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1947/06/22 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第9号
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1947/06/22 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第9号

#1
第002回国会 運輸及び交通委員会 第9号
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○船員職業安定法案(内閣送付)
○國家行政機構改革に関する件
○國有鉄道運賃法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時三十三分開会
#2
○委員長(板谷順助君) これより会議を開きます。この際諸君にお諮りいたしますが、專門調査員の福原啓次君が辞任をされましたについて、その後任についていろいろ理事間で大いに評議をいたしましたが、岡本忠雄君が適任だということでありまするが、御異議ありませんか。
#3
○丹羽五郎君 岡本君は以前海運総局総務局長をやつておりまして、相当海運行政については経驗もあり、抱負も持つておる人でありまするから、福原君の後任者としては最も適当かとかように考えます。
#4
○委員長(板谷順助君) 御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(板谷順助君) それでは御異議ないものと決定いたします。
 次に提案理由の説明でございますが、予定を変更いたしまして船員職業安定法案に対する政府委員の説明を求めます。
#6
○政府委員(植竹春彦君) 只今委員長からお話のございました船員職業安定法案の提案理由を御説明申上げます。
 この問題に関しまする現行法としては、大正十一年に制定せられました船員職業紹介法がございますけれども、終戰後の我が國海運再建のためにも、亦新憲法の精神に副う意味から申しましても、單に職業紹介に止まらず、戰後の事態の必要に應じまして今度は現行法を改正いたしまして、その名稱も船員職業安定法ということで、この法案を御審議願うことになつたわけでございます。昭和二十一年末から運輸省の中に船員職業安定法令審議会を設けまして、それで第一に、この審議会は船主と船員の團体の代表と、それに学識経驗者を加えまして立案に関し諮問をいたしまして、数次に亘つて愼重審議いたしておつたのでございます。又横浜、神戸、門司等におきましては公聽会なども開きまして、問題の研究をいたしておりましたところ、漸く今年の一月三十日に成案を得まして政府に答申して、そうしてその答申に基きまして今回の法案となつて提案申上げたような次第でございます。
 で、本法の精神につきまして若干の説明を申上げたいと思います。これは憲法第二十二條に基きまして、個人の基本権を尊重し、それから労働者の保護を図るという意味におきまして、船員の職業を安定せしめ、労働の民主化を促進して行きたい、こういうのが本法の精神でございまして、その内容といたしますることを三つに分けまして、大体のことを御説明申上げます。第一には職業選択の自由、待遇の均等ということを新たに制定いたしました。第二には一九二〇年の「海員に対する職業紹介所設置に関する條約」、この條約の内容を國内法として採り入れて行きたい。こういう趣旨でございます。それから第三番目には、陸上の安定法と同調して、船員につきましても職業行政の理想を実現して行きたい。この三つの意図を持つている次第であります。
 そうして現行法とこれを比較いたしますると、現行法は冒頭に申上げましたように、單に船員の職業紹介についてのみ規定しているわけでありますが、本法案におきましては職業の指導と補導、それから船員労務供給の事業、それに船員の募集というようなことをその内容といたしておりまして、そうして労働を民主化して、船員労働の中間搾取的なようなことは一切行われないように努めて行きたい。そのためにお手許に配付申上げましたような條文になつた次第でございます。どうぞよろしく御審議の程をお願いいたします。
#7
○委員長(板谷順助君) 本法案に対する質疑は後廻しにいたしたいと考えておりましたが、まだ大臣が見えませんので、この際丹羽君、この法案に対する質疑がございますれば……。
#8
○丹羽五郎君 私も実はこの法案についてまだ十分見ておりませんが、時間があれば政府委員から、この法案の内容の詳しい説明を、大臣の來るまで説明をして貰いますか。
#9
○委員長(板谷順助君) それでは、この内容の説明を具体的に政府委員から、大臣の來るまで……。
#10
○政府委員(山口傳君) それでは法案の内容につきまして少し具体的に説明申上げたいと思います。
 本法案の目的といたしますところは、只今の提案理由で御説明申上げましたけれども、先ず第一條に明記してあります通り、船員職業安定法は憲法第二十二條の職業選択の自由に則りまして、吾人が持つております能力と資格に應じまして、公平且つ有効に船員の職業に就く機会を與えることによつて、海上企業に対する労働力の適正な充足を図ろうというところにあるのであります。我が國の海運再建のために我々が先ず第一に努めなければならないことは、國民の持つております労働力を、海上企業におきましてこれを有効に発揮せしめるところにあります。國民の労働力が海上企業におきまして、有効に発揮されるということは、船員の職業安定ということを度外視しては考えられないのであります。從いまして第一條におきまして船員の職業の安定を図ることによつて、つまり「海上企業に対する労働力の適正な充足を図ることを目的とする。」と、明確に規定いたしまして、本法は船員になるという就職の機会を與えまして、先ず船員の職業の安定を図ることを、第一の目的といたしました次第であります。本來船員の職業行政は、全國に亘る海上労働力の需要供給による人の流れを基調といたしまして、行わるべき性質のものでありますから、ここに他の陸上の一般行政と違うところの行政組織及び人事の取扱いが必要となつて來るのでございます。
 それで最初に、組織の方から申上げますと、先ず全國の主な港に公共船員職業安定所を新たに設置いたします。この公共船員職業安定所は、船員の職業行政の第一線機関となるものでありまして職業紹介、職業指導、船員保險法の規定によつて、その所掌に属せしめられました事項、その他この法律の目的を達成するために、必要な事項を行うのでございます。この公共船員職業安定所の設置場所は、海上労働力の需要供給の全國的な見地からいたしまして、主な港には設けることになつておるのでございます。これらの公共船員職業安定所は、現在ございます海運局の一部として設けられるものでございまして、これは一般海事行政を取扱うところの海運局と、事務上密接な連絡を取つて、業務を最も有効的に運用して行くために、さようにいたしたものであります。
 次に人事について若干御説明申上げます。船員の職業行政の特異性に基きまして、特殊の資格、経驗を要求いたしております。即ち職業行政が一般の監督行政と異なりまして、船員の労働とか職務内容について、特に深い認識を持つておる者でなければ、十分にその職能を発揮することはできないのであります。從いまして本法におきましては、公共船員職業安定所において業務を行う官吏その他の職員に対しまして、特別の資格経驗を要求いたしておりますと共に、船員の職業紹介、職業指導、その他この法律の施行に関する事務に從事する職員の教育又は訓練を行うために、政府は別途に計画を立てまして、必要な施設を設けることになつておる次第でございます。
 次に公共船員職業安定所の行う船員職業紹介については、申込受理の義務、労働條件の明示、紹介の原則、求人又は求職の開拓、爭議行爲に対する不介入等につきまして、規定を設けたのであります。職業指導については、その原則及び適性檢査等について規定いたしました。普通船員職業補導については、運輸大臣の指定いたします船員教育機関がそれを行うことといたしまして、普通船員職業補導の原則及び公共船員職業安定所の協力等について規定を設けたのでございます。
 次に政府以外の者の行います船員職業紹介事業、船員の募集及び船員労務供給事業につきまして御説明を申上げます。船員職業紹介事業につきましては、現行の船員職業紹介法におきましては、その第二條におきまして、「船員職業紹介事業ヲ行ハムトスル者ハ行政官廳ノ許可ヲ受クヘシ」という規定がございますし、第三條におきまして、「船員職業紹介ニ関シ必要アリト認ムルトキハ政府ニ於テ職業紹介事業ヲ行フコトヲ得政府ハ勅令ノ定ムル補助金ヲ支給シテ公益ヲ目的トスル法人其ノ他團体ヲシテ職業紹介事業ヲ行ハシムルコトヲ得」かように規定されてございますが、具体的には命令で規定されておりましたが、本法におきましては船員職業紹介事業を行い得る者は、船舶所有者を代表する團体、船員を代表する團体、船舶所有者及び船員を代表する協同の團体又は公益を目的とする團体、これらに限りましたので、國庫より補助金を受けないことを一つの條件といたしておるのであります。船員職業紹介事業を行い得る者をかような團体に限定いたしました趣旨は、船員職業紹介事業の持つ社会奉仕的性格に基きまして、又現在の我が國の経済状況より見まして、特にかような團体に限つた次第でございます。これらの團体によつて船員職業紹介事業が行われます場合にも、公共船員職業安定所によつて行われる紹介に関する諸原則は、勿論準用されるのであります。又これらの船員職業紹介事業に対しては、曾つてのボウレンの再発を防止すると共に、積極的に船員及び公共の利益を増進するために必要な諸規定が特に設けられております。又船員の募集につきましても、新憲法の趣旨に基きまして、弊害のない限り募集活動を認めておるのでございますが、弊害のあるものにつきましては、ボウレン発生防止のために罰則の強化を図つておるのでございます。これは船員になろうとする者の保護を図ろうとする趣旨でございまして、同樣の趣旨によりまして、他人の勤労の上に存立する船員労務供給事業を禁止しようとしておるのであります。即ち本法におきましては、労働組合法による労働組合が、運輸大臣の許可を受けまして行う者の外は、労働民主化の精神から全面的にこれを禁止しておるのでございます。
 次に船員職業安定審議会につきまして御説明いたしますが、本審議会は本法運営の実を発揮いたします上に、極めて重要なものでございます。船員職業紹介法中にも船員職業紹介委員会に関する規定がございましたが、この規定は昭和十六年に一旦削除せられました。本法におきましては條約の趣旨に則りまして、おのおの同数の船舶所有者代表、船員代表、及び中立代表の委員によつて構成される、船員職業安定審議会として、更に強力なものとして、本法運営について、眞に民主的にして且つ有効適切ならしめることを期しておる次第でございます。
 次に本法案の規定に違反した者に対する罰則につきまして御説明いたします。労働者の基本的人権を守るために、労働者の心身を拘束するような事例に対しましては、特に嚴罰を以て望みます。即ち罰金刑も貨幣價値の低落に鑑みまして、その額を引上げてある次第でございます。又違反行爲をした者が、法人又は人のために行なつた代理人、被傭者である場合におきましては、その軽過失、及び重過失についても罰則を設けてございます。以上の趣旨でお分りであろうと思いますが、船員職業安定法案全体を通じてその骨子を成す精神は、提案理由にもございましたように、憲法第二十二條の趣旨に基きまして、個人の持ちます基本権を尊重し、労働者の保護を図ることによつて、労働の民主化を促進しようとするところに主張があるのでございます。
 以上船員職業安定法制定の趣旨並びに法案の内容の大体につきまして御説明を申上げた次第であります。
#11
○委員長(板谷順助君) 本案に対する質疑は後廻しといたしまして、この際諸君にお諮りをいたしますが、この度の行政機構の改革につきまして、海運関係が本委員会の運用の上においても重大な関係がありまするので、この際小野君から一つ御説明を願いたいと思います。
#12
○小野哲君 只今委員長からもお話もございましたので、私から簡單に行政機構の改革に関する経過を御説明申上げたいと思います。
 先ず國家行政組織法案は現在決算委員会に予備審査として付託されて進行中でありますが、これらの内容を見ますると、いろいろと問題も多いので、一應参議院におきましては必要な修正を加えて参りたいというので、決算委員会で一應の意見を纏めておるような次第でございます。本委員会といたしましては、特に運輸省の機構に関しましては、相当重要な関心を持たなければならないと思つておるのでありますが、聞くところによりますと、運輸省設置法案は、政府としてはこの際一應引込めるというような話も聞いておるのであります。ただ國家行政組織を構成するところの行政機関、即ち各省或いは廳の行政機構の形式、或いは内容というふうなものは、一概に画一的には考えられない。特に運輸省のごとく鉄道のような現業部門をもつておるし、又海運のごとき重要な仕事も担当しておるというふうなところでは、他の行政機関と同じように、画一的に取扱うことは、適当でないというような考え方から、参議院と申しますか、参議院の決算委員会におきましては現業を所管しておるような行政機関、即ち運輸省のごときにつきましては、特例的の措置を講じて差支ないということを、國定行政組織法案中に挿入することが必要である、こういう見地から、例えば総局のごときは画一的にこれを置かなければならないという必要はないかと存じますけれども、或いは運輸省のごとき、或いは逓信省のごとき行政機関においてはこれを置くことが必要であろう、こういう見解で、私からもその意見を強調いたしまして、大体においてその方向に修正案を纏めておるような次第でございます。
 尚この際政府において運輸省設置法案をどう措置されておるかということ、並びにその内容を簡單に御説明を願えますならば、直接運輸交通に関係を持つておる本委員会といたしましても好都合かと存じますので、この際私から政府委員に概略の御説明を煩わしたいと、かように思うのであります。
 以上甚だ簡單でございますが、決算委員会として取扱つて参りました経過を一應御報告申上げ、尚衆議院はすでに修正を決定しておりますけれども、亦参議院は参議院としての立場において、修正意見を纏めておるということを皆樣方に一應御報告を申上げて置きたいと思います。
#13
○政府委員(植竹春彦君) 只今小野委員からお話ございましたが、逓信省の方は省かして頂きまして運輸省の方だけ説明を申上げたいと思います。只今お話のございました運輸省に総局を置くことの必要につきまして、簡單な説明を申上げたいと存じます。
 御存じの通り、運輸省は非常に業務量が多い官廳でございまするのと、それに厖大なる現業を抱いております関係上、大臣の下に次官、次官の下にいきなり各局が併置されるだけでは、その厖大なる業務が皆次官のところへ直接掛かつて來るわけでございます。一方におきまして運輸省は厖大なる鉄道の現業を抱え、それから又監督行政ではございませんが、これも又非常の大きな組織である海運方面の事務を担当しておりまする関係上、言い換えますれば陸と海と二つの大きな世帶を背負つておりますために、各局が並置されまするだけでなく、一應鉄道の方は鉄道総局として、これをどうしても一つに纒め、海の方は海運総局としてこれを纒めて行つて、その上に次官、大臣というふうな役目を置きませんことには、即ち現行のような組織を持ちませんことには、明快なる、迅速なる行政措置を執行して行くことができない。是非とも他の行政官廳とは違つて、この厖大なる事務量を抱き、現業を抱いておる運輸省に関しましては、是非とも海と陸とに分けて総局を持たなければならない。若し一部修正意見をお持ちであられまするように、運輸省にこの総局を置かないということは、もう一日も仕事の遂行が円滿、迅速、明快にやつて行くことはできない。これはもう大変なことになつてしまう、こう考えまして、この点は是非とも小野委員の言われまするように、総局を置いて頂きたい。切に皆樣の御支援をお願いする次第であります。
#14
○委員長(板谷順助君) 國家行政機構改革につきましては、只今両院におきまして、決算委員会で審議せられておるのでありますが、先程來小野委員の申されるように、この運輸交通委員会の運用の上におきましても重大な関係にありますので、只今政府委員の説明の通り、この委員会におきましてもいわゆる海陸両樣の総局に置くことについて、決議をいたしたいと、こう考えているのでありますが、御意見如何でしようか。
#15
○丹羽五郎君 私はその決議をやられることは決して吝かでない、尤もなこととかように考えておるわけであります。本日のこの議事の記録には、ただ船員職業安定法案という問題だけが今日議案に掛かつておりますので、緊急に決議をなさるのならば結構だと思うのでありますが、もう一囘何らかの機会にそれをお掛けになつた方がいいと思うのであります。決議案として出すならばその方が妥当じやなかろうかと考えております。
#16
○委員長(板谷順助君) 差迫つた問題であるから私は申上げたけれども、大体委員諸君から御了承を願つて置く程度にいたしておきましよう。
#17
○小野哲君 只今委員長のお話もございましたので、私は一面決算委員という立場を持つておりますが、本委員会のそういう意向を委員長から決算委員長にお話を願うということも結構ではないかと、かように思います。
#18
○委員長(板谷順助君) それでは質問に移ります。申出の順序によつて発言を許します。
#19
○丹羽五郎君 過日私が廣告科のことにつきまして加賀山政府委員に申上げたので、それは非常に大きな金額ではないというお話でありましたが、先般私が申上げましたごとく、鉄道は如何にいろいろな内部の改善をして行つても、かくのごとくに赤字で堪えられないから、一般國民に運賃の値上げを一つ承認をして貰いたいという態勢に、私は持つて行つて貰いたいと申出て置きました。今日政府の資料によりましても、実はこの不正乘車の件でありますが、昨年の四月から今年の三月までの統計によりましても、不正乘車は一ケ年間に百三十八万八千五百五十八件ありまして、その徴收運賃は五千三百二十八万五千九十七円というような数字が現われておりますが、これは私実際の鉄道が被むつて実害の何十パーセント位のものであつて、これを嚴密に仮にこの不正乘車の取扱を鉄道当局が行うならば、これの私は恐らく何十倍かの被害が現われ、又徴收金額が現われるべきものだとかように考えております。昨年でしたか鉄道公安官というものができまして、現在一万二千人の人がそれに当つておるということを聞いております。鉄道公安官ができて以來、尚且つ鉄道に対しては、東北線においては最近においても集團強盗が頻々として現われておる。鉄道公安官というものは一体何をしておるかということを私は申上げたいと思つております。現在私共がいつも車に乘つておりましても、恐らく檢札に來たことは殆んどない。急行列車においても、私は東京を出て大阪までの間に檢札に來ずに、大阪に着いたという実例を沢山持つておる。もう少し鉄道公安官を置くならば置くだけに、この鉄道保安行政を嚴密にやつて貰いたい。恐らく嚴密にやつて行くならばこの不正乘車はこれの十倍以上の金額は現わるべきものだ。現在檢札に來ない折において徴收した不正乘車に対する徴收運賃が、五千三百万という数字になるならば、これを嚴密にやるならば恐らくこれの十倍や十五倍の数字が現われるものだと私は考えております。こういうことに私は鉄道の自分の内部のことにできるだけの手を打つて、國民に愬うることが必要だ、かように考えて、過日加賀山長官に私はこの鉄道の廣告問題を持ち出した折に、それは僅かな数字であると、要するに僅かな数字が、塵が積つて山となるがごとく、僅かな数字に留意をしてやつて行くならば、相当に私は鉄道の赤字を埋めて行くこともできよう、かように考ております。
 それからもう一点はこの不用資材の拂下げの点でありますが、政府から参りました資材によつて見ましても、この不用資材の拂下げに対して鉄道弘済会に主としてこれを拂下げるということに書いてあります。且つこの鉄道弘済会に拂下げたものが、收益があつた場合に、これを社会事業の経費に充てるように、政府から鉄道弘済会に指示されてあるということでありますが、恐らく私はこの拂下げをすべき鉄道の不用資材に対しましては、鉄道弘済会ひとりに私はこれを指名して拂下げるべきものじやなくして、これは一般の拂下げでも同じように、競合させて拂下げすべきが、私は順当だとかように考えております。又そういうようにして行くならば、恐らくこの不用資材の拂下げ金額も、相当大きな額に上つて行く、かようなものをいろいろ煎じつめて行くならば、相当現在鉄道が赤字をこういう細かいものによつて、埋めて行くことが随分できるのじやないか、私はかように考えて政府当局の意見を徴して見たいとかように考えております。
#20
○政府委員(加賀山之雄君) 丹羽さんの言われましたように、運賃を値上げする前に、先ず鉄道みずからが收入のどこまで自分達の力で殖やし得るかということを突き止めまして、それから又経費の面におきましてもこれを現状としてなし得るところの限度まで節減をなして、その上の赤字をということでなければならないということも、我我はかねてから覚悟いたしておりましたところでございます。收入面においていろいろの御示唆を頂いたわけでありまして、大変有難く存ずるのでありますが、廣告料のごときも、現状から申しますれば全く微々たるものであるといえるのでありますが、本年度の雜收入に一躍十倍の額を見積つております。これも実は單に料率の値上げだけで以て考えておるのではございませんで、國鉄の施設が許し、又都市の美観等、その他を考慮した上で、勿論役所でやつておるにしては、どうもまずいというようなことにならないように、いろいろそういう点を檢討いたしまして、体面もこの際考慮すべきじやないかと思いますが、場合によつては体面も捨てて、廣告料金を一つ殖やすことに努力をしようということを考えまして、廣告協議会等に諮りまして、その方策を立てて、廣告の範囲を拡げるということで、この廣告料金を一億と見込んである次第でございまして、尚我我はこの方向に副いまして、少しでも廣告料金を合理的に増加いたしますように、努力をいたして参りたい、かように存じております。
 不正乘車の件でございますが、先程お話のございました公安官は、一万余あると言われたのでございますが、実は專門の公安官は只今その十分の一の一千人をちよつと超しておる程度でございまして、檢札事務は、主として從來とも車掌がこれを行なつておるのが例でございます。旅客列車でございますならば、客扱い專務車掌がこれを行なつて参つておるのであります。國鉄の大体の行き方といたしましては、先ず改札口で以て極力これを押えるという方向を採つておるわけでございますので、從來から見ますると、車掌の定員等も非常に窮屈になつて参つております。十分この檢札に手が廻し得ない。又かたがた客車が非常に混み合いますために、内の通過ができないといつたような状況がございまして、思うに委せないのでございますが、それで上つたこの不正乘車の追徴金等を入れまして、五千三百万円に相成つておるわけでございますが、これは実際不正客から見れは九牛の一毛じやないかというお話があつたのでございますが、関門がそういうように、單に車内ばかりではございませんで、出口の改札口等においての数も入つておる点から見まして、勿論更にこれを目的として、人を見たら泥棒と思えというようなことで、それを嚴重にやりますれば、或いは更にこの不正乘車の件數を上げるということも、可能かと存じます。ただこの問題は非常にデリケートでございまして、今申しましたように、もともと國鉄はこれを増收の目的でやつておるのではなくて、客の誤乘を防ぎ、お客にサービスとしてやつて参りました。かたがたこれがそういうふうに三倍の追徴金というような措置を取りますと、増收の目的にも合うようになりますけれども、これは増收の目的を図るということであつてはならないと思うのでございまして、先程申しましたように、客の誤乘を防ぐと同時に、できるだけ不正な行爲をする人がなくなるということを念願いたして行くべき性質のものではないかというふうに考えるわけであります。でございますので、我々といたしましては、定期の不正使用でございますとか、普通乘車券による不正乘車が殖えるということにつきましては、誠に嬉しくない心持を持つのでございます。併しながら一方におきまして、丹羽さんのお考えの方のようなことも、國鉄の財政の現状から見まして、確かにあり得ると考えますので、本來の趣旨を活かすべく、旅客の誤乘を防ぎサービスに資すると共に、國鉄といたしまして、運賃逋脱を防ぐということは、自衞手段といたしまして当然やらなければならないことでございますので、でき得る限り手を盡して参りたいとかように存じております。併しながらこれは勿論丹羽さんもそこまでは言及されなかつたのでございますが、増收目的の中に加えるということは、到底我々としてはなし得ざるところであるということは御了承願いたいと存ずるのでございます。
 不用資材の拂下げの問題でございますが、一手に弘済会にというお話でございますが、特殊物件に関しましては、弘済会をして拂下げを一手に請負わしておるということもあるのでございますが、併し必ずしも全部ではございませんで、一般の車輛会社でございますとか、つまりその資材を眞に有効に使用し得るというところに対しましては、直接の拂下げをいたしておるのでございます。それから資材の拂下げにつきましては、單に特殊物件のみならず、使用資材の不用に帰したもの、或いは將來に亘つて使用の見込のないものというようなものは、可なりの数でございますので、
   〔委員長退席、理事小野哲君委員長席に著く〕
 これらに関しましては、今後方針を定めまして、更に拂下げの数量を増加いたし、雜收入の増加を図りたいと、かように考えております。只今の予算におきまして三億六千万円の金額を見積つておるのでございますが、我々は更にこれを努力いたしまして、いわゆる一般に筍生活をやつておる際でございますので、國有鉄道といたしましても、すつ裸になつて行こうじやないかということを申合せまして、特殊物件は勿論のこと、使用資材と不用に帰したもの等の拂下げを増加いたして参りたいと存じております。これはかたがた國鉄の財政にいい結果をもたらしますのみでなく、又これが生産資材として再び活用の途が開かれるということになるのでございますので、いわば一挙両得、國のためには是非なすべきことであるというふうに私共は考えておる次第でございます。この金額も只今三億六千万円の外に、或る程度予定をいたしておるのでございますが、只今更にこの数字なり金額について檢討いたしております次第でございまして、只今ここで確実に、或いは五億、十億ということを申上げることはできないのでございますが、更にこの三億六千万円を殖やし得る見込は十分あるということを、御了承置き願いたいと思います。その拂下げ方法は、勿論弘済会も活用いたしますが、資材の拂下げに最も恰好な相手が直接あります場合は、勿論弘済会のみをして取扱わしめる方針ではないということだけを申上げて置きたいと思います。
   〔理事小野哲君退席、委員長著席〕
#21
○丹羽五郎君 僕は今、不正乘車のことにつきまして、携発主義でやれというのじやなく、少くとも一ケ年に百四十万人の不正乘者があるならば、これを防止して行けば、実際に鉄道を利用すべき利用者は、やはり百三十八万という人が実際に利用のできることであります。私は現在旅客車の数の少い折に、本当に鉄道を利用する人は、デツキにぶら不つておつたり、或いはその辺のところにぶら下つておるような恰好をしておりまして、不正乘客は、ただ自分の荷物を側において、嚴然と腰をおろしておるというような不均衡を……。
#22
○委員長(板谷順助君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#23
○委員長(板谷順助君) 速記を始めて。只今運輸大臣、栗栖國務大臣、間もなく大藏大臣がお見えになるそうでありますから、大臣に対する質疑を先に行いたいと思います。申出の順序によつて発言を許します。中野君。
#24
○中野重治君 その間から運輸大臣の小野委員その他に対する答えを聽いていますと、運輸大臣は理論的なことは余り分らん、又その方は余り得意でないというふうなお話であつたので、私は具体的な、主に数字に関係ある問題をお尋ねしたいと思います。それは大体において終戰処理費関係の問題です。これは去年この委員会では、新鶴見の操車場と大井工場へ見学に行きました。大井工場では現場で仕事をしている場面を見ていろいろ考えさせられたことがあるのですが、今度の昨年の表を見ますと、終戰処理費の中の交通費というものが三十二億八千万円程書き出してありますが、あれが昨年度の特別会計予算書を見ますと、これは私は素人でよく見付からないのかも知れないのですが、それは受入れになつていないように思われますが、どの款項目でどこに入つているのか、それをお示し願い度い、これが第一です。
#25
○政府委員(三木正君) お答えいたします。運賃は運賃收入の欄に入つておりまして、昨年度約二十七億ぐらいだと思いますが、外の工事でありますとか、車輛の修繕でありますとか、そういうものは一々終戰処理費自体から支拂われるのでありまして、その支拂いの事務を私なり、或いは鉄道局長なりが支拂命令官として大藏大臣からの支拂命令によつて支拂つておりますので、鉄道の支出にはなつておりません。運賃に関する分だけは鉄道の收入として上つて、一般の運輸收入の中に入つております。支拂は終戰処理費、こういうことになつております。
#26
○中野重治君 そうすると工事関係の方は、その仕事をなされた経過は、書類で明らかにすることができますか。
#27
○政府委員(三木正君) 明らかにすることができます。私共関係の者は全部向うの命令並びに工事の内容、支拂いの額は全部明らかにしております。
#28
○中野重治君 次に今年度の金額及び量はどう見積られておるかということをお聽きしたいんですが、それを人間を輸送する関係の面と、貨物輸送の面と二つに分けてお答え願いたい。それを金額と量と二つに分けて同じくお答え願いたい。即ち金額では旅客の輸送の点では幾らかになるか、貨物輸送の点では幾らになるか、それからその場合の……何といいますか、車は貸切りになるか、それとも個別に扱つておるものか、それからその單價それから量については國鉄の客車全走行キロ中、進駐軍関係の占めておる数と、それからパーセンテージ、貨物については輸送総トンキロ中、進駐軍関係の占めておる数及びその割合……。
#29
○委員長(板谷順助君) 中野君に申上げますが、先程申上げましたように、大臣はまだ外の委員会にも出なければならん関係がありますので、事務的のことは後廻しに願つて、それは勿論あなたの御質問の前提かも存じませんけれども、御質問を願いたい、こう思います。
#30
○中野重治君 その点について言えば、大臣はこの間ああいうふうに答えられたから、私は具体的に聽いておるのでありまして、それで問題の性質上のでありまして、それで問題の性質上わざわざ大臣でなくてもいいとは、私も思います。それで都合によれば今私が質問しました第二の点を答えて頂いて、それから後は質問の順位を変えて頂いて、小野君にやつて頂いて、それが済んだ後、私が更に第三点以下を具体的に続けるというふうにして頂いて異存はありません。ただその場合速記の点はよろしくお願いいたします。これはこの間うちから問題になつておりますから。
#31
○委員長(板谷順助君) 速記もなかなかやかましくて今やつと引き止めたのですから、それでは今の点を一つ御答弁願います。
#32
○政府委員(三木正君) 差上げました予算資料第五表に進駐軍関係の運賃收入だけ記載してございます。お読み頂きたいと思いますが、二十三年度、本年度は約六十億見込んでおります。その外の詳しい輸送キロの見込、昨年の実績、そういうものにつきましては今直ぐお答えいたしかねますが、資料を整えまして御説明させて頂きたいと思います。
#33
○中野重治君 ちよつとその資料は近く出ますか。
#34
○政府委員(三木正君) 急いで出します。
#35
○中野重治君 これは大臣に聞いて頂かなければならんですがこういう点に関して資料がはつきり出なければ、出ないままでは政府の方で言う赤字が本当に赤字であるか、黒字であるか、政府の説を俄にそのまま、我々として呑み込むことはできないということだけは了承して貰わなければならん。それでは次をどうぞ。
#36
○委員長(板谷順助君) 分りました。それじやよろしうございますか。
#37
○中野重治君 結構です。
#38
○小野哲君 私は極めて概括的なことを両大臣に伺つて置きたいと思うのです。先般運輸大臣に対して今回の運賃を定める場合における基礎となる運送原價の問題を話をいたしまして、運輸大臣から御答弁があつたのでありますが、現実の情勢から鑑みて止むを得ずこうなつたというふうな御説明であつたように記憶いたすのであります。今日栗栖大臣もおいでになつておりますので、栗栖大臣にも伺つて置きたいと思うのでありますが、國有鉄道のごとき企業体におきましては、どうしても原價主義に徹底した企業経営をやつて行くということが理想的だろうと思う。従つて原價主義を徹底することによつて経済の均衡へ保持して行くという建前が原則ではないか。かように私は思うのであります。ところが今回の運賃を制定される場合においては、過日も栗栖大臣からこの点は理論としては肯定するけれども、一般財政その他の諸般の事情から、これを直ちに受入れるわけには行かないというふうな御説明があつたと思うのであります。それで私が心配いたしますことは、一体政府は國有鉄道の経営に対してどういう一体基本的な方針を用つておられるのか、又將來どういう方向に國有鉄道を持つて行こうとされておるのか。鉄道企業の経営の基礎が運賃收入にあるということは申すまでもないので、又運送原價が合理化されることによつて、從つて又合理的な運賃が制定されるということが言えると思うので、それらの運賃政策なり、或いは運賃理論を超越して、單に予算面の辻褄を合せて行くというふうな経営方式を採るとするならば、國有鉄道は將來如何に五ケ年計画を樹てましても、全然或いは昭和五―九年基準年次にまでの生活水準なり、或いは工業水準に應じた輸送力を保持するということは、恐らく困難ではないか。言い換かれば、先般政府からお出しになりました國有鉄道復興五ケ年計画というものも單に目標計画に止まるだけであつて、実施計画の正確が非常にむずかしい。而もこの國有鉄道の再建に必要な基盤となつておる運賃の問題が、すでに合理性を欠いておるというふうなことでは、経済復興計画を樹てましても、單なる理想である目標であり、夢を描いたものに過ぎない。こういうふうに私は感ずるのであります。それが即ち我々の鉄道である國有鉄道の將來を親身になつて考える者といたしましては、誠に寒心に堪えないものがあるのでございます。そういう点から申しまして、先程申しましたように、政府は運賃の運送原價等によらないで、單に運賃の制定を行なつて行くというふうな態度を常に今後とも持続されるのか。或いは國有鉄道の復興に関して健全なる事業経営を目途として、或いは企業会計の面においては、独立採算制を採り、又運賃の面においては、極力原價主義に基いた、経済運賃を実施する、というふうな方向に努力をされようとする御意図があるのか。又これについては如何なる具体的の方法をお考えになつておられるか。運輸大臣並びに経済安定本部長官の御所見を承つて置きたいと思います。
#39
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。國有鉄道の経営の基本的方針は、これは十分に経営の原價も基礎に置きまして、運賃を制定して行くということは、小野さんの言われました通りでありまして、たまたま今回の運賃改訂が、経営の原價といろいろの情勢によりまして、マッチできていないのでありますが、私といたしましては、経営原價を無視して、予算の辻褄を合すために、將來も運賃政策を採つて行くんだというようなことは毛頭考えおりません。言われますように経営原價を重視いたしまして、これに適合した運賃を制定することが原則でありますことは申すまでもありません。ただ問題は小野さんも言われましたように、経営の実態が如何に合理化され、能率化されて行くかという点にあるのでございまして、五ケ年計画の中にもその基本方針が基本的理念から出発いたしまして、計画をいたしております次第でございます。
#40
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今小野委員からのお尋ねに対してお答えいたしたいと思います。経済安定本部としては、各省の政策その他をも総合調整するという約束がございまし、そういう観点から一つ申上げて見たいと思うのでございます。この前私はここに上りまして、お答えをいたしましたところ、今小野委員のお尋ねとは基本的理論の原則としては全く同じだと思うのであります。即ちこの官業企業体として経営を合理化して、そうして公共事業でありますからこのコストを引上げて、そうして公價主義によつて運賃その他の政策が採らるべきもの、これはすべて企業である以上同じであります。併し現下の問題にいたしますというと、運輸省の國鉄関係においてはそういう原則があるわけであります。
 それから物價廳といたしまして、私も物價廳の方を兼ねておりますけれども、國民生活の最低を、現下におきましては維持し、國民生活が極めて不安定でございますので、これに資するという一つの政策があるわけであります。即ち安定帶物資にしましても、今度の物價の補正によつて値段が引上りますけれども、安定帶物資は昭和九年から昭和十一年の水準の百十倍ということで打止めまして、大体五百十五億という大きな補給金を出してあとこれを補うようにする。それから消費物資、殊に生活必需物資の点におきましては、やはり現在の物價の七割から八割増、即ち一・七から一・八までというものを目途として、消費財の物資を相当低く、殊に生活必需物資を低く決める、こういう点に重点を置いたものであります。そうして物價政策から申しますというと、物價に貨物の運送運賃その他が織込められるところの要素が相当に大きい。この前私割合を申上げたのでありますが、そういう点に鑑みまして、或る程度までしか引上げられない、こういうことが考えられるのであります。
 そこで國民生活の安定という点から一連の政策が又出て來るわけであります。大藏省といたしましては、いずれ大藏大臣が直ぐ参つて申上げることと思いますが、財政の均衡を保つ、更に廣くいうならば、これは國民経済としての赤字を避けるという政策でありまして、今財政上の辻褄を合すと言われましたが、單にそのためだけでなく、実質的にその目的を達する政策があるわけであります。今回の決め方はこの三つを、こういう極く敗戰の占領下の物資が非常に少い現在において、可及的に、総合的に調整をして、その結果三つのものについていずれもそれ相当に不滿もあろうと思いますけれども、調整をしてできたものが政府原案であるという次第であります。でこれは國民生活の点に力点を置き、殊に勤労者諸君の生活、殊に主食その他に及ぼす影響等を考えまして、そうしてこの引下げをいたしておるのであります。
 その結果この運賃政策としては、旅客と貨物との間にアン・バランスを起す点があるかも知らんと思うのでありますが、併しその点は國家の財政の許す範囲において、國家の一般会計から資金を繰入れまして補うということにいたしまして、それも或る程度までの補いでありますが、百億を超える数字でありますから相当大きいのであります。こういう点でこの補いを附けて、そうしてバランスをとらして、やはり一般会計、特別会計のバランスを得さす、こういうようなことをいたしたわけであります。かようにして現在の窮迫せる時期にこの三つの政策の総合調整の結果が、かように現われて來た次第であります。これは旅客の運賃についてでなしに貨物の運賃について申上げた次第であります。
 そういうような次第でありまして、この原則が直ちに行われないような逼迫せる現状であるということ、運賃政策、原價主義の政策を確立するのも必要であると同時に、特別、一般の会計を通じての均衡を得さすということも大事である。國民生活の、殊に主食その他の生活必需物資に及ぼす貨物の輸送の要素が高いので、或る程度まで引下げ、その代り國家財政の許す範囲において一般財政から繰入れをする、こういう三つの方策を照し合わしてかようにした次第でございます。そこでこういう極く急迫せる特殊の事情でありますけれども、その点を御了承願いたいと思い次第であります。
 それと同時にもう一つ考えなけりやならんことは、これはいつまで続くかという問題でありますが、これは我々そう考えておりません。併し昨年の追加予算には私も大藏大臣として隨分苦労いたしたのでありますが、この場合は價格の釣上げ等が許されませんので、この原價主義その他から言いますと、いろいろ問題がありましたけれども、実は一般会計から、通計すると、やはり百億内外であつて思うのでありますが、これは追加予算として繰入れをしたのであります。併しこれも根本から言うならば、独立採算制の立場から言いましても、一種の便法であり、特例でありまして、一般の方法じやないと思います。そこで審議会も運輸省の中にできると思いますが、経営の合理化、殊に官業の主体としてどういう形態を採り、而もどういうように経営を合理化し、企業努力によつてコストを下げ、而も採算を取つて國民にも十分なサービスができるか、というような御方策を立てて頂くことになつたのであります。それによつて政府も方針を決めて、そうしてこの独立採算制、こういうな原價主義というような点を貫き得るところへ行きたいと思います。併しこれは一方においては小野委員も御足労願つております長期復興計画の一連であり、大きな一つの部門であります。それをそういうような関係においても併せ考えて、経済復興に資すると同時に、國鉄の再建ということの実現をいたしたい、こう思つておる次第でございます。
#41
○小野哲君 只今両大臣からお答えを頂いたのでありますが、勿論原價主義のみによつてこの際独立採算制を目途とした企業を実施するということは、いろいろ困難な事情が伴うであろうということは推測に難くないのであります。ただ二十三年度の予算の編成において、國有鉄道特別会計の予算編成の意図するところが、結局独立採算制を將來確立して行かうというための第一歩である。例えば会計区分を改めるとか、或いは減價償却費を計上するとか、いろいろの新らしい手段が現われて來ておるので、これは会計制度の上で現われて來ておりますが、同時に経営の実態の上においても運賃の上にこれが現われて行くというところが、やはり独立採算制を將來確立して行くための基礎をなすものではないかと私はかように考えるのであります。
 從つて今回の予算もこの考え方を全然度外視して私は編成されたものではないというふうに了解いたしておるのでありますけれども、それが運賃の面に現われた実際を見まするというと、必ずしもそれが現われておらない。全面的に現われないまでも片鱗までも実は現われておらないというふうな点を見まして、國有鉄道の予算の編成と、それから運賃の立て方の理論上の食違いがあるようにも考えられるのであります。從つて勿論原價主義のみによつて行かない面がありますことは、運賃の負担力主義を加味した制度から考えましても、これは窺えるのでありますが、併しながら將來の問題として残して置くということで行きますというとなかなかこの運賃の是正というものは困難であろう。從つて倍率を決める場合におきましても、やはりこれらの原價主義を或る程度念頭に置きつつ、これに合理的基礎を與えて行くということでなければ、一般國民が納得しないのではないか。で、物價廳におかれて貨物の倍率を三・五倍に止められて、これを基準として旅客の倍率もお決めになつたように先だつて拜承いたしたのでありますけれども、これらのところに今回の運賃改正の基本的な考え方に無理があるのではなかろうか。特に私の聞きましたところによりますれば、貨物運賃について、物價に占むる運賃の割合は、例えば我が國におきましては、麦は昭和十一年度においては二・二%、二十二年七月において当時運賃の改正が行われたのでありますが、〇・五%、今回の運賃改正に伴うて新物價多新運賃の割合は、一・〇三%というふうな数字を政府の資料によつて見受けるのであります。石炭につきましても、昭和十一年度は九・八%、二十二年七月が四・一二%、今回は五・一五%こういうふうな数字が出ております。從つて過去の実績と比較いたしまして、今回の貨物運賃の値上は決して不当ではないということを明らかに示しておるのであります。勿論負担力主義から考えまして、そこに政策上の運賃を加味しなければならんことは申すまでもありませんけれども、大掴みに申しまして、今のような例から見ましても、決して、今回の三・五倍の倍率が、貨物運賃については、物價に格別に甚大な影響を與えるというふうなことには、ならないのではないかということを、数字の上では考えられるのでございます。
 尚又アメリカにおける物價と運賃との割合を、聞き及ぶところによりますというと、小麦においてはアメリカは一二%を占めているようでありまするし、石炭の價格においては、或いはこれは私の聞き違いえも知れませんけれども、五%の比率を保持しているというようなことなのでございます。恐らくこれはアメリカの鉄道運賃が合理的な原價主義に基いて制定されているがために、かような数字が出ているものと思うのでありますが、アメリカの國情と我が國の現状とを比較することはこれは非常に間違いであろうとは存じますけれども、理論上の関係から言うならば十分に参考といたして行かなければならない。かように思うのであります。
 從つて物價当局が、貨物運賃をその原價に拘わらず、言い換えれば原價を償うに足らない程度に抑えた、三・五倍に抑えられたということが物價との関係において尚十分な檢討を必要とするのではなかろうか。三・五倍に止めなければならないという事情が、一般物價の過去の値上り指数、或いは勤労所得、賃金というふうな面から考えまして、むしろ旅客において斟酌を加えて、貨物の方に相当の負担客を持たせる方が妥当な行き方ではなかつたろうか、そういうような考えが数字を見ました場合において考えられるのでありますが、物價当局におかれましては、特に大臣としてこれらの点について如何ようにお考えをお持ちになりましたか。
 尚國有鉄道の特別会計財政というものが、旅客貨物を一本にして総合的な面で見て行こう、こういうお話のように承つておるのでありますが、併しこれを利用する者は一つは荷主であり、一つは旅客でありまして、特に旅客の方は直接心理的な影響を受ける面が非常に多いので、從つて旅客と貨物とを運賃の面において、ただ財政的な立場から総合的にこれを扱おうということは、これ亦不合理な点があるのではないか。こういうふうな点につきましても、或いは繰返し御答弁になつたかとも存じますけれども、この際改めて大臣の御所見を伺つて置きたいと思います。
#42
○國務大臣(栗栖赳夫君) 一番最後のお尋ねから申上げたいと思いますが、私は物價廰を主管いたしております一方、運輸材政、物價との両方の総合調整を相当いたしておる者であります。財政上の辻褄を合せるという点も勿論大事でありますが、先程申しましたように勤労者、國民生活の安定という点に相当に重点を置いて考えたのであります。そこで物價と運賃との関係については前回申上げたのであります。併し皆さんの大方が今回はお揃いのようでございますから、もう一つこれを讀まさして頂きたいと思います。今の数字の割合でありますが、私はこれを二つの面から觀測いたしたいと思います。物價の中に織込まれるところの貨物運賃についてどういうパーセンテージを占めておるかということを先ず申上げたいと思います。それから尚アメリカの例もお話がありましたが、お説はその通りであります。併しその他の今窮迫したる日本の経済、殊に國民所得といたしましても、アメリカにおけるがごとき國民所得の構造が恒久性、若しくは持続性、或いは強靱な性質というものがないので、一時的の國民所得、永続性のない國民所得、或いは脆弱性のある國民所得の関係においてこれが負担し切れるかどうかという点について両面から一つお答えいたしたいと思います。
 先ず物價と運賃との計数上の関係について申上げたいと思います。國鉄貨物運賃、汽船運賃、機帆船運賃、並びに小運送及び港湾荷役の料金等の輸送費が、價格の中に占める割合は極めて大きい。只今物價廰が算定しております補正價格についてこの割合を檢討して見ますと次のようになります。この場合に國鉄貨物運賃は、今目途と政府がいたしておりますのは三倍半、汽船運賃は三倍、その他は二倍強の引上ということを想定して補正價格を算定した結果について申上げたいと思います。石炭について補正價格の二〇%が輸送費であります。コークスが一八%、石油が一五%、銑鉄鋼材は二四%、セメントは一四%、硫安が七%、過燐酸石灰は一二%、曹達灰は一四%、苛性曹達は一五%、それが輸送費であります。
 この輸送費は一切の輸送費を含んでおりますから、その中で國鉄、運賃だけを抜いて見まして、價格の上に占める割合を申上げます。これは石炭については補正價格の五%、コークスは三%、石油は六%、銑鉄は六%、鋼材は一三%、セメントは五%、硫安は二%、過燐酸石灰は四%、曹達は八%にそれぞれなつておるのであります。
 こういうような基礎の品物についてかように上つておりますので、これが総合され、これによつていろいろできました生活必需物資その他はそういうものが組合わされておりますから、尚相当に上つて行くという関係になるのであります。そこでこれが只今石炭を使つて肥料を作るということになれば、両方にそれが加わるわけであります。そうしてそれが米の價格のパリテイ計算のときにかかつて來るということになりますので、相当大きな割合を占めるといことに相成ると思うのであります。
 それからアメリカの例をお採りになりまして、運送費の占める割合をお話になりましたが、これは私も同樣に考えております。併しアメリカは先ずノーマルな経済状態にあります。日本の経済状態は非常にアブノーマルで危ないのであります。これは小野委員も申されたように、非常に事情が違うのであります。その上これの元になる國民所得の点を考えますというと、一兆九千億というような数字になつておりますけれども、これをアメリカの國民所得などに比べますと、税の負担そのものについても大藏大臣が種々申しておりますように、非常に脆弱性その他があるのであります。
 こういうような現状において、小野委員も申されたように、直ちにこの貨物運賃の相当の引上げを行い、そうしてそれ以上この生活必需物資等の價格を引上げるということが困難だ、こういうことに相成るわけであります。仮に尚上げ得るというようなことで、倍率を四倍にして置いて計算しておりますが、そうすると安定帶物資の指数は今は六十五の七割ということで、七割増ということで、百十にいたしております。それでも尚五百十五億の補給金を必要とするのであります。これを四倍にしますと、大体百三十から百三十五ぐらいの倍率になつたのであります。そうしますとそれは併し非常に高いものでありまして、國民所得の現在としては尚負担ができないものでありますから、それを價格補給金というもので補いますと、五百十五億の上に相当大きな補給金を加算しなければならんことに相成るのであります。で安定帶物資はそれでよろしうございますけれども、消費財物資につきましては一・七倍、即ち七割増、或いは一・八倍、八割増だけでは到底吸收し得ざることになるのでありまして、そうしてそれは或いは二倍からちよつと超えるような数字に相成つておるのであります。
 そういたしますと、國民の生活というものが相当窮迫を告げますので、そこでそういうことになりますというと、更にこの物價に織込んむ賃金水準は三千七百円にいたしておりますが、これを相当な割合において引上げを行わなければならなくなるのであります。そうなるというと、予算の面におきましても人件費、物件費の面に非常な嵩みを生じますと同時に、特別会計の中においても人件費が更に食み出して來まして赤字が殖える。これを一般会計その他から補給しなければならないというような、いわゆる物價と賃金の悪循環を表すというようなことに相成るのであります。
 それで実はあれを考え、これを考えて、いろいろいたしたのでありますが、貨物だけは現在の観点におきましては、三倍半という倍率以上にはどうにも財政上、或いは國民の生活上負担がし切れなくなる、こういうような点に計数上は立ち至つたのであります。そこでかれこれを調整いたしまして、独立採算制を貫く面もありますが、別に國民生活の安定とか、その他の物價政策のためにそれが十分に貫けない点があります、國家、國民全体のために貫けないのでありますが、そこで百億余を一般会計から特別会計に繰入れて、それのいわば補給をするという理論が、ここに出て來るわけに相成つたのであります。かようにして調整を取つた結果であると思うのであります。
 で一番最初にお話になりました、運賃政策の今回の倍率の決め方によつて独立採算制が非常に歪められておるというお話でありました。これは政策の軽量の順序、又現在窮迫しておる物からの関係もありますけれども、決して歪められておるという意味は我々はないと思うのであります。それは今のお示しのような減價償却費とか、或いは行政費を取除いて、一般から補給した、編入して、これは小さなような問題でございますけれども、相当の議論を経て岡田大臣の御盡力その他によつてできたのでありまして、そういう点も考えておりまするし、それから尚ヨーロツパの第一次大戰のあとのインフレーシヨンの進んだ國を見ましても、そこの数字は、多くは貨物運賃と旅客運賃との割合その他につきましても、國民生活に及ぼす影響が多い貨物運賃については引上を低目にいたしておるのがあの当時の書類その他に見えておる通りであります。
 それから私は貨物、旅客の運賃について、結局最後の負担者がどうか、貨物は一種の税と同じように國民大衆の一般にかかる、旅客はいろいろお話がありましたように、荷物を持込むという場合には必ずしもそうでないかも知れませんが、原則としてはこれは利用者負担となると思うのであります。その点を区分して料金政策を考慮するということは、この時代におきましては止むを得ないのじやないか、こういうように考えておるのであります。併し原則は原則で、我々政府といたしまして独立採算制その他は十分貫きたいと思つておるのでありまして、先ず應急……こういう事情が切拔けられれば、長期の復興計画の線に副つてこの独立採算制、企業の合理化、経営の是正等をもいたしたい、こう考えておる次第でございます。
#43
○小野哲君 今大臣から御答弁がありましたが、長期復興計画の点にお觸れになつておりますので、その点をちよつと伺つて置きたいと思いますが、今回経済安定本部で第一次試案として御提出になりました、経済復興五ケ年計画の内容を見ますると、大体前半期においてインフレの防止の問題とか、或いは國際貿易の問題であるとか、更に又動力、輸送力の整備の問題であるとか、そういうふうなことが先ず前提條件になつて、これが或る程度、前半期において、充足される必要があるというふうなことが謳つてあつたように思うのであります。從つて輸送、特に國有鉄道の問題が、長期復興計画におきましても、相当大きな立場を占めておる。從つて國有鉄道の復興は、すでに一つの目標的な計画を遂行するというものではなくして、本年度以後、経済復興計画のあの五ケ年間の前半期において、或る程度の成果が挙らなければ、その後における所要の目標が達成できないということになるのではないか。これは勿論、経済復興計画の第一次試案そのものの基本方針を以て、目下檢討されつつありますが、これは偖て措きまして、少くとも動力とか、輸送の面、その他の前提要件も同樣と思いますが、これは実施計画として策定されなければならないし、從つて國有鉄道の企業に必要なところの独立採算制であるとか、或いは運賃政策というものも、この線に副うて急速に確立せられなければならないものではないかと、かように考えられるのでありますが、栗栖大臣の御考えは如何でございましようか。
#44
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今小野委員の御説の通りでございまして、小野委員のお手を煩わしても、立案その他について御盡力をお願いいたしたいと思うのであります。尚私はそれのみならず、今中間安定策というものを、長期計画の取敢ずの一還として、橋渡しとして考えておりますが、これにも危機を脱却して中間安定を作り、そして長期計画へと移行さすについても、差当り輸送力の確保ということが、最も大事でございまして、これについても今御趣意のような点を織込みまして、今策定原案を作つておるような次第でございます。いずれも長期計画の委員にお諮りをして決めたいとこう思つておる次第でございます。
#45
○小野哲君 私の質問は一應これで打切ります。
#46
○委員長(板谷順助君) 只今の小野君の質問に対する大臣の御答弁を承わりましたが、私納得できませんので、諸君のお許しを得てこの際一つ質問をしたいと思います。
 先程栗栖大臣は、國民生活の安定のために、今回七割値上げをしたというお話でありますが、昨年物價廳の長官を呼びまして、値上げの根拠を聞いたけれども、一向薄弱で以て要領を得ません。そこで今回政府が例えば旅客運賃三倍半、貨物三倍半、この値上げに対するものは、御承知の通りに、一般会計に旅費或いは消費財において、すでにもう見積つておる。ところが只今も栗栖大臣は、石炭において全運搬費が二〇%こたえておるということでございまするけれども、國鉄の負担をいたしまするのは、三倍半上がるといたしまして約五%、仮にこれを四倍上げるとして見ても五%七厘、又四倍半上がるといたしましても六%四厘というような数字が出るのであります。從つて在現の消費者の負担になるというような御説明であるけれども、例えば原價を基準としたる独立採算制をこの場合採るわけにいかんということであるが、これは併し原則として或る程度までお認めになるでしよう。旅客運賃が三倍半上がるとすれば、現下の收入に較べて、二・八六になる。又貨物におきまして三倍判上がるとしても五分二厘、約半額まだ赤字が出るようなことで、いわゆる貨物運賃の足りない分は、旅客運賃のつまり收入によつてこれを補なつて行く、こういう計算であります。
 そこで例えば家計費の問題につきましても、昨日物價廳長官の御答弁によると、これ亦要領を得ない。ということは先だつて來、栗栖長官は現在の配給が七割であつて、闇が三割であるというお話であるが、例えばこの三千七百円のベースを決めるにつきましても、闇が七五%で公定が二五%だ。それで毎月闇の値段が三・六だけずつと上がつておるというような計算の基礎の下に、これができたのであります。
 從つて例えばこの石炭の運賃を今回二倍に上げるというようなお話があるが、事実現在の経営のやり方を見ますというと、中小の石炭業者が非常に儲かつておる、これは事実であります。ただ労働不安の関係からして大炭鉱なるものが相当現在赤字が出ておる。
 でありまするからして政府のお考えを願いたいことは、仮に七割物價を上げるということにつきまして、國民生活の上において非常に、大きな影響がある。例えば闇にいたしましても米が一升從來二百二、三十円のものが二百五、六十円となり、或いは三百円となる。或いは又一般の手持をしておる業者が、いわゆる物價改訂が行われる、必ず物が上がるだろうというので賣惜しみをしておるという現在の情勢であります。從つて七割を上げるという根拠が、物價廳長官の説明によれば、つまりこの目分量というか、或いは闇その他のやつをこれくらいの推定によつてこれをやつたというような、極めて不確実な答弁であります。であるからお考えを願いたいことは、今七割の値上げをするということが、外の物價にどういう影響が來るか、或いは又國民の生活の上において重大な影響が來ることが考えられる。
 例えばこの鉄道の経営におきましても、石炭が御承知の通り現在は五千三百カロリー、戰前は六千四百である、ところがこれを若し戰前の通りにしたならば、恐らくは石炭業において半額で済む、約二百八十億のものが半額で済むこういうのであります。例えば選炭が思うようにいかんためにこういうような結果になつておるのであるが、併し私は先般來安本長官にも運輸大臣にも要請しておるのでありますが、仮にこれが五%カロリーが上がるといたしますならば、或いはその他焚きを無駄のないように、できるだけローズのないように焚いて行つたならば、一割節約できる。一割節約するならば経費において二割削減ができる。この数字の上から行きましても約五十億というものがそこに浮くじやないか、國民に納得させるということについては、先ず第一に内部の整理をしなければならん。又貨物の輸送計画につきましても、二十三年の計画が一億二千六百万トン、併し國民の要望しておるところは勿論安本長官お分りでありましようが、一億九千万トン要望しておる。だから仮にこれが一割増送の計画を立てて行つたならば、從つてそこに何十億という数字が出る。こういうことについて一つお考えを願いたい。
 今申上げるようにこの間運輸大臣としても、物價問題については安本なり大藏方面からどうぞやかましく言われるように、こういう結果になつたというような、これはまあ率直なお話かも知れませんが、これに対する恐らくは今物價七割値上の影響というものが、七割に止まらずして國民生活の上に重大なる関係が起る。從つて三千七百円ベースというものが崩れて、又更に補正予算を出さなければならんという結果に私はなると思う。いわゆる悪循環というものが目に見えておるというふうに考えるのであります。大臣の御答弁を承わりたいのであります。
#47
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今の点で、多少事務当局の説明において、最初に数字の説明が足りなかつた点がありますので、それを補なつて置きたいと思うのであります。國鉄は石炭がまあ三%、四%だろうということでありますけれども、その石炭を使つて肥料を作るとか、肥料の輸送に更に又國鉄運賃の費用が加算されるわけであります。そうして或いは各種の副生産のものについても、皆重なつて來まして、そうしてそれが今度は仮に主食の関係を見ますと、パリテー計算によつて、そういうものが総合的に更に米の値段に加算して來るわけであります。そうして米の値段は更に石炭等の値段にも還元して來るわけであります。そういうような総合性と言いますか相関性を持つて來ますというと、石炭の面で四・五%或いは電力の面で幾ら、或いは肥料の面で幾らというものが加わつて來ますと、相当大きな数字になるのでありまして、そこでこの價格は倍率をもう〇・五ぐらい上げますと、先程のような大きな数字になるということを私申上げた次第であります。それは実数の上から來たことであります。
 それから更に金錢の面から國民生活の、平均一人について、生活費の割合で言いますと、マル公によつての生活費が、金額では二五%、そうして金額の七五%は自由販賣の物資及び闇物資であるわけであります。マル公の二五%を数量によつて示しますというと、数量は六五%になるものもあります。マル公による生活は六五%であります。そうして三五%は闇物資、自由物資ということになるのであります。これは金額と数量と両方面から見なければならんのでありまして、そこで賃金の場合は数量よりも金額を何しておりますからマル公の生活が二五%というのは金額的に見た計数であるのであります。その点を補足いたして置きたいと思うのであります。
 それから今度の賃金の値上との前堤というようなことが、どういうところから考えられたかということであります。物價廳次長が御説明申上げたのは、いろいろ説明が足らんところがあるかと思いますが、極く端的に申上げます。一兆九千億というような國民所得につきまして、その中で、どういうふうに振分けられるかというと、三つに振分けられるのであります。一つは國家財政の資金であります。一つは産業の繁栄に向う資金であります。そうしてこの二つは貯蓄とか、或いは專賣とか、或いは税とかというものによつて調達されるものであります。他は國民消費物資であります、生活資金であります。消費物資を一兆九千億から段段逆算をして参りますというと、これが堪え得る関係が消費材物資については七〇%即ち七割、或いは八割増というところが大体三千七百円の水準を睨み合してこの限界点になつておるわけであります。三千七百円を引上げるということになりますと、財政の上でバランスがとれないというような点があるのであります。そこにインフレーシヨン、つまり却つてインフレーシヨンを促進し、物價と賃金の惡循環を來たすことになると思うのであります。ただこの点においては、我々は三千七百円という水準を作り、これを物價の中に織込むところの賃金水準といたしたのであります。実際の面におきましては、このマル公による生活をもう少し、例えば生活必需物資、繊維製品であるとか、或いは主食であるとか、こういうようなものについて配給を確保すると同時に、もつと増配の見込を立てて、そうして実賀賃金と言いますか、それを裏付にする、こういうことが極めて大事であります。この点については今朝の新聞にもすでに出ておると思います。総理までも書面で懇請して來たのであります。そうしてこの裏付を確保ができるように、厚意ある連合國の援助によつてこの懇請を続け、一歩ずつ目的を達しつつある次第であります。
#48
○委員長(板谷順助君) あなたとは意見の相違だから幾ら議論をしても止むを得ませんが、大藏大臣何か御答弁がありますならば……。
#49
○國務大臣(北村徳太郎君) 安本長官の御答弁で大抵私の言うことは盡きておると思います。
#50
○委員長(板谷順助君) それでは午前中はこの程度にいたして置きまして、午後一時半から再開いたしたいと思います。暫時休憩をいたします。
   午後零時二十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十分開会
#51
○委員長(板谷順助君) 引続き開会いたします。速記を止めて。
   午後二時十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時二十四分速記開始
#52
○委員長(板谷順助君) それでは速記を始めて、今日はこの程度で散会いたします。
   午後四時二十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           カニエ邦彦君
           小泉 秀吉君
           淺岡 信夫君
           加藤常太郎君
           仲子  隆君
           水久保甚作君
           小林 勝馬君
           高橋  啓君
           飯田精太郎君
           新谷寅三郎君
           早川 愼一君
           北條 秀一君
           村上 義一君
           中野 重治君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 北村徳太郎君
   運 輸 大 臣 岡田 勢一君
   國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   運輸政務次官  植竹 春彦君
   運輸事務官
   (鉄道総局長
   官)      加賀山之雄君
   運輸事務官
   (鉄道総局総務
   局長)     三木  正君
   運輸事務官
   (鉄道総局業務
   局長)     藪谷 虎芳君
   運輸事務官
   (海運総局船員
   局長)     山口  傳君
   石炭廳長官   佐野秀之助君
   物價廳次長   野田 信夫君
  説明員
   運輸事務官
   (鉄道総局会計
   課長)     田中健之助君
   商工事務官
   (石炭廳配炭課
   長)      小出 栄一君
ソース: 国立国会図書館
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