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1947/07/04 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 商業委員会 第3号
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1947/07/04 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 商業委員会 第3号

#1
第002回国会 商業委員会 第3号
昭和二十三年七月四日(日曜日)
   午前十一時四十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議の付した事件
○輸出品取締法案(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(一松政二君) それでは只今から開会いたします。輸出品取締法案について、これまで度々予備審査をして参りましたが、本法案は昨日衆議院の本会議を通過した由でありますから、今日はこれは本審査になります。前回に引續き質疑を続行したと思います。御意見のある方はどうぞ御発言をお願いいたします。
#3
○油井賢太郎君 長官にお伺いしたいのですが、この間公聽会の節に、今まで民間で以て自発的に檢査を行なつておつた團体に対しましても、この法律が通りますと、そういう檢査ができなくなる。全部國営に移るということですが、國営に移つた際に、民間團体の檢査員が少しくらい給料が上つても、たとえ倍になつても、國営檢査所の方へ就任することは困難であるというようなことを言つております。こういう者に対しましてはどういうふうな御処置を取られますか、特に又待遇等においても、優遇される途を構ずるというようなことでもおありになるのか、一應お伺いいたします。
#4
○政府委員(永井幸太郎君) 懇談をいたしまして、続いてやつて貰うようにいたしたいと思いますが、事情万止むを得ない場合は、何らかそれに代る方法を構ずるより方法はないと思います。それでできるだけ、技術官のことでありますから、待遇の点もできるだけ優遇できるようにいたしたいと思います。そういう人はあまり多くはないと考えておるのであります。
#5
○黒川武雄君 先般質問いたしたのでありますが、貿易関係の手続が非常に煩雜であります。その上檢査等のことが起れば、より以上手続が煩瑣になつて困りはしないかということをお尋ねいたしましたところ、次長から、すべての商品について檢査を受ける必要はない。主務大臣が必要と認めたものに限るというような御答弁がありました。そういたしますと、その主務大臣が認めるということは、從來の國内における信用とか、そういう関係によつて認めるわけでございますか。例えば自轉車なら宮田の自轉車というような、從來信用のおける自轉車、これについては檢査をしないで出す、こういうお考えでありましようか。
#6
○政府委員(永井幸太郎君) 今度の檢査の根本の理念が、大体業者、メーカーの自肅、責任感に俟つということが根本でございます。國家としては警察的に、隨時必要と認めたときに全部又は拔取檢査をする。全部檢査を必要と認めれば全部、拔取檢査でいいときには、それをするというように理念が変つております。政府が全部檢査せんならん、日本から輸出された物は、全部政府の檢査を経たものであるということにいたしますと、海外へ非常な劣等な品物が出ておつたときに、政府の檢査の信用にも関わることでありますので、そういうふうになつております。それから第三條におきまして、主務大臣が必要と認めた物の檢査をする、その品種は大体二十品目くらい只今やることになつておりまして、必要に應じまして、それを加えることがあるようになつております。それから手続が非常に煩雜であるということは、内外から苦情がありますので、できるだけ簡便にすることになつておりまして、もう近く業者自身が契約の当事者になるということに変えつつありますので、この貿易質金特別会計法の改正によりまして、業者が先万と契約の当事者になる。政府はそれから得ました外貨を買取るということにいたしますと、これは非常に手続が簡便になろうと思います。その上價格比率のP・R・Sを実行いたしますから、契約の値段の査定、それから支拂等に非常に簡便になると考えております。いろいろの手続が余程簡捷化されると考えております。
#7
○油井賢太郎君 國営檢査で以てやつた品目については、品質が段々落ちたというような結果は、全然なかつたように私は記憶しておるのですが、とかく日本の商品は、最初の品位と後から出て來るものと、大分違うという非難が多かつたのであります。これに対しては戰前檢査がなかつたために、品位が落ちたというわけだつたのか、それとも檢査があつてもやはり品位が落ちて、非常に粗悪品という悪名を蒙むつたことがあつたのですか。それについてちよつと……。
#8
○政府委員(永井幸太郎君) 國家檢査をいたしておりました生糸とか、羽二重とか、そういうものについては、そういうことはなかつたと思います。それから最初積出したものがよくて、段々悪くなつたというような場合は、非常に激甚な國際競爭の結果、一部では心ならずも、買手の方の品質を落して呉れ、安ければよあというようなことの申込みに誘惑されて、そういうことをやつたのもありますし、或いは非常に無責任な業者が段々品質を落したということもあります。終戦後、民間貿易が始りましてからの趨勢を見ておりますと、そういつたような非常な不正な、無責任に品質を落したというような例は、今のところ余りないようであります。併し今後ともそういうことのないように、この法律によりまして、警察的な意味で、しよつちゆう檢査をして、その品位を落さんように努めたいと思います。
#9
○油井賢太郎君 そうしますと、バイャーから、品質を落しても値段の安い方がよいというような注文が沢山來た場合には、やはりこれは、國家として輸出に不向きとして禁止するという方針になるのですか。
#10
○政府委員(永井幸太郎君) 第三條、第四條の商品に対しましては、嚴重にそれができるわけであります。
#11
○油井賢太郎君 指定されないものは、もうどういう商品を作つても構わないという結論になりますね。
#12
○政府委員(永井幸太郎君) そういうことになりまする場合に、その防禦方法としましては、こちらは先方の契約の承認を、今のところ貿易廳がしまして、司令部がそれを有効化する。一々契約を承認する場合に、この人の製造能力では、こういうものはできる筈がないと。それから非常な安物を賣ることもできないのです。これは外貨の底値を決めておりますので、そこでチエツクができるわけです。契約を承認する場合に、一應当りまして、このメーカーでこの課械を持つていて、こういう物はできない筈だということはあります。その他は、やはりメーカーの、自分の信用を保持することが必要であるという責任感に俟つより方法はないと思います。契約を一々承認いたしますから、そこで十分なチエツクができると考えております。併し、これはすべてを法律で目的を達することはできないので、やはり良品を出して、親切と誠意の籠つた品物を出して、戰前の日本の商品が、安かろう悪かろうというような評判の拂拭をするように、業者の本当の自覺に俟つより外ないて考えております。やはりそういつたような國民運動と言いますか、そういつたような啓蒙強化運動も私は必要ではないかと思います。
#13
○鎌田逸郎君 それではお伺いしますが、大体これは相当の径路を経まして、一通り呑込むことはできまして、この法案の建前から言つて、自分としては非常に結構な案だとは私つております。要するに、今日の道義の廃頽した場合、自主的にみずから檢査をして、そうして優良品を出すのだというようなことから言つて、非常によいとは思いますけれども、現段階においては、日本の輸出品或いはそういうような商品の程度から見まして、これをただ放任して自主的に任せるということが、果して今後の必要品の購入を期待し得るか否や、これに対して政府はどういう御方針と、又見通しを持つておられるか、こういう点を一つはつきりお伺いしたいと思うのであります。
#14
○政府委員(永井幸太郎君) 日本の声價の向上ということは、これは非常に必要なことであると考えますので、第三條によりまして、主務大臣の必要と認める商品は、いつでも追加することができますので、これはどうも危いという場合には、必らず第三條の商品を追加するということによつて、劣悪なる品物が外國に出ないように万全の注意をいたしたいと思うのであります。それは法律の建前といたしましては、今申します通り、業者の自肅に俟つという民主的な建前になつておりますが、やや國情に比べて進歩し過ぎたような感じもありますが、この間のギヤツプを埋めるために、やはり政府といたしましては、この第三條の商品の追加ということも止む得ないのではないかと考えておる次第であります。
#15
○鎌田逸郎君 重ねて伺いますが、要するに実際の問題につきまして、國営檢査一本でやつた場合には、業者それ自体が今までの慣例として、檢査さえパスすればよいのだと、こういう観念が相当大きいのではないかと、こう思うのであります。これを是正する、又自肅させるという何かの対策があれば、これをはつきり伺いたいと思います。
#16
○政府委員(永井幸太郎君) その点につきましては、この点でチエツクできると思うのであります。今度業者が契約の当事者になりますから、悪い物を積んで先方で値引をされるという場合には、直ちに業者から追徴を求めますので、業者の責任においてその損害を持たなければなりませんから、その無責任なことはいたすまいと考えるのであります。又縁日商人のような人があつて、一遍だけ悪い物を積んで、後はどうでもよいというような考えを持つておる人が仮にあるといたしましても、それから起る損害はこちらから追徴いたしまして、その点はそう心配しなくてもよかろうかと考えております。
#17
○鎌田逸郎君 重ねて伺いますが、大体そういう趣旨のことを、この法案の中に織込むことは希望するのでありますが、若しこれを織込むことが今次の段階で面倒であつたら、檢査の取締の細則か何かでそういうことはできますか。要するに自肅をさせると、こういす意味合ですね。
#18
○政府委員(永井幸太郎君) それは十分できると思うのみならず、そういつた人には、今度輸出商品の資材の割当の上からも自肅の途を講じさせることができると考えまするし、それから、そういう点は施行細則にそれを織込むことはむずかしいと思いまするけれども、貿易業者の説明会その他において、十分そういつた点を徹底させたいと思つております。
#19
○鎌田逸郎君 長官はよく、違反した場合には警察法令のようなことで取締るということをおつしやいますけれども、この法の建前は、非常に道義を向上させるような立派な法案だと思うのです。この法案の建前から言つて、成るべく違反者を出さないように、そういう最後の宝刀に行かないように、そうして輸出業者の質の向上を図つて頂きたい、こういうように思います。
#20
○政府委員(駒井藤平君) この法案の不審査の際、並びに本日の御質疑の際に、油井委員、黒川委員、鎌田委員の御意向をよく拜聽いたしまして、この法案を実施いたします際に、御意思を体しまして、只今長官より御説明申しました通り、民主的に副うように、これを活用するということでなくして、自主的にこれをやつて参るようにいたしたい、こういうふうに考えております、さように御了承願います。
#21
○委員長(一松政二君) それでは、私が少し伺つて見たいと思います。私は、この檢査を國家でやるということは止むを得ないことではあろうと思いますけれども、國家でこういうことをやるということに甚だ不安を感じ、主義としては反対な意見を持つておるものであります。昨日この法案に関係のある某氏に会いまして、この法案のことをもちよつと聽いて見たのでありまするが、國家のやることに対しては賛成をしていない。ただ止むを得ずやつておる。であるが、これを民間の個人企業としてやれバ一番いいという考えを持つておるということであつたのであります。でありまするから、独占に陷れば、いわゆる独占禁止の法に触れますが、一個に限らずして、檢査機関を業とする営業者を拵えて、営業者が、私は営業が引合えば、必ずそれはできると思います。そういうものを將來に活用して、そうして國家みずからこの檢査に当るという行き方を是正して貰いたいと思うのであります。そうしますると、民間のやることであるが、而も営業としてやることでありますから、責任を持ち、おのずから敏活にものをやつて行くことができると思うのであります。それから今事業者團体法が通りましても、当分の間は今の者に、過渡的には今現在やつておる者にやらせることができるという、その某氏の話でありましたが、私はそれから先を問題したのであります。國家が予算や、或いは官吏の不能率で、いろいろな柔軟性のない行き方になるのが、國家業務の常でありまするから、それを又この輸出貿易品に及ぼしたくないという意味におきまして、そういう意見を持つておるのでありまするが、これに対しまして、政府はそういうことを將來考える必要があると思うのでありまするが、それに対して御見解を承わりたいのであります。
#22
○政府委員(永井幸太郎君) 只今お話のありましたことを、ちよつと申上げたいと思います。私の知つておりまする範囲におきましては、外國におきましても、輸出品に限らず、商品の檢査の民営の会社が、一社とか二社とかありまして、その民営の会社が檢査をいたしまして、これはいいというような証明をした場合に、それが非常な権威と信用とを持つておるという場合があります。併しそれは極く纏まつた大きな商品につきまして存在してあるのでありまして、これを例えて見ますれば、アメリカから油を輸出する。そういつ場合に、太平洋沿岸でも二、三のそういう民営の会社があります。それがポーメが何ぼ、拂騰点が何度というような証明をいたします。それが非常に最大の権威になつておりまして、万人がこれを疑わないというようなことをやつておるのがあります。恐らくそういつたことをお考えになつたのではなかろうかと考えるのであります。これを百般の輸出品に全部そういうものを拵えまして、そういう権威ある民営の会社ができて、その民営の会社が、権威ある設備と技術者を雇うて、その檢査をするということで引合うことになるというまでには、なかなか時日が掛かりますと思います。今一松委員長のおつしやつたような制度は、大変いいことだと思いますが、これは全体の商品には適用できないかと思います。普通の筋の通つたもの、纏まつておつて、そうしてそれに技術的の檢査のできる商品、つまりその檢査人の勘だとかといつたようなものでなしに、機械設備科学的の技術で、そういう檢査ができるという商品でありましたならば、非常に結構な制度になりますが、今直ちに実行し得るのが、ちよつと今こういう状態ではむずかしいと思いますが、非常にいいお考えと思いますので、そういうことに適した商品がありますれば、そういつた制度を拵えるということは、適当と考えております。尚政府の方でも研究いたしまして、御趣旨のあるところを研究して行きたいと思います。
#23
○委員長(一松政二君) この間の民間業者の、ここでの意見によりますと、繊維品の檢査協会とか、或いはゴムの檢査に從事する團体のごときは、或いは営業として成立つのではないかという考えもいたしております。ただ只今長官から、できるものは成るべくそういうふうにやつて行きたい、その方法は誠によい方法であるという御答弁でありましたので、この問題はそういう希望を私は申上げ、且つ政府自身も又そういう意思ありという表現でありますから、これを以てこの問題は打切つて置きます。外に御発言もありませんか。別に御発言もないようでありますから、直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○委員長(一松政二君) 御異議ないと認め、討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#25
○結城安次君 私はこの法案全部に対して賛意を表します。ただ如何にも是能率な役所である。これだけは特に上司として御注意を願いたい。いわば輸出品という場合に、民間でしたら金に詰るから、明後日というのを明日出す、これが間に合うように、朝でも夜でも、いつでも檢査するくらいの檢査員がしつかりして呉れんと、これはうまく行かないのであります。非常に迷惑を與えることになる。もう四時、今日は駄目、退廳、明日。明日行つて見ると九時、九時になれば午後というようなことでは、到底この問題はうまく行かないと思います。本当に民間のために、日本のために又從來民間の檢査所でやつておつたそれ以上の成果を挙げ、親切丁寧にやつて貰いたいということを特に希望して賛意を表します。
#26
○油井賢太郎君 私はこの法案に全面的に賛成いたします。併し今度國営檢査になりますと、以前のように手数料を取らないで無料で行うということに、私は多大の危惧を抱く者であります。例えば檢査員か、今まで檢査料を貰つておつた際でも、業者に対していろいろの要求をするとかいつたような点も、各方面に多々あつたように伺つておるのであります。無料になりましたら、どうもこの弊害が一層助長されはしないかという点があるのであります。殊に政府関係におきましての設備に対して、極めて経費の関係からいたしましてか、不満足なものが多いという点が生ずると懸念されるのであります。こういう点を十分に御注意下さいまして、日本の輸出品は、世界に冠たる立派な品位であるというところまで向上させるような意氣込みを以て檢査に当られんことを條件にいたして、賛成する者であります。
#27
○鎌田逸郎君 私も結城委員、或いは油井委員と同じに全面的に賛成はいたします。併しながら、これが日本としての最初の試みじやないかという感じがいたします。経費が僅かの予算で賄えない。且つ製品が、これによつて実際に道義的に高揚するならば非常に結構なことでありますけれども、半面これがために非常に輸出品を低下させるということも考えられますので、この点は政府としましても、十分の御監督と御指導あらんことを希望して本案に賛成する次第であります。
#28
○委員長(一松政二君) 他に御発言もないようでありまするから、討論は終了したるものと認めまして、直ちに採決いたします。輸出品取締法案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#29
○委員長(一松政二君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本案の内容、委員会における質疑應答並びに討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(一松政二君) 御異議ないと認め、これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#31
○委員長(一松政二君) 御署名漏れはございませんか……。なしと認め、これにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     一松 政二君
   理事
           林屋亀次郎君
           鎌田 逸郎君
   委員
           黒川 武雄君
           油井賢太郎君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           佐伯卯四郎君
           島津 忠彦君
           結城 安次君
  政府委員
   商工政務次官  駒井 藤平君
   貿易廳長官   永井幸太郎君
   貿易廳次官   新井  茂君
ソース: 国立国会図書館
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