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1953/05/27 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 労働委員会 第26号
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1953/05/27 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 労働委員会 第26号

#1
第019回国会 労働委員会 第26号
昭和二十九年五月二十七日(木曜日)
   午前十時二十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     栗山 良夫君
   理事
           井上 清一君
           田村 文吉君
           田畑 金光君
   委員
           阿具根 登君
           吉田 法晴君
           赤松 常子君
           大山 郁夫君
           市川 房枝君
  国務大臣
   労 働 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  植木庚子郎君
   通産省石炭局長 佐久  洋君
   通産省鉱山局長 川上 為治君
   労働政務次官  安井  謙君
   労働省労働基準
   局長      亀井  光君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       磯部  巖君
   常任委員会専門
   員       高戸義太郎君
   労働省職業安定
   局失業保険課長 三治 重信君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○けい肺法案
○労働基準法の一部を改正する法律案
○継続審査要求に関する件
○労働一般情勢に関する調査の件
 (石炭鉱業における労働問題に関す
 る件)
○けい肺法制定促進に関する請願(第
 二六七九号)
○日雇労働者の福利厚生施設費国庫補
 助に関する請願(第二六二六号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。
 本日の会議に付しまする事件はけい肺法案でございます。実は当委員会の御決定によりまして、けい肺法案について委員会懇談会をしばしば開会いたしたのでありますが、四月の六日と八日の二回に亙つて開きました懇談会の経過につきましてはまだ委員会に御報告を申上げておりませんが、これは後刻委員長から御報告をいたすことにいたしまして、暫時御猶予をお願いいたしたいと存じます。
 なお一昨日の委員会の申合せによりまして、けい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案に対する当労働委員会の最終的な態度をどうきめるかについて話合いを進めたわけであります。そこで先ず最初に、一昨日の委員会におきましては、懇談会に移りましていろいろと御協議をいたしましたところ、大体次のような工合に意見の一致をみましたので御報告を申上げます。
 この法律案の取扱につきましては、先ず第一に継続審査に付するということでございます。本日の委員会におきまして改めて質疑応答を行いまして、本国会における法案審議のけじめを付けようということは、このときに併せて意見の一致をみた次第であります。更に第三といたしましては、今日までの委員会の審議の経過を何らかの形で本会議に報告いたしたいということであります。以上三つの事柄が原則的に意見の一致をみました。
 ところが只今申上げました第三の、本会議で委員会の審議経過を何らかの形で報告するという件につきましては、その方法として考えられますることは、先ず第一に委員長が継続審査の理由を本会議で説明するという行き方が一つ、それとも又どなたか委員外から本会議で質疑をして頂いて、それに対して委員長が答弁の形で審議の経過を説明するというやり方が一つ、更にもう一つの方法といたしましては、委員長が本会議で特に発言を求めて、審議経過を中間報告の形式でするという行き方、以上三つの取扱方が考えられるのであります。そしてその一つ一つにつきましては、先例等も含めていろいろ議論もあつたのでありますが、結局当日は先に申上げました三つの原則的な決定だけを確認いたしまして、本会議における報告を如何なる形で行うかということにつきましては、議運の関係もあり、各派の意向もあることでありまするので、次回の委員会で改めて協議をし、その上で最終的な取扱をおきめ願う、こういう工合にいたしたらばよろしくはないかということでございました。なおその際、次回の委員会には是非とも労働大臣の御出席を願い、直接大臣から本法案に対する所信を伺い、その上で本法案の重要な点につきまして質疑を行い、委員会としての審議のけじめを付けようということを申合せまして本日の委員会に相成つたわけであります。以上御報告を申上げます。
 只今御報告を申上げました件につきましてお諮りをいたしまするが、委員会懇談会で意見の一致を見ました通りに、本委員会の議事を進行することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○井上清一君 昨日の懇談会で私ども希望として申上げたことは、継続審議の中間報告という形じやなしに、継続審議の説明と理由ということで一つ本会議において審議の経過についてお話を願うということが一番妥当な方法ではないかという結論を私は得たように思いますので、こういう点で一つ御了承を願つて置きたいと思います。
#4
○田村文吉君 私も今井上さんの御発言の通りであつたろうと思うのですが、とにかく本会議で報告をするということを前提にした話ではなくて、継続審査をすることについて一つ組もうじやないかというような話であつたと思うのですが、やはり若しか委員長の御発言のあれ誤解されるといけませんですが、この間の申合せは、先ず第一に継続審査にするということが一つ、その次には継続審査をするについて本会議に一応その説明をするということを了承したように伺つているのですが、大同小異でありますが、必ず本会議において三つの方法のどれかを選ぶということではなくて、継続審査をするについて本会議においてそれの説明をするということであつたと思うのですが。
#5
○委員長(栗山良夫君) 只今委員長の報告につきまして、特に昨日の懇談会の経緯に鑑みて井上、田村両君から御発言がございましたが、委員長も只今御報告を申上げました内容についてはさような含みで御報告をいたしたつもりでおります。ただ申上げました順序が若干疑義を生ずるような点が苦しあつたといたしまするならば、その点は私の、訂正というのはおかしいと思いますが、そういう含みで議事の進行をいたすということにいたしたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)報告申上げました内容はそういう工合に書いたつもりでおります。では御異議ないものと認めまして、さように決定をいたします。
#6
○阿具根登君 只今委員長の報告の中にもありましたが、けい肺法案を審議すること国会四回も経まして、すでに本国会も残り僅かになりましたが、この際この法案に対する労働大臣の御所見を承わつておきたいと思います。
#7
○国務大臣(小坂善太郎君) けい肺対策の重要性につきましては、今更申上げるまでもないところでありまして、労働省といたしましては、労働衛生行政上最も重要なものの一つとしてこれを取上げまして、昭和二十三年以来逐年けい肺巡回診断を実施いたしまして、罹患労働者の把握に努めると共に、けい肺労災病院及びけい肺試験室を設置して、患者の療養とけい肺の予防並びに治療を目的とする研究を行い、又都道府県における監督機関によつて予防のための施設の改善、健康管理の徹底等について指導監督の実を挙げるべく努力を続けて来たところであります。併しながら御承知の通りけい肺の予防並びに治療については十分その実効を挙げるためには現在遺憾ながら学問的に種々未解決な問題が残されておりますると同時に、作業環境の改善等の実施については企業に多大の経済的負担を必要とする場合が多い等の事情によりまして、その対策が必ずしも万全を期する段階に至つていないことはこれを認めざるを得ないところであります。
 去る第十六国会においてけい肺法案が議員立法として提出せられ、当労働委員会において慎重に御検討がなされており、これがけい肺対策を推進する上に大いに貢献しておることは認めるのでありまするが、同法案に対する政府の見解といたしましては、同法案が政府の予算措置を伴うものであり、又政府としてはけい肺対策全般につき目下けい肺対策審議会に審議を煩わしておりまするので、当審議会の結論を待つて予防診断、補償等についての立法措置を講じたいと考えておるのであります。
 けい肺対策審議会におきましては目下予防診断、更生対策、粉塵恕限度の各専門部会を設け、回を重ねて慎重な調査検討を行なつているのでありまして、更にその審議を促進し、速かに結論が得られまするよう督励するつもりでありまするが、その結論を速かに得ることが困難な場合におきましては、政府といたしましても諸般の意向を斟酌し、速かに立法措置について善処いたしたいと考えております。
 以上は立法に関する政府の見解でありますが、なお行政上の措置といたしましては、目下調査研究に着手しております労働安全衛生規則の改正において予防上必要な規定を挿入したいと考えておりますし、又石工等に対する労災保険の適用の拡張或いは巡回診断の推進、けい肺病床の増設等の措置を行い、立法上の措置がなされるまでもなく、行政上の措置によつてもけい肺対策の万全を期したいと考えております。
#8
○委員長(栗山良夫君) 質疑に移りまする前に、去る四月の六日と八日の二回に亘つて行いました委員会懇談会の経過について御報告申上げます。
 四月六日、八日の二回に亘つて委員会は両回とも各派の委員が全部御出席になりまして、本法案の審議を何とかして進めようということで、内容的にも今までの委員会には見られなかつたような突込んだ話合いがなされており、この際その折の皆さんの御意見を確認しておくことは非常に重要と考えますので、私から当日の話合いの要点を掻摘んで申上げたいと存じます。
 先ず四月六日の懇談会では、話合いの口火を切る意味におきまして私から費用の点について、現在いる患者について本けい肺法案では国庫負担は五億一千万円、従来の患者の分で三億二千万円でありますが、症状一期の患者を除きますると五億円程度で済む、この程度では如何ですと話しましたところ、田村委員から予算を伴う議員立法は緑風会ではしないことになつておる。五億円程度でできることなら政府提案で出したらどうかという御意見がございました。これに対して吉田委員から、従来の検診の例で見ると、患者は一年間に全部発見できるものではない。だから一度に全部の費用が必要であるというのではないという御意見があり、私からも政府で提案されるのもよいが、けい肺対策審議会の結論は容易に出せないと思う。法案提出の時期は早ければ早いほうがよいと述べたのに対しまして、列席の亀井基準局長からは、審議会ではなかなか一致して結論が出るということは困難と思うが、いずれにせよ何らかの結論を出すのでそう長くはかからないと思うという見解が述べられました。次いで吉田委員から、本法案は今直ちにということが困難ならば施行は来年でもよろしい。何とか本法案の制定を期待するという提案者側としての考えが述べられましたのに対して、井上委員は我が党としては予算を伴うので反対が強い。労働省、通産省で早く対策を立てられたいというお話があり、榊原委員からは、他の業務上の災害、職業病との釣合いも考えねばならない。併し自分はけい肺法を作ることに必ずしも反対ではない。只今審議中の法案には直ちに賛成できないが、けい肺対策審議会の結論が急いでできるなら三十年度に政府から提案したらよいと考えていると述べられました。更に井上委員からは、自由党ではすでに政調会で取上げて研究することになつているという御発言もございました。
 そこで私は若し幾らかの修正によつて各会派が一致した修正案ができるならば、本法案は一度取下げてもよろしいと思うと述べましたところ、田村委員からは、本法案は継続審議にしておいて、各会派一致して次期国会に政府提案することを政府に約束させることにしたらどうかという意見が述べられました。榊原委員からは、今まで少しも本法案の内容について審議をしていないので、懇談の形式でもよいから逐条審議をしておきたいという御発言がありましたので、それでは問題点などについてこれから検討して行こうという委員長の挨拶で当日の懇談会を終つております。
 次いで四月八日の懇談会には小坂労働大臣も出席されたのでありますが、当日は劈頭労働大臣から、時間がないので失礼するが、政府並びに自由党としては昨日政調会で検討した結果態度は一致しているので、榊原委員から申上げる通りだと御承知願いたいと挨拶をされて退席をせられました。そのあと私から問題点を挙げて順次検討して行きたいと思いますが、その前に先ず各派の本法案に対する考え方を伺いたいと提案いたしましたところ、これに対して榊原委員は、我々の意見としては政府が自由党政調会の意見を容れて速かに考えをまとめ、けい肺対策審議会の結論を必ずしも待たなくても一日も早く政府より提案されることを希望する。そうしてできれば三十年度に政府から提案することとし、本法案の結末を付けることにしてもらいたいと述べられ、続いて当日特に列席された衆議院の持永議員は、自由党の政調会労働部長として発言すると前置きをせられまして、昨年以来衆議院ではけい肺小委員会を作り検討して来た。又本法案についても中原法制局第一課長の詳細な説明を聞いたが、昨七日政調会で相談の結果、予算も伴うので本年はどうかと考える。又費用がどれくらいかかるか、中小企業の負担はどのようになるか等も明らかでない、故にもう少し検討したい。成るたけけい肺対策審議会の結論を早く出すことにして、経費もはつきりさせた上、政府案として三十年度の通常予算に間に合うように提出してもらいたいということに政調会の全員が賛成でありました。併し審議会の結論を待つということで、余り漫然とゆつくりかかられては困るので、小坂労働大臣、亀井基準局長にも出席してもらいこの話を聞いてもらつた次第でありますと、自由党側の意向を明らかにせられました。次いで緑風会の田村委員は、自分らの会派としては予算を伴う議員立法はやらんという原則を尊重する。いわんや参議院では特に気を付けるべきである。併し本法案の内容についてはまだ研究は十分していないが、大局的に見てよいのではないかと思うが、併し自分らとしては政府において予算の点も研究して案を提出してもらい、もつと早く、できれば補正予算に組まれることになつてもよいのではないかと述べられました。次いで吉田委員から本案は左社の案ではない。椿委員長のとき単行法を作ることを委員会で決定をし、それによつて法制局と専門調査員において立案したものであるから、これをもととして審議を続けることにしてもらいたいと思う。併し原案のままを固執するものではないという発言がありまして、私もそれに附加して、この案は党としてはまだ諮つていない。併し幾らかの修正によつて各会派一致した修正案ができるならば、修正についても責任を持つし、場合によつては本案を撤回してもよろしいと申上げた次第であります。次いで田畑委員からは、私のほうもまだ党に諮つていない。修正には大いに応ずるから是非今国会で上げたいという意見が述べられ、寺本委員からは、自由党と緑風会はもう態度をきめておられるようである。社会党の方は譲歩されると言つておられる。併し現在の国家財政の見通しでは一年待つてもなかなか困難ではなかろうか。むしろ補償はあと廻しにして、予防を中心にして考えることにしてはどうかという御意見が出されました。又市川委員の御意見は、鬼怒川の病院を視察して患者と懇談した際、法案の成立を首を長くして待つているのを見ました。多少の修正はしても早く成立させたいということでございました。なお、これらの意見に対して安井労働政務次官からは、けい肺対策審議会の結論を極力急がせると共に、又一面現行法をできるだけ拡張解釈して、補償、予防についてはもつとやれるように研究させていると申され、なお言葉をついで、水をさすようで悪いが、先ほどの持永委員のお話にあつた政調会の決定というのは、当日は会長その出席がなかつたので正式の決定とはなつていないと了解する。自分としては単行法ということではなく、現行法、労働基準法の一部改正によるということも考えられると思うというお話もあましたのでございますが、そのあと榊原委員は、いつまでもけい肺対策審議会の結論が出ないときは、三十年度には何らかの形で実現されるように善処いたしたいものであると述べられました。田村委員からもけい肺対策審議会の結論は尊重するが、その如何とは別に、政府は来年度には何とかならないものかという強い御主張がございました。とこで最後に私から、今までのお話を伺つたところでは、単独立法ということには各会派とも異存はなく一致しておる。ただ内容、提出の方法、時期については意見が若干分れておる。この各会派の態度はこれをそのまま確認をすることにして、ここで一応逐条的に研究をしたいと述べて、第二回目の懇談会を終つたのであります。
 その後引続き懇談会を開いて更に話を進める予定でありましたものが、各会派からの御出席が揃わないまま開催が延々になりまして今日に及んだという次第でございます。
 以上今日までの委員会懇談会の経過を御報告申上げた次第であります。
#9
○赤松常子君 ちよつとお尋ねしたいのでございますが、私大変詳しく御報告を伺いまして非常に嬉しく思いましたことは、自由党の政調会も相当これに対して関心を持つておられ、持永委員のあれほどの御発言を伺つたということは私は非常に希望的に考えられた次第でございます。それで又持永委員の御発言のあと、それは政調会としては正式な決定でないということでございますが、その点はどうなつているんでございましようか。正式にまだ持永委員の御発言の内容が政調会としてきまつていないのでございましようか、その後如何なんでございましようか。
#10
○政府委員(安井謙君) あの当時持永委員は御存じの通りに政調会の労働対策部長でございまして、最も重要な関係者で、その関係者を中心にしました取急いだ、まあ懇談会のような形式で政調会の中で議論がなされた次第である。従いましてその後の経過で会長以下正式の役員で構成されました審議会の形式上の結論というものはまだ得ていません。併し方向としましては、大体そういつた責任者が出て、その方向で進めておるというような事情であろうと思います。
#11
○赤松常子君 では大体そういうお考えで自由党の政調会もお進みになると承認してよろしゆうございますか……。いつ頃正式な御決定をなさるお見通しでございましようか。
#12
○政府委員(安井謙君) やはり政府のほうで事務的な法案と待ちまして形式的なものは決定するような形に、まあ原案にぶつつけましてそうしてそれで決定するということになろうかと思いますが、内容は先ほど委員長の御報告の通りに実質的には進めておるということでございます。
#13
○赤松常子君 亀井局長にお尋ねいたしますが、先ほどから頻りに来年度の予算の中に組入れて政府立案として出されるようにという要望もございますし、各会派ともそういう点を了承しているんでございますが、労働省としてどういう具体的に立法をお進めになつておられるのか、その経過なり現在の状況をお尋ねいたします。
#14
○政府委員(亀井光君) けい肺法につきましては、只今委員長の御報告の中にございましたように、政府としましてはけい肺対策審議会で今検討が進められておるのでございまして、できるだけこのけい肺対策審議会の審議を促進いたすよう督励をいたしまして、その結論を得まして立案をしたいというのが我々の気持でございます。併し先ほど大臣の御答弁の中にもございましたように、その結論を得ますることが非常に困難である。或いは非常に長期に亘るというようなことになりますと困りますので。そういう場合におきましては政府としまして独自の見解の下に立案をすることも検討したいという気持は持つております。
#15
○赤松常子君 私は先ほど大臣の御答弁も伺つたのでありますけれども、大変抽象的に今までの御答弁の繰返しみたいで、少しも進展していないような印象を受けたのでございます。今又亀井局長のお話も非常に困難性を強調なさいましておりまして、非常に私遺憾なのでございます。実はもう四国会もこれが継続審議に持込まれて、そうしてもたもたいたしております例は、今まで余りないのじやないかと思われるくらい、このけい肺法が実現しない現在、またそういう程度の考えでいらつしやるということに対しまして私非常に御熱意を疑う次第なのでございますが、そのけい肺対策審議会の状況並びにそれがどういう方向に向くか、その予想、それからそれに対応して政府がそれを受取つて立上ろうという今お話なのでございますが、その辺のことをもつと時期的にはつきりおつしやつて頂きたいと思います。
#16
○政府委員(亀井光君) 大臣の御答弁にございましたように、従来の態度よりも一歩前進しておりますることは、けい肺対策審議会の結論が非常にまあ長くかからなければ得られないとか、或いは得られることが困難であるというふうな場合におきましては、政府は諸般の意向を斟酌して、独自の見解の下に立法措置を考えたいというところが、私まあ従来の見解より一歩前進したところでございまして、その大臣の御答弁の中で十分我々の意向はお汲取り頂けるものと、私はまあ考えておるわけでございます。
 それでけい肺対策審議会につきましては、これはやはり大臣が諮問をいたしました以上、その結論というものを我々としてはできるだけ早く得て、それに基いて尊重して我々が立案措置を講ずる、それが行政の一般の常道でございまして、そういう方向を極力進めておるわけでございまして、できるだけ早く皆様方の、先ほど懇談会にございました、いろいろ各派の御覧の御趣旨に副うように我々としては努力いたしたいと思います。
#17
○赤松常子君 けい肺対策審議会が長引く理由、それから結論の得られない理由をもつと具体的におつしやつて下さい。
#18
○政府委員(亀井光君) けい肺対策審議会で結論を得にくい問題は補償の問題がやはり一番問題だと思います。これは御承知のように三者構成になつておりまして、労使、公益三者構成でございまして、その中に使用者の代表も入つておられまする関係上、その経費の負担の問題につきまして相当問題が深刻になつて参るところでございます。そこでけい肺対策の審議会の中の更生対策部会、これがまあ今の補償の問題を審議しておるわけでございます。そこで従来は平行線で両者殆んど歩み寄りが見られなかつたような審議の状態でございまするが、先々月のこの更生対策部会におきまして、労使双方から小委員を出しまして、お互いにどれくらいの負担を必要とするのかということを検討しようというところの歩み寄りができておるわけでございます。従いまして今その小委員が各種の資料に基きましてけい肺法を立案するについて必要とする経費の検討を今いたしておるわけでございます。そういうふうに従来よりも一歩審議会のほうも前進して参りましたので、私としましてはそう暗い見通しを持つていないのでございます。できるだけ早くこの更生対策部会の結論を得ますれば、予防或いは恕限度、診断というふうなものは技術的な問題でございますから、結論は比較的得やすい。従つて更生対策部会の結論を得ますれば全体の結論も得られるという段階に来ておるわけでございます。
#19
○赤松常子君 もう一つ最後に伺いたいのでございますが、来年度の予算に組入れられる見通しを以て立法が政府の手でできる予想がございましようか、如何でございましようか、その御決意を伺いたいと思います。
#20
○政府委員(亀井光君) そういうふうな方向に向いまして事務的な努力はいたしたいと思つております。
#21
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお諮りいたしますが、先ほど労働大臣が述べられました所信について質疑がございまするならば、それを先に終りまして、それからあとで提案者に対する質問を続行いたしたい、こういう工合に考えますので、さように御了承をお願いいたします。
#22
○田畑金光君 政務次官にお尋ねいたしますが、先ほどの労働大臣の所信の表明を読んでみますると、こういうことが書いてあるわけであります。「けい肺対策審議会におきましては目下予防、診断、更生対策、粉塵恕限度の各専門部会を設け、回を重ねて慎重な調査検討を行なつているのでありまして、更にその審議を促進し、速かに結論が得られまするよう督励いたすつもりでありまするが、その結論を速かに得ることが困難な場合におきましては、政府としましても諸般の意向を参酌し、速かに立法措置について善処いたしたいと考えております。」、これを読みますと、政府のほうといたしましても、少くとも労働省といたしましては、最近のうちに諸般の情勢を考えられて立法措置を図られるような強い意思表示がなされているように読むわけであります。これは先ほど委員長から、懇談会について特に与党の態度というものが一応その輪郭を明らかにされたわけでありますが、政府といたしましては、その与党の意向等も汲まれて、遅くとも昭和三十年度、即ち来年度の国家予算の中には当然に予算措置もやり、同時に又次の議会等には立法措置等もできればしたい、こういうような御趣旨だと解釈できるわけでありまするが、そのように解釈してもよろしいかどうか、承わつておきたいと思います。
#23
○政府委員(安井謙君) お答え申上げますが、先ほど本委員会に提案されておりまするけい肺法案に対する政府側の答弁は、大臣のほうからお答え申上げました通りでございまして、当委員会の熱心な御審議の推進或いはけい肺対策に対する政府に対する御鞭撻などの様子も十分拝承いたしており、そこでただ政府としましては従来からこの対策をなおざりにしておつたわけじやございませんし、審議会にもかけて、早く成案が得られることを非常に督促もして参つたような関係もございますので、でき得ればこの審議会の答申を待つて政府のはつきりとした態度をきめたいというのが第一義でございます。併しこれがいろいろの関係上から時期的に間に合わないということに相成りますれば、それと平行して別途に政府自体としても善処する方策を考えたい、こういうような考えでございまして、御趣旨のような目標におおむね一致するものであろうと考えております。
#24
○阿具根登君 次官にお尋ねしますが、政府おいてはいろいろ諮問機関は持つておられると思うのですが、今までのどの法案或いは法律を作る場合の心がまえを見ましても、政府が最初話題を投げかけておいて、一応の政府の考え方を出しておいて、諮問機関に諮問しておられるというのが通例ではないかと思うのです。このけい肺の問題につきましては、正式に審議してから一年になるし、政府は政府なりの肚ができておらなければならない。それを何か受身で審議会の意見を徴しておるのだと逃げておられるように思うのだが、なぜこの法案については受身であるか。ほかの法案についてはすべて政府が出すような法案は政府が一応審議会の意見を聞いていると私は思うのです。その点についてどういうふうにお考えになつておられるか。
#25
○政府委員(安井謙君) 阿具根委員のお尋ねも御尤もなように感じますし、甚だ恐縮する面もあるのでございますが、実際問題といたしましてけい肺法案を実施いたしますと、一面使用者側におきまする経費の負担も相当かかることが予想されます。又政府の予算自体にも影響する。そして審議会は御承知の通り三者構成で、使用者及び労務者、それから第三者というような構成でありますので、この一致した意見を求めることがなかなか困難な実情にあるのでございます。併し困難だからと言つて捨てておるわけではないのでございまして、極力これを早くまとめて頂きたい。併しやはり民間企業、殊に中小企業の経営面に対する影響も相当大きなものでございますから、そういつたことも併せて考慮して頂きたい、こう考えておる次第でございます。
#26
○阿具根登君 同じ問題を局長にお聞きするのですが、勿論これは経営者側からの意向というものも相当考えられておるようでありますが、本労働委員会で審議しておりまする基準法の一部を改正する法律案につきましても、局長のほうからちやんと一応の原案を作つて、そうして三者に聞かれておる。本法律案のみは経営者に対する負担が大きい代りに、今度はこういう犠牲になつた労働者の苦痛というのはもつと大きいのが片方にはできているのは事実なんです。それを十分御承知のはずの基準局長が何らこれに確たる確信を持つておらない、試案も持つておらないということは、全然これに対する関心を今まで持つておらなかつたのか、現在どういう心境か、お聞きしておきたいと思います。
#27
○政府委員(亀井光君) 諮問機関に対しまして労働大臣が諮問する場合に、政府の原案を示しましてそれを問う場合と、或いは白紙で審議会の答申を待つ場合と二つの行き方があるのでございまして、政府原案でやりまする場合が一般的であることはこれは確かでございますが、曾つて第十三国会で労働基準法の改正を政府が提出する際におきましては白紙で諮問した例がございます。その場合におきましては審議会の労働者側或いは使用者側からおのおの改正の意見を提出をさせまして、その提出された意見に基いて審議会全体が審議をして、そこに結論を得て行くという実例もあるのでございます。けい肺の問題は特に技術的に非常に未開な分野がたくさんございます。又これを立法するにつきましても、単行法で行くのがいいか、或いは現行の労働基準法なり安全衛生規則或いは労災保険法等の改正で行けるのかどうか、これも考え方がいろいろあるわけでございます。そこで我々としてはやはりこういう技術的に非常にむずかしい問題、或いはその立法においていろいろ考え方のある問題についてはやはり審議会の意見というものを聞くほうがむしろ拘束されない論議ができるのじやないか、政府原案を出しますとどうしても政府原案に拘束されて、それに拘泥した議論がなされる場合が多いのでございます。まあ自由にこの問題は討議を願うほうがよりいい結果が得られるのじやないかというつもりで白紙の実は諮問をいたしたような次第でございます。
#28
○阿具根登君 そういう場合も私はあると思うのですが、そういう場合には非常に不便であるとか或いは経費が嵩むとか、そういうような私は肯定する場合もあると思う。ところがこういう場合は、これは人道的な立場にも立つているし、すでにこういう論議をしているときにも次々倒れている、こういう悲惨な犠牲が目の前に次々起つて来ている。この問題をほかの法案と同様に、而も国会で議員提案になつて一年間ももんでいるこの議案を、何ら当該局長として腹案も持つておらない、そして白紙で諮問機関に諮る。諮問機関は勿論これに対して真向うから反対される方もあるでしようし、真向うから賛成される方もあるでしようし、或いは中間をとつて双方の考え方をまとめて行く人もあるでしよう。その問題について、この審議されている法案そのものすら審議されておらない、局自身で十分考えておられない。こういうようなことでは、大臣が只今答弁されましたような形に現われるとしても、非常にこれがこういう形になつて実際に提案されるというのは相当暇が要ると、こういうふうに考えるのですが、現在でもやはりそういうふうな白紙な立場で、審議会の結論が出るのを待つて最後に出すのだと、そういう肚ですか。それとも積極的にここまでやつた、だから私もこのくらいの腹案を持つているんだという考えですか、お聞きしたいと思います。
#29
○政府委員(亀井光君) 審議会が審議をいたします際におきましては、自由な立場で審議いたしますることは、それは一番望ましいようであります。併しその重要な審議の中におきましてもいろいろな資料を提出し、或いはその資料について説明をするというふうな場合におきましては、我々の意向というものがおのずからそこに出て来る場合もあるわけでございます。そこで従来のけい肺対策審議会におきまして我々が提出し、我いは質問にお答えするような場合におきましても、一応我々が行政の上で従来経驗をしましたところに基いていろいろ暗示的な御意見を申上げたことも曾つてございます。又今後この対策審議会がどういうふうに活溌に活動いたしまするか、そういう経過におきましては、我々も又我々のそれに対する見解というものを披瀝をする機会もあろうかと思うのでございまして、政府は無策というのではございません。頭の中には一応の考え方は持つておりますが、併しただその考え方を今ぽつと対策審議会に出しますことが審議を進める上においていいのかどうか、或いは白紙で審議をしながら、政府の考え方を質問その他においてときどき示して行くのがいいのか、それは考え方だろうと思います。私は後者の考え方をとつて、従来この審議会の運営に当つているわけでありまして、できるだけこの審議を促進させるということにつきましては、先ほど大臣の御答弁にもございました通りでございまして、我々としましては極力その方向に向いまして、できるだけ早く結論を得たいというふうに考える次第でございます。
#30
○阿具根登君 これ以上は私の意見になりますが、局長の意見を聞いておりますと、どうしても私は受身のような感じがしてならない。なぜかならば、現実はこういう問題が起きておつて何とかしなければならない、じやどうするかという問題が起きて来なければできないと思う。そういう病人を出しているということが前提になつているならば、そういう作業をさせて、できないということが、できるかできないか、これは日本の経済状態から見てできないということになるならば、それではどうすればいいかという問題ができて来る。それじや予防に対してどういう予防をすべきか、それから今度はこういう発病をした者に対してどういうことをすべきかという、問題の起つているのは労働者自身、労働者である。それなら経営者が金を出すか、国が金を出すか、どちらかしなければ、こういう病気が出ないようにその仕事をやめさせるかどちらかしかないわけです。そうすると前者の場合はそういうことはできない。そうすればやはりどこかの犠牲においてこういう悲惨なより以上な犠牲者を出さないようにするということははつきりしておるわけです。そうするならば今のような私は答弁にはなつて来ないはずだと思う。
 どうするかという問題で来た場合に二つか三つしかないわけです。その一つをとるとするならば、今までのような基準局長の態度であつたならば、私はそれは大きな考え違いだと思うのです。その方法を国がどのくらい持つか、或いは経営者がどのくらい持つか、或いは予防措置をどのくらいするか、この問題でもめておるなら私はいいと思うのだけれども、実際のその方法もできておらないという問題については、私はこの一年間審議した過程から眺めても非常に遺憾に思います。一つ大臣もはつきりここで答弁のあつたように、私はそれに肉付けされるのは局長であると思いますので、十分一つこの点含んでおいて頂きたいと思います。
#31
○田畑金光君 ちよつと元に戻るようでありますが、もう一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。
 先ほど委員長の報告にもありましたように、曾つて安井政務次官はこのけい肺問題対策といたしまして立法措置というよりもむしろ現行法の改正或いは活用によつて所期の目的を達成するのが妥当ではなかろうかというような趣旨の発言もあつたと思いまするが、先ほどの大臣の御説明を聞いておりますると、その当時安井政務次官の発言なされたこととは大変進んで来ておるわけであります。私たちはその点におきましては非常に満足するわけでありまするが、当時安井政務次官がお話なさつたその趣旨というものは、先ほど労働大臣が単独立法の措置に至るまでに行政措置としてできるだけの措置をとつて行きたい。例えば労働安全衛生規則において予防等についての適当な規定を挿入するとか、或いは又執行についての基準法適用の拡大を図るとか、或いは巡回診断というものを更に促進するとか、まあこういうようないろいろな行政指導、行政措置の面を述べられましたが、そういう行政指導の面というものを当時の安井政務次官の発言というものは意図していたと感ぜられるわけであります。で、私のお尋ねしたいことは、行政措置として具体的にはどういうことを立法に至るまでの間政府当局としてはおやりになる御方針であるか、その点を少しく詳細に御説明を願つておきたいと思います。
#32
○政府委員(安井謙君) 具体的な技術的な問題につきまして亀井局長からも又いろいろ御答弁申上げますが、あの当時私ども考えておりましたのは、確かにこのけい肺対策といたしまして、先ほども亀井局長も申上げましたように、果して単独立法にしたほうが最善であるか、或いはこれに関係するいろいろな法規の改正によつてこの実を結んだほうがより適切であるか、そういつたような議論も実は政府部内でも種種なされておつたわけでありまするが、同時に並行いたしまして、只今御指摘の通りに立法化できるまでにいういろいろな紆余曲折もあるだろうからそれはそれとして、今日まだ立法以外の行政措置でできるものは一つ進めようじやないかといういろいろな強い当委員会等の空気なども反映いたしまして、そういつた措置をとるべく省内でも決定をいたした次第でございます。そうして今の巡回制度の能率化でありますとか、或いは一番関係の深い石工につきましてはまだ健康保険にさえ加入していない。そうするとけい肺法の一歩前の問題である。こういう問題から取上げて行くのも非常に時宜に適した方法ではないかということで両方の対策をとつて今日まで来ておる次第であります。
#33
○政府委員(亀井光君) 政務次官の御答弁に技術的な面を補足しまして御説明申上げます。
 只今労働安全衛生規則の改正につきまして研究をいたしております。その研究の過程におきましては、けい肺の関係の予防の措置につきまして更に現行規定の不備を補う趣旨で研究を進めておる次第であります。近く成案が得ますれば、中央労働基準審議会に諮問をいたしまして、その措置をとりたいと考えております。
 石工につきましては、只今政務次官から御答弁がございましたが、従来労災保険におきまして適用されていないで、それをいろいろな巡回検診の結果けい肺患者の多発する実情を把握いたしまして、これに対しまして労災保険の補償をいたすことを決定をいたし、目下その実施をいたしておる次第でございます。将来巡回検診が進んで参りますると、そういう今までけい肺患者の発生の虞れのないというふうに認められておりました事業或いは産業におきましても発生することが判明して来まする場合におきましては、当然我々行政措置としましてそういうものに対する補償を考えて参りたいというふうに思つておりまするし、又けい肺の病床の増設につきましては逐年労災病院の病床が拡充されて参つております。その際にけい肺の専門の病床につきましてもその増設を図つて行くように着着進めておる次第であります。そういうふうなことが目下我々が行政上行なつておりまするけい肺対策の実情でございます。
#34
○田畑金光君 これは一つの大きな政策の問題だと思いまするが、先ほどの安井政務次官の御説明によりましても、自由党の政務調査会といたしましては、正式の機関としてけい肺立法についての方針はまだ確定していないわけであります。併し正式の態度決定がなされていないからけい肺立法を推進することについて消極的であるというようなことではないのである。ではなくしてむしろ政府、即ち労働省のほうでけい肺立法を促進することを政調法としても当然の措置としてこれを認めて、与党の政調会或いは政府の立案が平行的に成案として進められるのだ、こういう態度で臨んでおるような御説明がありましたが、そのように我々としても解釈してよろしいかどうか。政調会といたしましても、政府の立案の推進そのものが政調会の意図である、こういうように平行的に進めて行つているんだと、従つて現在のような四度の国会においてこの問題が論議され、而も客観的な情勢も法案を成立させるような機が熟して来ておる。こういうようなことを考えたときに、政府も党も昭和三十年度を目途として立法措置、予算措置を実現すべきである。こういう工合に我々としては解釈できるわけでありまするが、改めてその点もう一度安井次官から明確な態度だけをお聞きしておきたいと思います。
#35
○政府委員(安井謙君) 自由党の政調会の意見はこうだと申上げますことは、私からちよつと明言することもこれははばかられるかと存ずるのでありまするが、先ほど申上げましたように政調会自体におきましても非常に熱心にこの問題を取上げておる。又労働委員会では御存じの通り非常に強い政府に対する御鞭撻も頂いており、政府自体としましても従来からなおざりにしておるわけではございませんで、あらゆる手を尽し、又立法以外の措置もやつて参つておる次第でございます。併しそれだけでは画龍点睛を欠くというようなこともだんだんと情勢上なつておりますので、これは一つ速かに措置を講ずるべく最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#36
○赤松常子君 安井政務次官にもう一言はつきりした御答弁を願いたいのですが、先ほどの御発言の中に、けい肺病は職業病でございますが、このほかにいろいろ又職業病があるわけで、何かそういうほかの職業病はさしおいて、このけい肺病だけ取上げること云云がというようなことで非常に右顧左眄しておられる。何かそのけい肺病だけ取上げるのは行過ぎであるというような私印象を受けたのでございますが、何もかも職業病の対策を一遍に取上げて立法化するということ、これは現実的に到底できないことなので、一つ一つ取上げてやつて行かなければならないと思うのでございます。そういうことを私どもは必要だと思うのですが、先ほどの御発言の中には、何か消極的なお考えでこれだけ取上げてやるというようなことに対して、非常に今申上げましたような態度を私窺えたのでございますが、私はむしろ一つ一つ取上げて解決して行くという積極性が欲しいと思うのであります。ちよつと私先ほどそういう消極的な御意見のように伺いましたので、その点はつきりお答え頂きたいと思います。
#37
○政府委員(安井謙君) 非常に御尤もなお話でございますが、ただ実際問題として先ほど基準局長も申上げましたように、これをいろいろ法制化し法文化するにつきましては、ほかの病気との関連といつたようなものも十分検討されなければならない。殊に又専門家の間でもこれに類似の病気、脊髄の故障関係のものでございますとかその他いろいろあり、これを一体どうするのだと言われますと、政府として立案いたしまする以上はそういうものに対する態度も決定しなければいかん。これは医学的にも我々は非常に素人でございますが、専門家の発言から受取りましても、この肺病等の関連或いはその区別といつたようなものにつきましても、まだ医学的にも非常に解明されてない部分があるのじやないか、と言つてないから全然何もしてないというわけじやありませんが、政府が立法いたします以上はそういつた点についても一応の態度というものはきめる必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
#38
○赤松常子君 それは私当然だと思うわけでございまして、だからと言つて折角ここまで調査もされ、いろいろ研究もされております。この問題を後に引戻すという理由にはならないと思うのでございます。一度作りましても、又他との関連において不備であれば修正すればよろしいのでございますので、どうぞその点の消極性という感じを私非常に遺憾に思うのでございますが、どうぞそういう点に対しまして、折角ここまで来ておる。そうして繰返して申上げますように、日々の患者の待ち望んでおります問題でございますから、もつと熱意と積極性を持つてやつて頂きたいと思つております。
 それから亀井局長にちよつとお尋ねいたしますが、けい肺対策審議会の答申の結末というものはおよそいつ頃おつきになる見通しでございましようか。
#39
○政府委員(亀井光君) いつ頃というはつきりとした日時を申上げることは非常にむずかしいと思いまするが、先ほど来私お答えいたしておりまするとこで御推察頂けると思いますが、御意見の御趣旨に副うよう我々といたしましては督励をいたしまして、結論をできるだけ早く、御趣旨に副うような時機を逸しないように結論を得させるように督励をいたしたいと思つております。若しそれが止むを得ず結論を得ますることが困難の場合におきましては、独自の見解におきまして我々として考慮いたしたいという気持を持つておる次第であります。
#40
○田畑金光君 私一つの予算措置の面からこの際安井政次務官にお尋ねをしておきたいと思いまするが、御承知のように今回厚生年金法が改正になりましたが、厚生年金は来年度末に、政府説明によりますと一千百六十九億一千万に上るわけでありまして、十年後には五千四百四十五億に上ると言われております。政府は昭和二十八年度におきましては、厚生年金運用といたしまして二十五億を計上され、産業労務者の佐宅建設或いは労災病院建設等に充当されておられるわけであります。本年度は三十五億を計上されておりまするが、併し一年間の利息だけでも五十三億五千万に上る厚生年金積立金かいたしました場合に、この労働者の大きな負担と犠牲によつて積立てられている厚生年金の運用等というものが、これは非常に不十分であり、消極的であろうと我々は認めざるを得ないと思うのであります。こういう観点からいたしますならば、当然今問題となつておりまするけい肺立法によつてどの程度の予算措置が必要かということになつて参りますると、先ほどの委員長の報告通り五億或いは六億、こういう程度の予算措置が当面必要になつて来るわけであります。で、私たちはこの程度の予算措置というものは、現在の一兆以内の予算の中におきましてもこの予算の運用が適正に配分されるならば、当然国としても支出のできる予算にほかならんものと私たちは見るわけでありますが、この点に関しまして、労働省といたしましてはけい肺立法の際の予算措置等について大蔵省と話合いを進めておられたかどうか、この点一つ承わつておきたいと思います。
#41
○政府委員(安井謙君) 田畑委員のお話の通りにこの福祉関係と申しまするか、厚生関係の積立金或いはその利子の活用につきましては労働省としましても非常に関心を持つておりまして、常々全般的な問題につきましてもいろいろ大蔵省と折衝をいたしておる次第であります。例えば労災関係の基金にいたしましても、今度は労災病院に廻しまする予算も非常に拡大をして予算に計上するようになつた次第であります。そういつたものと関連しまして、種々大蔵省とも従来折衝いたしておるのでございますが、従来の政府の財政資金のやり繰り、或いは慣習といつたようなものもございまして、一挙にこれを全部御趣旨のように活用するところまでまだ行つておりません。今後とも併し十分努力しまして、そういつた御趣旨に副うべく努力をして参るつもりでございます。従来も今述べましたように、いろいろとそういつた方面への活用に折衝はして参つて来た次第であります。
#42
○田畑金光君 安井政務次官の御答弁は一般的な抽象的な御答弁でありまして、私の聞きたいと思いますことは、具体的に問題となつて参りまするけい肺法が立法化された場合に、その所要経費が五億或いは六億ということが必要になつて参るわけであります。この点に関しましては当然大蔵省との折衝になつて参りますので、この際予算措置というものに明確な見通しを付けなければ法案の成立自体も又危険になつて参りまするので、この際私は大蔵大臣の出席を求めまして、この法案の成立に伴う予算措置に対し、大蔵当局としてはどのような御方針でおられるか、この際当委員会に出席を委員長を通じ求めたいと考えるわけであります。
#43
○委員長(栗山良夫君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#44
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
#45
○田畑金光君 まあ具体的な予算の面については大蔵大臣の出席を求めて、大蔵当局の方針というもの或いは考え方というものを承わつておきたいと思いますが、いずれにいたしましても労働省といたしましては、折角立法されましても、予算面で大蔵省の反対に会い、事実上法の制定の根本が崩れるというようなことがありましては誠に今日まで努力して参りました法案ができ上りましても無意味になつて参りますので、この点は来年度の予算の中には飽くまでもけい肺対策予算を確保する、こういう決意を持たれて努力を払つて頂きたいと考えるわけであります。
 ともすれば労働省関係の予算が削れる、或いは厚生省関係の予算が削られるということは、今年度の予算を覗いて見ましても、一目瞭然でありまするし、この傾向は来年としても又同じだろうと見受けざるを得ないのであります。こういう点は十分に一つ労働省当局といたしましては御留意を願いたいと考えておるわけであります。
 併せて私は先ほどの労働基準局長のお話によりますると、けい肺対策審議会における各部門別の審議も相当進捗しておるようでありまするが、併し結論を得ることはやはり相当至難であろうとも見られるわけであります。先ほども阿具根君からも強い要望がありましたが、現実に四十万の労働者が不安に戦いているというこの実情を顧慮されて、先ほどの労働大臣の方針の説明の通りに、明三十年度には飽くまでも立法と共に予算の措置が実現することを強く私は要望申上げて、私の一応政府当局に対する質問だけはこれで終りたいと考えます。
#46
○委員長(栗山良夫君) それでは政府当局に対する質問は一応この辺で一段階を付しまして、提案者に対する御質疑がおありの方は御質疑をお願いいたしたいと思います……。
#47
○吉田法晴君 けい肺には現在医学的予防方法がないために、遊離けい酸粉塵を飛散する作業場で働く労働者は必然的にこの疾病にかかる運命にあるのでありまして、この点が先ず第一に他の職業病と異るところであります。
 次にけい肺は他の疾病と異つて、特殊な病理、病状を持つており、現在の医学では根本的に治すことが不可能であるとされております。かかる宿命を持つけい肺の災厄をできるだけ少くするためには治療医学的方法以外の予防対策が一般の職業病に対する以上に必要であります。更にけい肺は他の疾病と異つた特殊な病状を呈しつつ慢性的な且つ自動的な進行を続けて行きます。従つてその療養期間は極めて長期に亘り、而もその間において医学的治療を加える期間が断続いたしますので、その療養期間について特別の考慮を払わねばなりません。これらの点を考慮いたしまして労働者災害補償保険法の特例としてこの法案を提出したのであります。
#48
○大山郁夫君 次の質問に移ります。この法案が制定実施された場合に使用者及び国家はどれほどの経費の負担増となるのでしようか。
#49
○吉田法晴君 お答えをいたします。けい肺一期の場合にはけい肺患者一人当り七万五千余円それから療養補償の対象にはならない場合には、栄養補給と転換補償を加えて約十万円、療養補償の対象となるけい肺二期或いはけい肺第三期、それから肺結核を伴います場合、これについて療養補償、休業補償転換補償、栄養補給全部をいたすといたしまして約六十六万余円かかるということになつております。これはけい肺一人についてのフルにこの法を適用しました場合の負担額でございますが、国の負担しますこの法律による負担は、療養補償或いは休業補償、転換補償、栄養補給等について国が三分の一を負担し、それからその労働者四十万のうち四万患者が出たといたしまして約五億程度に、それから附則第二項によりまして、従前の患者に対する補償を国がいたしますとして、約三億、合わせて八億と推算されるのであります。尤もこれは遊離け酸粉塵を飛散しております法の適用を受ける労働者四十万、その一割がけい肺患者であるという推定の下に立つておりますので、初年度においては四万人の患者がすぐ発見されるということは事実なかろうと考えます。全額はそれだけ減額せられると考えております。
#50
○大山郁夫君 この次の質問に移ります。けい肺に関する諸外国の立法例はどういう現状であるのですか。
#51
○吉田法晴君 お手許に資料がお配りしてあると思いますが、スペイン、イタリー、フランス南阿連邦、スイス等においてすでにけい肺立法をみております。その詳細は別紙によつて御覧を頂きたいと思います。
#52
○大山郁夫君 配置転換の強制は労働者を離職せしめ、且つその後の就職の道を塞ぐというようなことにはならないでしようか。
#53
○吉田法晴君 けい肺対策要綱によつて従来とも配置転換が進められて参つておるのでありますが、従前のように補償が法によつて十分保護されておりませんと事実問題として転換が困難である。そこでお尋ねのような配置転換を困難にし或いは離職せしめることのないように法案十二条三項及び四項において使用者は転換後引続いて使用するように努力すべきことを規定しておる。なおその実現を容易にいたしますために補償の規定を設けている次第でございます。
#54
○大山郁夫君 療養期間二年延長の根拠はどこにあるのですか。なおこの療養期間は療養を必要としないと認定された期間を除いて、算定するので非常に長期に亘ることになるのではないでしようか。又期間を延長するとしても症状安定の見込のある者に限るべきではないでしようか。
#55
○吉田法晴君 けい肺は根本的な医学的治療のできない部分がありますので、その療養期間はどうしても長期に亘る結果と相成るのであります。不治の疾病ならば死ぬまで療養させることが理想であります。ところが現在一般の職業病に対する療養補償は三年で打切られることになつておりますので、これとの均衡も考えて決定しなければなりませんが、鬼怒川のけい肺病院に入院したけい肺病患者の実際について調べましたところ、退院して二年間くらいを経過いたしますと大体生きるか死ぬか転機の見通しがつくようでございます。これを一応の参考といたしまして、二年間は是非延長してやらなければならない、かように考えまして年限を延長することといたした次第であります。
#56
○大山郁夫君 次の質問に移ります。けい肺休業補償を平均賃金の百分の八十とした理由はどこにあるのでしようか。
#57
○吉田法晴君 けい肺の特質から従来労使間においてけい肺協定というものが行われておりますが、実際に日本においても行われておりますけい肺協定に基いて現在行われております措置を法的に裏付けをしたわけでございます。
#58
○大山郁夫君 転換補償をする理由はどこにあるのですか。
#59
○吉田法晴君 使用者は法第十二条第三項及び第四項の規定によりまして、職場転換後引続いて使用するように努力すべきことを規定しておりますが、粉塵職場以外の職場に転換いたしますと、賃金収入について通常減収になりまして、実際問題として職場転換を困難にいたしておりますので、先ほど御答弁申しましたように、労使間のけい肺協定に基いて現在行われておる措置を法的に裏付けるために法第十五条を設けた次第でございます。なおこの種の規定は先ほど述べましたような各国のけい肺に関しまする立法例において見られるところでございます。
#60
○大山郁夫君 栄養補給をする理由はどこにあるのですか。
#61
○吉田法晴君 けい肺協定の中に現在栄養補給という制度がございます。栄養補給がけい肺の治療をする上に、他の病気の場合とは違つた意味を持つかどうかについての理論付けはなかなか困難でございます。けい肺に対する治療の方法がないということと、けい肺に伴い勝ちな結核に対する予防をするという意味においてこの制度を設けた次第でございます。
#62
○大山郁夫君 けい肺補償について国家がその三分の一を負担する理由はどこにあるのですか。
#63
○吉田法晴君 現在の科学水準がけい肺を根治させるまで進んでおりませんので、けい肺補償についての責任は使用者だけが負うべきではない。科学水準の基礎というものにその責任を分担させるべきであるということが言えるわけでございますけれども、併しながら科学自体は責任を負うすべがございませんから、それを国が肩代りをするということにいたしたのでございます。
 そこで現在の経済機構の下におきましては、企業は個人の責任において営まれております。企業責任を負う者はその企業と必然的に関連のある一連の責任も負うべきでありますので、使用者のほうに大部分の責任を負つてもらうこととし、その率を三分の二とし、残りの三分の一を国が負担することにいたしたわけであります。なお国の負担についてはもつと負担してもいいのじやないか、こういう御議論がこの委員会の席上或いは他の討議の際に出ましたことを附加えて御参考にいたしたいと思います。
#64
○大山郁夫君 この法律施行前の患者をも救済する理由はどこにあるのですか。
#65
○吉田法晴君 お答えをいたします。もともとこのけい肺法案のような法律はもつと早く制定されて然るべきであつたのでございますが、諸種の事情で制定が遅れておるわけでありまして、たまたまこの法律施行前にけい肺に罹つておつた者で現在就業していない者、或いはけい肺の原因となります遊離けい酸粉塵のございます事業場を離れ、或いはすでに打切補償を受けた者等につきましては、この法律による救済を受けることができないということは極めて不公平なことであり、このまま放置することは忍びがたいところでございますので、これら従前の患者をも均衡的に救済することといたした次第でございます。
#66
○大山郁夫君 最後の質問をします。各種補償の算定基準となる平均賃金のスライドは保険経済に重大な影響を及ぼすが、スライドは現行通り休業補償についてのみ行うことで十分ではないでしようか。なおけい肺については休業補償を百分の八十とするのであるから、更にスライドする必要はないのではないでしようか。
#67
○吉田法晴君 お答えをいたします。現在労災補償を行います場合には、補償を行うべき理由の発生した日の平均賃金を算定の基礎といたしておりますので、疾病が長期に亘る場合にはその間の経済事情の変動によりまして、一般賃金及び物価水準が変動いたしますと、労働者の最低生活を保障するという目的に副わぬことに相成りますので、平均賃金のスライドを休業補償のみならず他の労災補償にも適用せしめようといたしたのであります。特にけい肺病につきましては労働能力が次第に減退して行くことに伴つて減収を来たしますので、各種補償額の基礎となります労働の実質賃金が低いのが通常であるというこの実態が、特にけい肺についてスライド制を必要とする理由でございます。
  ―――――――――――――
#68
○委員長(栗山良夫君) 質疑の途中でありますが、只今通産省から前回の委員会において問題となりました石炭企業の不振打開の対策について所信を表明に来られましたので、これを先に行いたいと思います。なお、田畑君から要請の大蔵大臣に対する出席要求は目下交渉中でございますので暫らく御猶予願います。
#69
○政府委員(佐久洋君) この前当委員会で石炭の今年度の生産見込をどの程度にするかということについてのお尋ねがございまして、一週間以内にそれに対する回答を願うということでございましたが、石炭の生産の見通しにつきましては、前々から一番根本的な問題として重油と石炭との調整をどうするかということを論議して参つたのであります。重油につきましては、本年度の上期についてどの程度の供給があるかということがほぼ確定いたされまして、勿論下期につきましてはこの前大臣から御答弁がございましたように、上期で非常に苦しいしぼり方をいたしますので、その状況を見た上でないとはつきりしたことは申上げられない、こういうことであります。石炭についてもやはりそれと絡んだ問題でございますので、下期についてははつきりした見通しをまだ申上げる段階にはなつておりません。
 上期につきまして一応私どもが今日まで通産省の内部、各関係部局と相談いたしまして検討いたしました数字を申上げますと、上期の石炭の供給量は全部で二千九百四十万トンほどになるわけであります。で、その内訳を申上げますと、二十八年度から二十九年度に繰越されたものが二百六十万トンであります。只今繰越されたと申しましたのは、販売者の手に残つている数量で、消費者の手に渡らないものであります。それが二百六十万トン、それからすでに大口工場で買取りまして自分の貯炭として持つておりますのは二百二十五万トンであります。それから輸入炭として繰越されたものが五十七万トン、それが合計で五百四十万トンほどになるわけであります。それから国内炭の二十八年度上期における生産、これが一番問題の中心になりますが、一応二千二百三十万トン、こういうふうに見ているわけであります。それから本年度の輸入炭で上期に入つて参りますのが百六十九万トンほどであります。それが合計いたしまして二千九百四十万トンほどの数字になるわけであります。
 それから需要、つまり消費のほうでありますが、国内炭が二千八十万トンと一応見ております。これは見方によつて甘いという見方もありますし、もう少し消費があるんではないかという見方もあります。最近新聞に出ておりますように、鉄鋼の生産を或る程度制限するというようなことになりまするとこの数字が大分狂つて参りますし、今度は逆に早天が続くというようなことになりますと、電力用炭として相当大きく需要が殖えて参ります。一応これは平年の降雨量というようなところを標準にして電力については見ております。これが国内炭消費が二千八十万トン、それから輸入炭を百七十四万トンほど見ておりまして、合計して二千二百五十四万トン、こういう消費が上期について見込まれる。それから二十九年度の上期から下期に繰越されるのがそれの差額でありまするから、販売炭として三百八十六万トンほどが繰越される。それから大品工場の手持ちとして二百五十万トン、それから輸入炭が五十二万トン、上期から下期に繰越される合計が六百八十八万トンというふうに考えられるのであります。
 そこでこの問題で現在議論の焦点になつている問題は、上期から下期に繰越される販売炭の三百八十六万トンというものが一体これでいいかどうかという点でございまして、昨年の上期から下期に持越されましたのが三百五十七万トンであります。三百五十七万トンでありましても相当に貯炭が多いというので過剰貯炭の問題が出たのであります。昨年度と本年度と少し違いますのは、昨年度は販売炭として三百五十七万トンの貯炭があるほかに大口工場の手持ちが三百六十万トンほどありまして、本年度の予想よりも百万トンほど多いのであります。そこが少し違つておりますが、本年度におきまして下期に入つて果してこの三百八十六万トンという持越貯炭に需要が付くような状態になるかどうかというような見通しの問題が議論の分れ目であります。下期に持越しする三百八十六万トンというのが非常に多いということになりますると、上期の国内炭の生産、先ほど申上げました二千二百三十万トンというものは又或る程度減らさなければならないのじやないかということになるわけであります。この点が今議論している最中でありまして、実はまだ未決定なんであります。この三百八十六万トンが多いか少いかというのは、下期における重油の消費がどの程度になるかということと一連の絡みを持つた問題であります。これは最近重油の消費規制が甚だ行過ぎであるというような非常に強い反対が各方面に起きておりますので、下期の状況を判断するのに非常に困難であると同時に、又下期についても大幅に切るんだということを明確に言い切ることが果してプラスになることかどうかという点についても疑念を持たれますので、もう少し時期を見て検討を要するんじやないか、かように考えている次第であります。
#70
○阿具根登君 輸入炭ですね、輸入炭は去年から見るとどのくらい減つておりますか。なお、その内容に一般炭とか或いはガス発生用炭が入つているかどうか。或いは無煙炭がどの程度入つているか、その点を伺いたいと思います。
#71
○政府委員(佐久洋君) 昨年の外国炭の輸入は三百九十何万トン、四百万トンちよつと足らずだつたと思います。そのうちで一般炭が、明確な数字をちよつと覚えておりませんが、五万トンと思つております。これは樺太とのバーター取引をやつたときに、全部原料炭というにかかわらず、実際に入つて来たのは五万トンほど一般炭で入つてしまつた。それをまあ無理矢理に国鉄に買つてもらつたといういきさつがございまして、計画自体には一般炭というのは全然ないわけであります。それからガス発生用炭は入つておりません。それから無煙は三陟無煙と仏印のホンゲイ炭が去年は二十四万トンくらい入つておると思います。これは最初の計画は十二万トンだつたんです。それが何といいますか、自動承認制をその頃やつておりましたので、予想以上に入つて参りまして、昨年の九月に自動承認制をとめた結果、その後は計画以上のものは入つておりません。本年度の計画は無煙炭がたしか八万トンと計画されております。これは農林省あたりは非常に反対して、国内の無煙炭では良質の煉豆炭ができないということで、もつと入れてくれという非常に強い要望があるんですが、八万トン程度に抑えておるわけです。
#72
○阿具根登君 そうすると発生用炭として一般炭というものは去年百十万トン余り入つておりますが、これは計画じやなくて、そういうバーターの手違いから入つた、こういうことなんですね。
#73
○政府委員(佐久洋君) はあ。
#74
○阿具根登君 そうして無煙炭は約三十七万トン入つておるから、八万トンと押えると三十万トン近くこれは制限されておる。こういうことになれば輸入炭に対しては殆んどもう打つ手は打つておられる、こういうふうに了解するんです。問題は重油になるわけでありまして、いろいろ御苦心されている模様でもありますし、まあ私たちが考えておるようにばかりは行かないとは思いますけれども、二十六年度に二百十七万キロリツトル、二十七年度に三百四十五万キロリツトル、二十八年度に五百三十七万キロリツトル、こういう数字を見てみますと、総合燃料対策について、すでに石炭の消費量はどのくらいだということはもう事前にわかつておつたわけなんですね。而もこの前申上げましたように、先買といいますか、そういう気持から、このままにしておつたら六百二十万キロリツトルから六百八十万キロリツトルくらいの重油が必要になつて来る。それを去年並みに抑えて行こうというのが今度の対策でありまして、上期で六、七、八に三十一万キロリツトルに抑えられても、これは五百三十七万キロリツトルの線でしかないわけなんです。そうしたら石炭の状況というものはやはり上期までは四千三百万トンくらいまでしか使えない、こういうことがもう実際証明されておるのでありまして、とすればこの石炭危機を打開するのは下期の重油の割当にかかつておる、これ以外にしか考えられないわけなんです。そうしますと重油を使つた方の反対はこれはわかるんです。これは政府がその施策として、二十七年度から二十八年度に一挙に倍近くの重油を入れて、そうして重油政策をとられたのであるから、その政策によつて重油を使用された方々或いは重油を使われた方々が非常に私は不平を言われるのはこれは当然だと思うんです。併しそうしたのはこれは政府の責任でありまして、ところが需要者を考えてみる場合に、需要者から考えれば、誰だつてそれは安い使いいいのを使いたいのは当然であります。そういうように仕組まれておるのが、これは政府の政策であります。例えば重油にいたしましても関税なんかも殆んどないと聞いております。又重油関係には相当金も出しておられるようでありますが、経営者自身に出しておられるようでありますが、非常な大きな利潤がそれに含まれておる、非常に大きな利潤が伴つておる。こういうことも事実であろうと思うのであります。そうすれば一方には大きな利潤を抱えた反対がそれはもつと強く出て来るのも当然でありましようし、一方はその犠牲によつて国内炭が売れない。そのために賃金の遅欠配が起きておる。
 実際最近陳情に来ておる話でも聞いてみますと、月々二千円くらいの金しか渡らない。仕事はしながら金は二千円くらいしか来ない。金券が少し渡るようでありますけれども、これでは子供を学校にやることさえもできない。なぜかなれば、配給で取つた米を今度は売つて、その売つた金でいもを買つて来て食つておるというようなことも聞いております。そういうような悲惨な実情を見て、それじや一般重油使用者はそれ以上の悲惨な生活状態にあるか、悲惨な経済状態にあるかというとそうではない。そうするならばやはりそこで非常に御苦心はあると思いますけれども、政府の責任でこういうことになつて来たということは争えない事実でありますので、やはりここは政府の責任において、万難を排して国内炭の需要に対する対策を立てられるべきじやないか、かように思うんですが。
#75
○政府委員(佐久洋君) 御趣旨は私よくわかるんですが、それでこの前の前の委員会でありましたか、まあ石炭局長としての考え方というのは詳細に申上げたつもりでありますが、今お話の石炭が非常に苦しんでおる。労働者も同様にその一連ですから苦しんでおる。それで一方石油の業者は相当の利潤を挙げておる、そういう状態にしたのは政府の責任じやないか、こういうお話でありますが、私は確かに燃料に対する一貫した見通しがなかつたとまでは言えないかも知れませんが、あることはあつたんですが、それがその見通し通りに行かなかつた、そのためにこういうような状態になつたということは、これはもう否認できないと思います。曾つて経済安定本部で発表をされました例の五カ年計画というあの数字を見ますと、最終年の昭和三十三年でありましたかには五千六百万トンの生産を必要とする、こういう数字なんでありまして、これは一時の鉱工業の生産指数なんかの伸び方をずつとそのままに伸ばして行く、それから輸出入貿易関係もかなり好調にあつたその状況が同じカーブで伸びて行くというようなことを想定して、一応あの計算としては私は間違つていないと思いますが、現実がその計算と合わないような状態になつておる。ここに破綻の元があるのだろうと思います。
 私が自分のことを申上げるのは恐縮でありますが、石炭局長をお受けしましてから、経済安定本部で曾つて出しました五カ年計画を私自身はキヤンセルして、そうして新らしい五カ年計画と申しますか、そういつた別な見通しを立てる必要があるんじやないかということで考えておりますが、とにかく今までの石炭の生産目標というものが、従つて住産規模というようなものを、だからといつて急にとめるわけに行かない。そこに石炭の特殊事情がありまして、普通の鉱業と違つた苦しさというものが出て来るのであります。そこいらのところを今解決する、何といいますか、頂点に来ている、そこに問題が一番大きく出て来る、こういうふうに思うんです。御趣旨はよくわかるので、やはり石炭の安定した企業規模というものを作ると同時に、当面と申しますか、まあ輸入外貨の問題もありますが、重油の消費というものを野放図に抑制しておくということはこれは勿論できない。同時にやはり石炭としては一つの転換期と申しますか、そういうところへもう来ているんじやないか、というのは、従来石炭というのは主として燃料としてだけ考えて来たわけなんです。これは当面の問題の解決にはならんのですけれども、今後としてはやはり当然燃料としてだけ考えないで、同時に化学工業の原料として考えて行くべきじやないかというふうに考えておるわけであります。お話のように、当面の苦しい状況は、これは私自身の肩にぶら下つた問題で、これは解決したいという気持を持つておりますが、実は明快な解決案もなくて非常に弱つておるところなんであります。御趣旨はよく私わかるんです。
#76
○吉田法晴君 この間両大臣出て来られて、経済閣僚と申しますか、関係大臣にも相談し、或いは必要であれば閣議等も経て持つて来るというようなお話でありましたが、先ほど述べられたのは需給計画と申しますか、実勢を述べられた。この間百万キロリツトルほど切るような数字を挙げられて、私はそこで確たる数字で、重油をこれだけ切るんだ、従つて年間の石炭の生産数量、或いは需要の数量はどのくらいだ、こういう点を持つて来てもらいたい。なお、通産大臣は、これはその他の労働対策についてもそうですが、総合的な対策を通産大臣としては考える。それを内閣の方針としてきめて、今週の成るべく近い機会に持つて来る、こういうお話でありましたんですが、どうもあのとき約束された方針と申しますか、総合的な対策を持つてここに出て来られたんではなさそうであります。それをいつ持つて来られるのか、一つ承わりたいと思います。特にこれは今日は労働大臣がおられませんけれども、出ておられる石炭局長並びに安井政務次官を通じて言わなければなりませんが、その後大蔵大臣に聞いてみると、大蔵大臣は聞いておらんという話です。昨日私的にまあお目にかかつて、別な問題でお話をしたんですが、けしからん話だと思います。今週の近い機会と言われますが、いつそれを持つて来られますか。一つ石炭局なり或いは労働政務次官から一つ御答弁願いたいと思います。
#77
○政府委員(佐久洋君) 今の石炭、重油のお話というのは、この需給計画のお話ですか。需給計画と同時に、それに対する何と言いますか、諸問題一連の全部引括めた対策、そういう問題ですね。
#78
○委員長(栗山良夫君) それは私からも当時発言しておりますから申上げますが、それは只今の石炭企業の不振打開、事柄から言いますれば、石炭企業の安定に関する内閣としての政策をきめて御発表を願いたい、こういうことだつたのです。ですから重油の問題も入つておれば、それから出炭の確保の問題も入つておれば、労働問題も入つて、全部引括めて石炭企業の安定政策というものをお述べを願いたい、こういうことだつた。
#79
○政府委員(佐久洋君) これは基礎になるのは結局重油、石炭の需給見通しというものを数字上どういうふうにきめるかということが基礎になると思います。それに附随して只今委員長からお話があつたようなことが問題になると思いますが、実は只今お話し申上げておる需給の数字も全く末確定と申しますか、輸入炭とか何とかいう関係は確定しておりますが、国内炭についての問題は、先ほど申上げましたような問題がまだ未確定の状態にありますので、大臣にも私お話してないような状況なんです。下期の問題も含めてということになりますと、ちよつと時期をいつということを申上げかねるんじやないかと思います。
#80
○委員長(栗山良夫君) それはこの間の論議は上期、下期を含めての本年度の安定政策についていろいろ質したわけなんです。で、通商産業大臣も非常に沈痛な面持をしておりましたが、とにかくそういう気持でここ一週間くらいの間に作業をしようということであつた。ただ作業をせられるだけではどうしようもないから、その作業をした結果に基いての労働大臣なり通商大臣は閣議にかけてでも不動の一つ政策として発表を願いたいと、特に先ほどあなたが指摘されたように、最近重油抑制については大体業界からレジスタンスが出て来ておる。そうして通産大臣も或いはこれに倒されるかも知らん。その倒れる前に、石炭の安定のためには閣議ではつきり決定した動かない政策をきめてもらいたい、こういう要請を我々はしたわけです。その点内閣の政策というものを国民に発表をして、国民のほうもそれをそのまま受取つて、そして心安らかになるようにと、こういう気持を我々は持つているわけであります。ですから石炭局長が只今述べられた数字的な細かい点は、そのまま我々も承わつておきますけれども、こういうことをもとにしての政策というものの発表がないわけです。緊急政策の発表がないわけです。ですから吉田君が疑問を持たれたのは私も同様ですが、この間の約束の発言として、今日局長の発言を私どもが了承するわけには行かないわけなんです。そういうふうに思います。
#81
○吉田法晴君 労働政務次官もおられることですし、御答弁を一つ伺いたいと思います。
#82
○政府委員(安井謙君) 実は前回の委員会も途中で中座しまして、両大臣御列席でいろいろ答弁があつて、その結果として二、三日前に委員長からそういつた石炭対策が通産省から正式に発表になるはずだがまだないがどうかというお尋ねがございまして、私早速通産政務次官に連絡しまして、大体こういうふうになつた次第でございまして、そのときの内容の細かいことにつきましては、私ちよつと存じておらんわけですが、今日その連絡の結果ここに来たような運びになつておるわけでございます。
#83
○吉田法晴君 先ほど委員長からお話のありました通りですが、この前石炭局長もおられたと思うのですが、いろいろな対策を立てるについて、政策を立てるについて、重油をどれだけ切るか、それから石炭をどれだけ出すか、どれだけ需要があるか、こういう見通しがなければ金融対策等も立たん。そこで百万をちよつと超しておつたと思いますが、切る案を通産大臣は言われた。で、四千八百万トンという点から言えば、重油にしても百五十万トン要るところだが、その百五十万には私ども飽くまでこだわらんから、そこで実際的な案を、これだけ重油は切るんだ、そこで国内炭のほうはこれだけ出せばこれだけの消費はあるんだ、こういう基礎材料に基いて総合対策を立てる。対策の方向は通産大臣がずつと並べられた。それから労働対策についても、労働大臣も労働金庫に融資をする、こういう方法も考えたと、こういうお話だつた。その閣議決定による方針を今週に入つて成るべく早い機会に持つて来る、こういうお話だつた。で、その時期等についても国会の会期もあるし、国会が済んでということでなくして、成るべくこの週の早い機会に持つて来てもらいたい、こういうことで了承をして両大臣と別れたわけなんです。いわば今の石炭局長の御説明は中間報告みたいなものです。この前お約束をしたのはそういう中間報告、而も中間報告の中には重油をどれだけ上期、下期を通じて切るというお話は含まれておらないで、上期の差当りの施策をやつておる。下期の分については或いはこの石油関係或いは石油を使つている業界関係からも相当強く反対もあつて、ここで下期を大幅に削減するということを言明するがいいか悪いかわからんと、こういうことで、むしろこの前の通産大臣の発言からすれば後退をいたしております。
 それから例えば一応国内炭について二千二百三十万トンの生産或いは二千二百五十四万トンの需要等の数字を挙げられましたが、それも最近の鉄鋼の生産制限等も織込んで或いはもつと下るかも知らん、こういうお話があつて、この前のお話よりも更にむしろ後退をしている。その後退をしたところを含めて中間報告をせられても私どうもここで了承をするわけには参らない。四千八百万トンを大上段に振りかぶつてそれから一歩も退かんというようなことを申上げておるわけではありませんが、この前の労働大臣のお約束をお果しを願わなければ我々としてもこれを了承するわけには行かんと思う。それをいつ持つて来てもらえますか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
#84
○委員長(栗山良夫君) これは政務次官にちよつとお願いするんですが、労働省としましてもう一度通商産業省と打合せを願つて、今の通産省の政策では安定しかねるんで、もう少し明確な答弁のできるように御努力を一応願いたい、こう思うのですがね。問題点はこの前もお話をし、通商産業大臣は非常に熱心に答えられたので問題の要点はもう十分おわかり願つておると思う。というのは上期、下期の長期の石炭を含めての燃料の需給計画というものをはつきり立ててもらう。それが先決であつて、それができれば初めて当面の混乱状態に陥つておる石炭企業の危機打開のために、暫定的な融資であるとか或いは労働金庫に対する預託金の増額であるとか、そういうことができる。併し安定政策がない場合に幾ら融資をしようと言つて市中銀行を押えてみても、或いは財政投資による預託金の増額を望んでみても、企業の安定性の見通しがないところにはそれは絶対にできない。そういう点を議論をして、それは尤もだということになつて話が進んだわけですから、一番もとを一つ確定して頂くということが必要だと思います。そのもとが確定しかかつておつてはどうも確定しないのは、私はここで申上げるのははばかりますけれども、ほうぼうにレジスタンスが出て来ておるのです。そういうことになると、それはやはり内閣の責任において御決定を願うことだろうと私はこう思います。それでよろしうございますですね。
#85
○政府委員(安井謙君) 今のその石炭局長の御説明だけではまだ多少不十分なところもあるので、改めて責任当局からもう少し明確な意思表示をしてほしいという御要望はよく当局にも伝えて又御連絡することにいたしたいと思います。併し何分的確な見通し自体ということが非常に困難な問題でもあろうと思いますので、よく通商省の事情も伺つてみまして、又改めまして御連絡を申上げることにいたします。
#86
○赤松常子君 私素人なんで一、二ちよつとお尋ねしたいのでございますが、従来の石炭の燃料に使われている量と、それから化学製品に使われております量の割合というものはどういうふうになつているのでありましようか。今石炭の転機に立つていると言われておりますが、それはどういうような変化を示しているのでございましよう。
#87
○政府委員(佐久洋君) 化学原料として使われておる部分というのは殆んど見るべきものはない。殆んど全部が燃料でございます。以前は石炭の液化なんかに使われておりましたが、これは今は非常に高くつくものですから全然使つておりません。燃料として使つておる過程から、その煙から出て来る、いろいろ分析をして物を作つて行くということであつて、純粋に化学原料として使つておるというものは殆んどゼロと言つもいいくらいであります。
#88
○赤松常子君 それは日本の石炭の質が悪いとかいいとか、適するとか適しないとか、そういうことによるのでございましようか。
#89
○政府委員(佐久洋君) 質自体は、例えばゲルマニウムなんかをとる場合にはアメリカの石炭なんかよりも日本の石炭のほうが有利である。物によつて違いますが、一番大きな原因はやはり国内炭が外国の石炭よりも割高であるということ、そうしてそれを使つて化学製品を作つても外国品と競争ができるかどうか、石炭を使つて新らしい化学工場を作る場合に、これはもう工場自体から相当厖大な資金を入れなければなりませんから、そういつた採算面で気乗りがしないという点が大きな原因だと思います。ですからやつぱり問題は炭価を合理的に下げて行くという努力を払わなくちやならんと思います。
#90
○赤松常子君 それとからむと思うのですがね、この輸入炭ですね、輸入炭の必要性というものはその価格の問題が重要なんですか、質の問題なんでしようか。
#91
○政府委員(佐久洋君) これは価格の問題というのは私のほうでは取上げておりません。勿論外国炭を使うほうの側から言うと、価格が安いからということは、もつと輸入してくれという申請の理由にはしております。私のほうではその価格の問題を全然取上げてはおりませんので、国内で供給ができない特殊な石炭があります。例えば強粘結炭なんかは年間で三百数十万トン使いますが、国内で出るのは四十万トン乃至六十万トンぐらいしか出ておりません。それから弱粘結炭でも灰分の少いものが最近非常に強く要求されておりますが、これは国内でできるものはできるだけ国内で供給するということにしまして、不足分を輸入するという、こういう建前にしております。
#92
○阿具根登君 先ほどの局長の説明でちよつと私が聞き漏らしたかもわかりませんけれども、先ほどの説明では、本年度上期の消費見込が国内炭で二千八十万トンだつたと思います。そうすれば上期、下期が同じ数量だということは考えられんけれども、そう考えるならば四千百万トンぐらいの国内炭の需要だと、こういう結果になると思う。而も輸入炭その他を全部合わせまして下期への繰越が六百八十八万トンもあると、こうならばこれは由々しい問題だと思いますが、これはどういうふうにお考えになつてこういう数字が出たのですか。
#93
○政府委員(佐久洋君) それは国内炭の生産は、先ほどお話しました下期への繰越数字をこの三百八十万トンとすれば、国内の生産は二千二百三十万、それからそれに対応する国内炭の消費というのは二千八十万トンでございますが、大体去年並みという程度の消費……。
#94
○阿具根登君 去年並みでしよう。
#95
○政府委員(佐久洋君) はあ。
#96
○阿具根登君 だつて二千八十万トンの消費でしよう。それから国内生産炭の見込は二千二百三十万トンでしよう。これで二百万トンからの貯炭ができるわけなんですね。年間を通じてこれは四百万トンになる。国内炭だけで。国内炭だけでですね。それに輸入炭或いは重油等を加えれば厖大な貯炭が出て来るのじやないか、こういうように見ることになると思うのですがね。
#97
○政府委員(佐久洋君) これは全国貯炭として下期に繰越される分が三百八十万トンというのは、下期の需要がどの程度つくかというその状況によつては必ずしも多い数字ではないのです。下期に入り口の場合には大体三百五十万トンくらいの例年貯炭というものは持つておるわけなんですから、一つのまあ希望と申しますか、下期に対するところの見方として、大口工場が二百五十万トンの貯炭を持つて下半期に入ると、こういうように見ておりますが、これは非常に少い数字なんです。ですから石炭の値崩れその他が大体もうこれでとまるのだということになれば、工場自体としては今でも買手はあるわけなんです。ですからこの二百五十万トンというのは例年三百六、七十万トン、ですから百万トンほどこの見通しとしては減つているわけです。ですから全体の全国貯炭と大口工場の貯炭と両方合わせますと、まあ一昨年あたりはこれは非常な九百万トンに近い貯炭ですが、これは異例ですが、去年あたりの状況とそう違わない、こういうように見ております。
#98
○阿具根登君 そうするとこういうことになつたしわ寄せが石炭だけに来たのは、去年の重油の輸入と或いは輸入炭その他の状況でこうなつて来たわけなんです。ところが只今の説明でも去年通りのまま国内炭の使用だ。数字から比べれば去年よりも下つたような見通しが上期としては持たれておる。そうすれば前二回御答弁願つた考え方と全く違つて来ておる。こういうようにしか考えられないのですが、私たちが質問したい要旨は、去年のままの四千三百万トンくらいでは去年以上に失業者も出て来るし、賃金の遅欠配も出て来るし、炭鉱の休廃山も殖えるのだ。ですから何とか去年の総合燃料対策は間違つてないか、これを一昨年並みに引直せとか或いはもう少し先行きの明るい見通しを持つた対策を立ててくれというようなことで質問を続けて来たわけなんだ。ところがこの前大臣の話では四千三百万トンとは考えておらない。又重油も五百三十七万キロリツトルということはこれはもう考えておらないのだ。そうして極端に申上げれば三十一、二万トンに十二倍かけてもらえばいい、それで行けば大体四百万トンということになるけれども、その端数が上下するのは一つ辛抱してもらいたいというような非常に明るいことを言つておられたにかかわらず、今の局長のお話では、去年と変らないどころか却つて見通しが暗くなるような石炭の需要の報告であつたように思うのですが、これはどうですか。
#99
○政府委員(佐久洋君) それは下期の……、これは上期ですが、需要というのは非常に少いわけですね、下期に入つての需要というものは、重油との関連というか、重油の消費規制というものが相当に行われるということが確定されれば下期の需要というものはもつと殖えるわけです。その点が未解決であるということに、実は先ほど申上げました数字が大きく伸びていないという原因があるので、その点それではなぜ解決しないという点については、これは問題はむずかしい問題で、私一人の力では解決ができないので、下期についての見通しを申上げかねている、そういうことであります。
  ―――――――――――――
#100
○委員長(栗山良夫君) 田畑君。只今大蔵政務次官においで願いましたので、質問の要旨ですね、簡単におつしつやて頂いて、それから……。
#101
○田畑金光君 大蔵大臣の出席を求めましたが、政務次官がおいでになりましたので、政務次官に二、三お尋ねいたしたいと思います。
 参議院においては第十六国会に議員立法としてけい肺法が提案され、爾来今日に至るまで参議院労働委員会がけい肺法を審議いたしておるわけでありまするが、政務次官はけい肺法について御存じであるかどうか、先ず最初その点を伺つておきたいと思います。
#102
○政府委員(植木庚子郎君) 甚だ遺憾に存じますが、その内容につきまして承知いたしておりません。併しそういう法律案が出ておりますことは薄々承わつておりました。
#103
○田畑金光君 それではまあ簡単にこの法の内容について御説明いたしますが、これはけい肺という職業病、まあよろけと言われている職業病に対する対策立法であります。金属鉱山とか或いは石炭炭鉱、或いはセメント工場或いは土石採取業、こういうようないわゆる遊離けい酸を含んだ粉塵作業場において働く労働者は宿命的に免れることのできない病気なんであります。勿論今日例えば鉱山等におきましては法に基きましてこの粉塵作業の予防措置につきましては各種の措置が講ぜられておるわけであります。例えば湿式さく岩機を使うとか、或いは防塵マスクを使つて、できるだけその粉塵を肺に吸収しついような予防措置が講ぜられているわけであります。併しその他の産業等におきましてはそのような法的な措置もなければ、又中小企業等におきましては予防措置等について何らの措置が施されていない、こういうような状況にあるわけであります。今日この病気は今申上げますように罹つたら治らないという、不治の病であると言われている病気でありまして、帰するところはまあ科学の貧困と申しますか、科学がそこまで到達していない状況になつているわけであります。こういうような環境に働く労働者が全国でどれくらいいるかと申しますと約四十万おるわけであります。で労働省は昭和二十三年以降毎年定期に旬間検診をやつておりまするが、すでに七万名程度一応検診しているわけであります。そのうち約一万名、一五%程度がけい肺と認定されているような状況になつているわけであります。
 そこでこの職業病は今申上げますように飽くまでもそういう企業に伴う病気でありまして、而も病気に罹ると治らないというこういうまあ悲惨な人道上の問題になつつているわけであります。そこで各国におきましては、例えばフランスとか或いはスペインとかイタリア南亜連邦、スイスというような諸国におきましては特別立法によつてこういう病気の予防或いは診断、或いは治療、こういう特別措置が講じられているわけでありまするが、我が国の立法においてはどういう状況かと申しますると、御承知のように労働基準法或いは労働者災害補償保険法、こういうような法律がありまして、一応けい肺等もこれらの法律によつて療養措置が或いは補償措置が講じられている。こういうような状況になつているわけであります。
 ところが先ほど申上げますようにこの病気というものは罹りますと非常に長い期間を要するということになつておりまするが現在の日本の法律制度で以ては療養の期間というものは最長三年間になつているわけであります。ところがこの職業病に関しまして今までの臨床の経験を通じましてまあ関係者の御意見を承わりますと、最長のこの三年は五年間の療養期間に延長すべきであると、こういうような御意見が出ているわけであります。で先ほど申上げましたようにこの病気が職業病である。而もこれは労働者に何の責任もない、企業そのものの生んだ宿命的な病気である。而も又科学の今日の到達水準以前のものであると、或る意味における科学の貧困のためである。こういうようなわけでありまして、この立法の必要性というものは全国の労働者は勿論、或いは又こういう職場を持つておる企業等におきましても非常な関心を持つて今日まで参つて来ておるわけであります。
 一例を申しますと金属鉱山等におきましては、すでにその労働者のうち七割、七〇%は労使の協定によりまして、労働協約等によりまして今の法の不備を補充しておるという状況になつて来ているわけであります。石炭鉱業等におきましても労使の協定によつて、労使協約によつて徐々に現在の法の不備を補充しておる、こういうような状態になつて参つておるわけでございます。一方政府におきましては、労働省におきましては先般来けい肺対策審議会を設けられまして、その審議会の中に予防診断或いは更生対策等の特別委員会を設けられまして、今これらの機関に諮問されているわけであります。
 先ほど申上げましたように参議院におきましてすでに四たびの会期に跨つてこの法案が議員立法として提案され審議を進められておりまするが、この国会に至りまして、この審議も相当前進したわけであります。で我々といたしましては、この会期中にこの法案を是非とも立法化したいこう考えて参つたわけでありまするが、ただ不幸にいたしまして、自由党と緑風会は、要するに予算を伴う議員立法というものはやらない方針だ、やりたくないのだと、こういうような強い方針を堅持されて今日に至つておるわけであります。我々といたしましては、社会党両派といたしましては、或いは無所属の提案された各位といたしましては、こういうような法律まで議員立法としてお互いに慎しむということは行き過ぎじやなかろうか。いわゆる議員立法として今日世の指弾を受けておるのは利権立法である。こういうような観点から自由党や緑風会の御意見に若干食い違いはありますけれども、併し法案の成立を期するためにはやはり各会派の共同した意見の一致が必要である。こういう工合に考えて参りまして、提案者でありまする側の会派もできるだけ譲る点は譲つて、各会派一致の共同提案、立法化を図ろう、こういう態度で今日まで参つたわけであります。幸いにいたしましてこういうような国会の情勢の動き、或いは又周囲の関係産業等の客観的な情勢の発展に応じまして労働省も今日次のような態度にまで到達いたしております。
 それはけい肺対策審議会の答申を待つて一応立法化を図る考え方であることは勿論であるが、仮にこの答申が遅れたような場合には労働省自体といたしまして、政府自体といたしまして立法指置を図る意思である、こういうようになつて参つたのであります。さようにいたしまして自由党の政調会におきましても、労働省、政府のこの考え方を支持する段階にまでなつて参つおるわけであります。
 先ほど労働大臣からその所信を承わりましたところが、今申上げましたことを明確に申されましたし、又先ほど労働政務次官に質問いたしましたところが、具体的に申上げますると来年度、昭和三十年度には予算措置も図るし、同時に又予算措置に伴う立法については政府提案として出す意向であるということも明らかにされまして、私たちは今会期に至る四会期の努力も漸く実を結ぼうとする段階に至つたわけであります。
 そこで論議が発展いたしまして問題となりましたことは、折角このような法律ができましても、この法律の中には給付の負担といたしまして国が三分の一を負担する。それからそのような企業の事業主が三分の二を負担する、こういうようにこの立法はなつておるのであります。従いまして国が三分の一を負担すると、こういうことになつて参りますると、当然国の予算措置、こういうことが問題になつて参るわけであります。労働省といたしましては、恐らく来年度の予算の折衝というものが本年の十月頃から始まると思いまするが、当然今年の十月以降の予算折衝におきましてはけい肺のための予算を要求することになつて参ろうと思うわけでありますが、先ほど質問によつて明らかにされましたところによりますると、政務次官も労働基準局長も予算折衝においては大蔵省に強くこれを要求すると、こういうようなことが明らかになつたわけであります。幾らくらいの予算が、大体国の予算としてどの程度当面必要であるかと、こういうような点は、先ほど論議がいろいろされましたが、当面五億前後の予算が必要になるのではなかろうかと、かように考えるわけであります。一つそのようないきさつから大蔵政務次官の御出席をお願いしたわけでありまするが、現在の国の政治の方向を考え、或いは財政経済政策面から見ましたときに、このような新しい立法に基く新しい予算措置等については、とかく大蔵官僚等におきましては論議の余地もあるかと考えまするが、併し今申上げましたような諸般の情勢からこの法律が生れて、而も予算措置を要求すると、こういうことになつて参ります場合に、大蔵当局といたしましては十分に今までの経過を、議会の動き或いは議会外の一般的な期待に対しまして十分に応えられるだけの予算措置をやつて頂けるかどうか、この点を伺いたいと存じます。
#104
○政府委員(植木庚子郎君) お答え申上げます。けい肺病対策につきましていろいろ十六国会以来法案を御提出になり、熱心なる御審議を仰いでおることは当該関係者のために誠に敬服いたす次度であります。只今の御質問の要点は、来年度の予算編成期に当つて労働省当局からけい肺病に対する適当なる法律案を作成して、政府提出として出すと、これに伴つて予算措置も当然必要になるからその交渉があると思うが、これに対する大蔵省の所見如何という御質問と考えます。先ほど来御説明頂きましたのでよくわかりましたが、この病気が非常に治りにくい病気であり、併し職業病としてこれを国家としても放置するわけにいかんのじやないかというお話は一応御尤もに感ずるのであります。ただ従来の政府の施策として職業病、いわゆるあえてけい肺病に限りませず、その他にも類似の職業病と称されるものがあると存じますが、こうしたものの予算措置を今まで政府として講じていないように考えるのであります。そういたしますると、これが職業病関係の第一回の、初めての大きな問題として御相談をしなければならないと、こういう問題になります。従いまして大蔵省といたしまして今直ちに幾らの予算、或いは今お話の五億円程度要るかも知れないというお話でございましたが、その金額についてお約束をいたすわけにはどうしても参りません。併しながら御説明でも十分了解できますし、又曾つていつの年度かはつきりいたしませんが、大蔵当局が労働省でございましたか、厚生省でございますか、御当局の要求に応じて調査のための何か経費を計上したことがあるそうでございます。してみれば大蔵当局といたしましても過去においてすでに病気の問題について恐らく係官は御説明を受けておると思いますから、従つて来年度労働省当局からそうした御要求がございますれば、法案の政府提出に賛成いたすことも勿論しなければならないと思いますし、それに対しての予算措置は、金額は今お約束いたしかねますが、できるだけ当局の御要求の内容を承わりまして、よく御相談の上ででき得る限り善処して皆様の御希望に応ずるようにいたしたいと、かように存ずる次第でございます。
#105
○田畑金光君 只今の大蔵政務次官の御答弁で、私も一応了承されるわけでありますが、私自身も今金額の点をとやかく申上げておるわけではございませんで、一応五億程度ですが、当面の予算として必要になつて来るであろうと、こう私は申上げたわけであります。現在議員立法として出されているこの法案を全面的に実施するといたしますると八億を超える予算が必要になつて参るわけであります。併しながら今の政務次官のお話にありましたように、いろいろ他の職業病との振り合いもありましようし、或いは又国の財政の制約もありましようし、当初この法律の実施が最小限確保されるためには五億程度の予算措置はどうしても必要である、こういうことで私は申上げたのであります。金額の点は私自身今からとやかく申上げるわけではありませんが、先ほど申上げましたように、来年度の予算には労働省自身もこの予算措置を大蔵省と折衝することを、明らかにこの委員会におきまして約束されたわけであります。
 更に附加えて申上げますると、自由党の政調会等におきましても、正式の機関として決定にはなつておりませんが、殆んどそれに近いような熟した意見までまとまつておるということも我々意を強くいたしておるわけであります。いろいろ今日の労働省関係の予算或いは厚生省関係の予算、即ち我々から申しまするならば、社会保障制度を中心とする国民生活保障の予算の面を振り返つて見ましたときに、非常に私たちは今の方向に対しまして不満を持つておるわけであります。この際、私は厚生年金の運用の面につきましても一つ大蔵当局にお伺いしておきたいことは、今回厚生年金保険法の改正によりまして、保険の給付も或いは保険料率も引上げられましたが、本年度末には厚生年金のみでも千百六十九億になり、十年後には五千四百四十億に上るわけであります。ただ昭和二十九年度の、この厚生年金積立金の利息が約五十四億に上る、こういうような状況になつておるわけであります。ところが昭和二十八年度におけるこの厚生年金の積立金がどのように運用されておるかと申しますと、産業労務者住宅を通して約二十五億、本年度三十五億に上つておるわけであります。利息の額にすらも及んでいないというのが今日の状況であります。こうして労使の大きな負担によつて積立てられた厚生年金というものが還元されて、労働者の福祉施策のために十分なるその機能が発揮されていない、こういうようなことは非常に遺憾に存ずるわけであります。で、こういうような点につきましていろいろ我々としては伺いたいわけでありますが、こういうような一つの面を見ましても、労働政策というものが非常に欠如しておる。こういうような面において現政権のやつておられることが非常に不公平である、不均衡であるということは否み得ないと考えております。どうもこういうような点も十分考慮されまして、けい肺法案に伴う予算措置に関しましては、先ほど大蔵政務次官の御答弁の通りに十分に一つ我々の意を汲んで、来年度の予算措置を図つて頂きたい、このことを強く要望申上げておきます。
#106
○政府委員(植木庚子郎君) 更にお答え申上げます。先ほど予算を伴う議員立法については、参議院の皆さんのほうでは成るべくこれを慎んで行きたいという態度でおられるということを承わりまして、大蔵当局としては非常に感激に堪えない次第であります。利権法案というお言葉をお使いになりましたが、そうした言葉はいいか悪いかは別問題といたしまして、とにかく予算を伴う、而もそれが予算を義務的に伴うような法律案がどんどん議員立法で若しきめられて参りますというと、財政をあずかる大蔵当局といたしましては非常にまあ困難な立場、或いはそれでは国家財政の円滑なる運営ができなくなる、責任が持てなくなるという場合すらも予想されるのであります。そういう意味におきまして、私、参議院の皆様が非常なる良識の立場におかれていろいろ気を配つて頂いていることを非常に感謝且つ敬服いたす次第でございます。
 厚生年金の資金の運用の問題についての御指摘もございました。これ又一つの見方からしますと仰せの通りかも知れません。仰し大蔵当局といたしましては、何としても国家財政全体の見地から、或いは国家資金全体の配分の上に立ちますと、敗戦後の日本が一日も早く国全体を通しての経済復興ということが必要であり、産業の振興ということが必要であるという建前で、いろいろ苦しい中からの配分計画を立てております。御希望のように十分なる措置ができないことを遺憾に存じます。大蔵当局の苦心といたしましては、各方面のいろいろ国家再建に必要なる用途にでき得る限り公平に、でき得る限りその趣旨を尊重して善処して参りたい、かような考えでいるのであります。従いまして先ほど来のお話のけい肺病対策の問題につきましても、次の年度におきまして、労働省当局の方々と十分御連絡をとり、御説明も頂いて、でき得る限りの善処をいたしたいと考えます。
#107
○委員長(栗山良夫君) けい肺法案の予算措置につきまして只今の田畑君から大蔵当局に対していろいろ御質疑がございまして、大蔵政務次官からも大蔵省としての御所信を御表明頂いたわけでありますが、問題はお聞き及びのように恐らく近く具体化をして参ることと思います。で、すでに労働省においては二十九年度の予算当時においても、私どもが非公式に承わつておりますところによりますと、その費用を大蔵省に一応提案せられたやに聞いているわけであります。併しいよいよ法的措置が講ぜられるようになりますれば、従来よりも非常に強く大蔵省に御折衝になることと思いまするが、どうか一つ大蔵省当局におかれましては非常に重要なる問題として取上げて頂いて、四十万の勤労大衆が安心いたしましてそれぞれの産業の面になかなか努力のできるようにお骨折りを願いたいと、かように考えます。
 只今御答弁を頂きました趣旨を私ども百パーセントそのまま受取つておきたいと思いまするので、どうぞ一つ大蔵省のほうにおいて今後労働省と緊密な御連絡をとつて、具体化のために御努力をお願いいたしたいと思います。
  ―――――――――――――
#108
○委員長(栗山良夫君) この際、御確認を願う意味におきまして委員の方にお諮りをいたします。
 本委員会はけい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案を審査をして参りましたが、会期も切迫をし、会期中に審査を完了することは困難と思われまするので、本院規則第五十三条によりまして、閉会中の継続審査要求書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないものと認めてさように決定いたします。
 なお、要求書の案文等は委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないと認めます。さように決定をいたします。
 なお、本報告書提出の際、両法案について継続審査をいたす理由について本会議において委員長は発言を求めて口頭説明をいたしたいので、その旨を委員会の決定として文書を以て議長に申入れたいと存じます。
 なお口頭説明の内容につきましては、委員長において委員長において、起草をいたしまして改めて、当委員会にお諾りをいたしたいと存じます。右御異議ござまいせんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。
#112
○赤松常子君 只今の本会議における委員長の中間報告でございますが、非常に私一つのけじめを付ける意味で大事な問題だと思うのでございます。どうぞ手抜かりなく、各会派のこのけい肺法案に対する態度を明確に打出して頂きたいことと、それから政府当局、殊に労働省当局の今までのこの経過に対する考え方と今後の方針をはつきりと打出して頂きたいことを要望しておきます。
#113
○委員長(栗山良夫君) わかりました。只今赤松君から御意見の出ました点は起草のときに十分に注意いたしたいと存じます。
  ―――――――――――――
#114
○委員長(栗山良夫君) 最後に請願が二件ございまするので、その態度について御決定を頂きたいと思います。
 第一件は請願第二千六百七十九号、紹介議員佐多忠隆君でございます。件名はけい肺法制定促進に関する請願、請願者は鹿児島串木野市日本鉱業株式会社荒川鉱業所労働組合内一杉鉦臣君でございます。請願の趣旨は、当労働委員会において、第十六国会以来審議して参りましたけい肺法案の成立を促進せられたいというのでございます。ちよつと速記をとめて……。
   〔速記中止〕
#115
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。
#116
○阿具根登君 只今の請願でありますが、先日の小委員会におきまして、当委員会で審査中の本問題については一応保留ということに決定されておりますので、本件もその線で御処理願いたいと思います。
#117
○委員長(栗山良夫君) 只今の阿具根君の御意見の通りに決定してよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(栗山良夫君) それでは保留と決定をいたします。
 第二に、請願第二千六百二十六号、紹介議員山田節男君でございます。件名、日雇労働者の福利厚生施設費国庫補助に関する請願、請願者、広島市宇品町広島県日雇労務厚生会内久米登君でございます。
 請願の趣旨を申上げます。請願者でありまする広島県日雇労務厚生会の内容について申上げますと、使用者と働く者とが母体となり、日雇労働者の福利厚生を図るものでありまして、所属会員約一万二千、その会費は労働者が一人当り年額六十円、使用者は労働者一人当り年額二十円とし、県より年々四十五万円の助成を受け、就職資金の貸付、興行入場料金の割引、理髪店経営、浴場料金の割引、夜勤通勤のための乗車料金の割引、災害弔慰金の交付、優良日雇労務者の表彰などを行なつています。更にこの事業を育成し発展を図るために国庫の補助を願いたいというのが請願の趣旨でございます。先ず労働省の見解を求めたいと思います。
#119
○説明員(三治重信君) そういう団体に対する補助は、まあ補助金の整理等の法律も今国会に提出されているような状態で非常にむずかしい問題だと思います。従つて労働者といたしましては、昨年以来本年度も日雇労務者の福利対策といたしまして物的な施設である簡易宿泊施設、それから理髪、浴場、そういうものを設けて県に運営させる、或いは県が運営をしない場合には県から更にその団体に運営を委任するというようなことで実質的にはそのような要望の一部乃至大部分を充たすような対策を実質上とつておるわけであります。従つて金額で補助金を出すということは、まあ国家予算の予算要求といたしましても、又大蔵省当局としても殆んど交渉の見込もない。我々としてはむしろそういう福利施設を国と県で協力して立てて、そうして実質上日雇労務者その他一般の労務者が福利施設を利用できるようにして、そういう福利対策を拡張して行きたいというふうに考えております。
#120
○赤松常子君 ちよつと伺いますが、予算の措置ができないから今の現状のようにやつておられるのであつて、予算措置ができればもつと国としてその面の充実をお図りになりたいと、かような御意向ですね。
#121
○説明員(三治重信君) 予算の措置は、労務者の福利対策としての予算の措置は我々としても強力にとつて行きたいと思うのでありますけれども、そういう補助金の形式と申しますか、団体補助の形式は労働省としてもやりたくない。むしろ福利施設として施設の設置のほうでやつて行きたい、施設のほうへ国家の予算を出して行きたい、こういうふうに考えます。
#122
○阿具根登君 そうするとそういう予算を金で出すということは考えておらないけれども、福利施設としては考えられるということならば、請願としては取上げて、我々は政府にこれを持つて行つて、政府としては金は出さないけれども、その請願の趣旨はわかつたけれども、施設でそれじや作つて上げましようと言つても同じ結果になつて来ると思います。それでこの請願取上げるべきだと私は思うのです。
#123
○赤松常子君 私も賛成です。
#124
○委員長(栗山良夫君) これは国の福利施設の設備改善を要求しておる願意だと、こういう工合に解釈したらば如何ですか。
#125
○説明員(三治重信君) 広く解釈して頂けば、その要望の一部乃至大部分は達成できるわけでございますから、そういうふうに解釈して頂くならば、我々のほうとしても実質上現在もやつておりますし、将来もやりたいと思つております。
#126
○委員長(栗山良夫君) それでよろしうございますか。只今案件といたしました請願は、願意が国庫の補助を要求いたしておるのでありまするけれども、要するに日雇労働者の諸君が十分なる福利厚生の目的を達すればいいわけでありまして、従いまして本請願は広く国の行う福利厚生設備の改善を国に要求しておるものと、こういう工合に解釈をいたしまして、本請願は願意おおむね妥当として、議院の会議に対して内閣に送付すべきものと決定をいたしたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#127
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。
#128
○吉田法晴君 先ほど労働政務次官、それから通産省石炭局長出られまして御答弁ございましたが、先般通産大臣、労働大臣御列席の上言明せられました今週に入りましての当委員会へのまあ報告と申しますか、発表というものではなかつたと考えまするが、委員長において両大臣御連絡の上、その実現方をお願いいたします。若し会議中に間に合ませんならば、その近い機会に御発表願えるということならば、これは委員会を会期終了直後に開かなければならんという事態になろうかと思いますので、その点委員長において御連絡の上御善処をお願いいたしたいと思います。
#129
○委員長(栗山良夫君) 只今吉田君の御意見の通りに、委員長は労働、通産両大臣と交渉いたしまして、御期待に副うようにいたしたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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