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1954/12/03 第20回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第020回国会 経済安定委員会 第2号
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1954/12/03 第20回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第020回国会 経済安定委員会 第2号

#1
第020回国会 経済安定委員会 第2号
昭和二十九年十二月三日(金曜日)
   午後一時五十二分開議
 出席委員
   委員長代理理事 武田信之助君
   理事 小笠 公韶君
      小川 平二君    小金 義照君
      迫水 久常君    西村 久之君
      平野 三郎君    神戸  眞君
      楠美 省吾君    伊藤 好道君
      杉村沖治郎君    三宅 正一君
      水谷長三郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済審議庁次
        長)      石原 武夫君
        総理府事務官
        (経済審議庁調
        整部長)    松尾 金藏君
        総理府事務官
        (経済審議庁調
        査部長)    須賀 賢二君
        通商産業事務官
        (通商局長)  板垣  修君
        専  門  員 圓地與四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
十二月一日
 委員南好雄君、岸信介君、根本龍太郎君及び小
 平忠君辞任につき、その補欠として小川平二君、
 小金義照君、岡部得三君及び伊瀬幸太郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 堤康次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
 委員伊瀬幸太郎君辞任につき、その補欠として
 三宅正一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 デブレの現況とその対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○武田委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、デフレの現況とその対策に関する件につきまして政府当局より説明を聴取することにいたします。須賀調査部長。
#3
○須賀説明員 それではお手元に差上げてあります「最近における経済動向」によりまして、ごく簡単に最近の模様を御説明申し上げたいと思います。
 この資料は、大体十月を中心にいたしましておもな経済の動きをとりまとめたものでございますが、大体の基調といたしましては、この刷り物の最後のところ、パラグラフの八でございますが、ここに簡単に要約いたしてございますように、デフレの進行は御承知のように今年の三月ごろからいずれの経済事象を見ましても大体順調に進行して参つたのでございますが、ここ数箇月、大体九月、十月ごろからやや一服と申しますか、若干その進行の度合いが緩和したというような傾向も見られるわけでございます。これは私どもの見ておりますところでは、主として財政関係の散超が一つ大きく作用しておる。それからもう一つ大きな要因といたしまして、あとでも簡単に御説明申し上げたいと思うのでございますが、輸出が意外に順調に伸びまして、この輸出が好調に進んでおりますことが、経済全体に相当の影響を及ぼしているように考えるわけであります。
 個々の項目について簡単に御説明申し上げますと、最近の財政資金の動きでございますが、これは十月につきましても六百八十四億円の散超になつておるわけでございます。前年同期に比較いたしましても相当大幅の散超になつておるわけであります。特に今年は供米の金などが昨年に比較いたしましてかなり大きく支払われておりますのと、旧軍人恩給、遺族国債の元利払いというような消費的な支出が目立つておるわけであります。これらの金がかなり大幅に流れまして散超になつておりますことが、あとでも申し上げますように銀行の手元をかなり潤おしておるわけでございまして、市中の金融状況等も比較的楽になつておるように見られるわけでございます。なお貸出しの面から見ましても、最近は資金需要が、これは若干季節的な関係もあると思うのでございますが、若干減退をいたしております。また一面銀行の側といたしましても、融資厳選の態度をかなり強く出しておるわけでございます。それから在庫の調整が一巡をしたというような面がございまして、若干資金需要がゆるんだというような関係もございまして、最近貸出しの増勢を若干ゆるめまして、十月につきましては預金の増加は下まわりまして、二百二十二億円ぐらいにとどまるわけでございます。そういうような経済全体の不調を反映いたしまして、日銀信用の方も相当収縮をいたしております。十月では四百四十九億円の収縮となつております。先ほど申し上げましたように、供米代金の支払い等を中心といたしまして財政がかなり散超になり、そういう形において金が流れておりますにかかわらず、日銀券も収縮をいたしておるわけでございまして、十月における増発もわずか百四十五億円程度にとどまつておるわけでございます。こういう傾向は消費者の買控えあるいは末端市場の不さえというようなことを反映したいわゆる現金需要が低調であるということを反映しておるものと見られるわけでございまして、月末発行残高また月中平均の発行高等も、ともに前年同期の水準を下まわつておるというような傾向になつておるわけであります。
 次に物価の動きでございまするが、これはことしの九月ごろまでは、特に卸売物価につきましては、きわめて順調に低落をして参りました。ことしの三月上旬の一番高かつた時期に比較いたしますると、約一〇%近くも低落をいたしたのでございますが、九月ごろからこの低落の度合いがかなり鈍化をいたしまして、十月、十一月につきましては、ほぼ横ばいのような傾向にかわつて参つたわけでございます。中には、生産財の一部等につきまして若干持ち直して参るようなものも出て参つた次第でありまして、物価の面につきましては、デフレ一服の様相がかなりはつきりと出て参つております。特に最近の輸出の好調あるいは一部における在庫の減少等の関係を反映いたしまして、中には若干反騰を示すようなものも出て参つておるような次第であります。
 なお小売物価、消費者物価につきましては、ことしの年初から今日までを通じまして、きわめてその動きが緩漫でありまして、卸売物価の動きほどはつきりとした下落の傾向も見せておらないのでございます。小売物価の方は大体八月ごろを峠といたしまして、若干下向いておる傾向にはあるのでございますが、その程度はごくわずかでございまして、月によつて若干の反騰もしたりいたしまして、そうはつきりとした下落の度合いは示しておらないわけでございます。これはもちろん卸売物価との間のずれの関係もありますし、いろいろ要因があると考えられるのでありますが、やはり基調といたしまして、末端消費はそれほど大きく低落をいたしておらなかつた、末端購買力の動きにそれほど大きなあれが見られなかつたということが、一つの動向として見られるのではないかと考えておるわけでございます。
 次に生産の関係でありますが、鉱工業生産は、ことしの三月ごろがピークでありまして、戦前水準に比較いたしまして一七〇ぐらいのところまで上つたわけでございますが、その後各月低下をいたしまして、いわゆる生産の縮小の傾向が見られたわけであります。ただこれもごく最近の一、三箇月につきましては、若干もどしておるような傾向もあるのでございますが、これも先ほば来申し上げておりますように、非常に輸出の伸びておりまするような面もありますし、また物によりましては、若干生産の持直しというような面もありまして、最近の生産動向は、一時に比較いたしまして若干持ち直しておるようであります。特に十月につきましても、九月から多少持ち直したというような傾向になつております。
 それから在庫の動きでございます。ことしの年初あたりから在庫が急激に増加して参つたのでありますけれども、その後、先ほど申しましたように生産指数がある程度低落をいたしましたのと、また一面輸出の増大等を反映いたしまして、前月に比較いたしますと、最近は若干在庫が減少をして来るような傾向になつております。しかし在庫の水準そのものはまだ相当高いところにございまして、最近月におきましてもなお前年同月の四割くらい高いところにあるわけでございます。これらはいずれもデフレの進行を現わしておりまするいわゆる経済の引締めという面から見まして、それぞれ経済市場に出て参つておりまする一つのはつきりした姿でございまするが、これらに伴いまして、やはりデフレに当然随伴いたしまする企業の倒産でありますとか、不渡りでありますとか、あるいは雇用の面の動きでありますとか、いわゆるそういうふうな面の動向があるわけでございます。最近の傾向といたしましては、不渡り、商社の倒産等は大体八月ごろまでで一つの山を越しまして、それ以後はその以前に比較いたしましてやや小康を得ておるような状態でございます。なお雇用の面につきましては、最近月に至りまするまでわずかながら雇用水準の低下が見られるわけであります。その反面失業者の増大等もここ数箇月かなり顕著に目立つて参つております。九月には、労働省の統計によりますると、完全失業者の数が七十一万にまで上りまして、戦後の新しい記録的な数字をつくつたわけでありますが、こういう面ではやはりデフレの進行の暗い面の様相がはつきり出ておるわけでございます。なおあとの方の数字の表の中にもございますが、最近の労働事情の求職、求人の状況等もかなり悪くなつております。求人数に対しまして、求職の比率が最近においては三割くらいになつておるわけであります。かなり労働事情の悪化を物語つておるものと見られるわけでございます。
 次に一般の消費の動向でございますが、これは私ども家計調査の資料によりまして、消費水準指数を計算をいたしまして、それで推計をいたしておるわけでございますが、最近の動きといたしましては、概して横ばいの状況に見られます。昨年度に見られましたような逐月消費水準が急激に上昇して参るというような形は、今年の六、七月ごろからその傾向をとめておるわけでございます。大体消費の動向としては、一般的には横ばいと見てさしつかえないのではなかろうか。特に東京のような特別な消費地を除きまして、全国の一般都市の傾向といたしましては、その傾向が特に顕著に出ているように見ておるわけでございます。
 それから最後に特に申し上げておきたいと思いますことは、最近外国為替収支が非常に好調を持続いたしておることでございまして、これは内容的には輸出が非常に順調に伸びているということと、輸入が相当程度に縮小をしておるという両面から来ておるわけでございまするが、輸出が一つは世界貿易の好転という環境に影響されておりますことと、日本のデフレの進行によりまして、内需が落ちました反面、輸出の方へ売り向つて行くという努力が相当強く続けられたというような両方の面が作用いたしまして、相当輸出が順調に伸びておるわけでございます。お手元の資料にもございますが、ここ数箇月で見ますと、外国為替の収支の面から見まして大体一億二千万ドル台をずつと維持しておるわけでございます。特に十月につきましては戦後最高の記録といたしまして一億四千六百万ドルの数字を記録いたしたような結果になつております。一面輸入の方は、相当縮小した規模を続けておりまして、最近数箇月では大体一億三千六、七百万ドル程度のべースでございます。去年の平均一億七千五百万ドル等に比較いたしましてかなり縮小しておるわけであります。その結果、六月以降国際収支の各月バランスも黒字に転じまして、毎月相当な黒字を記録しておるわけではございますが、特に十月につきましては五千万ドル以上の黒字を記録したわけでございます。この累計をいたしますと、一億数千万ドルの黒字になつておるわけでございます。ただ現在の状態が将来まで今後引続きましてこのまま推移いたしますかどうか、その辺につきましては、輸出の面につきましても輸入の面につきましてもそれぞれしかるべき問題をはらんでおるわけでございます。今後の動きには十分注意いたして行かなければならないと考えておるわけでございます。簡単でございますが、ごく最近の経済動向を中心にして御説明申し上げました。
#4
○武田委員長代理 次に、通産省当局よりデフレ政策の貿易面に及ぼした影響等につきまして説明を聴取することにいたします。通商局長板垣修君。
#5
○板垣説明員 デフレの貿易に及ぼした影響につきましては、ただいま経審側より御説明がありましたところで大体尽きておると思いますが、私からなお補足的に申し上げますと、要するにデフレの及ぼしました影響といたしましては、輸出の面におきましてはただいまお話がありましたように輸出の増大を来した。輸入の面におきましては輸入需要の減退に基いて輸入が相当減つて来たということでございます。輸出の面におきましては、デフレ政策の結果、第一には価格がずつと低落をして参りまして、その結果わが国商品の全部ではございませんけれども、わが国商品の国際競争力が増強いたしました。これが輸出の面に相当な役割を演じたわけでございます。ことにおもな商品であります繊維は、三月以降からずつと低落して参りまして、これが量において相当繊維品の輸出増大を来しております。それから鉄鋼につきましても六月以降低落いたしまして、これが相当わが国の鉄鋼の輸出面における国際競争力を培養いたしました。鉄鋼類は相当順調に伸びております。それから機械類につきましても、五月以降低落いたしまして、ほかの原因もございますが、これが輸出の増を来しております。
 それからもう一つは、ただいま経審側からもお話がありましたように、デフレ政策の結果、ある一面において生産の過剰あるいは内需の不振、こういうような一つあるいは両方の原因によりまして、どうしても増大する在庫を調整するという必要からいたしまして、業界の意欲が輸出方面に非常に強く働いた、そのためにどうしても輸出をしなければならぬというところで、これが今年度の異常なる輸出増大になつておるということはいなめない事実であると思います。ことに鉄鋼類であるとか、あるいは綿製品、タイヤ、チユーブ、自転車、こういうようなものはこの業界の非常な輸出努力によつてわれわれが予期したよりも以上に輸出が伸びておる、こういう状況を来しております。こういうような影響が輸出面においてあつたわけでございますが、しかし本年度の異常な輸出増はもちろんこういうような原因だけではございません。そのほかに、第一には海外市場の影響がございます。これはことしは昨年から比べまして相当海外市場が悪くなるのではないかという予想であつたのでありますが、これが案外よかつた。アメリカあたりももう少し景気が後退するのではないかと思つておりましたところが、案外アメリカの景気は維持されております。ことにヨーロツパなどは、西独の再軍備というようなことも手伝いまして、ヨーロツパ市場も非常に強調であります。こういう関係からいたしまして、対日物資の買付という意欲が相当盛んである。これがやはり日本の輸出を増進させる役割を来しております。こういうような一般的な世界市場の状況からいたしまして、対日輸入制限の緩和ということも相当広範囲に行われました。ことにスターリング地域におきましては、こういう一般的な世界市場の景気の状況と相まちまして、ことしの一月に結ばれました日英協定というようなものとの関係もありまして、その後相当広範囲に対日輸入制限の緩和をしております。こういうような海外の関係から、日本の輸出が伸びたということが一つの原因でございます。それからもう一つは、御存じと思いますが、現在やつておりますある種の特殊貿易形態、ことに補償リンク、バーター、それからアルゼンチンとやつておりますコンビネーションの取引、こういうような特殊貿易に助けられて日本の輸出が伸びたという面もございます。しかしいずれにいたしましてもこういうような、三つくらいの原因が重なりまして、日本の輸出が本年度伸びました。先ほども説明がありましたように、大体本年度におきまして十五億は必ず確実であるという状況になつておるわけでございます。
 それから輸入の面につきましては、これはデフレの影響が直接響いておるわけでございますが、生産の過剰、在庫の増大というような面からいいまして、輸入原材料という方面に対する需要が、ことに今期の外貨予算を編成する際におきまして相当大幅に減つております。そのほかに食糧関係におきましても、これはデフレとは関係ないのでありますが、小麦がことし非常に豊作であつたために、食糧関係の需要も非常に減つておる。それからただいま申しましたように、デフレの影響によつて繊維原料、鉄鋼原料というような従来わが国の外貨予算の編成上非常に大きな部分を占めております関係の需要が相当減つております。こういうような関係からいいまして、輸入が減り、輸出がふえたということで、少くとも本年度に関する限りは国際収支は非常に好転したというような状況に見通されるわけでございます。簡単でございますが私の説明を終ります。
#6
○武田委員長代理 ただいまの経済審議庁及び通産省当局よりの説明に対しまして御質疑があれば、この際これを許します。
#7
○三宅委員 ちよつと通産省の側にお伺いしますが、特殊貿易の形態についてもうちよつと詳しく御説明願つて、それからいろいろな批評がありますが、今勘づいておられる特殊貿易形態の利害についてお考えを伺いたいと思います。
#8
○板垣説明員 いわゆる特殊貿易という範疇には、まず補償リンク、これは現在では主として砂糖を使つておるのであります。それからバーター貿易、中共、ソ連は当然バーターで行かなければなりません。これを一応除きまして、それ以外の国ともやつておりますが、これが二つの一番大きな形態でございます。これが今度の輸出貿易の増大に果しておる役割は、大体この補償リンク及びバーターでやりました貿易が三四%ばかりを占めております。しかしながらこれがなければ全然出なかつたというわけではございません。従つてこの特殊貿易によつて三四%ふえたというわけではございませんけれども、これが占めておる割合が三四%ということであります。このうち補償リンクにつきましては、国際的な非難が非常に強まりましたし、なお国内的にも非常な弊害が続出して参りましたから、ことにこういう制度を長く続けますことは結局国内産業の合理化を遅らせることにもなりますので、私どもといたしましては、これを大体今年度限りで打切るということに方針を決定しておるわけであります。それからバーター貿易につきましても、これを非常に広い観点から見ますと、やはりある種の二重価格を生ずる、こういうような関係からいいまして国際的には問題があるわけでありますが、わが国の現状からいたしまして、これを急激に整理し廃止するという方向には参れませんし、ことに中共とかソ連とかあるいは中近東というようなところは、どうしても特殊的なバーター制度で行かなければ貿易がやれないところがありますので、これは当分の間範囲を狭めながら持続いたしたいと思います。従来は、今年の四月からバーター貿易が非常に拡大されまして、いわゆる三角貿易まで認められたわけでありますが、こういう点を今縮小いたしまして、原則として国と国、同じ地域間でやるというのを、これを地域的にも狭めまして、それからバーターをやり得る品目も非常に制限をいたしまして、バーターでなければちよつと出ないというような品目だけにしぼつてやろうというふうに考えております。従つて今申しましたように、補償リンクというものは国内的にも弊害がありますし、国際的には弁解の余地がないものでありますので、これは本年度限りで廃止をする。そうしてバーター貿易はしばらく現状を持続する、こういう考え方であります。
#9
○三宅委員 アルゼンチンの方はどういう形ですか。
#10
○板垣説明員 アルゼンチンは、これは一種のコンビネーシヨン取引といいまして、たとえば日本の方から鉄鋼を出します、そうして向うからは羊毛を買うというふうな形になつておるわけであります。
#11
○三宅委員 ただいま承りますと、補償リンクはやめる。バーターについても縮小したいと言つておられるのでありますが、ともかく補償リンク制というようなものの弊害は別として、バーターとかコンビネーション取引ということは実際問題として非常に必要になつて来ている。これはコンビネーション取引と言えるかどうか知らぬけれども、たとえばタイやビルマについて言えば、やはり相当米を買う約束をして、こつちから出さなければならないというとりきめをやらなければならない。それがバーター貿易になるかならぬかは定義の仕方でしようけれども、ある意味においてだんだんそういう線は、私どもの考えでは縮小どころかふやして行く立場が必要じやないかと思う。それについては輸出入貿易公団というような形のものがやはり必要であつて、商社の非常に乱暴な競争等を内外にわたつていろいろと整理する意味におきましても、私どもはそういうような機関を設けることによつて、むしろこれを強化して行くことが将来とも必要じやないか。それからだんだんバーターを拡大して行く立場が、景気不景気の波なしに貿易を進展させる意味においては必要じやないかと思うのですが、その辺について通産省の御意見、それからもし通産省と違つた御意見が経審の立場においてありましたら承りたいと思います。
#12
○板垣説明員 今お話のありました通り、コンビネーション取引であるとかあるいはバーター取引、それからビルマ、タイについて御指摘がありましたけれども、これの関係などもある広い意味のバーターだと思いますが、ことにこういう東南アジアの購買力の低い国、向うから米なら米というものを買つてやらなければ日本の物が買えないというような国を主たる相手といたしております日本の貿易におきましては、こういう制度は当分これを持続してやつて行かなければならぬものと思つております。ただこれを将来とも大いに拡大してやつて行くかどうかという点につきましては、実はガツト加盟問題とかいうような点に関連いたしまして、こういう協定貿易式のやり方というようなものが相当批判を受けておるわけでありますが、日本といたしましては、わが国の実情及びわが国の貿易の相手方の実情というようなものを考慮いたしまして、こういう制度は今後できる限り活用して行かなければならぬというふうに考えております。
 なおただいまお話のありました貿易公団ということまで進み得るかどうかということは別問題といたしまして、確かに過剰競争防止ということは最も大事なことでありますので、私どもといたしましては輸出入取引法を改正いたしまして、業者の自粛と相まちまして、こういり過剰競争の防止とかいうようなことをやりますとともに、品物によりましては、あるいは一手買取り会社というような方法をとらざるを得ない場合もあろうかと考えております。
#13
○三宅委員 そこで米の関係などについてもずいぶん商社の関係があつて、いろいろいい面と悪い面とを聞いておるのですが、あれなどについて通産省は今のままでいいと考えておられるのか、それともやはり機構的なてこ入れをやらなければならないと考えておられるのか、それについて承つておきたい。
#14
○板垣説明員 米の買付につきましては、確かに、現在の商社指定制度をとられます前に、タイ、ビルマなどにおきましては、ことに多数の商社が参りまして、無用な買付競争をやつたという事実があつたわけでありまして、その弊害にかんがみまして商社の指定をやつたわけでありますが、ビルマなどにつきましては現在数も少いし、割合にうまく行つておると思います。しかしタイにつきましては、多少問題があるやに聞いておりますので、最近また商社の指定につきましては再検討をしようというように考えておりますが、これを二本にして一つの買取り機関をつくるというところまではまだ進んでいないと承知いたしております。
#15
○小笠委員 私はひとり数字だけを伺いたいのです。国際収支の付表の二十一表でありますが、そこで見ると六月以後の国際収支はプラスになつて来ておるのです。そのプラスの合計が一億六千万ドル、それから四、五のマイナスが二千七百万ドル、差引一億三千三百万ドル、それだけ本年度においてプラスになるようです。そこで現在――十月末現在と申しますか、十一月一日現在の日本の外貨のポジシヨンはどうであるかということをまず伺いたいと思います。この数字はあとでお調べ願つてもけつこうであります。たしか四月一日における本年度繰越しの手持ち外貨は約八億ドル、そのうらからいわゆる朝鮮に対する焦げつき債権その他を引きまして正味が相当それより内輪になつておることは事実でありますが、正味稼働し得る十一月一日現在の外貨のポジシヨンをお調べの上お教え願いたいと思うのであります。
 第二の問題は、これも数字でありますが、板垣通商局長に伺いたいと思います。今御説明の中に、本年度の輸出増として先ほど申し上げたような数字が出たわけでありますが、その原因の一つとして、価格下落を来しておる、すなわち国際競争力ができて来たんだという御説明がありまして、もちろん在庫輸出の転用あるいは特殊リンク、特殊貿易というような形態がありますが、ことに価格が国際競争に耐え得る程度まで落ちて来ておるということを大きく強調されたようであります。そうして、その例として繊維、鉄鋼、機械というものを特にあげられた。そこでこういう鉄鋼、繊維、機械について出血輸出であるのかどうか、いわゆる国際価格のベースに比べて幾らで輸出しておるかということをお調べの上ひとつお教えを願いたいというのが私のお願いであります。これは現在お手元に数字がなければ後刻でけつこうであります。
#16
○板垣説明員 後ほど、取調べましてお答えいたします。
#17
○小笠委員 第三点として、これは経済審議庁にお願いいたしたいのであります。予算編成期になつておりますが、昭和三十年度予算編成に対して、経済審議庁の所管するいわゆる経済産業問題に対する予算編成の方針というものはどんなものであるか。これはすでに御樹立になつておると思うのであります。そうして大蔵当局の査定に意見を提示いたしておると思うのでありまするが、来年度の産業経済政策をやつて行く上において、どういうふうな心構えでどこに力点を置いてやつておるか、そこらの、いわゆる日本の産業経済の指導的な官庁としての御意見を承りたいと思うのであります。
#18
○石原説明員 お答えをいたします。ただいまお尋ねの三十年度予算の編成につきましては、御承知のように、大蔵省が目下編成をしておられる最中でありまして、まだはつきりした線は出ておりません。それで経済審議庁といたしましても、三十年度予算編成方針というものをつくりまして、それを大蔵省に渡し、かような方針で行きたいというようなところまでまだ進めておりません。現在の段階は、われわれの方と随時大蔵省の主計当局等と、いろいろ今後の三十年度のまず見通し、経済指標等どの程度になるか、そうした予算編成その他全体の経済政策の前提になります数字と申しますか、経済見通しとか、それから現在行つております緊縮政策の影響と申しますか、従つてこれは来年度におきましては、どの程度にやるべきが適当か、あるいはどの程度になるのだろうか、一例を申し上げるとすれば、今年度の物価、生産財卸については、御承知のような数字がある程度出ておりますが、それがこの下期あるいは引続きまして三十年度にどの程度の低下なり状況になるかというような、いろいろ今後の経済情勢全般の見通しを隔意なく相談をしているというような状況でございます。これは来年度の経済情勢を判断いたしますにも、もとより来年度の財政規模とかあるいは金融政策とか、そうした政策に関連いたしますので、一概に簡単に見通しをつけるわけにも参りませんが、一応今のような前提と申しますか、現在程度の状況が続けばどうなるか、その出た姿ではたして適当かどうかというような点が一番問題になりますので、これは一方的に片方からすぐ割出すというわけにも参りませんので、今のままで行けばこうなる、その際にこれでいいかどうかということで何回か検討しなければならぬと思いますが、一応そういうような点は今大蔵省と交互に各意見を交換中でございます。ただ全般的な考え方といたしましては、一応われわれ事務当局で考えておりますのは、本年度は先ほど来御説明いたしましたように、ある程度緊縮政策の成果と申しまするか、影響も出て参りまして、物価その他の点もあるいは貿易収支というような点も改善せられたる点が相当ございますが、来年度におきましても、やはり将来正常貿易による国際収支の安定した均衡ということを考えます際には、来年度におきましても、現在行われておりますような緊縮政策の基調をくずすわけには参らぬだろう、従いまして予算等も、さような前提で申し上げますと、少くとも今年度一兆円という、そのわくを越えるということは一応不適当であろう、従つて予算といたしましては、大体こまかい数字は別にいたしまして、一兆円のわくを守る、従いまして予算に関連いたします財政投融資等につきましても、ほぼ今年と大差がない、これはいろいろ一般財政のほかに資金運用部の資金とか、そうした資金源の方から見ましても、本年度よりふえる要因はないようでございますので、従いまして全体の財政あるいは財政投融資を入れました政府資金関係は、まだこまかい数字は出ておりませんが、ほぼ本年と同じ程度のところにおちつくだろうというふうに考えておるわけであります。従いまして予算編成にあたりましても、大体そのわく内で考えるということになろうと存じます。
 それからなお先ほどちよつと触れましたように、来年度の経済情勢を判断いたしまする際に、国の財政のほかに地方財政とそれから一般の金融的な政策の問題、金融引締めはどうするかという問題は、国民所得にも響きますし、その他経済情勢にも響いて参りますので、その点も問題の一つでございます。今申しました二つのうち地方財政につきましては、これはいろいろまだむずかしい問題がございますので、一般的な感じから申しますと、できるだけ地方財政の引締めが可能であれば引締めをすることが望ましいと考えますが、これは具体的にどの程度のことになるか、いろいろ地方財政の状況を伺いますと、相当問題がございまして、本年度でも相当赤字があるという状況でございますので、これがどの程度におちつくかは相当むずかしい問題だと思いますが、それが一つの研究問題であります。金融等につきましては、本年度は御承知のように積極的に相当金融引締めをいたしまして、それによりまして、先ほど来御説明いたしましたような結果が出ておるわけでございますが、現在の産業の実態なり何かを見ますと、さらに来年度に本年度行いましたような積極的な金融引締め政策を行うことは、これはむずかしいではないかというふうに考えております。来年度はこれは大きな政策の問題で、われわれが今かようだというふうに申し上げる問題ではございませんが、一応の考え方を申し上げさしていただきますれば、現在程度の大体横ばいというようなところが、考え方としては適当ではないかというふうに考えております。さようなことで、まだただいまお尋ねの予算編成方針を、はつきりどうこうというふうなお答えをする段階ではございませんが、先ほど申しましたような一兆円の予算ということを一応前提にいたしますと、相当本年度に比較いたしまして当然ふやさなければならぬ要因もございますので、従いましてその方面のあんばいをどうするかということが、来年度予算としては非常にむずかしい点だと思います。従いましてどうしてもある一部につきましは、本年度よりも予算額を減らさざるを得ないという結果に相なりますので、どの項目をどの程度減らして一兆円予算に当てはめるかという点が今検討をしておる問題でございます。
 それから産業の関係に直接関係いたします財政投融資の点につきましては、これもまだ計数は出ておりませんが、大体の感じといたしましては、ほぼ本年度とあまり違わないくらいのところというのが一つの目途でございます。ただ絶対的な数字がどうおちつくかはまだはつきりいたしませんが、資金運用部等の資金の状況から考えますると、少くとも多少本年度よりさような資金財源としては少くなるのではないかという見通しでございます。ただ御承知のように、問題になつております余剰農産物の見返り円というものが大体そうした従来財政投融資等に使われておつたような使途に使われることに相なるかと思いますが、今申しますのはその分は平均の計算でありますが、それがもしさような面に使うということにきまりますれば、あるいは多少前年度よりはふくらんだ数字ということに相なるかもしれませんが、その辺のこまかい数字はまだ検討中でございますので、はつきりしたことは申し上げられませんが、大体余剰農産物の見返り円を入れればあるいは多少はふえるかもしらぬという程度の見通しでございます。
#19
○小笠委員 非常にこまかいことですが、板垣君に伺いたいのですが、先ほど貿易の正常化を急ぐという建前から、特殊貿易形態の中で特に補償リンク制度をやめて行くというお話がありましたが、バーターもできれば縮小したい、こういうお話があつたようであります。そこで数字であります。補償リンクについてどれくらいの輸出が維持されておつたかということであります。
#20
○板垣説明員 輸出が維持されておるかどうかというとちよつと語弊があるわけでありますが、リンク制度がいわゆる砂糖による補償がついておつて、その出た金額を調べたものを申し上げますと、本年の一月から九月のものを年率にいたしまして一億九百万ドルという総計になつております。しかしこれはリンクがあつたために出たので、なければ全部出ないということにはならないと思います。
#21
○小笠委員 砂糖だけでも一億一千万ドルに一応考えられる。レーズンとかあるいはその他報償リンク制度があるのですが、これをやめると全部なくならぬとは言いながら、来年度の輸出を約十五億ドルと一応推定しますと相当大きな穴になつて来る。これに対して穴埋めの方策は何かお考えになつておるわけですか。
#22
○板垣説明員 私どもとしましてはこの砂糖リンクをやめるということは、もちろん国際的な観点からやめるわけでございますので、砂糖をやめてすぐこれにかわるものでやるということは全然考えておりません。ただ、しかしながらわが国のプラント及び造船というようなものが、今一人立ちで国際競争ができるほど十分な力がある状態まで達しておりません。この点は産業合理化というような基本的な面を押し進めますと同時に、さしあたりここ一、二年の問題といたしましては応急の施策を講じなくてはならぬと考えております。これにつきましてはただいま予算を要求中でございまして、どの程度実現を見るかはまだはつきりわかりませんが、一番重く考えておりますのは、輸銀を通じまして輸銀の金利を下げるということに重点を置いております。それに引続きまして輸出代金保険の料率も少し下げるというようなところでカバーして行きたい。それに予算が通過いたしますれば、重機械類、ソーダ類を通じまして、設計料であるとかあるいはアフター・サービスの費用であるとか、こういうような点について間接的に国家がめんどうを見る、こういうような施策をも講じたいというふうに考えております。
#23
○小笠委員 さしあたりの日本の国際収支の見地から見まして、ドルを一千万ドルかせがなければいかぬと思うのですが、この報償リンク、特に砂糖の例をとりますと輸出品についてどれくらいのいわゆる出血をカバーしておるか、それを伺いたいと思います。
#24
○板垣説明員 この点は現実においてどれくらいカバーしておるかは私どもにはわからないのでありますが、私どもの方の算定の基礎といたしましては、砂糖一トンについて三十ドルの報償が可能であるという計算になつております。しかしその後砂糖の値段が大分上りましたので、相当程度カバーしておることに現実にはなろうかと思いますが、実際の数字については個々のケースによつて違いますので、われわれとしてはわからない次第であります。
#25
○小笠委員 そういたしますと、砂糖がトン百十ドル、最近で二十ドル前後だと思うのでありますが、それに対して三十ドル前後のマージンがあるということは二割四、五分ということになるわけであります。それで今お話がありましたような金利の引下げ保険料率の引下げ、設計料の無料サービスというようなことで穴埋めができるとお考えになつておられるのですか。
#26
○板垣説明員 相当むずかしい面があろうとは思いますけれども、あとは企業努力で私は何とか行き得るのではないかというふうに考えております。
#27
○小笠委員 続いて伺いますが、バーターの取引によつてどれくらい輸出をやつておるか、それを伺いたいと思います。
#28
○板垣説明員 バーターといたしましては、中共関係を除きまして、本年度の暦年の見込みは一億六百万ドルという数字になつております。
#29
○小笠委員 中共はどのくらいでありますか。
#30
○板垣説明員 中共のバーターの実績は、私どもの本年度の見込みは間年千六百万ドルくらいの予定になつております。
#31
○武田委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御質疑もないようでありますので、本日はこれをもつて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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