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1954/12/20 第21回国会 参議院 参議院会議録情報 第021回国会 経済安定委員会 第2号
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1954/12/20 第21回国会 参議院

参議院会議録情報 第021回国会 経済安定委員会 第2号

#1
第021回国会 経済安定委員会 第2号
昭和二十九年十二月二十日(月曜日)
   午前十一時四十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十六日委員中川以良君辞任につ
き、その補欠として、岡崎真一君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     小林 政夫君
   理事
           笹森 順造君
           郡  祐一君
   委員
           山縣 勝見君
           奥 むめお君
           八木 秀次君
           鮎川 義介君
  国務大臣
   国 務 大 臣 高碕達之助君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       桑野  仁君
   常任委員会専門
   員       内田源兵衞君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本経済の安定と自立に関する調査
 の件
 (総合経済政策等に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小林政夫君) それでは第二回の経済安定委員会を開会いたします。
 本日は高碕長官が新しく長官に就任をされましたので、しかも伝うるところによれば、相当な抱負を持って御就任のようでございますので、一応御就任の抱負といいますか、今後の経審長官として、どういうふうにお考えかという点をお洩らし願いたいと思います。
#3
○国務大臣(高碕達之助君) 私は今回経済審議庁の長官に就任いたしまして、皆様方に私の所感を申し述べる機会を与えていただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
 私はこういう議会には初めてでありまして、本当にへその緒を切つて初めてこういう席に出るのでありまして、至って不慣れでありますが、あるいは普通のあれを逸するかも存じませんから、その点は御容赦願いたいと存じます。
 私は本年の十月に南米に参りまして、従前南米でやつております日本の移民の問題、これに附随して工業移民の問題等について私は調べたい、こう存じて参っておつたのでありますが、十一月の末にワシントンに参りまして、アメリカの当局者と会つて、日本の南米進出について私の所感を話しておりましたときに、あたかも前内閣の総理大臣及び経済審議庁長官が、アメリカにおいていろいろ経済対策をしておられましたが、その後の事情をよく聞いてみたんでございますが、アメリカのほうにおきましては、いろいろ日本の政局のことについて皆が心配しておったようであります。ところが私がサンフランシスコに参りましたときに、前内閣があるいは変動するかもしれないと、こういうふうなことがアメリカの官民の間でいろいろ問題になっておつたようでありまして、それでいろいろな質問もあったのでありますが、私の考えは、そのときに内閣がどう変つても、やはり対米折衝というものは、一国の総理大臣が話をしたことであるから、多心間違つておつても、これを尊重して行くのが国際的な信義であろう、こういうふうな感じをいたしまして日本に帰って参りましたのでありますが、帰りましたのは、この十二月の八日であります。時あたかも鳩山内閣が成立せんとするときでありましたのでありますが、私は、私の所感を鳩山さんに申し上げたのでありますが、鳩山さんは、ぜひ君はこれを継続して相談にのつてくれないか、こういうお話がありまして、私はこれをやることになつたのでありますが、誰がこの衝に当つておつたかというと、経済審議庁の長官がこのまとめ役になっておつた、こういう話を聞いたのでありますから、そういう意味で経済審議庁の長官をお引受けしたのであります。引き受けますにつきまして、経済審議庁の長官というものはどういう役割をするんだということをいろいろ勉強いたしまして、きわめて私は短時日でありますけれども、昼夜を分たずこの事務当局と相談いたしまして、いろいろ検討いたしましたところが、これは対米の交渉だけでなくて、非常に重大なる役割のある仕事である、こう感じたのでありますが、前内閣のことを批評するようでありますけれども、私は一時電源開発会社をやつておつたことがあります。そのときに、私どもの監督官庁は通産省でありますが、経済審議庁長官というものが、わずか一年半余の間の私の受任中、経済審議庁の長官は六回変つている。こういうふうなことで本当に経済政策は立つだろうか、こういうふうな感じを深くいたしまして、私はこれはどういうふうになるか、前途はわかりませんが、私の受任中は、ここに一つの方針を定めておきたいと、これはどなたが実行するについても、これだけの方針は定めておきたいと、こういう感じをもちまして、今日私の政策の、個人の考えでございます、また、私は党ともよく打ち合せておりませんですが、私の所見を申し述べたいと存ずる次第でございます。
 まず現在の日本の経済の状態を見てみますというと、前内閣の緊縮政策はだんだん実績をあげるに至りまして、この四月から十一月に至る間の国際収支は一億七千八百万ドルという受取勘定になっております。一方卸売物価も二月と比較いたしまして七%程度低落しております。これは誠に喜ばしい現象でありますが、おもむろにそれを検討してみますというと、この間には約六億ドルという特需関係もありました。また国際的の収支ということになりますというと、相手国がありまして、相手国は物を買つてくれたところからまた自分のほうも物を買おうじゃないかと、こういうことが今日の国際貿易における通例になっております。従いまして去年日本は非常に大きな輸入をしたと、従って今年は買つてやろうじゃないかと、こういうふうなことになって来ているのであつて、今年われわれが輸入を制限すれば、当然来年はまた輸出がますます困難になるであろうということも想像しなければなりません。また一而におきましては、失業者が七十万人もふえているというような実情であります。それで手形の不渡りがある、商社の倒産がある、中小企業者が困憊している、こういうふうなことを考えてみますというと、これは必ずしも日本の経済はそう楽観すべきものじやなくて、むしろ私はますます緊迫している状態にあると、こういうふうな感じがいたすのであります。
 そこにおきまして、私が考えますことは、どの国もすでに終戦後十年間の間には、大体ヨーロツパ諸国におきましても経済自立の計画が安定しているようでありますが、ひとり日本がこういう状態にあるということは、なぜであろうということを、おもむろに考えてみますというと、ここにどうしても政府というものは総合したる長期の経済計画をもって立たなければならん。その長期経済計画をそのままこれを実行するやいなやということは、問題がありますが、しかし少くともここに国民全体をよく納得せしめ得る数字を出して、その指数を出す物差しを示して、それに皆が寄つて協力をして行くという体制をとらなければならん。それについてはここに総合したる長期の経済計画というものが欠けているというのが、非常に大きな欠陥だと私は考えるのでございます。それでこれをやる役は誰かというと、経済審議庁がやるべきものだと、こういうふうに私は考えるのであります。もちろんこの計画の根底におきまして、目的におきましては何を置くかといえば、経済の自立と、そうして完全雇用ということを目的とするのであります。経済の自立、完全雇用、これを短期間に実行するというふうなことをやれば、ここに必ずまた悪い欠陥が出て来る。これは少くとも五ケ年、できれば十年という長い間の計画を立てなければならん。そこで私どもはただいま事務当局と打ち合せておりますことは、これは大体六カ年に置こうじゃないかというふうな方針で進もうじゃないか、それには日本全体の科学の技術、資源の調査等の資料を基礎といたしまして、そうして物差しを作るという方向に進んで行きたいと考えます。もちろんこれを実行するにつきましては、個人の自由なる創意と、企業者の自由なる創意、独創というものを活かさなければならん。従いましてこの一つの物差しができたら、その物差しによって全部押しつけて行くという考えは毛頭ありません。しかしその基準によって皆がよく相談し、皆が納得してそれに進むように政治はもって行くべきであろうと、こう私は信じているのでありまして、まずその物差しを作る役をまずわれわれが仰せつかったと、こう思うのであります。もちろんこの成案を得ましたときには、本委員会におきまして、十分御審議を願つて、御意見を承つてこれを討議いたしたいとこう存ずるわけでございます。
 いずれにいたしましても、現在の状態から見まして、この日本の経済を安定し独立せしめ、自主経済を実行するにおきましては、国民全体の生産性の向上、どうして生産を向上するかということを考えなければならん。同時にある時期におきましては、相当の失業者も出るでしようが、その失業者に対しては手厚くこれを救済して行くという途も講じなければならんと思いますが、しかしその結果勤労意欲を阻止するというふうな政策はとつてはならない、こういうふうな感じがいたすのでございます。これははなはだわかりきつたことでありますけれども、各方面を見ますと無駄が非常に多い。この無駄の排除というふうなこと、煎じつめますと、生産性の向上、勤労意欲の向上、無駄の排除ということをやつて、そうして計画を長期に立てて、この実行に移して行けば、私は日本の経済は必ず自立し、独立し得るものと信じておるのでございます。
 一而差し迫つた問題といたしましては、先ほど申しました対米折衝は、これは寸刻もゆるがせにすることはできなくて、余剰農産物の問題、あるいはもうすでに本年の三月八日に締結いたされておりますところのこの前のMSA援助のあの五千万ドルの問題なども、すでにこれは日本の円で日本に支出されておりますが、これのまだ使用の途等についてもよく検討されていない。これらについては予算の編成等にも関係いたしますから、こういう問題を一時も早く解決するように努力いたしております。また、余剰農産物の配分等につきましても、各省の意見をよく取りまとめて、これに間違いのないような政策にもって行きたいということを念願いたしております次第であります。
 第二といたしまして、東南アジアとの賠償問題は、東南アジアとの経済提携をいたしますには、第一にどうしてもこの賠償問題を解決しなければならない。すでにビルマの問題につきましては、前内閣の遺産として継承いたしまして、着々とこれは進んでいるようでございますが、引き続きヒリツピンそのほかとも早くこの問題を解決して、そうして経済提携の実をあげたい、こういうことは非常に必要だと存じます。
 次に、私がさっき申しました南米方面、中米方面との技術的な経済提携あるいはプラント輸出というようなことにつきましては、でぎるだけ早い機会に各方面の鉄鋼、石炭、造船、セメントその他、プラントとして輸出できるような仕事の技術者を先方に派遣いたしまして、先方の関係方面とよく話をして日本の経済の発展をいたしたいと思うわけであります。
 いろいろ申し述べましたが、今後日本の経済を自立をし完全雇用をするという計画を立てまするにおきましては、日本の国内だけでは、これはなかなかむずかしい問題であつて、世界各国の経済の動き、世界各国との提携というふうなことから、いわゆる経済外交というものを十分やつていただかなければ、これは目的を達成することはできない、こう思うわけであります。
 以上私は、私の感じておりますことを、きわめて露骨に、きわめて率直に申し上げたわけでございますが、どうかその道の大先輩であるこの委員会の方々に、いろいろな御指導と御鞭撻をわずらわしたいということを、この席上からお願いいたす次第であります。以上をもちまして私のごあいさつといたします。
#4
○鮎川義介君 私は新らしい長官である高碕さんとは、非常に長い間のつき合いをしておりまして、かつ事業を共にしまして、ことに満州においては、計画経済というもののもとに、ニ人で画策いたしましたが、その間いろいろのことがありまして、今度久し振りに高碕氏は、日本の経済の一番芯になるものに携わられるということで、私は非常に喜んでおります。ことに最近中南米に行かれまして、その際に得られたところの、現在の情勢から日本というものを見られる上についての知識を外分に特つてお帰りになつたということを承知しておりまするので、これはわれわれがもと満州においていたしましたときの成功した面と、それから失敗いたした面とを深く考えられれば、必ずや将来のため、日本の経済の自立のために、今までにない新機軸を出されることと私は考えています。ぜひ私はこれに向つては、全幅の協力を私の立場においていたしたいと考えて、努力しております。今の御報告を承わりまして、私の特に希望を述べておきたい点がありますから、それをお許し願いたいと思います。
 それは私も先般サウジ・アラビヤ、それからイエーメン、それからエジプト、ああいうところに、あまり日本人がそう長くおらんところに参りまして、相当調査、それから折衝をいたしました。ことにたまたま、ちようど石油の問題が、こちらに帰って来てから石油の問題が起つたのでありますが、向うにおる間に、石油の問題等についても調べる機会を得まして、こちらで想像したのとは非常に違つた事実があるということをまあ見たわけであります。一つには、われわれが手を付け得る場所がまだ残つておるということが後進国の間にある。そうしてわれわれ日本人を非常に尊敬しておる。英米の圧迫からのがれて、そうして新しい自分たちのものを作りたいという上については、自分たちの先輩として日本人を見ておるということを、私は見て来たわけであります。これは非常にいいなと思っておるところに、高碕氏もまた南米においてそういうことを痛感して帰られたということでありますので、私が申し上げるのでありまするが、外に出ました場合に、日本人が提携して向うとやる場合に、どうしても私は、日本は日本で外国にないものを何か一つ持っておつて、それが一つの日本の自負するようなものが一つないと、何でもかんでも英米に追従して、そのお古を頂戴したものを、もう一遍持って行くというのでは、結局尊敬をされないということがあります。これはなかなかむずかしいことであります。日本は現に明治御一新以来、非常に何もかも模倣して来て、模倣が当つていて、新機軸を出して当つたことは、非常にきわめてまれであります。なかなかむずかしいのでありまするが、どうしても海外に出て、そうして経済戦争に臨む場合には、何か特殊の、日本は日本的のものを持って出るということが、どうしてもなければならないということであります。向うでたとえば石油の問題につきましても、向うでやるといたしました場合に、技術の面においては、技術水準も大分おくれております。これではなかなか、ああいう国際場裡に出て、日本人のよさかげんを見せるということはむずかしいから、早くこれを取り返して、そうしてこの中には日本の得意のものがあるのだということを、一つでも見せなければならん。こういうふうになりますと、非常にこれは深い問題に入ります。これは私は、それをやる一つの方法としては、科学技術の面を、今までのようにいいころかげんに、ことに予算の面でもわかりますが、そういう方面に使つておる金というものは九牛の一毛でありまして、誠に少い、けたが違つておるほど少いのでありますから、そういうことでは、私の申し上げるようなことはとうい望まれないのであります。私の関係しておるものに科研がありまするが、元、理化学研究所でありますが、これは非常に深い基礎の上に立っておりまして、こういうものでも、今日非常にわずかな資金で困って、代議士の方でも何でも見られて知っておるのでありますが、これはいい、ぜひやらなければということで、こういうことで賛成を得まするが、決してあとがそういうふうになって行かない。非常に冷淡にみんなから扱われておる。こういうことについては、多分高碕さんは私と同意見であろうと思います。ことにその方面については達識の方でありますからして、これをまずもって今度再検討していただいて、何とかしてああいうものをやつていただくということを、一つ実際問題を検討していただきたいと思うのです。そこはちょっと申し上げておきますと、元あれは財団法人でありましたので、マッカーサーの行政になつたときから、あれが株式会社になつたわけであります。その株式会社になつた理由の根本は何かと申しますと、あそこがもともと、原子力の研究をしておったところで、非常に早くからあれは御承知のように仁科氏あたりが、その前も長岡半太郎さんのときから、ああいう方面でおそらく世界のレべルのトップを切つておるという感じが私はいたしますが、そういうものでサイクロトロンというりつぱなものをこしらえておつて、学者も出たということで、向うから見ますと、非常に危険なやつだ、またこれが戦争をおつぱじめる火もとになるから、そういうものは一つたたきつぶさなければならんということから、あそこにあったやつを海の中に捨てるとかいうことがありましたが、一つには、それの根もとを一つ切るということをしなければならんということになると、財団法人ではいかん、普通の経済問題だけやらせればいいのだから、それにはああいう科学技術というものは、必ず利益を伴うものであるから、利益を伴わんような、そんな戦争をおつぱじめるというような問題のないようにするには、一つこれは普通の経済問題を扱えるような機構にしなければいかんから、これは財団法人じやいかん、どうしてもこれはもうかるような、損得でこれをやつて行くような観念のもとに、あの科学技術をやらせなければいかん、そういうことが一つありまして、その言うたのだったと思うのですが、そこで大体科学技術というものは、商売にこれを向ければ必ずもうかるのだ、病院だとか、教育だとか、あるいは慈善事業のようなものとか、らい患者の病院を作るというものとは違う。だからしてこれは必ずもうけを伴うのだから、もうけを伴うなら、株式会社でいいのだ、財団法人じや、もうからんでもいいものをやる、そういう意味もありまして、あれは株式会社に変えられたわけであります。けれども本当を言うと、あそこは財団法人でやるべきもので、もうからん仕事から先に始めて行って、もうかる場合には、民間にやらせるというのが本当でありますから、初めからもうけることを考えては、これはいかんというので、あずこは株式会社にこしらえまして、相当私は尽力して初めの資本を相当こしらえたのでありますが、それから先はなかなか行かん。差し当りもうかることなら、その辺の産業家が外国から買つて来てやつたほうが早いのであります。基礎的からやることはないのでありますからして、これを私はもともとのように財団法人に変えられて、これに向つて国家が絶大の援助をして行く、将来性のあるものを作つて行く、日本式のものをあすこから生み出すというあれだけの態度で一つ皆さんは臨んでもらわなければならんということで、ちようど今度政変がありまして、高碕さんのような方が、これは非常に喜んでそういう方面に一つさつそくに尽力していただきたい、こういうことです。
 それから外国に出てやるということもちようど私と意見が同じであります。これはただ商売をするからと言って外国へ行つたつて、なかなかもうかった者はないのであります。これにはどうしてもこちらから向うの欲しいことをやつてやらなければいかん、まず与えて行く、これにはなかなか容易ならん初めの金が要るわけであります。その他、日本が自立して行く上についての一番モツトーの問題がある。たとえば道路の問題とか、そういうようなものは誰も都合がいいのでありますけれども、自分だけ出そうという人はないのでありまするが、やはりこれは国が全般的に見て、そうしてこれに施策をしてそれから予算を取つてやる。それから高碕さんが前やつておられたような電源開発にしても、なかなかこれは容易ならん、補償問題、立退き等の問題がありますからして、こういうものに対しては絶対の一つの法律を作つていただいて、そうしてそれがどんどんそういうひいきなしに行けるようにこれを変えていただきたい。日本の経済の根本になることを一つこの際やつていただいて、枝葉末節のことはそれはもう少々どうでもいい。ことにやり方については、私はぜひ重点主義を一つやつていただきたい。これは満州におりましたときに、私はこれは商売だからどうしても重点的に行かないというと、誰ももうからんからやらん。どれが一番大事だというところでやつたならば、それにどつさり銭を使い、努力をするという方針をぜひこの際一つやつていただきたい。総花的にやるということは効果が少いのじゃないか、時間が五時間かかるところは十時間かかってもよろしいのでありますが、とにかく何か目ぼしいものに重点を入れていただく。科学技術にしても、あれもこれもやるということは、何も得られないことになる、馬鹿らしい金を使つてもだめだ。だからそれはそのうちの目ぼしいものに金を使うということの方針を立てて行く。その方針によって、あまりたくさん、盛りだくさんでないように、そうして誰がやつても基礎条件に変りがないというところで私はいいと思います。ことに将来長くこの内閣が続くかどうかわからん。急いでそういぅ根本の問題は検討して、われわれが思考して子々孫々にそんなことをやつたらいい。たとえばどんな党派でやろうが、皆賛成であるという問題だけ一つやつていただきたいという希望を持っております。よろしく……。
#5
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま鮎川さんから、いろいろ御趣旨を拝聴いたしましたが、私どももその感を深くして同感と思う次第でございます。いずれにいたしましても、今後われわれは世界各国とよく協調して行きますが、私はさっき鮎川さんのおっしゃったように、従前は世界各国からかわいがられなければならんという状態でありましたが、今後は世界各国から尊敬を受けなけれぱならん。尊敬を受けなければならん、こういう点におきましては、日本の特殊の科学技術を活かすということは、非常に緊急なことと存じております。この点につきましては鮎川さんと全く同感でございます。
 なお、今後、すでに存在しておりまする資源委員会、資源調査会と申しますか、あるいは科学技術振興会、こういうものとよく連絡をとりまして、ただいまの御趣旨に沿うように進めたいと思っております。
#6
○山縣勝見君 時間がないようでありますから、最初の機会でもあるし、一、二簡単にお聞きしたいと思いますが、最初に私も財界のやはり出身である者として、高碕さんが今回非常にわれわれの経験から見てもむずかしい困難をあえて任じられることに対して、鮎川先生と同様敬意を表しますが、ただいまいろいろお話があつて、日本の経済の再建というか、自立というか、それに対する基本的な真剣な御意見を拝聴いたしたのでありますが、その際、と同時に日本の現在の経済の実情から見れば、たとえば失業者がすでにお話のように七十万もある、あるいはまた、その他非常に緊迫した状態にあるということを認められた上に立っての御議論でありましたが、実は私は今後この予算の編成については、いろいろな鮎川先生のお話がありましたが、大体日本の経済の自立ということをするために、どういう基本的な考えで日本の財政方針なり経済政策をとられるのであるか。さらに端的に言えば、生産性の向上でもって完全雇用をいたし、日本の経済というものの自立をはかるのであるという話でありますが、しかし日本の現実というものは非常にどういうか、あらゆる条件が整つていない非常に困難な状態である。現にお話のように完全失業者が七十万ある、潜在失業者がその十倍、あるいはそれ以上ある。ことに一番大きな問題は、これは高碕さんも財界におられた際にいろいろ御関係があったと思いますが、人ロ問題として生産面から年年七十万といいますか、私は近く九十万くらいになるのじゃないかと思います。そうして行くと、いかに生産性を向上して完全雇用をはかるということになりましても、失業対策の問題、さらに民主党内閣の非常に大きな旗印しの一つである社会保障費でありますが、これはわれわれが提案しておった際においても、大体一兆予算で八百乃至九百くらいのもので、それでもなお足りないといつも言われておつた。そうすると果して今後この現実を見て、困難な日本の現実の経済の上に立って生産性を向上するに、勤労意欲とかいろいろありましょうが、実際予算を組み財政方針を立てられるに際して、端的に言えば昭和三十年度の、少くともここ一両年の間のいわゆる経済再建に対する財政的な見方、どう考えられるのであるか。さらに端的に言えば、仮にこの間からお話のように一兆を割らないという前内閣の緊縮政策に対しては、大体民主党の内閣におかれても踏襲されるようでありますが、その一兆の枠内において今毎日のように労働大臣なり、あるいは厚生大臣、あるいはその他が言っておられるあの政策を行なつた場合において、日本の経済の自立というものに回す財政の枠と、いわゆる失業対策あるいは社会保障費というものに回す関係、これはどういうふうにお考えになっておるか。基本的なものは、時間がございませんから、こまかいことはいずれお聞きしたいと思いますが、どういうふうになっておりますか。将来は両立すべきものでありますが、この現実から見ればなかなか両立しない。これは歴代の内閣が苦心したわけであります。私自身も苦心した。それと時間がございませんから一緒にお聞きしたいと思いますが、私は高碕さんが非常に執意を持っておやりになることに対しては、これは衷心から敬意を表しておる次第であります。ただ、従来の経緯から行きますと、経審長官がどんな決意を持ってやられても、また経済審議庁がどんな決意を持ってやられても、現在の予算の編成方針で今の官制、その他内閣のしきたりから見ますと、それが大蔵省の方針によって結局きめられることになって、長官が非常に研究をされ、また決意を持ってやられても、それが結局事務的なことに終る。大蔵省のいわゆる財政方針の、むしろどういうか、理論付けをするぐらいのことに終ることになる。鳩山総理が就任の直後にお話になつた際に、今後予算の編成はむしろ経済審議庁をして当らしめるのだというふうなことを言われた。これは恐らく従来から常識的に言われて来たことを、思いつきで言われたことだろうと思いますけれども、私はこれは非常にいいことであつて、将来そうすべきだと私は思っておりますが、しかしなかなか現在の内閣の行き方なり、いろいろな感情からできない。これはむしろ希望でありまするが、長官は必ずしも政界に身を置かれるために入閣されたのでなくして、先ほど申されましたように、日本の経済の自立のために挺身されておるのでありまするから、おそらく閣内において遠慮される人は一人もないと思うのであります。むしろこの際予算の編成については、従来大蔵省が主導権を握り、ほとんど大蔵省がやつておりましたことを、私はどうしても経済審議庁が日本の経済……、ことに経済に関することについては、中心になってイニシアチブをとつてやられることが必要であると思います。これは今後相当閣内において強く推進されることを私は希望しておきたい、これは希望でありますが、先ほどの第一点の基本的なことについて、もしもお考えの一端が伺えれば、非常にけつこうだと存じます。
#7
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま実際の制度運営の衝に当つておられた山縣さんから、いろいろ本当に御同情のある御忠言を得たことを私は感謝いたします。第一に、予算のことにつきましては、これは過去におきまして永年大蔵省の所管に属しておりましたのでありますが、これは大蔵省だけが全部やるということに、大きな本質論の間違いが起きておるという感じもいたしますから、これはどうしても総合的に考えて、経済審議庁の長官がそれの責任の衝に当るということは、また検討せられなければなりませんが、少くとも十分の発言をもってやるべきものだろうと存じております。さよう一つ御承知を願いたいと思います。
 なお、些々たる問題といたしまして、われわれは経済の自立、完全雇用ということを理想といたしておりますが、これと現在の緊迫せるこの状態との間は非常にむずかしい問題でありまして、これは山縣さんのおっしゃる通りであります。これをどういうふうに取捨し、選定するかということにつきましては、今ここに具体的に示せとこういうお話でございましたが、私はある程度の腹案を持っておりますけれども、これはよく各方面の経済閣僚とも懇談いたしました上におきまして、他日の機会に申し上げたいと存じますから、本日は御勘弁願いたいと存じます。
#8
○奥むめお君 今山縣さんがおつしやいましたものに付加えて、私は経済審議庁の機構について……。長い間の自由党政権でございまして、これは非常に無理押しをして、いろいろ犠牲が国民にかかる政策もあったと思うのであります。その間にもわれわれ経済安定委員会におります者といたしましては、経済審議庁の機構そのものが、もう少し国民生活の実態に触れた仕事をして行くべきである、こういう主張を常に持っておりました。一億七千万ドルの黒字というのは、これは自由党政府時代からも謳われておる数字でございますけれども、そのかげにはやはり出血輸出という犠牲がずいぶんあると思うのであります。この数字でわれわれは喜んでいるわけにはいかない。勤労意欲の向上とか、生産性の向上とか無駄の排除、これはみな国民の協力なしにはできないことでございますが、国民生活の安定というふうなことを今まで非常におろそかにされておつて、ただ政策を進めるというふうな点に急ぎ過ぎておる、そこで非常に社会の混乱がはげしかったと思うのでございます。ですから私ども、私個人といたしましても、この経済審議庁というものが、ただ机上で過去及び現在の数字から将来を類推するという立て方でなしに、現実の生きた国民生活の中に入り込んで、そうして国民生活の面からの対策を立てるというふうなことが、将来の大きな計画を確立する上にも非常に必要で、その点が欠けておると思うのでございます。新しく内閣が変りまして、国民は希望を寄せておりますけれども、経済審議庁長官として今まで産業経済界に立っておられた高碕長官を迎えるに当りまして、私は特にそういう機構の面で御工夫いただきまして、もっと現実に触れた対策を立てていただきたい。また、ほんの小さなもので一例を申し上げますと、今黄変米の問題で食管会計が大きくゆれておりますけれども、厚生省では黄変米の対策審議会の結論をお出しになつた。これに対しては、厚生省は結諭を出すだけであつて、あとのことは食糧庁がしかるべくやる、その責任は負わない。食糧庁は、厚生省が結諭を出したのだから、これを配給するとおっしゃる。そういたしますと現実に米を配給する米屋は、一割でも毒を削つた米を配給するに当つて、果して公平にこれを混ぜられるかどうかということについては、自信はないとはっきり言っておるのです。そうすると国家の金の面だけで、国損の問題だけで配給したい立場であるらしいけれども、その根拠に非常なギヤツプが出ておる。厚生省はただ有毒だか毒を削つたという結諭を出すだけで、あとのことは責任は負わないとおっしゃる。食糧庁はまた、国損の問題から、これは配給するだけだ、厚生省でよいとおっしゃるから配給する。それでその国損を国民のただしつ放しだけで済むものであるかということになるのでございますが、こういう問題でもそのギヤツプを埋めるのは、私は経済審議庁長官でなければならないと思う。そうすると親切な立場で国民全体のあり方というもの、食生活のあり方というものを考えて下すつたら、そういうところに経済審議庁が働けるような機構になるべきじゃないか。私は大へん期待が大きいだけに、新しい長官を迎えまして、政党も新しくなりましたので、特に今後これらの点に皆さん推進していただきたいということをお願いしたいのであります。
#9
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま非常に適切なる御質問乃至御抱負を承わりまして、私は非常にうれしく存じます。露骨に申しますと、私は経済審議庁長官を受けたときに、私の子供、孫が、一体経済審議庁長官というのは何をするのか、こういう質問を受けたのであります。これはいかに経済審議庁というものが国民と離れておつたかということを如実に語るものと存じておる次第でありますが、従前やつておりました仕事を検討いたしますと、どれ一つとして国民生活に直接関係のないものはないのでありまして、非常に密接な関係があることばかりであります。これをどうして国民諸君につながらすかということについては、内部の機構についてもとくと検討いたしまして、ただいまの御期待に沿うようにいたしたいと思います。
#10
○委員長(小林政夫君) 本日は御多忙のところを、長官には御出席願いまして誠にありがとうございました。当委員会はかねてより超党派的に非常に現実的な審議をやつております。長官の抱負を聞いて、われわれも大いにサポートしたいと思いますが、今後できるだけ機会をお作り願つて、忌憚のない腹蔵のない御意見を拝聴して、共に研究させていただきたいというふうにお願いしたいと思います。いろいろ御抱負の点については同感の点も多いのでありますが、次回には一つ具体的に、どういうふうにやつて御抱負を実現なされるか、いろいろ各委員からもお話が出ましたが、特にわれわれの問題といたしまして機構、運用、その理想を実現されるやり方について、相当問題があろろと思いますのでよろしく御研究の上、御抱負をお示しを願えれば幸いかと存じます。本日はありがとうございました。
 これにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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