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1947/11/14 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第21号
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1947/11/14 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第21号

#1
第001回国会 予算委員会 第21号
昭和二十二年十一月十四日(金曜日)
    午前十一時四十六分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 小島 徹三君 理事 苫米地英俊君
   理事 庄司 一郎君 理事 川野 芳滿君
   理事 東井三代次君
      海野 三朗君    加藤シヅエ君
      河合 義一君    黒田 寿男君
      竹谷源太郎君    中崎  敏君
      中原 健次君    西村 榮一君
      安平 鹿一君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    古賀喜太郎君
      五坪 茂雄君    鈴木 明良君
      佃  良一君   長野重右ヱ門君
      原 健三郎君    山崎 岩男君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      磯崎 貞序君    植原悦二郎君
      角田 幸吉君    小峯 柳多君
      鈴木 正文君    西村 久之君
      今井  耕君    中村 寅太君
      野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  片山  哲君
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        經濟安定本部貿
        易局長     藤澤 次郎君
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   福田 赳夫君
        大藏事務官   河野 一之君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
        農林政務次官  井上 良次君
        食糧管理局長官 片柳 眞吉君
        商工事務官   椙杜正太郎君
        運輸政務次官  田中源三郎君
 委員外の出席者
        商工事務官   鈴木 康平君
        商工事務官   讃岐 喜八君
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第八號)
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 それでは開會いたします。
 昨日に引續き質疑を續行いたします。大藏大臣は間もなく御出席になりますが、農林次官への御質問を先にいたします。東井三代次君。
#3
○東井委員 昨日總理大臣に全國十四府縣に對しまする旱害對策につきましての、政治責任につきましてお尋ねをしたのですが、その際に總理大臣は、よく事實を調査の上、極力善處をするという意味の御返答があつたのであります。ただいま農林次官がお見えのようでございますから、直接責任の衝に當られ、また特に近畿二府五縣の旱害視察も終えられました井上農林次官に對しまして、その後いろいろ陳情もあり、また農林次官も先日の本委員會におきまして、極力努力をするという意味の御答辯があつたのでありますが、その後具體的にお話が進んでおりましようか、どうでしようか。具體的に進んでおりましたら、ひとつぜひここで御答辯を願いたいと思うのであります。
#4
○井上政府委員 今夏近畿地方竝びに關東の一部に發生しました旱害の應急對策の問題でありますが、この應急對策費につきましては、當初農林省としましては、さしあたり必要なポンプでありますとか、ベルトでありますとか、油でありますとか、その他井戸掘りに必要なる指導をするとか、それぞれ措置を講じ、かつこれに必要なる經費をどうするかということについて、當該被害縣と農林省との間で、いろいろ折衝いたしまして、大體の被害金額というもいのが明確になつてまいりましたので、安本を通しましてこれが應急施設費の要求をいたしたのであります。この應急施設費は最初は公共事業費の費目の中で取扱うつもりでやつておりましたが、御存じの通り旱害の應急施設費は、主として個人の田畑に對します旱害の應急施設でございまして、一般公共的性質を帶びる河川の改修、用排水の改良というのとは、大分意味を異にするという議論が途中で起つてまいりました。そこで公共事業的性質をもつて、この經費を支出するということについては、關係方面その他におきましても、なかなか難問題が横たわつておりました。そこでやむを得ず公共事業費のうちから、この經費を捻出することが困難な實情が明白になつてまいりましたので、政府としましても、ともかくも供米を控えた今日、重大な問題になつてまいりますから、これが公共事業費のうちから出ぬということになりますならば、せめて豫備金の中から一時支出を願うという方向で、大藏當局に對して熱心にその經費の支出を要求してまいつておるのであります。そこでさしあたり追加豫算におきまして、五千萬圓だけはすでに支出を認められたのでありますが、五千萬圓ではとても足りませんので、あと必要な所要經費を、さらに豫備金の中から支出を願いたいということを、猛烈に今交渉を進めております。大體この經費の支出については、全額本年度に支出することは、いろいろな關係で困難でないかと考えます。しかし現實に必要な最小限度の經費を、大藏當局の方とも御了解を得まして、近くそれらのことについて大體具體化するのではないか、こう考えておる次第であります。
#5
○東井委員 たいへん具體的にだんだん努力をしておつていただきますようで、感謝するのでありますが、事實農林次官が奈良縣において七割を補助すると言つたことも、次に視察されました平野前農林大臣も言明なすつておられるような關係にあります。特にそういう點を御考慮に入れられて、よくひとつ御盡力を願いたいと要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
#6
○鈴木委員長 次に中村寅太君。
#7
○中村(寅)委員 農林省關係で、食糧管理局關係のものはあとにいたしまして、次官に關係することを先にいたします。
 今度政府では臨時農業生産調整法案を出しておりますが、私はこの法案は撤囘してもらいたい。かように考えておるのであります。理由といたしましては、まず第一番に農業の實體に合わない。それから第二番には生産の増加にもならない。第三番目には供出割當量が減ずるおそれを含んでおる。それから技術的にこれを考えた場合に、作付割當などということはできるものでない。そういう觀點からこの法案は不必要なものだと考えるのであります。第一の農業の實體に合わぬという點は、これは農地にはそれぞれ個性があるものでありまして、作物によつて適しておる田と、適してない田とがあるのであります。適してない土地に適しないものを植えるということになれば、いきおい減産になる。そういうことがはつきりいたしておるのであります。それでこの案では生産の増加にもならぬと考えるのであります。そういうふうにいろいろ考えましても、これは單なる官僚の机上でつくりました計畫であつて、農業の實體に即しない。こういう案というものをやつた場合には、私は必ず失敗に終ると思うのであります。ちようど本年政府でやられましたあの縁故米と同じく、必ずもの笑いになるようなことになつてしまうと思うのであります。そういう點から本案は不必要な案であると言うよりも、百害あつて一益なしの案だと考えますが、當局としてはどう考えておるか。今申し上げました四つの理由について、ひとつ御説明願いたいと思います。
#8
○井上政府委員 今國會で御審議を願つております臨時農業生産調整法は、農業生産力を高めるものにあらず、かつ供出の實績を上げることにならぬから、政府は徹囘したらどうか。こういう御意見のように伺つておるのでありますが、政府といたしましては、この法律を今日國會に御審議を願つております基本的な條件は、日本が當面しております祖國再建という大きな課題を解決し、また平和會議を通して獨立國家への新しい前進をいたしますためには、何と申しましても食糧問題を解決しなければなりません。食糧問題の解決の基本的條件は、農業生産力を高めるとともにそのでき上つた收穫を最も公平妥當な割當をいたしまして、これが供出を完遂してもらうというやり方をしなければなりません。そこで從來の供米の過程を檢討を加えてまいりますと、實收高を正確に把握をいたしまして、これによつて供出の割當をいたす關係上、毎年々々この割當會議のために、多くの勞力と時間と經費が費されて、いずれもが滿足していないという結果に終つております。この苦い割當の經驗から、少くとも生産者もある程度納得し、またそれを指導しておりますところの食糧調整委員の方々の勞苦も、できるだけ輕減し、かつ國家の目的であります一定の所要量を確保するという見地から、少くとも現在の耕作面積のうちで、主要食糧だけの作付面積は割當をいたしまして、同時にそれに必要なる生産資財を裏づけ、そうして農家に生産責任を一部擔當してもらい、同時に供出責任量を確保してもらう。こういうやり方を事前にとりますことが、供出制度を合理化し、かつ國家が所要とする必要な一定量を確實に把握することができる。こういう強い信念に立つてこの法律は出しておるのであります。今この法律が現下わが國の農業の實體に合わない法律であるという御指摘でございますが、少くとも、戰爭以來、供米制度が實施されて、大體水稻の作付面積はおよそどのくらいであるか、あるいは麥類の作付面積はどのくらいであるか、芋類の作付面積はどのくらいかということはわかつております。從つてその割當をいかに公平妥當にやるかということは、民主的な調整委員會というものをそれぞれ設けまして、この民主的な調整委員會において、最も農民が納得し、得心する妥當なる作付割當をいたすのでございまして、決して天降り的な、強制的な、一方的な作付割當をいたし、それによつて供出割當をいたすというのではないのでありまして、あくまでもこの法律は農業生産力を合理的に高める、農家も喜んで生産にいそしむ。いそしんだ結果收穫のわけ前において、自分が汗水滴らして働いたら、働きがいがあつたということにしてやりませんと、生産力は高まらないという考え方に立つて、あくまでこれは農家經營本位に考えてこの法律を出しておるのでありまして、御説のように全然逆效果を來すという考え方には立つておりません。私は昨日も富山地方へ供米促進にまいつておりましたが、現實に耕作農民を集めて、實は國會でこうこういう法律を出しておる、これについてあなた方耕作民のお意見はどうでありますかということを率直に伺いましたところ、いずれも贊成いたしておりまして、そういう法律ができたなら、一日も早く實施してもらいたい。そうすれば收穫期に收穫高が多いとか少いとかいうことで村中いがみ合い、あるいは隣同士いが合うことがなくなるから、早くこの法律は實行してくれという農民たちの切實なる要求があるのであります。われわれはこの點から考えまして、この法律はぜひ國會を通過してもらいたいという希望をもつております。
#9
○中村(寅)委員 次官のお話になることは一應わかりますが、さらにそれではお尋ねしたいと思います。政府は、この案によりますと、原則として作付割當をするということになつておりますが、こめ作付割當の基本數字は何によつてつかむのであるのか、その點をお伺いいたします。
#10
○井上政府委員 作付割當の基本的段別の數字でありますが、これは作物報告事務所というのが各縣にございまして、これらの報告事務所が一定の規格による調査をいたしております。それで水稻の作付段別はこの縣には例年どのくらいある。あるいは麥の作付段別はどのくらいある。芋類の作付段別はどのくらいあるという大體例年の實績と、それから實測いたしました實績を勘案いたしまして、その縣に最も妥當な作付割當をいたすのでありまして、しかもその割當をするについては、あくまで現實に働いております農民の意向を代表する生産調整委員會においていたすのでありまして、そこに一方的な不當な計畫はいたさないつもりでおります。
#11
○中村(寅)委員 そうしますと、農林大臣が指示します割當の基本數字は、この法案によりますと、下からだんだん異議が申出られた場合には訂正することになつておりますが、訂正するということになると、政府が割當てる作付面積と、農民がもつております耕作面績との食違いが必ずあると思います。その點についてはいかに處置するお考えでありますか。
#12
○井上政府委員 政府が最初計畫いたします作付割當は、年間たとえば、米なら六千萬石を收穫したい。そのうち三千萬石は供出してもらいたい。この三千萬石の供出をしてもらうのについては、六千萬石の收穫を得なければならぬ。この六千萬石を作付けるためにはどういう方法をとるかと言いますと、今お話の通り、農林大臣が一應六千萬石收穫に必要なる作付段別をきめてしまいます。きめて一應縣におろし、郡、市町村、農家におろしてまいりますが、その場合必ず今御指摘のように、農民側の強い反撃が一部に起つてまいります。しかしその強い反撃は一體何を根據にして反撃しようとするのか、だれが見ましても、だれが考えましても、當然水田として利用すべき土地を他の代替作物に轉換をしたいということからそれを拒否する場合は、當然村のいわゆる生産調整委員會の議にかけて決定するのでありまして、生産調整委員會が政府の割當は不當だ。こういう割當はかえつて生産力を高めることにもならぬし、かつ供米の責任を負うこともできないということになるのでありますから、あくまでわれわれは村の調整委員會を經まして、その上で政府の數字と、かりに食違いました場合、その食違いがたれもが納得し、たれもが當然と考える食違いならば、當然訂正すべきであると考えております。そうではなしにたとえば水田で水稻を作付けしなければならぬ土地に對して、砂糖黍を植えますとか、あるいはまた他の有利な作物に轉換するとかいうようなことを公然と行いまして、そのために政府の作付割當の上に食違いを生じた。そういうやり方は遺憾ながら政府は認めるわけにいきません。しかし實際たれが見てもこれは當然だと納得づくの具體的資料が現われてまいりますならば、それは當然訂正しなければならぬと考えております。
#13
○中村(寅)委員 そうしますと、政府が基本として割當てます數字は、府縣あるいは町村、地方事務所等を通じて調査せられた數字によるものと一應解釋してよろしうございますか。
#14
○井上政府委員 一應政府といたしましては、今申し上げました通り、年間所要量を抑えまして、その所要量を生産する作付面積はこれこれということで、一應計畫をおろします。そして實際現實に食違いを生じた場合に訂正するのでありまして、下の實態調査に基いて最高の方針をきめるといういき方でございません。一應政府の方から一定の計畫をおろしまして、その計畫が合理的なものであるかどうかということが、縣の委員會、郡委員會、町村委員會で檢討せられて、そこに多少の修正補正が出てまいると考えております。
#15
○中村(寅)委員 そうしますと、例を今年の二十二年産米の供出割當の數字にとつてみますと、政府割當の基本としました耕作面積は、二百九十二萬四千町歩餘であつたと思いますが、府縣、市町村あるいは地方事務所、あるいは農業會等が調査して、府縣からもち上げてきました數字は二百七十七萬町歩であつたと考えます。その差額は十五萬町歩というものが生れておるのであります。政府はこういう場合どちらを基本として割當てるか、政府のいわゆる二百九十二萬町歩を割當てますと、必ずそこに食違いがあると思います。この點をどういう方法でその食違いを引合わせていく計畫をもいておりますか。
#16
○井上政府委員 そういう場合は、政府が過去五箇年間割當ててまいりました供出の數字と、その段當面積と言いますか、そういう統計を一つの基礎にしております。それからいま一つは、本年八月一日に實行いたしました農業サンセスを集計いたしました數字、それからいま一つは肥料その他の配給の實積の數字、こういうあらゆる數字を總合いたしまして、これなら大體確實にこれだけの面積を割當てても、決して無理ではないという具體的な統計の實證に基いてやるのでありますが、縣、あるいは農業會から申告してまいります數字は、一應非常に正直に申告したところもございます。しかし一部は非常に水を含んだ數字でありまして、一概にそれを全部承認するわけにはまいりません。特にある地帶のごときは、一年間に二千町歩も作付面積が雲隱れしておるというような地帶がございまして、これをこのまま認めるということになりますならば、大きな食違いが生じてまいりますから、その二千町歩の雲隱れしましたところの土地は一體何を作付けしておるか、たとえて言いますならば、野菜に轉換したのか、工場の敷地になつたのか、あるいはまた他の作物、果樹とかその他に轉換をしたのか、そういうことの具體的な實證があがつてまいりませんと、縣の申告をそのままわれわれは受入れて承認するわけにはまいりません。そこで大體物を作付けいたしております實際の數字と、それから肥料その他を渡しております數字、それからさらに八月一日の農業調査に基く數字、それによつてさらに食違いが起ります場合は、それぞれ專門家を現地に派しまして戸別調査なり、一筆調査をいたしまして、正確な數字を出すというやり方をとつておる次第でありまして、縣の申し出る數字があながち正當なものではございませんから、そこで兩者勘案をいたしまして、なるほど政府の主張するところも一部納得しなければならぬ場合があるし、また政府が主張しましたものも、縣の主張によつて一部修正しなければならぬ場合も起つてまいります。その兩者のお互いの話合いによりまして正確な割當をいたしたい。こういうつもりでやつてきておるのであります。
#17
○中村(寅)委員 この法案の一番根本はやはりそこにあると思うのですが、農家が報告いたします數字というものも、一應政府が言つておるように、實際の耕地面積よりも多くはないと思います。それは惡意をもつて隱しておくのではなくして、農家は個々に調査に行きますと、何段、何畝、何歩というような數字まで、はつきり知つておるというようなのは非常に少いのではないか。そういうことで歩を切捨てておるというようなのが、積り積つて相當の數字が減つたことになつておると思いますが、政府が一應割當をする場合には、どうしても正確な基礎數字というものをつかんで、その正確な基礎數字の上に乘つて割當ててきたものでないと、必ず全面的に誤差が生じてくると私は思う。そうしました場合には、農家の言う數字というものを正確なものだとしなければならぬ。政府がいかに實測するとか何とか言いましたつて、半年や一年や二年で、日本の耕地面積の全體にわたつてこれを實施することはできぬと思います。そういう場合には、必ず農家の申し出る數字というものを正確なりと私はしなければならぬと思う。そうした場合には、いきおい中央へ集まつてくる數字が減るということになりますがこの作付割當を強行するためには、政府は罰則までも設けておる以上、一般農民が自分は何段、何畝つくつておるという、實際に自分の正確な數字を出した場合に、それによつて供出割當というものは減つてくるおそれがあると思う。そうした場合には當然農民の方の主張を通さなければならぬということになつて、日本の全體の供出割當數字というものをかえなければならぬような羽目になつてくると思いますが、そういうことにならぬという自信をもつておられますか。
#18
○井上政府委員 今お話の通り、作付割當をいたすためには、作付面積を正確に把握するということは、當然やらなければならぬ措置であります。そこで政府は農林省統計調査局の指導の下に、全國に作物報告事務所を設けまして、これがそれらの各縣の擔當いたします耕地面積について、詳細な調査をやつております。ただ、今お話の通り、政府が正確な數字をもたずに割當をいたしますと、いろいろそこに問題を起しますから、政府の方であくまで科學的な詳細な數字をつかみまして、そうして農民の申告してまいりましたものとつき合わせてみて、そこに矛盾がございました場合は、それを正確に現わして行く、こういうやり方をとりたいと思つております。御承知の通り農民が申告するもの全部が、正直のものであるとは一概に申されません。もちろん耕地整理をいたしておりますような地帶は、非常に正確に報告をされておりますが、その他におきましては亂田であるとか、あるいは隱し田であるとかいうのがございまして、正確にはまいつておりません。たとえて申しますと、東京のような相當眼の利く地帶でございましても、農業調査によつて報告してまいりました面積と、私の方の統計局で實測した面積とでは、多いところで三割、少いところで一割五分という隱し田が出てまいつておるのでありまして、この事實から考えてみても、そう農家の報告全部が正確なものとは申されません。そうかといつて、そんなら皆間違つておるかというわけにはまいりません。それはさつき申した通り、耕地整理その他適當な土地の整理をやつておるところでは、隱し田、亂田等はございませんから、これは正確に報告されております。從つて政府としては、あくまであらゆる努力を重ねて、正確な耕地面積をつかみまして、すべて作付割當をいたす。この場合これはあくまで現在行つております食糧調整委員の割當と同じように、作付面積を割當て、かつ供出割當を同時にいたすのでありまして、この國家が要請し、國民全部が協力して果そうとするこの作付割當なり供米割當に對して應じない。そういうことには應じられぬという個人の利己的な立場に立つて、我慾を主張するものがありました場合、一體何によつてそれを是正さすかといえば、結局法的措置によらなければなりません。そこでやむを得ず、そういう法的措置を講ずることになつておりますが、これは村全體の秩序を保ち、社會全體の秩序を保つためのやむを得ない法的接置でありまして、村全體の選擧された委員によつて協議された結果に從わないような人は、やむを得ないことでありますから、政府はあながち罰則をもつて農民を威しつけるというようなつもりでやつておるのではなしに、あくまで納得ずく、あくまで得心ずくで割當をいたしたいつもりでおりますから、その點を御了承いただきます。
#19
○中村(寅)委員 罰則を適用されるということも、今次官の言われたような、農家に對して罰則を適用されることは、われわれは差支えないと思いますが、政府の割當數字はどこまでも科學的なものでなければならぬ。その場合にどういう科學的な方法で、科學的數字を把握しようと考えられておるか。私は農家が申告してくる數字必ずしも正確なものとは考えませんが、同時にまた政府が割當てようとしておる數字また必ずしも正確なものとは考えません。そうした場合に、つまり農民の言う數字と政府の割當數字が違つた場合には、實測で見るよりほかに、正確な數字を把握する途はないわけでありますが、しかしそういうことが、はたしてできるとお考えになつておるか。全面的に食違いが生れてくることは、どうしても否定されないと思います。政府にそういう準備があるか、しかもこの法案によると昭和二十四年三月までということになつております。私はその短い期間に正確な日本の耕地面積を把握するということは、とうてい不可能だと見ますが、どういう具體的な方法で基本數字をつかもうとしておられるか。
#20
○井上政府委員 それはたびたび申し上げました通り、農林省の統計調査局を主體といたしまして、各縣に作物報告事務所というものを設けて、大體一定の作付面積調査の具體的な立案がちやんとしてあります。今ここに書類をもつておりませんが、いずれ後ほどお目にかけてもいいと思います。その一定の樣式に基きまして具體的に調査をいたします。これはもちろん單に耕作段別を調査するというだけではなしに、地力、交通また水利等の諸條件の勘案をいたすようになつております。さらにその調査に基いてでき上りました數字と、それから農民の主張する數字との間に食違いが起るというお話でありますが、これは起つてまいりますが、これはあくまで兩者を納得させて、そうしてこれが妥當なる、また何人が考えても當然なる作付面積ということにきめていきたいと思つております。そうしなければ解決いたしません。現在の收穫によつて割當をいたしておる結果を見ても同じであります。この問題は作付を行うのについて、當然起つてくる問題でありますので、これはあくまで町村の調整委員會なり、郡市の調整委員會において十分檢討を加えていただいて、そうして各農家に納得させてもらう。こういうやり方をとるよりほか方法はないと考えております。なおまたこの法律は來年一年の豫定になつておりますけれども、大體本年から來年にかけてやりますならば、これが一つの基準となつてまいりますから、從つて法律は撤廢をしましても、大體事前割當で事前作付をやつてもらう。こういう一つの制度をつくりたいための臨時的法律であるということを御了承いただきたいのであります。
#21
○中村(寅)委員 農家に納得させると言われますが、ほかのことなら農業調整委員が納得させ得るだろうと思いますけれども、作付面積を納得させるということは、實測によつて正しい數字を示す以外に納得させる手はないと私は思う。何か政治的にでも納得させるというようなことを今含んだことをおつしやるようだが、私はそういうことではとうてい納得させ得ないと思う。結局實測によつて正しい數字を示し、その實測した結果が、政府が言う數字であつた場合は農民は納得しましようが、そうでない場合は、私は決して納得しないと思う。そういう場合はいわゆる實測によつて納得する方法をとるのか、それとも何か別に方法を考えておられるのかその點をひとつ伺いたい。
#22
○井上政府委員 これは最前も申し上げました通り、一應過去五箇年の作付面積の實績というものが明らかになつておりますし、かつ本年八月一日に行いました農業調査を基礎にし、その後肥料その他の勘案をした數字、これらを大體大まかに押えまして、そしてさいぜん申します通り、各縣ごとに、重要な、特に調査を必要とする地域に對して具體的な調査を今進めております。そこで一應政府はそういう基礎的な確實な作付面積を押えまして、これを下へおろした場合に、政府と當人同士との間に、どうしてもその折合いがつかぬというような具體的な事實が起つた場合は、當然作物報告事務所は當該本人の作付は面積についての實測をいたすつもりであります。
#23
○中村(寅)委員 實測をして當人に納得させるという方法をとつておるということを言明していただきましたので、まことに結構に思いますが、そうしますと、實測するというようなことが技術上できるかどうか、とても一年やそこらで、どれだけの人間をかけて實測しようと考えておられるかしれませんけれども、私は全面的に食違いが起つてくるということを、農村の實情を知つておるものなら必ずわかると思います。そういう場合に、十分の準備があるのかどうか。
#24
○井上政府委員 この作付割當が非常に不當な割當を行つたという場合は、全面的にその食違いが生じてまいると思います。しかし大體今申します通り、三千萬石の供出をするためには六千萬石の收穫を必要とする。この六千萬石の作付をするためには、どれぐらいの作付段別があればいいかということでやるのでありますから、過去の生きた實例を無視し、それによつて國民に不當な割當を強制するというのじやないのでありまして、あくまでもそれは實態に即して行うのでありますから、全面的に食違いが生ずるとは考えておりません。ただ各縣あるいは各市町村におろしました場合に、實際食違いを生ずる地域が起つてまいりますから、その食違いを生ずる地域で、どうしても調整委員會で納得ができぬという事態で起つた場合は、そんならばだれが納得をしないかということがわかつてまいりますから、だれが納得しないかという人の個人に對して實測すればいいのでありまして、全面的に實測をするということにはならぬと思います。その場合、それだけの人は縣に置いてありますから、ただちに實測することになりましよう。從つて私どもは不當な、かつ苛酷な作付割當をいたして農民を壓迫するとか、あるいはまたそのために農民から反撃を受けるというようなことはさせぬつもりでありますし、またそういうことをしたんでは圓滿にまいりませんから、そういうことのないようにいたします。ただだれが考えても當然であるというのにかかわらず、依然としてそれは不當だという事態が起つた場合に限つて、今申し上げた通り、公正妥當な方法によつて、その作付面積を調査するよりしようがない。こう考えております。
#25
○中村(寅)委員 私は政府が何も不當な割當をしようとは考えておりませんが、不當な割當とかそういうことでなしに、正確な數字を割當てるということができなければ、この法案の生命はないと思います。この正確な數字を政府でもたぬ以上は、私は決してこれは技術的にできぬと考えます。やはり二十二年産米の供出割當の最初の數字を見ても、政府は二百九十數萬町歩という――下から縣知事がもつてきた數字は二百七十七萬町歩、そこに十四、五町歩の開きがありますが、その開いた數字をどういうぐあいに府縣にわけようとお考えになつておるのか。全面的にいわゆる隱し田があると見られておるのか、あるいは特殊の地帶だけにその隱し田があるとして、その隱し田があると見だ所たけに割當てるのか。
#26
○井上政府委員 これは全面的に亂田及び隱し田があつて、作付面積が減つておるというのではないのであります。全國的に毎年調査をいたしますと、大體前年の作付面積とほとんど同一の所もございます。さらに多少下まわる所もございます。しかしあまりひどい、たとえば一年間に二千町歩も三千町歩も開きが出てきておるというような所は、さいぜん申します通り、どういうわけで一年間に二千町歩も潰れ地ができたのだということが明確になつてまいりませんといけませんから、そこで縣とわれわれの方において、その開きの數字について檢討を加えまして、これは他の代替作に轉換したのだ。野菜あるいは芋類に轉換したのならしたのだ。あるいは工場なら工場、住宅なら住宅が建つたのた。あるいは水害による潰れ地だということが明確になつてまいらぬといけませんから、そういう點は明確にいたしまして、最後にいよいよわからぬ所は、それは縣の數字があやふやだということが言い得られるのでありまして、そり點だけは縣の方でひとつ御辛抱願つて割當に應じてもらう。こういうやり方をとつておりまして、あくまでも不明なものは數字を究明いたしまして、それが明確になつた上で合理的な割當をやつておる次第であります。
#27
○中村(寅)委員 ただいまの次官の答辯は私の尋ねているところと少し違うように思われますが、政府の方で正確な數字をもたずに割當てようとするところが、どうしても私には合點がいかないのです。政府の割當てる數字というものを考えると、必ずしも正確なものではないと思います。その正確でないものを割當てていくと、必ず末端において食違いが起つてまいります。そうした場合に土地臺帳によつて正確に調べますと、農家は何町、何段、何畝、何歩というものをもつているはずでありますから、その數字は一應正確なものだと認めなければならぬと思う。その場合實際には全面的の食違いが起つてくると思いますが、さなた方は常識的に考えられて本當にそうは思いませんか。
#28
○井上政府委員 これはここで何遍も繰返したことでありますが、政府としては大體年間に必要な主要食糧の所要量を確保しなければなりませんから、その必要な所要量を作付するのには、どれだけの作付段別があつたらよいか、しかもその作付段別は現在日本が耕作している作付段別を上まわる數字で割當てる場合には、あなたの御主張のようなことは起つてまいります。しかし大體過去の作付面積なり實收高というものを基礎にしてやる場合には、決して全面的な反撃を受けるとは考えておりません。ただ割當をする場合に、あなたが主張されるように、あくまでも正確な數字をもつてやることは當然であります。從つて正確な數字をもつように政府は最善の努力を費やしている次第でありまして、その點においてそこに正確なものをもつているかいないかということは、縣側の主張する場合も、政府側の主張する場合も同じであります。しかしながら大體において私がさいぜん御説明したような諸條件においてやる場合には、そう無理な割當はしない。無理な割當をしない結果、そんなに納得ができない地帶が、到るところに起るとは考えておりません。またそういうことがあつてはこの法律をつくる必要はないのであります。われわれは大體事前割當をして、農家が精魂を傾けて生産にいそしめばいそしむほど、收穫に價値があつたというやり方をとつておりますし、それがなお生産力を高める上に絶對必要だという考え方の上に立つております。基本的數字の正確であるか正確でないかということについては、われわれとしてはできるだけ正確な數字をつかんで、それによつて納得してもらう。ただその場合、いたずらに正確な數字をつかむのに急にして、農家に不當な過當割當を要請していくということは、今日のわが國のような零細農家においては、相當政治的に考慮を拂わなければならぬことは當然であります。
#29
○中村(寅)委員 私は不當な割當とか何とかいうことでなく、また過當な割當であつてもいかぬので、とにかく正確な割當というものがきめられなければならぬと思います。私は正確な數字を把握していない政府の手では、作付割當はできないと思うのですが、當局はできるという考えですか。おやりになつてみればおわかりになりますから、これ以上は追究いたしませんが、食違いの生じた場合には、實測によつて兩者の間違いを正すことを次官は言明しておられるので、これはよろしゆうございます。もう一つ念を押しておきたい場合は、政府が割當てました作付割當というものをまじめに實施しまして、割當てられた供出をした殘りに對して、政府の方で數字にいかに大きな狂いを生じてきた場合でも農民に責任を負わせないかどうか。その點をはつきりしておいていただきたい。
#30
○井上政府委員 事前割當をいたしますから、當然その收穫期において割當を上まわる收穫が豫想される場合と、旱害、水害あるいは蟲害等によりまして、割當を下まわる場合とが起つてまいります。上まわる場合は農家の所得になるのでございまして、これをただ現在のわが國の食糧事情から考えまして、農家の自由販賣にさすというわけにはまいりません。これはあくまで農家が自己所有の手から放す場合には、政府に賣渡してもらいたい。賣渡す場合におきましては、特別報奬の措置として特別奬勵金などを出して、さすがに超過供出をしてくれたというだけの、價値のある報奬制度を新しくつくる。それから下まわる場合はそれぞれ縣において調整を加え、縣でどうしても調整ができぬという場合は國の方において調整をいたしまして、割當からそれだけの分を差引くという措置をとりたいと考えております。
#31
○中村(寅)委員 今次官が言われるように、天候その他のことによつて數字が違つてまいつた場合は、そういう措置をとるより仕方なかろうと思いますが、政府が一應作付割當をした數字が、末端の農家の面で引き合わせをやつた場合にだんだん減つてまいつた。そして當初考えておつた供出豫定數量が生れてこぬという場合のその數字の責任は、當然政府の方で負うべきものだと考えるのでありますが、その點はさように解釋しておいてよろしうございますか。
#32
○井上政府委員 私はそういうことは起らないと考えております。事前に作付割當をいたし供出割當をいたすのでありますが、大體百姓は自分のつくつておる田圃で、これだけつくれば、大體天候か正常で、肥料が正當に配給され、正當な勞方を加えるならば、收穫がどれだけあるということは、長い間の經驗からわかつているのでありまして、それに對して不當な作付割當をいたすとか、供出割當をいたした場合は、あなたの御意見のようなことが起つてまいりますけれども、少くとも正當な作付割當と正當な供出割當をいたします場合には、そういうことは心配する必要はないじやないか。こう考えております。
#33
○中村(寅)委員 この問題はこれ以上は見解の相違ということになりますのでこれでやめます。
 次に食糧管理局長官にお尋ねいたします。政府は未供出農家の保有米を三・一五合に引下げると發表したようでありますが、現在の日本の食糧事情から考えますと、やむを得ない措置かとも考えられるのであります。しかしながら農繁期に際しましては、そういう農家に對しても、特別の臨時加配米を出す必要があるのではないかと考えますが、その點に對してそういう措置をとる用意があるかどうか。
 それからもう一つは、地域的の小さな問題でありますけれども、福岡縣においては、炭鑛向けの主食の割當が非常に惡いために、生産縣にありながら、一般消費者向けの米をその方にまわさなければならないという事情が、ときどき起るというようなことになりまして、一般消費者の遲缺配がそのために起つておる傾向があると考えられるのでありますが、これにつきましては炭鑛地の主食については、政府の責任において、特別に確保するような手を考えてもらう必要があると思いますが、この二點についてひとつ簡單に御説明を願いたいと思います。
#34
○片柳政府委員 第一點の一部保有農家の農繁期の加配米の問題でありますが、これは大體御意見に從いまして實施をしてまいりたいと、かような考えをもつております。大體私の方で調査をいたしました結果によりますると、一部保有農家の耕作面積は、約四十二萬町歩くらいになつております。この一部保有農家の四十二萬町歩のうち、農繁期につきましては、現在では一日あたり大體二百八十グラム程度の加配を實施してまいりたいということで考えておるようなわけであります。
 それから第二點の北九州の炭鑛地帶の食糧の問題でありまして、これはまことにごもつともな點といたしまして、できるだけ炭鑛に配給しまする食糧は、縣外の食糧をもつて引當をいたしまして、福岡の縣産米につきましては、できるだけ一般消費者に充當してまいりたいということで、今後實施をしてまいりたいと思つておりますが、ただ時期なり、輸送等の關係で、あるいは時期的には縣産米を炭鑛に配給するということは、當然やむを得ぬと思つております。その點につきましては、あとでできるだけ他縣産米をもつて補填してまいりたいと思います。とにかく炭鑛に配給しまする食糧の數量が、縣全體の約三分の一を占めておりまするから、これが一般消費者の配給に相當の影響をもちまする點は、われわれ十分承知をしておるのであります。できるだけ御意見の線に沿いまして、實施をしてまいりたいと思います。
#35
○鈴木委員長 中村君、運輸政務次官がおいでになりますが、簡單ならば午前中にお濟ましになりますか、どうしますか。
#36
○中村(寅)委員 ごく簡單に運輸大臣にお願いしたいのであります。われわれが汽車に乘りましても、汽車の設備というものが非常に不十分でありまして、いろいろ資材が少いというようなことで困難な點もあると思いますが、資材とかいうことでなしに、鐵道に勤めている人の心がけ次第で、もう少し改善せられる點が相當あると考えられるのであります。たとえて申しまするならば、洗面所の水であるとか、あるいは便所の水であるとかいうようなものが、ほとんど最近は汽車の中に準備せられているものがないように思われます。これは一時非常によくなつておつた時代もあつたと考えますが、これは從業員の心がけが足りない結果だと思うのであります。その他いろいろ從業員の心がけ次第で改善されるものがあると思うのでありますが、そういう點についてもう少し考えていただきたいと思います。これは希望として申し上げておきます。
#37
○田中(源)政府委員 お答えいたします。中村さんの御質疑の通りに、鐵道といたしましては、資材その他の不足のために非常に國民に御迷惑をかけておりますることは恐縮いたしておる次第であります。しかしながらでき得るだけ資材の面におきましても、目下經濟安定本部竝びに各關係方面と折衝いたしまして、現状を維持していくに足るだけの資材を確保いたしまして、これを整備いたしたいと心得まして、目下著々その手を打つておるようなわけであります。一部分は相當に改善されつつある面もありまするが、何分ただいま申しましたように、十分手が屆きかねているような現状でございますので、でき得るだけ御希望に副うように努めております。車輛の面から申しましても、目下修理竝びに新しき車輛の整備にも、でき得るだけ豫算を苦面いたしまして、改造竝びに製作をいたして、配車を全ういたしたいと考えております。その他車内設備におきましても、御指摘の通りに、公衆衞生の見地からも十分いたす考えをもちまして、すなわち明るい鐵道の週間を行いまして、鋭意從業員に心からなるサーヴイスを行うように訓練をいたしておるのであります。御指摘の點のごときものは十分にこれをいたすべき筋でございまするが、中には客車車輛の關係上、ただちにこれを清車竝びに整備いたしまして配車する時間のないくらいな路線もありまして、殊にローカル線におきましては、御指摘のように十分行き屆きかねておる不滿足の點が生じてきておると心得ております。從業員に對しましても、御指摘の通りに、心から從業員がこれに關與いたしてくれまするならば、おそらく私といたしましても、現行より二五%の能率はあげ得られるものと考えまして、先般來の鐵道局長會議におきましても、その點を強調いたしまして、御指摘の通りに、でき得るだけ從業員の心からなる努力によつて、不足せる資材面を補い、かつまたそれらの足らざるところを、從業員の努力によつて補つていくということが必要であるから、單に車輛のみならず、構内におきまするところの取締りの上におきましても、あるいは旅客待遇の上におきましても、各般にわたつてこれに留意し、從業員の努力を促すように注意を喚起いたした次第でありまするが、さらに各驛長及び各列車區に對しまて、その區長竝びに驛長がみずから先頭に立つて、第一線に立つて、他の從業員を督勵いたしまして、御希望に沿うようにいたすよう訓令をいたしておる次第でございまして、今後ともでき得る限りこの點につきましては努力いたしまして、御期待に副うように努めていきたいと存じております。
#38
○鈴木委員長 まだ御質疑する機會があるかと思いまするが、さいわい運輸政務次官がおいでになりましたので、簡單なことでございますから、委員長よりちよつとお尋ねいたしたいのであります。それは終戰處理費との關係でございます。私は運輸については素人でございますので、よくわかりませんが、ちよつと推察されるところによりますると、連合軍側において專用されておりまする車輛などについては、懇請あるいは交渉されて、一般の運輸の方へいくらかでもまわすことができれば、産業復興の上にも、また運輸省の獨立經濟の上にも、さいわいするところがあるのではないかと存じまするが、私は素人でもございまして、そういう問題がよくわかりませんので、お差支えなければこの際お伺いいたしたいと思います。
    〔速記中止〕
#39
○田中(源)政府委員 貨車總數十一萬輛の數字は出ておりますけれども、實際は九萬二千臺の貨車總數でありまして、日々積卸し貨車等を除きますならば、二萬輛程度が、レールの上を走つておるという状態になつております。かようなわけでございまして、一般の輸送面におきましても非常に御迷惑をかけております。なかんずく仙鐵管内における貨車の輸送につきましては、他局よりも非常に惡いような状態で、各驛とも相當量の滯貨がございまして、先般一部の地方には優先的に貨車を送つて一掃いたしたのでありますが、さらに他の三陸地帶の滯貨をできるだけ一掃いたしたいと思いまして、修繕車竝びに他局の繰替えのつくだけの貨車をここに送つて、滯貨を一掃する手配をいたしまして、今これにかかつておるようなわけでございます。なお、これがために現在全國で二百三十萬トンほどの滯貨もございますので、これはとうてい今日の老廢した幹線を貨車をもつて輸送することは至難であると考えまして、殊に石炭の面におきましては、九州炭――筑豐炭及び肥前竝びに三池炭方面は、特に海上に輸送の重點をおきまして、まず十月十五萬トン、それ以降の月々二十萬トンを海上轉移に増加いたしまして、貨車の運行能率を高めていきたい、かように考えまして、先般もその手段をとりまして、今九州におきましては、今月は約十七萬トンほど海上轉移にいたしたのでありますが、今後におけるところの冬季玄海灘竝びに海上の風波の關係上、思うようにこの海上轉移が實行できるかどうかは、非常に天候に支配されますので、つとめて中津竝びに刈田港にこれを集中いたしまして、シヨート・カツトでいく、すなわち船にあくまでもこれを移して貨車效率を高めたい。また北海道におきまする目下最盛期になつておりまする馬鈴薯の種芋等におきましても、大體この月は四萬トンの豫定でございますが、船舶の配船をいたしまして、できるだけ港頭繰りをいたしまして、八萬トンを積出したい、かように考えまして、でき得る限り貨車の運行能率を上げることは、一にかかつて港頭繰りをいたすよりいたし方がない。そうして海上船舶の利用によつてこの滯貨を一掃していきたいという、根本的な觀念にこれを打ちこみまして今その手配をいたしておるようなわけであります。何分先ほど申しましたように、非常に貨車數量も減つておりますことと、その他のいろいろの面におきまして、石炭の生産が意のごとくなりません。從つて、石炭の使用量が冬期に向つて各方面とも増加いたしますにつれまして、運輸省の鐵道に使用いたしまする石炭の配炭量も減額を要望されておるような状態でありまして、もしこれが要望されておるような配炭を見まするならば、ある程度の貨車竝びに客車の減額を餘儀なくせなければならぬという事態に立ち至りまするので、私どもは、今日の滯貨状況及び産業の状況から考えまして、絶對にこの現在の配炭數量を確保いたしまして、今より輸送量を落したくない。あくまでもこの輸送量は確保していきたいというような考え方で、目下關係方面とも折衝しておるようなわけでございます。以上一般の貨車輸送状況につきまして簡單に御説明申し上げましてお答えに代えたいと存じます。
#40
○鈴木委員長 これで休憩いたしますが、午後は安本長官、大藏大臣、總理大臣が御出席の豫定であります。
 休憩いたします。
    午後一時七分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時七分開議
#41
○鈴木委員長 それでは午前に引續いて開會いたします。
 前に海野君の商工省當局への御質疑が殘つておりましたから、簡單に海野君の御質問をお願いいたします。
#42
○海野委員 絹絲は日本がそもそも産出國でありましたが、最近ナイロンが出てまいりまして、日本絹絲というものはあまり賣れ行きがよろしくない。アメリカにおいては滯貨しておるというような話も聞くのでありますが、この絹絲はナイロンと違つておるところが必ずあるべきはずであります。そのナイロンと違つておるところ、及びその特徴を活かして、そうしてナイロンと違う途にと進んでいかなければならない。そういうふうな未來性をもつた方向へと進まなければならないのではないか。そういたしますと、この絹絲につきましての品質の改良、加工品の改良というような方面につきまして、商工省當局はいかなる手を打つておられますか。これが一つであります。
 その次はミシンでありますが、全國内を見ますと、ハピー・ミシンとか蛇の目ミシンとかいろいろございますが、アメリカの情報によりますと、足などでまわしておるミシンなどは使つてはいない。今日は皆モーターでミシンを動かしておる。足で動かすようなミシンは中古品としてどんどん東洋の市場を目指しておる。そういうことを思いまして現在のわが日本のミシン界を見ますと、貿易再開したときにおいて、この産業が一遍でぺしやんこになつてしまうのではないか。そういうふうに考える。しからばこれに對してどうすればいいのであるかと申しますと、このミシンの部分品についての研究、ミシンの品質の向上、そういうことは一日もゆるがせにできない問題である。いわゆる經濟戰において負けたときには、日本の再建なんということはとうてい不可能であると私は考える。このミシンの研究に對しまして商工省當局はいかなる手を打つておいでになるか、これを伺いたいことが二つ。
 もう一つ、石炭が足りない、しかし亞炭が相當出ている。亞炭の埋藏量も、學者の研究によりますと相當なものであります。カロリから申しますと、東北の山形縣におけるがごとき五千カロリーないし五千五百カロリーくらいの亞炭を産出しておるのであります。この亞炭をいかに利用したならば石炭の代用にできるか、工業方面にこの亞炭を利用する――つまりカロリーの少いところの亞炭をもつて、優良石炭の代りをつとめさせるにはどうするかというような研究、すなわち亞炭の研究につきまして、研究所が必要であるということが、民間においても盛んに叫ばれている今日、この亞炭の研究所についてはいかなる考えを政府當局はもつておられるか。聞くところによりますと、亞炭の研究所の豫算を削つてしまつたというような話ですが、私ははなはだ了解に苦しむのであります。こういうふうな、つまり産業の再開、増産と申しましても、口で言うただけではだめである。技術である、腕である、研究である。この方面に對してもつともつと政府が主力を注いでやらなければならぬ。豫算面から見ますると、研究費とか試驗費とか申すものはまことにわずかである。ほかのものに比べてわずかの經費で足りるのである。そのわずかの經費をも削減して、そうして未來に伸びるところの途を塞いでおるように考えるのでありますが、この點につきまして商工省當局はいかなる御決心をもつておられるのでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
#43
○鈴木委員長 それでは順次御答辯を願います。纖維局の絹人纖課長讃岐喜八君。
#44
○讃岐説明員 お答えいたします。ただいまナイロンに對抗しまして、生絲及び絹製品の品質を改善するためにどうすればよいかという御質問であつたと思いますが、御質問のように人工纖維であるナイロンが出現いたしましたために、生絲の賣行きが確かに惡くなつたと存じます。從來アメリカに輸出されておりました生絲の主なる用途は、婦人用の靴下であつたわけでございまして、その點たしかにナイロンの出現は痛いのでございます。この點は生絲の品質の改善によりまして對抗するよりほかないのでございます。生絲は農林省蠶絲局で所管しておりますので、農林省からお答えがあると存じますが、ただいま關係の絹製品について申し上げます。
 絹製品につきましては、ナイロンの用途とは必ずしも一致いたしません。つまり靴下の材料といたしましては、絹の靴下もございますし、ナイロンの靴下もあるわけでございまして、ただいまのところ古フアツシヨンの絹靴下は、確かにアメリカでは歡迎されていないのでございます。しかしながらその他の絹織物、すなわち羽二重であるとか、ちりめん、ジヨーゼツト等につきましては、アメリカにおきましては相當賣れております。ただいま富士絹及び輕目の羽二重などにつきましては、全然ストツクがございません。できれば、ただちに賣れていくのでございまして、それよりもまず毎月の生産をどれだけやれというふうに、司令部の方から要求されておるような次第でございます。それでありますから、絹織物につきましては、現在の品質を向上いたしまして、昔の程度、あるいはそれ以上がもつと望ましいのでございますが、その程度に向上できれば、將來の輸出の有望なことはもう間違いなしというふうに、最近外國からまいつておりまするバイヤーも、一致してそう申しておる次第でございます。
 それでは絹織物の品質改善にどういう手を打つておるかということでございますが、目下のところ豫算といたしましては、纖維製品の品質向上に要する經費ということになつておりまして、ごくわずかの豫算しかいただいていない次第でございます。來年度におきましてもこの豫算を多少増額の要求をいたしておると思いますが、これをもつてはまだ滿足できない状態にございますので、目下のところわれわれといたしましては、絹織物の品質改善につきまして、委員會をつくりますとか、試驗研究機關を動員するとか、いろいろな方面から絹織物の品質改善につきまして、飛躍的な措置をとりたいと存じておりまして、來年度の豫算には大藏省に要求したいと存じておる次第でございます。その節はどうぞひとつよろしく御後援願いたいと存ずる次第でございます。
#45
○鈴木説明員 産業機械課長の鈴木でございます。局長はG・H・Qの方に所用がございましてまいりましたので、私代つて御説明申し上げます。
 初め簡單にわが國のミシン業界につきまして申し上げます。現在ミシン工場はわが國におきまして約三百社くらいございます。これは戰前ミシンをやつておりました經驗の深い業者と、戰後轉換工場が相當にこれにはいりまして、非常に殖えてまいりまして、生産といたしましても年額約三十萬臺というふうに推定されるのでございます。しかしこの中には非常に技術の優秀なものもありますし、また技術の低劣なのもございまして、商工省といたしましては、そのうち技術が優秀であり、かつ生産能力のしつかりしたもの六十社につきまして、一應これを對象としまして資材を配當いたしますし、それから商工省としてもいろいろの面において指導しておるわけであります。六十社のうち特に二十社は、本省直轄として指導しておる次第でございます。ミシンは御承知のように纖維工業の復元、あるいは引揚者、戰歿者遺家族の厚生用、あるいは學校の教授用においても相當の需要がございますし、なおかつ貿易方面におきましては、毎月約千臺の輸出を見ておる次第でございます。それで先ほどお話がありましたように、ミシンは御承知のようにアメリカのシンガーが非常に優秀な技術をもつておりますが、わが國におきましてもこれに負けないような研究をやつておる次第でございます。その技術の點につきましてそれを研究、指導、檢査、この三つについてわけて申し上げてみたいと思いますが、研究につきましては商工省の機械試驗所におきまして、ミシンの研究者がおりまして特に研究をしておりますほかに、轉換工場の中で大きな、たとえば三菱とかあるいは津上といつたような、非常に優秀な技術をもつて、戰時中軍需方面に活躍しておりました會社の技術者が、そのままミシンの方に轉換いたしまして、シンガーに劣らないような研究をやつておる次第であります。先ほどお話がありました電氣ミシンにつきましても、著々成果をあげつつあるような次第であります。これらの研究は、その一社だけが獨占するというのでは、シンガーになかなか對抗できませんので、機械試驗所の中に、ミシン技術協議會というものを設置いたしまして、これらの優秀な技術者のほかに、大學の教授とか、あるいはミシン製造界の業者の方、その他製作方面に詳しい方に來ていただきまして、この協議會でもつて各社の研究あるいは機械試驗所の研究を討議いたしまして、その結果を公開して、だれでもその技術を習得できるような段階に立つております。そしてなおミシンのいろいろの規格でございますが、サイズあるいは寸法、あるいは精度、あるいはその誤差というものにつきましての規格が完成されまして、これは特許基準局の方において作成いたしたのでありまするが、これが完成いたしましたので、これを基本にいたしまして、一般に公開し、粗惡なミシンがそれによつて相當一掃されるのではないかというふうに考えます。それから指導につきましては、技術指導を現在やつておりまして、これは機械試驗所が中心になりまして、各業者の方に隨時來ていただきまして指導するほか、講習會も年に二囘開いております。さらにミシンの製品を審査いたします機關としまして、ミシン審査會を、やはり機械試驗所の中に設置いたしまして、これは年二囘各社の製品の優劣をつけます。そこで特に優秀でありました製品につきましては、ミシンのマル公においても特別な扱いを受けるというような措置をとつておる次第でございます。それから最後に檢査でございますが、これは今後國營檢査を實施いたしたいと考えまして、先般豫備金を要求いたしまして檢査人員の豫算もいただいたわけでありますが、これによりまして檢査員が各工場にまいりまして、製品の檢査をやつて、檢査證紙をはる、證紙のあるものは信用して買えるというような状況にもつていきたいと思つております。なお來年度におきましても、機械試驗所の研究費をさらに増額していただく意味におきまして、機械試驗所から生産技術指導に必要な經費という項目て豫算を要求いたしまして、その中にはミシンの研究費も含まれております。それから先ほどのミシンの講習會あるいは審査會の費用も豫算に計上いたしまして、なお今後もさらに活溌にこの運營をやつていきたいと思つております。どうか皆樣方の御盡力をお願いしたいと思う次第であります。こういうふうにミシンの技術指導につきましては商工省としても特に力を入れまして、シンガーに劣らないものをやつていきたい。なお今後先ほどお話がありましたように、アメリカの中古ミシンが東洋に大分流れてくるというような懸念もございますが、現在わが國でやつております一流メーカーの品物でありますれば、現在のところでもこれにそう遜色はないというふうに考えておりますが、なおそれを凌駕するような物をつくつていきたいと懸命に考えている次第であります。
#46
○椙杜政府委員 亞炭につきましての御質問にお答え申し上げます。亞炭はお話がありましたように、わが國に相當量埋藏されております。その利用の點から考えましても、石炭と併せまして増産をはかるべきものであることは、申し上げるまでもないのであります。お話にもございましたように亞炭はまだ新しい資源というようなものでございますので、特にその開發方法なり、あるいは利用につきまして、科學的の研究を要するということは、まつたく御説のように考えております。從いまして從來商工省の燃料研究所におきまして、亞炭を利用する方法、さらにそれを加工いたしまして、コーライトにするとか、その他のものに利用する方法を研究はいたしているのでございますが、お話にもありましたように、さらに積極的な開發方法等も相當まだ幼稚な點が少くないのでございますから、これを科學的に、能率的に開發するように研究する必要がございますので、明年度の豫算といたしましては、わが國の亞炭の主産地であります東北地方を選びまして、亞炭の開發指導所を設置いたしまして、亞炭の開發につきまして合理的に、科學的に開發するという方法を研究しますことを中心といたしまして、併せて現地におきましてそのブリケツトなり、あるいはコーライトにいたします加工管理等の利用の方法についても指導したいと思いまして、その豫算を要求しているような次第でございます。もしこの豫算が實現いたしましたならば、お話の趣旨によりまして亞炭の科學的開發方法、竝びにその利用等に十分努力をしてまいりたいと思います。
#47
○海野委員 ただいまのお話によりますと、とにかくその方向へお考えが向いていることは確かでありますが、終戰當時ソヴエイトはすぐさま十億の豫算をもつて原子破壞の研究をしているとのことであります。私は來年度の豫算でというお話もありますが、現下産業というものをほんとうに再開することが、急務中の急務でありますので、どうしても來年度などということでなく、それではその筋の方々の御熱心が足りないと思いますから、どうしてもこれはほんとうに豫算が必要であるならば、大藏省にかけ合つて、斷々固としてこの方に力を入れていただきたい。左甚五郎を生んだわが日本であり、正宗を生んだわが日本である。この日本人の頭は、開けば際限がないところの立派な知識をもつているのでありますから、そういうことの豫算を來年とかなんとかいうことではいけない。どうしても斷固としてやつていただくだけの御決心をお願いいたしまして、私の質問を打切ることにいたします。
#48
○鈴木委員長 次に大藏大臣への質疑に入ります。
#49
○東井委員 現在地方財政は非常に窮迫をしていると思うのでありますが、この地方財政の枯渇は、地方自治制の運營途上におきまして、最も大きな惱みの一つであると申さねばならないと思うのであります。むしろそれは自治制の今後の發展を阻害する重大問題だと言つた方がいいと思うのでありますが、實に今日全國ほとんどすべての府縣や市町村におきまして、財政的にはまつたく行詰りの状態にあると思うのであります。その日その日に納められる税の收入によつて辛うじて諸雜費の支拂いを濟ませるというような状況、また多くの市町村におきましては、俸給の支拂いにも窮しておるというように見受けられるのであります。せつかくの地方自治の運營も、かんじんの財政がこうした窮迫状態にありましては、いかんともし難いと思うのであります。これを打開するために極積的な一つの方策として、政府は去る八月二十八日付で地方債に關する大藏次官通牒というものを出しておられるのであります。その通牒において、都道府縣債の起債を、當該都道府縣の貯蓄増加實績にリンクさせる、そうしてその資金の地方還えをはかつておられるのでありますが、これはまことに喜ぶベき施策の一つであると、私も非常な關心をこれに寄せているのであります。全國各地、各住民の零細な郵便貯金から成る預金部資金の場合など、その地方の還元の必要性は最も強く要請され、常に相當額の資金が、何らかの形で地方に融通され、あるいは地方財政を助け、あるいはまた地方産業の發展に資するということは、まことに刻下の地方財政を考えますときに、その喫緊性を痛感せざるを得ないのであります。この意味におきまして今囘のこの御考慮は衷心から私は贊意を表する者であります。特に戰時中巨大な軍需資金によつて、資金の地方還元方針というものが蹂躙せられておつたという事實に鑑みますと、戰後諸經費の増加とインフレーシヨンとによつて、地方財政が未曾有の苦境に陷つている現在、地方債消化の形で、地方貯蓄資金がその地方に還元が許されるという構想は、まことに肯綮に値いする施策であるのであります。しかしながら現在のように、萬事變則的な經濟事情の下におきましては、これを實踐する場合には多くの疑問や困難が伴つてくると私は豫想するのでありますが、九月一日からこの次官通牒が實施されたその實施の状況を承りたいと思うのであります。
#50
○栗栖國務大臣 東井委員のお尋ねにお答えいたします。この地方債の地方起債につきましては、六・三制というようなところにおいて十七億というものを消化する関係があります。なおまた地方の短期借りが非常に多くございまして、これがために長期が出ないというために、短期借りの餘地もないという實情でございまして、貯蓄の状況と併せてその通牒を出したのでございます。ところで、この起債につきましては、ただいまのところ資金調整の一つの形として起債協議會ができておりまして、そこで地方起債をやらしておるのでございますが、實績としてはあまり大きな起債は、その實をあげておらぬのでございます。これは要求の方としましても、長期の計畫を立てて、地方自治團體が起債ということにもつていくというまでの整理がまだ濟んでおりません。一方においては市場への資金でございますが、起債の條件その他について相當の開きがございまして、それがために思うほどの實績はあげておらぬのであります。ただ預金部でございますが、預金部につきましてはこれは貯蓄増強の運動以來、一時赤字になつておりましたのが黒字になりまして、相當の貯蓄の月々増加を示しておるのでございます。そこでこの分につきましては六・三制その他の、殊に六・三制の起債を一ついたしたいという關係がございまして、それが出揃うまでにちよつと起債を押えておるような次第でございます。この追加豫算もきまりますれば、その方面の相當預金部引受の起債ができまして、そうして地方への資金還流という實も相當あがるのではないかと思うのでございます。ただ一般起債の點につきましては、市場その他が何分にもまだこういう時勢でございまして、狹隘でございまして、十分の起債消化が市場でも起きておらぬというような點もございますので、かたがた十分なる成果をあげておらぬような有樣でございます。
#51
○東井委員 十分の成績が上つておらぬというお話でございますが、私はこれは非常によい計畫じやないかと思います上から、一段とこれに對して科學的な實踐性の裏づけがほしい。さらにこれを私は進めていただきたいと要請するのであります。なおただいまお話がありました六・三制の實施經費の支辨のことでありますが、この地方債のわくに含まれない地方債というこの六・三制の實施費用というものは、別途にこれを審議して許可をするというのでありまするけれども、元來六・三制とか戰災復興というような國家的責任の經費の調達のためには、國家財政がこれを地方財政に任して、その責任を輕減するという方向に努力されなければならぬと思うのであります。そこで現在先ほどの大藏大臣のお話で、六・三制の實施に對する地方起債というものを、今考慮になつておるようでございますが、その六・三制に對する地方起債の許可される標準方針というものが定つておりましたら、お漏らし願いたいと思います。
#52
○栗栖國務大臣 お答えいたします。この六・三制の起債は今年度は十七億と豫定されておるのでございますが、これは市場で起債ができるものは起債を消化させまして、なお足らないものについて預金部資金をもつてこれに充てる、こういう方針でおるのでございます。それで今現状におきましては、先ほど來申し上げましたように、起債市場等が非常な狹隘でございますので、市場において十分なる、相當大幅な起債はできぬかと思いますので、相當部分が預金部資金の消化ということにかかつてくると思うのであります。これにつきましては文部當局とも打合せ中でありますが、資金の需要がどういうところからおもに必要としてくるかというような、表の大體の説明を承りまして、急を要するものから起債を順次いたしたいと思うのであります。それからその起債につきましても起債の條件でありますが、これも市場消化ということになりますれば、國債等も相當短期になつておりますので、從つて期限等が短かいのでございます。預金部といたしましては預金部資金本來の性質をも考えますけれども、一方においてはやはり六・三制の實施という大事な點をも考えまして、相當長期にこれを貸付けるような方法をとりたいと思うのであります。その他の條件につきましてはこの地方の負擔というものも十分考え、また預金部の獨立採算制ということをも併せ考えまして、この兩方を調節したところの條件で、これを發行するようにいたしたい。こう思つております。その方法等につきましては中間機關等を入れないで、專らコストを安くするという趣旨で直接引受にいたしたいと考えておる次第でございます。
#53
○東井委員 六・三制のその次に、普通一般の地方起債を許すというような御説のように伺つたのでありますが、大體この多額の地方起債を必要としておる府縣、必ずしも多額の貯蓄を達成しておる府縣ではない。むしろその反對に、戰災がひどかつたり、あるいは水害を受けたり、旱害等を受け、その應急施設あるいは復舊に多額の經費を要して、從つて多額の地方債によらなければならない地方は、同じ理由のもとにとうていこの所要の貯蓄はできないと思うのでありまするが、そこでこの地方債を必要とする地方ほど、貯蓄は不可能だと言い得るのでありますので、この予盾をリンク制でどういうように解決されるかということが問題として私は殘ると思う。この點につきましては、このリンクの予盾を適當に解決されるようにひとつ御努力を願いたいと思うのであります。
 次に、この貯蓄と地方債とのリンク制の實績をあげ、まず第一にこれは貯蓄を増加しなければならぬと思うのであります。もとよりこの財政の健全性を貫くにも、貯蓄の増強ということは緊要なことであるのでありまするが、一體政府はこの貯蓄増強に關してどういう具體的な方針をおもちになるか。昨日の新聞で見ますと、二十二年度の年間貯蓄目標を、千二百億から千七百億に引下げられたというように見受けたのでありまするが、從前のように貯蓄増強旬間とか、相かわらず月並的な運動を展開しておやりになるおつもりであるか、あるいはまた何か新しい方策をおもちになるのか。とにかく貯蓄というものは、その貯蓄の安全性、有利性ということが現實に保證されなければ、絶對に増加しないと私は考えるのであります。この點につきまして政府は預金保護のために、預金保險制度というようなものをお考えになつておらないかどうか。なおその貯蓄の増強に對して政府の御所信をお尋ね申し上げたいのであります。
#54
○栗栖國務大臣 お答えいたします。貯蓄の必要だということは喋々申すまでもないことでありまして、それがために政府といたしましては、さきに申し上げもいたしました通り、まず通貨の信用ということを第一にし、信用を維持し囘復するという點に、十分の施策その他をも整えるということを第一にいたしておるのであります。それからその次には貯蓄の増強でありますが、これは先ほどもお尋ねのような、將來に向つての貯蓄というものについては、預金の安全性というものを確保する必要がございますので、預金保險制度のごときものをもとりたい、こう考えまして、目下考究を進めておる次第でございます。それからなおその次には、預金については物賞――物の賞與というものをもつけまして、そうしてこれを十分奬勵するというような方策をもとりたいと思うのであります。なお預金の重要なことと、これは單にインフレーシヨンを破局から救うという面だけではなしに、その集まりました資金を、あるいは財政資金、あるいは産業資金に振り向けまして、日本の財政及び産業の立直りに資するということがあるのでございますので、貯蓄運動をなお引續き、殊にこの十二月につきましては、金の撒布される月でもございますので、十分徹底するようにいたしたい。かように考えておる次第でございます。
#55
○東井委員 ただいまのお話で預金保險制度の考えを進めておるとおつしやつたのでありまするが、その預金保險制度を實現される時期なんかは、まだはつきりとお考えになつておらないのであるか、その點を一點お伺いしたいのであります。さらに私は地方財政の問題につきまして、もう一つお尋ねをしておきたいのであります。地方自治の強化によりまして、最近地方に委讓される國務が非常に多くなつた。しかるに他方その經費も相當部分が地方自治體がこれを負擔しなければならぬというような實情にあるのでありまして、さなくとも赤字に惱んでおる地方財政は、ますます窮地に追いこまれておるというのが現在の實情であろうと思うのであります。この状態を放置しますると、中央財政をいかに健全化してみても、わが國全體としてこれを見るときには、赤字財政というものに變りはなく、そのためにインフレの高進というものが避けられないと思うのであります。この地方財政の窮迫の打開策として、先ほど私がお尋ね申し上げました次官通牒ということもお考えになつたのでありまするが、しかしながらもう一面におきまして、漫然と地方税の増徴をさせる、あるいは公共事業料金の値上げをさせるというようなことは、政府が消費税や國鐡の料金を引上げるというようなことと同じような惡結果をもたらすと思うのであります。そこで地方税の増徴や、あるいは公共事業料金の値上げに對して、大臣はどういうようにお考えになつておりまするか、またどういう方針をおとりになるつもりでありましようか、お伺いいたします。
#56
○栗栖國務大臣 まず初めの預金保險制度をとるならば、およそいつごろであろうか、わかつておるならば知らしてくれろ、こういう趣意の點についてお答えをいたします。これはただいま金融機關その他は補償打切り等による再建整備その他によつて、整備を急いでおるような次第でございます。そこで過去の預金について保證するというようなことでなしに、將來の預金について保證をするということにいたさなければならぬと思うのであります。それにはちようど金融機關が金融機關再建整備その他によりまして、今整備を急いでおる途上であります。そこで整備が大體終りますれば、その時期においてこの預金保險制度をもとつてみたい、かように考えまして、ただいま考究を進めておるような次第でございます。
 それから地方財政の點でございますが、これは御指摘の通り非常に亂れておるところが多數あるのでございまして、これを今にして何か救うということをしないならば、こういうところからもインフレーシヨンは相當激化する。のみならず地方民もそれに苦しむ。せつかく地方自治ということが與えられましても、それがかえつて目的に達しなくなる。かような點があるのでございます。それで地方の財政の整理ということにつきましては、今日までは内務省がおもにこれにあたつておりまして、大藏省も相談を受けておる次第でございます。これは今囘内務省の解體その他によりまして形が變つてくると思うのであります。そうしてまだはつきりわかりませんけれども、大藏省もこの地方財政の整理建直しということについては十分責任を負い、そうしてその實をあげる、こういうことの時期が來ると思うのであります。しかし大藏省としましては、それをまつまでもなしに、地方廳に對して、今囘は分與税の分與金等を多く、八十一億か計上して追加支出することにいたしました。これだけではとうてい足らぬところが非常にあるのであります。それについては、やはり地方自治團體の機構その他の建直しを、一面において十分考えるということと同時に、この支拂うべき支出に對しては、新しい歳入その他の財源を求めるということで、今相當借入金等でやつておるような次第であります。この借入金等に對しましても十分整理の目標をつけさせて、その整理の目標に從つてあるいは長期債と借替える。そういうようなことをも斡旋をいたし、そうして建直しをしたいと思うのであります。
 それからなお地方の財源を求めるために、地方團體ではいろいろな新税が起る。その新税についても、場合によつたならば國家全體においておもしろからぬようなものもあるのではないかという御趣意のお尋ねもあつたと思うのであります。そういうような場合につきましては、ただいまもいろいろ指導し、監督をいたしておるのでありまして、今後もいろいろ指導をしていくことになると思いまするが、そういう點においては地方自治という建前ももちろん尊重いたしますし、それと兩々相まつて、この指導その他によりまして必要なる財源、適當なる財源等は見出させまして、そうして建直しをさせるようにいたしたい。こういうように考えておる次第でございます。なお起債の場合につきましても、十分財政一般の建直しその他をも見合わせましていろいろ考え、そうしてやはり起債を圓滑にするためには、その自治團體の信用が第一でございます。信用するにはやはり財政を整理していかなければならぬわけでございます。そういう點をも十分留意してやつていきたい。こう考えておる次第でございます。
#57
○東井委員 次に本追加豫算のことに關してであります。ただいま議題となつております補正豫算が健全なものであるかどうかということにつきましては、いろいろの角度から、本委員會におきましても檢討をされ、論議を進めておるのでありまするが、私はこの追加豫算がほんとうに健全であるというためには第一に公定價格というものが嚴守されなければならぬ。第二には配給が主食、副食物ともに完全に實行されなければならぬ。第三にやみ所得が捕捉されなければならぬ。さらに、第四には脱税というものが嚴重に取締られて、これが防止をされなければならぬ。かくのごとくにして税收というものが確保され、豫算の實行というものが物價の混亂を來させることなく、物價の安定というものが、配給ルートを正常にもどすことによつて、勤勞者の實質賃金が向上して、そうしてこれに從つて生産の増強がなされる。こういうことが必須の前提條件であると思うのでありまするが、マル公がどうしても嚴守されなければならぬ。あるいは流通秩序の確立によつて、配給の完全な保持がされなければならぬ。こういう點につきましては、政府も懸命の努力をしておるという再々の御答辯を承るのでありますが、このやみ所得の捕捉ということについて、なかなかこれがむずかしいというお説を承るのであります。このやみ所得を捕捉するについてほんとうに科學的な捕捉方法というようなものを研究してからの議論であるか、そういう點をひとつ承りたいのであります。
 次には脱税の防止であります。脱税の防止ということにつきましては、先日も徴税機構の改善とか、あるいは税務官吏の待遇改善による能率の向上というようなことを、いろいろ議論されておつたのでありますが、それはもちろんその基本的な問題として、また緊急に行われなければならぬ問題として私は考えるのであります。方法論的に考えまして、たとえば嚴重な單行法というようなものをひとつここに制定されるような意思がおありにならないかどうか。なお外國の實例などを、よく研究されておるかどうかというようなことを承りたいのであります。
 それから先般主税局で各會社の脱税調査のいうことを行われたと思うのでありまするが、この具體的な調査によつて、脱税の事實があつたかどうか、また相當の效果をおあげになつたかどうか、その邊の事情を御説明願いたいと思うのであります。
#58
○前尾政府委員 やみ所得の捕捉の問題でありまするが、いずれにいたしましても、やみはやみでありまするので、非常に困難なことは當然であります。最後に一番科學的に捕捉し得る方法ということは、時間的にはかなりずれがありまするが結局調辨されましたいろいろな財産、たとえば家屋を買つたとか商品を買つておるというような財産は、それが財産税の申告に載つております場合にはいいのでありますが、財産税の申告にない財産とすれば、その後の所得にはいるわけであります。從いまして當然昨年の所得に課税いたしております増加所得税の課税對象になるか、あるいは本年の所得となりまして、今度の申告納税あるいは更正決定の對象になる次第でございます。それで先ほど申し上げましたように、時間的なずれはありますが、そういう方法によつていけば、これはいつかは課税になるということは、はつきり課税になるわけであります。ただ時間的のずれが非常にこの際重要でありますので、ある程度の探聞調査あるいはそれ以外の消費生活の面からの推定、あるいは第三者の通報というようなものをもとといたしまして、また實際に臨んで帳簿の調査、あるいは帳簿がなくても實際に本人について聽取するという方法を並行してやらなければならぬというわけで、現在やつておる次第であります。また脱税に對する取締り方法というのは、いろいろ研究はいたしておるのでありまするが、結局罰則につきまして一本にするという考え方は現在とつておりません。各税によつて、その税の性質に從つて、いろいろ罰則を設けておる次第でありますし、殊に間接税と直接税には幾分その性質の違いがある次第でありますので、それらについては各税でその罰則を規定いたしておる次第であります。また間接税につきましては、御承知のように間接國税犯則者處分法というような法律がありまして、割合簡易な手續によつて處罰をし得るような方法になつております。直接税にはそういうような簡易な手續はないので、從つて告發によらなければならぬということでありますが、それ以外にもいわゆる加算税――税金の何割かあるいは日歩何錢かを加算いたします制度を最近設けておりますので、それらによつても簡易にその目的を達するというような方法にしておる次第であります。いずれにいたしましても、今囘の税法の改正によりまして、その罰則を強化いたして、罰金の限度あるいは最低の限度というものを引上げておる次第であります。
 次に最近の各會社等の脱税の調査をいたしておるのでありますが、しかしこれは最近始めたのではなく從來から引續き行つておる次第でありまして、ただ法人税等におきましては、昨年の所得に對して課税いたしておりますが、個人の増加所得税の状況などと勘案いたしまして、どの程度の所得がなくてはならぬかというようなことを推定するために、最近一齊に調査をするというような方法をとつておる次第であります。具體的な數字はただいま持合わせがございませんが、いずれにしても正確な申告というのは割合に少いのでありまして、いずれかにおいては脱税をやつているというのが實情ではないかと考えておる次第でございます。最近殊に脱税の問題を取扱つて新聞紙等で申しておりますのは、從來直接税におきましては罰則を適用しなかつたのであります。これは數十年來の税務の執行方法がそういうしきたりになつておりましたので、罰則を規定しながら、ほとんど罰則を適用しなかつたような實情にありますので、それではこの際徴税の實をあげるということは不可能だという結論になりまして、どしどし罰則を適用していくそれにつきましては告發をしなくてはならぬというわけで、その警告を發し、また現に告發をいたしておるような次第でございます。
#59
○東井委員 もう一點主税局長にお伺いしておきたいと思いますが、今度酒造業の轉廢業者に對して、その整備區域ごとに一箇所、あるいは二箇所くらいの復活を許されるというように聽いておるのでありますが、はたしてほんとうであるかどうか。そうして復活を許されて新設される業者に對しまして、現在の酒造業者がもつておる造石の權利を分讓させるという御方針のように聽くのでありますが、その通りであるかどうか。そうして新たに復活を許される業者の基本石數が、最低三百石以上だというのでありますが、もしも復活される業者が所有し得る基本石數が、最低三百石であるということになりますれば、その新設に際しまして現存の業者から讓渡を受ける。その讓渡をいたします業者が三百石以下の基本石數をもつておる場合は、新たに復活を許される業者は三百石以上の業者であり、三百石以下の業者から讓渡するということになつてくると、何かそこに矛盾があるように考えるのであります。その點現在どういうようになつておるか、御説明を願いたいと思うのであります。
#60
○前尾政府委員 酒造業の轉廢業者の復活を、最近におきまして認めることにいたしましたのは事實でございますが、從來基本石數と申しておりますが、その生産權を前に企業整備の際に讓渡いたしましたので、その中で二、三割程度であると考えておるのでありますが、それを返還させておりますのも事實でございます。なおいずれにいたしましても適正規模でなくてはならないという意味合いからいたしまして、三百石の基本石數ということは、――現在の酒の製造石數が次第に減つてまいりますので、基本石數三百石にいたしましても、百石未滿になるわけであります。なるべく適正規模にしていきたいというような氣持から、あまり小さいものはつくらないという考え方でおるのであります。そうなりますと、結局殘存業者で非常に小さいものができて、復活したものが大きくなるというようなお話がございました。そういうような場合でありますると、なるべく殘存業者にも、できるだけ合同するなり何なりの方法で、適正規模でいつてもらいたい。殘存業者と轉廢業者と、あまり違つた經營の規模ではおもしろくないというように考えておるのであります。いずれにいたしましても、能力主義に應じて、次第に轉廢業者の復活をさせていくというような方針でありまするが、漸進的にいきたいという氣持で現在おる次第であります。
#61
○東井委員 その點はよく了解いたしたのでありますが、最低三百石ということについて、この三百石以下の殘存業者からも讓渡を強いられるというような状況になりますかどうか。またその讓渡のいろいろの手續なんかにつきましては、これは地方の財務局長あるいは税務署長にお任せになつておるものかどうか。あるいは自治的に、復活を許される業者、それから殘存業者というものの協議によるものか。その點をひとつお教えを願いたいと思います。
#62
○前尾政府委員 三百石の石數につきましては、最初考えておりました場合と最近では多少考えをかえてまいつております。と申しますのは、釀造石數も減りました關係もありますし、また能力主義で考えていきたいというので、實はただいま決定するまでに至つておりません。三百石くらいありませんと、實際問題として基本石數が三百石でありますから、實際につくります石數は非常に少いものになりますので、當初はあくまでそういう考え方であつたのでありますが、最近また石數が減りました關係で、幾分修正をしなくてはならないのではないかという氣持がいたしておりますので、まだ決定には至つておりません。
#63
○東井委員 私の質問はこれで終りました。
#64
○鈴木委員長 それでは次は野坂參三君、安本の總務長官と大藏大臣のほか、安定本部の貿易局長、大藏省の主税局長がおられます。なお運輸大臣あるいは運輸次官は、追つて御出席のはずであります。
#65
○野坂委員 政府の基本方針としていつも言われることですが、生産の増強というようなことは、前の内閣も今度の内閣も同じことを言われ、また總理大臣、安本長官も國會の劈頭の演説の中でも言われておりまして、われわれもこの方針についてはもちろん賛成です。ただこれが豫算の面にどういうふうに現われていくか。安本の方の計畫として、今年度の産業資金として大體どのくらいのものをお出しになるような見積りであるか。この點をまずお聽きしたい。
#66
○和田國務大臣 復金に對する政府出資とか、貿易資金、食糧管理特別會計に要する所要の資金を除いて、千二百五十億というのが大體の見透しであります。
#67
○野坂委員 次にお伺いしたいのは、これはこの間の本會議における豫算の質問のときにもお聽きして囘答を得られなかつたのですが、大體安本の方としては、年度末までに國民消費資金としてどのくらいのものを見積られておりますか。
#68
○和田國務大臣 國民消費資金については、今のところ私の方でも正確にわかりません。これは財政の方の、種別についての適當なものができる段階にまで至つておりませんから、どの程度までのものか國民消費資金になるかということは、正確には申し上げられません。
#69
○野坂委員 正確でなくて大體の見當で結構です。すでに安本の方では國民所得を大體九千億というように見積られておりますし、七月の白書の出た當時に、すでに前年度の計畫は立てられているはずだし、もつともこの當時は國民所得は八千五百億でしたか、そんな程度の大まかな數字が出ているし、しかもまた産業資金の方だけは千二百五十億と出ております。從つて國民消費資金についての大體の見當というものはおわかりになるでしよう。これがどのくらいと見積られなければ、安本の計畫自體も成り立たないはずだし、九千億という數字も出ないはずだと思いますが、大まかな大體のところをお伺いしたい。
#70
○和田國務大臣 いろいろな條件がありますので、正確なことは申し上げられませんが、大體の見透しとして國民所得の七割當見ではないかと思います。
#71
○野坂委員 そうすると大體六千二、三百億圓になりますね。それでは産業資金、國民消費資金を合わせると大體七千五百億圓という數字が出てくる。これを今の國民所得の九千億から引いてみますと、殘りがわずかに千五百億、こういうことになります。大體私たちが私たちらしい計算でやつたところでも同じようなところが出てくる。そうしますと、國民所得の中で産業資金及び國民消費を控除したあとが大體千五百億、これが財政資金として使われるものだ。こうわれわれは理解して差支えないだろうと思います。政府の出されました統計によると、一般及び追加を寄せて二千何億圓、さらにこれに地方財政特別會計を寄せますと、政府の數字によれば大體二千七百餘億、これが今年中にお出しになる財政資金である。そうすると、先ほどの國民所得九千億の中で財政資金として使えるものは千五百億であるが、しかし今ここで出された政府の豫算では二千七百億圓ほどお出しにならなければならぬ。そうするとどうしでも足りないところが千二百億ということになると思う。それで安本長官に念のためにお聽きしたいのは私のこうした計算は大體において安本長官はお認めになりますかどうか。
#72
○和田國務大臣 大體私は國民所得と産業資金――國民所得の中での消費部門というものを申し上げたのですが、ただあなたの仰しやつたものそのままを正しいと言われない點は、調整項目が國民所得の中にあるわけであります。この兩方に乘るものがありまして、それが大體振替貯蓄、專賣益金、間接税あるいは在庫品の原價鎖却といつたようなものがありますから、こういうものを正確に調査いたしませんと、今野坂さんのおつしやつたような結論にならないのであります。調整項目を考える必要があるであろう、かように考えます。
#73
○野坂委員 そうしますと、それは大體どのくらいの額を見積つたらよろしいのですか。
#74
○和田國務大臣 一千數百億圓くらいになろうかと思います。
#75
○野坂委員 そうしますと、これについての材料はあとで提供していただけますか。
#76
○和田國務大臣 これはいろいろ精査しませんと細かい數字はなかなか出ませんが、今言つた考え方のものにつきましては、文書でお出ししてもよろしうございます。
#77
○野坂委員 先日ここの公聽會で、大内教授はやはり同じような計算をされておりました。大内教授の計算によると一千百億圓ばかりの不足が出て來るという計算であつた。私の今申しましたことは、これはちようどここで公聽會のときに、大内教授がここでもやはり同じような計算をされて、そうして大内教授の計算によると、一千百億圓ばかりの不足がやはり出てくる、こういうようなことになつた。今の安本長官の數字から計算しますと、一千二百億あるいは五百億近くになる、今の安本長官の御意見によりますと、結局こういうものがなくなるということになりますか。
#78
○和田國務大臣 私大内先生の公聽會のときには、全部お聽きしませんわけでありますが、大内さんも調整項目は全然考慮されてなかつたじやないかと思います。從いまして調整項目を考慮しますれば、やはりそう言つたものはなくなつてくる、こういうことになろうかと思います。
#79
○野坂委員 この問題について、私はあとで安本長官の方から材料を提供せられましたときに、もう一度質問したいと思います。
 次にお伺いしたいのは、國民所得の問題につきまして、政府の方で提供された國民所得推定額、この材料を見ますと、昭和十年の國民所得の總額がここに出ております。これを基準にして、政府の方では二十二年度に九千億、こういう數字をお出しになつたと思います。この數字が一體どういうふうにして出されたか。この過程、この根據について簡單にお聽きしたいのであります。
#80
○和田國務大臣 この二十二年度の推定の方法でありますが、これは御承知のように、今經濟の諸統計資料がなんと言つても不備だと言わざるを得ないのであります、そこで正確なる算出はもちろん困難だということにつきましては、これはあらかじめお斷りいたしておきたいのでありますし、御了承願えると思うのでありますが、大體九千億とこう推定いたしましたのは、これは言いかえると、物的な方法によつて把握したものでありまして、大體昭和十年におきます物材と、生産と物價と、昭和二十二年度のそれらとを比較いたしまして、その間の變動を考慮して推定をいたしました。他の物價につきましては、大體本年の七、八月ごろの物價水準によつております。從いまして今後におきまする物價の推移と、物資の生産の成果のいかんによりましては、これは國民所得の推定額にも多少の變更はある、こういうようにお考えを願いたいと思うのであります。生産所得として把握いたしておりますから、そういうことになるわけであります。
#81
○野坂委員 そうすると、今の昭和十年の國民所得百五十六億圓は、昭和二十二年度の生産指數を基準にして、それをまずお出しになつたと思いますが、そうしますと、生産指數をどのくらいにお見積りになり、またこれから割出されたところの二十二年度における國民所得額は、どのようにお見積りになつたか。
#82
○和田國務大臣 話が大分細かくなつてくるのでありますが、大體いろいろなものを總合しまして約六〇%、こういうことになつております。もちろん農業も含んでおります。
#83
○野坂委員 額で申しますと、二十二年度はどのくらいになりますか、大體九十四億ですか。
#84
○和田國務大臣 大體そういうことになります。
#85
○野坂委員 そうしますと九十四億圓、それが今九千億になつたと思いますが、これについては實效價格の指數でおやりになつたと思いますが、そうしますとこの實效價格の指數の中で、やみの流通とそれからマル公の配給と、これの率はどういうふうにお見積りになりましたか。
#86
○和田國務大臣 この實效價格につきましては、それぞれの物資別に考慮して出しております。
#87
○野坂委員 このときに大體九十四億と出ましたが、これが何千億になるのですから、そうしますと、そこでお聽きしたいのは、やみとマル公の率をどういうふうにお見積りになつて計算されたかということです。
#88
○和田國務大臣 これは物資別によつて非常に違います、ですから各物資別について計算いたしております。
#89
○野坂委員 大體平均すればどのくらいになりますか。
#90
○和田國務大臣 その場合は平均はあまり意味をなさぬと、ぼくは思います。
#91
○野坂委員 ある經濟學者の言うところによると、これは大體においてやみが一、それからマル公が九、この割合ではないかというふうな意見がありますが、この點についてはいかがですか。
#92
○和田國務大臣 あるいはそういうことを言う人もあるかも知れませんが、私どもの方としてはこれは各物資別に計算して、それぞれ掛けて出している、こういうことになつております。この場合ぼくは平均はあまり意味をなさないと思います。
#93
○野坂委員 意味をなさないけれどもこれを私はお聽きしたい、おそらく安本にはあるはずだと思います。それはどうでしようか、委員長、あとでこの統計をぜひ出していただきたいと私は思います。その計算の基準があるはずです。
 さて今の國民所得の計算によりますと、十年が百五十六億圓、それからそれを生産指數で割出したところによると九十四億圓、こういうふうになつておりまするが、今年の七月に安本の方で御發表なさつた八千五百億というこの數字の基準は、大體何月頃の基準に基いて安本の方では計算されたのでしようか。
#94
○和田國務大臣 これは最初に御説明申し上げましたように、大體七、八月頃ということでありますが、あとのもので多少變つたものはやはり修正を施しております。
#95
○野坂委員 實は今の問題ははつきりしたいと思いましたけれども逃げられたので、ある材料をお出しにならないので、あとで材料をお出しになつたときに私がもう一度質問したいと思います。
 その次にお聽きしたいのは、終戰處理費の問題については、鈴木委員長、安本長官にお聽きしたらいいのでしようか、大藏大臣にお聽きしたらいいのでしようか。
#96
○和田國務大臣 大藏大臣ですね。(笑聲)
#97
○野坂委員 しかし物價に直接關係がある問題についてだけ安本長官に一つお聽きしたいと思います。これはインフレと直接關係がありますから……。まずここにあげられている終戰處理費の問題でありますがこの中で、これはすでにここの議場でもしばしば申されましたように、マル公ですべてやがられることになつているということを伺いましたが、それをやられた結果、土木以外のほかの生産にいかなる影響を與えるか。すなわちこれがほかの生産物資における物價騰貴を招かないかどうかという問題についてお聽きしたいと思います。
#98
○和田國務大臣 お答えします。この終戰處理費の分は、資材は大體向うの方に相談いたしまして、各期別にそれぞれ割當をするものは割當てておるわけでございまして、そういつたような關係でやはり公價の取引が嚴密に行われますならば、むしろ逆に物價に對しては影響がないのではないかと私は思うのであります。
#99
○野坂委員 そうしますと今のマル公で實際に政府がおやりになるという場合には、はたして豫定の計畫が遂行されるかどうか、この點についてはどういうお考えでありますか。
#100
○和田國務大臣 それは遂行されると思います。
#101
○野坂委員 一般にはこれは遂行されないと言つておりますが、されたらこれは何か手品があるに違いない。聞くところによりますると、今方々で入札を拒絶しておるかということです。たとえば青森縣あたりで、聞くところによればすでに六件出ております。ほかの縣でも相當出でいるらしい。これは實情だと思います。それでも安本長官の方では、マル公によつて豫定の計畫をそのまま遂行されるならば、今拒絶したものを強制的にやるよりほかにない。ですから政府の方では強制的に徴發する以外に私は方法はないと思いますが、この點について伺います。
#102
○和田國務大臣 その點はこういうことになろうと思うのであります。たとえばちやんとした計畫を初め出しておるにかかわらず、それをまたあとから勝手に水増しをしたりされれば、これは計畫そのものを崩していくわけでありますから、これは困るわけであります。その點はわれわれとしては、今度の公價主義を決定する場合には、關係方面にそういうことはしないように、やはり計畫は計畫として、きちんとしたものをもつてやつてもらうことを要請いたすようにしておるのでありまして、途中で勝手に――もと日本の軍部でやりましたように、どんどん計畫を壞されると、初めから計畫にはいつていかないから困りますけれども、そういうことがないようにやつてもらいたいということを懇請いたすことにいたしております。それと今度の計畫の中にはいつているもので、場合によつては強力命令を出したり必要なものはとつてくるという強制手段も、一應そこに要ろうかと思つております。しかし計畫自體を勝手に崩されて水増しされてやつていくということはやめてもらわないと、公價主義自體がその面から破れてまいりますから、公價主義の嚴守の點については、關係方面に懇請をいたすように、政府としては進んでおる次第であります。
#103
○野坂委員 それは向う樣のことだと思いますけれども、土木業者といたしましてはもちろんこれはやりません。これは和田安本長官がよく御存じだと思います。今の日本のインフレの時期において、今の定められたマル公によつてやろうたつてできるものではない。そうすると土木業者は、どうしても外部において何とかもうけなければならぬ。從つてこれからインフレが起る一つの因素が出てくるのではないかというのが私の考えであります。この點について……。
#104
○和田國務大臣 その點は私はどうもそらじやないと實は思うのでありまして、やはりほんとうに割當られた資材でやつていくということでありますれば、インフレをそこで起すわけではないのであつて、今までの初期のルーズな點は、日にちを實はきめられ、そうしてしかも實際の計畫よりも多くの物をやらなければならなかつた。片方ではどんどん現場で命令されるものでありますから、つい土木業者の方はどんどん資材をやみで買つてきて、工事をやつていつた、こういう形で今まではあつたようにわれわれとしては聞いておるのであります。しかし實際上土木業者が受けなければ、工事自體が進まないので、やはり公定價格で計畫通りにやつていくという建前に立ちます以上は、今おつしやつたような弊害はなかろうかと考えております。
#105
○野坂委員 それについて私の言つておることと和田長官と少し食違つておると思います。というのは私たちは今の豫算面から見ても、また日本の現在の物價騰貴のこの状態を見ても、今後インフレは續く、物價は上る。こういう場合において、この公價では保つていけないという時期はすぐ目の前に來つつある。しかもこれを公價主義で押付けるならば、結局土木業者が損をするか、しからざれば強制的にやるより方法がない。こういうことを言つても水掛論になりますから、これくらいにしておきます。
 もう一つ、今和田長官が言われました通り物資の問題になります。政府の方の提供された使用物資の第一ないし第三・四半期における統計が出ております。これを見ますと、たとえば普通鋼等々というものがありますが、このうちでたとえば鑄鐵管というものは八〇%くらい向うにいくことになつております。セメントなどもこうなつております。私率直にお聽きしたいのは、そういうふうに必要な資材というものが七〇%も、八〇%も――低いところでは十何パーセント、二十何パーセント、こういうふうになつていますが、これが日本の生産計畫にとつて影響というものはどういうお見積りになつているか。
#106
○和田國務大臣 この資料が示しますように、鐵管とか、セメントとか、相當貴重な資材がそういう方にとられますから、逆に日本の經濟にとつては物的な負憺になつております。
#107
○野坂委員 この中で石炭のところに第一期、第二期、第三期の進駐軍に對する配當の比例が三%、二%、あるいは四%となつております。この統計を見ますと、配當量が第一期では二十萬トン、その次は十三萬トン、第三期が二十七萬トン、こういうふうになつております。ところが今から二、三週間前のこの委員會のときに、政府委員の方では朝鮮向けの石炭が毎月七萬五千トン出るというふうに言われました。七萬五千トンというと、第一期三箇月にしますと、これが二十二萬五千トンになります。ところがこの統計を見ますと、二十二萬五千トンではなくて二十萬トン、これが進駐軍向けということになつています。そうするとこの朝鮮向けの石炭だけでこの統計全部が埋められることになりますが、この點どういう計算になつていますか。
#108
○和田國務大臣 朝鮮向けのやつは、おそらく別計算になつていはしないかと存じます。その點今はつきりいたしませんが……。
#109
○野坂委員 しかし豫算面では、たとえば終戰處理費の中に、朝鮮向けの資材としてはつきりはいつていますから、これは……。
#110
○和田國務大臣 それは結局割當のやつですから、おそらく別計算じやないかと思いますが、正確なところは調べて申し上げます。
#111
○野坂委員 それではあとで……。それから和田長官にもう少し待つていただきまして、その間に貿易關係とちよつと關係がありますから、貿易局長に少しお聽きしたいと思います。それは八月十五日以來いわゆる貿易再開ができて今日までになつていますが、簡單にこの經過と現状、それから將來の見透しという點をぜひお願いいたしたいのであります。
#112
○藤澤政府委員 ちよつと初めの方がよく聽えませんでしたので、はなはだ相濟みませんが……。
#113
○野坂委員 八月十五日以來今日までの貿易の經過、それから將來の見透しを伺いたい。
#114
○藤澤政府委員 お答え申し上げます。その數字は今はつきりしたものを持つておりません。貿易廳の方ではつきりできておりませんものですから、安本の方ではまだその數字が集まつておりません。今おつしやいますのは制限民間貿易ができたときからですか。
#115
○野坂委員 そうです。
#116
○藤澤政府委員 御案内でもありましようが、九月の初めから始めましたのですけれども、參つた方は主としてアメリカ方面から參りました。實はアメリカに賣るような品物がたくさんございませんので、最近までのところでは多くの商賣ができておりません。思うにまず二百萬ドル以下だつたろうと思つております。引續き各方面から參りますそうです。
#117
○野坂委員 この先の見透しはどうですか。
#118
○藤澤政府委員 今年及び來年にかけましての大要を申し上げます。御存じのように日本の貿易の向うところは、主としてアメリカ方面から輸入いたしまして、輸出は東亞の諸國がおもなのでございます。しかし東亞の諸國はまだ經濟囘復がたいへん遲れておりますし、最近またポンドとドルとの自由交換も停止されておりますので、思つたような貿易活動ができないのじやないかと思います。しかし相當量の輸出が考えられております。今年はほとんど終りが近づいておりますが、來年一ぱいでは、大要今年よりよほど進展が認められると思つて、いくらか明るい希望をもつております。金額においてはまだはつきりわかりません。
#119
○野坂委員 もう少し具體的に、どういう方面にどういうバイヤーがあるとか、この産業はどういうふうな見透しがあるというようなことをお聽きしたいと思います。
#120
○藤澤政府委員 ではどの産業はどうかというようにお聽き願つたら、私の方では存じ上げておることを申し上げたいと思います。――野坂さんの御質問は、私はあるいは取違えておつたかもしれませんが、大體御承知の通り纖維が――纖維と申しますと主として綿花原料製品、羊毛製品、それから人絹もございます。大體そういうものが輸出の主力でございまして、まず七、八割程度に及ぼうかと思つております。その他機械製品あるいは農水産物加工品、そういうものにだんだん進んでいくと思います。陶磁器のごときも相當量進むと思つております。
#121
○野坂委員 これ以上今の質問はしません。何か統計的なものがあればあとで出していただきたいと思います。
 もう一つ貿易局長にお聽きしたいのは、豫算面では貿易資金繰入として合計六十四億と出ておりますが、どうしてこういう六十四億圓というふうな……。
    〔發言する者あり〕
#122
○鈴木委員長 お靜かに願います。
#123
○和田國務大臣 例の貿易の見透しですが、にれは私の方としまして、來年度の貿易、生産、消費の計畫を今立てております。それによつてどのくらいの貿易に上り、――これはもちろん囘轉資金を中心として、同轉資金と同時に關連して考えておりますが、まだ連合軍の方へ出して承認を得ておりませんので、いずれ適當のときに、僕らの方としても來年度の見透しを貿易、生産、消費全體についてぜひ出したいと思いまして今交渉しております。數字はありますが、これはちつと發表を差控えさしていただきたいと思います。たた民間貿易の點につきましては、今局長の言われました通り百八十萬ドルから二百萬ドルできただけであつて、今後どの程度くるかによつて具體的には決定されるので、今からどれだけになるかという見透しは立てにくいような現状であります。それから貿易資金の内容は係の者から申し上げます。
#124
○渡邊(喜)政府委員 貿易資金の内容につきましては、昭和二十二年度豫算の説明書の中にも書いてございますが、年度末における輸入資金不足額を百四十五億八千六百萬圓と推定いたしまして、さらに輸入の不足資金の中には輸出入資金の中で將來圓貨收入となるべきものを賄う部分が考えられますので、この部分を借入金で賄うものとしまして、その金額九十億八千五百萬圓、差引きまして約五十五億圓、これを貿易資金に繰入れる。こういう計算になつております。
#125
○野坂委員 もう一つは、この間から和田長官のお話の中で、私の企業に對してアメリカ側から私の投資がある。こういうふうなお話がありましたが、これの内容についてもう一度お聽きしたい。つまりどういう産業の方面に、どういう條件のもとに、いつごろから投資されるのか、さようなことについて大體の見當はどうなつておるかお伺いいたしたい。
#126
○和田國務大臣 その内容はちよつと言えないのですが、實は關係の方からそういう私的な投資のものがくるので、日本としてどういうものをどういう順序で、この投資の對象にしたらいいか、その點についての意見を知らしてくれというようなことがありましたので、われわれの方としては二、三日前に寄りまして、その意見を向うに出しておるというだけでありまして、具體的にはまだどういうものであるかということについて、向うとの話合いが進んでおるわけではありません。向うが來たときに、日本としてどういうものを最初に必要とするかということについて、こちらからの意見を求められたという程度であります。
#127
○野坂委員 數日前の新聞に、鐵鋼のことについて出ておりましたが、あの問題とこれとは關係がありますか。
#128
○和田國務大臣 お答えします。鐵鋼の件は別でございます。
#129
○野坂委員 それから終戰處理費の中で、朝鮮向け資材の問題ですが、大藏大臣のこの間の本會議におる答辯では、將來これをどうするかということはまだきまつていない。こういうことであつたのでありますが、この問題は私は相當重要な問題であると思う。普通にみても朝鮮の費用を日本の國民が拂わなければならないというような義務は、ポツダム宣言においてもわれわれが知つておる範圍ではないはずである。しかもこれを拂わなければならぬとすれば、これを拂うときに大體どういう條件のもとにこれを拂うことになつておるか、こういう約束が政府側と連合國側との間に何かあつたのでありますか。あるいは文書としてそれは殘されておるのか、この問題についてどなたでもよろしゆうございますから伺いたい。
#130
○栗栖國務大臣 私からお答えいたします。本年度の本豫算において、朝鮮向けの資材として十七億の計上がしてあるのであります。そうして今度の追加豫算において二十九億の計上になつておるのでありまして、合わして四十七億ばかりになつておる次第でございます。これにつきましては、前内閣でもすでにそうであつたと思うのでありますが、われわれといたしましても、十分先方にも懇請をいたしたのであります。今囘は立替計上をいたしておくに止めまして、今後のことは講和條約その他の場合において、これをいかに處理するかということが、きまることに相なつておるのであります。從つて公的な文書その他の交換はないと信じております。
#131
○野坂委員 ついでに非常に小さいことですが、地方などに行きますと、こういう問題があります。連合國側へ家屋を提供した。個人の邸宅あるいは宿屋、これにいろいろな設備を新しく向うがもつてきてこれをやり直した。さてこの連合國側の人たちが出ていつたあとで、その家具その他が殘るが、これについてこれらの人々に一つの不安があります。一體ここにあつたものをいろいろ裝飾がえをしたが、この經費は向うが出すのだろうか。どうだろうか。今殘されておる机とか、椅子とか、これは一體將來どうなるのかというのです。この問題についてどういうふうな今契約がありますか。
#132
○和田國務大臣 それは地方の終戰連絡事務局が、問題を一括いたしまして處理していると思ます。
#133
○野坂委員 それは一體將來その家屋の所有者のものになるのか、ならないのか、返さなければならないのか、あるいは返す場合に賠償をとられるのか、お伺いしているのです。
#134
○和田國務大臣 實はその點ははつきりしていないのです。
#135
○野坂委員 こういう問題は政府にはつきりしておいてもらわぬと、私の知つておる範圍でも相當ありますが、困るのです。
 それから和田安本長官がおられる間にお伺いしておきたいのは、例の黒字のことなのです。もういよいよ十一月になりましたが、われわれの生計は少しも黒字になつていない。この點について、もうああいうことを出されたことにとらわれずに、お答え願いたいと思います。
#136
○和田國務大臣 お答えします。やはり政府の方は、インフレーシヨンに對しまして、物價體系そのものを壞さずに堅持していつて、インフレーシヨンそのものの促進というものを抑制していつて、それで時を稼ぎ、生産を上げていく。こういう基本的な立場はどこまでもわれわれとしては、今後といえども堅持していきたいと思うのであります。それから同時に流通秩序の確立の點につきましては、やはり本筋はどうしても流通秩序を確立して、そこへはいつてくるものを多くしていく。こういう方向は、これは私はやはり誤りでない方向だと思いますので、その點についての努力はぜひやつていきたい。いつまでもそういう實質的な賃金と物價との惡循環だけは、何とかして立ち切つていくような努力は、これはどうしても今後ともやつていきませんと、そこを省いてしまつたのでは、インフレーシヨンに對するそのものの放置ということになるわけでございますので、そういう努力は今後政府としましても萬全の措置を講じて、實質賃金面の内容をも豐冨にしていくということは、やつていきたいと思います。
#137
○野坂委員 私のお聽きしておるのは、和田安本長官の主觀的意圖を聽いているのでない。意圖はよくわかつておる。主觀的意圖からいろいろやられましたが、七月、八月、九月、十月、十一月になつて、一體その實積がどうなつたか。私は和田安本長官を責めるわけでも何でもない。政策は政府全體が責任を負わなければならぬ。そのやられた結果、今日十一月になつて、はたしてあの黒字が出ておるかどうか。これは非常に重要な問題になると思うのです、今千八百圓ベースの問題をめぐつて、勞資の間に大きな鬪爭がもち上つている。その間に和田安本長官の方では、四百圓の黒字が今度は二百何十圓かに減つて、最近は二十何圓に減つたということを申しております。もう十一月も中ごろになりましたが、今日一體どういう状態にあるか。それについて和田安本長官の虚心坦懷なお答えを願いたいと思います。もう昔のことは水に流していいのです。
#138
○和田國務大臣 私がこの委員會で家計の内容を言いましたのは、御承知のようにいろいろのそこに前提があつたわけであります。もちろんその前提の中で、主食の配給その他については、あの當時豫想されていなかつたものが出たということ、數字そのものがあの通り出なかつたということで、私も四百圓の黒字が出たとは申しませんし、その政策自體の中で、たとえば野菜なり魚につきましては、思うような結果は得られませんでしたが、しかし全部が全部これが思う通りいかなかつたというものではないのでありまして、中には計畫の通りいつたものも、たとえばみそであるとか、調味料についてはあるわけであります。しかし全體として流通秩序の面において思うように、計畫通りいかなかつたという點は、あなたの方の資料の要求によつて差上げたような數字が出ておることは、私も認めておるのであります。しかしこれからもそういう方向を放棄するのでくして、われわれとしては流通秩序の確立の點については努力をして、その方面からも家計そのものがらくになるような努力は、政府としてはやつていきたい。こういうことを申し上げます。
#139
○野坂委員 これは將來の問題ではなく、現在の現實の事實として、今までは大體において生計が赤字になつておる。黒字ではないということを、われわれは認めて差支えないでしようか。
#140
○和田國務大臣 十一月の數字は、まだ半ばですから、われわれの方としてはまだ計算しておりません。
#141
○野坂委員 私はここで討論會をやつておるのじやない。もう少し眞劍に、こういう問題は、できなければできない、どういう困難があるということを率直にここで言つていただきたい。そうすればわれわれは豫算の討議についてもう少し眞劍さが出てくる。ああいう態度をとられるのでは、こういう審議を進めても、あまり大きな意味がないのじやないか。私たちは何も古い經濟白書に述べられたあれにあくまでとらわれて、現實の姿を見まいとする、こういうふうな態度は、政府の當局としてとられるべき態度じやないと思う。
 それでは私はもうこれ以上は和田安本長官に御質問しませんが、最後に一言お伺いしたいのは、二十三年度の豫算の編成がもうすでに行われていましようし、大體毎年の例によれば今ごろはでき上つておるはずですが、そうしますと二十三年度における豫算の編成にあたつて、物價の基準というものはどういうところにおかれておりますか。今の追加豫算にとられたあの基準をそのまま踏襲されるのか、その點を伺いたい。これは大藏大臣にはもうお聽きしましたから、和田安本長官にお聽きしたい。
#142
○和田國務大臣 お答えいたします。現實の情勢が非常に困難であるということにつきましては、御指摘のようにわれわれも目をおおつてはおりません。今度の追加豫算の編成の過程から見ましても、それから日本の今のインフレーシヨンの段階から言つても、現實は非常に困難であるということについては、われわれとしてもそれは率直に認めておるのであります。ただ二十三年度の豫算の編成については、これをどうするかということについて、政府としてはまだ具體的な結論には到達いたしておりません。しかしこれは、私の今のインフレーシヨンに對する考え方といたしましては、やはり物價の體系そのものを大きく動かしたり、變動させたりということのないような立場で、進んでいくのがよいのじやないか、こう考えております。しかしこれにもなかなか各種の問題があろうかと思います。しかし物價に對する關係としては、やはり二十三年度の豫算そのものを組む場合におきましても、物價體系そのものの堅持ということが、一つの大きな建前になろうかと考えております。それについてはもちろんいろいろ問題があることは、私も萬々承知いたしておりますが、この點についてはまだ政府としては、最後の確定的な階段まで達しておりません。
#143
○野坂委員 今の安本長官のお言葉の中に、今日のこの状態、それからインフレーシヨンの状態のもとに、こういう意味のことを言われましたが、和田安本長官の方では今後のインフレーシヨンの見透しについてどういうふうにお考えになつておるか。それから、それに關連して、たとえばこの間大内教授がここで申されましたが、大體年度末までには、日銀の通貨が三千億に達するであろう、これは大體の見當ですが、こういうようなことを言われましたが、和田安本長官はどうお考えになりますか。もう一言言いますが、和田安本長官自身は、インフレーシヨン高進中であるということをお認めになつておられますか。
#144
○和田國務大臣 大内さんの言われたことは私は承服できません。この年度内にたとえば八百億の追加豫算を出すとか、あるいは年度内に三千億になるとかいうことは、今日の國民所得、あるいは國民の消費關係、産業資金等を考えてみましても、調査項目そのものを全部大内さんは考えていないという點もありますし、なぜ三千億になるのかというその論據が、私はあのとき聽いてはつきりしなかつたと思うのであります。從つて年度末には三千億出るという論據はちよつと私承服ができないのであります。ただわれわれとしては、先般も申しましたように、資金計畫の面から言えば、今度の豫算とも關連して、千九百二十億くらいまでには上るであろうということであります。もちろんこの中には、貯蓄の増強であるとか、あるいはこの委員會で問題になりましたように、税の徴收だとかいう、政府としてやるべき努力というものがはいつておることは、これも率直に私は認めておるのであります。ただ三千億になるだろうということは、大内さんのあのままの議論では、われわれとしては承服できないのであります。しかしインフレーシヨンが停止しているかといえば、私は停止しているとは思いません。やはり日本の今のインフレーシヨンというものは、徐々に進んでおると私は見るのであります。從つてインフレーシヨンについては、政府としてももつと總合的な對策をやるべきだということを痛感しておるのでありまして、インフレーシヨンが非常ににぶつたとか、停止しておるとかいうふうには私は考えておりません。やはりインフレーシヨンというものは進んでいるということであります。そこにやはり問題があると思います。
#145
○野坂委員 今和田安本長官は、インフレーシヨンは高進している。ただ徐々にいくというお言葉がありましたが、そういたしますと、先ほど申しましたように、來年度の豫算を組む場合においては、現在の物價體系ではなしに、新しい物價體系を立てておやりになるということが、やはり含まれているというふうに解釋してよろしいでしようか。
#146
○和田國務大臣 私は、やはり、價格體系の内部の調整の問題もありますし、それから生産階級の問題もありますから、そう簡單にはまいらぬだろうと考えております。
#147
○野坂委員 これで最後ですが、十三日の参議院の豫算委員會で、木村禧八郎君の質問に對して、和田長官はこういうふうに言われた。新物價體系は維持する。しかし官公廳職員の給與に對しては、財源さえあれば千八百圓ベースを改善してもよろしい、こういうような答辯があつたと思いますが、もしこれが事實ならば、そうしますと、官公廳職員の給與に對しては、財源さえあれば千八百圓ベースを改善してもいい、こういうような御意見だと解釋していいのでありますか。
#148
○和田國務大臣 官公廳の職員の給與について、私が木村君に言いましたのは、民間の給與というものが、今度の價格體系を立てます場合に、能率の増進であるとか、あるいは増産等によつて、結局價格體系のもとで、企業内部において餘力ができた場合には、賃金はストツプでないのだから上る餘地がある。理由はどういう理由か知りませんが、とにかく現實には上つておる。官公廳においては千八百圓という線でそこに非常に差が出てきておる、ということを言つたわけです。そこで、今の官公廳のいわゆる給與制度そのものが合理的であるとは私も言えないから、これは官公廳の給與制度そのものの改善ということは考えなければならぬと思うのです。しかし官公廳の場合は、ほかの企業と違つてそこに生産ということが伴わないので、どうしても財源という問題が大きく出てくる。だから、價格體系そのものを堅持していく、しかも財源という大きな制約のもとで給與制度の改善をし得る案があれば、給與制度の改善をやるということは、自分としてもちつともいけないことじやないということを御答辯申し上げたのであります。
#149
○野坂委員 すると、この財源というものは今あるのですか。これからまたお探しになるのですか。
#150
○栗栖國務大臣 この官公更の給與をいくらにするかというようなことが假定的な問題になりますし、もし必要があればいろいろ考究もいたしたいと思いますけれども、ここで、いくらいくらの財源があるというようなことをちよつと申し上げかねるのであります。
#151
○野坂委員 大藏大臣のお言葉を承ると、何か別の世界に住んでおられるのじやないかという氣がするのです。御存じのように、もう何箇月も前から官公勞の方では、千八百圓では食えないからという要求を出して、この議會にもほとんど毎日のように來て請願をやつております。御存じのように中勞委でもこれが中心の題目になつております。この場合に、どういうふうに解決するかということについては、大藏大臣としては當然考えておられるべきはずであります。今和田安本長官は、財源さえあれば千八百圓ベースを改善してもいいと言われた。これは普通の人間ならば言えるはずだと思います。今度は大藏大臣の方では、こういうことはあるかもしれぬが、財源はないからこれから研究してみよう、こういうふうなお考えである。そうすれば結局、前に荒畑君が言われましたように、ある判事のように榮養失調になつて死んでしまうか、あるいはたれかのように首をくくつて死ぬか、これを官公職員に要求されるということ以外にとれないと思う。私たち眞劍にお聽きしますが、一體今の官公職員の窮迫した生活を、どういうふうにして政府としては改善されようとしておるか。私はあらゆる努力を拂つて財源を見出すべきだと思います。財源はあるのです。財源は出せばいくらでも出すところはある。あなた方はとられないだけである。社會黨が主張されておる。新圓階級からとれといつておる。なぜああいうところからおとりにならないか。財源はあるのです。これについて大藏大臣にお聽きしたい。
#152
○栗栖國務大臣 今私が別に世界に住んでおるというようなお話がありましたが、もちろん官公吏の苦しい生活につきましては、他の國民と同じように十分われわれは考えておるのであります。ただこれを假定のもとに、ここでいくらいくら要るからそれにはこれくらいの財源があるということは申し上げかねる、研究は十分いたしておるということでお許しを願いたいと思います。
#153
○野坂委員 それで大體大藏大臣、あるいは政府のこの問題についての態度がわかつたと思います。
 もう一つ、これは小さい問題のようですが、官公廳の職員の給與の問題について、痛切に今問題になつております。實は一昨日ここに國鐵の上野支部から來られた代表がここで要求されておるのは、かれらの非常な窮迫の状態を述べて、そして十二月分の俸給給料を十一月十五日までに繰上げて支給してもらいたい、こういうことを要求してきました。こういうふうな一種の非面の非常手段を政府の方でとられるようにしていただきたいと思うが、これはどういうふうな手續をなせばやり得るものであろうか、それをお聽きしたい。
#154
○今井政府委員 技術的な問題でございますので私からお答え申し上げます。建前といたしましては法律の改正を要します。しかしながら根本觀念といたしまして一體月給というもの、勤勞の對價というものを、その月給の所屬しない月、すなわち十二月分の月給を十一月に拂うということは、國の會計の建前から申しますといかがかと存じます。
#155
○野坂委員 しかし私はこういう給與の法律は、十分研究しておりませんけれども、會計法においては十二月分の月給を前月に拂つては惡い、つまり前拂いをしては惡いというふうな規定はないように思いますが、どうでしようか。
#156
○今井政府委員 申し上げます。國の支拂いの建前はすべて國という特殊な信用をバツクにする關係もありまして、債務はあと拂い、すなわち物を買う場合におきましても物を納めてもらつて、そのときに現金を拂う、こういう建前を一切の會計におきましてとつております。ただ月給につきましては特例を設けましてその月の下旬であれば拂つてもよろしい、こういう建前になつております。從いまして本來からゆけば御承知の通り二十一日、二十二日というぐあいに拂つておりますが、これを特別な事情がある場合にその月中でありますれば一日まで繰上げられる。月給でありますがゆえにその月の勤勞の對價として現法行の建前として、一日勤めておりますれば、やめました場合におきましてもその月の月給分は支給しますので、結局あとで拂戻すという問題は起りません。そういう關係から一日には拂つておりますし、また拂うことが可能であります。しかしながらそれ以上に繰上げるということは、結局前貸をする、國が別に債務を負擔するといつた俸給でない觀念にもつてゆかざるを得ないのであります。
#157
○野坂委員 そうしますとここに私のもつております材料では、會計規則臨時特例というものがあつて、昭和二十一年十一月二十二日、勅令第五百五十八號、これによりますと進駐軍關係の從業員に對して前渡する、こういう政令が出ております。これはどういうわけになりますか、進駐軍從業員はかまわないということですか。
#158
○今井政府委員 進駐軍勞務者はその性質からいたしまして、國庫から金は拂つておりますが、結局使用主が國でないという意味合の點もございますし、かつまた純民間勞務者的に考えなければならぬ面がございますので、特にそういう建前が設けられたのだと思います。
#159
○野坂委員 そうすればこれが許されるなれば、緊張の生活危機を突破する意味で新しく政令を出せばできるわけでありますか。
#160
○今井政府委員 官公吏の給與は、今囘新憲法が施行されました上は、現状を變更するものはやはり法律を要すると解釋しております。
#161
○野坂委員 それでは政令ではできないのでありますか。
#162
○今井政府委員 さようでございます。
#163
○野坂委員 この問題は私は實は非常に重大な問題で、單に上野の國鐵支部の問題だけではないと思いますから、鈴木委員長の方でこの事情は御承知のはずですから、この問題を取上げていただきたい。私の解釋では進駐軍の雇員についてはすでに政令できめてある。從つてほかの官公吏についてもやはり同じような政令でやるならば、十二月分を十一月中に拂うということはやはり可能ではないか、この點を鈴木委員長の方で至急調査していただいて、できればこの委員會でこういう問題を委員長の方から取上げていただきたい。私の時間がもう過ぎたので、實は大藏大臣の方にもまだいろいろあるんですが、これは小委員會か何かの方に讓ることにしまして、私の質問はこれで終ります。
#164
○鈴木委員長 總理大臣が御出席になりましたが、前に中村寅太君の總理大臣に對する御質問が殘つておりますから、中村君。
#165
○中村(寅)委員 首相にお尋ねしたいのでございますが、今日勞働者の賃金決定には、發言權竝びに團體交渉權は認められているのでありますが、農民の生産物價格決定に對しましては、何ら發言權が認められない。それのみか何らその意向を聽取することをやらず、いつ、だれが、どこで、いかなる基準によつてやるかすらわからないような實情であります。これに對しましては全國の農民は非常に不滿を感じていると存ずるのであります。ひいてこれが供出意欲に影響するところもまた大なるものがあると考えられるのでありますが、特に今日のように農民の要求通りの價格に引上げることがむずかしいような經濟事情下におきましては、これらに發言權、交渉權を認めまして、納得の上で處理していく必要があると考えるのでありますが、これに對しまして首相はどう考えておられるかお伺いいたしたい。時間があまりないので質問事項を先に述べさせていただいてお答えを願いたいと思います。
 第二點といたしまして今次の農地改革によりまして、日本の農業は非常に細分化されたのであります。この處置によりまして農民の經濟力は相互間の均衡はとれましたけれども、個々の力が弱體化されたということはいなめないと思うのであります。すなわち一戸平均耕作面積から見ますれば、田において五段畑において二段七畝というのが、全國の平均耕作段別になつているようでありますが、このような小規模の農業經營では、とうてい耕作農民として、文化の高い生活を營むということはできないのみか、その子弟に高等教育を受けさせるとか、あるいは大學教育までするというようなことは、とうていできない事情になると考えられるのであります。これは今後の農村にとりましては非常に重大な問題であると思いますが、この點に對して總理は何か特別の考えといいますか、政策をもつて臨むお考えがあるかどうか、これが第二點であります。
 第三點といたしまして外地引揚者の在外資産に對して、何らかの補償の措置をとるお考えがあるか、あるとすればその補償の程度について、できるならば具體的にお示しを願いたい。
 それからもう一つ、これはただいま野坂さんの質問にもありました問題で、官公吏竝びに賃金勞働者の給與の點でありますが、これは千八百圓ベースでは食えない、働けないというようなことで、全體的に怠業氣分が横溢しているということは、わが國復興の上から考えまして、致命的の缺陷であると思うのであります。政府はいろいろむずかしさもあろうと思いますが、いかなる犠牲を拂つても、この際これを引上げて、かれらの生活を守つてやる、そうしていま一段努力させることが日本の生産復興の第一歩を踏み出す途ではないかと考えるのであります。今まで本會でも委員會でもいろいろそういう意見が出ましたのに、政府としては斷固として既定方針をもつていこうというお考えのようでありますけれども、現在の社會情勢はもうそれを許さぬところまできておるのではないか。もしもこの上既定の方針でおいきになる意思でございましたならば、彼らに對してまじめに働かせるための具體的な方法として、どういう方策をもつておられるか、この點について御説明願いたいと思うのであります。
 最後にお願いいたしたいのは、これはただいますぐでなくてもよろしうございますが、二十二年産米の價格決定の基礎資料を提出願いたいと思うのであります。
#166
○片山國務大臣 農民と工場勞働者と比較なさいまして、片方には團體交渉權あり、あるいはその他勞働法によつて與えられておる權利があるが、農民にはそれがないという御意見のもとに、工場勞働者と同じように保護する建前が必要じやないか、かように伺いましたのでその點についてお答えいたしたいと思います。御承知のように、都市の工場勞働者は雇傭關係に立つております。昔の雇傭關係とは違いますけれども、とにかく使用者あり、そのもとにおいて労働條件を定めて働いておるのでありますが、農村における農耕者はそういう關係に立つていないで、大體自分で苦面して、自分で働くという意味で、今までは小作人は一つの企業家であるとか、あるいは請負というとおかしいのですけれども、土地を借りて投資して、自分で働くのであるという建前に立つていますから、工場勞働者とは全然建前が違つてきておるのであります。しかしこの状態を何とかして保護し、農民の立場をよくしなければならないと私どもも平素から考えておるのでありまして、このためにできましたのが農地調整法であり、土地の負擔から農民を開放いたしまして、重壓を加えておりました地代、小作料をなくして、あるいはこれを輕減いたしまして、農民の向上をはからなくてはならないという觀點から、農民のためになる政策がだんだんと出てきておると思うのであります。今後におきましてもこの農耕者の特殊性を考えまして、いろいろな方面から、眞に食糧増産のために大いに奮鬪してもらい得るようにしたいと考えております。それには農村自治制度の改革やら、あるいは農村文化の向上やら、また農機具その他の問題につきまして、農民の立場をよくする政策を立てていかなければならないと思つておるのであります。これは第一、第二に對する答えといたします。
 第三の海外における財産の賠償問題でありますが、これはなかなかむつかしい問題でありまして、政府におきましてもいろいろの問題とにらみ合わせて檢討中でありまして、非常に氣の毒な方々もありますから、その方々の多年の奮鬪、努力に報いる途を講じたいと考えておりますが、非常にむづかしい問題であると御了承願いたいと存じます。
 それから都市勞働者の千八百圓の問題でありますが、すでにそれぞれの當局からお答えいたしました通り、新物價體制を守つていかなければならない今日でありまして、生活はなんとか保護したいと考えておりますけれども、インフレの進高をどうしても止める政策を一面にとつていかなければなりませんから、今日の状態においては新物價體制と關連をいたしまするこの賃金ベースは一應守つて、働く人々にも耐乏生活を願わなければならないと考えておる次第であります。
#167
○中村(寅)委員 首相は農村の特異性を述べられて、勞働者とは違うというふうに仰せられたのでありますが、もちろん日本の農業は、今まではそういうふうに考えられておつたと思うのであります。しかし最近の農業の實態をみますと、つくり出した品物は全部政府に供出して、そしてその供出したものの價格は政府が決定して支拂つておるのであります。これの實態をよく見詰めますと、賃金勞働者とほとんど變らない實情にあると思うのであります。この點は労働者と多少違う面もありますが、價格の決定に對しては、私は農民の要求を何らかの形で容れ得るような機構を考えていただかなければ、基本的な農民の人權を無視しておると思うのであります。憲法の中にもはつきり、私有財産は正當の保障のもとに、これを公共の用に用いることができるという條項もありますように、その點は特に考えていただいていいことであると思うのであります。これにつきましては團體交渉權まで認めろということではないのであります。いわゆる價格決定に際して、何らかの形で意思表示の途をあけていくような親切があつてしかるべきでないかと思うのであります。この點につきまして重ねて御答辯を願います。
#168
○片山國務大臣 農民の聲は十分伺います。また現にこれを尊重いたしまして農業政策をとつておるのでありまして、特に御指摘の米價の決定につきましても國會におきましては農民を代表せられる方々の御意見を十分に拜聽いたしまするし、また農林當局におきましても、各種團體の意見を十分に伺つて、その聲を聽きつつ價格決定をいたしたのでありまして、決して無視したり、あるいはこれを輕視したりしてはいません。きわめて丁寧なるやり方を今後もやりたいと考えております。
 なお米價の細目についての御質問でありましたが、それは後日政府委員から御説明するなり、あるいはその計算の提出をさせることにいたします。
#169
○角田(幸)委員 大藏大臣がお見えですから、終戰處理費についてお尋ね申し上げます。私どもの業者關係から調べたところによりますと、終戰後今日までの土木工事費は、未拂いの推定額が約八十二億ほどあるのであります。そのパーセンテージは、匿名工事と入札工事とメインテナンス工事と違つておりますが、終戰のときより昨年の八月末までに、一七・四%殘つておる。それから復興院關係については五七%殘つておる。これが昨年の匿名工事の費用でありますが、そうして入札用のものが五七%殘つておる。大體こういう統計を私は見ているのです。ところが、これにつきまして銀行關係で調べますと、約五十八億くらい銀行から融通しておるようであります。これは日本銀行で調べたのでありますが、そういう關係で今なお推定されるものが八十二億というものが殘つておるのであります。豫算の説明書の終戰處理費の中に九頁、すなわち本豫算と追加豫算との間にどのくらい滯り金について計上されておるか、その内譯を御説明願いたい。もう一つの點は、これは滯つておるのでありますが、大藏省としてはいつ頃までに支拂う豫定であるかということ、もう一つの點はこういうふうに政府に滯り金があつた場合に、新憲法と國家賠償法の規定に從つて、遲延利息については賠償の責任ありと考えるかどうか。私どもは遲延した場合にはやはり權利侵害でありまして、國民に對する支拂いに對し、當然國家に賠償責任ありと考えるが、この點について大藏大臣はどう考えているか、この三點をお尋ねします。
#170
○栗栖國務大臣 お答えいたします。終戰處理費及び今のメインテナンスの支拂い等につきましては手續等が幾階梯にもなつております。實は今日までの支拂い未濟ということは業者を壓迫する、金融機關も壓迫するということで、できるものについては極力支拂いをいたしてきたのであります。實は割つて申上げますと、契約が政府と業者との間に完全にできたものでありますれば、完了次第ただちに拂うような手續をとつておるのでありますが、その契約その他の細目等ができないために延びておるものも相當あるのであります。なお契約ができなくても、あまりに立替がないというようなことがございますので、八月以來は假契約を結ばせまして、完成しておるものの八割とか九割を支拂つておるような次第でございます。ところが、契約が完了しない。その契約についてはいろいろな話の食違いなどがありまして、完了しておらぬために、資金としては十分、あるいは下部の機構にまでも出しておりましても、なお拂えないものが大分あるのでございます。そこで政府としては故意にそれを拂うのを延ばすというようなことは、毛頭考えておりません。なお昨今は五十億くらいがもう月月出ておるのであります。それで追加豫算等も十分見積つたわけでございます。その拂いについても、いろいろ促進をしておるような次第であります。なおそういう金額、契約等がきまらぬものにつきましては、やはり業者の方でもこれを早く清算をする手續をされなければいかぬわけでありますが、業者の方でもその手續ができない。あるいははつきりしないというような點が多々あるのでありまして、そういうものについて政府が遲延の責任を負うというわけにはいかぬわけでございます。大體今ので三點をお答えしたと思うのでございます。
#171
○野坂委員 緊急に總理大臣に質問したいことがありますが、非常に重要な問題なので……。
#172
○鈴木委員長 ちよつとお待ちください、さつき委員長へ御希望、御意見がございまして、こういう席で申し上げるのはどうかと思つて差控えましたが、生活補給金、寒冷地における手當等、前の野坂君の御質問の中にもありましたが、そういう問題については追加豫算編成途上から、私個人としてできるだけ努力いたしてまいつたつもりでありますが、重ねて野坂君の御意見もございましたので、重ねてそういう問題について私もできるだけ努力をいたしたいと存じております。
 なお皆さんにお諮りいたしたいと思いますが、ただいま野坂君から中勞委の裁定があつたということで、それについて總理大臣に簡單に御質疑したいということでございますが、大體委員長の手許にまいりました通告の質問はこれで終了いたしたのでありますが、特に簡單なそうで、重要な問題でございますから、野坂君の御質疑を許したいと思います。いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○鈴木委員長 それでは野坂君。
#174
○野坂委員 今これは新聞社側から提供されたニュースですが、今日午後一時に中勞委で官公職員の給與についての裁定をやつたことが發表されておる。これはすなわち生活補給金の問題として二・八箇月分を給與する。一人當り平均五千六十二圓として二百十二萬人、合計しますると百七億圓、これが今中勞委の裁定案として發表されたものだそうですが、これについて片山總理の御見解をお願いしたいと思います。これは總理もまた米窪勞働大臣も繰返し申されましたように、中勞委の裁定はあくまでもこれを尊重する、こういう建前を堅持される。これが今日の政府の基本方針だと思いますが、こういうように今決定されたものについて、政府の方としてはもちろんこれは賛成され、大藏當局としてもあらゆる努力を拂つてこの裁定を實現化するためにやられることを私たちは期待しておりますが、念のために總理大臣のお考えをお聽きしたいと思います。
#175
○片山國務大臣 ただいま野坂君より御發言になりまして、中勞委の決定があつたということを、ここで初めて伺いましたので、これについてどうするか、今ただちに御返事いたすことは困難と思います。政府の當局の方でどういうふうな返事があつたかということも、ただちにたしかめることにいたします。私どもは中勞委を制度として尊重いたしますことは、たびたび申し上げたことでありますが、その實際問題にあたりまして、どういうふうにこれを處置していくか、今後十分に檢討いたして、それに對する對策を定めたいと存じております。今日は御返事することがまだできませんので、御意見を伺うだけにしておきたいと思います。
#176
○栗栖國務大臣 ただいま野坂委員から新聞の記事としておとりになつたのを承つただけでございまして、今大藏大臣としてこうだという私見を述べるわけにはいかぬと思うのであります。十分相談をいたしまして善處いたしたい、こう思つております。
#177
○鈴木委員長 昨日西村君より議事進行に關する大藏大臣へ御質疑がございましたから、それに對する大藏大臣からのお答えがございます。
#178
○栗栖國務大臣 昨日税制に關する法案の提出がないがどうかというお尋ねがあつたのであります。昨日一部中間的に御報告申し上げましたように、實は早速司令部その他へも參りまして、そうして殘つておりました所得税法の一部を改正する法律案及び非戰災者特別税、この二つについて正式に承認を得まして、本日午後提出をいたしたような次第でございます。これで通計四つの法案を提出いたしたことに相なると思うのでございます。
#179
○西村(久)委員 ただいま大藏大臣のお話によりまして經過は了承いたしたのでありますが、この案件は私ども今審議中の追加豫算案に重大なる關係をもちまする根幹法案である。ただいま手もとに法案の配付は受けておりまするが、一應目を通してあらためてまた疑義の點を質さなければならぬと存じますから、本日の會はこれをもつて散會され、そうして明日以後續行されんことを望みます。
#180
○鈴木委員長 きようはこれをもつて散會いたしまして、あす午前十時開會いたします。その前に九時半に理事會を開きます。一應今まで委員長の手もとにまいりました質疑は終了いたしました。
   午後四時四十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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