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1947/03/30 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第7号
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1947/03/30 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 治安及び地方制度委員会 第7号

#1
第002回国会 治安及び地方制度委員会 第7号
昭和二十三年三月三十日(火曜日)
   午前十時四十六分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○國家公安委員の任命に關する件
○新警察制度の運營状況に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより委員會を開會いたします。先ず最初に國家公安委員の任命につきまして、その任命の形式について衆議院でも問題になつたようでありますが、これについて岡本委員から御發言の要求がございますので、御發言をお願いいたします。岡本委員。
#3
○岡本愛祐君 國家公安委員が新警察制度の發足に當りまして、非常な重要な地位であるということは申すまでもないのでありまして、そこで新警察法によりますと、この國家公安委員につきましては、特に兩議院即ち參議院竝びに衆議院の同意を經まして、内閣總理大臣がこれを任命するという特別の規定をおいておるのであります。過般當院の同意を得るために五人の人々を出して來られたのでありますが、それも前以てその履歴を知らされるわけでなし、又それをよく選考すると申しますか、同意をするにつきましての豫備知識というものを與えられる期間なく、直ぐ同意を得たいというようなことでありまして、我々同僚の間におきまして非常に不思議に思つたのであります。衆議院におきましても、そういう事柄から同意を與えることにつきまして難色がありまして、非常に揉みましたことは御承知の通りであります。これは兩議院の同意を經る手續におきまして、政府の取られた措置が悪かつたということになるのじやなかろうかと思います。その結果、一方には國家公安委員に、その重責に任ぜられた人につきましても、この方々の力倆不足とか何とかという、そういう誤解を國民に與えたことは甚だ遺憾に思います。そういう意味ではなかつたのでありましようが、衆議院におきまして非常に揉めたということは、延いてそういう誤解を國民に與えたということになるのであります。そこでなぜこの重要な國家公安委員の最初の任命におきまして、政府はそういう愼重な手續をおとりにならないで、突如同意を得べく持出されたか、その點をお伺いいたしたい。又政府は今後國家公安委員の任命に當りまして、今度と同じような事柄に突如お持出しになるのでありますか。又は將來は例えば、同意を得るために預め履歴書などをこの治安及び地方制度の委員會にお出しになりまして、御説明があつた後、この委員會から參議院の全員に知らせる處置をとりまして、そうして完全な同意を得るというふうにする政府の意向はないのかどうか、そういうことをお尋ねしたいと思います。
#4
○政府委員(曾祢益君) いろいろ事務が殺到しておりました等の事情があるにいたしましても、國會側に前披露して十分御審議して頂く時間の餘裕もなく、政府の候補者を提案いたしまして、丁度休會の間際でもあつたし、いろいろな關係で御審議に十分なお暇と、これに即應する十分なる資料が政府側からなかつたという點につきまして、誠に遺憾に存じておる次第でございます。今後固よりかかる變態的なことは起らないと御承知願つて差支ないと思います。今後の問題といたしましては、事前にもとより十分に御連絡申上げまして、十分な資料と共に十分なる時日を以て御審議願いたいとかく考えておる次第でございます。
 尚遲れました理由につきましての御質問がございましたが、一つの理由は、やはり申すまでもなく、この新らしい警察制度實施につきましては、連合國最高司令部當局と緊密な連絡をいたさなければなりません。その關係上、手續關係で日本側の審議に多少時間が詰つて參つたというような關係もあつたのでございまして、それにいたしましても、先程來申上げましたように、十分な時間を國會側に持ち得なかつたことは甚だ遺憾に存じている次第でございます。尚政府側といたしましては、今後とも候補者を提案することは政府の責任である、その中から國會側の御同意を得た候補者について決定をする、即ちこういう發案は政府側の責任である、こういうふうに考えておる次第でございます。御了承を願いたいと思います。
#5
○岡本愛祐君 この度の任命に當りまして、手際よく行かなかつた理由の御説明に對しまして、今後とも連合國側の承認をなかなか得られないために遷延をして、突如として國會の方の同意を得るために持出されるというようなことが起り得ると存じますが、連合國の同意を經るために連合國側に案を出しておられる、その中途と申しますか、或いはその前でも、國會側に對しましても、兩議院側に對しましても、こういう案で行きたいと思つておるということを正式の委員會でなくても、打合會とか何とかに前以てお出しになつて置いた方がよいのじやないかと思う。そうすれば連合國側の承諾が遲くなつたために、兩議院側の審議を盡す暇がなかつたという辯解は必要がないのではないか、こう思います。その點についての御意見を伺います。
#6
○政府委員(曾祢益君) 實は候補者の方々に豫め御内意を得ないで、やはりリストを出すというようなこともあり得ると思うのであります。資格審査の關係とか、こういうことが、つまり公表でなくても外に出ます關係で、非常に候補者として後でどうも適當でないというようなことになりますと、御本人に非常に迷惑が掛るというような心配もあるのであります。それらのことさえなければ、御趣旨の點は我々として十分に考慮して差支えない。即ち渉外的の取扱いと同時に、國會側に少くとも今おつしやつたような、打合會等で公表しませんで、御意見を伺うというようなことは、今後私として確かに政府にそういうことを進めるということは申上げられると思います。ただ今申しましたように、却つて公表事前に洩れたために、渉外的に非常に機微なことが起るということと、いま一つは御本人にも非常に御迷惑が掛かるというような場合がある。こういう點についての考慮を一つ國會側及び特に事情に御精通の本委員會等におかれまして、事情を諒として頂きたいと思います。
#7
○黒川武雄君 先般運營委員會で、この問題は御説明がありましたときに、曾禰さん竝びに林さんから、この人選は政黨政派を超越して人選したというお言葉がありましたので、私は果してそうであるかということを念を入れてお尋ねしたのでありますが、その御答辯にも確かにそうであるという御答辯でありましたけれども、後から聞きますところによりますと、五人の中に相當に社會黨の色彩の強い方、民主黨の色彩の強い方がおいでになるということを聞きました。この點について今日改めて御説明を伺えれば結構であります。
#8
○政府委員(曾祢益君) 先般運營委員會におきまして、私竝びに林君から申上げました趣旨は、ここに速記がございませんが、こういう意味に私たちは申上げたつもりでございます。閣議でこの問題を、政府といたしまして、國會に提案する問題を審議いたしましたときにも、御承知の通り、いわゆる三黨内閣と申しますか、社會黨側から候補者をこれこれ、それから民主黨側からこれこれ、國協黨側からこれこれ、そういう選び方はよそうではないか。全然そういう考えはせずにやる。そこで實のところを申しますと、當時の林君が主宰しておりました内事局、ここがやはり政府の事務當局といたしまして、極めて事務的な見地から適當と言われる人のリストを作りまして、これを閣議に出しまして、今度は閣僚各個の御意見を個々に當時の總理に申し出て頂きたい。こういう方法を採つたのでございます。それから事所當局の原案は率直に申しまして、事所當局の考えは、國家公安案員の人選には、苟くも政黨的な、政派的な要素を入れまい。もとより法の精神から申しますと、勿論政黨の方が入られてよいのでありますが、役員のことが問題になるのであります。そういう見地でなく、廣く國民代表を求めたい氣分に非常に強うございまして、原案は確かに實際の政黨的色彩は考えないという立場でできておつたのであります。それからそれが又閣議へ出まして、閣議の意見が出ましたときも、黨の立場からでなく審議されたことは事實でございます。ところが結果におきまして、今御指摘になりました、結局御承認を得ました委員の中に、然らば政黨關係は全然皆ないかといいますと、そうでもないということが事實分つた。それは一つは勞働關係、どうも勞働關係といいますと、どうしてもやはり或る程度無産運動との關係等から、或る種の特定の政黨に多少關係を持つておられる方が出て來るのは止むを得ないのじやないかという感じは、誰でも閣議決定するときに皆さん持たれた。これは飽くまで原案の精神、即ち各界の國民代表という見地から來たのであるというように素直に取れるのではないかというように、政府では考えておつたのでございますが、いま一人の方は地方自治團體代表という關係から、そういう或る政黨に關係が出て來たように思いますが、これも純眞率直に考えまして、地方自治團體の代表として適當な人、極く適當と思われる方、一兩名の一人だつたと、これも殆んど偶然だというような感じで、我々は審議しておつたのでございます。要するに政黨的に物を考えずに行こう。併し結果において職域代表的考えと申しますか、その結果政黨の關係者が出たということは、これは勿論否定しないと、こういう、これが政府側の、この前も申上げた氣持でございますし、再びここに申上げた次第でございます。
#9
○委員長(吉川末次郎君) どなたか質問ございませんか。
#10
○阿竹齋次郎君 政府の御説明によると發案權が政府にある。そうなると、私としては權限を越えるとはよう申しませんが、御答辯によりますと、氏名を公表する、公表のごときは御本人に御迷惑だと言われたが、それならば本會議に提案されて否認されたら、尚迷惑されることを御心配なさらなかつたのですか。これをお尋ねいたします。
#11
○政府委員(曾祢益君) 私の申上げたいところは、國會關係でなくて、渉外關係から、どうも工合が悪いとなつた場合は、資格審査との關係とかいう意味で御迷惑しやせんか。こういう意味だつたので、甚だ言葉が足りないで、國會で否認をされることが御迷惑であつてもなくても、これはいわゆるガラス張りのことだから差支えないと思いますが、渉外關係の場合、却つて候補者に御迷惑が掛かりはしないか、それが殊に政府と司令部との關係以外から、新聞等に出る場合に非常に御迷惑が掛りはせんか、こういうことを申上げたのであります。言葉が足りないで恐縮でございます。
#12
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑はございませんか。…ちよつと私から言わせて頂きたいと思うのですが、もうすでに内閣官房次長の職から他に轉じられた曾禰君に、こういうことを申上げて果して適切であるかどうか疑問ですが、今日は國家公安委員の任命のことについて、いろいろ各委員の方から御質疑があつたわけなのであります。獨り國家公安委員の任命についてのみならず、新憲法によつて國會が政治の最高機關であるという建前から、いろいろな政府の高官の任命について、國會の承認或いは同意を得なければならんというように規定されている法律が、これ以外にも今後又新らしく生れて來るような場合もあり得ると思うのであります。例えば先に任命せられた人事院の委員の問題ですが、あれなんかも國會の承認を得なくちやならんということが規定されているに拘らず、政府は殆んどその實體に沿うような手續をしないで、殆んど政府だけで決めてしまう。形式上國會の承認を得た形になつておりますけれども、國會の承認を求めるような實質上の手續をば完全にとつていないと私は思われるのですが、あのときも非常に遺憾であつたので、すが今度の國家公安委員の任命についても又國會の承認をば實質上政府側から求めようとするような氣持が私は非常に缺けていやしなかつたかと思うので、これは國會議員の建前から非常に一つの問題として、やはり今後そういうことのないように、これからして行かなければならんというのが、これは私個人の考えでもあり、又これを問題にせられた參議院の諸君、本委員會の各委員の方の氣持だろうと思うのであります。
 それからもう一つ申上げたいことは、本日この委員會に、先に任命せられた五人の國家公安委員の方々の履歴書を提出して頂くことを要求してあるわけなんですが、御用意ができておりますか。
#13
○政府委員(曾祢益君) はい、ここに……。
#14
○委員長(吉川末次郎君) 我々の委員會としては、國家公安委員の任命等については、新聞紙上で冩眞まで載つて、そうして我々が知らんうちに決定したものであるかのように、いわゆる新聞辭令が發せられているのですが、非常に密接な關係のある治安及び地方制度委員會の者が、その委員の各個人というものがどういう經歴の人であるかということも實際知らない、又知らさせるように政府でも仕向けられていないのです。そういうことに不滿があるので、今後そういうことがあつちやならんということが皆の氣持じやないかと思うのであります。そういうことは今後國會の權威の立場から、政府に對して強く我々は要求しなければならんと思つております。履歴書のごときもこちらが御要求する前に、任命される以前に示されて、そうして同意を得るが當然と考えるのであります。
#15
○政府委員(曾祢益君) 今委員長のお話に對しまして、その通りだと、すべてそうでなければならないという言葉以外にございません。履歴書は事務當局から貰いましてここにありますから、甚だ遅れて申譯ありませんが、非公式にここに提出いたします。
#16
○委員長(吉川末次郎君) 實際はプリントにでもしてみんなに廻して欲しかつたのですが、これは地方自治體において、舊制度において市長が市會なら市會から選ばれて、そうしてこれを市會に推薦して、市會の承諾を求めて助役を決めるのと似たような形を採られなければならぬと思いますが、そういうような手續が實質上、積極的に政府側から少しも私は手が伸ばされていなかつたと思うのです。人事院の委員の任命についても全く遺憾だつたと思うのですが、全く國會の權威を經視しておるのであります。この履歴書はどうしましようか。皆さんのお手許にずつと廻して貰いましようか。
#17
○政府委員(曾祢益君) それを刷つて參りますか。
#18
○黒川武雄君 刷つて頂きましよう。
#19
○委員長(吉川末次郎君) それではこの次までに刷つて來て貰うこと。それで今これを、議事をずつと進めて行く間に見て頂くことに願います。
#20
○阿竹齋次郎君 只今政府の御答辯によりますと、本會議で否決されたつて、それは仕方がないとおつしやつたけれども、人事のことですから、そういう結果にならんように十分御考慮願いたい。又議會の方も人事に關するものですから、深く詮議したくないと思うのです。成るべく政府の原案を御承認したいと思つていますから、本人の御迷惑にならんように、事前に十分のお手配相成るように希望いたします。
#21
○政府委員(曾祢益君) 了承いたしました。
#22
○委員長(吉川末次郎君) それでは次の議事に入りましてよろしうございますか。それでは新警察制度、なかんずく國家地方警察本部の運營と今後の計畫について、齋藤本部長官から簡單に御説明を願います。
#23
○政府委員(斎藤昇君) 私は齋藤でございます。この度新警察制度の發足に當りまして、國家地方警察本部長官を圖らずも拜命いたしたのでありますが、今後格別本委員會の各位の御指導、御鞭韃竝びに強力なる御助力をお願い申上げたいと存ずる次第でございます。私といたしましては、命を拜しました以上、專心法律の命ずるところに從いまして、憲法の擁護と治安の維持、殊に國家警察に負託されました治安の維持に關しましては、その執行に當つては全責任を以ちまして萬全を期したいと思つている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 新制度は去る三月の七日に出發をいたしたのでありますが、その後の新制度の運營の状況については、まだ報告その他十分整いませんし、又時日も餘り經過いたしておりませんので、新制度自體に對するその後の運營の情況は、詳しく御報告いたす段階には立至つておりませんが、併しながらこの際國家警察について申上げますると同時に、自治體警察につきましても、大體私らの方で分つておりまする點を申上げまして、何らかの御參考になるかと思いますので、若干觸れたいと思うのであります。
 自治體警察を持つことになりました市町村の數が、千六百五ということに相成つております。これらの市町村のうち四十九の市町村は組合を作つております。その組合の數が二十一でございます。自治體警察の公安委員の數が千五百七十七ということに相成つております。この區域以外の地域が、即ち國家地方警察の區域ということに相成るのであります。この地域におきまする警察署の數は七百七、國家地方警察の警察署の數が七百七でございます。先程申しました自治體警察を持ちまする區域における自治體警察の警察署の數は、千七百四十四ということでございます。國家地方警察と自治體警察と合せまして、警察署の數は二千四百五十一ということでございます。これを舊制度の下におきまする警察署の數の千百三十に較べますと、千三百二十一と、倍以上の署の數が増加をいたしておるということに相成つております。
 自治體警察の公安委員及び國家地方警察の府縣公安委員の選任等は、制度施行前、一二の例外を除きましては完全に選任を終りました。御承知のように多少選任の途中におきまして、資格その他の點で、適格者でない者の選任を事前にいたしたようなものもありましたが、これらは殆んど制度施行の際に是正をされまして、只今聞いておりまするところでは、自治體の市町村公安委員及び府縣公安委員選任の結果につきましては、大體良好な選任振りであつたということができるのではないかと考えておるのであります。
 これらの公安委員の下に統轄されておりまする第一線の警察の動き、殊にこれらの能率、犯罪捜査、檢擧等の状況は、只今までは詳しく分りませんが、我々當初に心配いたしましたほどの心配もなく、先ず圓滑なる運營を只今いたしておると申上げて支障はなかろうと思つております。ただ若干は制度切換えに伴いまする臨時的な、いろいろなごたごたの關係、及び氣分的な關係からいたしまして、若干能率が落ち、或いは運營に圓滑を缺くという所がないということは、……絶無であるとは申上げませんが、我々心配しておつたほどのことはなかつたということを申上げたいと思うのであります。これらは今後の運營に習熟いたしますにつれまして、又運營に工夫を凝らすことによりまして、從前より以上の能率を擧げて行きたいと、かように考えておるのであります。
 國家地方警察といたしましては、先程申上げました國家地方警察署の所轄いたしておりまする農村地方の治安の維持に任じますることは勿論でありまするが、すでに御審議を頂きました法案において御承知の通り、國家地方警察といたしましては、その外に國家非常事態が發生いたしました際の、治安の責任を國家地方警察が持ち、全國の自治體警察を包括をいたしまして、一元的に運營をするという大きな責任を持つておりますので、この點につきましては、國家地方警察としては格別の工夫を凝して參らなければならんと考えておるのであります。
 先般衆議院の治安委員會で、私は國家地方警察の定員の充足状況及び今後の見通しを述べまする際に觸れましたのが新聞に出まして、特別訓練をする常時の組織を持つように新聞に出ておりました。それによつて御承知のことと存ずるのでありますが、現在國家警察といたしましては、三萬人の要員を許されておるのであります。三萬人の要員は從前持つておりました全國の九萬五千の要員にプラスをするものでありますので、昨年の十二月以來この要員充足のために臨時緊急募集をいたしまして、減耗補充を見込みまして三萬六千人緊急募集をする計畫を立てまして、十二月から募集に著手をいたしました。すでに三萬六千人の緊急募集の計畫の中におきまして、採用いたしましたのが三萬二千餘になつております。從つて今後募集をいたしまするのは三千二百ばかりということになるのでありまして、當初豫期しておりましたよりは、これも比較的目的を故障なしに達し得られるような現状にあるのであります。すでに採用しました三萬二千の中で、すでに練習所を出まして第一線に配置をいたしておりますのが一萬三千ほどございます。他は今練習所において訓練中、又は近く練習所に入れる豫定にいたしておるのであります。これらの素質は應募の状況から見まして、當初はこの應募が非常に困難であろうと考えたのでありますが、我我が豫期いたしました以上の應募者がありました。大體平均二倍近くの應募者があつたと考えておるのであります。從つて素質におきましても我々が心配いたしました程のことがなく、むしろ立派な前途の希望に燃えた若い青年を、極めて優良な青年を得られつつあるという報告に接しております。この點は非常に心強く思つておる次第でございます。警察官の幹部要員として、高等專門學校及び大學卒業者を六十名、この外に幹部要員として募集をいたしたのでありますが、これに對しましては千二百人の應募者がありました。結局試驗を受けておる間に脱落をいたしまして、最後まで試驗を受けましたのが八百人という數でありました。その中から六十名を採用いたすのであります。かような状況からいたしましても、新らしい警察制度に對する魅力と申しまするか、青年の純眞な希望が新らしい警察の運營に向けられておるという一つの證左ではなかろうかとも考えて、心強く思つておる次第でございます。
 ところが、この新らしく採用をいたした者を國家警察に入れるということでは、國家警察が編成ができませんので、在來の九萬五千の警察官の中から、先ず國家警察に――現におる者の中から國家警察に三萬採りまして、新規に採つて參りますのは、自治體警察の方に穴埋めをして行くという形を取つておるのであります。ところが、先程ちよつと觸れましたように、國家地方警察といたしましては非常事態に備える大きな責任を持つておりまするので、私の考えといたしましては、この非常事態の變に應じ得るだけの訓練をいたして置く必要があると考えるのであります。通常の警察官としての個々の訓練は勿論でありまするが、警察官が何と申しまするか、部隊行動と申しまするか、部隊行動を取り得るようないわゆる部隊的訓練、これは軍隊訓練と間違われる虞れがありまするので、用語は非常に大事だと考えるのでありまするが、まあ部隊的な訓練をできるだけ常時いたして置くという必要があると考えておるのであります。關係筋とも協議中でありますが、できるだけ多くの常時訓練の組織を持ちたいと考えておるのであります。その數は最高三分の一の一萬、併しこれは理想でありまして、さようにいたしますると、農村部面に配置をいたしておりまする警察官が非常に少くなりまするので、或いは五千前後になりまするか、只今計畫中でありまするが、さような方向において一つの研究をいたしておる。そうしてできるだけこれは實際の實現に早い機會に移りたい、かように考えておるのであります。勿論これにつきましては豫算その他の要るわけでありまするので、格別の御支援、又これにつきましての御意見等を承りたいとも思つておるのであります。
 尚かようにいたしましても、三萬の警察要員では實際上非常に困難な點が多いのであります。警察要務に從事いたしておりまする職員の中で、一定の警察官でなくてもよろしい、一般職員を以て行うことのできる要員、例えば會計員でありまするとか、そういつた本當のデスク・ワークをするというもの、これはできるだけ警察官ならざる一般要員を以て充てまして、そこから出て參りました數を警察官に廻わす、三萬の貴重な警察官をデスク・ワークにできるだけ使わないように考慮をいたして參りまして、さようなことをいたしたいと考えておるのであります。尚國家警察といたしましては、犯罪の鑑識或いは通信ということが國家警察に委されている大きな要件でありまするので、これらにつきましても只今犯罪科學研究所の設置、及び通信施設の強化の問題について考究中であるのであります。犯罪科學研究所の問題はまだ豫算と關係をいたしまするので、その際に特にちよつと御審議を願いたいことがあると考えるのであります。通信施設につきましては、これは從來からの問題でありまするが、遞信の通信と警察通信をどうするかという問題があるのであります。只今關係當局の間で折角審議中でありますから、近くこれにつきまして方針を決定いたしたいと思つておるのでありまするが、方向はできるだけ警察通信の一元化に持つて行きたい、かように考えておる次第であります。尚御質問ございましたら……
#24
○委員長(吉川末次郎君) 只今の齋藤本部長官の説明に對する御質問がありましたらお述べを願いたいと思います。
#25
○鈴木直人君 訓練所を設置するような計畫になつておるようですが、今まで決定しておるのはどこどこになつておりますか。差支えなかつたら一つ……
#26
○委員長(吉川末次郎君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて。
#28
○岡本愛祐君 部隊訓練についていろいろ御苦心の點は、本員といたしまして非常に結構なことと存じております。私は過般中井委員と共に廣島、愛媛、高知、この三縣の國家地方警察竝びに自治體警察の發足について視察に參りまして、その點についていろいろ疑問もあり、御注意もし、御意見も伺つてみたいと思うことがありますから、二、三點その中の主要なものを伺いたいと思います。
 一つは、國家地方警察と自治體警察との發足に當つての廳舍の問題であります。これが何でもないことのようでありますが、非常に深刻な不和の原因になつておるのです。例えて申して見ますと、愛媛縣の國家地方警察と、それから松山市の自治體警察と尖鋭化しておるといつていい状態にあると思います。これは警察員自身が尖鋭化しておるのではなくて、市の當局と國家地方警察の方と尖鋭化しておる、こういうふうにも見えるのであります。成る程この警察法によりますれば、舊來の廳舍は必要なものは國家地方警察で取り、國家地方警察に不要なものは自治體警察に無償で讓るというふうになつておりますが、まあ有用といい、不要といい、その間でいろいろ融通もきくのじやないかと思います。で成るべく國家地方警察で讓れるものは自治體警察に讓つてやつて、申すまでもなくこの自治體の地方財政の窮乏というものは、その極に達しておるのでありますから、その自治體警察の方で、そのために新たな廳舍を作つたり何かする必要のないように、國家の方で考えてやれるだけ考えてやつた方がいいのじやないかと思います。所々を視察に參りましたが、これは國家の方で少し考えれば、舊來の廳舍は自治體警察に讓つてやれるのじやなかろうかと思うのが澤山あります。今當局の方で御苦心のように、何といつても國家の治安を維持するためには、國家地方警察と自治體警察との圓滿な了解、圓滿な親和というもので必要なのでありますが、廳舍とピストルなんかの問題で悪感情を起さしてはならないと思います。ピストルの問題にしましても、松山の自治體警察、人口十三萬くらいもあります松山市の治安を維持するために、たつた一挺のピストルしか分けて貰えなかつたというような非常に不合理が出て參ります。もとより愛媛縣ではピストルの處置の仕方が非常に悪くて、國家地方警察の方も割合少いようであります。併し松山市なんかじやもつと澤山分けて貰わなければいけないのじやないか。これは一例に過ぎませんが、そういう點が所々にあるようであります。この點を十分考慮を拂つて頂きたいと思います。
 それからもう一つ、どうも一つの廳舍に、例えば二階は國家地方警察、下は自治體警察の方にという所があり、又一つの廳舍を半分に觀念的に區切つて、左の方は國家地方警察、右の方は自治體警察というふうになつております。これは現在の急場としては仕方ないかも知れませんけれども、署長同士又幹部の方は、お互いによく了解しておりましようけれども、下の末端に至つては競爭心といいますか、悪い競爭心ができたり、又いろいろの猜疑心も出て來まして都合の悪いことが多かろうと思います。例えば一軒の家に兄弟の家族が住む。兄弟の方はよく了解しておりますけれども、その妻同士とか、子供同士とかいう間に自然に悪感情ができて來る。一軒の家に兄弟が住むものでないということは、常識のある方ならばそう考えております。これは國家地方警察と自治體警察との間でも同じ關係になりますから、これはできるだけ分けられた方がいいと思います。愛媛縣は同居主義、高知縣はできるだけ分けております。これは分けた方がいいと思います。この點について御意見を伺つて見たいと思います。
 それからもう一つ、高知縣の例ですが、人口七千くらいの町に自治體警察が設けられておる。設けるのは當然でありますが、ところがその定員が署長以下十三人もおる。これは少し多過ぎやしないか。例を擧げて見ますと、室戸崎町という漁村があります。これは標準からいつても、或いは自治體警察を置かなくてもいいのじやないかと思われるような町であります。人口は七千ありますけれども、市街地を形成しておる所がそれ程多くない。そして割合平和な町でありまして、年に小さな窃盗が二件くらいしか起らない。駐在員一人で濟んでおつた町なのであります。ここに自治體警察が置かれて、自治體警察が置かれることは仕方がないとしても、定員が十三名、町長が困つてしまつて、町の人にどう説明したらいいか。なぜこんな澤山置かなければならんか。一人の駐在員で十分であつたところへ十三人置くということは、町の人にどう説明して、どうして納得せしめるか。非常に困難な問題になつたのであります。私も意見を聞かれて實は困つたのであります。こういうのはどう説明したらいいのか、私も意見を持つておりますが、止むを得ず置いたということでなくして、一つどうしてそういうものを置いたのであるか、これは國家地方警察の方に聞くのは筋違いかも知れませんが、お尋ねしてみたいと思います。そこでなぜ定員が多くなつておるかということを研究して見ますと、これは先程お話も出ましたが、高知縣においては補充をするために、新規採用の教習所の採用人員が非常に多かつた、それでそれを捌くために定員を多くした關係があるようであります。つまり本當ならば、愛媛縣では七千の町ならば定員七人、高知縣ではそれが十三人という、その差は訓練生で折角採用した者を捌かなければならない、だから定員が多くなつたという關係があるのではないかと思うのであります。若しそれが本當であるとすれば、これは國家地方警察の方で何とか處置してもいいのではないか。今新規採用をどんどんしておられるようですから、そういうふうにも考えます。そういうのはよく御調査をなさり、又分つておればその事情を聽いて置きたいと思います。
 もう一點、それは昨日も問題になつたようでありますが、海面における國家地方警察と自治體警察と海上保安廳との関係、これは國の方針といいますか、それがまだはつきりしてないと見えまして、少しも徹底してないようです。例えば申して見ますと、高知縣におきまして海上保安廳というか、海上保安廳というのはできておりませんが、運輸省で持つております海面警備のための船が、高知市の附近に立派なのが二隻ある、そりが海上の保安のことを取締つておる。ところが今度高知縣におきましては、地方警察におきましては三ケ所の警察に、それは安藝町を中心とする國家地方警察と、高知市附近を中心とする國家地方警察と、もう一ケ所種崎でありますか、それを中心といる國家地方警察、この三ケ所に水上署を兼ねさせておるところがあります。それと海上保安廳との關係はどうであるか。又その安藝町とか高知市とか、種崎町とか、申すまでもなき自治體警察を持つておる。自治體警察がその町に沿うた水面における警備を擔當いたしますか、それとの關係、自治體警察と水上警察と運輸省の海上保安廳との關係、その關係がちつともはつきりしていない。これをどういうふうにお考えになるか。これは廣島縣におきましても、廣島縣は又制度が違つて、あそこの音戸の瀬戸に倉橋島という島がある、そこに音戸町という町がある、そこに廣島縣に海面全體を管轄する水上署がある。そこで廣島縣に属する海面全體を水上警察が管轄しておる。それと今申した自治體警察のありますところの市町村の海面との關係、それから海上保安廳との關係で出て來ます。こういう諸點について御意見を伺いたいと思います。
#29
○政府委員(斎藤昇君) 今の岡本さんの御質問にお答えいたします。廳舎、ピストル等の施設の分轄の問題については、御指摘の通りのような事柄が所所に起つておりますので、私も岡本委員と同じような考えを持つておるのであります。法律の上では國家地方警察が優先的にこれを使用するということになつておりますが、實際上自治體警察とうまく行くように、互いに讓り合つて、氣持よくやつて行けるように了解をし、譲り合うというような方針にしたい、かように考えております。
 尚高知の室戸岬の自治體警察の定員についてお話がありましたが、これが標準よりか特に多くなつておるという理由は、私よく存じませんが、今御指摘のような事柄が、特に高知で或いはあつたかも知れんと思います。現在は御承知のように警察の費用は、地方財政の確定いたしますまでは、從前通りの支出でありまして、國と府縣が半分ずつ出してやるということになつておりまするので、現在としては餘り大した支障がなかろうかと思いますが、將來自治體の財政が確立いたしますると相当重くなると考えます。そういつた際、或しはこれは暫定的にものではなかろうかと考えまするが、恒久的なものといたしまして、それに適當する定員を又考え直すことができるのじやないか、かように考えておるわけであります。
 海面の警察につきましての御質問は、只今運輸省方面及ご關係筋といろいろ話合い中でありまして、近く方針を決定いたしまして、御承知のように近く法案提出の運びとなろうと考えます。そのとき詳細方針決定の上で説明申上げた方がよろしいのではないかと思います。
#30
○岡本愛祐君 この海面の問題が、今でも事故が随分起つておりますから、早く方針を決定せられて府縣に通達されることが必要だろうと思います。處置に實際困つております。
 尚御参考のたるに申上げて置きますが、この運輸省の持つておる船を頼りにしておりません。それは連絡して今直ぐ出勤してくれという要求を、例えば高知縣なら高知縣でいたしましても、なかなか出勤してくれない。だから國家地方警察としましても、又高知縣の自治體警察としても、その方は頼りにならん、自分でやらなければ仕方がない、こういうふうに考えております。それを御参考のために申上げておきます。
#31
○黒川武雄君 今岡本委員から廳舎の問題がありましたから、ちよつとお尋ねいたします。國家地方警察と自治體警察との區別がなかなか分りにくい際でございますから、元の警視廳の所に國家地方警察と東京管區本部と二つおいでになるのでありますが、あれは内務省にお移しになるわけに参りませんか。
#32
○政府委員(斎藤昇君) 内務省の中はもう他の役所が八つか九つ入つて参りまして、本部だけでさえ狭くて弱つておるような状況で、將來何とかしなければならんと考えておりますが、現在では何ともいたしようがないのであります。
#33
○委員長(吉川末次郎君) それでは午後一時まで休憩いたしまして、午後一時から再開いたしたいと存じます。それから午後は、第三國人の犯罪の状況について、政府の説明を聽取いたしますことと、次いで本國會に提出豫定の、風俗営業取締法案につきまして政府側の説明を聽取することにいたします。尚政府側におきまして、午後の議題となる問題につきまして資料のようなものがありましたら、できるだけその準備をして御提出が願いたいと思います。
 尚小委員長でいらつしやる中井さんにも御相談して置かなければならんのですが、午後一時から出先機関の整理の問題について小委員會が開かれるということになつておるわけなんですが、午後の委員會を終りました後に開いて頂くようにお願いしたいと思いますが、どうぞそのようにお取運びを願いたいと思います。それでは午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時二十六分開會
#34
○委員長(吉川末次郎君) 休憩前に引讀いて委員會を開きます。速記を止めて。
   ―――――・―――――
#35
○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて。それでは本日はこれで散會いたします。
   午後二時二十九分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           岡本 愛祐君
           柏木 庫治君
           阿竹齋次郎君
  政府委員
   内閣官房次長  曾祢  益君
   國家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
ソース: 国立国会図書館
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