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1947/06/15 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 水産委員会 第8号
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1947/06/15 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 水産委員会 第8号

#1
第002回国会 水産委員会 第8号
昭和二十三年六月十五日(火曜日)
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  本日の会議に付した事件
○水産物増産対策に関する件
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   午後一時三十七分開会
#2
○委員長(木下辰郎君) 只今より委員会を開会いたします。丹羽五郎君より水産金融調査小委員会の中間報告をしたいとの申出がありましたので、この際これを許可いたします。
#3
○丹羽五郎君 では御報告申上げます。小委員会におきましては五月二十六日と六月十一日の二回に亘つて会議を開き、復興金融金庫勧業銀行及び農林省当局より説明を求め、或いは資料の提出を要求して愼重且つ熱心に審議いたして参りました。この審議の結果、緊急確実に手を打つて、漁業資材を何とかして漁民に安心して渡るやう、政府を督励し善処を促したいと考へ、次のような結論に達したのでございます。即ち
  漁業生産の実情を見るに、その生産物の増産を図ると共に、正規のルートへの供出を促進するためには、資材が低廉にして豊富に入手されなければならない。
  幸いにして連合軍総司令部の好意により七百五十万ドルの基金が設定せられ、これが運用によつて近く燃油並びに漁網用綿糸及びマニラ麻の増配が実現されることになつたが、今その資材購入所要資金を見るに、燃油においては重油、軽油、燈油等の経費を合計して毎月平均一億五千万円程度の資金を必要とし、物價改訂で三倍に値上げされるものとして四億五千万円程度が必要である。マニラ麻はこれを製品として現在の公定價格で計算すると、所要資金は毎月当り二億三千万円見当となり、物價改訂の値上りをこれ又三倍と見れば毎月約七億円を必要とし、両者を合計すれば毎月実に十一億円余の購入資金を必要とするのである。
  飜つて現在の状況を見るに、漁業資金は極度の逼迫を告げ、かかる巨額の資金を要する資材の購入は事実上全く不可能の状態にあり、これをこのままにして置けば、折角の総司令部の好意も徒らに貴重な資材の滯貨を見るに過ぎないことになるであらう。この際はこれら資材の円滑なる配給を確保するため、漁獲物水揚代金を見返りとする漁業手形制度を至急に実施し、所要資金融通の途を開くべきである。
 以上でありまして、連合軍よりの好意によりまして漁業資材が大量に輸入されんとしている現在、政府は事前に何らかの手を打つて、これらの資材が入手できるよう配慮すべきであつて、漁業手形等は当然実施して然るべきだと思ふ次第であります。
 次に第二の問題といたしまして、農林、水産復興金融金庫創設の件でございます。全漁獲高の八〇%を占める沿岸漁業の零細なる漁民は、金融逼迫によりて又以前のごとく商業資本に蚕食されつつあるのであります。近く漁業法の改正も行われて漁業権制度も民主化せられんとしているときに、今にして何らかの手を打たねば、この時代の勢いに逆行するものであります。復金はどうも原始産業を軽視しているやうな傾向が見られます。漁業金融の逼迫は極度に達しているのでありまして、現状では漁業の増産は望むべくもありません。これは復金が信用担保を主体とする多分銀行家的頭悩によつて運営されているからに外なりません。このような考えから、小委員会といたしましては、次のような結論に達したのであります。即ち
  一、水産資金の大部分は現在主として復興金融金庫より貸出されているが、昭和二十三年四月三十日現在の復金融資残高についてみるに、貸出総額六百四十二億余万円のうち水産業に対しては僅かに二十九億余万円を貸出されているに過ぎず、この少額を以て物價騰貴の今日厖大な水産漁業を賄つて行けないことはいうまでもない。何故水産金融がかくのごとく惨めな状態に置かれているか。それは復金の融資目標が鉱工業方面に重点が置かれ、制度の上からも、人的構成の点からも、原始産業を軽視しているに外ならないのである。從つて水産業の重要性と現状の窮乏に対する理解が乏しく、各四半期毎に與へられる金融の枠も頗る少額で、今日の行詰りを來たした原因の大部分はこの点にあると云つても過言ではない。
  二、復金の貸出に明瞭なように、その融資先の大部分は資本漁業であつて、漁獲の八〇%を占める沿岸漁業のうち零細漁民に対する融資は殆んど行はわれいない。勿論これには信用力の足りない点もあるが、平時と異り、國家非常の際には、先ず國民の食生活の安定を図る上から、國家資金を以てこれら零細漁民を援助し、増産を図ることが急務であり、公的金融機関のなすべき当然の業務である。
  三、漁業の民主化を実現するため近く漁業法を改正し、漁業権の再分配を行い、併せて漁業協同組合法の制定によつて、零細漁民の協同の力による生産、加工の経済活動が開始されるのであるが、これに対する金融の途は如何なる方法で行はれるのであるか。惟ふに今回の漁業民主化は農村に於ける農地調整と同樣、我が國民経済の基盤に根本的な革化が行われるのであつて、これが成功するかどうかは、協同組合に対して國家資金による金融援助が加へられるかどうかに係つている。即ち漁業権の再分配と協同、組合の結成と農林水産復興金融金庫の設立と、この三者が表裏一体となつて発足するのでなければ、漁業権は再び大資本に具併されるか、或いは休眠状態に陷つて、水産物の大減産を來す結果とならう。以上三つの点からみて、農林、水産復興金融金庫の設立は即時断行の時期に到達している。水産物の増産を図り、國民の蛋白質を十分に補給するの策を採るためには、農林水産部面に特色ある金融機関を設け、國家資金の融通によつて積極的にこれを援助すべきである。又一方農村漁村の民主化の徹底を期し、無血革命の実を結ばせるためには、この金庫の設立が前提條件でなければならない。
 以上でございます。委員長におかれましても、水産委員の一致せる意見として政府にも嚴にお傳へ下さるように取計らつて頂きたいと存じます。大体以上で小委員長の中間報告を終ります。
#4
○委員長(木下辰郎君) 只今丹羽君より極めて熱心なる御報告がありましたが、委員長の活動に対しては感謝するものであります。皆さんにお諮りいたしますが、この二つの結論に対して委員会としてはどう取扱いますか。これらに関しましては尚研究の上立法上の措置も必要でありますが取敢えず水産委員の一致せる意見として政府に傳達いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(木下辰郎君) では、御異議がありませんようですから、御手許にありますような書面によりまして、私より政府に傳えることにいたします。では、本日はこれで散会いたします。
   午後二時十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰郎君
   委員
           青山 正一君
           丹羽 五郎君
           松下松治郎君
           川村 松助君
           寺尾  豊君
           小畑 哲夫君
           小川 久義君
           千田  正君
           城  義臣君
  政府委員
   農林事務官
   (水産局長)  藤田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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