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1954/12/04 第20回国会 参議院 参議院会議録情報 第020回国会 地方行政委員会 第2号
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1954/12/04 第20回国会 参議院

参議院会議録情報 第020回国会 地方行政委員会 第2号

#1
第020回国会 地方行政委員会 第2号
昭和二十九年十二月四日(土曜日)
   午後一時五十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中田 吉雄君
   理事
           伊能 芳雄君
           館  哲二君
   委員
           長谷山行毅君
           松岡 平市君
           小林 武治君
           加瀬  完君
           若木 勝藏君
           寺本 広作君
           須藤 五郎君
  衆議院議員
   公職選挙法改正
   に関する調査特
   別委員長    森 三樹二君
           鍛冶 良作君
  政府委員
   自治政務次官  石村 幸作君
   自治庁選挙部長 兼子 秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第一部長)  三浦 義男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
 に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣送付、予備審査)
○公職選挙法の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中田吉雄君) それでは地方行政委員会を開会いたします。
 議題に入りますまでに、午前中委員長並びに理事の打合会をやりましたので、それを御報告申上げまして御了承を頂きたいと思うのですが、その結果、本日の午後公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院から廻りました第九号、それから国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(予備審査)、それが終りましてから、町村合併促進について懇談会のような形式でお諮りする。それから五日の日曜日は委員会を開かないで、六日には地方交付税の総額等の特例に関する法律案、それから衆議院から廻りました選挙法の一部を改正する法律案をお諮りして、解散等も政局の展望等とも絡みましてできるだけ勉強して頂く。それから請願、陳情等も処理する。臨時国会が閉会になりましてからあとの継続審査及び調査承認要求に関する件を御承認願つたわけですが、大体そういうふうな日程でやることにきまつたのですが、如何でしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中田吉雄君) 御異議がないようですから、それでは委員長並びに理事打合会できまりましたような日程で今後の日程を進めて行きたいと思います。
 それでは国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(予備審査)を議題に供します。提案理由の説明を受けたいと思います。
#4
○政府委員(石村幸作君) 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びに内容の概略を御説明申上げます。
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律は、都道府県及び市町村の選挙管理委員会が管理する国会議員の選挙、最高裁判所裁判官の国民審査等の執行について、国が負担すべき経費の基準を定め、以て、その適正且つ円滑な執行を確保することを目的として、昭和二十五年に施行されたものであります。この法律は、現在までに四回にわたり改正されておりますが、今回御案内のごとき経緯により公職選挙法の一部が改正されることになりましたのに伴いまして、更に改正を必要とするに至つた次第であります。
 改正の内容について申上げますと、第一点は、衆議院議員及び参議院地方選出議員の候補者の選挙公報の字数現行千五百字を二千字に増加し、新たに候補者の写真を掲載することとなり、又参議院全国選出議員の候補者の選挙公報の字数現行五百字を六百字に増加することとなりましたのに伴いまして、用紙代、印刷代等を増額し、選挙公報発行費の基準額を改訂しようとするものであります。
 第二点は、公営施設使用の個人演説会場において拡声機の設備があるものについては、その拡声機の使用料を加算する規定を新たに設けようとするものであります。
 第三点は、衆議院議員の候補者の個人演説会告知用ポスターの枚数現行千二百枚を五千枚に、参議院地方選出議員の候補者については現行千二百枚を三千枚に枚数が増加されることになりましたのに伴いまして、それぞれポスターの経費の額を改訂いたそうとするものであります。
 第四点は、交通不便な島で特別に用船を必要とする場合における経費の加算額の規定を新たに設けようとするものであります。
 第五点は、国の予算節減の方針に則り、当分の間、基準額で算出した額の五%の節減を行うため特に規定を設けようとするものであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決下さるようお願いいたします。
#5
○委員長(中田吉雄君) 只今提案理由の御説明がありましたが、補足説明をお願いいたします。
#6
○政府委員(石村幸作君) それでは選挙部長から補足説明をいたさせます。
#7
○政府委員(兼子秀夫君) 只今政務次官の提案理由説明で大体のことはおわかりのことと思いますが、今回の改正案の主たる問題は、選挙公報の字数が増加したことでございます。現行千五百字が二千字に増加し、それから新たに写真を掲載する義務が課せられたことであります。又参議院の全国区、只今申上げましたのは衆議院と参議院の地方区の場合でございますが、全国区の場合におきましては、これは選挙公報の字数が現行五百が六百字に増加した。その選挙公報の発行の経費の増、それに伴います分が第七条の第一項の表の改正でございます。
 それから二番目に、第九条の第七項として、拡声機の問題が規定してございますが、これは公営施設使用の個人演説会場に拡声機の施設がしてありまして、使用料の中に拡声機が入つていない、拡声機は別に使用料を徴するというような定めがあります場合には、従来は拡声機は使えないというようなことであつたのでありますが、今回のこの改正によりまして、設備がしてございますものを使えるということにいたしました関係上、別に使用料を徴します場合におきましても、五百円を加算いたしまして、使えるように財源措置を講じた次第でございます。
 次は第九条の三は、個人演説会告知用ポスターの経費でございますが、これは衆議院の候補者につきましては、現行は千二百枚でございます。又参議院の地方選出議員についても現行千二百枚、同様でありますが、これを衆議院につきまして五千枚に増加いたしまして、参議院の地方選出は千二百枚を三千枚に増加することにいたしたのでございます。ほかに参議院のほうにつきましては一般用が二千枚ございますので、数は両方とも五千枚で調子を揃えているのでございます。そのポスターの増加に伴いまして、紙代それから印刷費等の経費を割りますると、そこの第九条の三の改正にございますように、衆議院議員の選挙にあつては一万八千三百円、参議院地方選出の議員の選挙に当つては一万九百八十円という単価が出るわけでございます。かように改正をいたしたいと思います。
 次は第十三条の最後に七項として島岐の関係の規定を設けたいという改正でございます。これは特に交通の不便の島につきまして、用船を必要といたします場合がございます。これは従来特別のほうで見ておりましたものを、特に今回は明文を置きまして、この場合には加算できるということにはつきりいたしたのでございます。
 次は附則の改正でございまして、国の予算節減の方針に則りまして事務費のほか紙代、その他の経費につきまして、人件費も含めまして一割を節約をするというような関係からいたしまして、この経費全般に計算をいたしますと五%に相なります関係上、法律のここの単価を直すのは相当複雑でございますので、現行法の単価で出しましたものを附則でもつて、当分の間百分の九十五に相当する額と読み替えるという改正規定を置いた次第でございます。以上でございます。
#8
○委員長(中田吉雄君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#9
○委員長(中田吉雄君) それでは速記をつけて下さい。
 次に、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。提案理由をお願いいたします。
#10
○衆議院議員(森三樹二君) 私は衆議院の公職選挙法特別委員会の委員長の森三樹二でございます。只今より公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 本案は今次の国会自粛立法の一環として、選挙界の浄化を図るため連座制等を強化して選挙の公正を確保し、選挙運動の適正化、選挙運動費用の合理化、政党等の政治活動の規制等を行うと共に、選挙管理事務に関する規定を整備せんとするものであります。
 即ち、選挙の公正確保に関するものとして、公務員等がその地位を利用してなす事前運動を禁止し、選挙運動費用の法定制限額を現行約四十万円より七十万円まで引上げ、その制限額を超えて支出した場合には出納責任者を処罰し、更に選挙運動に従事する者に対する実費弁償額、並びに選挙運動のために使用する労務者に対する報酬及び実費弁償の額を実情に沿うごとく引上げ、その基準を法定することとし、寄附の制限に関しては新たに規定を設けて立候補の意思のある者は、当該選挙に関し当該選挙区内の者に対しては寄附を禁止し、更に立候補の前後を問わず、候補者が役員である会社その他の団体が行う寄附で候補者の名前が表示されたり、類推されたりするものは禁止することにいたしたのであります。
 連座制に関しては、出納責任者の買収犯等にも新たに連座制を適用すると共に、総括主宰者、出納責任者の買収犯等の場合及び出納責任者の法定費用超過支出罪の場合には従来の免責規定をやめて、おとり犯の場合に限り免責規定をおくこととし、更におとり犯罪の制度を創設して、おとり犯については処罰することにすると共に、選挙権、被選挙権を停止されたものは、その期間中選挙運動ができないこととし、又罪の時効については形式犯については六カ月、その他の犯罪については一年、犯人が逃亡した場合には時効期間を二倍に延長することにいたしたのであります。
 選挙運動一般に関しましては、先ず選挙事務所法定数厳守のため表示する一定標札を掲げなければならないものとすると共に、飲食物の提供については、選挙運動従事者及び労務者に対する弁当は、候補者一人について、選挙の告示のあつた日から選挙の当日までの期間、一日十五人の割合で三食分に相当する数を超えない範囲に限つてその提供を認め、これは選挙事務所で食事し、又は携行する場合に限るものであります。更に現行法におきましては、湯茶の提供に限られていたものを、茶菓の提供に改めております。
 なお自動車、拡声機及び船舶の使用につきましては、先ず選挙運動用自動車は乗用車又は小型トラツク一台に限ることとし、大型トラツクは天候その他の事情により小型トラツクの運行ができない場合に限り使用することができることにいたしました。連呼行為は車上、徒歩すべて禁止し、自動車上の選挙運動は、停車した車上においてする演説のみ許されております。なお、これらの車上に乗る者の員数は、候補者、運動員、労務者合せて四人に制限し、拡声機は一そろいに限ることにいたしました。但し、個人演説会場においては会場ごとに更に一そろい使用することができることにいたしております。
 なお、文書図画に関しましては、自動車及び船舶への掲示は一切禁止し、選挙事務所、演説会に用いるポスターはその規格を制限し、更にポスターを他人の工作物に掲示する場合には居住者の承諾を得ることを明確にいたしたのであります。更に、屋外放送を禁止するため、主として屋外に向つて放送することを目的とした設備の使用は禁止することにいたしております。録音盤は立会演説会においてはその使用を禁止し、個人演説会、街頭演説においてはこれを認めることにいたしました。なお、立会演説会開催当日の他の演説会は、その前後二時間の間のみ禁止することに緩和いたしました。
 このほか、政党その他の政治団体の選挙における政治活動の範囲を拡大すると共に、この規制を参議院議員、都道府県知事及び市長の選挙についても及ぼすことといたしました。その他は、おおむね選挙管理事務の整備及び現行法の整備であります。
 次に、本改正案の施行期日でありますが、本改正案の施行は昭和三十年三月一日から行うこととし、但し、衆議院の選挙に関しましては、同日前に総選挙の公示がなされたときは、原則として当該総選挙から施行することといたしたのであります。
 最後に、選挙区制、議員定数等の問題でありますが、この点については今回は結論を得るまでに至らなかつたのでありますが、今後とも広く各界の意見を聞き、慎重に研究調査することといたしたのであります。以上が本法案の要旨であります。
 本法案の草案の成立につきましては、今夏以来自粛立法の申合せ及び国民の与論にこたえるため、各党の代表が熱心に御討議の上でき上つたものであります。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを望みます。
#11
○委員長(中田吉雄君) 只今森委員長から御説明がありましたが、時間もありませんし、審議の便のために少し詳しい補足的な説明を受けたら却つて審議が促進するのではないかと思いますが、提案者のほうからお願いします。
#12
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私はこの立案者の一人になつて作りましたので、これのでき上りますまでの経過を御参考に申上げて、あと細かい法律上の点は三浦法制部長から説明をすることにさして頂きたいと存じます。
 このたび提案せられました選挙法の改正は、今委員長の提案理由にもありました通り、六月の第十九国会が済みましてから、直ちにいわゆる自粛三法を中心として臨時国会を開こうということが当時の五党、今の四党の間で話合いがきまりましたので、そこでこの立案にかかつたわけでございます。ところがその立案に当りまして対象となつたものは、第一は第十五国会において衆議院を通過いたしまして、参議院へ送つてありましたうちに解散になりましたので審議未了になりましたもの、これを第一といたしまして、その後参議院からいわゆる緑風会案と称せられる大きな改正案が出ておりましたので、これを議題として研究し、そのほか参議院から細かい点でありまするが、連座強化の問題並びに政治資金規正法の改正でしたか、二つ出ておりました。又衆議院からも同様のものが二つ出ておりましたので、これら五つのものをも対象として研究しようとこういうことで、すべてを網羅して、その対象といたしたわけでございます。それからいわゆる選挙法の改正の是非やらなければならんという根本は、何としても金のかからない、而うして違反のない選挙をやるように改正しよう、こういうことだと考えましたので、この二つの大眼目に向つて進めるようにしたいという考えから審議に入つたわけでございます。
 そこでいろいろ考えました結果、大きな考え方といたしましては、でき得るだけ選挙運動は公営にしてやろう、私個人の考えでは完全公営にして個人の選挙運動ということを極端に制限しよう、その狙いは一番金の要るのは我々が選挙をやつて知つておりますが、金が要るのは選挙事務所を持つからで、一つ選挙事務所を持たんでもいい法律案にしよう。その次は、選挙違反はいろいろありまするが、候補者一人ではなかなか違反をやろうといつてもやれない、やはり個人の運動員を使うからだ、そこで運動員も使わんことにしてやろう、こういうことが私の考えておりました完全公営でございます。こういうことを目標にしてやりたい、こういうことで進んだわけでございます。従つて、それについては公営をずつと拡めますると同時に個人の選挙運動をずつと減らし、それともう一つは、最後に今いわゆる政党政治となつておりまするが故に、自分の所属する政党から政治運動をしてもらうことはこれは大いに伸ばそう。それから又政党の権威をあらしめるために、政党で公認せらるるものでなかつたら当選できないようなことまでもやりたいと、こういう理想を持つてやつたわけでございます。これはあとでいろいろ出て来まするし、又途中でなかなか私の理想が思うように行かんので、だんだんへこまされて参りましたけれども、その精神をもつてやつたことだけを一つ前提として御参考に頭において頂きたいと思うのであります。
 そこで、お手許へ要綱が参つておりましようから、この要綱の順序について問題のあつた点だけをお話申上げたいと思います。
 第一は、選挙管理事務の整備に関する事項でございます。これは主として自治庁の選挙部から出ました案、それから各地の選挙委員会から要望のあつた点を拾い集めてできておりまするので、第十五国会で衆議院を通過してこちらへ参つておりましたものが全部でございます。従いまして、これは説明を省かせて頂きまして、なお御疑問がありますれば、質問に応じて答えることにしたいと考えます。
 その次は、選挙運動の適正化に関する事項でございます。その一は選挙運動の公営。その(1)の立会演説会、(イ)「事情の許す限り値数を多くすること」、(口)班別編成の方法も採用できることとすること」、(ハ)「私設の立会形式の演説会を禁止する建前のもとに、候補者共同主催以外に第三者が候補者のために合同して行う演説会を認めないこと」、こういうことにいたしました。この(イ)の点は説明するまでもありませんが、これは実は一日に少くとも三回以上やれというのを最初の原案に出しておりましたが、そうどうも法定してやられては、所の事情によつては行われんこともあろうしするから、でき得る限り多くするということで止むを得んだろうというので、こういうことになりました。それから班別編成の方法も採用できることとする、これは現在においても、事実その地の選挙管理委員会で協議の上でやつておるそうでありますが、やつたほうが便利だろうから、やり得るということを法定しておくことと、こういうことになりました。これは説明せんでもわかるだろうと思いますが、一つの選挙区で全部の候補者を一所でやるというよりか、西と東くらい分けまして、西の候補者は西のほうでやる、東の候補者は東のほうでやる、こういうふうにやつたほうが便利であろう、こういうことでございます。その次の(ハ)は、これは新しく設けましたので、私設の立会形式の演説会はこれを認めない、これは今まで随分我々は経験しまして、甚だどうも因つた点でありましたので、これを入れたのです。今公営の立会演説会が始まりますると、一日二回にいたしましても、又これから多くなつて三回にでもなればなお更でありますが、ずつと時間がきまつております、最後まで。ところがその間で新聞社で主催するからやつてくれとか、又おれの村は小さいと思つてやらなかつたから、おれの村でやつてくれと、こう言つて青年団等で主催してやられる。誠に有難いことだが、一方には時間のきまつたものがあるから、出ようと思つてもどうしても出られない。出られないとなると、あいつが出なかつたと、こういつて攻撃を受けます。それは又善意のものですが、もつと悪いのになると、或る一定の候補者だけの時間の都合を聞いて、ほかの候補者の時間の都合を開かないできめます。そうすると、出られないのがわかつている。それを出なかつたから、あいつは出ないと、こういう攻撃に会うという実例がありましたので、この規定を設けたわけであります。それからあとのほうも、これはちよつと説明を要しまするが、二人以上の合同演説会といつて、これは各候補者が個人演説会を一つの所でやるということになれば自由だと、こう申しますが、候補者がやろうという意思で時間を都合してやつたのならいいけれども、そうでなくて、第三者がそれじや立会演説はできません、個人演説会としてここでやつて下さいと、こう言うても同じことになります。そういう意味で、候補者の同意のないものを第三者が一切やつてはいかん、こういうふうに規定したわけでございます。
 それからその次は個人演説会でございますが、これにつきましても随分議論はございましたが、結局議論し議論して、仕方がないから現行通りにしようというので、回数は現行通りになりました。それからその次の(イ)は六十回、それから(口)は「個人演説会用公営施設に公民館を加えること」、これは問題ないと思います。実はこの間に随分議論のあつた問題がありますのは、婦人会、青年会等の集会、映画、演劇等の幕間、又は会社、工場等の休憩時間などを利用して行う演説会は、これは個人演説会とみなすべきではないか、こういうことと、従つて立会演説会、個人演説会及び街頭演説会のほか、演説は一切禁止するものとすること、という規定を置こう、こういう議論があつたのであります。これはちよつとこれだけ説明しますと当然のことのようですが、随分議論のありますのは、立会演説は問題ありません。それから個人演説は、これは候補者が届け出まして、それで公営で前の立看板だけを出してもらつて、そうして告知ビラを張つてやる演説会、それから街頭演説会は旗を持つて街頭でやることでいいようですが、今申しました婦人会、青年会、それから映画、演劇の幕間、殊に多いのは工場の体感時間を利用してやるのは、これは個人演説会でもない、街頭演説会の延長のようなもので、個人演説会以外の演説だ、こういう議論がありまして、いろいろ議論の結果現在はそれを演説会に入れないで認めているそうです。そこで問題が出ますので、そういうことになると、もう個人演説会というものとそういう演説というものとの区別がなくなつてしまう。六十回ということの制限をしたことの効果がなくなつてしまうから、それは演説をやることはよろしいが、個人演説会として取扱うべきものだ、こういう議論です。これは前回の改正の際に私は念を押して、そういうものを回数の中に入れるのだと言つてできたことは間違いないのでありましたが、いつの間にか解釈でそういうことになりましたので、そういうことをやめよう、こういうことです。又個人演説会の回数の制限が無効になるだけではありませんで、そういうことになると、一部の人だけにはやらせるが、ほかの人にやらせん。いわゆる機会均等を失するという弊害も認められますので、やるなら止むを得ず個人演説会として制限すべきものだ、こういう議論がありましたが、これは先ほど言うのを忘れましたが、只今通つて来ましたのが前の五党、今の四党間で話のあつたことだけ通つて来たのです。話の合わないものは各党で提案すればよろしい、こういうことになつておりますので、この点は私のほうの自由党と民主党とで合同で、あとで別個に提案いたしておりますので、後刻衆議院を通過してこちらへ参ることと思いますから、前以てこの点を御説明申上げておきます。来ましたらどうかよろしくお願いいたしたい。
 その次は無料葉書で、これも随分議論があつたのでありますが、議論し議論して、現行通り一万枚にしよう、こういうことに相成りました。
 その次はポスターでございますが、ポスターは、これもいろいろのいきさつはありましたが、結局現在のところでは演説会の告知用ポスターを五千枚としよう、こういうことに相なつたのであります。これを殖やすとか殖やさんとかという議論がありましたが、あとで出まする連呼行為を禁止いたしました結果、今までやつて歩きました、自動車で今晩どこそこで演説がありますからおいで下さいというあの連呼をやめようということになつたのですが、それがないならば、今までよりかもつと多くの告知をやらなければならんだろう、こういうことになりました。それともう一つは、この前千二百枚で制限があつたものですから、いろいろ創意工夫をせられる方々がありまして、演説会の告知用ポスターであつたが、これに裏打ちをして貼らないで引かけて歩く、そうしてどこへでも何遍でも転用する、そこまではまだよろしいのだが、今日はここにおいて行つて、又その次へ行つて一つお願します。又二日か三日経つて、又別のところへ行つてお願いします。立派な戸別訪問にこれを悪用しておるという実例がありまして、こういうのでその転用を禁止する、こういうことにいたしましたから、そこで殖やそうと、五千枚に殖やしたわけであります。従いまして、これを演説会告知用以外のいわゆる氏名告知に使用することも転用でございまするから、いけないわけでございます。それからいろんな方面へ転用することもいけない、こういうことに相なつたわけでございます。それからポスターは公営で刷つてもらつたものをもらいまして、この前と同じです。名前だけをブランクにしてありまするから、それはこちらのほうで然るべく入れて見やすいようにお入れになることは、これは自由だろうと、こういうことでございます。
 それから新聞広告は今まで一回であつたやつを二回にしてスペースを増す。
 放送についてもいろいろ議論がありましたが、なかなか回数を殖やすといつても事実上不可能であろうというので、なるべくみんなが聞ける時間にやつてもらう、或る放送局においては午後十一時から放送したというようなことを聞いたが、そういうことのないようにするということで、とどめたわけでございます。
 選挙公報は、今まで千五百字でありましたものを二千字と、写真も載せることにしよう、こういうことにいたしました。これも二度にしたらどうだという議論がありまして、最初に取りあえず写真と経歴だけを載せたものを出して、そしてあと選挙の五日前ぐらいに政見を載せることにしたらという議論があつたのですが、どうも二度やつても大した効果がない、一遍に相当実のあるものを出したほうがよかろう、こういうことで一回になつたわけでございます。
 それからその次は氏名の掲示ですが、これは今まで役場の前であるとか、町角、村角へ出ておりまするが、あれが誠にどうも申訳的に貧弱なものですから、なるべくこれを立派なものにして、人によく見えるようにしよう、私は、これさえ完全にやるならば、もうポスターなどは要らんという考えを持つておつたのでありまするが、なかなかこれ予算の関係等もあつて思うようにいかんから、できるだけ予算の許す限り立派なものにしてもらおう、こういうことで落着いたわけでございます。
 それからその次は供託金について、公営納付金を入れるかどうかという議論も随分あつたのでありまするが、結局現行通りにいたしましたから、説明を省略いたします。
 それから今度は一般の選挙運動、これもいろいろ議論はありましたが、大した変更がありませんので、選挙事務所を表示するため一定の標札を掲げなければならないものとすること、これだけを加えました。
 全国参議の選挙事務所の閉鎖命令は、都道府県の選挙管理委員会もできるようにすること、これは事務的のことでございます。
 その次は飲食物の提供ですが、これは大体随分議論の結果こういうことに相なつたのであります。ただ私は選挙運動員というものを使わんことにしようといつたが、やはり選挙事務所というものはなければいかん、こういう議論になりまして、事務所がある以上は運動員、私は運動員と言うのはどうかと思いますが、事務員でもいいし、又は労務者、そういうものが、出納の責任者がなければならん、こういうことになります。そこで、置くならばできるだけ少い数を置こう、こういうので、最初にこれを制限する案が出まして、五人五人で十人、五人七人で十二人、十人十人で二十人説等がいろいろありましたけれども、若しこれを制限するということになると、曽つてえらい弊害があつたように、立札が倒れておつて起したから、運動員でないものが選挙運動をやるといつて叱られ、又演説会場で誰もおらんからというので電燈をつけたからといつて叱られ、ござを敷いてやつたからといつて、お前は運動員でないのにといつて叱られるような弊害があつてはいかんから、結局、あとで出ますが、街頭演説に出る者だけの制限をやれば、あと一つ費用の点で制限することでいいだろう、そうしなくちや窮屈でやれん、こういう議論で、結局運動員、事務員、又は労務者というものの特別の法定の制限をやらんということに相なつたわけでございます。併し、それにしましても選挙費用というものを、これはあとから出ますが、我々は実際に要るものは実際に要るだけ出そう、そうしてその代りこれを超過したら厳罰に処する、延いては連座制にもつてくるということにするのだから、要るだけの費用はやらなければならん、そうすると、どれだけの人間を使うという標準がなければ出てこん、こういう主張をいたしまして、結局、それじや事務所で弁当を出されるものを制限したらよかろう、こういうことで、ほかにその代りただで働いてくれる人がおれば、これはいくら働いてもらつてもよろしい、こういうことになりまして、弁当で制限する、こういうことになつたわけでございます。そこでここにありまする通り、「当該選挙の選挙期日の公示又は告示のあつた日から選挙の期日までの期間に応じ一日十五人(選挙事務所の数が一を超える場合にはその一を増すごとにこれに六人を加える)」、こういうもので算出した員数の三食分に相当する数を超えない範囲内で出してよろしい、こういうことになりました。この十五人の標準は事務員五人、労務者七人、出納責任者一人、それに応援弁士平均二人、こういう標準で、これはただ単なる標準でありますが、そういう標準で出したわけでございます。それから弁当料につきましては、これもいろいろ議論がありましたが、これはあとで出て参りますから、一定の最高額を法定して、その範囲内でやるということに相なつております。
 それからその次は、現行法は事務所においては湯茶以外の食事を提供してはいかん、こういうことになつておつたのですが、湯茶といつたところが、どうも菓子を出さんというわけにいかんので、出すなといつたつて事実出しているのだから、なるべく簡素なお菓子を出してもいいということにしよう、こういうので湯茶を茶菓と直しました。その代り通常用いられる程度の菓子を言う、こういうことで、これはあとで費用の計算で一日平均三十円を見てございます。
 その次は自動車、拡声機及び船舶の使用でございますが、これもどうも随分廻り廻つてこういうところへ参りました。最初は選挙運動用の自動車は一台限りにしよう、そしてそのほかは、事実上要るに違いないが要つたらそれは雇えばいいのだ、その代り雇つたら全部選挙費用として書き上げることにしておけばよかろう、こういうことを考えて原案を出しました。そこで、その次は街頭演説会というものを認めるのですから、街頭演説会に使う自動車をどうするかというので、これはもつぱらトラツクをやめてくれ、乗用車だけにしようと、こういうことを主張したのです。ところが第一番に問題になつたのは、東北、北海道等で雪解け及び凍つておる場合に乗用車で行けと言つても行かれん、事実上だめなんだ、そうしてみると、そういう場合にはトラツクは認めてもらわなければ困るというので、それじやそういう場合に限り特に乗つてもいいということで、それ以外は乗用車にしようと、こういうことでやつたのですが、なかなかどうもいろいろ議論がありまして、殊にこれは都会の候補者方がやかましく言われるのは、その乗用者に乗つて行つて、乗用車の中で演説をやるわけに行かんから降りてやる、降りてやると、例えば新橋駅前であるとか渋谷駅前のような何千人何万人おる所で、自動車から降りて低い所で演説をやつてもとても見えるものじやない。どうしても何かの台の上でやらしてもらわなくちやいかんと、こういう議論が出まして、乗用者に箱をつけて行けばいいじやないかというような議論も出ましたが、そんなことじやいかんというので、とうとうそれじや小型貨物車に限り許すということにしようとこういうことに相なりました。これはもう昨日これが通る瞬間までまだ反対論がありましたが、結局多数でこういうことにきまつたわけであります。その代りにその車には一切の飾付けはしない、又その上へ乗るのは、あとで出ますが、その上へ乗る人数は運転手を除いたほか候補者を交えて四人だけにしよう、候補者とそれからまあ前座をやる者を一人と、それからマイクがいたむと普通マイクを直す技術者、それにあと旗を挙げたり、小使のような者、これだけいればいいのだから、これだけ乗せることにしよう、これは実際トラツクを使わんことの原則からこういうことを考えたのです。そうして四人だけにしよう。ところがどうも一日朝から晩までやつて歩いて、それが二十五日もやるということになると、一人の運転手ではやれんから、運転手を一人認めなくちやならんだろうということから、それじや助手というか代りの運転手を一人だけ認めて、その代り運転手は……助手というか、交代する運転手は選挙運動を一切してはいかん。その運動のできる四人、候補者とそのほかの三人に腕章その他特別の記章をつけておいて、それ以上やらんということに落着いたわけでございます。随分議論もございましようが、結局まあまとめるためにはできるだけお互いに讓歩して、そういうことにとりまとめた実情でございます。それからあと証明書の交付を廃止するとか何とか、これはもう事務的のことで大したことはございませんから、説明を省略いたします。
 それから小型貨物車というものは法定上きまつておりまするので、これはあとで事務のほうから出ましようから、これは交通取締規則できまつておりますから、この点は法律上は明瞭に相なります。それから先ほど言つた候天の悪いときには大型を特別に許してもらう、こういうことに相なつております。
 拡声機は一そろいだけを許す、こういうことにいたしまして、専用でき得るものは一そろいにしたわけであります。今まで二そろいであつたやつを一そろいにしました。そこで問題は個人演説会場において拡声機を認めるかどうか、一そろいということになると、これは街頭演説会に持つて歩くのが原則ですから、一々下してやらなきやいかんから、そこでこれもいろいろ議論がありましたが、許さんことにしようという議論をしましたら、そうかといつて会場にもう備え付けてあるものがある、その備え付けてあるものまでこれをやめろといつても非常識な話だし、大きな演説会ならなくては困る場合がある。その会場において一そろい使うぐらいは大した弊害がないだろう、こういうので個人演説会場において一そろいだけ使うということを基準にする、こういうことに相なつたわけでございます。従つて個人演説会を一晩に五カ所でやれば、五カ所で借りて使うことも差支えない、こういうことに相なるわけであります。
 それからその次は先ほど言つた自動車、拡声機及び船舶には文書、図画の一切を禁止する。それから選挙事務所、個人演説会及び街頭演説会に用いるポスター、立札及び看板等はその規格を制限する、これはもう向うから公営でもらうことになりましたから、当然そういうことになります。
 それからポスターの掲示の承諾、これは今まで居住者だけであつたが、それだけでは困るから、管理者及び所有者の承諾ということに拡げたわけであります。
 それから新聞紙及び雑誌の報道、評論は結局現行通り制限するということに相なつたわけでございます。その次はこの新聞、雑誌の制限について選挙期間と書いてあるものだから、選挙の当日やつてもいいんだというようなことでやる人もありましたから、選挙当日もできないと、これは付け加えただけでございます。
 それから有線電気通信設備の使用制限、これは共同聴取用の放送設備などを使つてもいいじやないかという議論もありましたが、いつも出ます機会均等を失することがあるからやつぱり使わんことにしよう、こういうことにいたしました。
 それから録音盤の使用、これも立会演説では禁止するが、ほかのものは差支えなかろう、こういうことでございます。
 それから連呼行為は一切禁止する。
 それからその次は、立会演説会開催当日の他の演説会の制限は、前後二時間の間だけ禁止することにして、それでよかろうということにいたしました。
 それからその次は、特定の建物及び施設における演説の禁止でございまするが、近頃公営住宅という特別の町ができておるから、その場合に公営住宅においても演説できるようにするということにしたわけです。まあそのほかは大した議論のあるところはございませんから省略いたします。
 その次は出納責任者のところでございまするが、これは最初のは発信主義にするということ、それから代行者も同一の責任があるようにする。その次は、職務代行者の違反行為に対しては、出納責任者と同様の罰則を科するようにすること、これは当然のことのようでございますが、これが連座の場合に出納責任者と同一に大きな責任が生ずるから、ここでは大したことはないようですが、大変な大きな改正でございます。
 その次は出納責任者の届出前の寄附の受領の禁止規定、これは現在の法律では間違つておりましたので、穴が見えましたから訂正しただけで、これは当然のことでございます。
 その次の第三の選挙の公正確保に関する事項、これは大変参議院に関係のあるところでございまするが、参議院で提出せられておりまする法律案によりますると、公務員の立候補制限、知事の三選禁止という重大なものが載つておりました。これをいろいろ研究いたしましたのでありまするが、抽象的にはこの二つは誰でも賛成なんです。賛成なんですが、いざそれではどういうことで禁止するかということになつていろいろ考えて見ますると、容易ではございませんし、どうも憲法違反になるという疑いがとれません。というのは、いわゆる身分、職業によつて特別の取扱いを受けないというのに、公務員であつたがために、二度知事をやつたがためにという身分、職業上のために立候補できないということにすることは面白くないじやないか、こういう議論が出て参りました。それから一体それではこれを禁止しなければならんということはどこから出て来るのかと、こう考えてみますると、結局その地位を利用して事前運動をやる。その職責にあるうちにその次の選挙を予想していろいろやられることが弊害があるのだ、こういうことに帰着するものでありますから、それならばそういう事前運動をやらないことにすれば目的を達するのじやないか、こういうことになりまして、今ここに出て参りました規定に変えたわけでございます。公務員等の地位利用による事前運動の禁止、(1)国又は地方公共団体の公務員が、その地位を利用し、第百二十九条(事前運動の禁止)の規定に違反して選挙運動をしたときは、二年以下の禁こ又は三万円以下の罰金に処すること。(2)日本専売公社の役員、若しくは職員、日本国有鉄道又は日本電信電話公社の経営委員会の委員、役員若しくは職員が、その地位を利用してこれをやつた場合は同様である、こういうふうにいたしたわけでございます。そこでこの規定を置きましたが、「その地位を利用し」、ということはどういうことかというと、地位を利用するには違いないが、それを具体的に表わしてこれを処罪するという場合には相当問題があるだろうということで、大変非難もございましたが、併しどうもそうかといつてないよりはあつたほうがよかろう。面倒なことは裁判所なり検察庁に任せるが、これを置かんよりは置いたほうが遥かにましであろう、こういうことで一応置いたわけでございます。
 その次は選挙運動費用でございますが、これも大変議論がありましたのですが、結局先ほどから申上げましたような法律を前提といたしまして、あらゆる運動に要る金をこれは自治庁のほうで細かく予算を立ててもらいました結果、最初私らやりましたのは百十万円ほど要るという計算が出たわけでございます。それはその代り自動車も両方みんな入れて百十万円になります。そこで百十万円ということになると、この基礎数字を約十一円ということにすればいいので、そういうのを考えておりましたが、そこでいろいろ議論が出ましたが、第一番には候補者の乗る自動車です。これは今までは、大分議論はありますけれども、法定選挙費用から除かれておりました。それを入れてやるというのでやりましたところ、どうもそれはおかしいじやないか、候補者が選挙運動をやつて歩いて宿屋に泊つたらどうするのか、それは入れない。小遣い使つたらどうか、それも入れない。それならば自動車に乗つても同じじやないか、こういうことで、それならばやはり宿賃や旅費その他と同一に選挙費用に入れないようにしよう、こういうことにしたわけであります。
 次は今度は選挙運動用の自動車でございますが、これは理窟よりか、あまり一遍にそういう費用が多くなり過ぎては、今まで四十万円だつたやつを候補者の車賃を引きましても十万円ほどしかないから、百万円ほど要る。それで従来通り選挙運動用の自動車だけは除いてもいいじやないか。そこでこの自動車を予算の上で約三十万円に見てありましたものですから、それを除いて七十万の見当で基礎の金を七円、こういうことに落着いて現在出しましたわけです。今のところでは平均七十万円をちよつと超える費用に相なつております。今日もまだ衆議院で議論がありまして、候補者の専用車を認めて、それを費用から除くということはどこから出るのだ、こういう議論がありますが、成るほどそういうのは特別に規定はございませんが、候補者の乗つた船車馬賃は法定費用に入れない、こういうようになつておりますから、そこで候補者が一遍ごとに雇つて乗ろうが、一日中常用に雇つて乗ろうが同様である、こういうことで結局専用に雇つても差支えない、こういうことになるわけで、結局法定上候補者の専用車を一台特別に認めるという法律はないわけでありますが、要るときだけ雇つても差支えない。これは続いて雇つておつても常用にしておつても差支えない、それを俗に専用車であると言つている、こういうふうに解釈して頂いてよかろうと思います。それからあとは弁当料なり宿泊料等細かいのが入つておりますが、これはお読み頂けばわかりますが、別にこれでやらなければならんというわけではないのでありまして、自治庁のほうでも調べた結果、これくらいならどこでもやれるだろうから、この範囲内でやつてもらう、こういうことに相なつているわけでございます。
 次は寄附の制限です。寄附の制限の第一は、現行法にありまする国又は公共企業体といたしましたので、公共企業体が殖えたのでございます。今までは国の選挙に関しては、国の請負をやつておる者、並びに国と特別の利害関係ある契約を結んでおる者、当事者から選挙に関して寄附を受けてはならないと、こうなつておりましたのを、公共企業体をこれに加えたのであります。日本国有鉄道、日本専売公社及び日本電信電話公社ということになります。これを加えたことが第一の改正でございます。
 それからその次は、これは新らしいものですが、「候補者及び候補者となろうとする者(公職にある者を含む)が当該選挙に関し当該選挙区内にある者に対し行う寄附を禁止すること。この場合において通常一般の社交の程度を超える寄附は、これを選挙に関し行う寄附とみなす旨の規定をおくこと。但し、政党等に対してする寄附は、この限りでないこと」、こういうのを入れました。これはどうもお互い多年の経験の結果、これを入れたほうがよろしいということにいたしましたので、いろいろどうも議員であるというと、これはまあ主として議員ですが、議員であるということを種にして寄附の要請をされます。余裕があつて寄附をすることは一向差支えないようでありまするが、議員なるが故に寄附すべきものだという要求が非常に多いと我々は常に痛感しております。その意味で議員なるが故に寄附をするということは、それはなすべきことではないのだと、議員の身分にある以上は、身体さえ達者であればこの次もう一遍やるということはもう既定の事実なんだから、そうすれば公職になろうとする者という意味で寄附しないことにしよう。そのほか先ほどいう、禁止しようとする公務員だとか、三選する知事だとかも当然でございますが、そういう身分にある者が寄附してはいかないということにする。併しどこでも身分あるということで寄附してはいかんというのじやない。当該選挙、自分の選挙に関し、そしてその選挙区内の者に寄附するということに絞つたわけであります。そこで、それはそれならば何もかも寄附していかんのかと、こう言われれば、これもどうもどの程度で制限するかということは随分議論がありましたが、結局常識で通常一般の社交の程度と見られる範囲ならばよろしいが、それを超した場合はいかないと、こういうことにしたわけでございます。そこで先ほども衆議院で議論がありましたが、通常一般というのは近隣の並合いを言うのか、近隣の並合いと言うても、その人の身分財産によつて又違いがあるが、その点をどう考えるのかと、こういうむずかしい理窟がございました。これはやはり私は常識で考えるほかないと思うのです。私の考え方からすれば、財産があつておやりになるのならばよろしいが、議員という身分なるが故にほかよりも余計出さなければならんということは私はいかんと、そういうことは私はそのために人より余計に出したとすれば、通常一般の社交の程度を超えたものと……。
#13
○須藤五郎君 財産があつたら幾ら寄附してもいいというのはおかしいよ。そんな馬鹿なことはない。
#14
○衆議院議員(鍛冶良作君) そこらは常識で考えるべきことで……。
#15
○須藤五郎君 ところがそういう常識を持つておる人が多いから困る。
#16
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは裁判所において誰が見てもそれくらいならば文句がありますまいというのはいい。これはやはり何か意味があるなということならいかんぞということです。
#17
○衆議院議員(森三樹二君) 特に財産の問題じやなくて、一般通念として……。
#18
○須藤五郎君 パチンコ屋の花輪だつて君らは出すけれども、俺たちは出さんじやないか。
#19
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは出さんでいいところへ出したら、それは一般でない。
 それからその次はこれは同じことなんですが、会社の名前で出しておる。個人が出さないけれども、それならばいいかということですが、それでもいかんと、併しどうも本当に会社が出したのならば、これはしようがないから、その公職にある者の寄附であるということの類推でき得るものはすべていかんと、こういうことにしたわけでございます。
 次は連座制の問題でございます。これも大分議論はありましたが、結局ここに出て参りましたのは、第一は出納責任者が買収犯を犯した場合、第二は選挙運動の総括主宰者が買収犯を犯した場合、その次、出納責任者が法定の選挙費用を超過して出した場合、これは出納責任者が刑罰に処せられることも新しく定め、更にこれによつて候補者の当選をも無効にする、こういうことにしたわけです。それから更に……、まあそれだけにしておきましよう。これは併し総括主宰者が買収犯を犯した場合、それから法定費用を超過した場合に候補者の当選は無効になるというのは、これは現行法でもあつたのでございまして、ここで新しく加えられたのは、出納責任者が買収犯を犯した場合、これが新しく加えられたのであります。そこで一番問題になるのは、現在でも今言うように二つの場合には連座の規定はありましたが、選任及び監督について相当の注意を行なつた場合には、これは連座は免れるというこの但書があつたがために、何んでもそこに追い込まれて実際の効果が挙らん。そこでこの但書を取れ、こういうことが非常にいわゆる自粛選挙法としての主張であつたのであります。で、私らもこれを取ることには賛成であるが、併しそれを取ることによつて却つて大きな弊害、若しくは社会秩序を乱すようなことがあつてはいかんというので、いろいろの場合を考えたのであります。そこで第一番に、費用を超過した場合には当選を無効にするということは結構に違いないけれども、事実上やれないような低い選挙費用をきめておいて、そうしてどうもそれで選挙費用を超過したら当選無効にすると言つたつて、これはもう理窟に合わんことなんです。そこで実際にまじめに選挙運動をやつて、どうしても入れなければならん金だけを一つここに現わさなければならんということが第一に考えられまして、そこで先ほど言つたように、今までは四十万であつたものを七十万にする、そのほかに街頭演説に使う自動車賃、候補者の乗る自動車賃が加わる。これだけはどうあつてもやらなければならん、こういう制限にしたのであります。ところがそこで問題が起りましたのは、こういう規定ができまするというと、いわゆるおとりというものが出て来ないか、こういうことが考えられたのであります。そこでだんだん考えてみますると、なるほどそういう憂いがございます。どうでもこうでもこれは総括主宰者というものは、これはあとでわかつて来ることですが、まあ出納責任者は一番ですが、出納責任者に犯罪を犯させて、犯罪があつたということを知つたら当選無効になる、そこに出納責任者に一つ犯罪をやらせると、こういうことで表て向きは当選せしむるような顔をして出て来て、実際は落してやるということを目的で出て来る者がおる、これがいわゆるおとりであります。そこでそういう者が本当におつたとすれば、これは相当考える。それともう一つ考うべきことは、こういうことになりますというと、出納責任者に候補者は生殺与奪の権を持たせるわけなんです。出納責任者が俺が犯罪を犯したのだと言えばお前は当選無効になるのだぞ、頭から絶対に犯罪を犯していないと言えばいいが、なかなかそうはいかない。これはその場合にどうも俺の口一つでお前の当落がきまるということになると、これは当人をしてゆすりの材料にすることも考えられるし、又同時に寝返りを打つてほかから買収せられるということも考えられる。こういうことが考えられましたので、これをしぼるだけしぼつて、本当にそういうことがわかつて、その立証ができた場合にだけはそれは当選無効にならないことにしよう、こういうことにしぼつたわけであります。そこでもつとその意味において、現在の規定ではまだ足らんところがございますが、余りそれを拡げるというと、前の但書を取らんのと同じようなことになる憂いがありますので、それを誠に狭く、特別のそういう事情がある場合にだけにしぼつてこれをやりました。これがここにある但書であります。「当選人がおとりによる旨の立証をした場合においては免責を認めること」、その者は、そのおとりでやつたようなやつは買収犯で罰せられる、それ以上におとり犯としての加重をやる、こういうのが(3)でございます。それから(4)は、「公職の候補者、選挙運動の総括主宰者及び出納責任者の買収犯等の場合の加罰規定を設けること」、ということにいたしました。
 それからその次は、選挙権及び被選挙権の停止でございますが、これも全部停止することにして、停止の期間の短縮だけをやることにして、停止の免責をやるというあの規定を取ろうかという議論もありましたが、どうもその理由は余り有力じやないので、判決がまちまちだからということが主たる理由で、それならば判決で考えてもらつたらいいだろう、こういうことでそれは取りませんでしたが、併しこの選挙権及び被選挙権を停止された者はその期間中は選挙運動をできないことにしよう、こういうことにいたしたわけでございます。
 それから六は、罪の時効でございますが、これは形式犯については六月、それから他の犯罪については一年にいたし、又おとりのときは加重して二年といたしました。これは今まではすべて六月であつたのを二つに分けて、いわゆる悪質犯に対しては倍の一年にし、そうして逃亡したときは、その二倍として二カ年間時効があると、こういうことにいたしたわけでございます。
 その次は、政党その他の政治団体の選挙における政治活動に関する事項ですが、政治活動、これも相当変つてはおりますが、その大きな変り方の第一番には政談演説でありますが、これはこの変つたことは(ロ)の政談演説会で、今までは一選挙区につき一回と、こうなつておりましたが、今度は一選挙区において当該所属議員候補者の数に応じたものがやれる、こういうことにいたしました。これも随分議論もありまして、実際不可能だ、不可能ならばやらなければいいので、やれたらやるというので、これを附加えたわけであります。それから街頭演説は、これは停止した自動車上においてやれる、自動車の数は、今までは八台で区切つておりましたものを、こういうふうに三百人以上のものが十台、四百人以上であつたら十二台やれるようにしよう、こういうふうに変えたのであります。
 それからビラは政談演説会場で領布する場合に限りこれを認めてもよろしい、こういうふうになりました。
 それから、「自動車、演説会場等に掲示する文書図画に公職の候補者の氏名を表示し又はこれが類推されるような事項を記載すること」、これは禁止事項ですね。ただここで変つたのはその次の、「政党等の行う街頭演説会においては、候補者は、これに参加し、街頭演説をすることができないものとすること。」その次です。「政談演説会の場合に限り、政策の普及宣伝の外に、所属候補者の推薦又は支持の演説を行うことを認めること。但し、候補者は、政談演説を行うことはできるが、選挙運動のための演説は、当該選挙区ではできないものとすること」、これはどうもややこしいのですが、今までは演説はできるが、推薦もできないし、頼みますということも言われんということになつておつた。ところが実際はどうも選挙中にその選挙区へ行つて政談演説をやつておつて、頼むなと言つたつて、自然頼むことになるのだから、これを禁止してみたつて却つてこんがらがるだけだから、これはもう推薦だけならばやつていいということにしよう、こういうことにいたしました。それからもう一つは、その選挙区に置いた候補者だからといつて、例えば私なら私が選挙区における郡の政党の支部長をやつておる、そこでその支部の主催の演説会をやるときに、どうも支部長が出て開会の辞をやることができんといつたようなことを言つたつて無理だから、演説をやる、いわゆる政党の演説をやることならよかろう。けれども私のために一つお願いします、こういう演説だけは一つやめることにしよう、こういうのがこの規定でございます。
 その次は、(4)は、このビラです。「ビラには、政策の普及宣伝の外」……こういうことです。ビラに政策の普及宣伝だけは載せてよろしいけれども、公職の候補者の氏名又はこれが類推されるような記事は載せてはいけない、こういうことにしたわけでございます。
 それから(5)は、これはよく選挙期間中とあるものですから、選挙の当日は洩れるということでありましたから、選挙の当日もいけないということを附加えたわけでございます。
 その次の(6)は、「政治活動の規制は、再選挙及び補欠選挙にも及ぼすこととすること。但し、自動車は、候補者の所属する一の政党その他の政治団体につき、一台に限ること」、これはその補欠選挙のときにその規定がなかつたものですから、そこで総選挙のときにはこういう政党なら補欠選挙なら何台やつてもいいというので何台も自動車が出たという実例がございましたので、これを制限したわけでございます。それからその制限の範囲はここに書いてある通り(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、自動車……(7)は参議院のですね、「政治活動の規制は、参議院議員の選挙にも及ぼすこととすること。但し、左に掲げるもの以外は、衆議院議員の選挙の場合の政治活動と同様の制限を受けるものとすること」、こういうことにいたしまして、政治活動のできるものは所属候補者十人以上(全国、地方を通じて)。政談演説会は衆議院の選挙区ごとに一回できること、街頭演説は停止させること、これは同じです。それから自動車はこういうふうにやりました。ポスターもこういうふうに規制しました。
 それから(8)は、「衆議と参議の選挙が同時に行われる場合においては、両者につき政治活動は並行して行えるものとすること」、これは衆議に対する運動もやれば、参議の運動もやれるというふうにしなければならん、こう思つてやつたわけであります。
 その次は、「政治活動の規制は、地方選挙(知事及び市長)についても前記(7)の再選挙及び補欠選挙の場合に準じて適用するようにすること、」これも相当議論がありまして、ちよつといいようだか、近頃どうも三万か四万の市ができたから、やめたらよかろう、こういう議論がありましたが、どうもそうかといつてどの市はやつていいが、どの市はやつてはいかんということになるから、まあ市ならしていいということにしようということに相なつたわけであります。そのほかは大した議論はありません。
 次の二のほうは殆んど新聞の制限でございまして、大した議論はないのでございます。ただここで先ほども申上げましたように、今ここで出ておりまするのは、四党で一致したものだけが出ておりますので、ほかにもう一つここで大きな問題は、政党の所属をきめる場合に、候補者が指定した一つの政党だけの政治運動を認める、そのほかの政党及び政治団体の運動は認められない、こういう議論があるのであります。これは先ほども申しましたように、政党政治を重くみまする以上は、政党の公認ということが何より大切なことでありますが、いやしくも一つの政党で公認せられておりながら、おれのほうはまだほかの政党からも推されている、ほかの政治団体からも推されておるのだということはあり得ないことだと考えるのであります。そこで一番先に問題になりましたのは、無所属で出ておる場合に、二つの政党で共同して推す場合がある。そうすれば両方の政党から自動車を出して、選挙運動をやることにしよう、こういう議論がありましたが、どうも私らが考えてみますると、無所属ということは政党がないということなんです。私は政党がないといつて出ておるにもかかわらず、天下の政党ともあろうものがおれのところで応援さしてくれ、おれのところで応援さしてくれということは、どうもこれは以てのほかのこと、こう考えましたので、無所属で出たら、政党の運動はやれんことにしようと、こういうふうに第一番に考えました。その次は、一つの政党に属しておりながら又ほかの政党に属して股をかけておる、これらからすべて推してもらうということも政党政治の建前をとる上においてはいかんことだ、こう思いますから、一つの政党に属した以上はそれだけをやろう、こういうことが重大な問題になつておりますので、我々のほうからこれは又……。
#20
○衆議院議員(森三樹二君) それは君、提案理由をする場所が違うよ。それは余計だ、余分なんだよ。この法案の説明だけなんだよ。限定しなければ……。
#21
○委員長(中田吉雄君) この提案理由の説明にふさわしい御説明を願います。少し逸脱しておる。
#22
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今までの経過を説明しておるだけなんで……。それはそれだけであります。
 第五は、選挙制度の基本に関する事項でございますが、これは小選挙区制を採用することと選挙定員数の改正でございます。これも少し議論もあるし、いろいろの点を考えて、参議院の選挙区に対する問題、それらの点も考えてみましたが、どうも議論が多いので、今差当つてこの国会に提案しようとするなら、それに亘つておつては間に合わん、だから次の機会までによく研究することにしよう、こういうことになつたわけであります。ただその間において、区画選挙調査委員会というものがイギリスにあるそうでありますが、そういうようなものを一つ設けて、その委員会で日本の選挙は小選挙区にすればいいか、又定員はどういうふうにすればいいかということを第三者的の立場で研究して頂いて、そこで立案する。それで立案できたら衆議院なら衆議院へ勧告するものを作つたらどうか、こういうことを考えたのであります。ところがそこで議論になりましたのは、英国のは、小選挙区にする、そこでここを小選挙区にするが、どこまでをこの区にすればいいか、ここの選挙区を変えようと思うが、これをどこで線を引いたらいいか、こういうことをきめるのであつて、頭から小選挙区にしていいかどうか、定員をどれだけにしていいかということをきめるのはいかんのではないかという議論もありましたが、とにかくそういうものでもないよりあつたほうがいいであろうから、そういうものを一つこしらえたらどうだというので、これも一つ選挙区画調査委員会というものを置こうという案を作つて、今現に我々は四派共同で衆議院に提案して参りましたので、これはどういうふうに審議が行きまするか知れませんが、参議院のほうの小選挙区制及びその他のほうと噛み合せて十分研究して決定したい、こう思つておる次第でございます。
 大体今までの経過はそんなようなことでございますから、なおほかに細かいところで御質問がありますれば、いつでも応ずることにいたします。
#23
○小林武治君 もう相当詳しく説明を聞いたですが、あと質問でもあつたらそういうふうにして……。
#24
○委員長(中田吉雄君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#25
○委員長(中田吉雄君) それでは速記をつけて下さい。
#26
○衆議院議員(森三樹二君) 要綱の七ページを御覧願いたいと思うのです。一番最後のところでございます。「自動車、拡声機及び船舶の使用」となつておりまして、(イ)「選挙運動用自動車は、一台に限ることとし、」こうなつておりまして、その故を以て私どもはあくまでも選挙運動用自動車は一台であると考えておるのでございます。ところがその下に「これ以外に候補者専用の自動車は従来通り認めること。」こうなつておるのでございます。ここがそもそも疑問を起す問題になつておるのでございます。そこで皆さんからよく自動車は一体一台なのか二台なのかと質問を受けますので、私は選挙運動用自動車は一台でありますと、かようにお答えをしておるのです。ところが実際問題となりますと、これ以外に候補者が専用の自動車に乗つて選挙期間中歩くということになりますと、たとえて言いますと、ここから今銀座でもつて自分の選挙街頭演説をやつてる、すぐ来いと、こういう場合に私が自動車に乗りまして走つて行く、そうしてそこに合流いたしまして街頭演説をやるというふうに行けばよろしいのでございますが、更に私が候補者といたしまして演説を終りまして、次の街頭演説会場に向う場合に、その自動車に乗りまして、そうして前のほうには選挙運動用自動車が走り、そのうしろから更にこの候補者専用の自動車がそれに沿つて行くというようなことは、これは実際上選挙運動の自動車が二台走つておるような結果を招来するのでございます。従いまして、私どもは少くとも自分が街頭演説をやつておる自動車のそばに行つた場合には降りまして、そうしてこの前の文句の選挙運動用自動車に乗つて、然る後に次の会場に行つて演説をすべきだと思うのでありますが、解釈は必ずしもそうではない、候補者は自分がここから銀座まで乗つて参りました自動車に乗つて、そうして選挙運動用自動車と共に次の街頭演説会場に行つても差支えないというような法制局の見解もありますので、非常にこの自動車の台数に疑問が起きまして、先ほど来衆議院の委員会におきましては相当議論が起きたわけでございます。その根拠といたしましては、それならどこから一体この候補者専用自動車が認められるかといいますと、特別そういう規定は法文上はないのでございます。つまりよつて来たるところはどこかと申しますと、法百九十七条の三号を御覧願いたいと思うのでありますが、この公職選挙法の第百九十七条の三号には、候補者の乗用する自動車の支出となつておりまして、そう候補者の乗用する自動車の支出は、この条文の一番最初にある左の支出は選挙運動費用の支出とはならないという規定があります。そこからつまりこの選挙候補者の専用車の問題が起きて来ておるのでありまして、併しながら、私はその第百九十七条第三号の立法趣旨は、先ほど申上げましたように、自分が自分の個人演説会場或いは街頭演説会場に馳せ参ずる、或いは所用のために自動車に乗るという場合を規定したものであつたと思うのでありまして、このように例えば一日中選挙運動用の自動車とくつつきまして、並行して或いはあととなり先となりして、そうして一緒に歩くということになりますれば、実際上この選挙運動用自動車が二台となるという結果が招来されるのであります。この点私もいろいろ考えておるのでありますが、やはり選挙運動用の自動車は一台に限るという原則はこれは十分尊重いたしまして、そうしてこの要綱のここに書いておりまするこれ以外に、候補者専用の自動車を従来通り認めるというようなことを要綱に書いてある、この文面をはずせば必ずしもそうした解釈はできないじやないか、そこに、この要綱にこういうことを書いてあるから、実際上選挙運動用自動車が二台になるというような結果が発生するのではなかろうかというような考えもしております。その点一つ本委員会におきましても、皆さんの御審議の際に解釈論で解決するか、或いは何らかの措置を講ぜられるか、御検討を願いたいと思うのであります。
#27
○委員長(中田吉雄君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#28
○委員長(中田吉雄君) 速記を始めて下さい。
#29
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 第一の「選挙管理事務の整備に関する事項」に関して、簡単に御説明申上げます。
 第一は、現行十三条の規定の問題でございまして、二つ以上の選挙区に亘りまして市町村の境界変更の場合に、その所属をどうするかという問題でございまして、これは境界変更があつた場合にはそれに応じて選挙区の区域も変更するというふうに改正するわけでございます。
 第二には、都道府県の選挙管理委員会は、町村合併その他特別の事情があると認めるときに限りまして、町村の区域を分けて数開票区を設けることができることといたしまして、その決定は、都道府県の選挙管理委員会が統一的に行うものとするということでありまして、いろいろな事情によりまして、合併等ありました場合に、従前の区域をそのまま開票区とすることが便利である場合もありますので、そういう裕りある規定を置くということであります。
 第三は、参議院の全国選出議員の選挙における補充選挙人名簿調製に関する期日及び期間等の決定及び告示は、現在では中央の選挙管理会が行うことになつておりますが、これは事務の実際の便宜上、都道府県の選挙管理委員会がするように改めたほうが適当であろうということで、さようにするわけであります。
 四は、市町村の新設に伴う選挙又は増員選挙に関する規定を新設することでありまして、これは新たに市町村が設けられましたような場合におきまして、その選挙をどうするか、或いは定員が殖えた場合の選挙をどうするかというような問題に関するものでございますが、これは従来現行規定を解釈いたしまして処置しておりましたが、これらの点に関しましては、一連の規定を置くことが適当であろうというわけで、これらの規定を整備するということであります。
 五は、「再選挙、補欠選挙、通常選挙及び定例選挙の場合において現職者の氏名を記載した投票を無効としているが、これは他の規定との関係上不要と認められるので整理すること。」というのでありますが、ちよつとわかりにくいようでございますが、これは例えば衆議院の議員或いは参議院の現職にある方の投票は無効だということになつております。これは参議院の議員の現職にある方が自分の選挙に打つて出る場合に、現職のまま出ますけれども、そうでない場合におきまして、例えば参議院におきましては半数交代の選挙が行われている場合におきまして、他の現在交代期にある方の選挙が行われている場合に、交代する時期が来ておらない現職の方の投票を記載したものは無効であることは当然でありますが、その点の規定が六十八条の二項、三項に置いてあるわけでありますが、これは本文のほうで一項の二号でありまするが、そこに「公職の候補者でない者」という規定がございますので、それによつて読み得るので、その規定を削除するわけであります。
 六の「同一氏名等の候補者に対する投票を按分する場合においては、一票未満の端数をも計算すること。」というのは、現在では端数計算によつていないわけでありまするが、これは先般この参議院にもかかりまして、両院協議会になりました例の潜在無効投票の問題がございまするが、あの際におきまして潜在無効投票の計算につきましていろいろ議論がありましたが、按分して計算するということに措置いたしましたので、その方法に準じまして、この場合においても同様の措置をするというように規定を改めるわけでございます。
 七は「参議院全国選出議員の選挙の繰延選挙会の期日の決定は、中央選挙管理会が行うものとすること。」これはこの場合におきましては準用いたしておりますので、準用いたしますると、都道府県の選挙管理委員会が行うような恰好になりますので、その読替規定を置きまして、中央選挙管理会という事務的な整理であります。
 八は「候補者は、選挙の当日には立候補を辞退することができないものとすること。」これは現在では選挙当日の立候補を辞退できることになつておりまして、その点の制限規定がありませんが、これはいわゆる氏名の掲示等、その他いろいろの点から申しますと、当日立候補を辞退しますと、それに関する一連の選挙管理事務を更正いたさなければなりませんので、選挙無効等をいろいろ生じまするので、少くとも前日まででなければ立候補の辞退ができない、かように改めるわけであります。
 九は「立候者の制限を受けている公務員が立候補した場合には、その届出と同時に、何らの手続を要せず当然に退職したものとみなすこと。」これは従来立候補の場合におきまして、本人自身がいろいろ職を兼ねている場合等がありまして、うかうかいたしますると、それをうつかり忘れまして、それを辞退することをしないで立候補する場合等がありまして、当選の際等にいろいろ問題が起りまするので、その点を明確にいたしまして、その点に関しましてのごたごたをなくす意味におきまして、立候補した場合におきましては、すべてを投げうつてそれに専心的に力を尽すという意味と解しまして、それらの場合におきましては、届出と同時に他の兼ねておりまするところの公務員の職は当然に辞退したものとみなすと、こういうことにするわけでございます。
 それから十の「公務員となつたために公職の候補者を辞したものとみなされる場合においても供託金を没収するものとすること。」これは或る候補者が一度立候補いたしました後に他の公務員となりました場合には、当然候補をやめたものとみなすことにしておりまするが、その場合は職務の関係上で気の毒だというようなことで供託金没収をしないことになつておりましたが、その場合においても供託金を没収することにしたわけであります。例えば或る候補者が或る投票管理者になつた場合というような場合等が、この場合の例であります。
 十一の「選挙の効力に関する争訟の結果による当選人の更正決定は、起り得ないので、これに関する規定を整理すること。」これは選挙効力に関する争訟におきましては、当選人の更正決定の問題は起らないで、当選人の更正決定の問題は当選の効力に関する争訟において起り得る問題でありますので、これは現在この規定上の余計なことが書いてある点がありますので、その点を整理するということであります。
 十二は「兼職禁止の職にある者は、更正決定又は繰上補充の場合を除き、当選の告示があつたときは、直ちにその職を失うものとすること。」これを只今のものと関連いたしまして、その点を明らかにするわけであります。
 十三は、「参議院全国選出議員の選挙における街頭演説の場合の一都道府県内の標旗の使用制限の違反に対する処罰規定を整理すること。」これは標旗は一都道府県では一つだけしか用いることができないことになつておりますが、これらの違反に対する処罰規定がありませんので、それに対する処罰規定を置くということでございます。
 十四は、「不在者投票の場合の代理投票において、本人に代つてその投票を記載すべき者は、一般の代理投票の場合の候補者の氏名を記載すべきものと定められた者とみなして、代理投票における記載義務違反に対する罰則を適用するよう整理すること。」ということでございまして、これは普通の投票の場合の代理投票でなくして、投票の前に自分がどつかに行くから不在者投票をして行こう、その不在者投票をしようという場合に本人が投票を書けないから、代理投票を頼むという場合の措置でありまして、この点もこれはかようにしたほうが適当であろうと考えておるわけであります。
#30
○委員長(中田吉雄君) ちよつと速記をやめて。
   〔速記中止〕
#31
○委員長(中田吉雄君) 速記をつけて下さい。
#32
○小林武治君 まあこの法律案は、大体選挙運動の方法が主となつて、実質的に一番大きな問題は連座規定の問題だと思うのですが、この連座規定の免責規定を除くということは我々の強い主張でありまするが、それについて今度の法案には珍しく「おとり」などという言葉を使つて、そうして或る程度の又抜け道を作ると申すか、そういうような方法を講じた。この点は我々としてもむしろ不満足に思うのですが、これは法制局にお聞きしたいのですが、「おとり」なんという言葉が一種の法律規定の言葉としてあるのですか。
#33
○衆議院法制局参事(三浦義男君) まあ今までの法律では使つてあるのはないものと思つております。併しながら「おとり」という事態がいろいろあり得ることは世間でも言われておりますし、又考え得る事態もありますし、実際問題としてもあり得る事柄でございます。従いまして、その事態を法律化したと、かような意味でございます。
#34
○小林武治君 そうすると、「おとり」ということで以て何か内容をすぐ判断できますか。
#35
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 「おとり」ということ自体ではすぐ判断することはなかなかむずかしいかと存じまするので、特に二百二十四条の二に「おとり罪」という規定を置きまして、「おとり」がどういうものであるかということを明らかにいたしております。それは例えば或るここに候補者があるといたしますれば、その候補者の対立候補である候補者、或いはその対立候補である候補者の選挙運動に従事する者が、こちらの他の候補者の出納責任者とか総括主宰者を誘導挑発しまして、そうして本人の当選を失わせる目的を以て買収罪を行わした場合が「おとり」の一つでございます。それから第二は、出納責任者又は総括主宰者自身が「おとり」になつて、これが本人である候補者の当選を失わせる目的を以て買収をし、或いは費用超過をした、かような二つの場合が考えられ得るわけでございまして、この点を法律の上に明確に規定してございます。
#36
○小林武治君 言葉が極めて私は卑しい言葉というか、不適当な言葉だと、こういうふうに思うのですが、何かもつと内容にふさわしいような言葉が考えられんものかどうか。
#37
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は御尤もな御意見でございまするので、「おとり」という言葉は、ただその条文の見出しに「おとり罪」と書いただけでございまして、規定の内容には「おとり」という言葉は使つてございません。
 わかりやすくするために、要綱ではそういうものを「おとり」と称するということでただその用語を踏襲した、こういうことでございます。
#38
○小林武治君 その用語が極めて私は法律用語として不適当な言葉である。それからもう一つ、この問題について我々が心配するのは、却つて今あなたが説明されたようなことに引用される以上に、現実に総括主宰者又は出納責任者が買収その他の行為をして、そうしてそれが発覚して罪となつたその場合、今度は候補者が、その当選者が却つて自分の総括主催者或いは出納責任者に、お前はおとりであつたということを白状しろと、虚構の白状をさせるというような問題が却つて私は起きると思いますが、それはどうでございますか。そういうことが実際にできる。第三者と通謀して私はおとりでありました、こういうようなことを言うような場合は考えませんか。
#39
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それはまあおとりのいろいろな形態があるかと存じますが、今おつしやつたような例も必ずしもないとは限らんと思いまして、そういう事態は或いは場合によつては起り得るかと考えております。ただそれらのことがいい悪いの問題は別問題といたしまして、仮におとりであつて、且つそれが自分自身がそうであるということを自認をされた場合におきましては、これはこの衆議院の案で考えられております規定によりまして、いわゆる当選無効の訴訟の場合においての免責の問題になり得ると考えております。
#40
○小林武治君 今私が言うのは、却つてその規定を逆用する。即ち折角の免責規定が又無効になる心配がある。殊に本人が私がおとりでありましたということの今度虚偽の自白をして、そうして通謀を第三者とする。これによつて当然失格すべきものが却つて又当選が有効になるということが私は必ず起きると思う。こういうような観点からいたしましても、この規定は極めて不適当な規定であるというように思いますが、これを作る場合には、これが逆用されるということはあまりお考えにならなかつたかどうかということをお伺いしたい。
#41
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点はこれを規定いたしまする場合におきましては、やはり同じような意見が述べられましたし、私どもも立案いたします場合におきましては同様のことを考えたわけでございます。併し法律上の問題といたしましては、これらに対する措置といたしましては、第一は、おとり犯に対する厳罰規定を置いております。従いまして、おとり犯を行いました者につきましては、それによつてそういうことができないように間接的に強制するということによつて、それらの事態をなくそうということを一つ考えてございます。
 それからもう一つは、それが訴訟の段階になりました場合におきましては、一般の有権者が訴訟を提起することになりますが、その場合におきまして問題となつた当選人である、候補者であつたその当選人は、自分はあの人がおつて、自分の出納責任者なり何なりがおとりによつて買収犯を犯したのだということを証明させることにいたしておりますのでありますが、その場合の証明といたしましては、先ほどおとり罪の定義で申上げましたように、そのおとりは相手方の候補者か或いは相手方の選挙運動員と意思を通じて行われて、本人の当選を失わせる目的をもつてなされたということの立証をしなければなりませんので、その立証はなかなか容易ではなかろうと考えております。つまり問題になつた当選人自身がおとりだということを主張するためには、相手の候補者或いは相手の運動員とその者が意思を通じたという証明、客観的な証明をさせるということにしてございますので、法律的におきましては、現在のいわゆる免責規定よりも非常に厳格になつておるというように考えております。
#42
○小林武治君 或る程度のその進歩と申しますか、厳格になつたということは多少言えるかと思うが、こういうものを折角規定しながら、又重ねて抜け道を作つておくということは私は非常に不適当である、こういうように考える。いずれの場合にしましても相手と通謀するという形はとり得る。これは相当な陰の保障、或いは本人の生活というものについての、候補者そのものが保障をすれば、これらのこともなし得るとこういうように考えております。要は折角とにかく選挙を粛正して、そうして買収犯等をなくそうとするからには、かような抜け道がまだ続いて行われるということのないようにしたいということを私は特に主張しておきたいと思う。一応今の点はこれで終ります。
#43
○衆議院法制局参事(三浦義男君) ちよつと今のに補つて……只今の点に関連いたしましてこういう案も実は一応考えたわけでございまして、つまり刑事犯におきましてそれが確定いたしました場合におきましては、それによりましてそのまますぐ当選人の当選を無効とすると、刑事犯によつておとり犯、おとりによつてやられたというようなことが確定しました場合におきましては、それによつて当選人の当選を無効とするというようなことにすれば、そういういわゆる当選訴訟の形態をとらないで、連座を適用できるということになり得るわけでございまするが、これは又一方から申しますると、実際の起訴の状況等から申しましても、買収犯でこれがおとりによつてやつたものであるかどうかということの認定はなかなかむずかしいようでございまするし、又検察の現況におきましては、一々これがおとりであるかどうかというような実態まで調査して起訴するということはなかなか困難でございまするので、そういたしますると、すべておとりでない単なる買収といたしまして起訴するとすれば、すべての当選人がそのかどによつて失格するという結果を招来することになりますので、これも又如何かと考えられまして、衆議院で出されたような案に結局は落着いたわけでございまして、御意見は、一応御尤もな御意見だと考えております。
#44
○衆議院議員(鍛冶良作君) これについていろいろ議論のあつたところを御参考までに申上げておきますが、おとりの場合、おとりということを考えられましたのは、先ほど私が説明しましたようにこういうふうに連座が強くなつて来るというと、候補者を落してやろうと思えばその相手方に違反のあることさえすればいいことになる、こういうことからこれは考えられたのです。併し私はこれはやはりおとりであろうが何であろうが、買収したら買収犯に問われるのは当たり前なんだから、いわばおとりをしたやつは悪いやつだから、おとりをした者を強く罰すればいいだろう、こういうことで最初厳罰規定だけでよかろうというので一応そういう案を作つたのですが、それらがだんだん考えてみると、なるほどどうもおとりということに対して心配がある、こういうことがわかつて参りましたのです。それはその第一に考えられたのは出納責任者が生殺与奪の権を……出納責任者が犯罪で罰しられさえすればすぐ当選無効になるのですから、そこでどうもおれはこういうことがあるがどうだ、こういうことでおとして来んか、こういうことが大事です。それから、それにしたつて出納責任者が犯罪を犯しているからいいじやないか、資格がないじやないかということも考えられましたが、これは制度の実際から考えてみますというと、こういうことがあります。ちよつと速記をとめてもらわないと、実際問題で……。
#45
○委員長(中田吉雄君) 速記とめて下さい。
   〔速記中止〕
#46
○委員長(中田吉雄君) 速記をつけて。
 質問ありますか。
#47
○小林武治君 さつき森さんからお話がありました自動車の問題、これは現にあなたのおつしやるような自動車を二台使つておるものがしばしばある。これは私はやはり何らか措置しておく必要があると思う。まあ法律的には何も規定がない、こういうことでありますが、どうしたらよろしゆうございますか、それは。
#48
○衆議院議員(森三樹二君) これは私が先ほど申上げました選挙法の第百九十七条の第三号だけの解釈は、あくまでも自分が選挙運動期間中におきまして、所用のために自動車に乗つて行つた特殊の場合だろうと思うのです。それを自分が雇つたにしましても、自分が持つておつたにしましても、これが自分の専用車だからと言つて選挙運動期間中乗るとか、或いはそのうちの三分の一にいたしましても四分の一にいたしましても、そういう期間中候補者が専用車を乗り廻すということは、この法律の規定するところではないと思うのであります。従いまして、私はこれは解釈論でもつてやはり専用車というものは特に認めないのだというような解釈が私はできるのじやないかと思いますが、ここはまあ法制局の三浦部長の御所見も私はお伺いをして頂きたいと思いますが、私はこの要綱の、「これ以外に候補者専用の自動車は従来通り認めること。」というのは、これを逆に認めないことというような解釈をしても差支えないのじやないか。そういうように要綱を書き換えれば防止し得られるのじやないかと思います。衆議院で通過いたしました法律を当委員会において修正されることは御自由でございまするが、ただ会期が切迫いたしておりまする関係上、何とか又衆議院に送り返さないで、適当な方途によつてこの問題を解決することができるならば一番よろしかろうと考えております。
#49
○小林武治君 今の問題は、衆議院はいわば思想統一ができておらん、そういうふうに思つてよろしゆうございますか。
#50
○衆議院議員(森三樹二君) それは思想統一ができておらないわけではなかつたのでありまして、この要綱の第七頁の一番最後のところに(イ)といたしまして、「選挙運動用自動車は、一台に限ることとし、」と、あくまでもこの観念には立つておるのでございます。従いまして、大多数の委員諸君は選挙運動用の自動車は一台である、こういう観念と言いますか、考え方を持つておつたわけであります。ところが、その下に、「これ以外に候補者専用の自動車は従来通り認めること。」という要綱の文面がありまして、それが端緒と言いますか、疑問の起きる一つの原因になりまして、四党の代表の諸君が本草案をお考えになつておられるが、他にも多少のお考えがあつたかと思うのでありますが、併し基本的には私は選挙運動用の自動車はあくまでも一台と、私はこういう観念に立つておるものであろうと、こう考えておるわけです。併しながらこの要綱にこういうような文面が現われておりますし、又この立法が通りまして、各議員諸君から一体選挙運動用の自動車というのは一台なのか二台なのか、こういう御質問がしきりに起り、本日も実は専門委員会以外の方がお出でになつて質問が展開されまして、このような要綱で行くというと、結局実際上は選挙運動用の自動車が二台あるということになるのじやないかというような強い御質問もあつたわけなのです。従つて委員会自体といたしましては、観念の統一と言いますか、思想の統一がなかつたというわけじやないのですが、解釈論の結果といたしまして、観念上考えておることに何と言いますか、矛盾と言いますか、結論が違つて来たと言いますか、そういうようなところが生れて来たわけです。
#51
○小林武治君 今の問題は、若し衆議院が例えばここにおいでの鍛冶さんも一台がいいとおつしやるならば、我々のほうでたとえ法規的でなくても、速記録にこれは一台であると理解してどうするというようなことを載せて置いてもいいわけですが、その点が必ずしも自由党の鍛冶さんは御承知なさらんじやないですか。
#52
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうじやないんです。この要綱があるために法律が変つたのではない。これはもともとは私は一台だけにする、こういう考え方であつたのです。そこで、仮に一台といたしましても、候補者が必要があつて、自動車を雇つて乗ることはこれは禁止するのじやありませんですよ。ただそれを法定費用の中に入れるか入れんかということが問題になつて来た、それだけのことなんです。そこでいろいろ議論した結果、やつぱり法定費用に入れんほうがいい、こうなつたんだから、今までも入れてなかつたんだから入れないのだと書いただけで、法律上は何も変りがないのです。あの要綱がありましても変りはないのです。それを何か変つたものが入つたように思われるからで、変つておらん。ただ前の通りなんです。書かなければよかつた。併し書かないからと言つて法律の内容は変らん。そういうことなんですが、実際問題は雇うて乗ることも差支えないですよ。雇うて乗るということは、要るときには乗る、又雇つて乗る、どこで雇つてもそれは差支えないわけです。法定費用に書き上げるか書き上げんかの問題だけなんです。書き上げんとこういうことになれば、一遍ごとに雇うのと一日中雇つているのとどういう違いがあるかというと、一日中雇つてもいい。その一日中雇つたのを俗に専用車と言うだけの話であつて、別に内容に変りのある問題ではない。ただ法定費用に入れるか入れんかというところに問題があるだけで、その点はちつとも変りはないんです。
#53
○小林武治君 従つて二台でもいいということになる。
#54
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうです。常雇にすれば二台になつて来る、それだけのことです。
#55
○小林武治君 それでよろしゆうございますか。
#56
○衆議院議員(鍛冶良作君) 常雇をしていかんということを書けばどうか知らんが、それでなければ乗つていかんということは書けんと思いますが。
#57
○伊能芳雄君 積雪泥濘の場合にトラツクを使うわけですが、これは誰の判断ですか、積雪、泥濘で乗用車、小型では困るというのは誰が判断してきめるのですか。
#58
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、許可する人とか何かはこの法律では予定してございません。従つて候補者自身が客観的な事実に基きまして、天候上トラツクを使わなければどうしても困ると、不可能であるというような認定によつて使う、こういうことになります。
#59
○伊能芳雄君 そうすると、各自の候補者の判断でやられるのですか。
#60
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さようでございます。と申しますのは、これはどこかの認可とか許可という問題を取入れますと、結局は警察の許可とか或いは又選挙管理委員会の許可とかいうような問題になろうと考えますので、そういうことになりますと、場合によりましては、いわゆる選挙干渉と申しますか、そういうような、いろいろなそれに伴ないまする又弊害の面も出てくると考えまするので、一応原案はさようになつております。
#61
○伊能芳雄君 トラツクに常時人を乗せて歩くというときには、何か警察の選挙法以外の自動車取締法の関係の許可が要るのじやないですか。
#62
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点はこの選挙法とは別に、道路運送取締法がございまして、いわゆるトラツクは貨物を乗せるものでございますので、それに人間を乗せる場合におきましては、特別の許可が要ることになつております。これはこの前の選挙法の改正の際には、選挙法の中で特にそういう場合には、選挙に使う場合には警察の許可は要らないようにしたらどうかという意見がございまして、さようなことを法文の中に取入れた案を考えたこともございますが、今度は原則としてトラツクを使わないという建前になつておりまするので、それを入れますることはその思想と矛盾いたしまするので、それは、一般の交通取締法の問題に任してあるわけでございます。
#63
○伊能芳雄君 そうすると今後協定によつて、こういうものは認める認めないということは、もつと細かく協定によつてきめて、警察としてはそういうものは許可してくれるなということを委員会から申入れて抑えるという手はあるのですね。
#64
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 選挙の運動用に使います場合の天候如何によつて、どうのこうのという問題は、これは警察の問題では私はないと考えております。警察はただ天候がどうであろうが、よかろうが悪かろうが、要するに荷物を載せる車に乗すべからざる人を乗せるということについて、保安上の見地から許可を与えるかどうかという問題でございますから、それはただそれだけに限定しておいたほうが、いろいろな点からベターではないかと考えております。
#65
○伊能芳雄君 それから婦人会、青年団等の例を挙げてありましたが、これらのところへいわゆる顔を出すというのは、個人演説会の回教に入れるという解釈を決定しておられるのですか。そういうようなことですかね。
#66
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は原案に、先ほどここでお話がございましたように、原案には入つてないわけでございまして、それを原案に入れるかどうかということについて、現在衆議院でもいろいろ意見がございます。従いまして原案の解釈、原案だけについての解釈で申上げますれば、それは個人演説会の回数には入らないということになります。従つてそれは個人演説会の回数に入れたほうがいいじやないかという意見はございます。
#67
○伊能芳雄君 今のところ入れていないという考え方でございますか。
#68
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さようでございます。
#69
○伊能芳雄君 政党その他政治団体ということを言つておりますが、政治団体は大体どんなものを考えておられるのでありますか。
#70
○衆議院法制局参事(三浦義男君) これは特に選挙法では、ただその名前を引用いたしましただけでございまして、定義をいたしてございませんが、御承知の政治資金規正法には、政党、協会その他の団体という名前を使つてございまして、規正法の二条であつたと思いますが、そこに政党の定義、政治団体の定義がしてございまするので、やはりその定義を大体選挙法の立案過程におきましては受継いで規定をいたしているわけでございまするから、規正法の定義が大体政党並びに政治団体の定義をお考え頂きましてよかろうかと思つております。
#71
○伊能芳雄君 そうすると、本来は政治をやることが目的でなくても、政治団体の届出をしたあれは皆入ることになるのですね。
#72
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことでございます。
#73
○伊能芳雄君 もう一回さつきの答えを求めますが、そうすると、さつき言つた婦人会、青年団というようなところ、消防団が集つている、工場の従業員が集つている所へ候補者が来たんだからちよつと挨拶をしてくれ、こういうのは禁止する趣旨ですか。それとも認めて行こうという考え方でどこかへ入れて行こうという考え方ですか、お考えの方向としては……。
#74
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今の問題は、只今衆議院からこちらのほうに出されました案におきましては含まれておりませんので、先ほど私が申上げましたような解釈になまするが、立法論といたしましてそれを入れたがいいか、入れないがいいかということは、現在衆議院におきまして問題になつているわけでございます。
#75
○衆議院議員(森三樹二君) ちよつと今の問題、私から補足して御説明いたします。それは三浦さんは抽象的に両論があるという御説明ですが、これは私どもの見解とそれから鍛冶君の見解とは違うのです。鍛冶君のほうでは、そういうものをやるのであれば個人演説会とみなして、個人演説会の中に算入しなければならない。そうしないと個人演説会という規定があつても、つまりなきに等しいといいますか、個人演説会を六十回というものに法文では限つてあるわけです。それをそのほかに青年団とか、婦人団体とか、或いは映画の幕間とかに無制限にやらせれば、その六十回という制限というものは壊れてしまう。だからこれは六十回の中に入れなければならない、こういうのが鍛冶君なんかの意見なんです。ところが私どもの意見というのは、やはりできるだけ政見というものを多数の人に聞かしてやるのが選挙運動の本旨ではないか、だからあらゆる機会に大衆に接触して政党の政策等を浸透すべきである。工場や或いは婦人、青年団、或いは演劇の幕間等にやることは、これはできるだけ許していいのじやないか。そういうものを六十回の中に入れるということになると、これはもう殆んど制限されてできなくなつてしまう。それはそういうような団体に行つて挨拶するやつは、例えば自動車で走りながら、来てくれと言われて、すぐ走つて行つてやるというような場合がばしばし起きますから、一々それを届出るなんという面倒なことはできない。だからそれを切り離して別々にやるべきだというように議論が分かれているのであります。併し当委員会に提出いたしました衆議院通過案は、六十回の個人演説会だけと、それから先ほどの青年団や或いは婦人団体、或いは演劇映画の幕間にやるということはやはり分離されているのです。そういうわけでございます。
#76
○若木勝藏君 今の問題に関連するのでありまするが、結局この二十七年度におけるところの選挙法の改正のときには、これは相当選挙運動について論議があつたのです。その際に非常に我我の重要な点として主張したものに、金がかかるとか何とかいうことによつて表面当然やらなければならないようなことを極度に制限することは、逆に闇のほうに使うところの金が大きくなつて来て、非常に腐敗した政治家が出る、従つて我々の政見の発表とか、或いは政策について大衆に徹底的に知らせて行くというような方面については、これは十分一つ考慮しなければならない。そういう点から今お話のあつた個人演説会を六十回に制限するということも随分これは議論がありました。そういう制限を加えることは全く大衆の政治啓蒙の上から見ても、公明な選挙という方面から見てもこれは不徹底なことに終るのじやないか。むしろ障害になりはしないかと、そういうことでこれは六十回に限定することはどうもまずいと、そういう話があつたのです。ところがまあいろいろな議論の結果そういうふうに六十回という制限が出たのです。そこで今のこの青年会とか或いは婦人団体とか、或いは映画の幕間というようなことについては、これは認めようではないか、こういうふうなことになつたのです。そういう問題に絡みまして、今回のいわゆる自動車或いは拡声機、或いは船舶の使用、こういう方面についても相当これは二十七年度におけるところの選挙法を更に改訂して範囲を狭めて来たように私は思うのです。これらについて先ず一つ伺いたいのは、いろいろ制限の事項が殖えて来ましたけれども、なかんずく自動車、拡声機、船舶には文書、図画の掲示は一切これを禁止すると、こういうふうな項目が出ておるのでありますが、そうしますと、この候補者が乗つて行くところの乗用車になるか、或いはトラツクになるか、これはたすきをかけた候補者が立つて行くというだけで、これは何党のどういう候補者であるかというようなことは全然通つておるときに沿路の大衆、そういうふうな方面には一般にはわからんということになると思いますが、そういうふうになるのですか。
#77
○衆議院議員(鍛冶良作君) その通りです。そこでその今の御議論ですが、これはやつぱり考え方なんで、個人の運動をどこまでも殖やそうという考えと、個人の運動は或る程度制限しても、その代り公営と政党の運動を殖やせばいい、こういう考え方で、いずれが金のかからん、違反のない選挙になるか、こういうことの最後の目標について意見が分れれば、これはどうも意見の相違という点でいたし方がありません。そういう意味でそういうことになつた。それから今の車の上のは、主として今までのようなトラツクの上でがたがたやるのをやめようじやないか、飾り付けしなければトラツクの上に乗らんだろう、人間が少なければ乗らないじやないか、こういうところからも出ていることは間違いございません。それと先の演劇の幕間、青年団等の話ですね。これは私は参議院における議論は存じません。存じませんが、衆議院においては、これは私は小澤委員長に念を押してやりましたので、座談会その他一切の集会をもこの中へ入れるんだ、初めは三十回説あり、四十回説あり、六十回説あり、八十回説ありと、結局そういうことで六十回に落着いたことだけは間違いございません。ところがどうも演説会以外の演説というものがある、こういうことになつて、あれが重要問題になつたものだから今改めて議論された、こういう実情でございます。
#78
○委員長(中田吉雄君) 速記を止めて下さい
   〔速記中止〕
#79
○委員長(中田吉雄君) 速記を始めて下さい
 それではこれで休憩いたします。
   午後四時三十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時十八分開会
#80
○委員長(中田吉雄君) それでは休憩前に引続きまして委員会を開きます。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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