1954/12/01 第20回国会 参議院
参議院会議録情報 第020回国会 農林委員会 第1号
#1
第020回国会 農林委員会 第1号昭和二十九年十二月一日(水曜日)
午後二時六分開会
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委員氏名
委員長 森 八三一君
理事 重政 庸徳君
理事 宮本 邦彦君
理事 江田 三郎君
理事 戸叶 武君
大矢半次郎君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
白波瀬米吉君
田中 啓一君
飯島連次郎君
岸 良一君
溝口 三郎君
河合 義一君
清澤 俊英君
松永 義雄君
菊田 七平君
鈴木 強平君
松浦 定義君
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委員の異動
十一月三十日議長において成瀬幡治君
を委員に指名した。
本日委員成瀬幡治君辞任につき、その
補欠として三橋八次郎君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 森 八三一君
理事
重政 庸徳君
宮本 邦彦君
江田 三郎君
委員
大矢半次郎君
川口爲之助君
岸 良一君
溝口 三郎君
清澤 俊英君
松永 義雄君
菊田 七平君
松浦 定義君
政府委員
農林政務次官 羽田武嗣郎君
農林大臣官房長 渡部 伍良君
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○審査報告書に関する件
○農林政策に関する調査の件
(報告書に関する件)
○昭和二十九年四月及び五月における
凍霜害等の被害農家に対する資金の
融通に関する特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出)(第十九
回国会継続)
○昭和二十九年の台風及び冷害の被害
農林業者に対する資金の融通に関す
る特別措置法案(内閣送付、予備審
査)
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#2
○委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。委員に変更がありましたので、御紹介、御報告を申上げます。森田豊壽君、雨森常夫君及び横川信夫君の三委員が辞任せられ、大矢半次郎君、白波瀬米吉君及び三橋八次郎君の三委員がそれぞれ委員に就任せられましたので、御報告申上げます。
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#3
○委員長(森八三一君) 最初に、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案、自給肥料増産特別措置法案、農民組合法案及び繭糸価格安定法の一部を改正する法律案についてお諮りいたします。本件につきましては、未だ審査を完了するに至つておりませんが、参議院規則第五十五条によりまして審査報告書を提出いたすことになつておりますから、これを提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(森八三一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。次に、委員長の提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますので、順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
重政 庸徳 大矢半次郎
菊田 七平 宮本 邦彦
清澤 俊英 松永 義雄
松浦 定義 溝口 三郎
江田 三郎 岸 良一
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#5
○委員長(森八三一君) 次にお諮りいたします件は、第十九国会閉会後引続いて調査を行なつて参りました農林政策に関する調査に関してでありますが、本院規則第五十五条によりまして本調査の報告書を議長に提出いたすことになつておりますから、これを提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(森八三一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。つきましては、委員長の提出する報告書に順次御署名をお願いいたします。多数意見者署名
重政 庸徳 大矢半次郎
菊田 七平 宮本 邦彦
清澤 俊英 松永 義雄
松浦 定義 溝口 三郎
江田 三郎 岸 良一
#7
○委員長(森八三一君) なお調査報告書及び審査報告書の内容及び手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(森八三一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。―――――――――――――
#9
○委員長(森八三一君) 次に、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案、継続審査を議題にいたします。本法律案は、御承知のようないきさつによつて継続審査となつておつたのでありまして、本法律案につきましては、すでに前国会におきましても一応の審議が行われ、又閉会中におきましても検討が進められておつたのでありますが、なお更に御質疑が残されている向きがありますれば、この際御質疑を願い、別に御質疑がなければ直ちに討論採決に入りたいと存じますが、如何いたしましようか……。別段御発言がなければ、質疑は尽きたものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。
#10
○岸良一君 私はこの法案はすでに処置することが遅かつたと思うので、適当な修正をしてこれを採決することに賛成をいたします。この法案の中におきまして、この六月以降に災害もありましたし、又これらを加えましてその金額等も殖やさなければならんといつたようなことが論議されておりましたので、この際それを修正して採決することを賛成いたします。
修正案を朗読いたします。
昭和二十九年四月及び五月にお
ける凍霜害等の被害農家に対す
る資金の融通に関する特別措置
法の一部を改正する法律案に対
する修正案
昭和二十九年四月及び五月におけ
る凍霜害等の被害農家に対する資金
の融通に関する特別措置法の一部を
改正する法律案の一部を次のように
修正する。
第一条の改正規定を次のように改める。
第一条中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に改める。
これは改正法律案によつて、第一条及び第二条第一項の「四月及び五月」とありますのが、「四月及び五月及び六月」となり、「及び」が重複するのを「四月、五月及び六月」となるように字句を修正するのであります。
第二の点は、第二条第一項の改正規定を次のように改めるのであります。
第二条第一項中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に、同条第二項中「昭和二十九年九月三十日」を「昭和三十年一月三十一日」に改める。
これは前段のところは第一にお話し申上げたと同じでありますが、第二条第二項の「営農資金」の貸付期限が「昭和二十九年九月三十日まで」となつておりますのを、改正法律案の処理が遅れたことによりまして「昭和三十年一月三十一日まで」に延期するのでございます。
第三は、
本則に次の改正規定を加える。第四条第一項中「四億五千万円」を「六億五千万円」に改める。
このことは先ほどもちよつと申上げましたように、対象が拡大をいたすようになりましたので、「四億五千万円」を「六億五千万円」に増額するのであります。これらもこの委員会において御論議があり、御賛成を得ておりますので、この際これを直したほうがいいと考えるのであります。
第四は、
附則第二項中『「昭和二十九年四月、五月及び六月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法」に』の下に『、「昭和二十九年九月三十日」を「昭和三十年一月三十一日」に』を加える。
これは附則第二項の重複被害農家のすでに借受けた営農資金の償還期限延長の期限を第二条第二項の貸付期限の延長に伴つて改めるのであります。
以上四つの点においての修正をして、そうして本案に賛成いたします。
#11
○委員長(森八三一君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(森八三一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず、討論中にありました岸君の修正案を議題に供します。岸君提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#13
○委員長(森八三一君) 全会一致であります。よつて岸君提出の修正案は可決されました。次に、只今採決されました岸君の修正にかかる部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#14
○委員長(森八三一君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て修正議決されました。なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議、ございませんか。
〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(森八三一君) 異議ないと認めます。次に、本案を可とされましたかたは順次御署名願います。
多数意見者署名
重政 庸徳 大矢半次郎
菊田 七平 宮本 邦彦
清澤 俊英 松永 義雄
松浦 定義 溝口 三郎
江田 三郎 岸 良一
―――――――――――――
#16
○委員長(森八三一君) 次に、昭和二十九年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法案(予備審査)を議題にいたします。本法律案は、昨十一月三十日、内閣から予備審査のため提出、同日当委員会に予備付託となつたものであります。先ず提案理由の説明を聞くことにいたします。
#17
○政府委員(羽田武嗣郎君) 只今提案になりました昭和二十九年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法案の提案の理由を御説明申上げます。本年は水稲の分蘗期において低温等のため全国的に作物の発育が極めて悪く、一時は凶作が予想されておりましたが、その後に至り予想外の高温と晴天とが続いたため作況は頓に回復したのであります。ところが不幸にして、八月以降第五号、第十二号、第十三号、第十四号、更には第十五号と引き続き台風の襲来を受け、相当広範な地域に亙り災禍に見舞われ、又北海道及び東北地方の一部では発育期の低温障害により作物に受けた打撃を遂に回復できず、これ又昨年に引続き冷害をこうむりましたので、これら災害地の被害農林業者の現金収入は、平年に比し相当下廻り、その経営の維持の上から極めて憂慮すべき事態に立至つていることは、各位の御承知の通りであります。政府はこの事態に対処して、農林漁業施設の復旧については国庫の補助及び農林漁業金融公庫の融資により対策を講ずる一方、救農土木事業を行う等農林業者の現金収入の途を開くことにいたしておりますが、更に被害農林業者が今後その経営を維持するのに必要な資金が円滑、且つ低利で融通されるための措置を講じて、被害農林業者の経営の安定を図る目的を以てこの法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の内容の概略を御説明申上げます。先ず、この法律案による経営資金の借入を受けることのできる者は、前に申上げました今年の台風及び冷害のため平年作に比し三割以上の農作物の減収があり、且つその減収による損失額が農業総収入額の一割以上である農業者又は台風及び冷害のための林産物の損失額が平年の林業総収入額の一割以上である林業者若しくは台風により炭がま等が著しい被害をこうむつた林業者でありまして、経営資金の使途は種苗、肥料、飼料、薪炭原木等の購入、炭がまの構築その他となつております。貸付額の限度は、内地では七万円、北海道では十五万円が最高でありますが、牛馬を所有する農家には更に三万円を加算することとしております。償還期限は、原則として二年以内でありますが、開拓者その他特に著しい被害を受けた者に対しては政令の定めるところにより五年までの期間を認めるものとし、又利率については原則として年六分五厘以内とし、開拓者その他特に著しい被害を受けた者に対しては政令の定めるところにより年五分五厘にいたすこととなつております。
次に、この資金の貸付は、農業協同組合、森林組合又は金融機関から行われ、農業協同組合又は森林組合は、このために必要な資金を都道府県信用農業協同組合連合会、森林組合連合会又は農林中央金庫から借入れることができます。そこで地方公共団体がこれらの融資機関に対し利子補給及び損失補償を行う場合に、国がその経費の一部を都道府県に対し補助しようとするものであります。利子補給については、経営資金の貸付利率に応じて地方公共団体が年五分乃至六分を補給した場合に、国はその半額即ち年二分五厘から三分までに相当する額を補助し、損失補償については地方公共団体が融資総額の四割までの補償をした場合に国がその二分の一を補助するものであり、国の補助の対象となる融資の総額は八十五億円を限度としております。なお、昨年の台風第二号、風水害又は冷害の被害農林業者で、今年重ねて被害を受けたものの貸付を受けている経営資金の今年度償還分については、その償還の猶予に代えて、従来と同じ条件で替借を認めることとするため、この法律案の附則において、前述の各災害関係経営資金の融通に関する特別措置法の一部を改正しようとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由並びに内容の概略であります。
何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
#18
○委員長(森八三一君) 続いて法律案の内容につきましては詳細に御説明を聞きましたが、参考事項について農林当局から説明を聞くことにいたします。#19
○政府委員(小倉武一君) 只今お配りをいたしております法案の要綱がございますが、要綱に従いまして御説明をいたします。経営資金の対象はもう御承知の通りでございまして、台風第五号から冷害に至るまでの損害によりまして必要な経営資金を供給しよう、こういうのであります。この損害を受けました農家でありまして、経営資金の供給を受ける者が第二にございますが、それが林業者と農業者と両方ございまして、農業のほうは、これは平年の収穫量の三割以上の減収である場合、そして且つ平均収入の一割以上に損害が該当する場合、かように農家を限定をいたしておるのであります。それから林業家のほうは、これは平年収入の一割以上という被害或いは台風等によりまして炭がま等が損壊をこうむつた林業者といたしております。
経営資金を供給いたしますのは、これはこれまでの通り、協同組合、林業者の場合には森林組合もあると存じますが、そういう系統機関を通じて資金を流すのでありますが、その用途といたしましては、柿苗、肥料、飼料それから薪炭原木或いは炭がまの構築、こういつたような農業や林業に必要な経営資金であります。
貸出しの要件は、先ず貸付額の限度でございますが、これは先ほどの法案にもございましたように、一般は七万円、それから北海道は十五万円の範囲内で被害高の三割程度を考えておるのであります。大体生産費のうち現金に当るものが三割になりますので、そういう点を併せて考えております。七万円、十五万円と申しますのも、殆んど経費のうち現金支出に当る部分がかような金額であるという平均的なものを睨んで限度をおいたのであります。牛馬につきまして三万円を更に加えるというのは、去年の冷害等の前例によつた次第であります。償還期限は、原則は五年以内でございまして、そのうち一般のものはほぼ二年、開拓等につきましては三年、昨年と本年と重ねて被害を受けたような農家につきましては五年、かように考えております。利子は六分五厘以内というふうに考えておりますが、一般は六分五厘、開拓地でありますとか、或いは去年に加えまして本年更に被害を受けた農家、こういう農家につきましては五分五厘というふうに考えております。
国庫補助をやります点は利子補給と損失補償をいたしますが、今申しましたような利子で農家が借り得られるように利子補給を出す次第でありまして、六分五厘の場合は二分五厘、五分五厘の場合は三分でございます。合せてその倍になるわけであります。損失補償の限度は四割でございまして、そのうち半分を国庫が補助する、かようなことであります。
それから融資の総枠は八十五億でございまして、これは先ほど申しましたように、本年の被害につきまして三割以上とりまして、その被害のうち現金支出というものに相当する分を押えまして、なお農家の総収入から見て一割以上の農家ということも考慮いたしまして八十五億といたしたのであります。
最後に、なお昨年度特融関係の法律によりまして経営資金を借りました本年の償還分については、特別措置を法案の附則で適用いたしておるのでありますが、昨年の資金を借り、更に本年被害を受け償還が困難となる、こういつたものにつきましては、借替という措置によりまして一年償還が実質上後廻しにできるような措置を講じたのであります。大体本案につきまして附加えて申述べる点は以上の通りであります。
なお利子補給の額といたしましては、今回提出されまする補正予算に利子補給は千二百二十万円計上いたしてございます。
#20
○委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて。〔速記中止〕
#21
○委員長(森八三一君) 速記を始めて。只今懇談の機会を以ちまして、議題になつておりまする本件の審査につきましては、次回の委員会において審査をすることに御了承を頂きましたので、さような取扱いにいたしたいと存じます。#22
○江田三郎君 かねて要求しております砂糖に関する資料を、これは年末の糖価の問題もありますから、早急に出して頂くように請求を願います。#23
○委員長(森八三一君) 只今の江田委員の御希望につきましては、先回の委員会で御要求があり、私は本日までにということで文書を以て要求いたしております。それでは本日はこれを以て散会いたします。なお明日は午前十時から委員会を開きます。
午後二時四十二分散会