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1947/07/03 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第14号
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1947/07/03 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第14号

#1
第002回国会 運輸及び交通委員会 第14号
昭和二十三年七月三日(土曜日)
   午前十時四十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國有鉄道運賃法案(内閣提出、衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これよう会議を開きます。
 この際諸君に御報告申上げまするが、この度の旅客運賃の値上げにつきまして、全國の全財務労働組合、又國鉄労働組合その他各方面から電信並びに手紙を以て、多數値上反対の陳情が参つております。この点は御報告いたして置きます。
 それから國鉄運賃改正法につきましては、今日まで予備審査でありましたが、昨日衆議院が可決をされまして、正式に本院のこの委員会に付託をされましたので、この際改めて質疑を經続いたしたいと思います。
#3
○小野哲君 國有鉄道運賃法案の一部を、衆議院におきましては修正議決いたしたことを承わつておるのでありますが、この点に関して、その修正の内容について、政府当局からこの際一應御説明を願いたいと思います。
#4
○國務大臣(岡田勢一君) 小野さんの御質問によりまして、昨日衆議院で修正可決されました点を御報告申上げます。運賃法案の第三条でございます。第三條の一キロメートル当りの基本賃率が修正の主な点でございまして、「第三條、鉄道の普通旅客運賃は、左の各号の定めるところによる。一、三等の賃率は、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは九十錢、これは原案では一円二十五錢とございましたのが、九十錢となつたわけであります。「百五十キロメートルをこえる部分は六十五錢とする。」これを原案では九十錢とございました。次の第二号は同じでございますが、読んで見ますと、「二等の運賃は三等の三倍、一等の運賃は三等の六倍の額とする。」、次に第十條「この法律の施行期日は、公布の日から七日をこえない」とございましたところを、「二十日」と修正されました。「公布の日から二十日をこえない期間内において、」原案では「政令でこれを定める。」とありましたのを、「期間内において、各規定につき政令でこれを定める。」以上でございます。
#5
○小野哲君 いずれこの修正議決をされました内容につきましては、本委員会においても審議をせられることと思うのでありますが、私から一、二の点をこの際大臣に伺つて置きたいと思うのであります。先ず今回の國有鉄道の運賃改正に伴いまして、旅客運賃の修正があり、而もこの旅客運賃の修正に伴うて、私が気が付きましたことは、地方鉄道等の國有鉄道と連帶をいたしておりまする連帶線との関係において、定期の問題があるであろう。かように思うのであります。聞くところによれば、運輸当局においては、私設鉄道の若干のものについては通算の取扱いをせられるようでありますが、若しそうであるとすれば、國有鉄道の賃率が適用されることになりますので、地方鉄道においては相当の負担も加わるということになるのではないか。かように思うのであります。從いましてかかる場合において、政府におかれましては何らかの措置を講ぜられて、これに対處せられる御用意を持つておるかどうか。例えば補給金等の方法によつて、幾分でも地方鉄道の負担の軽減に資するような方策をお取りになるお考えがあるかどうか、この農につきまして大臣のお考えを伺つて置きたいと思います。
#6
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。運輸省といたしましては、今まで省線として通算しておりました定期の連絡運賃につきましては、今後も存続するつもりでございます。併し社線運賃の倍率の決定如何によりましては、会社の経営及び経理等の関係もありますし、その実施につきましてはいろいろと関係事項も簡單ではないように思われますので、至急に研究いたしまして、公正妥当なるところで実施をいたして行きたいと考えております。
 第二点の補給金等の問題につきましては、只今のところ出すか出さんかということをまだ決定する段階に至つておりませんので、今後も実情が詳らかになりましてから決定いたしたいと考えております。
#7
○委員長(板谷順助君) 小野君、よろしうございますか。外に御質疑ありませんか。
#8
○淺岡信夫君 昨日衆議院におきまして決定せられました國有鉄道運賃法案の一部につきまして、今大臣から説明を伺いましたが、最初の原案と、この改正を衆議院で議決せられましたものとの比較におきまして、この修正されました点におきまして、一般会計から支弁する行政その他の面で、一体どの程度のものが支出されるものか、その点一つお聽きしたいと思います。
#9
○國務大臣(岡田勢一君) お答え申上げます。昨日修正されました結果、原案によりますと、御承知の通り一般会計から百億円の繰入をして貰うことになつておつたのでございますが、昨日の修正によりまして、更に百九十九億円の一般会計からの繰入を必要とすることに相成りまして、これは別途予算修正案で御審議をお願いすることになろうと存じます。そういたしまして、この百九十九億円一般会計からの繰入増加の内容條件につきましては、大体運輸省といたしましては、貨物運賃の値上実施は、七月十日を考えておりまして、旅客運賃の方は同じく七月十八日を考えておるのでありまして、原案並びに前に提出して御審議を願つております予算面におきましては、六月十五日の実施を考えておつたわけでございましたが、この実施期間の延長になります間の赤字のズレを、この中に含んでおるのでございます。以上御答え申上げます。
#10
○淺岡信夫君 そういたしますと、一般会計からの繰入というものは、この六月十五日以降のズレも含めての総額でございますか。その点を一つ。
#11
○國務大臣(岡田勢一君) 御質問の通りでございます。尚申添えさせて頂きたいことは、この百九十九億というのは、赤字増でございまして、これは先に申上げましたのを訂正させて頂きたいと思います。赤字増加が百九十九円でございますが、今回衆議院の修正は、鉄道特別会計の経費の中から約八億円の節減をされることになりまして、百九十九億円から約八億円差引きまして、差引百百九十一億円が繰入になることになつておりますのでございます。その点を訂正させて頂きます。尚先般小野さんからの御質問にお答えいたしました法案の修正に関聯いたしまして、法案に明記されておりません分といたしまして、運輸大臣権限におきまして、學生の通學定期は現行の約二倍に止め。るこういう了解が付けられております。尚その外に學生の休暇時における帰省、帰國の旅費切符につきましては、從來は二割の割引をいたしておりましたのを、今回はもう少し割引率を拡張いたします考えでございます。以上申上げます。
#12
○委員長(板谷順助君) 只今の淺岡君の御質問に関連して、私からお尋ねいたしますが、大体この度の旅客運賃の三倍半の値上げは、實は國民が非常に驚いておつたような関係から、いわゆる國民の輿論に押されて、この度衆議院における修正案が出たことと思うのであります。從つてこの三倍半の、つまり旅客運賃の値上げの増收と、今回の二・五五倍に引下げられたるその差額は、ズレを除いて一体金額はどれくらいになるかということと、それから更にこれを二倍に引下げた場合に、ズレを除いたるその差額がどの程度になるかということ、それから今一点伺いたいことは、貨物の運賃を三倍半値上げするといたしまして、例えば石炭ならば五%影響するということであるが、これを四倍に上げた場合においてはどういう數字が出るか、五倍に若し上げるとしたならばどういう數字が出るか、先ずこの点を一つ伺つて置きたいと思います。
#13
○政府委員(田中健之助君) 御注文の計算は、ちよつと今持合せがありませんです。若し御必要なら……
#14
○委員長(板谷順助君) 必要です。必要ですから承わつて置きたい。
#15
○政府委員(田中健之助君) ただ今回の決定案と三倍半との比較は只今持合しておりますから御報告いたします。今度の二・五五倍実施によりまして、総計百九十九億の赤字が増大するわけでありますが、その中当初予定の六月十五日の実施が、旅客においては七月十八日にズレましたことによる赤字は約四十二億でございます、それから貨物の方は、当初予定の六月十五日が七月十日にズレましたことによる赤字が約十七億、合計時期のズレによる赤字の増大が五十九億、それから旅客が七月十八日から当初予定の三倍半が二・五五倍に変更になりましたことによる減は約百四十億、以上時期のズレ五十九億、旅客の倍率の変更で百四十億、合計百九十九億、こういうことになります。
#16
○委員長(板谷順助君) 私のお尋ねしているのは、ズレを除いたる差額はどうかということです。
#17
○政府委員(田中健之助君) ズレを除きますと百四十億です。
#18
○委員長(板谷順助君) 三倍半と二・五五倍とそんなに違いますか。
#19
○政府委員(田中健之助君) 違います。と申しますのは、旅客運賃は約二百億、十二ケ月では二百十億であります。今年度は七月十八日からでありますから、十二ケ月ではありません。從つて二百十億よりは減りますが、百四十億になります。
#20
○委員長(板谷順助君) そうすると、ズレを除いたる旅客運賃三倍半が、二・五五倍となるというと百四十億減收である、こういうことですか。
#21
○政府委員(田中健之助君) 二十三年度はそうです。二十四年度の場合はもつと多いことになります。
#22
○委員長(板谷順助君) いや二十三年度を聽いておるんですが……。そうすると、運輸大臣に伺いますが、いわゆる特別会計として独立採算制を採らなければならん建前から、御承知の通り旅客を三倍半、貨物を三倍半という案を立てられたと思うのですが、これだけの減收を來たして、鉄道の將來に対してどういう影響があるか。或いは又一般会計によつてこれを補填するというお言葉であるけれども、あなたは閣僚の一人として、この減收をどういう方法によつて埋めて行くか、或いは鉄道の内部において生み出すという方法がないものか。若しないとしたならば、これを一般会計に譲らなければならん。一般会計ということになると、國民全部がその負担を受けなければならんということであるが、それに対してどういう計算をお立てになつたのか。それを一つ承わりたい。
#23
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。この修正は、衆議院において修正せられましたものでございます。勿論政府といたしましても、原案を適当なものなりと信じて提案をいたしたのでございましたが、國会において、國会に與えられました当然の権限において修正されますことでございますから、その点は從うより外ないと存じておりますが、從いまして、この独立採算制に響きます影響は、やはり赤字の増大ということによりまして、若干独立採算制堅持の線から遠ざかることになるのでございますが、將來の影響といたしまして、將來日本の生産経濟面が安定をいたしますことになり、又鉄道経営自体がもう少し合理化されて参りまして、コストが下つて行くということに努力をせなければならませんが、両方の効果が相俟つて實現いたして参りますときには、これは近い將來には來ないかも知れませんが、独立採算制の堅持できる、完全に實行でき得る方向に向けて行きたいと考えておりまするが、今回の場合におきましては、この方向に距離が若干遠ざかるようになつたのでございますが、併しながら、これは今二十三年度だけの影響であると私らは考えておるのでありまして、來年度の予算編成に関しましては、経濟の推移する実態を把握いたしまして、妥当なる線を決定すればよいのではないかと、かように考えております。
 それから財源の問題でございますが、財源につきましても、それぞれ衆議院の方から、大体の財源の骨子が策案せられまして、その骨子によりまして予算案の修正を、衆議院の要望する線によりまして修正をいたしましたわけでございます。これは私の主管ではございませんのでありますが、大体のところを御要求がございますならば、概略を御説明申上げてよろしいと思います。
#24
○委員長(板谷順助君) 先程申上げましたるように、三倍半と二・五五倍のその差額がズレを除いて百四十億という御説明があつたけれども、若し百四十億差額を生ずるということになれば、鉄道会計の上においては、私はこれは由々しい問題だろうと思う。そう簡單に解決さるべき問題ではないと思うが、事務当局は全くそういう計算が出るのですか。そこをもう一遍御説明を願います。
#25
○政府委員(田中健之助君) お答えいたします。只今申上げました通り、旅客運賃の十二ケ月の現行運賃水準による收入額が二百十億円であります。從いまして、当初の三・五倍が二・五五倍に減じまして、その差額は約〇・九五と、こういうことになります。ところが本年度は〇・九五じやありませんで、十月十八日以降でありますから、本年度におきましては、約三ケ月半余り減つておりますから、影響を受けるのは八ケ月余りということに相成るのでありますので、約百四十億という、こういう數字が出ることに相成りました次第であります。
#26
○國務大臣(岡田勢一君) 補足させて頂きます。これは先程私が御説明申上げました學生の通學定期割引券の割引率の強化による赤字増、並びに帰省休暇等のときの切符の割引がその中に含まれてあるのでございます。
#27
○委員長(板谷順助君) 如何ですか。外に御質疑はありませんか。
#28
○橋本萬右衞門君 大臣にお尋ねいたしますが、学割の割引率増大の御腹案はどんなことでしようか。
#29
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。学生の通学定期の割引率は、現行のそのままといたしまして、基本賃率の倍數を、その今回の衆議院修正は、一般旅客運賃は約二・五五倍に修正されましたが、それに対しまして学割の方は二倍にいたすことに内諾をさせて頂いております。それから学生の特定の休暇で帰國をいたします場合に、從來は二割を割引しておりましたのを、今後はもう少しこれを強化いたしまして、大体約五割引に強化をいたすということに考えております。
#30
○委員長(板谷順助君) 外に御質疑はありませんか。
#31
○加藤常太郎君 大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の鉄道運賃の値上げは、その発表がありましたときには、國民は如何に國家の財政難と雖も、かかる大幅の値上げに対して驚き悲しんだのでありますが、然るに最近衆議院における修正案で、政府の三・五というものは、二・五五と三・五五というように修正案が通つたのでありますが、これに対しまして、政府はかかる修正に應ずるだけの財源の余裕があつたということになつておるのでありますが、我々といたしましては、國民の待望する、もう少しの修正案の案を持つておるのでありますが、これ以上の修正案に対して、政府は應じ得ないのか、又は何が故に衆議院の二・五五という修正案に対して應じたか、又はそれだけの財政の余裕があるならば、初めから二・五五なり、二・五の原案を出さなかつたかという点につきまして、大臣の所信をお聽きしたいと思います。
#32
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。この度の衆議院の修正につきましては、財源も衆議院の方から研究がせられまして、財源を出す案を提示せられましたのであります。これは大体私の主管ではないのでございますが一應加藤さんの御質問に対してお答えいたしますと、なぜ当初にかような財源が出るのに、当初から出して、もつて安い賃率にしなかつたかという件でございますが、この財源を出しますにつきましての方向なり、又見解、或いはこの財源を以て尚外に予算の修正が行われておりますが、それらに対する割振り等のことにつきましては、政府が当初考えておりました施策と、衆議院が今回考えられました施策とに、若干食い違いができて参りましたわけでございますので、勿論政府は、当初に旅客運賃三・五倍案を決定いたしますに際しましては、その当時といたしましては妥当なるものであるという結論を得まして、御審議を願いつつあつたわけでございますが、なぜそのような食い違いが來たかということになりますると、これはどちらがよい悪いということは、俄に断定ができないのではなかろうか。政府が予算を編成いたしましたときと、それから今日まで約一ケ月半或いは二ケ月近くになつておりますが、その間における事情の変化も若干はあるものと考えます。そういたしまして、このように変更いたしますについての根本理論の点におきまして見る角度が若干の違いを生じておりましたならば、今年度の四千億前後の予算面におきまして、百五十億或いは百七十億程度の相違は、そう根本的の大きな相違ではないとも言えるのではなかろうかと、そのように私らは考えております。勿論同意と申しますけれども、それは只今衆議院で修正されましたところでありまして、勿論これは参議院の愼重な御審議を経まして、これに関連いたします予算案も共に参議院で御承認になりました場合に、初めてこの法律が成立をいたすことに相成ります。同意さして頂くということが確定いたしますのは、参議院の決議を終つてからのことになろうかと存じます。
#33
○加藤常太郎君 然らば運輸大臣は、最初運輸当局が出した三・五そのものは妥当なりと、それが御確信があるというのか。又は昨日の衆議院の修正案、即ち與党三派の修正案の二・五五というものは、一ケ月の情勢の変化で、それが妥当なりというのか。若しくは運輸当局は、三・五が至当であるけれども、致し方なく二・五五になつているんだという御意思ですか、どちらですか。
#34
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。三・五倍が妥当であるか、二・五五が妥当であるかという点につきましては、私個人といたしましては、どちらにも若干のまだ見解の差があるのでございますが、政府といたしましては、ただ一運輸大臣の考えだけでは運営はできませんわけでございましたので、綜合的見地から止むを得ないものとして同意をいたして置きましたわけでございます。今回の二・五五倍に修正されましたことにつきましても、私個人といたしましては若干の違つた線がないではないのでございますが、これが御当院、即ち参議院の方でこのまま御承認せられるということになりましたら、これは國会が当然にお持ちになつておりまする立法権の御行使でありますので、この程度ならば同意をさして頂く、こういうふうに考えております。
#35
○加藤常太郎君 立法権の行使云々は議員として十分承知しておりますが、今の二・五五と、その三・五の開きが運輸当局の気持だけではどうもならん。各省の関係上二・五五をこの際運輸当局も認めると言われましたのですが、結局大臣の方は遺憾の点があるということでありますが、三・五倍と二・五五倍とどちらが運輸当局は至当とお認めになつておるか。その点の焦点をぼやかしておりますが、その点もう一度大臣の御答弁をお願いいたします。
#36
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたしますが、今加藤さんは、私の前回の発言に遺憾の点があるとおつしやられましたけれども、私は遺憾の点があるということを申上げたのではございません。若干の異論があるということを申上げましたのであります。どちらが妥当であるかということにつきましては、これは只今まだこの衆議院修正によりまして御承認を得るか得ないか。同時に又私が政府の責任者の一人としまして、三・五倍案を提案をいたしておりました関係もございますし、その点ははつきり申上げることはお許しを願いたいと存じます。
#37
○加藤常太郎君 運輸大臣としては、各省の関係は詳細もう少し御配慮になるという点も御尤もと思いますが、二・五五が最後の線である、これ以上の万一修正案が参議院で出るというような場合には、政府としてその財源の余裕があるかないか。これについて運輸大臣というよりは、政府当局の関係者として御答弁を願いたいと思います。
#38
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。二・五五倍から更に或いは引下げられる場合が参りましても、これはやはり立法機関に與えられております当然の御権利でありますので我々がこれに対してかれこれ言う筋合いではないと存じております。ただ第二点の、これ以上の引下げをやつた場合に財源があるかどうかという点につきましては、これ又私は大体綜合調整或いは財政を担当しておりませんので、ここで断言することはしにくいと存じますが、併し私の立場からの観点によりますと、これ以上下りましても、政府といたしましては財源はなかなか困難であるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#39
○淺岡信夫君 大臣にちよつとお尋ねしたいのですが、この二十三年度の貨物輸送に対しまして一億九千余万トンということを最初に伺つたつたのですが、一億三千万トンということをどうしてもやりたいということであつたのでありますけれど、結局一億二千六百万トンということのように私承わつておるのですが、仮に一億二千六百万トンが一億三千万トン、これはすでに決議されたようでありますけれど、それがそのコストにおきましては、一億二千六百万トンであつても、これを仮に一億三千万トン送つたとしても違いはないのですが、そうした場合における一億二千六百万トンが四百万トン殖えて、そうして一億三千万トンになつたという場合において、どのくらいの増收が得られるのでしようか、ちよつとお聽かせを願いたいと思います。
#40
○政府委員(藪谷虎芳君) 輸送要請といたしましては、地方から出て参りましたものの総計は一億九千万トンでありますが、安定本部におきまして、これを査定いたしました結果によりますと一億四千六百万トンであります。これを更に生産のズレ、各生産部面の関連の事情及び海陸自動車の輸送力を勘案いたしまして、生産計画に対應して二十三年度の輸送計画といたしましては、一億二千六百万トンと査定されたわけであります。これに対しまして一應予算を組み、御審議を願うことになつておりますが、日本の現状からいたしまして、でき得るだけ生産の増強に資したい、こう考えまして一億三千万トンという輸送目標を立てたのでありまして、これは飽くまでも努力目標でありまして、いろいろの條件が充足されなければ計画通りの実績を收めることはできませんが、只今のところでは大体計画に近い実績を收めておるのでありますが、今お尋ねの一億二千六百万トンと一億三千万トンの輸送に対する收入の額につきましては、後刻御報告をいたしたいと思います。
#41
○加藤常太郎君 私この際大臣にお聽きしたいのでありますが、先程小野委員からも私鉄の問題について御質問がありましたが、これと同樣、運賃法案に至大の関係のある海運の運賃値上について大臣にお尋ねいたしたいと思います。政府においては、この点について暫定措置として値上はやつておりますが、その後海上の旅客並びに貨物の運賃に対しまして、この委員会の席上でも、どうするという問題について確たる御説明が得られておりませんのでありますが、今後この海上の旅客運賃に対する対策について大臣の御説明を求めます。
#42
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。貨物運賃の方につきましては、鉄道を三・五倍に決定いたします場合には、港のチャージとか、艀積上料などの関係を考慮いたしまして、現行の二倍にやることに予定いたしておるのであります。御質問の旅客運賃の面につきましては、若しこの修正が本院におかれてもお認めになられました場合におきましては、やはりこれを基準線といたしまして、個々の海運会社の経理内容、その航路の採算の如何などを個々別々に査定檢討をいたしまして、そうしてほぼ國鉄の旅客運賃に近い線において、妥当なるところで公正なるところで決定をさせたい、こういうふうに考えております。その点先程小野さんからも私鉄の件について御質問がございましたが、只今のところ。まだ御質問がない点まで申上げてどうかと思うのでございますが、若し海運において旅客運賃が、只今の実際のコストまで賃率の引上が許されなかつた場合にはどうするかという点につきましては、まだそこまで私らは考えておりませんで、十分に個々の会社の査定をいたしました上で考えて行きたいと思つております。併しながら健全財政を堅持すると申しますることは、各企業が独立採算制を維持するということに出発せなければならんと考えておりますので、その実施に当りましては、可及的に独立採算性から遠のかないよう、維持できるような方法の下に考えたいと思つております。
#43
○加藤常太郎君 万一参議院においても、この修正案の二・五五というように決定するか、又は二倍というように決定するかは、今後の推移でありますが、仮に二・五とか、二・五五というように議会で決まつたとした場合には、海運界においては一般の財政から繰入れるというような手もありませんので、又独立採算性の立場上、会社の独自の企業によつて成り立たさなければならないのでありますが、その場合先程小野委員からの質問にありましたように、何か補給金制度にするとか、又は資材その他の関係で、政府においてこれに相当する補償制度のようなものをお持ちであるかないか、その点につきまして大臣の御答弁をお願いします。
#44
○國務大臣(岡田勢一君) 万一、二・五五倍以下に更に修正されることに若しなりまする場合におきましては、当然私鉄或いは汽船の旅客運送に影響が参りますので、この点につきましては、先ず私の意見から申上げれば、先程もちよつと申上げましたように、國の経濟の安定生、産の健全な増強ということを実現いたしますためには、官營と民営とを問わず、企業はおのおの独立採算が維持できなければならないと存じます。赤字生産を続けまして、これに補給金を出し、在いは價格差補給をいたしますというようなことは、只今は困難な経濟の実情でございますから、過渡期といたしまして、一つの救濟策といたしまして採られている便法でございますが、經濟が常態に復しました場合におきましては、それを原則としてやらない方がよろしいという結論になると思います。そこで私は國家のこの經濟の現状を、早く回復せしめる線に持つて行くという考えから申しまして、海運或いは私鉄等の採算点まで運賃を上げさせないで置いて、そしてこれに赤字経営をさして置おいて、それを国の財政から補助する、赤字補填するというようなことは、これはできる限りやらない方がよろしい、こういう私は一つの見解を持つております。この見解から申しまして、この二・五五倍の線を更に引下げるということになりますと、私個人の見解といたしましては、これは取るべき策でない、こういうふうに私は考えております。
#45
○加藤常太郎君 私のお尋ねしたいのは、海運界の赤字補填でありますが、鉄道運賃が二・五若しくは二・五五というように決定した場合には、海運としては、この際鉄道と同樣二・五五というように行きたいのでありますが、海運は陸上と同じように、旅客の運賃においては並行線でありまして、いわゆる鉄道と同じような値上率で行かなければならないのであります。その場合に國鉄は一般財政からの繰入れができるのでありますが、一商事会社の汽船会社はそれがないので、政府においては補給金とか、そういうものによつて赤字の補填をする方向がありましようが、然らばこの際補給金を出すということもなかなか至難であろうと思いますので、私の一つの私案でありますが、客船に対して特定産業向の石炭を配給するとか、又は資材の優先配給をするとかそういうような方法を取るお気持が、運輸当局にあるかないかをお尋ねするのであります。
#46
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。先にも申上げましたように、その個々の会社の経理内容、又航路別の採算の実態などを個々に精密に調査檢討をいたまして、そうして、ほぼ鉄道運賃にマッチするように運賃の引上げを許可いたしたいと考えておりますが、そこで加藤さんの言われますように、若し実際の経営採算から非常に赤字が出るような決定にしかならないというよううなことに相成りました場合には赤字補填をする。先にも私が申上げました理論的根拠に基きまして、成るたけこれを避ける方向に行きたい。そういたしまして、今加藤さんから申されましたように、燃料、或いは資材その他の方法等を考えるようになるのではないかと考えておりますが、これにつきましては、業者の直接の利害関係に大なる影響を及ぼします。又業者におきましては、この運賃問題の成行を非常に注視している現在でございますので、これ以上のはつきりしたことを申しまして、徒らに大きな期待を掛けさせたり、或いは又反対に失望させるというようなことにもなるかと思われますので、それらの点を慮りまして、これ以上の言明を避けたいと思います。
#47
○加藤常太郎君 運輸大臣の御説明で一應分りますが、資材とか、それらの面で何とかしたいという御意思があるのでしようか。
#48
○國務大臣(岡田勢一君) そうでございます。
#49
○新谷寅三郎君 ちよつと一言だけ運輸大臣にお聽きしたいのであります。先般の小野委員からの御質疑に或いは多少重複するかも知れませんが、今度の予算修正に関連いたしまして、運輸大臣として、國鉄に関する独立採算制の問題をどうお考えになるか。今後のつまり國鉄の財政に対しまして、どういう方針で切拔けて行こうとされるかという方針につきまして、お伺いしたい。從來この委員会或いは通信委員会におきまして、國鉄事業或いは通信業業に関しまして、独立採算制の問題につきましていろいろ審議を重ねているようでありますが、或いは独立採算制を採るかのごとく、或いは採らざるかのごとき、いろいろと御答弁がありまして、政府の根本の方針につきまして捕捉するのに非常に困難を感じております。その点一面運輸大臣は、今度の運賃値上に関しまては、これは單に独立採算制という見地ではなくて、全体の財政政策という綜合的な見地から運賃の値上の率を決めざるを得なかつたのだという御答弁があり、そうかというと、又今後運輸省関係も段々に企業体らしい組織機構にして、独立採算制に段々近付いて行くのだというような御答弁もあつたように記憶しているのであります。今度の旅客運賃の修正によりまして、一般会計から更に相当額の繰入をせざるを得ないという状況であります。こういう状態に行きまして、仮にこの予算が通つて本年度はどうにか行くといたしましても、來年度におきまして、この状態では今の國鉄の状況から行きますと、更に相当大きな赤字が又生れて來るということが予想される。來年度も又一般会計に依存して、一般会計から予算繰入をやつて行くということが、今後当分続くので、それが政府の方針であると考えてよろしいのでございますか。今後独立採算制というものの機構の改革等と関連して、もつき政府部内で協調せられまして、その御趣旨に副うような施策を講じて行かれるつもりでありますか。その点は審議の上の相当重要な問題であると考えますので、率直にあなたのお考えを伺つて置きたいと思うのであります。
#50
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。これまで私は本委員会並びに参議院の本会議におきましてお答え申上げております点は、國の経済を復興は、安定いたしますためには、官営、民営を問わず、企業体はすべて独立採算制を確保せなければなりません。今日まで御審議願つております運賃引上案といたしましては、独立採算制確保の線に近付けしめつつ、且つ只今の困難な日本経済の実情に即しまするごとき方向で、運賃倍率を三・五倍と決定したわけであります。それで成るべくならば独立採算、即ち経営コストを賄うだけの運賃收入を擧げて行くことが要望せられるのでございます。然るに今回衆議院において二・五五倍と修正されました結果、この独立採算制から一應それだけの距離が遠ざかることになるのでございまして、独立採算制という方向からは少し外れて参ることになります。これにつきましての影響は、やはり來年度に、この引戻し策についてどうするかということに相当影響が來ることと存じます。新谷さんはその点を御指摘になられたのだと思いますが、そこで來年度もやはりこのような大きな赤字経営を続けて、國から赤字補填をやつて行くかどどうかということでございますが、私共といたしまては、今の日本の生産が上つて参りまして、イスフレが緩和せられます方向に進み、経済状態が安定の方向に向つて参りました場合には、同時に又一面におきまして、今やかましく言われております鉄道特別会計の企業の合理化、經費の節減等が功を奏しまして、実現するということに向いましたときに、両々相俟ちまして、できるだけ独立採算制に近付けしめるがごとき運賃政策を採る。即ち及ぶ限りの引上をいたす。こういうことによりまして独立採算に近付けたいと考えております。その程度は果して如何なる程度かということにつきましては、今後の生産増強如何、各種経済の実情に副いまして決定されねばなりませんので、今から予断はできないと存じますが、ともかくも將來は機会のある度に、予算の編成をいたしますごとに、独立採算に近付ける方向に努力を十分に盡さねばならないと考えております。
#51
○新谷寅三郎君 只今運輸大臣の御答弁がありましたが、政府としては結局理想として独立採算制に近付けるようにしたい、併し現実はなかなか物價安定まではそういう事態にならないというようなお話であります。これは一應御尤もでありますけれども、政府の理想如何に拘わらず、現実の問題としまして、むしろ逆にと行つておると考えます。將來の問題は別として、やはり当分の間は運輸大臣のお考えでも独回採算制は一應理想と考えるが、現実の問題として獨立採算制は放棄せざるを得ない。こういう結論だというふうに了解してよろしうございますか。
#52
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。私はそのように気短から考うべきじやないと思います。ただ私は距離が廣くなつたと考えます。決して獨立採算制を放棄するとは考えておりません。
#53
○小野哲君 只今の新谷君の質問に関連して私もちよつと伺つて置きたいですが、今回國有鉄道運賃法案の御提案があつて、相当の運賃の改訂をしなければならなくなつた。今後においてはできるだけ獨立採算制を目標として行きたいという大臣の御答弁でありますが、今回の財源その他、或いは赤字増の点から行きますと、並大抵の御努力ではなかなか均衡ある鉄道財政を確保するというのは困難ではないか、相当の長年月を必要とするのではなかろうか、その間に中間安定の経済状態が出て参りますれば結構だと思いますが、その辺との見合いから考えまして、俄に予断を許すことは困難であろうと思います。從つて私のお聽きしたいことは、独立採算制の向つて努力をされることについては、やはり利用者の負担によつて或る程度運賃の改訂を今後も行わなければならない羽目に陷るのではないか、こういう懸念であります。然らざれば、政府当局においては、國有鉄道事業の徹底的な合理化をお図りになつて、経費の節減であるとか、その他万般の諸施策をお取りにならなければ辻褄が合う結果の生ずることは困難である。かように思うのでありますが、大臣は今回の修正によつて独立採算制を確立することが遠のいた、こういう御意見でありますので、遠のいたならば、その他の方法によつて近付くようにされることが必要ではないか。これについて何か御所見がございましたら伺いたいと思います。
#54
○國務大臣(岡田勢一君) この点につきましては、先般本委員会におきまして、石炭の熱量の問題を取上げて下さいまして、安本、石炭廳方面からのカロリーの保証をさして頂きましたことについては誠に感謝しておりますが、そういう関係で、今回この倍率引下につきまして、財源を得ます一環といたしまして、僅かではございますが、鉄道特別会計の中から約八億円の経費を捻出せよというお話で捻出をいたしましたわけでございます。その中に先般衆議院で、本委員会においていろいろ御後援を頂きまして、カロリーのお約束をして頂きましたことが、早速そこへ財源として間に合いました約四億七千五百万円という、その中にカロリーの上昇によつてそれを出せということで、早速お役に立ちましたわけであります。そういう点もございまして、小野さんのおつしやるように、又たびたび各委員の方々から強く御要望がありますように、今後におきましては、我々は企業の合理化、人員の節減、経費の節減、或いは外郭團体の再檢討、手持財産の處分、その他不用財産の處分等の鋭意実行に移して参りまして、経営コストの低下、財源の捻出を今後努力いたしたいと考えておりますが、方言といたしましては、その最後の内部整理によりまして、鉄道経営のコストの低下を策しますと同時に、一方のおきまして能率を増進いたしまして、できるだけその点からも経営の合理化を図つて行きたいと考えております。そういたしまして、小野さんのおつしやるように鉄道の獨立採算堅持の方向は、何と申しましても、できれば鉄道を利用せられる方々の御負担によつて獨立採算を維持する、こういうことが望ましいのでございます。將來におきまして生産が増強いたしまして、物價が安定に向います場合には、私は第一番に非常に制約を受けております貨物運賃の是正が行われなければならんというふうに考えておりまして、それは小野さんの先程のお言葉の中に、利用者に負担せしめるために、又々運賃の引上げをせなければならん羽目というお言葉がございましたが、私は少し強気かも知れませんが、羽目に陷るのではなくして、貨物運賃の引上げの負担に堪えられるような幸福な時の來ることを期待いたしたい。こういうふうに考えておりまして、さようなよろしい環境が來ることを把握しまして、そのときにいわゆる貨物運賃などの、今の経営コストから非常に下廻わつておりますところから是正をするようになりますことが、できますことが非常に望ましい、そういうふうに考えております。
#55
○丹羽五郎君 ちよつと議事進行について……速記を止めて貰いたいと思います。
#56
○委員長(板谷順助君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#57
○委員長(板谷順助君) では速記を始めて下さい。
#58
○淺岡信夫君 簡單にお答え頂きたいと思います。四、五点お尋ねいたしたいと思いますが、一問一答式で一つお尋ねいたしたいと思います。その方が簡單だと思いますから……。國有鉄道運賃法案が昨日衆議院において修正されましたが、その修正によつて生ずる收入不足額について……
#59
○國務大臣(岡田勢一君) 修正による收入減は大体約百九十九億円でございますが、先に申上げました約八億円の節約をいたしましたので、実際一般会計から繰入れて貰いますのは百九十一億円でございます。
#60
○淺岡信夫君 戰時中にいろいろな私鉄が買收されたのですが、そうしたものや、いろいろ國鉄にある不用ということはないでしようけれども、まあ不用財産、そうしたものの賣拂いができるかできないかということです。
#61
○國務大臣(岡田勢一君) 不用財産の賣拂いは、今回の予算面にも約三億五千万円を予想して出しております。今後も発見いたしますと同時に處分いたして行きたいと存じております。戰時中に買收いたしました私鉄は、拂下に適当なものは拂下げてよろしいと考えておりますが、これは個々にその一社々々に檢討を加えまして、拂下をするという成案を得ましたときとは、法律案として國会の御承認を求めることになると存じます。
#62
○淺岡信夫君 先程の御説明によりますと、目標が一億三千万トンということでございますが、これが一億二千四百万トン、この目標に達するということに対しまして、つまりいろいろな面を合理化して行くというような点で、その目標が簡單に達せられますかどうかという点です。
#63
○國務大臣(岡田勢一君) 今のところ目標は、希望目標といたしまして、一億三千万トンにいたしておりますが、今の資材、或いは設備の実情から申しまして、実行目標を一億二千六百万トンの実現程度ではなかろうか、それを実現いたさせますのに対しましても、相当に今後努力を必要とする考えであります。
#64
○淺岡信夫君 それから大体鉄道のこの予算面を見ますと、約一千二十億となつておるのでございますけれども、こうした面に対しまして本当に経営の合理化の徹底をやる。例えば現状におきまして、各自の家庭におきましては筍生活をやつておるという点で……私毎日五時間というものは鉄道に現在乘つておるのです。熱海と東京の間を毎日通つております。ところがその中でいろいろ國民大衆の声をじつと聞いておりますと、これは國民大衆というものが、深く鉄道の経営ということは分らんから言うのでしようが、もう常識になつております。今の六十万を超える人員、こうした面に対しては或いは十万ぐらいのことは處理できるのじやないかというようなことは、これは毎日聞くことでありますけれども、そうした面に対しまして配置轉換とか、或いは勿論これは住宅の面や食糧いろいろな面もございましようけれども、実際に経営の合理化の徹底をやる意思がおありになるかどうか、この一点です。
#65
○國務大臣(岡田勢一君) 経営の合理化は実際に今後努力して実現して行きたいと存じております。巷間いろいろ鉄道に対して御批判なり、悪評を受けておりますが、若干今日の國有鉄道の眞の実情なるものを履き違えられておる向もありましようし、巷間には往々にいたしまして誤解から発する無責任な悪口、批判等も行われておることと存じておりますので、一々それが一種の流行病みたいになりまして、今日國民の各層が非常な生活その他の困難に遭遇しておりまして、その不平、不満をどつかへ持つて行かなければならんという、いわゆる人情と申しましようか、さような点から相当実情に即さない、いわゆる巷の寺治家と申しましようか、そういう人達の不滿に拍車を掛けておるのじやないかと考えられる点もあります。
#66
○淺岡信夫君 その点につきましては、私共大体通う時間、時刻が行き帰り決まつておるのですから、その間には多くの沼津地区なり、或いは他の地区、平塚、そうした面におきまして可なり鉄道の労組の人達が乘つておるわけですから、その労組の人達の声をお互い話合つておるのを聞いておつても、又そういうのを一般國民が聞いておる、そうした点から発せられるのであつて、單なるこれは無責任なる國民大衆の声だというふうに聞き取れない向きもあるわけであります。こうして点につきましては……
#67
○國務大臣(岡田勢一君) その中には頗る傾聽すべき建設的の意見を出して呉れる人もございますが、中には淺岡さんも御承知のように、少し過激な行過ぎました思想、或いは労組の運動を政略的にやるというようなものが混つておりますのも事実でございまして、いろいろあると存じますが、ただ建設的の建言に対しましては、我々は十分に傾聽しまして、その欠陷を是正するために努力する責任と任務ということもあるように考えております。
#68
○淺岡信夫君 あの修繕費中にレールとか、枕木とか、電線とか、そうした施設、こうした財産を以て、その公債を賄なるというようなことはできるかどうかというのです。
#69
○國務大臣(岡田勢一君) 只今持つております資材を身代り担保といたしまして、公債を発行することも一案でございましようが、只今のところではそのような考えは持つておりません。工事関係の財源は別途予算で御審議を願つておりますけれども、これは財政当局とも只今協議中でございますが、多分別の方法によつて採用することになるものと思うのであります。
#70
○淺岡信夫君 只今大臣の御答弁によりまして、それは一案だというお答えがあつたのですが、一案であるということに対しては御異議ないでしようね。
#71
○國務大臣(岡田勢一君) はい。
#72
○淺岡信夫君 この労組の專從職員、こうした方々の何と申しましようか、組合維持の負担です。こういうふうなものに対しては、現在國鉄としてどういうふうに扱われておるのですか。
#73
○國務大臣(岡田勢一君) 只今政府の方で大体決めております線は、從業員五百名に対して一名の專從を認めるということを決定いたして從來やつておりましたが、この七月末までの間に……八月一日以降からは、これは労働協約の面には抵触するのでありますから、その面から許されるならば、專從者は七百名に対して一人に減少さしたい。尚或る期間、例えば年度内一ぱいぐらいいたしましたら、その場合は專從者というものを認めないというような方向に持つて行きたい。こういう考えを持つております。
#74
○淺岡信夫君 それに対しまして、組合側におきましては、そういう線に沿うて行くような御意思が察知されるでしようか。
#75
○國務大臣(岡田勢一君) 組合側の意向は、それには不滿のようであると考えております。
#76
○淺岡信夫君 自然減少と申しましようか、自然に今減じつつある人員、そうした人員がどのくらいありましようか。
#77
○國務大臣(岡田勢一君) 自然減少の点につきましては、只今いい加減なことを申上げにくいのでございますが、今までの大体実績によりますと、年間に六%ばかりであります。
#78
○淺岡信夫君 そうすると六十万に対して……
#79
○國務大臣(岡田勢一君) 六十万に対して三万六千人でございます。
#80
○加藤常太郎君 議事の進行について発言します。これで休憩して午後は一時半ぐらいから開いたらどうですか。
#81
○委員長(板谷順助君) 如何ですか、折角大臣が御出席になつておりますが、外に御質問がありませんか。
#82
○中村正雄君 午後は大臣が見えないのですか。
#83
○委員長(板谷順助君) 今の予定では、まだ委員諸君が全部お集まりになつておらん関係から、質疑を打切るわけには行きませんので、午後二時に再開をいたしまして、大体質疑を打ち切つたならば討論に移りたい、こういう委員長としての現在の方針でございます。そこで討論におきまして、修正意見の御発表の方はどうか修正案が一つ早くできまするように、全員に御用意を願つて置きたいと思います。
#84
○中村正雄君 大臣は午後出られるかどうか。
#85
○委員長(板谷順助君) 出られると思います。若し出られなかつたならば延びるよりしようがない。
#86
○中村正雄君 一應休憩を願います。
#87
○委員長(板谷順助君) それから今日できるだけ委員諸君が集まつたときに、その際に採決をいたしたい、こういう考えでおりますので、どうか外の同僚諸君にも、一つその点は御注意を願つて置きたいと思います。それから尚先般院議を以て決議案が決まりまして、今会期中に政府に提出を要求して置きましたが、今日各委員諸君には配付されておりまするけれども、これら議案は参議院議員全部に配付されんことを要求いたして置きます。
#88
○國務大臣(岡田勢一君) はい
#89
○委員長(板谷順助君) はい。休憩いたして、午後二時から開会いたします。
   午後零時十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十二分開会
#90
○委員長(板谷順助君) これより午前に引続いて会議を開きます。
#91
○國務大臣(岡田勢一君) 先般参議院におかれまして、輸送力増強に関する決議が行われまして、政府の施策に対し鞭撻を賜わりましたことは誠に感謝に堪えません。昨日政府より参議院議長に宛てまして、右の決議に即應いたします政府の対策を報告いたしましたが、本日それにつきまして御説明申上げるに当りまして、所管大臣といたしまして責任の重且大なることを痛感する次第でございます。お手許に配付しておりまする資料に述べております通りに、本年度におきましては鉄道一億三千万トン、海上輸送四千七百万トン、自動車輸送二億六千万トンの輸送計画を樹立し、目下その実現に努力しつつあるのでありますが、國力の現状から見まして種々の障碍に直面しておる有樣であります。このため政府は輸送を石炭、電力と同等の超重点産業として、これを増強することに決定して、資材、資金労需物資を輸送部門に確保することになりまして、能率の向上を図り、輸送力を増強いたしまして、重要物資の輸送の完遂を期しておる次第でございます。特に輸送関係從事員の生活不安を除去しまして能率を向上せしめるために、必要労需物資、主要食糧については、國内生産及び輸入の関係からして、不十分な供給力の中でも輸送力強化の重要性に鑑みまして、リンク制配給をする部門その他重要部門との関連を考慮して、最も重点を置いて確保して参りたいと存ずるのであります。國鉄及び私鉄につきましては、右の作業用必要物資の確保の上に立つて作業責任制報奬制度を可及的に取入れ、作業の機械化によつて労働の生産性を向上し、労務対策に遺憾なからしめたいと存じております。既存車輛につきましては、その維持補修に重点を置き、運轉用炭の品質の向上、その最も適切なる使用についても極力努力中でございます。又経営を合理化するための諸制度の整備につきましては、近く設置を予定しております國有鉄道審議会において、種々研究の上適切なる結論を得たいと考えております。
 船舶につきましては、最も大きな戰爭被害を受けておるので、國内輸送において鉄道輸送に過重な負担を強いておりますと共に、海運本來の使命でありますところの外航進出も極めて困難になつておる現状でありまして、これが急速なる復興は輸送問題の解決のみならず、國際收支の均衡を図る上にも極めて重要と考えます。政府としましてはこの点に鑑み、船復の増強、港湾の整備、対外配給、外國船舶の雇入れ、造船技術の向上等につきまして、現有輸送力の有効な運用と共に、常に長期計画的な観点に立つて努力を傾倒しておる次第でございます。今後鉄道輸送の輻輳を緩和するためにも、自動車事業の増強は又極めて重要でありまして、その施設の増強について、國内において能う限りの努力をいたしますと共に、必要資材の輸入につきまして関係方面の援助を極力懇請中でございます。自動車運送事業の公共性を再認識し、適正な競爭を図つて輸送秩序を確立いたしますと共に、必要な機構の整備につきましては目下檢討を進めつつある次第でございます。輸送問題の根本的解決は、結局陸海の輸送力が綜合的基盤の上に立つて均衡ある発展をなすことでありまして、このため政府は極力鉄道貨物の海上輸送への轉移、自動車輸送への轉移を計画実施して着々その滿果を得つつあります。ただ海陸輸送費の不均衡がその大きな障碍をなしておりますので、この調整にも努力を拂つて参つたのでございます。
 今回の運賃等の改正におきましては、この点できる限の改善を企図いたしましたが、勿論十分の解決とならないので、今後もこの方向に努力する所存でございます。
 以上簡單ながら政府の輸送対策について申述べましたが、輸送は誠に日本の経濟再建の基盤でありまして、これが増強は喫緊の要務でございます。これが完遂は皆さんの御鞭撻と御協力に俟たねばなりませんので、今後も引続き御支援、御鞭撻の程を切望いたします次第でございます。
#92
○委員長(板谷順助君) 午前に引続きまして質疑を継続いたします。中村君。
#93
○中村正雄君 本年度の予定收入の中、貨物運賃の收入についての輸送トン數をどういうふうにお見積りにつておるかお伺いしたい。
#94
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。二十三年度の貨物輸送量は、目標がたびたび申上げておりますように一億三千万トン、予算の計上量は一億二千六百三十八万六千トンとなつておるのでありますから、その差は三百六十一万四千トンであります。この三百六十一万四千トンの増送が確保できますれば、現行運賃水準で二億七千九百四十万二千円、改正運賃で見積りますと十億円近くの増收と相成るのでございますが、この総收入につきましては、只今取調べまして後刻御説明を申上げます。
#95
○中村正雄君 貨物運賃は改正になりましても、大体コストの半分ぐらいしか見積られておらないわけですが、一億三千万トンの輸送であれば、それ以上の輸送をできるだけやらなければならない現状におきまして、いわゆる多く輸送すれば、現在予定されておるトン數以上輸送するとすれば、それだけ赤字が殖える結果になるわけですが、輸送すれはそれだけ赤字が殖えるという面と、又輸送は一トンでも多くしなければならないという関係で、運輸省としては極力輸送の増強ということをやられると思いますが、その場合よつて生ずる赤字については、どういうふうに御處置なさるお考えか承りたいと思います。
#96
○國務大臣(岡田勢一君) 御指摘の通りに貨物運賃の面につきましては、採算コストの約半分以下しか運賃を上げることになつておりませんので、これが増強をやればやる程赤字が殖えることになりますが、運輸当局といたしましては、その計算にこだわらないで、只今御説明申上げましたように、輸送力の増強ということも何よりも一番強く要請いたされますので、私達は輸送力の増強を、損益に拘わらず、でき得る限り上げて行きたい、こういう考えでございまして、大体本年度の予算は、前に申しました一億二千六百万トンといたしまして予算を編成しておりますが、できればそれ以上の能率を擧げてやつて行きたい、それによつて出ます赤字の面につきましては、只今考えております経営の合理化等によりまして支弁することにしたいと考えております。
#97
○中村正雄君 運賃諸案が恐らく今日明日中には通過すると思いますが、通過しまして、旅客の面におきまして実施までに何日間ぐらい要するか、要ねてお聽きしたいと思います。
#98
○國務大臣(岡田勢一君) 運賃法案が、若し今日明日中に通過するといふことに相成りました場合には二只今考えておりますのは、旅客運賃の実施は、衆議院で修正せられましたままが通りました場合には、七月十八日を考えております。若しそれが何らかの形で修正されました場合には、多少技術的の操作がありますので、遅れることになるかと思つております。
#99
○中村正雄君 仮に運賃法が通つて、十八日といたしましても二週間要するわけですが、二週間の準備期間というものが果して妥当なものかどうかということは別といたしまして、何故二週間要するかという点につきまして一應御説明願いたいと思います。
#100
○政府委員(藪谷虎芳君) 大体本省におきまする原案の作成に三日、印刷に三日、輸送配付の関係で三日乃至七日、それから現場の駅における準備が十四日乃至五日程度、遠い所は、田舍の駅で小さいものですから、割合にこれの準備が早うございます。近い所は大きな駅が多いので、駅の準備期間が余計掛かります。これらを大体勘案いたしまして、新らしい発足をしますというと、二十日は少くとも掛かる。併しながら前からいろいろの計數を準備いたしておりますと一日、二日は短縮できるということの実情に鑑みまして、今大臣から説明がありましたように、今回の旅客運賃は十八日に実施できる予定であります。
#101
○中村正雄君 やはり運賃法が通過すれば、一日も早くやらなければ、一日二億円近い減收になるわけですが、これは素人考えで考えて見ましても、駅におきまして運賃表さへできれば直ちに実施できる、早急にできるわけで、私の考えで行けば乘車券の準備その他もありましようが、全部の乘車券を準備するということは不可能なことだが、最低限度、運賃表の作成ができれば、直ちに実施することができるということが考えられるので、一週間ぐらいでできないものでしようか。
#102
○政府委員(藪谷虎芳君) 一週間では困難と存じます。
#103
○中村正雄君 いや、困難なのはどういう……運賃表さえ拵えれば、乘車券につきましては、今までいつも新らしい乘車券を拵えなくても、運賃改正という判を押してやつておるのですから、一週間ぐらいでできる見込は立ちませんか。
#104
○政府委員(藪谷虎芳君) 今申上げました本省の原案の作成、それから印刷及び輸送配付の関係上、最少限度、やはり今回の場合でも十八日、二十日程度は掛かります。
#105
○國務大臣(岡田勢一君) ちよつと補足いたします。私も中村さんのように考えまして、事務当局を從來責めて参つたのでございますが、そういう実際的に作業がありますし、又窓口で算盤で計算をしまして、切符に書き入れるというようなことをやつておりましたら、とても輻湊いたしまして、窓口があがきが付かなくなるというようなことで、私としましても止むを得ないものと見ております。
#106
○中村正雄君 本省の印刷というのはどういう印刷ですか、印刷に三日掛かるという印刷はどういう印刷ですか。
#107
○政府委員(藪谷虎芳君) 対キロ運賃表が主なものであります。旅客貨物との対キロ運賃表が主たるものでありまして、その他は規則、取扱等の規定の関係の印刷公報の整備であります。部數は約五万であります。
#108
○中村正雄君 駅の準備期間は十四日乃至十五日と、とにかく一番多く準備期間がいるわけですから、駅の準備期間を標準になさつて、これだけで二週間掛かる、こういう御意見なんですか。
#109
○政府委員(藪谷虎芳君) 駅の準備期間は、少い所で五日、多い所ですと四日、例えば東京駅のごときは徹夜いたしまして、交代して十四日掛かります。
#110
○委員長(板谷順助君) 只今中村君の質問に関連いたしまして、政府の意向をこの際確かめて置きたいと思うのでありますが、御承知の通り三倍半の貨物運賃が引上げられるとしても、又原價計算から行けば殆んど半額に充たない。そこで増強のためにできるだけ努力すれば、段々赤字を増すという結論が出ることは、只今大臣の御答弁の通りであります。ところで問題は先程の大臣の御答弁の中に、將來貨物運賃についても、独立採算制を採る意味において相当に考慮するというようなお言葉があつたのでありますが、併しながら聞くところによれば、運輸省の初めの原案は、旅客運賃二倍、貨物運賃五倍というような案を立てられておつたように聞いたのであります。ところがこれが物價に非常に影響するという関係から、閣議において余儀なく変更されたというような話も聞いております。ところが如何に物價に貨物運賃が影響するかと申しまするというと、例うば三倍半に値上げをするとして、物價に影響する運賃は約五%、これが仮に四倍とすれば五%七、又五倍とすれば、これが殆んど七%ぐらい程度のように考えるのでありまするが、成る程物價政策の上から或る程度軽減するという必要もあるかも知らん。併しこの点について運輸大臣は一体どうお考えになつているのか。將來貨物の運賃に対して何らか腹案をお持ちになつているかどうか、この際確かめて置きたいと思う。
#111
○國務大臣(岡田勢一君) 今委員長が申されました初めの運輸省の計画でございますが、旅客運賃は、大体運輸省といたしましては、キロ当り一円、二・八五倍くらいが適当なところであろうという運輸省の独自の考えを持つております。貨物につきましては五倍乃至五倍半というところを運輸省だけの考え方から考えておつたわけでございますが、委員長が御指摘されましたように、物價廳、安本、それから財政当局などとの綜合研究によりまして、それが変更いたしましたわけであつたのであります。それでこの点につきましては、先程もちよつと申上げましたように、私鉄或いは海運の赤字補填をしなければならんような線にまで行くことは、本質的から考えまして私は面白くない。これは健全な経営を官営、民営の各企業の亙つて確保しなければ、日本の経済は回復できないという考え方から起つております。從つて民営の事業に対しまして、只今でも重要物資の生産につきましては相当に赤字補填をいたしておりまするが、できる限り赤字補填といふことを縮小して行く、價格差補給金などをなくして行くという方向を取らなければならんものと私は信じております。それで今まで赤字補填をしておらない業種に対して、それから赤字補填を拡大して行くということは、これに逆行するわけであります。從つてさういう理論を根拠といたしまして、旅客運賃につきましても、赤字補填を避ける方法を取らなければならんと考えております。大体只今衆議院で修正せられました二・五五倍の線から下げることは不適当ではないかとえ考ております。次に、第二のお尋ねの貨物運賃の値上を將來において考えておるかどうかということでございますが、それは御指摘の通りに、貨物運賃は経営コストの五割に達しておりませんのであります。物價を抑えます関係上、余儀なくこれを制約されておりますわけでございますが、物價が漸く安定し、生産が上りまして、経済界が中間安定と申しましようか、樂な状態になりまして、運賃負担に堪え得る時代が來ましたならば、私は必ずこれを可能なる範囲におきましいが貨物運賃の是正、引上げをしなければならん、そういうふうに考えております。
#112
○中野重治君 今まで質問をいたし、お答えを願つたのですが、残つていることについて一つ二つお尋ねしたいと思います。一つは國鉄の復興の問題に関してですが、去年の発表された數字によつても、國鉄関係で老朽車というものは、客車においても、賃車においても、電車においても、機関車においても、何割々々となつております。それが更に進んでおる。これをどうしても直さなければならんわけですが、芦田内閣になつてからの第二次白書について見ますと、二十三年度資材割当の中の鋼材なんかを取つて見ましても、必要量の二〇%しか割当てられていない。つまりそこに資材の上でマイナス八〇%が残つておるという関係にあります。ところが今年一月の閣議では、國鉄を重点産業として取扱うということに話が決まつたということですが、それに附加えて五ケ年計画の案を見ますと、案そのものの通りに事が運ぶとしても、機関車、客車共十年後に漸く復興する計画になつているというふうになつています。つまり紙の上の計画でも五ケ年計画は十ケ年掛かる。こういうことになつている。そうして先に言いましたように、例えば鋼材の割当について見れば、マイナス八〇%というのが今年の現状である。こういう状態であれば、五ケ年計画が十ケ年後に完成するというプランも非常に危なくなるのでないか、言い換えれば、毎年々々十ケ年老朽車の補綴その他の面で、修復上の赤字が重ねられて行くのじやないか、こういうふうに考えるのですが、この点はどういうふうにお考えでありますか。
#113
○國務大臣(岡田勢一君) 中野さんの御指摘のように、老朽車の修繕等に要する鋼材の確保が、今日誠に貧弱な状況にございます。併しながら將來におきましては、日本は御承知の通りに戰爭を放棄……いわゆる武裝を放棄いたしました。將來において戰爭、事変等が先ず起る虞れはないと見ることが至当であろうと思います。併しながら第三國同士の紛爭等の巻き添え等を食ろうことも考えられますが、そういうことがありません限りは、鋼材の問題につきましては年々私らの予想通り、或いは予想以上に獲得ができることになろうかと存ぜられますので、復興五ケ年計画の中にあります鋼材獲得は、むしろ堅実に見積つておると私は考えておりまして、あの予定は十分に達成できるものと考えております。
#114
○中野重治君 そういうふうに行けば大変結構だと思いますが、そういうふうに行くであろうという何らかの客観的根拠が、大臣の方に持合せがありますかしら、ありましたら、その一端を漏らして頂きたい。
#115
○國務大臣(岡田勢一君) それは只今申上げました通り、日本は当分みずからの國家において事変、戰爭などがないものであるという考えでございます。又日本の重工業方面、特に鋼材の生産等につきましては、大体に賠償の撤去から相当な部分が今日緩和せられるように予想せられるわけでございまして、これはまだ本格的に連合國が決定されておらんのでございますが、それらの面から見まして、鉄鋼の日本の産額は、只今復興の計画に織込んでおりますことが十分に確保せられる見込でございます。
#116
○中野重治君 そういう願望的なもの以外はありませんですか。
#117
○國務大臣(岡田勢一君) 更に私の方の主管でございませんが、主管でございます商工当局が、これを數字の上で根拠のある説明をいたしておりますので、私らはそれを信じているわけでございます。
#118
○中野重治君 商工省の発表については、それは私の方で別に問題にすることにしまして、次の点をお尋ねしたいと思います。それは國鉄再建のための減價償却費の問題ですが、あれが今年は六億円見積られております。ところがその六億円の見積がどこから算出されたかというと、政府の予算説明書のままに從えば、それは今年三月末の財産價額を帳簿上二百二億と抑えて、そうしてこの減價償却費を、財産の帳簿價額を基礎にして計算したということになつております。ところが直ぐ同じ場所でこういうことを言つております。実質的に財産を維持して行くためには、如何にしても再調達價格を以て計上しなければならない、そこで若し時價によつて計算すれば、概算は四千二百五十億円になると見積つて、この時價から再調達價格にして償却費を計算すると、百三億になる。そこで結局政府の言い方によれば、現在提案しております收支の見込によりましても、本年九十數億の赤字を生ずるのであります、こういうつもりでおりますと、これは一体どういうふうに理解したらいいのでしようか。つまりこれはこの減價償却の面において、ますます赤字が重なつて行く以外に、何らか理解する術があるのかないのか。
#119
○國務大臣(岡田勢一君) この関係は、只今のような國鉄收支のバランスが非常に困難な時代にありましては、再調達價格を以て減價償却するということになりますと、ますます運賃の負担が増して來るわけでございますので、かような困難な時代には、もう暫く技術的にも辛抱をいたしまして、そうして帳簿價額による償却をやることが至当であると考えております。その代りに再調達價格で減價償却をいたします場合には、その金が工事費関係に使われるということなるのでありますが、その代りといたして工事費関係の財源は、これを資産勘定に考えまして、新らしくやります新線、或いは重化等の分は別に財源を取らなければならない。即ち御審議を得まして公債を発行いたしまして、そうしてそれに充てるということにいたしておるわけでございます。
#120
○中野重治君 今大臣の御説明の中に、私の質問は非常に尤もであるけれども、今日の現状においては、そこに技術的辛抱をして貰わなければならんという言葉がありましたが、辛抱は幾らでもしなければならんと思いますが、その際の技術的辛抱、時價と帳簿價額の関係をどうしてこういうことに、逆にして辻褄を合せなければならんかという、その際の技術的辛抱というものの具体的内容はどうものでありましようか、何を技術的辛抱とおつしやるのか……
#121
○國務大臣(岡田勢一君) 現在申上げましたのは、操作上の問題でございまして、帳簿價額で減價償却をいたすということになりますというと、後の再度調達に対して、其の出どころがないということを意味いたしたものであります。これは現実の面で申しますならば、再調達價格によりまして減價償却するということが、現実的な政策でございますが、併し只今の收支のバランスが非常に困難になつております、赤字経営を続けて行かなければならんのでございますので、これを技術的に考えまして、償却は帳簿價額でする。そして新らしくやる工事は新らしい資産勘定から財源を取る、即ちこれを財産として繰入れて行くという計價の項目から財源を求めまして、いわゆる財産を殖やして行くということによつて、その財源を求めるという方法を採りまして、そうしていわゆる経営上の赤字を少くいたしまして、運賃負担を軽減するという方策に出たことを申上げたわけであります。
#122
○中野重治君 今大臣も認められたような、その現実な方策、その現実な方法を取ると、却つて運賃を上げなければならんというのは、どうしてでしようか。
#123
○國務大臣(岡田勢一君) それは原價償却を余計見積りますことによりまして、一方においてその收入を得なければならん必要が起つて來るからでございます。
#124
○中野重治君 私はよく大臣の言葉の意味が呑み込めませんが、現実な方策と大臣も認められたその方式を取ることが、それが技術上の帳尻の在り方がどうこうというようなことよりも、もつと大事なのであつて、大臣自身も認められた現実な方式で全部を運んで行くというふうに、根本的にやる変えるというふうなお考えはないのでしようか。
#125
○國務大臣(岡田勢一君) それは最も現実なやり方でございますが、只今申上げましたごとく、の現実と申しますことは内容的に、財政的によくなるということを意味しております。今日の場合は、それをやれない苦しい收支の勘定の經営をやらなければならんときでありますので、今日の場合はやる考えはございません。
#126
○中野重治君 最も現実な方法と大臣自身認められる方式へ問題を運んで行くことができないというお答えであつたと認めるので、次の点をお尋ねしたいと思います。
 それは、先日政府委員の方へ數字を出して頂くように申出てあつたのですが、なかなか返事が貰ええなくて今日やつと返事が貰えたのですが、それは宮廷列車の全走行キロに関する問題です。これは大体戰後の天皇御旅行は、延べ相当になると思うので、それの概算、正確な算出、それから單價、運賃等々を年度別に出して欲しいということで頼みましたが、今日來た返事によりますと、計算ができていない、これからやるとしてもやかなか大変でそう早くできない、こういうお話ですから、つまり宮廷列車が五輛編成、機関車一輛或いは予備機関車が附いて、相当動いたわけですが、これがどれだけ動いかは全然計算していない、なぜそれを今日までやらなかつたか。それから大体において詳しいことを別として、現在どれ程と認められるかということをお答え願いたい。
 もう一つは、やはり同じ返事の中に、運賃の問題はどうなつておるかと申しますと、全然無賃である。これはどういう法的根拠に立つて、そういうことになつたのか、その法的根拠を示して頂きたい。
#127
○國務大臣(岡田勢一君) 宮廷列車の具体的全額につきましては、只今過ぐにできませんので、成るべく早く調査いたしまして、でき次第に御報告申したいと思います。陛下が行幸されます場合の無賃の制度は、余程古くから省令で行われて、省令と申しますか、大臣権限で行われて來ておつたことだろうと存じますが、只今もそれを継続しておるわけでございます。
#128
○中野重治君 今日までその省令で事が運ばれて來たというお話ですが、大臣自身は國鉄の赤字の問題が相当大きく、國民生活に運賃値上問題というような形で起きておる現在、今後もやはり從來の省令をそのまま踏襲して、無貨で事を運ばれるおつもりでしようか。
#129
○國務大臣(岡田勢一君) 陛下が行幸されますことは、中野君のお言葉によると余程沢山のように言われておるようでありますが、私らから考えますと、鉄道の收支の額から考えまして誠に軽徴な額であると考えております。從つて鉄道經営の健全、不健全にさように影響するものでないと考えております。將來も陛下の行幸に対しては無賃で取り扱うつもりでおります。
#130
○中野重治君 天皇の旅行が、國鉄の全走行キロ中に占める割合が軽徴であるかないかは、政府が今日それに対する資料と、こちらの要求に対しても全く應じていない。そういう條件の下では、大臣の今のお言葉は客観的な根拠を失つておると、こういうことは認めます。併しながら將來の大臣の肚は読めましたから、これでその点は理解しました。これで私の質問は打切ります。
#131
○委員長(板谷順助君) 如何ですか、簡單な質問でありましたら、この際お許ししますから……どうですか。
#132
○橋本萬右衞門君 質問打切。
#133
○委員長(板谷順助君) 別に御質疑がなければ、質問は終了したことに決定いたします。
 それでは討論に移ります。
#134
○橋本萬右衞門君 私は衆議院修正案に滿足する者ではございません。私の希望としては多くとも二倍見当で食い止めたいと思つておるのでありますが、現下の財政状態から見まして、遺憾ながら衆議院の修正案に同意する外ないと思います。私としては賛成いたします。
#135
○委員長(板谷順助君) 外に御意見ありませんか。
#136
○淺岡信夫君 私は衆議院から修正して参りましたその修正案に対しまして民主自由党を代表いたしまして修正案を提出いたしたいと思つております。すでに皆樣各委員のお手許に、その修正案を差上げてある筈でありまするが、これに対しまして修正意見を述べさして頂きたいと思います。
#137
○委員長(板谷順助君) 淺岡君、修正意見があつたらこの際一つお述べを願います。要領だけ一つ御説明を願います。
#138
○淺岡信夫君 それでは民主自由党を代表いたしまして修正案を提出いたします。修正案はお手許に配付してあります。一應読み上げて見ます。
 「第三條鉄道の普通旅客運賃は、左の各号の定めるところによる一、三等の賃率は、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円二十五銭、」とありますのを「七十銭、」、「百五十キロメートルより五百キロメートル迄は五十銭、五百キロメートルをこえる部分は三十銭とする。二、二等の運賃は三等の三倍、一等の運賃は三等の六倍とする。
 (航路の旅客運賃)
 第四條、航路の普道旅客運賃は修正別表第一の通りとする。
 第五條、定期旅客運賃中、学生に関する分は現行通りとし、普通旅客に関する分は現行の五割増とする。一、全文削る。二、全文削る。
 (急行及び準急行料金)
 第六條、急行料金及び準急行料金は修正別表第二の通りとする。
 (貨物運賃)
 第七條、貨物運賃は、車扱貨物運賃及び小口扱貨物運賃とする。
 二車扱貨物運賃は、貨物等級表の等級に從い、修正別表第三の賃率による。」この別表は略します。
 提案理由を申上げたいと思います。本鉄道運賃法案が、國民の利害に甚大なる関連を持つものであることは申すまでもありません。かるが故に一度本法案が議会に提出せられ、運賃の引上が大幅に行われるということが世上に傳わりますと、一般民衆は擧つて反対の声を擧げたのであります。各委員も御承知の通りでありますが、本委員会におきます公聽会でも、公述人十一人中七名までが絶対反対であつたのであります。國有鉄道の運賃の如何は、直接間接に國民の生計と密接な繋がりを持ち、特に鉄道を利用する日常の旅行は、國鉄事業が独占的でありますだけに、その値上は痛いのであります。今我が國は物價が高騰し、賃金がこれに追付かず、民衆の生活は極度に追詰められております。その生計調査を見ますると、全体の生計の六七%までは食費でありまして、これを見ましてもエンゲルの法則を説くまでもなく、最低生活を辛うじて維持しつつあることは明白であります。又物價と生計費の騰貴の割合を見ますと、戰前に比較いたしまして配給の物價指數は七、八十倍であるにも拘わらず、生計費が二百倍を超えておる事実は、生きんがために闇物資を買わざるを得ないのであります。又生計費が二百倍になつておるにも拘わらず、賃金指數は五、六十倍に過ぎません。これは大衆が筍生活を続けておる明らかなる証拠であります。かような状態でありますから、物價騰貴の大きな原因をなす鉄道運賃の値上は、最小限度に極力抑制しなければならないのは申すまでもありません。かような見地から民主自由党は、旅客二倍、貨物を三倍に止める案を提出するのであります。これによりますと、減收は約三百一億でありまして、その財源は鉄道内部の節約で八十一億、公債発行で四十億、不足額の百八十億は一般会計の負担とするという案であります。何故鉄道の節約を要求するかと申しますと、これ程の國民負担を加重し、これ程の問題を惹起せしめて、赤字が出たら運賃に持つて行く、賃が下げられたら繰入で行くということであると、少しも独立意欲がない。勿論鉄道会計も苦しかろうが、やはり幾分かは我が懷ろから出さなければいけない。こうして考えて参りますと、鉄道の一千二百億になんなんとする大世帶を以てすれば、八十億乃至九十億くらいはわけなく出るものである。今回石炭の品質の向上を図る決議をしたが、これだけでも二、三十億は出る。更に旅客貨物の増送を図れば、又それだけでも相当なものが出ると思う。その外自然消耗の職員の不補充とか、或いは労組專從者の分離であるとか、不用品の拂下、そういう点がいろいろあると思います。これらの財源は眞劍になつて工夫すれば、必ず出ることを確信するのであります。よつて本案を提出したのであります。各位の御賛成を得たいと存じます。
#139
○委員長(板谷順助君) 諸君に御相談申上げますが、三時十五分に、本会議におきまして、通信料改正の記名投票が行われるそうであります。暫時休憩をいたまして、通信料の問題が解決してから、引続いて意見の御発表並びに採決をいたしたいと、こう考えるのでありますから、(「異議なし」と呼ぶ者あり)三時半、とにかく四時前に決まりましたら、更にラジオで放送いたしますから、その際一つ御参集あらんことを御希望いたします。暫時休憩いたします。
   午後三時十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時二十四分開会
#140
○委員長(板谷順助君) 引続き会議を開きます。討論を継続いたしますが、御意見がありましたら一つ御発表を願います。
#141
○中村正雄君 社会党を代表しまして衆議院送付案に賛成いたします。鉄道の運賃につきましては、國家が経営しているこの運賃に対して、如何なる点に運賃を決めるかということにつきましては、戰前と現在とにおきましては、おのずから決定の要素においても異なるものがあるだろうと思います。一應現在の運賃を決めるにつきまして、國民全部が運賃の値上げに反対いたしております。これは恐らく現在の状態におきまして、運賃値上に賛成するという人は恐らくいないだろうと思いますが、運賃を如何なる点において決めるかということは、運賃の倍率それ自体ではなくして、如何にして國鉄を経営するかという観点から決めなくちやいけないんだろうと思います。大体経濟運賃といたしましては、國有であります関係上、コストを中心にして、經費を中心して決めるべきものでありますが、そういう観点から見ますと、現在の旅客運賃というものは、大体経営費の四八%から五一%の運賃だと承知いたしております。
 又貨物運賃におきましては、経営に対しまして一二%程度のものだと了承いたしております。そういたしますると、大体運賃の値上げに対しましては、旅客運賃において二倍強、貨物運賃においては八倍強とならなければ、経濟的な運賃は決まらないものになると考えております。併しながら現在旅客運賃と貨物運賃とは、國民生活に及ぼす影響、或いは又その運賃の性質におきまして、今のような統制経濟下におきましては、又おのずから異なるものがあると考えられます。即ち即旅客運賃におきましては、受益者負担と申しますか、利用者それ自体において負担の終止符を打たれるものだと思いますが、統制経濟下におきましては、貨物運賃はそのまますべての物價に影響いたしております。從いまして貨物運賃につきましては、荷主自体から貨物運賃を取るということは余り意味をなさない、その貨物を消費する國民大衆が消費能力に應じて、或いはその他の生活能力に應じまして、おのおの貨物運賃を負担しておるという関係から、旅客運賃と貨物運賃の現在の経濟生活におけましては、本質上異なるものがあると考えられます。從いまして政府原案におきましては、貨物運賃を三倍半に抑える、いわゆるコスト主義による十倍乃至八倍にしなければいけないと思いますが、貨物運賃の値上げは國民生活に直接多大の影響を與える、又物價に非常な影響を與えるという觀点から、これを三倍半に抑えまして、他の経費につきましては、いわゆる一般会計から支弁するという、いわゆる祖税を以て支弁するという点を考えておるわけでありますが、この点につきまして貨物運賃というものが、先程申しましたように祖税的な傾向にある性質から考えまして、この点については了承されると思います。ただ旅客運賃につきまして、三倍半というものが現在の國民生活に及ぼす影響を考え、又コスト主義から行けば、二倍強でいいものを三倍半にする、即ち貨物運賃の赤字の補填の足に課せるという点につきましては、國民大衆も納得ができないし、我々も又納得できないのであります。そういう觀点から、私達は旅客運賃につきましてはコスト主義によつて大体倍率、二倍の値上げをする。爾余の点につきましては、一般会計から祖税によつて繰入れるということが妥当ではないかという觀点から、種々努力をいたしたわけでありますが、ただ冒頭に申上げましたように、運賃の決定はただコストだけ、或いは鉄道運賃だけを決めるべきではなくして、國家財政全体の負担の均衡から考えなくちやいけないということから、あらゆる財源、あらゆる予算の面に檢討いたしましても、やはり衆議院送付のような、二・五五倍程度の値上げは止むを得ないという結論に達したわけであります。從いまして社会党といたしましては、二・五五倍のこの旅客運賃の値上げは止むを得ないものとして賛成する次第であります。
 最後に政府に対しまして、希望を申したい点は、この度の運賃値上げによりまする予定收入の、いわゆる利用減といふものを五%と見ております。これは三倍半の場合でありまするが、或いは二・五五倍になりましても、利用減五%といふことは相当至難だろうと思います。と申しますのは、先般私鉄の運賃を七割五分上げました場合に、実際の收入は三割強しか増收しておらない現状であります。無論時期的にいろいろの差はありましようが、年間を通じまして二倍半の値上げをした場合でも、五%の利用減というものは相当不可能ではないか、こういう觀点からいたしまして、政府が本運賃値上法案が通過し、予算案が通過いたしました場合も、今後におきまして列車の増発、或いはサービスの向上等によりまして、收入の増加を図りますと共に、経營合理化によりまして決められました予算の枠内におきましても、極力節約せられんことを希望いたしまして、賛成意見とする次第であります。
#142
○村上義一君 今回予算の大幅修正と、これに関連して、國鉄の運賃法の修正を衆議院でせられて送付を受けたのでありますが、原案では政府の説明によりますと、旅客運賃が三倍半になつた場合には、その総收入は旅客輸送原價の約七割九分に当る、貨物が三倍半になつた場合には、その貨物の輸送原價は收入の四割六分にしか過ぎない、合計して輸送原價に対して、收入は九割二分に過ぎないから、この足らざる八%、約百億というものが一般会計より補給するというのが本旨であつたのであります。然るに今回修正せられまして、百五十キロまでは一キロ当り九十銭、百五十キロ以上に及ぶ場合は一キロ当り六十五銭ということに修正せられて、送付を受けた次第であります。これによつて考えて見ますと、修正の旅客運賃、尚この普通運賃以外に特定、学生定期に対しては二倍に止めるというような意向でありまするし、從いまして旅客運賃の総收入は、大体独立採算制の範疇に入つておると思うのであります。貨物の厖大する輸送費の不足を一般國民の負担において、約三百億乃至五百億の巨額を一般会計から補給せんとするのが、この予算に関連した修正案の内容であると思うのであります。勿論國鉄が一企業として進む以上、原價計算に基く経濟運賃を以て仕事をするということは望ましいことでありまするが、只今も中村議員から話がありましたごとく、この旅客と貨物及び一般國民、この三者の負担の公正を得ておるや否や、又國民生活の安定の見地から言いまして、更にインフレ政策の上から言いまして、更に経濟復興の觀点から見まして、その他各種の今日の重要政策を勘案して、果してこれで適正なりや否やということが問題であると思うのであります。この修正の意見は、尚いろいろ殘されたる問題はあります。欠陥は包藏しておると思いまするが、大体において止むを得ないものであると考える次第であります。いろいろの問題が残されておるという中で最も重大なるものは、この原價が果して合理的なりや否やという点にあると思うのであります。言換えますれば、不合理な非能率的な経費が拂われてないかどうかという点にあると思うのであります。これにつきましては人員の適正配置、能率の増進というような觀点からも大きく批判を受くべきものであると思います。又石炭の節約或いは電化の促進とかいうような觀点からも觀察を要すると思うのであります。國鉄企業の合理化というものの根本は、交通行政と國鉄企業の経営との截然たる分離に出発せんければならんと思うのであります。これらのことにつきましては、いろいろ政府においてもすでに調査に着手しておるやに伺つておりまするが、今日参議院の先般の輸送力増強の決議案に対する対策の回答を受けましたが、この輸送力の増強施策を急速に促進するということと、併せて國鉄企業の合理化を一日も速かに実施せられんことを希望しまして、衆議院送付の修正案に賛成する次第であります。緑風会を代表して一言申上げます。
#143
○委員長(板谷順助君) 中野君、御意見の発表がありませんか。
#144
○中野重治君 共産党は原案にも修正案にも反対であります。結論を言えば、運賃は据置き、それが日本の経濟の建直しに最もよろしい。これは実質的には先程休憩前に運輸大臣自身が認められた通りであります。それでその理由とするところは沢山ありますが、第一は、運賃の値上げは大衆課税の性格を持つておることであります。酒、煙草、それからすでに先に通信料が値上げになつておりますから、私の今申上げる数字はもつと悪くなつておるわけであります。三千七百円ベースは酒を除いても煙草、税金、運賃で二千六百八十円になりまして、総收入の四二・一%になつておる。これは通信料値上げを入れるともつて悪化しておるわけです。こういう形が全体の構造の性格をなしておる。だからこれに我々は反対せぜるを得ない。それから次の問題は、これは他の人々からすでに述べられていた通りでありますが、主として大資本家の利益のために、貨物運賃を実質から切り下げておいて、そうしてそれを大衆的の旅客運賃へ轉嫁する、これで穴埋めをする。このこともずつと継続的な委員会ですでに述べられておる通りでありまして、こういうことは許すこともできない。殊に鉄道の利用者の九二%は三等旅客なんですから、三等旅客の方へ滑り込みさせる、こういうことになります。これはどこからも合法的であると言い張ることができなる。だからこれに我々は反対しなければならない、これが第二の点。第三の点は、この運賃の値上げが非常にインフレを促進しておる、これは今までの政府発表そのままに言えば、改正された運賃が、主要商品の價格を占める割合は平均二・八七%であつて、昨年度は一・五%ですから、すでに大幅に上つておる、而も諸物價をリードする石炭について見ると、五・一五%に上つておる。この負担がさつき言つたような構造として大衆に轉嫁されるのであるのであるから、これはそのままインフレの促進になる、現に問題が起るや否や米の価段が三百円に上つておる。これは單なる一つの証拠に過ぎない。諸物價のインフレの促進されるのであるからして、日本の経濟の建直しの上から言えば、インフレを抑止して、これを停止させなければならんのであるから、日本産業の再建の根本の建前から言つて、これに反対しなければならん。それから次に鉄道の特別会計の予算案は、いわば編成された途端に崩壞をしておると言わなければならんと思う。仮に運賃値上を比較しましても、第一には國鉄使用の資材の物價改訂は、まだ全面的に決定しておりません。これを昨年に比べると、昨年はとにかく予算案編成前にそれが決まつておる。今年はこれが全面的にまだ決定しておらん。一種の砂上に樓閣を築くような形になつておる。第二に、賃金三千七百九十一円はまだ全官公労組合との間に團体交渉中であつて、これがどこへ行くかということはまだ決定しておらん。第三に、一億三千万トン輸送態勢、或いは新ダイヤ編成というふうなことが日程に上つておりますけれども、先程委員会の問答からも分りますように、國鉄の施設の荒廢、これらの復興ということは、單に金額の面のみでなく、復興そのもの、物質的な復興そのものが赤字々々で溜つておる。それだから机上プランの五ケ年計画さへも十ケ年掛からねばならんということになつておる。その五ケ年計画が十ケ年後にやつて復旧するということは、実を言へば、それは永久的に駄目だということを別の言葉で言い変えたに過ぎない。勿論これも他の方の言われことですが、今度の値上げによつて、汽車賃は非常に高くなります。東京鹿兒島の間は往復二千円ぐらいになるのです。この計算は大まかな計算でありますが、そこで三千七百円ベースでは、とても人々は旅行をできないということになる。旅行を禁止するということになる。そこで非常に飛んでもない羽目に政府自身が落込むのではないかと思われる。それはさつきも言いましたように、大資本の利潤のために、貨物運賃と旅客運賃とを、ああいうふうにる。そうして旅客運賃におんぶさせるということをやらせる。ところが旅客運賃の九二%を稼ぐのは三等旅客である。三等旅客に殆んど全部旅行を禁止するという運賃の値上げの仕上でありますから、これは昔話にあるように、何と言いますか、卵を生まそうと思つて慾張つて、その鷄の腹を裂くような形態に陷つている。それだから予算編成というものは、机の上で編成された時はすでに壞されておると経わなければならない。これに我々は賛成することはできない。
 更にこの問題には、さまざまな政治上の問題が附隨しておりますが、それでは据置きでうまく行くかどうか、これは据置きで十分うまく行きます。例えば部分的なものを拾つただけでも常に大きな経費の節約ができる。これは鉄道関係で、闇で賄われておると言われておる物資は約三〇%であると言われておりますが、これを削れば二百十億である。石炭は御承知のように、國鉄は大資本家の特殊消費者並ではなく、それの三一五%で國鉄が買つておる、自分で値を付けて高く買つておる、トン当り三千百四十七円九十五錢ですか、特定産業にはトン当り千円で賣渡しておる。これを同じくみずから超重点産業などと言つておる産業ですから、千円で渡せばそれで百六十七億出る。それからやはりこれもこの間しばしば熱心に討議された石炭の熱量問題、政府の答弁を聽いておると、石炭は重さを使うものであつて、熱量を使うものではないかのごとく言われておるが。そこでこれを六千カロリーまで引上げて行くとすれば、政府自身の出しておる數字によつても、六十一億節約ができる。これだけども四百三十八億節約できる。これは余程内輪に見積つての問題で、更に進駐軍関係の費用を、一般会計から十分正しく受取つていない。この間私が質問しましたとき、答弁者は恰も進駐軍の使う費用を、國鉄、日本政府がもつと削れと要求しろと、我々が言つておるかのごとく取つておるけれども、我々はそういうことを言つておるのではない。すでに発表されましたように、抑留貨車の問題のごときが、國鉄の営業に及ぼした影響を換算して、これを一般会計との関係において收支を償うようにやらなければならん。このことをもつとやる必要があるというわけであります。ことに相当莫大なものが浮いて來る。それから宮廷列車の問題もさつき言つた通りであります。こういうものを削減しても、やはり今日の日本の経済の現状においては補填しなければならないこの間、公聽会に國鉄の技術研究所の村木氏が、それでも百八十億程補填しなければならないという意見を、詳しく技術的な面から挙げておられるようでありますが、私共の計算によれば、更に八十億くらいは削ることができる百億程の補填ということになつてしまう。それでは今の政府案とちつとも違わないぢやないかということになる。それで私共の問題の理解の仕方をお話を聽いて頂きたいと思います。これは今まで大分問題になりましたが、経濟運賃であるべきものが、財政運賃になつたということが言われております。それで経濟運賃が財政運賃になつて、今言つたように國家財政そのものを破壞するようなところへ行つておる。ところが更に問題が進んで、いろいろな党派の関係から、倍率に変化が生じて修正案も出て來ております。そうして或るところへ落着こうという趣きが見えておる。そうすると經濟運賃が財政運賃へ轉化し、更に財政運賃が一種の政治運賃とも言われるべきところへ來たんじやないかと考えられる。そこで私共は政治運賃ということに絶対の反対ではありません。正しく政治がどういう方針で行われるか、大衆課税をどしどし強行して辻褄を合せるように政治運賃が行われるか。それとも百億でも百二十億でも注ぎ込んで全体の構造とを強めて行く。やはりこれもさつきも運輸大臣自身認められた最も堅実なる方式これに乘換えて行くために、れれを政治の基礎としてやつて行くか。を若し大臣自身の認められた最も堅実の方式、この方式に轉換して貰えば、百億のところを百二十億注ぎ込んでも決して得になつても損にはならない。やつて行くことが肝腎なことであります。殊に先日政府側の話を聽きますと、こういうふうにして運賃を上げて、それによつて穴埋めをやつておる。そうしたならば独立採算制というものは、將來実現されるように保証されるかという質問をしましたところが、それに対して、それはそういうふうに努力するつもりであるけれども、併しどうなるか分らん、すべてはインフレが止まるか、増産がうまく行くか、通貨が安定するか、これによつて政府の目論見がうまく行くか行かんか決まるのだどいうことを言つておる。これについて当時私は意見を述べましたが、運賃値上そのものがインフレ抑制、増産、通貨安定で、物價に関しての全般的に新らしい物價体系の一環として問題にされておる。その部分が全体を実現するために部分で、運賃値上をするというのであるのに、運賃値上を規定してうまく行くかどうかは、インフレを止めるか、止めんかにかかつておる、從つて断言できないということになつておる。これは最も悪い意味での悪循環であります。而もこれは止むなく生じた悪循環ではなく、企らまれた悪循環と言わなければならない。こういうものを我々は賛成することはできない。これを撃確して、今言つた人民の生活を引上げて行く、これを実際の根柢にして、運輸大臣が最も堅実なる方式であると認めた方式へ、全面的に轉換しても、これは可能である。この意味で私は、我が日本共産党は、原案並びに修正案に反対して、据置を主張する者であります。
#145
○委員長(板谷順助君) 外に御意見の発表はありませんか。ありませんければ、これにて討論は終結いたしました。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(板谷順助君) 採決に入ります。本日委員中、御登院のない方は、内村清次君、尾崎行輝君、西園寺公一君、この御三名でありますが、あとは全部御出席であります。
 先ず淺岡信夫君提出の修正案について決を採ります。淺岡君の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者少數〕
#147
○委員長(板谷順助君) 起立者少數。次に、衆議院送付の修正案を含んだ原案に対する賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多數〕
#148
○委員長(板谷順助君) 起立者多數。よつて本案は可決することに決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(板谷順助君) 御異議ないと認めます。尚委員長が議院に提出いたします報告書については、多數意見者の署名を附することになつておりますから、順次御署名をお願いいたいます。
   〔多數意見者署名〕
 これにてすべての議事は終了いたしました。この際委員長といたしまして、一言御挨拶を申上げます。運賃改正問題は、國民生活に重大の何係がありまするところから、十數回に亙り、連日各委員諸君が非常に熱心に、愼重審議されましたことについては誠に感謝に堪えません。私はこの委員会におけるところの空氣を明瞭に本会議に報告する考えであります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           カニエ邦彦君
           小泉 秀吉君
           鈴木 清一君
           中村 正雄君
           淺岡 信夫君
           大隅 憲二君
           加藤常太郎君
           水久保甚作君
           境野 清雄君
           小林 勝馬君
           高橋  啓君
           飯田精太郎君
           新谷寅三郎君
           早川 愼一君
           北條 秀一君
           村上 義一君
           中野 重治君
           仲子  隆君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 岡田 勢一君
  政府委員
   運輸事務官
   (鉄道総局業務
   局長)     藪谷 虎芳君
ソース: 国立国会図書館
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