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1954/12/03 第20回国会 参議院 参議院会議録情報 第020回国会 本会議 第4号
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1954/12/03 第20回国会 参議院

参議院会議録情報 第020回国会 本会議 第4号

#1
第020回国会 本会議 第4号
昭和二十九年十二月三日(金曜日)
   午前十一時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和二十九年十二月三日
   午前十時開議
 第一 中央更生保護審査会委員の任命に関する件
 第二 検査官の任命に関する件
 第三 公安審査委員会委員の任命に関する件
 第四 社会保険審査会委員の任命に関する件
 第五 日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
 第六 文化財保護委員会委員の任命に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。教育施設返還促進に関する決議案(堀末治君外十六名発議)本案は発議者から、委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて本案を議題といたします。
 これより発議者に対し題言説明の発言を許します。堀末治君。
   〔堀末治君登壇、拍手〕
#5
○堀末治君 只今議題となりました教育施設返還促進に関する決議案について、発議者を代表して趣旨の説明をいたしたいと存じます。
 先ず最初に、決議案を朗読いたします。
  教育施設返還促進に関する決議案
  さきに本院は、院議をもつて、平和条約締結後においては、占領下における被接収教育施設の返還が、最優先的に行われなければならない旨の決議をなし、政府に対し、これが実現のため格段の努力を致すべきことを要望した。
  然るに、独立後既に二箇年を経過せる今日、大阪市立大学等幾多の教育施設がなお未解除の状態におかれていることは、極めて遺憾である。
  よつて本院は、ここに再び政府に対し、接収未解除教育施設の急速な返還実現のため、更に適切有効な措置を講ずべきことを、重ねて強く要望するものである。
 右決議する。
 次に、本決議案につき提案の理由を申上げます。
 御承知の通り、昭和二十七年三月、講和条約発効直前の第十三回国会におきまして、本院は、当時連合軍に接収されておりました教育施設が条約発効後は優先的に返還されるよう政府は格段に努力すべき旨、特に決議をもつて強く要望いたしたのであります。然るにその後二年有余を経過せる今日において、なお駐留軍によつて接収されております教育施設は、大阪市立大学を初めとして二十四件の多数に上つております。これらの被接収学校は、或いは圧縮授業を余儀なくされ、或いは他校に同居して授業を継続するなど、学校運営上いずれも甚だしい不便困難を極めておりますことは、今更申上げるまでもありません。なお更に、永年に亘る接収の継続が、これら学校の学生、生徒、児童に与えている心理的、思想的悪影響も又極めて深刻且つ憂慮に堪えないものがあります。
 我が国が独立国として新らしい発足を始めてからすでに相当の年月を経過せる今日、国家の将来を双肩に担うべき青少年を教育する学校施設が、占領当時と何ら変りのない接収状態に放置され、それらの青少年が独立の喜びを享受することができず、却つて彼らの自尊心を傷つけておりますことは、頗る遺憾に存ずるものであり、且つ又、教育上誠に由々しい問題であると申さねばなりません。政府は、よくこれらの実態を把握し、この際特に考慮を新たにせられて、これら接収未解除の教育施設が急速に返還されるよう、最も有効適切な措置を緊急に講ずべきことは当然であると信ずるのであります。
 如上の趣旨に基き、ここに本決議案を提案いたした次第であります。
 何とぞ満場一致、御養成下さるよう切にお願いする次第であります。(拍手)
#6
○議(河井彌八君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村守江君。
   〔木村守江君登壇、拍手〕
#7
○木村守江君 只今上程されました教育施設返還促進に関する決議案に対しまして、私は自由党を代表いたしまして養成の意見を述べんとするものであります。
 委員長が只今朗読されました通り、本決議案は、昭和二十年九月連合軍が本土に進駐して以来、逐次接収せられました学校その他の教育施設又は自衛隊に使用されている同施設を、でき得る限り速かに返還せしむるよう要請する趣旨のものでありまして、さきに第十三回国会におきまして、本議場において決議されました教育施設確保に関する決議とその趣旨を同じうするものでありまするが、本日再び本議場におきましてかかる決議案を提出せねばならなくなりました今田の状態を誠に遺憾に感ずる次第であります。
 申すまでもなく、戦いに敗れました日本が、国家再建のために、又民主的に世界的文化水準を保持せんがために、教育こそ何ものにも代えがたき最も大きな原動力であることは御承知の通りであります。さような結果、あらゆる犠牲を払いまして、あらゆる角度から研究と検討とを加え、その結果として、或いは義務教育の年限の延長を図り、新学制制度と教育委員会制度の確立を見まして、ここに教育基本法によるいわゆる教育の機会均等の精神が尊重せられ、実施せられるに至つたのであります。而してこの国土再建の教育を実施するためには、最も大事なことは、最も先決すべきことは、即ち教育施設の充実、整備でありまするが、未曾有の大戦によつて荒廃の極に達し、疲弊のどん底に陥りました我が国力を以ていたしましては、如何に国民の教育に対する熱意を以ていたしましても、なおこれが整備には誠に容易ならざるものがあるのであります。その上この期間を通じまして、連合軍の進駐により、大学を初め、高等学校、中学校、小学校等、校舎並びに施設の接収されましたことは実に七十数件に及んだのでありまするが、終戦後十年を経過し、独立後三年になんなんとする今、なおこれらの解決を見ざるもの実に二十四件の多きに達しておることは、誠に残念の至りと言わなければならないと思うのであります。特に大阪市立大学のごときは、朝鮮事変解決と共に返還を約束せられながら、今日に至りましても、アメリカ合同委員会の委員長の異動を口実といたしまして、これらが解決を見ざることは誠に遺憾至極と言わなければならないと思うのであります。これらの学校におきましては、或いは他校の一すみを間借りいたしまして教育をいたし、実に母校の味を知らずして、又は旧校舎の狭い一角に蟄居いたして不自由なる教育を受け、或いは急造バラツグによつて辛うじて雨露を凌ぐ状態は、誠に見るも気の毒の状態でありまして、これがために生ずるところの教育上の障害は誠に測り知れざるものがあると言わなけばならないと思うのであります。勿論爆撃のために焦土と化しました我が国に進駐いたしました連合軍といたしましては、応急臨時の処置といたしまして焼残りの教育施設を接収いたしましたことは、当時の状況として止むを得ざるものがあつたのでありましようけれども、進駐以来すでに十年になんなんとし、而も独立国家といたしまして三年になんなんとする今日、而も独立日本の将来を双肩に荷うべき次代の国民の教育に欠くべからざる教育施設を、かかる状態に置くことは誠に由々しき問題と言わなければならないと思うのであります。教育関係施設返還の要望は、ひとり教育者のみでなぐ、施設を奪われました学生は勿論、その父兄並びに地域社会の結集した問題でありまして、我が文部委員会におきましても、幾たびか涙を以て陳情を受けて、この陳情に苦しみ抜いておるような状態であります。
 今更申上げるまでもなく、学校施設の不足は、学制改革によるもの、或いは児童生徒の自然増によるもの並びに危険老朽校舎等を数うるならば、実に五十万坪を超すと言われておる状態下におきまして、今日なお建坪におきまして三千八百七十四坪、敷地におきまして三万五千九百五十一坪というような大きな場面を接収しており、或いは引続き自衛隊の使用に任せられておることは、盛り上りつつある我が国の教育振興に大きな重圧を加えておることは今更申上げる必要がないと存ずるのであります。かような結果は、学業に支障を来たし、不便と困窮の余り、学生、児童をして駐留軍に対し不信或いは反感を抱かしむる危険性があることも考えなければならないと思うのであります。かように考えて参りましたときに、日米安全保障条約の根本理念である友好と信頼の下に、日米両国が協力して我が国土を防衛せんとする精神に背反し、国土防衛に大なる支障を来たすことを直れざるを得ないのであります。
 私は且つて支那事変に際し、一召集兵として支那大陸に駐屯いたしたときがありまするが、日本軍が現地の教育施設を接収いたしましたことが、どんなに児童生徒の心理を悪化せしめ、どんなに現地支那民心を悪化せしめ、そのために日本軍に対する不信の原因になつたことを思い起しまするときに、思い半ばに過ぐるものがあるのであります。又折角連合軍より返還を受けました教育施設が引続き自衛隊に使用さるるに至りましては、徒らに国民感情の悪化を来たし(「その通り」と呼ぶ者あり)極めて憂慮すべき事態を生ぜざるを保し得ないと思うのであります。(拍手)
 申すまでもなく、アメリカ駐留軍にいたしましても、自衛隊にいたしましても、国土防衛を以てその本務とすることは今更申上げる必要がないことでありまするが、国土防衛は民心の把握と信頼なくしては成り立つものでないということを承知しなければならないと思うのであります。(拍手)特に以上の接収によつて不便と苦痛とを感ずるものが青少年であることに思いをいたしましたときに、而して青少年は大局より熟慮して世情を判断することなく、ややもすれば、目前の皮相的な事実と感情とによつて物事を断定することの嫌いあることを考えましたときに、誠に憂慮に堪えざるものがあるのであります。かかる観点から、私どもが所属いたします自由党におきましては、本問題の提起されるや、その重大性を痛感いたしまして、本会議上程に養成されたのであります。願わくば諸君におかれましても本案の趣旨に御養成を下されまして、満場一致本決議案を採択され、教育施設の一日も速かに返還されますよう御協力をお願い申上げまして、私の賛成演説を終る次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(河井彌八君) 荒木正三郎君。
   〔荒木正三郎君登壇、拍手〕
#9
○荒木正三郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今上程されました教育施設返還促進に関する決議案に衷心から賛成の意を表するものでございます。
 本院は、昭和二十七年三月十九日、教育施設確保に関する決議をいたしまして、軍事施設に転用されている教育施設を速かに返還されるよう政府に対して格段の努力を要望いたして参つたのでございます。然るに、その後二年有半を経過いたしました今日、大阪市立大学を初め四十八件の多数に上る学校施設がアメリカ駐留軍或いは自衛隊に接収されている状態でありまして、教育上重大な支障を来たしているのであります。このことは権威あるべき院議が政府において尊重されていないことを示すものであつて、私の最も遺憾とするところであります。本年七月文部委員会は特に大阪市立大学の現地調査をいたしまして、学校当局並びに学生の諸君から、教育の実情について詳細説明を求めたのであります。現在同大学は一部接収解除になつた校舎と、大阪市内にある六つの小中学校の旧校舎に分散して教育を行なつているのでありますが、これらの校舎は、数キロ或いは十数キロ離れて点在しているため、学校運営は極めて困難な実情にあります。而も元来小学校の施設でありますので、若干の改修を施しても、研究室、図書館、運動場等の諸設備は、大学の施設としては不備不完全で、教育能率を著しく低下させているのであります。更に最近は小学校側から大学側に対して校舎の返還要求が次第に高まつて来ているのであります。皆さんも御承知の通り、昨年以来、小中学校の生徒児童は著しく増加の傾向を示し、本年度は百万人、来年度は七十七万人の自然増加が見込まれている状態であります。このため校舎は著しく不足を告げ、今日全国主要な都市においては二部授業が急激に増加しているのであります。このため小中学校側の返還要求は無視し得ない状況に来ておるのであります。
 なお、この際指摘しておきたいことは、大阪市立大学の接収解除については、今日までに絶好の機会があつたと私は考えるのであります。これは昭和二十七年二月、連合軍最高司令部は、大阪市長及び学長の接収解除の要請に対して、次のような意味の返事をいたしておるのであります。「現在教育的、宗教的、文化的、諸施設の最大限の解除の計画が進められている。但し朝鮮事変によつて多数の傷病兵に対する看護の施設が必要である。これは至上命令である。従つて今日直ちに病院として使用されている市立大学の校舎を返還するわけには行かない」というのであります。この書簡によつて学校当局は病院としての施設が不用になつた場合、接収が解除されるという強い希望を持つに至つておつたのであります。ところが本年初頭以来、病院は事実上閉鎖せられるに至つたので、学校当局の間には、早期返還の希望が渡るに至つたのであります。然るに本年六月に突如として海兵隊が移駐して参りました。この間、市及び学校当局には何らの公式の連絡が行われていないのであります。アメリカ側が病院を閉鎖いたしました本年初頭のときこそ、接収解除の好機であつたと思うのであります。然るに政府は手を供いて荏苒この好機を逸したことは、何としても政府の怠慢であり、政府の無責任であつて、我々の強く糾弾しなければならないところであると思うのであります。
 参議院文部委員会においても、幾たびか大阪市立大学の返還については、政府当局との間に質疑を重ねて来たところでありまするが、政府の答弁は極めて漠然といたしておつて、接収解除の時期については明確な答弁をいたしておらないのであります。今日現地においては、学生諸君は勿論、大阪市及び学校当局を初め、一般市民の間にも、即時返還の要求が極めて熾烈になつて来ておるのであります。先般の現地視察の際、劔木議員は学生諸君に対して、「諸君は勉学に専念してもらいたい。その代り我々が責任を以て諸君の希望を実現させるために最善の努力を尽します」という挨拶をしておられるのであります。これはひとり劔木議員だけの考えでないと信ずるのであります。我々は本日再び本議場において、教育施設返還の決議を行わんとしておるのであります。ひとり大阪市立大学のみならず、四十数件に上る教育施設の速かなる返還を実現することは、今日極めて緊急のことと信ずる次第であります。(拍手)
 私は権威ある参議院において決議されても、それが政府において尊重されない、反故同然に扱われる、私どもとしてはかような事態が起らないように、参議院の権威にかけても、この決議が政府において実行されることを強く要望いたしまして、そうしてこの決議案が全員の御賛同を得て成立いたしまするよう衷心から希望いたしまして賛成演説を終るものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(河井彌八君) 相馬助治君。
   〔相馬助治君登壇、拍手〕
#11
○相馬助治君 只今議題となりました教育施設返還促進に関する決議案に対しまして、私は社会党第二控室を代表して、心から賛成の意を表明し、政府に向つて強くこれが善処を希望するものでございます。
 委員長が只今申述べられました趣旨説明に明らかでありますように、本院は、昭和二十七年三月十九日、全会一致を以て、本日議題となりました決議案と殆んど同一の決議をしておるのであります。そうして講和条約の発効を好機として、政府は責任を以て教育施設の最優先的返還と、その確保のために、万全の措置を講ずべきことを我々は要請したのでございます。政府においてこの趣旨を体し、その後十分にして適切なる措置が講ぜられておりまするならば、本院が再びかかる決議案をここに審査する必要はなかつたのでありまして、誠にこれは参議院の権威のためにも、且つ又、文化国家創設を説く日本の基本的な問題である教育の立場からいたしましても、次代を背負う青年、少年に対しましても、私は日本の不幸、誠にこれに過ぐるものなしと断ぜざるを得ないのであります。
 今ここに改めて申し上げるまでもなく、かの占領当時からいたしましても、教育、宗教の諸施設は他のあらゆるものに優先して返還されるべきであるとマツカーサー元帥自身が声明しておるところであり、政府又政令を以て教育施設確保を国民に約束していたはずなのでございます。然るにもかかわりませず、平和条約発効後すでに二カ年、まだ二十四件、内容的にいたしますると、学校施設に関して十九件、社会教育施設について五件、これらの教育施設が未解除のまま放置され、これら該当の子供たちは、他校舎の一隅を間借りして不自由な教育を受け、或いは解除を受けた窮屈な旧校舎の一隅にかろうじて困難な教育を続けつつある現実は、誠に我々といたしまして見逃し得ないところでありますると共に、又国際理解の上からいたしましても好ましからざることでありますことは、諸君の一致した見解であることを私は確信いたします。而も本問題は、次代の日本を背負う青少年が直接の被害者であるというところに問題があるのでありまして、本決議案は、与党自由党を含めて全会一致ではありまするけれども、私は、あえて国民の声を代表して、ここに現政府の怠慢を鋭く責めざる得ないのであります。(拍手)勿論この種の事柄は、相手のあることであります。軽々しく一方のみを責めることは当を得たことであるとは思いませんが、もともとアメリカは、常に正義人道を高調し、教育、宗教の尊重を力説して参つておるのであります。然るところ、独立後すでに二カ年を経過した今日、この種問題が、ここにおいて問題にされなければなりませんというこの事態は、一にかかつて秘密外交に終始し、その都度外交に明け暮れした向米一辺倒の現政府の責任であると断ぜざるを得ません。
 先般、我が参議院文部委員会は、劔木、加賀山、荒木並びに不肖相馬の四人をしてこの現実を調査せしめたのであります。校舎の大部分がまだ接収されております大阪市立大学は、今日なお六カ所に分散して教育が行われております。而もここに見逃し得ないことは、その直接の影響を受けて、大阪の小中学校の一部には二部教授が現に続けられておるのであります。近代都市としては我が国において代表的な都市である大阪において、而もこの接収問題の未解決の一つの原因として二部教授が行われておるというがごときことは、誠に悲劇と言わなければなりません。古立大学の本校舎の一部は解除されておりますが、この学校は、今日まだ正門を持つておりません。アメリカの軍隊の兵舎と金網一つで区切られております。「金網の中の校舎」とも言うべき姿であります。而も学生の訴えるところを聞きまするというと、女子学生が金網のそばを通ると、心なきアメリカ兵士の一部の者が、卑猥なる冗談や呼びかけをこの人たちにするということが聞かれたのでございます。運動場は全部接収されております。そこにアメリカの兵士が嬉々として野球やフットボールを楽しんでおります。運動場を持たぬ市立大学の生徒たちが、青春の気に燃ゆる生徒たちが、この姿を如何に眺めるかということは、諸君もすでに現実を見なくとも了解頂けるところだと思います。(拍手)而も、特に不愉快に思つたことは、米軍のチヤペル・センターが凸字形に解除された校舎のほうに突き出ておるのであります。そうしてそれが金網によつて区切られております。アメリカの兵士諸君が、この教会において何の説教を聞き、何を祈るかは知りませんけれども、学生諸君は、傍若無人に突き出たこのチヤペルに対しまして、又、その中に祭られるキリストに対して、限りない反感と憎悪すら感ずるのではないか。キリストの迷惑これに過ぐるものはないと思うのであります。(拍手、笑声)
 もともと友情と信頼、或いは和解と信頼に基く講和条約の締結に伴つて、文化国家たるべき日本の使命に鑑みて、最優先的に返還されなければならないこの大学校舎が未だ返還されない。而も荒木議員の賛成討論に現われておりますように、病院から海兵隊に使用転換になる絶好のチャンスに際しても、これが返還されない。返還の意思すら示されない。返還を期待した大阪市学校関係者のこの期待を裏切つて接収が依然継続している。誠にこのことは了解に苦しむところであります。先ほど申しましたように、愛と平和を説くキリスト教の教会すらも、傍若無人に、大学の聖なる敷地に凸字形に突き出ており、そこを四六時中、大学教育の邪魔をキリストがしておる。精神的暴行をキリストが働きつつある。誠にこのことは、さながら現在のアメリカと日本の関係の一こまを極めて象徴するかのごとき姿であつて、印象的な光景であると言わざるを得ません。
 視察した一行の劔木氏が、学生に諭された言葉は荒木君が申した通りであります。私も当時同感を持つてこれを聞きましたが、今日この言葉はいささか言い過ぎであつた。もう少し吉田政府の善処とアメリカ軍の良識を信じていたのでありますが、甚だこれは言い過ぎであつたと、私は後悔しております。加賀山氏はこう申しました。「これは少しひど過ぎる。」日頃温厚な加賀山氏が、これはひど過ぎると、暗い表情を以て義憤されたということを私は皆様に訴えたい。学生諸君も切々として我々に窮状を訴えました。
 このことによりまして、参議院文部委員会は休会中にもかかわらず、数回に亘つて堀委員長の下に委員会を開いてこの問題の審議をいたしました。文部大臣の出席を求めた、外務大臣の出席をも、特別調達庁長官の出席をも求めたと共に、堀委員長は誠心誠意、個人の資格においてアメリカ大使館にもこれを交渉されたのであります。特別調達庁長官は、「来年の十月一日には何とか解決する」と国会で言明されたのであります。その後、極東司令部のチエスター・スミス少将は、大阪市会議長浅野君に対して、一九五四年六月三日合同委員会の第九十二回会議の席上、キヤムプ・サカイは少くとも一九五五年十月一日までは日本駐留米軍が必要とすること並びに同施設を日本政府に返還する問題は、その時に更に改めて考慮しようとする意思であるという旨を通知している。まるつきり食い違つている。政府は、権威ある参議院の委員会に詭弁を弄している。この不誠意、この無気力、この怠慢は、この際強く責められなければならない。このことは先ほど与党木村君の賛成討論にも現われている。吉田政府を責めるという一言が加えられるならば、木村君の討論一本で、この賛成討論はすでに尽きる。(拍手)
 どうかこの参議院本会議は、ここに改めて事態を明瞭に認識されますると共に、本決議案の趣旨の存するところに従いまして、現政府の責任を鋭く衝くと共に、命旦夕に迫つたたそがれ内閣ではありますが、せめてもは、この際、これが返還を強くアメリカに要求されることを私は期待いたしまして、社会党第二控室を代表して賛成し、皆様の全会一致の議決を期待するものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(河井彌八君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#13
○須藤五郎君 この決議案が文部委員会で問題になりましたとき、私はこう申しました。同趣旨の決議案を二度も出さなければならんというようなことは実に国会の不見識だ、このような不渡手形になるような決議案を二度出すことについては、私はむしろ反対の意思を表明したのです。ところが皆さんは、決して今度は不渡手形にしないと、そういう決意を強く示されましたので、私もこの決議案に賛成を実はしたわけであります。今日、大阪の市立大学の学生が非常な困難をして非常な不満を持つておるということは、その事実は荒木委員初め各委員が述べました。又その教育状況も各委員から報告されましたから、私は申上げる必要はないと思いますが、これは単に教育施設だけの問題ではないと思うのであります。日本全国にある数多くの軍事基地のために、日本の全国民がひとしくこのような不愉快な思いをここにして暮しておるのであります。そもそもこういう問題はどこに原因を発したか、これは講和条約、安保条約、行政協定に源を発しておることは明らかだと思うのであります。私たちはあの講和条約ができるときに、安保条約、行政協定が結ばれるときに、すでにこのようなことはよくわかつておつたから全部反対してやつて来た。ところが与党諸君皆この条約に賛成をして来た。今更国民の前にその不明を謝しても始まらないことではありますが、併し皆さんも、その不明をお詫びするために今後大いに努力して、国民の不満をなくすように諸君は決死的な努力をする必要があると思うのであります。今年の春、この問題が大きく盛り上りまして、大阪の市立大学の学生が奮起して、学生運動として大きな運動が展開しようとしたそのときに、国会がその中に入つて、荒木君初め各委員が調査に出向いて、そうして剱木委員が学生の前に大きな約束をして婦つておる。その後学生から陳情が寄せられて、私たちも休会中数回委員会を開いて、実はそれを審議した。その審議の過程におきまして、福島調達庁長官はどう言つたか。「或いは十月を待たずして来年の六月頃にはこの問題が解決しそうだ、遅くも十月には解決する見通しがつきました。」こういうことを私に言つた。そこで私は委員会で、何を言つているか、君たちは、そういうあまいことを言つておるが、何を根拠にしてそういうことを言えるのか、アメリカ軍が日本に駐屯しているのは、そんななまやさしい考えで駐屯しておるのではないぞ、世界情勢から考えても、アジアの情勢から考えても、アメリカの意図がこの東京、大阪という日本二大都市から撤退をするなどということがどうして考えられるのか、どこにそういうことを言う根拠があるのかと私は追及したのです。そうしますると、福島調達庁長官は何と言つた、「私はアメリカさんの言うことを信用いたします」と、こういつて私に言つた。(笑声)いいですか。私が根拠を示せと言つたことに対して、彼は何ら根拠を示すことができず、単にアメリカさんの言うことを信用いたしますと、こう言つた。それで私は君の言つていることはあまいぞと言つたのです。ところが私があまいぞと言つたとき、各委員は、又共産党が横車を押すかというような顔をした、実は。(拍手、笑声)いいですか。ところがその後どういう情勢になつたか。それは先ほど……(「相馬君」と呼ぶ者あり)相馬議員がおつしやつたように(笑声)六月なんてとんでもない、十月すらも還らないということがはつきりして来た。私の先見の明のあつたことがはつきりしたわけでありますが、(拍手)非常に私はこの先見の明は、あまり有難くない先見の明でありますが、結果はそういうことになつてしまつた。
 そこで、まあこの決議案が再び出されることになつたのでありますが、大達文部大臣も、教育者の平和運動を弾圧することなど考えないで、そんなひまがあつたら、国会の院議を尊重して、早く教育施設を返すようにアメリカと交渉したらどうです。単なる陳情や請願などで、こんなものは解決するものじやないのです。これは日本の国家として要求すべきものです。当然じやありませんか。教育施設返せと、政府の責任でなぜ要求しないのです。返して下さい、いつ幾日までに返して下さいと言つて、なまやさしい陳情などしておつて、こんなものは解決する問題じやないのです。笑いごとじやないですよ、大達さん。(「その通り」と呼ぶ者あり)もつとしつかりやりなさい、いいですか。
 そこで私は皆さんに最後に申上げたい。決議は単なる決議では済まないと思うのです。決議は我々国会議員の決意の表明だと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)皆様はこの決議を通して、あと又再び不渡手形のごとくなつた場合、どうするのです。国民の前にどう言つてお詫びするのです。学生の前にどうやつて責任をとろうというのですか。この決議を通す以上は、皆さんも一つ腹を据えて大きな決意を持つて通して頂きたいということを申述べて、私は賛成いたします。(拍手)
#14
○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
 只今の決議に対し、文部大臣から発言を求められました。大達文部大臣。
   〔国務大臣大達茂雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(大達茂雄君) 教育施設の接収解除につきましては、政府として従来鋭意努力をして参つておるのであります。併し今日、なお相当数の教育施設が未解除のままになつております。この点誠に遺憾に存じます。政府として今後一層努力をして、できるだけ速かに返還になりまするように努力をして、以て只今の御決議の趣旨に副う所存であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#17
○重盛壽治君 私はこの際、青函連絡船遭難緊急処理に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#18
○三浦義男君 私は、只今の重盛君の動議に賛成いたします。
#19
○議長(河井彌八君) 只今の重盛君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○識量(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。重盛壽治君。
   〔重盛壽治君登壇、拍手〕
#21
○重盛壽治君 私は、日本社会党第四控室を代表いたしまして、青函連絡船の遭難事件に関しまして、緊急処理を如何にするかについて、政府の所信を質したいと存じます。
 九月二十六日の夜、青函連絡船は洞爺丸を初め五隻の沈没をした、八十億の財源を海底に沈め、千二百八十六人の犠牲者を出した。更に行方不明は百六十一人、僅か生存者二百一人という大悲惨事を惹起せしめたのであります。日本の歴史始まつて以来の海上悲惨事であり、誠に遺憾千万のことと存ずる次第であります。
 本件を何故緊急問題として取上げたか。このことは九月二十九日北海道方面を襲つた台風によつて生じたこの事件は、決して天災だけではない。むしろ吉田内閣の政治の貧困にその原因があつたということを指摘しなければならないからであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)何となれば、あの悲惨事が起きる前に、例えば造船疑獄のリベートの一握りでも、このほうに廻して事前に港湾施設の改善とか、或いは気象機関の充実をしておつたならば、あの大暴風雨をして食いとめることはできなかつたかも知れんけれども、あの悲惨事は起さずに済んだであろうということを申上げることができるのであります。従つて私は、本件処理について政府に質問すると同時に、議員各位に対して、我々調査の結果から見た当時の模様の若干を申上げてみ行いと存じます。
 青函鉄道管理局は十四隻、四万八千トンの船を運航して、一日に約一万人の旅客と一万トン程度の貨物を輸送しておる。この大きな機関が、若し民間会社であつたとするならば、一大汽船会社に相当するものである。その機構全体が、船舶の運航ということに対して比較的軽視しておつたのではないか。例えば局の幹部の職員の経歴を見ましても、船舶課長補佐以上の幹部の職員中には、船舶の運航に関係ある者は僅かに二名、又船舶の乗組員にいたしましても、五万トン近い船舶所有者であるにもかかわらず、高等商船、商船大学の卒業者は極めて少く、大部分が実地出の者によつて構成されておる。その原因の一つは、国鉄当局が船舶乗組員に対する待遇が極めて悪い。国鉄当局がその業務を鉄道に重点を置くということは止むを得ぬことであるけれども、青函鉄道管理局のごとき特殊機関は、海上運送の安全という点に重大重点を置かなければならないのであつて、人的構成についても、若し専門家を揃えていたならば、今度の事件も最小限度に食いとめることができたのではないかということが痛感されるのであります。運輸省及び国鉄当局としては青函局の機構の改革、或いは人事に対して再考をする意思があるかどうか。これを一つ承わつておきたいと存じます。
 事件当時における鉄道管理局の警戒体制の実情を極めて簡単に申しますが、洞爺丸から二十一時二十六分、「エンジンダイナマもとまりつつあり突風五十五メートル」という無線連絡があつた。それから二十二時四十分、SOSを受信するまで一時間以上の時間があつた。その間当局としてはどういう処置をしたかといいますると、この間の処置が完全でなかつた。三回に亘る連絡をとりたけれども、最後の連絡は、その状態を詳しく知りたいと思つて無線電話を送つたが、遂にこのときには“陸上の停電によつて無線電話は不可能になつておる。更に加えて、石狩であるとか十勝であるとか、次から次へ入つて来る危険の状態等をキヤツチしておるまでに、その間に横転した洞爺丸の遭難事情は知らなかつた。洞爺丸の遭難者の中から、この上陸した者が訴えて、初めて洞爺丸の遭難事件を知つたというような事情であつたということは、甚だ遺憾ではなかつたであろうか。これに対して青函局は陸上に責任者が多数集つておつても、このことはどうする方法もなかつたのであるというようなことを言われておりまするけれども、これは十分考慮しなければならない問題ではなかつたのではないか。
 次に、函館海洋気象台の問題をちよつと触れて見ますと、函館海洋気象台予報室は、本庁舎より約五キロ離れた分室にある。その間の連絡は、公衆電話一本でやつている。一本の公衆電話によつてNHKを初めとして八カ所にも連絡をしなければならない。従つて一たび連絡をとるということには、実に一時間半もかかるということであつたのであります。更に又、海洋気象台と札幌管区気象台とを結ぶものは、専用有線電信でありて、予報室は、中央気象台の無線放送より受信して天気図を書くのだそうですが、この受信の電源は、一般の電燈線によるか、或いは蓄電池によるのみであるというような貧弱な状態であつた。従つて当日事態を案じて応援に駆けつけましたところの職員も、電話一本、受信機一台という状態でありまして、手の出しようがなかつたということが言われているのであります。
 このように気象情報の連絡通信施設が貧弱なため、今度の十五号台風下においては全く気象官署間の連絡も、又外部との連絡も共に杜絶するに至つたのであります。即ち同日十九時三十分頃、予報室と本庁舎との電話線は不通になつた。又二十時過ぎには、予報室の電話線も不通となつた。一方本庁舎と札幌管区気象台間の専用有線電話も、十九時三十五分頃の連絡を最後に杜絶するに至つた。かくて予報業務は全く杜絶するに至つた。さて、電線が暴風や強度の地震によつて切断されることは、過去の多くの経験で明瞭である。気象情報や、気象官署間の通信連絡が最も切実に要求されるのは、異常気象時のみであるのであります。暴風のたあに気象情報の発表や、気象業務の連絡が杜絶するような施設しかないということは、取りも直さず目頭申上げましたところの吉田内閣の政治の貧困から来ているということを申上げなければならないのであります。外部との連絡方法が公衆電話一本であるというような、この無味な感覚から申しましても、今度の気象情報の連絡が十分とれなかつた大きな原因であり、而も気象情報の遠路に一時間半もかかるというような事情は、断じて放置することは許されない問題であると言わなければなりません。従つて有線通信を基本とする現在の施設を、無線施設を基本とするよう改善するとか、或いは又、関係機関に対する気象情報の迅速なる連絡を可能ならしめるために、関係機関の共同施設による専門通信施設を設けるとか、施設並びに業務の改善に特段の意を用いる必要があると思うが、この点運輸大臣はどのようなお考えを持つているか、お聞きしておきたいのであります。
 観測施設の問題に若干触れたいと思いますが、函館気象台による事件当日の気象予報は、台風の速度、風向について適切でないために、連絡船の船長をして気象判断に錯誤を生ぜしめたのではないかという推測をする向もあるようでありますけれども、私が調査いたしました結果は、必ずしも気象予報の欠陥でもなく、又これの判断の錯誤でもないのである。現在の気象技術の段階や、我が国の観測施設よりして持てる能力、持てる機械においての最大力を発揮したことは認められるのであるけれども、気象予報の精度についての限度のあることは、止むを得ないものであるとは存じまするが、私どもが常に叫んでおりまするように、日本の国内事情からいたしまして、気象という漠然としたことには比較的金を使いたがらない政府ではあるが、この方面に重点を置いて、毎年莫大なる国富の喪失に鑑み、いわゆる定点観測……定点も南方、北方だけでは駄目であります。特に日本海に定点の観測をする、或いはレーダーの設置をする、航空機の使用をするとかいうようなことが整備充実されない限りにおきましては、日本の台風から避けるということは断じてできないのではないか。こうした大きな政策は一運輸省の問題だけでなく、政府の問題として将来処理して行かなければならんと考えるのであるが、こういう点に対して緒方副総理はどのようなお考えを持つておられるかをお聞きしておきたいのであります。
 最後に、函館港における港湾施設の整備について一言触れて見るならば、函館港の整備は遅々として進まない、港湾施設の基本たる防波堤の修築は、殆んど顧みられておらないという状態であります。二千七百七十六メートルのうち一千七百五十八メートルが未完成の現状にあります。連絡船洞爺丸ほか四隻はいずれも遭難沈没したが、而もこれは国鉄の船だけである。防波堤内にあつた大雪丸ほか七隻の連絡船と一隻の外国船は、いずれも難を免れた。この難を免れた中に、特に石狩丸、第六青函丸はそれぞれ、洞爺丸と同じように、二十一両或いは四十三両というような貨車を搭載しておつたのであります。これが函館港の中に入つておりましたために、その難を免れた。言うまでもなく、先に申しましたように、函館港は日本最大の定期航路の発着港である。こうした特殊港の特殊事情ということを重視して、従来の港湾修築計画というものを再検討して、安全なる港湾行政を必要とするように我々は考えるのだが、この点に閉して大蔵大臣或いは運輸大臣はどのような考え方を持たれておるか。以上申しましたのが概略の状態でありまするが、従つて連絡船の事件を天災なりとして処理せんとすることは、政府の責任回避であると言わなければならんと思うのであります。
 そこでお尋ねしたいことは、一般犠牲者及び国鉄職員に対して、その後どのような方法を講じられたか、又将来どうする方針であるか、運輸大臣の答弁を求むるのであります。
 もう一点は、気象通報の不備であつつたことが大きな原因である。特に日本海方面からの気象連絡がとれず、船の沈没直前になつて、西南風に風が交つたということを知つた。このときにはすでに、先ほど申しますように、連絡網は全部切断せられておつた。こうしたことを考えるならば、日本海方面への気象レーダーを設置しておつたとするならば、この事故は断じてなかつた。先ずこの日本海方面へのレーダーの設置と定点観測を怠つたということを、大きな責任として申上げねばならんでありましようし、更に言うならば、政府の外交方針にも大きな原因がある。先ほど相馬君の言われたように、いわゆる向米一辺倒の外交政策のために、いまだに中共、ソ連との戦争状態の終結を図ろうとせず、大陸からの綿密なる気象通報のできざるところに、最大の原因があつたと言わなければならないのであります。この点、政府といたしましては今後如何なる方針でおられるのか、緒方副総理並びに大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。
 なお、最後に申上げておきたいことは、この大悲惨事を当面の事務的処理によつて解決するということでは、将来この問題の解決と相成つたということにはならん。問題は如何にしてこのような状態を惹起せざるように処理をするかということにかかるのではなかろうか。そうして又このことを、方針を打ち立てることこそが犠牲者に対する唯一の供養であると考える次第であります。大正元年、北大西洋において氷山と衝突、沈没いたしました英国旅客船タイタニツク号遭難が、世界第一の海難事故であるということが言われており、洞爺丸事件が第二の事故であると聞く。タイタニック号事件は、海上における人命安全のための国際条約成立の端緒となり、事件後四十年を経過した現在においても、海上における人命の安全確保に偉大なる貢献をなしておる事実にも鑑みまして、これに次ぐ連絡船避難事故には、政府は特別に調査機関を設けて、現在の国鉄が持つておるような国鉄内部の機関ではなく、一般専門家を加えたところの機構を樹立いたしまして、今後かかることの皆無を図ると同時に、この事件で犠牲になられましたところの皆様の霊を慰めるためにも、これを契機として十分なる施策を講じなければならないという二とを、私は申上げてみたいと思うのであります。
 以上のごとく、大半が政府の責任であるとするならば、私はこの一点を以てしても、吉田内閣は直ちに退陣すべき段階に到達しているのではないかということを付言いたしまして、質問を終了いたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。
 洞爺丸の遭難事件は天災によるとはいえ、誠に遺憾なことであつたと考えております。この連絡船事故の原因につきましては海難審判が行われる運びとなつておりまするので、その結果を待たなければならないのでありまするが、政府としても本事件に鑑みまして、各般の政善方策を鋭意検討いたしております。気象予報の精度を一層向上するために必要な施設の拡充整備に努めると共に、港湾の改良計画、施設につきましても、技術的に目下検討を進めております。
 なおこの気象の問題に関しまして、中ソの間を調整しないのは政府の外交の怠慢ではないかという意味の御質疑がありましたが、これは政府の怠慢と申しまするよりも、サンフランシスコの平和条約に、ソ連がこれを承認いたしますれば、ソ連に関する限りは国交は調整できるのでありまして、更に文中ソ友好条約というものがある限り調整の困難な点はありまするが、これは我が外交の怠慢ではなくして、(「怠慢だ怠慢だ」と呼ぶ者あり)向う側の態度であります。今、一方的に如何ともなし得ないことは甚だ残念であります。(拍手)
   〔国務大臣石井光次郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(石井光次郎君) 青函連絡船洞爺丸事件の発生につきまして、誠に申訳ない事態となりましたことは、絶えずお詫び申上げておるわけでございます。一体これをどうやつて行くかという問題、第一番の問題は、遭難されました人文はその遺族に対してどういう態度をとつて行くかということ、それからあとの輸送関係をどうやつて行くかということ、再びこういう問題の起らないように気象台その他の問題に如何なる方法をとるかというような問題等が考えられるのでございます。
 それで第一番の、事件発生後遺体の収容その他につきましては、各委員会におきまして、実際を御覧下さいました方々の御報告もあり、今も重盛さんからのお話もいろいろあつたのでございまするが、遺体がまだ揚らないのが、わからないのが百六十四名あるということは誠に残念千万でございまするが、これは現在のところ、沈没いたしておりまする船を引揚げて、その中の捜査を十分やつてしまうということが一番大きな望みをかけておる遺体収容の方法でございます。これらの遺族のかたに対しましては、その当時取りあえず発表いたしましたから、皆さん御承知の通りに、成年者に対して五十万円、未成年者に対して三十万円の特別弔慰金を国鉄からお贈りすることにいたしまして、現在までに約三億円余の支出をいたしておる次第でございます。遺族のかたの救護、援護というようなものにつきまして、国鉄の中に遭難者のかたの救護対策本部を設けておりまして、各地方の鉄道局と連絡をいたしまして、皆さんがたのお仕事の上とか、その他のことの御相談にも応ずるように現在やつておる次第でございます。
 それからその後の船の引揚状況でございますが、五隻沈没いたしました中の二隻が殆んど回復不能ではないかという大体の見込でございます。一応みんな引揚げるつもりで、それぞれの事業者に渡しておるのでございますが、取りあえずといたしまして政府は二艘の船を新造することに決定をいたして、予算措置を講じておるのでございます。二艘の船を新造いたしますについて、前の通りの船をこしらえるというだけでなく、この際できるだけ成るべく、根本的にやつておりますといつまでも時間がかかるのでありまするから、早い機会に直すべきところのものを直して船の注文をし、来年の秋の輸送期に間に合うように、いろいろなものを整備いたしたいと思うておりまして、運輸省の中に船舶技術審議会を設けて、各方面の専門家のお集りを願つて今審議中でございます。これをもとといたしまして船の新造を急いで、来年の秋頃に間に合うようなことに努力をいたしたいと思うておるのでございます。
 それから気象台の問題、それから青函局の機構等の問題についていろいろお話がございましたたが、青函局の機構、人事等につきましては、只今国鉄に命じまして、今、重盛さんからお話のあつたような点に、まだ十分でないものが相当あつたんではないか。これらのものにつきましての機構等について今やつておる最中でございます。
 それから気象台の状況が余りにも貧弱であつた。連絡するのが僅か一本の電話線であつたというようなこと等の問題が、その当時からいろいろと問題になつております。これらにつきまして根本的にいろいろ考えますると、もつと町の中央部に、連絡すべき箇所の多い所に、この函館の気象台がおることも考えられるのでありまするが、あそこは御承知のように海洋気象台でございましてその海洋気象の技術的な面から見ますると、郊外の離れた所がよろしいし、併しその結果の通報機関としては町の中に近いほうがいいという問題がありまして、出張所みたいなものを置いておつたのでありますが、それが不十分なこともあつたということを私ども感ずるのでございます。これらの設備は今も現にどんどん話を進めておりまして、電話連絡等に遺憾なきを期し、又、最も一番我々が早く気象状況を知るためには、駅の中に、この町の中に連絡所を移すほうが一番手近じやないかというような問題も考えまして、今、国鉄のほうと話をいたしまして、青函局の中に気象台の連絡所を置くというような方法で話を進めております。更に又、この気象台の充実の問題といたしましては、函館か或いは青森か、どちらかにレーダーの設備をするというようなこと等につきましても、今だんだんと話を進めておるわけでございます。
 それから定点観測の問題がお話がありました。北方定点観測がやめになりまして、これを復旧すべきじやないかということは、今までも運輸委員会等においても皆さんがたから切にこの要望がありまして、その際、こういう問題が起りますと、あの定点観測がなかつたから、こういうことがあつたのじやないかというような心配も皆して、いろいろ聞いてみたのでありますが、技術的に見ますると、この間の十五号台風の函館方面に及ぼしました、又北海道に及ぼしました被害とこの定点観測とは直接には関係はないということでありますが、いずれにいたしましても、この北方定点観測を一度始めました日本として、それをやめてみますると、何かと非常に不自由なことは事実でございます。又、これがなければ冷害その他の問題の恒久的な対策に非常な不利であるということも考えられますので、来年度の予算には、是非この北方定点観測をできるようにしてもらうということでお願いを進めている次第でございます。
 日本海方面のいろんなことが不足ではないか。これもやつぱり定点観測船が必要じやないかというお話もありますが、これらも、もうあれば大変結構でありますが、現在の窮乏した予算の中に、あれもこれもと言つておりますると、どれもこれもできなくなりますので、私どもとしては、只今北方定点観測の復旧ということに主力を注いで相談を進めている次第でございます。
 只今緒方副総理からもちよつと触れましたが、大陸からの気象通報がないという問題、これは私ども非常に悩みの種であり、前から何とかならんものかということで話をいたしておりました。重盛さんも何か委員会のときにも、特にこの問題について私どもにもおつしやつたことがあつたということを記憶するのでありますが、国と国との交りがまだ本当に回復してない場合でも、こういうものは特別な問題として話ができないものであろうかということを考えまして、私のところの気象台長が先頃中共からの招きを受けまして、文化使節の一員として参りましたときに、是非このことを、行つて来てこの問題を話をして来いということを私は命じまして行つてもらいました。向うの要路の人たちともこの問題を話合つて、又気象台関係の人たちとも、いろいろこの問題について特に話合つたのでありまするが、中共の今日の現状において、まだこちらの希望するようなことは出せない、そのうちに出せるようなことになろうということであつて、それ以上の折衝はどうもできない。そのほかの向うの差支えない範囲において、お互いに天候の文献等の交換をしようという程度に話をして来たのだという報告でございました。これは今後とも、私どもは一日も早くあらゆる努力をいたしまして、大陸からの気象を受けられるようにいたしたいと存じている次第でございます。
 又、この青函連絡の問題につきまして、さつき船のことを申しましたが、だんだん突き詰めて参りますと、船だけで足りるかどうかという問題になりますると、結局するところは、あそこの青函のトンネル問題に到達しなければならん議論の結論になるので、この問題につきましては、目下いろいろ研究中でございまして、どうかこの問題が、いつの頃かわかりませんが、成るべく早く緒につき、そして実施されるようになることを期待している次第でございます。(拍手)
   〔政府委員山本米治君登壇、拍手〕
#24
○政府委員(山本米治君) 洞爺丸海難の原因につきましては、追つて海難審判により、すべてが明らかになると思いますが、港湾施設につきましては、戦時中の荒廃により港湾機能が非常に低下している実情にございますので、政府は毎年、接岸施設の改良増強を行い、船舶の交通の安全及び運輸の増強を図つているのでありまして、来年度予算の編成に際しましても、この点を一層留意いたして検討しく参りたいと思つております。
 又、気象観測の問題につきましては、観測網の密度を高め、規測器の改良を行い、又、観測方法の合理化を図ること等によりまして、気象観測の精密度の向上を実現し、又、気象通信の円滑化を推進することによりまして、気象観測の利用度を高めよう、こういうふうに考えておるのでございまして、これは単にこういう気象観測というのは、交通、保安、治山治水、産業、その他国民生活の上からも、非常に緊要でございますので、来年度、算編成におきましては、その具体化に極力努力いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#25
○議長(河井彌八君) 参事に報告いたさせます。
   〔参事朗読]
  本日委員長から左の報告書を提出した。
   労働組合法の一部を改正する法律案可決報告書
     ―――――・―――――
#26
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、労働組合法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長藤原道子君。
   〔藤原道子君登壇、拍手〕
#28
○藤原道子君 只今議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案につきまして、本法律案の趣旨、提案理由、委員会における審議の経過を御報告いたします。
 現行の労働組合法におきましては、労働争議の斡旋、調停及び仲裁等を行う権限を有する地方労働委員会は、労働者委員、使用者委員、公益委員、各三人、又は各五人、各七人のうち、政令で定める数を以て組織いたすことになつております。而して、政令により、労、使、公それぞれ三人の委員を以て定数と定められております所は、山梨県、鳥取県、島根県の三県に置かれておる地方労働委員会だけでございまして、他はすべて各七人又は五人の委員を以て組織されておるのであります。
 本法案は、定数名三人の地方労働委員会の組織を改め、労働者委員、使用者委員、公益委員の定数を、最小限度各五人とすることにいたす趣旨のものでありまして、これによつて委員会の機能を十分発揮させることを提案の理由といたしております。
 参議院労働委員会は、本日の委員会におきまして本法案を審議いたしたのでありますが、委員会は、地方労働委員会の円滑なる運営を図り、その機能を十分に発揮させるために、このような改正は必要であるとし、全会一致を以ちまして原案通り可決いたしたのであります。
 右、報告を終ります。(拍手)
#29
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#30
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
 議事の都合により、これにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
     ─────・─────
○本日の会議に付した事件
 一、教育施設返還促進に関する決議案
 一、青函連絡船遭難緊急処理に関する緊急質問
 一、労働組合法の一部を改正する法律案
ソース: 国立国会図書館
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