。これは金融機関と中央銀行との関係でありますから、それ程むつかしく考えなくてもいいじやないかというふうに考えております。このことについては一應金融の関係を疏通させるということと、まあ一應孫利子が附くということで、これで実害が全部補われると言うことはできないかも知れませんが、マーケツト・レートが附くのでありますから、それだけのことは手違いがあると正直に言わなければならんと思いますけれども、一應公債の利息に等しいもう一つ附加すべき孫利子を附けて置くという点等々で、辛抱して貰えるじやないかということで、今まで話合つている次第であります。
#10
○松嶋喜作君  孫利息はお附けになるのでありますか、十五億に対して三分五厘の利息は附ける、單利は附けるということは承知しておりますが、十五億円の利息を償還期に受ければ、銀行家の計算するところによると、孫利息は十億八百八十万円であるということであります。若し一年間利拂が延期されれば十億八百八十万円の消極的損をする。若しこれを昨今のように一割にでも廻わせば、おそろしい三十何億というような計算になるのですが、それらについてはもう御考慮の余地何もなし、タツチしないということでございますか。
#11
○國務大臣(北村徳太郎君) これはいろいろ考えようがあると思います。やはりこれを通常政府が延滯した延滯利子じやないかと、こう言われると、どうもやはり延滯利子として処理すべきが妥当だと思います。併しそうでなくて、考え方としては期日の変更ということになつておりますので、延滯でなくて、期日の変更だという考えで行きたい。從つて利拂期日の変更をしたことから來るところの、先に延ばされたことに対する孫利息三分五厘を出すということが妥当な線ではないか。もうこれは利息そのものを否定すべしといろ意見の出ておる中でありますから、私共はその間を折衷いたしまして、これで軍事公債の安全を確保するというような線で御協力して頂くという方向へ持つて行きたいというのが願いであります。大体さような考え方をしております。
#12
○松嶋喜作君 この間の財政演説の中に、大藏大臣は、このインフレを克服するのには貯蓄の増強、つまり貯金をさせ、預金の増加を図ることが非常に重大なる意味を持つ、それについては、金融機関においては一般民衆に不信の感じを與えないように、銀行の信用を非常に重視するという演説がございましたが、併しこの公債の利拂延期によつて、一般民衆はさようなことを知りませんけれども、我々が少し考え直しますと、非常な銀行に欠陷がでて來る、非常な不信の原因が発生して來るということが観取できるのであります。それは一應軍需補償の打切り、企業再建整備、金融再建整備、或いは会社應急措置令、又財産税等の一連の措置によつて、この戰災による金融機関の整備というものを一應終つたというところへ持つて來て、又この延期を始めた、こういうことで公債は値下りをしております。これはどの程度の値下りがこの措置によつて生じたかということは、やや見解の相違になりまするが、少くとも固いところを見て五、六円の値下りは來ておる。そうしてこの許價額は九十八円で附けておる、こういうことでありまするから、若しこれを正直に公債を賣るとか、或いは銀行が合併解散とかいうような場合に、その資産を清算しますれば大きな穴があく、金融機関における七百七十億の、例えば五%、六%が資産において欠陷が生じたということは、これは非常なる金融機関の弱点である。で、かようなことは利拂によつて安全にしたと言われ、又これは法的の國としての延期である、不可抗力であるというがごとき口吻でありまするけれども、実際はその措置というものが、金融機関に非常な資産上の欠陷を包藏せしめるということは由々しき一大事であると私は思いますが、この点についてはどのようにお考えでしようか。
#13
○國務大臣(北村徳太郎君) 一應御尤もなお説でございますが、金融機関全体の資産の評價替え等については、私としても別個に考えなければならん。現に九十八円という評價額であるということも、どう処理すべきかということと共に、銀行の所有物関係について再評價をどうするかというような重要な問題が残つておると思います。それで今回の措置で、銀行に與えた実害はどれ程かということは、私はそれ程大きく評價すべきものじやない、つまり実質的な実害を申しますと、只今利息として受くべかりしものが受ければ今のレートで運用される、それが孫利息三分五厘しか附かんという、その差が実際の金利上の差損であるというようなことにおいて迷惑を掛けたと言えば言えるのでありますけれども、先程から申しますように、一方においては軍事公債そのものをキヤンセルしてしまえというような思想が非常に多い、根強くあるという中で、そういうものの安全を確保したという点を考え併せて頂いて、その辺は辛抱して貰えるのじやないかと、こういうふうに思うのであります。
 それから尚金融機関の問題につきましては、これは最近金融機関再建整備法等によつて整理が漸くできたというものの、或るものは資本金の九割を殆んど失つておる、或るものは一〇〇%全部失つておる、そうして資本によりて預金を保護しようと思つたところが、その預金も全部失つたところもある。かようなさなかにおきまして、再建整備も容易のことでないのでありますが、上部軍事公債の利子の支拂が先に廻つたということだけが金融機関に徒らに大きな打撃を與えたとは私は考えにくい。今の情勢というものは、諸般の情勢が、これから起ち上るというときでありまして、いろいろ問題はあるのでありますけれども、確実だと思つた預金さえ飛んでしまつたところもあるというような状態に置かれておりますので問題は非常に廣く大きい。かような中だから、尚止めたらいいじやないかという説も出るのでありますけれども、私はそういう大きな金融機関が犠牲を拂つて再建整備に起ち上るときに、これは決して軽微な問題というような扱い方は無論してはならんと思います。その点は嚴に愼まなければならんと思います。いろいろ考えようがあると思いますので、先に繰返して申上げておるような考え方を政府は今回の措置で取りましたと、かように御了解を願いたいと思うのであります。
#14
○高瀬荘太郎君  大藏大臣へお尋ねしたいと思いますが、今度の措置を実質的に考えて見ますと、この一年間に期日の参ります利息に相当する三分五厘附の公債を発行しまして、それを銀行へ渡してやるのと全く同じようになると思いますが、違いがございますでしようか。
#15
○國務大臣(北村徳太郎君) ちよつと理論的には大体高瀬さんのおつしやるようになると思うのです。これは理論的にはそういうことになると思います。これは否定することはできないと思います。
#16
○高瀬荘太郎君 そういうふうになりますと、今度の延期によりまして、政府は新たに利子に相当します負債を負う約束をすることになるのではないか、政府は公債に依らないということになつておりますけれども、とにかく利子に相当するものに利息を附けて、今は拂わないが、償還期限でありまする十年先、十五年先に拂うという約束を政府がすると、こういうことになると思いますが、如何でございますか。
#17
○國務大臣(北村徳太郎君) 新たな債務を負うために公債を発行するというのとは性質的に違うと思いますが、理論的一には一應只今おつしやつたようなことになると思うのであります。これは債務の弁済期を延長したというのでありますから、そのことは結局新たに公債を発行したと同じじやないかと言われると、理論的には容認せざるを得ないのでありますが、事情は若干違うというふうに考えますが、理論的には一應お言葉の通りになると、そういうように理解する外ない、かように思つております。
#18
○高瀬荘太郎君 そういたしますと、財政法第四條と私は牴触をする疑いがあるように思いますが、その点を伺いたいと思います。第四條によりますと、「國の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、國会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」、こういうことになつておりまして、公共事業費、出資金及び貸付金の財源以外は、政府は借入金を以て支弁することができないのじやないかと思いますが、如何ですか。
#19
○國務大臣(北村徳太郎君) これは契約の一部の変更でございますから、純粋に新たな公債を発行するというのとは事情が違う、こういうふうに理解しております。
#20
○高瀬荘太郎君 新らしく公債を出しますのと確かに事情が違う点は、大藏大臣のおつしやる通りでありますけれども、実質的には確かに負債を負われることになるのじやないか、併しまあ支拂期日を変更したので、利拂を延期したのではないと、こういう御解釈を多分おとりになつて、それで支拂期日が延期されたのだから、つまり拂うべき債務ができたのではなくして、將來に拂うのだ、そういう意味で負債にならんというような御解釈があるかも知れませんが、そうなりますと、この條文の中の第三條、つまりその支拂期日の変更されました利子に対して利子を拂うという根拠がなくなるのじやないかと思いますが、延期されたものでありましたならば、利息は拂うべきでありましようけれども、拂うべき期日が当然変更されたということでありましたならば、利息は当然拂うべきものではないと私は思うのですが、如何ですか。
#21
○國務大臣(北村徳太郎君) 一定の期日に支拂うべかりしものが、政府の都合で期日を変更したというのでありますから、私共は実質的に考えまして、その実害をカバーするという意味で、この利息を附けるというような考え方をいたしたのでございます。
#22
○高瀬荘太郎君 そういたしますと、どうしても政府は拂うべきものを延ばした、こういうことになるのじやないか。どうしても新しく債務を法律によつて政府は負うことになる。ですから借入れをしたことになり、それによつていろいろの歳出を賄うことになる。点は、財政法第四條に違反すると私は思います。
#23
○國務大臣(北村徳太郎君) 三分五厘を附けるということの観念が少し違つておりまして、これは利息を附けるのじやなくて、三分五厘に該当する金額を附加して最終の償還のときに拂う、こういうのでございますから、利息の観念ではないのであります。ただ実害をカバーするというふうに考えております。
#24
○高瀬荘太郎君 その点どうも私は納得できませんが、次に、そういたしますと、銀行にその利息に相当いたします未收利息の勘定を計上することを認めるわけでありますが、その未收利息というものは、銀行が持つております政府に対する債権であると思う。それ以外に未收利息の内容は私はなかろうと思うのです。その点から申しましても、政府は金融機関に対して負債を約束をすることになるのだと思いますが、如何ですか。
#25
○國務大臣(北村徳太郎君) 未收利息の点は御説の通りに考えております。
#26
○高瀬荘太郎君 そういうことになりますと、どうも私の解釈では、財政法第四條に牴触するように思いますが、まあその点は後にしましよう。それで先程のお話を途中から伺いまして、十分伺わなかつたことは失礼でありましたが、今度の処理につきましては、軍事公債について何かもやもやしたような事情があるので、今度の処置によつてそういうことをはつきり一掃したい、こういうようなお考えでおやりになるというようなお話でありますが、そうして、それによりまして今度一回ですつかり済まして、來年からはこういうふうな心配はなくなり、元金についての心配もなくなるということで、信用がむしろ大きくなるというようなお考えのように思いますが、今度お提案になりました理由をよく読んで見ますと、結局一番大きな理由は、やはり提案理由で御説明になつておりますように、財源の問題ではなく、大藏大臣もお考えになつております提案の根本の理由はそこにある。無曲論三党協定等を御締結になります当時のいろいろの論議の中には、今度のような措置をするについてのいろいろの理由が沢山に挙げられておつたと思いますけれども、今度御提案になりますについての大藏大臣のお考えは、主として財源の問題にあるというふうに私は理解をいたします。そういたしますと、財源という問題になると、來年も同じく財源については随分苦しいのじやないか、今年よりも來年度予算の編成が財源の点について樂になるということはどうも私共には予想されないのであります。そういたしますと、財源が非常に苦しい、だから少しでも財源があるならば、これを利用したいというだけの理由で以て御提案になるのだといたしますれば、來年も御提案になるだろうという予想を当然私共は持つのであります。この当時に社会党方面から、來年もこれをやるというような御意見も出ておるようであります。ですから、大藏大臣のおつしやるように、この措置を今年やつたら、もう來年は絶対にやらないというふうに、國民が一般に考えるだろうという御見込はどうも当らないのじやないか。むしろその反対でありまして、やはり財政的に非常に困難であるならば、來年もやらざるを得ないだろう、こういうふうに考える方が、普通の考え方ではないか。從つてこの処置によりまして、公債に対する不安がなくなるというよりは、むしろ多くなると私は考えますが、如何ですか。
#27
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今仰せの点は、そういうふうに考えられる点がないとも申されませんが、單純に必らずしも財政上の都合ということだけではございませんので、先程御答弁申上げておりましたうちにも申したのでありますが、これは元來連立内閣の三党の政策を打合せたときに起つた問題でありまして、これに基く、而もこのことをやることは、私共の見込では、いろいろこれは考えようもあるし、見方の違いもあると思いますけれども、とにもかくにも日本の或る方面では、軍事公債そのものは全部擬制資本であるから、これは無効を宣言すべきものであるというような意見が今尚ないとは申されないのでありまして、從つてかような観点等も考えまして、今回の措置によつてそういうものを一應打切りまして、さような考え方に対しては、政府はさような方針ではないということを明らかにすることが必要であるというふうな点も合せて考えまして、同時に本年非常にやりたくてやれない水害の復旧であるとか、その他本一度の應急の措置に一應このことが有効に使えるというようなことを考えたのでありまして、來年も又やるのじやないかといろ御質問でございますけれども、これは政府が正式に発表いたしました通りでありまして、今回限りの措置であるということを繰返して声明いたしておるのであります。併し幾ら声明しても、そんなものは信用しないいうことになると、これはいたし方ないわけでありますけれども、政府の責任において、かようなことは今回限りの措置であるということをたびたび声明いたしておりますので、その声明通り額面通りに御了解願えるものと、かように私共は信じて処理いたしておるような次第であります。
#28
○委員長(黒田英雄君) それでは大臣の都合もありますから、軍事公債利拂の御質疑は、この程度で本日は中止いたしまして、又あとで続けて頂きます。
 次に本委員会に予備審査のために付馳せられました金融機関再建整備法の一部を改正する法律案並びに割増金附貯蓄の取扱に関する法律案、当せん金附証票法案、以上五案を議題にいたしまして、政府より提案理由の説明を求めたいと思います。
#29
○政府委員(森下政一君) 只今議題になりました三案について御説明申上げます。
 先ず第一に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 金融機関は、先般金融機関再建整備法に從いまして、その最終処理を完了いたし、新旧勘定を併合したのでありますが、それに伴いまして金融機関再建整備法に若干改正を加える必要が生じましたので、本法案を提出した次第であります。
 本提案における改正の要点は次の五点であります。
 第一は、登記期間の延長であります。金融機関は去る三月末日までに最終処理を完了し、新旧勘定を併合することになつていたのでありますが、三月下旬頃に至り、各般の情勢から、金融機関特に銀行、信託会社及び金庫の最終処理方法書を再檢討することになりましたため、正式の認可が遅れたのであります。而もその正式の認可が行われましたときは、金融機関の新旧勘定の併合は三月末日に遡つて行われたのでありまして、これがため、金融機関は新旧勘定併合の登記及び減資の登記をそれぞれ法定の期間内に行うことができなくなつたのであります。從いまして、この登記の法定期間を百二十日延長する措置を講ずるものであります。
 第二は、金融機関に対する政府の補償に関する改正であります。金融機関再建整備法の規定によりまする金融機関への補償は、預金評に対する補償金と合計いたしまして百億円を限度とすることになつておるのでありますが、企業の再建整備における評價が簿價主義を採用いたしましたため、その打切率が増加いたしましたと同時に、金融機関の評價におきましても簿價主義を採用し、更にその健全性の確保のために、愼重な評價を行いましたので、最終処理の完了の結果判明いたしました金融機関に対する要補償額は、百億円を超えざるを得なくなつたのでございまして、その額は、先般金融債券を旧勘定に移し換えましたのに伴いまして生じた金融機関経理應急措置法による損失補償金の額を加えて、百六十三億円を要することになりましたので、その限度を引上げることにいたしたのであります。
 第三は、調整勘定に関する規定を設けたことであります。金融機関の最終処理は、企業の再建整備の未完了等によりまする若干の不確定な要素を含んだまま完了いたすことになつたのでありますので、特に將來の業務の健全な運営を考慮いたし、極めてコンサーバテイブな評價を行なつたのであります。從いまして、今後金融機関の旧勘定に属しておりました資産の処分乃至確定に伴い、これらの資産につき相当多額の利益金を生ずることが予想されますが、その利益金は、預金等の切捨てを受けた確定損負担者等に最も公平に返還されなければならないと思われるのであります。よつて、確定損を預金者等の債権者に負担せしめました金融機関は、新旧勘定併合後におきまして調整勘定を設け、前に旧勘定に属しました資産及び負債につき生じました利益金を調整勘定において経理し、その純利益金を、政府の補償がありましたときは、先ず政府に返還し、次に、確定損を負担いたしました順序と逆の順序によりまして、指定債務の債権者及び整理債務の債権者に返還いたすことにしたのであります。尚その運用につきましては特に公平を期するために、新たに債権者審査会を設け、確定損を負担しました債権者でその金融機関に債務を負担していない者からこれを選任することにし、金融機関が右の利益金を返還するとき及び旧勘定に属しました資産を処分するときには、債権者審査会の同意を得ることにし、又右の利益金の分配を受ける権利は、投機的賣買を阻止しますために、その讓渡を禁止し、特にその情を知悉しております金融機関の役職員については、それを讓受け文はその分配を理由にして手数料その他の報酬を收受することを禁止したのであります。
 第四は、封鎖預金及び封鎖支拂制度の廃止であります。即ち金融機関の新旧勘定の併合、最終処理の完了を機会に、封鎖預金及び封鎖支拂制度を廃止し、新円一本建とし、以て金融機関の業務を簡素に且つ能率化し、同時に新円再封鎖の噂を一掃いたしまして、財蓄増強に資せんとするものであります。尚海外からの引揚者の有しまする郵便貯金につきましては、今後も引揚げて参りましてから、一定期間内に申請があれば、從前通り第一封鎖預金となるべき金額は、これを直ちに自由預金にすることにいたしております。
 第五は、金融債券の旧勘定移換に伴いまする政府の補償及び預金部に対する政府補償を國債を以て行うことにいたしましたと同時に、金融機関の調整勘定と同様の概念を預金部に対しても採用いたしたことであります。
 尚右の五点の外に若干の條文の整理を行なつております。
 以上が金融機関再建整備法の改正法律案を提案いたしました理由であります。
 次に割増金附貯蓄の取扱に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 抽せんを以て割増金を附ける各種の貯蓄の取扱に関しましては、本年四月廃止せられました臨時資金調整法中にての根拠規定が設けられていたのでありまして、同法の廃止により、去る三月二十六日以後は新たにこの種貯蓄を取扱うことができなくなつたのであります。而して貯蓄の増強がインフレーション抑制のための絶対的要請でありますこの際におきまして、貯蓄増強のためにはあらゆる角度からその手段を講じておる次第でありますが、この割増金附貯蓄制度は、金融機関側からも國民の側からも多大の期待と興味とが寄せられているのでありまして、臨時資金調整法の廃止後も引続きこれが継続実施の要望が熾烈な実情にあり、通常の方法を以てしてはなかなか貯蓄増強の効果を期待し難い現状におきまして、この制度は今後十分の成果を発揮するものとの確信が得られますので、ここに必要な根拠法律としてこの法律条を提出いたした次第であります。
 その概要を申述べますれば、第二にはその法律は日本銀行を除く全部の金融機関に適用せられることであります。第二には、大藏大臣が割増金附貯蓄に関して細目を定めた場合には、各金融機関は任意、自由にその取扱ができることであります。第三には、割増金に対する所得税と、特定の預金証書に対する印紙税を課さないこととし、尚必要な罰則を設けることといたしたことであります。以上がこの法案の概要でありまして、一應の御説明が盡きた次第であります。
 最後に当せん金附証票法案につきまして提案の理由を御説明いたします。いわゆる宝くじの発賣に関する根拠規定は、臨時資金調整法中に設けられてあつたのでありますが、本年四月同法の廃止に伴いまして、三月二十六日以後は新たな発行命令を出すことができなくなり、三月二十五日以前に命令の発せられているもののみが、同法廃止後も発賣せられているに過ぎないのであります。今日、インフレーションの高進を抑制するため、貯蓄の増強、租税の完納その他あらゆる手段を講じて購賣力の吸收を図る必要があるのでありますが、現下の國民の射倖的な心理を掴んだ購賣力吸收手段も亦十分に認められるべきものと考えられますると共に、この方法は政府の財源獲得の一助ともなり得るのであります。他面、都道府縣におきましては、一般財源又は公債により難い事業の財源獲得手段として、本制度の再現を期待しております点等に鑑みまして、当分の間、從來に引続いて宝くじ制度を存置する考えの下に、その根拠法律としまして、ここに当せん金附証票法案を提出いたした次第であります。以下その概要を申上げますると、第一は將來宝くじは命令の定める法人をして発賣させることになつていたのでありますが、この法律案におきましては、その目的に鑑みまして、証票の性格を鮮明にするために、政府又は都道府縣がみずからこれを発賣することといたしたのであります。尚都道府縣の発賣につきましては、從來大藏大臣の認可を必要としたのでありますが、これを内閣総理大臣の許可事項とし、内閣総理大臣は大藏大臣に協議することにいたしたのであります。第二は、発賣者たる政府又は都道府縣は、その発賣、当せん金の支拂を希望する銀行に委託することといたしたのであります。第三は、刑法の規定を解除して発賣せられるこの証票の性質に鑑みまして、証票の條件その他の事項は、発賣前に告示することとし、尚当せん金品の最高額を法律に規定いたしたのであります。第四は、当せん金品の支拂に関して、当せん証票は完全な引換証券とし、証票を離れて、当やか金品を請求し得ず、又発賣者は当せん金品支拂の責任をも有しないことを規定の上で明確にいたしたことであります。第五は、この当せん金品の性質に鑑みまして、これに一時所得として所得税及び不動産取得税を課さないことといたしたのであります。第六は政府又は都道府縣みずからが発賣者となるため、歳入及び歳出の処理に必要な規定を設けると共に、発賣等の委託を受けた銀行の経理については、これを通常の業務と明確に区分せしめ、これを通常の業務に流用するしとを禁止する規定を設けることとし、尚必要な罰則を規定いたしたのであります。
 以上、この法律案の要点につきまして御説明いたした次第であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
#30
○委員長(黒田英雄君) それでは速記を中止いたします。
   午後二時三十四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時十六分速記開始
#31
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて。それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
           伊藤  修君
           木村禧八郎君
           天田 勝正君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           石川 準吉君
          尾形六郎兵衞君
           紅露 みつ君
           田口政五郎君
           深川タマヱ君
           星   一君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
           栗山 良夫君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
  政府委員
   大藏政務次官  森下 政一君
ソース: 国立国会図書館
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