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1953/05/31 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 農林委員会 第48号
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1953/05/31 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 農林委員会 第48号

#1
第019回国会 農林委員会 第48号
昭和二十九年五月三十一日(月曜日)
   午前十時二十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     片柳 眞吉君
   理事
           宮本 邦彦君
           森田 豊壽君
           江田 三郎君
           戸叶  武君
   委員
           雨森 常夫君
           川口爲之助君
           佐藤清一郎君
           関根 久藏君
           横川 信夫君
           北 勝太郎君
           河野 謙三君
           清澤 俊英君
           野溝  勝君
           松浦 定義君
           鈴木  一君
           鈴木 強平君
  衆議院議員
           足立 篤郎君
           小枝 一雄君
  国務大臣
   農 林 大 臣 保利  茂君
  政府委員
   農林政務次官  平野 三郎君
   農林省農林経済
   局長      小倉 武一君
   農林省畜産局長 大坪 藤市君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会専門
   員       中田 吉雄君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
  説明員
   農林省農林経済
   局農業協同組合
   部長      谷垣 專一君
   農林省農林経済
   局農業協同組合
   部農業協同組合
   課勤務     中沢 三郎君
   農林省畜産局畜
   政課長     鵜川 益男君
   農林省畜産局競
   馬部長     井上 綱雄君
  参考人
   農林中央金庫理
   事       更級  学君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○日本中央競馬会法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○食糧政策に関する調査の件
 (人造米に関する件)
○農林漁業組合連合会整備促進法の一
 部を改正する法律案(衆議院提出)
○農業委員会法の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)
○農業協同組合法の一部を改正する法
 律案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。
 最初に理事の補欠互選を行います。理事の補欠互選は、成規の手続を省略して、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認め、委員長より指名いたします。
 森田豊壽君、江田三郎君及び戸叶武君にお願いいたします。
  ―――――――――――――
#4
○江田三郎君 のちほど審議されます農業委員会法の一部改正につきまして、あらかじめ資料を要求しておきたいと思います。
 それは第一は、町村府県段階別農業委員の経営階層別員数。第二が同じく町村府県段階別農業委員の役職地位別員数。それから第三が、同じく町村府県段階別農業委員の農地法違反の事由別件数。それから第四が、町村府県段階別農業委員会による地主の小作地返還要求をしなかつた件数の事由別内訳。それから第五が、同じく町村府県段階別農業委員会による地主の小作地返還要求を承認した件数の事由別内訳。それだけです。
#5
○委員長(片柳眞吉君) それでは本日は、先ず日本中央競馬会法案を議題といたします。
 昨日に引続いて質疑を続行いたします。
#6
○野溝勝君 只今議題になりました中央競馬会法案について質問をいたしたいと思います。
 最初に、この日本競馬会法案が出るに至りました政府当局の見解といいましようか、経緯といいましようか、それについてお伺いしたいと思います。と申しますのは、大体この国営競馬につきましては、政府当局の今日までの見解は、この方針が妥当として強く叫ばれて参つたのであります。今日ここに公社に類似したような日本競馬会法案というものが出たのでございますが、その前に国営競馬を民間競馬にしようか、或いはその他何らかの方法によつて現在の国営競馬の機構を変えようという動きも今日まであつたのでありまするが、併し以上申したように当局といたしましては井上部長さんを初めといたしまして、この国営競馬を強調しておりまして、私は国営競馬が今日まで小さいことはあつたかも知れませんが、大きな過ちを犯したということを聞いておりません。であるにかかわらず、何が故にかような機構改組をしなければならないのか。この経緯について、先ず最初お伺いしたいと存じます。
#7
○政府委員(大坪藤市君) 今回、日本中央競馬会法を御提案申上げました経過についてお尋ねがありましたので、簡単に経過を御報告いたします。
 お説のように、現行競馬法は、昭和二十三年に制定せられまして、政府と都道府県並びに市町村が国労競馬並びに地方競馬として、競馬を施行するように規定せられたのであります。その際法律制定の場合におきましても、すでに附則の末尾でありますが、この法律は、昭和二十五年三月三十一日までに改廃の措置をとられなければならない。こういう規定があつたのでありますが、この規定の趣旨は、競馬法を制定するが、これについて更によく検討をせよという意味じやなかつたかと存ずるのであります。政府といたしましては、昭和二十六年に競馬、いわゆる民営の問題が、強く論議せられたのでありまするが、その論議に応えまして昭和二十七年の六月に競馬制度審議委員会というものを作つたのであります。競馬制度審議委員会には、広く国会議員のかた並びに民間の有識者のかた、政府関係職員と合せまして四十九人の多数を以て、競馬制度審議会が開催せられたのでありますが、競馬制度審議会は、前後六回に亙りまして、競馬に関しまする各般の問題につきまして御討議に相成つたのでありまするが、委員会といたしましては、最終の結論を出す程度に至らなかつたのでありまするが、大体委員会の意向といたしまして、そのとき議長を勤められました荷見委員が議長をせられまして、第六回目に最終の結論的なものを出されておるのであります。
 これによりますというと、速かに国営競馬を廃止して民営に移管すること。その民営の施行主体については競馬の性格に鑑みまして、全国一本といたしました特殊の法人とすること。かような大体の意見に取りまとめられたのでありまするが勿論これは、委員会としての最終意見でありませんので、全員が、このことにつきまして一致いたしてやろうということでありませんが、大体各員の意向はそうであるということで結論とせられたのであります。従つてこの大体の方向を委員会として政府に御答申になつたような結果でありますので、政府といたしましては、その後競馬問題につきまして慎重に検討いたしたのでありまするが、委員会の意向も、大体民営に切替えることとし、而もその民営の施行主体の性格は強い公共性を持つた特殊法人ということでありますので、こういうような行き方が妥当であると認めまして、今回日本中央競馬会を設立することにいたしまして、引続いて現在国がやつておりまする競馬を中央競馬会をして施行せしめる。こういうことにいたしたのであります。
#8
○野溝勝君 昭和二十七年の六月に、この競馬制度審議会が持たれて以来、数回に亙つて検討したその結論がこうなつたというお話でございますが、これまでの筋は、大体了承できるのでございますが、ただその筋の中に、特にかようなことが必要だという理由ですね。日本競馬会にするというこの性格の裏付と言いましようか、性格付というか、その論拠というものを一つ、この際説明を願いたいと思う。どうして一体、日本競馬会にしたほうがいいのかということなんですね。ただ集まつた数回の協議の結果、こうしたというだけでは、ちよつとまだ要領を得ないのです。私はもう一回言いますが、この日本競馬会にした法案の理由が二行に集約してあるのですが、「競馬の健全な発展を図るため、国営競馬を引き継いで施行する団体として日本中央競馬会を設立し、その組織及び運営につき定める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」この程度の理由は、もうすでに今までの日本競馬会当時から、かような理由は示されておつたのでありまして、事新たに新らしいこの理由とはならないと私は思うのです。特に今日まで国営競馬当時におきましても、競馬会というものがありまして、前から、中央競馬会と同じようなことをやつて来たこともあつたのであります。だから、すでにそういうものは、もう試験済のように私は思うのでございますが、戦時中の試験済のようなことを、又新たにここで以てやらなければならないということについては、何かその強い性格の裏付というものがあると私は思うのです。その性格の裏付について一つお話を願いたいと思います。
#9
○政府委員(大坪藤市君) 競馬を民営に切替えますについて、これは競馬制度委員会におきましても、いろいろ御論議があつたのであります。その民営に切替えまする理由といたしまして、競馬のような富籖的行為を伴うものは、国として直接みずからこれを施行しないで、適切なる団体にやらしたほうがいい。こういう意見が一つ出ているであります。つまり国は厳重に監督をする。併しながら行為そのものをみずからやらない。これが競馬を健全に発達せしめるのに都合がいいだろう。こういう一つの御意見であるのであります。
 それからもう一つは、国自身が、みずからこれを行いますということは、国自身の性格と申しまするか、監督者と被監督者が一本になるというような形になつて面白くない。こういう御意見であるのであります。
 それからもう一つは、これは今回提案いたしました政府としての考え方の一つでありまするが、できるだけ行政簡素化にも役立つ。こういうような考えで方あるのであります。つまり競馬のような性格を持つておりまするものを、国はこの際みずから行うことをやめる。併しながら御承知のように競馬につきましては富籖的な行為を伴いまするので、これを施行せしめまする主体につきましては、厳重なる法律上の制限と申しまするか、そういうような強い公共性のあるような性格に持つて行きまして、その弊害の面を法律上相当規制をして行く。そうして国は国としての立場から、競馬会のその相手方が、いわゆる社会悪に陥ることのないような制限と監督を加えて行く。こういうような形、これが競馬を健全に発達せしめて行くのに適切なる方法であろう。かような観点から、中央競馬会法案を提案いたしたような次第であります。
#10
○野溝勝君 良い悪いは別としまして、只今局長さんの説明によりまして、その理由が大体わかりました。でありますが、私はこの理由だけでは、これは、いつの競馬法の改正のときも、この趣旨が出ておる。ずつと見て下さい。数回乃至もう十回近く改正になつておるのですが、いつもこの趣旨を謳つております。ですから、これだけの理由ですと、実におかしいのでございますが、私は今局長さんから御答弁のありましたように政治的な技術的な、さもなければ経済的な何かこれに理由の裏付があると、こう感じましたので御質問したのです。
 でありますから、むしろこの理由の中に行政簡素化の意味からとか、或いは監督と被監督を兼ねてやることについては、民主主義の下においては幾多の疑問を起すから、というようなことを、文章の表現は別といたしまして、そういう気持をこの中に現わした理由書によりまするならば、この日本中央競馬会法を審議する上におきましても、大体気持はわかるのでございますが、こういうような二行によつて集約されたような理由だけでは、これは承知することができないということが私の質問せんとする大きな元となつておるのでございます。
 そこで大体、こういう点でわかりました。更にいま一つ、この際お伺いしておきたいのは、局長さんは、最近の局長さんでございますから、その当時の経緯につきましては、ここにおられる井上部長がその衝に当つておると思いますから、特に井上部長からお聞きしたいのでございますが、今のような理由で、これを公社的な民営競馬にするのでございますが、これにつきましては今まで政府で、国営事業を公社に切替えた事業がたくさんあります。例えば国有鉄道或いは専売公社、こういうのがございますが、そういうのを一応検討の上、かような公社案にしたのでございますか。
#11
○説明員(井上綱雄君) 国営になりまして以来、時勢の然らしむるところと思いますが、大体馬券の売上げその他競馬事業全体といたしまして、当時、初めは戦後で混乱いたしましたが、だんだんよくなつて参りましたに伴いまして、自分の口から余り申上げたくないのでございますが、大体順調に発展しておると思うのであります。年一年と馬券の売上げ等も増加しておりまして、又競走馬も増加しておりまして、先ずこの辺で国営競馬といたしますれば、いろいろその他の状況から考えまして、事業の発展のみを考えましても、そうこれから大きなことをやるようなこともなさそうでありまして、諸般の事情を考えて、国営競馬を切替えまして民営にすることについては、馬券の売上げのみをつかまえましても、むしろそのほうがよかろうという考えでございます。
#12
○野溝勝君 私の申すのは、国の財産、国民の財産です。こういう財産、事業を、これを民間に払下げるというか、民間に経営させるという場合に、収益を上げなんで一層国家がそれに資金の援助をするというようなことになつて来ますと、これは却つて公社にして、国民の負担が多くなりますので、こういう点を考えなければならないと思うのです。そこで現にあなたも御承知だと思いますが、国有鉄道にしても、これは一種の公社機構にしたわけでございますが、そのとたんに国でやつておるときより公社の役員が高い給料を取つて、大臣以上の給料を取つて、更にその経営が苦しくなり、更に賃金の引上げとかというようなことになつて行けば、私は監督と被監督を区別したようなことは結構であるが、併しこういうふうに国民が折角蓄積して来たとろの国有の財産というものは、結局うやむやにさせられる危険性があるのです。こういう点について、勿論審議会の委員の諸君は、さようなことは検討されていると思うが、特に事務担当をされておりました当局は、その間に対する資料等具体的に要求されたか、又は資料を進んで出したかと、又はそういう自信がある裏付を何か持つておるのかという点を、私はお伺いしたのでございます。こういう点について、各公社等に対するところの比較対照なり動きなりを、厳重に見たこと並びに研究したことがありますか。
#13
○説明員(井上綱雄君) 年次の成績等につきましては、大体報告をいたしておりますが、取りまとめたものを実は用意いたしておる次第であります。大体人数の点を申しますと、当初二十三年八月から競馬を開催いたしましたときに、当時の日本競馬会から、国営競馬に入つて来た人が七百二十人くらいあつたわけでありまして、公務員として監督の任に当つておりました畜産局から入つて行つた者が約四十人であつたのであります。現在は、定員から申しますと、五百二十人の定員になつておりまして、過去数年間に二百人以上の自然退職者を生じておりまして、これは新らしく入る人を実は採用しなかつたのであります。と申しますのは、発足の当時七百何十人の人間というのは少し多いのだ。特に当時占領軍関係の厳重な監督等がございまして、この人間が多い。最小三分の一は減らせというような要求があつたのでございますが、当時の事情から、そう簡単にも参りませんので、自然にこれは新規採用をやめまして、経営の合理化を図るという意味で人数を減らしております。今後におきましても経営の面から、これが政府事業から民間事業に移るから、決してその経営が厖大化する。或いは理事者等が高給を食むような関係で国に迷惑をかけるといつたようなことは、従来の方針が、すでに民間事業から国営に移つたのでございまして、その間適当に調節いたしまして、且つ又これが民間事業になりましても、決してそういう方針を曲げられることはない。農林省といたしましては、それらの点の監督もいたすのでございますので、御心配の点は私はなかろうかと考えるのであります。細かい年次の成績等につきましては、御要求によりまして差上げることはできると思います。
#14
○野溝勝君 他公社と、今回の日本中央競馬会公社案との対比並びに今後の見通し等につきまして聞きたかつたわけでございますが、お答えの中に要領を得ないところもありますが、それらについては、資料ができているということでございますから、一応資料を至急出して頂きまして、その資料を検討の上に、その問題については更に質問をすることを委員長にあらかじめ申入れておきます。
#15
○政府委員(大坪藤市君) 今回、提案いたしました日本中央競馬会の性格に関連いたしまして、他公社との関係はどうか、それについての資料はどうかという御意見でありますが、実は今回提案いたしております日本中央競馬会の性格は、公社ではないのであります。公社ではありませんが、公社に最も近い性格を持つておる日本中央競馬会法によりました特殊法人ということになりますので、違いとは、どういうことかと申しますと、第一に国鉄その他の公社との違いは、予算でありますとか決算でありますとか、或いは事業計画とか、そういうような点におきまして直接国の予算と申しますか、そういうような形で大蔵省の査定を受けて国会での審議を受けるというような形ではないのでありまして、この点は、民間の団体のごとく競馬会自体において予算を編成いたすのでありますが、併しながらそれを自由にできるというわけじやないのでありまして、農林大臣がそれを認可して参る。こういう形をとつておるのであります。
 第二に、公社の役職員は、刑法その他の罰則等の点につきましては、公社の職員はその適用を受けるのでありますが、競馬会の場合には、そうじやない。それから労働問題にいたしましても、公社の場合におきましては、いわゆる公共企業体労働関係法の適用を受ける。併しながら中央競馬会の場合には、一般労働関係の適用を受ける。その他いろいろ、公社に最も近い性格と申しますのは、政府が全額出資をし、而も理事長は農林大臣が直接に任命する。又他の理事につきましては、農林大臣の認可を受けて理事長が任命をするという公社に非常に近い形をとつておりまするが、観念上は、公社そのものではない。かような恰好に相成つておるのであります。勿論御意見の通り、本日本中央競馬会法を準備いたします場合に、国鉄その他放送協会等の公社のいろいろな形につきましては、十分な比較対比いたしたのでありまして、役員の構成その他につきましては、殆んど各公社に近い性格をとつております。併しながら中央競馬会の事業につきましては、民間事業と申しまするか、そこにゆとりを持つことができますように競馬の性格からいたしまして、国の予算決算、或いは人事院規則、そういうような事情に束縛された形をそのままの形で競馬会に適用いたしますと、競馬の性格に必ずしも合わない部分が相当多いのでありまして、その点につきましては、一般民間企業体の性格をとつた。併しながら役員の構成その他監督の面につきましては、全く公社に近い。それと殆んど同じ形体をとつておる。かようになつておる次第であります。
#16
○野溝勝君 先ほどの御答弁によりますと、監督と被監督を分離いたして行くということを言われたのですが、やはり私はこの法案を見ておりますと、今御指摘の通り人事権などは、農林大臣が任命権を持つておるのでありますから決してそういう点は分離されたものじやないと私は思う。ですから、この公社に以たところもありますけれども、今申しましたように、そうでないところもありますし、こういうことですと、従来の国営競馬で何も差支えない。だんだんしぼつて行くと、結局行政の簡素化の一つの犠牲といいましようか、そのしわ寄せが、まあ農林省の管轄としては、競馬会あたりがまあその範疇に入れられるというように私は解釈ができるのでございますが、そういうように解釈していいのかどうか。
#17
○政府委員(大坪藤市君) 今回、日本中央競馬会法を制定いたしました本来の趣旨は、競馬制度審議会におきまする論議の経過、又中心となつて論議されました実情等からいたしまして、飽くまで国自身が競馬を行いますことは、必ずしも妥当でない。速かに民間に移して、国は厳重にその監督の立場をとるべきであると、こういうふうな大体の御意見、その御意見を主体といたしまして、今回の競馬法を提出いたしたわけであります。
#18
○野溝勝君 外国には、こういうような機構の競馬制度がありますか。これは資料、もらつておりますが、ないようですが。
#19
○説明員(井上綱雄君) 外国のうち、英国とアメリカとフランスを対象といたして申上げたいと思いますが、それぞれの国でそれぞれの発達過程を辿つておりますので、日本とぴつたり一致するものはございませんが、又お手許に資料を配付してあると思いますが、極く大体のことを申上げます。
 アメリカについて申上げますと、アメリカは、各州にそれぞれの競馬立法がございまして、多少差もあるようでございますが、各州の州長官の任命した委員が三名、それから民間団体から出た委員が一名というようなことでやつておるのが相当多いようでございますが、極く一概に一口に申しますれば、州の立法によりまして半官半民の競馬が行われておる。こういうようなやり方が多いのではないかと思うのであります。
 それから英国について申上げますれば、これは野溝先生十分御承知の通り、英国では、すでに二百年余り前に英国のジヨツキー・クラブがありまして、このジヨツキー・クラブの統裁下に純民営の形態の競馬が行われたのでございます。
 それから、フランスにつきましては、これもよく御案内の通り、馬種奨励協会が競馬をやつておりまして、政府の厳重なる監督下に競馬が行われて、その益金等は馬の改良とか、或いは戦災の復興、道路の改修といつたようなことに充てておるのであります。
 この三つの国が大体御承知のように競馬につきましては、最も優れた長い歴史を持つておりますので、これについて申上げますと以上のようなことでございまして、只今お尋ねのように、我が国で今考えられて提案をいたしております公社に近い性格の団体でやつておるのはないようでございます。最も近いと申しまするのは、今のアメリカのような半官半民のような形のものが近かろうかと思います。
#20
○野溝勝君 競馬会制度審議会の答申に基いて方針を樹立したと。こう申されておるのでございますが、勿論政府といたしましては、設けたところの制度でございまする審議会の意見を尊重することは妥当だと思うのであります。併し、この制度審議会委員の構成が、これが曲者でございます。これは今更死んだ子の年を数えたところで仕方がございませんが、僕なども、そもそも審議会の委員でございます。それがいつの間にか審議会委員が替えられて、新たになつておるのです。これはまあ仕方がないのですが、併し行政の簡素化の方法といたしまして、何かそういう一つの機関を設けなければいかんという意図から作つた審議会制度であります。真剣に日本の競馬制度なり、或いはそれに基く諸制度について、研究するというならいいのですが、これは一つの間に合せの制度、委員会であります、というのは、今言つた行政の簡素化、行政機構の整備、これを成るべく有利にさせるために作つた便宜的な一つの制度であります。かような審議会なんというものは無力だ。だからメンバーを見て御覧なさい。失礼な話だけれども、専門家でもありません。要するに資本家といいましようか、事業家のような者ばかりだ。私はおかしいですよ。畜産局の諸君は、一貫して国営競馬の正しさを強調して来たじやないか。特に私が地方財政の職責を持つているときも、こう地方競馬制度というものを作るときも、特に農林省当局におきましては、国営競馬を強調されて、地方競馬の弊害なども盛んに批判された。こういうこともあつたのだ、それを契機に、ここ一、二年にして急激に大きく転換しなければならなくなつたということは、私はむしろ農林当局専門技術者等々の自主的意見ではないのだ。だからこういう点について、一つも一般人は理解ができないのです。で、まあ事こういうようになつた以上は、過去のことを申上げるのもおかしく響くかも知れませんが、この法案審議に当りまして、一応私はこのことだけ申上げておかねばならない。特に私は、この審議会制度におきましていろいろ意見が出たと思うのでありますが、このときに当局は、この審議会制度委員会に臨んでどういう意見を吐かれたか。この際、お伺いしておきたいと思います。
#21
○政府委員(大坪藤市君) 競馬制度審議会は、一昨年の六月に開かれておりまして、その当時四十九人の委員を御委嘱申上げたのであります。四十九人の委員のかたが、それぞれ競馬に関しましては学識経験のおありのかただと思うのでありまして、併しながらいずれにいたしましても、人数を制限されておりますから、競馬に関して学識経験をお持ちの全部のかたを網羅することには、これは勿論行かないのであります。(「野溝勝君「そんなことはいいよ、わかつているんだから」と述ぶ)その点を御了解願いたいと思うのであります。そのときに政府といたしまして、広く委員のかたの意見を聴取いたしたのでありまして、政府から、積極的に案を具してその案について意見を聞いたというのではなしに、競馬につきましては、長いこといわゆる民営の問題が、各方面から強く要望されましたので、従つてどういうふうな形で、いつ如何なる時期にやるとしたらやつたらいいだろうか。こういうような態度から御諮問をいたしたような次第であるのであります。これらについて、各委員からいろいろの御論議があつたのでありまして、その論議の併しながら多くの部分は、大体において速かに国営の競馬を民営に移したらよかろう。併しながらその民営の主体については、全国で一本にいたしました公共性の強い特殊法人という形がよかろう。こういう大体、御意見であつたのであります。
#22
○野溝勝君 それは一般論で、一般論は、今、局長さんの言つた通りなんですよ。聞かんでも、それはわかります。又当局としましても、そう言わざるを得ないが、我々みたいに内幕を知つておる者から見れば、全くおかしいのです。が併し、これも行政簡素化の強い方針に押されたという点において、そうやらざるを得なくなつたと思うのです。そこでその問題は、これ以上は申上げません。
 この際お伺いしておきたいのは、それでは、行政簡素化と日本中央競馬会ができた場合における従業員その他財政等々に関しまして、どういうような配置転換並びにどういうような案を作られてこの行政簡潔化の線に副おうとしておるのでございますか。その内容、多分資料がおありだろうと思いますから、資料はあとでよろしうございますから、一応内容を一つ、この際明らかにして頂きたいと思います。
#23
○政府委員(大坪藤市君) 競馬を日本中央競馬会に切換えまするにつきましては、現在競馬会の職員は二百二十五人であるのであります。で競馬の問題につきましては、行政整理というものに押されたのではないかという御意見でありまするが、押されたというのではなしに、行政整理という観点も勿論提案いたしました理由にはあるのでありますが、競馬を民営に切換えることにつきましては、競馬部職員の長い間のこれは強い希望であるのであります。と申しまするのは、競馬が今日、国営になりました経緯等から考えまして、競馬部の職員といたしましては、政府の機構の中で競馬を施行するよりも、只今申上げましたような柔軟性のある機構の下において競馬を実行したほうが、より競馬部職員としても、仕事を本当にその目的通りやり得ると、こういう長年の希望であつたのでありまして、その希望に応えたようなことに相成つておるのであります。で、現在五百二十人の職員がおりますが、その職員のうち、中央競馬会を監督する職員と、それから地方競馬を監督する職員、大体その二つの職員を五十五名と見込んでおるのでありますが、五十五名を農林省内に監督職員として残しておきまして、残りの四百六十五人は中央競馬会に奉職をしてもらう。かような形をとりたいと考えておるのであります。
#24
○野溝勝君 ちよつと局長さん、聞き落したのですが、日本競馬会には二百二十五人でしたかね。
#25
○政府委員(大坪藤市君) 日本競馬会に四百六十五でございます。
#26
○野溝勝君 今局長さんのお話の中で、競馬部職員の長い間の希望であつたと言いますが、私は不幸にしてそういうことを聞いておりませんでした。最近までこの国営競馬を妥当として競馬部の職員はおつたと思いますが、局長さんが言われておる長い間という時期は、どれを指すのか知りませんが、あなたは就任してから日は浅いのでありますけれども、それ以前ならばどれくらいの時期において、競馬部の諸君がそういう希望を持つておつたか。この際、御答弁願いたいと思います。
#27
○説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。
 これは、個々の人間の希望でございますので、私は個々の人間に当つたわけではございませんので、大体のことは察しておるわけでございますが、大体、この日本競馬会が解消せざるを得ない事情に立ち至りまして、それでどうして競馬をやつて行くかというので、競馬会の当事者と相談をいたしましたときに、従来の競馬会のような形で以て競馬が続けられることが熱心なる希望であつたわけであります。その当時のことは、野溝委員がよく御承知でございますが、農林省と日本競馬会とがよく相談を遂げまして、今まのでような全国統一的な競馬をやるには、アメリカ側の言うには、どうしても、どういう形体でもいいけれども、統制のある今までのようなやり方であるならば、これは競馬の独占形体であるから、国家公共機関のようなものでなければやりにくいのだと、そういうことで、若しも当事者同士に話がつき、それでやつていいということならば、アメリカ側としては異存はないと、こういう出方であつたのでありますが、従つて今までの形体で以て競馬を続けることが中心問題でございましたので、いきおい国営で競馬をやることにみんなの意見が一致して参つたのであります。そうなりますというと、やはり従来、日本競馬会における待遇等は、当時の官吏に比べましては、数割方、平均といたしまして、よかつたのでございますが、競馬を続け、それを繁栄さして行くための形体として、この収入が減ずる等の点は、皆我慢する。それでやろうということになつたのでございますが、心中はやはり、待遇の改善その他につきまして、従来のような形式がいいということは、発足の当初からやはりそれぞれの気持の上にあつたことと考えるのであります。今日、我々の職員が、一例を申上げますというと、土曜、日曜等に競馬をやつておりますために、非常に忙しい、殆んど寝食と申すとあれでありますが、昼の食事もできないような忙しい状態に置かれておつて、東京都内に働きます場合には、出張旅費といたしまして百円未満の金を受取つておるような実情でございますので、その他公務員の俸給等を加えましても、従来の、まあ大分前の話でありますけれども、公務員と日本競馬会の職員との待遇の開きといつたようなものは全然ないのでございまして、公務員の甚だ当然のことでございますけれども、待遇等は前に比べて甚だ悪い。且つ又公務員は、無定量の仕事を持つておりますために、又一方におきましては、新規採用を一切断たれましたために、それからもう一つは、前になかつた、昨日もいろいろお小言を頂戴いたしましたが、場外馬券というようなものを開設せざるを得ないような状態になつたものでありますから、仕事が大分殖えております。にもかかわらず、待遇は前と比べものになりませんので、それらを考え合せますと、あらわな不平等はございませんけれども、従業員の気持といたしましては、私はやはり待遇等も若干よろしいことを希望しておるということは、聞いてみなくてもわかるような気がいたしております。なお又、こういう形体を続けて行きますというと、地方競馬等に比べまして、臨時の従業員等も私どものほうは大分下廻つておりますので、仕事が忙しいので、臨時従業員、常時の従業員を通じまして待遇がよろしくありませんので、これらの点を考えますると、この業態を完全に遂行する上に懸念なきにしもあらずと考えられる点もあるわけでございます。
 その辺どうぞ御賢察を願いたいと思います。
#28
○野溝勝君 私は何も、当局側をいじめるというか、まあ悪く解釈するばかりではないのですが、それはよくわかるのですけれども、やはり質すべきことは質しておかなければなりませんのでお伺いするのですが、実際、ただ単に畜産当局だけでなくて、どこの政府当局でも同じでございますが、全く国民は余りに官庁の朝令暮改の方針に愛想をつかしておる。昨日までは、この法律は正しいといつて、この制度が正しいと思つていると、今日はこれを改正しようとする。こういう点、我々は理解に苦しむ。今もお伺いすると、畜産局長並びに競馬部長との間における見解なども少し違つておる、違つておるといつても、別にこれは大きく違つておるということは言えませんが、どうも割切れない点があると思う。片方は、長年に亙る希望だといつており、競馬部長のほうは、個々の意見はいろいろある。最近までは国営競馬、今の競馬を正しいと評価しておつたのですが、今でもその通り解しておる。このことは、個人の意見を聞いて、その判断によつてどうということはとるべきではない。機関の意見は、やはりこれは尊重すべきものである。だから競馬会なら競馬会、競馬部なら競馬部の職員全体、その一定の機関決定、部会なら部会、省議なら省議、それがやはり意見だと思つておる。そういう意見から見れば、今の畜産局長の考え方というのは、無理にこの法案を急いで可決する一つの途といたしましての見解と思いますけれども、かようなことは、私はむしろ知らない人のところに行つては結構でございますけれども、我々のように競馬を知つている者のところでは、かようなことは、ざつくばらんに言えば遠慮して頂きたいと思うのです。悪意でいうわけではありませんが……。
 それから、この際一つ聞いておきたいのでございますが、四百六十何人のうち、地方競馬の監督五十名、中央競馬の監督五十名、こういつて、あとは特殊法人の日本競馬会に送る。収容する。こう言われておりますが、犠牲者は絶対ないのですか、あるのですか、その点、見解を一つお聞きしたい。
#29
○政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、全員中央競馬会に行きます。
#30
○野溝勝君 そうすると全員は、犠牲者なくして収容するということでございますが、この給与の点につきましては、どういうふうな状態においてこれを引継ぐのでございますか、その案についてお伺いいたします。
#31
○政府委員(大坪藤市君) 給与の点につきましては、現在の給与を基礎といたしまして、その基礎の上に立ちまして、公社に近い性格のものでございますから、公社等におきまする一般の俸給のレベルと申しますか、平均俸給等を勘案いたしまして、現在の各個人々々における俸給を土台といたしまして決定して参りたい。かように思つております。
#32
○野溝勝君 次にお伺いをいたしますのは、昨日も江田、清澤両委員から御質問があつたのでございますが、この目的の中で、馬の改良増殖その他畜産の振興を図ることを目的とする。これは、いつでも同じようにここに出ておるのでございますが、この畜産の振興は、積極的な方面か、消極的な方面かわからないのです。例えば積極的というのは、増産方面に対する振興か、消極的というのは、家畜衛生等に対する問題があるのでございますが、ここでいう畜産の振興ということは、増産を意味するほうの振興を目的としておるのか、家畜衛生等というような面が放棄されておるように思うが、そういう点は、どういうふうに考えられておるか。これはむしろ畜政課長から聞いてみましよう。
#33
○説明員(鵜川益男君) 畜産振興、勿論これは競馬を通じまして、馬の改良、増殖、更に延いては畜産の振興、これは勿論増産もございますれば、更に有畜農家創設と申しまするか、そういつたような面、又先ほど消極的とお述べになりました家畜衛生の面、いろいろ総合的に全般の畜産の振興に役立つように持つて参りたいというふうに考えております。
#34
○野溝勝君 ただ言葉の綾だけではなく、実際畜産振興のほうに廻す率も配られた資料の中に出ておるようでございます。結構なのでございますが、たまたま納付金その他畜産振興のほうに向けられる費用等が計上されておりましても、総売上金はわかつておるのでありますが、その配分率について、いつでもこれは明確を欠いておるのでございます。こういう配分率等については、具体的に言えば、どういう内容で、どういう機構でこれを明確にやるのでございますか。この点は勿論大蔵当局との関連において措置されることと思うのでございますが、一応この際、こういう点をお承わりしておきたいと思います。
#35
○政府委員(大坪藤市君) 或いは御質問の趣旨を取違えたかと思いますが、今回衆議院のほうで修正に相成つたのでございまするが、競馬を施行いたしまする場合には、日本中央競馬会から、馬券売上金額の百分の十一というものを国庫に納付いたすわけであります。これは国庫の一般収入になるのでありまするが、その財源を畜産振興並びに社会福祉事業に使う。かような恰好に相成るのであります。で、これは財源といたしましては、国庫納付金がきまりますので、それはいわゆる年度当初の予算編成のときに、予算金額でこれはきまるということになるわけでありまするが、その予算金額できまりました額を財源といたしまして、畜産振興、社会事業費に振り向ける。その場合に、その社会事業に振り向けまする経費は、納付金の四分の一限度、こういうことに相成つておるのであります。畜産振興に振り向けまする経費につきましては、有畜農家創設特別措置法、酪農振興法に基きまする助成金等、馬の伝染性貧血のための試験研究に要する経費、これを土台にいたしまして、予算編成の場合に大蔵当局と協議の上で各項目を決定して参る。
 かようなことに相成つております。
#36
○野溝勝君 私は、昨日のこの委員会の懇談会の際にも申合せておる通り、午前中で成るべく質問を切りたいと、こういうことでございますから、残念ながら第二まで行つただけで、あとまだ相当あるのでありますが、申合せのありました通りにして行きたいと思います。
#37
○委員長(片柳眞吉君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#38
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。
#39
○野溝勝君 大体従来から見られる現象でございますが、この畜産振興のほうに振り向けるといいましても、家畜衛生のほうに対する予算といいますか、費用が非常に少いのです。こういう点は一つ畜産局長のほうで十分留意されまして、万遺憾なきを期してもらいたい。この点を特に。
 次に質問をしておきたいことは、この競馬会で一番問題になるのは、いつでも悶着が起るわけなんです。レースに対する悶着が起る。さような悶着に対する今日まで国営競馬等における費用、いわゆる悶着に対する費用をたくさん使う。そういう費用はどのくらいあつたか。同時に、今後中央競馬会となれば、一層一種の特殊法人のような団体が経営するのでございますから、この悶着は相当多くなると私は思う。この見積等をどういうふうに一体見ておるのか、この際聞いておきたいと思います。
#40
○説明員(井上綱雄君) 警備費といたしまして、自治警及び国警等につきまして、全国の国営競馬で出しておりますのは、約五百万円程度でございます。そのほかに謝金として計上しておりますが……。
#41
○野溝勝君 自警と国警合せてですか。
#42
○説明員(井上綱雄君) 通じまして、実際は五百万円を多少上廻りまして、六百万円と五百万円の間ぐらいでやつておりますが、予算といたしましては、一応五百万円程度、そのほかに謝金と、これにはなつておりますが、御承知のように、お医者さん等はしようつちゆう来ておりますので、これに多少払つておりますから、そこに融通が多少できて、五百万円乃至六百万円と申上げるわけであります。レースが少いときは五百万円くらいで済むときがございます。この謝金でございますが、これはお礼をするわけではございませんので、一カ年当りまあ多いときも少いときもございますけれども、国警、自警のお巡りさんに三、四十名或いはもつと多いときは五、六十名になりますが、お弁当を出しておる程度のことでございます。
 それからこれが民間団体になりました場合に、やはり警察法等の改正がどうなるか知りませんが、やはり国警にもお頼みすることになると思いますが、やはり民間団体でございますと、その辺の了解はまだ取付けてございませんけれども、やつて頂けることと考えておりますが、若干民間団体でございますので、二割程度は増して考えなきやならんのじやないか。私どもといたしましては、予算としては八百万円程度計上しておきたい。まあ二割が八百万円になるのはおかしうございますが、少し余裕を見て八百万円程度の予算にしておいたら私の心構えとしては適当ではないか。かように考えております。
#43
○野溝勝君 誠に正直に、正直と申しましようか、露骨に御答弁下さいまして有難うございます。
 ただ警備費或いは医療費、こういうものは表に出ておるので、誰でも想像がつくのですが、わけのわからんギヤングのほうへ少し金が取られるんじやないかと思います。そういう点を一つ露骨に話して頂きたい。
#44
○説明員(井上綱雄君) これは甚だ、何もかも御承知の野溝委員のことでございますので、私ども何もかも隠さず申上げます。私ども主催者の立場といたしましては、この種の、今お挙げになりましたものには実はお金は出ておりません。然らばどういうところからか出ておるのではなかろうかという疑いがあると思いますが、この点地方競馬等につきましても、私どもは絶対に出しては相成らんという監督の立場に立つておりますので、みずから競馬をやつております私どもといたしましては、絶対にこれは、私は絶対に出していないと信じておりますが、聞くところによりますとこれらの、まあそういうふうに言うてどうかわかりませんが、そういうものも競馬場に相当いるように思われますが、これらのものは、ともすれば馬主が、馬が勝つた場合或いはその他の理由を設けまして、いわゆるたかり屋といつたような形体のものは若干あるようでございまして、それらを私ども被害者がありました場合には、場内の我々の取締が一応警察官に渡すといつたようなことを聞いております。併しながらこの種の人には、私どものほうから出すとかいうようなことは、私どもといたしましては絶対にないことを信じております。
#45
○野溝勝君 これは実際大事なことでございまして、私は今日の質問中一番大事なことだと思うのです。と申すのは、私は畜産組合長という立場で競馬会を催うして、そのときにいろいろ問題が持ち上り、ギヤングに襲われて、結局団体に大損失を出した。ところがこれがいわゆる国営競馬になつたときは、ギヤングの受ける感じが違うのです。ギヤングの受ける感じが、これは役所だから仕方がないということになるのです。今度はそういう一つの特殊法人であつても、民間団体がやるということになると、彼らの心構えが実際問題として違つて来るのですね。そうなつて来るときに、その二割の増を見込んでおるということだけで、私はなかなか問題は解決できないという不安の点もある。それではそういうものを計上しておくかというと、私はそんなことを要求するのじやない。そんなことを又希望するのではない。併しそういうことに対する憂いですね。そういうことに対して万全を期するには、これはもう、いわゆる警察と完全なる打合せをしておかなければならない。了解をしておかなければならんと思うのです。こういう点については、具体的に今後どういうようにして行こうという考えを持つておられるのか、その点を一つ聞いておきたいと思います。
 これは起るべき現象であると考えておる。特に最近のような情勢になりますると、一層かような点が大きく心配される点なんです。この点に対する当局の見解。
#46
○説明員(井上綱雄君) その点につきましては、私現在の当事者といたしまして、一番心配をしておる点であります。御注意も段々よくわかるのでございますが、ただこの席上からは、こういうふうにしたらよかろうということは具体的にはちよつと申上げかねますが、極く要約して申上げますれば、当該地方の国警隊長或いは自治警の隊長さんにお願いをする。且つ又検事局長さんも特別においでを願つておりますが、そのほかの、結局我々といたしましては公社の性格に考えまして、警察官が、十分にその機能を発揮してやつて頂くことを確信をいたしましてやつておる次第であります。十分に連絡をとりつつ、その事態によりまして、いろいろなことをやつて頂く。今後の努力……。又これは当該団体になりました場合、その責任者が最も力を尽すべき問題であることは、只今御指摘の通りであります。その辺はよく御注意の次第も考えまして、当事者となるべき人によく申し伝えるつもりでおります。
#47
○野溝勝君 次に、国営競馬は十何カ所あるのでありますが、そうのち採算のとれておる所ととれておらない所があるのですが、採算のとれておらない所はどこどこでございますか。
#48
○説明員(井上綱雄君) 先ず北のほうの北海道から申しますと、北海道の札幌と函館は採算がとれておりません。それから福島は東京で実は場外馬券を売つております関係で、これは若干黒字になつております。新潟につきましては、これは地方競馬に現在貸与中でございますので、その点はございません。それから東京の中山は最もこれは全国でドル箱になつておる次第であります。横浜は休んでおりますので国営の問題はありません。京都と阪神は、阪神は大体五百万円から一千万円程度の黒字になつております。京都と阪神とは黒字になつております。名古屋は極く最近に御承知のように始めたのでございまして、これは相当な損失になつております。九州の小倉は、或るときはよく、或るときは悪いのでございますが、年間を通じますと、やはり赤字を出しております。併し漸次好転をしております。宮崎は、現在休んでおる。
 かような状態でございます。
#49
○野溝勝君 これも正直に御答弁を下さいましてありがとうございました。
 そうすると今度は、日本中央競馬会にこれがなつた場合に、経営が非常に困難となるのでございますが、その場合この経営をどういうふうにしてやつて行こうか。例えばこの経営赤字を解消するために、どういうふうな方針でやろうというようなことについても、いずれ下打合せがあつたことと思うのですが、こういう点について、どういうふうに考えておられるのか。この点を聞いておきたいと思うのであります。
#50
○政府委員(大坪藤市君) 只今、競馬部長が申上げた通り、現在十二の競馬場のうち、九競馬場で競馬を施行いたしております。今回の措置は、法律にも明示しておりまする通り、現在国がやつておりまする競馬をそのままの形で競馬会をして施行せしめる。こういうような形になつておるのであります。その点は先ほど申上げました通りに、国として競馬を続行することが如何かと、こういうような特殊法人をしてやらしめることが必要であると、こういう建前の下に、今回提案いたしておりますので、競馬のやり方、その他競馬を施行いたしまする場所につきましては、全部現在の通りで一応やらせると、こういうことに相成るのであります。勿論長い時の経過によりましては、いろいろ競馬場の問題につきましては、長い間には問題があるかと思いますが、差当りの問題といたしましては、現在のままの状態でやらせる。かように考えておるわけであります。
#51
○野溝勝君 余すところ、すでに十何分でございますから、あとそれぞれの委員のかたの御質問もあるようでございますので、私あと一つだけお伺いしておきます。
 この法案を通じて検討いたしますると、いわば政府が赤字を負うことは嫌だ。行政を簡素化して職員の首は切りたい。さらばといつて政党勢力を殖やすために人事権は押えて行きたい。この三つの条件を備えておる法案でございます。誠にずるい法案でございまして、私から言わせますならば、むしろかような法案につきましては、この際衆議院あたりがわけのわからん修正をして来たところで、これは問題にならない。心から言うならば、私は国営競馬主義者であります。むしろ国営競馬のやり方を強化して、合わないようなところは整理して、合うところを中心にして改良して行く施策を決定してやつて行くというのが私の方針なんです。けれども、更にこの特殊法人の公社案の監督と被監督を区別するというような点にも、少し私の気持も動いて来ておる。そこが私の検討をしなければならん点で、まあ考えておるのでございますが、いずれにしても以上の三つの裏表の条件を持つた法案でございます。
 こういう点について私特に農林大臣が監督と被監督の区別をして、まあ官制を強く色どらせた法案を承認しておきながら、人事権において、かような政府が監督権を持つているというのは、少しく法律案の精神から見て、どうもおかしいように思うんでございますが、こういう点に対する矛盾といいましようか、従来未だ曽つて見ないような法律案の内容でございますが、この点に対して法制局長の御所見と畜産局長の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#52
○政府委員(大坪藤市君) 今回の日本中央競馬会の性格に関連してでありますが、野溝先生御承知の通り、昭和二十三年に国営競馬に切換えまする前は、昭和十一年から日本競馬会といたしまして全国一本の特殊法人の下に競馬を実行いたしておつたのであります。その当時の日本競馬会は、これは旧競馬法に基きまする特殊法人であつたのでありますが、今回御提案いたしました日本中央競馬会の組織とやや似ておるのであります。役員の任命と監督等の点につきましても現在の、今回の規定のほうが更により強くなつておるのでありますが、形といたしましては、従来の日本競馬会の形によく似かよつた点があるのであります。御承知のように、競馬につきましては、競馬の根本は長い伝統と畜産の振興、こういうような目的で実行いたすのでありますが、御承知の通りに、富くじ的な行為を伴いまするので、ただ徒らにこれを放任したような形でやつて参りまするというと、そこにいろいろと社会的な弊害が生じて来ます。こういうような恰好に相成るのであります。従いまして民間にこれをやらしまする場合におきましても、機構の点、或いは管理運営の点につきまして、全く何らそこに規制を加えないということになりまするというと、非常にそこに弊害が生じて参るのでありまして、これらの弊害を防止しまするために民営に移管するといたしましても、移管いたしました当の対象たる法人は、組織運営或いは利益金の処分等につきまして厳重な監督を要する。こういうふうに相成ると思うのであります。なお政府といたしましては百分の十一の納付金を徴収する。これは全く純収益になるのであります。勿論これは競馬によりまする収益というものは私すべきものでないという性格でありますので、国庫に納付させる。こういうふうな形をとつておるのであります。
#53
○法制局長(奧野健一君) 只今の御質問は、従来通り官営でやるがいいか、或いは又民間に移して監督を厳重にして行くという今度の方針がいいかという、結局これは立法政策の問題のように考えます。法律論としては、両方成り立ち得ると考えるわけでありまして、今度の案によりますと、政府の資産をそのまま民間と言いますか、新らしい法人に移して、その法人をやや公社的な公的な法人としてこれを施行せしめて、その半面監督を厳重にするということも法律的には勿論可能でありまして、どちらがいいかということになりますと、これは立法政策の問題と考えます。
#54
○野溝勝君 遺憾ながら申合せの時間が参りましたので、私はこれで。
#55
○江田三郎君 この法案で行きまして、附則の中で、農林大臣が設立委員を命じて競馬会設立に関する事務を処理させるということになつておりますが、この政府の説明によると、この設立委員には、政府職員を当てる。こういうことです。
 そこで、この競馬会の役員としては、十三条でそれぞれ欠格条項が示されており、その四には、政府職員は衆議院の修正によつて、「任命の日以前一年間においてこれらに該当したる者を含む」という括弧までつけられて欠格者になつておるわけです。そういう役員になれない政府職員が設立委員になつて具体的にやる仕事は、定款並びに最初の事業年度の収支予算及び事業計画ということでありますからして、これはその後において、役員がなすべき仕事を設立委員としてやることになりますが、そういう点はこの十三条の欠格条項と、設立委員が今申しましたように、政府職員が当てられるということについて、どういう御見解を持たれますか。その点を伺いたい。
#56
○法制局長(奧野健一君) 十三条におきましては、役員の欠格条項としていろいろのことが書かれておりまして、これはおのおのいろいろな理由から掲げられておるので一概には申上げられないと思いますが、只今御指摘の第十三条第四号の政府職員という問題につきましては、原案が単に政府職員でありましたのを、衆議院の修正によりまして、「任命の日以前一年間においてこれらに該当した者を含む。」というふうに修正になつて参つたので、これは原案よりも、この執行の公正を期する上から、できるだけ影響力を除こうという趣旨に絞つて参つたと思うのでありまして、この意味におきまして、この理事等の執行の公正ということを非常に期待をしておるように見えるのであります。ただ設立委員の任命に関しましては、何らの欠格事由を掲げておらないで、もつぱら農林大臣に委任しておるのでありまして、これは恐らく設立委員と理事その他の執行に当る役員とが性格が非常に違つて、役員のほうは、ずつとこれから長い間に亙つて執行を担当するということで、非常に強くその公正を期待するところから、こういつたような区別をしておると思うのでありますが まあ勿論設立委員といたしましても、初年度の事業計画の収支の予算或いは事業計画というようなものの作成をいたす関係で、非常な重要な仕事と考えますので、こういう欠格の事由を考えるということも勿論考えられないものではないと思いますが、農林大臣にその点をすべて委任して、公正なる任命を期待しているというふうに考えるわけであります。
 そこで、政府職員を役員のほうから除外と言いますか、欠格事由にしておきながら、この設立委員のほうで任命することはどうかという御質問でございますが、その意味におきまして、先ほど来申しましたように、役員は執行面をずつと担当するので、設立委員というのは、単に或る一定の期間、設立の事務のみを担当し、而もそれについては農林大臣の認可というふうなことになつておりますので、理事の欠格事由として政府職員を入れておるからと言つて、必ずしも設立委員からもこれを除かなければならないというものでもないかと考えます。
#57
○江田三郎君 この「定款並びに最初の事業年度の収支予算及び事業計画」というのは、これは今後の競馬会の運営を築くものです。それで今のお答えでは、農林大臣に提出して認可を申請して行くのだからというようなお話もありましたが、これは今後役員が正式にできましても、役員会は事業計画を作成したら、これはやはり農林大臣に提出して認可を受けなければならない。収入支出の予算をきめたら、これはやつぱり事業の開始前に、農林大臣に提出し、認可を受けなければならない。こういうようになつておるので、この点は非常に監督規定が厳しくて、而もなお役員の欠格条項というものがあり、それが更に衆議院の修正によつて強化されておる。設立委員の仕事は短い期間だと言われますけれども、恐らくここで定款あたりは、そうあとで変更することのできるものではございませんし、最初の事業年度収支予算計画というものが、将来長きに亙つてこれが基本になるものです。その点から言うと、この欠格条項を作つた精神と照し合せて見ると、この設立委員についても同じような考慮が払われて然るべきだと思いますけれども、局長はそうはお考えになりませんか。
#58
○法制局長(奧野健一君) お説のように、予算及び事業計画につきましては、当初の設立の認可の場合と同じく発足後といえども、やはり農林大臣の認可となつておる点は、その通りだと思うのであります。でありますから、専ら役員の執行面の公正を期するという点に重点が置かれて、十三条の欠格の事由を欠いておるものというふうに考えておるわけであります。勿論設立委員であるからと言つて、公正を欠けるような者を任命すべきものではないことは勿論でありまして、その点は長く執行に当る役員については、特に十三条に規定しておりますが、設立委員は必ずしも短期間でないかも知れないというお話でありましたが、事柄としては国営の事業を民間の法人に移すだけの橋渡しの事務を取扱うものでありますから、それほど執行面に携わる役員と同じような欠格事由を明文を以て置かなくても、そこは農林大臣を信頼して公正を欠くような者は勿論排除されて任命されるだろうということで、特に明文を置かなかつたものと考えますし、こういう例は御承知のように農林漁業金融公庫の例でありますとか、その他こういつたような公社的な法人を設立する場合、政府から設立委員を任命する場合に、理事の欠格事由のようなものを設立委員に特に規定しておる例もないと考えまして、これらはすべて従来の先例に従つた規定と考えておるわけでございます。
#59
○江田三郎君 時間がありませんからもう一点だけ質問しますが、納得できないでも、この一点でもうやめますけれども、この農林漁業金融公庫のその他にも、これと同じような規定があるということは、これが正しいということにはならないのです。今までやつておることでも間違いがあるかも知れんのです。私の見解によると、これはこういう仕事に、政府職員が当る場合には、これは事務局の仕事に当るべきだ。設立委員会というものが別にあつて、設立委員会の事務局を政府職員が担当するのが、これが十三条、特に今回の場合は従来の公社等と違つて、もう一歩強化された欠格条項に照し合せますと、当然これは設立委員は欠格条項ではない者が当り、その事務局を政府職員が担当するのが妥当であると思いますが、あなたはそうはお考えになりませんか。
 そのお答えが私に納得できてもできなくてもこれ以上質問いたしません。
#60
○法制局長(奧野健一君) その点は、立法政策の問題として十分考えるべきものではなかろうかと思います。
#61
○戸叶武君 余り時間をとらないように三点ばかり、極めて簡単に質問いたします。
 この日本中央競馬会のことに関しては、衆議院で相当審議がなされてからのち、こちらに送り込まれたのであり、又衆議院としても、この修正を行なつてここまで来たのでありますが、私はその過程において、当然いろいろな問題が論議せられたと思いますが、その論議の中において、一番本質的な問題として衝かれた点は、先ず第一に一点御質問いたします。法制局長から御答弁を願います。
 それは、法制局長が言われたように、この官営か民営かということは、立法政策から出た一つの立場であつて、いずれが是かいずれが非かという議論はあるであろうということでありますが、問題は競馬なり競輪なりは戦前にも若干あつたのでしようが、諸外国にも見られないような賭博、類似の射倖行為というものが日本にパチンコに至るまで瀰漫しておるのです。この滔々たる悪弊の中にあつて社会悪であるということで、或るところまで、なければいたし方ないじやないかというような形で許されており、それだけでは理論的な根拠がないから、それ以上はこれの利益配分を社会事業その他のほうへ振り向けて、その点で以てこのプラスの面を奉仕して行こうということになつておるようでありますが、政府の基本的な対策といたしまして、こういうことをだんだん抑制して行く方針か、或いは相当の期間がたつたならば、例えば競馬は残しておつても、競輪は潰して行くとか、或いはパチンコはどうして行くとかいう、そういう政府にこの問題に対する基本的な対策というものはありますか。
 これは局長でいいです。そういうものに対して、政府のほうでは基本的対策を立てた上でこの問題に応じて来ておりますか。
#62
○政府委員(大坪藤市君) 御承知のように、日本におきまして、国家の意思といたしまして競馬を施行し、而も公然と富籖的なと申しますか、馬券の発売を許しまして競馬を施行するというようになりましたのは、大正十一年の旧競馬法からであります。その以前におきましては、明治時代におきましては内務省令等で取締をやつておつたのでありまするが、ともかくといたしまして、大正時代から、すでに馬券を発売いたしまして、競馬法をやつているということに相成つておるのであります。このことにつきましては、いろいろ従前からも論議せられ、又現在におきましても、これはいろいろ御論議があるかと存じまするが、今回は、そういうような問題は一応抜きにいたしまして、現在政府が直接やつておりまするのをそのままの形で日本中央競馬会という特殊法人を作つてやらせる。これだけの措置をとつておるのであります。
 馬券の問題、或いはいろいろ只今御意見がありました、いわゆるパチンコであるとか、或いはそういう基本的な問題につきましては、これは今後の検討に待つべき問題じやないか、かように存ずるのでありまして、今回は政府が現在やつておりまするのをそのままの形で中央競馬会にやらせると、こういうことであります。
#63
○戸叶武君 これは政府の答弁を聞いていると、こういう体裁の悪い事業は、官営でやつているのよりは民営でやつたほうが責任転嫁になるだろうというのが一つと、いま一つは、職員整理なんということでも、政府でやるとなかなか摩擦面が多いから、そういうものを含めての合理化というものは、民間団体にやらせたほうがいいだろうというようなことまで含んでおる一種の責任転嫁と思いますが、とにかくイギリスなんかにおきましても、あのダービーがあるし、それから場外における馬券というものが裏長屋にまで流れております。併し、割合に秩序が保たれている国においても、随分見ずらいようなことが裏街に行くと氾濫しておりますが、日本の現状においては、富籖がなくなつたが、今後は、とにかくあの植民地風景としてのパチンコとパンパンのこの詑しき街における姿と同じように、場外馬券に飛びついて行くところのこの裏長屋の群衆というものが、私は、何と言うか、植民地風景というものが非常に氾濫して来ると思うのです。局長は昨日の答弁におきましても、みつともないから余り表通りにテレビなんかをしないで、家の中で、余り体裁のよいことではないのだから、やつて行くようにという心遣いはしておるようですけれども、まあ現実を根本的に改革するのは困難だ、だからこの程度で、というところにとどまつておるようですが、こういう問題に対して、政府側においては、これはこれとして、併し、ただこれを無視するのではなく、もつと根本的にこの問題を掘り下げて検討し対処するような腹構えがあるのかないのか。そういうことがなくて、ただ徒らにだらだら一種の利権が附きまとうような、こういう賭博法案類似のものが常に国会を罷り通つておる限りにおいては、日本自身の骨格というものは崩れるし、役人は堕落するし、始末におえないものになると思いますが、その点政府はどういうふうに考えておりますか。
#64
○政府委員(大坪藤市君) 只今御意見の通り、競馬の問題につきましては、これは根本的に各般の面につきまして今後とも検討を要する問題ではないかと思うのであります。ただ併しながら、差当りの問題といたしましては、御承知のように、競馬に関しましては、それに関係いたしておりまする職員、騎手、調教師、その他たくさんの関係者があるのでありまして、直ちにこの問題をどうこうというふうに決定するわけには参らんかと思うのであります。併しながら、国の大きな方針といたしましては、本問題につきましては、深く掘り下げて各般の問題を検討すべきではないかと、かように考えておるわけであります。
#65
○戸叶武君 更に人事問題に関して質問いたします。
 人事問題に関しては、私の質問しようとした役員や設立委員の問題は、すでに他の委員から質問されておりますから、この運営審議会の構成並びに性格ですが、こういう会ができると、諮問機関というけれども、事実において運営審議会の存在というものが非常に大きく浮び出て来ると思うのでありますが、この運営審議会において競馬に従事し、或いは利害関係を持つ多くの人が網羅されて行くようでありますが、この執行面を担当するところの役員と運営審議会との関係は、簡単に述べて、どの程度までの役員に対する抑制力なり影響力があるか、その点を簡単にお願いします。
#66
○政府委員(大坪藤市君) 競馬につきましては、只今も御意見がありました通りに、いろいろ社会的な弊害も伴いまする場合がありまするし、又競馬そのものの目的につきましても、いろいろと御意見があるかと思うのであります。かような性格のものでありますので、競馬に関しましては最も厳正公平に且つ妥当な方法によりまして、これを実行して参ることが必要かと思うのであります。その場合に、理事者の専決に任せる場合におきましては、いろいろな弊害も起きて来るかと思いまするので、広く競馬に関しましての学識経験あるかたによりまする運営審議会というものを設けまして、その意見を尊重いたしまして、競馬が、いやしくも濫に亙るようなことのないように運営して参りたいというのが私どもの趣旨であるのであります。民主的原則に従いまして運営審議会というものを設けまして、できるだけ公正な競馬を実行して参りたいと、かように存ずるのでありまするが、競馬の性格といたしまして、実行そのものにつきましては、役員が全責任を持つてやつて参るという形体であるのであります。従つて、最後の決定権は勿論理事長にあるわけでありまするが、理事長が競馬を運営いたしまする場合に、その運営の基本的な問題につきましては、運営審議会の意見を十分に聞いて、その上で理事長として決定して参る。かようにいたして参りたいと存ずるのであります。
#67
○戸叶武君 これで終りますけれども、三点御質問したが、最後的に私たちの態度決定を前にして考えさせられるのは、まあ現在あるものであつて、それを幾らかでも良くするために、こういうふうにして行かなければならない。而も大勢はそういう方向に来ておるから、革新勢力のほうの代表者も、まあそれならば、通るならば少しでも修正して、より良いものを作り上げようというような形で、この法案ができ上つているように見ておりますが、私たちがここで考えなければならないのは、ずるずるとこう惰性でだけに引きずられて行つて、日本の国全体が蝕ばまれて行く姿というものに対して、我々は無関心たり得ない。それでこういうものが、とにかく日本に現実において存在するにしても、今後どういう形において基本的にこういうものを飽くまで締めて行くか。又これに伴う諸弊害というものは、必ずそれは先ほどの他の委員から言われたように、いろいろな点から起つて来るのです。競馬を中心としていろいろなギヤングの横行、利権の争奪は火を見るよりも明らかです。そういうものに対しても、どう対処するかという点が明らかにされないと我々にはなかなかふん切ることのできない面があると思うのです。今日あたり、やはり農林大臣が出て来て……、農林大臣も甚だ無責任な男で、例えばこの前の人造米の問題のごときは、政府はあれだけの声明をやりながら、昨日も陳情に来ましたが、全国の人造米の業者というものは、皆倒産に瀕している。金は出してやると言いながら、金なんか出してやらない。我々が而もこの委員会において、品質が落ちることによつて、必ず人造米そのものの信用がなくなつて駄目になるから、そういうものを検査規定なり何なりをしつかり農林省はやらなければいけないということを口を酸つぱくして言つても、そういうことに応じません。而も今、人造米の事業全体がこの不景気と恐慌の中にぶつ潰れて行く姿というものは、昨年末に不正業者からの、品質を落したものが出て以来というもの、ぱつたり売れなくなつたというのは、今日の新聞にもどこかに出ているようです。そういうような常に無責任な施策をやつている保利農林大臣の下において、こういうことがやはりなされたときに、とにかくこれは慎重に我々の態度も決して行かなければならない。特に衆議院において倉皇のうちにこういうことがきめられたのでありましようが、参議院においては参議院の性格を守るために、我々は参議院の品位を保つために慎重審議して、この問題が、我々は原則としては反対ですが、よし通るような場合におきましても、今後過ちなからしむるような最善の処置なり或いは政府のほうからの言明なり、そういうものを得ていなければ、私たちとしても簡単に態度を決しかねる点があると思うのです。
 それだけを附加えて私の質問を打切ります。
#68
○清澤俊英君 私は、本日質問したいことは二つあるのです。一つは総括的に、只今戸叶君の説明せられましたものを基本的に文部大臣並びに総理大臣に教育上の問題で一つ質問してみたいと思うのであります。
 終戦後、地方競馬が災害都市に開催を許されるような問題が起きましたとき、長岡の市会で私どもの都市で競馬を始めるというので、いろいろ地方競馬をやつておりまする地区を調査して廻つた。そうしたところが、その結果として出て参りましたのは、その地方民に聞くと、競馬をやると、子供がどうも博奕好きになつてかなわん。これは教育上甚だよろしくないからおやめなさいという勧告をどこでも受けた。こういうのであります。そこで常にそういう計画をやめている実例があります。そうしてみますと実際競馬をやることによつて、どれくらい国民の精神上の問題或いは社会上の問題、教育上の問題等に弊害があるかという点は、まだ一つも考えておられない。そういう点と同時に、今、逐次こういう競馬の馬券と同じような賭博に類するものを中心にした競技体のものがどんどんと許されている。こういうことに対して、どういう考えを持つているのか。将来どうするつもりかというようなことも質問したいと思いましたが、非常に時間が過ぎていると言われるので、大体戸叶君の警告的な御意見で、私もこれはピリオドを打ちますが、実はそれを質問したいと思つたのです。それで昨日これが競技を前提とする賭博的なものか、競馬は賭博を中心にして従属した競技体かということを明らかにして頂きたいと大分苦心いたしましたのは、その点にありますことを御了承願いたいと思います。だからこの点は一般質問をやめます。
 そこで次には、甚だ細かしいところでお急ぎのところ申訳ありませんが、いずれこの競馬法というようなものに対しましては、何かの機会でないと、いろいろのことをお伺いする機会がなかなかないのでありますから、甚だ御迷惑でありましようけれども、暫く時間をかして頂きまして、逐条審議的に御質問して参りたいと思います。
 先ず第七条の定款にあります第九号の、「剰余金の処分及び損失の処理に関する規定」と、こうなつておりますが、これから見ますと、定款内に損失の処理の規定をお入れになることは勿論わかりますが、その損失処理の規定は、大体どういうふうにして損失に対する補填等を規定せられるのか、その点を大体お伺いいたしておきたいと思う。と申しますことは、只今野溝君の質問中にもありました通り、大体儲かるのではないかと思いますが、儲からんかも知れないというような危惧も出て参りますので、その際に競馬会自身がその損失を補填することのできないようになつた場合の考え方と同時に、実際に出ました損失その他は誰が最後にそれを補填して行くのかというような大体の構想をお伺いしておきたいと思います。
#69
○政府委員(大坪藤市君) 只今御指摘の第七条の問題でありますが、これは特殊法人に限らず、すべての法人にこういうような規定があるのであります。競馬会に関しましては野溝先生は損失であるではないかという御意見だつたのでありますが、実は利益金に見合うべき金額というものは国庫納付金という形で差引くような形になつているわけでございます。つまり本来、国庫納付金の問題がなくて、競馬会が競馬を施行しまする場合には、大体十三億くらいの純益があることに相成るわけであります。併しもうそういうような純益は競馬会としてそのまま持つているべき筋合のものではありませんので、当然に百分の十一というものを国庫に納付させるという形で、余りの経費を以て競馬会を運営して参る。こういうふうな恰好に相成るわけであります。而もその運営をいたしまして剰余金が出ました場合には、剰余金の半額というものは当然国庫に納付する。こういうような形に相成つております。
#70
○清澤俊英君 時間がないのでそう余分のことは言いませんから、欠損が仮に出た場合はどうするか、心構え、それだけ聞いているのです。
#71
○政府委員(大坪藤市君) 損失が出ましたときには、次の年度に繰越す、或いは前の積立金を崩して行く、こういうような形になります。
#72
○清澤俊英君 そこを言うておるのではない。それから先の、それでも間に合わない、欠損が続いてできた場合には、しまいには国にでも負担させるようなことになるのじやないかと言うておる。
#73
○政府委員(大坪藤市君) その点につきまして、何年も継続して損失を続けて参りました場合には、競馬会の運営がいいか悪いかという問題と、もう一つは国庫納付金の百分の十一という金額が多過ぎるのじやないかという問題になつて参ると思いまして、その場合につきましては納付金の率を下げて参るということが必要じやないかと、こう考えます。
#74
○清澤俊英君 局長は、前の剰余金の処分というものと……、然らばあなたのおつしやる通りならば、剰余金の処分だけでよろしいので、欠損の処分というものはいらないはずです。欠損が出る場合があるから、欠損の処分というものが出て来るのですから、欠損の処分は必ずあるものと仮定してもいいわけなんです。その場合はどうか。尻が国家へ来るのではないか。国に来るのではないか。こういう考え方でおいでになるのじやないか。
#75
○政府委員(大坪藤市君) 剰余金の処分と申しましても、これは政府が全額出資しておりますので、特に誰彼に利益金を配当するというような問題は出て参らないのであります。損失が出ました場合におきましても、法人の内部積立金を崩しまして間に合わない場合につきましては、結局次の年度に損失を繰越す。こういう問題になつて参ると思います。
#76
○清澤俊英君 私は、どうしてもわかりません。何か儲けのあることだけを言うておられる。それならば、剰余金の処分だけでいいので、欠損の処分と言つて出ておるから、何とも仕様がない穴が空いた。そのときはどうする。どういう考えでその欠損処分の規定をしてあるのかを私はお伺いしている。
#77
○政府委員(大坪藤市君) 損失を繰越して参ります。赤字のままで持つて行くということになります。
#78
○清澤俊英君 繰越して行くなら、欠損の処分はできないでしよう。又それを翌年に繰越して、儲けて埋め合せができる場合はいいのです。そういうことができないで解散しなければならないほど欠損が出て来た場合はどうするか。こういうことを聞いている。
#79
○政府委員(大坪藤市君) その場合におきましては、納付金が結局多過ぎるという問題だと思うのであります。従つて翌年度から納付金の率を下げて参るということであります。
#80
○清澤俊英君 どうもおかしいと思う、納付金だとか何とかいうことは、すべては競馬事業をやつて剰余のある場合に、いろいろなことを言えるけれども、競馬事業が剰余金を出さん場合に、欠損が出たときはどうするかというのです。その場合の尻をどうするかということなんです。どういう想定を持つておられるか。
#81
○政府委員(大坪藤市君) 損失が出て参りました場合におきましては、翌年度の競馬を更に適正に行うことをいたしまして、損失の回復に努めて参るのであります。
#82
○清澤俊英君 こんにやく問答で解決がつきませんからやめます。
 その次には、第九条、第十条ですが、監事の問題ですが、これは今までの法律を作られるときには、大体こういう形式で書かれておると思いますが、「監事三人以内を置く。」こうなつておりまして、この任命は、農林大臣の任命かと思つておりますが、大体今までのこういう法律案としては、こういう任命をしますときには、主務大臣が大体任命することになつておると思いますが、非常に複雑多岐な内容を含んだ、而も旧来からいろいろ疑惑を持たれておる監事を定める場合には、これは私の意見でございますが、初めから大蔵大臣若しくは会計検査院長によつて任命されたほうが却つて監督権が強化せられていいのじやないかと思うのですが、その点の御意見はどうか。
#83
○政府委員(大坪藤市君) 第十一条の監事の任命の問題でありますが、これは他の多くの公社の場合におきましても当該大臣が任命をするというような形に相成つておるのであります。その先例に従つて大体本規定を制定いたしたのであります。
#84
○清澤俊英君 敢えて大蔵大臣に任命を書換えても御異存はないわけですね。
#85
○政府委員(大坪藤市君) 競馬会は農林大臣が全責任を以て厳重に監督をするという建前の下に立つておりますので、当然農林大臣が任命すべきものかと存じます。
#86
○清澤俊英君 それで、この条項はやめます。
 それから十二条の規定の中に、第二項に、「理事長、副理事長、理事及び監事は、再任されることができる。」こうなつておるわけで、何年でもずつと再任せられるのじやないかと思うが、長く一所に巣を作つておりますと、いずれそれがボス化して不良化する例は、ほうぼうで見られる事例でありますが、この最大期の任期等を制限することについては、どうお考えになつておりますか。
#87
○政府委員(大坪藤市君) 第十二条の二項の再任の規定は、これは注意的規定かと思います。こういう規定がなくても再任することができるということは、理の当然ではないかと存じます。注意的規定でありまして、今までの公選の法令には、こういう規定がありますので、そのまま注意規定でありますのでこういう規定をいたしております。勿論当該の場合に余り長くやつて、只今のお話のようなことに相成りますような場合におきましては、任命の場合に当然農林大臣として考えべき問題ではないか。かように考えるわけであります。
#88
○清澤俊英君 十四条ですか。これは欠格条項等がありまして、非常に団体の役員となる人が、非常に範囲が狭められておる。経験者として我々が常に適当だと見る畜産局の人たちや、或いはこういうものに関係のある人たちが、これらの役員になることが十二条によつて非常に狭められておると思いますので、従つてこの団体の役員となるものは、大体一年以上を経過した官僚の予備軍とでも申しますか、悪い言葉で言えば古手、政党の、党籍はあるが、一応ないことにした政党のボスというようなものが、必然的に現役を離れたような人たちによつて構成されて来るのではないかと思いますが、この点に対して大体どんな範囲から出されるつもりなのか予想は、営利会社の社長やそういうようなものは抜けられておる。政党の現役の人たちや政府の職員であつて、一年以内の人が相当元気のいいところは出られないで、非常に範囲が狭められておりますが、そういたしますと、大体どんなところからあとは出すつもりですか。
#89
○政府委員(大坪藤市君) 先ほど清澤先生から御意見がありました通り競馬はいろいろと弊害も伴うものでありますので、この理事長或いは副理事長という執行機関につきましては、人格高潔で而も専心仕事に従事するということが必要ではないかと思うのでありまして、こういう規定をおいておるのであります。この規定は、他の公社等におきましても、大体におきましてこの十四条の規定はすべてあるのでありまして、この規定がありましたからと申しまして、そういうような適格な人が得られないというふうには、実際問題として参つておらんという事情であります。
#90
○清澤俊英君 それから十五条の、これは私は余りよくわからないのですが、利益が相反する事項ということは……、この利益が相反することについて具体的に一つ。
#91
○政府委員(大坪藤市君) これは、会社の場合におきましても大体こういう規定がありますが、理事長が個人の資格でこの競馬会と売買取引をするという場合には、はつきり利害が相反する。こういうことになるわけであります。
#92
○清澤俊英君 それから十六条の、「左に掲げる事項は、理事長、副理事長及び理事をもつて構成する理事会の議決を経なければならない。」となつて、続いて収支予算及び事業計画、収支決算等のものは、あとの関連条項で非常に厳格に農林大臣の認可を受けなければならないようになつておりますが、ところが三、四の定款の変更、規約の設定及び変更に対しては、農林大臣の認可を受けなければならない等の規定がどうも見つからんようでありますが、一つお聞かせ頂きたいと思います。
#93
○政府委員(大坪藤市君) 只今、質問の趣旨が聞き取れませんでしたので……。
#94
○清澤俊英君 第十六条の三と四の定款の変更と規約の設定及び変更というものに対しまして、農林大臣の認可を経なければならないという規定がないようでございますが、これはどうなのか教えて頂きたい。こういう意味であります。
#95
○政府委員(大坪藤市君) 定款の変更並びに規約の設定及び変更は、当然農林大臣の認可を受けることに相成つております。
#96
○清澤俊英君 何条ですか。
#97
○政府委員(大坪藤市君) 第七条の第二項「定款の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」こういうことであります。
#98
○清澤俊英君 規約の設定及び変更は……。
#99
○政府委員(大坪藤市君) 第八条の二項に、「規約を定めようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。」
#100
○清澤俊英君 二十条と二十七条と関連してお伺いしたいと思うのですが、これは事業計画の中に二十条では、馬の育成ということがあると思うのですが、それから二十七条で私のお伺いしたい点は、利益金の、馬券を売りましたそのうちの約七割でしたか六割でしたか、それを払い戻さなければならんことになつておる。あとの払い戻しの標準の中に、何か聞きますと、勝馬とか何とか、出場馬等にやはり相当額の賞金が出るようにも聞いておりますが、ちよつと先ほどの競馬法をお借りしてみましても、そういうところがちよつと勉強が足りないのでわからないのですが、そういう勝馬になつた場合に、勝馬料が幾らとか、或いは出場馬というのはどのくらいの出馬料が出るとか、そういうようなものが、どのくらいの率になつて入つているのですか。
#101
○政府委員(大坪藤市君) 馬券を発売いたしました場合に、これは正確な数字ではございませんが、二五%を差引きました七五%というものを払戻金として勝馬馬券を買つた人に払い戻すわけであります。二五%が中央競馬会に残るのでありますが、そのうちの一一%というものを国庫に納付するのでありまして、残りの大体一四%程度で日本中央競馬会が競馬を実行して参る。こういうような恰好に相成るのであります。それで一四%には、職員の俸給から勝馬の賞金、その他一切の経費を含んでおるのであります。
#102
○清澤俊英君 その勝馬の賞金のことですね。それから出場馬というものには、何か出ないのか、こういうのです。それはどのくらい出るのですか。賞金の率、それから勝馬、出場馬にはどうというような……。
#103
○説明員(井上綱雄君) お手許に団体並びに発足します場合の予算の書類が差上げてあると思うのであります。なおそれらの今のお尋ねのような細かいことにつきましても、用意はいたしておりますが、かなり細かいことで、時間もずれておりますが、一々申上げましようか……。これは、各競馬場ごとにそれぞれの金額が違いますし、それから春秋或いは夏もやつておりますが、そういう場合に、それぞれ地域ずつ違つておりますので、大変細かいことになりますので、なろうことなら、資料を差上げることにいたしたいと思います。
#104
○清澤俊英君 私のお伺いする意味合いは、二十条で競馬馬の、「競走馬を育成すること。」こうなつていますから、それは競走馬というのは、大体馬主が持つのではないか。私は競馬を知らんのだから、だからちつと詳しく聞いておきたいのだけれども、競走馬は馬主が大体持つておるのに、それが勝馬になれば賞金は入るし、出場すれば出場金が出たりする。それらをもまぜて、いわゆる競馬の振興といいますか、畜産の振興というような意味合いでこの法律ができているのに、なおその上、中央競馬会が競走馬を育成して行くというのはおかしいのじやないかと思うので、これはどういう意味合いを持つかということなんです。それで十分やつて行けるのじやないか。
#105
○政府委員(大坪藤市君) その競馬会の事業といたしまして二十条の第二項の一号に規定しておりまするのは、競馬の資源を確保しまするために、中央競馬会が小馬を育てまして、そうしてそれを競走できるような状態に置きまして、民間と申すと語弊がありますが、馬主に払下げをするわけであります。従いまして競馬会自体が、自分の小馬自身を競走に出すということは考えられないのであります。競走馬の資源を確保しまするために競馬会が馬を育てて参り、それを馬主に払下げをしまして、それが今度競走に出て参る。こういう筋合いのものになつて参るかと思います。
#106
○清澤俊英君 そこが、僕はちよつとわからないところなんだが、出場馬にその率を高くくれるようにしたり、或いは勝馬であつた場合には、非常にたくさんの賞金といいますか、そういうものを出して、競馬自身が博奕なんですから、馬を飼つてやるような人は、いずれそれが目的で、道楽半分の人が多いのですから、何も中央競馬会が馬を飼つて、それにやらしてやらなければならないというようなことは殊更要らんのじやないですか、むしろこの法案自身が技術の振興と同時に博奕ということはつきものなんです。馬主なんと言うけれども、聞きますと大体善良な北海道あたりのや岩手県あたりの牧場主なら知らんこと、そうでない人がやつておりますのは、大体道楽半分の社交的なものが多いと、こう思うのでありますが、そういうところへ公社的なものが馬を育てて、それを渡すというまでのことをしないでも、当人がたの力で或る程度まではやれるような方法をあみ出しておいたほうがいいのじやないかと、私はこう思うのです。わざわざここへ馬主の育成というものを謳つておかれることは、結局すればこういう穴があるのじやないかと思う。まあ高い馬を外国から持つて来て、それを育てて、そうして馬主なるところへ、結局すれば多くの払下げなどで問題が起きますように、安いものをやつてしまつて、そうして馬主を或る意味合いにおいて育成して行くという形をとるのじやないか。こういうようにそこに穴があるのじやないかと思うので、むしろそういうような穴の出るようなことではなくて、馬主自身が飼つて行かれる、育成して行かれる道順をつけたほうがいいのじやないかと思いますので、私は素人なんですから、そういう点をお伺いしているのだ。
#107
○政府委員(大坪藤市君) 勿論馬主が小さいときから育成して行く。小さい馬を育成して行くということは勿論必要であります。同様に競馬会といたしましても、これは必要がある場合は、競争馬の資源が非常に少くて馬の数が非常に少いという場合には、競馬会におきましても競争馬を育てて行くということが、これは従来ありました日本競馬会という特殊法人のときも、こういう仕事が大きな仕事の一つだつたのであります。今後におきましても、民間の馬主が馬を育てて行きますのと同じように競争馬を育てて行く。こういう制度が必要だと思います。
#108
○清澤俊英君 そうしますとね。実勢というものは、結局だんだん競馬が成り立たない。だから競馬会というようなものを新しく作つて、やはり国の力で賭博を許して、そうして賭博の元を育成している。こういう形が出て来やせんかと思う。これは根本的な問題に結んで非常に重要な問題だと思うのですがね。現実に社会的に入り用で、馬主があつて、そうしてその馬主と又国民的な、これは幾ら博奕がいいとか悪いとか言われましても、相撲の盛んなときなどには蠣殻町に行つて見れば、もう大道の真中で金が払われているのでありますから、全部止めるということはどうかと思われるが、一方からそういう点は、或る程度社会悪として承認して行けますが、それをわざわざ中央競馬会が育成して行かなければならないような実際の実情だと、これは又考えなければならないことになつて来る。だからそういう意味合いから言つても、中央競馬会が馬まで世話して育てて、そうして格安のものを渡して、それを馬主に持たしてそうして競馬をやらせなければ競馬が持たんのか、どうですか。その点をちよつとお伺いしたい。
#109
○政府委員(大坪藤市君) これは競馬と申しまするのは、第一条に規定してあります通りに、競馬の健全な発展を図ることが目的でありますので、その競馬に出走させまする馬の世話をすると申しますか、育成いたしまして競争馬資源を充実して参るということは、これは当然競馬会の本来の責務じやないかと、かように考えるわけであります。
#110
○清澤俊英君 どうも同じことになつてしまうものですから、余りあとは言わないが、(笑声)それから二十八条、これで終ります。もう一遍細かいことですが、二十七条の二分の一とか一割とかというようなものを国庫に納める金のいろいろの率で出ておりますが、これを出します前に、積立金一割とこうなつておりますね。これは二十七条と二十八条、この一割は利益のあつたその余剰金の頭から一割取つて、その残りの二分の一を国庫へ納める。そうしてそのあとの余りは、なお特別積立をする。こういうような方式にするのか。国庫へ余剰金の半分を先ずやつて、そして残つた分の十分の一を損失補償の準備積立金にするのか。こういうことなんですが、これはどういうことになつておりますか。
#111
○政府委員(大坪藤市君) 剰余金が出ました場合には、先ず剰余金の二分の一を国庫へ納めるという定めなんです。
#112
○清澤俊英君 そこで、その余つた二分の一の分の一割ですね……。
#113
○政府委員(大坪藤市君) この剰余金を国庫に先ず半分だけ納めます。
#114
○清澤俊英君 いま一度そこのところを……。
#115
○政府委員(大坪藤市君) 只今申上げました通り、半分というものを国庫に納めるわけでございますが、この規定は、おのおの別々の規定でありまして、結局数字から申しますと、残りましたやつから見ますと、これは金額では五分の一ということになるわけでございます。結局これは具体的数字で申しますと、百万円の剰余金が出ました場合に五十万円国庫に納付すると同時に損失補償金として十万円やるわけです。
#116
○佐藤清一郎君 国庫納付金の累計が、大体一年間にどのくらいに推測をしておられますか。金額は概算どのくらいになりますか。それだけお聞きします。
#117
○政府委員(大坪藤市君) 大体、年間売上げを百三十億見当と考えておりますので、十三億見当が国庫納付金になるのではないかと、かように考えております。
#118
○佐藤清一郎君 了承。
#119
○戸叶武君 この衆議院から送り込まれた法案を見て、我々参議院としては、この法案に対して掘り下げた逐条審議が余りできないのを非常に残念に思うのでありますが、いずれにしても衆議院をこの法案が通つたのは、革新陣営に属する人々としては、原則的にこういうことに対しては反対であつても、まあ現実において止むを得ない。あとでこれを調整して行こう。そうしてこの程度の修正で最善を尽そうという心がまえからなされたと思うのでありますが、私たちが非常に心配する点は、理想と現実とは違うと言つて、非常に玄人の政治家たちが言われておりまするけれども、一番大切な現実面において、日本が今日競馬、競輪、パチンコに至るまで、戦前に見られないこの敗戦国特有の植民地風景というものが氾濫しておるのであります。特にこの競馬の場外で競馬の券が売られるような場合におきましては、今まで以上に呑み屋が活溌に躍動して、結局は正式な馬券を買うことよりは、当らなくても一割は戻してもらえるというようなことで、そういうことで以てこの競馬に対する興味を繋ぐという弊風が、私はこれはどの町にも氾濫して来ると思うのです。こういう闇商売をどうやつて取締るか。今までも取締ることが殆んど困難であるが、今後においては町のどこを歩いても、自転車を並べて皆パチンコをやつており、そうしてこの美しい洋服を着ている女の子はパンパンかオンリーであるというようなこの状態の日本が更にどこもここも博奕場とパンパンの洪水の中を歩いて行かなければならんというようなことに我々がなると思うのでありますが、そういう時に当りまして、もう細かい点はいろいろ聞きませんが、こういうような競馬、競輪からパチンコに至るまで博奕的な射倖的なものに押し流されている日本の現実の中に立つて、どういう過程を経て、又どういう目標を経て、我々は健康的なもつと健全な態勢を作るかということは、一つに立法政策に絡まるものでありまして、官営か民営かという問題よりも、更に本質的にこれに対して、どう処置して行くかという政府のほうの私は心がまえというものもあると思うのです。
 わざわざ私が農林大臣のお忙しい中を、ここへ来てもらつてお聞きしたい点は、非常に私たちは審議権を十分に尽すために、参議院の委員会において、今まで幾多論争をやつている過程におきましても、例えば昨年のあなたが非常に熱心に奨励せられた人造米の問題におきましても、我々が人造米問題が罷り通るときに、いろいろこの問題に対しては、射倖的な投機的なものが政府と結んで背後において躍動せられておるやに聞き及んでいる点もあるので、せめてこういうものが罷り通つても間違いのないように、そうして品質を落すことによつて世間の信用をなくさせないように、そういう問題に対しても政府はどういう処置をとるかということをくどいほど食い下つてこの政府の適当な処置を願つたときにおいても、人造米協会を作つてそれにやらせるとか何とか言つて、とにかくあいまいにしていた。その結果というものは、あなたがあれほどに力説して奨励したところの人造米が、今日駄目になつておる。相手にされなくなつたのは、昨年の暮になつて、製造業者から品質の悪い人造米が出たことによつて、まじめによい品物を作つた人造米の製造業者といえども、今日倒産に瀕しておるのです。その関係者が、今日も泣いて私の所へ訴えて来ました。我々は今まで一時的と思つて涙をのんで来たが、政府は責任を負うかのごとく、金を貸してやるかのごとき言動しているけれども、この間違いを起したときに、あなたたちの間違いの尻拭いまで政府がやれないようなことがあるのだからと言つてとめて来たのですが、政府の、あなたたちの無責任な言動、而も我々の忠告を聞かずして、この販売の処置を講じないということが、日本の中小商工業者が自殺して行かなければやつて行けないようなところに追い込んだのです。今度のこの競馬の問題もそうです。私はこれがなされたときに、どの町々、どの辻々においても裏長屋にまで、私はイギリスでもその風景を見て来て慨歎した、同じような博奕の流行が家庭の中にまで浸潤して行くと思うのです。そういうことに対して、どういうふうなかまえで以てそれを取締つて行こうとするか。それと同時に幾多の難問題が起きて来ますが、今後どういう形でこれを許すにしても、将来こういう弊害があつたら、こういうふうにやつて行く。根本的に日本の健康性を立直すためにこうやつて行くというような政府の決意が、我々に示されなければ、我々自身としても非常に困るので、そういう意味において私は農林大臣の細かい説明は要りませんけれども、とにかく責任を以て、自分たちは最高の理想は尽せないけれども、現実に直面しておる問題は、こういう心がまえでやつて行くという責任ある一つの心境の披瀝をして頂きたい。こう考えております。
#120
○国務大臣(保利茂君) だんだん御審議を頂いておりますが、この根本問題として、競馬を認めるか認めないかという問題もあると思います。今日営んでおる国営競馬、いろいろの変遷はございますけれども、沿革的には、この畜産振興と結んで競馬行事が今日まで発達して参つておることは御承知の通りでありますが、今日の滔々たる射倖的風潮につきましては、私どもも戸叶さんと同様の憂いを持つておるものでございます。これは戦争に勝つた国の場合でも、戦後の混乱というものはあるので、まして今度のように壊滅的な敗戦を喫した社会の大動揺、混乱が起り、そして何と申しますか、射倖的風潮の瀰漫した今日の状態にあるということは、これはもう何人も憂えざるものはなかろうと存じます。併しながら、と申して、それじやこの競馬を今日やめてしまうということはこの競馬の沿革からいたしましても、又畜産振興と結付けて健全な発達を期待しております政府といたしまして、この弊害を最小限に食い止めつ行なつて参りたい。
 どういう処置をとつて一体この弊害を除去して参るかということにつきましては、これはもう各方面にいろいろ御意見もあろうと存じます。戸叶委員も、恐らくいろいろの御意見をお持ちだろうと思いますが、そういう御意見は、今後におきましても十分伺つて、弊害を少くするように進めて参りたいと存ずるわけでございます。この法案は新たにかような行事を設けるということでなく、戦後の不自然な政治情勢と申しますか、国がこれを行わざるを得ないような変態的な状態から、民間の経営に移したい。直接国がこれを主催するということはやめて、そして厳正な国は監督権を持つて競馬を健全に行わせる。健全に行わせるには、いろいろの手段がございますけれども、一例を申しますると、やはり公正な競技が行われるというというところに競馬の健全性はあるだろうと私どもは存じておるわけであります。そういう上から衆議院の修正は、そこに配慮をせられて衆議院で全会一致これをお認め頂いたようなわけでございます。趣意は飽くまでも競技の健全性をこの法案によつて保持して参るというところに大きな柱を立つておると存じておりますから、以上の考えを持つて十分厳正に競馬が行われるように努力して参りたい。かように考えております。
#121
○松浦定義君 今戸叶委員から、大臣の決意のほどを聞かれて、大臣も、それに対して大体従来のお考えのような形の御発表があつたわけでありますが、今戸叶委員の聞かれたことは、全く私は所管大臣として、この種の立法、その他農業関係の立法についての決意は、無論どの法案についても同様なことを示されると私は思うのですが、分けてもこういうふうに国営から民営に一応移譲するといつたような、非常に終戦後のとつて参りました処置を変えようと、この種の問題でありますから、相当その内容についても、十分な御認識の上に立つてこれがなされていなければならんと、こういうように思うのですが、そこで、先ほど一例として戸叶委員から申されました人造米の問題も、これは私も同様予算委員会においてもお尋ねしましたが、そのことは決して大臣の当時のお考え通りには行かなかつた。これは成るほど私は一〇〇%行くということは、無論考えませんから、できたことは別としましても、今直ちに通さんとするこの法案につきまして、やはり相当の御決意がなければならんということは、これは、これから私どもが討論採決に入るにいたしましても、やはり大臣の意見を聞きたいというところが、その目的であるわけであります。従つて私は、こういうことを申上げるのはどうかと思うのですが、少くとも終戦以来この競馬競技に対しまして、大臣は、それぞれ趣味、嗜好がありますから一概には申せませんが、相当これに対して、いろいろの協力をされておると思います。併し大臣の立場から行けば、例えば今問題になつております馬券を買うとか買わんとかということは、大臣は職責上これはできない立場であるということは承知しておりますが、そういうものは別といたしまして、やはり熱意を以てこれに対して十分な認識があるだろうと、こう思つておる。従つてそういう意味合いからそういう点については局長以下それぞれの係りのかたから随分誠意を披瀝した御答弁もあつたわけです。是非ともこの点につきましては大臣が只今戸叶君の質問に答えられた通り、十分一つ今後遺憾ないようにされたいと思います。
 この点附加えて簡単でありますがお願いいたしておきます。
#122
○野溝勝君 別に質問をするわけではありませんが、私は先ほども大臣に申しましたが、この法律は、競馬によつて畜産の振興を一層盛んにするというのだが、国が今まで畜産振興をしなかつたかというと、どの改正法案を見ても、皆これは同じことを謳つておる。この法案の内容には、三つの条件が含んでおると思う。皮肉のようだが、この三つの条件は何ぞやと言いますと、一つは行政整理の傍杖にする。行政整理をするために特殊法人という形において、いわば行政整理の問題を解決しようという一つの狙い。それから第二は、大体十幾つかの競馬場があるが、これはあなたも御存じの通りうまく行かない。この赤字の穴埋めをうまく転嫁しようということ。それから第三は、人事権を大臣が掌握して、悪いところはそちらに任せ、いいところを自分でとる。こういうわけであります。人事権をあなたが握つて、政府の勢力の拡張にも使える。使うというのではないのですよ。この三つの内容を含んでいるということを先ほど言つた。皮肉のようでございますが……。そういうことでなければ幸いだと思います。そういう意見を申上げておきます。
 それで、この法案の審議が大体終つたようでございますが、私どもといたしまして心配することは、悪いところばかりでなく、非常にいいところは、監督と被監督の点、これを明らかにするという点は特徴だと思います。そういう点を委員のかたが慎重に検討されておるのですが、大体結論も出たようでございますが、私の心配している今の三つの点が、そういうことでないように注意しておやり願いたいと思います。
 それから特に、この一点だけ聞いておきたいのですが、これは競馬部長でよろしうございますが、一昨年十二月の二十四日に、神戸に入港した赤城丸という船がある。これによつて英国のエリザベス女王の所有しておりましたところの馬を買つて来た。それがまあ御承知の通り、五千万円で買つたわけですが、その馬が、これが政府で買つたと言われておりますけれども、果して農林省で買つたのか、或いは誰が買つたのか、その後の飼育状態はどうなつておりますか。その一点だけ聞いて私は質問を終ります。
#123
○説明員(井上綱雄君) この馬は、只今お話の通りでございますが、値段は千九百万円であつた。これは英国のナシヨナル・スタツドに繋留せられておりました馬でございまして、向うのダービーの二着馬であつたわけで、政府が政府の予算で以て購買いたしたのであります。現在は、青森県の奥羽種畜牧場に繋ぎまして、一時輸送中に病気が起りましたが、回復いたしまして、現在繁殖に供用いたして、健全に使つておる次第でございます。御了承願います。
#124
○野溝勝君 これは御答弁なくてよろしうございます。意見でございますが、先ほど来私が意見を申上げました点について、例えば日本中央競馬会ができると、その際における職員については何ら心配がない。この配置転換、は、完全に職員の犠牲なくしてこれを完遂できるといつた言明を、更に私は実行するように責任を持つて頂きたいということを以て私は打切ります。
#125
○国務大臣(保利茂君) 私から意見を求められておりませんのでございますが、先ほど御指摘の三つの点につきましては、十分私として善処いたしたいと思います。
#126
○委員長(片柳眞吉君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#127
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。
 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。
#129
○宮本邦彦君 私は、本案に対して修正案を提案いたしたいと思います。先ず修正案文を朗読いたします。
   日本中央競馬会法案に対する修正案
  日本中央競馬会法案の一部を次のように修正する。
  第十三条第四号中「国家人事委員会」を「人事院」に改める。
  附則第十八項中「第四条第四号」を「第四条第三号」に改める。
  附則第二十項のうち第七十三条の七の改正規定中「十三」を「十二」に改める。
  附則第二十三項を附則第二十四項とし、附則第二十二項の次に次の一項を加える。
 23 この法律施行(附則第一項本文の規定による施行をいう。)の際、昭和二十九年三月十日に内閣が国会に提出した行政機関職員定員法の一部を改正する法律案が法律となつていないとき、又は法律となり、施行されていないときは、前項の規定中「二三、七四二人」とあるのは「二五、七八八人」と、「二三、二七七人」とあるのは「二五、三二三人」と、「七一、三八四人」とあるのは、七七、三六七人」と、「七〇、九一九人」とあるのは「七六、九〇二人」と、「六三三、
○四九人」とあるのは「六九四、三四七人」と、「六三二、五八四人」とあるのは「六九三、八八二人」と読み替えるものとする。この修正案の理由を簡単に申上げます。
 国家人事委員会とありましたのを人事院に改めましたのは、これは関係法案におきまして、国家人事委員会というものが成立するという予定の下に原案ができておりましたのでございますが、未だに国家人事委員会ができておりませんので、人事院といたしましたわけです。
 それから最後の人員の関係は、これは定員法が内閲委員会におきまして未だ通過いたしておりませんので、これも同様通過することを想定いたしました数字でございますから、かように改めたわけでございます。
 それからその中間の二修正点は、いずれも印刷のミスプリントでございます。皆さんどうぞ御賛同をお願いいたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#130
○松浦定義君 只今議題になつておりまする日本中央競馬会法案につきましては、政府原案に対しまして、衆議院のほうで大幅な修正をされて送付されたわけでありますが、本委員会におきましても、昨日以来熱心な質疑がありまして、更に本日は、所管大臣である農林大臣も出席せられまして、この種問題に対する将来への考え方等につきまして十分な御意見の発表がありましたが、私といたしましては、なお今後のこの運営、更に又相当高額な資本を投じまする立場からいたしましても、十分なる監督その他につきましても、責任を持つべき必要があるのではなかろうかと、更に又先ほど質疑中にありましたように、職員その他につきましても、いろいろ予想されるような問題も或いは起り得るかも知れない。そういうような面で、二、三のそうした点につきまして、私は附帯決議として、どうしても一つ政府にその執行をお願いいたしたいというような立場から、本案につきましては賛成でありますけれども、なおこの附帯決議を付して賛成をいたしたい。かように考えまするので、只今から附帯決議の案文を朗読いたしまして、皆さんの御賛成をお願いしたいと思います。
   日本中央競馬会法案に対する附帯決議(案)
  一、日本中央競馬会の事業運営の公正及び経理の厳正に対して万全を期すること。
  一、日本中央競馬会の職員並びに調教師及び騎手等の待遇の改善及び身分の安定に遺憾なきを期すること。以上を付しまして、私は本法案に賛成をするものであります。(拍手)
#131
○委員長(片柳眞吉君) 他に御意見はありませんか……(「なし」と呼ぶ者あり)他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。日本中央競馬会法案について採決をいたします。
 先ず討論中にありました宮本君の修正案を議題に供します。宮本君提出の修正案に賛成のかたの挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#133
○委員長(片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて、宮本君提出の修正案は可決せられました。
 次に、只今採決されました宮本君の修正に係る部分を除いて日本中央競馬会法案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#134
○委員長(片柳眞吉君) 全会一致と認めます。よつて、本案は全会一致を以て、修正議決せられました。
 次に、松浦君提出の附帯決議について採決をいたします。松浦君提出の通り附帯決議を付することに賛成のかたの挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて、松浦君提出通り附帯決議を付することに決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。
 次に、本案を可とせられるかたは例により順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    江田 三郎  野溝  勝
    戸叶  武  北 勝太郎
    松浦 定義  雨森 常夫
    佐藤清一郎  横川 信夫
    重政 庸徳  宮本 邦彦
    清澤 俊英
  ―――――――――――――
#137
○清澤俊英君 ちよつと時間がありますから、極めて僅かですが、先ほど戸叶君から質問もありましたそうですし、松浦君からも質問がありましたそうですが、人造米の問題について、丁度農林大臣も来ておられますので、本当に簡単でありますが、一つお伺いしておきたいと思います。
 実際、何か政府で融資を斡旋をするというような方針を立てられて、それが全くできないで、事実破産に瀕しておる人が、私の知つておるところにも出ておる。これはどうも、いやしくも政府が何か金を貸してくれるからというようなことを言い、同時に総理大臣は本会議において、この食糧の凶作対策に対しては、食糧対策として人造米三十万石を以て充てる。私はこの際には、何か政府で人造米を政府管理等に移して、従つてそれの製造を政府でやるのではないかと、こういう疑問がありますので、いろいろその点を質問して間違いないようにということを言うておつたのでありますが、今になつてみますと、現に破産、倒産に瀕して何とも仕方のない人間が出ておるが、この責任はどういうような方法を以てやつて頂けるのか。ただおれは本当に貸すと言わないのだと、これでは問題にならない。現に農林省で資金貸付の受付をやつておるので、これが一つも廻つて来ないと、こういうことになれば、これは重大な責任があると思いますので、何かこれに対する救済策を別にお考えになつておるのかどうか、一つ今即答ができませんならば、只今すぐ御答弁を聞かんでもよろしいが、これは一つ本当にお考えおきを願いたいと思う。どうなさるおつもりであるのか。
#138
○国務大臣(保利茂君) 人造米の問題につきまして、私は率直に申上げます。
 私としましては、この人造米の見本等を試食等もいたしまして、そうして夥しい外米に依存しておる今日の日本経済の一番大きい障害になつておるときに、外米の節約が多少とも、たとえ一トンでも二トンでも、これによつて図られるということであれば、これは本当にそのほうに力を入れて行くべきではないかというのが、私が就任しましたそもそものときの食糧庁或いは食糧研究所等に行つて見まして現実に感じましたことであつたのであります。
 折柄この凶作が追つかけて参りまして、何か凶作対策で俄か仕立の人造米宣伝をやつておるのではないか。苦しまぎれの宣伝にこれを使つておるのではないか。或いは又河か人造米の製造業者等の運動によつてやつているのではないかというような妙な誤解がこれにまつわりまして、
   〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
実は私としましては、今日も、人造米の将来の食糧問題に対する貢献というものは、私はひそかに期待をいたしております。ところが、先ほど戸叶さんのお話のように、この中には、非常に熱心な真剣な健全な業者もおられるけれども、同時に俄か仕立の、投機的と申しますか、政府がちよつと叩いたら、さあそれだというようなことで、大した準備も用意もなくやられて、或いろ又政府の宣伝に乗つて、宣伝がきくからということで、粗悪品をも、極めて私は非良心的だと思いますが、そういうものが街に相当出ましたために、人造米に対する批判というものは、非常に厳しくなつておるわけです。これはまあ私が人造米と申上げた、その動機に、何か業者と、どうとかこうとかというようなことを言われたので、実は私は気をくさらしたわけです。けれども併し、私は今日でも、やはり毎日私の家族は人造米を入れて食べております。少しも、少しもということはございません。決して純粋の内地米だけ頂くような、そんなにうまいものじやございませんけれども、まあとにかく我慢のできないものではないわけなんです。最近東京でも大阪でも、品質もかなり一年前よりも進んだものがあつちこつちにできて参つております。これは今後の食糧事情にもよることと存じますけれども、私は人造米に対する或る程度の誤解が解かれれば、相当普及するのじやないかという期待は持つておりますけれども、併しそういうふうな射倖的な業者が、非常な迷惑をかけるというようなことにならないようにということは十分気を付けて参りたい。
 それから人造米に対する融資措置等につきましては、閣議の決定まで経てやつておるわけなんでございます。ところが緊縮財政、緊縮融資というのでございますか、デフレ政策によつて、開銀の資金に相当の期待をかけて、或る程度話はついておつたわけなんでございますけれども、開銀のほうが、非常に苦しくなつて来ておる。そのために、私どもが当初予想しておつたように融資がそう簡単に行かなくなつて来ておるというような事情から、お話のような問題があちこちから出て来ておるわけであります。十分一つ、只今申上げました線において、今後とも研究をしたい。私としてはできるだけ……、併し、何か誤解を抱かれては迷惑ですけれども、誤解を抱かれないようなことに十分注意をして、普及に努力をいたしたい。かように考えております。
#139
○清澤俊英君 ここで余り突つ込んだ質問はいたしませんが、大体農林大臣の話もわかりますが、実際問題として、融資はうまく行かないで困つておるのが実情であります。何とか責任を持つてやつて頂かないと、大変な問題だと思います。
#140
○松浦定義君 非常に、今大臣のお話は、外米をできるだけ節約して、そうして人造米でもできるだけいいものにして食糧事情を緩和したい。こういうお話だと思いますが、ところが私、今朝聞きましたら、何でも衆議院のほうで百何十人くらいの署名をとつたのでありますから参議院のほうでも、というので、実は廻つて来たのです。それは外米輸入縮減についての要望らしいのです。その内容は、やはり人造米或いはパン、そういうものをできるだけ普及しなければならん。従つて外米の輸入を制限して、澱粉その他を原料とした人造米で以て、或いはパンを以てそれを補うというようなことを農林省なり政府に要請するような署名運動らしいのですが、衆議院のほうでは、百何名というような署名ができたので、参議院も協力してくれということを今朝聞いたのです。それで今のお話ですと、むしろそれに合致するわけなんですが、やはりその要請が来なくても、農林大臣は、外米を少くして人造米を普及したいということを、又今もお変りなくみずから食つておるから、大丈夫世間の批判は間違つておるのだというふうなお考えですが、そうしますとそういうような署名を私どもがしまして、衆議院が百何十名しておるというのですから、参議院も五十名なり三十名したら、その通り人造米の普及を大いに強力におやりになりますかどうか。その点一つ伺つておきます。
#141
○国務大臣(保利茂君) 人造米に対する考え方は、只今も縷々申上げました通りでございます。国会のほうで、そういう御意見があるかどうかは私は承知いたしておりませんけれども、とにかく食生活の改善をして、外米の輸入をできるだけ防がなければいかんということは、昨年暮の衆議院の本会議でも全会一致御決議になつておることでございますから、そういう運動が起りますということは当然のことだと私は考えております。従来の考え方を私は持つていますけれども、ただ先ほど申しましたような点につきましては、十分注意をして参るつもりであります。
#142
○理事(宮本邦彦君) 暫時休憩いたします。
   午後一時四十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時三十九分開会
#143
○委員長(片柳眞吉君) それでは、委員会を再開いたします。
 農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 昨日の御決議によりまして参考人として農林中央金庫更級君の出席を得、なお江田委員の要求による資料が提出されましたので、直ちに質疑に入ります。
 参考人におかれましてはたびたび御出席を頂きまして、厚くお礼を申し上げます。
#144
○江田三郎君 更級さんにお尋ねするのですが、実はもう少しこの法案の内容について質疑をした上で更級さんにお尋ねするほうが、問題がはつきりして来るわけですが、非常にお忙しい中をお見えになつておるので、そういう勝手なことばかりも言えませんから、中途半端になると思うのですが、お尋ねいたしますが、最近再建整備に関連して中金のほうで、農協の人事にいろいろ御注文をつけられておる。そういうことをよく方々から知らされるのでして、これは何も今に始まつたことではないのでして、中金が都道府県の信連等の人事について、いろいろ親心かどういうことか知りませんけれども、人事問題に非常な深い関心を持たれて、それぞれの発言をなさつておるということを私どもよく耳にしまして、そのために或る信連あたりでは、少し全国的な連絡をとつて、こういう中金のやり方に対しては反撃態勢をとらなければならん。こんな話も出て来ているのだということも聞かされたことがありますが、特に再建整備の問題について、近頃その傾向が甚だしいんじやないか。勿論再建整備促進法の第三条の三項によりまして、整備計画をたてるに当つては中金と協議しなければならん。こういうことになつておるので、この法に基いた当然のこととして、いろいろおやりになつておると思うのですけれども、ただ私どもが聞かされる話は、そういう法が要求しておる範囲を越えておるんではないかというような気持もございますので、中金としてさような問題について、これは私が今更申上げるまでもなく、更級さんのほうでも、ほかでも問題としてお聞きになつておると思いますので、中金の根本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#145
○参考人(更級学君) 只今江口先生からのお話につきましてお答え申上げます。
 中央金庫といたしましては、御承知のように全国の組合金融の中枢機関といたしまして、できるだけ円滑なる系統金融の運行を図りたいという希望と信念の上に仕事の運営をいたしております。併しながら基本的に申上げまして、この機構は系統機構と言いますか、組合の機構というものは、確かに民主的なものであるということは仰せの通りでございます。でありますから、我々のほうとしまして、何と言いますか、傾向といたしましてはいろいろなことを申上げましても、人事問題に対して、具体的にあれこれ申上げるというようなことはできるだけ控えておりますし、申上げてはおりませんが、この再建整備の関係におきましては、只今江田先生からお話のございましたように、三条の規定によりまして、金融機関が整備計画につきまして協議をいたすということになつております。我々のほうといたしましても、できるだけ不安定なる組合金融、或いは組合の事業の安定を図るべく努力をいたしておりまして、再建整備促進法ができますと共に、金庫の内部に整備促進部を作りまして、専らその方面の仕事を担当させて参つております。
 又整備促進の仕事を運行するにつきましては、すでに御承知と存じまするが、農林漁業組合連合会の整備促進の審議方針というものが審議委員会にできております。審議委員会の審議方針の中には、連合会のいろいろな事業計画なり、事業の執行体制なり或いは事業の進め方というようなものに対する連合会が再建整備促進をしまするにつきましての心覚えと言いまするか。こういう方針で行つたら、今後の組合経営が安定するだろうというような方針につきましては、執行体制の整備項目がございまして、その中に役員という項がございまして、その役員に関しましては、こうあるのが好ましいのではないかというような審議方針がございます。でありますので、我々のほうで地方に出まして、連合会が再建整備を作りますまでの心構えを御懇談申上げ、今後の計画についてのいろいろな御相談に乗つて参つております。その際に、役員の機構につきましてはこういうことが好ましいのではないかということは申上げておりますが、併しながらこうなければならん。こうしろ、ああしろという、具体的にこういう問題は、私のほうから金融機関といたしまして、こうすべきである。こうしなければならん。こうしなければ、この審議方針は通さんよということは申上げることはないと思つております、又申上げるべきものじやないかと思つております。
 先ほどから申上げますように、組合の機構というものは民主的なものでああり、民主的に役員を選出し、民主的に経営をいたすべきものであるということは、我々重々注意いたしておりまして、只今江田先生お話のように、地方におきましては、そういうような風評も聞きますので、私のほうといたしましては、現地の出先に対しましては、今後、そういうような批判をこうむらないように、できるだけ注意をし、特に人事問題に対する発言につきましては、できるだけ注意しろ。こういう指示もいたしております。
 いろいろ従来御心配の点があつたと存じますが、今後は、できるだけそういうことのないように注意して行くつもりでございます。どうぞこの上とも何とぞ御指導を願いたいと存じます。
#146
○江田三郎君 そういうお答えになるよりほかにないだろうとは思いますけれども、私どもは、いろいろ具体的にどこの信連へ誰が、どういうことを言つたとかということをよく聞かされます。私もその具体的なことを言おうとは思いませんけれども、やはり更級さんのような、長い間こういうことに関係されたおかたは、同じくそういう役員の適格、こういうことについて発言なさる場合でも、いろいろ深い考慮の上で発言をされるということは、私どももとより信頼を寄せておりますけれども、併しなかなかあなたのような指導理念というものが末端まで徹底しないで、かれこれの説を聞くようなことになるじやないか。こう思うのでして、まあそれ以上問答したところで仕方がないと思いますが……。そこで私は、そのことについてはなおよくお考え願つて、一層の慎重を期して頂きたい。農業協同組合というものの本質、それに照しましても、よほど慎重にやつて頂きたいと思うのでして、何しろ口で直接言われんでも、あなたがた……あなたがたと言つては失礼ですけれども、中金の仮に一部の人が、嫌われるような人が役員におる間は、協力をお願いしても、金の面で協力してもらえんということになると、口で、お前はやめろと、こう言われんでも、同じことになつて来るわけです。勿論不安定な経営をやつているところの、適格を欠くような役員がおるところに金を貸すというようなこと、或いは協力をするということが、中金としても好ましくないということはよくわかります。わかりますけれども、何しろ一万田天皇とか何やら天皇というような金融機関というものが強いものですから、そういうことについては、この上とも慎重にやつて頂きたいと思います。
 ただ、それと関連しまして、あなたがたのほうでは、整備促進法の第三条の三によりまして、当然整備計画について協議を受けられるわけですが、あなたがたから御覧になりまして、現在の整備計画なり、それを担当しているところの役職員なりの全般についての御感想と言いますか、見解と言いますか、そういうものを一つお聞かせ願いたい。
#147
○参考人(更級学君) 率直に申上げたいと存じますが、御承知のように、この農林漁業組合の再建整備が以前行われまして、一応の再建の計画が立てられて、それが実施に移されたわけでございますが、それがなかなか合理化が十分いかないというので、皆さんのお骨折で促進法ができたのでございます。御承知のようにこの以前の再建整備の場合には、金融機関といたしましては、その計画には、まあ横からは眺めておりましたが、直接その整備計画に入り込んで、或る程度入り込みましたけれども、必ずしも強力にそれを指導するというような立場に余りなかつた。でありますので、今度のこの再建整備促進の場合には、こういうふうに金融機関が協議を受けて、その事業計画が安定しておるか、間違いなく進むものであろうか、或いは今後の金融についても、間違いなく金融が行われるかというようなことについて、この金融機関の協力を求めるという制度が立てられたのだろうと存じております。その場合に、結局この再建整備の計画を作るにつきましても、一応作つてから、さあ金融機関に持つて来まして、どうですかと、こう言われましても、その作り方につきまして、或る程度金融機関といたしまして納得するものがなければ、今後の協力態勢が十分でないというふうに考えますのと、やはり私は終戦後の農業協同組合の動きを見ておりますと、この協同組合の仕事というものは、御承知のようにビジネス――事業であります。併しビジネスだけではいけないので、やはりそこにムーヴメントと言いますか、運動というものがあつて、ビジネス・プラス・ムーヴメントが協同組合の運動だ。こう存じております。この運動を協同組合に植え込むのが、一つの再建整備促進じやないかと思つております。それで結局、単位の組合、県の連合会、全国の連合会が一体となつて協同組合運動を進めていくということが、この再建整備を促進させることになると思うのであります。その場合に我々金融機関としましても、その動きに対して理解を持ち、協力していくということが、この金融機関が協議を受けるということになるのじやないかというふうに考えております。でありますから、金庫といたしましても、先ほど申上げましたように再建整備促進法を作りまして、もつぱらこの促進運動の仕事もやらしております。どつちかと申しますれば、これは金融機関といたしましては、直接関係のないような、むしろ指導関係のような仕事になつております。併しながらやはり毎々申上げますように、組合金融というものはやはり一つの指導が伴つて初めて動いていく。併しその指導が先ほどのお話もございましたように、余り逸脱してはいけませんが、そこに自主的な協同組合というものと、その協同組合が構成しておるところの団体というものとが、いわゆる上級と言いますか、上に立つ団体というものが、そこに協力態勢を整えていく、そこに指導に当るというような形をもつていくのが再建整備促進運動というふうに考えておりまして、私どもといたしましては、先ほど申しました通り整備促進運動につきましては、もつぱらその仕事をやらしております。併しながら、何分とも従来の経営の方向なり、従来の再建整備の行き方というものと今度の促進の行き方というものは、相当具体的に問題をとり上げております。審議方針を御覧になつたと存じますが、ここに非常に細かいことまで入り込みまして、やはり今後の協同組合運動というものはこうしなければならん。人と事業関係におきましては、こういうふうに行こうじやないか、行くほうがいいのだというふうに考えました理念がここに盛られておると存じます。でありまするが、これを直ちに、この現在の態勢にはめ込んで、現在の事業団体をここに進めて行くということは、なかなか大きな問題であります。
 でありますので、昨年以来、この問題を進めておりまするが、今日までにいわゆる指定になつたものは、大体二つくらいの連合会であります。併しながら我々のほうといたしましても、地方の各県に出掛けまして、皆さんと御懇談をする。整備促進の審議会には、専門の委員がございまして、専門委員が常時連絡をとりまして地方に出向きまして、連合会のかたがたなり、地方のそういう団体のかたがたとお打合せをしまして、今後の整備促進運動の計画を、こう行こうああ行こうというふうに御懇談申上げて、一つ植え付けて参つておりますので、現在は相当、もう全部各県各地方におきまして、この運動を進めて行こうという気運が出ておりますので、今後は続々この指定がとり上げられて行くのじやないか。こういうふうに考えております。
 だんだん、先ほどお話もございましたように、勿論私のほう又地方といたしまして、無理な注文と言いますか、金融機関として圧力を加えてどうこうするというような考え方はございませんが、併しながら皆さんのほうから、こういう場合にはどうしたらよいかどうかというお話がございますれば、この審議方針でとつたようなことを申上げることもあろうと思つております。併しそれを私どものほうではこうしなければならんということは申上げてはおらんと思いますが、併し我々のほうの意向をお聞きになり、皆さんが民主的に自主的におきめになるということがいいのじやないかというような考え方を持つておりますので、我々といたしまして、先ほど先生の御注意がございましたように、まあ地方の出先におきましては、若い者もおりますし、或いは言葉の上から、そういうような印象を受けた事態もあつたかと存じますが、我々といたしましては、その点につきましていろいろと皆さんの御批判のあるところを承わつております。でありますから、今後はそういうことも、できるだけ避けて、勿論避けるつもりでおりますが、若い者もおりますのでそういうことがあろうと思いますが、若しそういうことがございましたならば、皆さんのほうからの注意も承わりまして、我々といたしましても現地のほうに注意をいたします。又現在もいろいろお話がございましたので注意をいたしておりますので、何とぞこの上とも、御協力のほどをお願いいたしたいと存じまするが、まあ非常に一時は、この点につきまして、いろいろと皆さんの促進の方法につきましての意見もございましたが、だんだん我々のほうが御懇談申上げ、我々の気持なり、或いは今後の組合運動のあり方についての御懇談をするときには、大体こうなければならんという皆さんの御理解を頂きまして、その方向にだんだん進んでおります。恐らく今年中には、相当のものが指定を受けることになるだろう。こういうふうに考えております。
 又我々といたしましても今後ともできるだけ努力をいたしまして、更に促進いたしたいと存じております。
#148
○江田三郎君 まあ更級さんの長い体験から出た非常に含蓄のあるお答えを頂きまして、まあ私どもも、毎度のことながら敬意を表するわけですが、同時に私、もう一つお聞きしてみたいのですが、今、更級さんも協同組合というのはビジネスである、同時にムーヴメントなんだと、こういうお話がございましたが、一体そのビジネスというのは、もつと別な言葉で表現したらどういう言葉になるだろうかという点でして、若しビジネスというものが、農協のバランスが合えばいいんだ。そういうような受取りかたになり、そうしてバランスを合わすためのムーヴメントである。従つて例えば貯金の増進、増強といいますか、そういうようなことは非常に力こぶを入れてやる。併しながらその他のことについては、直接農協のバランスのよくなることに関係のないようなことについては、非常に……非常にとは言いませんけれども、先ず先ず消極的であつてもよろしいというような行き方をとる場合もあろうと思います。同時に農協というものはただバランスさえ合えばいいというのではない、もつと農協の使令というものはほかにあるんだということになると、それに伴うところのムーヴメントというものも私は違つたものが出て来ると思うのです。
 そういう点について、一体、まあこれは質問というよりも、更級さんに教えて頂きたいのですけれども、そういう点をどうお考えになつておりますか。或いは単にバランスが合いましたところで、そのバランスを合わすために零細農というものがだんだんと農協から置き去りを食うというような形で、バランスが合つてみたところで、一体それで何だということになりはしないか、或いはバランスが合うということが、それによつて役職員の給料が払えるということで終つたんでは、一体何になるだろう。そういうようなことだけで終つたのでは、一体国が或いは地方の公共団体が、いろいろ特権を農協に与え、いろいろ援助を与えておるということが、果して適切であるかどうかというようなことを私常に考えさせられる点でして、その点、最もこういう協同組合運動について長い御体験を持たれた更級さんの一つ率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#149
○参考人(更級学君) 非常にむずかしい御質問で、お答えしにくいのですが、私はまあ中央金庫におりますが、中央金庫の人間として申上げますよりは、これから申上げることは、三十年間、或いは親父以来五十年間組合運動をやつて来た人間でありますから、そういう人間としてお聞きとり願いたいと思うのですが、これはまあ私としても結論を得ておりません。おりませんが、協同組合というものは、御承知のようにこれはまあ自由加入、自由脱退、加入、脱退自由にできる団体、でありますから、お話のようにいい組合と申しますか、バランスのとれたいい仕事をする組合を作ろうと思うならば、これはお話のようにいい農家だけ集めれば立派な組合はできます。富農なら富農だけで組合を作る。アメリカのように力のあるものだけで組合を作れば立派なものはできます。それでも協同組合なんです。併しながらこの日本の協同組合というものは、一体どういうものなんだ。そういう人間的なものだけでいいのか、或いは地域性を持つた村なら村、或いは町なら町というものと関連した協同組合であるべきじやないかというふうに我々は考えておるんですが、これはどつちがいいかわかりません。或いは富農だけなら富農だけで作る。或いは中農は中農だけで作る。或いは貧農……貧農といいますか、零細農は零細農だけで作る。こういう形で階級性のものができても差支えないですね。併し、それで果して日本の農村なり社会というものが安定するかどうかということなんです。でありますから昔からの産業組合、農業協同組合から見まして、農民組合というものは、村なら村というものを考えて、その平和というものを考えた協同組織でなければならん。而も日本の農業というものはアメリカの農業と違いまして、アメリカの農業というのは、一人で何百町歩やつておりますから、一人で潅漑、排水もできれば病毒の駆除もできますけれども、日本の農業というものは一人でやつておるわけじやないのです。これは村と或いは国、と、――勿論明治前は、まあ地主とやるとか或いは藩とやるとか、そういう一つの大きな組織の中の一つのものとして農業を営んでおる。でありますから村としてやはり農業を営む。村が農業を営むその中の一つが農民だということになるんじやないか。農民だけ一人で離れて農業をやるということはできない。水でもやはり隣りの村と協同しなければできない。やはり害虫を駆除する場合も、自分のところだけでやつたところで隣りのほうから入つて来れば何にもならないということで、結局協同組合をやる限りにおいては、少くとも村なら村というものをまとめて行くことが必要であり、協同組合がまとまつて行くことが必要ではないかということになつた場合、結局富農というもの、そういう力のあるものと、ないものとが、どういうふうにこれを協同するか、協同させるかということが、今後の協同組合の大きな問題じやないかと私は思つております。
 いろいろお話を聞きますと、協同組合から離れる。協同組合を利用しておつては余り得にならないという人もあるようであります。又協同組合は零細農を面倒見てくれないといつて、零細農が離れて行く。むしろ中農が協同組合の中堅になつておるのが現在の傾向じやないか。併しながらそれをどういう力でまとめて行くかということが、協同組合の指導方針じやないか。どういうふうに協同組合を作つて行くかということは、これは農林省なり或いは指導連なり、まあこの組合関係の全体の問題じやないかと思つて、私そういうことに対して、いろいろ疑問を持ちまして、いろいろ書いたことがございますが、これをどういうふうにしたらいいかということについては、まだ結論を得ておりませんから、これは今後とも、どうぞ皆さんのお教えに従つて協同組合の運動を発展さしたいと、ただ、その場合に、余計なことですが、今一番問題になるのは、町村合併の問題なんです。
 町村合併した場合の町村組合、町村合併は、町村合併でなくて、私は市を作るものだと、こういうふうに言つておるんですが、日本の農村が一つのものに合併されたらどうなるか。その場合協同組合はどうなるか。これは私は大きな問題だと思う。これは我々も考えなければなりませんが、皆さんのほうでも、一つ十分御検討願いまして、いろいろお教え願いたいと思うのです。余りはつきりいたしませんが、そういうようなことを考えておることだけ申上げておきます。
#150
○江田三郎君 まあ余り長くなつちやいけませんから、もう一つだけお尋ねしますが、どうも私はこの再建整備ということが、今、更級さんの御見解のようなことと必ずしも一致してないんじやないか。どうも再建整備のやりかたというものが、ただ非常に狭い意味のビジネス・アンド・ムーヴメントになりはしないか。もつと広い、もつと大きな立場から再建整備ということを考えれば、成るほどこの再建整備によつて一時バランスはとれるようになるかもわからん。併しその先一体どうなるだろうか。或いはバランスはとれたけれどももはやそこに生まれたものは、農業協同組合の真の精神とは離れた、形だけのものになるのではなかろうか。本当にこの農業協同組合というものによつて、村の農業をまとめて行くというようなことになるなら、狭いビジネスじやなしに、もう一つ大きく例えば村の農業計画を立てて行く。そこから再建整備の方向を見出して行く。そういうものが基礎になつての再建整備というもの、これが本当の要求される再建整備ではなかろうか。ただバランスを合わす再建整備でなしに、農協は、バランスも大事だが、同時に農協が農協の使命を果すようなものになつて来なければ、再建整備でないのじやないかというような気がいたしますが、そういう点についてはどうでございましよう。
 又そういうような再建整備方針をとつているところがあるのでしようか、どうでしようか。
#151
○参考人(更級学君) 私の申上げましたビジネス・アンド・ムーヴメントという問題の噛合せの問題だと思います。ビジネスといいますか、事業といいます限りにおいては、やはりバランスが合わない事業というものは事業じやないと思います。バランスが合つてなければ事業じやない。結局協同組合は農民のためのものであり、農民が作つたものでありますから、農民のためになることならば損してもいいじやないかというようなことを口に言われますけれども、併し損の出るような協同組合では、農民もついて来ません。やはり事業というものは、或る程度バランスが合わなければならないし、併しながらこのバランスが合うといいましても、むやみやたらに利益を出すということは、結局協同組合は農民のものですから、農民から余計収奪するということになりますから、その点は或る程度調整しておると思います。併しながら、赤字が出るような協同組合は、これは事業じやないと思います。でありますから、現在の整備促進も、農業協同組合の連合会自体が赤字を出すようなことでは、これは農民というものはついて来ない。赤字をなくすということが問題じやないか。併し赤字をなくすることばかりが能じやなくて、赤字をなくすために、どういう、先ほど申しました運動が必要じやないかということなんです。
 結局農民が間違いなく連合会を利用する。協同組合を利用する。それから連合会も組合のためになるような仕事をするということについての基本の方針は、この新方針にもございますように、販売事業の場合では共同販売、いわゆるこれは無償計画販売ということで、買取りとか、さようなことをやつて、損をするようなことはしないようにして、手数料だけで間違いない仕事をさして行くということであります。
 それから購買事業におきましては、いわゆる共同購買、計画購買ということにつきまして、農民の必要とするものは、必要のときに間違いなくその手許に渡る。而も価格は平均購買価格というようなことにしまして、その仕事を進めると同時に、そこにムーヴメントが起るように、起ると同時に、そこに連合会に対する理解ができまして、この仕事がだんだん発展して行くのじやない。
 こういう考え方を持つておりますので、必ずしも、勿論そのバランスを合せるといいますか、欠損の出ないように、欠損を埋めるようなことをしなければならん。埋めるための仕事であります。そのためには、やはりそこに運動というものを加味して、再建整備を促進さして行くということに主眼があると、かように考えております。
#152
○江田三郎君 いろいろお立場もありますし、なかなか、どうもこんな問題をそう短い時間で十分お聞かせ願うということも不可能なので、余りくどいことを言つたつて仕方がないのですが、どうも私は、今の再建整備というものが根本的にイージー・ゴーイングじやないかという気がするのですが、こういう形で更級さんのお考えはお考えとして、現実に村での再建整備のやり方を見ているというと、非常に狭いビジネスという立場からの再建整備、勿論損が出て行くものには、誰もついて行くということはございません。それはその通りでございますけれども、併し非常に狭い立場のビジネスという考え方では、これは再建整備が仮にできたところで、それは農協がかくあるべきだという姿に必ずしも再建されない。名前だけの、形だけの、今、日本の農業で要求されておる姿の農協とは別なものになるのじやないか。
 或いは指導面あたりにしましても、このムーヴメントというものが非常にイージー・ゴーイングじやないか。根本的なものと、何か取組んでいないのじやないか。或いは米価の問題をやる。或いは税金の問題をやる。いろいろな問題をやるのもよろしいが、併しこれは非常に、イージー・ゴーイングであつて、上つつらを走つてはいけないとか、指導面というものはもつと、指導面なりムーヴメントいうものは、もつと苦労の多い、根幹に触れたものが要求されるのじやないかということを素人として考えるわけでして、これは別に、それについて御意見を聞かしてもらつても、簡単にはそういう答えも出ませんけれども、そんな気がして、再建整備というものを我々が促進する立場、それから更に促進するという立場から、この整備促進法の一部を改正するにしましても、そういうことももつと考えて行かなければならんのじやないかという気がするわけでして、それについて、若し御意見をお聞かせ願えれば幸いだと思います。
#153
○参考人(更級学君) 勿論先生の御心配になるように、この協同組合が、単にぎすぎすした仕事ばかり、自分さえよければよいというふうに持つて行くべきものではないと考えております。
 併し、結局農民のためになる協同組合はどういうものか、或いは協同組合というものは、これも今後どうあるべきかという指導理念、この指導理念というものは、これはざつくばらんに申上げて、私はそういうことに対する一つの哲学がないということが今、日本の悩みじやないか、こう思つております。この哲学を誰が作るか、誰が考え出すか知りませんが、戦後の農業協同組合を実はアメリカのフーバーさんが書いてくれましたけれども、これは単に農業組合を作るということだけで、今の協同組合を指導するという理念がはつきりしていない点があるのじやないか。はつきりしている点があるかも知れませんが、私としては、何か日本の農業協同組合をどういうふうに持つて行くかという一つの哲学がないのじやないかという考え方もある。併しお話のように日本の農村の安定とか農民の生活の向上とかいうことについての一つの理念はありますけれども、その場合には協同組合はどう持つて行くかということに対する指導なり理念、こういうものが欠けている気がするのです。
 これは併し今まで御承知のように日本の経済なり日本の、日本ばかりでなく世界自体がこういう状態でありますので、なかなか安定したそういうものは出て参らないと思いますけれども、併し我々は我々なりに、日本の農村をその場合にどう護つて行くかという考えをもう少し早く打立てて行くべきじやないかということに対して、今御承知のように協同組合中央会という問題が起つている。これも成るべくならば、早くそうことにして頂いて、我々は協同組合の旗の下に、協同組合運動を進めて行つたらどうかということも考えておりますので、その点につきましても、どうぞ先生がたの御指導をお願いしたいと思うのであります。
#154
○江田三郎君 どうもいろいろありがとうございました。特にこの協同組合中央会も早く通せというようなことまで教えて頂きましてありがとうございました。私はこれで……。
#155
○戸叶武君 前の委員からも質問がありましたが、私らは、今の再建整備に関して、今このムーヴメントを通じて協同組合の新らしい、生き返りをしようという一つのもがきはよくわかるのですが、今の再建整備の対象となるところの農業協同組合運動のあり方ということに対しては、私は三つの面から一つ考えなければならないと思うのです。
 それは一つは組織の問題、組織の機構の上における欠陥、もう一つは理事者なり何なり、この協同組合を構成しているところのその運動の中心になるこの人的貧困の問題、もう一つはこの資金面の問題だと思うのです。
 そこで、この今の協同組合運動が、特に再建整備運動の或る意味において生き返りという、これはカンフル注射です。これをされなければならない瀕死の状態まで来たには、一つには協同組合運動をやつている当事者の無能もありますけれども、もう一つには、日本のこの協同組合団体をして、こういうふうなものにまで、無性格なものにのめり込ませた日本の農政の貧困がやつぱり根本になつているわけです。で過去のことを、とやかく言つても仕方がありませんが、戦争協力に農業会の形で動員した時分から、日本の産業組合運動の真の精神というものはなくなり、而もこの終戦後において戦争協力という形で国家機関の補助機関のようになつてしまつた農業会を民主化するという名の下にこれを分割して、細分化して、そうしてこの形式的な民主主義の名の下に無責任体制、無能者体制、こういうものが戦後における農業協同組合の今の姿だと思うのです。そうして問題は戦後においては今度は低米価政策によつて日本の農業政策は押進められ、而もこの農業協同組合においては民主化の名によつて産業組合運動の理念を持たない協同組合運動の理想を持たない地方のボスがこれを食いものにしてのし上つて来て、そうして散々のていたらくでこれを蝕んでしまつた。そうして一面においてはアメリカの気兼ねをしいしい、こういう形式的な農業協同組合運動、而もそれがこの政府施策の宜しきを得ないので、ますます経営面においても行き詰つた点において、政府はそれに対して抜本的な改革を要請するでもなく、ずるずるにこういうふうになつて来た。
 而もこの再建整備の問題におきましても、戦後いち早く戦争中に政府と協力して大きな打撃を受けたところのこの重要産業の面その他は、皆政府の恩恵によつて再建整備を事実上なされてしまつた。農業団体だけは利用されただけで打つちやられて、そうして蝕まれて今日までに来たのですが、その段階で私は一番、やはり迷惑を受けたのは、金融面を担当したところの信連だと思いますが、それと同時に一番安全を保つたのも又信連だと思います。それは金融機関だけは壊すまいという政府の政策が銀行政策の中に現われ、又農林中金なんかに対する対策にも現われて、この面だけは潰すまいというそういう金融機関のこの保全のためには政府は尽しているが、金融機関は又自己警戒から、やたらに金は貸出さない。安全を保とう。結局は市中銀行と同じような一つの経営体に立至つた。
 こういうところで、協同組合精神というものはどこにもなくなつてしまつたと思うのですが、この再建整備に直面するのに当つて、これをあなたは、一つのこれは大きなるムーブメントになることを願うと言いましたが、江田君は、この面に対してとにかくイージー・ゴーイングな行き方のムーブメント云々……というけれども、これは一つの動物本能的運動であつて、本当にこの苦悩に満ちたこの運動を通じて、もつと自主的な而も責任体制ができるような協同組合を盛り上げるだけの底力のあるムーブメントとして盛り上つて来るかどうか。今行詰つちやつて瀕死だ、どうしようもない。助けてもらわなければ……、これだけが我々に聞えて来るところの嘆願です。この嘆願運動を通じて、建設的にこういう意気込で日本の協同組合運動は立直つて行く意欲の躍動というものは非常に少い。瀕死の病人に対して鞭うつことは気の毒でありますが、この再建整備の問題を通じて盛り上つて来たところのこの運動というのも、そういう例えば手堅い立場にあるあなたがたを通じて見ても、日本の農業協同組合をこのムーブメントを通じて建直しが可能であるという建設的な一つの面がどこかに出て来ておるでしようか。そういう面からお聞きしたいと思います。
#156
○参考人(更級学君) この促進計画の樹立につきましては、先ほど来申上げましたように、金融機関の協力を得るという態勢をとつております。又お話のように、信連なり金庫の金融が硬塞してなかなか金を出さないのじやないかということにつきましては、これは結局我々のほうといたしましても或いは信連といたしましても、資金を融通する点につきましては、これが安全に運営されまして間違いなく消化されるということを建前としておりますが、その代りにそういうふうにできるだけ安全に運営され、又間違いなく消化ができるというような形に、この協同組合の事業をもつて行くにはどうするか。こうしたほうがいいじやありませんかということが、この一つの大きな方針であろうと思いますが、やはりその場合に、信用組合なり或いは連合会なりが、先ほど申しましたように、従来の欠陥をだんだん圧縮すると同時に間違いなく自己の資金の回転が行われ金融機関が安心して資金の融通ができるという形にもつて行く。これがこの整備促進の問題であろうと思います。でありますから、これに伴いまして、我々といたしましてはこの改正が整いますれば、今後の資金の吸収なり融通は、今よりももつと計画的に行くべきである。又行かなければこの整備促進ができない。こういうことになつております。又それによつて單位組合の事業の伸展が行われまして、協同組合全体が、今までこちこちに固まつておつた協同組合運動が円滑にスムーズに動いて行くのじやないか。こういうふうに考えております。
#157
○戸叶武君 この再建整備のムーヴメントを通じて、この協同組合運動の目下一番欠けている点は、指導理念に哲学がないことだということを指摘されておりますが、正にその通りだと思うのです。而もその指導理念に哲学がないという問題は、一つの観念的な問題として取扱うべきではない。今日協同組合というものがどの協同組合も水ぶくれだけはしておりますが、その中にこの協同組合を背負つて立つて行くだけの魂をもつて日本の協同組合運動を推進するだけの人的要素というものが欠けている。その人的要素の欠けている主なる点は、
   〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
 やはり日本の協同組合の無責任体制だと思う。それはこの理事者というものが、理事者の中には一、二割くらいはいい人悪い人は別として、若干役に立つ人があるでしようが、我々が接した範囲内においては、およそ県段階なんかに集まつて来るところの協同組合ボスというものは、県会議員に出るなり、或いは政治運動なりの足場にするなり、或いはほかの事業の手間にするなり、真剣に協同組合運動の中に挺身している者が少い。而もその事務当局から上つて来るところの参事というような人でも、この理事者というものに押されて動きがとれないようになつている。こういう形において而も仕事がまずくなつて行つたら、自分が身を退けばいい、逃げればいいような形になつておつて、責任体制というものが一つも作り上げられない。この問題は、農業団体の再編成の問題とからみついている問題だと私は思いますから、その根本的ないろいろな問題はそのときに譲りますけれども、先ほどあなたが言つた、例えば協同組合中央会の構想に対する期待にいたしましても、或いは今後のこの農業団体の編成に対する構想にしても、今のところは我々の眼前に現われて来ているものは極めて低調なものです。この指導理念に哲学がないというのなら、哲学を生むだけの……、哲学というものは頭の中から観念的に捻出されるものではなくて、運動を通じて、実践を通じて、苦悩を通じてそこに結晶されるものでなければならないけれども、日本の協同組合運動に哲学がないというのは、とにかく今の状態では、立向うのに商業資本家、商人たちにもかなわない。商人のほうが、或る者はずるいかも知れないけれども、もつと責任体制を持つた、ただ月給取根性で以てお座なりに仕事をやるというのじやなくて、利害を中心としてでも、仕事を中心としてでも、信用を中心としてでも、全生命を傾けてその仕事に没頭する。これに対比して日本の協同組合は、どこの協同組合運動と比較しても、形だけは一応恰好はついておるけれども、これほど魂のない、これほど真剣味のない、これほど責任体制が確立されていない協同組合運動というものは世界中にないと思う。我々はこの今の場合において、再建整備の問題を検討して、そうしてカンフル注射に応じて行かなければならない段階に我々も引きずり込まれておるのでありますけれども、これに対処して、本当に日本の協同組合運動にしつかりとしたところの運動らしき運動が起きて来るためには、特に或いは農民中心のごとき今度は体制ができるならば、金融機関も安心して各協同組合に活を入れるような、動けるような応じ方ができるというその話は御尤もですが、この運動を通じての協同組合の教育運動なり或いは各界の人々の意見なり、建設的な理論なり、そういうものを聞いて、そうして日本の協同組合運動の本当の建直しをしなければ駄目なんだ。こんな腐つたような、腐肉のような協同組合は、本当は抜本的に建直して、とにかく農業協同組合のあり方を、農政の面において、或いは経営の面において、或いは農業技術の指導の面においてどうやつて行くかということをやるために、今までむしろあなたたちが斡旋役でもしてやつて行かなければならなかつた。どこの面からでも、この協同組合運動が本当に新らしく脱皮して行く人々が、それにとにかく眼を注ぎ得るような運動が起きないで、今のようなお座なりの陳情運動、お座なりの、とにかく政治的な一つの雰囲気だけでは、日本の協同組合運動の本当の建直しというものは私はできないと思うのです。
 そういう意味において、このあなたが言う指導理念なり指導理念の底付けとしての哲学なり、そういうものを裏付けるのに、どういう施策をやつたならばいいと、こういうふうに感じますか。
#158
○参考人(更級学君) 非常に、私がそういうことを申上げましたけれども、私自身がそう感じていることでございまして、これをまあ、どういうふうに今後の日本の協同組合運動というものをお話のように持つて行くかということについては、なかなかむずかしいと思うのでありますが、結局その実行力如何にあると思う。私はその場合に、結局問題は、この農民なり或いは協同組合、今お話のように協同組合は、いろいろ問題にございますけれども、すでに協同組合はできておりますから、その協同組合の持つていますところの力というものを全部結集するものがなければいかん。それがてんでんばらばらでは、なかなか仕事ができませんので、それを結集し、そうして今後の協同組合というものをどういうふうに持つて行くかということを考えなければならん。その場合に、私が一番考えますことは、これはお話にもございますように、先生がたのおつしやつた日本の協同組合の運営なりその他につきましての責任体制とか、そういうようなことにつきましては、或いは運営の方途というようなことにつきましては、この審議方針にもございますように、その責任体制をも持たせるような組織も考えておるわけなんであります。結局今後そういうものを指導し、そういうものを行動させるような組織がなければいかん。運動がなければいかんと存じておりますが、併しやはり根本問題は、人の問題であろうと考えます。でありますから、人の問題をどういうふうにするか、先ほどお話のように協同組合に対して専念する人をどうして作るかということ、そうしてそういう人をどういうふうにして見付けて行くかという問題があろうと思います。これは先生のさつきおつしやるように、私はそういう人を何とかしろという意味ではございませんが、運動全体として言えば、そういう協同組合に専念する。協同組合というものを農民のためを思つて働く人を作る。そういう人を見付け出したいと思います。こういうことがやはり今後の協同組合運動を進めて行く場合の最も必要な問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。併しそれは先ほど江田先生もお話がございましたように、そういうものを我々はどうするという意味ではございません。協同組合として見た場合に、そういうものが必要じやないかと思います。
#159
○戸叶武君 この再建整備を通じてのムーブメント、それから協同組合再建に関しての指導理念としての哲学の不足している点をお尋ねしたのですが、まあ大体漠然としながら、あなたたちの考えていることが幾らかわかるような気がするのですが、問題は今度の協同組合の中央会にしても、これは後日この問題は、別な機会に質問いたしますけれども、こういう恰好だけを作つても、魂のない人間雑然としたところの恰好を作つて一種の権力体を作るというような形においてでは、日本の協同組合運動というものは立直らない。併しあるものを何とかしなければならないからという一つの行き方で行くらしいのですけれども、日本の協同組合運動の基礎組織というものの背景というものに、政府も力を入れず、又信連なんかも、その上のボスとの取引をやつていて、日本の協同組合運動がどんな嵐に直面しても、まじめに協同組合建設のために、農業建設のために、農村建設のために、地を腹這いながらも前進し得るような農業協同組合の基盤組織というものすら、上の組織がスポイルしたために、日本においては非常に歪められて来ておる。
 問題は私たちは、協同組合中央会の上のピラミツド型の頂点の、腐つたものの集つた頂点の組織よりも、むしろ現実に農業生産に参加しておるところの部落々々のこの農業生産を実行しておる人々、そういうものの基盤組織から、もう一度、とにかく日本の協同組合を立て直さなければならない。それには苦める農民たちの政治意識を農民組合の運動を通じて、そうして政治運動として中央にも滲透できるように、又指導面においては、その指導に携わる者たちが生活の不安定、ボスの圧迫なく、まともに農業指導ができるように、又農業経営面においては、農業経営において商人に負けないだけのしつかりとした農業経営ができ、而もそれに対する資金の裏付けもできるというような農業経営の経済機関としての協同組合もできる。そういうふうなものまでがつちりとして作り上げられなければならないと思うのです。今のところにおいては、日本のあらゆる方面において、これは農政ばかりの罪ではないけれども、戦争中における惰性と同じように、何でも彼でも一応恰好さえできれば、それで以て立て直しができるというような安易な行き方というものが生れて来ておるようですが、こんな安易な行き方の中から、新らしい伝統を作る人というものは生れて来ない。デンマークにおける農業協同組合運動を通じてみても、祖国が破れて、一番困難な苦悩の中に食うや食わずで以て青年たちが、貧乏な教育者たちが結集して、そうしてデンマークの再建に専心したところに、協同組合運動は盛り上つたので、ただ単に政府の御厄介になり、或いは他からの補助を受けてという形だけではいけないと思うのですが、あなたがたは、私たちと違つて非常に広い視野から、日本の農業の分野におけるところの動きというものを見ておると思いますが、そういう運動が、現実に農業組合運動の中から、或いは農業組合運動に結んで起きているなり、或いはそういうふうな形の、この人々というものが前進しているかどうか。私は話は非常に抽象的のようでありますが、この光のない、前途に確信を持たない、理想のないところから運動というものは生れつこないと思うのです。
 そういう点から、一つあなたたちは、もつと客観的に、一つの日本の協同組合運動を見下していられるのでしようが、その観察をお聞かせ願いたいと思うのです。
#160
○参考人(更級学君) 御尤もなお話と存じまするが、結局先ほどもお話がございましたように、協同組合の運動に魂を入れて協同組合運動の推進を図り、今後の協同組合運動をできるだけ農民のために運動を推進するという運動が、この再建整備促進運動だと私は思つております。又、この再建整備促進運動によりまして、我々が従来心配している問題が、全部解消されて、先生のお述べになるような、立派な協同組合運動がそこで生れて来る。生れて来なくちやならん。我々はそういう生れて来るべき期待を持ちまして、この協同組合運動を進めておると、自信を持つているのであります。
 又、その事業の運営につきましては、審議方針におきましても、協同組合運動として、できるだけ農民のためになる、又協同組合自身も安定した経営をやつて行くということを基本とした審議方針に進んでいるのであります。この審議方針に則つて進めて行くことによりまして、今後の協同組合運動というものが、洋々たる前途を見出し得るのじやないか。こういうふうに私は考えているのであります。
#161
○清澤俊英君 ほんの僅かです。今、江田君と戸叶君の質問がありましたが、それに関連してですが、地方の県信連ですね、御指導なさる場合、整理事業等について、まあ整理組合というようなものについて、実際に人間を、まあ、信用組合から人を入れているのですが、そうして整理している組合が、幾つも実例があるのです。どこの何の何組合が、こういうことをやつている。こういうことを申上げ得る例を幾つも持つている。私はそういうことに対して、中央のあなたがたとしては、どういう常に御指導をなさつているか。これをちよつとお伺いしておきたい。
#162
○参考人(更級学君) これは各県でも、例のドツジ・ラインのあとの、非常に協同組合が資金的に窮迫いたしましたときに、その指導をするために、各地方に経営対策協議会というものができまして、そうして協同組合の経営のために、できるだけその対策協議会が面倒を見まして、協同組合の経営の安定を図るというようなことになりまして、各地にそういう協議会自体が人的機構を持ちまして、不振の組合に人を派遣いたします。そうしてその組合を指導する。こういうふうにやつている県がたくさんあります。それが今度そのあとで、再建整備というものに乗つかつて、移り変つていると存じますが、現在でも、まだ経営対策協議会というものはございます。その経営対策協議会の職員が、地方の組合に出まして、その組合の指導をするというようなことをやつて、組合の事業の安定と言いますか、事業が間違いないように行われるようにする。而もそれに関連いたしまして、信連のほうとしましても、資金の融通を円滑にやつて行く。組合の信用を維持する。こういうことをやつているものがたくさんあります。
#163
○清澤俊英君 私は耳が悪いから、あなたの言うことは、よう意味はわかりませんが、そうじやないと、こう思うのです。
 指導をするのでなく、現に資金を融通する場合に、或いは会計を入れることを条件にしてやるとか、或いは会計以上の人を差し替えることを条件にして、これを融資している。こういう場合が多い。それを言うのです。指導じやない。
#164
○参考人(更級学君) これは県の信連がそういうことをおやりになつている……。
#165
○清澤俊英君 そうです。県連がやつているか、県連会長がやつているか、それはわかりません。個人の考え方でやつているかわかりません。県連の方針であるか、県連会長の方針であるか、ということは確かめておりませんが、外郭から見れば、そういう事実が行われている融資組合が幾つもある。こういうことを申上げている。
 それはどういうふうにお考えになつているか。
#166
○参考人(更級学君) どういうふうに考えるかと申しますと……。
#167
○清澤俊英君 それはどうも違法ならば違法だ。そういうことをやることはいかんならばいかんと思う。或いはどうとかいう、あなたのお考えをお聞きしておきたい。私わからんのだから。
#168
○参考人(更級学君) これは私、よく信連がおやりになつていることですから、どういう関係でおやりになつておるかよくわかりませんが、恐らくはそういうことがございますれば、やはり組合のかたがたとよく御相談になつておやりになつていることだと存じまするが。
#169
○清澤俊英君 そこですよ。組合のかたがたと御相談になるというが、実際の問題として相談になるかならんかということなんだ。金を借りて生きようとするとき、まあまあと言うて、眼をぱちぱちすれば、思うようになるだろうと思うのだ。それを相談して行くという考え方は、誠に私は納得ができない。成るほど合法的にそれは協議をもつて、このあと、するに当つて、どうも今までの役員が、だらしがなかつたからこれを代えようじやないかということにはなるでありましよう。真実において、そういう形のものが幾つも出るとしたならば、悪く言うならば、県信連の組合長の地位を利用して、あらゆる産業組合から経営の事業を全部を独占するということを言われても差支えない形が出ている。こういうものが出た場合にどうだというのです。相談するということを言われるが、相談ということは、実質においては相談は、金の問題は、わしよりあなたのほうがよう御存じで、金のことはわしは借りたこともなければ、貸せることもない。私どもは、そういうものはあまり知りません。知らないけれども、あなたのほうが、よく一番御存じだと思いますが、これは相談なんていうことは問題にならんと思います。
#170
○参考人(更級学君) そういうふうに、信連というものは普通の銀行と違いまして、これはやはり単位の組合のお作りになつた協同組合と言いますか、民主的な団体であります。その信連とお話のようにできたはいいが、お話のように信連が組合を独占的に支配するというようなことはあり得ないことじやないかと私は思いますが、如何なものでございましようか。
#171
○清澤俊英君 これはあまり議論しておりましても、結論出ませんから簡単に申上げますが、お伺いしてみたいと思いますことは、そういう形の出ることは、非常に中央の農林金庫の中央においては好ましい形ではないと考えておられると、こういうふうに説明してもよろしいのですか。私はそうとつてもよろしいですか。あなたのお考え方を、指導してよくさして、そうして人が悪いならば他のところから、別のところから、全然関係のないところから持つて来てやることは、又これも一つの方法だろうと思うが、直属の自分の身内からこれを入れて、自分の思うようになつて来るものへ付与して、現にやつているのですから、そういうようなことをすることは好ましい形でない。こういうお考えだと、こう説明しても、受取つても、よろしうございますか。
#172
○参考人(更級学君) これは、私は一概に好ましいとか好ましくないとかいうことはちよつと申上げられないので、実際の具体的な問題をお伺いしなければ、勿論そういう金融機関の、そういうこともあり得るでありましようし、それが非常に無理な点があつてはいかんと思います。実際問題として、まあどういう状態において、そういうことが起つたかということを伺わないと、一般には申上げかねると思います。
#173
○清澤俊英君 それじや、場合によつては差支えないと、こう考えておられるのか。
#174
○参考人(更級学君) 場合によつて、そういうことも出て来ると思います。
#175
○清澤俊英君 自分の、どうしても都合のいい人を入れなければいかんという場合がある。
#176
○参考人(更級学君) どうしてもというのが、その点は、実際上の問題でありますので、その組合が非常に困窮しておる場合に、その組合の立直しのためには、やはりその協同組合運動として、自分のところの職員を派遣をして、協同組合を扶けてやるということが、これが信連なり、地方銀行におきましても、そういうことがありますれば、人を差上げまして、そうして組合なり、連合会なりの育成を図つて行くということは、これは一つ組合運動の使命じやないかと思います。無理があつちやいけませんよ。お話のように普通の金融機関が無理やりに人を差し替えるというようなことはいけませんけれども、協同組合運動としては、皆これは、單位組合にしても、地方銀行にしても、皆同じですよ。これは大体、金融は一体なんですよ。それは一体ですよ。どこから人が行つても。それは無理があつちやいけませんよ。無理があつちやいけませんけれども、上の団体として、下の団体が困つているならば助けてやるということは、これは私は親心だと思う。
#177
○清澤俊英君 まだ少し私は説明が足らないのです。協同組合内で人を差し替えるのじやなくて、自分はこつちのほうで個人の仕事をしているのだ。個人の仕事をやつている。村長の仕事もやつている。役場委員も差向ける。自分の番頭を差向ける。こうなれば組合内から出すのじやないのだ。そういうものをほうぼうへ作つてしまつたら、これはどうなる。
 甲の組合に適当なる人があるから、その人間を乙の組合に持つて来るならば、私は問題にしておらない。自分は信連の会長であるが、家へ帰れば何々製造株式会長の社長さんである。同時に何々村の村長さんでもある。それがそういう融資を信連と通じて出しますとき、役場の会計なり何なりをここへ入れる。酒屋の番頭をここへ入れる。こうなりましたら、これはどうだと、こういうことになるのです。組合内の融通じやありませんと、こういうのです。
#178
○参考人(更級学君) どうもちよつと、私は監督官庁の立場にあるのじやありませんので、何とも申上げ兼ねますが、何かそういうことをたくさんやるということは、面白くないと思いますけれども、それは監督官庁のほうの御意見のほうがいいと思いますが……。
#179
○清澤俊英君 おかしいと思うのですよ。こんなことは、簡単にあなたであれができるだろうと思う。普通にそういうものがあつたとすれば、若し仮にあなたが、これがいかないということになれば、私は相談して、はつきりしたものを持つて来る。そういうやり方はいけないのだからというような形で、あなたのところへ持込もうと実は思つている。ところが持込んでみたが、それは当り前じやないかということになつたら、こつぱずかしい恥を掻くくらいだから、まあ黙つていたほうがいいと、口を出さんほうがいいと、こう思つてお伺いしているのです。
#180
○参考人(更級学君) どうも非常に困りました。
#181
○清澤俊英君 困ることはありません。それは始めからわかつている。
#182
○参考人(更級学君) 先ほど来清澤先生から、我々のほうの出先があちこちでいろいろなことを申上げて、お叱りをこうむつております。で、そういう人事問題に関しましては、私といたしましては、余りそういう具体的な問題を捕まえられて御質問がありましても、どうもちよつと何とも申上げかねるのじやないかと思いますが、又これはお叱りをこうむることになるのじやないかと思います。あとで……。(笑声、「禅問答だよ」と呼ぶ者あり)
#183
○清澤俊英君 私は少くとも中金が……、そういう問題に対して、先ほども江田君が問題にしていた。又現実の金融を行う場合においてのそういう問題に対しては、社会問題として大問題が起きております。そういう問題に対して、常にどうあるべきかというくらいの基本のことをお考えにならんければ、そんなものはどうにもならないと思う。今更どうあるかというような……、ごま化しのような人事をやつてもいいというのと同じことだと思うのです。そのことは私はやはり納得できないと思いますが、この点はどうなつておりますか。
#184
○理事(宮本邦彦君) 清澤委員に申上げますが、更級理事のお答えは大体二、三回同じようなお答えでございますが、これに農林省の経済局長もおられ、農業協同組合部長もおられますから、そちらのほうの御意見を……。
#185
○清澤俊英君 ええ、まあ三人から全部聞きましよう。(笑声)
#186
○政府委員(小倉武一君) お尋ねの点、ちよつと聞き洩らした点があるかも存じませんが、お尋ねの趣旨は、信連が単協の人事に立入つておる。こういう場合の妥当性についての問題だと存ずるのでありますが、これは私は、この信連がどういう場合に、どういう方法で立入つたかによつて、非常に事情が違うと思うのです。従いまして一概に善い悪いは申上げかねると思います。例えば単協のほうで適当な経営者、事務職員がいないということで、信連に斡旋を頼む。こういうことがあると思うのです。そういう場合に、然るべく斡旋をする。これをどうこうというふうに私どもが申すというわけには参らんと思います。ところが逆に今度は、信連のほうが金を貸している関係もある。なかなか金が、借金が返らぬと、こういう場合に、いろいろ単協の経営上の指導をやろうと思うのでありまするが、その場合に、人間についてもいろいろ意見を言うこともあろうかと思います。意見を言う程度であれば、これもそう咎め立てるというわけにも、これ参らんのじやないかと存ずるのでありますが、ただ余りにも、この単協の自主性を阻碍し、又この役員……、殊に役員の問題なんかになりますると、これは選挙によつてなるかたでございますから、農民の自由な選挙を妨げる。こういうことでございますれば、これは妥当でない。こういうことだろうと存ずるのであります。
#187
○清澤俊英君 ちよつとあれなんです。そういう選挙などで役員などを替えているのじやない。実際事務を担当している会計の、この根本であるとか、或いは事業を行なつている工場の一番大事なものは実権、実際的に権力を握る。そういうところへ事務員をこう差入れておる。それがぴたりとこうやつておるのです。こういう形が出ている。これでもできるのですよ。それでちやんと自分はうしろに隠れていて、全部を抑えて行かれる。これは全部自分の子飼いの子分だ。大体は事業協同組合のようなものの扱いをする場合に、それが条件でなければ金を廻さぬ、こういう実態が出て来ている。それは協議で、どうもお前は不適任だというので、いかんかつたから、そういうふうになつたのだろうと言われれば、それだけの話だけれども、それは実際協議じやない。金さえあれば、地方銀行からでも何でも貸しておるのだから、金さえ出れば何とかやつて行けるのだ。それを出さないで、そういうものが無理々々飛び込んで来るということになつたら、これはおかしなものができ上る。これを聞いているのです。
 全く私は不当のものであると思う。私はそう思つている。
#188
○政府委員(小倉武一君) お話を承わつただけでは、ここで結論的にどうこうということを申上げることは甚だむずかしいのでございますが、結局不当にやつたかどうかということです。清澤先生は不当にやつたと、こういうことでございますから、それが事実でございますならば、私も不当だと言わざるを得ないのでありまして、やり方をどういうふうにやつたかというような、程度の問題に結局なると思うのでございますので、よく具体的な事実をお知らせ願うなり、或いは場所でもお知らせ願えれば、私どもで調査するなりして、判断しなければならんことではないか。かように存ずるのであります。
#189
○清澤俊英君 近く、それなら経済局長の手許だけに出します。
#190
○理事(宮本邦彦君) ほかに更級委員に御質問ございませんか。
#191
○野溝勝君 私この際、中金の名理事、更級さんに二、三お伺いいたします。
 この農業協同組合は、御承知の通り昭和二十二年、不肖農林委員長のときに成立した法案でございます。で私は、生産協同組合というような意思で以て努力して参つたのでございますが、なかなかそうは行きませんでした。かような変形的なものができたんでございますが、これはともかくといたしまして、この農業協同組合の精神、目的は、この法文を見ても明確になつております通り、農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図る。こういうことが目的でございます。そこで、この目的を達するために農業協同組合が生まれ、且つ又努力をしておるのでありましようが、最近一万有余の農業協同組合が中気のようになつてしまつて、みんな半身不随の状態に大体なつておるわけなんです。
 そこで、先般来農業協同組合を何とかしなければいかんということで、再建整備法というものができたわけなんです。で、私どもは、これには非常な熱意を示して、大蔵委員会でございましたか、金融的処置、財政的処置に対する協力をしたつもりでございます。そこでさようなものができて、その後どうかということで暫く見守つておりましたところが、今回、今回と言いますか、又整備促進法というものができました。これが又うまく行かんというと、その次は何が出る。その次は促促促進法というものができるということにならざるを得ない。それで私は、この再建整備法を見ても、整備促進法を見てもですね、どうも先ほど清澤、戸叶或いは江田さんたちが、いろいろ心配して質問しておるごとき結果を来たすのではないかと私は思うのですが、この点私どもは、嫌味で言うのでなくて、真剣に考えておるのです。
 そこで、又この整備促進法が議員提出で一部改正法が出されておるのでございますが、このことにつきましては、議員提出の代表者である足立さんから聞くことにいたしまして、とりあえずこの農業協同組合の目的を達する、その目的のうち、且つ又その事業のうち、資金面におきましては、何としても農林中金が扱つておるわけなんです。そこで、一体農林中金は、再建整備法ができて以来、その整備法に副つてやつて来たのであるけれども、その目的を達し得たかどうかということにつきまして、当面の責任理事でありまする更級さんに一応その間の経緯を一つお承わりしたいと存じます。
#192
○参考人(更級学君) 前回の再建整備の進め方と、今回の促進法の建前から進めておりまするいわゆる再建整備の五カ年計画というのは、先ほど来私が申上げておりますように、行き方に違いがございます。前回は、この再建整備に関しましては、金融機関といたしましては、直接……、まあ間接には、いろいろ連合会は組合の経営の動き方、或いは再建整備計画の作成につきましては参画いたしましたけれども、現在の整備促進のように、この経営の運営の方針なり、或いは責任体制の問題とか、いろいろなことにつきまして、直接いろいろ参画することはなかつたわけです。でありますから、折角再建整備ができましても、或いは先ほど戸叶先生のお話のような資金の融通が十分でなかつた面もあつたじやないか。こう考えております。併しまあ、いろいろな客観的な情勢なり、或いは従来のやり方に、或る程度の不行届がございましたが、なかなか再建の計画がスムーズに行かないということで、今回整備促進法ができましたような次第でございます。
 ところが、今度の整備促進の行き方につきましては、只今お話がございましたように、第三条によりまして、金融機関がその整備計画について協議を受ける。こういう形になつております。これはやはり金融機関がその事業の運営に、或いは運営の方針なり、運営の仕方につきましての計画に指導を加えまして、今後の金融につきましても、十分なる協力体制を立てて行く。それでこの再建整備促進の計画の進行が円滑に行くように金融機関も協力せいというのが、この法律の建前ではないかというように考えております。我々のほうといたしましても、先ほども申上げますように、金庫の内部に整備促進部を作りまして、これがもつぱらその整備促進の仕事に専念いたしまして、殆んど毎日地方へ出まして、地方の連合会のかたがた、或いは協同組合のかたがたと御懇談申上げまして、県の連合会の整備促進を同時に進めて行く。それには、こういう考え方、整備促進の方針を持つておるから、こういう方針で一つ皆さんのほうでも協力してもらいたいということを申上げまして、逐次その体制が盛り上りまして、だんだん進行しておる状態であります。
#193
○野溝勝君 再建整備法は、直接金融にタツチ、関係をすることは規定されておらない。今度の整備促進法には、第三条第三項に規定されておるから、これから直接事業に対して見解を披瀝し、何することができるということでございまするが、それは少し見解に私は無理がありはせんかと思う。成るほど明確にはなつたか知れませんよ。今までの協同組合法の精神なり、再建整備法におきましても、決して農林中金、金融機関が組合の事業並びに再建にですよ、何ら意見を差挾むことができないとか、或いは挾んでいかんとかいうことはないと思うのです。それは再建の上に、特に金融機関としては、組合の金融機関としては農林中金でございますから、その農林中金、これは農林中金だけでなく、私は金融機関が如何に事業の上に支配性を持つておるか。こういうことはおわかりであると思う。いわんや農林金融の唯一の機関でありまする農林中金が、今日まで農民金融に非常な支配性を持つて来たことは事実でございます。でありますから。
   〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席〕
特に今回、この促進法ができたために、今後十分なる注意ができるということを言いますが、今の日本の経済、更に農業の経済の事情、更には今回日本の昭和二十九年度の予算の事情、特に農林関係における予算の縮小の状態、こういうことを見て来ますると、あなたのほうは、政府が支配できないような、政府の意見がかからんほどの独占金融機関ではないのでございます。言わば政府の下請機関みたいな状態になつておる。ですから、一体金融の措置をするといつても、オペレーシヨンをするといつても、その範囲がきまつておるわけです。そのきまつておる金融機関が、この整備促進法第三条によつて今後金融上の関係なり措置ができるといたしましても、私はやはり限界があると思う。そうしてみますれば、余りに期待を持つたようなことは絶対私はできないと思うのです。実際問題として。してみますれば、今までと私は余り大差がないと思うのですが、それを第三条第三項に規定してあるから、これからは非常に金融上に対して十分なる関係が持てると言いますが、それでは、今まで持つていなかつたかということを聞きたいのでありますが、そういう点に対して、私はこの際、どういうところが一体大きな特徴かという点をあなたからお聞かせ願いたいと思います。
#194
○参考人(更級学君) 実はこの前の再建整備には、お話のように、促進法の三条には金融機関と協議すべしという条項はございません。でありますから先生がお話のように、実際上金庫自体、或いは信連は皆させておりますが、金庫自体は、全部の経済連に金融しておりません。県によりまして、信連がその金融を賄つております。私どもの賄つておらない経済連があるのであります。そのほうがむしろ多いのではないかと思います。でありますから経済連で信連が金を賄つております。結局金庫は、経済連に金を貸していない。そういう経済連が相当あります。そういうときには、金を貸していないものには、私どものほうでは、幾ら何でもそう嘴を入れるわけには行かない。でありますから信連のほうとしては相当お話合いがありましても、金庫のほうではお話合いがなくて、再建整備が進んでおつた。金を貸しておりませんから、そこに入り込む余地がないのです。それが多いのです。東北方面の信連の資金のない面には、直接経済連が貸しております。その方面には、相当或る程度の協議なり御連絡を申上げて、その促進のほうを、再建整備計画を一応拝見しておりますが、資金の貸出せない方面に対しては、それができないわけであります。資金の貸出せないものに対しては、経済連に対しては、私どもは手の加えようがないのです。ところが今度の再建整備法によりますと、金が貸してなくても、金融機関に協議すべしとありますから、私どもに協議しなければならない。それだけ私のほうが金の貸していない経済連に対しても、何といいますか、意見を吐くことができる。それだけ違うというのが大きな点であります。
#195
○野溝勝君 そうすると今まで貸付金融を行なつた信連、それから行なつていない経済連ですか、それはどういうふうな全国的な関係になつているか。それを一つお知らせ願いたい。例えば信連にあなたのほうから貸付てある。それから先ほど言つた通り貸付ていない経済連がありますね、そういうのはどういうところですか。資料があつたらお知らせ願いたい。
#196
○参考人(更級学君) 今手許に持つておりませんが……。
#197
○野溝勝君 それでは後刻お知らせ願いたい。
 次に更級さんにお伺いして置くのでありますが、これはこの協同組合法の精神から見ても、組合員に貸付をすることが原則であります。組合員外に貸せるということは、これは原則ではないわけですね。この事業の中の第二項、第三項のところに組合員外のものに貸付ることも書いてありますが、原則としては組合員に貸付る。ところが今日単位農協にいたしましても、或いは県の単位にいたしましても、非常に農協は経済的に行詰りまして、私の手許にある調査資料だけによつても、一万有余の農協が半分以上は実際赤字の状態なんです。どこの組合も……。こういう状態のときに、むしろ金融を非常に願つているにかかわらず、この組合がかような赤字に溺れて困つているときに、その組合のかたに対する資金の融通を抑えて組合員外のものに資金の融通をするとしたならば、これは農林中金としては誤つていると思うのでありますが、かようなことに対する一応大筋としての見解を承つておきたい。私の見解が誤つているか。私の見解が正しいかということについて一つお伺いしたい。
#198
○参考人(更級学君) それは、單位組合のことでございますか、中央金庫のことでございますか。
#199
○野溝勝君 どちらもです。どちらにも関係がありますよ。この精神からいつて、私の言う精神は、法律論から言つているから正しいと思うのであります。
#200
○参考人(更級学君) それは御尤もであります。我々協同組合といたしまして、協同組合は組合員が作り、組合員のためのものでありますから、組合員に第一義的にすべきであつて、併し或いは金の余裕のある場合には、そういう仕事ができるならば、まあやり得ることになつておりますから、やることは差支えないとは思いますけれども、成るべくなら、そういうことはしないほうがいいと思います。
#201
○野溝勝君 私はものを引掛けようという意味で聞いているのではないのでありますから、ざつくばらんに申上げるのですが、それは私の見解が正しいのでして、あなたは非常にそこにデリケートな、何と申しますか表現を用いておりますが、当事者としてはその点、もつとすつきりしてもらいたいと思うのでありますが、と申しますのは、一体余裕があればというけれども、今も私は話しましたけれども、一万有余の農協団体の中で、完全にやつているという農協は少いのですよ、実際問題として……。これは私はお互い農民の立場から嘆かわしいことだと思うのです。併しこれは、日本の政治支配というものを我々農民の犠牲においてやつて来ているのでありますから、農民団体の指導者のみが悪いというのじやないのです。むしろ私は政府に大きな憤激と不満を持つている。これは別問題です。併し、だからといつて私は、法の精神を歪曲しては相成らんと思うのであります。私の考えは、そこで、今の日本の農民の経済の状態がそういう状態になつているときに、特に金融面におきましては、唯一の農林金融でさへもほかの金融機関とは違うのです。零細なんですよ、日本の政府の資金の援助というものは……。これを融資を受けんとする対象は大勢です。その対象となつたところの資金というものは零細なんです。そこに私は大きな矛盾があると思うのであります。でありますから、そういう矛盾の中にあつて、余裕のあるということは、なかなかあり得べきものじやないと思うのであります。ところが余裕があればというようなことを言われておりますが、そんなものじやないと思うのであります。
 そこで、こういうことが起つて、本年の二月、大きな問題になつたことを、更級さんも御存じだと思うのですが、それは長野県の信連におきまして、松本市の製紙工場に一千何百万円かの融資をしたのでございます。これは組合員じやないのでございます。そこで問題を起しまして告訴沙汰になつて、遂にその団体の責任者は辞めちやつた。で、一方営農資金などについて十五万円一戸当り貸してくれると思つたのが、わずか二、三万円でうつちやられている。こういう状態の中の農民でございますから、この事実を聞いて、非常な憤激で問題を起しているのであります。そこで私は、かようなことは大きく今後の農民指導に影響を持ちますので、この点を明らかにしておきたいと思いまして、小倉経済局長その他の各機関に反省と猛省を促す、乃至はさようなことに対する処置を即時とれということを要望して来たのであります。そういう状態があるのでございます。現に中金では、すでに御承知のことです。その後その問題に対する取扱かたに対して、今までの公の席上で明らかになつたことがありませんので、この際ここにおきまして、その問題の経緯並びに今後の処理等に対する見解を一つ伺つておきたいと思うのです。
 それをまあ筋を話してくれないというのなら、この問題の、整備促進に関する一部改正の法律案は、私は留保することにいたしますから、若しそのことに対して、深くあなたを追及しようとは思いません。ただ筋だけをここで話してくれないことには、この法案の審議に非常に支障を来たしますから。
#202
○委員長(片柳眞吉君) 野溝さん、参考人に対する御質問は、まだ大分ございましようか、しばしばおいで頂いておりますので……。
#203
○野溝勝君 それはいかんよ。そんなことを言うときかないよ。私は今日初めて質問をしているのですから、明らかに結論を出さなければ困る。
#204
○委員長(片柳眞吉君) 質問を押える気持はございませんが、大分御多用ということで、一番初めにお話頂いたのでありますから、今の御質問で大体終るのですか。
#205
○野溝勝君 大体終ります。
#206
○参考人(更級学君) その経緯と申しますと、私は今向うのほうの現地のことはよく存じませんが、金庫として取扱つた経緯でございますか。
#207
○野溝勝君 金庫として取扱つた経緯ですが、一応長野県に起つた問題については、あなたのほうとしては、親金融機関としての責任があるわけです。それに対する一応向うからの諮問があつて、その諮問に答えたわけです。それに対して、再度穴埋めをどういうふうに解決しようとしておるのかということを一つお聞きしたいのです。ざつくばらんに言つて下さい。
#208
○参考人(更級学君) 何もかくすことはありません。私もざつくばらんに申上げます。
 あれは、一応まあ問題になりまして、そうして信連のほうから出ておりますものを、私のほうで一応してもらいたいという意見がございました。話はございましたわけでございます。経緯はちよつとはつきりしませんが、勿論こういう経緯がございました。松本製糸からは、昨年の暮に私のほうに金融の希望がございました。金を出してもらいたいという話がございましたが、私のほうとしましては、最初の取引であるので、できるならば銀行保証を出してもらいたい。そういうことを言つておいた。言つておきましたが、なかなか銀行保証がとれなかつたらしいのですが、そのままになつておつた。その間に御承知のような、ああいうような問題になりまして、その前に、私のほうに対しましても、何とか金融の途がないものだろうかという話がございまして、私のほうで一応あの会社を調べに行つたことがございます。調べますと、あの会社は割合内容も良いようだし、担保もあるようだから、何とか金融の途をつけていいじやないかという話もあつたのじやないかと思つておりますが、又会社の内容も、非常に良いようでありますから、出してもどうであろうかというような話があつたときに、あの問題が起つて来た。それで信連としまして、まあ非常に形が悪いものですから、信連のほうを回収したいという話がございまして、私のほうでは、近く会社のほうでもほかのほうから金融がつくかも知れないとか、つくであろうというような話がございましたので、とにかく信連としまして、ああいう形では甚だおもしろくない。我々といたしましても、成るべくそういう形を早く整理するのが適当じやないかというふうに考えまして、私のほうから会社に金融いたしまして、信連のほうは回収された。私のほうも、ほどなく会社のほうから回収いたしまして、今は貸しはございません。全部回収いたしました。
#209
○野溝勝君 回収したのですか。
#210
○参考人(更級学君) しました。
#211
○野溝勝君 額はどのくらいですか。
#212
○参考人(更級学君) 一千万円です。
#213
○野溝勝君 そうすると、その回収はいつされたのですか。
#214
○参考人(更級学君) 昨年三月中に回収したと思います。
#215
○野溝勝君 三月中でしよう。問題の起つたのは二月で、問題の起つたあとで回収したのですね。
#216
○参考人(更級学君) そうです。
#217
○野溝勝君 だんだんと明らかになつて参りましたのですが、結局今もお話の通り、これは会社は大丈夫だ、内容がいいということで融通をするということでは、この中金の精神に反すると思うのですね。そういう点については、私は無理に追及しようとはいたしませんが、十分私は御留意を願いたいと思う。これは更級さん個人を責めるわけではありません。そんな意味でやつておるわけではさらさらないのです。
 そこでこのことは、とにかく農民には今申しました通り営農資金ですら事欠いておるときでございますから、これが非常に影響を起したことでありますから、特にこの問題は、日本農民組合の大会におきましても、大きく取上げられまして、遂に大会の決議になつたようなことでございますので、これ以上私は言いませんが、こういうことから、とんでもない中金或いは信連に対して、誤解を起して参りますから、この点は聡明な更級さんにおきましては、特に中金については十分な御留意を願わないと、今後再建整備に当つて協力しようと思いましても、こういうことがありますと、我々はそれこそ農協の民主化を徹底的にしなければならない。それが又当然であると思います。こういうところから、農協のボス性、反動性ということを言われて参りますので、十分御留意願いたいと、こう思つております。
 いろいろありますけれども、更級さんが非常にざつくばらんに経緯を話されましたので、更級さんに対する質問はこの程度で、委員長から御注意もありましたので、この点でやめておきます。
#218
○委員長(片柳眞吉君) 参考人に対する御質問はありませんか。……長時間どうも有難うございました。
 発議者を代表して、衆議院議員の足立さんと小枝さんが出ておりますが、御質問があれば……。
#219
○江田三郎君 この間私は、この改正案を審議するのに資料がなくてはわからない。こういうことを申上げまして、今日この資料を出して頂きましたが、これは政府からお出しになつたのですか。
#220
○衆議院議員(小枝一雄君) それは私から申上げますが、それは政府のほうではございませんが、委員部のほうで取寄せてまして、丁度衆議院の委員会で審議するときに参考資料に使いましたので、昨日申しましたように、衆議院の委員会で、審議したときに、取寄せた程度の資料ということで、それをお配りしましたようなわけでございます。
#221
○江田三郎君 政府のほうではこういう資料はございませんか。
#222
○政府委員(小倉武一君) 丁度これに相当するようなものはございません。これは恐らく信連の協会がございまするので、この協会が信連に照会して作つたものだろうと思います。従いまして政府がつくるといたしましても、ほぼ同じようなものができはしないかと思います。
#223
○江田三郎君 何もその、信連の協会を信用しないというわけでございませんので、信用という字がついておるのでございますから信用しますけれども、政府のほうからも、やはりお出しして貰いたいと思うのでして、どうもここに資料が出て来ると、ここで墨で消してわざわざ数字を不明確にしたのじやないかというような感じを受けた。それから片方の資料を見るというと、二十七年三月三十一日現在、今をさること二年有余の前の数字が出て来て、その後経済界はいろいろ変動しているはずで、一体これでどういうことになるのか、提案者のほうに、一つ提案者のほうで、この資料を適切とお認めになつていらつしやるのでしたから、これによりまして御説明を頂きたい。私ども、どうも再建整備のやつは非常に複雑でございますからして、なかなかしろうとわかりがしないわけでありますから、これに基きまして御説明をお願いしたいし、又政府のほうで、この資料というものをどういうふうに見ておるのか。勿論政府のことでありますからして、再建整備については、重大な仕事でありますから、いつもきちんとおやりになつていると思うので、恐らく二十七年三月三十一日現在というような資料でなしに、その後のこともおわかりになつておるはずである。若しその後のことがわからないのだというようなことでは、再建整備促進とは一体何ぞや、再建整備促進法一部改正するということは一体何ぞや、何が何であつてもかまわない。こと農協に関する限りは、何でもかんでも援助さえすればいいのだ。こういうようなことになるのでもなかろうと思いますので、一つこれについて御説明をお願いしたいと思います。
#224
○衆議院議員(足立篤郎君) 江田委員から、資料の日附が古いというお叱りを受けましたが、今回法案を出しました趣旨も十分おわかりの通り、整理のために凍結されておりますので、これの整理を促進するために、特に農協については再建整備途上にもありますので、これを急速に促進いたしたいということで、資金調整法との関係もありますので、これを切離して、農協だけ速かに促進したいという趣旨のものでございます。従つて資料も何といいますか、凍結状態にありますので、確定した時期が古いというふうに私は理解をしておつたのでございます。なおこの点は、農林省の事務当局から詳しく説明をして貰いたいと思いますので、御了承頂きたいと思います。
#225
○江田三郎君 これは何しろ、予算にも関係することでして、恐らくまあこれについては、政府としては農林省だけでなしに、大蔵省でも意見があると思うのでして、その法案はきまつたけれども、あとになつて、何かごたごたして来るということでも困りますので、やはりこの点根本になることですから、政府のほうで御説明頂ければ、今足立さんのおつしやつたように一つして頂きたいと思います。
#226
○説明員(谷垣專一君) これは政府のほうから提出いたした資料がございませんけれども、現在の調整勘定の責任を以てやつております分が信連になつております。そういう関係から、先ほど小倉局長から御答弁申しましたように、政府のほうから調べるといたしましても、信連のほうに照会をするという順序になるだろうと思います。そういう意味で、この資料を私たちのほうから見まして御説明をいたします。
 最初に都道府県農業会の金融機関再建整備法による最終処理状況調であります。二十八年十二月末現在になつております。これは御存じの通りに金融機関再建整備法によりまして、この最終処理をいたしまする場合に、いろいろなものの債務の整理をいたしましたり、それから出資金額を或る程度以上のものを整理するというようなことが出ております。金融機関再建整備法第二十四条に規定いたしてありまするそういうやり方で整理をいたしましてできましたのは、この整理債務切捨額、指定債務切捨額、出資金切捨額、二十四条に基きましての整理のやり方の数字でございます。こういう恰好にいたしまして赤字になりましたので、やはり金融機関再建整備法に基きまして、政府が補償をいたしたのであります。これが下の数字を見て頂けばわかると思いますが、総合計二十五億の政府からの補償になつております。こういう状況になつておるのであります。
 こういう恰好で新旧勘定をその後合併いたしまして、調整勘定になつたわけでございますが、その間、その中で、例えば行政庁の許可等を得まして処分したものが若干ございます。そういうようなこと等によりまして、利益金として二十八年十二月末現在にここに、下に挙げております三億二千九百万、こういうことが調整勘定のプラスとして出ておる。こういうことであります。
#227
○江田三郎君 下の表の見方も一つ教えて下さい。素人わかりでややこしいのですが……。
#228
○説明員(谷垣專一君) その次が単位農協の調整勘定調になつておりましようか。これも、今申しましたようにちよつと私のと資料が違うのじやないかと思いますが……。単位農協のやつも、これも単位農協の中で調整勘定を持つておるものがございますが、県連以外に……。この単位農協のほうの調整勘定の、二十八年三月末現在におきまする状況を示しております。これは差引の利益というところで損失金が八千万円、こういうことであります。
 それからその次、附随して出ておると思うのですが、それから、先ほどの全国都道府県信連調整勘定損益見込額明細表、それになりましようか。
#229
○江田三郎君 その下に農業協同組合連合会の引継いだ仮払金の赤字及び都道府県農業会の清算損失金調というのがあります。
#230
○説明員(谷垣專一君) これは、先ほどの単協に対応いたしまする協同組合の、つまり県単位の状況でございます。そこでこれは農業会の清算収支旧勘定の問題を、二カ年かかつて清算いたしております。その際に、約八億の赤字を出した。こういう勘定になります。このバランスを結局、新旧両勘定とんとんという恰好になつて出て参るわけになりますので、新勘定のほうの、いわば評価をそれだけ殖やした恰好でバランスをとらして行く。こういう恰好になつております。勿論旧勘定のほうのマイナスの政府二十五億の補償を入れましても、そういうことになる。こういうふうに了解しております。仮払の問題も清算中二カ年の間にいろいろ清算費が出て参りまして、清算の雑費費用が出て参ります。そういう勘定でございます。
 それからその次が、恐らく全国都道府県信連調整勘定損益見込額明細表かとも思いますが、これは先ほど御指摘になりました二十七年三月三十一日現在になつておるかと思いますわけであります。これは実はこの頃に大蔵省等が金融機関再建整備の処理状況等を調べる必要がございまして、私たちのほうにも連絡があつたのですが、役所から直接調べますと、いろいろ評価等で問題がある。いろいろな調査等が思惑のもとになつてはまずいということがございまして、そのときに信連等からの書類を参考のために金融機関を通じて信連の連合の協会を通じまして調べた数字がここにございます。これは当時の帳簿価格、それの事情でございまして帳簿価格と次の整理見込額、整理見込額というのは当時の処分をいたしました場合にどの程度の価格になるであろうか。こういう見込の数字であります。それが二番目でございます。
 三番目のは、従いましてその当初の帳簿価格と整理見込額との要するに予想になるわけであります。それの差引の表になつております。
 それで第四表は、この問題を考えます場合に参考になつて出て来るわけでありますが、新旧の勘定を合併いたしましたいわゆる二十三年三月末だつたと思いまするが、そのときの評価等の旧勘定の計算と、それと今申しまする整理を、整理と申しますか、先ほどの二表にありますような売払等の整理をやりました場合において、どのぐらいの差があるか。こういうのを参考に付けた。こういう表だと思います。従いまして御指摘の二十七年三月末では、少し古いではないか。少し時間が前過ぎて、もつと最近の二十九年三月末なり何なりにおける評価と、それから処理見込、こういうようなものが必要だ。こういうような御要求もちよつとございましたけれども、これはその点が二十九年、つまり最近のやつは、まだ出ていない。こういうことになつております。
#231
○江田三郎君 そこで、今の全国都道府県云々というこのほうと、それから最初に説明された都道府県の農業会の金融機関再建整備法による最終処理の状況、これとの関連は一体どうなるのですか。
#232
○説明員(谷垣專一君) これは御承知の通りに、旧農業会の資産そのものは旧勘定という恰好になつておりまして、調整勘定の場合は、旧勘定、新勘定を合併いたしましたその後におけるいろいろな収支の状況の変化というような調整関係であります。それの状況になつて出ているのであります。前のは農業会の資産の最終処理のいはゆる旧勘定ということになりますが、その最終処理の状況をお示ししてある。こういうことなんであります。
#233
○江田三郎君 これはあとで、どうせ遅れますから、そのときにいずれやりますけれども、ちよつと僕自身ももう少し勉強せんと、どうも合点の行かん点がありますから……。
 そこで提案者にお尋ねをするわけですが、これは適宜事務当局のほうからお答え願つてもいいのですが、私ども先ほど中金の更級さんにもお尋ねしたのですが、そもそも農協の再建整備とは一体何ぞや、再建整備ということは、更級さんはこの再建整備によつて農協に筋金を入れて行く。言葉は違いますけれども、そういう意味のお答えがございましたが、私もそうでなければならんと思うのでありまして、再建整備というものを、余り安易に考えて、再建整備がうまく行かなければ、野溝さんの表現ではありませんけれども、整備促進法で行くと、整備促進法で足らなければ、その一部改正をやつて行くという形で、ただ農協に対して援助と言いますか、それだけでは、本当の再建整備にならないのじやないかということを考えるわけでありますが、提案者のほうで、この一部改正の法律案をお出しになる一応の提案理由の説明はお聞きしたわけですが、一つ再建整備促進の根本理念というものを先ずお伺いしたいと思います。
#234
○衆議院議員(足立篤郎君) 江田委員の御質問につきましては、これは私ども農林関係の一議員として、おのおの考え方を持つておると思うのでありまして、同僚国会議員の一人として、お言葉ではございますが、何と言いますか、私の見解をここで申上げるというようなことはどうもおこがましいと思いますし、この点は、農林省の行政指導方針なり、そういうものをお答え願つたほうがむしろこの場合によいのではないか。私個人の見解を申述べましても、これは殆んど意味がないというふうに思いますので、これは差控えさして頂きますが、事、今提出しております再建整備法の一部を改正する法律案に勿論関係して参りますので、この法律案の提案理由と申しますか、趣旨は、江田委員もおつしやる通り、提案理由の説明に詳しく申上げております。この提案に至る間の経緯を私からざつくばらんに申上げて、御了承願いたいと思います。
 これは信連、全指連或いは金融協会或いは農林中金等で再建整備促進と合せて、かような処置を是非ともとりたいという、よりより事前に協議のあつたことは勿論あると思います。ただ私ども衆議院で、たまたま自由党が単独で議員提案の形になつたのでございますが、実はいきさつを率直に申上げますと、社会党から御相談がありまして、こういう提案をいたしたい。ついては自由党も、共同提案者になつてくれないかという数カ月前に話があつたのであります。
 そこで、私ども自由党の政務調査会におきまして、その社会党が持つて参りました内容をつぶさに検討をいたしまして、ところが、すでにお手許に或いはお届けしているかも知れませんが、大蔵省側で相当強い反対がございまして、それは主として十七条乃至十九条の問題でございますが、仮にこれを整理をいたしまして余剰金が出た。それを、その余剰金が出た連合会が再建整備という名目は立派でありますが、そのままどうもとつてしまうということでは、理窟が合わないじやないか。これは特に資金調整法によつて、他の金融機関につきましても同じような方法をとつてやつておりますので、それと非常にアンバランスになる。例えば旧農業会の預金者だけが非常な恩恵を受けて、他の金融機関に対する預金者は馬鹿を見るのだということでは、資金調整法の趣旨に反するので、さような結果になる恐れのあるこの改正は、大蔵省としては同意しがたいというので、私ども自由党の政務調査会では随分論じたのでございます。併し農協の再建整備を促進しますために、この問題が一つの大きな癌になつているということは、これは農林に関係している人ならば、誰でもわかることでありますので、私ども何とかこの癌だけは剔抉したいということで、実は自由党内におきましても極力努力をいたしまして、その後参議院側からも、実は是非この法案は提出してくれという強い御要望もございましたので、更に党議をまとめるのに努力いたしました結果、ここに御提出申上げたような内容であるならば、一応筋も通るから提出していいだろうという話になりましたので、これを社会党、改進党にお話して、この線で一つ同調してくれないかということを申入れたところが、社会党その他におきましては、これではどうも不十分な点がある。まあ審議中にいろいろ審議の過程を経て、いろいろ相談もしようから、一応自由党で提案してくれというお話がございましたので、話合いの上で、私ども自由党の単独議員提案という形をとつて参つたようないきさつになつております。
 御質問のお答えには或いはならなかつたかも知れませんが、ざつくばらんにいきさつを申上げて、御了承を願いたいと思い一言申上げました。
#235
○江田三郎君 そこで、まあ細かい点がいろいろあるのですけれども、一つ事務当局に政府のほうに、私お伺いしたいのですけれども、政府のほうでも、この提案者が言われますように、この確定評価による基準が行われない云々というところですね、これで農協関係非常に困つているということは、なかなか整備が促進できんということはおわかりになつていると思うので、なぜ今まで政府のほうでも、こういう点について手をつけられなかつたのか。それから再建整備のあの法律で、整備促進側の審議会がございますが、整備促進に関する重要な事項の調査なり審議なりを、又必要があれば建議を政府にすることになつていますが、この審議会等では、こういう問題については、今までどういうような取扱いの経過になつていましたか。そういう政府のほうのいきさつをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
#236
○政府委員(小倉武一君) 整備促進の審議会等におきまして、表立つて本法案の趣旨のようなものを立法したらどうか。こういう建議みたいなものはございませんでした。
 それから調整勘定を早く結末をつける。こういう意味におきまして、暫定評価基準でやつておりますものを早く確定評価基準に切替える。それによる評価に切替えるということにつきましては、整備促進がだんだんと進行して参ると、そういう必要が出て参るのでございます。その点については、私どもも事務的には大蔵省当局と話合いを進めておりまして、その趣旨には別段異論がなくて、要するに時期の問題であつたわけであります。先ほどからのお話に出ておりますように、整備促進自体は一、二の連合会が対象になつております関係でございますので、そこまで私ども考えておらなかつたのでございまするけれども、いずれにいたしましても、近い将来にそういう改正は必要であろうというふうに考えておつたのであります。
#237
○委員長(片柳眞吉君) それでは、これで休憩いたします。七時に再開いたします。
   午後五時五十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時五十四分開会
#238
○委員長(片柳眞吉君) それでは、委員会を再開いたします。
#239
○江田三郎君 再建整備の根本理念ということが、実際言えばはつきりとしなければならんことなんですが、そういう議論をやり出すとこれは限りがないということになり、又農業協同組合法の一部改正で、どつち道その問題をやらなければならんですから、今後の私の質問は、そういう前提を抜きにして改正案の内容についてお尋ねをいたしますが、確定評価基準というものと暫定評価基準というものは具体的にどういう点が違うのかということを先ずお尋ねしておきたいのです。
#240
○政府委員(小倉武一君) 農業会時代の資産の中に、例えば朝鮮、満洲と、こういつたような在外資産に属するようなものの債権を持つておる。こういつた場合、それをどう評価するかということにつきましては、確定的に評価する基準がございませんで、そういうものについても、暫定的な評価基準で以てやつて行く。現在残つておりますのは、そういつたいろいろなものが残つておるものであります。
#241
○江田三郎君 そうしますと、国内にある財産については、確定評価基準による評価は終つておると、こういうことになりますか。
#242
○政府委員(小倉武一君) 現在まで残つておりますのが、今申しましたようなことでございますので、国内と申しまするか、普通の資産でございますればそういうことは、現在ではもうないと思います。
#243
○江田三郎君 それで朝鮮その他在外資産というのが、どの程度あるか知りませんけれども、私はこれが各信連なりその他単協なりに、どこでもあるというわけじやないと思うのでして、そういう点は、すでに確定評価基準による評価が行われることができるし、又現に行なつて済んだ。こういう完了したところが大部分じやないかと思うのですが、そうじやございませんか。
#244
○政府委員(小倉武一君) 組合の中で、数についてどうこうということはちよつとわかりかねますけれども、先ず極く僅かでも、そういう暫定の評価基準でやつたものがございますると、調整勘定を締切るわけに参らないようなことになつております。そのために遅れるような事態になつておりますのを救済しておる。こういう趣旨だろうと存じます。
#245
○江田三郎君 だからこれは、趣旨だろうと言うんですけれども、提案者ではないから、そういうほかに仕方がないだろうと思うけれども、これは一つ、実情をはつきりしておいて頂きたいと思いますが、若干の海外資産等を除く外はすでに確定評価は行われておると、行われたということなんでしよう。そうではないんですか。
#246
○政府委員(小倉武一君) その点につきましては、私も正確なことは実は存じないんですけれども、現在まで暫定評価基準で以て処理せざるを得ないという事情に残つておりますのは、そういう問題が、実はあるからでございまして、恐らくそういう点から現在まで全部を確定評価基準に切換えるというわけには実は参らなかつたと私ども思うのであります。
#247
○江田三郎君 局長、本当にわからんのか、どうなんですね。はつきりこれは言うことができないというなら、それでもいいですが、ちよつと小倉局長に似合わん合理性を欠いた答弁を繰返すのですがね。聞いて悪ければやめますけどね。……それじや別の問題へ行きましよう。
 この都道府県農業会の再建整備法による最終処理状況調の三億二千幾らの黒字が出ておりますが、この黒字を出したこの表を作つたときに、そのときに、このあとで残つている資産というものは、まだ整理のつかないものはどのくらいあるのか、それはわかりませんか。これは整備法によつて最終処理を行なつたものについてプラスが出、マイナスが出、その結論が全国で言うと三億二千九百十一万円ということになつておるわけでしよう。ところが最終処理は済んでいないというものがあるということですが、その当然整理して行くべきものの中で、およそ何パーセントというものが、こういうような最終処理状況の調の表に出ているのか、これはわかりませんか。
#248
○政府委員(小倉武一君) この三億二千九百万円と出ておりまするのは、農業会の再建整備法等による最終処理状況として挙げていまするので、只今お尋ねの旧勘定については、資産負債についての損益というものを全部確定的に締切つた場合には、恐らくこれと若干違つたものが出るかと思います。併しそれがどのくらいになるということはちよつとわかりかねるのではないかと思います。
#249
○江田三郎君 二十七年三月三十一日現在の明細表によると、結論としては調整勘定のマイナスが五百五十一万円出る。こういうことになつておるわけです。ところがこの五百五十一万円というマイナスが出るという見込になつておるのと、それから今申しましたこの三億二千九百十一万円というのは、一体どういう関係があるのか。つまり別な言葉で言えば、マイナス五百五十一万円というのは、これは当時の数字であつて、その後いろいろなものが変つて来たからプラスが出ておるということになるのかどうなのか。どうも我々もこれはよくわからんから聞くのですが、二十七年三月三十一日現在のこの調整勘定損益見込額明細表に結論として出て来るところのマイナスの五百五十一万円というものと、最終処理状況に出て来る三億二千九百十一万円というものとは、何ら関係がないことなのか。その間の一体繋りは、どうなつておるのかということなんです。
#250
○説明員(中沢三郎君) 御説明申上げます。
 二十八年の十二月末日におきます三億二千万円というのは、同日現在における利益金総額でございます。これは欠損金と調整勘定におきまして生じました損と利益とをプラス・マイナスした結果の益でございます。そしてここにありますところのこの五百五十一万という数字は、旧勘定に属しました資産を処分する見込を立てまして、処分したならば生ずるであろう処分損でございます。でありますから、数字をとりました日が違うのでございますが、実際に処分をするならば、こういう欠損が出るということを二十七年三月三十一日現在においての数字を参考に申上げまして、できるならば、二十八年の十二月末日におきましても、実際に処分したならば、どれだけの処分損が出るかという見込数を、若し出ますならば、その数字が三億二千万円から引かれるべき数字である、でありますから、引かれるべき数字といたしまして、二十七年の三月三十一日現在の数字を参考に徴したわけであります。
#251
○江田三郎君 そうすると、この五百五十一万という数字は二十七年三月三十一日だからして、この二十八年十二月末の三億二千万円ということを正確に見るために、正確若しくは正確に近いものを求めようとすると、そのときにこの五百五十一万がどう変化をしているかということを見なければわからん。こういうことになるんですか。
#252
○説明員(中沢三郎君) そういうことになります。
#253
○江田三郎君 ところがその二十八年十二月のこの調整勘定の損益見込額は、今のところどうなるのかわからない。こうなりますか。
#254
○説明員(中沢三郎君) 正確なところはわかりませんが、余り違わないのじやないかというふうには想像はいたされるわけであります。
#255
○江田三郎君 一体この農協の信連の調整勘定に入つておる資産として有価証券、不動産、営業用、所有、動産、その他というものがあるのですけれども、その内容を具体的に私ども知りませんけれども、これらのものを、若し何かの意図を以て処分すれば別ですけれども、そうでなくして、正しく評価し、正しく処分して行くというと、少くとも二十七年三月三十一日と二十九年五月末の日本の経済状態というものは相当違つて来ておるはずなんだから、余り違わないであろうという答えは、私出ないと思うのですが、確信がありますか。
#256
○説明員(中沢三郎君) 評価損が、実際に処分いたしました場合にはどの程度出るかということは、お話のように確かに一般的な経済情勢に見られますところの物価その他によつて変るだろうと思いますが、ただ正確のところを申上げまして、余り大きく差ができるという確信もございませんが、余り大きな隔りはないのではないかという意味で申上げましたのであります。御了承願いたいと思います。
#257
○江田三郎君 そういうことですと、私は改めて有価証券なり不動産なり、その他の二十七年三月三十一日における経済界の指数と現在の指数とを出してもらいたい。こう言わなきやなりませんよ。当時が百で現在も百に近いものであるなら、あなたの言われる答えは正しいということになりますけれども、日本の経済情勢というものは、二年三カ月前と今とはうんと違うということは、これは常識で考えられることです。どうでしよう。
#258
○政府委員(小倉武一君) 御指摘のように、相当時間的な差異がございまするので、その間にお示ししたような資料による価格と、現実の現在直しました時価、或いは今後処分する場合の時価と比べますれば、そこに開きが出て来るだろうということが当然予想されるのでございますが、どれくらい差額が出て来るかということは、結局は実際に処分した処分価格如何によるのでございまするので、それがどのくらいかということを見込むことはなかなかむずかしいのであります。
#259
○江田三郎君 私どもも、現在の農協がいろいろな点で苦しんでおることはよく知つております。できるだけ農協というものを援助して行かなきやならんということも考えております。併しそこには、おのずから筋というものがあると思う。建前というものがあると思う。この再建整備の問題というものは、農協だけの問題ではないわけです。いろいろ他に同じような適用を受けるものがある。そのときに農協なるが故に、非常にルーズのままでやつてもいいのだということになると、これはやはり関連するところが多いと思うのです。例えば昨日競馬の問題でも、日通なりその他のものが、この独禁法を適用されなかつた。それをひとり競馬界だけ、独禁法が適用されるとかなんとか、或いはGHQがどうとかいつて威かされた。それで我々はあれを何したというので、その後の状態に照して、これは憲法違反だ、財産を返してくれとか、訴訟を起すとかいうようなものが出て来る。訴訟の結果がどうあろうと、そういうことを起されること自体、私はこれは極めて面白くないことだと思うのです。そういう点から、やはりきちんとすることはきちんとしてやつて行かなくちやならんのじやないか。更に農協が実際にこれは処分してみなければわからないと言うけれども、その処分のやり方が、そこにいろいろお互いが問題があるのです。若しこれを政治的に、政治的ということは広い意味ですよ、どうせこの農業会のものを販連が使う、信連が使う、全購連が使うので、だからして、そこはいい加減に、ちよつとやつておけばいいじやないか、こういう行き方もあろうし、或いはそれがそういう団体から団体に引継ぎではなしに、団体から個人へと処分される場合もあり得るわけです。そういうときに、戦前から問題になつておることであるし、現在でもやはり私どもあまりやかましく言いたくないけれども、いろいろな噂を聞かされるわけです。そういう点は、私は何ぼこんなものは、信連のほうでやつておるのだ、或いはこの立法というものは議員立法だといつても、やはり政府としては、きちんと、どこへ出しても堂々と説明のできるような状態でおかなければ、議員立法だから自分のほうは責任がないということではならんと思います。そういう点、まあ小倉さんを余りいじめてもいかんと思うのですが、政務次官見えておりますから、政務次官にお聞きしたい。(「逃げちや駄目だ。」「いてもらわなくちや駄目だ」と呼ぶ者あり)
#260
○政府委員(小倉武一君) 只今のお尋ねは、御尤もでございまして、お示ししました二十八年十二月末現在の調整勘定の利益金、三億二千九百万円というのが、別の資料でお示しいたしましたこの二十七年三月末、これと時間的にズレがございまするので、この三億二千九百万円がどの程度になるかということはこの資料だけでは実ははつきりいたしませんで、その点について危惧があるではないかと、こういう御趣旨だろうと思うのであります。資料が不備でございまするのでそういう御疑問が出ますが、これは如何にも御尤もでございまするが、この三億二千九百万円というものを判断して頂きます場合に、二十七年の三月によりまする見込額を合せて考えて頂きますれば、これが殖えるか減るかということについての一つの判断材料になるかというふうに考えまして、お出ししたのだろうと思うのでありますが、先ほどお尋ねのように五百五十万円余りのものが三角になつております。従いましてこれとただ形式的に繋ぎ合せますれば三億二千九百万円が五百五十万円余り減るだろう。こういうことになるのであります。併し時期は時間的にズレがありまして、お尋ねのようにその後採算の価格が上つておるといつたようなことを加味いたしまするというと、必ずしもこの資料自体がどの程度の意味を持つかということに相成つて参るのでありますが、そういうことを加味すれば、必ずしもこの三角がそのまま三角になつて現われるかどうかということについては、私どもも必ずしもそうではないのではないかというふうに思つております。
#261
○江田三郎君 わけのわかつたようなわからんような答弁で、一向に要領を得ない。必ずしも、必ずしもといつて、どつちになるのか一向要領を得ない。
 一体ここで、例えば三億二千九百万円という数字が出て来ると、この金というものは、この改正案によりますというと、これは一旦国庫へ納付するんですね。そうしてこの国庫が、国が又適当な支出をすると、こういうことになるのでしよう。そうですか。
#262
○政府委員(小倉武一君) 本案では、そうなつております。
#263
○江田三郎君 そうしますと、一旦三億二千九百万円というものを出した。利益として国へ渡した。国から又それに相当した額を下に降ろした。併し、さてこの調整勘定をきちんとやつてみたところが、マイナスが仮に幾ら、どういう数字が出たと、こういうことになつて、このマイナスというものはどうするのですか。
#264
○政府委員(小倉武一君) 国に納付しまするのは、調整勘定を閉鎖するときでございますので、その後にマイナスが出ると、こういうことはなかろうかと思います。
#265
○委員長(片柳眞吉君) これは、ちよつとあれですがね、この法律案の骨子は、あれですか、再建整備を早く急ぐ意味で、暫定評価基準ですか、これでやるというのが、本旨が、要するに固定資産等を早く処分して整備促進を早く進捗なり完了するのが狙いか。その締めくくつた結果上つた三億何千万円かの利益というものを当該組合なり連合会で使うということが本旨か、どつちが狙いなんですかね、そこの両方、同じウエイトですか。
#266
○衆議院議員(足立篤郎君) 私がこの法案を提案するときの提案者の考え方といたしましては、只今委員長が言われたような点、すべてを加味して、更にそれに加えて有利な時期に有利に処分しなければ、凍結の状態では、みすみす指をくわえて経済情勢を見過すというようなことになりますので、ともかくこの際、再建整備を急ぐというのが本旨でございますが、それに合せて、いろいろな点を加味して提案をいたしたものでございます。
#267
○江田三郎君 どうもその、今足立さんのように言われると、あらゆる目的を持つておるようでして、広大無辺なる御利益のあるようなものになるのですか、十九条の二の、予算によつて一旦国へ納付したものを、又整備又は再建整備を促進するための経費に充当するという場合には、これは仮に国へ納付する金というものは組合々々によつて、皆違うと思うのです。そういうものでトータルにおいて三億円になろうと三億二千万円になろうと、それが整備又は再建整備の促進に使われる場合には、出した組合へ、納付した組合へ返つて来るという原則で行くのですか。これはもうたくさん出した組合も、少し出した組合も、そういうことには頓着なしに、一つの全国的な一貫した建前で使えるのですか、どつちになるのですか、これは。
#268
○政府委員(小倉武一君) これは調整勘定に利益がございまして、それを返した額の多い組合に再建整備士も恐らくボーナス的に奨励すると、こういうことではないと思います。御審議願つております文案の趣旨から申しますれば、そういう意味じやなくて、一般的な再建整備或いは整備促進の財源が利益金によりましてやれると、こういうものであります。
#269
○江田三郎君 だと思いますのですと、ちよつと仕様がないことになるのですがね。これで執行して行かなければなりませんのですから……。
#270
○衆議院議員(足立篤郎君) 提案者としては、今小倉局長がお答えになつた趣旨でこれを提案いたしました。併し、これはいずれ政令等で決められることでありますので、この法律が仮に成立すれば、政府として責任をもつてその行政方針と言いますか、これを決めてもらわなければならん。今小倉局長が答えた方針が、この法案としては筋が通つておると考えております。
#271
○江田三郎君 そうしますと、この利益金の残額を国へ納付するので、その金は、国が使うに当つては、一般的に使うということになると、この利益金の残額をたくさん出したから、納付したからと言うて、その組合がそう大して御利益を受けるわけではないと、こういうことになるのですね。
 従つて若しそういうことになりますと、果して積極的にどこまで利益金の残額というものを出すだろうかという疑問を持つわけですが、そういう点は、どうお考えになりますか。これは政府のほうはどうですか。
#272
○政府委員(小倉武一君) これは、金融機関再建整備法という法律がございまして、行政官庁に利益金がございますれば、いろいろその処分の方法を定めておりまして、その中に国に返すという分があるのであります。従いまして、この利益があれば、国に返すということが一応とにかく再建整備法の建前になつておりまするが、その国へ返す部分につきましては、現在の法律でもさようになつておりまするので、その点については、私問題はないかと思いまするが、ただ国へ返すということでありますれば、これはただ国の一般的な財政収入になるということでありますけれども、この法案では、それを再建整備等に充てると、こういうところに意味があるように思うのであります。
#273
○江田三郎君 これは再建整備に、これとは離れて、国としては今後も経費を支出される方針なのですか、どうですか。この法律を切離してしまつた場合に……。
#274
○政府委員(小倉武一君) 再建整備法に基く増資奨励金、それから整備促進法に基きます利子補給というものは、この法律とは別に基準がきまつておりますから、これは当然その法律で出す建前になつておるのであります。
#275
○江田三郎君 そうしますと、一旦今まできまつてるものに、これだけのものを更にプラスをして支出をすると、こういうことになると思うのですが、そのプラスをする部分は、具体的には、どうやつて使えばいいのですか。どういう基準でお使いになるわけですか。啓蒙運動でもなさるのですか。
#276
○政府委員(小倉武一君) それは御指摘のように、プラスするという面を考えますれば、整備促進乃至再建整備を促進するための啓蒙宣伝というふうなことも考えられます。
#277
○江田三郎君 いや、「ことも考えられる」じやなしに、主として、一体どういうことにこれを使うことになるのです。どうもこの法律の内容というものはよくわからんのですがね。
#278
○委員長(片柳眞吉君) 私も、今の江田さんの質問に関連して、この法案について、別途にまあ陳情といいますか、いろいろ聞いてみますると、一部の意見かも知れませんが、出した利益金を、国へ納付した当該組合なり連合会に、成るべくリンクして、還元してほしいという意見が相当あるのですね。そうなつて来ると、一般の国庫に、歳入に入れて、又出したものへそのまま返すのであれば、何も一旦国庫へ入れて又そのままもらうのであれば、もうそこで、すぐさま当該組合で初めから国庫に納付しないということにしたほうが簡単であるということになるのであります。そういうふうに思えるし、それから今江田さんの質問から、私もちよつと疑念を持つたのは、利益金を国庫へ納付するような組合とか連合会は、概してその資産状況も、まあ大体いいというような私の推定なんですがね。そうなつて来ると、利益金を国庫に納付するような組合とか連合会は、概して資産状況がいいということになれば、裏を返せば、再建整備というものについては、大して必要がないか、必要性が薄いと、そういうところへ又ボーナス的に返すと、良いところへは、いよいよ分厚く行つて、真に再建整備を要するところには行かないというような、そういう却つて不均衡が起るんじやないかと、こういうふうに、まあ、そういう疑問が実は出て来るのですがね。
 これは、やはり運用上の一つのポイントではないかと思うのでして、これは、どんなふうにお考えになつていますか。
#279
○衆議院議員(足立篤郎君) 只今江田委員並びに委員長から特に御質問のありました点につきましては、提案者として、私の気持を率直に申上げて見たいと思います。
 この点は、実はこの法案の眼目と申しますか、一番デリケートな点でございまして、先ほど江田委員の質問に対しまして、私が、今までの経緯を御説明申上げましたが、その際申上げた社会党から提案をしようというお誘いがありましたときの、社会党の原案は、これをこの十九条は、命令により……何と書いてありましたかな、要するに、あらかじめ納めなくてもいいように、もうリベートが、こう直ぐ還つて来るように政令を定めさして、事実は納めなくて済むようにしようという案であつたのでございます。ところが、自由党の政務調査会でこれを審議しましたときに、それは今委員長が後段の御質問の中にありました御意見のように、大蔵省からも非常に反対の意見が強く出まして、非常に不公平なことになるというような意見もあり、なお先ほど申上げたように資金調整法によつて他の金融機関、閉鎖機関等との釣合いもあるので、こういう事実上返さずに、余剰金は全部連合会がとつてしまうというような行き方は困るという強い反対もございまして、一応この、只今御審議願つてるような内容に切換えたのでございます。これにつきましては、衆議院の各派においても、相当御不満もあつたと思いますが、要するにこれは、今経済局長にどうするんだと言つて詰め寄つても、これは恐らく、全く議員提案でございますし、経済局長のほう、農林省としても、これが通つた暁にはこうするんだというはつきりした方針は、この席では私は無理だと思います。要するにこれの立法に当る国会としての意思を明白にしなければならないというふうに思います。
 そこで衆議院では別に附帯決議もつけておりません。併し私どもが暗黙のうちに了解しておると申しますか、提案者の気持を率直に申上けますと、これは従来、当然政府が再建整備に出している、この予算にプラスして、この返済した金を再建整備を促進するために使うという根本方針だけは、私どもは提案者として考えておるのでございまして、それを如何ように運用するかということにつきましては、再建整備の直接監督官庁である経済局が、今後最も効果的な方法でこれを使うように、今後一つ研究してもらわなければ、若しこれが成立すれば、研究してもらつて効果百パーセントに使つてもらいたいという気持でございます。
#280
○江田三郎君 どうも、いろいろ私が質問して行つて、私自身がよくわからんようになりましたので、ほかのお方に質問して頂けば、或いはもつとはつきりするかもわかりませんので、私はちよつと質問をこの程度で留保いたします。
#281
○委員長(片柳眞吉君) 他に……。
#282
○野溝勝君 これはむしろ質問というより、この際私は懇談の意味で委員長に伺いたいと思います。聞いておりまするというと、これは議員提出の法律案ですけれども、実際自信がないらしい。大体趣旨においては私どもわかる。例えば再建整備でどうも農協が行き詰つておる。更にそれにプラス・アルフアーを加えて有意義にこの農協の再建を図りたいというのですから、その趣旨はわかるのです。併し筋はわかるというけれども、やはり一つの立法府であるのですから、立法府である以上は、大体その成文なり、或いはシステムなりが一応呑み込めないと、ただ、まあまあ主義だけでは、お互いに提案者たる足立君も実際議員としての任務の性格上、それでは困るのです。
 そこで、今江田君なども質疑を展開しているのでございますが、私どもは、そういう意味で今聞いているところによりますというと、どうも提案者と、それから実際に執行すべき行政府との間に、或る程度の打合せと申しますか、これに対する検討が行われているようにも思えないのだがな、こつちから見るところ……。そこで一応無理にこれを引延ばすというような気持はないのですが、さりとて、今申しました通り立法府でございますから、慎重にこれは審議しなければなりませんので、一応どうですかな、委員長一つ、この際暫時休憩をして、それから審議を続開するというふうにしちやあどうでございますか。さもなければ理事会をちよつと開いてみたら、進行方法について相談されたらどうですか。好意あるこれは意見ですよ。
#283
○委員長(片柳眞吉君) 只今、野溝委員から御発言がありましたが、私の理解では、納付金の額に相当する金額を国家がとにかくプラスして出すということだけは、これは法文でもはつきりしておりますが、その出し方がどうかということは、まだこれは大蔵省等の関係もありまして、恐らく提案者としても、或いは農林省としても、ここで確定的なことが言えないということではないかと私は了解をするわけでありますが……。
#284
○野溝勝君 委員長、あのね、そうじやないんですよ。私はできないことはないと思うのですよ。というのはね、大体これを出す時には、自由党、与党の政調、而も政調会長は池田勇人君だ。まさにこれは側近だ。そうして大蔵省のことはよくわかつている。それが、要するにこれを承認して、他党よりは自分の党だけで出すというのですから、或る程度の自信があると私は思うのですよ。それに裏表のことは、お互いに素人じやないのですから、そういう点もざつくばらんにこの際話してみてはどうか。そうすれば又審議の方向も違つて来る。だから懇談会に移るなり、或いは理事会をするなり……。私は好意ある忠告をしているのですよ。
#285
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記をやめて……。
   午後八時三十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後九時一分速記開始
#286
○委員長(片柳眞吉君) 速記をお願いします。
 では、連合会の整備促進法の改正案の質疑は、本日はこの程度にいたしまして、なお一時間程度、農協法なり農業委員会法につきまして審議いたしたいと存じます。御質疑のあるかたは御質疑を願います。
#287
○鈴木強平君 この機会にお尋ねしますが、議事進行について併せてお伺いしますが、会期末が近付いておりますが、今問題になつておりまする両団体法について、できるなら会期末に間に合うように上げたいと思うのですが、これらの議事進行について如何でございましようか。
#288
○委員長(片柳眞吉君) これはまだ、只今質疑に入つたばかりでありまして、私としては、まだ俄かに何とも言えないわけでありまして、今後できるだけ質疑に最善を尽しまして、今直ちに、御質問を受けても何とも現状ではお答えできません。ただこの問お話合いによりましてできるだけ実質上の審議には、委員長としては最善を尽して行きたいと思つております。
#289
○鈴木強平君 政府委員にお尋ねします。この議員立法についての予算措置はどんな工合なんですか。その点を詳細に政府側から説明して頂きたいと思う。
#290
○政府委員(小倉武一君) 予算措置についてのお尋ねでありますが、農業委員会につきましては、市町村農業委員会それから県の農業委員会については、従来の方針に基いて予算措置はございます。市町村農業委員会につきましては、若干の本法案によりますと改正がございますが、これは予算としてはそのまま踏襲できると存じます。府県の農業委員会につきましては、これも県の農業会議でございますかの費用として踏襲できると存じます。問題は全国農業会議所と協同組合の中央会でございますが、これは法案が通過した暁に、必要な措置をできるだけ早い機会に講じたい。かように存じております。
#291
○鈴木強平君 前年、政府が、かようなものに似たような法案を出したのでございますが、その当時の政府提出の当時には、どのくらいの予算を組んでおりましたか。
#292
○政府委員(小倉武一君) 協同組合中央会につきまして、年間八千万円でございます。それから全国農業会議所、前の法案によりますると全国農業委員会議所でございましたが、これにつきまして年間六百万円、県の農業委員会議、それに一県あたりたしか十万円の調査費をとつたのであります。
#293
○鈴木強平君 政府提案と今度の議員立法との、法律案の主立つて違つた点について、政府側から説明して頂きたいと思います。なるべく詳細にして頂きたいと思います。
#294
○政府委員(小倉武一君) 政府提案の法案と議員提案の法案の違う点でございますが、農業協同組合のほうから御説明いたしますが、たしかお配りしてあると思いますが、農業協同組合法の一部を改正する法律案に伴う新旧条文対象というのがあると存じます。これに基きまして申上げます。
 先ず協同組合の事業でございますが、現行法によりますと、この共済事業につきまして、「農業上の災害又はその他の災害の共済に関する施設」というのがございます。これは政府提案では、現行法のままであつたのでございますが、議員提案におきましては、「共済に関する施設」というふうに簡略にいたしております。現行法でありますると、若干意義が狭くはないかということで、恐らくこういう表現になつたのであります。
#295
○鈴木強平君 資料は、我々のところに来ておりますか。資料は来ていないと思いますが、新旧条文のあれは……
#296
○政府委員(小倉武一君) お配りしてあつたと思いますが。
 それから次は、協同組合の指導連絡でございますが、現行法によりますると、連合会は会員の指導連絡に関する事業を行うことができる。こういう規定があつたのであります。それを今回の議員提案では削除になつております。その代りと申しまするか、全然関係はございませんが、員外利用と申しまするか、従来員外利用として取扱わざるを得なかつたような組合員と同一世帯に属する者についての、例えば貯金の受入れというものにつきましても、員外利用と見ないで、組合員と見る。こういうような規定があります。
 それから共済事業に関する規定でございますが、従業共済をやる連会合等につきましては、特段の規定はなかつたのでございますが、議員提案におきましては、連合会につきましては、共済事業を専業である、他の事業を兼営することはいけない。こういう趣旨の規定が置かれております。なお共済事業につきましては、共済規程を作つて行政庁の承認を受けなければならん。こういう共済事業についての規定を整備をいたしております。
 次は協同組合の組合員についての規定でございますが、これにつきましては、政府提案と違います点は、「農民の組織する団体」ということで、法人でなくても、協同組合の地区内の農民団体が協同組合に準会員として加入できる。こういう規定になつております。
 次は選挙、役員の選挙に関する規定でございまするが、現行法乃至政府提案におきましても、選挙はあつたのでございますが、議員提案におきましては、選挙のほかに選任という議決によつて役員をきめるという方式を新らしくできるようにいたしております。
 それから次は、総会に関する規定でございますが、総代会のできる場合を拡げております。現行法では、千人以上でございまするが、議員提案では、五百人以上という組合につきましても、総代会をでき得るようにいたしております。
 次は設立に関する規定でございまするが、従来の設立の認可は何と申しまするが、規則主義と申しますか、法律に合致しておれば、必らず認可をするという建前であつたのでございますが、議員提案におきましては、その点について、多少自由裁量的な余地が入りまして、組合の事業が健全に行われるということ、且つ公益に反しないということ、こういう条件を附しております。それから又連合会につきましては、中央会の仕事とダブらないといつたようなことについて審査するという意味の規定が入つております。
 次は監督のところでございますが、現行法乃至政府提案よりも、監督について若干強化されております。細かくなりますので、それで省略いたしますが、次は農業委員会のほうでございますが、これも農業委員会等に関する法律案新旧対照というのをお配りしてございます。これによりまして概略御説明いたしますと、第一点は、第二条の関係でございますが、農業委員会が都道府県におきまして、農業会議員といつたようなことになる結果、経費の負担に関する規定を改めております。
 次は委員会の職員に関する規定でございますが、従来は書記、それを政府提案では書記と技術員ということになつておりますが、議員提案におきましては単純に職員ということになつております。政府原案では、技術員を置くことの結果、技術員の職務を規定いたしておつたのでございますが、そういう必要がなくて、そういう規定は削除になつております。
 それから県の段階でございまして、政府提案におきましては、府県農業委員会議或いは全国農業委員会議所、こういうふうになつておりましたが、議員提案におきましては、府県農業会議、委員という字を省いております。それから又全国農業会議所ということで委員という字を省いております。これは実質上の恐らく結果であろうと思うのでありますが。と申しますのは、会議と会議所の構成につきまして、政府案とは若干違つております。農業委員会、市町村の農業委員会の代表者である会議員と、それから農業団体その他学識経験者であるものと、丁度半々に政府提案ではなつております。そういう結果、委員という色彩が政府提案より薄くなりましたので、省いておるのであります。全国農業会議所につきましては、これら役員につきまして、やはり同じような思想を取り入れまして、役員の出身によつて、その比率を規定をいたしております。こういう規定は、政府提案にはなかつたのでございますが、それが入つている点が大きな違いであります。
 主なる違いはそういうところかと存じます。
#297
○宮本邦彦君 議事進行……。まだ鈴木さんも、御質問がたくさんおありだろうと思うし、お互いも質問が、この問題については相当おありだと思うのですが、今晩は、大分皆さんお疲れのようでもあり、私自身も大分頭がぼうつとして来たので、改めて明日の朝、又頭のいいところで始めるのもいいと思いますので、今晩はこのぐらいにして、散会をお願いしたいと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#298
○鈴木強平君 今の動議に賛成します。従つて私の質問は留保しておきます。
#299
○委員長(片柳眞吉君) それでは、今宮本委員から議事進行で、この辺で、本日は散会してはどうかという動議が出ましたが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#300
○委員長(片柳眞吉君) それでは、本日は、これにて散会いたします。
   午後九時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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