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1954/12/07 第20回国会 参議院 参議院会議録情報 第020回国会 文部委員会 第3号
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1954/12/07 第20回国会 参議院

参議院会議録情報 第020回国会 文部委員会 第3号

#1
第020回国会 文部委員会 第3号
昭和二十九年十二月七日(火曜日)
   午後一時四十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月六日委員野本品吉君辞任につ
き、その補欠として井野碩哉君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理事
           木村 守江君
           竹下 豐次君
          小笠原二三男君
   委員
           大谷 瑩潤君
           吉田 萬次君
           安部キミ子君
           岡  三郎君
           矢嶋 三義君
           松原 一彦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       竹内 敏夫君
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省初等中等
   教育局長    緒方 信一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○継続審査要求の件
○高山祭の屋台等の修理費国庫補助に
 関する請願(第七七号)
○分校並びに単級、複式学校をへき地
 教育振興法中に包含するの請願(第
 一一二号)
○文教施設整備費国庫補助に関する請
 願(第一六五号)
○紀元節、明治節復活等に関する請願
 (第一六九号)
○学校給食法中一部改正に関する請願
 (第一八二号)
○福岡学芸大学小倉分校に上級課程設
 置の請願(第二四二号)
○へき地教育振興に関する陳情(第八
 号)
○教育、文化及び学術に関する調査の
 件
 (文部省関係予算に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堀末治君) それではこれから文部委員会を開会いたします。
 この際お諮りいたしたいと思いますのは継続審査の要求についてでありますが、学校給食法案、勤労青年教育振興法案、右二法案は今期国会閉会中も継続審査することにし、一応継続審査要求書を提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(堀末治君) それではさようにいたします。
 直ちに議長に対して委員長が手続をとることにいたします。
 それから請願陳情を議題といたしたいと存じます。
 ちよつと速記をとめて。
   午後一時四十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時二十五分速記開始
#4
○委員長(堀末治君) 速記を始めて下さい。
#5
○矢嶋三義君 本日は文部省関係の予算、特に教育財政の点について質疑を申上げたいと思いますが、大蔵当局はまだ出席されておりませんので、とりあえず若干文部省当局に質したいと思います。なお後刻事務次官が出席された上で質したいと思いますが、先般来委員長を通じて文部当局に要求しておりました昭和三十年度文教予算概算要求書、すなわち文部省の省議に基く概算要求明細書でありますが、この資料が委員長を通じて本委員会への提出を再三に亙つて要求したにもかかわらず、本委員会に提出されることなく、民間各種団体にその資料が流れておるということは、資料の請求権を持ち審議調査権を持つておる本委員会としては実に遺憾千万に堪えない点であつて、いずれ責任者である大臣或いは次官にその所信を質したいと思いますが、委員長においても今後重大なる関心をもつて、この処理に善処されることを質問に先立つて要望いたしておきます。
 そこで具体的に伺いますが、現在各都道府県は地方財政の窮迫から教職員の昇給昇格のストツプ或いは教職員の定員減というような立場から、大きく地方財政の窮迫の面が教育財政に圧迫されて、日本の義務教育を中心とする地方における教育は危機に瀕していると、こう申上げても過言ではないと存じます。
 そこで私はこの義務教育財政関係に最も関連の深い義務教育費国庫負担法の問題について若干伺いたいと思うのでございます。と申しますことは、昭和二十七年法律三百三号としてこの法律が制定されるときに、最も大きな筋は義務教育費というものは義務教育なるが故に憲法の精神に則つて国が負担するというところにあつたことは申すまでもありません。従つて飽くまでも実績主義を尊んで、各都道府県の実績の二分の一だけを国庫で負担する、残り二分の一を地方自治団体に負担して頂く。そうすることによつて国も憲法の精神によつてその負担をすると同時に、又地域社会の住民も半額を負担することによつて義務教育に関心を持つている、そういうことによつて義務教育の振興を図るというところに精神があつたわけでございます。ところが御承知のように第二条の末尾のほうに「但し、特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。」こういうことがついております。この但書をつけるに当つては、これは異例中の異例の場合であつて、飽くまでも実績の二分の一を国庫が負担するというこの原則を堅持するということが附帯決議にも明確に残されていることは、これは文部当局も御承知の通りだと思う。従つてこの法律の精神からいつて、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定める、これについて文部当局は如何ように考え、又大蔵当局に対してはどういう態度を以て交渉に当つているか、その点承わりたいと思うのです。
#6
○説明員(緒方信一君) 義務教育費国庫負担法の精神につきましては、只今矢嶋さんからお話のあつた通りと私ども心得ておりますし、その第一条の但書の問題でございますが、特別の事情であるときには、政令で最高限度を定める。これにつきましてはすでに御承知のように政令ができておりまして、都道府県のうちで交付金を受けない団体、並びに基準財政収入額が交付金の額よりも上廻る団体、これにつきまして最高限がきめられてあるわけであります。
 そこで只今御質問の点でございますが、御承知のようにこのたび地方税財政の改正に伴いまして、只今申しました政令の適用を受ける府県が従来よりも殖えて参る実情にありますので、この点につきまして私ども現在の地方財政の現況から見まして、政令の適用を受けて最高限度がきまるということになりますと、更に給与費の負担の上で圧迫が加わりますので、その点はできるだけこの只今お話の負担法の精神に副うような方向で何とか軽減をして行くということで、実は大蔵省と只今交渉いたしておる次第でございます。まだ大蔵省に対しましての交渉は結論を得ておりません。併し今後続けて交渉いたしたいと思つております。
#7
○矢嶋三義君 この最高限度は一昨年決定されて以来、そのまま変更されることなく本日まで来ております。特に先国会では入場税の変更等もあつたわけで、現状のまま行かないということはこれは明白だと思うのです。で、私は文部当局に伺いたいことはですね、この「特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。」とありますが、これは極く異例中の異例の場合に飽くまでも実績主義を堅持しながら政令を定めるということは、当時の梅原文部委員長の附帯決議の説明にも出ているわけです。従つて私は文部省としては、この政令百六号の撤廃に努力すべきだと思いますが、その点については文部当局は如何ように考えておられるか、伺います。
#8
○説明員(緒方信一君) これを全然撤廃いたしますということに対しましては、現在の各都道府県の給与の実情から申しまして、と申しますことは、御承知のように現在一応の基準はございますけれども、給与の額は、水準は各都道府県まちまちになつております。そこで財政の比較的豊かなところにおきましては、相当国の基準を上廻り、ほかの府県に比べて相当高い給与が出ている。そうでないところは非常に低くなつておりますが、そういう非常にアンバランスが行われておるわけであります。従いましてその財政が豊かであるからといつて、それがそのために給与が何と申しますか、無制限ということではございませんが、幾ら高く出してもその二分の一を国が負担して行くということになりますと、これはなかなか問題でございますので、これを全然撤廃するということは、実情から申しましても非常に困難ではないかと思つておる次第でございます。従つて現在我々といたしましては、成るべく地方の財政に圧迫が来ないように、先ほどお話のありましたように、地方税財政の制度の改革の結果、又そのほかの事情もあるかと思いますけれども、二十九年度におきましても相当これに引つかかる府県が殖えて参りましたので、それを成るべく緩和して行きたい、こういう方向で今進めておる次第でございます。
#9
○矢嶋三義君 撤廃の意思がないということになればですね、それじや伺いたいんですが、昭和二十九年度においてはどの程度この政令に該当する県があると考えられておるか、その実績から昭和三十年度においては如何ようにしてどの程度の都道府県が該当する程度にこれを改めようとされておるか。この点についてお伺いしたい。
#10
○説明員(緒方信一君) 大体見込みでございますけれども、十七府県くらいが引つかかるようになるのじやないかと、かように考えております。現在、現在と申しますか二十八年度において六府県でございますが、それが十七くらいに殖えるのではないかとかように考えております。三十年度につきましてどれくらい引つかかるようになるという方向かというお話でございますが、これはいろいろ地方財政の軽減を図るという方向にいたしましても、方法はいろいろあると思います。併しまだ具体的に大蔵省との折衝がそこまで進んでおりませんので、まあ私どもとしましてはできる限り緩和したいと思いますけれども、これはやはり財政事情もございますので、只今のところこれくらいの見通しだということはちよつと申上げる段階に至つておりませんので御了承願いたいと思います。
#11
○矢嶋三義君 二十八年度六府県が該当しておつたのに、二十九年度は十七府県が該当するに至つた。実に一年にして十一県が殖えて、全都道府県の約半数はこれに該当するようになつたという原因はどこにあると局長は分析されておられますか。
#12
○説明員(緒方信一君) これはその地方税財政全般の問題でございますので、私のほうよりも自治庁のほうからお聞き取り願つたほうが正確だと存じますが、税財政の改革の結果、不交付団体はこれは構わないにいたしましても、基準収入額の金額が交付金の額よりも、今度交付税でございますが、交付税の金額よりも上廻る団体がそれだけ殖えて来る。そういう計算になつて来るわけでございます。御承知のように今度の改革で府県民税が創設されたり、或いは又入場剰余税でございますか、これが創設されたりいたしました結果、府県の自己財源のほうでは非常に収入額のほうが殖えて参るということになりますので、その結果、自然に交付金よりも基準収入額のほうが殖えて来ることになりますので、現在の政令にはそれだけ引つかかるようになる、こういう見通しでございます。これは詳しい計数につきましては私のほうよりも自治庁のほうの計算に待たなければならんと思つております。それから二十九年度におきまして先ほど十七府県ほどと申しましたが、これはそういう交付税の金額よりも基準収入額のほうが殖えるというのが十七県くらいあるというふうに私どもは見ておりますが、実際に最高限に引つかかつて抑えられるというのは十県程度でないかと、かように考えております。
#13
○矢嶋三義君 只今のあなたの説明から申しますと、一つの方法としては交付税との関係から殖える原因があるとするならば、漸進的な解決法として政令百五号の第一条の後段を削除するということによつて若干緩和されるという技術的な方法もあるかと考えますが、それはどういうふうにお考えになりますか。
#14
○説明員(緒方信一君) 後段撤廃ということになりますと基準収入額が交付金の額よりも多いという、その県を削除するということでありますが、従いましていわゆる不交付団体だけを対象にして行くということになりますので、それはもう非常に局限された県だけになつて参ると思います。例えば東京、大阪或いは愛知、神奈川は或いは不交付団体になりますが、これは実際従来の実績から申しますと最高限に引つかつかりませんので、まあ極めて少い県になると思います。そうなりますと、その影響というものは非常に軽くなつて参ります。地方財政に対する影響は非常に軽くなつて参ります。私どもとしましてはそういう方法がとれることはこれは非常に望ましいと思いますけれども、只今大蔵省とそういう考え方も交えまして今話をしているという段階でございます。
#15
○矢嶋三義君 そういうことを交えて交渉しているということですが、それではあなたのほうとしては第一条の後段を削除して欲しいという意思表示をして大蔵省と折衝しているのかどうか。又それに対する大蔵省の現在におけるところの見解というものはどういうものであるか、その点を承わりたい。
#16
○説明員(緒方信一君) これはまだ明確に両方検討し、或いは結論に到達するところまで行つておりません。この臨時国会前に結論が出ればよかつたのでありますが、そこまで行つておりません。いろいろそのほかの方法もございますし、彼此検討いたしまして、私どものほうも成るべく当初の趣旨に副うように話を進めております。これはまだはつきり申上げる段階にはなつておりません。
#17
○矢嶋三義君 政今というものは私が申上げるまでもなくこれは法律事項でないわけです。この政令の結果四十六都道府県のうちに約十七都道府県が該当するようになつたということは、この政令が義務教育費国庫負担法の立法精神に合つていないということは、義務教育費国庫負担法というものは飽くまでも先ほど申上げた、あなたがみずから認めたように実績の二分の一を負担する、こういうところにあつたわけで、附帯決議にわざわざその点明確に残されているわけです。ところがあなたがたの行政部門で出した政令の内容のもたらすところ、四十六都道府県の中に十七府県も該当するようになつたということは、この政令そのものが義務教育費国庫負担法の立法精神に副わないものだと、これは結論は明白に出て来ておる。従つてこの立法精神、立法府の意思を尊重して行政をとり運ばなくつちやならんあなたの立場としては早急にこれは是正さるべきだと思うのですが、そういう立法精神と立法府との関係については行政当局のあなたはどういうふうにお考えになつておられますか。
#18
○説明員(緒方信一君) 二分の一を負担して行くと、実績の二分の一を負担をして行く、成るべくその趣旨に副うように努めて行きたいと、かように考えます一口に申上げますと。ただ併し政令の前段後段いろいろありますが、後段を撤廃するということだけが一つの方法であるとは考えないのでありまして、或いはほかの方法もあるかと存じます。いろいろ政令で抑えられておりまする単価の問題等もございますので、まあ財政事情とも睨み合せまして最善を尽したいと、かように考えるわけでございます。
#19
○矢嶋三義君 と、あなたの現在の大蔵省との折衝の段階では第一条の後半を如何に改正しようとしているのか、あなた並びに大蔵省担当官から所見を御伺いしたい。
#20
○委員長(堀末治君) ちよつと速記とめて。
   〔速記中止〕
#21
○委員長(堀末治君) 速記を起して。
 今日はこれで委員会を散会いたします。
   午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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