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1954/12/02 第20回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第020回国会 予算委員会 第1号
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1954/12/02 第20回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第020回国会 予算委員会 第1号

#1
第020回国会 予算委員会 第1号
昭和二十九年十二月二日(木曜日)
   午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君
   理事 西村 久之君 理事 中曽根康弘君
   理事 山本 勝市君 理事 佐藤觀次郎君
   理事 今澄  勇君
      相川 勝六君    植木庚子郎君
      尾崎 末吉君    尾関 義一君
      小林 絹治君    迫水 久常君
      高橋圓三郎君    富田 健治君
      中村  清君    灘尾 弘吉君
      葉梨新五郎君    船越  弘君
      本間 俊一君    八木 一郎君
      山崎  巖君    芦田  均君
      石橋 湛山君    宇都宮徳馬君
      川崎 秀二君    河野 金昇君
      高橋 禎一君    武知 勇記君
      中村 梅吉君    中村三之丞君
      福田 赳夫君    古井 喜實君
      伊藤 好道君    滝井 義高君
      松原喜之次君    武藤運十郎君
      山花 秀雄君    横路 節雄君
      稲富 稜人君    川島 金次君
      河野  密君    小平  忠君
      西村 榮一君    黒田 寿男君
      小山倉之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        国 務 大 臣 緒方 竹虎君
        法 務 大 臣 小原  直君
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
       大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
        文 部 大 臣 大達 茂雄君
        厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
        農 林 大 臣 保利  茂君
        通商産業大臣  愛知 揆一君
        労 働 大 臣 小坂善太郎君
        建 設 大 臣 小澤佐重喜君
        国 務 大 臣 加藤鐐五郎君
        国 務 大 臣 木村篤太郎君
        国 務 大 臣 塚田十一郎君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
        大蔵事務官
        (主税局長)  渡辺喜久造君
 委員外の出席者
        警察庁長官   斎藤  昇君
        専  門  員 小林幾次郎君
        専  門  員 園山 芳造君
        専  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
六月三日
 委員稻葉修君辞任につき、その補欠として三浦
 一雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月四月
 委員尾関義一君辞任につき、その補欠として前
 尾繁三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員前尾繁三郎君辞任につき、その補欠として
 尾関義一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員川上貫一君辞任につき、その補欠として黒
 田寿男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員庄司一郎君辞任につき、その補欠として塚
 田十一郎君が議長の指名で委員に選任された。
七月二日
 委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として中
 村時雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員三浦一雄君辞任につき、その補欠として稻
 葉修君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員橋本清吉君辞任につき、その補欠として古
 井喜實君が議長の指名で委員に選任された。
八月十六日
 委員中村梅吉君辞任につき、その補欠として池
 田正之輔君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
 委員河野密君及び西村榮一君辞任につき、その
 補欠として春日一幸君及び平岡忠次郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員春日一幸君及び平岡忠次郎君辞任につき、
 その補欠として河野密君及び、西村榮一君が議
 長の指名で委員に選任された。
九月七日
 委員伊藤好道君辞任につき、その補欠として山
 本幸一君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員尾関義一君及び小峯柳多君辞任につき、そ
 の補欠として小平久雄君及び田中龍夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十一日
 委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として
 中村梅吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
 委員稻葉修君辞任につき、その補欠として三浦
 一雄君が議長の指名で委員に選任された。
十月六日
 委員横路節雄君辞任につき、その補欠として石
 村英雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員古井喜實君辞任につき、その補欠として床
 次徳二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十一日
 委員中村時雄君辞任につき、その補欠として稲
 富稜人君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
 委員岡良一君辞任につき、その補欠として大矢
 省三君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員田中龍夫君辞任につき、その補欠として高
 田弥市君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
 委員石村英雄君辞任につき、その補欠として横
 路節雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
 委員高田弥市君辞任につき、その補欠として淺
 香忠雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
 委員床次徳二君辞任につき、その補欠として古
 井喜實君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員淺香忠雄君及び大矢省三君辞任につき、そ
 の補欠として小峯柳多君及び川島金次君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員小平久雄君辞任につき、その補欠として渡
 邊良夫君が議長の指名で委員に選任された。
十一月十一日
 委員森幸太郎君は辞職された。
同月十二日
 委員渡邊良夫君辞任につき、その補欠として尾
 関義一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員山本幸一君辞任につき、その補欠として伊
 藤好道君が議長の指名で委員に選任された。
十二月一日
 委員羽田武嗣郎君、塚田十一郎君、三浦一雄君、
 河野金昇君、河本敏夫君及び竹山祐太郎君辞任
 につき、その補欠として植木庚子郎君、芦田均
 君、石橋湛山君、宇都宮徳馬君、高橋禎一君及
 び武知勇記君が議長の指名で委員に選任された。同日
 根本龍太郎君が議長の指名で委員に選任された。
十二月二日
 委員芦田均君及び根本龍太郎君辞任につき、そ
 の補欠として舘林三喜男君及び河野金昇君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 理事川崎秀二君の補欠として中曽根康弘君が理
 事に当選した。
同日
 小峯柳多君及び山本勝市君が理事に補欠当選し
 た。
    ―――――――――――――
十一月三十日
 昭和二十九年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和二十九年度特別会計予算補正(特第2号)
 昭和二十九年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 昭和二十九年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和二十九年度特別会計予算補正(特第2号)
 昭和二十九年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
    ―――――――――――――
#2
○倉石委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。理事が二名欠員になっておりますので、その補欠を選任いたしたいと存じますが、その選任は前例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○倉石委員長 御異議がないと存じます。よって小峯柳多君及び山本勝市君を理事に指名いたします。
 なお川崎秀二君より理事辞任の申出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○倉石委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。それでは中曽根康弘君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○倉石委員長 昭和二十九年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十九年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和二十九年度政府関係機関予算補正、(機第一号)の三案を一括して議題といたします。まず政府より提案理由の説明を求めます。大蔵大臣小笠原三九郎君。
#6
○小笠原国務大臣 昭和二十九年度補正予算の編成に関する基本方針並びに補正の大綱につきましては、すでに本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、あらためてその概要を御説明申し上げます。
 今回の補正予算の編成にあたりましても、経済健全化の基本方針を貫きまして、本年度発生災害の復旧を促進し、財政健全化の推進に伴い、社会保障関係費の充実をはかるとともに、第十九回国会における予算案の三党協同修正等に伴う所要の補正を行うほか、必要最小限度の経費に限り、その所要額を追加計上し、他面その財源につきましては、おもに規定経費の節減等に、よりまかない、財政規模の膨張を極力避け、一兆円のわくをあくまで堅持した次第であります。
 一般会計の歳出の追加額は三百八億円であり、これに対し歳入の増加分は三億円でありまして、その差額三百五億円は、歳出の節減等によりまかなったのであります。これにより、昭和二十九年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも九千九百九十八億円と相なるのであります。
 まず歳出について申しますと、第一は災害復旧事業費であります。本年五―六月の暴風雨、第五号台風及び第十二号ないし第一五号台風による災害の復旧につきましては、すでに一部予備費等によりその措置を講じておりますが、予備費充当額も含め本年度内に、おおむねその二割五分を復旧することを目途といたしまして、災害復旧事業費六十九億円を計上いたしました。なお、災害復旧の実施にあたりましては、工事の種類、緊急度合い等により極力重点的に工事を取上げるよう措置することといたしております。
 また災害復旧と関連いたしまして、冷害等によって農作物の被害をこうむった農家は賃金収入の機械を与えるため、救農土木事業として、今回の一般会計予算補正とは別に、一般会計及び特別会計を通じ、予備費支出等により合計二十二億円を支出いたす予定であります。
 第二は社会保障関係経費であります。財政の健全化の推進に伴う社会情勢の推移にかんがみまして、生活保護費及び失業対策費につき、それぞれ七十億円及び、三十七億円を追加計上いたしました。なお、このほか、失業者の就労対策をさらに強化するために、公共事業費の節約額の一部振替等により、新たに緊急就労対策事業費として、九億円を計上いたしました。
 第三は、義務教育費国庫負担金であります。義務教育費につきましては、教職員の給与費の実支出額の二分の一を国庫が負担する建前に基きまして、二十八年度の不足額を補填するため、八億円を計上いたしました。
 第四は、地方交付税交付金であります。本年度におきましては、法人税の自然増収百五十億円が見込まれますとともに、本年度限りの特例として、地方交付税の定率のうち、所得税及び法人税の収入見込額のそれぞれ百分の一九・六六を百分の一九・八七四に改訂することといたしまして、これによる地方交付税の増額四十億円を追加計上いたしました。なお、この地方交付税交付金の追加十億円は、本年度における都道府県警察費の不足を補填するものでありますが、都道府県警察費につきましては、このほか、都道府県警察費補助として、二億円を追加計上いたしました。
 第五は、地方譲与税譲与金であります。本年度の入場税収納見込みは、第十九回国会における入場税法の成立遅延と国会修正による税率引下げ等のため、当社予算額を下まわり、入場譲与税法によって国が都道府県に対し譲与すべき最低限度額百五十五億五千万円に満たないと認められるに至りましたので、その不足財源を一般会計から補填することとし、その所要額三十五億円を追加計上いたしました。
 第六は、農業保険費であります。二十八年度の農業災害により生じた農業共済再保険特別会計の赤字を補填するため、一般会計から十二億円を繰入れることといたしました。
 以上が、歳出の追加のおもなものでありますが、その他所要の経費につきましても、必要最小限度の補正を行うことといたしました。
 次に、財源について申しますと、財源の調達にあたりましては、健全財政堅持の方針に基き、主として規定経費の節減により、まかなうことといたしました。すなわち、法律案の不成立に伴う繊維品消費税の歳入欠陥八十五億円のほか、専売公社納付金及び雑収の減少が見込まれるのでありますが、他面法人税収入その他の増収が見込まれますので、差引歳入の増加三億円と、物件費、施設費等の節約百五十三億円及び輸入食糧価格調整補給金等の不用百五二億円と合せて三百八億円をもって、これをまかなうこととしたのであります。
 次に、特別会計につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計、国有林野事業特別会計、失業保険特別会計等七会計につき所要の補正を行うとともに、政府関係機関のうち、日本専売公社および日本国有鉄道につきまして、所要の補正を行うことといたしました。
 何とぞ、政府の方針を与とされ、本補正予算案に対し、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
#7
○倉石委員長 次に補足説明を求めます。主計局長森永貞一郎君。
#8
○森永政府委員 ただいまの大臣の御説に対して、計数的なことを若干補足して申し上げたいと思います。お手元に昭和二十九年度予算補正の説明という印刷物をお配りしてございますので、この印刷に基きまして簡単に申し上げたいと思います。
 今回の補正は、一般会計、特別会計、政府関係機関の三本建になっておりますが、まず一般会計から申し上げます。三ページに一般会計の補正規模は三百億八億二千五百万円であります。のうち歳出の節約、不用によりまして、財源といたすものが三百五億三千三百万円、歳出の増加によりましたものが二億九千百万円でございまして、結局当初の予算規模九千九百九十五億八千八百万円は九千九百九十八億七千九百万円に増加いたしたのでございます。
 補正規模三百八億二千五百万円の重要事項別一覧表が三ページの上段に掲げてございますが、大別いたしますと、災害関係がその第一でございます。社会保障的な経費がその第二でございます。その表の二番目の生活保護、三番目の失業対策、四番目の緊急就労対策、この三つがそれに該当いたします。次は地方財政に関連した経費でございまして、この表の五番目の義務教育国庫負担金、六番目は地方交付税交付金、七番目は都道府県警察費補助、八番目は地力譲与税剰余金でございます。九番目は、これは昨年度ではございますが、やはり広い意味の災害に関連した農業保険費でございます。それからその他この機会にぜひとも補正をしなければならないものがあるわけでございまして、この中には、前国会における法案の成立に伴うものも含んでおるわけでございます。以下逐次歳出の内容及びに財源につきまして御説明申し上げたいと存じます。
 まず災害復旧費でございますが、六十九億円の追加をいたしました。このうち三億円は文教施設の災害復旧費でございまして、六十六億円が公共土木施設の災害復旧費でございます。本年度発生災害の事業費総額は、各府県の申請額をそのままとりますと七百六十四億円、これにつきまして各省が一応査定をいたしました金額は五百四十八億円でございますが、さらにこれを最近の物価の情勢、入札の状況その他から勘案いたしまして私どもが査定をいたしました数字が五百四十八億円ということになるわけでございます。この五百十二億円に対しまして、初年度は二割五分の復旧を目途とし、その事業費百二十九億円、これに対しまして現行の各補助率を運用いたしまして計算いたしますと、八十九億七千七百万円、約九十億円になるわけであります。これを補正予算で六十六億円まかない、予備費からすでにまかないましたものが四億七千八百万円、今後予備日費からまかないますものが、十八億九千九百万円、かようなことでまかなおうとするものでございまして、そのための所要額六十六億円を補正予算に計上いたしたわけでございます。文教施設災害復旧費三億円も今度災害の公立文教施設の災害復旧に必要なる事業費の補助でございます。災害関係では、この公共土木施設の復旧費のほかに農業関係におきまして、本年度の例外等による農作物の被害対策といたしまして、別途求農土木事業を考えております。その財源は予備費ないしは節約不用によっておるわけでありまして、総額二十二億五千九百万円、これを一般会計と国有林野事業特別会計の二つの会計で支弁をいたす予定であります。二十二億五千九百万円を事業別に見ますと、北海道十九億四千八百万円、内地三億一千百万円、かような内訳になっております。このほかさらに農薬補助、種子対策、開拓地の入植施設の災害復旧等いずれも予備軍から措置をいたすことにいたしておることをつけ加えて申し上げておきます。
 次の補正項目は、生活保護費の増加七十億四千四百万円でございます。この七十億円のうち一番大きな金額は、医療補助の不足五十五億円、これを補填しようとするものでございます。医療扶助につきましては、昨年十二月入院料の単価等の引上げがございまして、それに伴う所要額を計上いたしておりましたが、当初の見込み以上に単価の高騰を見ました。さらに最近の経済情勢の推移に伴いまして、人員も若干増加いたして参っております。そのために当初計上いたしました予算に対し五十五億の不足を予想せられますので、今回の補正に際し、それを補填していただきたいというのがこの医療扶助の関係でございます。このほかの扶助の関係でも約十億不足を見る予定でありますので、あわせて補正をお願いいたしております。さらに二十八年度の不足、当初予算におきましても約二十五億円を補填する計画でございましたが、さらに五億円あまり昨年度の不足が増加いたしましたので、この機会にその分もあわせて補填をしていただき、合せて七十億四千四百万円を計上いたしたわけであります。
 その次は失業対策費の増加三十七億四千八百万円であります。この内訳は失業対策事業費の補助八億五千万円、三百万円、政府職員等失業者退職手当七千六百万円、以上でございます。
 まず失業対策事業費の補助でございますが、本年度の当初予算にいきましては、就労人員の増加を昨年度の実績に対しまして五%の増加と見ておりました。しかし最近の経済情報の推移からながめますと、失業者の数も増加いたしておりますし、安定所の登録人員も逐次増化いたして参っておりますので、この五%増をさらに五%ふやしまして、一日平均就労人員投書は十六万三千人でございましたが、これを十七万人に増加いたしまして、それに必要な失業対策費の補助八億五千万円を追加計上することといたしたわけでございます。
 失業保険につきましても、失業情勢の推移に伴いまして、月平均需給人員が大分増加いたして参っております。当初の予算では月平均三七万五千人を考えておりましたが、最近の実績から勘案いたしますと、四十九万四千人に増加させなければならぬのでござい、まして、これに伴う保険金の増加八十四億六千七百万円があるわけてございます。その三分の一を一般会計が負担するという法律の規定でございますので、今回二十八億二千二百万円を追加することといたしたわけでございます。残余は保険料の収入の増加並びに同会計の積立金のとりくずしによってまかわなれるわけでございます。
 政府職員等失業者退職手当は、行政整理によりまして退職いたしました政府職員に対し、失業保険法の定めによる最低額を保障するために差額をここに計上いたしておるわけでございまして、その不足分を追加計上いたしました。
 次は緊急就労対策事業費九億六千二百万円でございます。これも最近における失業者の増加にかんがみまして、道路関係事業費の節約解除額をここに特掲いたしまして所定の道路事業、都市計画事業を遂行するかたわら、これによって、失業者の吸収にも資しよう、こういうねらいでございます。炭鉱地帯、六大都市等を中心に、この緊急就労対策事業を適当に配分、実行いたしまして、失業者一日平均一万五千人をこれによって吸収し得る見込みでございます。このほかにも節約解除によりまして、特に炭坑地帯の失業者等の吸収に資し得るように、遠賀用その他の河川につきまして重点的な事業の執行を配慮いたしておる次第でございます。
 次は地方財政関係に入って参りますが、まず義務教育費国庫負担の増加八億二千八百万円、これは義務教育費、国庫負担法が昨年度から施行になりまして予算に計上いたしておりましたが、これは決算補助でございまして、決算が確定いたしましたに伴いまして、八億二千八百万円だけ当初予算が不足いたしておりすので、今年度これを補填いたすわけでございます。
 次は地方交付税交付金の増加四十億円でございます。後に財源のところで申し上げますが、法人税が百五十億円増収を見込まれるのでありまして、それに伴いまして交付税も増加交付されるわけでございますが、そのほかに本年度の所得税及び法人税に対する地方交付税の交付率、一九・六六%を臨時に一九・八七四%に改訂いたしまして、合せて四十億円を交付税とし、増額交付することにいたしました。これは今夏来問題となっておりました都道府県警察費の算定がえに伴う追加需要額に充当せられるものでございまして、警察費の不足をこれによって補って行くという、そういうねらいでございます。
 警察費の不足につきましては、その次の七番、都道府県警察費補助の増加、これもその一部に充当せられるわけでございまして、補助金の増加二億二千七百万円、これは都道府県警察の負担いたしまする警察電話専用料等の増加に伴うものが一億二千七百万円、警察用車両維持費六千万円、その他四千万円でございます。なお一方補助金の節約よる減少が八千二百万円ございますので、ネットの増加といたしましては一億四千八百万円ということに相なっております。
 次は地方譲与税譲与金の増加三十五億円でございます。当初予算におきましては入場税収入を百九十二億円と見積っておりまして、その一割を国庫がとり、九割が地方に譲与されるということに相なっておりました。しかるに入場税法の税率が修正になりまして大分下って参りました。さらに入場税の国庫移管の時期がずれました関係上、当初予算の百九十億円の収入は約七十億円くらい減収を必至とするような事態にございます。しかるに地方財政の困窮を緩和するために、初年度に限りまして入場税収入のいかんを問わず最低百五十五億五千万円を地方に対して保証しており、一般会計からその額を確保する、そういう約束が法律によってなされているわけでございまして、その約束を実行いたしますためには、現在の入場税収入の見込額をもってしては三十五億円を一般会計から繰入れを必要とするわけでございます。そのための経費をここに計上いたしました。
 その次は農業保険費の増加十一億七銭六百万円でございます。追加が十二億円でございますが、これは昨年度の農業共済再保険特別会計の赤字補填のためのものでございます。昨年は未曾有の凶作で大分大きな赤字が出ました。それに対しましては、昨年度補正において、また本年度当初におきまして、相当の金額を補填いたしておりますが、決算としてさらに十二億円が不足いたしますので、その分を今回の補正に際しまして補填をしていただこうというわけでございます。修正減少二千三百万円でありますが、これは予算の節約によるものでございまして、差引十億七千六百万円の補正に相なっておるわけであります。
 以上で重要項項を終りまして、その他の合計が二十四億一千五百万円ございますが、そのうちのおもなものを申し上げます。
 まず第一は農業改良普及事業費補助の増加三億三千六百万円でございます。これは当初予算におきまして、補助金の整理に関する法律を提出いたしましたが、この法律が国会において修正になりまして、そのうち農業改良普及員等の職員設置費の補助金が政府案では二分の一でございましたが、成立案では三分の二に復元されたのでございます。その関係から予算に不足を生じまして今回三億六千百万円を補填していただき、予算の節約を差引きまして、三億三千六百万円を追加計上いたしたわけでございます。
 次は被害農家常農資金利子補給でございます。ことしも災害が各地にございまして、その対策の一環といたしまして、被害農家に対しましていわゆる営農資金の融資を行い、それにつきましては利子補給並びに損失補填が行われる、かような提案が政府から行われておるのでございますが、そのための利子補給金額七千万円を新たに追加いたしました。但し昨年度の災害関係の農営資金の融資実績が当初予算より大分下まわっておりますので、その関係から修正減少が三億一千四百万円ございまして、補正の純額としては二億四千四万円、かようなことに相なっております。なお農家だけでなく、被害漁業者に対する貸付金につきましても、別途五万円の利子補給を計上しております。
 その次は非現業共済連合会等の補助及び交付金の増加四千七百万円でございます。これはいわゆる旧令共済組合の受給者に対する年金等の不足見込額が五千百万円ございます。その他八幡製鉄等の組合の関係の国庫負担等もございますので、これらの所要額追加と修正減少差引四千七万円を計上いたしたわけでございます。
 次は国立フランス美術館の創設費五千四百万円、これは御承知のように、松方コレクションにつきまして、フランスとの間に外交交渉が行われておりまして、これを日本側に返還する機運が大分熟して参っております。それにつきましては、日本側でこれが受入れ態勢を整備する必要がございますので、国立フランス美術館を創立することとし、その初年度の事業費として五千四百五十万円を計上いたしたわけでございます。
 その次は農業委員会費補助の増加八千百万円、これは六月に成立いたしました農業委員会等に関する法律の一部改正によりまして全国農業会議所、都道府県農業会議というようなものができまして、それに要する補助金、さらに農業委員会の経費が当初の見込みでは不足いたしますので、それらを合せまして八千百万円を農業委員会費補助として増加計上いたしておるのでございます。
 その次は漁船再保険特別会計へ繰入れの増加一億三千九百万円、このうち三千百万円は補助金整理の法律の審議の際に、国会の御要望がございまして、われわれの当初の案では二十トン未満を国庫負担の対象にするということでございましたが、百トン未満にそれを広げた方がよいというような強い御要請があったわけでございまして、今回その御要望を尊重いたしまして、拡張いたしたに伴いまして三千百万円の不足が生じますので、その三千百万円と、昨年度におけるこの会計の赤字九千四百万円その他を通算いたしまして、合計一億三千九百万円を今回の補正に際し追加計上いたしました。
 七番目といたしまして、郵便貯金特別会計損失補填の増加七億四千三百万円がございます。これは郵便貯金特別会計の二十八年度の決算における支払い利子の不足、これを一般会計から補充しなければならぬという法律の規定になっておりますので、この機会にこれを補正としてお願いいたしておるわけでございます。
 以上歳出についてあらまし申し上げましたが、次は財源でございます。
 財源のうち、三百五億三千三百万円、これは歳出の節約及び不用によつてまかなっておるわけでございます。まず歳出の節約でございますが、これは百五十三億四千七百万円でございます。この点につきましては、前国会におきまして予算について三党の共同修正が行われました場合に、予備費を減額して財源に供されたのでございます。子の際その予備費を減額いたしました五十億以上のものにつきまして予算の実行上節約をして予備費の財源を捻出するようにという御趣旨があったわけでございますが、さらにその後繊維消費税の不成立あるいは入場税の減収、そういったような事態が起って参りまして歳入歳出を通じまして約二百億の欠陥を生じたわけでございます。これにつきまして政府部内におきましては六月二十九日節約を申し合せまして、合計百九十九億を予算の実行上節約することといたしておつたわけでございますが、今回そのうち四十五億五千三百万円を除きました残り百五十三億円を修正減少いたしまして今回の補正の財源に供したわけでございます。四十五億五千三百万円はいわゆる節約解除でございまして、公共事業費につきましては三%、道路につきましてはそのほかにさらに七%、その他各省にまたがりまして、やむを得ざる経費のために節約を解除いたしましたもの、合計四十五億五千三万円になるわけでございまして、これを差引きました残額百五十三億を、今回修正減額いたしたわけでございます。
 不用額、これは五十億八千六百万円でございます。そのおもなものを申し上げますと、まず日本電信電話公社交付金五億円、これは電信電話公社ができましてさらに国際電信電話が分離いたしました際に、政府が持っております国際電信電話株式会社の株式は、これを証券市場で売却して、その代金を電信電話公社に交付するということになっておりまして、本年度予算におきましても五億を計上いたしておりましたが、最近の証券市場の情勢では、この処分がなかなかできないのでございます。そこで歳入も上りませんが、歳出も五億円不用になるわけでございます。
 次は国際諸費における不用額二十七億四千八百万円、これは当初予算におきましては、大蔵省証券の発行を予定して、その発行差額等を予算に計上いたしておりましたが、現実には大蔵省証券を発行するに至りませんので、その不用額、さらに国際整理基金特別会計における剰余金を充当すること等によりまして、一般会計からの繰入額を二十七億四千八百万円削減いたしまして、今回の補正の財源に供しました。
 次は輸入食糧価格も調整補助金、これが一番大口でございますが、九十億当初予算に計上いたしました金額をまるまる不用額として落とし、今回の補正財源に供しました。ご承知のように、海外における米麦の国際的需給事情が大分暖和して参りまして、米麦の海外市価が下っております。従いましてこの価格調整補給金九十億円がまるまる不用になるわけでございまして、それを今回の補正の財源に供したわけでございます。
 さらにもう1つは、外航船舶建造資金貸付利子補給二億八千三百万円、これは本年度の新造船の着工が大分遅れておりますこと、さらに利子補給の対象になる融資額等をしぼりました結果、これだけ不用になるわけでございます。これが不用額のおもなものでございますが、そのほか各省を通じまして、極力不用財源を洗い、節約額をあさりまして、今回のこの補正財源に供したわけでございます。
 歳入でございますが、歳入の増加差引二億九千百万円、その内訳は租税及び印紙収入におきまして六十五億円の増、これは先ほども申し上げましたが、繊維消費税がが八十五億円、不成立によりまして穴があいております。それに対しまして法人税の収入が百五十億円増加する見込みでございまして、差引六十五億円の租税収入の増加に相なっております。
 次に専売益金は減少五十二億三千九百万円でございます。最近経済情勢の推移もございまして、タバコの売れ行きは、高級品の売れ行きがにぶり、新生等の売れ行きが伸びております。売上げの本数におきましては大体当初の予算と大差ございませんが、高級品の売れ行きが減退いたしました結果、売上げの金額が大分減って参りまして、そのために歳出にきましても、あらゆる節約の努力をいたしましたが、結局五十二億二千九百万円の納付金の減少を免れないわけでございまして、今回の補正に際し修正減額いたしておるわけでございます。
 次は政府資産整理収入四千九百万円、これは増と減の両者がございますが、減の方は先ほど申し上げました国際電信電話株式会社の株券の売却ができなかったことによる減の五億円。増の五億四千九百万円は、公共事業の地方直轄分につきまして、地方団体の分担金を従来は現金で納めていただいておりましたが、昨年特例ができまして、地方債証券をもって納付していただくということになりました。その地方債証券の条件が本年の初めに決定になり、それに基いて本年度元利の償還になりますのが五億四千九百万円、差引補正増四千九百円ということになっております。
 雑収入でございますが、補正額十億一千九百万円であります。内訳は、増加二十六億円。これは決算の確定による日本銀行納付金の増加でございます。これに対する修正減三十六億円、そのうち十九億二千万円は、先ほどもちょっと触れました入場税の税率が引下げられたことに伴う減収でございます。すなわち入場税は一割を一般会計がいただくということになっておりましたが、七十億も減収するというようなことに相なりましたので、一割を一般会計がいただくというのを御遠慮いたしまして、まるまる十九億円を修正減少いたしたわけでございます。もう一つの減の要因は、先ほど触れました公共団体の直轄事業の分担金に関連しておりますが、これが地方債証券をもって納付することができることになりまして、その条件が決定せられたことに伴いまして、当初予定いたしておりました分担金の収入が十七億円減少するわけでございます。それをここに計上いたしておるのでございます。差引十億一千九百万の減少に相なります。
 以上一般会計につき申し上げましたが、特別会計、政府機関につきましてごく簡単に申し上げますと、特別会計につきましては、補正をいたしましたものは合計七つございます。
 そのうちのおもなものについて申し上げますが、交付税及び譲与税配付金特別会計、これは先けど地方財政に関連した諸般の経費がございましたが、なかんずく地方交付税交付金の増加、入場譲与税の不足補填のための一般会計からの繰入れ、それに伴う特別会計の修正でございます。
 その次は国有林野事業特別会計、これは主として災害関係の補正でございます。収入の面では、災害によりましていわゆる風倒木を生じ、それを処理いたすこと等によります収入の増加、それから歳出の方は、冷害対策事業として治山治水、林道等の事業を施行するための経費並びに国有林野についての災害復旧事業費、それを補正計上いたしております。
 その次は失業保険特例会計でございますが、先ほど申し上げましたような失業保険金の支払いの増大、一般会計からの繰入れの増額に伴いまして、本会計につきまして所要の補正を行っております。
 このほか農業共済保険、漁船再保険、郵便貯金、この三特別会計につきましては、一般会計からの繰入れに伴う補正をそれぞれ計上いたしております。
 もう一つ国立病院特別会計がございますが、これは予算の補正ではなく、債務負担行為の補正でございます。国立病院の整備を能率的に実行するためには、翌年度にわたる債務を負担する道を開きますことが、工事を能率的に進行できる。かような観点から債務負担行為を三億円増額をお願い申し上げております。
 次は政府関係機関でございますが、専売公社と国鉄の二つにつきまして補正をお願い申し上げております。
 専売公社は、先ほど申し上げましたような、売れ行きの減に伴う事業費の当然減のほかに、建設及び造林費等につきまして極力圧縮に努めまして、五十二億円の納付金の減に食いとめたのでございますが、それに伴う日本専売公社の予算の補正をお願い申し上げております。
 国有鉄道につきましては、損益勘定の経理が大分苦しくなって参っております。これは旅客収入はさほどでもございません。むしろ増収になっておりますが、最近の経済情勢の影響もありまして、貨物収入が大分減収になっておる。そのほか雑収入等の減もございまして、結局二十五億損益勘定で減収が起っております。
 一方歳出の方はどうかと申しますと、災害関係で約四十一億円くらい足りなくなっております。このうちには西館の洞爺丸遭難者の弔慰金等も入っておりますが、こういったことで損益勘定が大分悪化しております。これに対して極力節約を実行し、また予備費を充当し、さらにやむを得ず資本勘定への繰入れを減らすということで善後措置を講じておるのでございまして、そのための補正が必要でございます。
 さらに資本勘定におきましては、起債市場の状況から考えまして、鉄道債券の発行額が予定よりも大分減って参りました。そのほかにただいま申し上げました損益勘定の繰入れが減る。従って約四十億円くらい資金が足りなくなるわけでございますが、これに対しましては工事勘定で極力節約をいたしましても、どうしても災害復旧工事であるとか、あるいは新線関係等の関係で増加するものもございますので、結局資金不足を補填するために、三十二億円を資金運用部から追加借入れをすることにいたしまして、補正を計上いたしてございます。
 工事勘定につきましては、ただいま申しました新線の関係、さらに災害復旧事業の増加に対して極力節約を実行いたしまして補填をすることにいたし、足りないところを今の資金運用部からの借入れにまつというような趣旨で、国鉄公社の補正を計上いたしておる次第でございます。
 以上はなはだ粗雑でございますが、一応御説明を終らしていただきます。
#9
○倉石委員長 それでは午後、一時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
   午前十一時十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十四分開議
#10
○倉石委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 これより補正予算三案に対する質疑に入ります。灘尾弘吉君。
#11
○灘尾委員 私はこの機会に補正予算案の背景を直しておりまする諸問題につきまして、若干の質疑をいたしたいと存ずる次第であります。
 その前に、吉田内閣総理大臣は最近長途の御旅行を終えてお帰りになりましたので、総理の外国御出張に関連いたしまして総理大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。
 吉田総理大臣は過般、五十余日、七箇国にわたって友邦各国を御訪問せられたのでありますが、無事御帰朝になりまして、その間の御行動なり御所感につきましては、一昨日の本会議において御発表に相なった次第でありますが、御老体をひっさげての御活動に対しまして、心ある国民はひとしく敬意を払う次第であります。今回の海外御出張に対しましては、御出発前から御帰朝の今日に至るまでいろいろな論議が行われておりますが、その中には外交の重大性、国際的利害についての重大性を閑却いたしまして、むしろ党派的なまた不純な動機によるものも少くないことを、私はまことに残念に思うものであります。総理大臣におかれましても、かかる国内の論議のために御旅行先でさだめしやりづらい思いをなさったことも多々あろうかと思うのであります。しかしわれわれは、一昨日の御演説によって明らかにせられましたごとく、今回の御旅行が国際的にもまた国内的にも非常に重大な意義を持つものであることを確信いたします。総理の御苦労に対しましては深く多とするのであります。
 総理はいわゆる外遊の成果につきましては、きわめて御謙遜な態度を持しておられるようであります。今後の事実によって判断したらよかろう、かようなことを仰せになっておるのでありますが、私はそれではかえって国民諸君に対しまして、いわば不親切な感を免れないようにも思うのであります。この際関係各国との間におけるお話合いの結果、総理の企図せられました国際親善の関係についてとか、またわが国当面最大の急務とする経済自立の目的達成に関しまして、あるいはまた海外発展等の出題につきまして、この御旅行を通じましていかなる見通しを得られましたか。おさしつかえのない範囲において各国ごとに、具体的に率直に御説明をいただきたいと思います。
#12
○吉田国務大臣 お答えいたします。外遊という言葉が悪いと思いますが、とにかく外遊をいたした成果については、これは国民諸君の御判断にまかせることとして、私の外遊は申すまでもなく、従来の日本に対する――終戦後の日本の再建等に対して列国の寄せられたる好意に対して国民的の謝意を表するとともに、従来戦争等の関係があってずいぶん日本に対して誤解があります。この誤解に対し、あるいは日本政府の考えておって、そして十分に了解されなかつた点等を明らかにすることが必要と考えて外遊を試みたわけであります。この成果はとにかくとして私の得た感じは、今日自由国家と共産国家との間の対立はまことに熾烈なものがある。ただちにこれが戦争になるとは考えませんが、戦争にならない程度で共産国の浸潤政策といいますかインフィルトレーションといいますか、と、かくこの共産国の自由国家に対する冷戦あるいはインフィルトレーション等はかなり強烈なものがある。その矢面に立っているのがドイツと日本である。ヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本、これが共産国の目標になっている。そのためにドイツに対しては、たとえばドイツの統一を共産国がしきりに叫んだ、そのために再軍備を許さずということも、これは一種の平和攻勢でありまししょう。日本に対しては中共その他から、国交は正常な関係に入ろうではないか、けっこうな話である。また日本に対して多くの注文を発する、これまたけっこうな話でありますが、これを表面から受取るわけにはいかないのであります。しかし表面から受取っておると思われる国民が相当あるように思うので、これは寒心にたえないのであります。たとえばドイツについて言えば、ドイツ国における共産国の平和攻勢なるものはどうかと聞けば、日々東ドイツからして西ドイツに数千の人間が入って来る。東ドイツにおいては、共産主義国はいかなる政治をなしておるか、東ドイツの国民はいかに苦しんでいるか、この数千の避難民が日々入って来て、そうして西ドイツの国民に実況を話をするものでありますから、西ドイツ国民の間には、いわゆる共産党の平和攻勢は憂えるに足らない、懸念するに足らないと考えておるのが当局者の考えである、これは率直に開いておるのであります。また限にベルリンに行って見れば――私は行かないけれども、行った人の話を聞けば、いわゆるベルリンの半分はやはり共産主義国の勢力のもとにある。半分は死んだ町である。夜になれば人つ子一人通らない。巡査だけが町々を巡回しておるくらいで、人影を見ないという程度であるそうであります。これをもってみても、いかにドイツ国民が共産主義国の政治、あるいはそのもとにある国民が不幸であるかということを、日々見聞いたしておるので、西ドイツにおいては共産主義に対する――共産主義の平和攻勢に対する憂いはごうもないと当局者が言っておるのは、まさにそうであろうと思います。しかしながら日本は、幸か不幸か直接に共産国の攻勢を、ラジオ以外に見ておらない、あるいは、共産主義国からして呼ばれて、そうしてその国賓といいますが、賓客、その国のお客さんとして優遇を受けた、あるいはいろいろ見せられた、こういうことを言われた、こういうことを言われたというその言葉を、そのまま日本に来て報告をする、話をする。そのために国民は相当誤られているのではないかということを私は痛感するのであります。かくのごとくしてはたして――かくのごとくしてよく日本を共産主義の平和攻勢から守り得るかということを、私は非常に疑うものであります。日本の今日――日本に対する今日の私のまわった国の気分から申する、旧敵国という感情は一掃されてしまって、日本との間に親善関係を打立て、ともにともに共産党の平和攻勢あるいは世界の平和に協力してもらいたいという気分があるから、そのためにわれわれも意外な歓迎を受けたということを私は感ずるのであります。日本国民としてこの現在の国際情勢については十分注意を払い、また考えるところがなければならぬと思います。今日――日本はこの狭い国に八千余万の国民を押し込められ、そうして従来の領土は半ば失って、資源等、あるいは食糧資源等は非常にきゅうくつになった今日から言えば、外国関係あるいは外国貿易等によって日本の将来を開拓いたして行かなければならぬときに、世界の潮流をもし国民が見誤るようなことがあれば、これは日本の将来にとってゆゆしいことになると思います。不幸にして今、日本の国民あるいは社会党の諸君の一部は、この潮流をはたしてよく見ておるかどうか……。
  〔発言する者多し〕
#13
○倉石委員長 静粛に願います。
#14
○吉田国務大臣 私ははなはだ心細く考えるのであります。またその他こまかい問題については行く先々においてステートメントを出しておりますから、大体これによってご承知を願いたいと思います。私の今申した通り、主としての考え方は親善使節であります。日本に対する誤解を解く、または日本との間の国交の回復、そのためには結局日本が中共と貿易――親善関係において日本の将来を開拓いたして行かなければならぬのでありますから、その基礎をつくった、基盤といたしたのであります。仕合せにして私の了解いたすところでは、各国政府はごく虚心担懐に私の言うことを受け入れてくれたように考えます。その効果は今後に待つよりほかしかたがないと思います。
#15
○灘尾委員 総理大臣から各国ごとのお話を伺いたいと存じたのでありますがきわめて簡単にお答えをいただきまして、あまり御発表にならぬようでありますから、これ以上お聞き申し上げようとは申し上げませんが、ただ、ただいまお答えにありました共産勢力の平和攻勢、共産勢力の浸潤政策につきましては、私どもも総理とその憂いをひとしゅうするものでございます。近時ソ連及び中共への平和攻勢がすこぶる活発化して参っております。ことに中ソ連共同宣言以来、わが国に対する攻勢は急激に強化せられつつあるようであります。ややもすれば、国際共産勢力の意図するところは、結局のところは世界の共産化であり、その目的達成のために、あるいは戦争の手段に訴え、あるいはいいわゆる平和的好餌をもっていざない、いわゆるあの手この手をもってやって来る。従って共産勢力が世界革命の野望を達成するまでは、真の意味における世界平和は期待することができぬという事柄につきまして、正しい認識を欠きまするがために、このいわゆる平和攻勢に踊らされる人々が少くない、これは総理のおっしゃる通りであろうと思うのであります。しかもまた、国内において意識的にこれに同調し協力する向も少くない。まことに日本の将来のために旋律を禁じ得ないものがあることは、総理とまったく所感を同じゅうするものであります。総理に対する質問はこの程度で打切りたいと思います。
 このような状態にもかかわらず、中国及びソ連国との間における平和的な交易のことにつきましては、できるだけ拡大し伸張する必要があると思うのであります。すでに世上これを要望する声がすこぶる高いのです。また政府におかれましても、従来種々この問題につきましては考究せられて参っておることと存じまするが、関係者の向うに行く場合でありますとか、あるいは中共からの渡来というような事柄について、弾力性のある措置が必要ではないか、かようにも考えられまするが、この際外務大臣のこの問題に関する御所見を伺いたいと思うのであります。
#16
○岡崎国務大臣 お話のように、共産圏との交通につきましては、弾力性のある措置をとるべきものと考えております。通商につきましては、かりに多くは期待し得ないにしても、自由諸国との連繋を乱さない範囲においてまた各国と協調いたしまして、その範囲においての通商の拡大はやるべきものと考えております。御承知のように、累次中共向け輸出禁輸の品目の撤廃を行いつつあります。また中共に向つての議員団の渡航であるとか、その他の団体の渡航、あるいは最近の李徳全女史の来日等につきましても、弾力性のある措置をとったつもりでおります。ただ相手方が経済なら経済、文化なら文化という面に限らず、中共共産主義の主義宣伝等が、ややもすれば経済の中に入り、文化の中に入って来る心配がありますので、この点についてはあくまでも強い考えでこれを防止しなければならぬ。ただわが国に利益の生ずるような場合は、これは弾力性を持って考えるようにいたしたい、こう思っております。
#17
○灘尾委員 ソ連及び中共の平和攻勢のことにつきましてお尋ねをいたしましたので、便宜この場合――わが国における共産主義者の地下工作が、いよいよ巧妙活発となりつつあると思われますので、私はこれに関するお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。共産主義革命の成就の条件はいろいろあろうと思います。決して一つや二つの条件ではでき上らないと思うのでありますが、少くとも現在わが国におきましては、共産党員ないしこれに同調し協力する者の数は、数といたしましては、革命を達成いたします上においてすでに十分以上であろうかと考える。しかしこれに対処する方策は、警察の取締り等だけで片づくものでないことはもちろんであります。国民生派の安定が第一の要件であることは申すまでもございませんが、私はこの際小原国務大臣に、わが国の共産運動の実情並びにこれに対する対策につきまして、この席上おさしつかえない範囲におきまして、御説明を願いたいと思うのであります。
#18
○小原国務大臣 灘尾委員の御質問にお答えいたします。最近のわが国における日本共産党の動向をどう見るか、及びこれが対策をどうするかというお尋ねでありますが、これを詳細に申し上げると相当長い時間を要するのでありますから、概要だけを申し上げてみたいと思います。
 最近日本共産党は、一昨年に見られましたような騒乱事件こそ引起さないのでありますが、決して暴力革命の計画を捨てたものではないのであります。皇居前のメーデー騒擾事件などは、その時期を誤まったために国民に恐怖心を起さして強い非難を浴びたことをみずから認め、現段階におきましては、手段としてはできるだけ穏健な手段をとっておるのでありますが、基本的な暴力革命の方針を変更したというものではないと思われるのであります。昨年末以来高度な政治的スローガンにかえまして、国民の日常の不平不満や要求をとらえて、これを巧みに統一闘争に組織するという行き方をとっておるのでありまして、現に各地に起っております労働争議等の機会を利用するのはもちろん、凶作水害等に悩む農民の動きあるいは原水爆を恐れる国民の気持などを巧みに利用いたしまして国民生活の一切の苦悩すなわちデフレも、不景気も、失業も、米価の低いのも風水害も、これらはすべてアメリカと政府のいわゆるMSA再軍備によるものである、こういう意味をもって扇動をいたしてこれに対する実力紙抗を国民の中から盛り上らせるように努めておるのであります。このH常闘争を利用いたしまして党の勢力を次第に伸ばしておることは、注意を要するのであります。たとえば今年になりましてからの地方自治団体の選挙等におきましても、共産党の得票率を見ますると、大まかな言い方ではありまするが、前回の衆議院議員の総選挙のときよりも、およそ三倍くらいの増加を見せておるのであります。ことに去る十月、中ソ両国の共同宣言が発表されまして、従来とは異なった友好的な調子で、特にわが国の関係について言及いたしまして、国交の修復、平和共存を呼びかけ、そのために具体的な戦犯の釈放、邦人の帰国、貿易問題などについて話し合おうというような態度を示したのであります。日本共産党は現在中ソ宣言にこたえる平和運動の発展ということをきわめて重要視し、なかんずく当面中ソ両国の平和五原則を守るような、いわゆる平和共存政府をつくるということに全党をあげて取組んでおるのであります。このような政府をつくることによりまして、世界革命の拠点を増大することが日本の革命を有利にし、容易にすることとなる道であり、中ソ陣営につく政府をつくること自体が、また国民を革命の道に進めることになるというのであります。従いまして日本共産党にとって、戦争か平和か、隷属か独立かという立場は、平和と独立はすなわち革命の道ということでありまして、言われるような第三勢力的立場は絶対にこれを排撃しておるのであります。むしろ日本共産党は多数の労働者、農民、市民大衆があるため、これと共闘して行くべきその行動の中で社会党の政策をたたき、結局国民みずから暴力で革命を行う以外に方法がないということを説得して、共産党の勢力に引込もうとしておるものと思われるのであります。日本共産党にとりましては、平和運動といっても、これは決して原水爆の被害を受けた日本国民が平和を念願しておるような趣旨のものではなく、革命目的そのものであることを十分念願に置く必要があると存じます。
 そこで、日本共産党のこれらの行動に対しましてどういう対策をとるべきかという問題であります。このような共産党の国民に対する思い込み戦術は、今後も次第に効果を上げるのではないかと思われるのでありますが、しかもそれがある程度に達すると、当然大きな治安問題になりますので、国民各位がこれら表面の言動の裏にある暴力革命の企図を理解してくださることに努力するとともに、共産党の地下組織と、その活動の実態については常にこれをとらえ、不法定案発生に際しては断固としてこれを検挙し、暴力革命の企図を未然に防止したいという考えで努力いたしておるわけであります。これをもってお答えといたします。
#19
○灘尾委員 共産勢力の浸潤政策ないしは国内共産勢力の巧妙きわまる活動につきましては、ただいまるるお述べになりましたが、今後ともに十分なる御注意をもって対処していただきたいのであります。と同時に、何と申しましても国の政治がよろしくなりませんと、この問題はいつまでたっても撲滅するわけには参らない。これは朝にあると野にあるとを問わず、お互いに銘記すべきことたと考えるのであります。
 次は、最初の出が国際関係でありましたので、引続き外務大臣にお尋ねしてみたいと思います。ビルマとの賠償交渉は、過般外務大臣みずからおいでになりまして、これが妥結調印を見た次第でありまして、御苦心まことに多といたすものであります。その内容につきましても、われわれはおおむね了承し得るところでありますが、これにおきましてはいずれ国会において審議の機会もありますので、本日はこれに省略いたしますが、この際懸案となっておりますところのフィリピンあるいはインドネシア等との賠償交渉は今日いかに相なっておるでごさいましよう。総理の御演説によりますれば、先般のビルマとの協定が、米国官民の間に非常な好感をもって迎えられ、またわが国がこの協定を先例として、今後フィリピン、インドネシア各国との賠償問題を逐次解決し、東南アジア諸邦との経済協力、親善強化を推進し、一面もって共産勢力に対して間隙なからしめたいというわが政策が、米国においてすこぶる歓迎されておる、かように仰せられたのでありますが、この際フィリピン、インドネシア等との賠償交渉の今日までの経過並びに今後の見通し等について、御説明いただきたいと思うのであります。
#20
○岡崎国務大臣 フィリピンとの間の交渉につきましては、御説明までもなく、大野・ガルシア協定が先方の国内事情によりまして実行できなくなりました。大野・ガルシア協定は日本にとってはずいぶんつらいものでありましたが、しかしわれわれはフィリピンとの友好関係樹立のために忍んでこれを受諾しようといたしたのでありますが、不幸にして先方の都合によってこれはできなくなりました。しかしながらそのままにしておくのもはなはだ残念でありますので、先方といろいろ話合いを続けました結果、やむを得ず大野・ガルシア協定をやめて、新しいスタートにおいて、新しい考えからさらに交渉をやり直そうという話合いになりまして、これに対してただいま準備中でございます。まもなく何らかの具体的な措置ができることと考えております。もっともだだそれだけで交渉がまとまるという意味ではありませんけれども、新しいスタートから新しい角度でこれを検討してみて、できるだけ早くまとめたい、こう考えております。
 インドネシアにつきましては倭島公使を先般特派いたしまして、先方と話を続けておりますが、インドネシア政府におきましては選挙を来年に控えておる関係もありましようか、なかなか決断が困難なようであります。それとインドネシアに対する貿易上の貸越し一億数千万ドルありますのがからんでおりまして、まだ解決の曙光というところまでは参っておりませんけれども、できるだけ早く何とかいたしたいという考えから、引続き倭島公使に各般の観点から検討さして交渉さしております。またその他にも仏印三国との話合いがあるのでありますが、これはごく軽微なものではありまするけれども、やはりこれも話合いを続けております。この方はあるいはそのうちに具体的な成果が出るかと考えます。
#21
○灘尾委員 次に伺いたいと存じますのは韓国との国交調整の問題であります。これが今日なお解決を見ませんことは、自由主義諸国間の協力の上から申しましても、また共産勢力に対処する上から申しましても、またわれわれ日韓両国民の生活の上から申しましても、まことに不幸なことと申さなければならないのであります。韓国側にも種々事情がありましょうが、わが国といたしましてもいろいろな面おいて不都合が少くないのでありまして、ことに漁業関係等におきましては非常に困っておる、また国内治安の上からも韓国人のために非常に迷惑しておることは明らかな事実であります。われわれは一日もすみやかにこの合理的解決を得たいと熱心に要望するものでありますが、今日いかなる段階になっておりましようか、これにつきましても簡単に御説明をお願いいたします。
#22
○岡崎国務大臣 これにつきましては私もまったく同感でありまして、早く何とか目鼻をつけなければいかぬと思っております。両国間の話合いによって解決したいという希望はなかなか実現できませんので、中途におきまして米国を仲介にしてやりたいと考えまして、この方も種々試みておりますが、まだはっきり申し上げるようなところまで行っておりません。先方は第一には、この前の日韓会談の際に発言しました久保田代表の一言をとらえて、非常な反対を唱えておりましたので、われわれは久保田代表の発言は、これはもう取消す用意ありということを申しておりましたが、すると今度は日本が韓国の財産の八五%を要求しておるというような非常にとほうもないようなことを申しておるのでありまして、この点でも私はそんな意思は全然ないということは明らかにいたしておるのでありますが、ずっと進んである程度まで解決ができる見込みがついたと思いますと、どうも何らかの壁にぶつかって、またそれが逆もどりをするというような状況であってはなはだ残念でありますけれども、おっしゃるように漁業問題もあり、国内の韓国人関係の問題もありますので、でき得るだけ忍んで解決に導きたい、こう考えて引続き努力をいたしております。
#23
○灘尾委員 フィリピン、インドネシアとの賠償の問題あるいは韓国の問題等、いろいろご苦心の多いことと思うのでありますが、どうぞ国民の熱望するところでありますので、常に努力を続けてすみやかにその成果が得られますようにお願いし上げたいと思うのであります。
 次に私は大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。一作品の本会議における御演説やら、また本日のこの委員会における御説明によりましても明らかなごとく、政府は二十九年度予算の編成にあたりまして国際収支の均衡を回復し、経済自立の基盤を確立するために通貨価値の安定をはかり、経済の健全化を推進することをもって、財政経済政策の中核としておられるわけであります。これに伴い昨秋以来財政規模の圧縮、金融の引締めを中心とする一連の経済健全化政策をとって来られたのでありますが、本年の二月以降漸次その効果が現われて参りまして、物価の下落、国際収支の好転を見るに至りまして、今日までおおむね所期の成果をあげ、わが国経済は全体としてかなり改善をせられて来ておるようでありますが、この点はお互いとしてまことに喜ばしいことと申さなければなりません。しかしながら大蔵大臣も申されましたごとく、この成果を持続いたしまして、さらに特需の減少に対応する正常輸出の伸張、外貨収支の実質的改善をはかり、進んでわが国経済を拡大均衡に導きますためには、さらに幾多の努力と国民の忍耐とを必要とすると考えるのであります。
 これに関連いたしまして二、三の点について御所見を伺いたいと思うのであります。まず二十九年度当初予算並びに今回の補正予算を通じまして、ともかく大蔵大臣は一兆円のわく内に予算を圧縮しておられるのであります。政府として当初の基本線を維持しておられるわけでありますが、これにはかなり苦しい点があろうかと思います。われわれといたしましても財界の問題を考えて参りましても、また一般国民生活の状況から考えてみましても不満足な点も少くないのであります。しかし経済自立達成の大目的のために、いわゆる忍びがたきを忍ぶという心持におきまして、また国民諸君にも特にごしんぼう願うという意味を込めまして、まずまずこの程度でやむを得ないかというふうにも存ずるのでありますが、それにつきまして本年度はもはやこれ以上予算の補正をなさらないのかなさるのか、この問題についてひとつ伺ってみたい。
 それからまた来年度、すなわち昭和三十年度のことを考えますと、地方交付税の交付金でありますとか、義務教育費の国事負担金でありますとか、生活保護費でありますとか、あるいは賠償関係の経費等当然増加すべきものがあろうというふうに考えるのであります。一兆円のわくを三十年度において堅持するということは、ただいまの状態から申しますと、かなりの困難があるのではないかと想像せられます。大蔵大臣のこれに対する御所見は、一体どうでありましようか、またこれに対しいかなる方針をもって今後臨まれるお見込みでございましょうか、その辺のことについてまず伺いたいと思います。
#24
○小笠原国務大臣 お答え申し上げます。政府の施策に対する国民各位の御協力によりまして、漸次国際収支が好転しつつあることはまことに喜ばしいことと存じております。ただ、ただいまの、さらに補正予算を出すようなことはないかという第一のお尋ねに対しましては、私ども必要なものは全部盛つた所存でございますから、さような考えは持っておりません。なお、三十年度の予算もやはりいわゆる一兆円予算の枠を堅持するか、こういうお尋ねに対しましては、私ども先ほどお話がありましたように、地方交付税交付金とか、業務教育の教員の負担金とか、あるいは賠償その他の問題も絡みまして対外支払いを要するものとか、いろいろ増加する部分も予想されますけれども、しかし歳入の状況から勘案いたしまして、あくまでこの方針を堅持する必要があると存じますので、私どもあくまでこの線を堅持し、そうして経費は重点的、効率的にこれを拝聞することにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#25
○灘尾委員 次に最近の貿易事情、あるいは供米代金の支払い状況、またこの補正予算というるよなものをあわせ考えまして、本年度間の対民間収支はどういうふうになるお見込みでありましょうか。私は、再度の支払い超過によりまして、再び民間購買力を増大し、物価の高騰を招くおそれがありはしないのかと思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。さらにまたそのおそれありといたしまするならば、これに対してあるいは貯蓄の増強というよらなことを考えることが必要となって来るのではないかと考えるのであります。終戦用の時代におきましては、今日のごとき経済事情のもとにおきましては、必ず政府は国民的な大きな運動を巻き起されたと思うのであります。私は、今日の場合といたしましては、かようなことについても考える必要があるのではないか。近ごろ政府が国民運動というふうなことを提唱することにやや遠慮がちなようにも見受けられるのであります。さような遠慮は御無用に願いまして、国民とともにこの問題をやって行くという態度が望ましいのではないかと思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。
#26
○小笠原国務大臣 仰せのごとくに、国民貯蓄運動その他はきわめて肝要であり、現に私自身もすでに三回ほどそれがために演説等もいたしておる次第でございまして、相当貯蓄運動を熱心にやっておるのでございますが、なお今後ともこの点については十分な運動を国民的に展開いたしたいと考えております。
 そこで大体、それでは一体どういうことになっておるかということにつきまして、少し数字的に申し上げておこうかと存ずるのであります。一般会計におきましては、予算に基く収支の見込みとしては、前々年度剰余金の使用四百七億円のみが散布超過の要因となっておったのでありますが、予算の執行に伴いまして次のような散布超過の要因が見込まれるに至っているのであります。すなわち第一は、出納整理期間中に行われる支出で、昭和二十八年度の分は八百四十一億円であったのに対しまして、本年度分は補正予算の編成もありまして、約五百億円と見られるのであります。差引三百四十億円が本年度中にわける散布超過要因と見られます。
 第二は歳出繰越金でありますが、今の補正によりまして不用または節約見込額約三百億円を財源として使用しておる関係もございまして、本年度予算減額中繰越しになる金額は、前年度の一千二百八億円に比べますと、約三百億円程度下まわっておりまして、この三百億円程度の減少額がやはり散超の要因を見込まれるのであります。従いまして一般会計では年度間合計一千四十三億円の散布超過を示すものと見ております。
 それから外為会計について申しますると、本年度に人ってから国際収支が著しく改善をされましたので、現段階では年度間約一億七千九百万ドルの外貨受取り勘定が予想されますので、これにおいて約百四十四億円の散布超過となるものと見込れるのであります。その他の特別会計につきましても、当初予算による食糧証券増発見込み等で三百三十一億円程度の散布超過を生ずるものと考えられます。
 なおそのほか輸出振興によりまする輸出入銀行への貸付進渉を主な原因とする約二百億円程度の散超要因があります反面、指定預金の年度引揚げ予定等の揚超の要因もありますので、以上を総合いたしますると、本年度の財政資金対民間収支は約一千六百億円程度の散布超過になる見込みであります。この散超の見込みも、要するに前年度予算の影響と、国際収支の改善による為替特別会計の散超が原因となっておるのでありまして、今回の補正予算に伴う直接の散超見込みはほとんど考えられません。また供米状況に関連する散超も、当初見込額以上には出ない見込みでございます。かれこれ財政と金融を常に一体的に考えて、よくこの間の調整をとって処理いたしたいと考えておる次第でございます。
#27
○灘尾委員 今回の補正予算におきましては、財源として税収入の面におきましては、法人税だけの増収を見込んでおられるのでありますが、そのほかの税収についてはどういうお見込みでございましょうか。ごく簡単にお答え願いたいと思います。
#28
○小笠原国務大臣 きわめて簡単に申せば、大体同額ぐらいと見込んでおるのであります。もし詳細を要すれば、一応の見込みを詳細に申し上げます。
#29
○灘尾委員 なおこれと関連いたしまして、これはあるいは経済審議長長官に伴うことかもしれませんが、二十八年度の国民所得につきましては、先般新聞市場で五兆九千余億円という数時を拝見いたしたのであります。本年度における国民所得につきましてのお見込みを伺っておきたいと思います。
#30
○愛知国務大臣 二十九年度の国民所得でありますが、ご承知のように当初五兆九千八百億円と見込んで参ったのでありますが、結論といたしまして大差なく、大体ある程度の増加はあろうかと思いますけれども、六兆円を若干上まわる程度の実績が見通されるのではなかろうか、かように考えております。
#31
○灘尾委員 次に資金運用部の資金、簡易保険の資金の現状と今後の見通しを伺いたいと思うのであります。資金の重要は、災害関係においてまたさらに増加したのでありますが、運用計画の変更の御意見がありましょうか、どうでしょうか。もしありとすれば、その内容をご説明願いたいと思うのであります。
#32
○小笠原国務大臣 資金運用部の資金につきましては、状況によって多少かわった点もございますが、しかし大体において簡易保険資金の方は、これは別にかえるほどの必要がないと存じておりますが、資金運用部資金のうちで、郵便貯金の方が、多少増加いたしておきます。従ってその増加率を見ますると相当高調でございまするので、あるいは十月末まで五百八十八億円にもどろうとしておりますから、これらについて相当期待される向きもありますが、一方失業保険とかその他源資の減少も見込まれますので、全体としては当初計画くらいのものではないか、かように考えております。
 かわった分としましては、例の輸出入銀行の方へ三十億円、あるいは鉱害復旧事業の方へ一億八千六百万円増加した、こういうような点がかわった以外にはあまりかわった点はございません。但し補正予算の提出につきまして、国鉄に対しまして災害復旧、新線建設等に充てる等のために、三十二億円を追加運用することに決しました。
 また地方債に対しましても、災害復旧その他所要の資金として三千億円追加いたしたいところでございますが、これは今後の資金運用部及び公庫等に対する運用計画の削減とも関連いたしますので、今後の郵便貯金と原資の状況とをにらみ合せて、この運用計画の改正をはかりたい、かように考えておる次第であります。
#33
○灘尾委員 この年末におきましては、中小企業につきましての困難性が一層深刻化するものと考えられるのであります。中小企業の問題はわれわれの最も心配する問題の一つであります。政府におきましても十分遠慮せられておるものと思いますが、その年末金融については政府はどういうふうな、お見通しを持っていらっしゃいますか、またいかなる対策をお考えになっていらっしゃいますか、簡単にお答え願いたいと思います。
#34
○小笠原国務大臣 中小企業に対する年末金融につきましては、昨日も本会議で申し述べたのでありますが、私どもといたしましては期限を、十一月、十二月等に到来するいわゆる指定預金をそれぞれの三箇月延期いたしまするとか、あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫、そういったものに対する第四・四半期予定分を資金繰上げ使用せしめるとか、あるいは商工中央金庫に対しましては、これは日本銀行から若干資金の振りかえをいたしまするとか、かような措置をとりまするほか、何と申しましても一番大きな関係は、普通銀行がどうやってくれるかということにかかるのでございますので、普通銀行に対しまして一店別に話をいたしまして、普通銀行の銀行協会からそれぞれ各銀行に対して、特に中小企業金融に一段と努めるようにという相当綿密な通牒をいたしておりまするので、その点かなり効果があろうかと存じております。
 なおいろいろよく下請け業者等に対する支払いの延滞等も言われますので、かようなことについても先般それぞれ金融関係業者に集まっていただきまして協力方を頼んでおります。このようなことで、年末金融はさまで心配なく私ども円滑に行けるものと考えておる次第であります。
#35
○灘尾委員 通産大臣にお伺いいたしたいのであります。いろいろお伺いしたいこともございますが、時間の関係がありますので……。当面の石灰鉱業の不況の問題はまことに心配がありますので、これに対する対策につきまして御質問をいたしたいと思います。
#36
○愛知国務大臣 石灰の対策につきましては、政府といたしましても非常に頭を悩ましている点でありますが、緊急対策と恒久対策とにわけまして、先般来いろいろ対策を講じております。それからその他の緊急対策につきましては、まず第一が過剰貯炭の対策でございまして、十月末に全国の貯炭が四百二十万トンというような相当異状な額になっておりまするので、とりあえず大口需要者及び官庁に対しまして、極力繰上げ講入をするように要請いたしまして、すでに国鉄については十万トン、防衛庁においては、二万七千トンというような程度の繰上げ購入を決定実施いたしておるのでありますが、さらに電力部面等に対しましてもこの際相当量の追加購入を要請いたしまして、関係金融当局その他との間にも順調に話が進んでおります。なお中小炭鉱向けの緊急なる金融措置といたしましても、たとえば中小企業金融公庫の融資の限度を、再建整備資金について一つの企業当り最高二千万円まで引上げるよう、そういうような緊急措置をとりましたので、九州地区その他におきまして相当額の金融の貸出しの実績をあげているような次第であります。
 第二は生産の適性な制限をあわせ行う必要があると考えまして、最近に至りまして業界との折合いも意見の一致を見まして、十二月以降ある程度の制限の実現の見通しを得るに至りました。
 第三には、これと関連いたしまして失業対策でございますが、とりあえず十月早々予備費の中から三億余円、予算の節約分から一億円弱、合計約四億円を緊急支出いたしまして、鉱害復旧事業の繰上げ実施を行うことといたしましたが、これによりましては約一万人の炭鉱失業者の吸収をし得る見込みであります。さらに御審議を願っておりまする補正予算案に計上されておりまする失業対策事業、公共事業並びに緊急就労対策事業によりまして、炭坑失業者を中心といたしまして約二万七千人の失業者が救済される見込みでございます。
 第四には石炭の需要の管理、重油の消費規制等でございますが、これらにつきましてはかねがねの方針によりまして一層重油の消費規制を強化いたしまするとともに、総合的の燃料対策において遺憾なきを期したような次第であります。
#37
○灘尾委員 輸出の振興その他につきましていろいろ伺いたい点もございますが、時間の関係もあるようでありますから省略いたしまして、次にこの補正予算の中の一つの項目でありますところの地方財政の出題につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。
 自治庁長官おいでにならないようで、ありますから、大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。地方財政の窮乏ということが今日大きな問題となっておりますことは、すでに御承知の通りごございます。私は地方財政はこのままにしておきますと、これが崩壊してしまう、まことに恐るべき段階になつているのではないかと思う一人であります。本年度の予算におきまして本年度の地方財政といたしまして最も心配せられておりましたところの警察予算の不足に加えまして大規模な災害が各地に続発いたしましたので、財政的な困難というものは一層増大して参ったように心配されておったのであります。この補正予算によりまして警察関係の措置がとられましたので、地方財政上の困難は大分緩和せられることは認めるのであります。しかしながら過去において生じておりまするところの赤字の問題。これは数時は正確かどうか存じませんけれども、二十八年度末の決済によりますれば、実質的な赤字は地方団体としては四百五十億円になんなんとする数字を示していると、かようにも言われているのであります。また本年度におきましても終業関係の補填その他若干の今度財源措置をいただきましたので、非常に緩和せられたと思いますけれども、まだやかましく申しますと財源の措置の問題が残っているのじゃないかというふうにも考えられますし、さらに御年度のことを考えて参りますと、今日のような状況を続けておりますと、結局地方は人件費と公債の元利償還金で金がなくなってしまうというようなことにもなる状態にもなろうかと思うのでありまして、これが救済と申しまするか、あるいは健全化をはかりまするために適切な対策を講ずることが、非常な急務であると思います。この問題につきましては、自治庁長官がおられましたら長官にも伺いたいと思うのでありますが、大蔵大臣もどうぞ、地方財政は今日国の予算が一兆円でありますれば、地方の財政規模も大体一兆円になっておるという非常に大きな問題でありすまるし、しかもそれが崩壊に瀕しておるというような状態でございますので、過去の赤字の処理の問題、あるいは今後赤字を起さないようにするために、適切な措置をとるべく自治庁とも十分御協力をいただきたい。それに対して御所見を伺いたいと思うのでございます。
#38
○小笠原国務大臣 ごもっともなお尋ねでございまして、私どもも地方財政の膨張には相当苦心しておるのでございます。地上財政が膨張すること及びその再建計画等につきましては、中央政府の方でもやはり反省すべき点が相当あると私は思いまするが、しかし同時にまた赤字財政の原因を尋ねてみますると、これは灘尾さんもご承知のごとくに、地方の側もどうかとすると、中央で何とかやってくれるだろうといったような考え方もあったのではないかと思われる向きも相当あるのでございまして、それが最近におきまして、地方がそれぞれ時分のことは自分でやらなければいかぬという気分に大分なって参りまして、きわめてまじめに自主的再建の機運が高まってきたことは、皆さんの御協力のたまものだと考えております。そこで私どもとしては次の国会では、今までの過去の赤字に対するようなものについての処置として、地方財政再建促進法、こういうものを政府提案といたしたいという所存で、目下検討をいたしておるのであります。
 なお本年度の資金繰りにつきましては、昨日提出いたしました補正予算案で御承知のごとく、相当政府としてなすべきことをいたしたいと思うのでございまするが、いずれにいたしましても、地方団体が自主的に財政再建計画を立てて、誠実にそれを履行してくれることが何よりの前提と存ぜられますので、国としてなすべきことは十分なさなければなりませんが、地方団体の再建こそ、一番地方財政の建直しを早くするゆえんである。かように考えておる次第でございます。
#39
○灘尾委員 地方財政の今日の窮乏の原因がどこにあるかその責任がどこにあるかということをせんさくして戻りますと、これはいろいろな原因があろうかと思います。大蔵大臣仰せのごとく、過去における地方財政の運営におきましてあるいは放漫に失したというような点もなきにしもあらず、これはもうその通りであろうと思うのでありますが、同時にまた国の方の側におきましても、措置すべき財源措置も十分してやらない、そういうふうな関係、あるいはまたいろいろな仕事を押しつけてしまうというふうなことで、地方の赤字が累積したということもこれは明らかな事実であろうと思います。これは中央、地方ともにお互いに協力しこの建直しをはかって参らなければなりません。従ってただいま仰せになりましたように、過去の赤字を整理いたしましていわゆる再建整備計画を立てる、これにつきましては政府におかれましても、適当な立法措置を講ぜられますとか、あるいは地方自治法その他を改正いたしまして、地方のいろいろな財政支出をなるべく切り詰めて行くというような措置を講ぜられる必要もございましょうし、いろいろくふうをしていただく必要があろうかと思います。これにつきましてはなるべくすみやかにひとつ成案を得られまして、国会に提案していただくようにお願い申し上げたいと思うのであります。
 なお今年度の地方財政の困窮につきましては、補正予算によりましてただいまお話のごとくにある程度緩和せられましたが、しかし地方がいろいろな意味におきまして、資金を必要としておることもよくおわかりだろうと思うのであります。ことにこの年末の地方財政がもし逼迫しておるようなところがありましたら、ぜひ適切な措置をとっていただきたいと思うのであります。これはお願いいたしておきまして、次に移りたいと思うのであります。
 災害対策の関係につきましては、わが党の同僚の委員から別に質問をせられる予定になっておりますので、大体これを省略いたしたいと思うのでありますが、私はただ一点、地方財政の困難なことは前申した通りでありますので、今回の補正予算の執行につきましても、また災害対策を実行いたしまする上において必要な地方起債の手続等につきましても、なるべく手遅れにならぬように、ひとつ早く手続を運ぶようにおとりはからい願いたいと思うのであります。これは別に御質問ではありません。要望にとどめておきたいと思うのでありますが、このたびの災害の中で特異なものといたしまして、私は瀬戸内海方面の高潮による道路、港湾あるいは海岸、堤防、耕地、塩田等の被害がすこぶる多かったことを認めるのであります。これにつきましては、これらの地方が去る昭和二十一年のいわゆる南海地震以来、地盤沈下の現象が顕著となり、そのために高潮の被害が多くなったものと考えられておることは御承知の通りであります。政府においても過去数年間いわゆる地盤賃か対策ということで、年々相当な予算を計上しておられるわけでありますが、その結果今回の災害におきましてもこれが相当な効果をあげておるように考えられるのであります。私ははたしてこの地盤が沈下しておるのか、あるいはまた水位が高くなったのか、その正確なことは承知いたしませんが、とにかくきわめてやっかいであり、困難な問題であります。しかもこれらの瀬戸内海ないし島嶼部の地方の住民にとりましては、まことに不安きわまりない自然現象が存在することは、これは間違いないことであります。このたびの災害にいたしましても、単なる災害復旧ではその効果を期待しがたいのであります。のみならず、残された部分、つきましても今後いつかような目にあうかわからないというふうな不安にさらされておるわけであります。この国土狭小な日本におきましても、特に土地の狭いところに大勢の人口を持っております瀬戸内海方面の地方におきまして、まさに生活の根拠が脅かされておる、こういうふうな問題でありますので、これに対しましては政府におかれましても、十分に科学的に周到な御調査を願い、この被害防止に関する根本的な結論を得ていただきたい。すなわち恒久的対策樹立の必要が非常に緊切であると考えるのでありますが、これにつきましてどういうようなお考えを持っておるか伺いたいと思います。
#40
○小澤国務大臣 灘尾さんにお答えいたしますが、お話のように南海地震以来、瀬戸内海付近の地盤が非常に沈下いたしまして、この結果年々災害ごとに高潮が起りまして大きな被害をこうむっておったのであります。従いまして、私の方といたしましては昭和二十五、六年からこの根本的な調査をいたしまして、結局事業量で大体、九十億程度の金で、この地盤沈下対策をやって参ったのであります。しかしそのやられた額というものは、本年度の予算を入れましても十五億にすぎませんから、さらに明年度で少くとも三〇%程度はやりたいと考えております。問題は計画は立っておりますが、予算の裏づけがないので遅れておるような次第でありまして、災害復旧に対しましてはその点を十分考慮して善処したいと考えております。
#41
○灘尾委員 治山治水の問題ということは、災害のあるごとに言われておる問題であります。昨年の災害によりまして政府におかれましても治山治水に関する対策協議会というものをお設けになって、十分御調査の上で、たしか十箇年計画をお立てになったと記憶いたしておるのであります。その十箇年計画によります経費から見ますと、二十九年度に盛られました経理というものは、ほんとうに言うに足らぬものであります。財政の関係上やむを得ないといえばそれまででありますが、この問題をかような状態でいつまでも放置しておきますというと、日本はつぶれてしまうというような気持さえするのでありまして、これはかれこれご質問は申し上げませんが、農林大臣におかれましても、建設大臣におかれましても、ぜひこの治山治水対策の確立、ないしこれが実行ということにつきまして、格段の御努力をお願い申しあげておきたいと思うのであります。
 次に緊縮政策の過程におきまして、まことに気の毒なことでありますけれども、いわゆる失業者が増加するということは、これは免れがたいことであります。かれこれ申し上げますと長くなりますので、簡単にお聞きいたすのでありますが、今日失業の状況はどういう傾向にありましょうか。なお今後増加する見込みでございますか。あるいはまたこの失業に対しまして、労働省といたしましては、どんな具体策をおとりになっていらっしゃいますか、簡単に御説明を願いたい。
#42
○小坂国務大臣 御存知のように労働力人口というものは、毎年八十万人前後ふえて来ておりまするが、最近になりまして七月ごろを推計してみますと、約百万人と称されております。この増大いたします人口が労働市場を圧迫しておりますが、今もお話のように、緊縮政策に伴いまして、非常に気の毒な方々が一方出ております。しかしこれは、日本経済を拡大均衡に持つて行きますために、どうしても通る必要のある過程でございますのでこの期におきまして、これらの方々に対しましては、できる限りの措置を講じたいと考えております。初回失業保険の受給者は七月に九万を数えておりましたのですが、現在ではこれが七万人程度に若干小康状態を得ておるのであります。これに対しまして失業保険金を給付いたしまするソースは、今回の補正予算におきましては国庫負担分――三分の一でございますが、二十八億二千二百万円、全体といたしまして八十四億六千七百万円を考えておりますので、これによりまして四十九万四千人、三〇%増しを予定いたしております。また一方失業対策費におきましては、八億五千万円を増加いたしました。これは第一・四半期におきまして十五万七千人、第二・四半期におきまして十六万三千人、第三・四半期におきまして十七万六千人でございまするが、第四・四半期におきましては、これによりまして十八万六千人の就労を考えておる次第でございます。その他緊急就労対策費として九億六千二百万円、これによりまして二万五千人を考えております。その他通産大臣からもお話がございましたような鉱害復旧事業を繰上げて行いますとか、あるいは公共事業との組合せを考えて行うために、失業対策協議会を設置いたしまして、場所的にあるいは時期的に、重点的に考慮を払い、この間に遺漏なきを期したいと思います。
#43
○灘尾委員 問題は若干違いますが、労働大臣にもう一つ伺いたいと思うのであります。
 今日賃上げ闘争がかなり活発に行われておるようであります。ことに比較的有利な立場にある三公社、五現業というふうな方面の諸君が、活発な闘争を展開しておられるのであります。実力行使という名のもとに、私どもから考えますと違法な行動ではないかと思われるような行動もとっておられるようであります。勤労者の諸君の生活上の御苦労は十分お察ししなければならぬのでありますが、国民全般に耐乏生活を、要請しなければならないときでありますので、できる限り功労者の諸君におかれましても協調をいただきたいと思います。これらの問題につきまして労働大臣の御所信を伺ってみたいと思います。
#44
○小坂国務大臣 お答えいたします。官公労、公労協に関する問題につきましては、一方においては人事院がその給与の勧告を行い、一方においては調停委員会なり、あるいは仲裁委員会というものが、それぞれの独自の立場において、この給与を考えて行く建前になっております。本年のところは人事院も給与の改訂勧告をいたしませんし、また公労関係の調停委員会におきましても――現在調停委員会の段階でございますが、御承知のように卸売物価はこの一月から見てみると五%程度下っている。一方CPIはほとんど横ばいないし下降の傾向である。今年のところはいわゆるベース・アップというようなことはやめて、しかしいろいろな公企体の実態もあるから、他の問題については、団体交渉で平和的に処理してもらいたいという勧告を出されております。政府といたしましてもこの線は妥当なものと考えまして、問題を平和的に、話合いによって処理してもらいたいと考えておる次第でございます。一方今御指摘のような、いわゆる実力行使の名のもとに、事実上の争議行為が相当行われるのでありますが、この問題につきましては、現に公労法は御承知のように十七条におきまして争議行為を禁止いたしております。正常なる業務の運営に支障を来すごとき一切の行為を禁じておるのでありますから、公労法適用の職員も法律を守ることについて、どうか民主的な原則に従っていただきたい。ことに調停の段階が過ぎれば、また仲裁の段階があるわけでございますから、それぞれの機関に従って、あくまでも民主的な労働運動における大きな組合である実態にふさわしい動きをしてもらいたい。かように考えておる次第であります。
#45
○灘尾委員 最後に厚生大臣にお伺いしたいと思うのであります。いわゆるボーダー・ライン階層というものが、一体どのくらいあるかということにつきましては、各方面で研究せられておることと思いますし、厚生省におかれましてもその御研究があるのじゃないかと存じます。昨年でありましたか、厚生省の御調査によれば、約八百万人いうふうなことを言われておる向きもあります。最近は一体ボーダーライン階層は、どのくらいの数字にたっておるのでありましょうか、それをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#46
○草葉国務大臣 私どもの見当からいたしますと、最近は大体百四十万世帯、約七百人程度と見込んでおります。
#47
○灘尾委員 八百万人にいたしましても、七百万人にいたしましても、私は昨年の八万人より少いことはないのじゃなかろうかという気持がいたすのでありますが、少くなっておればけっこうであります。しかしこれらのボーダー・ライン階層の問題というものは、きわめて重大であると思うのです。あるいは失業対策において、労働省がいろいろやっていらっしゃる。あるいはまた、厚生省で生活保護の他の措置を講じていらっしゃいますけれども、そのどれにも入らないと申しますか、そういうふうなものもあるように思います。またきわめて元気な人が生活保護を受けて、年とった人が失対で働いておるというふうな事実もあるように思うのであります。かような層における保護対策につきましては、どうぞ今後労働省ないし厚生省ともどもによく御検討をいただきまして最も適切合理的な保護策を立てていただきたい。これをお願いいたしまして私の質問を終りたいと存じます。
#48
○倉石委員長 川崎秀二君。
#49
○川崎委員 私は吉田総理大臣に予算委員会、本会議で質問するのはこれが最後になるものだと、大体予測いたしております。
 顧みれば昭和二十四年以来十数回にわたって、吉田総理大臣の御教示を受けておりますことは、まことに感謝にたえざるところでありまして、この国会において非常に御育成をいただきましたことを感謝をいたすものであります。
 まず総理大臣に質問をいたしたいことは、この春私が予算委員会の冒頭で質問いたした際には、ちょうど保全経済会事件が突発したころでございました。冒頭に質問いたしたことに対して総理大臣の御答弁は、疑獄事件の内容がわかったならば――全貌という言葉をお使いになりましたが、全貌が判明すれば政府としては責任をとり措置をする、こういうことであったわけであります。その後全貌がわからないうちに、造船疑獄の核心問題に触れるや、指揮権発動という重大なる事態が起り、かくてこれらはすべてうやむやのうちに瓦解したのであります。その後国会はきわめて不明朗なる運営状態に陥り、最後には、まことにわれわれような乱闘事件まで引起して、議会全体が多かれ少かれ国民の前にこうべをたれて自粛をしなければならぬことになったのは御承知の通りでありますが、私をして言わしめれば、その責任の大半は吉田内閣の無責任なる態度にあると思うのであります。(「その通り」拍手)しかるに、このことが起ったにもかかわらず、総理大臣は国民の非常な憤激をよそにして外遊をせられました。外遊をせられて、諸外国ではこれらの事情についていろいろな鋭い批判があったことを御承知であります。日本の政治、国会の運営状態、政党政治のあり方について、海外の諸国が相当な批判をしておる。私は吉田総理大臣に伺いたい第一点は、各国の復興状況がどうであろうとかなかろうとかいうことでなくして、諸外国から受けられた印象のうち、日本の政治運営に対して外国はどういう批判と印象を持っておるか、まず総理大臣に率直にその感想を伺いたいのであります。
#50
○吉田国務大臣 お答えをいたします。日本の政治状態については、諸外国においては何らの疑念を持っておらないと思います。日本の民主政治はますます発達をしており、現在の状態においては何らその前途について憂えるところなしと考ておるのが列国の考え方であります。
#51
○川崎委員 私が質問を申し上げておるのは、日本の政治状態が民主的に育っておるとかどうとかいうことではありません。この春以来疑獄事件あるいは指揮権発動というような重大な事態が起って、すでに諸外国の新聞はこれに対して痛烈な批判をしておる。ことに国会の醜態については、国家自身の責任はもとよりであるが、吉田内閣の責任が最も大であるとイギリスの各新聞も論じておるし、アメリカの中にもそういう批判が起っておるのであります。そういうことをお聞きにならずしてお帰りになったかどうか伺いたいと思います。
#52
○吉田国務大臣 私は寡聞にして承知いたしません。
#53
○川崎委員 驚き入った心臓でありますが、質問を続けさしていただきます。
 今日国民が政治に対して非常な不信を持っておりますのは、汚職事件ももとよりでありますが、やはり指揮権発動ということの暴挙に対して、これはまったく前代未聞のことであるというふうに感じとつておるのではなかろうかと私は思うのであります。汚職事件はもとより純減すべきことではありますが、明治以来わが国の国会にも前例のなかったことではないのでありまして、たとえば松島事件における箕浦勝人氏であるとか、あるいは帝人事件の三土忠造氏であるとか、鉄道疑獄事件の小川平吉氏であるとかいうような有名なる政界人がこれらにかかったことは、古い例をあげずとも明らかであります。しかし終戦後といえども、われわれの党に所属しておる芦田均先生も、今日昭和電工事件の関係において裁判法廷に立っておる。西尾末廣氏ももとよりであって、これらの総理、副総理という重大なる地位にある人が疑いをかけられ、検察側では証拠を握ったという瞬間には、これは当然起訴をされて裁判法廷に立っておるのでありますから、国民の間には、大物政治家はたとい起訴されても最後には無罪であるというような、非常に不快な印象がありますけれども、それでもそれらの政治家の受けておるところの政治的な制裁というか社会的な制裁というものは非常に大たるものがあると思う。それでこそ法律の前に人は平等であるというこの憲法の精神が生かされておるのであって、そのことを隠蔽するような指揮権発動ということが行われたことが、今日国民の最も憤激して吉田内閣の退陣をひた押しに迫っておるところの重大なる原因だと私は指摘せざるを得ないのであります。吉田首相は、去る八月十日、世間では吉田暴言といっておりますけれども、この最後の方は、その後新聞社の方から非常な強い抗議があって、さすがの吉田総理大臣も、自分でしっぽを出したと言って訂正をされておりますが、しかしこの最初の方の、問題になった、汚職事件の指揮権発動は自分は信念を持って断固として行ったのだ、しかして政党の記帳が不十分であることは当然でありますということを言っておる点は訂正をされておらない。私は吉田総理大臣に伺いたいが、あなたは指揮権発動をしたことは今日でもよいことだと思っておられるのでしょうか。その点を伺いたいと思います。
#54
○吉田国務大臣 まず第一に御答えいたしますが、私は、しっぽを出したと申したことは記憶がございません。また指揮権発動は法律に定めるところによっていたしたのであります。これに対しては、私は、政府としてはなすべきことをなしたのであると考えております。
#55
○川崎委員 法律に定めるところであるから悪いことでもするということでありますか、よいことだと思っておられるかどうか、その点を伺いたい。
#56
○吉田国務大臣 悪いことと思ってやるはずはないのであります。これは常識の問題であります。政府はそのことを正しいとして指揮権発動をいたしたのであります。
#57
○川崎委員 それでたいへん明瞭になりました。
 次に伺いたいのは、これは本会議でもしばしば質問にはなっておるのでありますが、まだ分明にされておらぬ点が多々あると思います。九月の初め、衆議院の決算委員会は今回の疑獄事件の内容並びに指揮権発動のいきさつについて、これこれの人の喚問が必要であるとして、その筆頭に吉田総理大臣があり、その他重要なる閣僚の名前もあげられ、佐藤幹事長の名前もあげられたと思います。そして、これを喚問するかいなかということについては、議長の決裁も必要でありますから、議長がこれに対して承諾をするかどうかということも、外遊前のことでありますから相当に紛糾をいたしましたけれども、最後に提議長はこれに対して、喚問をすることは当然であると承認をされたわけであります。しかるに、公務多端に名を寄せて、その後出席もせず、また外遊後も出席をされておらぬが、ことに外遊後に出席をされておらぬのはどういう理由によるのか、この際明白にしていただきたいと思うのであります。
#58
○吉田国務大臣 出席を拒否したについては、法律上法廷の手続きをいたしております。病気のために出席いたしませんでした。
  〔「そんなに元気がいいじゃないか」と呼ぶ者あり〕
#59
○川崎委員 怒るほど元気のいい状態であって、病気のためだといって出席をしないということは、私には、また世間、ここで見ておられる方もわからぬこととは思いますけれども、一応病気のためだということにいたしてもよろしいけれども、しかしながら外遊前の理由は、たしか公務多端ということであった。私はあらためて吉田総理大臣の議会政治に対する御信念のほどを承っておくが、公務多端のうちには議会政治というものは――議会に出席するということは公務の上の方になるのですか、あなたの公務多端ということになると、大分順序は下のように思いますけれども、その点に対する明白なる御答弁を煩わしたいと思います。
#60
○吉田国務大臣 お答えいたします。順序は、上下はともかくとして、事実公務多端のために出席できなかったということであります。
#61
○川崎委員 決算委員会に最近出ないのは病気だということである。しかるに今日非常に血色よく出ておられるのであるから、すでに決算委員会の要求されておるところの四日には、必ず間違いなく出られると思うのですがどうです。四日に出られますか。
#62
○吉田国務大臣 出るか出ないかはそのときのからだの状態によります。(笑声、拍手)
#63
○川崎委員 驚き入った御答弁であつて、あえてこれ以上お話をすることはないと思う。
 そこで、私はじようだん話は別にして、決算委員会に出ない、この出ないということについては、相当に世間では憶測がある。それは指揮権を発動したところの裏面というものがある。四月十七日、佐藤幹事長は、新聞紙上によれば、すでに逮捕許諾の稟請があった瞬間に、さすがに政治家らしく腹をきめられて、もはやこれは出るところへ出て勝負をつけなければならない。自分は、潔癖ではあるが、しかしすべては世の批判にまかせなければならぬという態度でおられ、首相も一時は幹事長の更迭を決心された瞬間もあったということが報道にも上がっておるし、また首相の談話として、当時幹事長の後任問題に対して、自由党の処置について御指示があるようなことも新聞に載っておったときもあるのであります。しかるにこの指揮権発動が行われたについては、佐藤君の事件というものは、あるいは佐藤君一人にとどまらず、相当奥深いものがあるのではないか、これは吉田総理大臣を喚問をしなければどうしても聞けない点があるのではないかというのが、今日国民の非常に大きな疑惑になっておる問題であって、その点決算委員会に出ればどうしても証言をしなければならない。証言というものは、今の予算委員会の問題のように、出るか出ないかはからだの都合でわからぬというような無責任な答弁では済まされない。よって決算委員会を回避せられたと私は思うけれども、佐藤君の事件があのように発展をして行くけはいを見せたから、従って吉田総理大臣は指揮権を発動したのではないか、この点に対する明白なる御答弁を煩わしたいと思います。
#64
○吉田国務大臣 諸君またあなたの思惑、推測は御自由であります。しかし
ソース: 国立国会図書館
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