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1947/04/28 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 労働委員会 第4号
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1947/04/28 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 労働委員会 第4号

#1
第002回国会 労働委員会 第4号
昭和二十三年四月二十八日(水曜日)
   午前十一時十八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○夏時刻法案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長代理(姫井伊介君) 只今より本委員會を開會いたします。前以て御了解を得たいことは、今日も亦委員長竝びに理事の方のお見えがありませんので、昨日と同樣、年長の故をもちまして私委員長代理となることをお認めを願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長代理(姫井伊介君) この夏時刻法案は、衆議院において修正されたものが、こちらに送付されて參りました。これにつきまして政府委員の説明を求めます。
#4
○政府委員(松永義雄君) 衆議院で原案について御修正になつたのでございますが、その趣旨は、原案は自分等にとつては分るけれども、一般國民にとつては非常に分りにくい文章になつているから、これをできるだけ分り易い文句に直したらいいのではないかということで、衆議院の勞働委員會におかれまして、いろいろ御審議をなさいました結果、次に皆さんの前にお讀みいたすような文句に變えたのでございます。もとより原案の趣旨とは少しも相違がないのでございまして、ただこれを分り易くする。一般の人々に、讀んですぐ分るようにするという文句に直したに過ぎないのであります。以下これを讀み上げることにいたします。
 「夏時刻法案の一部を次のように修正する。
 本則を削り次の三條を加える。
 第一條 毎年四月の第一土曜日の午後十二時から九月の第二土曜日の翌日の午前零時までの間は、すべて中央標準時より一時間進めた時刻(夏時刻)を用いるものとする。但し特に中央標準時によることを定めた場合は、この限りでない。
 第二條 四月の第一土曜日の翌日(日曜日)は二十三時間をもつて一日とし、九月の第二土曜日は二十五時間をもつて一日とする。
   夏時刻の期間中のその他の日はすべて二十四時間をもつて一日とする。
 第三條 この法律の施行に關し、時間の計算に關する他の法律の規定の適用について必要な事項は、政令で、これを定める。
  附則第二項中「この法律の本則」を「この法律の第一條及び第二條」に改める。」
以上であります。
#5
○委員長代理(姫井伊介君) 御質疑の方は……。
#6
○早川愼一君 この法案そのものは、その趣旨とせられるところも誠に結構でありまして、それから又只今修正されたものは、原案よりもはつきりいたしておりますが、法案そのものについての意味はよく條文に表われておりますから、何らの問題がないと思いますが、ただこの法を實施する場合におきまして、いろいろ政府でこれからとられようとする、又すでに處置せられたことについて、この機會にお伺いをして明かにしておきたいと思うのであります。その第一は、在來日本の國にはサンマー・タイムというようなものは實際はとられておりませんでしたけれども、官廳その他學校、工場、會社、銀行等では、冬と夏とではサンマー・タイムという意味ではありませんが、一時間繰上げまして、つまり冬が九時でありますと、夏は八時というふうな、一時間の差がついておりましたが、これをそのまま本法を實施いたしますというと、事實は二時間繰上げるというふうなことになりまして、國民の實際生活の上から多少無理ではないかというふうに心配されるのであります。即ち言葉を換えて申しますれば、就業時間の如きは在來一時間繰上つておりましたのを、一年を通じて九時に就業する。而して本法を實施しますと、それが事實上一時間の繰上げになる。こういうふうに實施せられますれば問題はないと思いますが、若し現行の官廳その他の時間を、就業時間等をそのまま置きまして、サンマー・タイムを實施した場合に、二時間の繰上げということが實際果して適當であるかどうか。又これに對して政府では何らかの御措置をなさるようになつておるのかどうか。この點を明かにして置きたいと思います。
 それから第二は、本法を施行せられました結果、先に申しましたように、いろいろ實際の勤務がこのまま實施されますというと、二時間繰上げるということになりまして、そうして終業は事實上三時に繰上がるというふうなことになりまして、始まる方は非常にうまく始まらずに、終りの方だけきちんきちんと實施せられるということになりますというと、能率が非常に落ちるのではないか。そういうふうな心配が多分にされるのでありますが、これらの點についての政府の御見解なり、又それに對する措置等についても十分伺つて置きたいと思います。
 それから尚最も我々の國民生活に關係のありますのは、鐵道の列車時刻の關係でありますが、移り變りの最初の日、若しくは最後の日、この御措置がどういうふうに取られておりまするか、これを尚承わりたいと思います。尚一時的混亂は、相當一般公業に周知せしめる必要もありますし、又同時に列車運轉等におきましての從業員の移り變りに對する措置等は、若し一旦非常にスムースに行きません場合には、非常な混亂を來す結果になると思いますし、それらの點についての、只今までとられた措置、又これからどういうふうになさるつもりか、それらの點を明らかにいたしておきたいと思います。もう時日も非常に切迫しておりまするから、恐らくはそれぞれの御措置はとられたことと信じますので、この際御説明を願いたいと思います。
#7
○政府委員(植竹春彦君) 私から、この席からお答え申上げます。早川さんの今の御質問、誠に御尤もなことで、運輸省關係の方でも同感に考えております。只今細かいことは檢討中でございまするが、この第一の御質疑につきましては、むしろ九月よりも、夏時刻に入るときが大事だと考えております。それで今日まで四月、十一月には通勤者、通學者に都合のいいように夏ダイヤ、冬ダイヤというものに、御承知の通り組み直しておりましたのでございまするが、本法案が通過いたしますると、その點につきまして二重の改正、いわば二重の改正というような形式にもなつて参りますので、若しそういうことであれば、事務的にも相當むずかしい點が生じるわけでございます。併し又本法案をうまく運用して參りますると、二重手間も要らず、一年を平均した、自然とシーズンに合つたダイヤ、通勤時刻、通學時刻の組み立になつて來るかと存じますので、その方針で以て目下檢討中でございます。そうして急激な二段の變化を防止して行きたい、こういう方針をとつております。それから第二番目の能率の點につきましては、勞働省關係の方面の方からお答えがあることと思いますが、第三の御質問に入りまして、つまり本法施行に伴つて、ダイヤはどういうふうに措置するかといふ、大體の御質問の趣旨がそこにあるかと存じますが、これはダイヤを改正いたしませんで、時計の針を進めて行くという方法によつて切替をして行こうと考えております。そうして時計の針を切替えます結果、運轉上の混亂につきましては、極力利用者側に對しましては新聞、ラジオ、或いは驛頭に公示いたしまして、もう五月一日に迫つております事態に萬全を期して今やつております。それから延著、遅著等のことにつきましては、最近甚だ殘念なことでございまするが、運輸事情からいたしまして、急行も延著する、それから普通列車もあり通り延著しておるようなわけでございまするので、逆に考えますると、延著、早著によりまする混亂は當局の十分な注意によりまして完全に囘避することができるだろう。できるだろうじやございません、できるとこう考えております。と申しまするけれども、やはりダイヤの切替、サンマー・タイムの切替によりまして、若しや間違いを起しては大變だというわけで、十分業務關係の各係官から現場へ連絡を只今とつております。
 それから最後の御質問の、實際の技術上の問題といたしましては、夏時間に切替りまする最終の十二時、それに近いものは繰上げ、それから離れますものは繰下げるようにいたして、ダイヤを變更することなくして、早著、延著を調整するように組立ててございます。
#8
○政府委員(松永義雄君) 學校、會社は從來冬と夏と出勤時刻を變えておるので、この際この法案によつてサンマー・タイムを規定することになりますと、二重になつて、ダブることになつて非常に不都合を生じやしないかという御疑念と、同時に今までの如くに夏冬變えておつた出勤時刻の相違を、そのまま採用して、從來の夏時刻における出勤時刻をそのままにしておいてはどうか。こういうような御質問と承わつたのでございますが、その御質問に對して、先ずお答えいたしたいことは、從來夏冬において出勤時刻、或いは登校時刻と申しますか、變えておるのは主として官廳及び學校でありまして、民間の會社の一般の慣わしとしましては、夏冬とも同時刻の出勤時刻でやつておるように承知いたしておるのであります。そこで學校及び官廳の出勤時刻でありますが、この點はやや理窟に走つて形式に陷るかも知れませんが、從來の學校及び官廳における夏時期の出勤時刻の相違の定めと、新たにここに決めますサンマー・タイムの規定とは、その精神觀念において相違があるというのでございまして、それとこれとは別のことに取扱う、こういうように考えておるのであります。即ち恐らくこの委員會で、すでに御質問があつてお答があつたと思うのでありますが、要するにサンマー・タイムを決めますということは、できるだけ夏季における日光の利用の増進をいたしまして、そうして健康を増大して行きたいという精神であるのでございまして學校及び官廳におきまして、夏には出勤及び登校時刻を早めておりますけれども、結果としまして、更にサンマー・タイムを利用することとなると、こう考えていいのであります。從つて實質上と申しますか、夏になりますと、出勤時刻が假りに一時間繰上つているとしますと、更にサンマー・タイムの規定によりまして、一時間繰上げてダブるような結果になるのでございまして、それも又この法案の趣旨の目指しておるがごとくに、日光の利用を増進して、そうして健康を増大すると共に、その他の幾多の利益の點も擧げて行きたいという考を持つているのであります。ただ御心配になつておりまする事前においてどういう措置をとつておつたか、或いは又將來どういう措置をとるという點でありますが、この點における心配は私としても極めて同感でございまして、非常に心配いたしている次第であります。事前におきましては言譯になるのでありますが、何しましても早急にここに法案が出て參りまして、そうして御審議を願つているような次第で、できるならば、もつと早くこの精神を國民の間に徹底さして置けばよかつたのではないかということは強く考えている次第でございまして、ただ早急にここに法案が出て參りましたために、御心配の點につきまして十分な措置をとることのできないことは、誠に遺憾と存ずる次第でございます。御趣旨の點につきましては、政府においても十分に努力する必要のあることは痛感いたしますと共に、努力いたして參りたいと存ずる次第でございます。
#9
○山田節男君 今の松永政務次官の御説明で趣旨は分りますが、大體サンマー・タイム、デーライト・セーヴイングということをやるのは、この法案の提出の理由にありましたように、日光を十分の利用して保健の増進、又他面燃料の節約というようなことが言われたのでありますが、一体サンマー・タイムというものは、これは勿論健康にいいということはそうでありますが、一面におきましては燃料、例えば煖房とか、或いは燈明に使います燃料を節約する、これと勞働におきましては、勞働能率を上げるということが主たる問題であつたのであります。これは一九〇七年に、イギリスにおきましてそういうような運動が起きて、一九十六年に立法化するまでの經過を見ましても、そういう趣旨であつたのであります。その最も著しい例は、今次の世界大戰におきまして、アメリカにおいては一九四二年、サンマー・タイムを特に取り上げまして、二月の九日から九月の三十日までやる、これは何故であるかと申しますと、要するに戰時のいろいろな資源の節約、それから勞働能率の向上ということが主たる目的であつたのであります。今日日本としましては、敗戰後生産施設が破壞され、資源が乏しく、我々は一面において非常な耐乏生活をしなければならんと同時に生活を合理化する、又健康を増進する、これがこのサンマー・タイムの發案の理由でなくてはならん。只今の松永政務次官の言われる理由も尤もでありますけれども、このサンマー・タイムの起原或いは意義というものから申しますと、もつともつとこれは重要な意味を持つておるのであります。こういうわけでありまして、ここに提案されておりまする四月の第一土曜日から九月の第二土曜日に至るということは、これはアメリカも日本も幸に緯度が殆んど同じであります。今日日本は鹿兒島の奄美大島を含めまして、約北緯三十度、北は北緯四十五度でありますから、これはアメリカ大陸と緯度はちつとも違つておりません。こういうように日本の經濟が非常に衰退しており、而も生産復興、經濟復興が非常に強く叫ばれておるということと、日本の國民の低下しておる健康を増進する、こういうような意味におきまして、これは只今提案になつておる四月の第一土曜日から九月の第二土曜日までということは、これはもつと檢討すべきであつたと思います。只今早川委員から御指摘がありましたが、こう言つた一片の法律で、こういうものを國民に強制する。こういうやり方は今日の時勢には合わないのであります。殊に日常の生活に非常に重大な影響を持つたものでありますから、これを一囘の公聽會も開かないで法制化するということは、非常に私は輕卒であつたと思います。これは早川委員が指摘されたように、この法案を實施するにつきましては、何故こういうことをするのだということを、これを一つ政府は實施しますと同時に、極く分り易く、又これをよく利用するように、責任をもつてこれを普及宣傳する必要があると思います。これは昨年におきましては、アメリカでは四月の二十七日の午前二時から九月の二十八日の午後二時までと制定しておる。又ワシントン州はこれと別にしまして、五月十五日から九月二十八日までやつておりますが、これはアメリカの多くの州が行なつておるサンマー・タイムの期間を取つたように私には思われるのであります。先程申上げましたように、日本國民は經濟の復興、健康の増進、或いは燃料節約という點から、この四月の第一土曜日から九月の第二土曜日までということは、むしろ期間が餘り少な過ぎる、先程申上げましたように、第二次世界大戰が勃發しまして、一九四二年におきましては、我が國と殆んど緯度を同じくするアメリカにおきましては、二月の九日から九月三十日までサンマー・タイムを實施しておる、いわゆる冬もサンマー・タイムを利用しておる。これは私は非常に大きな示唆を持つものと思うのでありまして、このサンマー・タイムの實施期間は、そういうことから見ますると、この制定理由に、日本が今非常な非常時にあることの認識が足りない。アメリカの一般的なサンマー・タイムということについて、先程の次官の説明にあつたに拘らず、この點に對する研究と誠意が足りないという、こういうことを私は言わざるを得ない。それからもう一つこのサンマー・タイムを、これを公式のものと見るか、或いは非公式と見るか、こういう説明がないのであります。勿論ここにある通りに、特に中央標準時によると定めた場合には、中央標準時によることになると思うのでありまするが、併しながら、これはいずれ政令によつて定められるということがここに謳つてあるのでありまするけれども、一旦サンマー・タイムを適用されるものは、これは例えば勞働時間或いはその他いろいろこれは影響が出てくると思うのでありますが、このサンマー・タイムを飽くまでオフイシヤルな、公式のものとして採るかどうか、これが私はこの法案に明かにされていないと思うのでありますが、私はこれに對しまする御意見を伺いたいと思います。
 それから勞働省の方は見えておりますか……これは勞働省の方に申上げた方がいいと思うのでありますが、サンマー・タイムの施行について、やはり一番影響を受けるのは勞働階級であります。從來歐米におきまするサンマー・タイムの施行につきまして、強く反對を叫ばれておるのは農業方面であります。これは季節に支配される農業という特性もありましようが、殊に農業勞働者、例えば乳を搾るミルク・メイドでありますが、そういつた者が、若しこのサンマー・タイムを殆ど半ケ年間利用されるということになつて來ますと、夜が明ける早い時に、折角朝の時間を多く利用しておる者が、サンマー・タイムを利用されたために、一年中殆んど日の出る前に仕事をしなくちやならんというような、勞働基準法の精神から言つても重大なものになつておるのであります。そういうようなこと。それからこれは日本でもまだ、今の次官の御説明によると、それほどの調査ができていないようでありますが、一般農産物の收穫ということにつきまして、この勞働時間が一時間早くなるために、それによつてこの收穫の當時に勞働能率が上がらない。或いは勞働し得ないというようなものがあるのじやないか。これは數においては少いかも知れませんけれども、例えばイギリスにおきまして、このサンマー・タイムの採用について、國會において議論が行われました時に、主として農業勞働者、農業方面、例えば秣であるとか、或いは「とうもろこし」のようなものの收穫というものは、一時間繰上げると、例えば露が非常に多くて手がつけられないというようなことで非常に問題になつたということも、私は記憶し、又記録を讀んでおるのであります。そういうようなものに對しまして、これは日本におきましても、いろいろそういう問題は起きて來るでらうと思います。そういう問題が起きた場合に、先程申上げましたように、サンマー・タイムを公式と見るか、これは非常に重要な問題でありますから、この點に對して、政府は如何なる見解を持つておるか、お伺いしたいのであります。
#10
○政府委員(松永義雄君) 只今山田委員の御經驗と蘊蓄を傾けました御意見を承わりまして、非常に感謝に堪えないところでございます。大體山田委員もすでに外國で御承知になつておることで、更にここに説明を加える必要はないと思うのでありますが、サンマー・タイムを決めました、つまり出勤時刻を決めましたその時間の點でありまするが、大體日の出後二時間程度で以て事務所が開かれるということを前提として、その時期を選んだ次第でございます。即ち四月の第一土曜日、九月の第二土曜日を選んだ理由でございます。大體東京におきましては、冬至には、日の出は七時頃でございますが、四月十日前後から五時半頃になりまして、夏至には四時半頃となります。九月十日頃再び五時半頃になります。大體日の出から二時間乃至二時間半というところが、この四月の第一土曜日、九月の第二土曜日に當りますので、この日を、即ち大體四月十日及び九月十日前後を夏時刻に切替える日といたしたような次第でございます。尤も日本の國土の細長い、北から南に流れておる國柄としまして、その緯度の相違、或いは日の出及び日沒の時間が、緯度の高低によりまして相違が生じておることは、日本の緯度から自然の結果となるのでありまして、その點につきまして考慮しておつたわけでございます。ただこれは大體いろいろな情勢を考慮して、且つ天文學的の數字を標準といたした結果、そこに多少の弊害が生ずるのではありますが、併しサンマー・タイムを實行して參りたい。こういうふうに考えておる次第でございます。これが公式になるか、非公式になるかというお尋ねの点でございますが、とにかく夏時間を法案で決めますことは、これを原則として通して參りたい、こういうふうに考えております。特に法律や、法令や、條約によりまして、學術上或いは國際關係から中央標準時による旨が定められておりますものは、性質上從來通りとしておるのでご
 農業關係につきまして、乳搾りの勞働との關係という點で御心配がございましたが、これは適宜調節しても差支えない、こういうふうに考えますので、ただ常用時としては夏時刻によつて參りたいというふうに考えておる次第でございます。その意味におきまして、これは公式的に行なつて行くものを承知いたしておる次第でございます。
#11
○川村松助君 今の御説明ですが、先程申上げたこの公式か、非公式かという問題は、今も御説明があつたように、日本は三十度から四十五度までの可なり細長い線で、地理的な状態を示しておるのであります。でありますから、例えば北海道あたりは、これは非常に意味があると思うのですが、鹿兒島のごときは、これは果してどのくらいの利益があるか。北海道の北の果てと、鹿兒島の南の果てとは、相當この價値というものが、比較して見ますと、そう大した……鹿兒島の、例えば日本の南端といいますか、西端と申しますかは、餘り恩惠を得ないのでありますから、これを若し公式としないならば、これは領土が非常に狹いのでありますから、緯度から見て距離が長いということから、これを何とか……これを採用するとしないとは任意であるというように規定していいのか。只今の例えばミルク・マンのごとき場合におきましては、常用時の場合は公式と認めるが、併し特定の場合はこれを採らなくてもよいということになると、どうもこのサンマー・タイムということによつて示される時刻というものは非公式のものである。こういうふうにとつてよろしいのですか、お伺いいたします。
#12
○政府委員(松永義雄君) お尋ねの公式、非公式いずれを採つて行くかということこでございますが、このサンマー・タイムの法律を決めまして、そうして時刻の統一を圖つて參りたいことは、公共の福祉を保つ大きい意味があるのでございまして、そこに多少の不合理はございましようが、これを犠牲にしまして、非公式としないで以て、これを公式としていたすのでございます。ただ地方的に不都合は生ずる場合があるだろうと思いますが、そうした場合には出勤時刻を變えることは差支えない。つまりローカルタイムを定めることは差支えないというふうに考えておるような次第であります。
#13
○政府委員(小西桂太郎君) 先程御質問になりました點についてお答申上げます。
 第一に鐵道の列車の運轉に支障がないかという御質問でありますが、先程政務次官から御説明がありましたように、大體夏時間に變ります場合には、五月一日の二十四時間の前後に亙つて、五月一日から二日に亙つて運轉します列車につきまして、一部のものは發時刻を一時間上げる、一部のものは二日に亙つて遅れた時刻で運轉させるというような措置をとるのでありまして、これにつきましては全國の輸送關係の關係者を集めまして、いわゆる移り變りダイヤを作成いたしまして、これを直接列車を取扱います現場の從事員まで、十分周知徹底させる方策を立てましたので、この點についての御懸念はないと考える次第でございます。特に御承知のように、鐵道では時々列車時刻の改正をやりますが、この普通の時刻改正でも同じような列車の移り變りというものが起るのでありますが、今囘の夏時刻、サンマー・タイムの施行によるところの移り變りダイヤと申しますのは、大體一時間上げるか下げるかという程度のものでありまして、全般的に列車の時刻をいじるというものではありませんので、移り變りダイヤと言いましても、それ程面倒なものではございません。從いましてこれに對する御懸念は先ず必要ないと私思つております。第二の混亂を避けるためにどういうような措置を講じたか、又講じようとしておるかという點でありますが、これも今申しましたように、鐵道部内のものに對する混亂というものにつきましては、移り變りダイヤを作りまして、これによつてやつて行くわけでありますから、懸念ないと思います。從つて一般の旅客に對することでありますが、この切替ダイヤによつて旅客に迷惑を及ぼしたり、輸送力の著しい低下を來たすということはないということでございますが、ダイヤの切替等に亙つて、運轉する列車の時刻を、一時間程度上げたり下げたりする程度でありますので、これも列車を途中で打切るなんということはございませんので、豫めこの變更する時刻を新聞やラジオで、或いは又驛頭の掲示によつて周知させる手配をいたしますから、これによつて、こういうことを考えて御旅行願えれば、特別不測の迷惑を與えるということもあるまいというように考えております。一般に周知徹底をさせる方法につきましては、十分手配を講じたいと思つております。
#14
○政府委員(植竹春彦君) 先程ダイヤを改正する方法によらないで、時計の針を進める方法と申しますのは、分り易く申上げたので、嚴密な言葉では、只今運轉局長から説明申上げましたように、恆久的のダイヤ、即ち時間表を全部變えてしまうのでなくて、移り變りダイヤの方法によつて處理する。そういう意味によつてのダイヤは改正しないという意味と、さように御解釋願いたいと思います。
#15
○委員長代理(姫井伊介君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#16
○委員長代理(姫井伊介君) 速記を始めて……。
#17
○中野重治君 若しすでに答えられた問であつたら、私は撤囘します。問題は氣象臺、或いは燈臺、又それに關する通報なんかをやつておるような場所における時間そのものは、中央標準時で取扱われるわけですが、そういうところへ勤務する人々の勤務上の時間的規則は、これでやられるとすれば、そこに厄介な換算の問題が出て來ると思います。これは数字の上では簡單だと言えば簡單ではありますが、そういう場合はどう取扱われるかということと、それから夏のさなかの午後の三時乃至四時というふうなときに働けば、同じ時間でも不衞生であり能率が上らない。働く人間にとつては苦しいというようなことが考慮されておるのだとすれば、時刻を繰上げて仕事をした場合、残業の問題が當然出て來得るわけでありますが、この場合、この夏時間を定めねばならん程の理由を持つておるその時間における仕事、殘業というものは、丁度深夜業が取扱われるような特別の配慮によつて、例えば殘業の場合の歩増しの問題ですね、特別に扱われるかどうか。
 それから第三は、日本では科學的な教育ということが今まで不十分で、いろいろ國全體を弱める原因にそれがなつて來ておりますが、初等教育の面で、この問題をどういうふうに扱つて行くおつもりか。この三つの点を簡單にお答え願いたいと思います。
#18
○政府委員(植竹春彦君) 今の御質問の運輸省關係の部分についてお答え申上げます、定給與の方は減額いたしません。それから時間給の方、時間外手當とか、夜勤手當などについての時間給で計算する給與については、短縮されたり、延長されたりいたしました實際の時間によつて計算して、影響のないようにいたすことに方針を決定しております。それから殘業につきましても、運輸省關係の方の問題は、これまで通り變更ない方針でおります。
#19
○政府委員(松永義雄君) 中野委員の御質問の中、燈臺その他について中央標準時を採つておるのに拘わらず、そこへ勤めておられる方の勤務時間等の關係如何、こういう御質問のように伺つてのでございますが、氣象臺その他のこの點につきましては、材料蒐集とか、この他の點については中央標準時によるのでありまして、又燈臺等におきましても、同様中央標準時によるのでありますが、併し通勤等の一般生活につきましては、夏時刻を採つて参りたいと思うのでございます。その間不都合はなかろうと存じておる次第でございます。それから殘業の點については、特別の歩増しは考えておらないのでございますが、この點につきましては政令を以ちまして、割増資金を支拂うことのできるようにいたしたいと、かように考えておる次第であります。
 更に中野委員の御質問の中、賃金の問題について補充いたしておきたいと思うのでありますが、賃金につきましては、官業におきましては月給でございますから、その點は心配がないのでございまして、減ることはないのでございます。それから時間給のところにおきましても、八時間勞働なら八時間勞働といたしますれば、一時間削減いたしましても、八時間勞働の給料を拂いたい。更に最後の日に二十五時間のとき、一時間假に勞働時間が延びるというようなことがありましたときには、それは歩増しして参る。こういうふうに考えておる次第であります。
#20
○委員長代理(姫井伊介君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#21
○委員長代理(姫井伊介君) それでは速記を始めて下さい。
#22
○政府委員(松永義雄君) 先程の御質問の中で、夏、冬出勤時刻を異にしている。例えば官廰なら官廰におきまして、冬は九時、それから夏は八時というふうに定められておるのでありますが、その定め方の標準は、事務上の都合で定められたというのでありまして、この度のサンマー・タイムの夏時刻の定め方は、日光の利用を増進し、健康の、増大を圖るためのものでありまして、その精神、考え方が相違しておるのでございますので、從來夏、冬の事務上の相違による出勤時刻の相違によつて、影響せられることなく、夏時刻を實施して参りたいと存ずるのであります。即ち夏、事務上の都合で八時出勤になつておりますれば、このサンマー・タイムの法律によりまして、七時に出勤する。こういうことになるのであります。
#23
○中野重治君 私の問に對してお答えせられなかつた分は、お答えをこれ以上要求いたしません。お答えになつた部分について、賃金の問題ですが、運輸關係では、晝間の暑い時間に殘業について、特別の配慮を考えていないというお話でしたが、そちらの方のお話では、そういう場合に、特別の割増をなし得る政令を出すというお答えのように聞きましたが、そういうわけですか。
#24
○政府委員(松永義雄君) 中野委員の御質問にお答えいたします。只今の御質問の點には若干入つていないかと思うのでありまして、二十五時間になつたような場合に、假りに一時間延びるということになれば、その時は割増賃を出す。こういうことであります。
#25
○中野重治君 それは分りましたが、私の問は、この切替えの時ですね。或る一日が二十三時間になる、或る一日が二十五時間になる。この問題ではないのです。この問題は簡單明瞭で、すでにお答えになつたところで十分分ります。このサンマー・タイムが適用せられる、全期間を通じて、日々の勞働率というものは時間は一時間ですから、これは繰り上つておりますから、そうすると、これは一日の勞働時間の最後の第八時間目に續いて殘業が行われる。その殘業は、非常に惡條件の下における一時間であるということが認められなければならない。これはサンマー・タイムの政令がなくても、それが證據付けられておるのであります。その場合に、この眞晝或いは晝下りの或る一時間というものは、深藪業の場合の一時間と同一に扱うことはできませんけれども、そこに同樣の配慮が必要でめろうということは考えられる。從つてこの全期間を通じて、すべての日について、この時刻に相当する殘業については、特別の歩増しというようなものが與えられるべきではなかろうかと私は考えるのですが、その點はどうでしようか。切替の日の問ではないのです。
#26
○政府委員(松永義雄君) そこは考えていない。こうなつております。
#27
○政府委員(植竹春彦君) 運輸關係のお答えを申上げます。暑い時間に本當に炎暑の時に、勞務者が勤勞いたしますことは、本當に勤勞者に對しまして。十分の我々は理解と同情を持つておる次第でありますが、これまでも、やはりその炎天におきまして、勤務せられておつたのでありますが、丁度三時、四時の一番暑い時には、運輸省といたしましては、現在のところでは殘業時間に入つて参りません。普通の勞働時間に入つておりますので、現在のところでは、その問題は起きないものと考えております。それで私のお答えを終つておきます。
#28
○委員長代理(姫井伊介君) 質疑をこれで打ち切つてよろしうございますか。
#29
○中野重治君 私はこれでよろしうございます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長代理(姫井伊介君) それでは、質疑はないものと認めまして、直ちに討論に移ることといたします。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長代理(姫井伊介君) 異議なしと認めまして討論に入ります。御發言のお方は、賛否を明かにしてお述べを願います。
#32
○山田節男君 私は、この夏時刻法と、いうことによつて示された法案に對しましては、賛成する者であります。ただ先程御質問申上げたことに對する政府委員の御答辯が必ずしも私は滿足すべきものでなかつたと思うのであります。
 先程質問でも申上げましたように、これは單なるアメリカや、歐米諸國の眞似をするのではない。この趣旨は、やはり日光時間を節約して、燃料、煖を採ります採煖、或いは燈明、明りに使う燃料を節約すると同時に、一面勞働の能率を上げるということが、これが主たる問題でありまして、これは要するに、今日の日本の敗戰後における經済復興に役立ち、又終戰後におきまする肉體的、精神的に、非常に弛緩しておる状態を、これを囘復するということに主たる條件を認めなくちやならんと思います。その點におきまして、この提案の理由に説明してありまするところは、未だ私が申しまする點からしますと、不十分であると思うのであります。從つてこれを實施するに當りましては、政府は一般にこの趣旨が徹底するように、宣傳普及をなすことが非常に必要であると思うのであります。
 殊にこれが非常に獨裁的な、官僚だけで、一般の公聽會をも開かないで、こういう案を組んだということにつきましては、私は非常にこの點に對して遺憾を感ずるのであります。
 尚これに關しまして、夏時刻法という名稱でありますが、これはいわゆるサンマー・タイム、これは通稱そうであります。併しながら、これは各國共必ずしもサンマー・タイムと言つておるのではない。恐らくこれはアメリカの制度を見て、直ぐサンマー・タイムというものを夏時刻と、こう譯したのであろうと思うのであります。これは先程私は質問の時に申上げましたように、結局この日光時間を節約する、デイライト・タイムを節約するというのが趣旨であります。殊に今日、この日本におきまして、これを最初に實施するに當りまして、この夏時刻、四月から九月まで、春、夏、秋とかかるこの期間を、夏時刻とサンマー・タイムを直譯するということは、趣旨から申しましても、又名稱の概念から申しましても、誤解を招き易い。こういう意味におきまして、私はむしろ日光時節約時間、こういうように譯したら非常にこの趣旨がはつきりしていいのじやないか、こういうように考えております。尚この問題に、實施の効果としてまだ我々が見ない、いろんなトラブルが勞働方面において起きるということは十分豫期されるのでありますが、その點に關しましても、二三私の氣付いた點があるのでありますけれども、勞働關係の政府委員が參つておりませんので質問はいたしませんが、今後法律として實施し、本法案の最初に毎年という言葉を使つておりすが、この法律は決して永久的なものでない。これが趣旨が徹底しまして、輿論に從つて、若しこれを日本の今日の非常時的な情勢下に即應するために、このサンマー・タイムといつて示されている四月の第一土曜日から九月の第二土曜日までに至る期間は、必ずしもこれは今後の不動のものというようにとられないという意味におきまして、私は本案に賛成するものであります。
#33
○中野重治君 委員長から贊否をまず明かにしろというお話がありまして、これには贊成でありますけれども、私としましては贊成することもできず、反對することもできないという態度を一應表明しなければならないことを非常に遺憾とします。何故かと申しますと、今までのところ、これが法律として制定されるということによつて、總體的に能率が上るという點がどうも私には殘念ながら呑み込めません。それからこれによつて却つて能率が下る。或いは山田委員の言葉を拜借すれば、さまざまなトラブルが生ずるという可能性の方は考えられて、それを前以て遮斷すべき具體的の方策については、やはり不十分にしか政府委員側からのお答えを得られていない。私自身は或る季節に能率を上げるために、時刻の上でもいろいろの方式で能率を上げて行こうということに、もとより贊成ですけれども、このままの形では一應贊否を留保いたしたい。こう考えます。
#34
○委員長代理(姫井伊介君) 他に御發言ございませんか、では討論は終了したものと認めて、直ちに採決をいたします。夏時刻法案を議題といたします。尚念のために申上げますが、本案は衆議院において修正議決されたものが原案となつております。本案を原案通り可決することに贊成の方の御擧手を願います。
   〔擧手者多數〕
#35
○委員長代理(姫井伊介君) 多數と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本會議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、豫め多數意見者の承認を經なければならんことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、委員會における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長代理(姫井伊介君) 御異議ないと認めます。次に本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には、多數意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。
   〔多數意見者署名〕
#37
○委員長代理(姫井伊介君) 署名洩れはございませんが、ないと認めます。本日はこれにて散會いたします。
   午後零時三十六分散會
 出席者は左の通り
   委員長代理   姫井 伊介君
   委員
           赤松 常子君
           千葉  信君
           山田 節男君
           川村 松助君
           平岡 市三君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           竹下 豐次君
           早川 愼一君
           藤井 丙午君
           穗積眞六郎君
           松井 道夫君
           中野 重治君
  政府委員
   法務政務次官  松永 義雄君
   運輸政務次官  植竹 春彦君
   運 輸 技 官
   (鐵道總局運轉
   局長)     小西桂太郎君
ソース: 国立国会図書館
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