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1947/11/13 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第20号
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1947/11/13 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第20号

#1
第001回国会 予算委員会 第20号
昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
    午前十一時十七分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 小島 徹三君 理事 鈴木彌五郎君
   理事 苫米地英俊君 理事 庄司 一郎君
   理事 川野 芳滿君 理事 東井三代次君
      海野 三朗君    加藤シヅエ君
      河合 義一君    黒田 寿男君
      竹谷源太郎君    中崎  敏君
      中原 健次君    安平 鹿一君
      押川 定秋君    川崎 秀二君
      古賀喜太郎君    五坪 茂雄君
      鈴木 明良君    佃  良一君
      寺島隆太郎君   長野重右ヱ門君
      原 健三郎君    山崎 岩男君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      磯崎 貞序君    植原悦二郎君
      角田 幸吉君    小峯 柳多君
      鈴木 正文君    西村 久之君
      今井  耕君    中村 寅太君
      野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  片山  哲君
       内 務 大 臣 木村小左衞門君
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  伊東 五郎君
        總理廳事務官  岡部 邦生君
        經濟安定本部貿
        易局長     藤澤 次郎君
        經濟安定本部物
        價局長     谷口  孟君
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   福田 赳夫君
        農 林 次 官 笹山茂太郎君
 委員外の出席者
        商工事務官   吉岡千代三君
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第八號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 これより會議を開きます。
 大藏大臣は間もなく御出席になります。司法大臣も間もなく御出席になりますが、總理大臣がお見えになりましたから、まず總理大臣への御質問を先にしていただきたいと思います。磯崎貞序君。
#3
○磯崎委員 現内閣は國民に對しまして耐乏生活を要請せられております。われわれも飢餓戰線を彷徨いたしておりましても、その要請にこたえますために、あらゆる忍苦の生活をいたしておるのでありますが、あたかも先般の本會議にあたりまして、閣僚からこの點についての質疑をいたしましたに對しまして、總理大臣の御説によりますと、この忍苦の生活も講和條約の成立によつて、そこに相當明るみがある、いわゆる未來に大きな希望をもつた忍苦の生活をお願いするのだというようなお話がございました。從いまして、この問題について、私どもは、この講和條約という問題がきわめて重大に國民環視の焦點になつておる、この問題につきまして、あたかも去る十日の本委員會におきまして、芦田外務大臣の述べられたお説等も拜承しておりますが、この講和條約に對する總理としての心構え、條約お見透しというような點につきまして、いろいろ構想もございましようが、これらについての御構想を總理の立場として御發表を煩わしたい。しかしてこの問題を目前に控えておりまして、私は特に社會黨總裁として御意見を拜聽したい理由のものは、御承知の通り敗戰後における國民生活の窮乏の際に則り、社會黨はあらゆる政策を提示されて、少くとも國民の同情を相當得られたのであります。しかも社會黨の政權に對する諸情勢、こうした問題が期せずして四月選擧に比較的多數の第一黨におなりになつた、ところで組閣せられまして、ここに半歳に相なりますが、その間國民に提示せられた各スローガンが、いかなる形に行われておるかと申しますと、國民大衆は相當なる失望をしております。しかも組閣直後における當局の八大政綱、各般の主義、主張というものは、まことに貧困そのもののように私どもは見ております。しかも最も重大なるところの食糧問題、その問題につきましても、國民はこう申しております。われわれは社會黨に投票した、おそらく社會黨の諸君が各方面において演説をなさつたその際において、われわれの内閣になれば三合配給をするということを以てわれわれは投票をした。ところがあにはからんや、在來の配給量のそれさへ遲配、缺配の情勢である、こうした方面につきまして、國民大衆からすでに相當疑問符を投ぜられております。ただわずかに連合軍の放出物資によつて、食糧の問題は小康を保つているにすぎない現状であります。あるいはインフレ對策につきましても、去る七月に突如として物價改訂、賃金改訂等が行われたのでありますが、この改訂を契機としまして、インフレに拍車をかけたことは事實であります。その結果、社會黨の最も大きな同情者である勤勞者、生産大衆方面から、相當な失望の聲があがり、さらに今日におきましては非難攻撃の的になり、この方面にも相當なる反對がございます。しかも半歳に等しい間の時日を空費して、ここに豫算案の提示を願つたのでありますが、この豫算を拜見しましても、健全財政そのものの美名に隱れまして、一歩掘りさげてみます場合に、きわめて不健全なるところの諸樣相を包藏しております。こうした關係で、この豫算案が通過しました曉のことを考えますれば、おそらく一大インフレの洪水になり、窮乏の生活はさらに一歩を加えるであろうということを考えなければならぬのであります。去る四月の選擧の際に國民が期待しましたのと、今日とは、相當樣相を異にしております。かかる過渡期における重大なる政情において、この重大なる講和會議を迎えることはどうか。この意味合におきまして、あるいは責任をおとりになるか、ないしは議會を解散して新しき基盤の上にこの曠古の重大なる講和會議に對處せらるべきではないかと考えます。この問題につきまして、まずお答えをいただきたい。
#4
○片山國務大臣 磯崎君の御質問は、主として講和會議に臨む國民としての心構え、あるいは政府としてはいかなる態勢をとつて臨むべきか。こういう問題と了承いたしますので、その點に關してお答えいたしたいと思います。講和會議に臨む日本國民としてとるべき途及び時局を擔當しております政府としてなすべき責任は、まず國内態勢の整備であります。政治的な方面から民主化の徹底をはかりまして、眞に日本は民主國である、平和國である、これを新憲法の制定の線に沿い、あらゆる制度、機構の上に合わしていかなければならないと存じます。第一は政治方面における制度の民主化であります。これについては、政府は極力その促進に努めまして、在來の封建的獨裁的、あるいは官僚的機構に改革を加え、警察制度、司法制度、官吏制度その他に對しまして、憲法の精神を具體化するに努力し、大體その實效は現われてきておると思うのであります。第二の經濟上の問題につきましても、在來のような獨占的なやり方を廢棄して、經濟民主化の線に沿い、あるいは産業民主化の線に沿いまして、眞に國民の自力によつて日本の經濟と産業を再建しなければならないという建前で進むべきであろうと思つておるのであります。このためにも制度としては獨占企業の禁止、あるいは現に御審議中の經濟集中排除法でありますとか、その他獨占的富の公平なる分配、獨占的な状態よりこれを一般大衆に公平に分配する建前による進み方をしていかなければならないと存じておるのであります。同時にまたわが國の財政面におきましても、國民の力によつてそれぞれ能力に應じ、國家再建の費用を負擔し、國家産業を改めて樹立していかなければならないそれぞれの責任を、國民全體が自覺しまして、乏しいうちより國家の費用を分擔していくという建前に徹しなければならないと思つておるのであります。その意味において、今囘の追加豫算面におきましても、いろいろの考慮を拂いまして、赤字財政の方策をとらずに收入及び支出の面において、きわめて健全なるやり方をとらなければならないという意味で、目下お示しいたしております追加豫算の數字が出ておるようなわけであります。こういうふうに、食糧の問題につきましても、産業再建の問題につきましても、國民經濟の問題につきましても、國家財政の問題につきましても、すべて國民はなすべきことをまずなし、なすべき努力を各方面に具體的に現わしていかなければならないという經濟態勢をとることが、必要と思つておるのでありまして、これこそ眞の民主主義の經濟方面、産業方面における徹底であると思つておるのであります。なおそのほかに國民全般に對しまして、心からなる理解、心からなる協力を求めるために、精神上におきましても、民主主義の浸透を政府としては希い、政府陣頭に立つてやるのはもちろんでありますが、さらに國民の協力を求めたいという意味で、精神運動も起しておるような次第であります。すなわち政治上における民主主義の徹底と、經濟上における民主化の促進と、精神上においては國民の協力を求める。政府は陣頭に立つて責任を負うのでありまするが、國民の支援を求める。こういう三つの態勢によつて進んでいくことが、講和會議に臨む日本國民としてなすべきことであり、また政府としてなすべき構想であり、心構えであると、かように考えて、その方向に向つて努力いたしておるような次第であります。これが國際的信用も得られる根據となるのでありまするから、講和會議のいろいろの細目等につきましては、申し上げることもできない状態でありまするが、それらの問題にかかわらず、國民としてなすべきことだけを一生懸命に、政府として與えられたる責務を十分に、今日はやりつつある次第であります。なおこの政府が組閣以來さつぱり何もやつていないじやないか、特にインフレを促進するような政策をとつておるではないか、一向講和會議に臨む心構えを實現していないじやないか、こういうような御意見がございましたが、大分御意見として拜聽するよりしかたがない點もあります。私どもといたしましては、たびたび申すことでありまするが、インフレを促進するような政策はとつていないのであります。全力を盡してインフレを防止しなければならない。防止するための政策としては、こうこういう政策をとるのである。こういうよう意味でもうすでに數囘御説明いたしておるような次第でありまして、今政府のとつておりまする政策は、極力インフレを防止するの政策であります。經濟緊急突破政策もそれでありまするし、また物價體制を確立いたしまして、流通秩序の確立をはかり、やみの撲滅をして、この大きな波を防いでいかなければならない。豫算面においても赤字を出さないように、極力健全財政の建前で、國民それぞれ乏しきを出し合つて、國家財政を擔當してもらうようにしていかなければならない。これには農民諸君も、勞働者諸君も、事業家諸君も、國民すべてが協力して、この大きな波を防いでもらわなければならない。このためには幾分苦しい場面もありましよう。幾分反動といたしまして物價の値上りも來したでありましよう。しかしこれは敗戰國のわが國の經濟を建直すための苦痛でありまして、これを乘り切ることが必要である。乘り切るための對策としまして、苦しいが新物價體制を守り、千八百圓のベースを堅持し、かつまたそれぞれ出し合つて、今日のこの敗戰經濟を建直していこう。敗戰財政を健全財政として守つていこう。こういう建前でやつておるのでありまして、インフレ促進策をとつておるのでは決してないのであります。すなわちあらゆる場面から、講和會議に臨むために民主化の徹底をはかり、その線に沿うて努力しつつあるということは、すでにたびたび御説明申し上げた通りでありまして、今後におきましても、その線に沿いまして進んでいこうと考えておる次第であります。
#5
○磯崎委員 總理の構想を拜聽したのでありますが、現在の日本の農村民あるいは勤勞階層、そうした兩面は、決してただいま總理の仰せのごとき形ではない。昨年、今春實施せられましたる農地法、こうした問題を契機にしまして、相當農村がきわどい險惡な思想に今陷つております。われわれがいかに働いても、やがてまた第三次の農地改革等も起り、自分らの勤勞の結晶が奪われるときが來る。もういろいろな點におきまして失望しております。先般平野農林大臣が第三次の農地改革とか、山林改革とか、いろいろな仰せの結果、山林を濫伐するとか、あるいは仕事はしないで、いたずらに現在に甘んじているとか、あるいは最近農地調整令というような相當過激な立法も問題になる。これではとても食糧の増産の御奉公、供出の御奉公などはおろか、今日のいわゆる現内閣に御協力を申し上げるということについて、失望を感じておる。こうした問題が相當生産量に影響しておるように私は思います。あるいは勤勞階層におきましても、ただいま仰せのごとき状態ではございません。千八百圓ベースを基本において、おそらく今食えるか食えないかのどん底に陷つたこれらの階層は、現内閣に非常な失望を感じております。政府のおつしやる通りにまいりますれば、かの山口判事の死によつて報いられたというようなことに陷る。これを政府では流通秩序の問題とか、各般に對して國民生活の安定をとつておるという仰せに對しましては、少しお考えが違いはしないか。こういうふうに考えております。かくのごとき情勢で、國民の聲は、現内閣はまず一度議會を解散するとか、辭職するとかなされることが、時局の混迷から脱却する所以であるというふうに見ております。これらが世論になつておる半歳の時の經過であります。もう二年、三年くらい斃化した國民の動向になつておりますが、こうした問題について、總理はただいまのようなお考えを改めていただきたいと思う。
 時間の關係もありますから、今一つお話のついでに質疑をいたしますが、これは農林大臣から度々發表され、あるいは演説會等でお示しがあつたのでありますが、政府は第三次の農地改革をなされるかどうか。山林、原野、柴地、こうした方面の開放をなされるかどうか。あるいは富の均分化というような關係から、宅地、市街宅地方面に對しても、そうした構想をもつておいでなさるかどうか。これはひとつ總理から、國民の疑惑を解くために、簡單でよろしゆうございますから、この席上で御意見を拜聽させていただきたい。
#6
○片山國務大臣 食糧増産のために、及び農村の文化發展のために、あるいは農民の生活向上のために、こういう面から考えまして、農地制度はさらに改革しなければならないと考えております。それを現在施行いたしておる農地調整法に、どう照していきまするかということについては、技術面においても、また細目の點においても、いろいろ考えていかなければならない點があると思いまするので、その問題につきましては、近く選任せられまする專任農相とよく協議をいたしまして、具體的な意見を述べることにいたしたいと存じます。
#7
○磯崎委員 また他日の機會に總理に質問することにいたしまして、次に大藏當局にお尋ねを申し上げます。健全財政という問題につきまして、ただいま總理からもお話もあり、たびたび大臣からもお話があつたのでありますが、これはどうも先般來も同僚から申しまする通り、壓倒的に不健全政財である、こう申しております。しかしその問題につきまして、私は所論はまず中止しますが、ただこの場合に特にお考えを願いたいのは、いわゆる六・三制の問題に對しまして、最初十四億餘の計數を要請され、その當時政府當局では、各府縣にこれが問題に對して内報を出して、地方ではいずれもこの問題について建築やその他の進行をしておつたというようなところまできておつた。ところがここにその豫算が半分に減つたというようなことによつて、全國的にこの問題が憂慮の焦點になつてきた。當時本會議における同僚の質疑に對して、文部、總理御兩相から、かりに豫算におきまして、その減額を見たのではあるが、必ずや新期の通りに財源を見つけて、違算のないようにしようというような言明があつたのであります。これは大藏大臣としまして、いかなる財源を求めてこの補填を、追加をなされんとするか。この問題についてのお考えを承りたい。いま一つは、今全遞方面から提訴されておりまするところの生活補給金の問題、これは中勞委からいずれ適正なるところの裁斷がありましようが、その結果として當然考えなければならぬ問題は豫算の追加であります。こうした問題は、むろんひとしく健全財政の上にまた追加を見なければならぬという運命づけられたものでございますが、こうした問題につきまして、いかなるお考えをもたれるか。さらに昭和二十三年度の豫算の編成期になつておりますが、この豫算の編成にあたりまして、現在われわれはおそらく二千五、六百億ないし三千億くらいになるのではないかという憂慮さえありますが、わかりますれば、その概要を示していただきたい。しかもその豫算の編成にあたりましては、ただいま申しましたよな、いろいろ支給問題等が基盤になつて、相當な豫算を見積るのではないかというふうに思われますが、これにつきましてのお考えを承りたいのが一つ。
 その次にタバコの問題でありまするが、タバコが五百億にも近いところの數を見込まれております。これは重大な問題で、現在この政府ではタバコの耕作、作付面積あるいは收納の豫想、製造の情勢、これによつて多少また外國へも輸出なさるような問題もありましようが、タバコに期待しておる計數をひとつお示しを願いたい。
 第三に酒の問題でありますが、先日の農林當局のお示しによりますと、主要食糧の問題から、おそらく酒の造石の方にはまわさないかもしれないというようなところまでもお話があつたのでありますが、相當豫算に大きな期待をもつておりますこの酒造税について、いわゆる從來の清酒、あるいはビール、燒酎、ウイスキーというような各種の酒造に對しまして、どういうような計畫の上に造石の計畫が立つておりますか、この問題を御答辯願いたい。
 次にタバコの問題は、政府で相當大きな期待をされておりますが、半面にタバコをつくる耕作農民の問題、なかなかタバコの耕作は容易なことではなくして、しかも現在の賠償金は、報いるにまことに少い額であるということを唱えております。なるほど掘り下げて檢討いたしますると、一年を通しての勞力――苗床から收納までほとんど一年であります。それからこれに投ぜられるところの勞力が相當なものであります。肥料その他は他の作物よりもより以上高くて、おそらく段當四、五千圓ぐらいの肥料、魚肥を投じておりますが、これに對しまして、段當四、五十貫の收納をやらしております。現在の五千圓内外の賠償金、これではとうていやりきれない。一面消費階層では、タバコ値上のために苦痛を感ずる。生産農民といたしましては、賠償金が安い。期せずしてそこに起る問題は、政府の計畫されるようなルートに豫定通りに乘らないで、そこに横流れというようなものが必然的に起つてくるのである。先般來一般の税收入に對しまして、税務當局に對していろいろ税制の問題についてお話があつたのでありますが、タバコの收納について相當な技術を要し、努力を要し、監督を要するような部面が、新しくはいつておりまするが、これらに對しまして、どういうような方法で處置するか。以上の點につきまして、大臣から御答辯を求めます。
#8
○栗栖國務大臣 お答えいたします。今囘の追加豫算がきわめての不健全財政だということでございましたが、これについてはすでに幾度も申し上げておきたいと思うのであります。これは今囘まで、すでに前内閣以來金融の面で、たとえば鐵道、遞信あるいは貿易資金、あるいは復興金融金庫等の金融面に大きな脱け道がありまして、金融ということ、すなわち日銀券の發行ということを誘致して今日に至つておるのであります。これを一般普通歳入によつて支辨をしまして、金融の面は金融の面で必要な資金が要るのでありますから、その方面に十分協力し得るようにする、一般歳入によつてこれを財政資金として補う、こういうことでこの大きな大本を立てておるのであります。そうして一般歳入につきましては、極力この收納、納税ということを國民にも十分徹底してまいりたい。そうしてこれを日本國全體として取上げる。こういうような大きな荒筋の骨子を出しておるのでございまして、その點を一言申し上げておきたいと思うのであります。
 なお六・三制につきましては、先般來川野委員の御質問に對して十分お答えした次第であります。この資材その他とにらみ合わせて、今囘は七億ということになつておるのであります。この七億ということは、あとの殘りの七億を全然見ないという意味は毛頭ないのであります。實はこの資材の面、しかもその資材の取方も、單に鐵鋼、セメントというようなものにとらわれないで、十分資材の裏づけということを考えまして、そうしてあるいは追加豫算、あるいは豫備金の支出ということでいたしたいと考えておる次第であります。それからさらに起債の十七億ということも、預金部の資金の集積というもの等とにらみ合わせて、消化ができないものは必す預金部資金の裏代けによりまして、それから資金の供給をするということでやつていきたい、かように考えておるわけであります。
 それから給與の問題でありますが、これは中勞委その他でもまだきまつておらぬのであります。内容を見ないと、ここですぐいろいろ申し上げることはできない次第であります。十分善處もいたしたい、こう考えておる次第であります。
 なおその次に二十三年度の豫算編成しありますが、これは政府といたしまして、ただいま方針その他を考究中でありまして、近くこれをきめて皆樣に申し上げてお考えを願うことに相なると思うのであります。しかし建前はやはり收支のバランスをとるというような點、しかも今度は二十三年度でありまして、新しい産業の開發とか、國民經濟の再建というようなことをも考慮していたしたいと思うのであります。
 それからタバコについてでありますが、それも二十三年度のタバコトいうことに相なりますので、この來年度の收支の計畫その他をにらみ合わせてきめたいと思う次第であります。それからタバコの作付、その他あるいは詳細なる説明につきましては、事務當局から適當なるとき御説明を申し上げたいと思つております。それから買上げの價格、肥料等についても、二十三年度としましては、諸般の問題とよく考え合わせまして、十分にこの考慮をしたいと思つております。
 それから酒についてでありますが、酒についてもまだどういうようになりますか、はつきりきまらぬのでありますが、しかしあるいは先ほど來もここでもお話がありましたように、甘藷を腐らすというような方面よりも、アルコールその他に活かして、十分國民の嗜好にもかなうようにいたし、さらに税源も確保したい。そうして主要食糧だけでなしに、そのほかの點をも十分考慮をいたしたい、かように思つておる次第でございます。
#9
○磯崎委員 ただいまの大藏大臣のお話で、現在の豫算にタバコ竝びに酒は破天荒な見積りを求めておられますが、二十三年度の豫算等も今編成に取かかつておいでになると思いますが、今後こういうものは、いわゆる大衆課税的なものはおそらくこれが限界線である。從いまして、こういう方面に財源をお求めにならぬものというふうに私は考えておる。おそらくここにこれらの方面に對する課税は終止符をつけられたものとさえ、私は思つておりますが、これに對する御意見をお願いいたします。
 次に商工當局にお尋ねいたします。現在の衣料問題、これは食糧に次いで重大問題でありますが、この衣料に對しまして、いかなる對策を立てておるか。國民全般に對しまして、どういうような配給の形になつておるか。これに對しまして、商工當局からひとつ安心のできるような御説明を煩わしたい。
 それから戰災者に對する住宅問題、この建設もまことに遲々として振わない形でありまして、各方面から窮乏を訴えられておりますが、戰災復興に對する情勢が、どういう形にいつておりますか、これは復興院當局からお答えを煩わしたい。
 それから農林大臣から御答辯を願いますが、國民榮養の給源は、まずみそ、醤油であると考えます。このみそ、醤油が遲配缺配の現状でありますが、これはどういうように各家庭に配給せられるようになるか、これに對するところの計畫をお聽きしたい。もちろん現在のだいずの生産量では、とうてい困難でありましようが、その場合には輸入に仰いで、國民のこうした方面に對する滿足をさせるという、安心し得られるような御意見等も拜聽したいと思います。
 それから農地問題に對して奉公しておりますところの委員會專任書記、これらに對しましては、國家の事務でございまするから、全額國庫補給で給料を支拂うのが妥當であるというふうに考えておりますが、これに對するお考えを承りたい。
 それから水産廳の問題は、既に決議案となり、あるいは委員會におきましても滿場一致となり、各方面の要望がございますが、これはおそらく現在では必ずや豫算に編成されるであろうというふうに思つておりますが、これは必ず二十三年度の豫算に編成せらるべきものか、あるいはどうであるか、これについてひとつ明確なる御答辯を願いたい。
 それから農地の問題に對して、いずれも現在では地主が小作人から小作料をとるについては一定の規制がされております。水田に關しましては七十圓臺、畑に對しては五十圓程度になつております。ところで模範を示すべき政府當局、あるいは地方廳等におきまして、まことに異例な行いをしておるのであります。それは河川の中にありますデルタ地帶の河川敷、これを農耕地用に貸しておりますが、これが最近地方廳の財政窮乏に名を借りて、破格な増額をしております。その結果いろいろ各農家の人が問題にしておりますが、これは今日の農地制度のもとにおいて許さるべきものかどうか。民間にそうした制度を布いておいでになる政府、あるいは地方廳が、みずからのことでは財政窮乏に名を借つて、農耕地に使われておるものを多額な値上をするということが許さるべきものであるかどうか。これに對しまして、もし許されざるものであるということになれば、現に神奈川縣のごときは實行しておりますが、これにひとつ注意を促していただきたい。これは内務省、農林省共管の形で、兩方からの御意見を拜聽したいと思います。
 最後に生鮮食料品の統制の廢止という問題は、すでに論議は盡きております。先般參議院におきましても、ほとんど各委員がその必要を認めております。あるいは先般來の公聽會その他豫算委員會におきましても、同僚あるいは出席者からこの問題につきまして述べられておりますが、これは當然廢止せらるべきものである。現に果物類は廢止した結果によつて各方面で品物も潤い、値段も安くなり、便利を稱されておりますが、魚や蔬菜のごとき、こうしたものも、机の上のプランによつてくぎづけにするということそのことが誤りである。安本當局はこれらの問題は、まずいの一番にその統制のわくからはずすべきものであるというふうに御警告申し上げます。これに對しまする御答辯を願いたい。
 いま一つの少年保護團體の問題でありますが、これは御承知の通り最近道義頽廢の結果、大分警察の厄介になつておる。ところが特にはなはだしいのは、少年でる。これらのものが法によつていずれも處斷されて、各方面でごやつかいになつておりますが、これが二十年におきましては、少年保護法第一項八號の處分、いわゆる國立少年收容所に入れられるものが千七百七十三名でありました。これが二十一年になりますと、千六百五十四人となつております。いくらか減じておるのであります。ところが、その反面に、同法の第五號の處分、いわゆる民間保護團體に收容すべきものが、二十年におきましては五千九百九十三名であつたのが、二十一年におきましては、六千五百五十六名になつておる。こういう結果でみますると、少年保護に關する限り、これらの民間團體のお客樣が、どんどん殖えておる現状である。ところで、これに對する政府當局の補給金が、現在一名日額三圓であるという状況であります。一日三圓で、これらの重要な保護は、それらの團體にはどうしてもできない。少くとも現在の物價關係から、千二百圓の補助をいただかなければ、この重大なるところの要請にこたえられない。その結果、中にはこの仕事をやめるという者さえ相當出てくる。これは現在三圓というような、きわめて實態にふれない補助のために、こうした現状になるのでありますが、これは千二百圓の補助費を至急補給する御決意があるかどうかをお尋ねします。
 時間がないということでございまするから、すべて速射砲で御質問申し上げましたが、以上の諸點につきまして各關係大臣から御答辯を願いたいと思います。
#10
○栗栖國務大臣 お答えいたします。二十三年度の豫算編成にあたつて、酒、タバコのごときものをさらに値上げするかどうか、大體飽和點ではないかという趣意のお尋ねであつたと思います。これに對してお答えいたします。二十三年度の豫算につきましては、先ほど來申し上げました通り、目下いろいろ方針その他を討究中でありまして、われわれは財政上の需要ということと、また財源とか、あるいは國民生活の安定というようなことも考え合わせて、いろいろこれを考慮いたしておる次第でございまして、それ以上ただいまこういうことにいたしますと申し上げる域に達しておりません。しかしいずれ方針その他がきまりますれば、ここでまた申し上げまして、いろいろお考えも承りたいと思う次第でございます。
#11
○鈴木國務大臣 ただいま少年の取扱いにつきまして、一日三圓ではあまりにも少いではないかというお尋ねでありまして、これはお尋ねまでもなく少いことに相違ないのであります。ただいま一日四十圓を豫備金から出してくれるように請求中でありまして、なお明年度からは十分に保護をなし得るような費用を要求する豫定であります。さよう御承知願いたいと思います。
#12
○笹山政府委員 農林省に關しまする問題につきまして、まずみそと醤油の今後の見透しにつきましてお尋ねがありましたが、みそにつきましては、大體現在の配給基準量を當分の間維持してまいりたいと思つております。われわれといたしましては、現在の配給量がいかにも不足でありまして、でき得るならば、近いうちにこの倍程度にいたしたいと考えております。そうするとだいずが相當要りまするので、現在國内産のだいずをもつて當て得る數量は、みそ、醤油關係につきましては、約五萬トン程度しかだいずの供給が確保されておりません。從いまして、相當程度のものが輸入にまたなければならぬ状態でございまして、今後これらのものにつきまして、相當増加し得るかどうかという點につきましては、ひとえに輸入量のいかんにかかつておる次第でございまして、農林省といたしましては、目下これらの使用だいずの輸入につきまして、せつかく懇請中であります。醤油につきましては、大體現行配給量を今後とも維持してまいりたいと考えております。
 次には農地委員會の費用でございまのが、これはお話のように、政府の國策として遂行されておる大きな問題であります關係上、全額國庫負擔とすべきが當然であると考えております。われわれとしては、さような線に沿いまして、今後とも經費の捻出に努力してまいりたいと考えております。
 次は水産廳の豫算でございますが、御承知の通り水産廳を設置するか否かにつきましては、國會においてもまた政府においても、未決定の状態にあるのでございます。從つて農林省としては、將來水産廳の設置がきまりますれば、もちろんこれに伴う所要經費は、二十三年豫算に計上してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
 河川敷地の利用について、相當高額な地代を要求されておるというお話でございましたが、これらの河川敷地の使用については、從來他の農地よりも、相當低廉な敷地料でもつて賄つておられたように聞いておるのであります。從つてわれわれとしましては、農地の賃貸價格とバランスをとるようにいたしてまいりたい。從つてもしさようなお話のような事例がありますれば、これは内務當局ともお話をした上で、善處いたしてまいりたいというふうに考えております。
 次は生鮮食料品の統制の撤廢の問題でございますが、これはいろいろかねてからの議論のあるところでございまして、統制の困難である、また非常に技術を要するという點は、お話の通りでございます、しかしながら、現在國民生活を確保する上におきまして、少いこれらの生活に最も直接的に結びついておるものを、しかも供給が全體的に非常に不足であるというものにつきましては、われわれとしてはやはり統制を繼續して、國民生活の確保に努めなければならぬと思うのでございます。もちろん統制の惡い點、あるいはやり方の惡い點については、これは實際の實情に副えるように、逐次改善をいたしてまいりたいという考えで、目下關係者の方々が、たびたび寄り合つて、輸送の面とか、あるいは價格の面とか、あるいは生産の面、こういつた面を常にそれぞれの立場からながめて、改善の方策を進めておるような次第でございます。近くこれらの生鮮食料品、野菜、魚については、現在の統制の方式におきまして障害となつておる點について、具體的にどういうふうに改善するかという問題については、近く對策を發表しまして、各方面の御協力を得て進みたいというふうに考えております。
#13
○磯崎委員 まだ答辯が殘つております。
#14
○鈴木委員長 商工關係が殘つておりますが、安定本部の方では、今の答辯と同じで、別に答辯はないそうであります。
#15
○伊東政府委員 住宅の實情がどうなつておるかというお尋ねでありますが、終戰の際における住宅不足状況は、空襲によつて燒失したもの二百十萬戸、強制疎開によつて取壞したもの五十五萬戸、戰爭の直接の結果として二百六十五萬戸不足いたしました。そのほか海外引揚者による利用増、あるいは戰時中の住宅供給不足などを合わせまして、四百五十萬戸餘りの不足があつたのであります。その後終戰以來今日まで建設した戸數は、六十一萬二千戸餘りとなつています。大體一年間に三十萬戸程度の建設をいたしてまいつたわけであります。それに對して私ども戰災復興院としては、將來の資材の状況などによりまして、大體十五箇年間にこの不足數を解消することにいたしたいと思いまして、大體そういう試案をもつて進んでおります。これは住宅全般の問題でありますが、政府としては特にただいま炭鑛勞務者の住宅と、戰災都市における公共團體などが供給しますいわゆる庶民住宅に、最も重點を置いて施策を進めておるのであります。炭鑛住宅については、大體今年度四萬戸の計畫を立てまして、これに對しては資材、資金等最優先的に斡旋をいたしておりまして、大體順調に進んでおります。
 次の庶民住宅につきましては、今年度新築三萬五千戸餘り、既存の建物を採用いたしますもの一萬三千戸餘り、餘裕住宅に對して同居者を置く場合に、間仕切その他の改造に對して資材の斡旋、費用の補助などをいたしているもの、これが四千戸餘り、全部で五萬三千戸ほどの計畫を立てておりまして、これに對しては全部二分の一の國庫補助を出しております。この庶民住宅につきましては、ただいま土地の問題、資金の問題、それから二分の一の國庫補助をいたしておりまして、これによつて合理的な家賃を設定しておりますが、家賃の關係で、新物價體系による資材の値上りなどのために、家賃が高くなりまして、土地、資金、家賃の問題などについて、いろいろ苦慮いたしております。本年度の五萬戸の計畫は、大體において遂行できる見込みでありますが、この全體三十萬戸のうち、庶民住宅五萬戸という比率は、普通の状態から見ますと、非常に戸數が少い。これは豫算の關係でそうなつているのでありますが、ただいま一般庶民に對する貸家の供給ということは、民間企業として成り立ちませんので、どうしてもこれは國の相當の助成によつて、公共團體その他において供給していかなければならぬ問題でありますが、戰前においては、住宅の全體の供給數の大體七五%程度は、貸家という形で供給されておつたので、現在この比率が非常に少いということによりまして、住宅全體の數よりも、庶民住宅の數の不足ということが、現在住宅の供給の非常な障害になつているわけであります。來年度以降極力この戸數を殖やして、庶民住宅の供給を十分にはかりたい、こういう考えでございます。
#16
○磯崎委員 實は現在河川敷と申しましようか、その善用利用の名のもとに、これが農耕地用に使われておるところがあります。こういうのが各府縣にございますが、いずれも最近十倍ないし十五倍くらいの厖大な上げ方をしておりまして、從來は先ほどお話のあつたように、段當り三圓程度でありましたものが、今日は九十圓程度に上げております。りつぱな農耕地にあつてさえ五十圓ないし六十圓の小作料であるのに對して、この河川敷において、模範を示すべき地方廳とか政府の當局が、財政窮乏に名をかりて、かような非常な値上をするということは、なるほど農地法の適用は受けないかもしれませんが、少くともこれが對象になるのであります。そこでこれは地方で相當問題になつておりますが、そうした不當な値上を要請しておるところの地方廳に對し、政府の方から御注意を促し、改訂を命令していただきたいと考えております。この問題は、農林當局におきましても、農耕地の關係、農地法のお扱いの關係でありますから、兩方で協力して、値上を中止させるということの擧に出ていただきたいと思いますが、この點に對する内務當局の御意見を伺いたいと思います。
#17
○木村國務大臣 お答えいたします。河川の高水敷と申しますか、使用さしてありますことは、御承知の通りであります。あの河川敷でも、農耕地として一時使用を認めております以上は、從つてそこに農産物の收益があるわけでありますから、それに對する課税を内務省で認めておりますわけであります。大體直轄河川なり、府縣の補助河川につきましても、そういうような河川敷使用の料金のようなものにつきましては、これまでは地方長官、ただいまでは知事に、一切の委任事項となつております。いくらかでも使用料がとれますことは、河川維持の負擔の方に、多少の一助にもなるという見方から、一任しておるわけであります。御承知の通り、近來地方財政が非常に枯渇しておりますので、いきおい河川敷の農地に對して、ただいまお述べになりましたような、非常に過重な料金を徴收しておることがあるかもしれませんと思われますが、その調査はまだ内務省の方では詳しくわかつておりません。大體昨年くらいまでは、國土局長の命令をもつて、各府縣に通牒を出しておりまして、あまり多い料金をとつてはならないような通牒は、年々出しておることであります。ただいまのところ、どういうふうな料金なり課税のようなものを徴しておるかということは、明瞭にわかつておりません。しかしお説のごとく、元來が農耕地本來のものではありませんから、そう耕作者に對して過重な料金をとるようなことがあつてはならぬと思います。よく調べまして適當な處置を講じます。
#18
○鈴木委員長 この際司法大臣がお見えになつておりますから、庄司一郎君の質問を許します。
#19
○庄司(一)委員 司法大臣に對する私の質問の要點は二、三點でございますが、第一點は司法大臣の行刑對策いかんということが一つ、第二は監獄法の改正を新憲法實施下において速やかにこれを制定すべし。この論理の上より監獄法改正の準備をされてはいかんということをお尋ねしたい。第三は戰時中に縮小された司法保護局を保護課という矮小な一課に縮小されたのを、不幸にして犯罪者、特に青少年の犯罪激増の折柄において、保護課を保護局に擴大強化する意思なきや。かような三點について伺いたいのであります。昨日われわれの報告の中にプレゼントされた「過剩拘禁と治安の危機について」司法省行政監察委員會委員長佐竹晴記君の名によるパンフレツトを頂戴いたしました。これを一讀したるところ、過去二箇年の間に刑務所より社會に逃亡せる個人あるいは集團的の逃亡の件數が、約四百四十件に上つておる。それから最後のページには、本年の現内閣以來集團的獄内における兇惡なる騒擾罪、あるいは社會に逃走して治安を害したような極端な事件が、かなり多く、何十件とここに報告されておるのであります。かような行刑上直接間接司法大臣の究極において責任となるような不祥なる事件が、刑務所内において各地に擡頭しておるそのよつて來る原因は、終戰後における特に刑務所内における道義の頽廢もありましよう。あるいは食物が惡い、あるいはこの報告書の中にありますように、夜具がない。受刑者あるいは刑事被告人に給與するところのふとんが、きわめて不足である。あるいはまた刑務所看守の給與は、この最後の別表第五にありますように、本俸がわずかに三百六十圓、四種類のいろいろな手當等を加えても、一千三百九十五圓というような待遇がまことに菲薄な状態に示されておる。そこで根本的には明治四十二年かに制定された古色蒼然たる、きわめて封建的な監獄法を速やかに近代的のにおいのある教育的精神を多分に織りこんだ、受刑者をして眞に改過遷善の指導ができ得る措置を基本的につくり得る監獄法の改良というものが、きわめて緊要なものであると、私は考えておるのであります。さような關係上、司法大臣が最近各地に突廢している刑務所内の不祥事件をパンフレツトにして――關東一帶だけの刑務所の不祥事件のようであるが、これはひとり關東だけではない。東北地方にも、特に私ども仙臺地方においては、看宇のストライキがあつたのは御承知の通りであります。看宇のストライキが、きわめて素朴にして内氣な東北地方においてさえも行われたのであります。かような結果というものが、受刑者を指導する上において、刑務所の下級官吏の看宇諸君の生活難というものを、やはり考慮してやらなければならない。あるいは監獄法という法律は、今申し上げたような古々しい法律によつてやつている關係上、幾多の缺陷がある。あるいは拷問的な重屏禁、あるいは輕屏禁であるとか、その他舊監獄法によつてあたかも明治五年前の傳馬町の牢屋式のしきたりが、今行われている。そこで監獄法というものを根本的に改正して、時代に順應し得るように、單なる復讐的な、刑罰的な牢屋でなく、これを改過遷善にあたるところの教育的道場としての刑務所と化さなければならない。その意味においては監獄法を速やかに改正しなければならぬという意味において、前議會においては、不肖は請願の紹介議員となつて、司法省にもお申込みをしたようなわけであります。そこでこの後における行刑の對策いかん。あるいは信念いかん。具體的なる個々の政策いかん。監獄法を改正なさる御意圖のもとに成案を準備されているかどうか。あるいは刑務所の下級官吏の生活の安定のために適當なる待遇の改善に對する御成案ありや否や、かような點を簡單にお伺いしたいと思うのです。
#20
○鈴木國務大臣 庄司委員の御質問は、非常に重要な點に觸れておるのでありまして、時間が許されますれば、詳細に私の考えを申述べたいのですが、それは司法委員會その他の席の讓りまして、ここにはごく簡略にお答えをいたしておきますが、刑務所がただいまほとんど崩壞直前のような樣相を呈していることは、そのパンフレツトに示されている通りでありますが、これは何とかいたさなければ、治安の責任をとることができないという見地から、皆さんに十分にひとつ御理解と御援助とを願いたいと考えるのであります。まず監獄というものの根本的な改革が必要であることは、庄司委員のお言葉の通りでありまして、私就任直後その必要を感じまして、朝野の專門家を網羅いたしまして、監獄法改正委員會を組織し、數箇月を費して愼重に御審議を願いました結果、さいわいに近代的監獄法の草案を得たのであります。次の國會に提出をいたしまして、ぜひ御審議を煩わすつもりであります。それから臨機の處置といたしましては、刑務所の職員が非常に菲薄なる待遇を受けておりますし、また最近勞働基準法を實施することになりました結果、とうてい今の人員では足りないのでありまするから、特に三級事務官竝びに雇を大幅に増員いたしまして、そのために目下豫備金で要求中であります。ぜひこれも御協費を願いたいと思うのであります。
 それから現職員などの待遇改善をいたしましては、やむを得ませんから、現在豫算の範囲内で、できるだけの優遇を講ずるということに相なつて、實行いたしておるのであります。來年度の豫算からは、十分にひとつ優遇の途を講じていただきたいと考えておるわけでございます。
 それから刑務所の施設につきましては、過剩拘禁の状況、ごらんの通りでありますから、これは追加豫算に三億五千萬圓ほど要求いたしたのでありまするが、どうしても國家財政の建前上できぬということで、七千萬圓だけお認めを願つたのでありますが、それでもとうてい過剩拘禁を幾らも減ずることができない状況でありますから、東京、大阪、名古屋、廢島、福島というような主なる所の拘置所、刑務所を、さらに擴張いたしまして、そうしてとりあえずできるだけ收容をして、過剩拘禁を緩和するというごく臨機の對策だけのためにも、一億五千萬圓ほどは必要でありまするので、これだけはどんなことをしても、豫備金なり、追加豫算にして出していただきたいということを要求いたしまして、閣議においては御承認を得ておる次第であります。
 それから保護事業は、行刑の一部と言うよりは、行刑そのものであると私は考えておるのでありまして、保護事業が非常に大切なものであることは、申すもでもないのであります。殊にわが國現下における最も大切な仕事が、この保護事業ではないかと思うのでありまして、それでいろいろ專門家、經驗のある人、社會事業家等とも御相談をいたしました結果、ここに行刑と保護というものは區別して扱うべきものではなくして、一體として總合して、一貫せる見識のもとにやつていくべきものであるという結論に到達いたしたのでありまして、そこで新らしく司法省が改革せられますに際しましては、ぜひ行刑と保護を統一して、一つの機構のもとにおきまして、それも今までのように小さな課でなく、局を三つぐらい設けまして、總務局と少年と婦人を扱います局と、それから大人の行刑と保護とを扱う局、こういう三つの局を設けまして、そうしてそこで十分に意義のある保護事業をなすように計畫をいたしております。おそらくは近く國會に提出いたしまして、各位の御協贊を得ることに相なることと思います。そういう状況でありますから御了承願います。
#21
○西村(久)委員 議事進事について――議事の進行に關しまして政府當局の意見を拜聽したいと存ずるものでございます。今日私どもの手もとで審議いたしておりまするこの豫算案に、最も重大なる關聯性をもち、密接不可分の關係におかれておる法律が、今に提出にならないのであります。と申しますのは、國民の負擔に重大なる影響を及ぼし、千八百圓のベースに多大の關係を伴ひますところの税改正の法律案が出ておらないのであります。のみならず、今度新設されましたところの新税の法律案も、まだ出ていないではないかと思うのであります。私の考えでは、豫算の計數というものは、その根本となるべき法律案が先にできまして、その法律案を基礎として算出されました數字が、豫算に計上されるものと思うのであります。しかるに計數として算出されましたところの豫算數字が現われて、私どもに審議を要求されておりますにかかわりませず、その根本をなす法案が議會に示されないというのは、一體どういう關係のものでしようか。今まで政府のやり來つているところの處置は、先後矛盾のきらいを生ずるのであります。タバコの値上においても同樣であります。財政法を制定して、政令を公布するように規定いたしてあるにかかわりませず、その政令の公布せられない今日、私どもに審議を要求されている豫算案は、その骨子となる税制の改正法律案が示されていない。こういうやり方は、私どもはすこぶる不愉快に思うのであります。のみならず、この法案をお出してなりますれば、必ず財政金融委員の方に付託になると思うのであります。私どもはこの案が出ますれば、また財政金融委員の方と連合協議會を開いて、豫算案の檢討をしけなればならない重大なる關係にありますがゆえに、豫算案の進行上、そういう税制改正に伴う法律案をいつお出しになるのか、大藏大臣の御所見を伺つておきたいのであります。
#22
○栗栖國務大臣 お答えいたします。豫算を御審議願い、これと同時に法律案の御審議を願うことは、まことにごもつともなことであります。ところが實は所得税その他については、司令部の方でなお若干の交渉が殘つておりまして、一昨日は司令部が休みだつた關係で、少し遅れましたけれども、なお私は午後會議の間に司令部にもいきまして、今日のうちには何とか話がまとまるように努力したいと思います。
 それから新税はつきましては、これは印刷をいたしておりますから二、三日のうちには提出ができると思つております。さよう御了承願いたいと思います。
#23
○西村(久)委員 大藏大臣の御答辯の要旨はわかりますが、もし關係方面との御折衝の結果、午後まとまらないということになつたならば、この豫算委員會の審議を引き延しても差支えないということに了承してもよろしうございますか。
#24
○栗栖國務大臣 今日私まいりまして努力いたしますが、多分まとまろうと思います。もしまとまらぬことがかりにもありましたならば、午後私こちらに出ますから、その際改めて御相談を申したいと思つております。
#25
○西村(久)委員 大藏大臣のお言葉によつてわかりましたから、委員長においても今の大藏大臣の言質を信頼されまして、この議事進行にあたつて委員長の適當なる處置をとられんことを要望いたしておきます。
#26
○鈴木委員長 政府當局においては、ただいまの議事進行に關する西村君の動議の注意をよく體せられ、十分努力されて、委員會になるべく早く御報告あらんことを切望いたします。
 それでは午後一時半に再開いたします。これで休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時二十五分開議
#27
○鈴木委員長 それでは午前に引續いて開會いたします。
 大藏大臣は間もなく御出席の豫定でありますが、さいわい文部大臣がお見えになつておりますから、庄司君、文部大臣えの御質問を……。
#28
○庄司(一)委員 文部大臣の森戸さんにきわめて簡單にお伺いをして、豫算面の上から疑いを質しておきたいと思うのでありますが、六・三教育の問題については、多くの先輩、同僚諸君から、すでに質問を終了されたようでありますが、私は次のような觀點からお伺いしたいと思います。六・三の、すなわち三の、全國初級中學校のために何年計畫をもつて、總額どの程度の國庫の補助金を交付されんとするものであるかということが一點。本年の追加豫算、ただいま議題となつております七億圓は了承いたしましたが、來年はどの程度御要求なさるものであるか、あるいは三年計畫ならば、再來年度は總額どの程度の國庫の補助金を、全國の初級中學校の直接主體となる市町村等に交付されんとする構想をもつておられるかというようなことをお伺いして、ただいませつかく六・三の初級中學の學校校舎その他の計畫、あるいは既に起工されておる市町村等に對して、ある程度の精神的な希望と光明を與えたいと考えておるのであります。從つて文部大臣の御答辯が、かりに三年計畫で、今日百億とか二百億とかいう御構想の御答辯があつた場合、それを大藏大臣に御指示受けなされて、政府において御實行できるものであるかどうかということを、大藏大臣にも問い質しておきたいと思いますが、ただいま大藏大臣がおりませんので、大藏省關係の政府委員に御了承願つておいて、後刻大臣より御答辯を願いたいと思うのであります。追加豫算の現在の七億ということでは、ちようどミラミツドをさかさにしたようなもので、來年度あるいは再來年度において、だんだん補助額を増していかなければならぬのではないか。そういうことが、今の國家財政のもとにおいて、その可能性があるや否やということを、多年教育に特に關心をもつてまいりました自分としては、心配でなりませんので、そういう意味においてお伺いを申しておるのであります。
#29
○森戸國務大臣 ただいま庄司委員の御質問でありますが、新學制の全體的な遂行のための年次計畫については、文部當局おきましても、一定の案をもつておるのでありますけれども、しかし御承知のような今日の經濟上の事態でありますので、その案を今具體的に申し上げるには、財務當局等との十分な打合せがないと、先の計畫が立つことが困難でありますので、申し上げかねる事態にあるのであります。しかしながら、私ども政府といたしましては、なお新しい學制制度を實行していくという建前に立つており、大體において新制中學を含めた新學制においては、來年度が山であると申されると思うのであります。今年度追加豫算において七億が認められましたのは、これは最少限度を割つた額でありまして、私どもはあらゆる努力をして、資材の状況等を見合いまして、本年度中にこの不足額を滿したいということで、極力努力しておる次第であります。しかもこれをやりますことは、六・三制度を遂行していくという見地からこれをやつておりまするので、來年度におきましては、日本の經濟、財政事情の許可範圍において、私どもの六・三制の實行をなし得る最大限度を求めたいと思つて、財務省局にただいま交渉しておるような状況にあります。
#30
○鈴木委員長 中村委員。
#31
○中村(寅)委員 私は六・三制のうち、初等中學に對する方針についてお尋ねしたいのであります。現在各町村においては、これを一氣に完成する計畫で進んでおるものと、漸進的に國民學校の一部に必要な二、三級ずつをつくつていき、あるいはその次にまた二、三級ずつ殖やしていくとかいうような漸進主義で行つておるものと、二通りあると思うのでありますが、政府の方針としてはどつちをもつて指導しておられるか、それが第一點であります。第二點といたしましては、現在一町村一單位の初等中學を計畫しておるところが相當に多いようであります。現在のような小さい町村の範圍で、將來初等中學を經營していくことができるかどうかという點についての當局の見透し、それから第三點としては、現在までにある中等學校あるいは女學校、農學校、あるいはその他高等學校等を、高等學校または大學に昇格をさすという際における基準となる限界線を示してもらいたい。それから昇格せぬものは廢校にする意思があるかどうか。第四點といたしましては、國民教育上重要な教科書が非常に不足している實情にあります。しかるに市井にはいい加減な雜誌とか、書物等が氾濫しているような傾向にありますが、政府はこの國民教育に大切な書物を、いつごろになれば完備し得る見透しをもつているか。さらにこれを完備するために、いかなる手を打つているかということについて、お尋ねしたいのであります。
#32
○森戸國務大臣 中村委員の御質問に答えます。第一の問題は、新制中學について、町村によると非常に急いでおるところもあるし、また漸次進んでいるものもあるが、政府はどちらの方針をとつているのか、こういうお尋ねであります。それで政府としては、新制中學はできるだけ早く整えたいという方針をとつておりますけれども、しかし地方の事情によつては、これをむりに急いではできにくいところがある。非常に困難を伴うところもありますので、そういうところは、特別の事情を考えながら、むりにすぐに學校を建てるということでなく、いろんな既存の施設をも利用していつてもらいたい、こういうような考えでおるのであります。
 次に市町村一校を建てているところもあるが、これは相當無理なところがあるのではないかというお話であります。これはまことにその通りでありまして、殊に小さい村で一つの學校を建てるということは、經濟の上からも、また學校自身の設備の上からいつても、十分でないところもあるのであります。そこで文部省としては、一町村一校ということではなくて、その地方の状況を勘案しながら、ところによつてはむしろ組合で、數村寄つて學校を建てるということが望ましいのであるという意味のことを指示もいたしておるのであります。そういう點で、たとえば富山縣などは非常にうまくいつておるというふうな報告を受けておるのであります。
 次に中學校その他昇格の問題でありますが、差迫つておるものは、新制高等學校の問題でありまして、これについては、近く省令を公布いたしまする高等學校設置基準に基いて行われるのであります。ただこの基準が非常に高くなりますと、そのためにずいぶんいろいろな弊害も起りますので、暫定基準を立てまして、現在ありまする中學校その他が、設備、教員等で非常な缺陷のない限りは高等學校になれるというようなところに、暫定基準を置いて考えたいという方針であります。それでもしかし皆なれるとは限りませんので、これに適しないものが出てくるところもあり得るのであります。殊に高等學校の場合、舊制中學の問題でありますが、新制中學が足らないのですから、そういう方面に轉用される場合もありまするし、舊制中學としてもなお存續するのも經過的にはあるわけであります。
 最後に教科書の問題であります。教科書の問題は、實は児童にとつては主食にあたる大事な精神的糧でありますので、できるだけ早く十分に子供に渡るようにいたしたいと、極力骨を折つておるのであります。今年度におきましては、いろいろ編纂が遲れましたり出版が困難なこともあり、紙が足らなかつたり、また兒童數等もはつきりしなかつたり、配給の施設も新たにつくらなければならぬというような場合もありまして、非常にうまく行かなかつた點があると思うのであります。しかし次の年度におきましては、紙の點にも相當確保するわくが擴げられましたし、印刷その他の點につきましても、また配給の點につきましても、一應形が整いましたので、來年度におきましては、今年度のようなことは萬々ないと考えておる次第であります。
#33
○鈴木委員長 文部大臣への御質問はよろしゆうございますか。
#34
○中村(寅)委員 市町村一單位の中學は、將來の持續が困難であるということは、大臣も認められておるようでありますが、地方におきましては、これを共用するような指導的な手を打つておらないように考えられるのでありますが、もう少し積極的な手を打つて、五箇村とかあるいは七箇村とかいうような共同によつて經營していくように指導していかなければならないかと思いますが、この點に對して、もつと積極的な指導をする意思があるかどうか、この點重ねてお伺いいたします。
#35
○森戸國務大臣 その點につきましては、しごくごもつともでありまして、私就任以來地方に行きまして、かような話をたびたび承りまして、これは各町村が、殊に小さい村が學校を建てるということは、今日の状態ではむりである。であるから、こういうことがないようにしなければならぬと、たびたび當局にも注意いたしまして、そういうような指令が府縣にはまいつておるのであります。府縣から當然に、また市町村にもその意味が傳えられておると存じまするが、これは府縣においてさらに具體的に考えて指令されるはずになつておりますので、文部省としては、そういう方針で指示をいたしておりまするし、今後も御注意の點もありまして、その點は明らかにいたしたいと存じております。
#36
○鈴木委員長 午前中の磯崎君の御質問に對する商工當局からの御答辯があるそうでございます。商工省衣料課長吉岡忠造君。
#37
○吉岡説明員 衣料品の配給計畫につきましてのお尋ねにお答えいたします。今年度の衣料品の配給計畫は、配給機構が未決定でございましたために、石炭勞務者用、麥、馬鈴薯の報奬用、官廳用、その他妊産婦用等を除きましては、配給を停止してまいつておるわけでありますが、九月に至りまして、新配給制度の決定をみましたので、その後新制度による販賣業者の登録、衣料切符の交付等の手續を進めまして、先月中をもちまして、全國の卸賣業者、小賣業者の登録も全部完了をみたのでございます。引續いて第一回の府縣別の割當をいたしまして、ただいま各府縣において、これに基く切符の發券、割當證明書の交付等の準備をいたしておりまして、先般商工課長會議を開きました際の打合せによりますと、大體今月の二十日前後、遲くとも今月の終りまでには、大半の地方において、新制度による配給が開始されるという状態になつております。ただ全體の配給量といたしましては、御承知のごとく、戰前國民一人あたり十ポンドの消費量に對しまして、本年度の配給量はわずかに一ポンド八でございます。ただこのわずかな供給量を、經濟安定本部の定める配給基準によりまして、最も公平に各需要者に配給をしていこうというのが、私どもの考えでございます。第一次の割當量といたしましては、全般的に申しまして、今年度の配給計畫量の四分の一をとりあえず割當をいたしました。但し北海道につきましては、本年度配給量の二分の一、それから九州竝びに東北につきましては、それぞれ三分の一を割當てております。これは地域の關係等を考えまして、さようになつておるわけであります。なおまた一般國民に配給されます十二點の點數品につきましては、大部分在庫品をもつて引當にしております。この點數品目につきましては、第一囘全量割當をいたしておる次第でございます。その他乳幼兒。妊産婦、學生、生徒、勞務者等に、それぞれ安定本部で決定されました基準によつて割當をいたしておる次第であります。なおまた水害等の場合につきましては、これらの機構の問題に拘泥せずして、その都度處置をとつておる次第でございまして、先般の水害にあたりましては、第一次割當として、新聞報道による倒壞流失家屋五千戸を對象にいたしまして、毛布二萬枚、手拭、タオル二萬枚、その他の衣服類の割當をいたしました。その後被害状況の判明するに從いまして、内務省竝びに厚生省と打合せをいたしまして、流失倒壞家屋竝びに浸水はなはだしき家屋約八萬戸を對象にいたしまして、毛布十四萬五千枚、婦人服、子供服、肌着、パンツ、學童服その他の生地類を割當をいたしておる次第であります。以上お答え申し上げます。
#38
○鈴木委員長 次に安定本部總務長官への川野芳滿君の質問が保留になつておりますから、總務長官が御出席でありますから、川野君の御質問を願います。
#39
○川野委員 經濟安定本部總務長官におかれましては、新物價對系堅持のために非常なる御努力をいただいておりますことは、まことに感謝にたえざる次第でございますが、しかし新物價對系がはたして守り得るかという問題であります。新物價體系の一部をなす千八百圓ベースの一部においては、すでに壞れておる點もあるかと考えておるのであります。これはひとり私などが考えるばかりでなく、政府の閣僚の中にも、すでに千八百圓ベースが壞れておるということをはつきりとお認めになつておられるようであります。すなわち去る五日の閣議において三木遞信大臣と米窪勞働相がそれぞれ千八百圓ベースに對する問題について述べられておるのが新聞に出ておりますが、それを見ると九月平均の民間企業の賃金水準は二千四百圓であると述べられておるのであります。すなわち今日において民間企業の賃金水準は、すでに千八百圓ベースを起えて、二千四百圓になつておるという點から考えても、千八百圓ベースがすでに實質的においては壞れておるのではなかろうかと考える次第であります。ゆえに兩閣僚におかれては、少くとも本基本俸給を二千四百圓にしてもらいたいという御意見の發表もあつたようであります。なお應急措置として、越冬資金を支給してもらいたいという申出もあつたわけであります。越冬資金を支給するにしても、これまた千八百圓ベースの破壞であると私は考えております。なお十一日の中勞委の調停委員會の總會におけるその會議の模樣が、いろいろ新聞で報ぜられております。内容を見てみると、第一番に賃金制度の確立については、昭和二十三年一月から新給與を實施する。その基準は二千四百圓の説も出たということが新聞に載つております。なおまた生活補給金については、五千四百圓を支給するという御意見も出ておるようであります。これはまだ決定の意見ではありませんが、しかし少くとも賃金水準においても、相當大幅な賃金値上の裁定、また生活一時資金においても相當額に上る支給水準を認める裁定を、多分中勞委においてもたらされるものであると、私は考えておるのであります。かくのごとく中勞委員會において、ただいま申しましたような裁定がもし下もとすれば、政府においては、その裁定をお認めになるとお考えであるか、この點をまず伺つてみたいと思います。
#40
○和田國務大臣 官公廳の給與に對する中勞委の裁定は、まだ下つておりませんので、それに對してどういう態度をとるかは、具體的には申し上げられませんが、中勞委そのものの裁定を尊重することはもちろんでありますが、しかし政府としては、政府の獨自の立場から、それらの方面について檢討を加えて、具體的な案を出したいと考えておる次第でありまして、政府としては、中勞委の裁定が、まだはつきりしませんので、それに對してどうするかということは申し上げられないと思うのであります。
#41
○川野委員 中勞委の裁定に關する問題につきまして、米窪國務大臣は過ぐる十日の參議院の勞働問題懇談會におきまして、政府においても、その調停案を尊重すべきであろうという御意見があつたようであります。ただいまの安定長官の御説明を聽きましても、中勞委の調停は尊重すべきものであろうという説もあつたように、私は聽いたのであります。その數字は別問題として、ともかく千八百圓ベース以上の賃金水準、あるいは一時金でも、千八百圓ベースを超える線に沿う一時金が支給される。そうすると實質的において、私は必ずや近い中に千八百圓ベースは破らなければならないのではなかろうかと考えるのでございます。この點重ねてお尋ねしてみたいと存じます。
#42
○和田國務大臣 物價改訂のときに、工業平均千八百圓をとりましたのは、工業の方において生産の増加をやり、あるいは能率の改善をやつて、實質賃金を平均よりもあげる場合、何も賃金を釘ずけにしたわけではないのでありますから、民間の方において増産をし、實質賃金を得ておるものについては、政府としても、別段申すことはないわけであります。ただ中勞委の問題になつてきますと、私が尊重すると申しましても、政府といたしましては、財政の面あるいはいろいろの面があるわけであります。しかし建前としては、物價體系そのものを崩していく考えは毛頭ないのであります。物價體系の範圍内において、事柄を處理していきたいという建前に立つておるので、御承知願いたいと思います。
#43
○川野委員 過ぐる日參議院において、三木遞信大臣は、近き將來において通信料の値上を斷行せねばならない旨の御發言があつたようであります。また運輸大臣は、過ぐる八日の本豫算總會の席上、新豫算年度から鐵道運賃の値上を斷行せねばならぬ旨の御發言がございました。近き將來において通信料及び國鐵の運賃値上があるとしますと、安本長官は物價體系は變更しないとおつしやいますが、實質的には通信料竝びに鐵道運賃の値上を斷行をされると、當然物價體系を改めてやらなければならぬのではなかろうかと考えるわけでございますが、これでも大臣は物價體系の變更をおやりにならないという意思でありますか、重ねてお尋ねをしてみたいと存じます。
#44
○和田國務大臣 來年度から特別會計については、獨立採算制の建前から、それを貫きますために、何年間かの計畫を立て、たとえば資本勘定においては十五年、經理勘定においては七年といつた計畫を立てて、料金の値上によつて獨立採算制を貫いていくという建前に立つて、本年度では大體一般會計から特別會計の赤字を補うということもいたしたわけであります。從つて今年度においては、通信料金その他を上げるという考えはないのであります。しかし來年度から、かりにそういうものを上げるといたしましても、ただすぐにそれが一般の價格體系に直接響くということは言えないのであつて、やはり貨物運賃、あるいは旅客運賃、その他の物價とにらみ合わせて考えていかなければならない事柄なのでありまして、今それをどういう程度にやつていくかということは、これは來年度の豫算の編成について、まだ具體的な結論に達しておりませんので、何とも申し上げられないのであります。價格體系そのものを、來年四月になれば大幅に變更するということは、今私が申し上げることは差控えたいと考えておる次第であります。
#45
○川野委員 私がただいま申述べておりますことは、來年四月とかいう遠い問題ではありません。先刻來申しましたように、中勞委の調停の模樣等から考えましても、私は千八百圓ベースというものは、來年一月ごろからは變更せねばならぬのではなかろうかとも考えておるわけであります。なおまた鐵道運賃等の値上にいたしましても、本豫算總會において運輸大臣が述べられましたのは、すなわち近き將來においての値上の模樣であります。そういたしますと、少くとも物價體系というものを、近き將來において、あるいは一、二月ごろにおいて變更せねばならぬのではなかろうかと考えまするがゆえに、この質問をいたしておるわけであります。安本長官は鐵道運賃が變更になりましても、物價體系は必ずしも變更すべきものではないというようなお説を述べられたようであります。しかし運賃が大幅に引上げられましたならば、これが物價に影響を及ぼすことは當然であります。運賃引上げ即物價體系の變更であるということは、私ははつきりした理論であると考えまするが、この點について、もう一度大臣のお考を伺つてみたいと思います。
#46
○和田國務大臣 私は運賃の値上をこの年度にやるということは申していないのであります。近く一月、二月になつて、運賃値上や通信料金を改訂するという建前ではないのであります。そういう建前でないから、今度の追加豫算においては、一般會計から特別會計への赤字を補填するという建前をとつて、今度の豫算と組んだわけであります。やはり來年度からということになると思います。
#47
○川野委員 どうもはつきりいたさぬのでありますが、しかし經濟安定本部長官とほかの大臣との言に齟齬しているところがあると思いますが、この問題については、これ以上の質問はいたしません。
 もう一點伺つておきたいのは、料飲店の問題であります。政府は過ぐる七月を期して、料飲店の禁止命令を出したわけであります。その禁止命令は、十二月末日をもつて期日とされておるようであります。それで來年よりは料飲店を再開されるおるつもりであるか。これは決定していなければ、見込みでも結構でありますが、そのお見込みを伺つてみたいと存じます。
#48
○和田國務大臣 まだ決定いたしておりませんが、なかなか事情は困難のようであります。
#49
○川野委員 料飲店が現在閉鎖されておりますが、閉鎖されておる料飲店の現状はどうであるかということを簡單に申述べてみたいと思います。現在料飲店の一部には、裏口營業というものが行われておる。すなわち祕密のうちに營業を繼續しておるわけであります。そういうものは、密偵を放ちまして、特には警官と連絡があるようでありますが、こういう連絡のもとに營業をやつておりまして、取締りのときには、營業をやめておる。こういう實態でありまして、裏口營業の實態をつかむということについては、非常に困難があるようであります。しかしとにもかくにも今日裏口營業が行われておるということは事實であります。そのほかにどういう營業が行われておるかと申しますと、貸座敷という營業であります。座敷を貸すのでございますが、料理等は他からもつていくという仕組になつておりますが、實際の面を見ますと、もつてきたというふうに見せかけて、實際は板場がその家がつくつている。こういうのが、今日の實態であります。貸座敷によつて實際營業を續けてとるというのが實態であります。もう一つは、どういう營業が行われているかと申しますと、寺とかあるいは事務所等を借りまして、料理屋から料理をもつていつて、宴會等をやる。こういう營業の方針であります。ただいま申しましたような營業が、現實的に行われますので、七月を期して禁止命令をやつた當時の目的、すなわち主食物等の横流れを防止して、民間にその量を配給するという目的と遠く離れまして、そういう御計畫であつたようでありますが、實際はただいま申しましたような營業が行われますために、その物資等もまたまた横流れいたしまして、そうして民間の口にはいらないという現在の實情であります。それで七月を期して料飲店の禁止命令を出されましたその結果、どういう效果があつたかと申しますと、效果はなくして、出てきたところの結果は、遊與飲食税がとれないということと、所得税がとれないという二つの結果になつたのではなからうかと考えます。しかして裏口營業等におきまして、非常に料理等が安いというのでございますならば、これは國民が安い料理を食べたということになるのでありますが、しかし法律を破つて營業するというような關係で、從つて非常に高い料理をあてがつている。遊興飲食税を拂わない以前よりも高い料理を出して、そうして利益をむさぼつているのが、今日の實態であります。そのむさぼつている階級はとういう階級かと申しますと、おでん屋あるいは小さい料飲店では部屋がございませんので、そういうまことに哀れな人々は實際禁止命令を守つて營業をやつていないという實態でございまして、すなわち大きい料理屋等をやつておつた者が、今日營業を持續しているという結果になるわけでございます。ゆえにもし營業を續けるということになるならば、徹底したところの取締りをやられるか、また取締りができないということになれば、營業を再開させた方がいい。營業を再開させることになると、今日遊興飲食税が地方税に移りました關係上、地方税というものは、遊興飲食税によつて非常に潤うておつたのであるが、その遊興飲食税が今日とれないということになりまして、地方財源に非常にさびしさを感じているわけでございます。もし取締りができなければ、營業を再開させれば、國家國民のためになると私は考えておりますが、この點について御答辯を願いたいと思います。
#50
○和田國務大臣 料理飲食店の禁止の問題ですが、これは私は非常にプラスの面があつたと思います。御承知の通り、輸入食糧等につきましては、世界が注目しておりまして、日本がそういう飲食店を閉鎖してまでにやみの取締りをしなければならぬということは、やはり私は六十萬トンの放出という効果になつたと思います。お話のような裏口營業については、やはり取締りの任にあたる者を督勵いたしまして、取締つていくということが、正しい筋ではないか、かように考えております。
#51
○鈴木委員長 さつき大藏大臣は御出席になつておりませんでしたが、庄司一郎君から、大藏大臣への御質問がございましたが、質問をお聽きになつておりますか。
#52
○栗栖國務大臣 先ほどちよつと司令部の方に行つておりました留守の間のお尋ねでありますが、二十三年度以降の六・三制の見透しはどうかというお尋ねであつたと思うのでございますが、これはただいま二十三年度の豫算を編みます過程にあるのでございまして、六・三制に關する二十三年度の經費その他その以後の經費等の数字を出してもらつておりまして、今檢討をいたしておるのでございます。いずれ話がまとまり、どのくらいにするかということがきまりましたならば、また申し上げることにいたしたいと思つております。
#53
○西村(久)委員 議事進行の關係のお答えは大藏大臣からないのですか。
#54
○栗栖國務大臣 實は先ほど西村さんからのお尋ねがございましたので、いろいろ事務當局ともすぐ連絡をいたし、なおかつ司令部の方にも參つたのでございますが、ちようど留守だつたりしまして、三時に連絡があることになつておりますので、今日中にははつきりしたことを申し上げたいと思うのであります。いま少しお待ちを願いたいと思います。
#55
○淺利委員 大體皆さんの意見でわかつておるのでありますけれども、安本長官に一、二お伺いしたいと思います。
 第一には電力の問題であります。今日において生産増強のために電力の重要な地位を占めることは、いまさら申すまでもないことであります。過日本會議におきましても、電力危機突破のことが問題になつたのであります。さらに私はこれに附隨してお伺いたしてみたいと思うのであります。電力が動力源として、熱源として、石炭等よりはるかに效果的であることは、いまさら私から申すまでもなく、安本長官は御承知のことと思います。しかるにわが國の現状から見ますれば、戰災後における破損せられたる發電所の修繕その他も必要でありましようけれども、今後火力發電が賠償の對象として、一部は撤去せられることになりますればただいまのごとき冬期渇水期における電力の不足は、常に起つてくる問題と思うのであります。そういうことになりますと、日本の將來において、生産力増強の上から見ましても、家庭生活の熱源の上から見ましても、これは非常に重大なる問題で、今後いつまでこれが繼續するかということは、まことに憂慮にたえないのであります。應急の措置としては、消極的にいろいろな制限というようなことによつてやつていけるのでありますけれども、積極的にこれを増強する方法を講じませんならば、日本の生産再建は不可能と思うのであります。殊にこれを日本の國策的見地から見ましても、石炭のごときは、わが國におきましては、その量と質に制約がありまして、これに將來の期待をかけることは、はなはだ頼りないように思うのであります。また薪炭のごときも、山林の過伐、濫伐によりまして、すでに洪水の被害を受けておるような状況でありまして、これに依存することも、日本の今後は治山治水の計畫なり、あるいは年々の供給力に制約が出てまいると思うのであります。さいわいにわが國は山の多いことと河川の多いことのために、年々大なる洪水の被害はありまするけれども、これを利用いたしますれば、日本としては電力國としてまことに有利な地位にあると思うのであります。ゆえにこの點から見まして、早く電力國策を立てる、このことは御計畫になつておることと思うのでありますが、その實情についてお伺いいたしたいと思うのであります。殊に火力發電機がなくなりまする以上は、さしあたりこの補充という問題につきましては、日本のごときはダムの發達によりまして、相當の發電力が得られるのでありますから、これに夏期における雨をためて、そうして多期渇水期における火力發電に代用して、水力電氣を起す方法も考えられるのであります。これらについては、石炭も少く、あるいはセメントも少いのでありまするけれども、しかしこれはやりようによつてはできるのであります。現に民間の專門家の調査したところによりますれば、土堰堤であつても五十萬キロくらいの發電ができる。あるいはわずかに六萬トンのセメントと二千トンの鐵材をもつてすれば、琵琶湖の水を利用して、一箇年くらいで工事もできる。こういうことを調査している方もあるのであります。もちろん總司令部の支配のもとにある日本の國が、自由にこの計畫をする上においては、いろいろの支障もありましようけれども、しかし將來日本が文化國家として立つ上において、日本人の文化生活を向上する上において、また國策の樹立、産業の再建をはかる上においても、最も重大なことでありまするから、これについては何らかの御計畫があることと思うのであります。それによつて、その御計畫があるならば、その内容を承り、もしなしとすれば、今後どういう方法でおやりになるか、これを國が調査費をとつて調査して實行なさるか、あるいは現在の發送電會社に一任されるのか、それらの點について何かお考えを承りたいと思うのであります。
#56
○和田國務大臣 お答えします。電力の問題が重要なことは、まつたく同感でございまして、日本のもつておりまする動力源としては、何と言いましても、石炭と電力がおもなものであります。殊に電力は、水力電氣について、日本としては將來非常に力を注がなければならぬ點でございますことも、まつたく同感であります。ただ、ただいまのところは、一應われわれの方といたしましては、戰災で壞れたところの復舊と、それから動力の低下した箇所の補給というこに實は重點を注いでおります。しかしこれだけで止まつておるのでなくして、電力の開發の問題は、長期の計畫と關連いたしまして、日本の長期の五箇年の經濟計畫の中にやはり織りこんで、電力の開發というものも考えていきたい。こういうことで、ただいま策定いたしておる次第であります。ただ、今の實情を申し上げますると、そういつたような面の資材は、なかなか認められがたい實情にあるわけでありまして、さしあたつてこの補修の點に重點を注いでいく、こういうことで、ただいまやつておる次第でございますが、もちろん長期の方についての開發の事柄を放棄いたしておるわけではありませんので、機會あのるごとに、それら點についても了解を求めていく、こういうことでやつております
#57
○淺利委員 ただいまのお話で大體わかつたのでありますけれども、ただ現在發送電會社などでも計畫はされておるようであります。しかし先刻例に申し上げましたごとく、琵琶湖のごとき一つについて見ましても、土堰堤によつてもできる、あるいは六萬トンのセメントと二千トンの鋼材だけでも堰堤ができて、相當の發電ができるというような實情を見ますると、ただいまのごとき非常に石炭の不足を告げる際でありまするから、この一部をここに投じて、そうして速やかにこれを完成するということになりますれば、年々たくさんの石炭を使用することをセーヴするということもできると思うのでありますから、そういう廣き觀點に立たれまして、狭い一つのところに多くの力を注ぐことがどれだけの效果があるか、あるいはまた復舊といたしまして、その復舊によつてどれだけの效果があるか、新たにこれをやればどういう利益があるかというふうなことにつきましては、至急にこれは廣い方面についてお調べを願つて、なるべく早く實現されんことを希望するのであります。
 それから第二には、物價統制のことについて伺いたいと思います。この問題は、すでにいろいろ論議せられまして、私からいまさら申し上げるまでもないことであります。ほとんどやみの世の中でありまして、やみなくして生活ができないというのが實情であります。農村においても、市場においても、取引という取引はほとんどやみならざるものなしと言つても過言ではないのであります。すなわち國民はほとんど公定價格は知らぬでも、やみの物價は知つているというようなことになりまして、戰時中における束縛そのまま、いなそれ以上の統制のままにして、やみの生活の中におります。しかし、こういうことは、なるほど必要ではありましようけれども、あまりにも今日の統制は多過ぎると思うのであります。第一に伺つてみたいことは、現在統制の品種というものは何十萬種あるのか。あるいは統制價格の品目は何十萬種あるか。そしてその中で實際に統制の行われているのは何萬種あつて、何割程度になつておるか。そういう實情を、どういうふうにごらんになつているかということが、一つであります。
 それから、この公定價格の數が、かくのごとく多くありますが、この公定價格の周知の方法は、どうされるか。官報によつて知る人はわかりましようけれども、あとは一部のことを新聞によつて知るだけであります。またこれを取締るべき警察官は、一體そういうものは何を標準にして取締つておるか。私も多年警察のことに關係しておりますが、おそらくは地方の駐在巡査のごときは、どんなものがこの統制の範圍にあるか。どんなものが公定價格の中で、どれくらいの値段であるかということを知つている者はないだろうと思います。そういうことにつきまして、周知の方法をどうされるかということもよくお調べになつて、それがよく周知されているかどうかということもお考えになることが必要だろうと思います。こういうふうに、たくさんのものを理想的に取締ろうといたしましても、現在の力ではおそらくできないと思うのであります。つまり統制は權力を伴わなければできないものでありますが、今日の警察の力、あるいはその他の力をもつていたしましても、この取締りは絶對にできないと、私は斷言いたします。本日は内務大臣がおりませんから、内務大臣の所信を伺うことはできませんけれども、おそらく内務大臣といえども、責任をもつてこの統制を實行することは不可能であろうと思います。いかに聲を大にして叫びましても、またいかに熱心に國民に協力を求めましても、このやみの世界の廣さ、やみの怒濤に對して、これを乘り切ることは、これは大局的見地から見て至難であると、私は思うのであります。そういたしますと、こういうものに、いたずらに無力な、むだな努力をいたしますよりも、もう少し大局の見地より見まして、實際に取締り得る能力に相當したところの範圍、眞に生活上必要なところのものに重點をおきまして、この重點的なものに主力を注ぐ。そういたしますことによつて、初めて法の威信というものが守られると思うのであります。今日のままでありまするならば、國民に遵法の精神というものがまつたくなくなつてくると思うのであります。同時にこの國民の道義の頽廢というものが、これに伴つてくると思うのであります。さらに別箇の觀點から見ますと、そういう考え方をいたしますと、公定價格があるために粗製濫造が起つて、優秀品の研究が行われない。もし他日貿易再開の際に至りまして、外國に物を輸出するという際に、この統制價格、あるいは統制のわくの中において粗製濫造したところの慣習をもつて、國民全體がそういう風に慣れてまいりますと、日本の輸出品は、かつてのごとき粗製濫造になりまして、安かろう、惡かろうというものを送らねばならぬという重大なる原因をなすのではないかと、私は思うのであります。そういう意味からいきまして、その力をはかり、その必要の限度を考え、そして遵法の精神なり、あるいは粗製濫造を防止するという意味からいいましても、政府は從來の理想にばかり走らず、また從來の面目にかかわらずして、速やかにこれを監理されることが、最も必要だと思うのであります。過日安本長官もそのことについて觸れてお話もあり、すでにその一部は解除されたと思うのでありますが、ここはひとつ大きい肚をもつて、大局を見て、速やかに實行されることが必要じやないかと思うのであります。またその意味で、今日の物價廳のごとき厖大な組織、あるいは多數の人員のほかに、このために費やすいろいろの用紙なり、その他のことについての費用の節減もでき、そして國民がもう少し明朗な、各自の自信ある、自分の力によつて日本の再建に邁進するという空氣を高揚することができると思うのであります。この點について、安本長官は重ねてこれを御再考になつて、大幅にこれをはずされる御意思があるかないか、明白に伺いたいと思います。
#58
○和田國務大臣 お話の點は從來しばしばお答えしたわけでありますが、やはり今は統制を片方ではどうしてもやつていかなければならない。しかしその統制をやるのには、必要度あるいは人的な能力の關係等いろいろな問題がありまして、そこに限度があることは、私もさように考えておるのであります。何もかにも統制しようということは、ちつとも考えてはおりません。ただ、たとえば物價の面なんかでも、これをどの程度にはずしていくかということにつきましては、やはりよほど考慮をそこにめぐらす必要があるのでありまして、具體的に相當檢討しなければ、簡單にはその限界線は引きにくいと思うのであります。ただわれわれの方としましては、先般も果物初めその他多數のものを物價統制からはずしました。それも、これをはずすことによつて、一般の他のものに及ぼす影響の少いものにつきましては、これを片方ではずし、また統制上技術的にも非常に困難であるというようなものについても一應はずしたわけであります。しかしこれをもつて物價統制をはずすものが終つたとは考えていないのでありまして、なおわれわれの方といたしましては、十分そこに生産關係あるいは配給、消費の面、あるいはそれをはずすことによつて、他の關連の商品に對する生産配給その他の面についての影響ということも十分勘案いたしまして、むだな統制ははずしていくということを、今檢討しておる次第であります。從つて統制をやるものについては、なお一層統制の組織を強化して、徹底的にやつていく、こういう建前で進んでおることを御了承願いたいのであります。
#59
○淺利委員 御趣旨はよくわかつておりますが、一體現在統制品種は何萬種くらいあるのですか。統制價格のある種類、品目はどれくらいあるでしようか、伺います。
#60
○和田國務大臣 物價統制は、初めは二萬か三萬種類だつたと思いますが、今はうんと減つておりまして、十分の一くらいになつておるじやないかと思います。この間改訂したものを見ましても、品目としては非常にわずかであります。ただこれにはいろいろ種類がありますから、總數としては比較的多くなつてきておりますが、何萬というような數は今はありません。
#61
○淺利委員 しかし木材一つにつきましても、各種の階級、種類がありまして、非常に多いのであります。そういうことを見ますと、木材一つの取締りにしても、地方人は常識的に箱材であるとか、板材であるとか、四寸はいくら、三寸はいくらということがわからないのであります。こういうことを見ますと、當局の方はよくおわかりになりましようけれども、一般の者はわからないのであります。そこは政府はひとつ實際に即するという大局から見まして、思い切つた御處置をなされんことを希望するのであります。
 次に農林省所管についてお伺いしたいと思います。國有林野の事業費において、大藏省主計局の説明によりますと、人件費、物件費の増嵩によつて、歳出の増加を要する反面、業務收入の増加がこれを賄うに足りないため、一般會計に對する益金の繰入不可能となつたのみならず、年度内歳入の缺陷を補填するために、借入金の制度を設けて、四億六千七百萬圓の借入金を計上することのやむなきにいたつたという説明であります。この借入金は、當初豫算の七千六百萬圓から五億四千三百萬圓、そのほかに公債金も當初豫算と合せて四億四千萬圓、合せて九億八千三百萬圓の負債でバランスをもつておる會計であります。六十四億一千二百萬圓に對しては六分の一強の赤字の豫算であります。その實情を見まして、一體政府が厖大なる山林を經營する上において、かくのごとき赤字をもつて經營しなければならぬということは、何によつてこういうふうになつたのでありましようか。むしろかようにただ人件費なり經費に使つてしまうならば、國家の大資源を空しくするという結果になると思います。これについて過日ほかの委員からも質問がありましたが、政府がかくのごとき状態でありますならば、むしろ私どもはこれを地方に移管することが適當でありはせんかと思います。殊に東北、北海道のごとき、大部分は國有林であります。この國有林が存するために、その縣内に他國の領土が存在するがごとき感がありまして、そのために道路の關發とか、その他の負擔を負つており、また洪水の被害等も受けておりながら、山によつての利益というものはほとんどないのであります。しかも國有林の分布は、各地方に均霑しておりません。ある地方に偏在して多く存在しておるのであります。ゆえに政府はかくのごとき赤字經營をして、ほとんどこの山林資源を有效に利用しておらぬというならば、むしろこれを地方の府縣に委讓して、その府縣がみずから手近にこれを利用するという方法が、最も國家的に見て賢明であると思います。これによつて一面は地方財政の窮乏を補うという途はあります。この點について政府は再檢討されて、地方委讓をなさる意思はないか。すなわち第一は何ゆえにかくのごとき赤字財政を來したか。また將來これがどういう收支計算になりますが。將來について政府がこれを維持するがために、有利にこれを利用し得る、あるいは國家財政の上に大きなる寄與をし得るというお見込みがあり得るや否や。またこれを地方に委讓する御意思があるかないか。この點についてお伺いいたしたいと思います。
#62
○笹山政府委員 ただいま國有林野の事業會計についてお尋ねかございましたが、本年度相當會計が困難であるということは、御指摘の通りでございます。この原因は御承知の通り、最近あらゆる方面において物價が高騰したのでございますが、これに伴う收入は、必ずしもそれに相應したものではありません。また國有林については、林道とか造林といつた固定設備と言いますか、將來に收入をもたらすものが計上されておるような次第でございまして、本年度は國有林から相當數量伐採しなければなりませんので、林道その他の施設が相當要るのでございます。また國有林の荒廢地については、造林を早くしなければならぬということで、造林も急いでおる。こういつた關係上、本年はかような状態になるのでございますが、明年度以降については、かような赤字が出ないように、われわれの方では十分注意してまいりたいと思うのでございます。なお國有林の經營について、地方に委讓せよというお言葉でございますが、國有林の地元利用については、從來から地元の農用林として採草地、薪炭林、あるいはその他の林木の處分についても、でき得る限り地元民に利益を與えるという趣旨で進んで來ておるのでございます。從いまして、この國有林の所有權まで移さぬでも、國有林の地元民の利用の方面につきましては、われわれの方では、從來とも十分考えてまいつておるのでございます。現在の段階において、從來の委託林その他の制度でもし不十分とするならば、なおもつと合理的な、また地元民の期待に副うような方針をもつて、よく徹底してまいりたいと思うのでございます。さように御了承願います。
#63
○淺利委員 大體今のお話しで見ますと、地元民に多少利用されるからということでありますが、しかしそれはごく一部であります。むしろ全部ができないといたしましても、ある一府縣において、非常に大地積を國家がもつというならば、その大部分なり、あるいは少くとも半分くらいは地方に委讓して、地方はこれによつて財源を得て、地方財政の窮乏を救うということを、國家が考慮せられたいと思うのであります。また民有林においては、各種の取引税なり、あるいは税金を課せられるのでありまして、國有林に對しては、税金も課せられない。またその伐木に對しては、府縣としては徴税の途もないのであります。すなわちこの廣き面積の中に國有林が存するがために、その縣が窮乏するという實情について、ある地方に偏在する大地積のものについては、一應これを地方に委讓する意思はないか。そういうふうにお考えを願いたいというのが、私の趣旨であります。
 いま一點お伺いしたいのでありますが、今囘の豫算を見ても、水産の施設にほとんど見るべきものがないのであります。今日食糧問題の解決の上において、魚介類の蛋白資源が重大なる食糧としての地位を占めることは、いまさら申すまでもないのでありまして、わが國のざとき四面環海、ほとんど天惠に惠まれたる水産國においては、この奬勵保護ということに、最も力を注がねばならぬことと思うのでありますが、今囘の追加豫算には、ほとんどその見るべきものが少いようであります。殊に漁港のごとき公共事業費はどれだけありましようか。東北北海道のごときは、水産としては、日本において最も重點を置くべき所でありまして、今後においてますます開發を要すると思うのであります。しかるに東北地方における漁港のごときは、ほとんど見るべきものはないのであります。この漁港の施設の完備を期して水産の増強をはかる。別して今日まで遲れており、しかも資源の豐富な東北地方の、今日まで閑却せられたところに對して力を注ぐということが、最も必要であると思うのであります。これらの施設に對しましては、公共事業費においては、どれだけの費用が計算されておるか。今後またこれに對してどれだけの力をお注ぎになるか。この點を併せてお尋ねしたいと思うのであります。
#64
○笹山政府委員 ただいま水産關係の豫算についてお尋ねがございましたが、水産については、從來水産業界が非常に不況であつた場合には、國庫の方でも相當の補助をいたしておつたのでございます。最近國の財政が窮屈になつて、從來の個人的施設に對する補助は、できるだけ削減するという方針に向つておるのでございます。しかしながら、水産においても、漁港とか船溜りといつた公共的な意味をもつ共同的な施設に對しましては、今後とも國庫の財政の許す範圍内におきまして補助を出す考えであります。
 本年度のこれら漁港、船溜りに關する豫算でございますが、既定豫算が大體五千萬圓ございます。これらの經費は、漁港の修築、船溜りの修築、こういつたものに充てる豫定でございます。なお漁港につきましては、この豫算のうちで新規著手をする漁港が十四港含まれておるのでございます。その他災害等で、從來漁港がこうむつた損害を復舊するための經費が三千萬圓計上してあるのでございます。なおこの追加豫算におきましては、御承知の通り、その後物價の騰貴によりまして、相當單價を増加しなければならぬ事情に相なつたのでございます。そのために約二千萬圓の増加をいたしておるのでございます。その他災害復舊に關するものとしましては三千百萬圓、そのうち今年の風水害によるところの漁港のこうむつた損害を復舊するための助成費が一千百萬圓含まれておるのでございます。これらを合計いたしまして、現在われわれの方で、漁港、船溜り關係に大體一億三千二百萬圓の經費をもちまして、これらの改良なり、あるいは災害復舊、こういつた方面に努めておるような次第でございます。なお今後これらの漁港及び船溜りは、水産の將來の發展のためには、ぜひとも補強しなければならぬ問題でございまして、農林省におきましては、大體年次計畫を立てまして、そうして海區別にこれらの漁港の重要點を審査しまして、計畫をもつて、逐次進めてまいりたいと考えております。
#65
○鈴木委員長 ずつと前に海野三朗君から、農林次君と大藏大臣への質問が保留されておりましたが、海野君、農林次官は本會議へ出席されなければなりますんので、農林次官への質問を先に願います。
#66
○海野委員 食糧が足りませんので、農林省では供出にのみ沒頭している。その供出の奬勵だけで食糧問題が解決できるはずはないと、私は考えるのであります。この領土の狹い祖國に八千萬の國民がおり、しかも年々増加するところの人口に對しまして、この食糧増産はどうしても科學の力によつてでなければなし得ないと、私は考えておるのであります。たとえば電熱の利用によつて苗代の早期成長をやり、また畑作物の早期成長をやる。そうして肥料ばかりに依存しないで、土壤の改良というような方面、また最近におきましては、理化學研究所尾形博士の發明によりました感光色素のごとき――感光色素は農事試驗場においては、方面が違つておりますから、理化學研究所のごとき民間の財團法人の研究所でやつております。でありますから、そこにまことに芳しくないところの感情が流れておるやに見える。しかしながら、農民は正直でありますから、これを實際使つて、そうしてすでに三割の増收を得ておるのであります。はなはだしきに至りましては、稻にこれを應用いたしまして、實に五割八分という増收の實績を得ておるのであります。農林當局におきましては、そういうふうな方面に意を注ぎなさることが必要ではないかと思います。そうして民間のこの研究――電熱にいたしましても、あるいは農藥の研究にいたしましても、民間の研究所から出ておるのでありまして、農事試驗場の發見發明によつたのではありません。いわゆる地方の農事試驗場というものを、もつと官僚臭を拭い去つて、そうしてこの農事の改良という方面に、もつと民主的にお進みにならなければならないのではないか。こういうふうに私は考えるのであります。
 研究と申しましても、つまり現實において未來の世界を見ることが研究なのでありまして、ただ試驗することのみが研究ではありません。試驗を通り越して、未來の世界がどうなるか、それに對して現在において善處するというのが研究でありまして、この研究の方面に、もう一層農林當局がお力をお入れにならなければいけないのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、農林當局におきましては、今の農事試驗場に對して、ここに一大刷新をおやりになるお考えがありませんかどうかそれをお伺いいたしたいと思います。
#67
○笹山政府委員 ただいま農業方面に関する試驗研究についてのお尋ねでございましたが、私どもの考えとしましては、決して民間の各方面の研究の成果なり、あるいは技術の應援を阻んでおるというようなことは毛頭ありません。現在御承知の通り、農業技術と申しましても、いろいろ理化學萬般にわたりましての應援がなければ、とうてい近代的な技術の改善はできないというふうに考えておるのでございます。現に理化學研究方面からの應援も得ておるのでございます。さようなわけで、われわれとしましては、試驗場から出るところの研究だけでなく、それに各方面の學界の應援も得た上で、ひとつ總合的ないい成果を得よう、こういうふうに努力いたしておるのでございます。現在の農事試驗場の體制は、御承知の通り、中央、地方それぞれあるのでございます。しかもその中に農業あり、畜産あり、蠶絲業ありといつたことで、いろいろその間に調整のとれない面もありまするので、現在われわれはこれらの試驗研究を能率的に、また近代的な技術の導入、各方面からの協力、こういつたものを總合的に考えて、もつと新らしいところの試驗研究の體制をつくつてまいりたい、こういうことで關係方面の指示もあり、また學界方面の意見もありますので、現在それについて研究中でございます。いずれこれは近く成案を得まして、明年度豫算には、これらの新らしい試驗研究の確立につきまして、豫算を計上してまいりたいと思うのでございます。
 なお感光色素の問題でございますが、これは米について五割八分の増收というお話でございますが、私まだ寡聞にして聞いておりません。もし現實にさような效果のあるものでありますれば、これは農林省としまして、農家にお奬めするのにちつともやぶさかではございません。ただ從來いろいろのいわゆる技術が叫ばれておるのでございます。しかしながら、洗つてみますると、なかなかそこに宣傳ほどいつておらないという面もありまするので、われわれとしましては、こういつた新らしい技術を農家に指導するまでには、その科學的根據なり、あるいは實際の應用のやり方について、十分ひとつ確信を得た上で、これならば農家に導入しても差支えないということで進みたいと思うのでございます。さよう御了承願います。
#68
○海野委員 ただいまの感光色素についてでありますが、これはもうすでに去年の十一月、アメリカの陸軍省の衞生局がこれを賞讃しておる記事は、すでに御承知であると思います。私が農林當局にお願いしたいと思うのは、農業のことは農家出身のものでなければわからないのだ。自分の領分だというふうに考えまして、科學の方面のあらゆる學者が叫び出すところのものは、非常におもしろからざる感情が漂つておるのが、この日本の農事試驗場の大部分なのであります。一例を申し上げましてもいいと思うのでありますが、長くなりますからやめますが、今の日本の現状を救うためには、よいことならばほんとうに虚心坦懷になつて、官民ともに力を協せて増産一途に進まなければならないのではないか。この意味からして、農林省當局におかれましては、この地方の農事試驗場のあり方、これが一大刷新をおやりになつていただきたいと思うであります。研究の世界には何ものもございません。研究の世界には位階勲等もなければ、過去の地位とか、名譽とか、そういうことはまつたくないのです。これをアメリカの陸軍省の衞生局が、去年の十一日に發表しております。その内容はわかりません。ダリヤにこれを應用いたしまして、年中花の咲くような植物をつくり出しておるのであります。これは報告に出ているのであります。こういうふうな驚異的な大發見のために、尾形博士は過去二十五年間も、この感光色素に沒頭しておりましたが、二千三百種の感光色素を構成しておるのであります。アメリカの陸軍省當局におきましても、この感光色素を稱揚しておるではありませんか。日本内地における有象無象の專門家というものは、いわゆる科學者がそれをつくつたから農業方面では、てんで取合わないような形跡が明瞭にあるのだから、この點を十分お考えいただきたい。年々歳々食糧が足りなくて、マツカーサー司令官に向つて感謝決議をすることが、われわれ日本人の誇では斷じてないのである。われわれのもつておるところの力をもつて、ほんとうに研究するところの力をもつて、新日本建設のために、われわれがみずから起ち上らなければならないのだ。われわれはこの見地に立つて、農林當局の一大奮起をお願いする次第であります。この御決心を承りたいと考えるのであります。
#69
○笹山政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、これは農業の技術の改良、あるいは新しい品種の發見、これらのいやしくも増産になるような事柄に對しましては、先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては、あらゆる方面の意見なり、あるいは御經驗を十分加味してまいりたいと思つておるのでございます。現に學界の方面の御協力も、各方面から得ておりますし、また個人的な研究機關、これは理化學研究所もその一つでありますが、これらの研究機關の應援も得ておるのでございます。また海外においてすでに發見され、あるいは調査された問題についてもございますが、これはわれわれの方においても、十分海外の試驗研究の結果を、實はそれぞれ報告を受けておるような次第でございます。これらを總合的に勘案して、日本の農業の發展、これは結局技術の發展ということが中心になるところの問題であろうと考えるのでありますが、これについては、農事試驗場ばかりわれわれの方では考えておるのではございませんで、農事試驗場を中心としまして、各方面の總合された技術の力をもつて、この増産その他について考えてみたい。こう思つておるのでございます。なお地方の農事試驗場の問題につきましては、試驗研究機關は中央地方の現在の状態ではいかぬと思うのでございます。多分にその間に重複あり、あるいは能率の上らない點もありますので、これらについては、はつきりと分野をわけて、そうしておのおのの分擔をきめて、そこに密接なる連絡を保ちつつ、一つの統一的の試驗研究をやつてまいりたい、こういうことでただいま研究中でございます。いずれこれらの問題については、近く成案を得るつもりでありますから、そのときは、また皆樣の御審議を得て進みたいと考えております。
#70
○海野委員 このたびの豫算面を拜見いたしますと、財政のやりくりのみでありまして、まことに科學性に缺けた豫算面であると拜見するのであります。天産に惠まれませんわが國におきましては、産業の復興とか何とか申しましても、ここに科學技術の裏づけがなければ、産業の復興はおぼつかないと私は考えるのであります。つきましては、この試驗研究の方面を見ますと、國の總豫算の〇・三%という状況でございます。各國の情勢は、三%ないし五%にいつておりますが、いかに國敗れたりといえども、一%にも滿たないような、〇・三%というような試驗研究費であるのであります。これではさらに前途に光明を認めがたいのである。これは敗戰亡國の豫算そのものであると私は考えるのである。たとえば各學會において研究報告、研究發表をする豫算がなくて困つておる。農學部におきましては、十五も學會がございます。そのうちただ二つの學會のみが研究論文を發表しております。それは驚くなかれ、たつた二ページであります。その二ページも出なくて、昨今は一ページに減少しております。そういう状態であります。また石炭三千萬トンを目標にして、今鳴物入りでやつておりますが、三千萬トンのみを考えて、この石炭をいかにすれば節約できるか、わずかの石炭をもつて間に合わせることができるかというこの方面の指導、すなわち熱管理を忘れておるように考えるのであります。ドイツではすでに戰前熱管理を實行いたしまして、三五%の節約をしておる。私はわれわれ日本人、國敗れたりといえども、この熱管理に力を注げば、ただちに一〇%ないし二〇%の石炭の節約が可能であると考えるのであります。しかるに大藏當局におきましては、熱管理の豫算を何故削られたか。それはわずかの經費であります。それから學會の事業補助費としての二千八十萬圓は、何がゆえにお削りになつたか。また御承知の學術振興會の方面においては、重工業方面における爐が壞れないようにするにはどうするか。石炭を節約するにはどうするか。そういうような指導をやる一〇三小委員會、學者及び技術者が三十二人も幹部におりますのに、驚くなかれ今年度の研究費はたつた三萬四千圓であります。三萬四千圓で何ができるか。むしろそんなことならば、學術振興會はたたきつぶしてしまつた方がよいのだ。ほんとうに國を興すためには、あらゆる科學者、學者を動員しなければならない。動員しても金が莫大にかかるのでありません。たつた二、三千萬圓のとこわであり、一〇三小委員會においては、たつた三萬四千圓という金である。大藏當局においては、いかにお考えになつて、この豫算を削減されるのでありますか。何を基準にして、この豫算をお立てになつたのでありましようか。それをお伺いいたしたいと思います。
#71
○栗栖國務大臣 お答えいたします。海野委員の御説の通り、すべて合理的な科學的な研究の上に産業の發展、國民經濟の發展を立てるということについては、私はこの前も申し上げましたように、まつたく同感であるのであります。ただ今囘の本豫算は、前内閣でできた關係もあり、追加豫算でございますし、しかもまたこういう危機に臨んで追加豫算であり、かつまた財政上のいろいろ緊要なる出費という點がございましたので、研究費はわずかに總計で八億しか計上できなかつたのであります。しかし研究費については、十分私自身といたしましても心得えておる次第でございまして、二十三年度その他については、十分財政事情の許す限りまたできるだけ努力いたしまして、この研究費その他を盛りたいと思うのであります。なお將來におきましては、今までの日本と違いまして、これからの日本は平和國家でありまして、軍備その他に關する費用が要らないわけでございますから、その方の財政の危機を突破しますならば、十分研究費に振り向けまして、平和國家の繁榮をはかりたいということをここで申し上げる次第でございます。
#72
○海野委員 石炭三千萬トンは、來年度に迫つたことではありません。今私どもが仕事をする上において、電燈を消されておる。これは何ゆえかというと、石炭が足りないからである。この熱管理は、來年度に待つことはできないと考えるのでありまして、この點につきまして、藏相はいかにお考えになつておりますか。それから工業方面におきましても、爐が壞れて能率が上らない。燃料がよけい要る。石炭を節約することは、今に迫つておる問題なのでありますが、その點はいかにお考えになつておるのでございましどうか。もう一度お考えをお伺いいたしたいと思います。
#73
○栗栖國務大臣 お答えいたします。この石炭三千萬トンの問題は、刻下の危機を切拔けるためにきわめて大事なことでございます。全力をあげて確保することを、政府は考えておる次第であります。そのために熱量の節約、石炭の節約ができる緊急を要する研究費については、十分考えるつもりでございます。
#74
○海野委員 重ねて申し上げますが、たとえてみますと、あたかも米袋の中に米を詰めんとしておるそのときにあたりまして、底がねずみに食われて孔があいてぞろぞろこぼれつつあるのであります。この孔を塞ぐのがすなわち熱管理であります。重工業方面におきましては、實際に役立つておる熱量は三割ないし四割でございまして、六割ないし七割が利用せられずに、熱が逃げておるのであります、この熱を利用する方面についての學者、技術者は、國内に氾濫しておるのでありますから、これは明日を待たないで、即刻この方面に大藏當局におかれましては、意を注がれんことを、私はお願いいたしたいと存じます。
#75
○鈴木委員長 次に淺利三朗君、大藏大臣に對する御質問を願います。
#76
○淺利委員 時間がありませんから、簡單に一、二御質問申し上げます。
 過日の苫米地委員の御質問に對して、大藏大臣は、石炭國家管理法案の豫算は、法案通過の後に追つて提出するということであります。しかしこれは大體閣議を經て提出されたのでありますから、この法案を實施するについては、およそどれくらいの豫算が必要であるかという御意見は、ついておられるはずであると思うのであります。
 もう一つはこの農業生産調整法、これは本年度分としてはわずかの計上でありますが、これをもし一箇年實施するといたしますれば、總額どれくらいになるか。このうち石炭國家管理法案に對するおよそのお見込みと、これに對する財源は何かお見込みがあるか。今日提出された追加豫算を見ると、ほとんど極限まで收入は搾り出されておる。この上にこれを實施するについて、何か隱れた收入の見込みがありますかどうか。これをお尋ねいたしたいのが第一であります。
 第二は、酒、タバコについては、政府はこれを單に收入の對象として見ておられるのか、あるいはこれを禁止的意味において考えておるのか。あるいは少年禁酒法、少年禁煙法、あるいはアメリカが第一次戰爭當時、國内に禁酒の法令を出した趣旨に準じて、これを禁止の目的で出しておるのか。その面に重點をおいておるのかという點であります。もしこれが國民の保健衞生の上から、禁止的意味を含んでおるものなら、今囘の政府のやり方は、實に矛盾しておる。たとえばタバコのこどきは阿片と同樣、一旦嗜好する習慣がつきますと、これをやめろということは非常に至難であります。にもかかわらず、從來のまぬ女にも新たにタバコを配給する、あるいは未成年者で今日まで嗜好の經驗のない者に對しても配給する。これによつて新たに嗜好者をつくる。物がなければ、從來のやむことを得ざる嗜好者だけに配給するというのならわかりますけれども、新たに嗜好者をつくつておいて、今度は配給量を減らして、自由販賣をして多額の金で買わせるということは、あたかも遊女が放蕩息子を籠絡して、家産を蕩盡させるのと同じような惡辣な手段である。もう一つ政府のタバコの製造方法から言いましても、今日非常に粗製濫造である。えたどりの葉や莖を入れた非常に粗製なものを出して暴利を貪つておる。今日物價の大體を見ると、生産と何ら關連なしに、非常な暴利を貪つておる。政府がこういう惡い例を示されておるということは、將來各種の生産業者、商人に對して惡例をつくり、商業道徳の頽廢を招く原因になりはしないか。またこういう暴利を貪る實例を出されたならば、これにつられて一般物價が生産費と關係なしに、暴利を貪る惡習を誘致するのではないかという點を、われわれは懸念するのであります。これに對して政府はそういう懸念がないというのか、御信念を承りたいと思います。
#77
○栗栖國務大臣 淺利委員のお尋ねにお答えいたします。この石炭國管の豫算でありますが、これはいつから實施するか、實施するにしても、準備的に實施し、本格的に實施するという點がございますので、今數字がまだきまらないために、先ほど來申し上げましたように、本追加豫算に計上しなかつたのであります。きまれば計上するつもりでございます。そしてその金額はいずれにしましても、二十二年度の追加豫算としては、一億とかいくらとか、あまり大きな數字にはならぬと思うのであります。そこでそういうものにつきましては、あるいは電力調整の罰金による收入とか、その他のものを見合わして、十分立て得る、かように考えておる次第でございます。
 次にタバコの値上による收入の點において、趣旨はいずれにあるか。あるいは禁止的の意味があるか、あるいは財政的收入を求めるという意味があるか。こういうお尋ねでございましたが、これは今日の窮迫せる財政を救うために、財政上の收入を得るというところに主點をおいた次第でございます。なおこのタバコの粗製濫造についてでありますが、政府といたしましても、この點は十分注意もいたしたいと思うのでありまして、今囘自由販賣に新たにします新生あるいはピース、コロナにしましても、質的には十分考え、そしてこの粗製濫造のそしりを招かないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
#78
○鈴木委員長 それでは次に今井耕君。
#79
○今井委員 旱害に對する助成金の問題でありますが、これは今次非常に大きい問題になつております。前の委員の方から詳細な質問がありましたので、時間の關係上省略をしたいと思います。ぜひこの増額をしてもらう必要があると思うが、どう考えておられるか。またそれに對して何とか考慮をしようというような御答辯があつたのでありますが、その後どの程度の金額が出されるかという腹案がありましたら、ひとつそれを伺いたい。
#80
○栗栖國務大臣 お答えいたします。旱害の點でありますが、ことしは關東、東北その他の水害が非常に大きく國民の頭にしみこみまして、旱害というものは、あるいは比較的少いようにも考えられておるかと思いますけれども、しかしながら旱害の實害というものは、各府縣その他からの陳情その他によりましても、相當大きいものがあるのでございます。そこでこの點につきましては、ただいま五千萬圓計上してございますけれども、それでは相當不足を生ずるかと思いますので、内務省、農林省とも十分連絡しまして、旱害の損害高というものがどのくらいかまだ出てまいらないのでございますが、出ましたら、十分檢討して、この豫備費その他において、必要な限度においては、ぜひ支辨し、この救濟をしたい、かように考えておる次第でございます。
#81
○今井委員 旱害というのは、一般旱害と、それから特に特殊地帶といたしまして、重粘土地帶、通年滯水地帶というのがあるのでありますが、この地方におきましては、今年の大旱魃によりまして、非常に大きいところの龜裂が生じまして、はなはだしいのは數尺、十數尺の深さに龜裂が生じたのであります。これはそこに水を入れましても、絶對水が通じませんし、またもちませんのであります。從いまして、こういう地方におきましては、床張りとか、あるいはあぜ掘りとかいうような特殊な復舊作業をしなければ、來年から全然水を通ずることができない。こういうような面積が相當たくさんあるのであります。これは何としても今年この復舊作業をやらなければ、來年も百姓ができぬということになつておるのでありまして、これにつきましては、そういう地方におきましては、麥をやめて、いろいろほかのものに轉作するというようなことも考えておるのでありますけれども、何分とも非常な重粘土でありまして、これを畑作ができるようにしようと思うと、その土地改良に數年間を要することになるので、この復舊作業ができないと、もう百姓をやめて、ほかに轉業しなければならないような状態の、特殊な旱害があるわけであります。こういうものは、ただこの豫算が削減されたから一律に削減されるというようなことでは立つていかぬのでありまして、こういうものには特別の御考慮を願うことが非常に必要だと考えるのであります。こういう點につきまして、どういう御考慮が拂われるか伺いたいと思います。
#82
○笹山政府委員 旱害地方の特に重粘土地帶のごとき特殊な地域の災害につきましては、これはどうしても來年の植付までにあの地割れを囘復しなければならぬと、われわれも思つておるのであります。この費用は相當かかるのでございまして、われわれの見込みでは、約八千萬圓くらいかかるのではないかというような見込みもあるのでございますが、御承知の通りの五千萬圓だけの豫算では、どうにもならないような状態でございまして、これらの不足分につきましては、われわれの方では、極力大藏省の方に御了解を得たい、こういうふうに考えております。ただこういつた食糧事情でございますから、來年も今年の災害地が遊ぶというようなことのないように、また麥をつくることに極力御努力願いたい。とにかくあの地割れを早く囘復して、そうして必ず植付ができるような状態に御協力してもらいたいというふうに、われわれ考えております。
#83
○今井委員 次にこの開墾、開拓、土地改良方面の費用の問題であります。今日までにおきましても、經費が不足するために、いろいろ支障を來しておるのでありますが、今度の豫算の削減で中絶しなければならぬような地方が、相當できるようにうかがわれるのでありますが、こういうことは、非常に困つたことでありまして、直接すぐに増産に役立つというようなことにつきましては、少々赤字が出ても、やはりこれを遂行することが、すぐに黒字になるもとになるのでありまして、こういうものを一律に削減することはどうかと考えるのであります。なおまた中絶した場合に、どういうふうに御處置になるお考えか、この點をお伺いしたいと思います。
#84
○笹山政府委員 土地改良その他開拓事業の經費の關係でございますが、これは當初われわれの方で計畫いたしたときにおきましては、その單價でもつてやり得るというような見込みでございましたが、その後物價の騰貴等によりまして、とうてい賄いきれない。そこでこれらの厖大なる相當程度の經費の増加を、國の方で見てやらない場合におきましては、これは當然事業の縮小が來るのでございます。しかしながら、こういつた土地改良その他大きな事業につきましては、できるだけ短期間に效果のあがるものを先にして、それにひとつ重點を注いで、それだけはまず早く完成させる。そうして五年も六年もかかるというところは、多少これは引伸ばしになつても、實際上の害はあまりないのではないか、こういうように考えて、その間の仕事の取捨選擇をいたしてまいりたいと思つております。ただこれらの事業は、いずれも今後の食糧の増産、こういつた方面に非常に效果的な事業でありますので、われわれの方としましては、できるだけこれらの事業を圓滑にするために必要な經費の獲得には、努力しなければならぬと思つております。現在のところ、中絶というようなことはできるだけ避けたい方針でおるのでございまして、できるならば、こういつた土地改良のようなものにつきましては、やりかけた仕事はできるだけ早く完成して、その經費の不足な分につきましては、ある程度村でも、農家でも協力していただくというようなことでいかなければ、經費はないし、仕事はやりたいというようなジレンマは解決ができぬのではないかというように思つております。開墾につきましても。今後少い經費を使つてまいるという場合におきましては、重點的に效果の最も確實に上るというものを中心にして進めてまいりたい。こう考えておるのでございます。
#85
○今井委員 ただいま御懇切なる御答辯にあずかつたのでありますが、たとえば琵琶湖の干拓というようなことを考えましても、戰爭中から著手しておるものが、まだ完成に達しない。そうしてその後の進捗状況を見てみますと、やつておるのかやつておらぬのかわからぬ。それで、地方からの非難も非常に高い。こういう實例がちよいちよいあるのであります。それで著手したものは、早く成完してもらつて、すぐに實效があがるようにしないと、國のやつておる仕事というものは、非常に信用がないということになつておるのでありまして、どうか、こういう點について、格別の御心配を願いたいと考えるのであります。
 次に、農業協同組合法がいよいよ施行間近かになつておるのであります。この農業協同組合法の施行に伴いまして、いろいろ普及、宣傳、啓蒙、その他國としてやらねばならぬ仕事が、相當あろうと思いますが、こういうものが、この豫算面に現われておらぬようでありますが、これはいかようになつておるのでございますか。
#86
○笹山政府委員 協同組合法の施行に關する經費、すなわち普及、宣傳その他新經費でございますが、これは豫備金で賄いたいというように考えております。
#87
○今井委員 次に農林次官にお尋ねいたしますが、ただいま海野さんから技術問題について御質問がありましたが、私ども同樣の考えをもつておるのであります。何と申しましても、農業生産の増強をはかる上におきまして、耕地の擴張、改良、あるいは農業生産資材の供給確保ということが、根本的に必要でありますけれども、これを最も有效に利用していくというところの根本的な技術の研究、その浸透というようなことが、最も必要であると思うのでありますけれども、國といたしまして、これに對する力の入れ方が、きわめて足らぬと思うのであります。たとえば農林省の各種の研究機關を考えましても、各局各課に任せまして、ばらばらであります。そうしてこの研究も、きわめて不徹底な點が非常に多いわけであります。こういうものをもつと總合的に一貫いたしまして、しつかりしたものにしていく、そうして今後來るべきところの農業生産樣式の近代化、あるいはまた農村工業というようなことにつきましても、ただ農林省は農林省だけというようにしないで、各大學あたりの協力を求め、また農科系統だけでなしに、理工科系統あたりの協力を求めていくというふうにして、しつかりしたところの基礎的研究というものが、非常に必要であると考えるのであります。なおこの浸透組織といたしましても、昨日の公聽會で技術指導農場のことについて、相當非難の聲が高かつたということは、われわれ非常に關心の的であります。技術指導農場につきましては、この追加豫算にも一億一千萬圓近くの豫算が計上されておるようでありますが、これをよく調べて見ますると、職員の待遇改善に要する費用が大部分でありまして、ほかはごく一小部分であります。昨日もああいうような非難があつたということは、私最初からよく事情を承知しているのでありまして、これは昭和二十年度から著手されたのであります。ところがその當初の豫算におきまして、豫算を立てられるときが、前年の十月、十一月ころであつたために、この指導農場の設備といたしまして、臨時費といたしまして、牛馬が一頭五百圓、堆肥舎、收納舎の建築費が、坪當り四百圓ないし五百圓、こういうふうになつているのでありまして、これを實際實行する時期には、牛馬が三千圓以上しておつたのであります。あるいはまた堆肥舎または收納舎も、四、五百圓の單價のものが、實行するときは坪當り三千圓くらいしておつたのであります。すでに昭和二十年度の實行期においてそうであつた。ところが二十一年度もそういうぐあいになつている。本本度もこういうぐあいになつている。全額助成で國から經費がいつている。一應それはできた體になつているけれども、事實できてはいないのであります。從いまして、各府縣や町村でもずいぶん心配いたしまして、寄附なんかをやつているけれども、なかなかそれが遂行できないのであります。從つて生半尺になつているために、昨日のようなああいう非難ができてくる。こういうのでありまして、指導農場のやり方については、いろいろ考えなければならぬ點が多々あるのでありますけれども、これはその地方の實情に即應するところの技術の研究指導の點から考えて、ぜひやらなければならぬ必要があると考えるのであります。從つてこういう生半尺なことをしないで、一旦こうやつて著手したものは、徹底的にやるということでありませんと、かえつて地方の非難の的になつているのであります。やり方はいろいろ考えなければならぬけれども、もつと思い切つて、こういうものを擴充していくということがぜひ必要である。今日いろいろ國がやつておられるところの技術指導方面のことを見ましても、ほんとうに農家まではつきりとして徹底していることは、ほとんどないのであります。皆中途で消えているのであります。そういうように中途で消えているようなものでは、中間に經費が皆いつてしまつて、少しも百姓までいつておらない。こういうのが現状である。この指導農場につきましては、箇處數も多いから、相當經費も蒿むのでありますが、相當思い切つたやり方が必要と考えるのであります。今日のこの追加豫算一億七百萬圓餘りのものにつきましても、ただ職員の俸給が、辛うじてもらえていけるという經費だけであつて、これがために指導農場が擴充されるということは、絶對ありません。またこれによつて技術が浸透していくところまでまだ運んでおらない。こういうようなところに置いておくということは、きわめて不徹底であると考えるのであります。追加豫算金額も、こんなものでは、ただ信用を落すだけだと考えるのであります。今の追加豫算でいかなければ、來年度の豫算におきまして、思い切つた經費を計上していくことが必要であると考えるのでありますが、この點についてのお考えをお伺いしたいと考えます。
#88
○笹山政府委員 ただいま技術指導農場のお話でございますが、これはお話の通り、ただいまの豫算では、非常に經費が不足いたしているのでございます。建物を建てるにおきましても、また用地を買收するにおきましても、現在の豫算ではとうてい不足でございまして、この實行にあたりましては、多くは地元民に相當の寄附なり、あるいは負擔に仰いでおるような次第であります。もとよりかようなことは、われわれの本意とするところではございませんが、財政の事情がかような状況でございまして、われわれの方としては希望するけれども、全體の關係などから、なかなかそれは實行ができないというような事情でございます。今後これらの經費の問題につきましては、極力われわれとして努力をいたしてまいりたいと思つておるのであります。ただどうしてもできないというような場合におきましては、現在もさようでございますが、これ以上の數を殖やして、そうして中途半端なものをたくさんつくるということは、われわれの方では避けたいと思つております。從いまして、現在できかかつておるものは、これをなるべく早い機會において完成していきたいということで、いろいろ地方の方にも連絡をとつておるのであります。今後農業會の解散によりまして、農民に對する技術の指導は、結局今後はこの技術指導農場を中心としてやらなければならぬと思うのであります。現在惡いところもあるのでございますが、いいところはやはり地方に相當いい結果を與えておるのでございます。たとえば地方の農家の技術の練磨場といたしまして、あるいは技術の相談、あるいは種畜、種子の等級その他のサービス、その他地方におきましてのいわゆる地域的な適用試驗と申しますか、應用試驗、こういつたものも、農民の依頼によつてやつておるのであります。從いまして、農民に對するところの技術の指導、これはパンフレット、あるいは講演だけでは、十分でないのでございまして、殊に日本農民は、從來目から受けるところの經驗を尊重する性質のものでございますから、この技術の指導農場を中心といたしまして、われわれの方では、できるだけ體系的な技術の習得、こういうことを主眼にしてまいりたいと思うのでございます。ただこれらの技術の指導にありまして、お話のように從來は農林省の中にもそれぞれ畜産あり、あるいは蠶絲業あり、農業ありといつたようで、いろいろばらばらな方面もあつたのでありますが、これらの點については、今後、先ほど申しましたように、總合して結局農業、農家經営というものを十分考慮に入れた一つの技術の指導、こういうことにしてまいりたいと思つておるのであります。
#89
○今井委員 時間の關係がありまするから、これで終ることにいたします。
#90
○鈴木委員長 あと質問は總理大臣に對する質問の豫定でありますが、總理大臣は今本會議に行かれて、すぐここに來られる豫定でございますが、それまでに大藏大臣に御質疑の殘つておる方はございませんか。
 では總理大臣の來られるまで、ちよつと休憩いたします。
    午後四時三十四分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後四時五十一分開議
#91
○鈴木委員長 それでは引續き開會いたします。
 總理大臣への質疑を行いたいと思います。庄司一郎君。
#92
○庄司(一)委員 片山總理にお伺いいたしたい第一點は、第三囘目の冬を迎えんとする在外同胞、特にソヴィエト社會主義共和國内のシベリヤ地方一帶に分布されて強制勞働を受けておる方の報道等によれば、約六十萬にわたるところの元軍人軍屬あるいはその他北滿地帶で活動されておつた在留同胞が、未だに歸國することができず、あるいは零下四十度以上の酷寒と鬪い、日本人として適合するところの食糧を與えられず酷使されておると、歸還者によつて傳えられておるわが同胞は、今や三たびの冬を迎えんとしておるのであります。この際この方々の家族は、一日も速やかにその夫、その父、その兄弟が歸國することを熱望しておるのであります。また本院においても引揚同胞議員連盟を初め、議院全體として、一日も速やかに歸還の運びができ得るよう待望しておるのでありますが、總理は組閣以來この問題に對し相當苦心はされておると思いますが、いかなる手、いかなる方法とをもつて最善を盡されておるか、またこれらの對策いかん。あるいは萬國キリスト教の大會に訴え、あるいはローマ法王に訴え、あるいは國連に訴えることも一つの方法でありましよう。何らかの名手は打たれておるものとは信じますが、組閣以來の經過竝びに今後の對策いかんということを、切に國民とともに總理大臣の適當なる活躍を待望する意味において、これを第一點の質問といたします。
 第二の質問は、けさの新聞報道によれば、アメリカより第二囘目の温かいラ・ラ物資がプレゼントされるという報道を讀んで、まことに感謝にたえない次第でありますが、過般の第一囘のラ・ラ物資の配給の面においては、はなはだ遺憾の點がなきにしもあらずであつたのであります。最も貧困をきわめておる戰災者、あるいは引揚同胞中の未だに國立病院等に取殘されておる氣の毒な元軍人軍屬、その他ほんとうに困つておる人々の上に、せつかく眞心こめてプレゼントされた物資が完全に配給されませんで、全然戰災も受けない、また相當な財産家の家庭の女學校の生徒さん方が、りつぱな冬コートを頂戴したという事實を私は知つております。アメリカのラ・ラ物資はもとよりわが國の國民中最も困つておる諸君に對する温かい愛のプレゼントである。さいわい今囘再度目のラ・ラ物資の贈與があるそうであります。ときまさに冬を迎えんとし、全國の孤兒院、養老院その他引揚同胞中無縁故にして社會事業團體等に收容されておる氣の毒な人々、また戰災者中には、未だに見るに忍びないトタンのバラツクの中に住居をしておる氣の毒な同胞もあるのでありますから、今囘のラ・ラ物資の配給については、前囘のような轍を履まぬように、最善完全なるところの配給方法を講じてほしいのであります。またひとりアメリカのラ・ラ物資のみに依存せず、政府は何らかの方法において、たとえばただいま上程されておる追加豫算中の豫備費であるとか、前年度の繰越金、剩餘金というようなものの中から適當な施策を講ぜられて、最低線におられる諸君に、特に年末を迎えて温かいクリスマス・プレゼントを贈られるような措置を講ずる意圖はございませんか。從來宮中におかれては、天皇が年末には各社會事業團體等に、それぞれの温かい愛が送られたのでありますが、ただいまは皇室財産の關係等より、そのことは思われてもならない昨今の状態でありますから、總理は熱烈なる絶對愛の信仰をもつておる人格者であると聞いておりますが、あなたが日本國民中、大きなサンタクロースになられて、ラ・ラ物資の配給と同時に、さようなことを講じられて、氣の毒な最低線の人々の上に、最高限度に生活保護法を發動されたり、その他の適當の方法をもつてやるとか、そういう一つの施策を講じてほしい、そういう御意圖がないか、これが第二點であります。
 第三點は、前農林大臣時代のできごとであるから、お尋ねするのは少々お氣の毒でございますけれども、やむを得ません。米一升が前米穀年度において五圓五十錢で供出されたものを、政府は約三倍に近いところの十二圓餘によつて、去る八月一日より消費大衆に賣られた。一人一日二合五勺の配給をもつて新米穀年度の端境期まで、その概算を推定すると、約十四、五億になるのではないかと思う。これは概算でありますが、この十四億なり、あるいは十五億なりの消費者と供出農民との間の幅は、一體會計法規の上からどこに合法的に處理されたものであるか、またされんとするものであるか、大炭の場合においても値上げをされ、一俵十三圓のものが五十四圓五十錢になり、それが最終小賣におきまして白炭は八十四圓五十錢、黒炭は九十四圓五十錢ですが、本炭一俵について約三十圓の大きな幅がある。ややこうしい手數料もありますし、運賃のプール計算その他の經費もかかりましようけれども、わずか正味四貫目の木炭一俵から三十圓の幅というのは、あまりにひど過ぎる。片山さんの所屬の政黨から言えば、あまりにもこれは大きな搾取ではないでしようか。ゆえに木炭生産者の諸君は、非常に不愉快な感情をもつて、極端に言えば思想惡化の傾向をたどつておる。そういうことはあつてはならない。なるべくこの幅を最小限度にして、でき得る限り消費大衆により安く配給させるということが、あなた方の多年唱えておられる社會主義政策の上において、最も望ましいものであると私は思う。私は私の所屬の政黨のきわめて高度なる社會政策のイデオロギーの上からしましても、でき得るだけその幅を少くして、より安い消費者價格で大衆に消費させることが最も望ましいことであると考えておるが、農林大臣を兼務されておる總理はどうお考えであるか、かような問題をどう處置されるのであるか、インフレ防止の面から言いましても、より高く消費者大衆に販賣することは望ましくないことと思うのでありますが、なお將來に對してどうお考えになりますか。この三點をお伺い申し上げて簡單明瞭な御囘答を要求するものであります。
#93
○片山國務大臣 御質問の第一點でありまする海外殘留同胞引揚げ問題でありまするが、この寒空を迎えまして、なお異郷にあつて非常な苦しみをされておりまする同胞に對しましては、深甚なる同情と救濟の手を早く盡さなければならないということを考えておるのであります。今日まで外務當局あるいは復員廳、あるいは厚生省、こういう各係當局を激勵いたしまして、できるだけの方策を講じつつあるのでありますが、何分にも相手のあることでありまして、非常に困難であり、思う通りの運びに至らないことをはなはだ遺憾に思つております。今お示しのように、キリスト教團體でありまするとか、あるいはその他の理解ある方面に對しまして、十分誠意を盡しまして懇請をいたすことには、手落なくやつておるのであります。政府といたしましては、現在の状態において、許される範圍内において、できる範圍内において、最高の努力をいたしておるのでありまして、この點は決して怠つてはいないのであります。しかしなかなかの難問題でありまして、今日まで思う通り解決のできなかつたことは、庄司君とともにはなはだ遺憾に思うのでありますが、今後におきましても、御趣旨に副うべく最大の努力を拂いたいと存じております。ラ・ラ物資がさらにわが國の氣の毒なる人のために放出されるということは、まことに喜びにたえないことでありまして、私も本日の新聞によりまして、それを知りまして、非常に喜んでおるのであります。詳細これを扱つておりまするのは厚生省でありまするが、今までは手續上遺憾な點があつたと御指摘になりましたが、將來におきましては、十分に注意いたしたいと思います。本當に氣の毒なる人に、惠むべき人に、この物資が行き渡つて、自力で榮養をとることのできない人々の手に、この惠みの手が十分に行き渡るように努力いたしたい考えでありまするから、第二囘のラ・ラ物資に對しましては、御趣旨に副うべく最善の方法を講じたいと思つております。またクリスマスのプレゼントとしてそれを贈つたらどうかというような御意見がありまして、御趣旨はたいへん結構であります。これもその物資とにらみ合わしてやらなければならないことでありまするから、實際の取扱いにおきましては、最善を期してやる厚生當局にしばらくお任せ願いたいと存じます。十分に督勵をいたしたい考えであります。
 第三の生産價格と消費價格の差につきましては、いろいろの點から考えられてくるのであります。政府がこれを負擔いたしまして、消費者にはできるだけ安くいい物を配給するようにいたしたいと思うのでありまするけれども、政府の財力にも限度がありまして、以前にやつておりましたようにこれを負擔するわけにもいきません。そこでやはり生産者と消費者の間に差ができまして、あるいは包裝の代金であるとか、あるいは運賃であるとか、いろいろの必要やむを得ざる費用が出てまいりまして、それを消費者に負擔してもらわなければならないというような結果になつておる點もあると思います。しかしどこまでも合理的な萬やむを得ざる費用に局限いたしたいと思います。中間的な搾取は嚴にこれを戒めまして、さような費用を消費者にかけるようなことのないようにいたしたいと考えて、ただいま庄司君御指摘のような不合理な點は、十分に警告するようにいたしたいと存じております。
#94
○鈴木委員長 次に總理への質疑として東井君。
#95
○東井委員 先ほど今井委員から旱害のことについて質問をしておられましたのでありますが、私も旱害に關する主として政治的な責任について、總理大臣の御意見を伺いたいと思うのであります、今年は全國各地におきまして、水害、旱害をこうむつたのでありますが、これら災害に對しましては、それぞれ對策も講ぜられて、去る八日の本委員會におきまする木村内務大臣、井上農林次官のおのおのの御答辯によつて、その對策の大部分を承知したのでありますが、私はここで全國十四府縣にわたります旱害對策に對する政府の政治的な責任について、總理大臣の御所見を伺つておきたいと思うのであります。
 今度の旱害は、十四府縣にわたつておるのでありますが、なかんずく奈良縣を中心といたしました近畿二府五縣は、最も大きな被害をこうむつておるように思うのであります。そこで實は去る九月の二十八日に、井上農林次官が近畿地方の旱害視察、特に奈良縣下の旱害につきましては、詳細に視察をされたのであります。ついで十月の十日には平野前農林大臣が同じく視察をされたのでありますが、おのおのお二人とも實情を見られて、意外に深刻な状態に驚かれまして、大臣も次官も、旱害應急施設費の國庫補助について、その申請額の七割を明確に約束をされたのであります。七割の國庫補助をいたそう、こういうことを數字をあげて明確に約束をされた。數字をあげて約束をされたものでありますから、地方財政が極度に窮迫をいたしておりまする現在のことでありますから、縣當局、被害農民などは、非常に喜んだのであります。また一般縣民も、この大臣、次官の言明を、眞に旱天の慈雨という思いで、これを喜んだのでありますが、ところがそれほど確かなお約束をされたにもかかわりませず、その補助金が追加豫算にはもちろん計上されておりませんし、かつその實行が、まことにどうも不安になつてきたという状況にあるのであります。そこで喜びの大きかつた關係上、また失望も非常に大きい、二府五縣の關係者たちが大擧上京いたしまして、それに選出のそれぞれ議員が加わりまして、總理大臣に陳情をいたしておりますことは、とくに御承知をいただいておることと思うのであります。私は細かい數字をここで一々申し上げて、陳情の趣旨を繰返すという意思は毛頭ないのでありますが、具體的な數字に基く陳情書、その他當時大臣次官が約束されました金額や言明等につきましては、それを記載いたしました新聞記事、一切の資料は西尾官房長官のもとまでお屆けしてあります。それをごらん願いたいと思うのでありますが、ここで私はその政治責任について、一應總理の御意見を承りたい。いやしくも國務大臣または次官が、公的な立場において行われました言明や確約というものが實行されないという場合に、一體總理大臣はこれをどういうふうにお考えになるか。私は單に二府縣の住民を欺いたということではないと思うのであります。八十萬の奈良縣民にうそを言つたということではないと思うのであります。これは政治に對する國民の信頼というものが保持されるかどうかという重大問題であると信ずるのであります。國家財政が未曾有の難局に直面しておるという現状は、私も十分承知をしておるのでありますが、しかしこの窮迫状態が今度突如起つたものはない。お約束の當時可能であつたものが、今日になつて突然に不可能になつたということでは斷じてないと思うのであります。またそれほどお見透しのきかない大臣でもなく、次官でもなかつた。またさらに不可能と知りつつ平然とそれを純朴なる農民たちに約束をして、それをだまされるというような大臣であり次官では斷じてない。こういうように私は信ずるのであります。政府がうそをつくから國民はもちろんうそを言つていいのだ、あるいは政府が約束を實行しないから、われわれ農民は供出をしなくてもいい、こういうような論理には、私は贊成をいたしかねるのであります。しかし事實はまことに遺憾でありますが、今度のこの問題は供出その他に非常に惡影響を及ぼすであろうということが想像されるのであります。私は一國の政治が國民の信頼を失うことは、まことにゆゆしい問題である。またこの影響の及ぶところ、まことにおそるべきものがあるということを痛感いたしますがゆえに、また高度民主主義を唱えられて、常に道義政治の確立を念願しておられる片山總理大臣の御考慮を切に煩わしたいと思うのであります。新憲法の内閣制というものは、明治憲法に比べまして、著しく統一的特色をもつておるのであります。行政權は内閣を組織する個人に屬するものではなくして、統一體たる内閣に屬することは申すまでもありません。從いまして、これら内閣の構成者は、行政權の行使につきましては、國會に對して連帶責仕を負うものとせられておるのであります。この新憲法の内閣制の統一體的特色というものは、内閣總理大臣の他の國務大臣に對しまする統制力の強化となつて現われておると思うのであります。すなわち内閣總理大臣は、他の國務大臣を任命する權限を有しておる。かつまた任意にこれを罷免することができることになつておるのであります。もちろんこれは天皇の認證を必要とすることは申すまでもありません。この内閣の統一體制から考えますと、今度の大臣や次官の言明が、確約されたことが實行されないという問題については、當然に内閣總理大臣において、その責任をおとりになつてしかるべきものと私は確信をいたします。またわれわれ國民の民主主義政治常識から申しましても、總理大臣に對して、かように強力な統制力を認めておるというのも、畢竟するにその權限の裏づけといたしまして、高度の責任を豫想してのことであり、ここにこそ民主政治の責任政治たるの眞面目があると私は思うのであります。この意味におきまして、たとえ平野前農林大臣が現職におられましても、大臣の行つた言明に對しての責任は、當然に總理大臣もまた負わるべきものと思うのであります。ましてや平野氏が辭任をされました今日におきましては、總理大臣がこれを負わるべきものと確信をするのであります。この點に關して、總理大臣の率直なる御意見を承りたいと思うのであります。
#96
○栗栖國務大臣 旱害問題は水害と同樣、きわめて重大に考えておるのでありまして、その復舊對策をただちに考慮いたしたのであります。何分にも財政の乏しい今日でありますから、追加豫算面には五千萬圓の金額しか計上することができなかつたのでありますが、これでは十分でないということは考えております。あとを何とかしなければならないと考えて、大藏當局あるいは安本長官等に對しましても、その問題を眞劍に考慮するように、それぞれ手配をいたしておるのであります。ただいまの平野前農林大臣と、井上次官が、現場において旱害問題について言明されたという點につきましては、御指摘のように、それがただちに私の責任になつてくるという點、及びどういうふうに兩君が申されまして、實際上の政府負擔額を明らかにされたのであるか。これもなかなか重要な關連をもつ事項であります。平野君は退職され、井上君は目下供出問題で旅行に出ておりますので、今日その問題を確かめるわけにはまいりませんが、いやしくも今申されましたように言明されたとするならば、どういうふうな意味において、どういう意思をもつて話をされたか、よく調査して考究いたしたいと思います。責任を逃れるという意味ではなしに、よくそれは研究をいたしまして、お答えいたしたいと思います。私も政府の意思として發表いたしたことであるならば、十分に考えていかなければならないと思いまして、今申されましたように、やたらにでたらめなことを言つて、責任を負わないで、惡影響をすべての方面に與えるというような問題も考え、十分眞劍に考えていきたいと思います。いろいろ農民に與える影響も大きいということの御指摘がありましたが、ほんとうに誠意をもつて農民に對する立場も考え、旱害の救濟も考え、供出問題も考えておるのでありまして、その場逃れのことは申したくないと思いますので、しばらく考えさせていただきたいと思います。
#97
○東井委員 ただいまよく調査をしてから善處をしようというようなお言葉のように承つたのでありますが、材料は西尾官房長官のお手もとまで屆けてありますから、どうぞぜひ井上次官も歸られましたから、御調査の上で御善處願いたいと存じます。なお旱害對策について五千萬圓の點につきましては、先ほど大藏大臣からも御答辯があり、また井上次官も何とかしてこれは努力したい、こういう熱意をもつておられますために、私もそれに信頼し、なお總理大臣の今のお言葉のように善處をしていただきたいということを、強く要望いたしまして、この問題はこれで打切りたいと思います。
 第二の點といたしまして、もう一點お伺いをしておきたいのであります。わが國の經濟再建に對しまして、また刻下のインフレを防止する上からも、行政整理ということと、それから企業整備による産業の合理化ということが喫緊の課題として要請されているということは、これはしばしば本委員會におきましても論ぜられたところであります。私はいろいろ政府の御答辯を承つておりまして、結論においてもう一歩というところで、腑に落ちない、納得のできない點があるのであります。行政整理ということには、當然行政機構の改革ということと、それに伴う人員の配置轉換、ないしは剩員の整理ということが考えられなければならぬのであります。また企業整備による産業の合理化ということにつきましても、各面から科學的にこれが進められなければならぬということは、申すまでもないのでありますが、私はこの産業の合理化におきましても、また結論といたしまして、どうしても過剩人員の整理淘汰というものが、絶對的に、また必然的に要請されなければならぬと信じているものであります。この十月二十九日に、西尾官房長官が、記者團と會見をされましたそのときの談話が發表されて、新聞記事に見えておつたのでありますが、その記事によりますと、「從來のごとき過剩人員の自然淘汰では不十分であるから、勞働不安を押切つても行政整理は行う」、こういう意味のことを言つておられるのであります。また、同じ日に和田安本長官が、やはり記者團と會見をしておられるのであります。そして企業整備による産業合理化に對して態度を明確にしなければならぬということで、次のごとく語つておられるのが、また新聞に見えるのであります。その第一點は、「資本家がインフレによつて生産を阻害する段階はすでに去つておるのだから、今や一層通貨を引締め、非採算企業を整備して、産業を合理化し、國際經濟にも耐え得るの態勢を整えるために、政府は政策を明確にすべき時期にきておる。さらにまた行政整理も經費の一割制限では濟まない情勢にある。企業の整備は集中排除の實施に關連し、合理化のためにも具體的に日程に上るから、行政整理も大幅に行われることになろう」、こういうような談話をしておられるのであります。この談話の中で、「國際經濟にも耐え得る態勢を整えるためにも」、というこの意味は、私は生産コストの點かか剩員整理ということを意味しておる言葉ではなかろうかと理解するのであります。また行政整理も經費の一割制限では濟まない情勢にあは。行政整理も大幅に行われることになろうということの言葉は、暗にやはり過剩人員の整理を示唆しておられる言葉ではなかろうか、こういうふうに私は理解するのであります。一昨日の公聽會におきましても、經濟復興會議の副議長大塚萬丈氏は、これは個人的な立場からでありましたが、企業體の中で剩員を失業救濟の意味において、そのままに放棄しておるというよりも、むしろこれを整理して、失業者は別途にこれを救濟することが、はるかに效果的である、こういう意味の發言であつたように、私は聽取つたのでありますが、私は實はさように考えておるのであります。とにかく、ただいま申しましたごとく、西尾官房長官や、あるいは和田安本長官の談話といい、いずれも政府は人員の整理を痛感して、いよいよ近き將來これを斷行する決意を有しておられるように、私は解するのでありますが、この點に關して、總理大臣の率直な御意見を承つておきたいと思います。
#98
○片山國務大臣 この問題につきましては、先般本會議においても御質問がありまして、お答えいたしたところであります。またただいま御指摘の行政整理も、行政機構の改革に關連するし、かつまた剩員の淘汰ということにも關連するというお言葉でありますが、まつたくその通りでありまして、根本的には行政機構からかえていかなければならない。殊に警察、司法官吏制度その他各般にわたりまして、行政機構の改革に目下手をつけておるのであります。さらに進んで剩員問題につきましても、檢討をしていかなければならぬということで、先般の閣議におきましても、具體的にどう機構を改め、どの方面にはたして剩員があり、どの方面の人員を整理しなければならないか、具體的に檢討しようということになつておるのであります。西尾官房長官及び和田安本長官の言われました意見なども、重要に參照いたしまして、近々その問題の具體的な取調べと、これに對する對策を立てたいと考えております。やはり國際的にも、わが國は、國民が眞劍にすべての仕事をやつておる。國民の手になる仕事というものは、ほんとうにむだがなく、また誠意に各産業に從事しておる。また國家のやつております仕事も、眞に民主的に徹底しておるのである。この國民の事業に對する誠意を十分に現わすためには、すべて合理化の徹底をはからなければならないと思つておりまするが、ただ抽象的に申し上げるだけでは、ことは十分でないと思いまするから、來るべき通常議會におきまして、またその豫算面におきまして、これを表わすとともに、さらにまた具體的な對策を來るべき通常國會には明示いたしまして、合理化の十分なる貫徹をはかりたいと、目下檢討中でありますから、しばらくその問題はお待ちを願いたいと思います。
#99
○鈴木委員長 あと総理大臣への御質問は、中村君にお願いする豫定でおりましたが、時間がもうこんなに遲くなりましたので、長いようであれば、あすに延ばしていただきたいと思いますが。どうしましようか。
#100
○中村(寅)委員 どちらでも結構ですが、私の質問は二、三十分かかります。
#101
○鈴木委員長 それではあなたの御質問は、明日ならば引續き時間一ぱいできますから、明日お願いいたします。
 本日はこれをもつて散會いたします。
   午後五時三十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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