くにさくロゴ
1947/11/10 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第19号
姉妹サイト
 
1947/11/10 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第19号

#1
第001回国会 予算委員会 第19号
昭和二十二年十一月十日(月曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 小島 徹三君 理事 苫米地英俊君
   理事 庄司 一郎君 理事 川野 芳滿君
   理事 東井三代次君
      荒畑 勝三君    海野 三朗君
      加藤シヅエ君    河合 義一君
      黒田 寿男君    島田 晋作君
      竹谷源太郎君    中崎  敏君
      中原 健次君    西村 榮一君
      安平 鹿一君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    工藤 鐵男君
      古賀喜太郎君    五坪 茂雄君
      鈴木 強平君    鈴木 明良君
      佃  良一君   長野重右ヱ門君
      原 健三郎君    青木 孝義君
      淺利 三朗君    磯崎 貞序君
      角田 幸吉君    小峯 柳多君
      鈴木 正文君    世耕 弘一君
      西村 久之君    本多 市郎君
      今井  耕君    中村 寅太君
      野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  片山  哲君
          外務大臣  芦田  均君
          大藏大臣  栗栖 赳夫君
          厚生大臣  一松 定吉君
          國務大臣  和田 博雄君
 出席政府委員
        大藏政務次官  小坂善太郎君
         大藏事務官  河野 一之君
         大藏事務官  前尾繁三郎君
        農林政務次官  井上 良次君
        運輸政務次官  田中源三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第八號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 これより開會いたします。
 きのうに引續いて質問を續行いたします。原健三郎君。
#3
○原(健)委員 私は最初に芦田外務大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。この追加豫算を見ましても、私ははなはだ遺憾に思うのでありますが、日本は平和國家として今後立つていくということは、國是であります。しかしその平和國家として立つていく國是はきまつておるが、それを具體的にどうして維持していくかということが、どうも現われていない。世界に動亂が絶無だというなら問題はないのでありますが、今日冷靜に考えてみましても、世界に決して動亂がないなどとはどうも考えられない。そういうときに處して、つまり動亂があるかもしれないというときに處して、どうして日本が平和國家として平和を維持していくのであるかという、その具體的方策をお聽き申し上げたいのであります。
#4
○芦田國務大臣 ただいま原君から質問せられました問題は、おそらく日本全國民が重大な關心をもつている問題であるばかりでなしに、世界各國においても、きわめて注意深く考慮しつつある問題であると思うのです。新憲法制定以來、日本が平和愛好國民として、また文化的國家を目標とする新しい民族として、一切の軍備を放棄し、絶對に戰爭を否認するという態度を明らかにしたのでありますから、われわれの志すところ、その目標は、すでに明らかであるけれども、しからばその一方的な理想の表明をもつて、將來安泰に民族の經營を營むことができるのであろうかということは、われわれの當面する問題のうちで、最も重要なものであることは、いまさら申すまでもありません。その民族の安泰を期する方法には、おおよそ二つあると考えます。一つは、われわれが世界に先がけて一切の軍備を捨て、一切の戰爭を否認するというその理想をもつて他の國家に呼びかけ、世界を指導する一つの勢力の中心となるという積極的な部門であると思います。他の一つは、われわれ武装を解除したる國民が、安んじてその生活を營むことができるために、何らかの具體的の方法を考慮しなければならぬという部門であると思います。しかるにこの部門は、必ずしもわれわれ國民の希望と努力とのみによつて達成することのできない部門を含んでおる。この國民の安全保障を具體的に決定するということは、現在の日本の置かれておる環境においては、われわれ自身の意向によつてのみ決定することが困難な問題でありまして、それには連合諸國竝びに連合諸國の平和的の團體として活動をしておる國際連合、これらの意向とその構想によつて決定される部分がきわめて多いのであります。今日の情勢から見るならば、おそらく今後の日本の安全保障は、あるいは國際連合の力によつて、もしくは連合國の方策によつて、必ず考慮されることと信じております。それはすでに今日まで發表せられたる連合諸國の聲明、もしくは國際連合の目標によつて推測し得るのでありまして、おそらく來るべき講和會議の開催せられる前後においては、その全貌を明らかになし得ることができると思いますけれども、今日のところ、具體的にいかなる方法がとられるかということは、ここに的確につかむことができない状態にあると思います。
#5
○原(健)委員 日本が平和國家としてそれを維持していくのに、具體的に二つの方法があるということを、外務大臣は今示してくださつたのでありますが、それにはわれわれも全然同感であります。もう少し私が考えてみたいことは、もちろん國際連合に入れてもらうとか、連合國その他の意向によつてきまるということは言うまでもないのでありますが、同じ連合國から認められるにしても、あるいは國際連合に入れられるにしても、こちらが積極的にやるのとやらぬのとについては、非常に時期において相違があると思います。なるべくわれわれとしては、早く國際連合にも入れてもらうし、早く世界的に日本國民の平和愛好の意欲を知つてもらわなければならぬと思うのであります。早くしかも十分に認識してもらわねば效果が非常に薄いと思う。そのために私は二つのことを考えるのでありますが、それについて外相の意見をお伺いしたいと思うのであります。
 第一は日本の國民は非常に平和愛好の國民であるという、もつと一大國民運動を展開してはどうかと私は思うのであります。民主教育連盟とか何とかいうのもできた。民主政治の教育をすることが必要であるということで、そういうものもできておりますが、それと同樣に、もつと平和を日本國民が愛好しておるということを徹底的に國民運動を通して國民の意欲を盛んにし、それを同時に世界に知らしめることが私は必要であると思う。それでその平和愛好の國民運動を起す機關とか、組織というものをつくつて、大々的にこれをやれば、もつと私は日本國民の意欲を世界的にもほんとうに知つてもらうことができると思うのであります。これが第一であります。そういうことについて、どういう考えをおもちになつておるか。
 第二番目には、どうも外國人に言わすと、日本國民は口先では平和を愛するが、どうも眞意はわからないということを考えておる節がなきにしもあらずであります。それで私は具體的に、日本國民のうちにも眞に歴史的に見ましても、平和を愛好してきた人はたくさんあるし、それを文獻として著わしてきた人もたくさんあります。でありますから、日本の國民の歴史的に殘した平和に關する文獻というようなものを、私はぜひこれを集める必要があると思う。そうして世界に知らしめたらいい。日本國民にこれほど平和愛好の事實があつたということを知らしめたらいいと思う。さらにもつと海外のそういう人の文獻も集めたらいいと思うのであります。東西古今の平和に關する文獻を、ひとつ日本が中心になつてこれを集めてはどうかと思います。費用は三億圓でも五億圓ぐらいでも計上いたしまして、たとえ今年や來年と、そう急にはいきませんでしようが、日本が平和國家を建設するという國是に則つて、これぐらいの費用をかけることは大したことではないと思う。それをやる意思があられるかどうか、この點をお伺いいたしたいと思うのであります。
#6
○芦田國務大臣 ただいま原君の述べられました第一の問題は、平和愛好國民として、この際一大國民運動を展開する意向はないかということであります。御趣意はわれわれもとより同感であります。しかしながら、日本國民が眞に民主主義的な平和愛好國民であるか、あるいはこれにどの程度の國民的な運動が起りつつあるかということは、終戰當時より今日までの間に、われわれの日常二十四時間の生活によつて判斷せられており、それが外國に映つておるのでありますから、すべての祉會生活あるいは政治運動、勞働運動、經濟の運用、すべてにわたる日本國民の生活が、はたして眞に民主化されておるか。また平和愛好國民としてふさわしいものであるかということは、ある意味において、世界の注視の前にさらされておるのであります。從つて議會の運營を初めとしての政治運動、あるいは街頭における勞働運動、學校における教育の實情、すべてを總括して、日本ははたして民主國家として、平和愛好國家として、どれだけの業績を殘しつつあるかということが、來るべき講和會議においても、またそれ以後に引續く國際生活においても、諸外國の批判の的になるものと考えております。すでに憲法によつてわれわれの行くべき道は明らかになつておりますから、國民運動を展開するとしても、その運動の方法は、ただ從來のごとく形式的な、しかも政府から差金を受けた天降り的な、かような方法を一擲して、ほんとうに國民を率いていき、また國民の盛り上るその熱意によつて、毎日の行動が民主的であり、平和愛好的であることが必要であるということは、おそらく原君の御趣意に副うところと思います。そういう意味において、私どもは從來の花火線香式な、あるいは形式にとらわれた運動を、この際再び繰返すような意向はもつておりません。この際さらに深く掘り下げて、國民教育の方向、あるいは政治教育の方向、その他勞働運動に對するわれわれの心構え、すべてにおいて、その實績をあげることが必要であると考えておる次第であります。
 第二の點は、わが國にすでに古くより平和論者もあり、平和的思想のもとに行動した實績も殘つておるのであるから、この際廣く平和運動に關する文獻を集めて、一大研究所のごときものを設立する必要がないかという御議論であります。この問題につきましては、終戰直後幣原内閣においても、吉田内閣においても、平和研究所と稱する機關を設ける計畫を立てまして、一時その創立事務を預かる機關が設けられたのでありまして、不肖私がその副總裁として、ごく短期間席を汚したものであります。しかるところ、この機關の設立及び運用については、意外なる故障に逢著いたしまして、まだ正式に設立の法的手續をとるいとまもなくして解散した經過を踏んだのであります。しかしながら、おそらく遠からざる將來においては、この障害もおのずから解消することと考えられますから、かような時期になれば、原君のただいま提唱されたごとき機關をつくることは、さしたる困難はなかろうかと考えております。
#7
○原(健)委員 もう一點お伺いいたしたいことは、今全國をまわつて見ますと、日本の國民が一番望んでおることは、講和會議がいつ開かれるかということであります。もちろん日本が自分で開くのではないのでありますから、わからぬと言えばわからぬのでありますが、しかし日本國民が一日も早く講和會議を望んでいるという、この熱烈なる氣持は、これはおうべくもないのであります。その日本國民の要望にこたえて、外相は、講和會議はいつごろ開いてもらえるか等々の御意見を發表していただきたいのであります。しかもその國民が翹望している講和會議に對して、日本の政府はいかなる準備をやつておるのであるか。またその準備がどの程度まで進んでおるのであるか。また講和會議もさることながら、豫備會議についても同樣にその見透し、御見解を伺いたい。これは國民が非常に要望しておりますので、この際日本國民に適當にこれについての考えをまとめさせる上においても、ぜひ發表できる程度において發表していただきたいと思うのであります。
#8
○芦田國務大臣 連合國とわが國との間に、平和に關する會議がいつごろ開かれるであろうという問題は、全國民が重大な關心をもつている點であることは、ただいま原君の述べられた通りであります。しかしながら、原君も言われた通り、その講和の準備として豫備會議が開かれ、さらに正式の會議が開かれることでありましようが、一にかかつて連合諸國の意向によるのでありますから、現在の過程においていつかような會議が開かれるかということを明確にすることは、きわめて困難な問題であることを御了承ありたいと思うのであります。
 その會議に對する準備があるか。準備は先ほども申述べたごとく、一つは日本國民全體の心構えの問題、眞に平和愛好國民として、また民主的國家に漸次移行しつつある日本國民として、それがどの程度まで世界の平和會議の前に受入れられるであろうかという問題を中心として、一日も早くその態勢を整備するということが、日本國の講和會議に臨む根本的な、しかも最も重要な問題であることは申すまでもありません。原君の御質問は、おそらくそれらの問題はもはやわかりきつたことであるから、技術的に見て講和會議の準備はどこまでできているかという御質問であろうと思います。技術的の準備は外務省を初め大藏省、商工省、農林省、各省の間に、それぞれその分擔する部門において調査研究が行わるべき性質のものであります。これらの研究は、ただ役人の頭の中でだけ準備をするというわけにもいきません。書類も必要であれば、またそれぞれの人的機構も整えなければならないのでありますが、ただいま私がここでお答えし得ることは、それらの問題については、政府においても、それぞれ準備を行いつつあります。おそらくいついかなる時期に豫備會議の招集があつても、それに對して政府がまごつくようなおそれは萬々ないということを御承知おきをお願いしたい。
#9
○原(健)委員 技術的にはいろいろ準備を進められて、いついかなるときに豫備會議があつても、萬全を期しているという、非常に力強い御答辯で、ありがたく思いますが、もう一點お聽きいたしたいことは、講和會議に臨むにあたりましても、眞に日本國民の意欲を代表していくためには、内閣は私は強力でなければならぬと考えるのであります。はたしてこの片山内閣のごとく、今日きわめて弱體化している内閣において、この講和會議に臨むことができるか。國民の輿望を代表して力強く世界に向つて講和會議の代表を出すことができるかどうかを、私ははなはだ懸念するのでありますが、これについて、どういう考えをもつておられるか。
 また私をして言わしむるならば、講和會議に臨むときには、やはり強力なる内閣でなければならぬという考えのもとに、二つの考えをもつている。
 その一つは今日の事態のままならば、よろしく擧國政權を樹立して、國民が眞に一致して講和會議に臨んでいるという政治體制か、さもなければ、その前に總選擧を斷行して政黨を整理して、こういう小黨分裂から離れて二大政黨ぐらいにして、思い切つて單獨政權をもつて講和會議に臨むかのどちらかだと思うのであります。今日のままでいくならば、もつと強力な政權でいくか、このままでいけないならば、講和會議前において、早々に總選擧に訴えて、二大政黨ぐらいにして、單獨政權をもつてこれに臨むか、どちらかでなければならぬ。片山内閣のごとき餘命いくばくもないとうわさされ、また全國民から信用を非常に失墮していることもおおうべからざる事實であります。これでははなはだもつて頼りないと考えるのですが、外務大臣の御見解をお伺いいたします。
#10
○芦田國務大臣 ただいま原君よりいろいろと御意見の御發表があり、私も非常に興味深く拜聽しました。原君の御意見によれば、現内閣は著しく國民の信頼を失つているから、この形をもつて來るべき講和會議に臨むことは不適當であろうという御意向でありましたが、もとより講和會議の始まる時期が未定でありますから、講和會議と現内閣の壽命というものは、必ずしも相關連して考えるべき必要は少しもないのであります。しかしながら、それはしばらく別問題として、片山總理は去る六日に國會の絶對多數をもつて選定された總理大臣であります。その總理のもとに、衆議院においては絶對多數の支持者たる議員をもつていることも、御承知の通りであります。しからば本年四日の總選擧、もしくは六月に片山總理が國會の多數の信任を受けて就任して以後の國内の輿論が、著しく變つたという事實が、表面に現われているか。輿論の推移を知ることは、なかなか困難な問題でありまして、科學的に行はれた輿論調査ということも、一つの證據になるでありましよう。またときどき行われる議會の補缺選擧の結果も、一つの證據としてあげることはできると思いますが、わが國においては、不幸にして輿論の推移を科學的に的確につかむような方法があまり現在まで行われておりません。やや信頼するに足る事實は、おそらく國會の補缺選擧だろうと思いますが、これも衆議院議院員選擧は、ほとんど補缺選擧を行う期間がなかつたのであるから、唯一の補缺選擧は參議院の補缺選擧であります。鹿兒島縣を初めとして、群馬、栃木あるいは徳島、それらの補缺選擧の結果に照して見れば、現内閣が著しく國民の輿望を失つたという事實は、まだ現われていないのであります。そういう觀點から見まして、現内閣は著しく國民の信頼を失しておるから、餘命いくばくもあるまいという原君の御結論に對しては、必ずしも贊意を表することができません。
 さらに講和會議に臨むには、擧國的の内閣であるべきだという御議論でありまして、私もその念願においては同意であります。できるならば、かような形において今日政權が樹立されることが望ましいと思つております。それは必ずしも講和會議とのみ言わず、占領軍の治下における日本の政治のあり方としては、擧國的な政府樹立が、今日望ましいと考えておるのであります。その目的のために、本年の六月、われわれは最後まで努力したという事實は、おそらく原君も御承知であろうと思う。不幸にして自由黨はこの擧國政權に反對であり、今日は純野黨として政府反對の立場に立つておることも御承知の通りであります。これをどうして擧國的の内閣に改造するか、野黨と政府黨とが明白にその立場を異にして政策上の爭を續けている限り、これをいずれかに統合するということが、なかなか容易ならぬことであることも御承知のことと思う。從つて立憲政治の原則としては、國民の多數の意向を代表する者が政治の局に當るというのが常識でありまして、必ずしも擧國的な内閣でなければ、立憲政治の運用ができないというわけではありません。また原君のように、總選擧を行つて二大政黨の對立的な形にするがよかろうという御議論でありますが、これも選擧法の改正や政治家の差金だけでできることではありません。政黨の存在は自然發生的のものでありまして、二大政黨樹立に便宜な選擧法を考えるという方法はあります。しかしながら、選擧法の改正によつて、必ず二大政黨對立になるかといえば、もともと小黨分立という現象が現われるのは、國内における社會情勢から發生しておるのでありまして、これを單に一片の選擧法改正ぐらいのことで、その原因を解消することは、所詮不可能であります。かように私は考えるのでありまして、今度議會を解散すれば、次には二大政黨對立の政黨ができるというごとき確たる信念をもち得ないのであります。これは原君と私との意見の相違でありまして、これ以上論議を盡すことは必要のない問題だと思います。
#11
○鈴木委員長 原君はなお總理への質問を保留されておりますが、總理は午後に御出席のはずでありますから、そのときにいたします。川野芳滿君。
#12
○川野委員 私に與えられました時間は非常に短いので、抽象的な問題は拔きにいたしまして、具體的な問題について、少しくお尋ね申し上げたいと思う次第であります。
 まず農林大臣にお尋ねいたしたいと考えたのでありますが、政務次官から御答辯が願いたいのであります。私が先日本會議の席より災害の問題についてお尋ね申し上げたのでありまするが、當時大藏大臣の答辯には、納得いかざる點もあつたわけであります。しかしその災害の問題につきまして、本委員會において、小峯委員の質問に對する大藏大臣の答辯によりまして、その點は了解いたした次第であります。がしかし災害の起つてくるゆえんを少しく研究してみますると、先般の關東の大水害、あるいはまた東北地方のあの水害の原因を調べてみましても、戰時中におけるところの山林の濫伐というものが、その原因をなしておるということに相なつておるわけであります。ゆえに今日におきましては、この濫伐されたところの殘るあとの土地の植林をいかにすべきか、こういうことは、わが國にとりまして、まことに大きな問題であると、私は存ずる次第でありまするがゆえに、政府にどういう植林計畫があるか、またこの植林計畫に對する豫算措置は、どういうふうにお考えになつておるか、こういう點をまずお尋ね申し上げてみたいと存じます。
#13
○井上政府委員 今次の關東及び東北の水害の重大な原因が、山林の過伐にあるということは、衆目の一致するところであります。政府は戰時中荒廢しております林野の造林につきましては、五箇年計畫を樹立いたしまして、荒廢林地の造林に、具體的な對策を樹立いたしておりますが、何分にも最近のインフレの影響を受けまして、これを單に民間の造林だけに任しておきましたのでは、なかなか容易ならぬ状態にありますので、一つは政府の方において苗木の育成をいたしまして、これを民間の山林所有者に讓渡をいたす計畫を立て、さらに植林にいたしましても、昔ございました部分林制度をこの際とりまして、政府の手で植えるが、その代り伐採期の場合は、この權利を民間と政府との間でわかち合うというような契約をいたしまして、この際非常造林をいたす計畫を進めております。すでにお手もとにあります追加豫算の中にも、一部これが計上されておりまして、さらに將來わが國の財政の許す限り、また國會の皆樣方のあらゆる協力を得まして、この荒廢しております林地を、急速に造林する計畫を進めていきたいと考えております。なお具體的な造林計畫に關します數字につきましては、時間の關係上後ほど書類をもつてお示しいたすことにいたします。
#14
○川野委員 ただいまの御計畫を承つてみますると、一つの方法は民間をしてこれに造林させる。もう一つの方法は部分林をもつて造林させる。こういう御方針であるようであります。しかし今日民間人をして造林させると申しましても、おそらく民間人では造林の熱意に乏しいものと私は考えております。どういうわけかと申しますと、先般山林五町歩の説が起つてまいりまして、またある政黨の方々は、少くとも山林は五町歩以内に限定しなければいけない、こういうような議論をされる方もあります關係上、長い山林計畫を立てましても、將來どうなるかわからない、こういうような考えも起りまして、今日民間人の造林というものは、控え目控え目にやつております關係上、成績があがらないという現下の實情であります。そういたしますると、今後の造林計畫というものは、おそらく國によつて造林をされるか、あるいはまた多額の補助を出しまして、そうして民間にやらせるか、この二つの途を選ばなければ、私は造林というものはできないものであると考えております。しかしかくいたすにつきましては、非常な財源が要ると私は思うのでありますが、國家の今日の財政を考えてみますと、この財源の捻出ということも、なかなか至難のようである。そこで私は財源捻出の方法といたしまして、國有林の拂下という問題があると思う。今日相當なる國有林がわが國にあるということは御承知の通りであります。私の出身縣であります宮崎縣のごときは、山林の九割までが、國有林であります。しかもその國有林の中には、千占斧鉞を入れざる大森林等もありますが、かくのごとき國有林を拂下げまして、これを財源といたして植林をするということになりますならば、これは思い切つたところの植林計畫ができるじやないか、かく考えるわけであります。殊に伐採いたしました材木というものは、今日國民が一番困つておるところの住宅問題の解決にもなります。また今日わが國では非常に食糧に困つておるのでありますが、この伐採したところのある部分を開墾するということになるならば、食糧問題の解決にも相なる、こう考えますので、この國有林の拂下という問題を、政府としてはお取上げになつて、そうしてただいま申しましたような問題の解決の資に充てられる御意思はないか、この點を承つてみたいと存じます。
#15
○井上政府委員 荒廢した林野を造林するにつきましては、今お話の通り、單に民間だけにこれを任せておきましたのではできませんので、政府の責任をもちまして、政府で造林できる部分は、政府資金においてこれを行います。なお民有地の造林についても、今申しましたように、苗木を政府の方で斡旋いたし、かつ補助いたす、あるいはまた民間と部分林制度においてこれを造林するというような、官民協せて非常對策を講じたいというのが、政府の所信であります。なおこの造林ということは、非常に經費のかかることでございまして、一朝一夕に植林は完成をいたしませんので、その財源について、今お話のように、政府所有の國有林を必要の面に拂下げて、その財源に充ててはどうかという御意見については、一應ごもつともに伺いますが、御存じの通り、戰時中の濫伐、過伐が、今日の事態をみておりますことから、大體現在造林の育成状況を見ておりますと、伐採時期は、大體年二億石を伐ればちようど伐採の時期と相合致いたすのでありますが、現在二億七千石ほどのものを伐つております。從つて過伐の状態にあるという事實から考えまして、いたずらに國有林を拂下げるわけにはまいりません。ただ今お話のように、その國有林地の空地が開墾に適するとか、あるいはまた特に伐採時期に達しておりまして、これを用材、その他國の必要な面に拂下げることが適當であるというような場合は、國においてそれぞれの適當な處置を今日講じておるわけであります。ただそれら自然的諸條件や、あるいはまた國の必要面等をいろいろにらみました上で、適當にこれを處理したいと考えておるわけであります。
#16
○川野委員 國有林の拂下げ問題につきましても、ただいま御答辯のように、實は拂下げをある部分ではやつておられるようであります。しかし全國的に見ますると、國有林の拂下げを早目にやらなければならないような箇所につきましては、その處置が行われておらないのが現下の實情であります。ゆえにそういう點につきましては、よく御調査いただきまして、ただいま私が申しましたように、宮崎縣の須木村の國有林のごときは、まことに千古斧鉞を入れざる大森林でございまして、すでに伐採期も過ぎておるという現在の實情でありますので、こういう點については、少くとも早目に御調査になりまして、適當に御處置になることが、國家のためになると思いますので、そういう點も適當に御調査願い、適當に御處置あらんことを切望いたしておきます。
 なお砂糖の問題で、少しく申し上げてみたいと思うわけでございます。砂糖は臺灣を失つたわが國といたしましては、内地にできます砂糖は少量であることは、申し上げるまでもないことであります。しかし承るところによりますと、先般タバコの配給量を決定される時分に、タバコをもらわない人には砂糖をやる。こういうような實は御計畫もあつたかのように承つておるわけであります。それでまずわが國における砂糖の需給計畫をお尋ね申し上げてみたいと存じます。
#17
○井上政府委員 敗戰以來砂糖の主要産地であります南方の地域が失われましてから、非常に甘味料が不足をいたしております關係上、砂糖の代替といたしまして、サツカリンとかズルチンとかいうようなものを使つておる次第であります。今お尋ねの本年度の砂糖の需給計畫でありますが、これをこの際具體的に申し上げますと、需要は大體家庭用、人工哺乳添加用、乳幼兒用、外國人用、病人用、醫藥用、輸出罐詰菓子用、工業用、農家製糖工場への還元用、その他合計をいたしまして七十五萬五千五百ピクルになつております。これの供給は、昨年から本年に繰越しましたものが六萬五千四百六十七ピクル、それから二十一年度から二十二年度年期において、ビートの糖生産高が十三萬八百七十五ピクル、黒糖が五千二百五十五ピクル、それから本年の一月から四月までの輸入が九萬九千八百九ピクル、五月から十二月までの輸入見込みが五十六萬六千七百九十一ピクル。合計いたしまして八十七萬六千百二十七ピクルとなつております。そこでこれを昨年度の状況と比較して見ますと、昨年度の配給總量は二十三萬六千六ピクル、それの供給は三十萬一千四百七十三ピクルとなつております。從つて本年は昨年に比べますと、約三倍くらいの増量になつております、供給におきましても、約三倍近いものが確保されることになりますので、甘味料方面においては、相當明るい面が出てきていることを御了承いただきたいと思います。
#18
○川野委員 ただいまの御説明によりますと、甘味料も約三倍近くの量が増してまいつたようであります。從來砂糖等は砂糖の卸組合がございまして、これで取扱つておつたわけでありますが、承るところによりますと、今囘この砂糖等は食糧營團に取扱わせるように御變更になるというようなことも承つたのでございます。その點について伺つてみたいと存じます。
#19
○井上政府委員 これは目下國會に提出しております公團法の中において取扱うつもりでおります。
#20
○川野委員 ただいまの御説明によりますと、公團によつてお取扱いになるという話でございます。しかし靜かに考えてみますと、砂糖の卸組合、あるいは末端の商工協同組合、こういう團體は戰時中におきましても、企業整備を斷行いたしまして、企業整備によつてやめた人には相當のれん代を出しまして、そうして整理をいたしたというような過去の實績もあるわけであります。こういうふうにして多額の金を出してやつた砂糖の組合、あるいはまた地方の商工協同組合が、今囘食糧營團の取扱いになりますと、品物を取扱えないことにもなつてまいるわけであります。しかし現在におきましては、砂糖等におきましては、すべて切符制でありまして、切符によつて配給しておる現下の實情でありますので、何も食糧營團によつて取扱わないでも、現在の商工協同組合、あるいは砂糖卸商組合によつて取扱わせても、私は決して差支えないのではなかろうかと考えるわけでありますが、この點について、もう一囘お尋ねしてみたいと存じます。
#21
○井上政府委員 御意見の點はわかりますが、お説の通り、砂糖、甘味料を公團法において取扱い、政府の一手買取、一手販賣をいたそうという意味は、これはきわめて國民にとつて重要な食糧であるにかかわりませず、その供給がまことに少いということが一つであります。
 それからいま一つは、これを取扱つてきました從來の日本砂糖株式會社が、獨占禁止法に牴觸する危險がありますので、もしこれが閉鎖機關になつた場合は、非常に業界は混亂いたし、國民の必要なる砂糖が確保できないという點から、政府の責任においてこれを一手買取、一手販賣をする、こういうことにいたした方が、砂糖の需給でうまく行くではないかという趣旨で、ただいま國會に御審議を願つておるような次第であります。
#22
○川野委員 砂糖統制株式會社が、私的獨占法にかかりまして、そのかわりに公團によつておやりになる、こういう御答辯でありますが、しかし少くとも中央方面においては、そういう處置がとられましても、あるいはやむを得ないかとも考えまするが、この末端配給機關は、ただいま私が申しましたように、ほとんど全部切符によつて砂糖を配給いたしておるという現下の實情であります。それで現在の商工協同組合にやらせましても、何ら私は差支えないと考えておりますので、少くとも末端の點においては現在の商工協同組合にやらせて、これを利用するということにしていただきたいという希望を申し述べて、この點の質問は終ることにいたします。
 なおもう一點伺つてみたいと思いますることは、農地法の改正によりまして、小作制度が確立し、そうして小作料が金納制になつたことは、御承知の通りであります。當時の米の値段というものは、石七十五圓でございます。從つて小作料というものも、金納制になりましたが、その小作料は金納制とし、石七十五圓の値段できめられたわけであります。しかしながら、今日においては、米價も先ほど石千七百圓に決定いたしたような實情になつてまいりましたので、金納制になつたその小作料というものは、石七十五圓ではあまりに安きに失するかと、私は考えるのでございまするが、この點はいかにお考えになつておられまするか、お伺いいたしたいと存じます。
#23
○井上政府委員 あなたの御意見をお伺いいたしますと、一應ごもつとものように聞えるのでありますが、小作料を金納化にいたしましたのは、御存じの通り、昭和二十年でございまして、その當時の米價は、大體五十五圓ということであつたのでありますけれども、これを大體七十五圓という割をもつて換算して、今日の小作料をきめております。從つてこの小作料を動かしますと、いろいろな點に影響してまいりますので、今日ただちに小作料の引上に、政府はここで明確に贊成するというわけにまいりません。ただ土地のいろいろな利用の關係から、どうしてもこの小作料では引合わないというような諸條件が起つてまいりました場合は、たとえば土地にかかつてくる賦課の問題、あるいは水利費の問題等の負擔が非常に大きくなつてきたというようなことがあります場合には、一應小作者によつてそれらの點を了解して、小作料の問題について、當該農地委員會等において勘案されて、適當に整理される方が最も妥當ではないか、こういうふうに考えておりまして、全國的にこの際一律に小作料をどうするという意思はもつておりません。
#24
○川野委員 ただいまの御答辯では、いろいろな點に影響があるというお言葉があつたようであります。しかし今日小作料の石七十五圓というものが安いということは、私は天下萬人の認めているところであると考えております。殊に財産税の徴收、あるいは今日の税金の増徴、いろいろな點から考えても、今日石七十五圓の小作料では引合わないということは、私はこれははつきりした理論だと考えております。この點はいくら議論をしておりましてもしようがないから、どうぞ努力していただいて、だれが考えても米價が千七百圓になつた今日において、この石七十五圓の小作料では安過ぎるということは、萬人の認めておるところであると思いますので、いろいろな點もあろうと考えますが、この際ひとつ大いに御助力を賜り、そうして適當な金額にまでお引上げくださらんことを切望して、私の農林次官に對する質問を終ります。
 次に私は……。
#25
○鈴木委員長 川野さんあなたのこれからの御質問は、總務長官に對してですか。
#26
○川野委員 そうです。
#27
○鈴木委員長 それではその前に原君から農相兼任の總理大臣に質問をしたいということであります。そこで問題はやはり農村關係でございますから、この際原君より農村次官に對して御質問を願いたいと思います。原君。
#28
○原(健)委員 それでは簡單に御質問申し上げます。第一は、政府はなぜ農業保險制度を確立し、これを實施しないかということをお尋ねしたいと存じます。これはもう議論する必要はないのでありまして、昔でしたら、凶作とか、あるいは天災地變があつたときに、地主が負擔しておりましたが、今日農地改革に遇つて、こういうことはなくなつてしまつた。そこでせつかく農地改革をやつても、このままでは自作農は喜ぶことも少く、かえつて困つておることが多々あろうと思います。次に私は社會黨内閣は、農地改革をやつた後においては、少くとも二つの點をやらなければならぬ。すなわち農業協同組合と農業保險制度がそれであります。農業協同組合の方は、この間國會を通りましたが、殘された農業保險制度をやらなければ、これはまつたくお話にならないと思うのであります。御承知のように、全國農業會も、何囘も決議をして政府に迫つておりますが、政府では財政がこれを許さないという理由だけでありまして、はなはだ熱意がないのであります。社會黨首班の内閣であるのに、なぜこれに熱意を示さないのであるか、その見解をお聽きしたいのであります。自作になつても公課とか、税金とか、あるいは災害によつて、今たいへん困窮しておりますが、この點についての明快なる御答辯をお願いします。
#29
○井上政府委員 まつたくお説の通りでありまして、わが國の農業生産力を高めていきますのに、一つは農業協同組織と農業技術の向上と同時に、天災地變による災害の防止ということが基本でありまして、その災害によるいろいろな補償をせなければならぬ。そのために農業保險制度みたようなものを確立せよという御意見については、まつたく同感であります。從つて政府は今國會に對して、農業災害補償法案を農林委員會において、今御審議を願つております。この農業災害補償法案は、御承知の通り主要食糧、家畜、蠶絲、この三つを對象にして、さしあたり實行する計畫を立てておるのでありますが、さらに將來農業全般の生産物に對して適用するように、擴張せねばならぬと考えておりますが、これは直ちに本年の水稻及び麥から實行することにしておりまして、國會において御審議が終り次第、即日公布をいたして適用する積りでございます。この災害補償法が實施されますと、今次の水害、干害、あるいはまたは蟲害等の被害によるものについては、それぞれ一部救濟をされることになると考えております。
#30
○原(健)委員 今農林次官からちよつと話があつたのでありますが、もう一つ重大な問題は、政府もしばしば言つておるのでありますが、今日日本の農業においては、農業再編成に對して、よりよき技術をもつて、生産を増強しなければならぬということをしばしば言つております。それは根本方針でもあるようでありますが、それにはどうしても基本條件としての、農業技術員の生活を保障しなければならぬということは申すまでもないので、これは全國農業會その他から、盛んに陳情もきておるし、去年あたりからも、非常に熱烈に運動もやつております。農業技術員の給與は、全額國庫補助負擔が一番よいのでありますが、そうもいかなければ半額でもやるのか、三分の一でもやるのか、あるいはやらないのであるか、その點をお伺いいたしたいのであります。
#31
○井上政府委員 農業技術員の育成竝びにその待遇の問題につきましては、たびたび國會で問題になりまして、政府といたしましては、いろいろな形でこれらの技術員を育成し、そのもてる有能なる技術を、農業生産のために、高度に利用していただくという途を講じてまいりたいと考えまして、たとえば今度の協同組合法の實施にあたりましても、あるいは今國會で審議願つております臨時農業生産調整法の實施にあたりましても、それぞれ農業技術者を高度に利用できるような體制をとり、なおまた政府直轄で行うておりますところの各地方の指導農場等におきましても、それぞれこれらの優秀な技術者の活躍の途を開き、その地位を確保する手段を講じてまいつております。ただ技術者の待遇に關する全體の費用をどうするかという問題は、これは非常に大きな問題でありまして、今後政府は豫算の許す範圍において、財政その他と十分にらみ合わしまして、できるだけそれらの問題について善處してまいりたいと考えておる次第であります。
#32
○原(健)委員 もう一つ、これはわれわれの選擧區からも、方々からもしばしば尋ねてくるのでありますが、農地改革をもう一度やるのであるか、やらぬのであるか。そうしてこれによつて地主はあるいは土地を買上げられるのではないか、延いては山林も買上げられるのではないか。殊に社會黨内閣であるから、この點は非常に不安であるが、山林を買上げたりするのなら、今のうちに濫伐してしまうのがよいかということを、しばしば尋ねて來られるのであります。こういうことを考えておる人が、地方にはたくさんあると思いますが、この際農林當局の責任ある御答辯をお願いします。
#33
○井上政府委員 現在やつております第二次農地改革は、來年の三月を見透してやつておりますが、大體これは第二次の農地改革が圓滑に濟んだ後でないと、第三次農地改革をやるという計畫は、明確にこの際申し上げるわけにはまいりません。なお農地改革に伴つて、山林、林野の改革をやるのと違うのか。特に社會黨におきましては、土地國有とかいうような問題を、その政策の一つにもつている關係上、これら民間所有者は、非常な不安を抱いておる。こういうお話でございますが、これは前平野農林大臣も、農林委員會、その他の會議におきまして、前後三囘にわたりまして、政府は今日山林及び林野の改革といいますか、これをやる意思はないということを言明しております。なお林野局長官名をもつて、各府縣知事に、政府はそういう意思がないから、安んじて造林に、植林に、ひとつ御協力を願いたいということを徹底さしておるような次第でありまして、政府は今そういう意思をもつていないということを、この際重ねて言明をいたしておきます。
#34
○原(健)委員 農地改革の方は、一體山林と同樣にやらないという言明ができますか。どうでありますか。
#35
○井上政府委員 それはただいま申し上げました通り、第二次の農地改革の進行状況の結果を待たなければ、第三次の案が立たないのでありますから、その結果を見た上で、方針をきめる積りであります。
#36
○鈴木委員長 それでは安定本部において、本年度の第三・四半期、すなわち十二月までの産業資金計畫が御決定になつたようでございますから、川野君の總務長官に對する御質疑の前に、まず總務長官から、第三・四半期の産業資金計畫についての御説明を、お願いいたしたいと思います。
#37
○和田國務大臣 二十二年度の第三・四半期の産業資金計畫でありますが、これは本來ならば總合資金計畫としてお話できると非常にいいと思うのでありますが、財政資金の方がまだ四半期別のものをつくる段階に至つておりませんので、一應産業資金計畫だけについて、概略を御説明申し上げたいと思います。
 まず第一番は全貌でありますが、第三・四半期の産業資金の總額は四百二十五億圓、こういうことにいたしました。うち復興金融金庫が百四十億圓、一般金融機關が二百三十億圓、直接投資その他が五十五億圓ということになつております。第二・四半期の産業資金は、計畫が三百五億圓で、推定實績が三百二十億圓でありまして、これに比較しますと、今期の計畫は相當の増加になつておりますが、從來資金計畫の中に織りこまなかつた經濟事業兼營の金融機關、たとえば農業會等の兼營事業資金を、今期から考慮することになりまして、その他の中に約四十億圓が見込まれている關係もあり、實際には前期の實績に比して、約二〇%程度の増加でございます。この増加の原因はどの邊にあるかと言いますと、價格改訂が豫定より相當遲れて行われたということ、從いまして、價格改定の影響による所要資金の増加が本期に繰越されたことと、それから年末金融の關係で、季節的に膨脹するということを考慮したことに基因しております。全體的に産業資金計畫としましては、經濟再建上必要な重要産業に對しましては、極力これが維持擴張をはかりますとともに、不要産業の資金は、強度に抑制いたしまして、インフレーシヨンの促進を阻止するという方針のもとに、本期におきましても、前期來の方針を堅持しまして、所期の結果をあげていきたいと考えております。
 次に復興金融金庫について御説明申し上げます。復興金融金庫につきましては、從來同金庫によります資金供給額が、一般金融機關の資金供給額と、おおむね同額程度であり、いわゆる復金依存の傾向が非常に強くて、しかもこの復金債の大部分が御承知のように日銀引受となつておりまして、通貨増發の一因をなしておつたのであります。その點に鑑みまして、この第三・四半期においては、復金の金融融資を極力壓縮しますとともに、市中の蓄積資金の利用をはかりますために、復金の保證制度というものを活用することによりまして、復金の直接融資額を、前期の計畫と同樣に百四十億圓ということに抑制しました。そしてこれによりまして、復金融資と一般融資の比率を一對一・七という點まで引下げた次第でございます。
 從いまして、この復金の融資と復金保證は、特に重要な産業を中心といたしまして、實は配分いたしましたが、これらの査定にあたりましては、流通秩序の確立と相まちまして、政府の資材割當量を特に重要視しまして、物資需給計畫の實施上支障を來さないように努めて、資金計畫をきめました。そして所期の生産には支障のないように配慮いたしました。
 それから、次は一般の金融機關でございますが、一般の金融機關についてみますと、復金の保證融資と、地方の公共團體に對しまする融資とを含めまして、資金供給の純増は二百三十億圓でありますが、これに對しまする資金の蓄積は、一般の自由預金の増加五百五十億圓を目標とし、從來より一段と貯蓄の増強をはかることにいたしまして、第一封鎖預金の減少、その他を考慮しまして、一般の金融機關の純資金を四百三十億圓程度増加せしめ得られると、われわれは實は見積つて考えております。そうすると、融資準則の適用によりまして、約百七十億圓程度が、總金融機關の自主的な融資額となる見込みで、殘りが財政資金の所要額とも勘案して、緊急産業への融資と、それから國債、地方債、復金の金融債の消化その他に結局振向けられるということになつております。大體の方針といたしましては、金融機關に十分な協力を求めまして、このうち百二十億圓程度を財政資金に充てまして、日銀の背負いこみの傾向をできるだけ排除することにいたしたいと考えております。
 なお、これに關連いたしまして、前期計畫以降の金融情勢について、ちよつと一言御説明申の上げておきたいと思います。金融機關の融資が、經濟力の集中排除、それと閉鎖機關の懸念等の關係から、相當引締められまして、融資準則のわくが、實は多額に持越されまして、わく内融資ではなくて、わく外融資が殖えまして、實はわく内のわくが持越されまして、生産に支障を來した場合も少くなかつたというようにも傳えられておるのでありますが、公團資金がもつぱら實は復金によつて賄われるようになりましたことと、價格の改訂によりまして、赤字融資の必要が、原則的に消滅してしまいましたこと等によつて、一般金融機關の融資對象そのものが、從來に比較しまして、相當變化をしているのでございまして、閉鎖懸念に對しましては、過般實施した承認つきの融資制度の活用によりまして解消し、結局前期中の第二・四半期の融資計畫百五十億圓に對して、ただいままだ調査中のところ、百五十二億圓の融資が行われているのでありまして、必ずしも金融が不當に硬塞したということは言えないのでありまして、融資準則のわくが實は餘されましたのは、計畫に比較しまして、預金の延びが非常に好成績であつたということによるのでありまして、これによつて特に生産に支障を來したとは言い得られないと考えます。ただ集中排除による不安がまつたくないとは言い得ないのでありますが、この點は今後速やかに善處いたしまして、生産に阻害のないようにいたしたいと考えております。
 なおこの點につきましては、一般金融機關の融資對象でありまする企業の内容を健全化して、金融の圓滑をはかつていくことが、今後に殘された大きな問題であるということに、われわれとしては注意を向けていただきたいと思います。
 御參考までに總合資金の需給見込みをごく簡單にお話いたします。これはただいま冒頭に私御説明申し上げましたように、財政資金の方が、まだ四半期別に發表できる段階に至つておりませんので、單なる見込みでございますから、そういうお心持でお聽取りを願いたいと考えます。
 産業資金は四百二十五億でありますが、金融機關の資金増加額は、先ほど申し上げましたように、貯蓄目標も引上げ、資金吸收に一層努力するとしまして、約四百三十億圓程度の見込みでございます。これに直接の投資の十五億圓を加えまして、總資金供給額が四百四十五億圓となりますから、これを全部産業資金にまわすと假定しますれば、約二十億圓程度の餘力が殘されておることになります。四百二十五億圓と四百四十五億圓の差額だけが殘されるにすぎません。これに對しまして、財政資金は、第三・四半期中租税の徴收に格段の努力を加えまして、二百五十億圓程度收入を確保しますれば、これに專賣收入を含めて、一般會計において約百億圓程度の收入不足となる見込みで、特別會計は食糧管理會計とか、貿易資金會計であるとか、鐵道會計、遞信會計等で相當多額が見込まれ、全體で合計三百三十億圓程度は支拂超過となる見込みであります。また地方の財政は非常に逼迫しておりますので、少くとも、二、三十億圓程度の資金は必要であろうかと考えておるわけでありまして、結局こういうことをいろいろ考えてみますと、財政資金需要は三百五、六十億圓程度になるのではないかういう見透しであります。そこで資金の方の餘力は、冒頭に申し上げましたように、約二十億圓ということの見込みでありますから、二百三十五億圓が不足する。そして金融機關の手もと準備金等をも考慮しますと、大體三百五十億圓程度の通貨増發が行われて、先般私が申し上げましたように、大體年末には千九百二十億圓程度に達するのではないか、こういうようなことになろうかと思います。
 そこで實際の金融的な經過としましては、國債とか地方債等の若干の消化ができましても、復金債等の大部分はやはり日銀の引受ということになろうかと思います。こういう見込みにおきまして、結局一番問題になりますのは、先般この委員會におきましても問題になりました租税の徴收ということにならうかと思うのでありまして、この點については、われわれといたしましては、極力、大藏大臣その他が御説明申し上げましたように、税金の徴收ということを、ぜひはかつていきたいと考えておる次第であります。
 ごく概略でありますが、一應資金計畫の御説明を終ります。
#38
○鈴木委員長 それでは質疑を續けます。總務長官は、ただいまやむを得ない用事で、ちよつと中座されますから、川野君大藏省關係の御質疑を願います。
#39
○川野委員 酒、タバコの値上は、まことに遺憾千萬なことでありますので、この點について、少しくお尋ね申し上げてみたいと思います。
 まず先日井上農林政務次官のお話によりますと、酒釀造用の原料が非常に減つたような御説明がございましたが、今年度の酒釀造用の原料はどの程度にきまりましたか、その點をお尋ねしてみたいと思います。
#40
○小坂政府委員 お答え申し上げます。ただいま酒釀造用の原料につきましては、關係方面ともいろいろ研究を重ねておる次第でありまして、未だ確定にはなつておりません。ただ全般の状況といたしまして、四圍の情勢からみて、相當程度の減額を豫想されておるというふうにお聽きおきを願います。
#41
○川野委員 酒、タバコは今日贅澤品であると稱する一部の人もありますが、私をして言わしむるならば、生活必需品であると申し上げたいのであります。いかんとなれば、酒、タバコを供米用に使えば供米の成績が上つてまいる。また増産用に使うならば、増産の成績が上つてまいる。また事業促進用に使えば、事業が促進してまいる。こういう點から勘案しますと、いかに國民が酒、タバコを欲しておるか、こういう點ははつきりわかつてくることと私は存じます。ゆえにこの生活必需品であるところの酒、タバコの大幅値上というものは、千八百圓ベースに相當な影響が起つてくるものと私は存じます。殊にあまり大幅値上の結果は、私は密造を奬勵する結果に相なるのではなかろうかと考えておるわけであります。今日酒の例をとつてみましても、酒の密造に費す米というものは、大體二百萬石であると稱されております。昭和二十一年度の酒造用の配給米は六十五萬石でありましたが、配給米の三倍以上の米が、密造に費されておるとうわさされておるのであります。かくのごとき密造というものは、現在税務御當局におかれましても取締つておりますが、私をして言わしむれば、取締りは不可能である、こう申し上げたい。しかしこの密造に對しては、政府はどういう取締りを將來斷行される御意思であるか、伺つてみたいと思います。
#42
○小坂政府委員 酒、タバコが敗戰後の荒涼とした人生の中で、非常に大きなリフレツシユメントでありということは、だれも認めるにやぶさかでないと思います。しかし殊に酒の場合、主食を原料にするということの性質から、今の日本の苦しい食糧事情の中から、このリフレツシユメントをつくるために、酒の原料として相當の主食を潰していくということは、日本に好意をもつてくれておる對外的な關係方面との關係もいろいろございまして、なかなかただちにリフレツシユメントであるからこれを増産しろという議論も成立たないのであります。で、われわれとしては、こういうものを四圍の情勢から限られましたこの中で、でき得る限り低廉に、でき得る限り、數多く配給いたしますように、いろいろと苦心をいたしておるのであります。すなわち酒にしても、タバコにしても、一般の配給用にあてるものと、自由販賣にあてるものとの間には、相當の差等を設けて、タバコの場合は配給いたしますものは全然値上をしないということにいたしたような點によつて、御了解願いたいと存じますが、いろいろと苦心をいたしておるのであります。ただ自由販賣品が相當の値上になつたために、これは酒にしても、あるいはまた煙草にしても、購買力の限界に達して、他は密造という方面に逃れる心配があるのではないかという御議論も、その通りに考えるのであります。しかしながら、これは全體の國民心理を健康な軌道に乘せるということとも關係がありまして、私どもとしては、極力國民全體に敗戰後の國を立直すためには、ただその個人の快樂のみを追つておつたのではいけない、國民全體が何とかして國を建て直すように、いろいろ物心兩面から手を打つておるのであります。ただ精神的な面だけではだめなんでありまして、これを取締る面として、税務官吏の待遇を改善いたします一般的な措置の中に、この密造等に對してのいろいろな取締りをすること、この取締りをすることに對する報賞制、あるいは全般の官吏待遇の向上の問題等を合わせ考えておるわけであります。またこいうことは決して望ましいことではないのでありますが、罰則を強化するということも、またやむを得ないことでありまして、この措置をとる考えであります。
#43
○川野委員 御當局の御苦心の點は、私はよく了承いたすのでありますが、しかし實際面から見ると、いかに罰則を強化されましても、あるいはまた税務官吏を優遇されて摘發を強行されても、私は密造の取締りは不可能であると申し上げたい。なせならば、今日どういうふうな方法で密造をやつておるかと調べて見ますと、往復二時間以上かかる田舎の山の中において密造をやつておるという状態でございますので、おそらく税務官吏を増員されてお取締りをやつても、私は不可能であると申し上げたい。しからば道義的に國民が密造を止めるかと申しますと、先刻來申しましたように、ほとんど今日生活必需品となつておる建前から、酒、タバコを飲ませなければ、とうてい辛拘ができない。こういう實態にありますので、その實態を考えて、そうして政治の面を考えるということが、私は必要であると存じます。それではどういう方法をとつらたよいかという點になるわけであります。先刻も申しましたように、二百萬石になんなんとするところの密造米が使われておる。しからば、かりにその半分を正式ルートに乘せるところの方法を考えましても、わが國といたしましては、相當の財源にも相なるのである。今囘は酒の税金が石二百圓に相なつたようでありますが、かりに百萬石の米が正式のルートによつて税金を徴收されるということになりますと、大體三百萬圓の税金を徴收されることに相なるのであります。その正式ルートにはどうすればよいかという問題でありますが、これは供出を完納した農家に對して、一定量の酒を委託釀造させる。こういう政治のとり方をやるという問題であります。昨年もこれは問題になりまして、埼玉縣におきまして、實は一應試驗的につくらせるという方法もとられたようでありますが、供出を完納した農家が、一定量の酒ができるということになりますと、おそらく農家の方々は、自分の好きな酒がつくられるというので、供出を完納するものと考えるのであります。完納した殘りの食糧をもつて、一定量の酒を委託釀造する。こういうことになりますと、委託釀造でございますので、税金は徴收される。税金は徴收されるわ、供出は完納されるわ。こういうことになりますので、まさに私は一石二鳥の名案であると考えますが、こういう方面については、御研究になつたことはないのであるか、お尋ねしてみたいと存じます。
#44
○小坂政府委員 川野さんのいろいろの御心配は、まことに適切なものがあると考えております。われわれといたしましても、少い酒であり、少いタバコでありますから、これらのものを極力有效に利用いたしますように、いろいろと苦心をしております。タバコにいたしましても、酒にいたしましても、供出用あるいは勤勞者の勤勞意欲高揚のために、今の段階においてなされます最も適當な措置をとつておるというふうに考えておりますが、これは全體の關連をごらんになつていただきますと、アメリカにおきましても、御承知のようにマーシヤル・プランにおきまして歐洲再建のためウイスキーの増石高というものは五割を減らすということを言つておるのであります。そういう際でありますので、主食を原料とする酒をたくさんつくるということ、すでに今日の状況からいたしまして、非常に問題があるというふうに考えられますので、現在のところでは、御承知のような方向になつておるのであります。しかし先ほども御指摘になりましたような、埼玉縣の例、これは委託釀造ではございませんので、實際それだけ割戻したという形になつておりますが、そういつたようなできるだけの直接的な勤勞意欲、あるいは供出意欲を高進する方向にもつていくということは、たしかに政治の妙諦であると考えますので、いろいろそういう面も考えておりまするが、何分にもこれは國家全體の計畫の一環として考えられなくちやならぬ問題でございまするので、その點をいろいろと苦心し、一層效果的なものたらしめるように努力はいたしておる次第でございます。
#45
○川野委員 まだ質問もございますが、次は安本長官に對する御質問でございますので、あとにまわします。
#46
○鈴木委員長 それではお畫でございますから、これで休憩いたしまして、午後は劈頭に總理大臣がこられまするから、總理大臣に對する通告によりまする二、三の質問を先に片づけて、それから安本長官、大藏大臣がおいでになりますから、兩大臣への質問ということにいたしたいと思います。それでは休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時六分開議
#47
○鈴木委員長 それでは開會いたします。
 質問を續行いたしますが、總理大臣への御質疑で、原君が前に保留されておりましたから、原君どうぞ……。
#48
○原(健)委員 簡單に總理大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、過般政府は言論界のパージを發表いたしまして、最近にもその該當者の名前を發表いたしております。私はこれについて考えるのに、明らかに憲法違反であると考えるのであります。從つて無效であると考えます。何ゆえなら、本年の五月の三日以來は、日本の新憲法が效果を發しておるのであります。その憲法によるならば、御承知のように、國會は唯一の立法機關で、國權の最高機關であるとうたつてあります。かかるがゆえに、追放というような人權を剥奪する重大なる問題であります。その點人間の最も重大なものを決定するのに、單に政令とかいうようなものをもつて、これを行つておるということは、明らかに憲法違反であると、私は考えるのであります。これは違反であると同時に、無效である。こう考えるのでありますが、首相の所見を伺いたいのであります。
#49
○片山國務大臣 追放の問題は、中央資格審査委員會が決定をいたしまして發表するのでありまして、政府が直接に發表したこともないと存じまするし、筋が違つておると思うのです。條項に照らしまして、資格審査委員會が、きわめて愼重に公正にやつておると思います。その問題について異議のある方は、訴願の手續を訴願委員會にされまして、さらに資格についての審議を求められるという手順が殘されておるのでありまして、訴願委員會に採用せられたり、あるいは却下せられたり、その結果も訴願委員會として發表されるのでありまして、政府の發表にかかるものではないと考えておるのであります。
#50
○原(健)委員 政府が發表したものでないとおつしやるならば、そうかもしれませんが、それでは資格審査委員會は、何を基準にしてそういうことを審査しておるのであるか。本年の五月三日までは、政令とかいうようないろいろなものをもつて基準にしてもいいが、それ以後は、少くともそういうものは、私をして言わしむるならば、よるしく國會の承認を得た法律を基準にしてやるべきものであると考えるのであります。法律でなくして、五月三日以前と同じような基準をもつてやり、五月三日以前と以後を區別していない。同じことをずるずるべつたりにやつておることが、そもそも憲法違反であると思います。マツカーサー元帥のG・H・Qからきた場合はやむを得ないのでありますが、五月三日以後にそれはきておりません。でありますから、よろしく國會の協贊を得た法律をもつてこれを規定すべきものであると思うが、どうであるか。それを中央資格審査委員會は、その法律に從つて審査すればいいと私は思います。
#51
○片山國務大臣 それも一つのやり方には相違ないと思いまするが、現在のやり方は、政令等によりまして、大體の基準が定まつております。言論界あるいは財界、あるいは武徳會、そういう方面についてのいわゆるわくというものが定まつておりまして、そのわくに從つて中央資格審査委員會は、公正にわくにはいるかどうかという問題を審議されるのであります。なるほど憲法發布以前のやり方でありまするが、現在におきましても、そのやり方を踏襲いたしておるのでありまして、最も嚴密にかつ公正に、各方面の事情を照らし合わせまして處理いたしておりまするから、憲法の精神に違反することは、今日においてもないと思つております。また今すぐにこの政令によるやり方をかえまして、法律として國會に提出してやることも、現在の情勢においては、適當でないのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
#52
○鈴木委員長 原君、まだ長くかかりますか。
#53
○原(健)委員 もうかかりません。あと一分です。
 嚴正、公平にやられるなどということは、言わなくてもわかつておる話であります。私の尋ねておることは、先ほども申しましたように、總理大臣はやはり前の政令の基準に從つて中央資格審査委員會が嚴正、公平にやつておると言われるのでありますが、五月三日以前なら、政令によつてもいいが、それ以後は政令によつて中央資格審査委員會というものが、人權を剥奪するというような重大なことをやることは、どう考えても憲法の精神に則つておるとは考えられない。そういう人權を剥奪するということを政令によつて委員會がやつて、それが憲法の精神に反しないというなら、それから以後のあらゆることを政令で勝手にやつても、何らこれは憲法の精神に違反することにはならないということになる。總理大臣に對して、民主的に眞にこういう重大な問題は法律によつていただきたいということをお願いしたい。總理大臣の意向によると、目下のところは、そういうようにやろうとは思つていないという考えであるようでありましたが、目下はいけなければ、逐次そういう方面に向つてやつていただくことを希望いたします。
 もう一つ引續いてお願いしたいのでありますが、そういう見地に立つて法律でやつていただきたいと思いますが、この後追放のわくというものを、首相はこれから擴大する考えがあるのかないのか、この邊で止める考えかどうか。關係方面との連絡もあるでありましようが、首相の見解をお聽きいたしたいのであります。
#54
○片山國務大臣 できるだけ擴げないでやりたいと思つておるのでありますが、御承知のように、目下の情勢は敗戰後の各方面にわたる整理でありまして、一日も早く民主化の徹底をはかつて、軍國主義の拂拭をやらなければならない、こういう方針に向わなければならぬときでありますから、諸般の事情を考察いたしまして、いくらかの變更なり、わくの問題についての變化があることは、現在の情勢上やむを得ないということは、御了承願いたいと思います。
#55
○原(健)委員 時間がなくなりましたから、もう一つだけ聽いて終りたいと思います。
#56
○鈴木委員長 あなたの時間はもうとつくになくなつておるので、特別にやらしておるのです。
#57
○原(健)委員 それで私どもは最近非常に遺憾に思つておるのであります。片山首相はクリスチヤンであつて、最も人格高潔なる人で、公明な政治を運用されることを非常に期待いたしておつたのでありますが、最近において首相は追放問題に絡んで、われわれは固より、天下國民も非常に疑惑をもつてみておる。首相は平野農相を罷免するにあたつて、平野農相の言動は非協力的で、政策の遂行をすることはできないと言明いたしております。そうかと思えば、新聞記者に話したときには、西尾さんもこれは追放關係だとか言つて、議會の本會議においては、これは全然新聞の誤報であると言う。さらにまた一轉して新聞記者に對してはこれはどうも遺憾であつたと言つておる。この遺憾であつたという意味は、誤報でなかつたということを言つておるが、本會議で言つたのがほんとうなのか、最近新聞記者に遺憾であつたと言うたのがほんとうであるのか、この點がはなはだわからないのでお聽きしたいのが、第一點。
 第二にお聽きしたいのは、平野農相の罷免の理由として言われた政策の遂行を期することができなかつたというのは、いかなる政策であつたのか、政策が合致しないというのは、いついかなる閣議においてこれが意見が一致しなかつたのかということをお聽きしたいのである。これは政策で意見が一致しなかつたというならば、閣議でどうしても意見が一致せずして、罷免するにあらずんば閣内の統一ができない、こういうことでなければならぬと思う。ただ單に意見が合わなかつたとかいうことではないはずである。われわれが調査した範圍においては、閣議において閣僚の意見が不一致をみて、平野農相と他の閣僚が全面的に衝突して決裂したということは聽いておりません。しかるに政策で行詰つて、遂行することができないがゆえに罷免したとおつしやるが、いかなる政策で、いかなる閣議において政策上の不一致をみたのかということをお教え願いたいと思います。
#58
○鈴木委員長 原君に御注意いたしますが、質問はこれで終りでありますか。
#59
○原(健)委員 これで終ります。
#60
○片山國務大臣 平野君に對しまして辭職を求めました理由は、原君がお示しの通り、政策に關して非協力であつた。これでは政策の遂行をなすことができない。こういう理由で辭職を求めたのでありまして、私が國會において御報告すべき政策非協力という言葉は、あとのこまかいことを申し上げずとも、その言葉で十分に御説明できておると思うのであります。どの閣議で、どの問題についてというような内部の關係は、この際は差控えておきたいと存じます。
 なお今までの經過について、いろいろのいきさつがありましたが、これも原君の御判斷に一任しておきたいと思いまして、今かれこれ申し上げることも差控えたいと思います。
#61
○加藤(シ)委員 私は片山總理大臣にお伺いいたしたいと存じます。私は國の豫算は、そのときの國策を映し出すところの鏡のようなものであると存じます。しかるにこの豫算において最も重大なる國策の一つでなければならぬと思われる問題が、まつたく缺如していることを、私は發見するのでございます。それはわが國の人口問題のことでございます。わが國の人口政策は、今日産業、文化、生活等、あらゆる問題に重大な關連があるにもかかわらず、片山内閣は成立以來、未だ國策としての人口政策の確立を見ず、わずか厚生省の一部にささやかな人口問題研究所が、戰時におけるわが國一億大人口政策の名殘りを止めているにすぎない。このことを見るのは、非常に私は遺憾とするところでございます。無謀な戰爭の結果、わが國は國土の約四六%を失い、資源は乏しく、國土は狹隘であります。そこへ海外よりの引揚同胞を加えて、今日七千七百萬の大人口を擁しております。この状態は、まさしく人口過剩の現象として、國内的には生活難からくるいろいろの問題を起し、國際的には日本がこの過剩人口をいかに處理するかについて、多大の注目が拂われております。
 日本は國内で生産し得る食糧をもつて自給自足し得ることは絶對に不可能であります。連合國側の好意による食糧輸入によつて、さいわいにして餓死者を出さずに今日まで來ております。この際われわれ國民が人口對策確立の急務を感ずることは、まことに當然ではないかと存じます。今日のわが國の人口問題に對して、戰後最初に簡單率直な解明をせられましたのは、昨年の二月九日の連合軍總司令部公共衞生福祉部長サムス大佐のそれでございます。この解明によりますと、日本國民が戰爭前に攝取していた一人當り二千百六十カロリーの熱量で、今日なお日本の人口を養おうとすれば、現在の日本が養い得る人口は、わずかに四千七百萬にすぎないということが發表されております。このカロリー水準を戰前の平均二千六十カロリーに求めず、今日のいわゆる衞生學上の見地から見て日本人が絶對必要とするところの最低平均カロリーである千八百カロリーまで引下げて換算するとしても、今日のわが國の全人口の必要とする食糧を維持するためには、一年に三百五十萬トンの食糧の輸入が必要であることは周知の事實でございます。そこで人口對策としては、一、必要食糧を輸入するための見返り物資を輸出し得るような、高度に工業化された産業組織をもつこと、二、日本過剩人口の海外移民、三、産兒制限措置の實施、この三つが提示されたのでございます。この三つの觀點からなる人口對策を、限られた時間の中において質問することはできませんすで、私はこの中の第二の日本人の海外移民に關する問題と、第三の産兒調節措置の實施に關連して、政府の御所信を總理大臣より承りたいと存じます。
 總理大臣は、講和會議を目前に控えて、講和會議はぜひ現内閣によつてこれに臨みたいという御決意を發表されておりますが、しからばこの講和會議に臨む現政府の心構えなるものは、單なる精神的心構えのみで臨まれるおつもりでございますか。または、その心構えとは、敗戰國の立場ではありながら、將來國際連合の仲間入りをするほどの希望をもつておる日本國としての、具體案の裏づけある心構えであるかを承りたいのであります。もとより具體案と申しましても、こちらから注文を提出することのできない立場にあることは、申すまでもございませんが、日本の過剩人口問題解決策の一つとしての移民問題が、講和會議において何らかの形で取上げられた場合のことを考えて見る必要はないでございましようか。もし講和會議において移民問題が取上げられたとしたならば、終戰後の日本において何らかの人口對策が、國策として取上げられているかいないかということは、世界の世論に及ぼす影響が甚大なるものがあるのではないでございましようか。民主主義國家の心理を考えて見ますと、それは常に天はみずから助くる者を助くという考え方でございます。從つて日本としては、自國の人口問題がこれほど切迫した性質であるにもかかわらず、何ら對策を講じていないのでは、講和會議に臨んで、はなはだ立場がよろしくないと懸念されます。日本が現在過剩人口に惱むといいながら、國勢調査によりますと、昨年四月より本年十月までの一年半の人口増加は、約五百萬であつたことを示しております。これは復員引揚等が加わつて、異常な増加となつてはおりますけれども、これを別といたしましても、年々二百數十萬の出産を見、約百萬の人口の自然増加を見ておることは、そこにそれ自身大きな問題を提示しております。科學の發達しなかつた時代のことならいざ知らず、また未だかつて科學を取入れる能力をもつていない無智蒙昧の未開民俗ならいざ知らず、いやしくも科學日本をもつて自認していたわが國が、人口増加はまつたくの自然現象なりとして放置して顧みず、しかも過去においてわが國における人口増加が、日本の軍國主義的膨脹政策の最大原因をなしていたことを思うならば、その戰爭の原因を今日依然としてそのまま放置して顧みられないことは、片山首相が日ごろから言われる、國際的には平和主義を唱えられるそのお言葉が、一片の空念佛としてしか受取られなくなるものでございます。首相は今こそその平和主義に對しても、過去の日本を國際的大ばくちに投げ込んだ、人口過剩國の權利といつたようた危險なフアツシヨ的人口論を清算して、平和的人口論の確立をはからなくてはならないのではございますまいか。私は片山首相の國際的平和主義を、感情的、抽象的なものに終らせないためには、政府は強力にして科學的な人口對策機關をもたれ、一國の人口問題は、他國の人口稀薄な所などを指をくわえてながめるのではなく、また、持てる國と持たない國との間に、暴力に訴え、あるいは民族的勇猛心を發揮させる危險な原因を將來殘すような不明を一掃して、人口問題は國内的に、自主的に處理しない限り、その國の生存は保障されないという冷嚴な世界情勢の現實に目を注ぎ、生活組織の科學化による以外、解決の方法はないことを認められませんか。
 さらに、この生活組織の科學化の一方法として、私は、この際國家的見地よりする産兒調節の徹底的普及の必要を認めるものでございます。このような、自國の問題は自國内で自主的に處理することの決意を國家及び國民が固めたときに、はじめて移民問題の前途にも光明を見出されるのではないかと存じます。最近の新聞によりますと、目下來朝中のシカゴ・トリビユーン紙の社主ロバート・マコーミツク氏が四日片山首相と懇談された席上において、米國における對日感情もだんだん好轉しつつあることを傳えられております。また日本の過剩人口については、人口稀薄な地域に、正當に移民ができるようにという好意的な言葉を、講和條約と關連して語られたことが報道されております、マコー・ミツク氏の言は、日本人のだれの耳にも快く響いたに違いないと存じますが、片山首相は、この日本に對して特にそのお父さんの時代から關係をもつていたマコー・ミツク氏の好意に充ちた言を聽いて、そのまま甘えておつてよいと思われますか。
 私は首相の御所見を承ります前に、ひとつ御參考として戰爭中の米國の新聞、雜誌に現われた彼の地における人口問題に對する考え方の一、二の例を御紹介いたしたいと思ひます。代表的な一つとしてはアメリカのメンフイスと云ふ基地の司令官であるダニエルソン代將の演説の内容でありますが、この方もまた無制限なる人口増加は不可避的に戰爭に到達すると言つております。そしてこの代將は、今後締結されるべき平和條約には、必ず産兒制限の條件を挿入すべきであると主張しております。これは戰爭を遂行する場合は必ず勝利に到達すべき確實な採算と戰略が必要であると同じように、平和を招來するにも、それを實現し得る的確な具體的手段を構ずることなしに、抽象的平和を論ずることは無意味であると言つております、平和論者片山首相にあつては、このダニエルソン代將の言は、必ずや共鳴されるのではないかと存じます。
 もう一つ重ねて御參考に申します。それはアメリカの指導的立場にある雜誌ネーシヨンに掲載された記事でありますが、要約して御紹介すれば、アメリカが約五十年前、一八九八年にスペインの領土であつたポートリコと云ふ三千四百三十五平方マイルの土地を合併しました。その後五十年の間に、米國はこの新領土の衞生状態を改善し、生活難を解決してやつた結果、合併當時人口九十五萬であつたポートリコは、五十年の後二百萬に増加し、まさに半世紀に人口は倍に増加したという現象を示しました。そして今日依然として人口増加の道をたどつている現状を指して、この雜誌はこのように申しております。もてる國の恩惠によつて貧困から救われたというものほしさうな國に對して、アメリカはアメリカ人の犠性において、このような民族がたくさん子を生むうさぎのように繁殖しながら、アメリカから食糧の供給を仰ごうとしていることに對して、われわれはそういつまでもおひとよしにしてはいられない。そのような民族には人口制限を忠告すべきだとの意味のことを書いております。これは日本のことを直接指したのではありをせんでしたが、日本の人口が過去五十年に約倍加している事實と、今日依然として出産率が歐米の文化國家に比して非常に高いという現状に照し合わせてみて、一つの參考になるのではないかと思います。そこで私の質問はたいへん長くなりましたから、もう一度要約して申します。
 一、講和會議を前にして、政府は人口對策を確立する意思ありや。
 二、片山首相の國際平和主義の具體的裏づけの一つとして、産兒調節の知識普及化を考へられるかどうか。
 三、日本人の移民が將來許される場合があるとしても、これはうさぎのように子を産むアジア人としての日本人ではなく、生活に科學性をもつた日本人として海外に移住すべきであり、この用意を今日からしてをくべきだと思はれないか。
 以上三點についてお答え願いたい。
#62
○片山國務大臣 ただいま加藤君より人口問題に關しまして、あらゆる角度より豐冨な材料によつて質問の前提として御意見が述べられましたことにつきましては、ごもつともな節々がたくさんあると存じます。人口問題はまことに重大な問題でありまして、政府といたしましても愼重に檢討しなければならない、十分なる資料をもつてその研究に從事しなければならないと考えておる次第であります。但し講和會議に臨む裏づけとして、具體的にこの問題を今日この場所においてお話しいたす段階には、まだ至つていないのであります。心掛けといたしましては、十分に考え、檢討いたしておるのでありまして、決して輕く考えたりあるいはこれを研究するにおろそかであつてはならないということを心掛けておるのでありますが、具體的に申し上げる事情にはなつていないということを、御了承賜りたいと存じます。
 なお産兒制限の問題につきましても、加藤君多年の御研究でもあり、また私どもも平素よりこの問題の重要性を考えまして、將來の人口問題に對する大きな研究として考慮していかなければならないとは考えておりますけれども、これも今ただちに實際政治の上に現わして、政府がこういう對策をもつて進むという段階にもまだ至つていないのであります。いろいろ心構えとしての研究といたしましては、愼重に研究は怠つてはおらないのでありますが、具體的に申し上げる段階には至つていないということを、御了承賜りたいと存じます。それでは何もかもはなはだ具體的ではない、こういうお言葉があるかもしれませんけれども、今日のこの情勢を見ますると、この前提としてなすべき仕事がたくさんありまして、いわゆる經濟緊急突破のためには、萬難を排してなすべきことをまずしなければならないのであります。そのために極力集中對策をとつておるのでありまして、今後においては建設的な政策をどしどしとやつていきたいとは、十分に考えているのであります。現段階においては、やむを得ざる經濟事情であるとか、また講和會議に臨む心構えといたしましても、日本の立場を考えていきまするならば、これまた御了承を賜り得ることと思うのでありまして、いろいろそういうふうな積極的な問題について、十分施策を樹立し得る事情を、早く促進したいと考えまして、地ならし工作に目下專念いたしているような次第であります。
#63
○加藤(シ)委員 總理大臣に對する質問は終りました。
#64
○鈴木委員長 それではちよつとお待ちください。總理に質問を保留されている方がございますから、川野委員。
#65
○川野委員 私は大藏大臣にただ一點お尋ね申し上げたいと存ずる次第であります。それは六・三制の問題でありますが、この問題につきましては、すでに委員會において、また本會議においても、相當論議が鬪わされた問題でございます。私も先日の本會議におきまして、大藏大臣にお伺いいたしたわけでありますが、その答辯において納得せざる點がございますので、私は重ねて大藏大臣の御答辯をお願いいたしたいと考えます。大藏大臣の御答辯によりますと、十四億のうち七億は公共事業費から出す。その殘りの七億は資材等を勘案して考慮する。こういう御答辯であつたように、私は拜聽いたしたのであります。しかるに六・三制の問題は、すでに前内閣におきましても、數億の豫算を決議し、また現内閣におきましても、七月十七日の閣議をもちまして、六・三制實施を再確認し、しかも十四億の豫算を閣議において一度決定いたしまして、その結果文部省を通じて各府縣に六・三制による建築の補助費といたしまして、十四億の割當を内示いたしたわけであります。しかして各府縣は、各町村にこれまた各町村の割當を内示いたしました結果、各市町村においては、今日すでに建築に取かかつておるという實情であります。ゆえに十四億の國庫補助がないということになりますと、非常に市町村は窮乏のどん底に追いこまれるということになるわけであります。それで資材とにらみ合わせて支出をするという話でございます。その反面資材がなかつたならば――あるいは支出がないのではなかろうかとも考えるわけであります。しかしただいま申しましたように、どうしても早くこの殘りの七億というものも、豫算的決定をみていただかなければならない、こう考えておるわけでございますので、殘り七億というものは、追加豫算をもつて支出きれるか、あるいはまた豫備費をもつてこれに充てられるか、その點をもう一囘はつきりひとつ御言明願いたいと存ずる次第であります。
#66
○栗栖國務大臣 お答えいたします。實は六・三制の問題につきましては、七月の十七日の内定によりますと、國庫の負擔が十四億、そうして大體十七億が裏づけのある起債の方法による。この裏づけというものは、預金部資金その他の集積したものを現實に裏づけをしまして、そうしてやつていつてもらう、かように大體内定したのでありました。それから今囘の追加豫算では、公共事業費が五十二億に相なつたのであります。これは資材その他の裏づけと見合わせて五十二億になつたのであります。しかしそれを總理の裁定によりまして、このうち七億は六・三制に振向ける、こういうことになつたのであります、しかし六・三制のうちの殘りの七億、これで何もしないというような趣意は、毛頭含まれておらぬのであります。これは實は豫算編成のときに、關係筋とも數十度の交渉を踏んだのでありまして、結局殘りの公共事業費も、資材その他の裏づけというものの説明を十分いたしますれば、追加豫算あるいは豫備費というものによつて支出ができるというように相なつたのであります。そこで問題は、資材その他の裏づけでございます。昨日も申し上げたと思うのでありますが、必ずしもその資材その他の裏づけは、鐵、鐵鋼、セメントというものだけによつてとは考えておらぬのでありまして、そのほかの資材あるいはセメントの増産というようなことも考えて、政府といたしましては、何とかしてその資材を捻出して、そうして殘りの七億をも豫算面において現わしたい。かように思つておる次第でございます。そうして實際の運行から言いますならば、今囘追加豫算で七億圓計上されましたが、場合によれば、起債の方の十七億というものについて、さいわい貯蓄の成績もよろしゆうございますので、地方で消化できぬものについては、預金部資金を適當に割振りしまして、そうして資金をこの六・三制の施行に充足するようにいたしたいと思つております。そうすればこの追加豫算あるいは豫備費を使用して、殘り七億をすることも本特別議會でできればいたしますし、あるいはできない場合においても、本議會早々にも、これはかけられることでございますので、實行には支障がないと思つておる次第でございます。
 それからなお資材その他の點につきましては、安本その他と十分連絡をとりまして、文部省はもちろんのこと、安本においても、大藏省もこれを助けまして、十分裏づけがあるように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。六・三制の大事なことというようなことについて、大藏省としましても、十分考えておる次第でございますので、御了承を願いたいと思います。
#67
○鈴木委員長 川野君。よろしうございますか。
#68
○川野委員 よろしゆうございます。
#69
○鈴木委員長 西村久之君。
#70
○西村(久)委員 私は片山總理に對しまして、政令公布に關し、所信を質してみたいと存ずるのでございます。
 御承知の通りに、新財政法が九十二議會の協贊を經まして成立いたしまして、一部は效力を發生しておるのでありますが、同法第三條の規定に關しましては、今日なお不文のままに放任されておるのでございます。これは立法の精神を無視し、議會の議決を否認するのはなはだしいもののように存ずるのでございます。すなわち同法附則第一條に、第三條施行の日は政令で定めるとあるのでありますが、四月以來七箇月を經過する今日、なおその政令の公布を見ないのであります。よつて本豫算委員會におきましても、過日委員長を通じまして、しばしば政府にも注意を促しておるようなわけでございます。總理大臣は、忠實に憲法を遵守せられ、前平野農相に對しましては、罷免權すらも發動されたのにもかわかりませず、財政法の第三條の活用に、政令公布の手續をとられないのは、すこぶる遺憾千萬に存ずるのてございます。憲法七十三條一項の規定によりましても、速やかに政令を公布して、忠實に施行すべき旨が記述せられ、同條第六項の規定を見ましても、法律實施に政令制定の明文が掲げられてあるのにかかわりませず、今日まで附則記載の政令を公布されないというのは、内閣の怠慢の結果でありまするか、あるいは國會の議決を否認される結果でありまするのか、了解に苦しむのであります。從いまして、この點に對する總理の所信をまず伺つてみたいと存じます。
#71
○片山國務大臣 西村君の財政法第三條に關する政令問題の御質問は、新憲法の精神から申しまして、ごもつともな節が多いと思います。ただし現在の情勢におきましては、なかなか各方面の影響等も考えまして、愼重を期せなけれだならぬ問題もありまするし、いろいろの方面の意見を聽いてやらないという關係もありまして、複雜なる状態にあることは、御了承の通りと思います。できるだけ御趣旨に副うように、こういう問題については、政令によらずして、法法を制定いたしまして、國會の審議を經てやるようにしたいと思いまして、目下それの用意を檢討しつつあるような次第でありまして、できるだけ早い機會において、御趣旨に副うようにいたしたいと考えております。
#72
○西村(久)委員 この點は政府の專賣料金または政府事業料金の値上げは、國會の議決を要することを明記せる規定であるのであります。政府は七月の鐵道運賃の値上げの際も、政令を公布せずして、單獨で値上げを斷行し、また今囘タバコの大幅の値上げに際しましても、十一月の一日突如として値上げを斷行しておるのでありますが、かくのごとき行爲は非立憲的、非民主的な行爲と私は考えまして、將來愼むべきではないかと存ずるのであります。二十三年度の豫算編成にあたりまして、鐵道運賃の値上げを運輸大臣はその意思あることを昨日でありましたか、當委員會場で御言明になつたのでありますが、これまた政令未公布のまま、獨善的に値上げをなすかのような感じもいたすのであります。かへのごとく重大なる政令を公布なされぬということは、一旦公布いたしますれば、議會の強き制約を受ける、これでは政府はすこぶるめんどうである、こういうふうな關係から値上げをしやすい關係において、政令を公布せられずして放任される憾みが、多分に殘されるのであります。かるがゆえに高度民主主義を叫ばれる片山首相といたしましては、速やかにかくのごときところの政令は公布の手續をとられるのが妥當と信じまするが、重ねて御言明を煩わしたいと存じます。
#73
○片山國務大臣 鐵道の運賃値上げはほ非常に重要なる關係を國民生活に及ぼすものでありまして、愼重にこれを取扱うことは御趣旨の通りであります。できるだけ早い機會において國會に諮つて、御審議を得、諸君の用意を得て、この値上げ問題を決したいと考えておるのでありまして、先般運輸大臣が當國會において御説明申し上げました點につきましても、私の考えといたしましては、法律によりたい考えであります。但しこれらにつきまして、各方面の情勢、各方面の各種の問題を愼重考えていかなければならない事情にありますので、目下檢討中でありますが、できるだけ御趣旨に副う方法でやりたいと考えております。
#74
○西村(久)委員 次に財政經濟政策について御意見を伺つてみたいと思います。片山總理は八月の十七日でありましたか、經濟危機突破の途を國民に訴えるといたしまして、國家經濟と國民生活問題、物價賃金問題、やみ取締り問題、生産増強問題等、數項を掲げられまして、まず國民の生活をよくするためには、國家經濟をよくすることにありと前提されまして、わが國の現状態は、あたかも重症病人のごときものであつて、これを全治せしめる根本治療のためには、國民は苦しみや不自由は我慢すべきであつて、病人の體力が衰えぬうちに手術をやるべきであるので、ただいまその手術にとりかかつたのであるがゆえに忍ぶべきであるというお話があつたのであります。ところが手術の結果はますます重體に陷つて、今日では危篤状態と申しましても、おそらく過言でない國家の段階にはいつておると、私は信ずるものであります。首相が國民生活をよくするためには、まず第一に國家經濟をよくすることにありと申された政府の具體的方策は、物價賃金の値上げと統制の強化、竝びに公團による官僚獨善施策等、國民に對する過超重壓のほかには、何も今日現われておらないように、思われるのであります。すなわち、すべての産業は統制を強化され、官僚化され、國家經濟確立の方向にのみ力を注いで進まれ、その結果は國民生活、國民經濟を根底から破壊せんといたしつつある現實情が、今日厖大豫算として現われました追加豫算の上に、明らかに表現されているのであります。この豫算を政府當局では健全財政なりと言われているのでありますが、私は危機財政豫算と申したいのであります。國家の構成は國民を主體となすべきであります以上、國家經濟確立をはかります前に、まず國民經濟の安定をはかることが先決でなければならぬと信ずるのでありまするが、この點に對しましては、國民は後にして國家の經濟を先に立てるのが順序であるとお考えになるのであるかどうか、この點について首相の考えを伺つてみたいと存じます。
#75
○片山國務大臣 西村君の言われましたように、國民經濟をよくし、個人の生活を安定せしめて後に、初めて國家經濟がよくなり、國家産業が發展するのであると、こういうように特別の段階をつけて、順序を第一、第二とつけることはできないと思うのであります。敗戰國であり、敗戰經濟を立て直していくためには、どうしても國家經濟ということが、全般に非常な影響を與えるのであります。すなわちインフレが進行いたし、産業が振わず、食糧は不足を告げ、やはり横行し、國民道義心が全體的に廢頽いたしまするときには、その結果として個人經濟も破産同樣となつてくるのであります。今日ほど、敗戰經濟ほど、個人經濟をよくしようと思いまするならば、その原動力であります國家經濟をよくしなければならないときはないと思うのであります。すべては産業の發展にかかつてくるのである。物資を豐富につくることによつて物の値段も下げることができるし、インフレの進行も止めることができるのであるという意見は、方々で聽かされるのでありまして、私どもといたしましても、國民全體の力をもつて、また政府これを強力に遂行することによつて、インフレの進行をぜひとも止めなければ、國家財政は破綻し、國民生活もまた窮乏のどん底に突き落されるということを、痛切に感じているのであります。ここにおいて、個人經濟をよくしようと思うならば、その前提として、國家經濟と國家産業と、國家財政の確立をはかつていかなければならないという建前で、いずれにいたしましてもインフレを防止しなければならない。インフレを防止するについては、どうしてもやみの値段とマル公の値段の非常な相違、格段的な相違を調節いたしまして、やみの横行を止めなければならない。撲滅をはかつていかなければならないと考えたのであります。つきましては、組閣當時、その經濟状態を考えますると、マル公の値段とやみの値段というものが、非常な隔りでありまして、ほとんどマル公をおき去りにいたしまして、すべての産業がやみで計算されるというような状態であり、帳面ずらと實際とも違うし、また金を融通いたしまして、物を集めて仕事に從事する場合におきましても、やみ値によつてこれをやらなくてはならないということでありまするから、帳面ずらにこれをつけることができない。從つて非常な採算の立たない計算でやつていかなければならない。こういうような状態を續けていけば、インフレが進行するのはあたりまえである。どうしてもマル公を改訂しなければならない。この改訂につきましては、はなはだ苦しいし、はなはだ辛いところでありまするけれども、マル公の引上によつてマル公の統一をはかつて、そうして家庭配給におきましても、事業の採算におきましても、マル公を中心といたしました事業の採算ということを考えていかなければならない。要は物價體制の確立によつてインフレの進行を止めていかなければならない。こういう點に中心をおきまして、物價體制を確立いたしましたのが、本年の七月であつたのであります。これは決して物價を引上げようとか、あるいは高い値段によるところの政策、いわゆる高物價政策をとろうというような考えが毫末もないのでありまして、流通秩序の確立によつて、物價はだんだん引下げなければならないし、やみを撲滅することによつて、配給も確保していかなければならない。家庭生活の配給も、また産業に流れまするところの物資も、流通秩序の確立の面によつてやつていかなければならないということに政府は力を集中いたしたのであります。こういうふうに主力を集中いたすことにつきましては、政府といたしましても全力を傾倒しなければならない。官吏も眞に國民の公僕という觀念に徹しまして、その陣頭に立つてやみの撲滅に當らなければならないし、また國民の信頼を十分に得る方法をとつて、實踐躬行しなければならないというわけで、官吏機構の改革をやるし、かつまた國民にもこれを訴えて、國民の心からなる協力を求めたい。心からなる支援を求めたいという意味によつて、經濟的意味における國民運動の要請をいたしたような次第であります。私の考えでは、民主主義體制はまず政治的段階において發展するのでありますが、第二段階においては、經濟的に民主主義が浸透しなければならないと思うのであります。國民各自が國家經濟をしよつてもらう。國民各自が産業發展に力を集中してもらう。國民全體の力で國家經濟の建直しをやつてもらうという體制が、民主主義經濟體制として確立せられることを、心より要望いたしておるような次第であります。遺憾ながら、思うように物價體制の嚴守、確立ということができない状態であるかに憂えるのでありまするが、しかしそれだからといつて、これを放棄したり、これを輕んじたり、あるいはこれを改訂するというようなことをするのは、非常な惡影響を來すものであると思うのであります。どうしてもこれはインフレを防止するために、日本國民としてはやらなければならない今日の大きな仕事である。與えられたる使命であると考えておるのであります。この意味において、勞働大衆にもかたきを強いるようなことになつておりまするけれども、それから割出してまいりまする千八百圓のベースを堅持してもらはなくてはならないし、また農民にも米價の問題についてでありまするが、生産費をあるいは下まわるようなことがあるかもしれませんけれども、それは辛抱して千八百圓という價格で米價を決定するということになりまして、農民にも勞働者にも、事業家にも、資本家にも、一般國民大衆全部に忍んでもらつて、この今日の窮境を打開して生産擴充に突進しよう。こういうふうな力針で今日まで進んでいるのであります。やはり今後におきましても、この方針を堅持していかなければインフレを防止することができないと思います。もしこれを崩しまするならば、物價を再び改訂いたしまして、さらに一段と高いところでこれを改めるというようなことにし、あるいは千八百圓をさらに上げまして、もつと高いところでそのベースをきめるというようなことになりまするならば、いわゆる物價と賃金の惡循環が執念深くつきまといまして、國家經濟というものはますます惡い方向に進んでまいります。インフレが進行することを非常に憂えるのであります。今日國民全體の協力を得まして、心からなる理解を得まして、どうしてもこれを守つて今日の破局を救わなければいかんともすることができない、かように考えているものでありますから、政府は今日においてもやはりこの新物價體制を堅持していくし、また國にもこれを要望していかなければならないと考えている次第であります。お尋ねの問題に對しては、直接間接いろいろの點がありましたが、要は個人經濟、國民生活をよくしようと思う前提といたしまして、國家經濟をよくし産業を發展せしむるための方策を政府は懸命に努力しているような次第であります。
#76
○西村(久)委員 總理大臣の申されることはわかるのでありまするが、インフレ防止のために、今日の新物價體系を整えられたと仰せになるのでありますが、私はインフレを助長するために新物價體制ができたのではないかと實は考えるのでございます。なぜかと申しますると、今日の敗戰下の日本のような實情下におかれました國におきましては、生産が裏づかない時代におきましては、極力物價は上に上らないように下へ下へと抑えていくように政治をやり、一面生産部門はこれを整備擴充いたしまして、そうして限りあるところの生産財を效果的に生産せしめて、最高度の生産を期し、その品物を國民に不足ながら圓滑なる配給をするという政治でもつてインフレは抑えていくのが妥當ではないかと、實は私は考えているのであります。ところが今申される通りに、片山内閣はその逆をいかれまして、物の値を新物價體制と稱して二倍ないし三倍半に引上げられているのでございます。その結果が今日非常に苦しむようになつたのでなかろうか、これをじつとしておきますると、國民生活が破綻いたしまするし、國家はゆゆしい立場に立たなければならないことを心配いたしまするがゆえに、實はふつつかな者でありまするが首相の御意見を拜聽いたしているのでございます。私の考えでは企業の整備を先にやるべきである、物價の公定を上げて後に企業の整備をやるのは經濟政策のやり方としては順當なやり方であるとは實は思わないのであります。今日これ以上物價を上げるということになりますれば、ますますインフレは助長されます。物價を上げるということがインフレ助長を來す、賃金の値上を來すということは、首相もお認めになつているのでございます。それにもかかわらず、物價の値上をやつておられるのであります。これが私のわからない一つの問題でございます。首相の言われた通り、インフレは物價の値上、あるいは賃金の値上、この惡循環がイフレンを助長する原因であり、他の一つの原因は、通貨の増發がインフレを助長する原因となることは、私も承知いたすのであります。そのインフレの助長になる物價の値上を斷行された政府の政策は、インフレに拍車をかける政策になるのではないか。この點がわからないので、お尋ねを申し上げているのでございます。最近物價の値上のために生活は非常に苦しくなりますし、國民の負擔は重くなりますし、特に大衆課税となるところの間接税の値上、あるいはタバコ等の値上をして、千八百圓ベースで忍べと言つて、國民に忍べ聲をおかけになつている状態であります。しかしこれで國民が耐え得られますれば、國家の前途のために喜びにたえないのでありますが、私はすこぶる心配にたえないのであります。なぜかと申しますと、國の豫算の上はおいて、通貨の増發はやむを得ないのであります。通貨を増發いたしますと、またインフレに拍車をかけることになります。何と申されても、本年度中に三百億、三百五十億の通貨の増發は、私は必ず來るものと思います。そういうことを考えますと、國家の將來のために心配にたえないのであります。片山首相のお言葉は、この危機は必ず切り拔け得るという御確信があられるようなないようなお言葉のように思われます。責任を國民一般に轉稼されるようでありますが、國民は片山首相の仰せの通りに協力して、國の再建にあたろうという氣持はもつているのでございますが、人間は生き物でありまして、生を保つためには、やむを得ず政府のおきてに背かたければならないことになると思います。そういう時期が到來したときに、言葉を左右しても間に合わないのであります。まことに重大なる危機に直面している今日でありますので、今後における方針等についても、危機突破のためには、ここに格段の御注意を拂われて、私どもも政黨、政派を超越して、國家再建のために、現政府の施策遂行に協力することを惜しみません。ただ今日國民の生活が極度に苦しくなつてきている際でありますので、かくのごとき質問をいたしたわけでございます。どうか私の質問せる心持を御了察願いたいと存じます。
 次に一點お尋ねを申し上げてみたいと思いますのは、政府は國民に對しては統制を強化して、國民の生産品は統制機關によつてつくり、價格もまた統制價格で押えているのであります。ところが政府のやる仕事は自由にやつている。これが私にはわからないのであります。こう申しますゆえんのものは、政府の專賣事業であるタバコであります。これを自由販賣をやめて、配給なら配給一本の施策をおとりになるのならばわかるのでございます。ところが國の費用をよけいに生み出すためには、各家庭への配給數量を減じ、しこうして餘分な大多數のものは、自由販賣にして國家の利益を守らんとするこの處置と、民間の生産品は極力價格の統制をするという處置とは、その政策に矛盾があるかのような感じがいたしますが、政府の品物ならば自由販賣もまたよろしい。こう解釋しなければならないものか、この點を總理大臣に御意見を伺うてみたいと存じます。
#77
○片山國務大臣 タバコの問題についてお答えをする前に、一言申し上げておきますが、政府はすべてを國民に轉嫁して、國民の責任だというようなことは、決して申しておるのではないのであります。政府はほんとうにこの困難を克服するために、懸命の努力を拂い、陣頭に立つて、やみの撲滅から、物價新體制の堅持、インフレ防止の政策をとつておるのでありまして、これについて國民の理解と協力を求める。國民の理解と協力なくしては、この難事業というものは、なかなか達成されない。かように申しておるのであります。またインフレを防止するためには、大衆の犠牲によつてインフレを防止しようという考えも一つもありません。その點は十分に御了承を賜わりたいと存じます。
 今お尋ねのタバコの問題でありますが、タバコの値段を式き上げたことはまつたく心苦しいのであります。今日の財政を考えて見ますと、歳入面において非常に缺如いたしておるのであります。方々考えまして、できるだけ資力のある方面から税金を集めて、資力の乏しい方面には負擔を輕くいたしたいと念願いたしておるのでありますけれども、わが財政の状態、わが國經濟、産業の状態をにらみ合わせてみますと、さように理想的な税制も今日ただちに實行することは、その波動が大きいのでありますから、いろいろ考えました結果、先ほど申したように、一般國民に忍んでもらわなければならない、一般國民の心からの協力を、經濟的に立ててもらわなければならないということを考えまして、タバコは最低限において配給をして、その餘分の高いタバコは餘力のある方々に買つてもらう。こういう二つのやり方で進んだのであります。タバコを生活必需品と考えることも一つの方法でありますが、また一面におきましては、嗜好品とも考えられるのであります。いろいろな嗜好の少いときに、また國家の文化的施設の非常に乏しいときに、タバコによつてのみ嗜好あるいは慰安娯樂というような方面を得られております方々にとりましては、はなはだ苦しいことと思いますけれども、今日の國家のこの窮状を考えられまして、タバコはひとつ配給面で資力の乏しい方は辛抱してもらい、餘力のある方々が自由販賣のタバコを求めていただく。こういうふうにしてその問題を調節しようと考えたのであります。かようにいたしまして、一面國家財政の援助をしてもらうし、また一面タバコは何とかしてやめられる方はやめてもらうし、節約してもらえる方は節約してもらうという場面であると考えまして、はなはだ窮した策でありましたが、こういう策をとつたのであります。これも現下財政窮乏の際の特殊の事情でありまするから、その點は十分に御了承を願いたいと存じます。
#78
○西村(久)委員 片山總理の御答辯を伺つたのでありまするが、國家が財政窮乏すれば國の專賣に屬すべき品物は利潤追求のために配給を減らして自由販賣をやつてよろしいし、民間のものは統制のわくに從わなければならないという結果に歸著するように思われるのでありまするが、さように解釋してよろしいものでありましようかどうか、重ねて御答辯を煩わしとう存じます。
#79
○片山國務大臣 そう一概にはいきません。國家産業に必要なる資材を、必要なる事業には十分まわしたいと考えております。これを自由にいたしまするならば、金のある人や、あるいはいろいろ情實で集められる方々の手に集中されまして、必要なる事業の方面にまわつてこないと思います。これはすべての問題について統制か自由かという問題を檢討しなければならないと思います。物資の乏しいときに、食糧の不足しておりまするときに、自由放任という形態ではやり得ないということはほとんど定論であろうと思うのであります。この乏しい物資を國民全體に、また必要なる事業にまわして産業の發展を考えていかなければならないときにおいては、國家は一つの計畫を立てて、そうして事業發展を本意といたしまするいわゆる統制をやつていかなければならないと思います。その意味において、最も必要と考えられまする方面に資材をまわさなければならないし、資力のない國民大衆にも食糧を公平にまわしていかなければならないために、ここに國家は統制をしなければならないし、場合によりましては、さらにこれを強化しなければならないと考えておる次第であります。
#80
○西村(久)委員 御答辯の御趣意はわかるのでありますが、國家の官製品であるタバコが、國家が最も忌みきらいまするところのやみに流れるのであります。これをはなはだ私どもは不愉快に思いますると同時に、そのやみに出てくるタバコの出先が、私どもわからないのであります。今月一日に値上をいたしました。最近はやみ値でやみタバコが盛んに賣られておるのであります。これは配給量が減るものでありまするから、あるいは販賣店にまいりましたタバコが利鞘をふみまして、大衆の自由に買うタバコとなりませんで、やみの方に流れるものが出る。これはどこかに何か缺陷がなければならぬのじやないかと思うのであります。タバコを賣り出されました一日、二日は店にはタバコの陳列がありましたが、最近は賣切れの札を見るのであります。これを見まする際に、私はかようなことを考えたのであります。このタバコが、大衆に自由の販賣にならずして、これがやみ屋の手にまたまわつていくのじやないか、こういうことを實は感じたのであります。やみを一番いやがつて取締るという政府が、しかもその政府の品物が率先してやみに出てまいるのであります。こういうことから考えると、これは民間のやみを捕捉していこうと仰せになりましても、なかなか民間のやみが捕捉されないような關係にあることを、如實に物語るのじやないか。從いまして、私は現政府のとられておりまする統制經濟ならば、配給一本建てで、こういうふうなやみが出ないような方法をとつていかれることがいいのであります。先ほど私が申し上げました通りに、國のものは利潤をあげるためには自由販賣をやる。國民の利益をあげるための自由販賣は相ならぬ。これがために今日おやりになりまする政策が矛盾をした關係に國民が受取れるのであります。かかるがゆえに總理の御所見を伺つておるようなわけでございます。あえて御答辯がなければ御答辯を要しません。私の質問はこれで終りたいと思います。しかしながら、國がこういうことのためにやるのだという御答辯があれば、重ねての御答辯を願いたいと思います。
#81
○片山國務大臣 先ほども申しましたように、生活必需品は統制のわくに入れまして、公平に國民に配給いたしたいと考えております。タバコはその點において、百五十本程度はぜひとも配給をいたしたい、安く行き渡るようにしたいと考えておつたのでありまするが、ここが耐乏のしどころというような意味で耐乏を願つて、百本に、あとの五十本を餘力のある方々の自由購入にと、こういうふうにしまして、一面國家財政を援助してもらうし、一面辛抱をしてもらう、こういう考えで、眞意はそこにあるのであります。タバコがやみに流れておりますることは、はなはだ遺憾千萬でありまして、何とかこのやみを撲滅して、正式に販賣されることを望んで、極力その對策を立てつつあるのでありまするが、いかんせん多くの人を相手とする問題でありまするので、この點においても、政府の意のあるところを十分了承していただいて、國民のやみを顰蹙する。やみを心から排撃する、やみは國家再建の妨害であるという見地に立つての御協力を仰いでおる次第であります。
#82
○鈴木委員長 西村君、ちよつとお尋ねしますが、あなたの御質問は、總理大臣への御質問で、大部分の何は濟んでいるようでありますが、あと大藏大臣の御質問が殘つておりますか。
#83
○西村(久)委員 はあ。
#84
○鈴木委員長 それでは總理大臣への他の二人の簡單な御質問がございますが、よろしゆうございますか。――淺利君總理への御質問は簡單でございますか。それでは淺利君。
#85
○淺利委員 大體、ただいま同僚西村委員から私の問わんとするところは述べられたのであります。重複を省きまして、私はごく大ざつぱなことだけをお尋ね申し上げてみたいと思います。
 本年度の豫算を瞥見いたしますると、財政支出の均衡を堅持するという點について、技術的に非常に巧妙になされたことについては、敬意を表するにやぶさかならざるものであります。しかしながら、その實體にはいつてみますると、ほとんど現内閣の政策というものは、那邊にあるかということについて、捕捉しがたいのであります。大體インフレの克服のごとき重要な問題が、單に通貨の膨脹の抑制、あるいは物價體系の改訂、物價の値上だけによつて、これができるとは信ぜられないのであります。基礎資材の裏づけをするということについて、生産の増強をはかるということの必要あることは、ただいま西村委員の申された通りでありますが、しかしこれらのことにつきまして政策として現われた點は、はなはだ乏しいように感ずるのであります。たまたまその片鱗としてうかがわれるものは、あるいは機構の改革、今申されたような行政の強化というだけであります。これではほんとうに生産はどういうふうにして起るというところの具體策について缺けるところがありはしないかと思うのであります。大體この豫算の編成のし方をみますると、まずもつてこの財政に縛られて、そうして盛るべき政策が制限された。政府がみずからなさんとするところの政策をまず重點的に考えて、それによつて豫算の均衡をはかるということであらねばならぬのが、その輕重を誤つたのではないかという感じさえもつのであります。殊にまた豫算の上においては、石炭の國家管理法案、あるいは農業生産調整法案というごとき、ほとんど機構によつて、あるいは強制をもつて國家管理をやるというようなやり方によつて、この仕事だけでなし得るものというように考え、しかも國民すべてが――すべてとは申しませんが、大部分がこれに反對しておる。そういう方法をとらずとも、ほかに十分の生産増強の途があるというものに對して、ただいたずらにここに主力を注ぎ、しかして一方におきましては、水害對策といたしまして、明年の作付にも影響するというような農耕地の復舊、あるいは河川堤防の決壊の復舊というような、現實に食糧増産に大なる影響あり、民生安定に大なる影響あるものは、ここにおいては抑えられておる。あるいは六・三制の實施のごとき、すでに全國的にその要望の強いものが遷延されて、そうして議論の多いこういう國管案とか、あるいは農業生産調整法案というものに豫算が向けられておる。ここにおいてその輕重を誤つておられるというような感じをもつのであります。これらのことにつきましては、政府は一體どういう考えでこういうようなことをやるのか。現實に即してやるならば、むしろ水害復舊費のごときは、最も必要を感ずるものと思うのであります。これは先般の物の裏づけ云々ということにも關係するという意味で、大藏大臣から御説明がありましたけれども、この問題についてもし政府がこの國管案が廢止になり、あるいは農業生産調整法案が通らなかつたという場合においては、その費用をもつて六・三制の實施なり、あるいは水害對策の實施の費用にまわされることを認められるかどうか。豫算審議の上に關係がありまするから、こういう點について、第一にお伺いいたしたいと思います。
 第二には本年の豫算は、ほとんど國民負擔の極限、限界に達しておる。一方においては非戰災者特別税のごとく、非常に苛斂誅求に近いほど重税を課して、しかもこれを一時に徴收して今年一年限りの臨時の收入をはかる。一方においてはまた金融整備資金を本年度必要がないということで、これは翌年に繰越した。そうしますと、今年の財政はとにかくも、收支のつじつまが合つたが、明年以後の財政はどうなるか、國民はここに非常に不安をもつておるのであります。これから先お先まつ暗ということでは、國民は安心して今後の進むべき道を考えることはできないと思うのであります。でありますから、本年以後における財政の見透し、あるいは政府がどういう政策をもつてこの生産の増強をはかり、インフレを克服するかという具體的の案を、しかもこれを一時的にあらずして、あるいは年次にわたつて、こういう計畫をもつて今後進むのだというような方針を明示して國民をしてこれによらしめ、これを信頼をしてともに協力せしめるという計畫があるかどうか、それは近く追加豫算においてそういうことを盛られるか、あるいは明年度豫算においてこの財政計畫なり生産計畫なりに對して、何か年次的に確實な計畫を樹立するお考えがあるか、ただ單に本年の豫算に現われた程度をもつて、これを明年の豫算の上においてもまた繼續していくということであるならば、はなはだこれは國民の失望するところではないかと思うのであります。この點について、大臣に伺いたいのであります。
#86
○片山國務大臣 將來のわが國の産業の建直し、經濟政策をいかに樹立するか、こういう問題につきましては檢討いたしておりまして、できるだけ建設的な經濟計畫を立てたいと思つております。産業の問題についても、わが國の産業を建直す根本的な産業計畫を立てなければならぬと思つております。あるいはこれを長期計畫とも申しまするか、一度にはできないけれども、次の通常國會にはその長期計畫の冒頭の計畫、あるいは第一期計畫とでも申しまするか、そういう計畫をできるだけ諸君に御發表いたしまして、御協贊を得たいと考えておる次第でありまして、お先まつ暗とか、あるいはその場限りというような考えはごうももつておりません。今囘の追加豫算にはこれを盛ることができなかつたことも、また御了承を賜わり得ることと思います。これはインフレを防止するため、今日の危機を突破するための政策に精力を集中いたしたのでありまして、これからはこの危機を突破しつつ、また半面においては建設的な産業計畫を立てまして進んでいきたいと考えておりますので、この次の通常議會には、できるだけ先ほど申しましたような方策で進んでいきたいと考えております。
#87
○淺利委員 大體はわかりました。あまりこまかいことは申しませんが、ただ先刻西村委員の御質問のありましたことに關して、私もこの問題を質問しようとしておつたのでありますが、その取殘された部分について伺つてみたいと思うのであります。それはいわゆる財政法第三條によるところの、政府事業の料金の値上の問題であります。これは國會にかけずに政令によつてやつたということにつきまして、すでにこれは委員會においても附帶決議をしたほかに、國會としても、これは附帶決議をつけて將來國會の審議に付すべきものであるということを決議されたのであります。にもかかわらず、これを政令によつて實施したということについて、政府は國會無視の責任はどうなるのであるか、第二には、この問題がわれわれの豫算審議の上にどういう影響をするか。國會は獨自の機能をもつて、豫算の修正は自由であると私は信ずるのであります。もしこの國會獨自の權限をもつてこれを修正いたしましたならば、この發布された値上の問題はどう處置されるか。將來に向つて拘束するのか、あるいはこの權限は別個であるから、國會の修正いかんにかかわらず、これは實施される。またもしこの政令は法律と同樣の效力を有するがゆえに、國會の審議權を拘束するのであるというならば、すでに國會の審議權というものは無意味になつてしまう。こういう點について明確なる御見解を承つておきたいと思います。
#88
○片山國務大臣 この問題は、先ほどもお答えいたしました通りに、國會にお諮りいたすことが本義でありまするから、できるだけそうしたいと思います。但しいろいろの事情から、今日まで遲れておつたのでありまして、はなはだやむを得ざる處置に出たことを、御了承願いたいと存じます。
 次の鐵道問題につきましては、運輸大臣の申された通りでありまして、その問題につきましては、諸君の御意向を十分に尊重して、國會にお諮りする處置をとるべく、進んでいきたいと考えております。
#89
○淺利委員 ただいまの御答辯は、一部は滿されたのでありますが、國會の審議權との關係は、御答辯なかつたように思います。すなわちこの政令が法律と同樣、國會の決議と同樣の價値があるがゆえに、この豫算審議權を拘東するか否かという點についての御答辯は、抜けておつたようであります。
 それからもう一つは、いろいろの各方面の影響を考慮して、これを政令をもつてしたということでありますが、各方面の影響ということは、一體どういうことでありまするか。われわれの納得し得るように、具體的に何かその事情を御説明を願えれば、まことにさいわいであります。
#90
○片山國務大臣 各方面の影響を考慮を拂つていかなければならないということは、御推察にお任せいたしたいと思います。どうかこの點は御了承願いたいと思います。
 それから政令のことでありますが、政令は政府だけで發表し得ることでありまして、その發令については御審議がないわけなんですが、豫算面は別であります。ただ政令については、政府の意思によつて政令を通じて發表する、こういう關係になつております。
#91
○淺利委員 何かはつきりいたしませんが、豫算の審議權が別だといたしますれば、先刻伺つたように、豫算の上においては修正をされたが、政令は政令として生きておるから、これを實行するという御趣旨か、あるいは國會の審議の意思を尊重して、法令を改廢されるという御趣旨か、その點を明確にされたいと思います。
#92
○片山國務大臣 つまり政令は政府が出すのでありまして、政令によつてやりましたる建前は別でありますが、これに伴います豫算については、國會の自由なる御審議によることと思います。
#93
○淺利委員 どうもわかりませんから打切ります。
#94
○鈴木委員長 西村君にちよつとお斷りいたしたいと思いますが、議事の都合上、加藤シヅエ君の保留になつております厚生大臣への御質問を、ちよつと先にさしていただきたいと思いますが、よろしゆうございますか。――それでは加藤シヅエ君。
#95
○加藤(シ)委員 私は先ほど總理大臣に人口國策の確立に關連して、産兒制限の問題について伺つたのでありますが、今囘はやはりこの産兒調節の問題は、特に厚生省の所管事項でございますので、厚生大臣に同じくこの問題について伺いたいと存じます。
 この豫算委員會におきまして、すでに千八百圓ベース堅持の政府の方針に關連いたしまして、耐乏の生活が國民に強要されて、これに關する論議がたびたび展開されたのでございますが、今冬を目前に控えまして、繊維製品の配給は見るべきものもなく、特に都會生活者にとりましては、燃料不足が深刻を極めておりまして、家庭を守ります主婦にとりまして、經濟安定本部より先だつて發表されました、この十月から三月までの冬の燃料は、五人家族に木炭に換算して九俵と發表され、この割當量は食生活を賄うのに、ぎりぎりの量であるということであります。燃料不足の際には、都會地の家庭の主婦にとりまして、命の綱とも思つておりました電熱器の使用は、十一月七日の閣議決定によりますと、朝の六時前と夜の八時過ぎでなければ、使用が許されないという現状にさらされ、しかも食生活におきまして主食の遲配、缺配は、昨今はやや緩和されておりますが、何分にも粉だの芋だのというものを配給されておる現状では、これを主食として食膳に上せば、家族に滿足をいたさせるために、主婦は容易ならぬ工夫をいたしましたり、手間をかけなければならぬということが、今日の耐乏生活の婦人に及ぼしておるところの姿でございます。しかも住居の問題、これまたはなはだ不自由を極めまして、三百八十五萬世帶は未だに家がないと申しておりますし、さいわいにして屋根の下に住んでおります者でも、六疊、四疊半に二家族一緒に住んでおる。またそんなひどい状態でないまでも、窮屈な間借りの生活をしておるということは、今日あたりまえだという状態であります。そこで私が厚生大臣にお伺いいたしたいのは、このような文字通りの耐乏生活の中にあつて、現在以上に生活に負擔を過重させる結果となるような主婦の妊娠出産は、ほんとうに子供を愛しわが子の幸福を願う視たちにとつては、決してよい條件を備えていないということを、お考えになつていらつしやらないでしようか。また乳幼兒をもつている家庭は、大人の食生活に必要な燃料のほかに、隨時お湯を沸かしたり、あるいは乳を暖める燃料が必要である。また妊産婦は十分な榮養、また人口榮養兒についてはミルクその他の確保がなくては、健康なる次のゼネレーシヨンを望むことはできないのであります。今日の耐乏生活は妊娠出産に、最低限度必要なる條件をも備えていないということは、最近における乳幼兒の死亡率が非常に高いこと、兒童の體位が非常に劣惡化しておること等によつて、はつきりと證明されておると思います。私はこの現状に對しまして、政府は妊産婦、乳幼兒、虚弱兒等の保健問題には、十分具體的な對策を講ぜらるべきだと考えますが、これらの問題に對する對策が、豫算の面においてもはなはだ輕視されておるように思いますのは、非常に遺憾だと思います。文化國家、民主主義を唱えます政府が、自分の主張する力において一番弱い妊産婦、乳幼兒の保護、あるいは問題は少しそれますが、未亡人、戰災孤兒、傷病兵、それらの保護對策の強化を行つて、初めて國民はその説くところの民主主義に共鳴し、納得し得るものであると存じます。そこで妊産婦と乳幼兒の保護問題に立ち返りますが、保護策の強化はもとより望むところでございますが、國家の財政も、個人の經濟も、ともに豐かでない今日、保護對策に無限の費用を捻出することの困難を考えまして、むしろこの際政府は積極的に産兒調節の知識を普及するという問題をお取り上げになるべきではないかと存じますが、いかがでございましようか。産兒調節の知識は、戰爭前も、また今日も、一部民間のなすがままに放任してございます。この際政府はこの産兒調節の知識を普及する機關を設けて、歐米において今日權威ありと認められている科學的な方法を、國家的見地から普及するお考えはございませんでしようか。この點について承りたいと存じます。
#96
○一松國務大臣 加藤委員の豐富なる産兒制限に關する御活躍や、それらの知識等について、幾多參考に供すべき重要な事柄のあることは、私平素あなたのお話を新聞もしくはラジオ等によつて承知しておりまして、非常に尊敬をいたしております。お示しのごとく、出産した子供の哺育、發育に關して、耐乏生活をいたしておる今日、いろいろの點に缺陥のあることを私はよく認めております。こういう點については、厚生省といたしましては、今囘御承知の通り兒童福祉法の御協贊を仰ぎました。これがいよいよ發令されることになりますれば、そういうような缺陥も、だんだん是正されるであろうと、私は非常に期待しておるのであります。ところが今日そういうような耐乏生活をいたしておつて、乳幼兒の保護政策が十分に行われないことに牽連して、これらの點を幾分でも是正すべく産兒の調節をという御意見は、私はごもつともだと思うのであります。しかしながら、産兒の調節をすることを、政府が法律をもつて指導奬勵するとかいうようなことは、ただいま考えておりません。これら點につきまして、いろいろな政策の行き詰まりとか、その他の點において、そういうことを實施する必要があるときにあたつては、大いに研究實施しなければならぬ必要があろうと思いまするけれども、ただいまのところでは、そこまで考えておりません。ただここで私の非常に氣にかかつておりますることは、受胎調節ということと、産兒の制限を國民の間において誤解をしております。いわゆる妊娠しておるものでもこれを堕胎することができるというふうに考えて、むやみやたらにそういうような間違つた考えで、これを實施せんとし、もしくは實施しておるような者が、ある階級にあることを私は恐れておるのでありまして、これらの點に對しましては、今あなたのお示しになりましたように、いわゆる受胎の調節という言葉であれば、國民も間違えないと思うのでありますが、それらの點は、その人々によつて、もしくはその地位、境遇によつて、自然に行われるということの方がいいのではないかと考えております。かしその結果政策が行き詰まつて、それらの弊害がますます多くなるというよう事實がここに現われる場合には、政府は大いに研究して、これらのことを實施しなければならぬ立場になるかもしれません。そういうときには、あなた方のような權威の人に、十分に御協力を願わなければならぬと考えておりますが、ただいまのところでは、まだ考えておりません。
#97
○加藤(シ)委員 厚生大臣は今日の時勢に對して非常に正しい御認識をおもちになり、殊に耐乏生活の中にあつて、非常に苦しい生活をいたしております日本の婦人たちの立場にも、非常な御理解のある御答辯をいただきましたことは、私も非常に嬉しく存ずるのでございますが、問題は産兒調節、つまり受胎を未然に防ぐということの問題を、法律をもつて何人にも強制することはできない性質のものであることは、私どももよく承知いたしております。從いまして、法律で産兒調節をむしろ命令のように、ある人には産兒調節はぜひしなければならぬと、國家から命令で指導するというようなことは、私は未だかつて考えたことはないのでございますが、今日歐米先進國におきまして、受胎を未然に防ぎますことは、乳幼兒の死亡率を下げますことと、母性の保護の見地から、豫防醫學として、どうしても採用しなければならない知識であるという結論に到達いたしておりますので、私はこういう意味の豫防醫學として、何らかの形でこの研究をますます盛んならしめ、かつこれを必要に應じて指導するような機關をおもちになることが必要でないかということに關して承りたいと存じます。
 そこで私は乳幼兒の保護については、このたび議會を通過いたしました兒童福祉法のことについて、ただいま厚生大臣の御所見を承りましたのでございますが、もちろん兒童福祉法案の通過も非常に結構なことで、私は多くの期待をいたしておるのでありますが、もつと見體的に、殊に醫學的に乳幼兒の死亡率を下げますためには、豫防醫學として、先ほど申し上げましたように、妊娠を調節させる知識がどうしても取り入れられなくてはならぬ。殊に日本が今日文化國家の體面を整えようとしますならば、乳幼兒の死亡率は絶對に急速に引下げる必要があるのではないかと存じます。そこでアメリカのワシントンの小兒局で發表いたしております受胎調節の知識を利用いたしまして、同じ子供を産みますにも、無制限、あるいは無計畫に子供を産むよりも、一定の計畫を立てて、そうして相當の間隔をおいて子供を産むことが、如實に、具體的に、乳幼兒の死亡率を下げるものであることを、統計を示して發表いたしております。私はこの知識は日本としてもどうしても採用されなくてはならぬと存じます。從つてこういう知識を採用するには、國家的指導機關が必要になつてくる。こういうことを申し上げておるのでございますが、ただいま承るところによりますると、現在ございます國民優生法、これは戰爭中にできましたもので、私どもはこの内容については、はなはだ不滿をもつておる者でございますので、近く厚生委員會の方に優生保護法案を提出いたしまして、十分皆樣に審議していただこうということになつて、私も提案者の一人になつておるのでありますが、こういうような法律が通過いたしました場合には、これを實施するために、來年の本豫算においては、十二分にこれをおとりになつていただきたい。これについて、厚生大臣はどういうふうにただいまお考えになつていらつしやるか。もう一度承りたいと存じます。
#98
○一松國務大臣 乳幼兒の死亡率を引下げることにつきましては、全然同感であります。でございまするから、私どもの方の所管といたしまして、これらのことについては、十分な認識をもつておりまする結果、兒童福祉法を通過していただいて、これを實施して、それらの點を十分保護して、これらの死亡率をなるたけ少くしよう。そして健全にして健やかなる子供を發育せしめるように努力しようという考えでおるのでありまして、これは兒童福祉法の際に、皆樣が熱心に御審議を賜わつたことによつて、十分厚生省の意のあるところは、御了承願つておることと思うのであります。そこでしからば、このいわゆる受胎調節の知識を國民の間に指導することが必要ではないか。これは私は必ずしもそれが必要でないとは言わない。でありますから、どうもおれはあまりたくさん子供を産んで、それがために生活が困る。ひとつ子供を産まないようにしようという程度の避妊は、これは法律上制限も何もないのでありますから、御勝手に受胎を避けるということについての知識をもつて、これを實施なさることについては、政府はこれに何らの干渉もいたしませんが、政府は進んでこういうようにすれば子供を産まない、こういうようにすれば妊娠しないというようなことを進んでは言わない。こういうように考えているということを申し上げるのであります。あなたのおつしやるように、それらの知識を國民に普及せしめ、自由自在にこれを調節するということは、これができるならば私は必ずしも反對はいたしませんが、政府は法律をもつてこれを指導するということについては、ただいまの程度においては考えていない。そのことと、出産した乳幼兒の死亡率ということについては、なるほど一連の關係はある。たくさんの子供がむやみやたらに生れる、生れることによつて、食生活その他について保護の十分行き屆かぬ、それがために乳幼兒の死亡率が高くなるということはありましようけれども、私の立場としては、できた乳幼兒に對しては、どこまでもこれを發育させて、りつぱに健全に育つようにいたしたい、こういうことを考えて、これが兒童福祉法に盛られたということは、あなたが御承知の通り、しかしあなたが説明するように、こうすれば妊娠しない、こうすれば身持ちにならないということを、今積極的に取上げて指導するということは、考えていない、こういうつもりであります。
#99
○加藤(シ)委員 厚生大臣の御答辯は、まで私にとりましては十分に納得ができるものではないのでございます。それはなぜかと申しますと、乳幼兒の死亡率を下げるために、あるいは母體保護のために、今日の耐乏生活の中にある日本の多くの歸人たち、及びその夫たちが、その産兒調節の知識をもつと徹底的に普及してくれということは、もう輿論として非常に高まつておるのでございます。從つてこれを普及いたそうといたしましても、何分にもいろいろの道具とか、あるいは藥品とかが必要になつてまいります。それがみんな統制を受けております關係上、實際に指導いたそうと思えば、どうしても國家的な見地からなる指導機關というもの、そうしてその指導機關が統制を受けているその器具、あるは藥品等をどんどん廉價で、しかもよい品物をつくつて必要な人たちに與えて保護するというようなところまで一歩前進していただきたい。これを私は希望いたしまして、私の質問を終ります。
#100
○一松國務大臣 今あなたの例にお引きになりました受胎の調節をすることについての器具だとか、藥品だとかいうようなものにつきましては、これは有害なものは私の方としては十分に取締らなければなりません。でございますから、こういう藥品を使つてはいけない、こういう器具を使つてはいけないということにつきまして、それぞれその業者に對しても嚴重なる取締りをいたしておるということは、これは事實でありますが、政府が直接にこういうような藥を飲めば妊娠しない、こういうような道具を使えばこういう結果を生ずるのだということをするについては、政府は今そこまで考えておらないということであります。
 さつきの優生法の問題についてお答えをすることを忘れておりましたが、承りますと、あなたなり福田さんなりが、ああいうような法律案をお出しになつておるということは聽きました。それはいずれ私の手もとにまいりますれば、十分に檢討して、御贊成するところのものは御贊成し、御贊成のできないようなところは、腹藏なき意見を述べる、こういう考えを實はもつておりますが、十分にそれらの點について御研究の上、政府の納得するように、それらのことがもつともだということになりますれば、喜んで贊成いたしますが、しかしその點はまだいかぬと思うようなことには、これは反對しなければなりません。今あらかじめそういう法案が通れば協力して實施に努力するとか、豫算をどうするとかいうことは考えておりませんが、さいわいに國會を經ましてそれが法律ということになりますれば、もちろん喜んでその法案を十分に運用するだけの豫算は、大藏省に交渉してとるということは、これはもう當然であります。
#101
○鈴木委員長 それでは次に大藏大臣への質疑に移ります。西村君。
#102
○西村(久)委員 私の時間も相當短かめになりましたので、ごく簡單に大藏大臣に質疑をいたしてみたいと思います。
 大藏大臣は追加豫算編成の方針を説明されるにあたりまして、健全財政を堅持するために、インフレを防止しなければならないという見地から、豫算の編成にあたられたと申されて、本豫算の公債額四十八億七千三百萬圓を解消することに努力したということを、お述べになつておるのでございます。私は大藏大臣のこのお言葉には、あまりに感服いたさないのであります。なぜかと申しますれば、歳出の面におきまして、金融機關補償資金が百億減るのでありますから、この公債は政府の力で解消するのでなしに、當然解消すべきものであり、本豫算の殘り財源たる五十一億二千七百萬圓は追加豫算の財源に加勢をしておる形の豫算編成になるのではいなか、かように解釋いたしますが、大藏大臣はいかようお考えになるのか、伺つておきたいと思います。
#103
○栗栖國務大臣 お答えいたします。四十八億に前内閣の石橋大藏大臣のときの説明を、私貴族院でも承つたのでありますが、こういうように理解したのであります。補償打切りその他によつて、金融機關に對して政府が百億の補償をするということで百億を計上したのであります。そうしますと、當時では、この補償を交付公債の形式でもやり得るという考えであつて、その見合いは公債發行百億も出されるのであるけれども、健金財政の趣旨で四十八億に止めた、こういう御説明があつたのでありまして、私貴族院でもそれを承りまして、了承いたしたのであります。今囘百億の補償というものが、金融機關の再建整備の完了が遲れますために、今年度においてこれを計上する必要がなくなりましたので、落してしまつたのでありますけれども、しかしながら、四十八億の公債というものが、やはり歳入の部の方に出てまいりますので、これをそのままにしておくというのでは、公債發行というような形で本豫算及び追加豫算を通計して歳入を通算するということになるわけであります。四十八億の公債というものを一般會計で發行するということは、これは公債發行ということについての根本問題は別にありますが、この際はこれは避けて、むしろ普通歳入をもつてこれを補填しておいた方がよい、こういうように考えましたので、これを落して普通歳入でもつて歳入超過というようなところであげておいた次第でございます。
#104
○西村(久)委員 長い御説明のようでありますけれども、私のお尋ね申し上げておるのは、歳出で百億の支出が要らなくらるのであるから、當然歳入に百億のゆとりを生ずるのである、從つてこの公債の四十八億より以上の金は、本豫算の財源を追加豫算に流用することになるのではないかということを、お尋ね申し上げたのであります。
#105
○河野説明員 今度の追加豫算におきまして、一號から八號まで合計いたしますと、歳出の全體の追加は千二十一億に相なります。それから本豫算に計上いたしてありました百億を落しますので、修正減少いたしまして、その結果九百二十一億という數字になるわけであります。從いまして、歳入の方におきましては、九百二十一億の歳入をとりましては、本豫算と通計いたしまして四十八億七千三百萬圓という赤字が出てまいりますので、今囘の歳入豫算の補正豫算におきましては、九百二十一億に四十八億何がしを加えたものを計上しておる。それをとる計畫にいたしておるということになるわけであります。決して簡單に本豫算が落ちてから、四十八億も當然落ちるべき筋合いだというように、ちよつと本豫算追加豫算を通じますと、そういう結論にはならないと存じます。
#106
○西村(久)委員 次は納税成績に關する問題について、所見を質してみたいと思うのであります。今まで當委員會におきましても、各委員から質疑がありましたので、詳しくは申し上げませんが、地方におきまする産業資金が、非常に梗塞状態にはいつておるかのような感じがするのであります。この地方産業に融資いたしまする資金が梗塞いたしまする結果が、私は納税不振の結果になるのではないかということを心配いたすのであります。中小企業が融資が少くなりますると仕事が振わない、その結果は納税しにくい、こういうふうな結果を伴うのではないかということを心配いたすのであります。その點に對しまして、いかなる御所見をもつておられるか、お伺いいたします。
#107
○栗栖國務大臣 地方の、殊に中小工業の振興をする必要があるけれども、ただいまは非常に萎靡しておる。これは資金の不足から來るというような御前提のもとにお尋ねかと思うのでございますが、これは資金の不足のみから來たのではもちろんないのでございまして、資材の不足とか、あるいは系統的に、繼續的に、資材を與えるとか、あるいは技術とかその他の點においてネツクがたくさんあるのでございまして、そのためにこういうようになつたのであります。もちろん資金の不足ということもある程度ございますけれども、しかしこれは極力資金の供給ということについては、先日來もここで申し上げますように、この途を開いてこの途の方に來ていただくようにいたしておる次第でございます。すなわち商工組合中央金庫とか、復興金融金庫、地方銀行その他の代理貸等もいたしておるわけであります。それであらゆる面から、中小工業というものを振興する必要があるということは、まつたくお説の通りでございます。政府は十分その點を考えまして、過日もその振興策等をも閣議できめ、これを實際に移すことにいたした次第でございます。そこで中小工業のみならず、すべての産業のアクテイヴイテイを増すということが、すなわち税の取立に非常に有利になつてくるということも、まつたくお説の通りでございます。しかしただいまは、企業も家計も國家も、みな赤字の連續でございます。そしてある程度中小工業の振興も一方でするかと思えば、一方では大工業の再建整備もし、その振興をもはかつていく、そうして相まつてこの税の收入、國家財政の堅實という裏づけをも完成いたしたい、かようにいたしておる次第でございまして、初めお尋ねのように、資金が十分でないから中小工業が振わない、それがためにこの税收入が少くなりはしないか、こういう意味の前提のもとのお尋ねは、それだけでなしに、非常な複雜な關係になるということを御了承願いたいのであります。
#108
○西村(久)委員 午前の會議に安本長官は、復金等の證券の引受は當然日銀が引受けるようになると御答辯になつたのでありますが、大藏大臣は日銀の引受は避けると仰せになつておられる。これはいずれを信じていいのでありまするか、お伺いいたします。
#109
○栗栖國務大臣 午前中ちよつと都合がございまして、參れませんでしたので、ジグザグになつておるかと思いますが、こういうような方法をとつております。復興金融金庫の債券を市場で消化して、そうして日銀引受に依存しないようにするということは、これは復興金融金庫ができて以來、私もそれには多少關係しておりましたので、全力を盡してやつた次第でございます。しかしながら、金利水準は、當時は國債が三分五厘ベースで金利ができておる。それにならつてこの復興金融債券の割引レートが一錢二厘というように、市場よりはるかに下まわつておりましたので、なかなかそれが實行できなくて、大部分は日銀引受で、そうして實は資金が日銀券の増發という形で出るような結果になつておつたのであります。今囘この健全財政、健全金融ということをいたしますれば、この點はぜひとも改正をいたさなければならぬ次第でございます。そこで政府といたしましては、金融機關、地方銀行、それから市中銀行その他にも連絡をとりまして、そうして毎月々々出る預金の純増の中から、一定の割合を産業資金に振り向け、他の割合を財政資金にまわすことにいたしまして、その財政資金にまわしますうちから、それは一方においては新しいベースによる國債消化の資金にし、他はこの復興金融債券の引受の資金に振向けるようにいたしまして、そこで共同の引受の形をとるようにいたした次第であります。
 それからなお債券發行ということだけでなしに、保證の點もございますので、これも極力保證によつて、それはこの企業再建整備とか、あるいは經濟力集中排除等によりまして、有利な事業と將來は見られるものも、なお今は今後の見透しがつかぬために、普通金融機關で融通ができない點が多々あるのでございます。そういう場合には復興金融金庫の保證のもとに、普通の金融機關がこれを貸出す。こういうような形をも日銀及び大藏省で極力勸奬いたしまして、シンジケートの形その他によつてこの融資に努めておるような次第でございます。さようにいたしまして、今までは結局において大きな部分が、復興金融債券は日銀の引受をやらざるを得なくなつておりましたけれども、今囘からはこれを改善しよう、こういうことを考えておる次第でございます。そこで安本長官の説明も、その關係を多少どうか話されたのじやないかと思う次第でございます。私が申し上げるのは、金融主管でございますので、これは間違いないことでございます。實際これには苦勞をいたしまして、長年やつておることでございますから、間違いのないことだと思つていただきたいと思います。
#110
○西村(久)委員 方面をかえてお尋ね申し上げます。増加所得税は、これは見積りがあまり過大になつておるのではないかということを心配するのであります。なぜかと申しますると、本税は九十二議會に成立いたしました税であります。千二百圓のベースから千六百圓ベースに引上げました際の給與改善費の財源充當を土臺として計畫された財源案であるのであります。當初四十七億を豫定して計畫されたように記憶いたしておるのでございます。ところが本年の本豫算に三十億を計上され、なおかつまた六十億ですか御計上になつておられるようであります。そういたしますると、百四十億以上の増加所得税の徴收額、こういうふうに相なるかのように思われるのでございます。ところが、今日増加所得税につきましては、四月、五月ごろ御承知の通りに、全國一齊に負擔の重きために不服の聲が出たのであります。矢野前大藏大臣が就任當初、大藏省に手違いがあつて、國民諸君に多數の御迷惑をかけたのである、緩和するとまで申された事實もある増加所得税であるのであります。そういうふうなことを考えますと、見積りがどうも多過ぎるような感じがしてならないのであります。今日までの實績がどういうふうになつておりまするか、實績をひとつお示しを願えれば了解がいくと思います。
#111
○前尾政府委員 増加所得税につきましては、すでに御承知のように決定をいたしておりまして、百六十億以上になつております。そのうちで、先ほどお話の通り、かなり短期間に調査いたしましたので、調査の徹底しなかつた、あるいは非常に誤謬のものもございますので、その訂正が約十億程度あると思います。十億以上になるかもわかりませんが、その後におきまして、いろいろ第三者の通報等がございます。それによつて追加決定いたしました分も、相當あるのでございます。それこれいたしまして、百五十億程度は確實にはいるべきものであるというふうに考えております。昨年度といたしましては、五十八億でございましたか、繰入をいたしまして、その後におきまして、三、四十億、全體としては百億以上はいれておるのであります。そのうちでかなり大きいものが六箇月の延納を認めたのであります。その延納によりまして、最近まではいらない分が相當にあります。また中には滯納になつております分が、七月末で五十億ほどございまして、これはちようどその當時財産税の物納竝びに延納の處理が豫想以上に非常に手間取りましたので、督促状等の發送が非常に遲れたのであります。八月以降になつて督促状を出し、また最近督促状を出しておるというような現象もありますので、最近はかなりはいつてきておるというふうに考えておりますので、決して見積り過大ということではなしに、實績に基いて本年度としては六十億が當然はいるべきものだというふうに考えておる次第でございます。
#112
○西村(久)委員 飛び飛びになるようですが、次は非戰災者特別税について、お尋ね申し上げてみたいと思うのであります。非常に財政の苦しい矢先でありまするので、本税の新設を見たかのように承知いたすのでありますが、本税は財産税を創設する前に、實は立案された關係のものでありまして、財産税の徴收後において、この税を御創設になるということは、重複のきらいを生ずるのではないかと、私は考えておるのであります。すでに家屋等につきましては、財産税のかたに納税をした家屋も相當あるのではなかろうかと思つておるのであります。財産税との税の重複關係にはならないものであるかどうか、この點を一點お伺いしたい。
 なおこの課税にあたりまして、調査月と課税月との兩方にわけてあるということは、これは徴税上からいきましても、すこぶる私は劣等なやり方と思うのであります。終戰當時を適當なりといたしますならば、終戰當時の家屋、終戰當時の物にかけるのがほんとうでないかと實は考えるのであります。これを期を二つにわけられて、同一時期にされなかつたという理由等の點が、私はよくわからないのでありますから、御説明を願いたい。
#113
○前尾政府委員 非戰災者特別税が、財産税と二重課税でないかという御質問でございます。もちろん非戰災者特別税は、一種の財産税でありますことは、間違いないというふうに、われわれも考えているのであります。またその施行の時期が財産税以前であつた方があるいは便宜であつたかということも考えられるのでありますが、實際問題といたしまして、非戰災者特別税は、ちようど戰時補償特別税のうらはらをなすものだとわれわれ考えております。すなわち戰災によりまして保險金をもらつて、その保險金が戰時補償特別税によりまして打切りに遇つたわけでありますが、それと同樣に、今度は非戰災者の方も犠牲を忍んでいただくという考えのもとに、先ほど申しましたように、ちようど戰時補償特別税のうらはらとして、この税を創設した次第であります。しかしこれは二重課税で、實際に拂い得ないというような場合が起りますことを考慮いたしまして、財産税の最高税率が九〇%でございますから、その殘りを全部とりましても、一〇%しか殘つていない。その財産價格の一〇%以上の實際上の負擔になるということは避けるべきだというふうに、私は考えておりますので、現在の賃貸價格に對します三倍々々という倍數でまいりますと、なお餘裕があるというふうに考えている次第でございます。
 次に非戰災者特別税におきまして、非戰災家屋税が終戰時をとり、非戰災者税が本年の七月一日をとりましたわけは、もちろんできますならば終戰時をとるのが非常に便宜でございます。しかし非戰災者税におきまして、終戰時の動産その他を、二年經ちました現在におきまして、一々調査するということは、ほとんど不可能でございます。從いまして賃貸價格をとる。また賃貸價格にいたしましても、非戰災家屋は終戰當時の家屋臺帳によつてただちに明瞭にわかりますが、その當時の使用者が何人であるかということは、これは非常に調査が困難であります。また實際問題からいたしましても、最近轉居されるなり何なりされました方が、現在お使いになつている家屋によつて賃貸價格をとるという方が、むしろ實情に副つているというふうに考えましたので、課税技術上非常に困難を冒して終戰時にさかのぼる。これは申告納税でありますので、納税義務者といたしましても、終戰時の御使用になつておつた家屋の賃貸價格を調べるということは非常にお手數でありますので、理論的には幾分齟齬があるかもわかりませんが、むしろ實情に適しているものだと考えて、課税月と調査月とわけた次第であります。
#114
○西村(久)委員 私はこういうふうに時期を兩度にわけて課税對象とするということは、よろしくないやり方のように考えるのであります。財産税と重複するきらいもあるのでありまするから、財産税査定と由しまするか、調査と申しまするか、本年四月一日くらいを期しまして、一齋に全國の家屋に、またその家屋に住んでおる方に、私は課税する方が、賢明ではないか。その代りに財産税の對象となつた家屋は、財産税の對象となつた部分に對しまする控除額制度をおき、新しくできました家屋に對しても、當然私はかけてもいいのではないか。これは戰爭成金、終戰後の成金が家を新樂しておる向きも多數にあるのでありますから、當然富の關係を公平なる分配に立つという見地からいきますれば、こういう方にも私はかけていいのではないか。家を建て得ない人から税をとることはよろしくありませんけれども、新しく家を求めたり、新しく家を建てたりする人には、一定限度の價額以上の家に對しては、私は税をかけてもいいのではないかと思うのであります。しかしこれは私の考えでありますので、後日の機會に私は意見は述べたいと思いまするが、私はこの見地に立ちまして、政府がやみ所得者の高額所得を捕捉して高率の税をかけられるというそのお心持に對しては諒とするものであります。この見地に立ちまして、まず東京都のような大きい宅地をもちまして、いわゆる高い權利料を徴收しておるものに、終戰當時にさかのほりまして、相當額の税をかけるのが、私は至當ではないか、かように實は考えるのであります。そうしますれば、相當の財源が出てくると、私は考えるのであります。この權利料なるものを主張し、權利料なものを徴收されるがために、一般國民の方々が家を建てるのも建てにくい、復舊も、復興もしにくい、住宅も建たない、こういうふうな關係が伴うのであります。權利料はいわゆる權利料でありまして、表へ出ないのでありまするけれども、權利料を拂つた人の申出を是認をして、そうしてその人方は重い負擔を受けて家を建てておるのでありまするから、その人方には免除の方法を考慮してまいりまするならば、やみ權利料と申しますか、やみ高額所得と申しますか、それを捕捉して、相當額の税を私は徴收し得られるのではないか。そういたしますることが、今日の社會情勢から考えて妥當ではないか。そして中産以下の國民大衆になるたけ負擔をかけなにようになることをお考えになることが、現社會黨の内閣としてとるべき處置ではなかろうかと考えるのでありますが、この點に對する大藏大臣の御所見を質しておきたい。
#115
○前尾政府委員 戰災者特別税のうち、戰災者税の方は動産を對象といたしておりますので、その點はただいまお話の點と幾分違うのでありまするが、その點は別にいたしまして、やみ所得に對して課税する。殊にその權利金に對して課税するということにつきましては、現在の税法といたしましては、あるいは一時の所得ということに歸著するおそれがあります。從いまして、今囘所得税の改正で、そういうような一時の所得全體において課税するといういき方に改正いたしたいというふうに考えておりますので、その點は所得税として課税することになると思います。またその借りておる人に戰災者特別税等で輕減するということは、先ほど申し上げましたように、戰災者税は結局その中にはいつております動産、それが燒殘つたということによつて課税いたしておりますので、たとえ高い權利金をお出しになつて借りた場合でありましても、その方が戰災者であれば課税になりません。非戰災者である限り、その中にはいつておる動産というものを課税の對象として考えておりますので、それを輕減するということは、現在考えていないのであります。
#116
○西村(久)委員 私の質問の趣意が足らなかつたためであるか、お答えが私の考えと違う。非戰災者特別税、非戰災者家屋税の關係でないのであります。私は別個に新税として、この非戰災者特別税も一年きりのものである、別個の観點から東京都のような高い宅地の權利料を土地、宅地の所有者のやみ收得と申しまするか、莫大なる金に對しましては、これを何らかの方法で徴税をしていくのが、家あるいは宅地その他の關係とにらみ合わせましても、妥當なような感じがいたしましたので、實はそういう方法は考えられないものであるかどうかということを、お尋ね申し上げておるわけでございます。大藏大臣お考えがございましたら、その點に對するお考えを伺いたいと思います。
#117
○前尾政府委員 その權利金のみを對象とした特別税というのは考えておりません。しかし地主がそれを貸しまして權利金をとるという場合には、當然所得税で課税になるようにいたしたい。今度の税法で疑いなしに課税できる。從來でも權利の讓渡というような考え方からいたしまして、あるいは課税し得たかとも思うのでありますが、これはその點一時の所得に對しても、原則として課税をするという建前をとれば明瞭でございます。從いまして、所得税によつて十分課税し得るということに相なります。
#118
○西村(久)委員 今の宅地に對する税金に相關連いたしまして、農地法、農地調整法のごとく、宅地法、宅地調整法というようなものでも立法いたしまして、そうして一定限度の宅地は、住居に必要な宅地を國民に與える。多くの宅地を所有している者は、その宅地をある程度調整をする。こういうふうなやり方が、私は農地調整と相關連いたしまして適當なように考えまするが、この點に對しましては、政府當局としてどういうふうな御見解をもつておられるか伺いたい。
#119
○栗栖國務大臣 お答えいたします。財政上の緊要なる需要にこたえるため、將來でも新しい財源などを求める必要がある場合において、ただいまのお話は、財源として考えられないかという御説であつたと私考えるのでございますが、さようでございますれば、それもたしかに一つの方法であると考える次第でございます。しかしこの追加豫算では、まだそこまでは考えておらん次第でございます。將來の二十三年度その他の豫算をいかに盛るかというような場合にも、また御參考として承つておきたい。かように思う次第でございます。
#120
○西村(久)委員 もちろん私が申し上げるまでもないとは存じまするが、財産税の物納對象として申告いたしましたるところの家屋は、この戰災者家屋税の申告の對象にはならないということに承知してよろしいものでありまするかどうか、財産税の對象としたものも、またこれと同じように申告しなければならないものか、その點お尋ね申し上げたいと思います。
#121
○前尾政府委員 非戰災家屋税の對象といたしております家屋は、終戰時に燒殘つたという事實に對して課税いたしますのでありますから、終戰時におもちになつておりました家屋は、その所有者に對して課税するということになりますので、その後にお賣りになりましても、物納されまして、すべて課税するという建前であります。
#122
○西村(久)委員 私のお尋ね申し上げておるのは、財産税の對象に申告をしてあるものであります。そうしてその家は、そのまま政府のものとわからないで、今日あるようなわけであります。政府が處分をなさらないから、そまま家は立つておるわけであります。持主は以前の持主になつておる家屋がたくさんあるのではないかと思つております。そういう家屋の分に對しても、また重ねて申告を要するのか、要しないのかということを、お尋ね申し上げておるわけであります。
#123
○前尾政府委員 先ほど申しましたように、終戰時におもちになつておりました方は、その後それをお賣りになりましても、財産税で物納されましても、あるいは物納申請はしたが、名義はそのままで、まだ實際に收納されてないという場合においても、みな一律に課税になるわけであります。
#124
○西村(久)委員 もうよろしゆうございます。
#125
○鈴木委員長 この際あす十一日、明後十二日の公聽會に關しまして、さきに委員長竝びに理事會に一任を願つておりました件について、御報告を申し上げておきたいと存じます。
 第一の公述人は、學識者として東大教授大内兵衞君、前慶大教授、評論家の永田清君、朝日新聞論説委員の土屋清君、金融關係で帝銀の頭取である佐藤喜一郎君、産業關係で經濟復興會議副議長で日本特殊鋼管社長の大塚萬丈君、富士紡社長の堀文平君、勞働組合關係で全財書記長――これは大藏省關係の從業員組合でありますが、特に税務官吏の問題その他いろいろの問題もありますので、全財書記長の品川一登君、産別の勞働組合幹事の中原淳吉君、總同盟主事の河野平次君、第二の十二日は、勞働組合關係から國鐡の中央執行委員長加藤閲男君、全遞從業員組合の交渉部長柴田照治君、農民組合關係から岡山縣農民組合連合會の江田三郎君、中小商工業關係から、東京商工會議所專務理事の吉坂俊藏君、入場税の關係について、映畫演劇の興行組合連合會常任中央委員の林弘高君、婦人代表といたしまして評論家の羽仁説子君。
 なお一般公述人の申込みの中から、次の六名を選定いたしました。山口縣の町會書記、北村政次邸君、讀賣新聞論説委員の山口正吾君、農林省農業綜合研究所の東井金平君、機械技術者の山岸儀一君、東京都教員組合副委員長の野口敏夫君、宮城縣の農業會經濟部書記の八島敏君、以上でございます。
 なお公聽會の案件につきましては、大きく「昭和二十二年度追加豫算について」というふうに決定をいたしておりますが、多少これをこまかくわけまして、各公述人にそれぞれそれの全般またはその中の一部についての公述を求めることにいたしております。總論といたしましては、一、經濟の再建は財政支出によるか、金融上の措置によるか。二、追加豫算は健全財政を維持し得るか。三、追加豫算とインフレーシヨンの關係及び見透し。四、千八百圓基準の是非。五、追加豫算とその財源。六、脱税の防止と大口やみ利得捕捉の方法。七、國鐡及び通信等の特別會計の赤字と獨立採算制。各論といたしまして、歳入について、一、追加豫算における所得税及び法人税増徴の可否。二、新規財源としての非戰災者特別税の可否。三、追加豫算における大衆課税の可否。四、追加豫算における專賣益金増徴の可否。五、各種租税滯納の防止とその對策。歳出について、一、官公吏の待遇改善と經費節約。二、終戰處理費と資金計畫及び物動計畫との調整。三、學術、教育文化費は十分であるか。四、失業對策費は十分であるか。五災害復舊費は適當であるか。六、地方財政の國庫補助は適當であるか。七、産業復興のための資金と資材の供給に關する對策は適當であるか。七、産業復興のための資金と資材の供給に關する對策は適當であるか。以上を具體的な案件といたして、これらに關する公述を求めるつもりであります。
 明日は午前十時より開會いたしますが、公聽會の席にここをつくりかえます必要上、本日はこれをもつて散會いたします。
   午後四時四十五分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト