くにさくロゴ
1954/12/07 第20回国会 参議院 参議院会議録情報 第020回国会 農林委員会 第6号
姉妹サイト
 
1954/12/07 第20回国会 参議院

参議院会議録情報 第020回国会 農林委員会 第6号

#1
第020回国会 農林委員会 第6号
昭和二十九年十二月七日(火曜日)
   午前十一時十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     森 八三一君
   理事
           重政 庸徳君
           宮本 邦彦君
           江田 三郎君
   委員
           佐藤清一郎君
           河合 義一君
           亀田 得治君
           松永 義雄君
           菊田 七平君
           松浦 定義君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会専門
   員       中田 吉雄君
  説明員
   農林省畜産局長 大坪 藤市君
   林野庁指導部長 藤村 重任君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○委員長の報告
○農林政策に関する調査の件
 (草資源に関する件)
 (草資源の造成改良及び利用増進に
 関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(森八三一君) 只今から委員会を開会いたします。
 最初に、委員の変更がございましたので御報告いたします。三橋委員が委員を辞任せられまして、亀田委員が新らしく委員になられましたので御報告申上げます。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(森八三一君) 先ず最初に、草資源造成利用の件を議題にいたします。
 草の効用については今更申上げるまでもないことであります。而うしておよそ資源に乏しい我が国におきましては、草資源は極めて豊常に恵まれておるのでありますが、併し草に対する国民の関心は一般に甚だ低調でありまして、従つてこれが改良及び利用は殆んど顧みられていないに等しいものがあると言うても過言でないと考えられて甚だ遺憾と存ずるのであります。かかる事情に鑑みまして、この際国内における草資源の改良及び利用に関して確固たる措置を講じますことは刻下の要務と考えられます。当委員会におきましては、かねてこの問題に重大な関心を払い、先日は農林省及び地元当局の配慮を受け、八ケ岳集約酪農地帯にこの問題について現地調査等も行なつた次第であります。そこで本日は本件を問題として御協議を煩わすこととし、最初農林当局から国内における草資源及びその利用の現況、今後における資源造成及び利用増進の可能性並びに華資源の造成利用に関する政府の施策の現況並びに今後の方針等について説明を聞き、続いて本件に関する御審議を願い、本問題の取扱いについて協議を頂きたいと存じます。つきましては、最初に農林当局から御説明を願うことにいたします。速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#4
○委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。
#5
○説明員(大坪藤市君) 草資源の問題につきまして、只今委員長より極めて御理解あるお言葉を拝承いたしまして、誠に恐縮に存ずるのであります。又先般は親しく農林委員の方々、大勢の方々が現地におきまして草資源の造成状況並びに畜産の状況を親しく御視察になりまして、我々に対しまして非常に有意義なる御指示を頂きまして、ここに厚く御礼を申上げたいと思うのであります。
 只今委員長から御意見がありました通り、我が国の草資源の改良は現在までのところ極めて微々たる、遅々たる状況であるのであります。ところが只今もお話がありました通りに、畜産、特に酪農につきましては、草による酪農ということが基本的な命題であるのでありまして、酪農振興が我が国畜産の基本政策の一つとして強く取上げられました今日におきましては、如何にして草資源を急速に、且つ大量に造成して行くかということが現在の当面の施策の大きな問題だと思うのであります。で、私どもといたしましては、昭和二十八年度より草資源改良の基本計画を立てまして、現在私どものほうで押えておりまする草資源の造成改良の基本対象面積を一応百八万四千町歩と押えておりまして、これを十カ年計画を以ちまして順次造成をして参りたいと、かように考えておるのであります。対象面積の中にはいわゆる牧野と、それから河川、河川敷、そういうようなものを包含をいたしておるのでありまするが、そのうち最も効果の挙がりまするいわゆる公共団体の管理いたしておりまする管理牧野と河川敷、堤塘等におきまする、対象の中で効果の上るものより順次これを造成して参りたい、かように考えておるのであります。で、昭和二十九度におきましては約一億三千万円見当の予算、これは実行予算で約一割方削られまして一億一千七百万円ほどの予算を計上いたしたのでありまするが、昭和三十年度におきましては、総計にいたしまして十一億ほどの予算を要求いたしておるのであります。で、これは大体三つの対象に分れておりまして、いわゆる酪農振興法によりまする集約酪農地域として指定しまする対象の中にある牧野、河川敷、堤塘、これの改良を八億八千万円見当新らしく計上いたしておるのでありまして、その地域外の従来やつて参りました牧野の改良の予算を一億三千万円ほど計上いたしまして、更に熊本、大分等の災害地の復旧を八千万円ほど計上いたしまして、総計にいたしまして十一億七千万円ほどの予算を目下大蔵省に要求中であるのであります。従来から継続いたしておりまする集約酪農地域以外の牧野の改良につきましては、従前通りの計画を以て進めたいと考えておるのでありまするが、新らしく本年度大蔵省当局に集約酪農地域といたしまして五十地区要望いたしておるのでありまするが、その五十地区内におきまする牧野の改良、これが一番急を要し、且つ重要な命題であるのでありまして、これに最も力を注ぎたい、かように考えておるのであります。従前の牧野の改良或いは河川敷等の改良におきましては、おおむね予算を三分の一ほど政府が流し、更に府県のほうで三分の一流し、地元負担といたしまして三分の一負担いたしまして改良をいたしておつたのでありまするが、これが往々にして、実際問題といたしましてなかなか労力を以て牧野を改良いたしまするので、その実効が挙らなかつたうらみがあるのであります。従いまして、二十九年度からはいわゆる牧野改良センターと申しまするか、機械力を以ちまして牧野を改良して行く、このために国立の牧場のうち三牧場を指定しまして、そこに五千万円ほどの経費を以ちまして機械力による牧野の改良予算を計上いたしておるのでありまするが、昭和三十年度におきましても、五十地区を指定しまするところの場所にはおのおの二セツトの機械を半額補助いたしまして、機械力によりまして急速にその地帯の牧野を改良いたしたい、かように考えておるのでありまして、私どもといたしましては、この機械力による牧野の改良ということに最も力を注いで参りたい、かように存じておるのであります。本年度に約四セツトの機械を外国等より購入いたしまして、各牧場に配付いたしておりまするが、これが現在各地におきまして、地元の要望に応じまして出動いたしておるのであります。まだ早々でありますので、その的確なる効果をつかんでおりませんが、今までのいろいろな情報と申しまするか、報告によりますというと、非常な効果を挙げているようであるのであります。昭和三十年度におきましては、この点に最も力を注ぎまして、急速に牧野の改良を図つて参りたい、かように考えております。
  一応簡単に御報告申上げます。
#6
○江田三郎君 畜産局のほうでいろいろおやりになつているということは結構ですが、更に来年度予算について一つ画期的な指導助成の方策をとられるということも、私どもとして心から賛成するのですが、ただ草の問題というのは、先ほど委員長も言われますように、非常に遅れておつて、よほど各方面の力を合せて行かなければ、なかなか軌道へ乗つて来ないと思うのですが、一体現在政府の機構の中で、草の問題を取扱つている機関というものは、どことどこがどういうことを取扱つているか、その点はどうなつておるのですか、何かそれはただ草としての、草という問題もありましようし、或いは又治山治水の面からのエロージヨンと関係した草の問題もございましようし、いろいろな多方面に関係して来るわけですが、今の政府の機構の中ではどこが何を取扱うことになつているのですか。
#7
○説明員(大坪藤市君) 草の問題につきましては、只今御指摘ありましたが、一応の革の行政的な面におきましては、畜産局の有畜営農課のほうでこれを所管いたしておるのであります。試験研究の面におきましては、農業改良局で所管いたしておりまして、現地におきましては、いわゆる農事試験場の中の草地部というところで研究いたしております。なおエロージヨンと関係いたしましては、林野庁関係におきまして、これは指導部長がおられますので、私から申上げるのは何でございますが、却つて非常にそういうエロージヨン防止或いは国有林或いは民有林の下草資源の改良という意味合からいたしまして、林野庁のほうで検討いたしております。
#8
○江田三郎君 先ほどの百八万町歩というものを言われたわけですが、その中心になるのは公有牧野や河川敷ということですが、一体これは畜産局としてだけでこういう計画を立てられるのか、或いは資源調査会或いは国土総合開発、こういうものと連絡をして立てられるか、それはどうなんですか。
#9
○説明員(大坪藤市君) 只今のところ、私どものほうで府県その他からの各般の資料を持ち寄りまして、一応私どものほうで計画を立てておるのであります。なお河川敷等の利用につきましては、河川局と数次打合せまして各現地々々におきまして、地方庁と現地機関と連絡をいたしまして、その当該河川敷の利用の方法等を協議いたしておるのであります。
#10
○江田三郎君 草というものの重要性、今更言うまでもないことなんですが、最近よく草を敵にした農業から、草を味方にした農業へ、こういうスローガンも聞かされて、私どもは今の日本の米麦を中心とした農業経営というものは、これは一つの根本的な転換をしなければならん、すでに国際価格が米にしろ麦にしろ国内価格より下廻つている。そういうときに将来価格支持政策というものが重要になつて来ますけれども、併し価格支持と言つたつて限度がある、それに対して米麦の生産費をうんと落すということも、これ又限度があつて、どうしても農村の二、三男の問題或いは貧農の過小農経営の問題等から考え、或いは農業の国際的な角度から農業経営というものを考えて、ここで画期的な農業の転換というものが図られなければならん。これは単なる思いつきで行くのでなしに、よほど慎重な調査と研究に立つて行かなければならんと思うのですが、従つて只今言われました百八万町歩というようなものについても、もつとまあ詳細にお伺いしたいのですが、今日は資料もありませんから、又別の機会でいいのですが、そういうときに、例えば林野庁のほうでは従来治山治水という角度から植林というものを非常に重要視されて来たわけです。併し私どもはもつと治山治水という方面からも、必ずしも植林でなしに、草で行き得るところがあるのではないか、だからそこからできる木材の供給という角度からなら別ですけれども、そうでなかつたならば、単にエロージヨンや、或いはそういう角度から行くのであれば、もつと流域ごとに検討して行けば、木材を生産するよりもより済経的な利用をされるところが相当あるんじやないかと思うのですが、そういう点については林野庁なり、或いは林野庁のほうで総合開発や、資源調査会あたりとの関係で検討されておるわけですか。
#11
○説明員(藤村重任君) 林野庁といたしまして、草資源と申しますか、原野と申しますか、草地に対してのいろいろの今までの行政上の関連について、今御質問になりましたのに関係いたしまして一言申さして頂きたいと思います。もともと山林行政を合理的に進めて参ります場合に、具体的にぶつかつて参りました問順は、土地を保全するという問題と、土地の利用を合理的に無駄なくやつて行くという問題が出て参つて来るわけであります。その中で以前からとかく土地の利用が非常に粗放で、そうして浸蝕の被害も起しており、又土地の生産力を低下さしておるという場所があり、いわゆる原野という形をしている場所に非常に多いということから、相当以前から原野に対する実態調査或いは研究をして参つておるわけであります。以前は特に軍馬というような関係がありましたために、林地における放牧、特に馬を対象にした山とそれから原との総合的な関係という意味合と、そういう家畜の生態というようなものを組み合せて、そしてどうすればいいかというような研究をいたし、それを基礎にして経営案を作つたりもいたして来ておりましたが、現在は相当対象が変つて参りまして、いわゆる酪農政策というようなものを主体にしてやつておるという現状でございますので、いろいろ以前にやつて参りました草に対する研究或いは草地に対する研究を基礎にして、今後とも十分畜産行政にタイアツプして、合理的な土地利用、土地の生産力保全というような面を推進して参りたいと思つております。特に今、江田先生から御質問になりました草によつて以前から植林を対象にして考えております土地の保全、或いは水の保全、或いは土地生産力の維持増強というような問題も解決できる面があるのじやないかという御質問に対しては、私どもいろいろ総合的に研究いたしまして、やはりそういう可能な面は相当場所によつてはあるように存じております。特に従来から非常に粗放な土地利用をやつて参りました場合には、そこの土地から出て参ります植生は非常に利用価値の少ない植生でございます。これは資産のほうでも、或いは営農のほうでも余り価値の少ない、悪い不良な植生が多くなつて参りました。そうしますと、土地の有機物も非常に少くなるというようなことで生産力がだんだん低下して来る。従つて土地の荒廃も進んで参る、浸蝕が非常に起るというような総合的な関係も出て参りますので、只今私どもでそういう見方からいろいろ考えておりますのは、やはりその土地を木でうまく生産も上げ、保全もして行くというところとを草というような形の植物でそれと組合せてやつて行くというようなところがやはりあるような気がいたすのでございますので、その土地のそれぞれの風土をよく見極めてうまくそれを組合せて行くというようなやり方を計画的に進めて参りたい、かような見解を持つてそれぞれ場所に一応ずるような計画と実施とを行なつているような実情でございます。
 簡単でございますが、一応お答え申上げておきます。
#12
○江田三郎君 私は草の問題というのは実際問題としてほんの糸口、緒につきかけたというだけであつて、まだ本格的には大きな構想が立つていないのじやないかと思うのです。何か差迫つて手を付けるというような形じやないかと思うのですが、いろいろお考えになつておるようですが、いろいろ民間に相当草の問題について苦労されて来ている人もあるわけです。例えば私どもの県の岡山県に吉岡という人がありますが、その吉岡という人は二十年間草を扱つていろいろ自分で試験、研究を、金にもならんことをやつているのですが、そういうような人々と、畜産局や林野庁あたりと民間の研究者、こういう人との連繋はあるのですか。
#13
○説明員(大坪藤市君) 現在のところ制度的と申しまするか、公式的なものは持つておりません。只今そういう意見もありますので、急速にその点はよく研究して参りまして、大いに民間有識者の意見を活用いたしたいと考えております。
#14
○江田三郎君 私は繰返して言いますけれども、この草の問題というのは、これは大変大きな問題であつて日本農業がこれとどう取組むかということで、将来の日本農業にとつて決定的なことになつて来ると思うのです。そこでまあ只今のお話を聞いていましても、行政的には畜産局でやつて試験研究は改良局でやつておる。併し同時に林野庁でも前々から草の問題では取組んでおる。併しそういうような取組み方だけでなしに、国土総合開発の面から総合開発の計画を立てるのに一体どうやつてこれを入れ込んで行くかというような関係も出て来れば、建設省の関係も出て来る。いろいろにばらばらになつてそれぞれ余り深い連繋なしに事が運ばれておるように思うのでして、そういうことを一つ関係する機関を総合的にまとめて、それから同時に民間にも実際農村に隠れて草をこつこつ研究しておる人もあれば、又学者で草の問題と取組んでおる人もありましようが、一つこの際草の研究なり、それから将来の持つて行き方なり、こういうものについて総合的な調査機構でもお作りになつてはどうかと思うのです。そういう点はどうお考えになりますか。
#15
○説明員(大坪藤市君) その点は御尤もな御意見でございますので、私どものほうでよく検討いたします。
#16
○江田三郎君 それは何も法制的なものでなくても、必ずしもそういうものにとらわれる必要なしと思うのです。実際それができればいいと思うのですが、来年度あたりそういうものをお作りになる御意思がございますか、又今の予算要求の中にそんなものを何かお含みになつておりますか。
#17
○説明員(大坪藤市君) 予算面上はありません。又いわゆる法制的な制度としてはやれんかと思いますが、そういうようなことは実際問題としてできることでありますので、よく機構等を考えて参りまして、法制的でなくても実際上の組織として検討して参りたいと、かように考えております。
#18
○江田三郎君 それからもう一つ指導部長にお尋ねしますが、緑の羽ですね。これはまあ今までいろいろやられて、どれだけの成果が上つておるのか私よくわからんのですが、ただ従来緑の羽運動というのは、どうも木の緑ばかりにあつたのじやないかと思うのでして、そういう点、木も大事だが同時に草も大事なんだ。私は終戦直後にこういつたことがあるのですが、人間の戦犯だ何だというものはレツド・パージで外国人がやつてくれたのですが、一つこの草のレツド・パージでも、何のパージでもよろしいが、悪い草を抜くような運動をしたらどうか。いい木を植えるというような運動もいいけれども、先ずその前に悪い草を抜くということだけでも始めたらどうかということを言つたことがありますが、一つその緑の羽運動というようなものの中に、もつと草というものを入れ込んで行くべきじやないかと思うのですが、まあ一方には只今畜産局長の言われましたような一つの調査機関というようなものを作つて、同時にこれを一つできるところから国民運動に発展さして行くというようなことが必要じやないかと思うのですが、これを緑の運動あたりと関連しておやりになる御意思はございませんか。
#19
○説明員(藤村重任君) 終戦後非常に林野が荒廃いたしましたので、国民の皆様方の協力を得るというようなことから緑化推進委員会というのができまして、緑の羽の運動も進んで参つております。これはただ単に木材資源を作るというのでなくて、国土を緑化する、いわゆる緑で国土を蔽うというような意味合を持つておるわけでございますが、先ず緑と申しますと、まあ木を植えるというように簡単にすべてとるわけでございますが、今、江田さんのおつしやいましたように、緑の中にはいろいろの植生が入るわけでございます。私どもは一方には非常に木材資源が枯渇して行くという、これは世界的な一つの動向を察知して、どうしても木材資源を作る、木を作るという一つの使命もございますが、国土を更に合理的に、総合的に利用するという意味合から、草と木、いわゆる土地資源を、生産力を基礎にしてうまく利用して行くというようなことからも、植生という中にはやはり木という形と草という形がある思うわけであります。どちらが効果的かと言いますのは、その場所の経済的或いは社会的な条件或いは自然的な条件等をよく考えまするというと、それぞれの特色が生かされて行く要素があるように思いますので、例えばこの近くにございます伊豆半島の箱根地方等も相当広大な、これは原野でございますが、これも一つに下流のほうの水源を確保するという意味合で、地元ではやはり水源林という谷間の林叢を保持しておりますが、もう少しこれを合理的に利用するという意味合でだんだん一部には植林を実行しておるわけでございますが、ただ機械的に考えますと、一方に植林を実施しますと、以前の原野が少くなる。そうすれば前と同じような収量を挙げるのには、どうしても林野の改良をやつて行く、草地の改良をやつて行つて、そうしてその収量を確保して行く。そうしてその経済面にも同じような効果をもたらすという必要がございますので、例えば今申上げました静岡県でございますが、畜産関係とも協力させまして、あの土地の以前と同じような管理方法乃至草資源の改良或いは管理というものを更に合理的にして行つて総合的に緑を確保して行く、土地を更に合理的に使う、そうして経済を挙げて行くというような方向に私たちは進みたいと思いますし、又一部にはそういうふうな指導もし、土地の人たちからも協力を得たい、かように存じております。
#20
○江田三郎君 今の牧野については、牧野法か、何とかいう法律がありますが、一体あの法律では私ども非常に不十分な点があると思うのでして、どうしても総合的な草の造成をやつて行こうと思うと、現在の法律だけでは動きがとれないような面が出て来るのです。例えば今度の酪農振興法の草地の問題でも、所有者が若し異議を称えればどうすることもできないというような、ああいう状態になつているのですが、それがまあ日本の場合にはなかなか入会権の問題だとか、慣行があつたり、所有権の問題があつたり、非常に複雑で、本当に立地条件的にはいい草を持つて行けるようなところがあつても、それが不可能になつている面がありはしないかと思うのですが、そういう点この法律を改正されるというようなことは、今まで問題にされておりますか、どうですか。
#21
○説明員(大坪藤市君) 只今御指摘の通り、現在の牧野法は極めて微温的でありまして、大した効力はないと申しますか、その点におきまして非常に不十分な点は御指摘の通りであります。ただ今までの牧野は、只今もお話がありました通りに、主として馬の放牧地、馬の足も馴らす意味の放牧地というのが多かつたのであります。従つて牧野地域内の草の質並びに量の改善というよりも、面積を相当広くとりまして馬をそこで走らせ、そして足を強健にして軍馬資源にするというような考え方が主になりまして、現在の牧野というものができているように私どもは見受けておるのであります。併しながら、これが酪農を中心といたしました牧野ということになつてしまいますというと、その面積の広さということよりも、その牧野の中におきまする草の質と量の問題が決定的な要素を添えて来るのであります。ただ現在までは頭数から申しましても馬は百万頭を超えておりまするが、乳牛はまだ三十四、五万頭というような程度であるのでありまして、各地方々々を見まする場合には、馬を飼育している比率と乳牛を飼育している比率が、地方によりまして非常に馬のほうのウエートが、相当比重が重いというような状態になつておるのであります。従いまして、当該牧野につきましての、いわゆるそれを利用する利用者側の利害関係というものが必ずしも一致しない。馬を主として飼育している農家は、いわゆる馬をただ単に何と申しますか、飼育して行きさえすればそれで事足りるのでありまして、その程度でありまするというと従来の草によつて大体賄つて行ける。ところが乳牛を飼育して参りまする場合には、乳を出す目的でやるのでありまするから、草の質というものが決定的なそのウエートを占めて来るのであります。従いまして、その間相当牧野等につきましての認識と申しますか、欲求の度合が違うのでありまして、そういう状態の下にありまする牧野につきまして、いわゆる土地改良法的な収益権と申しまするか、そこまで行くのは如何かと、かように考えておるのであります。先般そういうような意味がありまして、いわゆる集約酪農地域に指定いたしました地域につきましては、私どもの大体の考え方といたしましては、各農家個々がもう殆んどおしなべて乳牛を飼うと、こういうような構想を持つておりまするので、若しその地域内の各農家が等しく乳牛を飼うというようなことになりまするというと利害関係が殆んど共通して来るのであります。従いまして、そういう地域につきましては、現在の牧野法は不十分でありますので、いわゆる土地改良法的な徴収権を持ちました法律も一応考えてみたのでありまするが、そこまでいきなり行くのは如何かと思いまして、先般御審議を願いました酪農振興法の中に一応集約酪農地域内についての、勿論只今御指摘がありましたように不十分でありまして、所有者が最後まで頑張つた場合には何ともならないというようなことになつておりますが、それまでにいろいろ市町村長についての斡旋とか、いろいろそういうような規定を設けまして、そうして牧野法で不十分でありまする点を集約酪農地域内においては或る程度改善をして参つたようなつもりでおるのであります。ただもう少し進展いたしまして、本当に各農家こぞつて酪農をやつて行く。而もその地域に相当牧野があるという場合におきましては、今後検討いたしまして、土地改良法的な、収益権を持つたような牧野法の改正ということは当然議題として私どもといたしまして研究をいたして行かなければならん問題じやないかと、かように考えております。
#22
○江田三郎君 まあいろいろお聞きしなければならん問題があるわけです。何にしてもこの問題はただ簡単に委員会で問答するというようなことでは尽せない問題で、本当に腰を落着けてじつくりこの問題と取組んで行かなければならないと思うのですが、今日は何にいたしましても非常に政界が微妙なときですから、なかなかそういう時間もございませんので、先ほど私ちよつと総合品的な調査機構ということを申しまして、委員長もそれに対して御賛成のようでございましたが、一つ委員長、ほかのかたの御質問もあると思いますが、御質問が終りましたら、あとで一つ皆さんにそういう調査機構を作るという問題をお諮り願いたいと思います。
#23
○委員長(森八三一君) 只今議題になつておりまする草資源の問題につきましては、なお各委員から御質問があろうと思いまするし、本件は食糧事情の現状に鑑みまして、酪農との関連において極めて大切な問題であります。最初に申上げましたように、この大切な問題が未だ国としても確固たる計画的方針が十分に樹立推進されておるという情勢ではございませんので、本件の発達のためには今後とも最善を尽さなければならんと思いますが、他の委員会の関係におきまして畜産局長の出席の要求も参つておりまするので、本日の審査はこの程度にいたしまして、先刻江田委員から御提案がありました本件の重要性に鑑みまして、関係各省庁の間に一大調査機関を設置して、本格的に取組んで行くように国の行政上の建前を作るべきではないかというようなお話もありましたので、そんな問題を中心に御懇談を願うという取運びにいたしたいと思います。
 ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。
 只今の懇談を通じまして、草資源の造成改良及び利用増進は極めて急を要する問題であり、重要なる事項でございますので、政府に、本件の推進について具体的措置をとられるよう申入をすべきであるということに意見が一致いたしました。その御意見に基きまして、ここに申入の案を作成いたしましたので御審議を頂きたいと思います。一応朗読いたします。
     案
   草資源の造成改良及び利用増進に関する申入
 我が国状の現況に鑑み、草資源の造成改良及び利用増進に関する対策を確立し、これが実行の徹底を図ることは刻下の急務である。
 ここに鑑み政府は差当り速かに草資源の造成改良及び利用増進に関する調査会を設け、広く衆知を求めてその対策を確立することとせられたい。
 なお右の調査会は昭和三十年度早々実施せられるよう、これが予算的その他諸般の措置を講ぜられたい。
 右に関する政府の方針及び具体的措置をできるだけ速かに当委員会に報告せられたい。
 右当委員会の総意を以て申入れする。
  昭和二十九年十二月七日
        参議院農林委員会
   国務大臣緒方  竹虎
   農林大臣保利   茂殿各宛
   大蔵大臣小笠原三九郎
 であります
 以上の案で御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(森八三一君) 御異議ないと認めます。つきましては、只今御決定願いました申入を政府に提出することに収計らいをいたします。
 なお御審議を願う案件が残されておりますが、すでに十二時を経過いたしましたので、暫時休憩をいたします。
   午後零時十四分休憩
   〔休憩後開会に至らなかつた。〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト