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1947/06/30 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号
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1947/06/30 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号

#1
第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号
昭和二十三年六月三十日(水曜日)
   午後二時十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○女王丸事件の調査に関する件
○國有鉄道運賃法案(内閣送付)
○港域法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより会議を開きたいと思います。先般來宿題となつておりした女王丸事件について法務院総裁並びに名古屋高等海難審判所長が出席されておりますので、どうぞ御質疑をお願いいたします。
#3
○丹羽五郎君 今委員長のお話になりました女王丸事件でありますが、本件は昭和二十三年一月二十八日関西汽船株式会社女王丸が岡山縣牛窓の沖におきまして、触雷をいたしまして、多数の死傷者を出した事件でございます。それに対しまして岡山地方檢察廳が、この種海難に関係をいたしまする事件に対しましては、海事審判が即ち先行の慣例になつておつたのであります。それを破りまして、且つ又七十一議会及び九十二議会の院議にもかようなことがはつきりされてありますのを無視いたしまして、三月一日突如同船長を業務上過失致死といたしまして、岡山地方檢察廳においてこれを起訴いたしたのであります。で、第一政府にお尋ねいたしたいのは、この種海難事件の取扱いをいたしまするについては、昭和十二年第七十一議会及び同二十二年九十二議会におきまして船員法の改正をされました時、それぞれかような海難事件は少くとも海事審判が先行しなければならんということが、はつきり申されてあるのであります。且つ又九十二議会、又はこの第一國会におきまして、一應本院が本件に関しましては行政局長が参りましてよくそのことは話合がついておつたのであります。にも拘わらず岡山地方檢察廳におきまして、これを海事審判を無視いたしまして先行をされたことについての政府の一應お答えを得たい、かように考えております。
#4
○國務大臣(鈴木義雄君) 本年一月二十八日岡山縣牛窓沖において発生をいたしました女王丸遭難事件について、岡山地方檢察廳が三月一日同船長を業務上過失致死罪として起訴したことは事実でありますが、海難事件に関する海事審判先行の慣行を破るものとしての御非難でありまするが、これはこの檢察廳の取りました本件の処理に関する限り、その御非難は必ずしも当らないと考えるのであります。その理由は次のごときものであります。
 從來における当局の部内檢察官に対する通牒及び國会の答弁等におきまして、海難事件に関する海事審判先行の原則を明かにしておりますことは申すまでもないことでありまして、この趣旨は十分に檢察官に徹底しておるのであります。併しこれは飽くまで原則的なものでありまして、事情によつては例外が認められるものであることも、亦内容から十分承知して頂けると存ずるのであります。ところが去る第一國会におきまして、政府委員から改めこの趣旨を全國檢察官に通達する旨を答弁したのでありますが、前述の通りすでに十分に檢察官一般に徹底いたしておるところでありますので、改めてこれを再確認する措置は取つておらないのでありますが、一般にその趣旨が徹底しておりますることは、例えば昭和二十年十一月七日愛媛縣宇和島港における天光丸沈沒事件もこの取扱いによつておることから明かであります。この女王丸事件につきましても岡山地方檢察廳は、原則的には海事審判先行主義の存在することを十分承知しておりまして、海難審判所とも再三に亙つて折衝を重ねておるのであります。併しこれについて刑事裁判を先行せしめましたのは、前述の宇和島における天光丸事件の海事審判が意外に延引して那く本年四月十五日にその裁決がありましたところ、これに対して同地方民において市民大会を開いて、司法権の発動が遅れていることについて、檢察廳を糾彈するという事実がありました。女王丸事件についても、遺族その他縣民一般から、船員に対する非難が高まりまして、檢察廳として事態を放置することができなかつたこと、及び過失の認定につきまして、特に專門的、技術的知識を必要としないような事件であつたというような理由を基くものであります。かかる場合には、刑事訴追を先行するも可なることは、通牒の趣旨にも当然でありまするし、現在においてもその方針に変更はないのであります。從つて岡山檢察廳の措置が、通牒等に違反するものとは認めることができないのでありまして、仮に刑事裁判が先行するにしましても、その審理に当つて海員側において主張すべき事柄がありまするならば、裁判所に対して証人、鑑定人その他の証拠申請を行うことにしてありまして、十分その利益の保護を期待することができるのでありまするから、決して妥当を欠く裁判が行われる虞れはないと信ずるのであります。今後におきましても、今回の岡山のような特別の事情が認められない限りは、海事審判先行主義の原則を堅持することに変りはないのであります。この趣旨は、各檢察官とも十分に了承をいたしておりまするが、尚機会あるごとにその趣旨の徹底を図るつもりであります。
#5
○丹羽五郎君 今総裁のお話に私共は承服のできない最も大きな事実がある。起訴事実が非常に簡單であつたから、これは地方檢察廳においても取扱つてもいいというような、事実を見ないお話を承つて、私は実に驚いた次第であります。一應私は檢事が公判を請求しました請求書を一遍読み上げて、それによつて私は事実によつて説明を加えて行きたいと、かように考えております。
    公判請求書
  昭和二十三年三月一日
     岡山地方檢察廳
        檢事 尾池 剛一
  岡山地方裁判所御中
  業務上過失致死  尾花 國治
 被告人、大阪市北区宗是町所在関西汽船株式会社ニ雇レ昭和二十一年五月頃以來同社大阪視音寺間定期船女王丸(総屯数四百一屯ノ汽船)ニ乘組ミ船長トシテ勤務スルモノナル処右女王丸ハ同二十三年一月二十八日午前二時五十五分頃岡山縣邑久郡牛窓町黒島南西約一粁五ノ海上ヲ時速八ノツトノ速力ニテ北々西ニ為イ航行中船尾附近ニ触雷シ同日午前三時二十分頃同所附近ニ於テ沈沒シタルガ其ノ際被告人ハ船長トシテ業務上緊急事態発生ノ場合ニ於テ当然採ルベキ應急措置トシテ非常汽笛ノ吹鳴救助艇救助胴衣等ノ手配ハ勿論船員ヲ指揮督励シテ船客室ニ在ル船客ニ対シ事態ニ関スル適確ナル報道ヲ爲スト共ニ之ヲ甲板上ニ誘導シ船ノ沈沒ニ際シテ船室ヨリ無事脱出スル樣全力ヲ挙ゲテ之ガ救出ニ努力スベキニ拘ラズ之ヲ怠リ僅ニ事務長其ノ他ニ救助艇救助胴衣ノ用意ヲ命ジ自己ハ船橋ニ於テ非常笛ヲ吹鳴シタルニ留リ船客ニ対シテハ何等ノ措置ニ出デズ之レヲ放任シタル過失ノタメ船ノ沈沒ト共ニ船客総数三百数名中百七十四名ヲシテ船客室ヨリ脱出ノ機ヲ逸セシメ船内ニ閉ヂコメタル儘死亡スルニ至ラシメタルモノナリ。
という起訴事実であります。これから見まして、私共は以ての外だというのに、ここに書いてあります「之ガ救出ニ努力スベキニ拘ラズ之ヲ怠リ僅ニ事務長其ノ他ニ救助艇」これが即ち本件の非常に大きな重大なポイントだと考えておるのです。船長が事務長にその船舶救助の措置を取らせることは、これは現在船舶操縦の上において当然やるべきことである。それを「僅ニ」という眺め方、これは私は非常に素人の判断の一番危險な点である。少くも船長が船が沈没に瀕しておる、船長は乘客の救助もしなければならん、ボートも船長が下す、或いは梶も取らなければならんということは、船長一人の体ではでき得ない。少くもこの非常時の生じた場合に船長は般橋即ちブリッジにおりまして、そうして船員を適当に指揮することが船長の絶対の使命であります。船長はその絶対の使命をここに果しておつたのに、「僅ニ事務長其ノ他ニ救助艇救助胴衣ノ用意ヲ命ジ自己ハ船橋ニ於テ非常汽笛ヲ吹鳴シタルニ留リ」これは何たる私は事実を把握しない。むしろ私は海員に対する一種の侮辱だと私はかように考えております。船長が船橋において非常汽笛を鳴らし、他の救助艇に呼び掛け、そうして船の処置をするということは、これは当然過ぎる程の仕事であります。それを「船橋ニ於テ非常汽笛ヲ吹鳴シタルニ留リ」、如何に私は素人が無謀な独断の判断においてやつて來たかということに恐れを爲すと同時に、かようなことが即ち私共は新らしくできました海難審判法においてこれを律して行かなければならん、又もう一つここに私申上げておきたいのは、「船客ニ対シテハ何等ノ措置ニ出デズ之レヲ放任シタル過失ノタメ」、船客に対して何らの措置に出でずこれを放任したという船長は、どこに放任した事実があるか。船長は事務長に命じて船客の救助に当り外の船員に対しては、或いは一等運轉士、二等運轉士、或いは機関長という者に対しては、機關長には非常機關の操縦装置に就け、一等運轉士には少なくも船の安全を図るべく船首において一等運轉士にその操作をさせる、かように船長はいたしておりますのに、「之レヲ放任シ」という眺め方、これが私は非常に恐ろしいのであります。恐らくこういうようなことで來るならば、これから二十万の海員は私共は安心して今後その職務に就くことはできなかろうということが、私共第一國会におしても少くも海難審判即ちその前にありました海事審判を先行にしろということは私共の唱えたところであります。我々海員の方の側から行きますならば、我々は海員が当然責任を受けなければならん、当然持たなければならんことであるならば、而もその船長が過失においてかような大きな失態を招來するならば、國家の手を煩わし、刑法上の手を煩わさなくても、やはり日本海員の魂があります。少なくも最後の処置として船長は恐らく船と運命を共にする、老いたりと雖も日本海員として日本海員の一つの魂を持つておるのであります。私共はその日本海員の魂から來るその專門的立場から責任を問われることを待つているのであります。かようなことにおきまして、私共申上げたいことは、本來我々の立場から行けばこういうくだらんことを起訴の重点に置くというようなことでなく、海難審判の立場から行くならばそこに浮遊水雷があるだろう。少くも船長が昭和二十三年一月二十八日午前二時五十五分に黒島沖を航海したその航路は、これは掃海した航路であるか、掃海してない航路であるか、或いは船長が、出帆する前にはその当該の海運局に行きましてその安全航路の指示を受けるわけであります。船長が安全航路の指示を受けたその指示以外の航路においてかような事件が発生したのならば、これは私は船長の何としても許すことのできない一つの大きな責任であると思います。私はそういう立論から何らこれには触れず、ただ船長がブリッジにおつて事務長を指揮して、救助艇、救命胴衣の用意をさしたということは、これは非常に不都合なことだという、如何なる日本の船舶、少くも外國の船におきましても、船客に対してはこれは事務長がすべての責任を以て船長に代行して旅客の救出に当るのであります。又船長がブリッジにおいて非常汽笛を鳴らす、これは船長としては当然過ぎる程の行爲であります。それをやつておることが職務怠慢であつた、職務を放棄しておつたことであるということで、放任というような文字を使うに至つては、私は船長に対して一つの侮辱の言葉じやなかろうか、かように私は考える次第であります。但しこの亡くなつた人に対しては、これは私共はやはり相済まんとは考えております。少くもこの事件を招來いたしました時間を考えてみたい、一月二十八日の午前二時五十五分というのは、これは眞夜中であります。眞夜中に、船客は船客室において晝の疲れで十分眠りに就いておる深夜の時分であります。その折にこういうような衝突と違つて接触したというような事件が突発いたしますならば、今までの統計においても、三百数名の中から百七十余名が気の毒なことになつたといいますが、過去のいろいろの統計から行きましても、三百人の殆んど過半数ちよつとくらいの死傷でこれが終つたことは船員の活動が如何で機敏であつて、敏活にやつたかということをここに雄弁にこの事実が物語つておる、かように考える次第であります。今まで瀬戸内海におきましては、紫丸とか、又いろいろの旅客船が深夜において沈没をしたいろいろの事件があります。その事件を眺めて見まするのに、殆んど三分の二の船客を失つております。この事件を私は数字の上において眺めて見まするのに、三百数名の上から百七十余名の犠牲者を出したということは、私はむしろこの犠牲者の数の少なかつたことに対して、如何に船員が活動してこの船客の救出に努力したかということを眺めることが私はできる、かように考えております。かような意味におきまして、私がこういうことを恐れるので、第一國会におきましても、少なくもこの海事審判を先行にして、こういう私は事業審理をして貰いたいということを國家に要求し、國家も亦これを明らかに私共に右の処置を取るということをおつしやつたのであります。而も第一國会におして私共が要求いたしましたのは、六月頃とかように考えておりますが、少くも海事審判、海事事件に対しては海難審判を先行にするということは、今申しました昭和十二年の第七十一回國会、それから二十二年の九十二回國会の頃の船員法の改正当時に、これを一つの附帶事項として、これは決議されておるわけであります。而も九十二國会におきましても、これは明らかに政府が、先行するということを明言をいたしておる。ただ法務長官のお話では、当然な処置だというが、この頃はやりの個人の法務長官のお立場から、この事件の起訴事実を眺めるならば、私は今のような言葉は発せられないものだと、かように固く信じております。かるが故に、今後私はかような海上の事件については、海難審判法を絶対に先行するということを政府はこの際にもう一回明らかに政府の意図を表明して貰いたい。
#6
○國務大臣(鈴木義雄君) できるだけ丁寧なお答えをいたしたいのでありますが、只今のいろいろな御説明は、多く事実上の爭点に掛かる問題でありまして、裁判に相成りまして、あらゆる証拠を以て爭われ、且つ決定される問題であると思うのでありまして、私の方にもいろいろな証拠が参つておりますが、ここでそれを論議いたしますることは適当でないと考えまするから、御趣旨は十分了承いたしまして、その事実上の爭いの点は留保いたしておきたいと考えております。尚これが海事審判先行の原則を取らないでやつたということについて、御批判のありますることは十分了承いたします。併し遺憾ながらこれはすでに起訴いたしたのでありますから、取消すというわけに参りませんので、これはこれとして、十分に法廷において、あらゆる証拠と資料とを以て、被告利益のために事実を明らかにして頂きたいということを、私共の立場からも希望いたすのでありまして、今後の問題といたしましては、先程申上げまするように、海事審判先行の原則を堅持するということははつきりここで申上げておきます。ただ、飽くまで原則でありまするから、万々一例外というものがないということは保証できませんが、只今のところ、少くとも海難事件に関しまする限りは、海事審判を先行させるように今後は努力いたす、こういうことをお誓い申しておきます。
#7
○委員長(板谷順助君) 委員長からちよつと伺いたいですが、とにかく海上のできごとというものは、ほんの瞬間に起る問題が多い。從つて陸上の方においてよく分るわけはないのでありまして、今お話のうちに、海難審判所の取扱いが遅れたということと、それからつまり過失死傷の問題については、陸上において取扱わしてもいいような事件であつたと、こういうようなお言葉があつたようであります。ところが海難審判所の先行するという原則をお認めになつた以上は、成る程この女王丸事件は陸上の裁判に付されてはおるけれども、先行の建前から、一先ずこの事件を海難審判所に移すということについてのお考えはどうですか。
#8
○國務大臣(鈴木義雄君) それができますれば、いたすことに吝かでないのでありまするが、遺憾ながら一事不再理の原則が適用されておりまして、一旦公訴を提起いたした以上は、撤回するとか、或いは取消をするというわけに参らんのであります。そうすると事件は消滅してしまうのでありまして、そうさせるわけにも参りませんので、止むを得ずこの事件はこのまま進行して参る外はない。併し裁判の内容については、海上において海事審判がやると同じ精神を以て、あらゆる專門家の鑑定に付し、專門家を煩わすように努力してやつて行く、こういう方針でおるわけであります。
#9
○委員長(板谷順助君) どうですか、海難審判所長が見えておるが、あなたの見解を……
#10
○丹羽五郎君 今法務総裁が、天光丸事件の海事審判が非常に遅れたから、それで女王丸事件は取扱わなければならなくなつて來た。又地方のいろいろの声によつて、止むを得ず取扱いをしなければならんようになつて來たというお言葉がありましたが、そういう事実があつたのか、一つお尋ねをいたします。
#11
○説明員(長屋千棟君) ございました。
#12
○丹羽五郎君 どういうわけで審判事件を取扱うことが延びたのですか。
#13
○説明員(長屋千棟君) お答えします。天光丸事件は、先程法務総裁からお答えになつた通りでございますが、これはたまたま審判所におきまして、一昨年二月に非常な人員整理がありまして、そこへ管轄中央海難審判所の審判官に病人ができたりいたしまして、非常に審理が遅れました。つまり人員が十分に揃わなかつたために遅れました。
#14
○委員長(板谷順助君) どうも今の長屋説明員のお話では、あなたの方が先行で取扱うべきものを、これを陸上の裁判所に移された場合において、なせその際あなたの方で抗議をしなかつたか。遅れたということは、要するに陸上の裁判に廻された理由の一つになつておりますか。
#15
○説明員(長屋千棟君) お答えします。天光丸事件においてはその通りでございましたが……
#16
○委員長(板谷順助君) いや女王丸です。
#17
○説明員(長屋千棟君) 女王丸事件に関しましては、再びそういうことはないように、私がたまたま二月の七日に大阪に参りまして、大阪の地方海難審判所に、これは非常に大きな事件であるからして、早急にこれを取上げて審判に付さなければならないということを申しました。当時は理事官は審判所長の監督の下にあつたのでありますから、早急にこれを調べて審判所へ廻せということを指令いたしました。その手続をいたしまして大阪の地方海難審判所といたしましては、いつでも審判申立をできるような態勢にあつたのでございます。そのためにそれより以前に大阪の審判所の理事官が岡山の地方裁判所に参りまして、再三係檢事に対して、これは審判を先行するから、あなたの方は待つて呉れ、議会の答弁、それからそれまでの経緯、司法省民事局から出ております通牒等の説明をいたしまして、審判は飽くまで先行しなければならないからそういう工合にして呉れといつて申入れたのでございます。ところがいや、これは先程法務総裁が、特別の事情があつてやつたと申しましたが、その特別の事情は私にはよく分りませんが、非常に事件が大きいからだと私は了承していますが、非常に岡山の裁判所では急がれまして、檢察廳で檢事会同の結果、これは直ぐ起訴する、三月一日か二日に起訴することに決めたからと、一方的にこちらの申出を聽かれなかつたような次第であります。併しながら大阪の理事官は、それは困る、飽くまで海難審判所が先行すべきである、私としてはそれは了解できないといつて帰つて來たようなわけであります。ですから審判所といたしましては、これをただ放つて置いたわけではありません。
#18
○小泉秀吉君 法務総裁にお尋ねいたします。先刻のお話によりますと、女王丸を岡山の檢察廳が取上げたのにいろいろ理由があつたように承つておりますが、地方民の声がやかましかつたり、それから遺族等の要求も相当に激しかつたから岡山では取上げたのだというようなふうた御説明のように伺いましたが、そうなのでございますか。
#19
○國務大臣(鈴木義雄君) それも理由の一部をなしておるようであります。
#20
○小泉秀吉君 一体この事件は今も外の議員から公訴事実という、公判請求書というようなものに読上げられてみて、そしてそれに対して檢事の認識が甚だ專門的じやないということをいわれておりましたが、私もやはりそういうことには同感なのでありまして、結局いうとそういうふうなこと、公判の請求書そのものにおいてさえも、既にいわば專門家と然らざる人との認識の格段の相違があるというようなことに鑑みて、國会の衆議院も参議院もやはり審判先行ということにして、それでそういうことをその当時の司法省或いは法務廳というようなものも了承したのに拘わらず、地方の声がやかましければ、外にも理由があるんだが、ともかく放つては置けないからしてそれを取上げるのだというようなことであると、一体何のための國会の決議であり、それに対して政府が承諾を與えたのか、その辺のことが私にはよく呑み込めないのですけれども、法務総裁は國会の決議というものに対してそれを当然政府は尊重するというようなことのお考があるのかとうか伺いたいと思います。
#21
○國務大臣(鈴木義雄君) 國会の立法は勿論でありまするが、決議等に対しては常に最大の尊重をいたしておりますることは申上げるまでもないと思うのでありまして、その趣旨を徹底させまするためにも、できるだけの努力はいたしておるつもりであります。本件のごときはやはり海難審判先行の原則というものは十分に周知徹底させてあつたのでありまするが、それにも拘わらずそれを承知の上で岡山檢察廳が刑事訴追を先行させましたのは、先程來申上げまするような理由でありまして、それが適当であるかどうかについて御批判のあることは十分了承いたしまするが、そういう決議を尊重しなかつたという趣旨ではないのでありまするから、御了承を願いたいと思うのであります。
#22
○小泉秀吉君 そうすると総裁のお話によると、法務廳としては院議を無視しないし、又正にかくあるべきことであるが、岡山の檢察廳は法務廳の認定といいますか、その問題に対する考察が違つて、岡山独自にそういうふうなことをやつたと、こういうふうに了解していいのでございますか。
#23
○國務大臣(鈴木義雄君) この事件は本省の指揮を仰ぐ禀請事件でないと記憶いたしまするが、從つてその措置につきましては或る程度岡山檢察廳に決定権がありまするわけでありますから、國会の決議及び本廳で説明しておりまする海難審判先行の原則を承知の上、併しそれでもこの事件だけは急がなければならない理由があるとして起訴をいたしたようでありまして、その点は批判の余地はあろうかと思いまするが、そういう関係にあるのであります。
#24
○小泉秀吉君 総裁にもう一遍伺いたいんですが、総裁なり法務廳としては、岡山のやつた処置が総裁から先つき御説明になつたような理由、私はその理由で院議を無視してやるということは承服し難いのですけれども、併し総裁は総裁の受けた、又持つておる材料からいえば、岡山のやつた処置は合法であり、又適法であつて、何ら批判の余地はないというお考であるのか、その点を伺いたい。
#25
○國務大臣(鈴木義雄君) 大体違法ということになりますると、別に違法と点はないのであります。その取扱いとしては合法的であるといわざるを得ないのであります。事実関係等の判断、認識等が妥当であるかどうかということになりますると、これははてしない程議論の余地があることになつて來ると思うのでありまして、そうであればこそ公判においてあらゆる証拠を出して爭う必要があるわけになるのでありまするから、併しそういう認定も一應檢察廳が持つておるわけでありまして、その認定権に基いて認定をいたしておりまするということは正しい、かように認める外はないと思うのであります。
#26
○小泉秀吉君 そうしますと、今の檢察廳のお考えというと、院議というものは、折角院議が決定し、又それを法務廳は各檢察廳にそうしたようにことを通牒しておつても、今の法律関係ではそれ以上に各檢察廳のやることに対して動きがとれないのだ。こういうような御解釈が正しいものであるならば、又それよれ外に行き途がないものならば、この機会に曾つての院議を、そういう解釈でなしに、やはり將來は審判を先行するというようなことに法務廳は御同意をして、的確な処置を取られるという御意思を表明して頂きたいと思うのでありますが、そういうようなことに対する御意見は如何でありますか。
#27
○國務大臣(鈴木義雄君) それは國会の多数の御意思が、單にこれを訓令的な希望的な決議でなく、むしろ立法として海事審判先行の原則を確立せよ、こういうことでありまするならば、そうしてそれを立法化せられまするならば、これは議論の余地なく海事審判を先行することになるのであります。そうしなければ違法であるということになるのであります。それについては法務廳として少しも異議はないのであります。
#28
○小泉秀吉君 総裁のお話、非常に私は結構だと思いますが、成るだけ早い適当な機会に、法務廳がそういうふうな意味で立法をするというようなことを伺うわけに行きませんでしようか。
#29
○國務大臣(鈴木義雄君) その点はちよつと只今即答いたしかねまするが、よく調査機関と図りまして、成るだけ御期待に副うようにいたしたいと思います。
#30
○小泉秀吉君 私は法務総裁の最後のお言葉に信頼いたしまして、できるだけ好意と善意を持つてこの問題を將來立法化できるように処理して頂きたいという希望を以て質問を打切りたいと思います。
#31
○委員長(板谷順助君) その立法化ということも、それは勿論必要であるが、第一國会において海難審判所が先行するということはすでにはつきり決つておる。ただ立法化しかたしないかの程度だけでこれが決つて、地方の檢察廳に対してそういう訓令を出しておられるのだ。おられるのであるが、たまたま今向うの方からの通知によれば、或いは遭難した遺家族とかその他の人々が騒いで、一方海難審判所が遅れたために、そうしたという事後の通知に接して、今総裁はそういう答弁をしておる。しておるのであるから、大体岡山檢察廳が取つた行爲というものは、つまり原則を無視したことの結果になる。そうであるから、私が先程申上げましたように、これは海難審判所が先行という建前になつておるが、立場が違うが、海難審判所の方ではこの審理をどういうふうな取扱にしたか。
#32
○説明員(長屋千棟君) 女王丸事件につきましては、先程法務総裁から御答弁がございましたように、一旦これが起訴されますというと、海難審判所ではこれを取上げるということができんことになります。これはまだ海難審判法が施行される以前の発生事件でございますので、その取扱いが單に海員懲戒法によつてやる外はないのであります。その三十四條に刑事事件として訴追を受けた者は審判を行うことを得ずという規定がございますので、これは先程法務総裁の御答弁と同樣に、一旦起訴されますと、もう海難審判所では、どうすることもできんのであります。
#33
○委員長(板谷順助君) そうすると、これは將來に対する海上労働者に対する非常に不安の問題であるから……
#34
○説明員(長屋千棟君) ちよつとお答えいたします。それは海難審判法が施行されまする以前の事件でございまして、海難審判法が、この二月二十九日から施行せられましてから以後の事件は、これはこの三十四條の規定を全然拔いてしましてございますから、これはたとえ刑事事件として起訴されましても、私の方ではこれを取扱つてやることができるのでありますが、そこで先行ということが起つて來るのであります。
#35
○委員長(板谷順助君) 先行して兩方ができるということになるのですか。
#36
○説明員(長屋千棟君) それは法規の建前から申しますと、兩方同時にできるわけでありますが、それでは先程のような不均衡ができるから、專門家の海難審判所における審理を待つて裁判所ではこれを審理する。こういう取決めができたわけなんでございます。
#37
○丹羽五郎君 私は法務廳総裁に一言希望を申上げたい。海難事件は我々がここで討議しておる直ぐその後にも起るかも知れない。今後起るべき海難事分に対しては、絶対に海難審判を先行させるということを努めて貰いたい。又一方海難審判所の所長に向つても私は希望する。どうも海難審判所というものは、いろいろの関係上相当ゆつくりしておつたような事実もないとはいえない。現に天光丸事件のごときは、人の不足という今の説明がありましたが、事件というものはいつ起るか分らない。それを人の不足を以て釈明するということは、私には分らない。今後私共はこれを契機にして、少くも海難審判は地方の民心といろいろの関係もありますから、そういうことを狙つて、少くとも早く事件の処理に当る。そうして成るだけ先行させて、その結果によつて、又檢察廳として不服があるならば、不服を言つて貰いたい。かように考えておるのであります。最後に私の希望を申上げました。
#38
○國務大臣(鈴木義雄君) 了承いたしました。
#39
○委員長(板谷順助君) 了承でなく、もつとはつきりして置きたい。海難審判所が先行してやつて、若しやり方について万一陸上における檢察廳がやらなければならん場合が、あなたのおつしやるように或いは起るかも知れない。海難審判所が先行して、いわゆる海上関係は海難審判所でなければ審理ができない。先行させるということについて御同意なさいますか。
#40
○國務大臣(鈴木義雄君) 同意です。
#41
○委員長(板谷順助君) 分りました。それでは内村君、もう一遍簡單に先のことをおつしやつて下さい。
#42
○内村清次君 七月一日からの、運輸当局が発表した新ダイヤについて、この経緯において組合との話合いが、どうも縺れておるような状態が露呈されておる。組合の言い分としては、この新ダイヤの決定は当局の一方的な決定であつて、その間において当局は規定を改正して保安度を低下しておる、又人員の面においても、労働基準法その他現在の人員の不足をカバーするためにも、規定を改正しておる。こういうふうな状態では新ダイヤの運行というものは決して円滑に行かないからして、これは現行ダイヤでやるべしというような指令を発した事実があつて、併しながら昨夜においてその指令はどういう関係か取消されておるのであるが、その間において当局もこれは経営権の侵害であるというようなことで業務命令を発するというような事態であるが、一体この組合の主張するところの、当局が果して一方的にこれを決めたのであるかどうか。又現在人員の面においてこのダイヤを敢行する点について不足があるのか、労働強化になつておりはしないか、或いは又保安度が低下をしておるということは一般國民もこれは杞憂する問題で、不測の事故等が生じた場合においてはこれは相当社会的にも問題の起ることであるからして、この保安度の低下に対して当局としてはどういうような即ち考えを持つておるか、この点を質問いたします。
#43
○政府委員(加賀山之雄君) ダイヤ改正の問題につきまして、組合側がこれは当局が一方的に実施しようとしておると、こういうことを言つておつたことは事実でありますが、当局といたしましては一方的に実施しようとして覚えはありません。從來ダイヤ改正につきましては、これは一朝一夕にこの案ができるものではありませんので、実は今回実施のダイヤにおきましては、すでにもう一年くらいに亙りまして檢討いたしたものであります。早く実施をいたしたいと考えておつたわけでありますが、その後種々の事情からなかなか実施ができなかつたということでありまして、從いましてそういう長い間には、いろいろ專門家を集め、或いは組合員であると、管理者側の職員であるとを問わず幾度も論議をいたしまして、プランを作つて參つたのであります。今回の問題といたしましては、御承知のように國鉄労働組合は奈良における大会におきまして、幹部に非常な変化があつたのでありまして、その後新執行部の成立を俟ちまして、もう七日と実施も迫つておりますことでありますので、新幹部にこれを提示して反省を求め、改正の趣旨並びに方法等につきまして協議を重ねたのであります。然るに組合側におきましては、いわゆる人員が非常に多く要るという主張をいたしまして、今回の当局の案には急に賛成しかねる、まあ簡單に申せば、何ら明確な具体的な條件の提示もなく、どうだというならば反対する外はないといつたような消極的な態度に終始して参りまして、結局明確な賛成がなかつたということが事実であります。從いまして当局といたしましては、先程申しましたように一日もダイヤの改正は早くやらなければならない。特に石炭の節約、或いは貨物列車におきましては一億三千万トンの輸送という大なる目的が入つておりますダイヤでありますだけに、どうしてもこれを早くやらなければならん。再び六月二十五日に私が直接組合本部の幹部に來て貰いまして、最後的にどうかこの趣旨から言つて反対はないと思うけれども、尚念のために申入れる、組合側として十分協力と努力を盡されたいということを要望したのであります。そのときにも当時出席いたしました鈴木副委員長は、單に申入れを受けて置くという態度で、はつきりとした回答がなかつた。で、私共といたしましては特に当局の強い反対の意思表示がない点からみて、いよいよ実施の肚を決め、その準備を更に進めたのであります。然るにその後中央鬪爭委員会において、二十六日の翌日の中央鬪爭委員会において、現在のダイヤを実施するという指令第九号というのが決りまして、それを土曜の夜発信をされておる。そして我々に対しましては、その翌日は日曜でありますので、翌々日の月曜の朝に至りまして書面を以て、使いを以て、当局の案には賛成できない、指令第九号を発して組合としてはこのダイヤ改正を阻止する手段を取るという重大な通告を受けたのであります。我々は誠に驚愕いたしまして、早速組合幹部と会見いたしまして、同じことを繰返したのでありますが、組合としては変える意思がないということで、その後再三新聞紙に現われておりますような折衝を重ね、結局組合といたしましては最後に漸く健在な判断に立戻りまして、いわゆる指令第九号を取消したという指令第十三号を、昨日の夕刻始めて発信したという始末であります。で一方的だという意味がどういう意味かはつきりいたしませんが、勿論このダイヤ改正のごときは、当局が責任を以て実施すべき事柄であると私は確信いたずのでありまして、そのためにはどうしても労働組合の協力を求めなければならんと存じますが、その協力を求めたことに対して、これを確実に、或いは速かに回答を私はなすべきものである。反対するならば反対の要点を具体的に挙げて、こういう点が反対であるというならば、当局としてもその点について勿論考慮すべき問題があれば考慮する、訂正すべき点があれば訂正するのであります。そういう点がなければ荏苒日を延ばすということでは、当局のこの國鉄の運送の責任は完うできないのでありまして、從つて最後的には当局の判断において、当局の責任におてい時刻改正をいたさなければならん、こういう決心をいたしました次第であります。幸いにして組合はそのちぐはぐの指令を取消されましたので現在の事情といたしましては、明七月一日から支障なくダイヤの改正、移り変りができるものと確信いたしておる次第であります。從いましてその一方的という意味は、そういう経緯によつて、組合側は一方的にと言つておりますが、当局といたしましては何ら組合に相談をせずにやつたこととは考えておらないのであります。第二段のこれによつて労働の強化はないか、人員が足りなくはないか、或いは運轉の保安度が落ちやしないか、こういう御懸念でありますが、元々今回のダイヤ改正は從來のやり方でありますと、列車キロの増加に伴いまして多くの人員を計算いたしまして増加し、これを新規採用するのが例であつたのであります。然るに最近の運賃問題で、これは御承知のように國鉄の経営面において人が多過ぎやしないかということが責められておるわけでありまして、我々といたしましては漸次戰前の水準へ帰る、一歩でも帰つて合理化するということを考えなければならないのでありまして、そういう点からいたしましてできるだけ能率的、合理的にやつて行こうという見地から運轉取扱心得を改正いたしまして、これによつて例えば機関助士というものは普通の計算で参りますと、今回の改正で二千数百人を要するという勘定になるわけでありますが、これは複線区間の自働信号区間における四トン以下の石炭を焚く区間におきまして、つまりロードの軽い区間であります。この区間におきましては、機関助士を一名以上持つ、從來二名以上であつたものを一名以上にする、そこから機関順士を浮かせるという方策を取ろうとしたのであります。又実は全面的に機関士が余剩がありまして機関助士が足りない、それは関係方面の指示によりまして、從來ずつと七名以上であつた機関助士を一つきの二名乘務にしたらということから來ておるのでありますが、ロードがそんなに重くないところで信号注視の責任は自動信号区間の保安度の高いところであるならば、必ずしも二人は要らない。それで関係方面の了解を得まして一名にした、一方機関士の方面の余剩の分は、その中には機関助士から上つた若い連中がおりますので、その若い連中は一時機関助士の仕事をして貰う。尚且つ不足はいたすのでありまして、結局千六百人程度の人員を新規採用せざるを得ないという実情であります。從いまして人員の面におきましてはそうしたやりくりはいたします。やりくりはいたしますが、又從事員の努力は是非とも要請しなければならん、労働を強化する、現在の労働から急に非常にこれを強化するということはないのであります。又もう一つの例といたしましては、車掌でございますが、車掌におきましても、短区間殆んど閑散な区間でストツプのしない区間においては、車掌の乘務を省略する、或いは車掌の前部、後部兩方に、全列車乘せておりますのを、区間によりましては一人乘務にするといつたことで、車掌を浮かせるということもやつているわけであります。從いましてそうしたやりくりをいたしますことによりまして、どうにか今回の時刻改正をやろうというやり方を考えたわけであります。予算人員におきましても六十二万七千五百人の人員でありますが、殆んど労働基準法関係の人員を採用いたしてしまいますと、もう二千人程度の余剩よりないということになるのでありまして、この二千人程度の者を全部駆り出して今回の時刻改正に充てた。でそれでも足りない分を今申しましたやりくりによつて動かすという方法を取つたわけであります。これについて労働強化がないか、保安度の低下がないかというお尋ねでありますが、労働の強化ということにつきましては、先程の機関助士の例によつて見ましても、又車掌について考えて見ましても、労働の強化はありません。保安度の問題につきましては考えようでありまして、國鉄始まつて以來数十年間こういうやり方をして來たわけであります。関係方面の指示によりまして戰後いわゆる機関助士の二名、車掌の二名ということが始まつたのです。それは二名より三名、三名より四名の方が保安度が高くなることは当然でありますが、現在の國鉄といたしましては、それ以上のことができない。ただ先程申しました省略区間が自動信号区間であり、又或いは行き違い列車等のないところの車掌を省く、機関助士については自動信号区間の而も四トン以下の石炭を焚く区間について省くというのでありますから、保安度についての心配もない、從事員が努力さえして呉れれば心配がないというように考えているのであります。併し組合とは、尚疑念があるならば先ず時刻改正の蓋を明けて具体的に地方で実施をして、その上で非常に工合が悪いところがあれば、又協議しようじやないか、組合も團体交渉に應ずるということを申しておるのでありまして、勿論労働條件の問題につきましては、組合と篤と話をいたさなければならないと考えている次第であります。
#44
○内村清次君 只今の御答弁では一年以前からこの問題については交渉を続けたというお話でありまするが、勿論この新ダイヤを全國的に変更するということは、これは経営上の無理な変更であつて、当然この問題は経営協議会に掛けて十分兩者間の話合いというものが成立しなくてはならない問題であると思いますが、勿論先般経営協議会においては一億三千万トンの増送についてのお話合いはあつたように洩れ承つておるのですが、このときにこの新ダイヤの即ち旅客ダイヤ、この点について十分納得の行くような話合いがあつたかどうかこれが第一点。
 それから執行部が変つたのは五月三十日に変つておりますが、今回の交渉を持つたのは六月の二十三日から交渉を持つておるようですが、僅かあと七日間くらいの交渉なのです。それで当局で言われるような懸念があるし、又組合との十分な納得が行つておらないとしたならば、この間において十分この問題について話合いができた筈であると思うのであります。その点と、それから人員の問題ですが、只今では勿論規定を変更して、そうして二人乘務のところを一人乘務にするというようなことで一應現運行が成立つておるような感じを與えておりますが、実際において不足人員はないか、途中でダイヤ切れをして折角のダイヤが或る管内に、又或る機関区に行つたときにおいては、もうこのダイヤを運休せなくちやならんというような事態が起りはせんかどうか、この点を先ずお尋ねいたします。
#45
○政府委員(加賀山之雄君) 第一点の経営協議会においては、一億三千万トン輸送の問題と関連してダイヤ改正の問題の説明をいたしました。ただ経営協議会といわれますが、ダイヤ改正のごとき非常に技術的面の檢討を要する問題は、若しやるならば專門委員会等においてなすべきでありまして、專門委員会は開きませんが、主管の局長であるところの運轉局長が本部と折衝し、その本部との折衝においては、いわゆる運轉協議会のメンバーが中心になつて、この協議に当つていたということであります。從つて経営協議会の專門委員会を開いと同じ、私は、効果があると考えておるのであります。それから、組合は五月三十日と言われるが、これは内村さんのお考え違いであつて、五月三十日は大会が開かれた日であります。從つて、新執行部ができたのはその後六月の十五日であります。六月十五日に初めて新執行部が成立されておるのであります。その間は我々が何を持つて行つても組合は受付ける人がなかつたということは、組合のことをよく御存じの内村さんならばお分りになる筈だと思います。それから人員が足りなくなつて、実際に設定したダイヤが動かないかどうかということでありますが、組合が当局の今の方針、先程申しました方針に基いて忠実に國民のために働いて呉れるならば、ダイヤは我々が予期しておるように動くということを確信いたしております。
#46
○内村清次君 先程保安度が低下しない、或いは又労働強化にはならないというような御答弁があつたのでありますが、その自動閉塞区間において二人乘務をさせたというのは、これは昨年の七月か八月頃だつたと思いますが、御承知のごとく石炭が非常に悪い、それで機関助士の焚火作業において非常に困難がある、又同時に、当時は非常に鉄道の事故があつて、いわゆる追突事故、こういうような重大事故が非常に頻発をしておつた。ここで信号の注視の義務を機関助士にも與えなくてはならない、これは大きな問題であつて、これは機関車乘務員として信号注視の義務があるのは当然でありますが、あの繁雑な而も非常に労力的な機関助士が義務を負わなくてはならん、こういうようなところで即ち義務付けられた半面に二人乘務というものが成立して、ここで完全なる信号注視をして、そうして保安度を高めて行こうというのがこの規定の改正の趣意であつたと思いますが、これを人員が不足するからといつて、そうして四トン以下の焚火作業をするような区間に対して一人乘務にするということは、やはりこれは保安度が低下する、即ち機関助士の義務に対するところの責任感が非常に強くなつて來て、而も四トン以下であつても現在のようなカロリーの低いところの石炭ではやはり仕事の量というものは同じことではないか、これに一人を減らすということは、当局の方では保安度は低下しない、或いは労働強化にはならないとおつしやつておるのですが、当然これはなると思いますが、これはどうですか。
#47
○政府委員(加賀山之雄君) 私はそう考えておらないので、十分これで行けるという確信を持つてやつたことでありますので、内村さんはこの道の專門家でおられますから、御意見としてよく承わつて、尚檢討したいと思います。併しこれは運轉の保安度というものは重要な問題でありますので、当局としても確信なくしてはこういう変更はできない。この先程いわれましたことは、いわゆる從來は機関士だけが責任を負つていたわけであります。それを機関助士にも負わせるという趣旨によりまして始めたのであります。從いまして、自動区間のごとき非常に保安度の高いところにおいては、私は一名で十分であると考えておるわけであります。而もそれも自動区間の全部ではありませんので、石炭を四トン以下より焚かない、即ち労働度の軽い区間だけをやつておるわけでありますから、御心配になるような点はないと確信しております。
#48
○委員長(板谷順助君) どうですか、内村さん、あなたはできないというし、当局はできるというから、その成績を見てできなかつたら又……
#49
○内村清次君 新ダイヤが設定されまして列車が増発するということは、これは國民均しく望むところでありますが、この結果がやはり組合と当局の間に意思の疏通しない、現実面において、実際人員が不足しておるということは、これはもう事実の問題であつて、これを早く解決しなければならないということは、これは当局の責任において早く解決して貰いたいということであつて、この新ダイヤの運行が円滑に行く自信があるかどうかということを最後にお伺いいたしたいと思います。
#50
○政府委員(加賀山之雄君) 先程申上げましたように、我々はこれで蓋を開けるのに支障はないと確信をいたしまして実行をするわけであります。ただ、貨物列車につきましては、いわゆる一億三千万トンの輸送に対應いたしまして、多くの不定期列車を設定いたしておるのであります。この不定期列車か全面的に動くということは予想いたしておりません。今後貨物の出工合、或いは貨車の動き工合に應じて漸次貨物列車が殖えて行く、從つて今回設定いたしました不定期列車の約三〇%程度が、明日の時刻改正から動くという見当を立てております。で、現在の人員は、先程のやりくりをいたしますれば、十分それをなし得る人員であるというふうに考えておるのでありまして、要は私は組合に重ねて努力を要請したのでありますが、この努力なくしては今後の國鉄の経営は、單に今回の時刻改正のみならず成立たないのであります。その点は組合関係のことについて特に御造詣の深い内村さんがよく御存じの点であろうと考えるのであります。
#51
○委員長(板谷順助君) これより港域法案を議題と致します。これは、まだ予備審査でありまして、先般政府委員より提案理由の説明は終つておるのでありますが、これに対する質疑がありましたらお願いいたします。
#52
○丹羽五郎君 この港域法案を見ますと、ここに総計で港は四百十六、その内の開港五十六に対しては、その管轄区域を緯度経度において表わしておりますが、これは地方に行きまして、地方廳が果してこれと同じような区域を、はつきりした嚴然たる区域を定めておるか、これが私非常に今後行政事務を取扱う上において摩擦の起る点だと、かように考えておりますが、これは地方廳は、やはりこういうような方法において管轄区域を拵えておるかどうかということは、今政府委員に伺うのも変ですが、ちよつと参考に聽かして貰いたい。
#53
○政府委員(大久保武雄君) お答えいたします。この港域法で定めました港の区域は、大体現在の法律で現に定まつております、区域を原則として踏襲いたしておるわけであります。尚それに附け加えまして現に海運局等で実査をいたしまして、大体現在の区域を踏襲しておる、かように申上げてよろしいと思います。
#54
○小泉秀吉君 この港域法案で港が沢山書いてありますが、この中例えば横須賀、京濱、或いは關門というようなところの何を見ますと、非常な厖大な大きな一つの法案になつておるのでありますが、こういうことになつてこれを港だということになると、船員法でいうておる港、港湾といいますか、それと大きな牴触があるようになるんですけれども、船員法でいう港域というものを、この港域法案でどういうふうに取扱うか、このままじや工合が悪いように思うのですけれども、何かそのことに対してお考えはないですか。
#55
○政府委員(大久保武雄君) この法律は港の区域を定めておりますので、一般的にこの法律が適用されるわけであります。尤もこの区域によるかどうかということは、それぞれの法律にその旨規定せられるわけでございます。例えば港則法その他関税法によりましても、この港域法によるというようにいたしております。そこで例えば只今御指摘になりました船員法等におきましては、或いは労働関係の立法の精神からいたしまして、この法律は違つて区域を設定するという必要があるかも知れない。そういう場合におきましては、それぞれの法律によりまして、この法律と違つたお定めをされるということは、一向支障がないのであります。
#56
○委員長(板谷順助君) こういうように船員中央労働委員会の会長末弘嚴太郎君から参議院議長宛に建議書が出ております。「それは運輸大臣は船員法(昭和二十二年法律第百号)第一條第二項第二号の適用について、当分の間、特に港を指定して、この法律の定める港の区域と異る区域を定めることができる。」こういう建議書が來ております。衆議院では修正するらしいのですが、参考のために我々の方でも研究してみたいと思います。
#57
○小泉秀吉君 私は末弘君が主張されるし、又それと殆んど同様の意味で、海運組合でもそういうことを主張しておられるので、今の政府委員の話でいうと必ずしも、そういうふうな主張をこの港域法案の中に折込まなくとも、救済の途があるようにも解釈できるかも知れないが、この衆議院でもそういう意向ならば、港域法の1、2の次に3として、末弘君からいうて來たような意味のことを、やはり修正條項にして入れておいたらどうかと思うのですが、衆議院はどういうふうにしておるか知らんけれども、やはり入れて置けば私の懸念するようなことは、一應そこで解決すると思いますがね。
#58
○政府委員(大久保武雄君) 只今小泉委員からの御提案の御趣意は御尤もでございます。私共も只今申上げましたように、船員法でこの法律と違つたお定めをなさることは一向差支えないのであります。丁度この法律案が出ました際でございますから、この法律案の附則の第二項に、委員長並びに小泉委員から申されました趣旨のことが、附け加えられますことにつきましては、何ら異存はないわけであります。
#59
○小泉秀吉君 政府も同意しておるならば、又修正案が廻つて來れば、それを承認するというような意味で、オミットしてあれば、そういう修正をするというようなことで御相談なすつて頂きたいと思います。
#60
○委員長(板谷順助君) 承知しました。外に御質疑ありませんか。
#61
○新谷寅三郎君 この港域法は港則法にもありますように、港の区域を決める法律案だろうと思います。日本で港というのは、大体ここに掲げてあるものだというふうに、限度されることになると思うんですが、区域につきましては今お話のように、例外も認められるのかも知れません。ですけれども若しここに掲げられない場所が、港として考えられなければならんというときには、この港域法だけでは賄えない。この中に、やはり港の名前を掲げないと、そういう趣旨が現れて來ないと思いますが、如何でしよう。
#62
○政府委員(大久保武雄君) 只今新谷委員のお尋ねの、この法律案以外の港につきまして、若し港域法を適用し、港則法の定める規定その他が適用することを必要とする事態が起りましたならば、この法律の別表にございます港に追加して置くということに相成る。
 お尋ねの第二点の港の名前につきましては、別表の中に各地域に分けまして、港の名前も掲示いたしてございます。大体ここに追加されるものと御了承願います。
#63
○新谷寅三郎君 この点これで分るのですが、結局価事関係の諸法令で港という字を使つておりますものにつきましては、ここで港域法そのものは、区域を決めるだけで、これだけのものですが、他の法令で港という字を使つてありますのは、結局ここに列挙されたものだということになるだろうと思うんですが、そういう解釈でよろしいでしようかということを伺うのです。
#64
○政府委員(大久保武雄君) 港はこの外にも一般的に沢山存在し得るわけでございます。この港は港域法、港則法、関税法等の適用ある港と、かように御解釈願いたいのでございます。
#65
○新谷寅三郎君 港域法はそういうふうに港則法とか、関税法とかいうふうな適用のある法律というものを対象にしたものでなくて、あらゆる海事関係法規において、いわゆる港という区域を一般的に決めるのが港域法だろうと思うのであります。従つて先程小泉委員の御質問の中に、船員法なら船員法で港という字を使つた場合に、ここに港に列挙してないものもやはり港であるというようなお考えらしいのですが、そうしますと、港の区域が定まらない、從つて船がどこにおつてその区域の中にあるのかないのか、港の中にあるのかないのか分らないことになります。從つて海事関係法令において、港というものをすべて包含して、その区域をここで明確に決めるというような趣旨で、港域法というものが制定されると思うのでありますが、今の政府委員の御説明によると、何か特定の法律だけを対象にして港の区域を決めておるのだ、こういうことになりますが、それじやいけないのじやないでしようか。
#66
○説明員(猪口猛夫君) 只今の御質問につきましてお答えいたします。この港の区域に決定につきましては、船舶交通の面から使用港と見られるようなもの、そういうものは同時に産業、経済、文化等の面から見ましても重要な港であるだろうと思われます。そういうようなものにつきまして、從來港といたしまして、海港の面から、或いは港湾建設その他の面から港と指定していたものは全部拾い上げまして、その港の区域をこの法律で決めておりますので、大体殆んど全部いわゆる港として、そういう御質問のような問題の起るものは、これに網羅されておると思いますが、將來、先程申しましたような交通取締の面から、或いは産業、経済、文化等の面から、諸種の海事法規を適用しなければならんというような港ができたといたしましたならば、これを新らしく追加決定しなくちやならんだろうと思います。
#67
○新谷寅三郎君 今の説明員の御説明で、私は了承するのです。結局いろいろの海事法令におきまして港といわれておるものは、ここに列挙せられてあるものだけであつて、これ以外のものは、仮に実際港湾のような場所があつても、それは海事法令のいわゆる港ではない。こういう解釈をすることによつて、初めて港域法というものは了解できるのですが、多少御答弁の趣旨が違いますが、あとの御答弁の趣旨でよろしいのでしようか。もう一遍伺います。
#68
○政府委員(大久保武雄君) 只今の猪口説明員の答弁で差支ありません。
#69
○委員長(板谷順助君) 他に御質疑はありませんか。そうすると、この港域法案は、多分本日の衆議院本会議で可決をされて、明日こつちへ廻つて來ると思います。質疑は先ずこの程度に打切つておきますけれども、本審議となつた場合においては、尚又御質疑を願うことにいたしたいと思います。本日はこれで散会いたします。
   午後三時四十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           鈴木 清一君
           カニエ邦彦君
           新谷寅三郎君
           水久保甚作君
           中野 重治君
           加藤常太郎君
           北條 秀一君
           飯田精太郎君
           尾崎 行輝君
           村上 義一君
           小泉 秀吉君
  國務大臣
   國 務 大 臣 鈴木 義雄君
  政府委員
   運輸事務官
   (海上保安廳長
   官)      大久保武雄君
   運輸事務官
   (鉄道總局長
   官)      加賀山之雄君
  説明員
   運輸事務官
   (海上保安廳保
   安局海務課長) 猪口 猛夫君
   高等海難審判所
   長       長屋 千棟君
ソース: 国立国会図書館
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