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1947/06/22 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第13号
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1947/06/22 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第13号

#1
第002回国会 農林委員会 第13号
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○農業災害補償法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○輸出入植物檢疫法案(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
   午後一時三十五分開会
#2
○委員長(楠見義男君) それじや委員会を開会いたします。本日は先ず最初に農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして大体これは本日採決をお願いいたしたいと思つておりますが、それが済みますと、引続いて本審査を委託されております輸出入植物檢疫法案、これの審査に入ることにいたしたいと思つております。尚それから配給公團法令の一部を改正する法律案が同様に本院の本審査になつておりますので、外の法律案は、御承知のように、全部衆議院先議でありますが、この法案だけは参議院先議になつております。從つて時間がございますれば、これにも入つて頂きたいと存じております。最初に農業災害補償法の一部を改正する法律案の本審査に入ります。
#3
○石川準吉君 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、一、二の点をお尋ね申上げたいと思います。第一点は、今度改正になりますところの十三條の二の一項の規定によりますと、製糸業者或いは蚕種製造業者というような業者が、共済掛金の一部を負担するようになつておるのでありますが、更に同條の五項を見ますと、これらの負担金というものは、讓り受ける者が負担するように統制額を決めなければならんということになつておりますが、從いまして製糸業者については問題はないと思いますが、蚕種製造業者の場合においては、その蚕種を讓受けるものは養蚕家だと思います。そうすると養蚕家が蚕種業者に代つて負担するようになるのかどうか。その蚕種業者が、製造業者が負担する負担の方法をこれはどういう方法でやるかということを第一点にお伺いいたしたいと思います。
 それから第二点は、八十四條の規定によりますと、冷害のところで、特に雪害ということを書いておるのでありますが、從來我々は冷害の下に当然雪害が入つておるというような意味で記憶しておつたのでありますが、特に雪害というものを拔出してここに掲げたのは何の理由があるのかという、この二点をお伺いいたしたいと思います。
#4
○委員長(楠見義男君) 庄野保險課長から答弁させます。
#5
○説明員(庄野五一郎君) 御答弁申上げます。先ず第一点の蚕種業者の負担する掛金はどういうふうになるかという点でございますが、これは蚕種業者が蚕種を賣渡す際に、その價格の中に織込むようになるので、一般に養蚕農家の方に轉嫁されることになる。又養蚕農家は更にこれを以て繭を生産いたしまして、生産をして賣渡す際に種として買つたものは経費として織込まれる計算になつて、更に一般の繭の代金の中に繰込まれるということになります。それから種繭は大体一般の養蚕と違いまして、種繭特定の種繭製造業ということになつて、特定されておりますので、循環する。ぐるぐる廻るという関係はなしに種繭を製造家から一般農家に生産して渡す際にこれに入れます。そうしてそれで養蚕いたしまして、繭を供出する際にその代金の中で回收して行く、こういうことであります。
 それから第二点の雪害は新らしく加えた次第であります。
#6
○石川準吉君 そうすると只今の御説明によりますというと、何だか養蚕家が負担するようにちよつと聞こえたのですが……。
#7
○説明員(庄野五一郎君) 養蚕家が一應負担する形になりますが、普通の繭を作つて、繭として今度農家から一般製糸業者に賣る場合に、その中に費用として見込んで行く、更に繭の代金の中に轉嫁されて行き、直接負担するようになりますが、更に一般の生糸の消費者の方に轉嫁されるという形になります。
#8
○石川準吉君 併しそうするというと、蚕種業者というものは全然負担しないということになりますか。
#9
○説明員(庄野五一郎君) 製糸業者と同じ関係になります。
#10
○委員長(楠見義男君) 外に御質疑ございませんか。
#11
○羽生三七君 この前も私お尋ねし、又希望も述べて置いたのでありますが、今度の改正案の中第十三條の二に、ここに掲げられたような項目を加えられるについては、先にこの原案の方に、主要食糧について、消費者が主要食糧の價格の中に、保險料の一部を負担するように織込んでおるわけでありますが、このことが私再三申上げたようにどもう多少私承服しかねるものがあるのであります。確かにそれは財政上困難であるといえば、まあ困難な実情にあるわけでもあるし、又同時に災害の一部を、食糧の消費者が、共に負担するという考え方も、自由経済ではない、今日の統制経済の時代においては、成立たないわけでもないのでありますが、可なり矛盾がある。それと同じ問題を又再びこの第十三條の二項に持つて來て、生糸の保險に対しては又再び消費者がこれを負担しなければならないようにするのは、どうしても私としては納得しかねる点があるのであります。これはやはり速かに、全額とは申しませんが、國庫がこれを負担して、消費者に轉嫁するというようなことは、少くとも避けなければ保險法の趣旨に私、副わないと思いますが、この点に対してもう一回政府の御答弁を伺いたいと思います。
#12
○政府委員(大島義晴君) 只今の御説、誠に御尤もでありますが、併し昨年の第一回國会におきまして、主食に関しては消費者が負担するという形態をとつておりますので、特に本年の改正におきましては、製糸業者がその一部を負担するということにしておるのでありますが、これについて実は私本年度の雹害の調査に参りましたときに、結果においてはこれ以上なことを、製糸業者が進んで養蚕農家に協力しておる事実を目撃しておるのであります。これはたまたま養蚕保險法の内容に触れますので、この機会に申上げて置きたいと思いますが、丁度雹害の地域に参りましたところが、この保險は繭に対する保險であつて、桑葉に対する保險ではない、從つて桑は駄目になつたが、あと桑を買つて蚕を売上げてしもうと補償金が貰えないという、そういう誤解が一部に非常に強かつた。そうして、そういう誤解を持つた方は、折角の蚕糸を捨てて、そうして保險金を貰うという態度に出たのでありましたが、私共は非常に驚きまして、そういうことはない、災害補償というものは災害を補償することが目的なのだからして、若し仮に桑が駄目になつた場合に、桑の買入れをするという場合においては、桑葉の保險にまでこれを延長すべきである。尚又繭がそれが原因となつて減收するならば、これをも補償すべきであるということをよく話をいたしまして、更に省内におきましてもこれに対する解釈を統一いたしまして、雹害による桑葉の被害の補償をすることは勿論、やはり繭にも補償したい、今までの桑葉だけの保險であつたものを繭にまでこれを拡張したというふうに、御解釈願つて差支ないのでありまして、そういうような御解釈の下に、本年の雹害の対策をいたしておつたのであります。たまたまそこに製糸家の各位がこの雹害を聞いて驚いて駈けつけて参りまして、養蚕農民のためにできるだけの協力をする、桑の買入れ代金がないならば製糸家がみずから進んでこの金を出そう、或いはそれに対する方法を具体的に相談して呉れれば、如何ような手段でも講ずる、とにかく國家のためにこの繭をとるべきだという、この事実を基礎としての非常に美わしい情景に私共際会しておるのであります。從つて一應ここに昨年の関係もありますので、この機会にこれを御協賛願つて置くことの方が、非常に両者協力の上におきましても便宜であろうと考えておるわけであります。
 尚この機会にもう一つ附加えて申上げて置きたいと考えますことは、昨年の國会におきましても、陸稻のような非常に危險の多いものを、保險の対象から除くことは怪しからん、というような御意見が盛んにあつたのでありまして、これに対しましては本年の五月二十七日附を以ちまして、政令で陸稻を災害補償の対象とすることに決定いたして、その旨を通知いたしておりますので、今後は水稻のみならず、陸稻も保險の対象になるということに御了承願いたいと思います。
#13
○羽生三七君 今の政務次官のお答えで了承した点もあるのでありますが、申上げて置きたいことは、私共は農業災害に見舞われた農家の救済において、協力することについて聊かも吝かでないのであります。むしろ積極的な熱意を持つておる。ただその負担の方法の、一部が消費者に轉嫁されるような形で、價格の中に織込まれておるが、保險という事業の建前からも妥当であるか、ということに非常に疑問を持つておるのでありますが、この点は私としてももつと研究したいと思うけれども、併し私自身の自分の結論からいえば、それは本旨ではないと思うのであります。当面止むを得ないとすればそれはこれを認めますけれども、やはりこれは速かに國庫が負担するような方向に、切替えられた方がよいということを希望として申上げておきます。
#14
○委員長(楠見義男君) 他に御質疑ございませんか。御質疑がなければこれで質疑を打切りまして、直ちに討論採決に入りたいと思いますが、如何でしようか、簡單な法案でありますから討論を省略して直ちに採決に入りたいと思いますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、それでは直ちに採決に入りたいと思います。農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、原案通り可決することに御賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔起立者多数〕
#16
○委員長(楠見義男君) 過半数を認めます、過半数によりまして本案は原案通り可決することに決定いたしました。では多数意見者の御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#17
○委員長(楠見義男君) 次に先ほど申上げましたように、輸出入植物檢疫法につきましても審議に入ります。先ず大島政務次官から本案の提案理由の御説明を伺います。大島政務次官。
#18
○政府委員(大島義晴君) 只今議題になりました輸出入植物檢疫法に関する御説明を申上げたいと思うのであります。
 我が國における輸出入植物の檢疫は、大正三年以來輸出入植物取締法に基いて、これを実施しまして、農林作物病菌害虫の侵入防止並びに農産物輸出助長に貢献して参りましたが、植物檢疫機関は、戰時中は貿易の杜絶に伴つて、一時活動も停滯状態になつていましたが、貿易の再開と共に再びその使命の重要性を加えるに至つたのであります。
 海外より輸入される植物の檢疫を励行して、これに附着する病菌又は害虫の侵入を防止しますことは、國内生産の安全確保の上に極めて重要な意義を有しますと共に、輸出農産物等につきまして、外國の要請する植物檢疫を徹底いたしますことは、農産物等の輸出振興に寄與するところが大でありますので、從來の規定の不備を補つて、檢疫の徹底を期したいと思うのであります。
 尚輸出入植物の檢疫機関は、昭和二十一年度までは海運局に所属し、その事務の内容について農林省が指導監督して参つたのでありますが、昭和二十二年度から動植物檢疫所として農林省に直属することとなりましたことと、諸法制の改正に伴いまして種々改正を要する点ができて参りましたので、現行法を廃止し、これに代えて輸出入植物檢疫法を制定することが必要となりましたので、ここにこの法律案を提出する次第であります。何卒愼重御審議の上御協賛あらんことをお願いする次第であります。
#19
○委員長(楠見義男君) それでは只今提案理由を伺いました輸出入植物檢疫法につきまして、補足的に担当官から説明を伺うことにいたしたいと思います。どうぞお聽取りを願いたいと思います。
#20
○説明員(保坂信男君) 局長がちよつと衆議院の方に参られておりますので、代りまして簡單に改正の要点、それから植物檢疫の機関の現状等につきまして御説明をいたします。今政務次官から提案の理由について大体御説明がありましたが、改正の要点につきましては、お手許の資料に配つてあります通り、先ず第一点は從來の輸出入植物取締法という名称を輸出入植物檢疫法に改めましたが、これは実態が輸出入植物取締というよりは、むしろ輸出入植物に附着する病菌害虫の取締であり、実態が檢疫であるという点から名称を変更した次第であります。それに伴いまして全文改正となつた次第でありますが、要点は領土と輸出入の関係を先ず明記したことであります。これは貿易等臨時措置令のように、現在の領土関係の未確定の場合に、その未確定な島嶼と本土との間における物の移動関係をも輸出入関係としまして、これを取締る必要があるからでありまして、この命令で定める地域と申しますのは、千島列島、小笠原諸島、硫黄列島、大東島列島、南鳥島、中鳥島等を除く予定であります。
 第二点は、輸入と輸出との場合を区別して、別の章に規定いたしました点でありまして、從來は輸出入関係につきまして同じ條文に取扱つておりましたが、輸入につきましては病菌害虫の侵入をすることを防止しまして、國内生産の安全を確保するということが、眼目でありまして、外國の立法例等におきましても、輸入の場合の害虫病菌の侵入防止という点に重点が置かれておるのでありまして、輸出の点につきましては、その輸出農産物等の病菌害虫の取締を外國の要求によりまして、それに應じて実施いたしますことによつて、輸出の振興に寄與するという点でありまして、その目的の相違から参ります諸規定の差異もございますので、一應今回は別の章に規定することにいたしました次第であります。
 先ず輸入植物の檢疫について申上げますと、今回第三條の規定にありますように、外國から入つて來ます場合に、その外國の檢査証明書を要求する。これがないものは輸入してはならない、ということを新らしく規定いたしました。この点は外國から輸入をいたします場合は、外國においてその附着していないことを、責任を以て檢査して貰うということが、先ず侵入を防止する点におきまして有意義でありますと共に、國内における開港、飛行場におきまする國内の檢疫官の檢査に便するところが大きいわけでありますので、この規定を加えた次第であります。但し我が國の環境としましては、中華民國その他近隣の諸國に、輸出につき檢疫を実施いたしません國が多数ありますので、その場合にはその檢査証明書がなくてもいいということの除外例を設けた次第であります。
 それから輸入につきましての第二点は、從來檢査を行う場所は、開港だけに限られておりましたが、今後航空機等で輸入される場合を考慮いたしまして、飛行場等も指定することができるようにいたしました。
 第三の点は、現行法によりますと、郵便物として輸入する場合は、小包郵便物なり、小型包装物以外の郵便物の形式として、輸入してはならないことになつておりますが、その規定は権利義務に関係する規定でありますが、法律の委任なくして施行規則の中に、省令に入つておりますので、この規定を法律の中に取入れた点であります。
 第四番目の点は、現在輸出入の檢疫につきまして、輸入の場合も、輸出の場合も、犯則事件があると認められるような場合、臨檢、訊問、捜索、差押等のことができるようなことになつておりまして、これは間接國税犯則者処分法を準用することになつておりますが、新憲法の精神から鑑みまして、この規定は適当でないという建前からこの準用を廃めまして新たに輸入の場合には立入檢査或いは質問等をすることができる程度に止めた次第であります。
 次に輸出の場合について御説明申上げますと、輸出の場合につきましては、今回新たに栽培地においても植物檢疫官が所要の檢査をすることができるように、新たに附加えた次第であります。この点は從來からも外國において病菌、害虫の附着云々のほかに、圃場、栽培地における栽培環境その他につきまして、諸種の要求をいたしておるものがあるわけでありまして、その要請に應えることが一つと、もう一点は、例えば「ゆり」とか「チユウリップ」の球根のような場合には、港においてこれを檢査いたしましたのでは、その問題の点であるバイラスにつきましては、事実上檢査ができないというような点がありまして、これは予め圃場においてその檢査を実施いたしまして、選別するということが、外國の要求に適合する上において、当を得た手段であると考えますので、今回新たに栽培地檢査も植物檢疫官が実施することができるということにいたした次第であります。
 尚間接國税犯則者処分法の準用規定を廃めました点は、輸入の場合と大体同趣旨であります。輸出の場合には外國からの病菌、害虫の輸入を防ぐというようなことではなく、輸出のために外國の要求に應じてその輸出に便するという点でありますので、輸出の場合には再檢査をすることがきる。病菌、害虫が附着していると認めた場合には、一應檢査をしてもその後の処置の如何によつては又再檢査をすることができるということで目的を達すると考えますので、この限度に改めた次第であります。
 尚檢査の場所につきましては、輸入の場合に述べましたところと概ね同樣のことでありますが、この場合には更にその数量の多寡、檢査の便宜等を考慮しまして、特定の場合にはその産地においても、港における檢査と同樣な檢査ができ得るようにしたいと考えます。
 尚輸出入植物檢疫の審議会というのを新たに設けるように規定をいたしておりますが、これは輸出入植物の檢疫に関する事務が、外國殊にアメリカ等に比較いたしますと、極めて中央の機構も貧弱でありまして、係が僅かしかおらんというような現況でありまして、その病菌、害虫の入ることによつて生ずる影響を考えますときに、この問題を取上げるには極めて陳容が貧弱である。この各方面の知識を集めて適切な処置をするというためには、大学とか、民間等の権威者の御意見を徴して問題を決定して行く。例えば輸入を禁止するのはどの植物にすべきか、病菌、害虫の認定の問題とか、種々困難な問題について権威者の意見を聞いて決定することにいたしたいと考えまして、審議会を設けた次第であります。
 尚服制、新たな罰則規定を改正した点等が改正の要点であります。
 尚植物檢疫規定は、現在この参考資料の植物檢疫機構の概要というところにあります通り、動植物檢疫所というものがございまして、これは從來昔は大藏省の税関関係に所属しまして、その後海運局に移りまして、二十二年度から農林省に名実共に移管されたわけでありますが、その際に動植物檢疫所の官制を設けまして、横濱と、神戸と、門司とに動植物檢疫所を設置いたしました。尚、その出張所いたしまして、横濱につきましては東京、函館、小樽、神戸につきましては大阪、名古屋、敦賀、門司においては博多、長崎、鹿兒島の出張所を設けて、それぞれ各港においてこの業務を担当しておる次第でありますが、輸出入関係の増大いたします傾向におきまして、今後は更にこの防疫を徹底いたすために、括孤して新設とあります通り、横浜賀、清水、四日市、舞鶴、佐世保、下関等に新たに出張所を受けて、防疫の徹底を図りたいと考えておる次第であります。以上簡單でありますけれども御説明を終ります。
#21
○委員長(楠見義男君) いすれ政府委員が参ると思いますが、只今の説明員が説明いたしましたことについて御質疑がありましたらどうぞ。
#22
○寺尾博君 私はこの法案に連関して檢疫所関係のことを……。
#23
○委員長(楠見義男君) 説明員でようございますか。
#24
○寺尾博君 これは資料にして提出して頂きたいので……。
#25
○委員長(楠見義男君) 資料の要求……どうぞ。
#26
○寺尾博君 じやお願いします。戰時中植物檢査が相当弛緩されたろうと想像しておる。その結果重要な恐るべき病害虫が日本に入つて來たものはないか。最近の請願にも九州方面における蜜柑のミハヘに対する駆除を徹底して呉れというのがありますが、これなどはその一例ではないかしらんと思うのであります。若しそうであるならば、それらがいつ頃から入つて來たと認められ、且つ今日どの程度に蔓延しつつあるか、又それが如何なる程度に恐るべきものになるだろうかという見通し等に関して、その調査報告をお願いいたしたいと思いますが、それが一点。
 その次には輸出入の植物の檢査に当つては、病害虫の附着するもの、附着する病害虫、何でもそこに現われている病害虫は当然檢査の対象になると思います。即ち日本内地に全く同一であるところのものが存在しておる場合におきましても、輸入植物に付いておる場合においてはその殺虫、殺菌なりをし、又輸出する場合におきましても、外國と日本に同時に存在するものについてもとにかく虫の着いてものを輸出するというわけには行かないから、そういうものを対象とするのは当然のことと思いますが、この病害虫の檢査に当つて特に注目されるのは、外國において恐るべきところの病害を現わしておつて、それがまだ日本には現われていないというもの、これが輸入の場合においては特に注意しなければならん。從つて外國におけるそれらの病害虫の存在については、その方の研究法を常に注目して、又外國との通信によつて特に警戒すべきものに注意を拂う、こういうような種類の病害虫が恐らくある筈だと思う。その種の特殊の病害虫と認められておるものが、何何、何々というものが、はつきり分つているや否や、そういうものの調査、それと又逆にこつちから輸出する植物に対するものにつきましても、日本に存在する病害虫で外國が特に恐れをなしておる、而してまだ外國にはやつてないというもの、こういうものについて特別な注意を拂うということは当然であると思います。やはりその種のものとしてどういうものが病虫害上認識されておるか、こういうような点を技術的な報告として提供して頂きたい。それが二点であります。
 それから第三点は、バイラス病についてであります。他の病虫害は概して苗なり種なりにその病害虫が附着することが、肉眼なり或いは顕微鏡なり或いは発芽試驗の方法によつて、これを檢出することが可能であり、又專門家としては十分なる手段を盡してその檢出に努めようとするのであろうが、バイラス病はこれは一見して果してそのバイラス病源を持つておるかどうか、種でも植物体でも分らない場合が少くない。而もバライス病においては実に危險なものがあり、又これが一度蔓延するとなると、藥剤を以て防除し難いような場合も少からずあるのであります。これに対する開港なりその他におけるところの、いわゆる檢査というようなことにおいて、バイラス病の檢出は必ずしもできないということがあり得ると思う。それらの場合には、適当なるところの離島のごとき隔離された場所において、それらのものを成長せしめ、或いは発芽せしめ、そのバイラス病の兆候が発現するのを待つて、初めてその檢出ができると思うのでありますが、その種の事柄がこの法案の中には現われていないように思う、これらに対してどういう措置をとる方針であるか。以上の三点につきまして資料又は説明をお願いいたします。
#27
○委員長(楠見義男君) 只今八木技官がお尋ねの点について御説明したいそうでありますから、説明員として許可いたしたいと思います。
#28
○説明員(八木次郎君) 只今の御質問についてお答え申上げます。一番初めて御質問になつた九州のミハヘでありますが、これは植物檢疫とは関係ありません。明治三十年頃から発生しておりまして、それを一生懸命やつておつたのでありますが、だんだん少くなつた。ところが戰時中放置したために、病害虫の対する対策或いは藥剤の欠乏のために、今のような状態になりまして、三年程前から急速に出て來てのであります。分布地域を殆んど九州一円に拡がつております。新らしい土地、暖かい土地に対してはまだ拡がる可能性がありますので、私共としては嚴重にこれの調査について至急に対策を建てようとしております。
 それから内地におる病菌害虫と同じものが入つております場合には、どうするかというような御質問がありましたが、これは生態的の品種なんかありますので、内地におるから檢査は要らないというわけには行かないのであります。それで嚴重に取織をやつておりますが、施行規則で、特に重要な病菌害虫が取つ附いていないだろうと思われるものは、外すようになつております。それは前の施行規則を見て頂けば分りますと思いますが、穀類などについては現在やつておりません。これも重要なものがありましたか、直ぐ追加する予定であります。
 それから特に外國で注意すべき病害虫はどうかというお問に対しまして、現在日本に入つて來る可能性がある、これだけは特別にやらなければいかんというものについては別表で禁止地域を設けております。改廃に当りましてもこれは変えないつもりでおります。
 それから外國で特に注意しておる日本の病菌、これに対しても常に情報を交換しております。日本からアメリカへ行きましたジャパニーズ・カンカーとか「まめこがねむし「(ジャパニーズ・ビートル)、こういうようなものに対して向うで特別要求をしておりますから、これに対しては十分対應する檢疫を行なつております筈であります。
 それからバイラスの対策でありますが、これは昨年度から隔離圃場というものを設けまして、それでバイラスの発生する虞れのあるもの、馬鈴薯或いは豆類の特殊なもの、バイラスが出そうなものについては、檢疫所で檢疫を一遍に済ませないで、隔離圃場へ栽培して、その結果バイラスが出なかつたら輸入を認める、こういう方法を行なつております。今隔離圃場は横浜で一ケ所しかまだ作つておりませんが、経費ができ次第、又外の所へも設置したいと思つております。
 申落しましたが一番初め申されました植物檢疫機関が弛緩しておつたために、或いは人員、施設がなくなつておつたために、戰時中或いは戰後恐るべき病菌害虫が入つたのではないかというお思がありますが、現に一、二の例があります。非常に困つておりますので、そういうものについてもやりたいというので法律を改正しようとした大きな原因になつたわけです。
 これはまだ十分に対策はとつておりませんが、アメリカで一番重要な問題になつておりました馬鈴薯のリングロット、こういうものは二、三週間程前に日本に発生したという報告を受けました。これは北海道であります。馬鈴薯の病害としてアメリカでは一番恐しいものである。G・H・Qの方からも、リングロットが日本に入るかも知れないから十分に注意して呉れと向うから警告を貰つたのであります。
 それから一昨年輸入した豆類に伴つて「よつもんまめぞうむし」というのが入つて参りました。名古屋から入つたのでありますが、そのときには名古屋の檢疫所に人間がおりませんでしたし、設備もなかつたような関係で、知らないうちに食糧用として放出されてしまつた。ところが放出して分配せられた所が廣島から名古屋の間です。これは植物檢疫官が氣が附いたのは、もうすでに入つて配給を貰つてからであつたというようにことであります。もうその他に格別重要なものが今入つておるとは思いませんので、十分な注意を促して嚴重にやつておりますから御了承願います。
#29
○平沼彌太郎君 只今の説明で了承いたしましたが、今の外國での重要視せられておるこつちへ輸入すると非常に恐いというようなもの、又外國が恐れて、おるところの虫、それから先程の輸入禁止区域と、それから只今の最近入つて來た病害、それらの記事を何か学術雜誌にでも出ておるならば、そういうものでもよろしいが、ただこの話しで聞いただけではエキザクトの拠りどころのある、はつきりした正確な智識になりませんので、そういつたようなものを簡單に取纏めたものを謄写刷りにでもして、御配布を願いたいと思うのであります。
#30
○説明員(八木次郎君) そのように心掛けて資料を作ります。
#31
○木檜三四郎君 一つ材料でお伺いしたいのでありますが、今ここで新らしくお設けになる植物檢疫所横濱、神戸、門司、これに各出張所が新たに作られるようでありますが、戰爭前に植物檢疫所を設けられて実施をなされた吏員、施設と個所をお調べがあつたら一つお示し願いたいと思うのであります。
#32
○説明員(八木次郎君) ちよつと御説明いたします。お手許に配布いたしました資料の中にはありませんですが、法律の中に施行規則の裏に、現在勅令で指定されております港が載つております。
#33
○説明員(保坂信男君) 先程の檢疫所のガリ版刷りの二枚目です。
#34
○委員長(楠見義男君) 後から五枚目です。それでよろしうございますか。
#35
○木檜三四郎君 戰爭前の植物檢疫所の役所の位置並びに吏員の数がこれに出ておるのですか、それを頂戴いたしたいのです。吏員並びに役所の個所、そういうものを参考に教えて頂きたいのです。
#36
○説明員(八木次郎君) 開港指定というのがある筈ですが、吏員の数は後程御報告いたします。
#37
○委員長(楠見義男君) 他に御質問ありませんか。
#38
○木下源吾君 これは馬鈴薯も檢疫するのですか。
#39
○説明員(八木次郎君) やつております。
#40
○木下源吾君 北海道の馬鈴薯の檢疫、種薯の檢疫はどういうような実情になつておりますか。
#41
○説明員(八木次郎君) 北海道でやつております種薯の檢査というのは、食糧管理局の方でやつております、内地産の種薯の檢査であります。この輸出入檢疫の方には全然関係ございません。
#42
○岡村文四郎君 輸出じやないのです、輸入でもない。
#43
○木下源吾君 この法律の中に北海道と書いてあるのですが……。
#44
○岡村文四郎君 輸入でも輸出でもないわけです。
#45
○木下源吾君 北海道、四國、九州という所とやるのが輸出入とみなすというんじやないのですか。
#46
○説明員(八木次郎君) この法律の中にあります輸出入と言いますのは、日本本土全部を含めたものから外國へ出すものという意味でありまして、道府縣の間の移出、移入の関係は規定してありません。
#47
○委員長(楠見義男君) 御質疑ございませんか。他の案件に入りたいと思つておりましたが、政府委員の御出席がおりませんので本日はこの程度で散会いたします。明日は肥料配給公團令の一部を改正する法律案について本審査を始めたいと思います。これはこちらの方が先議になつておりますので、いたしたいと思います。それから本日の輸出入植物檢疫法その他今まで予備審査をいたしましたことにつきましても、時間がございますればいたしたいと思います。明日は午前十時からいたしたいと思いますからどうぞ……。本日はこれで散会いたします。
   午後二時二十八分散会
 出席者は左の通り
   委員長     楠見 義男君
   理事
           羽生 三七君
           高橋  啓君
   委員
           門田 定藏君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
           木檜三四郎君
           竹中 七郎君
           宇都宮 登君
           岡村文四郎君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
  政府委員
   農林政務次官  大島 義晴君
  説明員
   農林事務官
   (農政局農業保
   險課長)    庄野五一郎君
   農林事務官
   (農産課勤務) 保坂 信男君
   農 林 技 官
   (農産課勤務) 八木 次郎君
ソース: 国立国会図書館
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