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1947/06/19 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 鉱工業委員会 第8号
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1947/06/19 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 鉱工業委員会 第8号

#1
第002回国会 鉱工業委員会 第8号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○弁理士法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
   午前十一時二十三分開会
#2
○委員長(稻垣平太郎君) 只今より開会いたします。大体弁理士法の一部を改正する法律案につきましては、前回において大体御質疑は盡きたように存ずるのであります。御質疑は盡きたものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは只今から討論に入りたいと存じます。大法案につきまして、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存ずるのであります。尚その際修正の御意見がございましたならば、併せて御陳述を願いたいと存じます。
#4
○小林英三君 政府の当委員会に提出しております弁理士法の一部を改正する法律案につきましては、私はこの際に修正案を提出いたしたいと思います。修正案につきましては委員各位のお手許にお配りしてあるものでありますが、この機会にそれを御説明申上げたいと思うのであります。
 弁理士法の一部を改正する法律案の修正案につきましては、弁理士法の第九條の次に、こういうことを加えたいということであります。即ち第九條の二といたしまして、「弁理士ハ特許法第百二十八條ノ二並ニ実用新案法第二十六條、意匠法第二十五條及商標法第二十四條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第百二十八條ノ二二規定スル訴訟ニ関シテ訴訟代理人タルコトヲ得」、「前條第二項ノ規定ハ前項ノ訴訟代理人ニ付之ヲ準用ス」、こういう條を新らしく加入せんとするものであります。
 その修正の提案の理由といたしましては、特許事件は高度の技術的の問題を内容とするものでありまするから、これを取扱うに当りましては、技術的の專門の知識を必要とするのであります。從來旧法によりますと、大審院におきましては、法律審のみで事実審というものを取扱わなかつたために、從來は代理人といたしましては弁護士のみを訴訟代理人といたしまして、弁理士は單に補佐人といたしましての資格のみを認められておつたのでありますが、併し今回裁判制度の改正に伴いまする特許法の改正によりまして、東京高等裁判所は事実審を行うことになりますので、これには技術的の專門の知識を持つておりまする弁理士を訴訟代理人とすることが、権利者でありまする本人の、提訴人でありまする本人の利益の主張のためにも必要でありますし、又裁判所といたしましても、迅速的確なる判決をいたしまする上におきましても非常に便利であるということであります。理由その二といたしましては、現行の制度によりまするというと、特許事件につきましては、特許局において査定及び抗告審判又は審判及び抗告審判と、二審を経過いたしております。弁理士がこれらの代理をいたすのでありますが、今度は抗告審判が却下になつて來る、こういうような場合におきまして、本人が出訴いたしまして、事件が裁判所に係属するということになりますと、弁理士の手を離れて、新たに今度は弁護士が訴訟代理人となりまして、裁判所で審決が取消されるということになりますというと、今度は特許局にこれは戻つて参りましで、特許局で更に審理及び審決をするのでありまして、再びこの場合弁護士の手を離れまして、弁理士がこれを取扱うということに相成るのであります。事件が同一で継続しておるに拘わらず、代理人がしばしば変わるということは、いろいろの点から見ましても誠に不都合を生ずるのでありまして、弁理士に、この場合は一貫して事件を取扱わせるということが極めて妥当であると存ずるのであります。実はこの問題につきましては、先般の特許局の改正の法案が本委員会に付託された場合におきまして、特許法の一部におきましてこういうことを改正いたしたいと私は考えたのでありますが、これは弁理士法の一部を改正することによりまして、この目的が達せられると存じまして、この弁理士法の一部を改正する法律案の修正案として提出いたしたわけでありまして、その他の問題につきましては、原案即ち弁理士法の一部を改正する法律案の通りを私は賛成いたしたいと思います。どうか委員各位におかれましては、この修正案に御賛成あらんことを希望いたします。
#5
○委員長(稻垣平太郎君) 外に御意見ございませんでしようか。別に御意見はないようでございますから、討論はこれを以て打切りまして、採決に入りたいと存じますが、採決に入るに際しまして参考のために伺いたいのでありますが、政府委員の方は如何でございますか。今小林さんの述べられました修正案については、政府の方は御同意でございましようか、一應念のために承わつて置きたいと存じます。
#6
○政府委員(久保敬二郎君) 只今のお話につきましては、新憲法施行前には、特許局の事件は大審院の方へ出ておりまして、その際は続審という考えでありまして、法令違反のときだけに限定されておりましたのでございまするけれども、新憲法が施行されましてから、東京高等裁判所におきまして、事実審理もされるるということになりますと、どうしても特許法の見地から見まして、技術的な特殊の説明というものが必要になりまするので、弁理士も裁判所におきまして代理ができるようになりますると、依頼者に対しましても、非常に意見を明確に表示せられまする点において、利益を得ることが多いと考える次第でございます。商工省におきましては、こういうような見地から、この御案に対しましては、でき得れば実現されたいということを希望しておる次第でございます。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) 尚法務廳の岡咲調査意見第一局長が見えておりますのですが、参考のために一つ法務廳の御意見を承わりたいと思います。
#8
○政府委員(岡咲恕一君) 只今の御開陳になりました本案に対する修正意見に関しまして、法務廳の意見を大体御披露申上げたいと思います。只今の御説明によりましても、御修正の御意見は一應御尤もに存ずるのでございまして、できれば弁理士も特定の特許事件につきまして、或いは関連の訴訟につきまして、訴訟代理人となられる資格をお持ちになるということは、大変好ましいことと考えるのでございまするが、現在の訴訟法の建前から申しますというと、弁護士でありませんと、法律事務が取扱えない。殊に法廷における訴訟代理が許されないという建前になつておりまして、法律事務取扱いの取締に関する法律というような法律も設けられまして、弁護士以外のものが法律事務を取扱うことを一應禁止するという建前になつておりますし、現在の弁理士の資格試驗と申しますか、資格要件を考えますというと、技術の面におきましては、誠に非常に練達堪能な経驗なり、知識をお持ちだと考えますが、果して訴訟行爲を代理せられるに必要な法律的な経驗と知識がおありであるかどうかという点につきましては、多少ここに疑問がおありではないかと考えるのでございます。つきましては、弁理士の資格要件というものを、この際檢討いたしまして、法廷において訴訟代理が許されるような弁理士を認めることは、これは誠に結構なことでございまして、御修正御提案の御趣旨通りに私も賛成いたすのでございまするが、そのためには多少弁理士の資格要件という点について檢討を加えまして、訴訟代理をいたしましても、欠くるところのないような資格を一應與えまして、それに基いて訴訟代理を許すというふうな建前に進む方が、より好ましいのではないかと、かように考えておる次第でございます。
 実は昨日久保特許標準局長官からお話を承わりまして、事柄が訴訟に関することでございますし、裁判所の事務取扱に関することにも相成りますので、最高裁判所の事務当局の方に連絡いたしまして、最高裁判所の所務当局では、この修正案に対してどういう御見解でしようか。若し御賛成ならば、法務廳といたしましても考えて見たいということを申しますというと、暫く向うで研究いたしたようでございますが、電話で返事がございまして、そういう修正案に対しては、最高裁判所の事務当局としては御賛成いたし兼ねる、法務廳も若し機会があるならば、その趣旨を、関係方面に御傳達願いたいというふうな申出がございまして、更に今朝、反対の点につきましては、大体三点反対の理由を考えておる。その点につきまして、書面で関係方面、商工省或いは当委員会に参りますかどうか、そこは詳らかにいたしませんでしたが、商工省当局には、一つ書面で反対理由を申上げたいと考えておるというふうなことを申して参つております。
 それから法務廳におきましても、從前からこの問題は多少懸案になつておりました関係もございすまるので、一應弁護士会の方の意向も確かめたいと思いまして、至急その方にも連絡をいたしておるのでございまするが、かねがね弁護士方面におきましては、弁理士が無條件に特許事件に関して訴訟代理人になるということにつきましては、反対意向を持つておられるように承わつておりますので、弁護士方面は恐らくこの修正案に対しては、直ちに御賛成申上げるということも困難ではないだろうかと推察いたしておる次第でございます。大体法務廳の考えております意見並びに関係方面の意向を御傳達いたしまして、御参考に供したいと存じます。
#9
○小林英三君 私の提出いたしました修正案につきましての、政府委員といたしましての特許局長官の御意見の御開陳があり、只今法務廳といたしましての御意見の御開陳があつたのでありますが、私はすべての法案の修正につきましては、從來から、ややもいたしまするというと、今までの殻をどこまでも破らないで、どこまでもこのままにして置くことが無難だというような意味で、現状維持ということが行われておることは、從來の風潮であります。併しながら私は、只今法務廳の方からおつしやつたような工合に、この弁理士法の一部改正ということは、弁理士をして、あらゆる訴訟の代理人にするというのじやなく、これは特許法の第百二十八條の二に根本を関連いたしておりまして、即ち第百二十八條の二というものには、抗告審判の審決又は抗告審判請求書却下の決定に対する訴というものは、東京高等裁判所の專属管轄とするということがあります。それから末項におきまして、非常なる限定がこの場合におきましてはあるのであります。即ち「審判又ハ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得ベキ事項ニ関スル訴ハ抗告審判ノ審決に対スルモノニ非ザレバ之ヲ提起スルコトヲ得ズ」とある。即ちこの問題は極めて限定されておることでありまして、抗告審判の審決に対するもののみに限られております。從いまして私は弁理士法の一部を改正いたしましても、弁理士のいわゆる訴訟代理人となることを全般的に認める案でないのでありまして、こういうような抗告審判の審決に対して、本人が東京高等裁判所に提訴する場合に限つて、この場合に限つて弁理士の代理人となることができる、即ち今度は東京高等裁判所も從來とは変りまして、事実審理を行うわけであります。從來の例に取つて見ましても、例えば旧法によりまする、いわゆる本人が前審或いは抗告審判に負けまして、そうして大審院に提訴するような場合におきましても、從來の例に見ますると、弁護士というものは單なる形式に名前を借りて、そうしてそれらの弁護士は殆んど実際の問題にぶつかつておりまする弁理士を用いまして、それらの書類にいたしましても、或いは陳述にいたしましても、全部弁理士を連れて行つてこれに当つておる、こういうふうになつておるのであります。折角時代の流れによりまして、この弁理士法の一部を改正するという際におきまして、從來の現状維持で行こう、こういう御意見はこれは一應考えることでありますけれども、こういう一局部に限られたる弁理士の代理人となることができるという、いわゆる権利を擁護し、或いは本人の立場を擁護すること、こういう新憲法の精神からいたしましても、こういう限定された弁理士の代理人を許すということは、当然な規定であろうと私は考えておるのであります。法務廳の一部の現状維持の御意見は一應御尤もだと思いますけれども、私はこういうことこそ進んで改正することが、現在の新憲法下における権利を擁護することから、当然のことと思いますから、一應申添えておきます。
#10
○政府委員(岡咲恕一君) 只今小林委員から御説明のありました御趣旨は、私も全然同感なんでございまして、決して旧來の傳統とか、仕來たりをそのまま守つて行こうという趣旨で申上げておるのではございません。又御説明にもございましたように、弁理士が訴訟代理をなし得る行爲が、特定の極く限定された訴訟に限るという御修正案であることも、十分承知いたしておる次第であります。私が申上げたいと思いましたのは、そういう限定された訴訟におきまして非常に技術面の知識というものが重要であり、尚且つ審決とか、決定の手続を経た上の訴訟であるために、從前の関係に関與しておつてたところの弁理士が、そのまま、訴えになりましても訴訟代理人として法廷に出て、その権利者のために大いに擁護の勞を取るということは、これは非常に結構であるとし、成るべく負担を軽くするという意味においても、誠に御尤もな御意見と拜聽いたしたのであります。ただ問題は、從前から訴訟代理は弁護士に一應限定されておるという建前と、弁護士外の訴訟行爲を取締るという建前があると、これをそのまま直ちに現在も維持されなければならないと申すのではございませんで、そういう建前から考えまして、法律上或る一定の知識経驗を持つておる者が訴訟行爲をするということは、これはどうも止むを得ざる必要であろうと存ずるのであります。苟くも訴訟になります以上は、それが事実審でありましようと、或いは上告審でありましようと、とにかく法律上の知識を備えておるということは、これは私は欠くべからざる要件のように考えますので、弁理士の資格につきまして多少その点を御檢討頂きましたならば、或いはこういう修正案は非常に結構な修正案ではないか、かように考えるのでございます。法務廳内内におきましても、意見といたしましては、或いは無條件に当然訴訟代理ができるということにしないで、裁判所が許可を與えた場合、言換えれば、その人の経驗とかいろいろな点から考えて、十分だと認めた場合、言換えれば、許可を與えた場合には、訴訟代理人になり得るというように、許可を條件としたらどうかという意見もある次第でございまして、決して修正案そのものに眞向から反対するというわけではございませんので、その点は一つ御了解頂きたいと思います。ただ問題は、法律知識の必ずしも十分でない人が、そのまま弁理士という資格を持つておるために、訴訟代理をいたしますと、訴訟の指揮その外の関係におきまして、法律上の知識の足りないために、却つて審理が澁滯いたしまして、神聖な権利者の擁護において却つて迷惑を及ぼすということも、私共曾て裁判官といたしまして法廷に臨席いたしまして、しばしば経驗いたしたことでございまして、どうしても訴訟行爲をいたしますには、或る程度以上の法律知識を持つておるということは、これはどうも止むを得ざる必要ではないか、かように考えるのでございます。従いまして訴訟代理を弁理士が爲し得るということは、將來の行き方としては或いは結構と存じますが、只今弁理士の資格要件について、もう一度檢討する餘地はないものか、その点を兼ね合せて考えて、この修正案は場合によつて非常に結構な修正案になり得るであろう、かように考えておる次第でございます。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 討論採決に当りまして、政府委員のお方の御意見を参考までに承わつて次第でありまするが、これよる採決に入りたいと思います。入りたいと存じまするが、もう外に討論者はございませんでしようか。討論は盡きたものと認めまして、御異議ございませんか……御異議ないものと認ます。それではこれより採決に入りたいと存じます。弁理士法の一部を改正する法律案について採決をいたします。先ず討論中にありました小林委員の修正案を議題といたします。小林委員提出の修正案に、賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#12
○委員長(稻垣平太郎君) 多数と認めます。よつて小林委員提出の修正案は可決いたされました。
 次に只今採決いたされました小林委員の修正に係わる部分を除きまして、内閣送付に係わる弁理士法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#13
○委員長(稻垣平太郎君) 全会一致と認めます。よつて弁理士法の一部を改正する法律案は、多数を以て修正可決いたされまして。これを以ちまして弁理士法の一部を改正する法律案の審議を終ります。
 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條の規定により、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりまするが、これは委員長において法案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なり」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條の規定により、委員長の議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とされた方は順次御署案を願いたいと思います。
   〔多数意見者署名〕
#15
○委員長(稻垣平太郎君) 署名洩れはございませんか……。署名洩れないと認めます。
 尚、請願書の第九百八十二号、亜炭の新統制方式に関する請願、第九百五十八号、亜炭産業國策樹立に関する請願、第千五十八号、亜炭産危機打開に関する請願、陳情書の第四百八十九号、製油所の操業に関する陳情、第五百十三号、中國地方鑛山復興に関する陳情を、鑛業小委員会に付託することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。ではさよう決定いたします。本日はこれを以て散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           小林 英三君
           中川 以良君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
           鎌田 逸郎君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
  政府委員
   法務廳事務官
   (法務廳調査意
   見第一局長)  岡咲 恕一君
   特許標準局長官 久保敬二郎君
ソース: 国立国会図書館
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