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1947/04/26 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第6号
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1947/04/26 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第6号

#1
第002回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第6号
昭和二十三年四月二十六日(月曜日)
   午後二時二分開會
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月七日(水曜日)特別委員中西功君
辭任につき、その補缺として細川嘉六
君を議長において選定した。
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○議員派遣に関する件
○引揚同胞對策に関する決議案に関す
 る件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中平常太郎君) それではこれより在外同胞引揚問題特別委員會を開きます。政府委員として出席された方を御紹介いたします。外務省管理局長倭島英二君、それから管理局引揚課長高野藤吉君、それから復員局の経理部長遠藤武勝君が見えております。 かねて諸君と共に、最も國民が關心の的でありました、未復員者の復員が、ソ連の好意によりまして、五月から正式に開始されることに相成りました。第一船が五月六日に函館、舞鶴に入港することに相成つておりますので、誠に我々は待望の問題が、いよいよ毎月積極的に實現することに相成つたのであります。
 つきましては、受入態勢につきましては、政府におきまして、十分現在執り行つておることは間違いないと存じますが、暫く寒さの間休止しておつたのでありまして、いよいよ始まりますにつきましても、相當考慮を拂つておるとは思いますが、我々議會人といたしまて、果してそれがうまく行つておるかどうか、又うまく行つておれば、ソ連の方におきましても、多々ますます毎月送還する人数を増加したいという希望もあるやに承つております。そういう關係もありますので、我我も、でき得るならば、どうしてもこの四回目の冬を越させたくない、どうしても結氷期までに全部の復員を完了したい、これが國民の切なる血の出る所願でございます。それによりまして、果してどの程度受入態勢ができておるのかどうかということを調査するために、議員の派遣をいたしたいと思います。丁度衆議院の方も、この問題につきまして、議員を派遣するということでございます。我参議院におきましても、函館と舞鶴と、この両受入地に對しまして、實態を調査するために、議員の派遣をいたしたいと存じますが、先ず派遣するや否やにつきまして、御協議をして頂きます。
#3
○竹中七郎君 只今の御提案になりました、議員派遣の點につきまして、私は全幅的に賛成するものであります。ソ連の方からいろいろな疑問の點は日本の受入態勢が本當にできておるかどうか、そして、この冬を越させないためには、一ケ月約七萬の方々をお迎えしなければならんのでありますが、さような態勢ができておるかどうかということでこれは私たちも非常なる疑いを持つておるのであります。特に最早三年になりまして、現地その他の國民の方にもやや熱が冷めておるんじやないかという感を深くする者でありますが故に、私は是非派遣議員が出まして、その實態調査をいたしまして、本當にできておるかどうかということも、我々の目で見、そして、引揚に對して、お還りになる方々に御満足を與えたいと、かような熱意を持つておりますが故に、委員長におかれましては、どうか函館並びに舞鶴に、三名ずつの議員を派遣する、その期日につきましては委員長におきましてお計らい願いたいという動議を提出いたします。
#4
○淺岡信夫君 只今の動議に賛成するものであります。それで同時にこの受入態勢という問題と、もう一つは昨年の十一月以來ストツプしておつたこの引揚が再開されるということにつきまして先ずこの國會から、衆議院、参議院共に、この出迎えに行くということも、その中に含んで置いて頂きたいと思います。これが非常に意義あることではないかと思います。
#5
○委員長(中平常太郎君) 御尤もです。只今竹中委員から御賛成がありまして、淺岡委員からこれにつきまして、賛成の意見がいざいましてそうしてこの動議が成立いたしました。この點につきまして、議員を派遣するや否やにつきまして、御異議がございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(中平常太郎君) 御異議ないものと認めまして、議員を派遣することに決定いたしました。つきましては、竹中委員の提案になりましたのは、舞鶴三名、函館五名となつております。これを委員長の方に指名をお任せになつておりますが、委員長から指名申上げてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(中平常太郎君) それでは委員長から御指名申上げます。
 舞鶴方面を視察願う方は、細川君、淺岡君、北條君、この五名、函館の方は、星野君、竹中君、それから委員長として、私が一緒に行くことにいたします。
 それから日数は五月二日から五月八日の間一週間でございます。丁度五月六日に入港いたしますので、その前日にそれぞれの適當な土地へ行つて置く必要がありますから、五月二日から五月八日の七日間ということにいたします。それで期日はよろしうございますか。
#8
○北條秀一君 議員派遣の件でありますが、只今委員長から言われました、五月二日から八日まで、一週間でいいかどうかということは、これは、北海道の方は多少餘裕を見なければならんのじやないかと思いますが、皆さんに一應御相談願いたいと思います。
#9
○委員長(中平常太郎君) 舞鶴の方は割合日数も餘計要らんと思いますが、北海道の方は、交通事情が大變困難なものでございまして、豫定通りに歸ることは困難なことが澤山あるのでございます。それで只今豫定しておりますのは、五月二日から五月八日ですが、これでよろしうございますか。
#10
○千田正君 北海道方面に冬季と違つて今はいいと思いますがね。
#11
○委員長(中平常太郎君) それでは大體五月二日から五月八日までということに決定いたしましてよろしうございますか。
#12
○北條秀一君 函館はやはり二日間ぐらい延した方がいいと思います。というのは船が入りますのは五月六日でしよう。七日におそらく上陸すると思います。そうすると直ぐその日に歸つてこなければならない。ですから八日に向うを立つても、こつちへ歸つてくるのは十日ということになる。二日から十日ということに一つ……
#13
○委員長(中平常太郎君) 只今北條君から、函館の方へ行くのは、五月二日から五月十日までの九日間としたいという希望が出ましたが、それでよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(中平常太郎君) 御異議がないようでありますから、函館の方へ行くのは九日間ということに決定いたします。それでは手續きを履みまして議會の承認を求めることにいたします。
#15
○淺岡信夫君 實は先月の十五日の参議院の特別委員會においていろいろ議された問題で、その委員會の意向を持ち、更に衆議院、参議院から成つております同胞救援議員連盟の歸還促進部長という立場において、三月にソ連大使館に参りましてチエトロフさんにお目にかかつたのであります。そのときの模様は特別委員會の懇談會にも申しましたし、同胞救援議員連盟に御報告申上げたのでありますが、とにかく十二月から三月まで、この引揚問題が一應停止されたということに對し、日本全國民が非常に言語に盡し得ないくらいの眞劍な氣持を以て、成行を注視していたのであります、たまたま私がソ連大使館に参りましてチェトロフさんに御面會をして、その實情を縷々訴えたのでありますが、チエトロフさんは昨年十二月十九日に共産黨の徳田書記長その他の方々が見えたときの、ソ連のキスレンコ少将との會談の模様を申しまして、とにかくこれに對しては四月から再開するものと了承して貰いたい、それから人員の點については、これは一昨年の米ソ協定に基きその協定の範囲を超えないものと了承して頂きたい、それから六月に現地解放をするという問題に對しては、それはただ單なる噂にすぎないのだ、ということに了承して頂きたいということであつたのであります。そこで先月の十四日を期して全國的に行われました引揚促進のいろいろな模様なり、それからその決議文なり、毎月十六萬、或いは二十萬還して頂きたいという閣議の決議事項を、そのままそこに披瀝いたしたのであります。それに對してはチエトロフさんはとにかく本國に要請して、成るたけ貴意に副うようなふうに努力写るということを申されて今日に至つたのであります。甚だ情ないことでありまするが、四月の再開は終に期せられずして、この五月早々に引揚が再開せられるということになつたことは誠に慶賀に堪えないのでありまするが、先般共産黨の中西議員が行かれまして、そうしてソ連當局の責任者と言われたときの模様を、中西議員から伺つたのであります。ところが中西議員としましては、とにかく七萬五千ずつ還すような御意向なんだ、そうすれば八ケ月でこの引揚は完了するのだ、ところが日本の政府は嘘ばかりいつている、第一その調査の結果によると、四萬人を乗せるそこそこの船しかないじやないか、或いはその他受入施設、そうした態勢が整つていないというようなことを聞いて、實は私唖然としたのであります。と申しますることは、とにかく昨年十一月八日に私が當時の日本自由黨を代表いたしまして、緊急質問に立ち、この受入態勢如何というような問題に對しまして、政府當局にはつきりとした答辯を、國會を通じてして頂きたいということを申入れたのであります。
 一方十月二十九日の第四十四囘對日理事會におきましては、シーボルト議長が提案された。その提案によりますと、四十八時間以内において御確答あれば十三萬餘、更に一月以内にこれに對して答えられるならば十六萬還す、配船その他の用意をするということを申されたのであります。更に遡つて一昨々年の十二月十九日のミラー参謀長とテレヴイヤンコ中將との米ソ協定基いて、毎年六十萬ということになつたのでありまするけれども、そのときミラー参謀長は三十六萬還す配船の用意をするというようなことを、御提案になつたということも私共了承いたしたのであります。
 ところが中西議員が最近におきましてソ連御當局にお會いになつた際に、日本政府は嘘ばかりいつておる、四萬を乗せるそこそこの配船の用意しかないじやないか、その地の受入態勢がなつてないじやないか、こういうようなことでは毎月七萬五千還す、或いは八ヶ月以内で引揚を完了する云々というようなことを聞かされて、誠に私唖然としておるのであります。常時の中西議員とソ連當局とのこの會談の模様をこの委員會において詳細に伺わして頂いて、そうして委員會の質疑、更にこれに對して政府當局の責任ある御回答をこの委員會を通じてして頂きたい、こう思うのであります。
#16
○委員長(中平常太郎君) それでは中西議員は委員外議員でございますので、この際發言をして頂いて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(中平常太郎君) それでは中西君、そういう経緯につきましてお話しを願います。
#18
○委員外議員(中西功君) では概略を報告します。私達は引揚促進全國協議會の代表の方にたのまれてお伴をしたわけでありますが、四月中に二囘行きました。最初は四月八日と記憶しますが、そのときは、四月中に引揚を再開されたいこと、残留邦人の動静や名簿を明かにしたいこと等について、こちらの希望を述べておいたのでありますが、第二囘目はその返事を聞くという形で参つたわけであります。このとき引揚促進全國協議會の代表及び家族の人々から、澤山の事柄についてソ連當局側に質問があり、それに對して一々返答があつたわけでありますがソ連側代表ヂネラロフ氏は最初次のように述べた。
 即ち「はつきり申上げたいことは、ソ連當局としては日本人の送還の促進について努力しており、又今後も努力する。ソ連政府としては昨年一年間に六十萬の協定額を一萬以上超過して遂行した。ソ連としては今後も努力するが、併しこの促進はソ連政府の意思だけでは決定され得ない。ソ連側としても假收容所の收容能力や輸送能力等の問題もあり、日本側の受入態勢にも問題がある。日本側の受入態勢について言へば、日本政府の努力が一方的であり且つ引揚者に對する援護措置が全く不十分である。例へば既引揚者の四〇%が就職を得ていないで、住宅問題も極めて憂うべき状態である。又引揚者に對する旅費手當、補給金、生産資金等も全くなつていない。引揚協定がなされたとき、日本政府として引揚者に對して、十分な救済的措置をとることを要請されているはずである。これら一切に對して日本政府がその努力を改善することが、引揚促進の極めて重要な要件である……。」以上がその要旨でありますが、私はここで淺岡議員の言われた、私の言葉の誤解をはつきりと訂正しておきたい。
 ソ連側としては日本側の努力が一方的であること、又引揚機關にスキヤンダル等があること、受入態勢が不備であること等は指摘しましたが、具体的に日本側の輸送上の受入能力が月四萬人そこそこであるとは申されなかつたのであります。それはあとで申しますように、我々共産黨の獨自の調査によつて判明したものでありまして、この點を誤解なきようお願い致したいと思います。
 尚これに引續き家族代表や引揚促進會代表等から、日本側の受入態勢如何に拘わらず、とにかく早く歸して頂きたいのだとの切なる要望が述べられたが、それに對してはよくその事情を本國にお傳へするとの回答があり、又本年は一月から四月までの間輸送が中止されたが、本年中に六十萬を締して貰うわけには行かないかとの質問に對しては、その實現のためにソ連側としては、努力することを確約出來るとの回答がありました。
 尚その他「ソ連當局は、病人や技術のないものは先に歸し、健康なものや技術のあるものは遅らせているのか、」「もつと通信が出來ないか」等々質問もありましたが、最後に総括的に次の四つを私の方から出しました。
 一、残留邦人の生活状況の正しいニュースが欲しい。
 二、ソ連からの通信を、もつと確實に届くようにして欲しい。
 三、日本に家や職業があり、家族達がそれを締して貰えば助かるというような人を、優先的に歸して貰えないか。
 四、ソ連當局として何を日本人に要望するか。これに對して大要次のような囘答がありました。
 邦人の抑留生活について、とかくの噂がある、その生活状況の實態を正確に製表してほしいと言う要望に對しては、詳細な資料は、大使館に準備して置くから見に來てくれ、又通信が十分でなくソ連から相當來ているにも拘わらず、實際受取つていない者が多い。そして通信して貰えるようにして、それがうまく届くようにしてほしいという要望に對しては、ソ連當局としても何とも言えない。この冬も相當來ているし、それは日本郵便局に渡してあるから諸君の方で隘路を見附けてよく處置してほしい。ソ連は日本側の受入態勢が不十分であると言うが、家族は何としても早く歸してほしいと考えている者には、優先的に歸してもらえぬかという要望については、それはできない。ソ連としては一定の引揚計畫によつて歸しているので、要求通りすれば公正が保てなくなるし、收拾できないことになるからと言うにあり、日本側も了承した。その他小さい問題について多々あつたが、結論として気候條件によつて、過去四ケ月間停止された引揚を、協定の一ケ月五萬人、八ケ月四十萬人とせず、一年六十萬人として八ケ月間に歸してほしいとの申入れに對しては、ソ連側はそのようにできるだけ努力すると答えた。これによれば月七萬円五千歸つてくることになり、ここのことは保證すると言つた。この點が我々の會見の最大の收獲であつたと思つている。ソ連側において引揚者團體及び日本政府への要望として、
 一、抑留者の生活については取越苦勞をしてくれるな。
 二、誤報を信用して却つて促進を阻害することのないよう。
 三、引揚者を十分保護してほしい。 ソ連當局としては引揚船等のことにはふれなかつたが、共産黨が舞鶴、函館を調べた結果としては、佐世保は何らの受入準備がなされていない。舞鶴の引揚者の収容能力は三千人しかなく、函館には収容所はなく、檢疫等で三日くらい止められ今年は五日くらいとなる模様で、實際は舞鶴の三分の一の能力しかないということが判つた。これは収容所の能力問題である。引揚援護院において、主食のことで問題があり、二千人分ずつを積込んでいるが、これは援護院調査部がやつている。この役人達は軍部の將官上りが多く、全く官僚的で腐敗している。二千人分を積込んで二千五百人分を帳簿面に記載し、その差を横領するようなことがある。引揚關係に從事する職員は少く、從つて過勞である。これに封して過般政府に對し組合より改善方を要求したが、未だに返答に接しない。輸送船の船員は、援護院の調達部に積込む食料で苦しめられ、且つ給與惡く、戰爭のデマ等が飛び、船員は不足している。引揚港において支給する三百圓は問題にならない。家に歸るまでに本當に裸になつてしまう。結論としては引揚に對する豫算職員の不足である。二時間半に亙つて會談したが、家族の人々は懇談して心持がすうつとした、ソ連當局の好意も分るような氣がするといつておりました。尚私達と引揚團體代表との懇談會で、代表の人々は共産党の調査を聞けばゆゆしき問題である、國會でもう一度調査されたい、日本側に落度はないかどうか、もう一度調査する要がある、という結論に達したわけであります。
#19
○委員長(中平常太郎君) 中西君の代りに、細川嘉六君が特別委員になられましたので、御紹介申上げます。
#20
○細川嘉六君 どうぞよろしく。
#21
○淺岡信夫君 只今中西君より詳細なる報告を聞きまして、非常に明るい氣分になつた次第ですが、併し只今の説明はソ連當局の見解ばかりでなく、共産黨の意見も多少あるようでありますが、もう一度お伺いします。ソ連當との會見顛末の結果は、月七萬五千人の引揚げは確實でありますか。
#22
○委員外議員(中西功君) ソ連當局の見解は、七萬五千を歸すよう萬金の努力をするということで、七萬五千を歸すよう準備されるものと我々は感じました。
#23
○淺岡信夫君 もう一度くどいようですが、月七萬五千人歸すのですか、どうですか、はつきりその點をお尋ねします。
#24
○委員外議員(中西功君) 七萬五千の引揚は、ソ連のみにてはできぬのであつて、少くともソ連側についてはそのように萬全を盡す意味でありましよう。我々の交渉は全く個人的に行われたものでありまして、交渉の價値は不明であります。故に政府要路者及び國會等より正式に交渉に行くようにされるべきだと思います。
#25
○北條秀一君 一六十九萬生存しているという確證はありますか。
#26
○委員外議員(中西功君) 生存者名簿は、なかなか調整がむずかしい、技術的にできないとのことです。
#27
○政府委員(倭島英二君) 一般に知られていることと事實との差異があるのでありますから、ここで二、三申上げます。先ず第一に日本政府はGHQの指令に從つて、交渉はできません故、GHQを通じてすべてをやつています。次に受入態勢のことでありますが、昨年十二月十二日の司令部の覚書により、函館、舞鶴の收容能力は、舞鶴四萬五千函館三萬計七萬五千を收容できるよう、十日以内又は四月一日以降いつでも用意せよとの命令がありましたので、政府はこれを準備しました。恐らくこれは爾收容所の最低能力であります。現在舞鶴は一日一萬一千、函館一日六千二百計一萬七千二百人、月に五十一萬六千人、これを四日間碇泊しているものとして計算して、月に十二萬九千人の收容能力がございます。佐世保は指令になかつたのでここに準備しておりません。併し佐世保港の能力は一日二萬、一ケ月六十萬、實際には十五萬人であります。以上を合計すれば、一ケ月二十七萬九千人の受入能力を有しているわけであります。次に船舶で現在用意されているものは、樺太向にて一萬四千五百人、シベリヤ向四萬五千百人、月二航海するものとしまして、十二萬一千人三航海するものにいたしますれば、十八萬一千五百人であります。次に食糧でありますが、これは毎月諸物資を餘して歸りて來ている有様であります。
#28
○細川嘉六君 只今政府の説明したことは古いことで、昨年一松厚生大臣が述べたことと同じである。中西君の發言は重要であります、よく調査する必要があります。
#29
○政府委員(倭島英二君) 月七萬五千人の引揚がありましても、その範囲では準備は萬事できております。
#30
○北條秀一君 受入態勢は逐次改善されつつあることは事實であります。引揚港からの三百圓の旅費の支給はあまり少額ですから、今次より七百二十圓を加え千二十圓を支給するよう政府に要求している次第であります。
#31
○委員長(中平常太郎君) 次に引揚同胞封策に關する決議案を議題に供します。
#32
○北條秀一君 それでは決議案を朗讀いたします。
   引揚同胞野策に關する決議
 敷百萬の海外同胞が本図に歸還し得たことは、連合國當局の絶大なる同情によつたものであることを日本國民は深く感謝し、更に七十餘萬の海外殘留同胞を本年結氷期までに、是非とも歸還完了せしめられるよう連合國當局に懇請してやまないのである。
  しかしてれこれら引揚同胞が速かに正常なる国民生活に復歸することは、國内の現状からして決して容易なことでない。彼等は家も土地も職業も失い、殊に多年海外にあつたために本國に人的關係少く從つて信用もまた薄いために、就職することも企業を起すことも容易なことではない。これを本図にいた國民と同じように待遇したならば、それは非常に大きな差等がつけられる結果になることは明らかである。從つてこの差等を出来る限り少くし、速かに彼等を自立更生せしめることは絶対に必要であり、又連合國の好意に副う所以である。
  よつて参議院は引揚同胞更生のため次の如き判策を積極化すべきことを決意し、政府もまたこの決議に副い善處せられんことを要請してやまない。
 一、引揚同胞対策を合理的に處理するために強力なる審議機關を設置すべきである。
 二、今後の引揚者復員者に對しては歸還の日より一カ年間各種の税金を免除すべきである。
 三、引揚者復員者の智識と技術を活かし且つ彼等の希望を達せしめるために、機會を均等にし門戸開放の政策をとる必要がある。これがため動勢希望者には職業を、事業經營希望者には資金資材と企業權を、就農希望者には土地資金と農具を、計畫的に配當する措置を講ずると共に、これら引揚者復員者に對する社會保障的制度を設けるべきである。
 四、引揚者の大部分は住宅を持たないから、これらに住宅を與うるために、餘裕住宅並びに國有建物の解放等の處置を講ずべきである。少くとも二十萬戸の住宅を緊急に建設する必要がある。
 五、引揚者が海外において喪失した財産については、戰爭犠牲負擔を公平化する原則に基き、國家は出來る限りの方途を講ずべきである。
 六、遺家族、留守家族に對してはその實状に即して、援護を積極的に行うべきである。
 右決議する。
#33
○細川嘉六君 審議機關とはどういう意味でありますか。
#34
○北條秀一君 中央勞働委員會に準ずるような組織で戰爭犠牲者を處理するようなとの意味で、現在の引揚援護院は緊急援護をその任務としておるのに反して、これは定著援護のための機關にしようとする意味であります。引揚第一船が入港する前にこの決議案を上程して頂きたいと存じます。
#35
○穗積眞六郎君 第三項中「今後の」とあるは「これらの」とした方がいいと思いますが。
#36
○北條秀一君 原案通りの方がよいと思いますので「これら」と、もとのように訂正します。
#37
○委員長(中平常太郎君) ではお諮り致しますが、決議案を提出することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(中平常太郎君) それでは皆さん異議ないようでありますから、これを小委員會にて字句の訂正等がありますれば、もう一度審議して頂きまして、小委員を選定いたしたいと思いますが、その指名を委員長に一任させて頂けますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(中平常太郎君) それでは私から指名致します。北條君、紅露君、山田君、淺岡君、千田君、細川君の六君にお願いたします。では本日の委員會はこれにて散會いたします。
   午後三時四十三分散會
 出席者は左の通り
   委員長     中平常太郎君
   理事
           山田 節男君
           淺岡 信夫君
           北條 秀一君
           星野 芳樹君
   委員
           太田 敏兄君
           木内キヤウ君
           紅露 みつ君
           竹中 七郎君
           田村 文吉君
           穗積眞六郎君
           細川 嘉六君
           千田  正君
  委員外議員
           中西  功君
  政府委員
   外務事務官
   (管理局長)  倭島 英二君
   復員事務官
   (復員局經理部
   長)      遠藤 武勝君
   復員事務官
   (復員局付)  森田 俊介君
  説明員
   外務事務官
   (引揚課長)  高野 藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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