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1953/03/23 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第2号
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1953/03/23 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第2号

#1
第019回国会 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第2号
昭和二十九年三月二十三日(火曜日)
   午後一時三十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中山 壽彦君
   委員
           廣瀬 久忠君
           藤原 道子君
           有馬 英二君
  担当委員外委員
           堂森 芳夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  説明員
   経済審議庁調整
   部民生課長   岡崎 三郎君
   農林省畜産局経
   済課長     昌谷  孝君
   食糧庁業務部加
  工輸送課長補佐  加藤 竜二君
   通商産業省通産
   局農水産課長  森 日出哉君
  参考人
   東京パンニユー
   ス社社長    西川多紀子君
   主婦連合会専門
   委員      伊東美佐子君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○粉食に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中山壽彦君) 只今から国民生活改善に関する小委員会を開きます。
 本日は粉食問題、特にパン食を中心といたしました事項について参考人及び関係省の方々に御出席を願つて御意見を拝聴することになつております。その内容につきましては、すでに各参考人のお手許へ書類を以てお願いいたしてありまする通りでありまするから、お願い申上げました角度から、御意見の御発表を願いいたしたいと存じます。
 参考人の方々には御多忙のところ、特に貴重なる時間を割いて当委員会に御出席を願いまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。当小委員会におきましては国民生活改善の一環として、最初に食生活改善を取り上げておりまするので、その中心をなしておりまするものは粉食でございまして、これが改善は国民生活改善の上に極めて重要でありまするので、各参考人からそれぞれの角度から、貴重なる御意見を拝聴いたしたいのでありまするので、どうかこの小委員会の意のあるところを諒とせられまして、隔意ない御意見を御発表をお願いいたしたいと存じます。
 なお、各委員の方々に申上げまするが、各参考人から御説明を一応願いましたのちに、各委員の御質問をお願いいたしたと存じます。御了承をお願いいたします。
 では西川さんから一つ最初にお願いいたします。
#3
○参考人(西川多紀子君) 西川でございます。
 パン食を奨励普及するためには、根本的にパンを安くすることが第一番だと思いますけれども、そのパンを安くするには、どの程度まで安くしたら普及できるかということの一つの目安といたしまして。パン屋さんが二百円以下に闇米が下ると、とたんにパンの売行きが違つて来るということを言つています。それから私ども消費者の立場から言つても、闇米が百八十円から九十円くらいですと、つい面倒な副食に手のかかるパン食よりも、お米で間に合わそうといようなことをよく言い交しております。そんなところから考えましてとにかく値段を安くしなければ、パン食は奨励できないことはわかつておりますけれども、パン屋さん側にその力がないことは、私がパンニユースというパンのメーカーを対象にした新聞をやつておつて、普段から接触しておりますのでよく存じておりますけれども、パン屋さん側にパンを安くするということは今不可能でございます。大体今パンは一斤三十円でございますが、そのうちパン屋さんの本当の原価は二十四円で二十四円から二十七円というところで、そうしてメーカーからいわゆる販売店に行つて一割かかつて二十七円のものが三十円になるというのが大体の標準でございまして、今目方には規則がございませんから、ちよつと安く二十八円でバンを売つているところは、これは目方を落したり、資材をどこか落すとすぐ安くできますけれども、大体の標準のほうは一斤三十円、それに対してパン屋さんの利益が大体三円というところで、殊に副資材のお砂糖を初めといたしましていろんな副資材、それから人件費が高騰しておりますので、今ここで全国的に少しバンを値上げしようじやないかという運動が起ろうとしておるのですが、組合などではもう少し大切な粉食奨励の時だから、今値上げをしてはまずいというので抑えておるというような状態で、パン屋さんの値下げというものはちよつと不可能じやないかと思います。そのためにどの点で安くするかとなれば、結局政府が重農主義から脱皮して、原麦を安く買つて粉を安くするよりしか方法はないと思います。この間日本製粉の中原常務のヨーロツパ旅行から帰られた話だつたのですが、イギリスの例をとりますとパン屋さんに補給金が出ておるのじやないかと思うくらいパンが安く、一斤大体日本の金に直して二十四円と伺いました。粉は国際商品ですから、そう特別にイギリスが安いということはないだろうと思いますけれども、とにかく安い。そうしてなぜ安いかというその一つの原因には、やはり大衆の食べるパンの粉はナショナル、フラワーといつて歩留りが八一%だそうであります。日本の粉は大体七六%、パンにしてアメリカは七二%だそうです。八一%というと一番歩留りの多い黒い粉になるわけで、この三つを比べますと、古い歴史のある国で製粉の技術においても、製パンの技術においても、日本なんかよりもずつと卓越しておるという原因もあるかも知れませんが、殊にそういうような悪い粉で日本のパンよりずつとおいしい、火通りもよく焼けておる。ですからパン屋さんのほうも製粉のほうも努力をして安いパンにするという方法はこの辺から考えられると思います。今は全然自由食品、自由状態になつて参りまして、製粉のほうだけが一部統制になつておりますけれども、これはもう一度もう少し前に戻して、ちよつと逆コースですけれども、やはり国民の主食ですから、もう少し政府が統制と申しますか、歩留まりを規制して、とにかく値段を根本的に安くするところから、粉の値段を安くするところから考えなければ、パンを値下げすることは無理だと思います。
 それから牛乳及び乳製品ですけれども、これは何か独占企業的になつていて、この間も急にぴよんと牛乳が一斉に一円上りましたときには、私は販売店に聞いて見ましたら、マージンは依然として三円で変らないのに、全体が上つて来る。そのとたんに消費者がぐつと減つて、販売店としても非常に困るというようなことを聞きました。そんなところについても牛乳は非常に重要な栄養品でもありますから、単に野放しにしておかないで、又会社のほうとしてももう少し牛乳の価値、公共性というものを認識して、値上げにしても、考慮したものでなければいけないと思います。今牛乳は私は思いまするに栄養というよりか、むしろ牛乳に代る栄養を摂ることは、牛乳ほどお金を払わないでも蛋白にしても、ビタミンにしてもたやすく摂ることは工夫さえすればできると思います。ですからこれはむしろパン食にふさわしい副食の一つの重要な材料として、味覚の点からむしろ牛乳を普及するように、調理の方法を普及するように持つて行くより仕方がないと思います。と申しますのは、幾ら牛乳をたくさん増産しても、アメリカや何かのように浴びるほど飲むことはできない。日本の状態ですとお薬のようにちよつと飲む、子供が飲む、病人が飲む、そんな状態ですからこんな状態しか牛乳ができないものとしたら、むしろスキンミルク、チーズ、バターとかパンにつけるということだけではなくて、もつと効果的においしいパンの副食ができるような方向に牛乳の会社についても、その関係の人たちにしても調理をとり入れる方法ということを消費者に普及宣伝するほうがいいのじやないかと思います。勿論増産して少しでもたくさん飲めるようになることにこしたことないのですが……。
 それからバターの輸入の問題が何回も出てもちつとも実行にならないようですけれども、これはいろいろマーガリン業者の反対と国内業者からの、販売業者の反対もあるようですが、とにかく私ども消費者としては何かそこをうまく考えて、一番国民に安く供給するようになつたらいいと思つております。大体そんなところです。
#4
○委員長(中山壽彦君) それでは伊東さんに一つ。
#5
○参考人(伊東美佐子君) 昨年の秋から食生活改善という政府の方針で、厚生省、都庁なども粉食奨励の下に料理講習会、展示会などやつておられますが、政府もここに眼をおつけになりましたことは私たちとして大変結構なことと存じております。
 主婦連合会では三年ほど前からこの運動にとりかかつて参りましたが、主食、副食という観念を捨てて、食生活の合理化に、凶作の対策の一助にといろいろと研究、料理の講習会、調査などやつて参りましたが、一般の家庭の状態ではまだ依然として昔からの米に依存されている向きが多いように思います。昨年の秋、米が高騰いたしましたときも、一時三百円の闇米では買い切れないということで、一食をお米に、二食を粉食に切り替えて粉食の線にも大分乗つて参りましたのですが、又聞がこのところ下つて参りますと共に、最近調査して見ますと、あべこべに米食が二度、粉食が一度という状態に戻つております。
 この理由といたしましては経済的な問題が大部分と、又食習慣というようなものがここにあるのだと思われます。大体食生活、お米とパン食における場合の例を申上げますと、一食分お米一合としますと内地米四分、押麦が三、外米が三という割で行きますと、六円八十六銭になります。闇米が四、押麦が三、外米が三、その割合で行きますと十一円八十銭、内地米が二、闇米が二、押麦が三、外米が三、それが九円三十三銭、それに副食物を朝の例をとりましたけれども、味噌汁が大体三円、その中にやはり中に入れますいろいろな材料も含まれております。干物が六円、お本日の物が大体一円と見積りましたけれども、こうしますと副食が十円うといことになりまして、一番高い闇米を使つた場合でも二十一円八十銭ということになります。パン食の場合ですと大体半斤としてお紅茶が五円、バターがこれは人造バターで三円十銭、野菜のいためたものが七円、そうしますと大体三十円かかります。大分そこに経済的な差が出て参ります。これに又更に牛乳を加えた場合にはもつと高いものになつて参ります。それに最近は砂糖はうなぎ上りに高くなつて参りますし、牛乳、マーガリン、それに加えてパンもすでに杉並区のほうでは五円、横浜では三円と値上りをしております。それからパンの質でございますけれども、十一月主婦連合会で都内の各婦人会から持寄り会をいたしましたが、そのとき専門家に審査して頂きましたところが、八十点以上のものは、本当の僅かで、殆んどがいわゆる水パンというものが大変多かつたのでございます。こういう状態でございますから、やはり食習慣から行きましても闇米を追い廻すほうが無理ではないという感じもして参りました。
 次に牛乳につきましては、二月以降値段も急に上りまして、十六円、十七円、売る店によりまして大分値段が違つて参りますけれども、平生取つております家ですと、十六円、十七円というような値段でよこしますけれども、フリーに買いに行つた場合には十八円から十九円で売るような店もございますし、安く売つている店もあるのですが、高い店によつては大変な暴利を貧つているように考えられます。こういう点で牛乳などももう少し値段という点で考える余地があると思います。又消費者のほうの現状といたしましては、この牛乳の値上げから妊産婦でさえ自分を犠牲にして子供にだけ飲ませているという現状ですし、赤ちやんの主食の牛乳も控えがちになつておりますし、又一般の家庭で今まで二本使つているところも、一本に減らすという現状でございます。先日牛乳のメーカーより公正取引委員会へ小売価格の最終価格をきめて欲しいうといような申請があつたそうでございますが、それぞれの立場で値段の見方も違うと思いますから、審議の場合は是非消費者の意見も入れて頂きたいと思つております。牛乳なども高温殺菌、低温殺菌、調整牛乳その他ビタミン入り牛乳、ホモ牛乳といろいろありますが、私ども消費者は低温殺菌で一番栄養分をそこなわない而も低廉なものが欲しいので、ホモミナイザーというような外国から機械を入れる、その代金を消費者にかぶせられておる、高温殺菌、これも機械にかけてビタミンを破壊したものに更にビタミンを入れる、そのビタミン代を会社が負うのならわかるのでございますが、消費者に最後にそれは結局かけられて行くということ、又ビタミンの混合率もはつきりしない現在の状態では、消費者として大変迷惑なことモはございます。牛乳にも品質の標示、例えば高温殺菌、低温殺菌、又夏場になりますと問題になります調整牛乳、又乳飲料、これはビタミン牛乳ですけれども、そういうものもはつきり瓶に標示をして頂きたいと思いますし、値段の点もその牛乳の内容によつて段階があつてもいいと思います。又一方牛乳の絶対量が足りないために今度の値上りがされたと言われておりますのに、一部の人でなければ買えないような高級な菓子類などに多量に牛乳やバターが廻されていると聞きますが、これは商魂逞しく、余りにも刻下の食糧事情を考えない行き方だと忿懣に堪えません。このままの状態で、以上申上げましたような状態のままで粉食奨励の講習会をやるということは枝葉末節のことで、根本的な対策として、国家が補助金を出すなり、その他の方法で乳製品、牛乳などの値を下げるようにお骨折を頂きたいと思います。
 最後に、今年の端境期の九月は内地米の配給も三日、或いはそれもはつきりしない点もございますが、十月は収穫のほどもわからんというようなことを聞きますと、私ども主婦連合会の会員としても食生活の改善、粉食奨励のために今後も一生懸命研究してやつて行くつもりでおりますが、政府におかれましてもこの際総合的対策として断固たる処置をおとりになるべきではないかと思います。以上でございます。
#6
○委員長(中山壽彦君) それでは次に一般食糧の供給全般について経済審議庁の民生課長の岡崎三郎君。
#7
○説明員(岡崎三郎君) 私経済審議庁の民生課長でございます。食生活改善は私どもの課の所管にもなつておるのでありますが、ただ現業は各省のそれぞれの所管局或いは所管省にお願いしてありますし、又私のところで若し何か問題でも起つたらその調整とりまとめ的な企画をやるということになつておるのでございます。私どもは民生課という立場でございますから、まあ一般消費者代表と申しますか、一般家庭代表というのがそもそもの建前になつておりますので、只今の御意見に大体賛成なわけでございます。ただ、只今御指名下さいましたので、一般食糧の総合的な供給面について申上げます。私どもの所で実はこの食生活改善と合せまして一般消費水準と申しますか、生活水準というものをやつておるのでございます。御承知のようにこの水準につきましては内閣の統計局でまとめておりますFIESという、つまり家計調査というものがございまして、それによつて毎月々々の金額の支出でございますとか、或いは各消費物資の数量まで或る程度出ているようでございます。
 ただ併しこれでは非常に不十分な点もございますので、これと併せまして私どものほうで一応各省にお願いしまして食糧とか或いは衣料とか、そういうもののいわば大数観察と申しますか、全体として食糧がどのくらい生産されたか、又はどのくらい輸入されたか、それから食糧以外にどのくらい廻つたかというような、いわば食糧その他消費物資のバランス・シートというものを作りまして、それによつて消費水準なり生活水準がどの程度上つたか、物量的にどの程度上つたかということを常にやつておるのでございます。ただこの方法は非常にむずかしうございますので、ぴしつとした結論は出ないのでございますけれども、これからそういつたバランス・シート的な考えにつきまして一体どの程度の供給になつているかということを申上げたいと存じます。米にいたしましても又小麦、大麦にいたしましても、主食につきましては御承知のように、非常に日本では不足しております。それで毎年々々多量の輸入をしておるのでございまして、現在では約全体で四百万トン、或いはそれ以上の主食の輸入をしておるわけでございます。全体として申しますと、戦争前の昭和九十一年に比べまして米とそれから大麦、裸麦それかもう一つ小麦こう比べてみますると、米の供給は戦前の昭和九―十一年度に比べまして、全体の食糧のための供給といたしまして、二十八年度で八二%程度にまでしか回復しておりません。それは戦前は台湾或いは朝鮮から多量の準内地米が入つて来ておつたのでございまするが、戦後それが杜絶えましたし、それに代りまして外米が入つて来ておるのでありますが、やはり八二%程度までにしか回復しておらない。ところが大麦、裸麦につきましては、そういつた米の不足ということもございまして非常に需要が殖え、それに伴つて供給も殖えておりまして、食糧としての供給量で約一・五倍、約五割がた戦争前よりも殖えております。それから小麦につきましては二・五倍になつております。それで全体としてそれではどのくらいのカロリーになつておるか、どの程度の供給の数字になつているかと申しますと、これはこれも私のほうの大数観察からの計算でございますが、基準年次では米と麦と合わせまして一人一日当りが四百二十一グラムくらい、昭和二十六年ではこれが四百二十二グラム、昭和二十七年では四百十七グラム、昭和二十八年度では四百二十六グラムというふうに殆んど全く戦前に回復しております。ただここで一言申上げておきますのは、これは都市も農村も全部含めての全国の平均の数字でございます。従つて都市だけとつてみますると、そこにおのずから多少変つて来る面があると思いますが、今のところ都市だけという数字をつかんでおりません。先ほど申上げましたように、米の消費量が戦争前の八割程度回復しております。小麦が二倍半、裸麦が一倍半ということになつておりまして、全体のカロリーと申しますか、或いは数字量においては、主食については殆んど戦前に回復しております。ただついでに申上げまするが、全体のカロリー量、つまり米のみならず副食その他を合わせましたカロリー量に或いは数量につきましては、二十七年以降の数字はまだ魚介類、肉類、乳製品等について細かい計算をしておらないのでわかりませんのですが、やはり全体として二十六年当時までは多少まだ少い。いわゆる日本の基準栄養摂取量二千百八十カロリーというところには、二十六年頃までにはまだちよつと達しておらない。私のほうの計算では千九百六十九カロリーということになつております。二十七、八年はただこれに乳牛、乳製品の増産でありますとか、そういう面が加わりますと、多少二千百八十カロリーという日本人の栄養基準量、それから昭和九年―十一年の平均の二千八十八カロリーというものに近付いておると思いまするが、大体ほんの僅か下つておるだけで、ほぼすれすれのところまで行つておるのではないかというふうに考えております。
 次に米とそれから大麦、裸麦、それぞれについて多少細かに申上げたいと存じます。先ず米についてでございまするが、内地の生産、これは僅かながら戦争前の数字よりも上廻つて来ております。例えば最近五ヵ年間の平均をとつてみますると、基準年次昭和九―十一年に比べまして、一〇四%ということになつております。併し輸入が、先ほど申上げましたようにいわゆる台湾、朝鮮というものがすつかり杜絶えておりまするので、それが回復しておりません。その他の外来がかなりたくさん入つて来ておりまするけれども、全体の供給量といたしましては、これはまだ戦前の基準に達しておりません。最近の三ヵ年平均でとつてみますると、九七・六%というようなことになつております。それでなおこれは全体の、今申げましたただ供給量でございまして、一体その中からいろいろな加工用でありますとか、或いは種籾とかそういうことに行くのが大分あるわけでございます。従つて全体の食糧としての供給量はどのくらいになるかと申しますると、一方人口の増加もございまするので、一人当りの食糧としての供給量では、先ほど申上げましたような八二%程度ということでございます。それで今度は一人当りの消費になりまするが、戦後やや安定を取戻して、二十五年から大体安定しておるのでございますが、その頃からの一人当りの消費量というものは殆んど変化がございません。むしろ昨年の下半期頃から多少落ちておる。これは不作によつて非常に闇米の高くなつたということもございまするが、そういうことで多少落ちております。それから更に遡りまして、一昨年の半ば頃から昨年の半ば頃までのこの約一年間というものはかなりこれが殖えておる。これはむしろ内地産の闇米の数量が殖えたことでございます。併し全体としてみますると、一人当りの消費量というものは大体安定しておるということでございます。それで供給に入りまして、これは農林省のほうの御所管でございますが、食糧増産計画というので、毎年毎年相当額の経費を投じましてやつておるのでございます。併しながらこれも仔細に検討いたしてみますると、一方において増産がある分だけそれだけ丁度農地、田畑が潰れたり、或いは廃止されたりして宅地になつたりというような、或いは又それが非常に老朽化して来るというようなこともございまして、自然に減少しておる。それを丁度カバーする程度ということになつております。従つて若し現在程度の米の消費を維持しよとしますならば、人口増による増加分だけは毎年殖やして行かなければならないという状況にさえなつておるのでございます。その増加分と申しますと、年々七、八万トンということになります。
 それから次に小麦でございまするが、小麦の生産はこれは昭和十四年頃非常に増産されたのでございます。その当時の数字に比較いたしますると、実はまだ及んでおりません。併しながら昭和二十四年頃からだんだん基準年次、いつも私どもがとつております昭和九―一年の生産よりもだんだん上廻つて来ております。併しながら後ほど申げますが、小麦と、それから大麦、裸麦というものは価格の関係も非常にございまするし、国際価格の関係もありまするので、麦が統制撤廃された以後は、むしろだんだん伸び悩みの状態にあります。又全体の食糧政策から申しましても農林省の政策もございまして、今後内地の生産は少しずつ減つて行くのじやないかというふうに見ております。それから輸入につきましては、これは私から特に申上げるまでもございません。大体最近におきましては二百万トンに近い小麦が入つて来ておるわけでございます。それから全体の供給の数量の中で、食糧としての一人当りの消費、これはどうなつておるかと申しますると、終戦直後からずつと殖えて来ておりまして、二十四年が最高でございます。その後は頭打ちの状態になつております。で先ほど申上げましたように昨年の米が非常に不作であつた関係で、一時昨年の十月、十一月以降から又殖えておりまするけれども、米の生産が回復することによつて、或いは又多少今後の消費は減少して行くのではないかというふうに私どもはみております。
 それから次に大麦、裸麦でございまするが、大麦、裸麦の生産は終戦後非常によくなつたわけでございまして、昭和二十六年以降は両者合せて二百万トンを下つておりません。それで内地生産が基準年次昭和九―十一年に比べまして約三割増、十四年に比べても二割の増加ということになつております。それからこれの輸入でございますが、これは戦争前は殆んど輸入しておらなかつたのでございますが、終戦後はどんどん毎年々々増加して来ております。昨年も今年も大体百万トン前後の輸入がなされておるわけでございまするが、そういうことで先ほど申上げましたように供給の総量というものは戦争の前に比べてほぼ倍になつております。その中で本当の食糧としてのこれは消費量ということになりまするが、これは二十三年、二十四年頃が最高でありまして、統制撤廃になりましでから、それからやや減少した程度で安定しております。それから今申上げました大麦、裸麦がだんだん輸入が殖えておるというようなことでありまするが、自由市場で品質競争しておりますので、その結果歩留り低下という形になつて、精麦としての供給量には大した変化を示しておりません。
 それで結論としては先ほど申上げましたようなことになりまするので、全体としての米、麦併せての供給カロリーの中に占める割合は、たしか今七割程度になつておつたかと思います。ところがずつと前でありましようか、ここに大礒さんもおられるのでございますが、食糧及び栄養対策審議会できめられた理想的な食糧構成試案というのがございます。それから申しますると、主食の穀類をこれでは五四・三%摂るのが一番理想的だという結論になつておるようでございます。それからいもで八・二%というようなことでございます。それでこの理想的な割合からいたしますると、まだまだ実は日本人は主食として穀類を食べ過ぎておる、特に米を食べ過ぎておるということは言えると思います。そういう純栄養的な観点からだけではなくて、又最近の経済的な国際収支の関係もございまして、私どもの希望といたしましては、又気持といたしましては、只今参考人の方方から申されましたように、何とかして一つ穀類、特に外米というものの輸入を減らして、もう少し麦、特に小麦、バンとかそういうものをうんと食べるようにして行きたい。それに伴つて勿論副食の問題も起るわけでありますが、そういう気持は私どものほうは完全に御意見と一致するわけであります。ただここで或いは後の問題になるかも知れませんが、問題は只今申されました嗜好の点と、それから値段の点ということになります。特にさつき申上げましたように、一時だんだん日本人の暮しがよくなるにつれまして又米に戻つて来たというような点、それから私どものほうで昨年の半ば頃、六月の数字でございまするが、これで調べてみますると、いろいろな所得階層順にとりまして、そうしてその各所得階層ごとに米なら米、或いは主食というものにどれほど金を出しておるかというものを見ましたら、大体余り所得の高低にかかわらずその金額としてはほぼ一定に近付いておる。それも勿論二、三年前までは非常にでこぼこがあつたわけでありまするが、この二十七年、二十八年になりますると、相当に各所得階層ごとの主食に出している金額というものがほぼ余り違いはなくなつて来ておるという点があるのでございます。その頃までは非常に米に対する、私たちの言葉で言いますと、所得弾性値というものが大遂かつたのでございますが、二十七年の下期から二十八年の上期にかけましては、これが非常に小くなつて来ているということでございます。ただ一面におきまして今度は所得弾性値ということではございませんで価格のほうの何と申しますか、例えば二万円なら二万円、三万円なら三万円の家計支出ができる家庭で、更に百円だけ追加されたらこれをどういう方面に出すだろうかということを調べてみましたところが、やはりこれは米がかなり大きくなつております。一番やはり米に対する割合が大きい。これは二十八年の九月の調査をとつてみたのでございますが、例えば百円の追加所得、追加支出というものになりますとそのうち五円五十九銭が主食に向きますそのうちで四円二十二銭が米に行くというようなことになつております。それから次いで参考に申上げますると、肉とか卵などには二円八十八銭というようなことこなります。まだやはり依然として米が非常に魅力を持つておる。なお私のほうの調べでも、先ほど参考人の方から申されましたように、バン食と米の食事とでは五円乃至十円くらいの差が現在のところあると一応推定されるのでございます。はつきりした統計の数字があるわけではございませんが、いろいろな人から聞き、いろいろな献立を比較してみますると、大体お話のような数字が出るのでございます。私たちも何とかして米から粉食に切替える条件、つまりそのために副食物、その中でも牛乳とか乳製品とかそういうものを安く供給し得る途はないものだろうか、又先ほどお話のありました。パン食を安くする途はないものだろうかということを検討しておるわまでございます。
 以上でございます。
#8
○委員長(中山壽彦君) それでは次に農林省畜産局経済課長の昌谷孝君から牛乳の生産価値の問題についてお話を願います。なお、本日は東辻君が御欠席でありますので、同君から牛乳の確保についてという問題につきましても併せてお話を願いたいと思います。
#9
○説明員(昌谷孝君) 牛乳の価格の問題、それから牛乳の確保の問題について申述べるようにとのことでございますが、先ず話の順序といたしまして、大体最近の牛乳の確保の問題ということが先になろかと思いますが、牛乳、乳製品の需給関係の概況について申述べさせて頂きたいと思います。
 私どもの手許で整理のできております統計で見ますと、昨年の七月―十月までが最近のものでございます。こなしておりますのが七月でございますから大体その線で申上げますが、大体粉食の問題、消費の嗜好の転換の問題等にからみまして、消費者からの需要も多いし、又農家側からいたしましても酪農業を取入れまして、現在の単調な日本の営農形態を強いものして行くということで、丁度生産者側と消費者側と両方から牛乳の増産ということについての呼吸が非常に合つておる、むしろ一昨年くらいまでは牛乳、乳製品の消費が伸び悩みまして、相当時期によつての滞貨の不安に悩んだわけなのでありますが、幸いにいたしまして昨年からは消費が非常に順調に伸びまして、そういつた製品の滞貨等の不安もなく、順調に増産をいたしております。大体昨年と一昨年とを比較して考えてみますると、牛乳総生産量で約二割の増産になつております。その中で飲用牛乳として供給されておりますものがその約半分でありまして、あとの半分が練粉乳でありますとか、又バター、チーズといつたような乳製品の供給に向けられておるわけであります。飲用牛乳としては、前年度同期に比較しまして、これ又総生産の増加に見合いまして約一九%強と、それから乳製品原料のほうが一六%程度、残りと申しますか、農家の販売用でない、農家の自家消費の面も逐年伸びておりまして、私ども持つております統計では、昨年同期に比較して大分これ又二割以上の殖え方を示しております。なお、そういうことでございまして、実は生産にあずかります私どもとしては、こういつた粉食を期待する声、それから又早く安くなつて欲しいという消費者一般の要望があるわけでございます。現在のような自由主義経済を前提にいたます場合に、そういつた価格高の問題を解決いたします最も根本的な手段としてはは、供給量を殖やすということをおいてほかにないということで、増産に極力力を入れておるわでございます。
 甚だ残念ながらこう申してはなんでございますが、最近の農業製品の中でこれほど急ピッチに逐年生産が伸びておるものは他に類を見ないと思うのでありますが、それにもかかわらずなお且つ需要に追いつかないと申しますか、消費者の全部を納得させるだけの値段が形成できない、一部の消費者だけが堪え得るような価格にしか今なつていないというような現状なのであります。これも農家側の生産費もさることながら、とにかく増産することによつて中間経費も低くなりましようし、一合当りの配給マージンも安くなりましようし、供給量を殖やすという線で供給の問題を一刻も早く解決したいというのが私どもの態度であります。
 それで牛乳の価格の問題でございますが、いろいろの見方があると思うのでありますが、一合十六円なり十七円なりという価値、而もそれが一カ月まとまりました場合に、私ども俸給生活者として相当の負担であることは身を以て体験いたすわけでございます。この価格を下げます根本問題は、今申しましたようなことであろうかと思うのでありますけれども、御参考までにその価格のことについて私どもが見ております問題点を二、三申上げます。御承知のようによくいろいろの消費物資或いは生産資材について現在の価格をいわゆる基準年次、昭和九年乃至十一年の価格と比較して値上りの状態のバランスを見るということが一般に行われるわけなのであります。今牛乳の値段を例にとつて見ますと、私どもの手元にございます統計によりますと、都市のいわゆる基準年次におきます値段は一合九銭でありまして、現在の価格が十六円乃至七円ということでございますからこの値上りの倍率は約百七、八十というところだろうと思います。その倍率の百七、八十ということで考えて見ますというと、なおその前に農家から買う値段との関係がございますが、農家から買う値段は、いわゆる納乳と申しまして、私のほうの統計調査のほうの数字をとつて申しますと、基準年次における農家の販売価格は、いろいろと統計がございますが、一つの例で申しますと、一升当り二十三銭、一合二銭三厘それが現在の段階では大体全国を平均いたしまして、原料等も比較いたしますと、五十五円から六十円、東京都のような特に飲用牛乳の消費地帯でございますと、これが六十五円から七十円近くになつておるのが実情でございます。従つて基準年次の今の統計については若干技術的にも問題がございますが、一部では十五銭という数字もあり、一部ではたしか二十三銭という数字もございますので、一概にどちらということも言いかねますが、仮に飲用牛乳の原料について考えて見ますれば二十三銭という数字が出ております。現在の六十五円と比較いたしますと約三百倍ということで、ほかにもいろいろ物資ががございますが、値上り倍率においては農家のほうはやや比較的に小額になつておるという結果になつておりす。このことは私どもの見方から申しますと、牛乳の現在の市価が高くないということを別に立証するわけではないと思うのです。ただ戦前の牛乳の消費のあり方と今日の消費のあり方との相違ということ、従つて消費の量なり、層なりが拡がつた関係で、かような牛乳の消費者価格の中に占める生産者の手取りが割合においてぐつと上つて参る、それからほかの消費物資が値上りした比較よりも遥かに少い値上りで、どうにか消費者の供給ができておるということではなかろうかと思つております。これを更にちぢめますことが今後の牛乳の消費を殖やし延いては食生活の改善に役立ち得るであろうということで努力をいたしております。牛乳の生産者の手取りが減つて最終価格が下るということの可能性も一部ございますが、なお牛乳の生産者の価格を下げなくともなお且つ下げ得る余地は、結局一店舗当りが扱う量が殖えて、又消費者が軒並みに牛乳を飲む、そういうような状態が先ほどの基準年次と今日の年次における比較においてすらはつきり出ておるのであります。これが更に消費者自体の手で以ていい方向に持つて行ける可能性を十分示唆しておるものであるとかように考えております。
 それから牛乳の場合について問題となります点は、配達制度の可否という問題であるかと存じます。現在の状態で考えまするというと、配達制度というものがかなり牛乳コストの中の二割五分程度を占めておるかと存じております。確かにこれは便利な制度でございますし、又有効需要を最も的確に喚起すると申しますか、いわば昔の配給制度に似たような一種の、多少飲みたくなくても、置いて行かれれば飲まざるを得ないというような、需要の強制を伴う感じがするわけでございます。それだけに消費者にも便利でございますし、又売るほうにも一つの消費の不安定を防ぐ意味での手段であろうかと思います。併しこの配達角度というものが現状においてはそういう意味で社会経済的に非常に重宝な不可避な制度として受入れられておるわけでございます。仮に、食生活改善という一つのテーマで消費者の方々がこの段階を省いて牛乳を手に入れる。例えて具体的に申しますと、職場でございますとか、一定の職域消費組合などのものが相当量まとまつて毎日牛乳を消費している場合には、今日の現状におきましても、直接牛乳の工場と申しますか、製造業者のほうから直接まとまつて入手することによつて配達制度の功罪相半ばすると思のでありますけれども、その配達制度の消費者に負担になる面を回避しておられる例が多々あるのであります。これが家庭単位の地域消費者組合の場合にこういつた構想が成り立つものあでるか成り立たないものであるか、今までの例において一時は成り立つても永続性がない。さようないろいろな問題があることは私も聞き及んでおりますけれども、問題の根本に触れることも勿論回避すべきではございませんが、差当つて今日只今明日からでもすぐ目に見えて三円なり五円なり安く牛乳が家庭で入手できる唯一の、唯一と申しますと少し言葉が強いかも知れませんが、最も手取り早い方法はそういつた消費者として一つのまとまつた規模を持つという、職場でやつておりますことを家庭に拡げ得ないかということが一つの研究問題ではなかろうかと、かように考えております。
 なお御指名になりました題目に含まれておるかどうか大変疑問でございますが、バターのことを多少申上げてみたいと思います。バターの問題でございますが、御承知のように昨年の秋バターが市中に非常に入手困難な事情、事態が発生いたしました。バターにつきましても、先ほど牛乳全体について申上げましたと同様に、例年二、三割、昨年も約二割の供給増をしております、国内生産は……。一部に申されておりますように、飲用牛乳の消費が非常に伸びて、その結果バターの生産が減つたのではあるまいかという御疑問があつたと思いますが、資料によつて私どもが調査いたしました結果は、牛乳も伸びておりますが、同時にバターの生産も伸びておることも確かでございます。問題はやはり牛乳の場合と同じようにそういつた二割という程度の供給増加が消費増加に追いつかなかつたということになるわけかと存じますが、バターについてどれだけが需要であろうかということを知るのに、私どもとして非常に困難を来たしておるように感じております。従つてどれくらいの過不足かということを需給計画的に、物動的に申上げることは不可能に近いのでありますが、結論的に申上げますと、昨年の暮非常に買いにくくなつたのがどうして安定をしたかと申しますと、供給も今申しましたように二割殖え、同時に価格が約一割上つて安定を取戻したわけであります。従いまして又別の面から申しますと、バター、乳肉、卵というものの所得の弾性値は大体プラスの一というふうに審議庁では数字が出ております。大体それを逆に使うことが必ずしもいいか悪いか、厳密に申しますと議論があろうかと思いますが、一割の価格の値上りということは、一割程度の一種の消費の切詰めが余儀なくされたというふうに考えざるを得ないんじやないか、さように考えております。今年の見通しの問題といたしましても、引続き二、三割の昨年に比較しての増が見込まれております。従いましてそれでほぼ、昨年の下半期は別といたしまして、上半期までの均衡状態は、一応本年中に特に需要のほうに強い要因が働きませんで、特に今一般に言われておりますように、本年下期にかけて一種のデフレ傾向が出て参るとしますならば、又そのデフレ傾向と、もう一つは外貨予算の切詰めの結果、砂糖の輸入が縮減される。従つて縮減された砂糖で相当大きな窮迫を来たすでありましよう加工部門、菓子のことでございますが、今の輸入計画のような砂糖の切詰めになりますと、結局砂糖にしわが相当厚く寄る。その結果昨年頃乳製品の約三割を消費しておつたと俗に推定しております菓子の乳製品に対する需要が、砂糖の供給減と見合いまして相当落ちるんじやないか。従つて私ども牛乳、乳製品を直接消費いたしますものといたしましては、菓子の値段が上つたり、或いは菓子が質が悪くなつたり高くなつたりという問題はあろうかと存じますが、私ども消費者の立場では、その結果がむしろ牛乳総生産は三割殖え、昨年の総生産の約三割と言われておりますものをこなしておつた菓子の需要が相当落ちて来るということになりますれば、生産の全体が殖えることに更に拍車をかけて一般の消費者需要に向かう。牛乳、乳製品の供給面には悪材料と申しますか、弱い材料、需要面から申しますれば好材料が見込まれるのではないか、さような感じで見ておる次第であります。
 長くなつて恐縮でございますが、輸入のバターの問題でございますが、私どもは只今今の日本の酪農業のあり方が健全なものではない。つまり外国の乳製品の競争に耐えないような今の日本の酪農業のあり方というものは決して本然の姿ではない。これをそういつた国際的な競争にも耐え得るような酪農業に合理的なものに一日も早くいたしたいという意味で、目下具体的に法律措置乃至予算措置をとりつつあるわけであります。輸入の問題は確かに消費者の目から見ました場合に、日本の極く少数の牛を飼つておる農家なり、それから搾られた乳で商売をしておられる極く少数のかたを守るために、一般の消費者に安いバターを食える機会を閉ざすという結果に相成つておる現状においては、誠に早くこういつた事態を脱却いたしたいと思つております。ただ遺憾ながらいきなりこれを無警告と申しますか、何らの事前の措置なしにこれをやることも、これ又農業全体との関係から申しまして余りにも刺戟が強いと申しますか、影響の及ぶところが余りにも多いということで、従来輸入について非常に煮えきらない態度をとつていた。年々百万ポンド乃至言万ポンのものはいろいろなルートを通じて輸入が現在でも行われておりますけれども、その程度の輸入が現実問題として家計に響くわけでもない。又配給統制があるわけでもございませんから、そういつたもので直ちに末端価格が安く輸入されたものが安いままに消費者に届くわけでもございません。従つて今私どもが当面しております問題としては、国内の酪農業の合理化を促進して輸入をすることが、酪農業が危胎に瀕しないようなそういつたものにいたすことが第一、それから輸入の方法等につきまして時期的なり地域的にそういつた日本の酪農業の合理化を推進すると同時に、経過的に余りにも壊滅的な打撃を与えないような具体的な調整方法をとる。それから入れた場合のバターの国内における販売が、どうやつたならば中間でその安さが消えてなくならないで、消費者のお手許までお届けし得るか、そういつた問題を当面の課題にいたしまして、一日も早くバターの輸入が可能になりますような具体的な手段は目下考慮中でございます。現に昨年その一つのテスト・ケースと申しますか、試み一のケースといたしまして二十万ポンドを本年早々入れて見て、それが四、五月に入るわけですが、そういつた試験をして見ましての結果によりまて、又更に今後の輸入の量を考えて参りたい、さように考えておる次第であります。
#10
○委員長(中山壽彦君) それでは次に、食糧庁業務部加工輸送課の加藤技官からパンの問題についてお話を伺います。
#11
○説明員(加藤竜二君) それでは私から。ハンの問題について説明をさして頂きます。
 それでパンの問題に入ります前に、麦全体の問題について簡単に触れたいと思います。麦につきましては一昨年の六月に統制が解除になつたわけでありまして、それまでは配給制度が布かれておつたわけであります。一昨年の六月統制が外れてからあとは、全くの自由という形になつたわけではないのでありまして、農家に対しては一定の支持価格で、政府が農家の生産した麦を無制限に買えるということで価格の支持を行う。それから消費者に対してはどうかと申しますと、配給制度はやめたわけでありますが、従つて消費規制ということはないのでありまするが、この消費者に行き渡る麦製品の価格というものは、家計において占めるところの米の価格との釣合をとつて、一定の線に安定するようにすることを目的として、政府は農家から買い上げました内地における麦なり或いは輸入をいたしました麦は全量政府がこれを管理いたしまして、それらを月々の需要に応じて市場に原麦を放出して行くということによつて、小麦粉なり或いは精麦なりの価格というものが、先ほど申上げましたような消費者の価格というようになるような原麦の放出をして行く。こういう建前になつておるわけでありまして、我々といたしましても消費者価格の動きというものについても非常に大きな関心を持ち、又それらの動きに見合いをとつて、管理しておる麦を放出しておる、こういう事情にあるわけであります。
 そこで外れましたあと、一体それでは産地の内麦の価格なり或いは麦製品の市場価格というものはどういつた足どりを示したかと申しますると、小麦につきましては、大体原麦の産地相場におきましても、政府の買入価格と、それから政府の原麦の払下価格の間をずつと横ばいをして今日まで来ておるわけであります。又従いまして小麦粉の価格にいたしましても、大体政府の意図しておる線を大きく動くことなしに、動きましてもそれは一%前後という動きにとどまりまして、今日まで経過をしておるわけであります。そこで昨年の十月から米の作柄が決定的に悪くなつて来たという事態と時期を同じくいたしまして、麦製品の需要が非常にまあ急激に伸びて参つたわけでありまして、これは地域的に見てみますると、地域的にもかなりの差がありまするし、又小麦粉と精麦についても若干の違いがあるわけでありまするが、小麦粉につきましては、昨年の十月から十二月までの全国で消費されたと推定される、この推定は私のほうで製粉工場に毎月原麦を売却しておりまするので、その場合の売却条件として、それぞれの工場の加工の実績というものを報告を取つておるわけでございまして、それらを集計いたしまして、製粉工場がどれだけ市場に製品を各月に販売したかということでおさえたわけでありまするが、これによりますると、昨年の十月から十二月までの粉の消費は一カ月平均に直しまして大体約十八万トン、小麦粉で十八万トンが月々消化されております。でこれによりまして、その一年前の同期と比較いたしますると、その同期には一カ月の粉の消費量が平均いたしまして十三万トンということで、増加率は三七・九%、約三八%という小麦粉の殖え方をこの十月以降示しておるわけでございます。更にこれを地域的に見まするならば、米の作のよくなかつた、闇米の価格もほかの地域に対して高い関東、東北の殖え方というものは特に著しいわけでありまして、この地域だけについて見ますれば、前年の同期に比べて五割六分殖えておる。それから一方九州のような水害の当時の影響がありましても、米の作そのものは必ずしも悪くないというような地帯においてのこれらの需要の増加というものは極めて僅かでありまして、一割程度、まあ地域的にもかなりの差はございまするが、全国的に見て三八%近い増加をこの期間に示しておるわけでありまして、でその場合若干関東、東北地区において一時的には需要が非常に急激に伸びたために若干の値上りをした所もございますが、その後政府がその関西、九州あたりの小麦粉の需要の余り伸びていない地帯から製品をこちらの加工余力を使つて作りまして、そういつたものを需要地帯に持つて来て備蓄をいたしておるようなことも行なつた結果、現在では製品の価格も全く元に復しておるというような状況でございます。
 そこでそのように小麦粉が伸びておるのに対しまして、それではパンはその間にどの程度伸びたかということを推定をしてみたわけであります。これは統制が外れましてからあとのパンの消費量の推定は、なかなか的確なものはつかめないのでありますが、一応目安としては国内で使つておりますイーストでございまするが、これは大体消費に応じて生産をされておるわけでありまするので、而もそれらのイーストは製造会社も僅かでありますので、どういつた地域に幾らぐらいということが月々わかりまするので、それによつて大体平均的なイーストの使用量で換算をいたしますると動き方はわかつて来るのであります。それで見ますると、大体昨年の十月から十二月までの三月間と、前年の同期との比較をいたすわけでありますが、去年の十月から十二月まで月平均パンとして小麦粉が消費された量は五万七千百七十トンというふうに推定されるわけであります。これに対しまして前年の同期は五万一千七十トンというふうに推定されるわけでありまして、そこでパンとしての増加率が一三%の増加という数字が出て参るわけであります。そのことは小麦全体の消費量が三八%に殖えたのに対してパンは一三%しか殖えていない。だから小麦の消費の殖え方の大部分のものはパン以外の麺なりそういつた形で需要が殖えておるのじやないかと考えられるわけであります。
 それでそのようにパンが、パン自身としての殖え方が比較的少いという問題があるわけでありまして、その原因についてはいろいろな問題が考えられるわけであります。それではパンの価格というものは統制が外れてからどういうふうになつておるかと申しますると、統制が外れまする末期におきましては、パン一食原料小麦粉百三十グラム使いまして焼上り四十八匁で、公定価格、配給価格一食九円五十銭であつたわけでありますが、統制が解除になりましたと同時に、これが十円に上りまして、一斤につきまして三十円という価格で、特別に上等なパンは別でありますが、普通の食パンはやはり一斤三十円という価格で極く最近まで来ておつたわけであります。ですから統制中に比べますれば、一食について五十銭上つておるわけであります。ただまあ品質的には或る程度向上しておるが、量目が統制中に比べれば若干減つておるというような声も出ておりますが、これらについてはまだはつきりした資料も実はないわけであります。それが先ほどもお話がございましたように、極く最近になりまして一部の地帯で値上げの傾向が出ておるわけであります。これは原料は皆そのまま動いていなくて、ほかの副資材の関係なり、或いは統制が外れてから二年近くなるわけでありまして、その間五十銭だけ上つただけでは、その他のものの値上りがカバーできないということがパン屋さんの言う意見であるようであります。そういうことで最近は粉全体としての水準は実際は動いていないのであります。大体横ばいの形をとつておるのでありますが、パン自身は粉の殖えた割合には殖えていない、そうしてその殖えていないパンが又値上りをしそうな動きがあるわけでございます。
 そこで今度はパンの加工能力というものは現在どのくらいであるかということを調べてみますると、これは昨年の十二月までに私のほうの出先で調査をしたわけでありまして、個々の工場についての実態調査でなかつたものですから、若干不正確な点もあると思いますが、大体全国的に見まして工場数が一万三千四百工場あるわけであります。そうして一ヵ月の小麦を処理する能力が九万五千トンということで、これに対しまして五万トン乃至六万トンのパンを作つておるわけでありまするので、加工能力的には確かにまだ余力があるはずであります。ただ、これにはそれぞれの工場が生産能力まで一ぱいに動くという場合の想定でございまするので、そこにはいろいろな問題があつてまあ五二・六%というように二十八年の暦年のパンの推定生産量で計算すると操業度が出て来るわけでありまするが、パン工場が非常に数が多く、そうしてその大部分のパン工場は家内工業的な規模の小さい工場であるわけでありまして、今後の問題といたしましては、パン食を進めるには粉の価格が安定して動いて行くということは無論でありまするが、パン工場における技術の改善なり、設備の改善ということによつて、できるだけよいパンを安く出して行くということが大事なことと思うわけでありまして、そういう意味で設備の問題につきましては、特に最近機械化製パン工場を作るというような動きも出ておるわけでありまして、そういつたものに対しては役所としてもできるだけの応援をして、そういつた設備を改善する工場が現われて、そういつたものについて多くの工場が設備なり技術の改善を図り、品質のいいパンができるようにしたい、このように考えております。
#12
○委員長(中山壽彦君) それでは次に、通産省通商局の農水産課長の森日出哉君から牛乳、乳製品の輸入についてのお話を承わります。
#13
○説明員(森日出哉君) 通産省の農水産課長の森でございます。先ほど畜産局の昌谷誤長から御説明がございまして、私余り附加えるところはないのでございますが、二、三気がついた点だけ補足的に申上げます。
 輸入の経過を申上げますと、牛乳の輸入というのは全然やつておりません。それからバターの輸入につきましては、先ほど御説明がございましたが、そのほか乳製品といたしましてはチーズの輸入をやつております。なお今まで申上げましたのは民需品のことでございまして、軍需品、これは我々に関係ございませんが、民需品の輸入はチーズだけであつたわけでございます。これはいろいろ理由があつたのでございますが、先ほど昌谷課長が御説明になりましたように酪製品、乳製品の輸入と、それから国内の酪農業との関係というものが非常に問題となりますので、最も国内の産業に影響が少いチーズを真つ先に輸入したわけでございます。数量を申上げますと、大体昭和二十八年度の輸入量の推定は八十万ドル、大体百六十万ポンド乃至百八十万ポンドではなかろうかと思います。それからバターにつきましては、従来在日外国人用並びにホテル用にとして若干輸入しておりました。昨年の秋バターの市場出廻りが逼迫いたしまして、需給の不均衡が懸念されたという理由によりまして、先ほど御説明になりました通り大体十万ドル二十万ポンド、それから今年になりましてから再び十万ドル二十万ポンド、合計いたしますと昨年から二十万ドル四十万ポンドというものが輸入されております。今後の見通しでございますが、まだこの発注した品物が全部は届いておらないと思うのでございますが、その後の市場の動向を待ちまして、今後どういうふうな方針をとるかということを農林省のほうとも打合せたいと思います。
 それで数字を申上げましたから、御参考までに、バターの需給関係を申上げますと、二十七年度で申上げますと、これは畜産局から頂いた資料でございますけれども、八百八十四万八千ポンドというのが二十七年一月―十二月までの生産であります。それから輸入、これは恐らく外人用ではなかつたかと思いますが、六十万ポンド入つております。それからそれらを合計しますと、九百四十四万八千ポンド、大体需要が九百四十四万八千ポンドで供給と需要とは見合うことになります。これは需要と申しましても、果して有効需要であつたか或いは又物動的な計算をしまして一人頭一日何グラム、それと人数とを掛け合したものかどうかは、その点ははつきりしませんが、二十七年は一応均衡がとれておつた。二十八年からは生産が千三十五万ポンド、それから輸入が五十四万ポンド、合計しますと供給が千八十九万ポンドになります。これも又需要ははつきりいたしませんけれども、大体前年の二〇%増しておりまして、需要は千百四十万ポンド、その差引きをとりますと需要が千日四十万ポンド、供給が千八十九万ポンドで五十一万ポンドの不足があります。そのうち一応昨年の暮は二十万ポンド程度入れたということになります。
 それから二十九年の見通しでございますが、後半期においてはいろいろのデフレ効果が現われ、外貨の引締めが行われておりまして輸入の制限があり、殊に砂糖の輸入は二十八年度は百万トン以上入つたものが二十九年は現在八十万トンに削られております。そういうようなことからしまして菓子の生産が下るというお話もございましたが、こういうふうな条件をいろいろ入れまして計算しますと、大体八十四万ポンドぐらいの不足になるだろう。これが二十九年の一月から十二月までの見通しであります。
 以上大体バター、チーズの輸入の経過について申上げたわけでございますが、問題は酪製品と申しますか、日本の乳製品の価格が高いということもございます。幾ら粉食を勧めましても、こういうふうに酪製品が非常に高いというと、十分なカロリーが摂りがたい。むしろそういうことになれば闇米でも買つて食べたほうが総体的のカロリーは高くなるということを、労働者殊に重労働者の方から言われておるわけでございますが、将来やはり国内の乳製品の価格を下げるということは非常に問題であると存じます。先ほど昌谷課長から御説明があつたかと思います。農林省の御見解によりますと、国内の酪製品、乳製品が高いのは、日本の農業が零細経営をしておつて近代化されておらない、従つて生産性が低くて非常に高いものについておるという御説明をしばしば農林省から承わつておるのでございますが、その点は今後の問題として農村関係をどういうふうに変えて行くかという問題とからみます。
 それからもう一つ、これは甚だ申しにくいのでございますが、為替のレート、今の三百六十円レートというものは少し強過ぎるのではないか。従いまして輸入する商品の価格が低い、例えば国際価格が五十セント内外でございますが、これが日本に入りますと百八十円ということになりますけれども、果して五十セントのものが百八十円の価値があるか、或いはそれ以上のものではないかということについて多少疑問があるのです。恐らく国際的に見ますと、もつと円の価値は低いのじやないか。それによりますと、輸入商品が割安であると同時に、国内の生産性が低いために、日本の酪製品が割高になつておる、二重の原因で両方に差が開いておるということを考えるのであります。
 先ほど輸入したものを、どういうふうにすれば消費者に最も公正に入るかということのお話でございましたが、これは一番いいのは、形式的に考えますと配給制をとるといいのでございますが、今の経済状態から見ましてなかなかこれは容易ではない。或いはこういう制度をとりましても所得に不均衡がありまして、配給を受けられるべきものが受けられないということが考えられるのでございますが、この問題につきましては農林省と一緒に、今後私たちも考えてみたいと思います。
 大体昌谷さんがお話になりましたから補足的に御説明申上げました。
#14
○委員長(中山壽彦君) 有難うございました。
 各委員の方から御質疑がありましたらお願いいたします。
 私からちよつとお尋ねいたしますが、牛乳もだんだん最近高くなるようですが、手つ取早くこれを安くする方法はございませんか。高くなるには高くなる原因もいろいろあるでしようけれども、とにかく高くなりましては、なかなかこの需要の面においてうまく行かないのですし、殊にパン食の奨励ということは、牛乳が高くなるということ、なかなか広く行われませんので、その点を……。
#15
○説明員(昌谷孝君) お答えになるかどうかと思いますが、先ほどちよつと申述ぺましたように、今日の段階で実施する最も実効的な手といたしましては、消費者の相当の数がまとまりまして、現在の配達制度によらずして直接牛乳を入取するという手段、これが先ず実効的な今持合せております一番手つ取早い手段としての安く入手する一つの方法かとも存じます。
#16
○委員長(中山壽彦君) そこでもう一つお尋ねいたしますが、配達制度の改善ということが口には申しますけれども、実際問題としては困難ではないでしようかね。
#17
○説明員(昌谷孝君) 配達に頼つております限りにおいては、まああれこれとどこに無駄があるというようなことを、つつけばつつける余地がたくさんありますけれども、これは全体が、牛乳屋さんだけが悪いわけではないということを前提にしますれば、一つの必然だと思うのでございます。従つて私が配達制度によらずにと申しておりますのは、私どもの職場で現に牛乳を飲んでおります飲み方のように、百本なり二百本なり、成るべく数が多ければいいわけでありますけれども、直配の可能な数量に消費者側がまとまつて、一ヵ所にまとめて牛乳の販売を受ける、そうしてそれを自分らの手で配るということでその無駄を省くというこれは消極的な改善策でございますが、差当つて実効的だと言つてお奨めいたしておりますのは、現状においてはそれなんでございます。まあ配達制度そのものの可否、むしろ主婦が牛乳を買いに行くという一つの社会習慣が確立すれば、これ又一つの方法かと思いますが、現在すぐにそれを申しましても、なかなか配達のよさというものを捨てがたいのでございます。そこの中間としては、そういつた工夫が職場の場合には、すでに実を結んでおるわけです。それが地域の消費者、家庭の場合に、今まで何回か地域消費組合というものが作られましたが、なかなかうまく行かなかつた事例もございますが、そういうような方法が若しとり得れば、東京のように相当の牛乳の消費者が住まつております都市につきましては、一つの方法ではなかろうかという気がいたします。
#18
○廣瀬久忠君 お尋ねしますが、酪農事業ですね。これについて最近岩手と山梨、長野、あそこにジャージー種を入れておやりになつておりますね。ああいうふうな事業について国策的に一定の何ヵ年計画と、そしてどういう工合にして行くという方針ですね、それをあなたにお伺いしたいと思います。
#19
○説明員(昌谷孝君) お答えいたします。お話のことは、私どもが集約酪農地域という言葉で呼んでおります一つの酪農の再編成の問題かと思います。実はこの問題につきましては、只今法案を準備いたしまして、本国会に提出御審議願いたいと思つて準備いたしておりますが、私ども集約酪農地域というものの必要性を痛感いたし、それを一地域について五年で一つの目標を達成しようと思つてやつておりますわけなんです。その内容を御説明いたしますと、現在の日本の酪農事業と申しますか、酪農業がコスト高であり、国際的に見て、非常に消費者のためから申しますと、むしろ酪農事業というものは国内でやらんのがいいくらいだ。極論すればそういうことに相成るでありましようが、その原因は多々あると存じますが、一つは先ほど通産省の森さんが言われましたように、日本の農家の経営規模の零細性ということで、諸外国のような、農家自体の問題でも、合理的な酪農経営ができないということになろうかと思います。それと同時に、それの結果でございますが、酪農というものが非常に分散的であり、小規模でやつておる。つまり具体的に申しますと、一戸一頭飼うのがむしろ普通で、統計によりますと最近殖えましたが、一・三頭強というのが日本の現状です。酪農業といつたものが、その程度の牛を、一戸の農家が飼つてコスト的に引合うものではございません。幸い日本の農家の場合は労賃というものを零に見て、現金収入の途を開けばいいというので、幸い成立つているのです。これを近代的な原価計算をやりますと赤字である。そこに一つの基本的な弱さがあるのです。そういつた農家が、而も非常に散らばつて、あつちに一軒、こつちに一軒、従いまして集乳経費というものが非常に高く、農家の庭先の受取価格は諸外国とそう変つておりません。と申しますのは、日本では実質的には非常に変つておりまして、外国ではすべて労賃、それでカバーされておるのですが、日本の場合は労賃を零にして農家は売つてくれます関係上、農家の庭先価格の面から言うと、それほど遜色はないのです。それを集めて製品にする段階のコストが外国のように、デンマークのように、軒並みに、丁度日本の米を作つているのと同じように牛を搾つておりまして、五十石の工場でありますと、それの集乳をするのに一番遠いところでも三十分くらいで乳が、而も道路がいいという条件がありますが、日本のように乳製品を主にいたしておりますところは、一升当り集乳費が七円から九円、極端なところは二十円かかります。そんなことで安い加工製品ができないということです。而も工場の規模と申しますか、外国では、デンマークのように、そういう恵まれたところは五、六十石の工場は採算がとれるのですが、濠州とかニユージランドのような所になりますと、一日の扱い数量が千石とか二千石とかがざらにございます。それと現在の日本はどうかと申しますと、二百三十の精乳工場があつて、その中で一日百石以上扱つております工場というものは、私今承知しておる限りで六つか、七つしかございません。こういつた基本的な弱さが日本の酪農にあるわけでございます。これを改善で遂ないものだろうか。それで若しこれを何らかの手段によつて改善をして、一工場当りの集乳量を高めると同時に、その集乳経費を安くすることが日本で可能であるかどうか。これが不可能だということになれば、むしろ日本に酪農業の存立の余地がないということに正直に言つて相成るわけであります。いろいろ研究いたしました結果、必ずしも現在酪農が入つております所に、そういう条件は必ずしも整つておりませんけれども、現在のところでもちよつと手を加えれば、それにそういつた相当程度稠密化した酪農地帯、一つの工場を中心にして、集乳距離も操業量も国際的レベルに達し得る場所が北海道等に現実相当ございますし、内地でも先ほど御指摘のような個所を具体的に頭に置いて頂きますと、ああいつたような所に酪農を建設することによつて、そういつた国際水準の酪農業が日本でもまだ作る余地がある。私どもとしては今のままで消費者の御要望に応じて輸入をするということになりますと、今後将来日本に酪農業の成立する余地を奪つてしまう。それで誠に消費者には申訳ないわけなんでありますけれども、ここ数年辛棒して頂いております間に、そういつた少くとも国際的に太刀打ちのできる程度の、つまり特に消費者に御迷惑をかけず、ハンディキヤツプをおかけしない酪農業を日本に再編成して参りたい。それでそうしますれば、今度は仮にそれだけで日本の需要が賄い切れません場合でも、輸入することが日本の酪農業にとつて別段壊滅的な問題ではなくて、むしろ刺戟を与えると申しますか、むしろいい効果が期待されると思うのであります。そういう基本の上に立つてなお合理化を怠つておりますような企業が仮にございましたならば、そういう所には輸入によつて合理化を強制することも至当だろうと思います。今のような自然発生的な酪農立地を辿つておりまして、非常にまあ一つの不合理の上に立つております酪農業、それを不合理なるが故に直ぐ壊滅的な輸入をするということは如何にも私どもとしては堪えがたい。そういうことで集約的な酪農地域というものを今後制度的に、国策的に酪農業の一つの今後の方向として打出して参りたい。それが集約酪農についての考え方であります。
 端的に申しましてどのくらいの規模と申しますと、一日百五十石程度、牛の数にいたしまして五千頭程度の牛を必要といたします。その五千頭程度の牛が一つの想定されます工場を中心といたしまして集乳時間にして二時間程度の距離の間に求め得るような立地の所そういう而もそう五千頭飼う農家の条件は飼料の自給度が七、八割まで自給できること、現在の酪農業は遺憾ながら内地においては五割程度、北海道ですら六割程度しか自給いたしておりません。これを経営指導と合せ行うことによりまして自給度を今申しますような線まで上げて参りたい。そうすることによつて現在の農家の牛乳生産費も現在の乳価で労賃まで織込んでもやつて行ける程度の農家としての庭先生産費にもなります。又それを二時間の距離の間に百五十石を取ることによりまして工場の採算も、特に粉乳をバターと申しましても、結局あとは脱脂乳の粉乳化ということがバターのコストを下げる一つのキイ・ポイントになりますから、そういつた意味で百五十石程度のものを扱う工場が完成することによつて、国際的な規模の、国際的な水準の企業が成立つ。勿論これには企業努力も伴いますけれども、そういつたものを合せ行うことによつて、日本の酪農業を育てることが消費者の重荷にならないような酪農業にする、さような観点でございます。それからどのくらいの個所数が見込まれるかということが問題になるのでありますが、現在私どものほうでそういう基準で作業をいたしておりますので、結論を得ませんのでございますが、昭和二十九年度においても従来ジャージーを入れておりまして、又今年ジャージーを入れて六地域は勿論含めまして更に合計二十ヵ所それを含まして二十カ所乃至三十ヵ所は二十九年度中にそういつた適地を選定いたしたい、さような心積りにいたしております。ただこういつた一つの事業でございますから、ただ適地があるということだけでは、要するに私どものほうが適地を探し出して指定するだけでは実質が伴いません。私どもがこの地域の選定の一つの基本的な要件といたしましては、その土地のその地域の農業生産が非常に低位でありまして、ほかのものでなかなか一人前の農業として達成できない。酪農業を入れることによりまして、その土地の農業の発達が図れるという、そういつた酪農を必要としておるということを一つの基準といたします。それから第二の要件は、先ほど触れましたように農家としての経営が飼料の自給率の高い酪農経営ができるような農家が、それだけの頭数を持つだけそこの地域にある、そういつた酪農の農家の側の条件、それからそういつた農家が集乳時間二時間の距離の間に五千頭の乳牛を持つてるだけの農家がそこにある。それからその地域の酪農振興計画というものがその地域の酪農振興の方法として当を得ておるということ、その四つを一応地域選定の基準として参りたい。従つて一見適地であつても、ほかの酪農経営が適当でないとか、或いはそこまでまだ酪農を農家が切望しておらないとか、そういう場合には指定の順序が遅れることになりまして、今申上げましたような数もそういつた面で今後非常に違つて参ると思います。一応のめどとして考えておるのでありますが、それを百五十石五千頭という規模も、実はデンマークのような軒並み酪農が発達しておるところでございますともつと縮めて、つまり集乳時間が三十分でございますれば百五十石でなくても、例えば五十石でも十分採算が取れて企業ができるわけと存じますが、日本の現在の農業経営規模というものを前提にいたしますと、そんな小範囲にそんな自給率の高い農家経営というものがそんな数を求められないわけでありまして、従つてどうしても集乳時間を延ばさざるを得ないわけであります。その集乳時間を二時間まで延ばすことと乳量とが見合いの関係になるわけでございます。そこで一応そういう基準を私どものほうでとつたわけでありますが、こういつた地域を今後育てることによりまして、又こういつた地域として育ち得る酪農地域を今後私どもとしては特に国策的に育てることによりまして、今までのようにただ、ただと申しますか、輸入することが酪農業にとつての痛手でなくして、むしろ合理化の促進剤になるくらいの大人の酪農にして参りたいという腹ずもりでございます。以上大体……。
#20
○廣瀬久忠君 大体の要領を伺いましたが、なかなかこれは非常に当局御苦労なところだろうと思うのです。六地域おやりになつておるのは、まだ一年二年くらいしか経過しておりません。私たちは一向わからんのですが、これはしくじつてもらつちや困るということを非常に心配いたします。これは非常な注意をしてもらわんと、農村あたりでは、初め国から非常に援助を頂くときは非常に喜ぶのですが、これがまずくなつて来ると非常なことになる。非常な注意をしなければならんと思うのですが、大体今までの模様では相当成績を挙げ得る見込みをお持ちですか、その辺どうですか。
#21
○説明員(昌谷孝君) 申し落しましたのでございますが、六地区の問題と申しますのはジヤージー種を入れたところで、ジヤージー種と申しますのは御承知かも知れませんが、在来のホルスタイン種と違いまして飼料の消耗率が少い。その代りに乳量も少うございます。但し脂肪分、従つて乳固形分の含有量はホルスタインの場合には逆に高いわけです。従いまして日本のどこへでも向く牛とは存じておりませんが、主として乳製品用の牛乳しか搾れない地帯につきましては、而も零細経営であります日本の農家のような場合でございますと、ホルスタインのような大めし食いを飼つておりますよりも遥かに採算がいい。そういつたことを着眼して昨年二十八年度の予算で二カ所分、それから二十九年度の予算で今お願いいたしておりますのが四カ所分、それで一年に一地区に三百頭くらい入れまして、二年継続してやりまして、六百頭くらい入れて参り、五年後にほぼ二千頭になるというのが私どもの構想でございます。二千頭だけは今申しましたように乳製品向上の規模としては十分でございませんので、これに更にそこを取り巻きます平坦地帯に在来のホルスタインを将来三千頭になるように入れて参りまして、併せて五千頭の地域をこしらえて参るというつもりでございます。現在までに入りましたジヤージーの状況でございますが確かに初めての牛でございまして、日本の農家といたしましては乳牛というのはホルスタインしか見たことがないといつたような農家もございまして、指導には私どもとしては万全を期したつもりでございます。従いまして餌の食いつきとか、それからその後の飼養管理とか、そういつた問題につきましても畜舎の融資でございますとか、或いは指導設備の整備でございますとか、それぞれ受け入れ県と協力いたしまして、相当力を注いで参りました結果、現在のところまだ決定的な結論は出しませんが、ほぼ予定通りの成果を得ております。と申しますのは大体非常に能力のいい牛は八升ぐらい出ております。それから能力の悪い、特に事故のありました輸送中に船の中でお産をしましたような特殊の牛は一升、二升しか搾れないというような事故もございますけれども、これは二、三年目から改善されると思います。平均的に申しますと、先ず五升という大体当初狙いました線を実現いたしております。脂肪分は予定通り五乃至五・二持つております。従いまして一、二の例外はございましようが、大体狙つた効果を挙げております。念のために私どとしてはそのテストが心配なために、特に大蔵省と交渉いたしまして、通常の輸入によらず、国が全部この牛を国の国有で、国が輸入いたしまして、農家に貸す、成果を見て農家に譲り渡すということで、危険の一部を国自身が負担して実行しておるわけであります。国として一、二の事故のものについて国が責任を持つことは、これはこういつた大量輸入の建前上不可避かと存じます。これは初めからどつちかと申しますれば予定に入つておつたと申してもよろしいと思いますので、大体期待の効果が上つたと思います。ただ岩手県に入れました場合につきまして、岩手は御承知の通り開拓地を中心といたしました寒村でございます。それで非常に酪農を要望いたしておりますが、昔馬をやつた経験を持つておりまして、牛は今逐次乳牛が入りつつありますが、農家の大部分は大家畜と申しますと、馬の経験しかございません。それで御存じかも知れませんが、昔風の馬小屋を持つております それでこういつたジヤージー種といつたような比較的繊細な動物を入れて飼う場合につきまして、畜舎等は在来の踏み込み傾斜式の薄暗い湿気のあるところに入れてもらつちや困るということを私どものほうで申しまして、融資措置を講じておつたのでございますが、なまじ馬の経験があつただけに何大した違いはなかろうということで、そういつたところに入れられまして、その結果遺憾ながら若干の皮膚病を出しました。一種の黴のようなもの、これは別に牛の種質に関係はございませんけれども、それが多少伝わりまして輸入の牛がそういう伝染病を持つて来たというような気配がその地方に出たわけです。早速技術者をやりましてその原因をつきとめました。むしろ農家側に飼養管理上の手違いがあつたということがよくわかつて頂きまして、逐次改善に向つております。
#22
○有馬英二君 私は北海道なんですが、北海道で最近この畜舎の改善を非常にやつておりますね。日高、十勝あたりで大分ブロロク畜舎を作つておるのですが、まあ北海道は非常に寒いかも知れませんが、今までの畜舎と比べると非常に温かいので、冬の乳量が非常に多く出る。そういう点からよほど今改善を急いでいるようですが、それによつて私は乳量が全体として相当増すことができるのじやないかというような望みを私ども抱いているのですが、そういうお見通しは如何ですか。
#23
○説明員(昌谷孝君) 御説の通りでございまして、北海道の酪農は非常に適地なんでございますけれども、寒いわけでありまして、それに人間ですら北海道の開拓者は御承知のような住居でございます。牛だけに上等な家屋をあてがうということは、なかなか実行されないわけでありまして、これを何とか大事な牛のことでございますから、一日も早くいわゆる耐寒畜舎というものに入れさせたい。私どもとしては昨年あすこの酪農地区につきまして約一億ばかりの農林漁業資金をさきまして、耐寒畜舎の融資を特に計画いたしまして、ほぼ計画通り融資をいたしました。御説のように北海道は内地と違いまして夏の乳量が上りまして、冬の乳量が下つておつたのが従来の例であります。内地は夏乳量が落ちまして冬乳量が上るわけであります。消費のほうは夏の消費が非常に上りまして、冬は消費が落ちるわけであります。従いまして牛乳の仕事で一番やりにくい点は夏になると、消費者のほうからはよこせよこせと言う、ところが牛自体は夏は能力が落ちる。冬になるとお客さんのほうは牛乳は要らないとおつしやる。そのときになると乳が出だす。その矛盾で酪農業は一番骨が折れるわけであります。北海道は幸いにいたしまして、夏一番コンデイシヨンがよく、冬は今まで落ちておりました。北海道の場合は主として製品にするわけでありますから、それが周年平均的な乳量を確保いたしますれば、工場の採算から申しましても、製品のコストから申しましても甚だ好都合です。耐寒畜舎に入れることによつて改善されている事例はすでに実験的段階は証明済みで、それを今普及の段階に移しております。何分農家の資力と申しますか、それが相伴いません関係で、なかなか普及が思うにまかせん実情でございます。
#24
○有馬英二君 もう一遍伺いますが北海道ばかりじやないのですが、最近山羊の飼育が非常に進んで参つたようですが、これは生産量が非常に少いので、まだ市場へ出すというほどにはなかなか行きませんでしようけれども、北海道ではすでにもう市場にも出ておりますが、内地における農家の山羊の飼育はどんな状態になつておりますか。
#25
○説明員(昌谷孝君) 内地の山羊はなかなか頭数は統計的に非常につかみにくい動物でございます。統計上の数字を申上げますと、昭和二十七年が五十万頭でございます。昭和二十六年で六十万頭、大体統計上の数字といたしましては五、六十万頭程度のところを前後いたしております。ただ本来これは農家の自家用に供する目的でございますし、又殆ど餌を食わないというところに特色がございますので、実数が非常につかみにくい。一説によりますと実際はもつとおるだろう、八、九十万頭はおるのじやないかというふうな見方をなさる方もあるのでございます。山羊乳につきましては現在のところ東京都に、目黒の柿ノ木坂にたつた一軒山羊乳を、いわゆる市販する施設を持つております。これは農林漁業資金を融資いたしまして、特にテスト的にやつてみて頂いたわけでございます。これは特殊の消費者をつかまえまして、例えば病院でございますとか、そういつた特殊の消費者をつかまえて現在供給しておるわけでございます。ただその山羊は東京都下一円或いは近県から乳を集めておるものでありますので、比較的割高な山羊乳になつておると存じますが、とにかく私の承知しておるのは一軒だけそういう例がございます。あとは大体自家消費、或いはそれに多少集団化した程度、そういうことになつておりまして、山羊のバターにつきましても試験場等でいろいろ研究してもらつておりまして、製品化の過程を経ておるのでございますが、何分山羊乳特有の臭気を伴いまして、バターの場合にその脱臭方法をどうやるかということが現在試験研究のテーマとして私ども頼んでおる状況でございます。
#26
○担当委員外委員(堂森芳夫君) 簡単なことですが……。終戦後ホルスタインと日本牛と、何か雑種ですか、あれをよく地方に割当ててもらつておつたのですが、今どうなつておりますか。
#27
○説明員(昌谷孝君) いわゆる新乳牛というやつですか、私も技術者でございませんのでよく存じませんが、結果は現在国の牧場でたつた一カ所だけそれを系統的に追つております。結論はそれの子供の市価が非常に出ない。従つて農家としてはどうせ餌をやつて牛を飼うならホルスタインを飼いたい。生れた子供が殆ど馬鹿にされて市価がございませんので、一般化しておりません。
#28
○担当委員外委員(堂森芳夫君) 僕は終戦後農村に非常に奨めて歩いて、大分飼つてもらつたことがあるのですが、どうもうまく行かない。
#29
○説明員(昌谷孝君) 死亡率が高いのですね。
#30
○担当委員外委員(堂森芳夫君) すつかりそれで信用をなくしてね……。
#31
○説明員(昌谷孝君) 子供が値が出ないのでございます。
#32
○担当委員外委員(堂森芳夫君) 農林省で奨められて大分お先棒をかついで、今の畜産局長の大坪君に盛んに奨められてとんで歩いたが、どうもむずかしいのですね。
#33
○説明員(昌谷孝君) 農家の採算から申しますと、仔牛を売るということが乳を売ることよりも、極端な場合にはウェイトがきついのでございます。ところがそれが全然落ちてしまいますので、乳を売つただけでは殆んど手間も出ないということで……。
#34
○担当委員外委員(堂森芳夫君) それからさつきの酪農計画のお話を聞いていると私非常に心配なことは、零細農でしよう、日本の国は……。そういうものが解決されないのじやないかという問題ですが……。
#35
○説明員(昌谷孝君) その辺は解決になつておりません。遺憾ながら現状では酪農というのはやはり中農層以上です。従つて中農層以上をより富ませるためには非常に役に立つ方法なんですが、階層の分化をむしろ激化する、我が国の貧農層には養鶏、養豚という線で今のところはピントを合せてやつております。
#36
○担当委員外委員(堂森芳夫君) それからもう一つ、デンマークのものが安い、これは実際に豚の肉は日本の倍くらいしますが、ところがバターは安いのですね。
#37
○説明員(昌谷孝君) デンマークの場合には脱脂乳が豚の餌になり、豚の餌となる脱脂乳を相当高く買つても、豚肉の価格が高いのですから十分引合う。ところが日本では脱脂乳というものは遺憾ながらそれだけの商品価値を持つておりません、その辺のハンデイキヤツプがあります。
#38
○担当委員外委員(堂森芳夫君) どうもデンマークの農家へ行くと乳牛よりも豚が多いのだ、豚が圧倒的に多い。
#39
○説明員(昌谷孝君) バターのほうが副産物のような感じの酪農です。
#40
○委員長(中山壽彦君) いろいろお骨折で、乳牛生産が遅れるでしようが、この一、二年のところで酪農向けのものになりますというと、相当不足を来たすような場合もあると存じますが、そういう場合の対策は何かお考えになつておりますか。
#41
○説明員(昌谷孝君) それは多少何段論法かで手間がかかるのでございますけれども、餌用の脱脂粉乳を外国から輸入することを今度差当りして、若し今後外貨予算の事情が許しましたら年間四千トン近いものを入れて行きたい。これわまだるいようなんでございますが、実は日本の農家は仔牛を育てますために乳を飲ませております。それで或る程度時期が経てば全乳でなくても、脱脂乳でも仔牛は育つのでございますけれども、バターを作る、そういうことは小規模でばらばらやつております関係上、バターを作る手間が惜しいと申しますか、手段を持ちませんので、相当長いこと必要以上に全乳を飲ませる、更にそれから暫く脱脂乳を飲ませております。全乳と脱脂乳を置換えて人間のために売つてもらおうじやないか、その代りに外国より悪い、安い脱脂粉乳を入れましてそれを農家に餌用として売つてあげる。これはほかのバターなんかの輸入と違いまして、農家のほうにも安く脱脂粉乳を入れて価値のある牛乳が売れるようになりますから、農家としてもプラスになるし、消費者の側から申しましても、これはいろいろに推定しますが、一番大きく見る方は即刻五、六十万石の増産をしたのと同じことになるとおつしやる方もございます。私どもの計算でございますと、五、六十万石は少し大げさなんで、十万石か二十万石程度の増産というのが固いところじやないかと思いますが、とにかくそれを置換えるというのが一応の夏の牛乳枯渇に対する対策として措置いたしております。
#42
○担当委員外委員(堂森芳夫君) さつ遂の酪農のことですが、労賃を零と見て、それでもやつて行けないという理由はどこですか。
#43
○説明員(昌谷孝君) 結局飼料の自給度が悪いということ、それから一戸一頭、一、三頭、これが原価計算で見ますと一戸当りの頭数が三頭になりますと同じ価格で十分労賃までカバーするのです。つまり一頭当りの飼養労力なり畜舎経費とか、そういつた諸経費が一題ずつ独立して飼つた場合、二、三頭、せめて四、五頭まとめて飼つた場合と、一頭当りのと申しますか、一升当りの牛乳量に換算すべきコストが非常に違つて参ります。そこに原因があろうかと思います。
#44
○担当委員外委員(堂森芳夫君) それからもう一つは工場ですね、そういうものの組織にもよるのじやないですか。例えば日本の場合、私福井県ですけれども、若狭地区というのが非常に酪農が多い所なんです。一軒一頭ですね。それを全部舞鶴のどこかの工場に持つて行く、それが完全に資本主義経営……、コオペラチブでないというところもあるのじやないですか。だからコオペラチブが完全に発達して行くということになれば……。それから飼料の関係もございましようね。
#45
○説明員(昌谷孝君) そういつた経営組織の問題も十分非常に大きな要素になつていると思います。
#46
○委員長(中山壽彦君) それでは本日はこの程度で小委員会を散会いたします。
 参考人の皆さんには長時間いろいろ有益なお話を承わりまして有難うございました。御礼を申し上げます。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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