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1954/12/06 第20回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第020回国会 通商産業委員会 第4号
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1954/12/06 第20回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第020回国会 通商産業委員会 第4号

#1
第020回国会 通商産業委員会 第4号
昭和二十九年十二月六日(月曜日)
   午後一時三十九分開議
 出席委員
   委員長 大西 禎夫君
   理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
   理事 柳原 三郎君 理事 山手 滿男君
   理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君
      土倉 宗明君    南  好雄君
      笹本 一雄君    始関 伊平君
      長谷川四郎君    加藤 清二君
      多賀谷真稔君    帆足  計君
      伊藤卯四郎君    中崎  敏君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       加藤 宗平君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 岩武 照彦君
 委員外の出席者
        通商産業事務
        官
        (鉱山局長)  川上 為治君
        通商産業事務
        官
        (石炭局長)  斎藤 正年君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      江下  孝君
        参  考  人
        (福岡県議会議
        員)      高口  等君
        参  考  人
        (福岡県鞍手郡
        宮田町議会議
        長)      早川  勝君
        参  考  人
        (日本石炭協会
        会長)     新海  英君
        参  考  人
        (株式会社帝国
        石油取締役)  平井 平治君
        参  考  人
        (全国石炭同業
        連合会副会長) 山本 正一君
        参  考  人
        (石油精製懇話
        会会長)    佐々木弥市君
        参  考  人
        (大日本水産会
        常務理事)   吉田  隆君
        参  考  人
        (日本トラック
        協会常務理事) 小野 盛次君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十二月六日
 委員齋木重一君辞任につき、その補欠として多
 賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月五日
 企業整備による政府買上金返還に関する請願(
 土倉宗明君紹介)(第一〇九号)
 電気料金改訂反対に関する請願(倉石忠雄君紹
 介)(第一五一号)
 同(原茂君紹介)(第一五二号)
 同(松平忠久君紹介)(第一五三号)
の審査を本委員会に付託された。
同 日
 電力料金値上げ反対に関する陳情書外三件(富
 山市上富井富山市連合婦人会寺島シナ外三万一
 千百六十三名)(第六〇号)
 同(富山県射水郡小松町荒町長井そとゑ外六百
 二十八名)(第六一号)
 同(富山県中新川郡連合婦人会深井秀外二千四
 百六十二名)(第六二号)
 同(富山県黒部市萩生川端つか外四千四百五十
 名)(第六三号)
 同(滋賀県庁耕地課内滋賀県土地改良協会長堀
 江喜一)(第六四号)
 同(神戸商工会議所会頭宮崎彦一郎)(第六五
 号)
 同(広島県議会議長檜山袖四郎外八名)(第六
 六号)
 中小炭鉱の救済対策に関する陳情書(北海道議
 会議長蒔田余吉)(第六七号)
 同(小野田市議会議長安近勲治)(第六八号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 石油関税及び石炭鉱業に関する件
 木材利用に関する小委員長より報告聴取
 木材使用合理化に関する件
    ―――――――――――――
#2
○大西委員長 これより会議を開きます。
 この際木材利用に関する小委員長より発言を求められておりまするので、これを許します。中崎敏君。
#3
○中崎委員 木材利用の合理化に関する小委員会の第二回報告を簡単に申し上げます。
 本小委員会発足後第七回までの会議の模様をとりまとめ、張る四月十三日の本委員会において中間報告をいたしたのでありますが、その後政府におきましても本委員会の要望にこたえ、各省関係局長等による木材資源利用合理化方策連絡協議会を創設し、木材資源利用の合理化に関する方策について各部門別にそれぞれ検討を加えた結果、すでに一応の成案を得た次第であります。
 わが小委員会におきましては、前回の中間報告後、本日まで前後三回にわたって会議を開き、木材利用の合理化に関し、あらゆる角度から調査研究するとともに、政府の成案についてもそれぞれ検討を加えた次第であります。結論的に旧しますると、これらの方策を具体化することによって、年間約五千五百五十万石程度の消費節約が可能なことが明らかになりました。その内容は資料として、お手元に配付いたしました通りであります。
 政府においては鋭意隘路を克服打開し、国家百年の大計のため一路邁進すべきだと考えるのであります。ついてはこれら木材使用の合理化に関する方策を当面の重要政策として閣議決定するとともに、効果の大なるもの及び実行の容易なるものから重点的に具体化せしむべきであると確信するのであります。そこでお手元に配りました決議案を本委員会の決議として採択せられますよう、小委員会全員一致の要望としてお願いたす次第であります。案文は省略いたします。
#4
○大西委員長 以上で発言は終りました。小委員長申出の決議案を当委員会の意思として決定するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○大西委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたします。
 これについて政府当局より発言を求められておりまするので、これを許します。加藤政務次官。
#6
○加藤政府委員 ただいま御決議になりましたことに関しましては、すでに政府におきましてもその重要性を認識いたしまして、各省関係当局によって協議会もつくり、その成案も出ておるわけであります。従いまして当局といたしましては、決議の趣旨を十分尊重いたしまして、閣議に打ち込むことはもとより、さらにその実行に際しましては、各省協議いたしまして、この決議の趣旨を十全に生かすように努力を傾注する決意であります。右当局として宣明いたしておく次第であります。
    ―――――――――――――
#7
○大西委員長 次に石油関税及び石炭鉱業に関する件につき調査を進めます。
 過日の委員会の決議に基き、まず本件につき参考人各位より御意見を聴取いたします。
 この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本件はいまさら申すまでもなく、現下緊急の最大課題の一つであり、当委員会といたしましては、総合燃料対策の方面よりつとに重大な関心を持って調査いたして参りましたが、特に本日は関係各方面より各位を参考人として御意見を聴取することとなった次第であります。各位には御多忙中御出席くださいましてまことにありがとうございます。何とぞ十分それぞれのお立場より御意見を御発表くださいまするよう、お願いいたしておきます。なお念のため一言申し上げておきまするが、御意見御発表の順序は名簿順とし、時間は約十五分にお願いいたします。また御発言の際はその都度委員長に許可を得ることになっておりまするから御了承を願います。
 それではまず高口等君よりお願いいたします。
#8
○高口参考人 私は福岡県議会の産業危機打開調査特別委員会の代表であります。
 今回、国会衆議院の通産委員会におかれましては、総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会を設置せられまして、わが国の石炭界の窮迫せる事態を打開するため、御努力を賜わつておりますことにつきまして、衷心より感謝いたしますとともに、本日私どもの意見を御聴取いただきます機会を与えられましたことはまことに感謝にたえない次第であります。さきに十月十五日に石炭協会の会長並びに石炭鉱山連合会長等の業者より公述がございましたが、私たちは地方公共団体の議会として商工、労働あるいは民生、教育等の県政一般の現状を検討いたしまして、政府並びに国会に対し石炭産業の産業危機の実態を訴えまして、皆様方の御理解により、この危機が打開されますことをお願いいたす次第でございます。
 福岡における廃業は、御承知のごとく石炭、鉄工業を基幹として発展いたして参りました。またこれに対する関連産業が発達いたしたのでございますが、これらの産業、なかんずく石炭鉱業の消長いかんは、ただちに本県の産業経済、民生並びに教育、社会問題に重大な影響を及ぼすものでありまして、これらの問題の解決は、何としても石灰鉱業及び中小企業の振興以外にはないのであります。本県においては、特別委員会を設置いたしますとともに、事情を同じくする西日本各県、すなわち佐賀、長崎、山口、熊本、及び福岡の各県議会をもって、石炭鉱業、中小企業危機打開西日本ブロック協議会を設置いたしまして、本問題の解決のため運動を続けて参った次第であります。
 次に福岡県の実情について若干申し上げてみたいと存じます。まず実情より申し上げますと、昭和二十八年度の全国出炭量五千五十二万余トンの三七%、九州出炭量の六九%を福岡県が出炭しておりまして、昭和二十八年一月の炭鉱労働者数は十五万二千人の多きに達しているのであります。しかるに今日の石炭鉱業界の現状は、私が申し上げるまでもなく石炭の適正貯炭量いわゆる約二百万トンといわれておるのでございますが、今年八月末現在では、全国貯炭は約四百万余トン、本県の預炭は百二十万トンの厖大な異常貯炭を有しておるのでございます。この一事を見ましても、重大な危機に直面していることが判明できると思われるのでありますが、さらに国内の石炭需要の状況を見ますと、デフレ政策及び特需減の影響を受けまして、供給面におきましては、重油の輸入用加等によって席次の需要は極度に圧迫せられているのであります。これを数字的に申し上げますと、口内炭の消費実績は、昭和二十六年四千六百四十九万二千トン、二十七年度が四十二百八十八万六千トン、二十八年度が四千三百二十万トンと漸減しているのであります。一万方重油の消費実績は、通商産業調べの石炭換算にいたしまして申し上げますと、昭和二十六年度が百二十五万トン、二十七年度が三百三十三万六千トン、二十八年度が六百九十六万四千トンと、毎年激増しているのでありまして、重油の輸入のため石炭の消費が著しく圧迫されている現状であります。
 さらに炭価について申し上げますと、以上の諸種の原因による需要供給のアンバランスのため原価を割、はなはだしきは、ダンピング的な商取引も行われている実情でありまして、採算炭価を堅持しようとすれば、自然貯炭となり、金融難に逢着いたしまして、遂には休廃止せざるを得ない実情であります。本県の場合は、お手元に配付しております資料のごとく、昭和三十八年四月より本年九月末までの一箇年半に完全に休廃止した炭鉱は九十九鉱に及びまして、坑口閉鎖した炭鉱は百十八鉱に達しているのであります。これを原因別に検討いたしますと、不況によるものが全体の七〇%以上をも示し、炭坑の未払金の総額は六十数億に達し、関連産業を圧迫いたしております。福岡県における貸金遅欠配の状況は、お手元の資料のごとく本年八月末現在の件数にして三百七十件で、対象労働者数は二万四千八百令名であって、金額にして一億八千百三十七万二千円に達しているのであります。
 次に失業者の状況について申し上げます。福岡県における公共職業安定所窓口に現われた失業者は、本年十月末調べによると、七万六千名に達しているのでありますが、この数字のほかに、いわゆる潜在失業者その三倍の十五万余名に達するものと推定されているのであります この失業者郡中の八〇%は石炭鉱業及び石炭鉱業に関連する産業より発生したものでありまして、これら失業者の分布状況の一例はお手元に配付の失業者分布図により判然としているのであります。従つてこのような社会不安は、今日児童にも著しい悪影響を及ぼし、小学校の長期欠席児童生徒数は本年四月より七月までに六千三百四十四名に達し、在籍生徒数五十万六千余名の百分比は一三五であります。特に欠食児童は小学校関係千五百七十一名、同じく中学校においては九百四名、全在籍生徒数の小学校において四・七%、中学校において四・五%の多きに達しております。また九月の長期欠席者の例をとりますと、炭鉱において小学校が四千六百十九名、中学校が千三百四十七名、在籍生徒数の小学校において三二%、中学校において一九%の多きに達しております。さらにこの長期欠席者のうちには、保護者の失職によるもの二八%に達しており、これがほとんど炭鉱の失業者といつても過言ではないのであります。
 以上が本原の石炭鉱業不況の実情でありまして、本県といたしましても事態の市大性にかんがみ、第三十回福岡県議会で特別委員会を設置し、本問題の解決のため調査検討を加えて参つたのであります。県当局におきましても、中小炭鉱に対する禎失補償を契約するとともに、県資金の預託の増額、中小企業診断の拡充、失業者の救済、民生々定等の措置を講じて参っておりますが、私ども特別委員会においては次のような産業危機打開対策を樹立し、県議会の決議に基き国会並びに政府に対し強く要請を続けておる次第であります。そのおもなるものは、すなわち外国炭及び重油の輸入規制を行っていただきたい。合理化資金の融資をはかっていただきたい。この点については年末を控えて特に御考慮をお願いしたいと考えます。それから国鉄用炭並びに官公庁需要炭を指定業者以外の中小炭鉱からも買い上げていただきたい。また繰上げ購入の措置をとつていただきたい。企業診断の実施拡充をはかっていただきたい。資材購入費及び設備近代化等に対する金融措置を行っていただきたい。中小企業向け政府指定預金の預託の増額と既指定預金の引揚げ延期を行っていただきたい。それから中小企業の機械近代化の推進をはかっていただきたい。失業対策として河川改修工事と鉱害復旧事業の全面的繰上げ実施を行っていただきたい。失業者の救済特別立法を制定していただきたい。生活保護費の増額及び生活困窮者の緊急救済を行っていただきたい。不就学児童及び欠食児童の救済を行っていただきたい等のことであります。
 以上申し上げましたごとく、本県におきましては石炭鉱山、不況に基き、きわめて広汎にわたり重大なる影響を受けているのでありまして、特に失業対策につきましては、先ほど申し上げたように非常に多量でございまして、非常に苦慮いたしておる次第であります。
 失業者の救済対策につきましては、先般来より鉱害復旧の年度繰上げ実施の実現を見たことに、まことに感謝にたえないところでありますが、これだけではとうてい失業者の吸収は困難でありますので、国営河川の改修、総合開発の実施等により、失業者を吸収されるよう要望いたしますとともに、さきに申し上げました諸点につきましては、本原のみならず、石炭各県に共通の問題であり、特に年末を控えて緊急施策を必要とするものばかりでございますが、なかんずく炭鉱並びに中小企業に対する融資については、格別の御配慮をお願いいたしたいと存ずるものでございます。また失業者並びに生活困窮者に対しては、これが緊急救済についても特別な御配慮をお願いいたしたいと思います。特に本委員会の先生方の御努力を感謝いたしますとともに、今後ともこれに対する緊急な施策について御努力を賜わらんことを切に御要望いたしまして、私の陳述を終ります。
#9
○大西委員長 次に早川勝君。
#10
○早川参考人 私は全国石炭関係の市及び町村議会議員の代表でございます。政務御多端の中にもかかわらず、本日通産委員会の参考人として公述さしていただきますことは、まことに感激にたえないところであります。
 私は今日石炭危機がもたらす社会の実情を少しく申し上げまして、最後に請願の件を申し述べまして、御参考に資したいと存じます。なおこの問題につきましては、全国町村会議でも取上げておるのでございますので、よろしくお願いいたします。
 私どもの炭坑地帯では大よそ住民の四割から七一くらいが炭坑居住者であります。従って小学校、中学校の生徒数も大体以上のような比例となっております。一番先に影響が現われ、また社会の同情を誘っておりますのもこの学童たちであるのでございます。今医療班の巡回や慰問講話、童謡班、あるいは学用品、衣類その他救援の金品も盛んに募集されつつあるのでございます。巡回医療班の報告によりますと、乳幼児のほとんど全部と、学童の六割以上が栄養失調に陥らんとしておるということであります。米の配給券も金にかえてメリケン粉を買い、菜つぱやおいもの雑炊を食っておる状態であります。従ってお乳が出なくなる、ミルクが買えないのでメリケン粉の乳を飲ませておる。これでは栄養失調になるのも無理からぬことと思うのであります。また欠食児童や長期欠席するものが続出いたしております。学校の先生に聞いてみますと、書物もなく、鉛筆もクレヨンも持たず、授業にたいへん支障を来しておる。学童の服装も急にみすぼらしくなって来て、よれよれの夏服をまとい、ズック靴も半ば足をはみ出しておる。またはかない者もたくさんおるというておられましたのであります。パンや鉛筆等を買ってこっそり与えておられる先生もあると聞いております。あるPTAの人が学校を見に行ってのお話でございますが、お昼の時間に、欠食児童がどうしておるのかと見ておれば、運動場や校舎の片すみに二人、三人と寄り添ってさびしそうに土をほじくりながら遊んでおる。教室に入ってみれば、ある一年の児童が、おじさんこれと言って、さも自慢そう見せるので、何であろうかとのぞいてみれば、菜っぱ、おいも、メリケン粉等をつきまぜて、だんごがつくつてあった。お母さんから、ごちそうよと言って持たせられた菜つぱのだんごも、すき腹をかかえた子供にとっては、ほんとうにごちそうであると思い込んでいるのであろうと育って、目頭を黒くしていられたのであります。
 またこれは新聞で見たのでありますが、夫は失業者に耐えきれずいささかの犯罪を犯しまして、その妻と十二才を頭に四人の子供を残して警察に引かれて行きました。妻はしかたがないので四人の子供を置いて花柳界に身を沈め、幾ばくかの仕送りをすることになりました。子供は夕方になりますとさびしさ悲しさに耐えきれず泣きじゃくっております。一番上の姉は二才になる女の子をおんぶして、悲しい子供歌を歌ってあやしております。四つと七つの男の子は、今は泣いて訴えるすべも知らず、十二才の姉をただ一つのたよりに、両方からしっかと手を握り合って、夕日の沈む丘にさびしく立つております。世の中には一片のたよるべき人もなきごとく、多分目には涙を一ぱい浮べておったことでありましよう。こうした写真を見たのでありますが、まことに涙なくしてはおられなかったのであります。
 またある失業者は、ふとんもなく畳もない板張りの上に、わらの中にくるまって寝ている人もあると聞いております。後ほど九州ラジオの巡回班がとりました現地の録音盤を持って参っておりますので、聞いていただけばよくわかっていただけると思うのであります。ある職業安定所の発表では、四百人の登録者のうち三百六十人分しか賃金のわくがないので、これでは一筋月十六日分の稼働率にしか当らないと言つて心配されていました。職業安定所は郡に一箇所しかありませんので、一里も二里も歩いて行かねばなりません。登録しても仕事に行けないからと言って登録しない潜在失業者もずいぶんたくさんあると思われるのであります。社会保障制度も失業対策も不十分であるのみでなく、現実の事態に半年もまたその上もずれて遅れながらちびりちびりと行われますので、その間の苦労は並たいていではないと思われるのであります。町村財政も昨年以来法人税は皆無となり、滞納はかさむばかり、また鉱産税も炭価の値下りと減産によって著しい歳入減となっておりまして、役場職員の給料も借入金で操作せねばならない窮状にあるのであります。私どもも現状に即応して何ほどかでも対処いたさねばならないと思っておりますが、いかんとも手が差延べられない実情にあるのでございます。まことに申訳ないことと思っております。
 石炭産業は国家の基礎産業として最近まで五千万トンの生産を要請されて来たのでありますが、政策の転換によりまして本年の実需は一千万トンもの需要減退を来さんとしております。石炭産業経営のきわめて困難な特殊性等何ら考慮されることもなく、他の産業波に融資の道もとざされ、休廃鉱山は続出し、ひいては失業問題と悲痛な社会問題を釀成しておることは前に申し上げた通りであります。なお鉄道や船舶の輸送面にもその影響するところは大きく今後表面化して来るのではないかと存ずるのであります。また石炭産業は終戦後の国家再建に大きな役割を果して来ておるはずであります。昨今ではまた経済危機を大きく叫ばれておるところでありますが、石炭産業の盛衰が及ぼす政治的また社会的影響がいかに広汎かつ重大であるかを考えますならば、現在のような石炭縮小政策にはどうしても納得しがたいものがあるのでございます。石炭のごとき重要な国家資源はあくまでも生かしていただきたいと念願いたす次第であります。一時は蝶よ花よとはぐくみ育てられて来た鉱山も、今は廃墟と化して、あえて顧みられず、何か割切れない思いをいたす次第であります。今石炭産業も失業者も、これに関連した町村財政も、死の寸前にあると育ってもよろしいのでありますが、死んでしまってはいかなる名医も施すすべもないことと思われます。今はきわめて急速に起死回生の注射がほしいのであります。本年の年の瀬が越しかねる状態であります。なおまた政治の空白が来るのではないかと非常に私どもはおそれておるものであります。
 以上これらの対策につきましては、請願書いろいろ申し述べてはおりますが、ここに要約いたしまして申し上げます。まず当面の問題といたしましては、一、石炭産業に対し特別な融資と貯炭の消化について緊急特別措置を講ぜられたいこと、一、失業者、学童及び貧困家庭に対し請願書に記載いたしておりますような適切緊急措置を講ぜられたいこと、一、町村財政に対し特別交付金並びに融資措置を講ぜられたいこと、なお最後に恒久的対策としてお願い申し上げたいことは、石炭産業が国家の基礎産業として恒久的かつ安定性ある国策の確立ということであります。いろいろと失礼のことばかり申し上げまして恐縮でございましたが、何とぞお許しをお願いいたします。
 以上をもちまして私の公述を終らしていただきます。ありがとうございました。
#11
○大西委員長 次に新海英一君。
#12
○新海参考人 私は日本石炭協会の会長新海でございます。本日は日本の石炭鉱業の立場からおもに油の関税問題を取上げて行きたいと思います。
 石炭鉱業が非常な深刻な事態に追い詰められておることは今参考人からるるお話のあった通りでございますが、どうしてこういう事態に追い詰められたかと申しますと、もちろん今日のデフレの影響が非常に石炭に深刻に来たということもありますが、さらに根本的の原因は、ここ一両年来重油と輸入炭の使用の増加によって国内炭の地盤が食われたということがおもな原因である。それは数字を申し上げましても、日本の石炭が重油に食われた数字は、石炭換算にいたしまして、二十六年度約百二十五万トン、二十七年度三百五十万トン、二十八年度七百万トン、二十九年度も大体七百万トン程度というふうになっておるのであります。わが国は国内資源が非常に貧弱だといわれておりますが、そのうちでも石炭鉱業は自給率の最も高い産業であります。この石炭鉱業を崩壊に追いやるというようなことは、わが国のエネルギー構造から見ましても、また国際収支の観点から見ましても、また現に非常に深刻化しつつありますところの失業問題から見ましても、雇用量がきわめて大きな石炭鉱業を崩壊させるというようなことは、当然回避せねばならぬところであります。これがためには総合燃料国策を樹立して、国内炭の適正生産力を維持させ、国家的の要請である石炭鉱業合理化を推進させて、コストの低下、それに従って炭価の低減をはかるということをやらなければならぬことと確信しております。この点はすでに議論の段階を越え、今日社会問題化しつつあるところの石炭鉱業の窮状は、その具体的推進に今や時間をかし得ぬようなところまで切迫しておるのであります。私諸外国の実例を調べてみましたところ、西独におきましては国内に豊富な石炭、褐炭資源がありまして、石油資源は非常に乏しいのであります。この状態はちょうどわが国と非常によく似ておるのであります。その西独は国内資源保護育成に重点を置きまして、輸入石油に対しては原油、重油とも一率に百キログラム当り一二、九マルク、日本の金に直しまして千百五円、これをキロリットル当りに直しますと約一万一千円ということですから、重油の値段を一キロリットル約七千二百円と仮定いたしますと、実に一五〇%の高率の関税を課しておるのであります。また国連の欧州経済委員会がありますが、その委員会から最近「西欧燃料市場における石炭と黒油との関係」と題する調査報告が出ておりますが、それによりますと、一九五三年西独における陸上総合燃料の中で、黒油の占める比率はわずかに三%という低率であります。英国におきましても五%の低率であります。六かに西独がこの国内資源保護に力を序しておるかということが了解されるころと存じます。なお国連欧州経済委員会では、西欧全体としてのエネルギー情勢について次のようなことを述べておるのであります。それによりますと、西欧諸国における石油と石炭の関連性は、国によって著しい相違が上る。終戦後石油が伸びて石災の市場に食い込んでいる事実もあるが、石炭の生産が皆無の国あるいははなはだしく不足している国では石油の消費量が多いが、逆に英国及び西独のごとき石炭国では重油の占める比率は目立って低い。一般的にいって石炭は依然として西欧第一のエネルギー源となっており、今後飛躍的に増加することを予想される。エネルギー需要の充足のためには石炭の増産が要請されるであろう。同委員会は、さらに石炭産業は伸縮性が乏しく、一時的な生産過剰によってもたちまち不況に陥りやすい産業である。これに対し石油産業ははるかに融通性がある。そこで将来のエネルギー需要を最も円滑に充足するためには、総合性のあるエネルギー供給規制体を設定し、主として重軽油の供給量を人為的に調整することによって、エネルギー総需給のバランスをはかることが望ましい。
 以上の西欧エネルギー政策についての国連の考え方は、私ども前から石炭業界が主張し来ったところとまったく符節を合するものでありまして、われわれはあらためてわれわれの表することが妥当であるということを確信するものであります。
 以上述べましたように、西独の関税による国内産業保護政策及び国連欧州経済委員会調査報告書等によりますと、わが国の重油関税を定率の一〇%にもどす程度の措置は、過当に国内資源保護のそしりを受けるべきものではないと存ずるのであります。わが国の油関税定率法によりますと、本来原油、重油に対して一割課税されることになっておるのでありますが、これが今日免税措置がとられるに至りました経過は、二十六年当時朝鮮動乱の影響を受けてタンカーの運賃が非常に暴騰いたしまして、油の内地値段がそれに連れて暴騰いたしたために、これにさらに関税をかけることは妥当でないという見解から一箇年免税措置がとられたものと聞いておりますが、その後毎年暫定措置として免税措置がとられて現在に至っておるのであります。しかるにタンカー・フレートは二十七年の一、二月を最高といたしまして漸次下落傾向をたどり、二十八年下期からさらに崩落いたしまして、現在では二十六年当時に比べて大幅に下落しております。そのため今日石油の輸入条件は非常に有利になっておるのであります。そればかりでなく為替相場三百六十円、これも今日の実勢四百数十円といわれておるものに比べますと、二、三割も割安についておるというようなことをあわせ考えますると、現状におきまして油の免税措置の理由は失われておるばかりでなく、一面重油の異常な進出によりまして自給エネルギーとしての石炭鉱業が崩壊の危機に直面しておる今日、右のごとき暫定措置を継続する理由はまったくないものと信ずるものでございます。
 以上私の公述を終ります。ありがとうございました。
#13
○大西委員長 次に平井平治君。
#14
○平井参考人 帝国石油株式会社の平井でございます。本日は岡田常務がお呼び出しになっておったのでございますが、昨夜から発熱いたしまして、私かわりに参りました。
 すでに御存じのごとく、わが国の石油鉱業は、全需要量から見ますときわめて貧弱でありまして、わずかに三十数万トンしか産出しておらないのであります。資源が貧弱であるのと地理的に恵まれないためにやむを得ずコストが高くなっておるのでございます。従いまして低コストの外油から保護し、わが国の石油鉱業の生産を拡大推進するためには、どうしても関税による保護を必要とすると考えられるのでございます。現在わが国の原油は一キロリットル九千五百五十円でございます。これに比べまして外油は、いろいろございますが、大体一キロリットル六千五百円前後でございまして、これに比較してみますと、少くとも五〇%の関税を賦課しなければ内地の原油と調子が合わないのでございます。先ほど他の参考人からもお話がございましたが、西独等においては一五〇%の関税をかけておるというようなわけでございます。しかしながら輸出を増進し、貿易を拡大しなければならないわが国の経済全体の、現在将来を考えますと、五〇%の関税をかけるということは、石油製品の騰貴、ひいては輸出産業のコスト高を呼び起すことも考えられますので、かような高率賦課はわが国経済全般に影響するところが多いのでありまして、私どもとしてもこれを主張することは躊躇しなければならないと存ずるのであります。従って現状といたしましては、私どもは現行制度に定めた定率、原油の一〇%賦課をお願いたしたい、かように存じております。しかしながらただこれをかけるということのみを主張、するのではございません。これをわが国の原油の輸入から見ますと、約七十億円と見積り得るのでありますが、通産省がすでにお立てになりました現在の石油資源開発計画の所要資金は年間約十数億円、五箇年計画といたしまして百一十億円でありますが、この一部をぜひこの石油関税の資金充てていただきたい、かように考えておるのであります。そしてこの関税によって得たところの資金をわが国の石油資源の開発に部充当していただきたい、かように考えておるの、であります。しかしながらこれは多くの問題があると思います。たとえば法制上においても、目的税的な関税をかけることがどうかというようなことが考えられ、心配されるのでありますが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法によりますと、すでに目的税的な消費税がかけられておるということでございますので、必ずしもこれはできないことではない、かように考えるのであります。さらに私どもの調査によりますれば、一割の関税賦課によっても、他産業あるいは消費者に及ぼす影響は、三%ないし四%しかないというような軽微な賦課でありますので、この関税制度が本来の目的に復活することをお願いいたしたいと存ずる次第であります。
 簡単でありますが、以上お願いいたしまして終ります。
#15
○大西委員長 次に山本正一君。
#16
○山本参考人 私は石炭生産の約三〇%を取扱って、配給に当っておりますところの全国石炭販売業者の連合会の山本でございます。本日連合会の会長の野村宗郎が出席できないため、常任理事の私が出席した次第でございます。
 販売業者は生産業者にも直接のつながりを持ち、同時にまた消費者にも直接のつながりを持っておる立場にあるわけでございます。われわれ販売業者といたしましては、自由市場が再開せられまして以来、生産炭の約三〇%、年間千二百万トンを扱うという立場から、必要な設備なり陣営なりを整えて参ったのでありますが、重油転換の増加に従いまして、取扱量がだんだんと減少して参って、現在はなはだ困難な経営に追い込まれているわけでございます。すでにわれわれの業者の中から、今日まで相当数の犠牲、倒産を見ているのであります。これが将来にわたって縮小配給量で済むということならば、また整備の仕方もあるのでありますが、私どもはさように考えておりませんので、余剰人員、余剰設備なりで持ちこたえているというところに、相当な圧迫を受けているわけでございます。この点石炭関連事業というものは、すべてこの打撃を深刻に受けております。同時にまた非常に広範囲なものであることは、先ほどの参考人の申し上げたようなところにまであるわけでありますが、直接といたしましても、炭鉱の機械方面であるとか、あるいは船舶運輸であるとか、沿岸荷役業者であるとか、はしけ業者であるとか、みなその打撃を受けております。同時に地方財政も大きく打撃を受けているということは、御承知の通りでございます。
 かように石油問題は国内経済に深刻な打撃を与えておりまして、炭鉱自体の失業者等も合せて考えるならば、少くとも七、八百万の民生が脅威を受けているということは甘えるのでありまして、さらに出入りの商社、商人というようなものにまで及ぼしますならば、実に千万にも上るような民生を脅かしているところの、まさに重大な問題となっているのであります。石油を若干締めたといたしましても、その打撃がとうてい石災の比較にはならないのでありまして、この点は御賢察願えるところと存ずるのであります。われわれは、石油の課税問題は、特に重油に対しましては、微温的な課税というよりも、むしろ禁止的な高率課税を適用してもらって、国内民生の安定をはかることが今日急務ではないか、かようにまで考えているのでございます。先刻福岡の高口さん、早川さんなどのお話を伺いましても、九州における炭鉱地帯の窮乏というものはまことに悲惨でありまして、まさに人命の問題であります。この社会不安は治安問題まで発展しないということは、だれも保証できないところと存ずるのであります。
 元来石油の輸入は高炭価問題から、細川燃料コストを引下げるということを目的としてお入れになったわけでございますが、今日のごとく石炭鉱業が縮小生産に陥れられておりまして、はたしてコストが引下げ得るでございましようか。少くとも現勢力をフルに生産せしめてこそ炭価の引下げが期待できるのじやないかと存ずるのであります。もちろん政府の合理化施策等と並行することは当然でございますが、低炭価の根本対策というものは、炭鉱の安定生産によってのみ達し得られるものであろうと私どもは考えるものであります。その見地から重油輸入の阻止が今日すでに急務となった段階である、かように私どもは考えるのであります。現在のごとく方に関税を免除し、石油輸入を保護優遇したような杉で、国内の基幹産業の石炭鉱業と対抗せしめているというようなことは、国内産業の不当な圧迫であって、独立国としてはなはだ策を得たものでないということを痛感するものであります。ことに国の熱源を、一部といえども輸入にまつということははなはだ愚策である、かように考えるのであります。その意味におきまして、もはや重油は輸入阻止をして、基幹産業の炭鉱の安定をはかるべき段階だ、かように考えているわけでございますが、どうか国家百年のために対策を樹立していただきたいと念願しているものでございます。
 以上のような次第でございまして、当面の石油課税は、今日日本人であるならば当然過ぎるほどのものであると思うのでありまして、反対の意見がありとすれば、それは国内情勢を無視した意見と断じてしかるべきではないか、かように考えております。どうぞ対策よろしきをお順いしたいと存じます。
#17
○大西委員長 次に佐々木弥市君。
#18
○佐々木参考人 私は石油精製懇和会と石油元売懇和会の会長をしております佐々木でございます。今日石油の関税に関しまして意見を申し上げたいと存じます。
 石油に対しては現在関税定率法によって、それぞれ関税率が定められているのでありますが、昭和二十六年関税定率法が改正施行せられた当時から、石油の重要性が認識せられ、以来引続き、昭和三十年三月三十一日まで免税または軽減の措置がとられているのであります。しかるに最近、政府並びに国会方面において、主として石炭との関連から石油関税の復活を検討中なるやに拝聞しておるのであります。
 石油は重要エネルギー源、潤滑源として、あらゆる産業の重要基礎物資であり、石油なくして近代産業、国民経済はあり得ないのであります。このような重要物資に関税を賦課または増額されることは、わが国経済界に及ぼす影響はきわめて広汎かつ深刻であります。よって次に述べる理由により石油関税については現行の通り、原、重油については免税、他の石油製品については減税の措置を継続されることを要望するものであります。
 その理由として申し上げたいことは、第一に原、重油は他の原材料と同様無税とすべきであるということであります。
 関税定率法においては石炭、鉄鉱石、原綿、原毛、生ゴム等基礎原材料に対してはこれを無税としております。国内における天然資源に乏しく、重要原材料の大部分はこれを海外より輸入し、これに加工して輸出することによってのみ自立経済を達成することが出来るわが国としては、原材料を無税とすることが産業貿易政策の根本方針であるべきことはいまさら申すまでもないことであります。石油はわが国の運輸、交通、産業全般にわたり必要不可解な重要資材であり、かつわが国の輸出増進に多大の貢献をしております。石油はあたかも産業における米のごときものであって、このような重要原材料である原、重油に割の関税を課するごとき貿易政策をとるべきではないと考えるのであります。第二には国産原油の保護育成は輸入原油に関税を賦課する方法によるべきではないということを申し上げたいのであります。原油について側の関税を設定された趣旨は、国会における政府の説明によれば、海外から安い原油が輸入され、国産原油をはなはだしく圧迫するような場合に、関税によってこれを保護育成するにあるとのことでありますが、現在わが国の必要とする原油総量の五%にも当らない国産原油保護のため大部分の輸入原油に課税することはなはだ不適当であります。国産原油の保護育成はもちろん必要でありますが、これは関税によるべきではなく、現在とりつつある補助金政策を強化、育成すべきものと思うのであります。国産原油が輸入原油に圧迫されている事実ありやいなやの点に関しては、現在国産原油は輸入原油に比して相当の割高であるにもかかわらず、優先的に全量引取られているのでありまして、すなわち国産原油総量の七割に当る中質原油価格は、山元渡しキロ当り九千五百五十円に製油所までの運賃等引取費用約五百円を加算すると、一万五十円であり、輸入原油の約七割を占めるアラビヤ原油の輸入価格六千五百円に比し約五割高であります。輸入及び国産原油の価格差は年額約十一億円でありますが、これは将来のわが国の石油鉱業の健全なる発達を期するがゆえに石油精製業者の犠牲においてこれを負担しているのであって、国産原油に対する協力はあっても圧迫はまったくないのであります。
 また原油の輸入は厳重なる外貨統制のもとに行われており、原油輸入量は国内における原油必要量から国内原油の生産数量を差引いた残りの数量によってのみ認められているので、いずれの点からも輸入原油が国産原油を圧迫するという事態は起っていないのであります。従って政府当局の考えられた原油一割課税の理由は現在においてもまったく存在しないのであります。
 次に申し上げたいことは税収を目的として重要原材料である原、重油に課税すべきではないという点であります。前述の通りわが国経済自立の要請は貿易振興にあるのでありまして、そのため関税定率法は主要原材料はこれを無税としているのであります。これは国際的に見ても関税の原則とされているところであって、原、重油のような重要原材料について税収を目的としてこれに関税をかけるがごときは、まったく貿易産業政策を無視したものであると考えるのであります。
 諸外国においても原材料無税の原則によって現実上原、重油を無税としているのであります。石油の関税収入分を、重油から石炭への再転換設備費あるいは地下資源開発のための助成金に引当てるべしとの意見もありますが、これはわが国の貿易国策にまったく相反するものであって、絶対に採用さるべきではないと思うのであります。第四に申し上げたい点は、石炭対策のために石油関税を復活すべきではないということを申し上げたいのであります。最近石炭対策の一環として当局の一部に石油関税を復活して、石油の価格を引き上げ、石炭の価格にさや寄せする意見あるやに拝聞しているのでありますが、これは低物価政策に逆行するのみならず、きわめて不合理なことと考えます。すなわち石炭と競合する石油は石油全需要量の一部にすぎず、他はすべて石炭では用をなさい自動車、船舶、農水産業等や、品質管理上重油を絶対必要とする用途の需要であるのであります。この実情を無視して関税を復活し、石炭と全然関係のない用途の重油を初め、揮発油、燈油、軽油、潤滑油等の価格まで引上げ、石油消費者全般のいわれない犠牲のもとに石炭業を救済せんとすることはまったく当を得ていないのみならず、またわが国産業界のエネルギー消費の後進性に拍車をかけるものであり、国際競争力の減退となることを憂慮するものであります。
 もちろん石炭産業の重要性は何人も認めるものであり、これが不況打開の方策は別途講ぜられる必要がありますが、これはあくまでも石油輸入関税をもってなさるべきものではないと信ずるのであります。
 最後に石油関税復活は低物価政策に逆行するということを申し上げたいのであります。わが国の原油生産量は年間わずかに三十余万キロリットル、全石油推定需要量の四%を自給し得るに過ぎず、ほとんど全量を輸入にまたねばならない実情でございます。従って関税を復活された場合には、全石油製品の値上りを来し、それだけ関係産業の生産コストを引上げる結果となり、その影響するところはまことに甚大であります。すなわち石油関税復活によって石油消費者の新たな負担となるべき関税増加額は七十億円となるのであります。主要産業への影響についてこれを見ると、自動車業で約二十五億、船舶、水産業で十三億、鉱工業で十七億、計五十四億円余の厖大な負担増となり、大企業に対する影響はもちろんであるが、現在のデフレ政策下において関税のしわ寄せを最も強く受ける中小企業に与える影響はさらに深刻なものがあるのであります。
 わが国経済の自立達成のために国際競争の激化に対処して、いよいよ企業の合理化、コストの引下げを行い、輸出の振興をはからねばならぬ今日、このような関税政策をとることは、現下のわが国財政経済政策の根本方針にまったく逆行するものであります。ことに本年四月から揮発油消費税が消費者の強硬な反対にもかかわらずキロ当り二千円引上げられて一万三千円となり、この引上げによってその税総額は揮発油のみで三百十億円に達し、その莫大な税金は全部石油消費者の負担となっており、その上関税の引上げが行われるならば、デフレ下のわが国経済一のこうむる影響はまことに重大であるということになります。また関税は石油業者か立てかえ支払いを要するので、揮発油税の立てかえ資金調達及び金利負担のほかに生ずる巨額の関税支払い資金の調達の困難及び年額二億二千五百万円以上の金利支出は、石油業者の企業経営にとって耐えがたい負担であり、ひいてはこれが石油のコスト上昇となって現われてくることを懸念するものであります。
 以上をもちまして石油の関税に関する意見を述べさせていただきました。
#19
○大西委員長 次は吉田隆君。
#20
○吉田参考人 大日本水産会常務理事の吉田隆であります。
 私は石油の大口消費者の立場から意見を陳述させていただきます。他の産業は私はよく存じませんので、水産プロパーの問題を申し上げたいと存じます。この関税につきましての政策的あるいは国際的な御意見はそれぞれ出ましたので、私は現実に即したお話を申し上げて、この石油関税課税のことについての反対意見を申し上げたいと存じます。
 漁業で消費いたしまする油の数量は、大体重油におきまして百万トンを消費いたしております。その他の油が約二十万トン、百二十万トンの年間消費量を持っております。しからばこの油はどういうように消費されておるかと申しますと、全部が燃料油であります。そのうち重油は主として沖合い、遠洋の漁業に消費いたしております。軽油は近海の沿岸漁業の小さい船が使用いたしております。隻数から申し上げますと、五トン未満の船は十万隻ございます。それから五トン以上二十トンが二万隻ございます。三十トンから九十九トンまでが六千隻、百トン以上になりまして五百二十三とたいへん下っております。このように約十八万の隻数が軽油を使っております。その他の船は重油を使っておるわけでございます。
 先ほど以来重油の輸入をすっかりやめてしまえという御意見がありましたが、これはとんでもない話でございます。そのような意見を出されるということは、おつしやっていること全部が信用できないお話だと思います。われわれ漁業者は油がなくては仕事ができないのでございます。言いかえれば、船をごらんくださいますとわかりますように、二十トン、三十トンの船に石炭を積んで出て行きますことは絶対にできません。現在東京湾内でひき船をいたしておりますあの船をごらんくださいましても、あの船腹に積んでおります石炭は何トンあるとお思いになりますか。十トンも積んでいないのでございます。そういうような状態で、東京湾の外へ出ますと、石炭を積んで行って魚をとらないで、石炭をたいて帰って来るということになるのであります。
 もう一つ例をとってみますと、ビキニの付近で被災いたしましたかつお、まぐろの漁業を想定いたします。あれは百三十五トンから二百トンの船であります。あの船があそこに行きますために石炭を積んだといたしますと沈んでしまいます。あそこへ行くだけの石炭は積めないのでございます。それと同様に南氷洋へ行っております大型の船を考えてみます。あれは一万トンの船腹に油を積んで行って、ようやくその仕事が成り立つのであります。しかもまた送り込んで行きます一万トンの船には、油を一ぱい積んで行ってそれを供給して、そうしてつくりました鯨油を積んで帰っておるのであります。旨いかえますれば、石炭に切りかえますと、南氷洋漁業は成立しないということになります。そういう状態にあります道具を使っておる水産業は、絶対に油からは離れることができないということはおわかり願えると思います。
 その次に申し上げたいのは、現在も申し上げましたように、漁業の経営をなしております沿岸の漁業者は、人数にいたしましても八五%がその沿岸漁業者であります。これは零細という言葉を使って、あえて不思議でないと思っております。そういうもろもろが、油がなくなったために生活の資を失うということになりますと、これはたいへんな社会問題であります。現在の沿岸漁業者はどれだけの水揚げをしておるかと申しますと、約日本で消費されます魚類の六八%、七〇%は沿岸漁業がそれを漁獲しておるのであります。その漁業者の経営状態を見てみますと、現在では油に要します燃料費は、経営のコストの中に三〇%含まれております。これがまた値上りをするということになりますと、何をか言わんやということになるわけでございます。しかも漁獲は年々減っておりまして、一つの例をあげてみますと、燃油一キロリットル当りいろいろ換算してみますと、従来は、昭和十年で二千五百貫とっております。それが二十四年には千七百貫になり、三十八年度では千四百貫に下っております。こういうような困難な漁業を続けておるわけでございます。それから先ほどコストの中に三二%ということを申し上げましたが、これをもう少しくだいて申しますと、いわしの漁業者では一三%でございますが、以来の底びきと申しまして、小さい沿岸の底びき業者は四九%を燃料費に使っておるわけでございます。それからトローラーが三四%、かつおまぐろは三四%、同じようなものでこれを消費しておるわけでございます。竹に漁業に関係いたしましては、かりにここに関税がかかるといたしますとどういう結果を起すかということを想定いたしますと、これはコスト高になることが目に見えるようでございます。魚というものは、魚をとりましてこれを中央市場へ送って参ります。中央市場は売手相場でなくて買手相場であります。買う方が値段をつけるので、高く費用がかかったものでもそのときの情勢で値段がつけられる。つまり親はわれわれの手から仲買いなり卸売人なりに転嫁することができないのであります。たといできたといたしましても、それは中途においてなされる。つまり卸売りあるいは仲買の手でそういう操作がされて、結局消費者に高い魚がまわって行くということになるのであります。漁業者自体はそのコスト高をカバーすることができない。今の制度がそういう状態に置かれているということをよく御勘案願いたいのであります。一つの漁業を仮定してとってみますと、かつお・まぐろ漁業におきましては、年間凍結品だけで百二十億の輸出をいたしております。この百三十億は、日本で消費いたします漁業の輸入資材が九十億でございますが、このかつおまぐろの凍結品だけでさえこの収支のバランスは立っておるのでございます。もしこれが関税でしわ寄せされるということになりますと、今輸出しておりますこういうもののコスト高ということが出て参ります。それはどこへしぼるかというと、結局これは労務者に行くであろうし、あるいは非常な金融の面の不都合にそれが出て来るということになりますと、年来諸外国から日本の漁業のチープ・レーバーを非難されておることに拍車をかけることになるのであります。こういう点は私がここで申し上げるまでもなく、賢明な先生方には十分わかっていただいておることと存じます。そういうような状態で、漁業と絶対不可分なものに絶対値をプラスされるということは、結局その間にいろいろな操作があるないにかかわらず、漁業者自体が非常なひどい目にあうということをよくここで御認識いただきたいのであります。聞き及びますところによりますと、農業並びに水産業については、もしかりにこの課税が実現しても、それには免税の措置を講じてやるというように伺っております。これはまことにありがたいことでございます。非常に感謝はいたしますが、ここで私申し上げたいのは、このことはかつて行われたことがあるのでございます。この結果たるや実に不都合な結果に終っております。実例を申し上げますと、幽霊の輸入組合をつくりまして、その免税の油をもらってそれを横流しする、これはもちろんその中に漁業者も入っておりましたが、その中の大部分が不純な連山であった。結局莫大な人件費を国家が、負担してそういう制度をやってみたけれども、結局その制度はうまく行かなかった。再びこの轍をふみまして、せつかく農水産業については免税の措置を見てやろうと言っておられましても、一年にしてこれが悪制度であるということになりますと、元も子もない。元関税がかかったところに逆もどりをすることになるわけであります。一年の安易を欲せんがためのそういう一寸のがれは水産業者は決して希望もいたしませんし、歓迎もしていないということをここで堂々と申し上げることができると思います。
 要はこういう動力源に石炭屋さんの救済をなさんがために油をもってするということは、結局われわれこれを消費しておりますものの犠牲においてそういうことをやろうという考えであるならば、水産業者はそういう納得の行かないものの扱い方には絶対に反対できまして全油についての関税はいましばらくこのままにしておいていただきたい。石炭の救済をするならまだ他に方法があると思います。もし農水産業にそういうような特例を実行するというのであるならば、農水産業でこれを受入れる態勢をつくらせるために先に努力をしていただいて、その上でこの特例を考えていただきたいということを申し上げて、意見を終りたいと存じます。
#21
○大西委員長 最後に小野盛次君。
#22
○小野参考人 私は日本トラック協会常務理事の小野盛次でございます。自動車関係、ことに燃料消費者の一員として意見を述べさしていただきます。
 われわれ自動車関係が今燃料消費をする分野を大別いたしますと、ガソリンの総量の約九四%、軽油の五九%が自動車用に消費されておるのであります。従いまして今回改正復活されんとする石油関税定率法の影響がきわめて大きなものであることを数字をもって御説明申し上げたいと思います。お手元に参考資料を差上げておりますが、資料の数字は運輸省が最近調査されまして、通産省その他関係の向きに配布されたその数字をここに再録いたしたのであります。原油に一側課税の復活されたときには揮発油において九百五十七円、軽油において七百五十七円の値上りを来す。二十九年度の全消費量と算定されております揮発油の二百四十四万キロリットル、軽油の三十五万キロリットルから換算いたしますと、約二十六億の値上りになる。これを二十九年度のトラック、乗合自動車、乗用自動車、また軽油のトラック、乗合自動車、こういう各部門別の消費量の詳細が出ております。数字はここで省略さしていただきますが、合計いたしまして二十六億三百十五万三千九百五十円という数字を運輸省が計算されたのであります。原油の一割課税と別に、製品輸入といたしまして、揮発油の現在一割課税が二割になり、あるいは潤滑油の二割が三割になった場合を想定いたしますと、揮発油の製品輸入の推定量が約三十万キロリットルで、これが三億八千四百万円、軽油が八万キロリットルといたしまして八千八百万円、潤滑油が五千キロリットルとして二千六百万円、合計で四億九千九百四十二万円、かような数字を並べますと、原油の一割課税、製品輸入の課税で、合計が三十一億一千二百五十七万三千九百五十円、かような膨大な数字になるのであります。この値上りの影響がどういうふうになるかと申しますと、現在トラックの運賃あるいは乗合自動車の運賃あるいはタクシー、ハイヤーの運費等は、運輸大臣の認可によりまして最低料金にきめられておるのであります。一種の統制的の色彩を帯びた運賃は、これは国民生活と物価の関係から極度の低運賃に定められておりますが、諸物価はすべてが統制がはずれて自由価格になっておるために、認可した当時から翌年には物価が上る、翌々年にも上るというようなことで、現在私たちが当面悩んでおりますトラック運賃に例をとってみますと、二十三年六月二十三日に運賃が改正されまして、二十六年一月二十三日まで三年間すえ置きになっております。その間で車両価格だけでも七二%の値上りをしております。タイヤだとか燃料だとか諸物資の値上りというものを計算いたしますと、一〇〇%以上の値上りをしておる。さらに本年の六月三十日トラック運賃が改正されましたが、これももう来年度になれば相当の物価の動きもある、かようなことでわれわれは絶えず運賃と物価の間に悩みを持っておるのであります。
 トラックの面につきまして一言申し上げますと、鉄道関係――国鉄、私鉄の二十八年度の貨物輸送の実績というものは、一億九千百七十八万トンに対して、トラックの輸送量は四億五千三百六十二万トン、二倍半にもひとしいような大量の貨物の輸送をいたしておるのであります。しかし事業内容については、運賃と物価の関係からきわめて窮迫の状態にあるのであります。運輸省の調査いたしました本年六月発表いたしました北海道から九州までの十三会社、これはお手元に配付した資料の一番最後に一覧表がありますが、この会社の平均の収支を見ましても、一キロ当りの収入が、利潤というのはわずかに六十九銭、一日一車走って五十七円三十五銭、タバコのピース十三本がトラック会社の利潤だ。かような数字はおそらく先生方も御信用にならないのじゃないか。けれども運輸省が詳細に調査して発表した数字であるから、これは私違いないと思うのです。かように一日当り五十七円三十五銭で、しかもこの利潤の中には、われわれが最もおそれる自動車事故費というものは全然含まれておらない。従いましてトラック会社、バス会社というものはほとんどが赤字を出しておる状態であります。かような現在のトラック事業のうち、人件費はトラックの面におきましては約三八%でありますが、賃金ベースが一万五千円ベースを下まわっておる。そのうち燃料費が一八%七、この一八%七の燃料費は、はなはだ小さい数字ではありますが、御参考にぜひお聞取りを願いたいと思います。現在ガソリンの価格が全国平均一リッター三十六、七円でありますので、一応これを三十五円といたしまして、一リッター当りの車の走る走行キロが三・三キロとすればキロ当りの燃料費が十一円六銭になる。もし関税が復活したと仮定いたしまして、一割価格が上るならば、一キロ当りの十一円六銭が十一円六十六銭になる。従って一キロ六十銭の経費増になる。前に述べましたように、一キロ六十九銭の利潤しかないところに六十銭の値上りをしますと、一キロ走ってわずかに九銭の利潤しかない。かようなことではトラック事業の現在というものは、実に憂慮すべきものになるのであります。
 かような意味から、私たちは石油関税の復活はいましばらく御猶予を願いたいと思う。二十六年に制定されて四年間、毎年先生方の御努力、御理解によりまして延期したことは、やはり物価との関係に重点を置かれたと思いますが、現在においては深刻なデフレの影響を受けて、おそらく三十年度においては容易ならぬものがある、かように考えるのであります。従いまして日本の全産業にいかに影響するか、私たち自動車関係ばかりでなく、農林、水産、鉱工等、動力源としての燃料を消費する業者の立場を十分御了解いただきまして、生産コストを下げて、しかも効率を上げる意味において、石油を需要しておるわれわれにもしこの不当な課税をかけられるとするならば、角をためて牛を殺すようなことになるのではないか、かように考えるのであります。
 政府においては本年の四月揮発油税の一万一千円を一万三千円に増額し、しかも政府の予算の二百三十七億六千万円がおそらく来年度末には三百十億にはなると私たちは考えるのであります。しかもこの増収の七十二億近いものが、一昨日の本会議を通った補正予算にはおそらく計上されなかったじゃないか。しかも二百三十七億のうち三分の一の七十九億の譲与税というものが各地方府県に配付されておりながら、その使途というものが非常に不明瞭である。長崎県におきましても、福井県におきましても、青森県におきましても県会の問題になって、この譲与税を警察費に使うとか、あるいは県の雑費に使うとか、使途がはなはだ不明瞭だ。しかし私たちは揮発油税というものは完全に納めておる。しかも本年三月三十日の衆議院の地方行政委員会で私がるるお願いした自動車税の増額の問題につきましては、揮発油に税をかけておるが、軽油に税がかからない、従ってディーゼル自動車には相当の自動車税をかけるということが可決されまして、本年度の自動車税は約八十億というものが計上されて、われわれ自動車業者の年間の負担が四百億近くになっておることは先生方も御承知の通りであります。さらに今度の関税復活によって少くとも七十億近い関税が課せられることになるならば、われわれとしてはとうてい担税能力がない、これ以上は耐えられないということになるのでありまして、はなはだくどいようではありますが、以上の事情をぜひ御賢察くださいまして、先生方の公正な御判断をいただきたいと思うのであります。
 なお自動車の急激増加について、先生方にも相当の御疑問があると思うのであります。現在運輸省が想定いたしておりますのは、二十九年度末において少くとも百二十万両くらいの数字を計上されておる。従って三十年度においては、なお自動車がふえる。従って燃料の供給が外貨との関係でどうなるか、これにつきましては先般山手先生からも御意見を拝聴したのでありますが、われわれトラック、バスというのは、ほとんど昭和十一年からふえておらない。しかるに自家用自動車が非常にふえて来る。あるいはオートバイ、スクーターというものが非常にふえて来ておる。現に小型二輪車が、お手元に差上げた資料にも明記してありますが、六十三万一千両、軽自動車、これはバイク・モーターでありますが、これが三十四万四千、合計で九十六万六千二百九十六というものが、必要があるかないかということは別として、ほとんど営業的でなく使われておる。こういう厖大な数字になっておるので、これが消費面をどう規正して行うかということも残された問題です。われわれといたしましても燃料の節約、外貨の節約ということは十分念頭に入れて、それぞれの指導をいたしておりますが、いずれにしても現在の揮発油あるいは軽油というものの価格が、事業の経営のかぎになっておる。従いましてわずかな値上りが事業に響く問題が非常に大きいので、私たちは関税復活に対してはもうしばらく財界の情勢を見た上においておきめを願う、従って三十年度は今年度と同様延期をお願いする次第であります。御清聴ありがとうございました。
#23
○大西委員長 以上で参考人よりの御発言は終りました。
 続いて質疑に入ります。質疑の通告がありまするので順次これを許します。長谷川四郎君。
#24
○長谷川(四)委員 先ほど来石炭の福岡方面のお方等々のお話を承りまして、私は涙なくして聞くことができなかったのであります。しかしながらかくのごとき経済的な危機に、だれがどういうような政治をもって陥れたかという点について、皆さん方の御想見が非常に少なかったと思うのでございます。私はこれらのよって来るところの大きな原因というものは、現内閣の長年にわたる悪政であり失政であるといわなければならないと思うのでございます。そういうような大きな問題をそっちのけにして、目先の石油業者と石炭業者、このお二方が対立するなどということは、政治の上に立ってあるべきはずがないと思う。こういうような点等から、まず新海さんに伺ってみます。
 新海さんの先ほどのお話によりますると、いろいろ外国炭と国内炭との差、また西独のお話がありまして、なるほどごもっともだと思うのでありますが、新海さんの考え方とちよつと私は相違をしておりますので、その点を伺うのであります。西独で石油の関税をかけておるというが、西独は五箇年計画というものがりっぱに遂行されております。わが国におきましては、五箇年計画というものができましても、それはただプリントに刷ったもので、一応これが自由党内閣の政策であるということで出ただけである。そういうプランによったものを行って、それが産業人に与えられて、その第に考えられる融資というものが一つとして履行されておらないのでございます。従いまして情ないかな、戦前と比較するならば、ドイツも日本も石油の国内産量はほとんど同であったにもかかわらず、すでに国内油二百万トンを突破しておるのが現実の姿であります。そのほかに人造石油があり、頁岩油をとっておる。こういうような点から、まず国内の産業を圧迫しないように、原油を持って来て課税する場合、この原油が精製されて輸出されるときは、リベートとして税金は返って来るというやり方をしておるのであります。日本ばかりが関税をとっておるのではなく、世界各国全部関税をとるのだが、関税をとるという大きな目的は那辺にあるのかということであります。まず国内産業というものをいかに維持育成するかということが、すなわち関税の大なる目的でなければならぬと私は信じてやみません。こういうような点から戦争後すでに九年たった今日において、三十四万トンの石油を出して便々としておる政府やお役人には申訳ないが、これはその指導に当っておるお役人がきょうここにおいでになりますならば一番よくおわかりになると思う。ただ単にドイツの例を日本に当てはめることは間違いであるといわなければならないのであります。そういうような点について、新海さんより、ドイツもとっておるから日本にもこれを入れることが最もふさわしいとお考えになるかどうかという点について、言御説明を承りたいのでございます。
#25
○新海参考人 お答えいたします。日本に総合燃料国策がないかと申しますと、すでに去る三月三日の閣議了解事項におきましても、また三月三十一日の衆議院通産委員会におきましても、総合燃料国策というものが確立しておるのであります。これによりまして、日本の適正出炭を維持させ、あらゆる合理化を同時に進めて、石炭のコストをできるだけ早い期間に国際水準に持って行き、問題の低炭価を実現させるという国策は確かに樹立しておるはずであります。ただそれが今日まで何一つとして実現を見ていないということでありますが、われわれはどうしてもこれは三箇年あるいは五箇年計画において実現していただかなければならぬ。その意味におきまして、油においても関税をとっていただきたいということを主張しておるものでございます。
#26
○長谷川(四)委員 三箇年計画、五箇年計画を政府も立てわれわれも立てておるのですが、現在の内閣は、そういうことは言うが一つもやったことはないということは、新海さん御承知だと思うのでございます。そういうような点から考えて、新海さんのお話は、要は国内炭というものの、つまりもう少し国内の消費というものを考えてくれということが私はおもなる目的だと思う。要は石油の関税をかけたから必ず国内炭というものがよけい売れて来るか、現在のような悩みはなくなるか、こういう点はどうでございますか、つまり石油に関税を設ければはたして国内炭というものは非常に貯炭はなくなる、すべてすっきりしたものになって行く、こういうふうにお考えでございましょうか。
#27
○新海参考人 油に定率関税を設けまして、ただちに日本の石炭が貯炭もなくなり、ただちに安定するということは確言いたしませんが、しかし先ほど申しましたように、二十六年に関税の免税措置をとったあの理由は今日においてはなくなっておるのじゃないかというふうに思います。
#28
○長谷川(四)委員 お説もある通り、要するに石油の関税をかけたから国内の石炭業界が非常に急激に上昇して来るなんということは、私はとうてい考えられるものではないと思うのであります。要は、根本の日本の産業経済をどういう計画の上に行うかという点から産業構造をどう改革して行くのか、こういう上に立ってでなければなかなかそういうものは私は解決ができるものではないと思うのでございます。従いまして平井さんに伺いますが、たとえば六千五百円で外油が来ており、国内のは九千八百円ばかりかかっておるわけでございます。要するに運賃が向う持ち、港内扱いが向う持ち、こういうふうにやると九千八百円ばかりかかるわけでございます。それに国内のものは精製しての歩どまりが悪いという点、大体万円ばかりかかつておるはずでございます。こういうような点から考えて、あなたのおっしゃることは非常にそこに何かアンバランスがある。こういうような考え方をしておるようでございますが、その理由をもう少し明らかにしていただきたいと思うのでございます。
#29
○平井参考人 国内原油が外油に比して高いのはどういう理由か、こういうお話ですか。
#30
○長谷川(四)委員 そうでないのです。あなたのおっしゃった話の中に、外国から来るのは六千五百円だ、国内のは九千五百円だ、これでまだ足りないからもう少し上げろ、そこにはまだ何かアンバランスがあるからもう少し上げろ、どうしてそういうことが考えられるかということです。
#31
○平井参考人 関税政策はお話のように、国内資源と申しますか、国内の原油と同じ値段まで上げてもらうならば、国内原油は九千数百円いたします。外油は六千五百円くらいですから、国内原油と外泊との競争ができない。従って外油を九千百数円まで上げてもらえば外油との競争ができるから、五〇%上げなければそれには相ならぬけれども、私どもはただちに今五〇%を上げてほしい、こういうことを言っているのじゃない、こういうふうに申し上げたのであります。
#32
○長谷川(四)委員 そういたしますと、あなたの御意見を承りますと、まさにあなたの帝石は百五十万トンないし、今日本で使っているところの過半数の石油でも出しているようなお話でございますが、あなたのところから出しているものを合せて日本全体で五%ないのでございますよ。そういうことはあなた御認識しているかどうか。あなたのところを全部合せて三十四万トン弱しか出ていない。そうすると〇・五出ていないです。〇・五出ていないからこそあなた方の石油を、国内資源の開発育成のためにわざわざ高く買っている。外油では六千五百円だけれども、あなたの方のは特に国内のだというので一万円以上出して業者は協力しておると私は思うのでございます。ですからあなたがそういう御意見をおっしゃるならば、あなたのところは一日も早く二百万トンとか三百万トンとかまとまった数量を出すときにはあなたの御意見はさようごもっともだと思うのでございます。ところがわずか〇・五%しか出ていない。御意見を聞いて、われわれ帝石ひとりではなく、全日本産業、八千五百万の国民のために政治を行っておるのでございます。帝石のために政治をやっておるのではないのでございます。しかしそのうちの部分的である帝石に対して、国内資源をいかに開発しなければならないか、これをゆだねられておるのが帝石である、こういう面において、まずわれわれの血税を、十億なら十億というものを差上げて、そうして奨励をしようという考え方を持っておることをお忘れなく、やってもらわないと困るのでございます。従って私は昨年の十二月二十八日に現通産大臣、これは前に大蔵次官でありましたが、これらの人々も呼びまして、最後にお話をきめるときには必ず十億という金は出しますということをお約束し、間違っても六億は出しますから、あなたの熱意に私は動かされましたとまで言われました。ところがふたをあけてみましたところが一億三千万しか出てやしない、こういうあなたのお考えは、政府のお考えが帝石に行っておるわけでございますから、どうしてそれを履行しないのだということを言うのであって、石油の関税――あなたのところはわずか〇・四%ぐらいの石油を出しておいてこうだというのはちよつと道が違いやしませんかということを私は言わなければなりません。それも国内の業者が協力をしておらないならばいざ知らず、倍の価格を出して協力を申し上げておる、わずか三十四万トンの額で、この金額は相当の金額だと私は思う、こういうような点をまずお考えおき願わなければならないじやないか、こういうように私は考えます。従ってあなたの御意見をいれて、もしこの石油に一〇%の課税をするとするならば全日本の産業はどうなるか。電気料が値上げになり、政府がかつてに上げるものだけはどんどん上げて行く。タバコが値上げになる、そうして一般国民にどういうことを言っておるか御存じでしよう。まずことしの正月元旦から吉田首相は国民は耐乏生活をしろ、そうして日本の製品が出て行かないから物価を引げ下るんだと、こう言っておるのですよ、あなた方のお説をあげればまあ逆コースと言わなければならぬ。私は現在の石炭業のきゆうくつな事情はよく知っております。なぜ政府は手を打たないのだ、当然手を打たなければならぬ絶対に責任のあるところは政府であります。また炭鉱業者は当然その保護育成を受ける権利を持っておるはずであります。しかるに石油の同業者が他の一方において保護を受けるというようなことは将来の日本の産業がどうなるかということも考えてみてもらわなければならないと私は思うのでございます。
 次に山本さんにお伺いをいたします。山本さんは先ほど現在の国内の情勢を無視したものは云々というお話でございます。しかしこれはちょっと私は今のお話と同様に、なるほど私たちは少くとも国会に席を置く以上は、石炭がどのような状態にあるかということはよく知っております。しかし八千五百万国民は全部石炭業者でないということも一面考えてもらわなければなりません。そういうような点からいって、石油の関税を上げること、これが国内情勢であり、上げないように考えたものは国内情勢を無視したものだという、こういうお考えは山本さんは先ほども言葉のあやでそういうことが出たと思いますが、今でもそういうお考えであるかどうか、お伺いをいたします。
#33
○山本参考人 お答えいたします。私は主として石炭の販売に当つております。先ほどから私の申し上げたことは大体において一般石油全体を申し上げたのではなくて、鉱工業重油というようなものを主として取上げて申し上げたのです。その点お断りしないで、全廃論と取上げられますと、無茶な議論になるということをあとで感じたわけであります。こういう意味において国内資源を非常に不安定な状態に置き、また余らして深刻な社会問題、治安問題にまで発展しておるから、そういう一部鉱工業重油に対してはこういう措置が当然じゃないか、むしろ私は課税の法律ということよりも阻止すべきである、かように今でも考えております。
#34
○長谷川(四)委員 そういたしますと、その前のお言葉になるのでございますが、石油関税をかけることが民生の安定であるということをおっしゃっているはずでありますけれども、それはやはり部分的に見た石炭ということで了解してよろしゆうございますね。
#35
○山本参考人 はい。
#36
○長谷川(四)委員 もし山本さんが大臣とかそういう地位につかれておるとするとこれはえらいことになると思うのです。いずれにしても遠いところ御足労願っておるのですが、もう一つ伺わなければならないのですが、官房長は、……。(「官房長はどうした」と呼ぶ者あり)実にこういうような状態でございます。これは全部与党でございますが、だれもいないのです。こういうことでは責任がとれないのですが……。いずれにしても私の申し上げることは、石炭の皆様にも非常にお聞き苦しいと思うのでありますが、ただ石油だ、こういう面にのみやるのではなくて、たとえば三百十億に最初われわれが賛成した理由は、三百十億は目的税としてとったわけです。それがはたして目的税として使われているかいないかということは皆さんが御承知の通りでございます。たとえば今度の石油の関税を資源開発に使うのだという名目をつけるでしょうが、現在の日本で七十億の金が石油の資源開発に使える力ありやいなやということは、良識ある皆さんには一番よくわからなければならぬと思うのであります。そういうふうに考えて、私は税収入としての関税上という考え方は捨てなければならない。たとえば石油を持って来る、それで一方中小商工業者というものは毎日一生懸命働いて、たとえば五人以下の家庭的な工場はほんとうに夜寝る目も寝ずに働いてそれが輸出貿易になっている。この上一割かけられるということになると――石油屋さんなどは七十億なんか背負ってはくれはしない。みんな消費者が背負うのです。そういうことも石炭の方には考えてもらわないと、これは中小商工業者に対しても答弁のしようがなくなると思うのであります。そういう点も考えておいてもらいたい、こう思うのです。
 もう一つ佐々木さんに伺いたいのでありますが、関税を引上げた場合、先ほど少しお話があったようでありますが、諸産業に及ぼす経済的な影響ということです。これは政府にお聞きするのがはっきりすると思うのですが、何しろ現内閣のふにゃふにゃしておるところではおそらくこれらの調査は進めてないと思うのであります。中小企業が逼迫しようが何しようがそんなことはかまわない、ただ税金さえふんだくればいくらか楽になるだろうというようなことばかりを考えておる現在の政府及びお役所にはおそらくわかりますまいから、これらで何かお考えになつたことがあれば簡単でよろしゆうございますからお教え願いたいと思うのであります。
#37
○佐々木参考人 先ほどもお尋ねのことにつきましてちょっと触れておきましたが、今度関税がかかるということになりますと、今輸入されておる数量あるいは消費されておる数量から考えまして、自動車業者が約二十五億、船舶水産業で十三億、鉱工業で十七億というような負担になるわけでありますが、私どもが忘れてならないことは、以上申し上げましたように、ただ各業種団体に影響するということだけでなく、さらにこのもとになりますものが非常に大きな範囲で、われわれの生活の上にも、物価の上にも忘れられない問題がある。それは遅々であります。この大きな運賃の大部分が、私は油の値上りによって影響を受けるということを特に申し上げたいと思います。
#38
○長谷川(四)委員 重ねていま一つ伺ってみたいことは、先ほど用途別の免税を行うというようにどなたか触れましたけれども、免税または戻税、こういうようなことを御体験があるはずでございますが、その体験の一部を、最も重要な点があるとすれば述べていただきたいと思うのでございます。
#39
○佐々木参考人 ただいまのお尋ねに対しましては、先ほどほかの参考人からお話があったように記憶いたしますが、大正九年に今お尋ねがあったような取扱いがされたことがあります。その当時は重油の輸入業者といいましても二村ぐらいのものでありますが、現在はそれが二十社以上になっておる。また取扱いの数量も、そのころはごくわずかでありますが、現在は御承知のような莫大な数量であるというようなことから考えますと、その当時と同じような手数料では現在はやって行けない。非常に大きな人件費を負担してこの問題を扱って行かなければならない。しかもそれが申請をしまして、そのときの経験からいいましても、今のようなごくわずかな扱い者であり、そして数量もごくわずかであっても二箇月もかかつたのであります。今日ではさらにそれが実現してやるということになれば、非常に大きな費用と努力とがいるということになりますが、それにしても、かりに一箇月でできたといたしましても、漁期というものは非常にデリケートなものであります。また非常に緊急なものであります。そういうときにそれがはたしてうまく許可になり、そして思う時期に入手できるということはとうていむずかしいことは私から申し上げるまでもありません。また先ほど他の参考へからお話もございましたが、実際こういうことをやって行くということになりますと、かつて戦争中にあったようなやみ取引というものが起るのであります。スムーズな取扱いはできない。必要なところで正式な手続をした人が必要な時期に入手することはほとんどできない。そしてそれがいらないところにやみで取引されるというような結果になる。こういうことから考えまして、戻税とかあるいそれには類似したような別の扱いを認めるということは、それだけ大きな権利であるだけに、半面には罪悪が起きやすいということは私から申し上げるまでもありません。この大正九年ごろの経験は非常に苦いものでありまして、実によくない結果であったことは私たちから申し上げるまでもありません。その当時の販売業者あるいは実際に消費された農林水産団体の方々は苦い経験をお持ちだと思います。
#40
○長谷川(四)委員 もう一つ重ねてお尋ねいたします。重油が石炭の消費分野を侵したという意見がはっきりしております。そこで侵した結果が石炭の不況の一因になったというようなことでございますが、あなたの現在までの体験からいってどういう程度のところまで侵しておるとあなたはお考えになっておるか、簡単にお話いただきたいと思います。
#41
○佐々木参考人 お答え申し上げます。先ほどほかの参考人からこの問題について触れておいでになりましたが、ことしの二十九年度の石油の全体の消費量というものを推定いたしますと、九百七十五万キロぐらいというふうに私どもは見ております。その中で今お尋ねのありました数量は、二七・八パーセントに当るのではないかということであります。と申し上げますのは、自動車であるとかあるいは水産方面であるとか、あるいは船舶であるとかいうようなものは、どうしても先刻も申し上げましたように、石炭ではいけないで重油でなくてはいけない。つまり石炭にかわることができないというものであります。そういうふうに考えて参りますと、それ以外の鉱工業方面というのが大体三百三十七、八万キロじゃないか。その中の二百七十五万キロ前後が重油として石炭の中に特に食い込んでいる、競合しているという数字じゃないかと思います。結局は九百七十五万キロの全体の石油の中の三十七、八パーセントが石炭と競合している数字であると結論的に申し上げられると思います。
#42
○長谷川(四)委員 鉱山局長さんにお伺いいたします。かつてあなたの手によって重油の使用を強制的に普及をして、そうして重油の使用度が高まって来たから、いよいよ今度は石灰を使わせなければならない。そこで今度は何か規制をする法律を設けたいということで狂奔をなされておるのがあなたでございます。その本人のあなたが今度は逆に税金をとりやめて、そうして転換をする場合それに充てたいのだというようなことを何かで御発表をしたように感じておりますが、あなたは大蔵省のお役人さんであるか、通産省のお役人さんであるか、どちらに所属があるかということをまず承らなければならない。(「身分証明を持って来い」と呼ぶ者あり)身分証明はまあ必要ありませんが、私は、あなたは通産行政を行う一番大事なポイントを握っておられるお方であって、日本の中小商工業者を初めとした全日本産業というものを育成するのも、これを萎縮沈滞せしめるのも、あなたの生殺与奪にあるといわなければならない。こういうような点から考えてみて、あなたはこのような税金をかけることが最も妥当であるというお考えか。もしそうだとするならば税収入と見るのがあなたの目的であるか。どういうふうにお考えになってこういうことを――提案はされてないんだが、ちらほらすそを見せて来た、こういうことでございますが、その点を明らかにしていただきたいのでございます。
#43
○川上説明員 私が石炭から重油に転換しろという強制をした張本人ではないのですが、それは当時の石炭事情あるいは石油の事情から自然的にそういうことになったことが、私は大きな原因ではないかと考えております。もちろん石炭から重油という問題につきましては、通産省におきましてもコストを極力安くするために、そういう勧奨を特に輸出関係の産業に対しましてやつたことは、これはその通りであります。しかしながらたとえばビルでありますとか、あるいはふろ屋でありますとか、そうした方面までも全面的に、しかも強制的に私どもが石炭から重油の転換を勧奨したことはないと思っておりますし、長谷川先生もその点は御了承かと存じております。
 私は最後に、お話がありましたので、それに対しまして申し上げますが、この関税の問題につきましては、先般参議院の通産委員会におきまして、大臣からある議員の方に回答されておりますが、その趣旨は、最近の事情をいろいろ検討すると、関税を延期しておるという理由が比較的薄くなつて来ておる。従いまして関税をある程度かけるということは諸般の事情からやむを得ないのじゃないだろうか、しかしながらこれは各産業方面に対しまして非常な影響があるので慎重にいろいろ検討しておるのであって、もし影響の非常にひどい方面に対しましては、先ほどいろいろ問題がありましたが、戻税制度等につきまして考慮しておるというようなお話が大臣からあったと思っておるのですが、私どもはそういう考えで現在いろいろ検討を進めております。別に通産省におきまして、はっきり具体的にどういうふうにきまったということでもありませんし、また関係各省との間にこういうふうにきまったというような状況にはなっておりません。いずれにしましても、当時関税が免税延期になりました理由が、最近におきましては、非常に違って来ておるという点につきまして、私どもの方としましては、そういう点をいろいろ検討して、関税をかけるべきか、あるいはさらに延期すべきか、あるいはもしかけるとするならば全面的にこれをやるか、あるいはまたある一部の産業等に対しましては特別な措置を講ずべきか、もし講ずるとすればどういうふうな方法でやるか、かつて免税制度というのをとったのだが、そのときいろいろな経験を参考にして、どういうふうにやればいいかということについて、現在いろいろ研究をしておる段階であるということを申し上げるよりほかないと思うのであります。私の個人的な見解はどうかという御質問がありましたが、あまり個人的な見解を方々で申し上げることはどうかと思いますし、また私がどこかで関税をかけてもいいじゃないかと言ったというお話のようですが、私は公開の席上におきましてはっきりと関税をかけるべしというようなことは言っておりませんし、もし関税をかけるとするならば、私の個人的な気持としてはその金を少くとも国滝原油の開発の方に大幅に使ってもらうようにすることを非常に希望するという意味でお話を申し上げておることは事実と思うのであります。
#44
○長谷川(四)委員 通産省というあの舞台の局長さんの中で、おそらくナンバ一・ワンのあなたが、あなたの意見をもって他の局長を引ずって行くようなことはおそらくやるまいと思います。なぜならば、あなたは通商産業省というところにおるのでありますから、中小商工業者にこれ以上のしわ寄せをして、毎日付目、何千と倒れて行く中小企業をより以上苦しめようなどということは通産行政の上においてはあり得ないと信じます。かるがゆえに、あなたはおそらくそういうようなことはやりますまい。もし他の局長からそういう意見が出たとしても、まずあなたがまつこうからこれを抹殺するだろうということを私は希望しております。従って石炭局長にお伺いしなければならないのですが、あなたのお考えで輸入税を決定する、輸入税をとれば石炭のこの危機が突破できるという確信があなたにあるかどうか、この点をお伺いしたい。
#45
○斎藤説明員 石炭の現在の窮況はよく皆さん御存じの通りであります。また現在の段階におきます油の消費量は、石炭の消費量全体に比べますれば、せいぜい一割五分程度のものでございます。また油の関税で今問題になっておりますのが、現在関税定率法できまっております一割の分を復活するというだけの問題として考えられておりますので、そういう点から参りますと、現在の石炭と重油との価格差がそれで完全に埋ってしまうという段階でもございません。従って重油の関税の復活によりまして、石炭問題が全部解決されるなどとは、私は毛頭思っておりませんが、しかし同時にこの関税が復活されますことが、石炭と重油との価格差を縮めることに若干でも効果があるということ、またそれが心理的に石炭市況に相当大きな影響を及ぼすであろうということ、それからまたこの原油の関税の財源で、先ほど鉱山局長から国内原油の増産に使いたいという話でございましたが、われわれとしましては、この財源が入りますれば、石炭の合理化資金にぜひもらいたいと思っております。もしわれわれの希望するように、この中から原油の増産分の所要資金を除きまして、それが全部石炭の合理化資金にまわしていただけると仮定いたしますならば、これは石炭産業の合理化のために非常に大きなプラスになる。とてもここ一年、二年で価格が非常に下るということは申し上げられませんが、何年かの後には優に重油と競争できるくらいの価格にまで石炭の価格を引下げる上において、非常に効果があるものだというふうにわれわれとしては考えているわけでございます。
#46
○長谷川(四)委員 私の受持ち時間もなくなりましたからやめますが、この石炭問題は非常に大きな問題だと思う。しかしこの石炭問題に対してわれわれもでき得る限りの協力と努力はしているのでございますけれども、いかにせよ委員長の所属しているところの政党が、こういうことに耳をかさない。その経済政策の失敗が、あたかも今日血で血を洗うようなこの騒動を起させたということは、委員長としての席にあるあなたも痛感せざるを得ないと私は思う。こういうような点から考えてみると、私たちはこの委員会の責任において、この寒空に暮れを迎え、正月を迎える失業者のために大いなる努力を捧げたいということを私たち一同は念願しているのでございまして、委員長といたしましても、所属している政党は違っているが、あなたの政党の間違ったところがあるとするならば、あなたは先頭となってこれらに邁進されんことを希望いたしまして、私の質問を終りといたします。
#47
○大西委員長 加藤清二君。
#48
○加藤(清)委員 私も時間が短うございますから、簡単に御質問をしたいと存じます。
 まず参考人の方々が、きようは特に御熱心に御説明をしていただきまして、特に石炭業界には政府の失政のしわ寄せがいたいけな子供にまで悪影響を及ぼしている。その悲劇を子供が受けているという点を承りまして、ほんとうに胸の熱くなるのを覚えたわけでございます。広く考えてみまえと、私、わが田に水を引くという仕事は政党の専売特許かと思って聞いておりましたところ、あにはからんや、業界の方がその上手を行くということをきょうはっきり知ったわけでございます。しかもそれが非常に混乱をしている。もうこのままでほうっておけば、この法律は自然に実行に移される姿になっているにもかかわらず、業界、特に経済界がこれを中心に混乱をしている。これは政界の混乱もまたしかりでございますが、国民にとっては悲劇じゃないか。業界の皆さんにとっても悲劇だと思う。この悲劇が一体どこから来るかといえば、長期計画をすることは共産主義的であるという教育のもとに、行き当りばつたりの経済が最上である、至上であると心得ておった吉田さんのなせるわざであって、この国民の悲劇はかかって吉田さんに責任があるんだ、こういう首相をいただいている国民はまことに悲劇であると私はきょうつくづく感じた。ところがその方々が、それを承知の上か、委員長一人いらつしやるだけで、あと与党の方は一人もいらっしゃらない。業界の方よく見ておいてください。与党が一人もいらつしやらない。せっかくの涙ながらの陳情を、委員長が幸いいらっしやるからいいようなものの、これはとんでもないことなんだ。そこでどうしても私承らなければならぬことは、まず政府側に対して、そういう首相をいただいてはいるけれども、ほんとうはエネルギーに対して、長期計画があるかないか。陳情によりますと、もうしばらく待ってもらいたい。あるいは片方からとった税金でもって片方を救ってみたいという考え方がるる述べられているようでございますけれども、ほんとうにエネルギーに対する長期計画が立てば、さまつのことをやつてもプラスになりますけれども、結局かけたおかげでトラック協会が困った、ハイヤー協会が困った、家庭燃料が困ったということになりますと、電気の値上げと同じ結果になって来るわけなんです。それで過去のような朝令暮改的な、その都度主義の燃料対策を改めて、ほんとうに総合的な長期燃料計画というものがあるかないか。まずこれを大臣に聞きたいだけれども、大臣おりませんか。(「いない」と呼ぶ者あり)官房長はおりませんか。
#49
○大西委員長 今参議院の予算委員会に行っております。
#50
○加藤(清)委員 それじゃこれはあとに承ることにいたします。特に政府の燃料対策のおかげで国民の困っていることははなはだしい。終戦直後には電気がまをつくれ、電気がまをつくれということだった。しばらくたつと、石炭がまにかえろ、石炭がまにかえろということだった。石炭がまにかえろということでかえたころになったら、今度は重油がまにせい、重油がまにせいということだった。重油がまにせいということを言われたころには、燃料のない農村の平野地帯にまでガソリンこんろを使え、ガソリンこんろを使えということだった。しばらくたってこれが行き渡ったころになったら、もうかまができた、こんろができたころには、その材料であるところの燃料は使つちゃいけないということだ。もう一ペん石炭がまにひっくり返しなさいということなんだ。こういうことじゃ、国民が安心して政府の命令に従うことができるでございましょうか。朝令暮改、国民を苦しめるもはなはだしいといわざるを得ない。こういうことをやっておいて、これをやらした与党と責任者の大臣がおらぬということはたっておらぬ。ぜひ出て来て、これに対する答弁をしてもらいたい。
 次にもう一つ、私がわからぬことを今度は業界のお方にお尋ねしたいのでございますが、この関税をかけることに反対をしていらっしやる方々の御意見まことにごもっともでございまするが、それは国民に悪影響を及ぼすということもさることながら、わが業界が困るということが先のようでございました。ところがそれをまとめてみますると、その根本は関税をかけたら製品が高くなる、こういう前提条件に立ってのようでございましたが、私の受取り方が間違いであるかないかをまず承りたいのであります。これはどなたでもけっこうでございますが、関税はかけちや困るという方の方でお答え願えればけっこうでございます。
#51
○小野参考人 ただいまの加藤先生の御質問にお答え申し上げます。私たちは関税がかかった場合においては、コストは上ることは事実であります。しかし現在認可されている運賃をより以上上げるということは政府が認めません。従って業者がそれだけ大きな出血をするのです。先ほども申し上げましたように、バスでもはなやかなようには見えますが、これは一年半、二年の月賦で買っている車であって、しかもバス会社には電鉄というバックがあるからあの豪華な車も動いておりますが、経営は火の車であります。トラックについては問題なく赤字会社が続出してもう倒産寸前にあるのでありますから、この点はわれわれ政府の低物価政策というものを十分理解して、運賃の仕上げの要求はしておらないのでございます。従って今度の関税復活に対してはどうか御理解を願いたいと思います。
#52
○加藤(清)委員 関税が高くなった、従って油が高くなった、そのおかげで油の消費者がこれを自分のところへしわ寄せして困る、この問題については私よくわかります。心から御同情を申し上げる次第でございまするが、それではぜひ石油精製業者の方に承りたいことは、私が調べたところによりますると、石油精製業者あるいは金へん工業、石油工業、石炭鉱業等々同類の業界と比較いたしまして、その総資本の占めるところの収益率でございまするが、これが昭和二十六年を境にしてやや低下はしておりまするものの、この全般の業界と比較して非常によろしいようになっております。特に悪いのは石炭業界でございますけれども、総資本に対して収益率が少くとも一・五倍程度に今もあるように考えまするが、私のとりましたデータが間違いでございましょうか。
 次にどうしても承りたいことは、二十七年の上期から比べますると収益率が八年、九年とふえております。全産業はほとんど低下の一途をたどっておりまする折に、ふえているということは、原油の輸入原価が下っているのではないか、かように考えまするが、下っているかいないか。二十七年、八年、九年と比較してお答え願いたいのでございます。
 次に外国、特に先進国、もっと言えば経済状態、天然資源を外国に仰いで、これに加工をして売り出さなければならない、こういう状況を日本と同じようにしておりますイギリスは、関税をかけているかいないか。いるとすれば何ほどかけているか。次に石油精来者は大分数も多いようでございます。そこで実はその平均率が聞きたいのでございますが、平均がわからなければ何々会社でけっこうでございます。その会社の株価の上昇率及び配当率、これがどのようにかわっているか詳細について知りたいのでございますが、詳細は後ほど資料にしてでき得れば出していただきたい。それもできなければ思いっきでけつこうでございます。ここで答弁し得る限りでけつこうでございます。あと二、三点ありますが、まずその点を承りたいと思います。
#53
○佐々木参考人 どうもたくさんな御質問がありまして、私どれから申し上げていいか、ちよつとあれでございますが、今最後にお話のありました各社の業績でございますが、これは私今詳細に承知いたしておりません。ほかのデータでまたお知らせを申し上げたいと思います。
 それから会社がもうかっているのだから、今の税金はすぐ消費者に転嫁しなくてもいいのじゃないかという意味の御質問だというふうに考えますのがありましたが、一応そういうことも消費者の面からは考えられるかもしれません。しかしこのごろの石油事実というものは、戦前の石油事業の形態とは違っているということは、製品の品質が国際的な水準にまでだんだん上りつつあり、また現に上っておる。それだけにプラントの製造装置の問題が、資金的に従来とはかわって多くの資金を要する、そういうことが一つ。もう一つは今申し上げました品質が非常に向上しているということは、それだけ精密な装置を使っているということでありまして、これの主たる理由は高熱、高圧というようなものを利用することが、従来よりも非常に違った面で進歩して来ているわけです。それだけにこういうデリケートな、精密な装置に対しては非常に償却をすることが早くいるのだ。早くいりますと、従来十五年も使用されたプラントが、三年半か五年で直さなければならない。あるいはまたとりかえなければならぬというような状態になっているということでございます。そういったようなことから考えまして、幸いにさっきからお話がありましたように、石油事業はわりかた今のところでは、ほかの産業よりも業績はいいと思います。概括的にそうだと思います。しかし一面には、今申し上げますように、それだけの大きな税の負担と、それから社内の留保、また一面には今申し上げましたような莫大の資金を要するというようなことがあるのでありまして、現在の収益というようなものが不当なものでもありませんし、さほど大して大きなものでもないというふうに私どもは考えておるのであります。そのほかに……。
#54
○加藤(清)委員 原油の輸入コストが低下しているか、いないか。
#55
○佐々木参考人 原油のコストはF〇Bはほとんどかわっていないと申し上げてよいと思います。ただこれの船賃がかわっておるということでありますが、船賃はそのときどきの効き方でございまして、今は船賃を入れたCIFのコストというものは相当安くなっておるということは申し上げられると思います。
 それからイギリスは関税をかけていないと思います。
#56
○加藤(清)委員 あなたは懇話会の会長さんのはずですね。それで株価を御存じないというとこれはおかしな話です。私はこういうことに趣味を持っておるもの手から方々調べおるわけです必ずしも石油の株だけではございませんで、その他の株についても、それから上昇率についても調べております。私の調べたところによりますと、実は下ってはおりません。だからというてあなたのところが不当に利益を得ておるとか、不当にもうけておるというのではざいません。ただ他の業界と比較してもうけているではないか、私のデータから行くとこういうことが言えるわけなんです。そこで恐れ入りますが、私のデータに間違いがあってはいけませんので、正確なところをひとつ後日お示し願えればたいへん仕合せに存ずるわけでございます。
 次にもう一つ。装置の近代化のために利益がここで償却されて行くのだ、こういうことですね。減価償却がたくさんいるんだ、このことはよくわかりますが、われわれは会社の経営だけでなしに国家的に考えてみなければならないのです。先般ここヘアポロをやつてみえます出光さんが見えましてるる御陳述になりましたのですが、私どもだけでもって去年は七十億の余もうけさせていただいたのだというお話がございました。私は記憶の誤りがあれば別でございますけれども、あそこは製品輸入が多いようでございます。そうなりますと、これはまことにふしぎな問題が方々に存在していると推察しなければなりません。この問題については時間がかかりますのでいずれまた別な機会にお願いするわけでございますが、私の考え方を根本からかえるようなデータなり何なりを出していただかないと、この関税はかりに少々かけても何も消費者に犠牲を転稼しなくても、あなたの会社の企業努力によったけつこうまかない切れる、こういわざるを得ないのでございます。この点をそうでなければないというはっきりした数字的根拠をひとつお示しを願いたいのでございます。
 次に利用法についてお尋ねしたいのでございますが、石炭は火にたくものなりという考え方のもとから出発しておられますと、先ほど漁業の方がおつしゃいましたように、今日の漁業ができなくなってしまう。ところが石炭は必ずしも火にたくのみならず、今日このごろはこれを着物に着るという時代になって来ている。石炭を火にたくなどということは何というおろかしい原始人だろうということが、すでに識者ので言われておりますが、こういう言葉がやがて三年先、五年先には国民の声になって来るではないか、かように思われます。そこで政府側にお尋ねしたいことは、そのような石炭の利用法が考えられているのかいないのか、この点を伺いたい。
#57
○斎藤説明員 石炭は現在でも相当化学工業方面に使われております。さらにこの分野を将来拡大するということは、石炭産業の安定の上からいったも非常に必要なことだとわれわれも考えておるわけでございますが、まだ政策面で特別の補助金その他のものを出しておるようなことはございません。ただ、たとえば硫安工業の合理化という問題を取上げました場合にも、それが石炭の有効利用というような方面に、従来よりも歩進んだような計画に対しては十分な援助をする、それを優先的に見て行くという考え方は将来ともいたしておるわけでございます。
#58
○大西委員長 加藤君にちょっと申し上げますが、あと帆足さん、多賀谷さん、山崎さん、伊藤さん、永井さんとまだあるので……。みなおやりになるかどうかわかりませんがそのおつもりで……。
#59
○加藤(清)委員 私時計を見ながら与えられた時間内に終ろうと思つて努力しております。
 先ほど油に関税をかけて、これでもって日本の油の採掘だとか、石炭の採掘の方に費用をまわしたい、こういうお考えであったように承りますが、もしも油に関税をかけたおかげでほんとうに消費者が困る、今倒れて行こうとしておるトラックやハイヤーが困る、こういうことを知りつつも、なおそれを強行しようというほどあなたは残酷な人ではないと思いますが、まるで病人から血をしぼった、片方の病人に輸血するようなことをあえて強行なさるお方ではないと思いますが、あなたにどうしても承らなければならぬことは、今日石炭の代金が高い。そこでついでのことに相手方も高くしたら事が足りるのではないかというようだったらこれは困ったことだと思います。あなたの考え方では、消費者に悪影響を及ぼさないようにして、なお関税をかけるといういい方法が政府部内で考えられているかいないか。この点を石炭局長に、できなければ官房長にお願いします。
#60
○岩武政府委員 石油関税の問題はどういうふうに主管の局長から答弁したか存じませんが、通産省としましては最終的にこれを復活すべしという決定的な結論は出しておりません。ただ復活した場合には、具体的にどういう影響があるのか、そういう点は慎重に考えなければいけないと思います。
 先ほど来参考人のお話も聞いておりましたが、われわれとしましてももう少し具体的に、かつ詳細なデータで処理したいと思つております。ただ関税をかけることが、採算上政策上困るということでは、これは話が科学的に参りませんので、もう少し検討したいと思つたおります。今のお尋ねはどうも大分仮定的なお話のようでありますので、通産省としましても、そうほかの重要産業に致命的な打撃を与えることはしたくないと思います。思いますが、はたしてそういうような状況であるかどうかということは、もう少し検討しなければいけないだろうと思つております。
#61
○加藤(清)委員 私の言うておることは当てずつぽうじやないんですよ。私はデータをここに持った来てやつておるのですから。ただ私は政府側からデータが出ていないことと、それから今参考人のおっしゃったことを基本にして、私のデータに違いがあるかないかを問い尋ねているのであった決して私はいいかげんな材料でもったやつているのではございません。
 それからもう一つ、今度は石炭の価格が高いという理由の一つに、労賃が高いからいけないのだ、こういう声を間々耳にするのでございます。ところが私の調べたデータによりますと、さにあらずして、これは日本の石炭の層が外国と比較してあまりにも貧弱であるという点と、これを採掘する方法が近代化されていない、従って個人当りの出炭量が非常に少い、ここに原因がある。従った個人の賃金と出炭の量から来るところの労働賃金との比較において高い、こういう声が出て来るのであった、必ずしも労働者が不当に賃金をいただいているというふうには考えられないのでございますが、私の考え方、私のデータに商違いがあるかないか、石炭局長にお尋ねいたします。
#62
○斎藤説明員 お答えいたします。外国の石炭の状態との比較についての御質問でございますが、これは国によりまして非常に違います。例を西ドイツにとりますと、大体坑内夫一人当りの能率が一トン半ぐらいでございます。日本がちょうどそれの半分の〇・七トンぐらいと現在なつたおります。その理由は、今お話のように自然条件の問題と、あわせて特にわれわれが主張しております坑内設備の合理化が遅れたという点が非常に大きな原因だとわれわれ考えております。
#63
○加藤(清)委員 お尋ねしたい点がたくさんありますけれども、時間が来たようでありますので、最後に申しあげたいことは、この年の瀬が迫るに従って金が必要でございますが、現金収入の一番多いと思われているハイヤー会社でさえも不渡りがたくさん出ておる。まして現金収入の少いトラック会社においては、ぶつ倒れて行かなければならぬ会社が出て行く。学期末で学校へ行かなければならない生徒の弁当箱は、九州地方においてはからっぽであるという。こういう状態が一体どこから来るかといえば、最初に申し上げましたように、この件については政府に総合長期計画政策というものがなくて長期計画といえば、これは共産党だとかあるいはこれは社会党の専売特許の言葉だとか言って、本会議の答弁を逃げた吉田さんに最も大きな責任があると存じますけれども、吉田さんの命は命旦夕に迫ったかもしれないけれども、政府の命、官房長以下あなたたちの命はもっとずっと続くのですから、ゆっくり腰をおちつけて、ほんとうにロスの少い長期計画を立てることによって、日本経済の復興のために努力されんことを切望いたしまして私の質問を終ります。
#64
○大西委員長 帆足計君。
#65
○帆足委員 時間も大分移りましたので、ごく簡単に申し上げます。また参考人の皆様から実際に即したお話を伺いまして、非常に感謝いたしております。わが党は、勤労者の立場に立ちまして、科学技術、合理性を尊重いたしまして、産業の復興に邁進したいと考えております穏健中正な政府でございますから、各界各層の御意見を伺いまして、虚心坦懐に、私心なく、また現在考えておりますことの中でも、それが妥当でないと気がつきました点があれば逐次改めて、そして国民経済に寄与するようにして参りたいという心構えでございます。大体におきまして私どもは、日本の特殊な国情からいたしまして、多少の保護関税、収益課税は必要であるとも存じておりますけれども、ただいま漁業、運輸関係等から、この不景気に際して、痛切なるお話も伺いまして、いろいろ考えねばならぬ問題があることをよく承知いたしました。何分にもこの問題につきましては、もうたびたび同僚議員がご指摘になりましたように、日本経済に計画性、合理性が乏しかったということが、私は今日悔ゆとも及ばずでありますけれども、大きな原因であったと思うのです。雑品工業、町の小商人でしたら、もう離合集散もある程度まで自然にまかしておくこともやむを得ない事情もありましようけれども、国の基礎産業、しかも数千億円の資金、設備を擁するようなそういう基礎産業が、計剛性なく、相互の合理的連関性なく、重複投資等も放任されたままでありましたのでは、非常に国の損失でございまして、十八世紀的な自由経済を何らかの意味において合理的に修正せねばならぬことは、今日の常識でありますが、この常識をすら保守の名において否定するということは、私は時代錯誤もはなはだしいと思うものでございます。社会党の言いますことの中にも、勤労者の生活に即して主張しておるのでありますから、保守の各位並びに経営者各位にも大いに参考になることが私はあるはずであると思う。かくのごとき態度をとられましたならば、日本の平和と独立のために、労使、合理的に協調するということも――過去におけるような労使協調ではなくて、対等の人格における合理的精神における、筋の通った、明るい協調ということも私はある程度可能でないかとも思っておるのでございます。こういう見地から、今日、たとえばパチンコなどに二千百億も使われているというような、端的な例ですが、ヒロポンなどもほとんど放置されていた、こういうふうな社会の不合理が背景にありまして、どうして基礎産業の培養ができるでありましょう。私はこの際経団連その他においても、もう少し合理的精神を持ちまして、勤労大衆も納得するような方針でやってもらいたいと思います。石炭鉱業の最近の危機は、単に石油問題の端に連関して、多少有利な条件に置くというぐらいのことで解決する問題ではありません。もちろんこの問題も大事でありますけれども、私はきわめて憂慮すべき問題が石炭鉱業という、立地条件の悪い、そうして非常に困難なる産業、そうして敗戦のあとを受けて積弊山積している産業に集中的に現われていると思います。日本経済が瓦壊するとするならば、まさに国際収支と石炭鉱業と、二つの点に一番シリアスな問題が来ておるのでありまして、労使とも、御当局の御苦心のほどはわれわれ大いに了察いたしておりますが、もっと詳しく石炭鉱業について皆さんと語り合って、そうしてこの問題はある意味では超党派的に何とか御協力することはできないかと、大いに責任を痛感している次第でございまして、今後とも資料その他をいただきまして、大いに御指導願いたいと思うのでございますが、石炭鉱業の実情がまだ一般にも理解されておりませんし、私ども通産委員にもまだ十分には理解されていない点もありますので、石炭協会等におきましては、労働組合の代表、経営者あるいけ科学技術者、学者等を網羅いたしまして、ときには懇談会ぐらいを催されまして、超党派的にこの問題を懇談して意思が疎通するような機会でも持つようなお考えはないかどうか、新海さんにこのことを承っておきたいと思います。
 石油関税の問題は、1つには国内産業保護の問題とも連関いたしまするし、他方にはわが国にとって一番重要な国際収支の問題にも触れまするし、きわめて切実な問題でありまするが、要は今後関税引上げの率とその時期よろしきを得るかどうか、また消費産業に対する影響はどうであるかということ。もう一つは関税で得たところの収益の使途をどうするか。今日の税制のもとでは目的税というものはよほど困難な事情にもありまするし、これがずるずるべったりに放漫なる財政収益にただ使われてしまうとか、または時代錯誤のちよんまげ再軍備に張り切り過ぎて使われてしまうなどということであるならば、まことに私は遺憾なことである。先ほど政府当局において、もし多少の収益でも見込み得るならば、石油鉱業の開拓とか石炭の合理化というような面に使いたいというお話は、私はそれはそれとしてもっともなことと拝聴いたします。問題はこういう点にありまして、私ども今後虚心坦懐にこの問題を検討したいと存じております。本日出席いたしました議員はほとんど大部分野党の諸君、また多少の良心的な自由党の諸君でありましょうが、明日宿敵吉田内閣は倒れまして――おそらく抜き打ち解散になるでありましょうが、今日皆様のお話を伺った同僚議員諸公は、おそらく一月目に再びここに席を持ちまして、皆様から伺いましたことを無にしないことであろうことを私どもは確信いたすのでありますが、従いまして今後の研究資料といたしまして、ただいま、新海さんにお尋ねしたことのほかに、石油関税が今後の消費産業に及ぼす影響にっきまて、帝石並びに石油懇話会からもそれぞれお手元に資料がありますれば後刻いただきますし、なかんずく政府の公正妥当なる詳細な資料をいただきまて、大いに慎重に検討いたしたいと思います。
 第二にこの税収入の使途につきましても、新内閣の意見をよく聞いてから態度をきめたいと思います。
 第三に従来の無計画的な――計画性ということを何か悪いことでも言うように、ちょうど私どもが中国に旅行いたしますことをもって、岡崎さんなどは国賊であるというような態度で臨んでおるような――どちらが今国益を阻害しておるか、私はそれはもはや輿論の見るところであると思いますが、そういうかたくなな、時代錯誤な、独善的な態度で、われわれ誠実にして合理的な道を歩もうとする君たちを遇した。私はこういう感覚は今日の財界にも残っておると思うのです。それが労働組合の一部をして矯激ならしめておる原因の一つであることをも、ひとつお考え願いたい節もあるのでありまして、保守といい、革新といい、中庸なる、そうして合理的な態度をとりますならば、英国に見られますように、もう少しすべては円滑に冷静に参るのではないかと思われるのでございます。従いまして重要基礎産業に対しまして、合理性と計画性が足らなかったということについて、政府当局は今どういう反省を持っておられるか、この四つの問題につきまして、とりあえず要望いたし意見を伺いまして、そうしていずれ内閣がかわりましてこの審議を続けたいというのが私どもの気持でございます。従いまして石炭協会の会長さんと、帝石、石油懇談会の方から資料がいただけるかどうか、並びにただいまの目的税的な考え方、並びに今後はむだなことを省いて関連産業との均衡を考慮しつつ、また労使のよい関係を考慮しつつ、もう少し産業に国民納得ずくの計画性を持たしてもらいたいというわれわれの宿望が無理であるかどうかということを政府当局に伺いたいと思います。
#66
○新海参考人 ただいまお尋ねの石炭の対策につきまして、超党派的にまた労使で懇談をやったらどうかというお話につきましては、趣旨において異議ございません。ただこの実行方法についてどういうふうにやるか検討の要があると思いますが、趣旨においては異議はございません。
#67
○佐々木参考人 精製業の関係にお尋ねでありました。今度関税を上げるとそれが産業界にどういったような影響を及ぼすか、こういうことでございますが、先ほど応は御説明申し上げましたが、さらにそれを数字的にどういったような割合で、どういう影響が来るかということにつきまして、さらに詳細申し上げるためには、後日また他の資料をお目にかけることができれば、そういうふうにいたしたいと思います。今ここではこれ以上ちよつとはつきりしたことを申し上げかねます。
#68
○岩武政府委員 お尋ねのありました関税の復活が他の重要産業に及ぼす影響につきましては、次の国会におきまして関税復活の法案を出します際に詳細資料を提出したいと思っております。
 それからその税収をどういうふうな使途に充てるかという問題でございます。われわれといたしまして復活案を出します際は、この収入を炭鉱業の合理化並びに国産原油の増産に充てたいということは当然でございます。ただ御承知のように、現在の日本の税法では目的税というきまった制度がございません。これは結局まあわくの問題になるだろう思いますが、われわれの方としましては、その使途に充てることはこれは当然だと思っております。
 計画経済云々の問題でございますが、これは実は私も内閣の代表者ではございませんので、事務官僚から答弁するのはいかがかと思いまするが、ただ日本のようなこういうふうな国際貿易の比重の大きい国におきまして、計画経済をどういうふうにやって行くかということは、非常にむずかしい問題だと思っております。特定の石炭とか石油とかいうふうな二、三の基本産業だけで、長期にわたる計画ができるとは思っておりません。やはり総合的な計画が必要であろうと思いますが、その総合性を確保します上につきまして、日本で一番問題になりますことは、一つは国際的な需要の問題でございます。これは相手方があることでございますから、なかなか計画というふうなきちっとしたものにならないことは、これは当然だろうと思います。現に石炭の例が一番よい例でございます。われわれとしまして当初五千万トン近い生産目標でこれで需要もあるというふうに考えておりましたものが、ひとり石油だけではございませんで、国内の産業の需要も減ったことも当然ありまするが、この点はなかなか今後の問題としてむずかしいだろうと思っております。その次に問題になりまするのは、これは予測すべからざる生産の停滞の問題でございまして、いわばストライキでございます。この点はいかなる計画にもなかなか織込みにくいものでございます。石炭の需要が石油に向つたというその一つの中には、やはりこの問題が入っておると思います。この両三年来いろいろせっかくの重要期におきまして、そういうふうなことで需要者側に供給不安を与えたということは、これまた石油に走らした一つの原因だろうと思っております。計画経済の面におきましては、その点が計画すべからざる要因として入って参ります。最後の問題は、これは国際価格の問題でございます。価格体系を組み入れない計画経済というものは私はナンセンスだろうと思います。しかしながら国際的な価格の動きをどういう形でものの流通面の計画経済に組み入れるかということは、現在われわれがいろいろ検討しております経済学では、そういう方法は見つからないわけであります。経済の上昇期には価格体系の導入は比較的楽でありますからうまく行きますが、こういうふうな経済の停滞期には価格体系を組み入れる方法がうまく入りませんと、計画自身がくずれ出ることは当然でございます。この三点は私の個人的な私見ではございますが、計画経済をかりにやって行くといたしましても、非常に問題になって来ると思います。
#69
○帆足委員 ただいま官房長の計画経済論の一端を伺いましたが、私どもはそういう完全な計画経済が今の諸環境のもとでできるものと思っておりませんし、それから特に貿易に依存度の大きい国として一層そうだと思います。しかし私どもの今いっておるのは、常識で考えてもう少し合理的にやってもらえないか、もう少し総合的、長期の見通しを持ってやってもらいたい、こういう良識ある意味でございます。今社会主義か資本主義かということは、たとえば電力産業などにおいて多少は原則的に論議し得る段階になっておりますが、一般的な産業資本の、また日本の経済運営につきまして一挙に社会主義的に論議し得る段階になっておりますが、一般的な産業資本の、また日本の経済運営につきまして一挙に社会主義か資本主義かということは、政治的にもまた日本を取囲む諸環境からいつてもまだ問題点ではなかろうと私は思います。それよりも今日あまりにも放将な、常識はずれな、非合理的な経済攻策に、もう少し常識と合理性を与え、基礎産業をもう少し安定し、能率化して、国交を調整して大陸との貿易ももう少し大きくして、たとえば大陸貿易と申しても、おそらく経団連や日本商工会議所の首脳部の人は世界の情勢に暗いのではないかと思いますが、ヨーロッパ諸国は鉄のカーテンのかなたに輸出する金額が今年は十五億ドルを越え、十七億ドルになるのではない、か。昨年の日本の実績はわずか一千万ドルです。去年の実績が十四億ドルの国際貿易の中で日本の占める地位がわずか一千万ドル、こういうことで一体いいことでしょうか。こういう点についてもう少し目を開いて、計画性のある措置ができないものであろうかということの意味でございます。完全な計画経済などはできないというような簡単なことでなしに、もう少し合理的な措置、筋の整った経済政策をするように、今度内閣がかわりましたら鳩山さんも多少はそういう点は改めると言っておりますから、われわれもその点は期待しておる次第でございますから、今の官房長の言われた点は、そういう一面はありますけれども、しかし今日の貧乏人は麦飯を食え、一家心中の十人、二十人出てもしかたが無い、弱肉強食は世のならい、企業整理はやむを得ないというような、そして実際は悪いところに投資したりつまらぬところに金を使ったりしているというやり方は、少なくとも賢くない方法だ。私は弊があってばかげた政策をやめて賢い政策をしなさいという程度に表現を修正してもけっこうです。国民の九割が、そしてその良識が求めておるような政治をわれわれ社会党はやりたいというのが、今日のわれわれの謙虚なる要望でございます。一挙に全産業に社会主義断行などということは、十年前のソシリアストとはそういうことを言うたか知りませんけれども、今日私どもは言うておりません。しかしながらそう言いますと、帆足君は経団連にいたから西尾さんのようになったのか、平野力三さんのようになったのかと言われる人もありましょうが、しかし私はむしろそうではなくて、昔から社会科学の勉強を続けまして、ソ連も見、中国も見まして、また労使の関係を封建制などで律しようなどということでなしに、近代的な合理性をもって律しようと思って近代的精神のもとでなおかつそのように考えておるわけであります。基礎産業の今後の確立なくしては一つそのように考えておるわけであります。基礎産業の今後の確立なくしてはするから今後ともこうしてときどき皆さんの御意見を伺い、豊富な資料をいただきたいことを、念願いたしておる次第でございます。時間をたいへんとりましたが、あと同僚諸君の質問がまだ引続いてありますのでしばらくごしんぼうのほどを願います。
#70
○大西委員長 次に多賀谷真稔君。
#71
○多賀谷委員 今参考人からいろいろお話がありましたように、石炭鉱業は日本資本主義の発達の歴史にいまだかつて経験をしないような悲惨な状態に陥っておるようであります。今重油軽換が行われた理由に何か炭鉱ストライキが直接動機になったように話をされておりますけれども、これはやはりアメリカにおいても現在石炭危機がいわれておる。これはやはり安いところに需要がふえて行くという経済の必然性を物語るものでありまして、何か中小炭鉱が現在崩壊しつつあるのは炭労のストライキだ、こういうようですが、私は当時国会に来ておりました。そうしてその争議に労働関係から直接携わったものでありますが、むしろ当時は貯炭がふえる、工場貯炭を合せますと七百二十万トン。そこで業者の方では、このまま放置すれば炭価の維持ができないというので、むしろ一箇月以上も団体交渉を回避して中火労働委員会が出て来るのを押えた、こういうことを私は経験をもって言い得るわけであります。しかしその論議は別といたしまして、とにかく重油に石炭が食われて来たことは事実でございます。そこで新海さんにお尋ねいたしたいと思いますが、重油規正を叫び、石炭再転換を主張されるならば、やはり基礎産業その他の産業のコストにどの程度の影響があるか、こういう資料を石炭業界としてどういうように考えておるか。もう少し具体的に申し上げますと、たとえばコストの中で燃料費がネグレクトし得るような産業はどういう産業であり、またそれらの産業は重油から石炭に転換をしても輸出影響がないか、また輸出に影響のある産業はこの程度である、こういう資料がありましたらお示し願いたいと思います。
#72
○新海参考人 今お尋ねのような資料につきましては、石炭業界でも若干調べたものもありますけれども、本日持合せございませんので、後日提出することにいたします。
#73
○多賀谷委員 せっかくこういう席においでになりましたので、できれば合理的に国会ではいろいろな分野の立場を十分考慮して検討しなければなりませんので、ぜひそういう資料を後日でもよろしゆうございますから提出願いたいと思います。
 では石炭局長に、お尋ねいたしますが、この件については、石炭局長はすでに二箇月ほど前に研究中だということをこの委員会でありましたか、労働委員会でありましたかで言明されたが、その後どういうような調査をされたかお尋ねいたしたい。
#74
○斎藤説明員 御質問の趣旨は、重油と石炭との消費分野についてはっきりした線を出すということを申し上げましたが、それについてできたかという御質問だろうと思うのであります。これは官房長からお答えした方が適当じゃないかと思いますが、通産省部内で大分長い間かかつて、現在でも研究をいたしておりますが、まだ最終的にこまかいところまで、こういうふうにきめるというところまでは残念ながら至つておらない状態でございます。
#75
○多賀谷委員 これらの問題は、消費規正と相まってきわめて焦眉の念を告げる問題でありますので、すみやかに出していただきたい。そうしなければ、年末を控えて委員会としても検討のしようがない。きわめて切迫しておりますので、できるだけ早く出していただきたいと思います。
 続いて質問をいたしますが、日本の石炭鉱業は、比較的恵まれたと言っては語弊がございますけれども、需要の点については安易な考え方でおられた。需要の喚起ということを業界が叫ばなければならないほど窮迫した状態になかったと過去の歴史において考えるわけです。なるほど大正末期の第一次大戦後から昭和の初めにかけては非常な不況が続きまして、需要喚起も言われました。あるいは中国炭なんかが入って来ましたので、そういうことはありましたけれども、満洲事変以後からはそういう立場になくて、むしろ石炭が不足しておった。そしていわゆるコール・ケミカル、石炭化学が唱えられておりますときに、ちょうど日本では石炭が足らなくなった。こういうことから、需要喚起については業界もきわめて不無心であったと私は思う。そこで現在業界の方では、需要喚紀についてどういうようにお考えであるか、また政府に対しては具体的にどういうことを要望されておるか、お尋ねいたしたい。
#76
○新海参考人 今需要喚起につきまして私ども考えておりますことは、第一に火力発電の推進、今まで水主火従と言われておりましたが、石炭の値段も大分下って来ましたし、ことに日本の現状から申しまして、火力にもつと力を入れて行くべきじゃないかということで、第一に火力発電を取上げたい。それから森林資源保護という意味から、家庭燃料に木炭の代用として石炭を、あるいはそのままあるいはそれを加工して利用する方法、それから石炭の山元におけるガス化、こういうようなことを今研究しております。さらに化学方面に燃料としてでなしに原料として使うということで、その方も考えてはおりますが、まだ具体的に御報告する段階までに参っておりません。
#77
○多賀谷委員 官房長に需要喚起についてお尋ねいたしたいと思います。今参考人からもお話がありましたが、最も早くて効果のあるのは私はやはりガス化ではないかと考えます。それは、日本の森林資源がきわめて乏しく、用材とか薪炭林を合せまして年間二億一千万石と推定されておりますが、その五千万石が過伐になっておる、こういう状態です。しかも年々歳々御存じのような災害が起って、その原因が過伐である、こう言われている。経済審議庁で調査しまた計画をしておりますガス拡充五箇年計画というのを私は見せていただいたのですが、それによりますと、年間十億九千万立方メートルのガスを供給して、供給軒数八十七万、しかもそれに要する石灰の消費が二百二十三万トンという計画が出ている。そうしますと、これを行えばただちにというわけではございませんけれども、比較的簡単に、早く三百万トンくらいの石炭の消費が行われると私は考える。これについてどういうようにお考えであるかというのが第一点。
 第二点は電力の問題でありますが、今は水力電気もいろいろな関係で必ずしも安いというわけではないようであります。ところが最近火力発電の方は、二千カロリー以上あれば大体発電用に用いられるということがいわれ、さらに二、三の炭鉱並びに工場においては、実際坑内から上って来るボタをそのままひっくり返して発電用のかまに入れている。こういう状態になりますと、私は非常に安く電気も供給され、低品位炭が利用できるということになれば、これはきわめて効果のある状態であると私は考えるのですが、この点についてはどういうようにお考えであるか。
 さらにコール・ケミカルの問題でありますが、開くところによりますと、すでに大体石炭化学というのは、現在においてはペトロ・ケミカル・インダストリー、すなわち石油化学の方がどんどん進行して、どちらかといえば時代遅れの感もあるということも聞いている。しかし日本ではとにかく石油資源は少くて、むしろ石炭資源が豊富で困っているという状態ですから、これを早く推進しなければ、石油化学の方に追い越されてしまうし、非常に困つた状態になると思うのですが、これについてもどういうようにお考えであるか。以上三点についてお答え願いたい。
#78
○岩武政府委員 初めの森林資源の節約の方策としてこの炭ガスの拡充の問題でありますが、これはことに地方の中都市あたりで相当の人口を持ち、かつ薪炭等を使うに適しないところでは、これはぜひガスの方がいいと思っております。ただガス用炭は御承知のように特殊炭でありますから、今の一番問題になっております一般用炭の需要喚起にはならぬのじゃないかと思つておりますが、われわれとしましてはむしろ石炭の問題もさることながら、森林資源の節約という見地から、ガス事業の拡充、普及には相当の援助をしたいと思つおります。現にわれわれの方でも、この年来相当地方の炭ガスを認可しております。ただ欠点は相当高くなるので、おそらく立方メータ当り二十四、五円くらいになるだろうと思っております。これはある程度の需要の大きさを持ちますれば、しかもその都市の利用家が、その程度の高いガスでも忍んでいただければ、これは行けることでありますから、われわれとしましては、そのガスの拡充計画の方はその線で進めているわけでございます。
 それから火力発電の問題でありますが、これお話のように低品位炭の活用という問題もございますし、また水力発電が、地点によりましては必ずしもコストが安くならないということもございますので、これはむしろ実情に即して進めて参りたいと思っております。ただ相当イニシアル・コストを要しますので、その手当の問題もございますのと、それから単に火力発電だからいいというわけには参りませんで、やはりそういうふうな低品位炭にしろあるいは普通のカロリーのものにしろ、温度を上げあるいは圧力を上げまして、相当消費率をよくしませんと、これは水力発電の方と太刀打ちできませんので、そういうふうないい性能のものを進めたいと思っております。現に常磐地方では具体的にその話も進んでいるように開いておりますが、われわれの方としても相応のお手伝いをしたいと思っております。
 それから石炭化学の問題でございますが、これは私あまりよく存じませんが、ペトロ・ケミカルと対抗する意味で云々というお話もございましたけれども、これはちょっと性質が違うのではないだろうかと思っております。ペトロ・ケミカルはああいうふうな方向で、一種の系統を持っているわけでございますが、石炭系統の化学と申しますと、一番大きいのは乾溜でありますが、日本では乾溜系統の製品はむしろ現有でもやや余りぎみのものも相当あるようでございます。マーケットの開拓という問題ともつながって参りますし、使います石炭の品種もやはり特別炭が中心であろうと思います。当面の大きな需要の開拓にはあるいは役に立たないのではないかと思っております。これはまだ私不勉強でございますので、違っておりますれば訂正いたします。しかし石炭をただ火にたくということはあまりほめた話でもございませんので、ああいうような複雑な化学成分を持っているものでございますから、その中にありますいろいろの成分を有効に利用することが技術的並びに採卵的に成り立ちますれば、これは大いに奨励すべきことだと考えております。
#79
○多賀谷委員 石炭のガス化、ことにガス川炭というのは強粘結炭であるというお話です。ところが日本の唯一の資源である強粘結炭を掘り出します北松炭鉱は、御存じのようにまったくほとんどが休廃しているという状態で、もちろん配分の問題もありましようけれども、これはぜひ救っていただきたい。そういう面だけからいっても早くガス化の方向に進んでいただきたい。何も中都市へあらためて工場をつくるということだけではなくて、大都市でもパイプさえあれば当然引かれる。それが実際はほとんど都心部だけしか引かれてないという状態ですから、これはひとつすみやに強力に実施していただきたい、かように考える次第でございます。次には重油規制についていろいろ問題が出ておりますけれども、例の出光興産にどんどん輸入さしてストックさせて、出荷をとめているという問題でありますが、出荷をとめておるうちはいいのですが、一会社でタンクにも限度がございましょうし、金融その他の問題もありましょうが、それが市場に放出されて混乱を起す、また重油規制が十分にできないというような状態になりはしないかと思うのですが、その点について鉱山局長の答弁をお願いします。
#80
○川上説明員 出光興産のはおそらくイランの石油じゃないかと思うのですが、その油を輸入したものを配給をストップしておるというお話ですが、私の方としましては大体十二月の末までにイランの油については輸入しなければならぬ。これは比較的時期を繰上げて引いたというような関係もありますので、その販売につきましては市場をあまり撹乱せぬように配給してもらいたいということを言ってありますし、また同時にガソリンの輸入を認めたのですが、ガソリンにつきましては、現在市場が軟弱でありますし、ある程度だぶついておるというような関係もありますので、特にガソリンのみにつきましては、私の方の指示を受けて販売してくれということでやっておりますので、今お話がありました出光興産の油について全面的に販売をストップさしておるということは全然ございません。現在販売についてある程度規制をしておるというのは、ガソリンの市場が軟弱てあるという関係から、販売については十分こちらの方の指示を受けてやれということを言っておるわけでございます。
#81
○多賀谷委員 今の点について佐々木参考人からちょっと御意見を承りたいと思います。
#82
○佐々木参考人 ただいまのことは鉱山局長から今お答えがありましたのと同様に私どもも信じております。市場を混乱することがないように、政府当局でもこれを十分コントロールしていただきたいと考えております。
#83
○多賀谷委員 次に私は高炭価の問題について石炭局長にお尋ねいたしたいと思います。現在御存じのような四百万トンを越える程度の貯炭を持って、トン三十銭を割っておるというような状態が現われておる。また最近では、旧財閥会社の炭鉱ですらダンピングをやっておるということを聞いておるわけです。なるほど炭価は安くなっておりますけれども、これは変われわれやあるいは政府において主張いたしました高炭価問題の解決という方向には行っていなくて、むしろ逆の方向に行っているのではないかと考えるのです。それは現在安くなっておるというのは、過去の利潤を全部吐き出し赤字になっておる。労賃は下げて、時間延長をやっておる、こういうぐあいで炭価は下っておる。炭価というよりも販売価格が下げられておる。ですから少し状態が緩和しますと、炭価はさらに、――需要との関係はございますが上って来る可能性すらあると思うのです。そこで昭和九年と昭和二十五年との稼行状態をわれわれが調べてみますと、炭だけにおいて一〇%低くなっておる。さらにトン当りの坑道は八九%も伸びておる、あるいは排水量はトン当り四〇%もふえておる。こういうように自然条件はきわめて悪化の一路をたどっております。そういたしますと、ここに巨大な投資をしなければ開発はできないと考えるわけであります。もっとも炭鉱の機械化というのは、必ずしも採炭の方が機械化されて、労働者が楽になるというのでなくて、むしろ縦坑の開発にしましても、あるいはポケットをつくることにしましても、単位時間の中で労働者をさらにてんてこ舞いさせて働かそう、こういうようなのが炭鉱の機械化である。しかし私はこれについて何も異議を申し上げるものではありませんが、事実は採炭の機械化でなくて、そういうように箱まわりをよくするための機械化が行われておる、これは事実です。しかし私はとやかく申しませんけれども、そういう状態の機械化である。しかしそれはともかくといたしまして、財政投資が相当いるが、政府は一体どういうように考えておるか、現在の状態が高炭価問題の解決になりつつあると考えておるか、この点についてお尋ねいたしたい。
 さらに日本の炭鉱は財政投資を非常に要する、そうしなければ安く供給できない。こういう状態になれば、当然これは私企業では無理ではないか。私企業の範囲を逸脱した企業ではないかと考えるのですが、その点についてどういうようにお考えであるか、これは官房長にお尋ねいたしたい。
#84
○大西委員長 多賀谷さんに申し上げますが、昼からやっておりましてたいへん時間が長うございますので、できるだけ参考人の方に御質疑を願いたいと思います。
#85
○多賀谷委員 承知しました。
#86
○斎藤説明員 現在の価格、特に市中の販売価格が非常に下っておるが、それで高炭価問題の解決になったと考えるかということでございますが、これは私もこれが高炭価の解決になっているとは考えません。現在の炭価は今お話のようにカロリー三十銭というようなものもございます。あるいはもっと安いものもございます。しかし大口需要に売れておりますのは、やはりカロリー六十銭ないし七十銭程度のものが売れておりまして、しかもこの大口需要が日本の産業にとっては非常に重要な需要でございます。そういう需要の事情について、価格が下らない限り高炭価問題が解決されたとは言えないと思います。なおお話のように、カロリー三千はもちろんのこと、現在大口需要に売れております価格でも、なかなか将来の炭価の引下げのための合理化ができないというような状態でもございますし、そういう意味から申しましても、現在の価格はまったくダンピングによる一瞬的な価格、しかもごく一部に行われておる一時的な価格であると考えております。この状態を是正することが、むしろ将来の価格引下げのために必要であるというふうにわれわれは考えて、金融対策その他をやっておるわけでございます。
#87
○岩武政府委員 今のお尋ねに、通産省の見解というふうにお答えするのはどうかと思いますので、私個人の意見ということで申し上げたいと思いますが、私は国営であろうが私営であろうが、価格の原理はかわらないと思います。ただ国営国有の場合に違いますのは、おそらく利潤部分だけを圧縮できることじやないかと思います。償却と金利の部分は、私営でありましようが国営でありましようが、やり方によつて同じだと思います。どうもその点いろいろ誤解もあるようでありますが、経済学の問題としましては、国有であろうが秋有であろうが、価格が安くなる、高くなるということは違わないと思います。あとは、秋有によりましても、価格政策のいかんで安く持って行くことはできますし、国有でありましても、やり方によっては高くなることもございます。りくつから言いますれば、利潤部分の圧縮だけが国有の場合には可能である、その他は私有とかわらない、こういうふうに考えます。
#88
○多賀谷委員 今の点は、私は価格が安くなるということを聞いたのではなくて、相当の財政投資をしなければなくない、そうしなければ安く供給できないというような企業は、私企業としては範囲を逸脱しているではないか――企業形態の問題を聞いたわけですが、時間がありませんから、それは後日に譲ることにいたします。
 最後に一言だけ、いよいよ年の瀬も迫って参りました。政府は崩壊するというけれども、炭鉱はこれだけの労働者をかかえて、逃げて行くわけには行かないのであります。年末の融資をどういうようにお考えであるか。聞くところによりますと、貯炭融資――純然たる貯炭融資ではないのですけれども、そういう声を聞いております。一体局としては、あるいは通産省としては、どういうように考えられておるか。これは官房長にお尋ねいたしたい。当面どういうようにこの年を越さすつもりであるか。これをお尋ねいたします。
#89
○岩武政府委員 当面の問題でございますので、問題を二つにわけまして、一つは炭鉱企業の問題になります。この方につきましては、すでに石炭局長から御答弁したと思いますが、ある程度石炭の引取りを促進しまして、何がしかの石炭代金が企業の方に入るようにしたいというので、手取り早いところ電力会社は相当貯炭を持っておりますが、この冬場の渇水もございまするので、約三十数万トンばかり緊急に買いつけたらどうか、金額にしまして十三億くらいになると思いますが、そういうことが目下金融の話を進めております。
 それから石炭企業に働いておつた労働者の方に対する問題でございます。これは御案内のようにああいういうふうな状況でございまするので、とりあえず失業対策事業を炭鉱地方に特に拡充して行いたいということで、今度の補正予算に約三億円程度のものを見ております。これは炭鉱地帯だけではありませんが、炭鉱地帯が重点になると考えております。約一万人近い就労増加を見られると思っております。それから炭鉱地帯に近いところの河川改修を促進したらどうかということで、これも懸案の遠賀川の改修、それから常磐地方の二、三の――あれは直轄河川ではなくて県河川でありますが、改修を促進したいと思って、これも約二億円程度の事業費を補正予算に組んでおります。その他つまびらかにいたしませんが、炭鉱地方の困窮者に対する何がしかの措置も厚生省の方で講じておるように聞いております。とりあえずはそういうことでこの冬場の措置を立てたいと考えております。
#90
○多賀谷委員 今の融資の問題は電力だけのお話でしたけれども、電力に三十万トン買っていただきましても相当の貯炭はあるし、今のような状態では私は年末の融資きわめてむずかしいであろう、かように考えるわけです。今のどろ沼のような炭鉱の中で――銀行だって今のような状態なかなか貸し出そうとしないのですが、政府は一体どうしてこの年を過さすのか。電気会社のたつた三十万トン程度ではどうにもならないのです。この点について協会としては政府にどういうように要請されておるか。年末融資だけでけつこうですが、貯炭融資といいますか、そういう問題についてお答えを願いたい。またもう一応官房長からもお答えを願いたいと思います。
#91
○新海参考人 協会といたしましては、当初少くとも百万トンぐらいは特別に買い上げてもらいたいという要望をしたのですが、政府が買い上げるわけにはいかないということから、今局長からお話になったように、とりあえず電力会社の約三十万トンの繰上げ買上げという話があるわけですが、さらにそれ以上の分までも引続いて考慮するというお話でございます。
#92
○岩武政府委員 まだ十三億程度で全部が救えると思いません。ちよつと落しましたが、その前に国鉄の方に約十万トン見当、防衛庁の方に二万七千トン見当とりあえず買ってもらう話も進めたわけでございます。ただお断りしておきますことは、全部の炭鉱が全部うまく行くということは、現在の状況ではなかなかむずかしいのでございますが、そういうふうな金融ベースに乗りますように、一つの問題としましては、一体将来の石炭の先行きはどうなるのか、需給関係がどうなるかという問題があります。この問題をある程度見通しをつけますれば、特別に政府の方で配慮いたしましたもの以外にも、今後の企業の事情によりましてはある程度金融ベースに乗るかとも存じます。かたがた石炭の出炭状況が現在のようなままでもなかなか金融情勢のむずかしい問題もございまするから、少し出炭を押えたらどうかということを勧告したわけでございます。勧告といいますよりも要請したわけでございます。その結果ある程度の出炭調整の話がついておるのでございます。そういたしますと、これはケース・バイ・ケースの問題になりますが、取引銀行等におきましても、取引先の企業の製品の先行き等につきましてある程度の目安もできまして、金融のベースに乗りやすいことだろうかと思っております。そのベースの上に立ちまして、政府は特に力を入れましたのは電力関係の問題でございますが、ある程度銀行対企業の問題で話の進む問題もあるかと存じております。
#93
○多賀谷委員 将来の計画をはっきりお示しにならぬとなかなか金融がつかない。中小炭鉱あるいはその他に多くの金融をしております福岡銀行あたりは、炭鉱がうまく行かなければ銀行自体が倒れるというような状態だ。だから石炭政策をはっきり樹立しなければ金融に乗って来ないわけです。業者の出炭抑制の話をされましたが、消極的な面だけでなく、たとえば火力電気についても、あるいはガス化についてもこういう政策を立て、国家の財政投資は幾らだ、こういうようなことを発表され、そして実施に移されると、軌道に乗ると思う。ただわずかの会社に頼んで今の貯炭を何とかしてくれくらいではどうにもならないし、また現在困っておる中小炭鉱がはたして電力会社にどの程度の売込みを今までしておったか、あるいはせつかく電力会社からわくをもらつて買い上げてもらっても、ほとんどの中小炭鉱には影響なかった、こういうようなことにもならないとも限らない。ですからぜひ強力に進めていただきたいと思います。内閣が倒れるかもしれませんけれども、あなた方は行政処置でできる問題ですから、ぜひ強力に進められんことをお願いいたしまして時間を終ります。
#94
○大西委員長 最後に伊藤卯四郎君。
#95
○伊藤(卯)委員 たいへん時間がおそくなりまして、参考人としてわざわざおいでをいただいた方々、非常に御迷惑であると存じております。それから私参議院の方に呼ばれておりましてしばらく留守にしておりましたから、他の同僚委員からそれぞれ相当質問もしてくれたと思っておりますので、私はきわめて大事な何点かだけを簡単にお伺いしようと思うのであります。参考人の方々には長くいていただいておるので、あるいはいていただかぬでもいいかとも思うのでありますけれども、私が政府側の方にお尋ねすることに関連してまた御意見があるかもしれませんから、その辺もお含みいただきたいと思います。大体この内閣の言ったことをここでたてにとって言ってみたところで、実は死人を相手にしてものを言うようなことではなはだたよりないことでありますけれども、重油についても昭和二十六年に二割の関税をとるということがきめられて三年間延長し、さらに本年また一年延長して、来年の四月一日からこのままにしておけば自動的に一割関税がとられることになる。これについて愛知通産大臣も政府の方でも明年度は一割の関税をとるという方針をきめたようでありましたが、一割の関税をとった場合にそれが酒興者側にどういうような影響を与えるかということについて、たとえば製油業者あるいは油を売る方の人々からは先ほどそれが消費者に非常に影響するのだという具体的な数字の資料をもらいました。ところが一割関税をとつてもさのみ影響はないという莫大な数字も実は持っておるのであります。そこで一体どっちがほんとうかということについてわれわれも迷わざるを得ないものがある。そこで一応われわれとしてもわれわれの勉強による計算も大体立つのですが、政府はこの一割関税をとることによって、国家収入の上には先ほどから御意見が出ておったように、昨年度の輸入率から見て五十七億もしくは七十億という関税収入になることになるのですが、その結果が消費者にどのような影響を与えるのか。たとえば鉄にしてもセメントにしても、そういう基幹産業関係あるいはまたその他輸送関係、そういうものに対しての業者から出しておる数字に非常な開きがあります。これはもう時間がありませんから私ここで申しませんが、非常に開きがある。そこで川上局長のところで、この一割関税をとってそれぞれの消費者にどのくらいの率になるのだという数字が多分つくられるだろうと思いますから、この数字ができておればここで説明を伺ってよし、もしその数字の説明をここで伺うことができなければ、後日でよろしゆうございます。その政府の数字をわれわれは一応信用しなければなりませんから、その数字をお示し願いたいと思います。
 それから製油したものを輸入しておる会社、それから原油を輸入して精製業をやっておる会社、たとえば出光というか、これは一例を言うのですが、それぞれの会社は相当膨大な利益を上げておるということが明らかになっております。この製油及び原油等の輸入をしておる会社の利益率、特に製油関係の会社はアメリカ資本が四つにイギリス資本が一つのように思いますが、一体これらの上げておる利益率はどのくらいか、それから本国にどのくらいの利益率を持って行きつつあるか、これはなかなか困難な問題であるかしらないけれども、その関係においての利益率をお知らせ願いたい。これもここで大体お聞かせ願えれば伺いたいが、そういう立ち入っての話はここでまだなかなか困難だということであれば、これは後日また数字ででもお示し願いたい。あるいは私企業の会社に立ち入ってそんなことはなかなか調べることが困難だと逃げられるかもしれませんけれども、大体わかっているのだから、ひとつ気がねなしにお示し願いたい。もし気がねをされたら私の方から申してもいいのですから、ひとつその辺を御遠慮なしにやっていただきたい。
 それから外国の関係になりますが、これはいろいろ申さなければならぬ点もありますけれども、時間の関係で省きますが、特に欧州各国では輸入しておる油については相当関税をとっておる。それは川上局長の方で多分お調べになっておると思うが、欧州各国は厖大な輸入関税をとって、それで国内石油の開発とか、あるいは国内総合燃料対策を解決して、今日世界各国と闘い得る態勢をつくっておる。なおかつ相当関税をとっておる。そして日本は無税であるが、日本の無税で入れておる油より、厖大な関税をとっておる欧州の方が、私の数字によると一キロリツター千五百円から四千円くらい安いようになっている。私はここにそういう数字を持っておりますが、この辺の日本との比率についてひとつお知らせを願いたい。これも今ここで伺えれば伺いたいが、その比率の関係を伺えないなら、これもひとつできるだけ早い機会にその比較数字をお示しを願いたい。まだいろいろありますけれども、以上の点で一応先に御説明ができる程度をここで伺い、できない部分は資料で出していただきたい。
#96
○川上説明員 関税を一側とった場合に、各産業に対しましてどういう影響があるかという問題なんですが、実は私の方でもいろいろこの問題については調査をいたしております。実際こういうふうになるというはっきりした資料は、実はまだでき上っておりませんので、これは将来そういう資料ができましたらお届けすることにいたしたいと思います。というのは、これはいろいろあると思うのですが、比較的非常に大幅に影響するのは、おそらく機帆船とかそういうものが相当影響するのじゃないかというふうに考えております。それから鉄とかあるいはその他の基幹産業等に対しましては、はたしてどの程度影響するかという問題については、これはそれほど影響しないというような見方もあります。実は私かつて物価庁におりましたが、その時分はある程度権限を持ちまして、法律によりましてそういう調査が十分できましたので、しっかりした調査ができたのですが、御承知の通り最近におきましては、鉱山局に必ずしもそういう権限を持っておりませんので、今申し上げましたように、はたして的確な数字が出るかどうか疑問だと思うのですが、後日これはいろいろ検討いたしまして、もしある程度まで――まあ大体この程度良心的に考えて影響するのじゃないかという数字が出ましたら、お知らせしたいと考えます。
 それから現在石油業者がどれくらいもうかっておるかというお話なんですが、これは先ほどもいろいろお話があったのですけれども、実際問題としまして、石炭はこれは問題になりませんが、ほかの産業と比べまして比較的私はいい産業ではないかというふうには考えておりますが、これも先ほどお話があったのですが日本の石油精製業というのは、私は必ずしも世界のレベルに達しておるとは考えておりません。これはどうしても一日も早く合理化しなければならぬという問題が大きく横たわっておるわけでありまして、私どもも今日までこの石油精製業の合理化に対しましていろいろな努力、あるいは援助をいたして参っておるのであります。従いまして相当その収益率がありましても、そうした方面に対しまして私はまだまだ相当金をかけなくてはいかぬのではないか。あるいはまたある程度の配当をいたしまして、それによりまして社債なりあるいは借入金が十分にできるようにしなければならぬのじゃなかろうかというふうに考えますので、その点も私は十分考えてみなくてはならぬと思っております。なお、ではどの程度に収益率があるかという問題につきましても、これは今伊藤先生から話がありましたように調査にはなかなかむずかしい豪あります。通産省としましても法律によりましてのはつきりした権限もありませんので、これも私いろいろ調査いたしまして、もしほんとうに確信のある数字がつかめたら私の方からお知らせしてもいいと思うのですが、これは先ほどの各産業に及ぼす関税の影響ということよりもむずかしい調査ではないかというふうに考えております。
 それから外国の関税の例につきましては、これはいろいろあるわけでありまして、西ドイツあるいはフランスあるいはその他の国、みなそれぞれ違っておりますが、西ドイツにおきましては相当の関税をかけておるように聞いておりますし、また先ほども業界の方からこの程度かけておるというような話もあったのですけれども、これは私の方も正確な資料がそのうちできると考えますので、調べた上で御報告したいと存じます。
#97
○伊藤(卯)委員 局長にちょっと御注意をしておきたいのですが、石油精製業の拡充というか、合理化、または配当云々というようなことを言われておりましたが、御存じのように、これは外国資本が入って来ておる。外国資本は外国でカルテル的なものをつくって、日本の高物価に便乗して油を高く売っておる。もし日本の物価が安かつたならばもつとぐつと下る。トン当り三ドルも四ドルも下げます。その外国資本が五〇%以上の利益を持って行くのですから、この点をひとつお忘れのないように、配当しても外国に持って行くということを念頭から忘れないようにしてやっていただきたい。
  それからこの関税をかけても大体原価値上げをしなくてもいいということは、おそらく川上局長もそう考えておるだろうと思うのですが、今の利益率の関係、日本の高物価に便乗して高く売っておる関係、いろいろそういう点から総合して見て、関税の一側ぐらいはかけても消費者負担にしなくてもいいのだという数字が出る。何なら私の方から出してもいいですよ。おそらく川上川長もそう思っておられるだろうと思うが、関税一割かけても決して消費者負担にはならないのだということを御確認する意味でちょっと伺いたい。
 それからさつきから目的税云々のことを言われていましたが。敗戦日本を再延する意味において、目的税かどうかというそんな外交辞令的なことを言っておる場合ではありません。どこの国だってこれをやっておるのだから、何もそんなきれいな言葉を使う必要はないのです。こういう目的税にこだわっておられるのかどうか。もしそういう点があったらひとつ御意見を伺いたいが、私の意見に賛成ならお伺いせぬでもけっこうです。
 それから、これは新海さんにお伺いすることになりますが、私さっきちょうど急いでおったからあるいは私の聞き誤りであったかもしれませんが、吉田さんから油を入れることをみなやめてしまえという意見が出ておるけれども、油を入れるのをみんなやめてしまったらとんでもないことになる、ディーゼルエンジンやら機帆船やそんなものは油でなければ動かない、これはその通りです。機帆船やらディーゼルエンジンその他のものを今石炭でやれと言ったってできない。またそんな不経済なことはできない話ですから、石炭商の人でも炭鉱屋の人たちでも、そんな非常識なことは育っておられぬと思う。ただ石炭からどんどん重油に切りかえた。石炭で間に合うものは石炭を使ってくれ。その分に関する制限をして、国内石炭を使って、コストの切下げに役立たせてくれということを多分育っておられるのだろう、私はそういうように思っていたんです。これはおそらく私の聞き間違いか、または古田さんの聞き間違いか、あるいは新海さんの言い間違いか、よくわかりませんが、今私が申し上げたような程度のことと想像するのです。その辺をひとつ誤解のないようにするために、新海さんからはっきりした御意見を承っておきたいと思います。
#98
○新海参考人 ただいま伊藤委員から御質問の点は、伊藤さんのおっしゃる通り、私、石炭にかえ得られないものまでも禁止してということは一言も申しておりません。石炭から重油にかわった分で、石炭にかわり得るものは石炭を使うようにして、そうして適正出炭ができるようにしてコストを切下げ、ひいては炭価を下げるというふうに申し上げております。
#99
○川上説明員 黙っておりますと、伊藤先生と同じ意見だというようにとられますので、一言申し上げておきますが、私の方としましては、まだこれらの問題につきましては、いろいろ検討いたしておりまして、正確なデータをつかんでいない。もし関税をかけるかかけぬかという問題を本格的にこの次の国会でやりますときには、私の方では非常に困難がありますが、できる限り正確な資料を整えて御説明申し上げたいと思います。その程度で御了承を願います。
#100
○大西委員長 この際参考人各位に一言お礼を申し上げます。各位には御多用中にもかかわりませず、長時間にわたり御出席くだされ、種々貴重なる御意見と現地の状況を御発表くださいまして、まことにありがとうございました。当委員会といたしましては、これらを十分参考といたしまして、調査を行って参りたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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