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1947/07/02 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第21号
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1947/07/02 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第21号

#1
第002回国会 農林委員会 第21号
昭和二十三年七月二日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○種畜法案(内閣提出、衆議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○競馬法案(内閣送付)
○馬匹組合の整理等に関する法律案
 (内閣送付)
○國営競馬特別会計法案(内閣送付)
○森林資源造成法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
  ―――――――――――――
   午後一時四十二分開会
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。最初に種畜法案を議題に供します。この法案につきましては、昨日質疑を終了いたしましたので、本日は最後の処理をいたしたいと思いますが、大体問題のところも出盡し、又御意見のあるところも出盡しましたので、直たに討論を省略して採決に付したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(楠見義男君) 御異議ないと認めますので、これから採決いたします。本法案について原案通り可決することに御賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔総員起立〕
#4
○委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて本案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。
 次に農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題にいたします。先ず平野政務次官から提案理由の御説明を伺います。
#5
○政府委員(平野善治郎君) 只今議題になりました農業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を申上げます。
 農業協同組合の組織は、御承知の通り金融事業を主的とする連合会は他の事業を兼営してはならないという制限がございまするほか、現行法には何らの制約がございません。併しながら協同組合といたしましても、これが独占的な性格に発展いたしますことは、経済民主化の見地から避けなければならんことは申すまでもないところでありまして、即ち私的独占の禁止に関する法律、及び経済力集中排除に関する法律の精神は、農業協同組合にいたしましても、亦適用せられますことは、これを容認しなければならんと思うのであります。
 この意味合におきまして、今回の改正案によりまして、農業協同組合連合会に対してその事業の兼営の範囲に制約を加えようとするのであります。即ち現在は連合会の事業は、信用連合会を除いて包括的な兼営が認められているわけでありますが、これを事業目的別にそれぞれ別個の連合会として組織せしめるのでありまして、その事業種別は信用事業、購買事業、農地の管理等の直接農業生産に関係する事業、販賣事業、共済事業、及び農村生活、文化の改善に関する事業でありまして、これらの事業は相互に兼営することを禁止することにいたしたのであります。尤もこの原則に余りに狹く拘泥いたしまするときは、連合会の機能発揮を甚だしく困難とする結果となりまするので、連合会がその本來の事業として行う事業の目的を達成するために、通常必要とする範囲におきましては、他種の事業を兼営することもできることといたしたのであります。
 以上がこの改正法案の内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いたします。
#6
○委員長(楠見義男君) 暫時この問題について懇談をいたしたいと思いますので、速記を中止いたします。
   午後一時四十六分懇談会に移る
   ―――――・―――――
   午後三時二十一分懇談会を終る
#7
○委員長(楠見義男君) それでは次に競馬法案と、馬匹組合の整理等に関する法律案及び國営競馬特別会計法案を議題にいたします。先ず初めの二つの法律案について、農林大臣から提案の理由を御説明願います。
#8
○國務大臣(永江一夫君) 競馬法案について提案理由を御説明申上げます。
 現在競馬は日本競馬会の施行にかかわる競馬と、地方競馬の両建で施行して來たのであります。競馬が馬事の振興、國家財政への寄與、國民に健全なる娯樂を與えること等の点につき、極めて大きな寄與をして來たことについては御承知の通りであります。特に昭和二十三年度におきましては、八月以降馬券の総賣上見込額は、國営競馬においては四十億二千四百八十万円、地方競馬においては二十九億一千七百万円、政府收入は國営競馬から十五億二十一万円、地方競馬から地方財政の收入となる額が、二億四千八百九万円となりまして、浮動購買力の貢献をしてインフレの抑制には多大の貢献をしているものと思われるのであります。
 然るにこれが施行の主体たる日本競馬会、都道府縣の馬匹組合又は馬匹組合連合会等は、私的独占禁止の建前上解散をせざるを得ないような状況になりましたので、急遽本法案を提案することとしたのでありますが、本法案におきましては、從來日本競馬会が施行して参りましたいわゆる公認競馬は、これを國の直営とし、地方競馬はこれ亦都道府縣の直営としたのであります。
 國営競馬における競馬場の数、開催回数、開催日数、勝馬投票法等につきましては、大体從來通りの建前を踏襲しております。
 尚時代の要求と公正な競馬を行うため、馬券の拂戻は勝馬投票券の券面金額の百倍を超えることができなかつたのを、今回この制限を撤廃し、又本法に拠らざるいわゆる闇競馬に特に重刑を科した外、全面的に罰則を強化いたしたのであります。
 從來の日本競馬会の資産及び負債につきましては、これを政府に継承することができることとし、競馬の円滑な移行を期した次第であります。
 地方競馬におきましては、競馬場の数、開催回数、開催日数、勝馬投票券の発賣、控除率、拂戻及び監督規定等從來と全く同樣であります。特に改変しました著しい点を査げますれば、農林大臣の競馬施行の許可権を廃しました外、馬券税、入場税及び中央馬事会納付金等一切を挙げて、これを都道府縣の收入となしたこと、又馬券の拂戻に対する制限の撤廃と罰則の強化は國営競馬と同樣であります。
 尚本法の実施に伴いまして、從來の主催者であります都道府縣の馬匹組合連合会の所有しておりました競馬に必要な資産は、都道府縣がこれを継承することができるのでありますが、爾余の資産及び負債も亦一應都道府縣が継承することができるのであります。併しこれらは農業協同組合連合会及び農業協同組合は他に優先して、これが資産を賣却することができることとした次第であります。
 最後に、この法案は一應本法律施行の日から一年間の有効期限を附したのでありますが、一年の後に更に継続すべきや否やを檢討するという趣旨であります。
 以上簡單でありますが本法案の主たる内容について申上げた次第であります、何とぞ愼重御審議の上速かに可決あらんことをお願い申上げる次第であります。
 引続いて次の馬匹組合の整理等に関する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 馬匹組合はすでに御承知のように、從來の畜産組合及び同連合会が、昭和十八年法律第四十八号農業團体法制定の際、馬に関するものと、その他のものとに分割され、馬に関するものについて、畜産組合法を改正した馬匹組合法を根拠法として、馬事の改良発達を図る目的を以て設立されたものでありますが、新らしい農業協同組合法の制定に伴い、当然解体されなければならなかつたことは、同法の制定の際にも、衆議院の附帶決議とされていたのであります。
 農業協同組合法も制定以來すでに半歳を経て、今や全國的に着実にその設立が進められている状況であり、かたがた競馬制度の改革問題も進展を見つつある諸般の情勢を勘案いたしまして、馬匹組合の円満且つ速かな解体を行い、新たなる農業協同組合の健全なる発展を期するために必要な措置を構ずるために、本法案を提出した次第であります。
 以下本法案の内容の要点を申上げます。
 第一は、既存の馬匹組合は、本法施行後五ケ月以内に解散しなければならんのであります。これは比較的短い期間であり、馬匹組合におきましては、事務の処理上やや困難が伴うものと考えられますが、一日も早く本來の協同組合組織を発展せしめますためには、馬匹組合を長く存続させることは、好ましくありませんので、そこで速かなる解散の措置を採つたのであります。
 第二に、馬匹組合の財産を協同組合に讓渡させる措置を採つた点であります。馬匹組合の財産について、馬匹組合の組合員を組合員とする農業協同組合に対して、優先的な讓渡を認めるということは当然でもあり、且つ協同組合の健全なる發達を期する上からも必要と存ずるのであります。
 以上簡單でありますが、本法案の主なる内容について申上げた次第であります。何とぞ愼重御審議の上速かに可決されんことをお願い申上げます。
#9
○木檜三四郎君 只今大臣が言われた競馬法の説明に、二十三年度とありますが、二十二年度ではありませんか。(「見込だよ」と呼ぶ者あり)
#10
○國務大臣(永江一夫君) 八月以降の見込です。
#11
○木檜三四郎君 ああ、見込ですか。
#12
○委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#13
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。それではいろいろな法案が混つて大変恐縮でありますが、次に森林資源造成法の一部を改正する法律案を議題にいたします。この法律案は本日参議院に先議としてこの委員会に付託せられました。只今から提案理由について政務次官から御説明を伺います。
#14
○政府委員(平野善治郎君) 森林資源場成法の一部を改正する法律案につきまして、御説明を申上げます。
 森林資源の造成を確保いたしますため政府は、造林事業に対し、森林資源造成法によりまして、農林中央金庫をとて拂込金額の倍額の額面の造林証券を発行せしめ、その事業の実行後額面金額を支拂うことによりまして、実質的に造林費の半額を補助することといたして参つたのでありますが、その証券の発行限度は、総額にして三億円に限られていたのであります。而してこの三億円の申します数字は、本法制定当時即ち昭和二十年初頭の物價を基準とし、当時の輪林を要する面積約九十三万町歩を造林するに要する費用として算定されたものでありました関係上、その後の物價の変動によりまして幾ばくもなく引上に要することになつたのでありますが、一應三億円を使用し切るまで法律の改正をなさず、今日まで運用を続けて來たのであります。併しながら造林費の公定價格の数回に亘る値上の結果、遂に極く近い將來においてその頭打を予想される状況と相成りまして、ここにその金額の増加を絶対必要とする段階に立至つたのであります。
 ところでこの三億円の現在の造林費によつて計算し直しいたしますと、約百六十億円と相成る勘定になりますが、この総額計上制度は、今後数年度に亘る財政支出を法律によつて承認する形となり、年度独立の予算原則と牴触する嫌いがありますので、今回からは、会計年度を以て区切ることとして、一應現時の造林費を基礎といたしまして、年度額面金額十五億円と決め、これに必要な改正措置を構じようとするものであります。
 以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。何とぞ愼重御審議の上速かに御賛成あらんことを切にお願い申上げます。
#15
○委員長(楠見義男君) それでは只今提案理由を伺いました森林資源造成法の一部改正について御質疑をお願いいたします。
#16
○藤野繁雄君 食糧供出確保の際にも申上げて置いたのでありますが、我が國の現在の状況から考えて見まするというと、赤松の虫害のために松が立枯れしつつあることは皆さんの御承知の通りであるのであります。又今朝のラジオによつて見まするというと、東京にもこの害虫が入つて何とか対策を構じて東京より北に行かないようにしようという、東京の対策も聞いたのであります。この害虫を駆除すると駆除しないとによつて、我がの國森林資源が涵養されるか、されんかの境であるといつても差支ないような重大な害虫であるのであります。又一方食糧増産から申しますと防護林をなくなしてしまい、食糧増産にも支障を來たすのであります。又我が國は観光地として外國人を招んで行かなくちやならないのでありますが、観光地のよい松は殆んどこの害虫にやられて、観光地としての資格がないような状態にもなりつつある現在の状態であるのであります。私はこの際政府が森林資源の涵養をされると同時に、この松の害虫の駆除を徹底的に行いまして森林資源が十分に涵養されるようにお願いしたいと思うのであります。又この害虫の駆除に対しては相当多額の費用を要するのでありますから、政府はこの害虫駆除が如何に困難であるか、如何に多額の費用を要するのであるかということを十分に御檢討の上にこの方面に対する金の支出については十分の覚悟を以て御処置あらんことをお願いする次第であります。又これに対して政府は如何なる対策を持つておられるか、政府の対策を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(平野善治郎君) 只今藤野委員からお尋ねがありました松の虫害の件でありますが、この虫害によりまして木林生産、森林保全並びに食糧増産或いは観光等につきまして非常な害をなすことはお説の通りでございます。政府としても十分にこれに対する対策を立てたいと思いまして、只今いろいろ計画を作つておる次第でございまして、御質問の御趣旨全く御同感でございます。尚細部の具体的な問題につきましては林野局長官から御質明いたします。
#18
○政府委員(三浦辰男君) 補足して簡單に申上げますと、現在の予算に組んでありますのは、一億一千万心を民有林の補助に四月からこれを組みまして、かかる見当で予算の方にお願いをいたしております。この駆除につきましてはこれが特別によいというよい方法がまだ発見されません。五種類ばかりの昆虫類でありますが、現在のところ皮を剥ぎ、その皮を枝葉と共に又集めます。そうして地下に入ります根の部分を剥ぎ取つて共に燒却をする。早期に発見をして、そういうようなことをしておるのが大体でございますが、最近はその燒却はうつかりすると山の火災を起すということからD・D・Tの研究を今やつてその濃度の点まで來ております。尚この昆虫類に対しまする外敵の発見ということも試驗場その他でやつて貰つておりますが、それはこの方法であれば最も樂に経費が少くてできるという、唯一無二といつたような名案がないのが遺憾でございますので、学校方面、試驗場方面の昆虫、或いはこういう被害の方に権威のある方に集まつて頂きまして、委員会を設けて早急これを退治しなければならない。こういうふうに考えております。
 尚遺憾なことには、これに合せまして、最近宮崎縣の福島町方面、杉の産地として有名な飫肥地方に、「ひばの木くい虫」というのが発生いたしました。これは府縣と協力して、差当り予算的措置も間に合いかねますので、安本方面とも連絡の上に、町の被害の補助経費をそれに充てて、後は予備金その他で処置をして頂く連絡の下にやつております。
#19
○平沼彌太郎君 只今御説明の、森林資源造成法の、即ち造成証券は三億を十億に増したというお話ですが、これは苗木の額とインフレの関係で特に有利でないということは、現在一町歩植林するのに二万円乃至三万円かかるので、先程の御説明は二分の一とおつしやいましたけれども、四分の一であれがなつたわけではないかと思いますけれども、あることは結構ですが、併しながら現在例えば昨年伐つた山の收入で、今年植林しようと思うと、殆んど物價変更のために立木の全部を造林に充てても足りないところへ、二分の一をここで出資証券に出資しろといわれて出資し、補助は一年後であり、その間植林に非常な金がかかるということになつて、一体全体こういうふうな方法で植林が完全に行くかどうかということは非常に疑問なのでございますが、先程も安本の金融課長からのお話によりますると、農村金融特別会計がうまく行きそうであつたのが、まずくなつた。私達はその十億の出賃証券で一時借りて入れてやるという方法を非常に頼りにしておりましたのですが、それが大体まずくなつてしまつたとなつたならば、如何なる方法でその出資証券の金を生み出すか、無理に預金を出してすれば結局造林ができないというようなことに帰着するのですが、少くとも三億が五億になりますれば、十五億の半分の七億五千万円というものは出資証券に出資する金になります。それに対しての方法を考えて頂かなければ、結局これは画餅に等しいものになると思うのであります。これに対するお考えを伺いたいと思います。
#20
○政府委員(三浦辰男君) 只今平沼委員の御指摘されましたのは、私共も実は最もその点を遺憾と思つているのでございます。実はこの法案提出が誠に遅くなつたのもその点を実は指摘されたのでありまして、今日一万円の仮に造林をいたしまする場合、その費途はその半額である五千円でこの証券を買つて、一方一万円の経費を投じて造林を行い、その後に初めて終つたことを証明して貰つて、この証券を返すことによつて初めてその五千円の補助を受ける、こういうことは、一万円の造林をするのに一万五千円の資金がなければならんことになつて、必ずしも奨励ということには成りかねるのではないか、この点も亦指摘された一つでありまして、先程來話が出ております農林の特別会計が相伴いまする場合、極めてこれは意味のあることになるので、その点は誠に遺憾な点でございます。ただこの上は私共といたしましては、中金方面と十分な連絡をいたしまして、この証券を買つてから後にその造林事業が終るまでの期間が長くならないように、いわばそういう運用上の関係を中金と十分連絡をして、この御活用を願いたい、かように存じております。
#21
○池田恒雄君 私は林野局長官に御質問して置きたいんですが、茫漠とした質問でありますが、先日この委員会で森林保全に関する決議案が満場一致で可決されたのでありますが、私はこれは非常に重要なことだと思います。委員各位は現在の森林の状態を見て、そうしてこういう憂慮する点があるから、國会でこういう決議をするということになつたことだと、こう思うのであります。私も実は森林の状態を見まして、最近非常に濫伐というのか何か、いわゆる裸になつている面績が多いのであります。この状態をいろいろ聞いて見ますと、これは戰爭中に相当濫伐が行われた、こういうのであります。私は先日宮城縣の北から岩手縣にかけて、自轉車で旅行したのであります。この道路筋では殆んど山が裸になつておる。そうして非常にそこは私に取つては親しい道路でありまして、確かにこの道はいつか來た道だと思つて見ておつたが、全く勝手が違う、それ程までに山の形相が変つて、更に私が見て歩くときに、いわゆる伊達街道で有名な松がなくなつている。どうして松がなくなつたかと聞きましたら、これは松根油を作るために堀つて行つたと簡單に答えた。私は戰爭中は大分無茶をやつたものだと、この農民の、言で感じたのであります。ああいうものを僅かに松根油が欲しかつたということで根つこを堀り返すなんということは、非常に過去の歴史を無視したりなんかして無茶をやると考えたのでありますが、終戰後においても相当山が裸になつております。これは非常に重大なことじやないかと思います。この際私勉強のためにお伺いして置くのでありますが、どういうような形式を取つて、そうしてあのような沙漠を作り出したか、且つそういう沙漠が今日どういうふうに、どのような面績になつておるか、これは國有林の方ではなく、私有林の方について数字的にお伺いして置きたいと思うんです。お答えは少しゆつくり数字を読んで頂きたいと思います。
#22
○政府委員(三浦辰男君) 只今の御質問にお答えいたしますが、実は数字は今日は手持はありませんが、昭和十四年頃までは植裁と伐採とが大体均衡を取つております。それから十八年頃までは伐採に対して約七割程度まで植裁の面績が見合つておりました。つまり三割は放置されたという形でございました。その後その恰好が長かつたが、終戰の二十一年には民有林で以て百二十五万町歩程度の穴がある、つまり伐採したけれども、そのまま植えるべきところを植えないで装置しておるという面績になつておる。國有林の方におきましてもございまして、その後植裁をしなければならん土地であつて、そうして植裁をしていない土地が現在は約百七十七町歩程度あるわけであります。その外に更に病膏肓に入つたとでも申しましようか、一つのそこに補助的な工作をして後植裁を必要とするいわゆる禿赭地、眞裸ないわゆる秀山といわれておる山が二十五万五千歩ございます。それらに対しまして、政府はこれを五年間の間に先りまする分に対しまして、植林勿論今まで欠けておりましたその補いをその間に附ける、こういうことで計画を持つておるのでございます。
#23
○池田恒雄君 こういう代採がなぜ起つたかということをお伺いしたい。
#24
○政府委員(三浦辰男君) その点に何しましては、昭和の三、四年までは、いわゆる今日における日本の土地から木材を生産されました量は、凡そ三千五百万石程度でございます。それがその当時におきましては、樺太方面からパルプとなつて來るもの、或いはパルプの原木となつてそのまま入つたものが千五百万石以上ございます。又米材におきましても、一千万石を超えた年も昭和七年頃まではありました。そういうようなことで消費量は六千五百万石ぐらいございましたが、併し段々と輸送力が詰りました結果、これをいわゆる日本の國の中で生産をしなければならんようになりまして、昭和十二年頃には七千万石近いものが今日の版図の中で伐られました。作戰の拡大或いは戰地におきますところの経済工作というような関係から、ますますその量は増されまして、昭和十七年、十八年におきましては実に一億二百万石に達した実績です。計画ではございません、檢査数量でございますが、実績を挙げた。こういうふうに非常に急激な上り方をして伐採をして参りました。又薪炭におきましても、石炭、電氣等の面が家庭、その他の方の使用制限から非常に要求をされまして、凡そ昭和の初めの頃は統制その他の規正はございませんが、その推定約五割以上の二百二十万トンを生産したのが十八年であつたと思います。そういうような非常ないわゆる電氣がなければ、或いは石炭がなければ、その他の燃料がなければ、或いは鉄鋼がなければ、或いはセメントがなければというような関係で、悉くこれを森林資源の関係に求められる。止むを得ずこれはしなければならんというそういう実態の結果、さようなことを招いたわけでございます。
#25
○池田恒雄君 先程私は國道筋の國有の立木ですが、伊達街道の名物の松が松根油のために掘り起されたという、非常にひどい例を挙げたのですが、その外割合に山林なんか持つておられん人でも、戰爭中強制的に用材を政府から買われて、そうしてこの事実は方々に見られるのですが、それはあるんですか、そういうことは。
#26
○政府委員(三浦辰男君) それは確かにございました。殊に石炭と船との解決、鉄鋼船との解決を木造船に求めた。その堂々巡りの石炭と鉄鋼、いわゆる船とのお互いに堂々巡りして隘路になつておるのを木造船に求めた。その結果木造船に最も望ましいところの「けやき」とか「かし」が求められた。これらのものがそう蓄積がございませんので、殊に関東平野にございます屋敷山廻りの「けやき」「かし」がいわゆる供出原木の対象になつて來たのでありまして、先程池田委員のお話になつた東北方面における平地の並木、これは日光の並木も問題がございましたが、國土の保安の点から申しますと、更に恐ろしいのは、関西方面の最も崩れ易い花崗岩地帶でも松根を掘つてそのままにした、こういうようなことは誠に遺憾でございます。
#27
○池田恒雄君 私は只今長官が御説明になつたような事実は、これは非常に小さい面積じやなくして相当廣汎な面積だと思うのです。この数字はいずれ明らかして頂けるだろうと思う。若しそうだとするならば、森林問題には二つの問題がある。少くとも今日森林問題がこういう形において表現されておるのは、戰爭中におけるいわゆる戰爭政策によるところの濫伐だと思います。從つて戰爭中において森林が伐採されて、あのような大きな沙漠を作つたということは、これは森林所有者がみずからしたことではなく、國家の計画によつてああいうふうになつたのだ、こういうふうに考えることができると思うのであります。若しそうであるとするならば、私は終戰後においてこの森林所有者に対してもつと積極的な、これは平たい言葉でいえば賠償ですが、國家がそれを今日賠償するという力は敗戰の結果ないわけですから、賠償しなくてもよろしいが、それに代るべき何らかの政策を採るのが然るべきではないか、こう思うのです。というのは私がそういう山林所有者についていろいろ話を聞く、つまり今日の問題でいうと、あなたの家ではそんなに山を持つておつて、伐つて賣つたのだから儲かつたでしよう。その儲かつた金で苗木を買つて植えたらどうです、そのくらいの金はあるでしよう、と言いますと、どういうことを答えるか。いやあれは安いうちに政府から買われたので、今日では政府に賣つた金では、あの苗木の十分の一も買えないのですという。そうすると、あの人達は政府から木を伐られたときには、非常に安い價格で、その用材は苗木以下の値段で取られた。その人達が今治山治水がどうこういわれて、又自分自身も子孫のためにそういう森林を残したいと思つても、到底苗木さえ買えない。こういうことで沙漠のままにしておるのだと私は思います。非常に常識的な見解ですが、そう思うのです。そうするならば政府としては賠償ができなくても、もつと苗木をたやすく提供するとか、そのくらいの面倒はああいう人達に対してしなければならないじやないか。これが一つの問題になると思います。
 もう一つの問題は、そういう基礎の上に、その後において更に山林の濫伐傾向が來ておる。この濫伐傾向というものは、その後における経済的ないろいろな原因があつて現われて來たのですが、併しながら終戰後において政府当局が、こうして戰爭中荒らしたところの森林に対して、積極的施策を持たないということが、その後においても山林の濫伐傾向を生み出しておる原因をなしておると思います。この点は林野局当局は、計画的な問題ということについては國有林の方について多く考え、私有林については或いは考えていないかも知れません。いろいろな條件であればうんと儲かるから、濫伐しておるというふうにお考えになつておるかも知れませんが、こういう沙漠が無計画に作られて行くということは、終戰後において計画的な政策がないからではないかと思う。單に國有林だけではなく、私有林についても政府はもつと計画的に植栽をさせる、或いは計画的に伐採するというようなことを、私は必ずこれは統制の方式でやらなければならないと思うのではないけれども、何らかの政策によつてそれをやらなかつたら、これは非常に重大なことになると思うのです。而もそれをやらないとするならば、政府は非常に人民に対して無策である、こういうことになるんじやないかと思うのですが、その点を一つお伺いしたいと思うのです。
#28
○政府委員(三浦辰男君) いろいろの御注意誠にその通りであります。現われるところは誠にそういつた方々に対し、或いは山林そのものに対して、今のところこれというて華々しく助成その他の面に現われていないのは遺憾と思いますが、当局といたしましては、これはできるだけしたいということでやつているので、種を採りますところの五町以下の苗圃の問題、或いは苗木の問題、植えることから後の手入れまで、遺憾ながら僅かの金ではありまするが、できるだけの助成を今日財政の許す範囲内ではしている、こういうことになつております。
#29
○池田恒雄君 ただ申訳ない、だから多少でも苗木を配つてやるとか、金を出してやるとかいうことでは、私は積極的な政策にならんと思うのです。予算が少かつたら少いなりに、物がなかつたらないなりに、そういう状態の下において、何かもつと山林の計画性ということについて、政府は考えなければならないのじやないかと思うのです。政府に金がなかつたらないなりに、今度は山林所有者に働いて貰うとか又は工夫して貰うとか、とにかく政府の力と山林所有者自身の力によつて何らかの工夫をして貰わなければならんと思う。申訳ないから手拭一本置いて行こうというような乞食根性を持つていてはこれは政策にならんと思うのです。
#30
○政府委員(平野善治郎君) 池田委員の非常に高邁な御意見を拜聽いたしまして、(笑聲)政府においても全く御同感でございます。從つて只今提案いたしましたのも、御説の一端に副うようにやりたいというわけでやつているのでありまして、決して戰爭中の荒廃させた責任から政府が逃れたり或いはいろいろな曖昧模糊とした態度で進んでおるのではありません。森林五ケ年計画を立てまして、この五年の中に今度植栽する分によつて全部の復旧をしたい、その裏打ちとして再びこういうような法案を作りまして助成に乘り出して行つて、森林保全のために努力をして行きたいというのでございまして、今年は財政上の措置が十分に行かなかつたことは非常に遺憾でありまするし、又先程平沼委員のお話のありました通りいろいろ復金或いはその他の特別助成金の問題が、はつきりした見通しの附かないために、実際は活溌な造林ができ得ない実情であります。併しながらその面につきましては、今後とも撓まず努力をいたしまして御趣旨に副いたいと考えております。
#31
○池田恒雄君 私の質問はこれで止めます。
#32
○柴田政次君 ちよつと簡單でありますが、先程平沼委員から現在の造林の用費が一万や一万五千ではできないというような御指摘がありました。これは当然のことでございますが、森林造成法から見れば二分の一ということになつております。果して二万円かかるか三万円かかるか分りませんけれども、二分の一というものをここで限定した以上は、本当の出す價格というものは幾らが本当の造林費用であるかという問題が、これは数字か何かでできておりましようか、それを伺いたいと思います。
#33
○政府委員(平野善治郎君) 只今の二分の一というのは、つまりお買いになる額面金額の二分の一、こういうことでございまして、実際一反歩当り要したということは又別に考えておるのでございまして、一万円の証券をお求めになるには、五千円でお求めになつて植林を実施した場合にその一万円を政府からお拂いする、その結果半額の助成ができる。こういうことであります。尚造林費の一町歩当りにつきましては、現在のインフレ下においてそこにいろいろ御議論もあり、御意見もあるようでございますが、大体政府といたしましては、一應のところ一町歩八千円程度というようなことにして考えて見たのでございます。
#34
○柴田政次君 只今の八千円という数字を伺つておりますけれども、これは甚だどうも少いので、何かお間違いではないでしようか。
#35
○政府委員(平野善治郎君) 只今の造林費というのは大体原則としては一町歩八千円ということを申上げましたが、杉や檜、そういうようなものにつきましては又余計かかりますので、七月以降には一万四千八百八十五円というような程度に見ております。
#36
○竹中七郎君 この造林計画をやつて頂きますことは甚だ有難いのでありますが、一番問題になるのは、結局農地改革と造林という関係になつておりまして、非常に遅々として進んでおらん、かように考えますのでありますが、政府当局としては農地法と造林の方面、造林をやりましても、どんどん伐られてしまつて、なければ同じことになる、それでもまあ造林すればいいということになりますか、この点甚だ簡單でようございますが、しつかり御答弁を願いたいと思います。
#37
○政府委員(平野善治郎君) 只今農地改革と山林というお尋ねのように拜承いたしました。もつと突詰めて行きますと、開墾と山林保全ということかも考えますが、この点につきましては從來しばしば申上げました通り、又御意見もいろいろありました通り、開墾そのものの目的は國土の荒廃を目的としておらないのでございまするが、末端においていろいろな行き過ぎの状態があることは率直に私共の認めるものであります。從つて今後の開拓についてはそういうふうな行き過ぎのないような方法を講じたいという意図を以ちまして、いろいろとこれまでも通牒等を以て開拓適地として決定する場合において、山林の保全、森林の保全、國土の保全というような意味から、一方的に農地委員会のみを以て決定して行き過ぎの過ちのないようにというわけで、林野並びに畜産等と協議をしてこの決定をいたそう、こういうことになつておりましたが、その後においてもいろいろな方面においてこの行き過ぎが現われておりましたので、只今のところそういう行き過ぎの地点に対しまして係員を派遣いたしまして詳細な調査をいたさせております。そうしてその結果に甚きまして成るべく早い機会にかかる弊害を除去して、森林は森林として適当な地帶には安心をして植林が願えるという方策を立てたい、かように考えております。
#38
○竹中七郎君 開拓局と林野局との間にはつきりした妥協と申しますか、國土造成或いは森林問題というものに対して御協定がなければ、末端において非常な障碍を起すと思うのであります。この点を特に林野局長官にお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。
#39
○委員長(楠見義男君) 外に御質疑ございませんか。
#40
○池田恒雄君 今の問題でございますが、これは私は農地調整法にも自作農創設特別措置法にも法律の手続上の欠点があるのじやないかと思います。その結果開拓しようとする者、開拓したい者、こういう者が手続の欠陷から、焦つてその土地を開拓しなければならない。そうでないと、それは開拓できないかも知れない、こういうことがあつて、開拓しようとしたり、又一方手続上の欠陷から、森林を保全しようとする者が故意に何らかの手段を講じて木を植えるとか、或いは賣買をするとか、こういう方法で開拓を免れようとする、こういうようなことで問題を紛糾させると思うのであります。でありますから、これは二法案のどういうふうに法律が出ておるか分りませんが、この際そういう爭いを今までのような形で爭わせないで、もつとゆつくりと調査なら調査をしてそうして開拓するとか、開拓しないということを決めるように、山林所有者も亦開拓する人も、安心してそういうことができるような法律の手続上の問題を改正する必要があるのじやないかと思うのであります。
 私は末端における行き過ぎなんといつたつて、法律の手績規定が非常に曖昧だと、末端においてはいろいろな間違いを起すのですよ。末端において間違いの起らないような、どちらも安心して計画に乘つて行けるようなことを考えて行かなければならん、又その点を林野局長官と開拓局長が協定したというようなことでは、私は問題の紛爭は解決されないと思う。だからこれは積極的に手続規定を再吟味する必要があると思うのでありますが、そういう点に関して農林当局はお氣付きでないかどうか、こういうことを一つお伺いしたいと思うのであります。
#41
○政府委員(平野善治郎君) 只今池田委員の御説御尤もでありまして先程御説明申上げました通り、いろいろ行き過ぎをしたということは法律の解釈について不明確なものがあつたり、その他故意とは申しませんが、いろいろ行き過ぎができるのであります。從つて只今そういう行き過ぎた土地の状況につきまして詳細調べまして、その前に次官通牒で一應はやつてあつたのでありますけれども、調査の結果法的措置を講ずる方が適当であるというふうになれば、そのときにそういうふうな法令を定めて見たいというわけで今調査中なのであります。
#42
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#43
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。大体御質疑も出盡したようですから、質疑はこの程度で打切つて直ちに本案の採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(楠見義男君) 御異議ないよえでございますから、この法案について採決に付したいと思います。原案通り可建することに御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#45
○委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて全会一致で可決することに決定いたしました。
 尚この法案の本会における委員長報告の内容については、例により委員長にお任せ願います。
 それから本案を可とする方は、報告書に御署名願います。
   〔多数意見者署名〕
#46
○池田恒雄君 この可決は賛成ですが、先程私が質問した、残つておる資料ですね、これは林野局の方から出して頂きたい、こういうことにお願いいたします。
#47
○委員長(楠見義男君) それから次に、先程申上げました國営競馬特別会計法案について、提出の理由を大藏政務次官から伺うことにいたします。
#48
○政府委員(森下政一君) 國営競馬特別会計法案提出の理由を御説明申上げます。
 今回競馬法を制定いたしまして、公正な競馬を行うために競馬を國営といたしまするにつきまして、この競馬に関する歳入歳出の中、勝馬投票券の発賣に関する歳入歳出は、性質上一般会計で経理することは不適当と存ぜられますので、今回國営競馬特別会計を設置し、勝馬投票券の発賣に関する経理を明らかにいたそうとするものであります。
 即ちこの会計におきましては、勝馬投票券の発賣による收入金、勝馬投票券の發賣に伴う過誤受入金等の收入を以て歳入といたし、拂戻金、返還金、事故現金の補填金、過誤受入金の拂戻金、一般会計への繰入金等の費用を以て歳出とするものであります。
 以上の理由によりまじてこの法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
#49
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこの程度に止めまして、明日は午前十時から開会いたしたいと思います。
   午後四時十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   委員
           木下 源吾君
           高橋  啓君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           平沼彌太郎君
           木檜三四郎君
           小杉 繁安君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           宇都宮 登君
           岡村文四郎君
           島村 軍次君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           山崎  恒君
           池田 恒雄君
           廣瀬與兵衞君
  國務大臣
   農 林 大 臣 永江 一夫君
  政府委員
   農林政務次官  平野善治郎君
   林野局長官   三浦 辰男君
   大藏政務次官  森下 政一君
ソース: 国立国会図書館
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