くにさくロゴ
1947/03/22 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第3号
姉妹サイト
 
1947/03/22 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第3号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第3号
昭和二十三年三月二十二日(月曜日)
   午後二時二十六分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○地方税財政制度改革に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより委員會を開會いたします。本日は地方税財政制度の改革の問題につきまして當局より説明を聽きまして、皆樣方から更に御審議を願いたいと思つておるのでございますが、その審議に入るに先立ちまして、先般本委員會の委員が地方財政竝びに警察制度等を中心といたしまして、各府縣市町村に出張いたしました調査の結果につきまして、その班の一つといたしまして、私ほか鈴木、草葉、岡元の四人の委員が中國より九州の方へ出張いたしました。その御報告を簡單に一つ草葉さんより……。
#3
○草葉隆圓君 一つ委員長よりお願いします。
#4
○委員長(吉川末次郎君) それでは私よりこの機會に申上げたいと思います。その他の班の御出張の結果につきましても、本日御報告を願うことができなければ、次の委員會にでも纏めて御報告下さるようにお願いいたして置きます。
 それでは私の方の班の報告を私よりいたします。今囘の出張は警察制度の改革實施の状況視察と、地方財政税制の改革に關しまして、立法上参考となる調査資料の募集の重點を置いたものでありまして、今地方財政につきまして、簡單に視察の結果を報告いたしますと、二月二十四日から三月十日まで十四日間出張いたしました議員は先に申しましたように吉川末次郎、鈴木直人、草葉隆圓、岡元義人の四人でございます。視察個所は廣島、山口、福岡、長崎の四縣下でありまして、いずれも縣廳、市役所、町村役場等につき、知事以下縣廳首脳部、市町村長又は縣會議員、縣下町村長會の幹部等の責任者から、地方公共團體の財政の現状とその對策につき説明を聽取いたしますと共に、窮迫せる地方財政の根本的改革につきまして、中央就中國会に對し何を要望しておるかを知ることに努めました。これらの調査及び要望事項は詳細な資料と共に專門調査員の手許において整備しておりますから、本委員會の審議の重要な資料とするようにいたしたいと存じております。
 今各縣の調査を綜合して見ましたところによりますと、各地方はいずれも税制、財政の根本的改革を行うのでなかつたならば、地方公共團體は破滅の危機に瀕しておることを強調いたしております。從つて國會が地方財政の改革を行うに當りましても、先ず現行地方税制及び財政制度の有する缺陷が何であるかを明らかにし、この缺陷に根本的改革を加えなければならんと思つたのであります。今調査の結果を綜合いたしまして、現行地方税制、財政制度の最大の缺陷というべきものとして、それらの人たちが申しますところを擧げまするというと、第一に地方税制及び財政制度が自主性を缺いておることを專ら強調いたしております。即ち一つには地方税制に自主性がないこと。現行地方税制は獨立税、附加税の體系と分與税の體系の二本建であるが、獨立税收入と分與税收入とはその總額において殆んど相半ばしておる。それに加えるに租税體系の運用上において許可、認可等の監督規定が多く、これらの許可、認可はともすれば國税中心に運用させり勝ちであり、地方税はややもすれば國税中心主義の犠牲となり勝ちである。
 第二番目には地方税源が極端に枯渇に瀕しておるということでありまして、(イ)といたしましては、所得税、法人税、入場税、酒税等有力な租税はすべて國税となつて、地方税の對象となつていないということ、(ロ)としましては、地方税中唯一の有力な税種は營業税と住民税であるが、營業税は所得税、法人税と競合し、住民税は課税限度まで賦課され、これ以上の増收は期待と得ないということを愬えております。
 第三番目にそれらの人たちが愬えておりますることは、國の事務の委任による地方財政の壓迫が甚しいということを申しております。國の補助率を法定せず、或いは補助單價が不適當であるということ、或いは地方財政の情況を考慮することなく、國が一方的に決定し、地方財源の裏付けを行わずして事務を委任すること等のために、巨額の負擔を餘儀なくせざるを得ないということを申しておるのであります。
 第二といたしては、地方財政及税制が激變する經濟情勢に對する適應性を缺いておるということも、即ちインフレ進行に即應するだけの地方財政制度が樹つておらんことは致命的の缺陷である。地租、家屋税ごときは課税標準は固定しており、管業税は實績課税であり、住民税はその性質上賦課總額に制限があり、インフレの進行に伴うて地方財政に彈力性を持たせるような措置は少しも採られておらん。
 第三に言つておりますことは、教育制度及び警察度制の改革のごとき、地方財政に對する致命的大變革が、何らの財政措置を講ぜずして實施せられる結果、地方當局者は殆んど財政運用に關する自信を失つてしまつて、中央依存の態度が強くなりつつあるということを愬えております。
 第四には、誤まれる國家財政第一主義に禍いされて、國の財政の健全化が地方財政の犠牲によつて行われておるということ。例えば有力財源は殆んど國庫に集中し、又は國庫の歳出節減が地方財政の負擔増加となることは言うに及ばず、財政資金の配分についても國家財政に優先充當する等地方財政健全化の施策は少しも見られておらない。
 第五には、地方債消化に對する根本的な對策がないために極度の金融逼迫に陷りつつあるということ。地方財政金融制度の不完備のため、地方公共團體の資金難は全く行詰りの状態にあり、この上放任することを許さない状況にあること。
 以上が大體におきまして現行地方財政及び税制の缺陷であり、これらの缺陷の點に根本的改革を加うるのでなかつたならば、地方財政が新地方自治法の精神に基き、名實共に自主的に運用され、地方の自治が完全に運用されることは困難である。國家財政の現状ももとより樂觀を許さんところでありますけれども、警察、消防、教育制度の改革という重要な政策につき地方公共團體に致命的負擔を負わせた改革を實施した以上は、國會は、如何なる困難を排しても地方財政の根本的改革を斷行しなければならん。又その改革の線は、必ずや右の言われたような缺陷を排除するものでなければならんと思う。蒐集いたしました調査の資料は必要に應じまして皆樣の御研究に供するつもりでありますが、取敢えず調査の結果を以上のごとく御報告を申上げまして、御参考に供する次第であります。
 尚地方財政税制改革に關する地方當局の意見のようなものもここの取纒めてあるのでございますが、時間の關係上ただこういう書類を作製してありますということを御報告申上げるに止めて、御必要の場合にも專門調査員の方にありますから、御覧を願いたいと思います。以上御報告を申上げます。尚他の班のはこの次にでもして頂きます。
 それでは私が只今御報告申上げました中國及び九州地方へ出張旅行に出ておりまする間に三月四日に治安及び地方制度の委員會と財政委員會との連合の打合會が開かれまして、聞くところによりますると、その會合におきまして、當局から地方税財政制度改革要綱案というものが配付せられたということでございます。御出席にならなかつた方にはボツクスに御配付申上げたそうでありますが、當日當局より右の要綱案につきましては説明がなかつたということでございますので、改めまして本委員會におきまして、今日當局の出席を得まして右についての説明を承わることにいたしたいと存じます。
#5
○政府委員(荻田保君) 先般地方財政委員會が成立いたしまして以來行われておりますることにつきましては、刻々こちらで御報告申上げておつたのでございますが、御承知のように地方財政委員會法によりますれば、三月六日が期限になつております。その時までに地方財政の根本的な改革案を立法化して、これを議會に提出しなければならないという義務を持つておつたわけであります。ところが、御承知のように内閣の更迭がございまして、政府案として最後的なものが纒まりませんのにその期限が來ましたので、止むを得ず三月四月でございましたか、地方財政委員會としまして考えておりまする要綱を作りまして、これを本委員會に御配付申上げ、そうして何故法律案の提出ができないかということを申上げて御了解を得ておる次第でありますが、そのとき時間もございませんでしたので、そのとき出しました要綱につきまして、別に御説明をいたさなかつたのであります。大體その要綱はそれまでに刻々申上げておりましたようなことを纒めましたので、特に變つた、その以後において大筋におきましては變つた點はございません。初めから大體申上げておつた點を體裁を整えた程度なのでございます。或いはその内容を又申上げますると、重複することになるかと思いますが、若し御質問がございましたら又お答えすることといたしまして、一應その間に對しまする折衝の經過というようなものを大凡申上げた方がいいのではないかと考えるのでございます。その案にございます一つの狙いでありまする地方財政の健全化、地方財政の自主化ということにつきましては、これは各省も、勿論連合軍當局も賛成なのでありますが、その方法につきまして、政府の内部におきましても纒まりませんところがございますし、尚連合軍關係におきましても、必ずしもこれを了解しておらんのじやないかと思います。それでそういう點につきまして率直にここに申上げまして、皆様方の御參考に供すると共に、御意見を拜聽いたしたいと思います。
 先ず國内におきまして、はつきりした各省の了解を得られない點でございますが、この一つには新らしい警察制度の實施をいたしますにつきまして、將來の經常費的なもの、これは自治警察になりました以上、自治體が全額持つ、その代りそれに相應する財源を與えるということにつきましては異論はないのでありますが、一番初めに警察を作りますときのいわゆる初度的な經費というものにつきましては、これはこの自治體警察を作ります市町村の状況によりまして非常に状況が違うのであります。と申しますのは、從前持つておりました政縣の警察の施設をそのまま市町村にやるとか……勿論國家警察が先取りまして、要らないものは市町村にやる、こういうふうに警察制度はなつております。從いましてそれを澤山貰いました、十分貰いました所は何も新らしい警察制度を實施するのについて費用は要らないわけでありますけれども、たまたまそういう施設のない所は新らしく廳舍を作るとか、通信施設を作るとか、相當の經費が掛かる。これをどうするかという問題でございます。財政委員會といたしましては、そのような關係もありますので、又問題がいきなり國から命ぜられてこれを作るのでありまするから、これは全額國費で以て負擔すべきである。こういう案を立てておりまするが、大藏省方面におきましては、全額ということに餘り同意がなく、せいぜい半額程度というふうなことを言うようなわけでございます。
 それから次に災害につきまして、地方災害復舊基金というようなものを作るという構想をこちらは持つております。これに對しまして、建設院とか、案定本部の建設局、そういう所は必ずしも賛成どころじやなく、むしろ積極的にこういうものがあつた方がいいということは考えておりますが、やはりこれも大藏省がこのような資金を今出すことは財政上困るというようなことで反對をしておるのであります。
 次に税の問題におきまして、こちらでは案としましては、現在ありまする地方税につきまして、できるものは増税をする。尚國税も地方税も未開拓な分野に對しまして更に地方税を起す、こういうことは一應考えておるのではございますが、併しながら御承知のように、國税、地方税を通じまして國民負擔は非常に重くて、これ以上新らしい増税をするという餘地は殆んどないのでありますから、我々の考えました程度でも、國民の負擔の點から考えますると、必ずしもそれで十分國民が負擔できるのだとは考えられませんけれども、遺憾ながらこのような財政状態でありますので、非常に重い、過重な負擔になるかとは思いまするが、一應國民にこれだけの負擔を忍んで貰うという最大限度のぎりぎりの増税、或いは新税というものを探したのであります。そういう問題につきましては大體各省も了解しております。例えば、鑛産税とか、或いは木材の引取税とか、電氣、ガス税、こういう問題につきましては……或いは地租、家屋税の引上げというような問題につきましては、これは相當物價に響きますので、物價水準との關係もありますので、この點物價廳の方面とも打合せて、大體妥協する點も見えたのであります。又そういうようなことをしました上、どうしても足りないところは國に縋るより仕方がないのであります。つまり從前の財政、税制の制度は、何といたしましても中央集權的でありまして、税について申上げれば有力な税種、彈力性のある税種というものは國に集中しておるのでありますから、地方財政を自主的な強力なものにするには、どうしても今國で持つておる税種を或る程度貰わなければ、到底これはこの根本的な改善はできないと思います。それで我我といたしましては、一つには入場税を全額地方に委讓する。もう一つは酒、煙草に對しまする消費税を課税するということを考えております。入場税は、これは御承知のように從前地方税でありましたのが、戰爭になりましてから國の財政の必要のために、いわば地方から取上げられたような形になつておりまするので、戰後これを返して貰うということは當然である。又税種から見ましても、地方的な税であると考えますので、これを主張しておるのであります。それから酒、煙草の消費税の問題でありますが、これは何と申しましても現在の國税、地方税を通ずる體系に對しまして、大きな變更を加えることであります。從來消費税というものは皆國に集中されておつたので、そういう體系を取ることは、これは平常時においては、或いはいい制度であるかも知れませんが、現在のように状態になつて來ますと、直接税だけに頼つております地方税は、到底このインフレに應じて十分な財政收入を得るということができないのであります。どうしてもこれは消費税にその一部を求めなければならないのであります。これは恰かも國が直接税と消費税を持つておるが故に、とにかく曲りなりにも財政の辻褄が合つて行くという現状から見ても、當然なことでありまして、國が直接税、間接税がなければ財政收入が合わないということが、地方においては、直接税だけで收入が合うということは、到底考えられんのであります。で、我々としましては、先ず酒と煙草に對しまする消費税を課税する。大體これは現在の二十%ぐらい課税するということを考えておるのであります。併しこれは新たに二十%賦課いたしますれば、それだけ酒なり煙草の値段が騰りますから、それは國民の負擔から考えて面白くないと見ますれば、それだけ國税を減らして貰いたい。而して地方税に讓るようなことにして貰いたい。こう要求しておるのでありまして、必ずしもこれを以ちまして、現在の酒、煙草を二十%價格を引上げるということは意味していないと思います。で、この兩税の委讓につきましては、大藏省はやはり反對でありまして、國の財政或いは國税ということを主眼に置きます以上は、これは止むを得ないと思いますが、これを讓つてくれようとはしないのであります。
 それから次に大きな問題としまして、地方團體中央金庫の問題であります。現在地方團體が金を借りること、即ち地方債を起すことにつきまして、非常に困難を感じておるのであります。これは恐らく先般委員長からも報告がありましたように、地方をお廻りになりまして、地方の財政當局に聞いて頂けば、口を開くと直ぐ申す事項ではないかと思つております。非常に苦勞をしておるのであります。然らばその地方債というものがルーズな財政經理をやつたから赤字が出てそれを借金するのだと、こういうような性質からの起債ならば、それは致し方がないかも知れませんが、現在地方の團體の行なつております起債は、そういうようなものは一つもないのでありまして、全部勿論許可をしておりますから、その際の國家の方針に副つた事業をやる。このために起しておる起債しかないのでありますから、例えば戰災復興、災害復興、六・三制の教育制度というような問題を、一つ一つ審議しておりますので、これは到底無駄な起債を今起そうというようなものは一つもないと我々は確信をしております。從いまして、本年度の數字としましては大體百十億の起債を認めております。ところがこれを認めましても、これを資金化することに非常に困難を感じておるのでありまして、本年度大體六十五億圓は預金部資金で出してくれますが、そり以上の四十五億圓は民間資金から取らなければならん。ところが地方債は御承知のように、國債にように、何と申しますか、公の價値と申しますか、銀行に持つて行つた場合の擔保であるとか、擔保力というようなものもありません。又その消化につきましても、日銀引受というような手はないのであります。又逆にそれでは産業債のように、非常に巧味がある。その時々の相場の應じてどんどん條件などもよくなつて行くかと申しますか、そういうものでもない。丁度その兩者の中間にあるわけであります。從いまして、なかなかこれを一般市場に求めますことは困難でありまして、これで非常に苦勞しておるのであります。で、これはどうしてもここに自主的な金融機關を地方團體みずからが持つて、地方團體全部が集つた團結の力によつてこれを解決するより仕方がないということが考えられます。ここに地方團體中央金庫という制度を考えておるのであります。これは何も今我々が考えたのではありませんので、地方團體の關係者におきましては、すでに十數年前から叫ばれておる制度であります。これに對しても、やはり大藏省方面におきましては反對がありまして、新らしい金融金庫にような金融機關を設けることは、赤字金融というものに拍車を掛けるというようなこと、或いは特殊金融機關というものは、今後の金融組織として適當でないというようなこと、いろいろございますが、要するに反對なのであります。まあ大きな點で申しますと、そういう點が反對であつたのであります。で、このような反對に對しまして、いろいろ我々が説明し、折衝しておつたのでありますが、それが今申上げましたように妥結に至りません。一方この案につきまして……。
#6
○委員長(吉川末次郎君) つよつと速記を止めて、
   〔速記中止〕
#7
○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて。
#8
○政府委員(荻田保君) 野溝新委員長の御意見によりまして、先般を配りしました地方税財政制度改革要綱に變更を加えることにしたのであります。その第一の點は、原案におきまして、營業税の範圍を擴張して農業、水産業、林業等の原始産業及び自由職業にも課税するという案であのでありますが、そのうち農業に對するものに對しては、今課けるべき時期ではないという主張でありました。その主張の根據を申上げますると、第一に、農村においては、今は農地改革という大きな問題を控えておるから、今農業者は相當金があるように思われておるけれども、農地を買うために相當の金を準備しなければならぬ。これは十月三十一日の期限を切られている、それ以後はともかくそれまでの間は、農業に對しては課税すべきではないというのが第一であります。第二には農業が儲かつておる。農村自體が裕福であるというような聲があるけれども、それは一部の、例えば果樹とか、蔬菜を作つておる者だけであつて、米麥を主體にしておるような所は、相當供出が強いのであるから、而も生産資材の價格も安くないのであるから儲かつていない、從つてこれに對して課税の餘地はない。殊に一般の所得税にように全國に平等に納める税ならばともかく一部の者に課税する、こういう事業の形において課税する、況んや土地使用税の形において課税することは適用でないというのだ第二點であります。第三點といたしましては、これはむしろ財政問題より政策的な問題でありますが、今、日本經濟の再建にとつて食糧の確保ということが一番大事である點、これには何といつても供出という問題を第一に取上げなければならぬ。殊に政府は來年は一割増産ということをいつて、非常に農業者に對して大きな期待を掛けておる。この際に新らしい税を起して農民を徒らに感情的に刺戟することは適當でない。こういうような理由がありまして、委員會において審議されたのでありますが、大體そういう點に同意されまして、ここに第一として書いてありますような點を修正をしたのであります。
 これはここにございますように、農業に對する事業税に課税については、當分に間米穀、大麥、裸麥及び小麥竝びに食糧管理法より政府の買入れをなす甘藷及び馬鈴薯に係る部分はこれを課税標準の中に挿入しない。つまり一應この主食というものだれを取上げまして、これに係わりまする部分の當分の間事業税の中に入れないということであります。大體我々といたましては、營業税の範圍擴張によりまして七十億圓くらいの増收を見込むという考えでおりましたが、ここに書いてありますようなことを除きますと、そのうち五十億円はふいになつてしまうのであります。これを何とかしてカバーしなければならぬわけであります。それで第二に考えるようなことをいたしたのであります。つまり先般の改革要綱によりまするものを更に引上げをするということであります。一つは原始産業及び自由業に對する事業税を原案では百分の八としてありますのを、もう二位下げまして百分の十にする。原案では現在營業税の率が百分の十五でありますから、これを大體半分を……新らしい課税者に對しましては百分の八でありましたのを、更に二位下げまして百分の十にする。それから次に住民税の納税者の平均賦課額の標準率を八百圓にする。これは御承知のように現在四百圓であります。それを原案におきましては、五割増の六百圓としてありましたのを、更にもう二百圓を加えて八百圓にするということであります。次は不動産取得税の賦課率の最高限度を百分の二十にする點であります。これは現在百分の五でありますのを、原案におきまして百分の十五、三倍になつておりましたのを更にもう十割上げまして百分の二十にしようというのであります。これによつて第一に書きました農業に對する事業税の課税財源のカバーができることになりました。
 それから、第三に書いたあるのは、これは、野溝委員長の御意見と申しますより物價廳方面に意見でありまして、電氣、ガスの課率を附加税を合せて百分に十に、原案におきましては百分の二十でありましたが、これは大衆負擔として一般の人々の給與水準に響き過ぎるというので百分の十としました。この點に關しては物價廳にも意見がありまして、尚原案通り二十でもまだ考慮の餘地があるということでありましたが、大體百分の十となりました。それから次に木材取引税の百分の十とありましたのを、これを百分の六まで下げるという點であります。いずれも物價政策からこういうことになりました。
 こういう修正を加えて、大體原案について關係官廳と未決定の事項を協議し、GHQの方にも説明しておるのが現状でございます。委員會内部のことを率直に申上げまして御批判を承りたいのですが、或いは言葉が相當露骨になり、はつきりしない點もあるかと思いますが、同じように地方財政について御關心を持つておる委員の方の本當の御意見を承わりたいという趣旨から申上げた次第でありますから悪からず御了承願いたいと思います。
#9
○委員長(吉川末次郎君) 只今の荻田局長の説明に對しまして御質問がございましたらどうぞ願います。
#10
○羽生三七君 先程の自治體警察の費用のことでお尋ねしたいのですが、たしかずつと前の委員會で一度承つたのでありますが、今の御説明によりますと、大體自治體警察の施設費は必要なだけの費用を負擔するということで、大藏省でも五割程度の補助というようなことを言つておるような話でありましたが、そういう場合に入場税を地方に委讓するということでありますが、大體入場税というものは、映畫館なり、劇場のある所には當嵌りますが、何もない所が全國千六百の自治體警察を置く市町村には相當あります。例えば長野縣には三十七自治體警察がありますが、實際劇場なり映畫館を持つておるのは一部分でありまして、入場税を委讓して貰つても一文も入らない町村が相當にあるわけであります。そうして見ますと、結局施設費全額國庫負擔とするのが當然だと思つております。そういうふうに御努力を願いたいのであります。それから更に適当當な中央、地方の財政調整が行われた場合に、今日豫定されておる自治體警察に對する費用の補助を、地方自治體自體の負擔に移行するという御説明でありましたが、この點についても十分前に申上げましたように、その場合に中央、地方の財政的調整は日本の一般的な原則を確立するものでありまして、地方自治體警察を置く町村と、置かなくてもいい町村とのアンバランスを一體どういうふうにして今後調整されるのか、この問題をちよつと詳しく御説明願います。
#11
○政府委員(荻田保君) この初度調辨的な費用の問題でございますが、お説のように國が全額負擔するのが當然だと思つております。併し大藏省が今申上げましたように、差當りの國庫負擔の關係から、よう負擔し切れないという意見もございまするので、まあせいぜい半額程度ということに今のところ進んでおります。我々としましては、若しどうしても全額負擔ということができないならば半額負擔にして置いて、殘りの半額分は、どうせこれはそうなつておると起債によつて解決しなければなりませんから、その起債を何ヶ年間かに消却するわけでありますから、その元利に相當するものを國が負擔する。從つて實質的には地方團體の負擔じやなく、こういうような妥協案と申しますか、方法を考えたらいいのじやないかと思つております。
 次の經常費の問題でございますが、これはどうしても市町村警察というものを置きました以上、國とか縣とか外から經費を貰つておるのでは、これはもうこの自治體警察の趣旨というものは達成せられないのであります。勿論自治體警察を置くことにおいていろいろ議論もありましようけれども、とにかく自治體警察、自治的な市町村警察を置くということに決まりました以上、その方面に財政の面も進めねばならんわけであります。從いまして、これに對しましては、どうしても全額市町村の負擔ということは避け得られない制度だと思つております。而もそれに即應した財源が市町村に行くかどうかという問題になつて來るのであります。それにつきましては、今御指摘のありました入場税をそれの一つと考えておりますが、これはむしろ世間の觀念が、新らしい自治體警察の經費というのは入場税だけでやつて行くのだというような、どういうところから起つたのか知りませんが、考えが滲み込んでい過ぎるような我々は感じがするのでありまして、我々としましては、入場税の委讓だけで自治體警察が全部やつて行けると、こういうことは一言も申したつもりはなし、そういうつもりでもないのでありますが、その一部にこそすれ、全部はカバーできないと思います。今申しましたように、必ずしも自治體警察のある市町村が映畫館、劇場があるとは限つておりませんから、到底入場税だけに頼るという氣持はありません。併し何によつて賄うかという問題でありますが、これは平凡なことになりますが、一般の税によつて賄うことになりますが、それならばその税のない所はどうするかということになりますと、これは現在の分與税制度、これを改正してこの點がカバーできるような制度にしたいと思います。先般お配りしました要綱の中にも分與税の所に多少その點は書いてありまするが、尚計数上整理をしなければならない分がありますので、はつきり結論的には申上げられないのでありまするが、大體この自治體警察に要する經費というものを分與税分與の基準によりまして、地方自治體警察に要する經費が獨立財源で十分出ない所は分與税で以てカバーできる。こういうような制度にいたして行きたいと考えておる次第であります。
#12
○羽生三七君 もう一つ重ねてお伺いたしたいと思いますが、その自治體警察を設置する場合の施設費という場合には、廳舎の新築というようなものも考慮に入れてよいわけですか。
#13
○政府委員(荻田保君) 廳舎の新築、それからこういう備品類、こういうものを主としております。
#14
○小野哲君 今日の御説明によりましてまだ地方税財政制度改革要綱ということが本決まりになつておらないということを承知したのでありますが、大體地方財政委員會法によりますというと、所定の期日に出すようになつており、前囘の説明によりまして、一應延期するということについて了承しているのでありますが、いつ頃になつたら、大體纏まる見込であるかどうか、この點を伺つて置きたい。もう一つはこの要綱の中にありますように、基本原則竝びに關係法令のないものについては地方財政法を制定したい。こういうお考えのようでありますが、恐らく地方財政法案の御提案とみの要綱の本格的な確定は大體期日を同じうするのじやないかと想像されるのであります。地方財政法案はいつ頃御提案の段取になりましようか。これ又要綱と關連してお見込のあるところを伺つて置きたいと思います。
#15
○政府委員(荻田保君) 地方財政改革に關しまする正式の法案の提案が遅れておりますことは、我々事務當局としては非常に遺憾に思つております。何分にも内閣が變りまして方針が未だ決定しておりません。交渉も本格的に進んでおりませんので、延び延びになつておる次第であります。我々としましては、第一に、この法案に三月六日という期限が附いております。それが遅れているということも一つ、次には、一日も早く解決しませんと、地方財政自體が非常に迷惑いたします。殊に財政の問題でありますから年度ということが重要になつて來ますので、四月から實行したいというのが念願であつたのでありますが、こうなりますと、四月から直ちに實施するということは到底運びに到らないと思つております。それでとにかく法案の提出時期は最近のうちと考えておりますが、その期日をいつ頃という未だ具體的な見通しは付いておりませんが、もう一、二週間の内には出さなければならないのじやないかと考えております。尚この際どういう法案になるかと申しますと、大體今おつしやいました地方財政法、これが新らしい法律ができます。それから現在ございます地方税法、地方分與税法、これの全面的改正、それから地方團體中央金庫、災害復舊金庫というものを設けますといたしますならば、これができることになりますれば、これに關します法案をそれぞれ一つ、都合五つの法案を提出いたしまして御審議を願いたいと考えております。
#16
○岡本愛祐君 私遅れて來たので御説明があつたかも知れませんが、二、三伺いたいと思います。第一に、この度廣島縣、愛媛県、高知縣、三縣の自治體警察をやつている發足をした市や町を廻つて、そこではもう六・三制で困り抜き、その上に地方自治體警察がやらなければならないので、財源にはもうほとほと困つている。そこで中央や地方廳から何んら具體的の指示がないので、現に要る自治體警察の廳舎の新築とか、それから備品とか、電話とかそういうものの費用はどうしたらよいのかわけが分らない。とにかく何とがして呉れるのだろうから借金でもし、一時借入金をして、そうしてやる。又七千ぐらいの小さな町が十三人もの自治體警察員を、吏員を任命しておるのでありまするから、そういうような費用なんかどうなるのか。これは巡査が一人で濟んだ所が今度は十三人になつた。そういうような費用は何とかして呉れるのだろうが、當分の間は何とかして呉れるのだろうけれども、どうして呉れるのかさつぱり分らない。まあともかくやつておるのだというようなことで非常に困り抜いておるのであります。これは今御成案はまだ出て來ない大藏省なんかも御研究中ではありまするが、大體こうする見込なんだから、まあ大體こうなるだろうからこうして置いたらいいじやないかというようなことを早く地方へ言つてやる必要がありはしないか。この點はどうなつておりますか、一つお尋ねをいたしたい。
 それから今廳舎の新築費とか、修繕費、備品、これらのものは半額程度補助ということでありましたが、私共にこの前見せられたのは、あの案では全額補助になつている。で、それが半額補助になつて、あとは今の話のようなことで糊塗して行くというお話ですが、困つているのは住宅です。どこもここもこれには困つている。警察官を遠い所から通わすわけには治安上行きませんから、住宅を何とかして建ててやらねばならんというので、これにも非常に困つております。この住宅の新築については、半額補助ができますかどうか、どういうふうにお考えですか。
#17
○政府委員(荻田保君) この自治體警察の經費の負擔方法、將來はともかくとして差當りどうするかということ、非常に各市町村で困つておりますことは我々も承知しておりまして、これは非常に迷惑を掛けているので、相濟まんと思つております。何分にもこのような状況でありますので、差當りの措置ですが、なかなか直ぐ決まらないのでございまして、實は漸く四月からのことについて最近一應決めまして通牒している次第でございます。で、その内容としては、とにかく税制改正を行いますれば、自治體警察の費用は全額市町村負擔となるわけですが、それが行われますまでの間は來年度に入つてもやはり現在の制度、つまり警察費を國家警察も自治體警察も共に府縣費の負擔としまして、半額の國庫下渡金を交付したいと考えております。從いましてその間におきましての費用辨償的なものもやはりその中に含まれているわけであります。で、尚そういたしましてもやはり地方負擔が總額において相當殖えますから、その分については、今度の税制改正を行います場合、これは六月になるか何月になるか分りませんが、とにかく行う際にそのプラス、マイナスの計算をこの中に入れたいと思つております。それで初めに出し過ぎたというような金は、必ず後でカバーできるようにしたいと思つております。それから新築費の問題でありますが、これは差當りは國庫下渡金を半額貰つて、府縣費支辨で行うということになりますが、これでは恐らく市町村の施設に對して、府縣費で半額持つて、半額國で出すということになれば、なかなか進行いたさないと思います。まあ差當りは止むを得ずそうするより仕方がないと思います。將來の問題としては今申したように最少限度、半額は國庫で負擔する。あとの半額もやはり國で持つて補いが付くように、それも配付税の中に入れて特別に見るということも考えて見たいと思つております。その中に廳舎とか備品とか、そういうものだけでなく、その他の宿舎の問題でありまするが、これはどうも警察職員の全部に亙る廳舎、宿舎は到底見られないと思つております。どうも我々としまして相當考えましても、署長の官舎ぐらいしか金を見るわけに行かないだろうと思つております。
#18
○委員長(吉川末次郎君) 外に御質問ございませんか。他に御質問なければいずれ近日政府側から地方税制の改正についての案が出るそうでありますから、改めて審議することになると思います。この問題は我々の委員會として、國民生活に重大な影響のある議案となると思いますので、十分に愼重に審議しなければならんかと思つております。そこでこの問題に關して公聽會を少し早目に開いて輿論を聞く方法を講じたらどうかと思いますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(吉川末次郎君) それでは公聽會を適當の時期に開く手續をとりたいと思いますが、その方法等につていは理事會及び委員長に御一任を願つてよろしうござまいますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○羽生三七君 異議はありませんが、知名の士だけでなしに、今度は一般住民にも關係のあることでありまして、そういう中からも一人、二人選ぶ必要があると思います。委員長(吉川末次郎君) 外に御希望、御意見等がありましたらお述べ願います。
#21
○岡本愛祐君 先程局長からお話のあつた地方財政法とかの制定、地方財政に關する法律案が提出されると思いますが、それは常任委員會に掛けることになりますか、或いは財政金融の方に掛けることになりますか、どういうふうになりますか。若しこちらが從であちらが主ということになれば、この治安及び地方制度の常任委員會というものはおかしなことになるのであつて、これは是非この常任委員會に掛けるように委員長の御努力を願いたいと思います。
#22
○委員長(吉川末次郎君) この問題については、御承知のようにこの委員會が大體主になつて、それに關する議案の審議をして參つたのでありますし、當然お説のようになるべき筈だと考えておりますので、議事部長にも私の方からも非公式に申上げて置いたのでありますが、三月四日開かれた兩委員會の打合會においては、私旅行中でおらなかつたのでありますが、私が留守であつたためかどうか知りませんが、何の前以てのお話もなくて、突然にああいうものが開かれたように思います。御指示に基きまして十分そのように努力いたしたいと思います。それでは本日はこれを以て散會いたします。
   午後三時二十八分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     吉川末次郎君
   理事      中井 光次君
   委員
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           青山 正一君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
  政府委員
   總理廳事務官
   (地方財政委員
   會事務局長)  荻田  保君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト