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1947/06/19 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第13号
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1947/06/19 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第13号

#1
第002回国会 厚生委員会 第13号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
   午前十一時十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○豫防接種法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○優生保護法案(谷口弥三郎君外三名
 発議)
○國民健康保險法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) 只今より開会いたします。本日は豫防接種法案の質疑をいたします。速記を止めて。
   午前十一時十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時四十三分速記開始
#3
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。他に御発言はございませんか。別に御質疑もないようでありますから、これよりこの法律案につきまして、討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それではこの法律案につきまして討論に移ります。御意見のある方は賛否を明かにしてお述べを願います。
#5
○小林勝馬君 討論を省略して直ちに採決に入ることの動議を提出いたします。
#6
○委員長(塚本重藏君) 小林君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。これより採決をいたします。豫防接種法案を原案通り可決することに賛成の方の御起立を望みます。
   〔総員起立〕
#8
○委員長(塚本重藏君) 全会一致でございます。よつて本法案は原案通り可決すべさものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、豫め多數意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑應当の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多數意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可決された方は順次御署名を願います。
   〔多數意見者署名〕
#10
○委員長(塚本重藏君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。
 次に國民健康保險法の一部を改正する法律案と優生保護法案とのいずれを先にいたしましよか。
#11
○山下義信君 優生保護法案の審議を先にして頂きたい。
#12
○委員長(塚本重藏君) 山下君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。発議者谷口弥三郎君の提案理由の説明を願います。
#14
○谷口弥三郎君 それでは優生保護法案の提案の理由を御説明いたします。
 我が國は敗戰によりその領土の四割強を失いました結果、甚だしく狭められたる國土の上に八千万からの國民が生活しておるため、食糧不足が今後も当分持続するのは当然であります。総司令部のアツカーマン氏は「日本の天然資源は必ずしも貧弱ではないが、未だ十分開発利用されていない。併し山岳溪谷に富んでいるから、灌漑と発電の惠沢大きく、漁場にも惠まれているので、科学を発達利用すれば、八千万人口までは自給自足し得るも、それ以上は困難である」と言つております。現在我が國の人口は昨年十月一日調査では七千八百十四万人余、本年の人口自然増加は百二十万人、本年度の引揚者総數は七十万人となつておりますので、その総計は八千四万人となり、すでに飽和状態となつております。
 然らば如何なる方法を以て政治的に対処するか。第一に考え得ることは移民の懇請でありますが、毎年百万人以上の移民を望むことは到底不可能と思われますので、その幾分かずつでもよろしいから大いに努力して懇請すべきであります。第二の対策は、食糧の増加を図るため未開墾地を開拓し、尚水産漁業の発達を促し、増産方面に全力を盡すべきであります。第三の対策として考えらるることは産兒制限問題であります。併しこれは余程注意せんと、子供の将來を考えるような比較的優秀な階級の人々が普通産兒制限を行い、無白覺者や低脳者などはこれを行わんために、國民素質の低下即ち民族の逆淘汰が現われて來る虞れがあります。現に我が國においてはすでに逆淘汰の傾向が現われ始めておるのであります。例えば精神病患者は昭和六年約六万人、人口一万に対し九・九八、昭和十二年約九万人、人口一万に対し一二・七七、失明者も同樣で、昭和六年七千六百人、うち先天性が二千二百六十人、昭和十年は六千八百人で、うち先天性が四千二百三人という状態に増加し、又浮浪兒にしても從前はその半數が精神薄弱即ち低脳であるといわれていたのが、先月九州各地の厚生施設を巡視した際、福岡の百道松風園及び佐賀の浮浪兒收容所における調査成績を見ますると、低脳兒はおのおの八〇%に増加しております。この現象は直ちに以て日本食糧の状況を示すものであると思います。從つてかかる先天性の遺傳病者の出生を抑制することが、國民の急速なる増加を防ぐ上からも、亦民族の逆淘汰を防止する点からいつても、極めて必要であると思いますので、ここに優生保護法案を提出した次第であります。
 次に本法案の大綱について御説明いたします。この法案は、第一章総則、第二章優生手術、第三章母性保護、第四章優生保護委員会、第五章優生結婚相談所、第六章届出、禁止等、第七章罰則、それに附則を合せまして全体で三十七ケ條から成つています。
 第一章の総則におきましては、この法案の目的と定義とを示しました。即ち第一條において、この法案が優生学的見地に立つて将來における國民素質の向上を図ると同時に、現在における母性の生命健康の保護をも併せ図ることを目的とする旨を規定いたしました。第二條においては、この法案中に使われている優生手術と人口妊娠中絶との意義を明らかにしてあります。優生手術にはいわゆる去勢を含まないこと、人工妊娠中絶は、胎兒が母体外で生きておらない時期即ち大体六ケ月以内において行われる処置であることを主として規定をいたしました。
 第二章優生手術の章におきましては、第三條に同意を前提とした任意の優生手術を規定し、第四條から第十一條に亘つて社会公共の立場から強制的に行い得る優生手術を規定いたしました。現行制度では、優生手術を受けるには、本人、その代理者又は公益の代表者からの申請と主務官願の可否の決定とがなければ行い得ないことになつているのでありますが、第三條に列記したものについては、かような手続を要せず、本人と配偶者の同意があれば医師が任意に優生手術を行い得る途を開きました。併し任意の優生手術は本人が事の是非を十分に判断した上で同意するということが、その本質的要素でありますから、未成年者、精神病者、精神薄弱者のように自分だけで意思決定ができない者については、これを認めないこととして、この制度が相続權侵害のために悪用されることのないようにいたしました。第四條以下のいわゆる強制断種の制度は社会生活をする上に甚だしく不適應なもの、或いは生きて行くことが第三者から見ても誠に悲慘であると認めらるものに対しては、優生保護委員会の審査決定によつて、本人の同意がなくても優生手術を行おうとするものであります。これは悪質の強度な遺傳因子を國民素質の上に殘さないようにするためには是非必要であると考えます。ただこの場合には社会公共の立場からとはいえ、本人の意思を無視するものでありますから、対象となる病名を法律の別表において明らかにすると共に、優生保護委員会の決定についての再審査の途を開く外、更に裁判所の判決を求めるようにいたしました。強制断種の手術は專ら公益のために行われるものでありますから、その費用を國庫において負担することとし、その旨を第十一條に規定いたしました。
 第三章母性保護の章は人工妊娠中絶に關する規定であつて、妊娠中絶は医学上の立場から母体の生命を救うため必要であると思わるる場合にのみ合法制を認められ、一般的には刑法上堕胎の罪として禁止されておるのでありますが、この法案で母性保護の見地から必要な限度においては更に廣く合法的に妊娠中絶を認めようとするものであります。即ち客観的にも妥当性が明らかな場合には本人及び配偶者の同意だけで行い得ることとし、その他の場合には同意の外に地区優生保護委員会の判定を必要としました。
 第四章は優生保護委員会に關する規定であり、この委員会は自己の責任において審査決定をなし得る処理機關であつて、中央、都道府縣及び地区の三種と相成つております。
 第五章は優生結婚相談所、第六章は優生手術又は人工妊婦中絶を行なつた場合の医師又は指定医師の届出、秘密保持等に關する規定、第七章は罰則の規定であります。以上が大体の内容の説明であります。
#15
○委員長(塚本重藏君) 次に國民健康保險法に一部を改正する法律案の説明を求めます。喜多政務次官。
#16
○政府委員(喜多楢治郎君) 只今議題となりました國民健康保險法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
 昭和十三年七月一日國民の要望に應じて、國民健康保險法が実施せられてから、ここに十年を経過いたしました。その間本事業の経營主体である國民健康保險組合は全町村の九八%、又六大都市を除く市部の六三%に組合が設立されました。而してその組合數は一万余、被保險者數は四千万余人に達して、我が國の社会保險としては、最大なものとなりました。このうち多くの組合は昭和十七年、十八年に亘り設立されたものであります。ところが、組合がいよいよ本格的の活動に移るベき頃から戰禍は内地周辺に及び、組合事業の運營は非常な苦境に陥つたのであります。併しその間關係者は鋭意組合の育成に努力して來たのであります。たまたま終戰を契機として起つた種々の悪條件に支配されて、組合の約半數は不振状態となりました。申すまでもなく最近における國民大衆の生活において、医療費負担の問題は非常な重圧を感じておりました。この問題の解決は國民健康保險組合の活發なる活動に俟つところが多いのであります。ここにおきまして、政府は本制度を一層強力なものとして、これによつて現下國民の生活安定と社会平和の一端に資したいと念願しているのであります。
 本制度の改善に關しましては、すでに關係方面から種々要望されておりますので、これらを考慮に入れて、ここに本法の改正案を提出した次第であります。
 今回の改正案の主なる点は、第一に國民健康保險を行う者は、原則として國民健康保險組合でありますが、ただ營利を目的としない社團法人にして一定の要件を具備するものについては、組合の事業を行うことを認めております。今回の改正において國民健康保險を行う者は、原則として市町村又は市町村組合といたしました。併し市町村においてこれを行わない場合においては、國民健康保險組合又は營利を目的としない社團法人に認めることといたしました。これは本制度の性質に鑑み市町村が行うことが適当であると考えたのと、事実本事業が市町村行政と密接な關係にありまして、むしろ市町村に行政の中に取り入れることが事業運營上便利であり且つ効果的と思われる点が多いからであります。
 第二に、本制度は任意保險の建前でありまして、從つて組合員の加入も脱退も原則として任意であります。併し本制度のごとき公的施設は、任意制度の形態ではその目的達成に幾多不便の点があるのであります。海外先進國の例について見ましても、この種制度は強制主義に切換えられている情勢にあります。現在國民健康保險組合の事業が不円滑であることは、こうしたところにも一原因が潜んでいるのであります。今回の改正におきましては、市町村が國民健康保險を行うとき、又は普通國民健康保險組合が設立されたとき、若しくは社團法人に対し國民健康保險を行うことの許可があつたときは、その地区内の世帶主及びその世帶に属する者は、他の社会保險又は法令による共済組合の被保險者若しくは組合員その他特別の事情のある者を除き、他はすベてこれを被保險者とすることといたしました。即ちこれによつて現在の任意制度に一歩連めて、或る程度強制保險の方向によらしめ、以て本制度の弱点を補い、又將來我が國に実施せられることと予想せられる社会保障制度に近付けたものであります。
 第三に、普通國民健康保險組合の構成分子である組合員は、現在におきましてはその地区内の世帶主でありますが、今回の改正におきましては、これを地区内の世帶主及びその世帶に属する成年者といたしました。即ち組合員の範囲を拡大して、多數の者を組合の運營に參画させて組合の存立を強化しようとするものであります。
 第四に、組合の地区は市町村の地域によることを原則といたしておりますが、今回の改正におきましては、一又は二以上の市町村の区域といたしました。即ち危險分散の範囲を拡大して、組合の財政的基礎を強固にしようとするものであります。尚このことは社團法人の場合においても同樣であります。
 第五に、療養の給付を担当する医師、歯科医師、薬剤師は現在においては都道府縣知事がこれを定める強制指定制度でありますが、今回の改正におきましては、保險者と療養を担当する者とが契約によつてこれを決定することにいたしました。從つて療養を担当しようとする意見を有する者のみがこれに携わることになりますから、その間におのずから了解もできて、医療の給付も円満に行われることと存じます。又療養担当者に支拂うベき額も、保險者と療養担当者とが話し合いの方で定めて、都道縣知事の承認を受けることといたしました。從つて地方々々の実情に即した額が定まり、その額に妥当性を得られることと存じます。
 その他權利の救済等、事務的關係事項に若干の改正を加えた点がありますが、要は現在の國民健康保險の短所を補い。これによつて事業運營の活溌化を図り、本制度が眞に國民大衆の実生活に即したものにしたいと考慮したものであります。
#17
○委員長(塚本重藏君) 本日はこの程度で散会いたします。次回は月曜日午前十時より開会いたします。
   午後零時十四分散会
 出席者は左の通り
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
          池田宇右衞門君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
           千田  正君
  政府委員
   厚生政務次官  喜多楢治郎君
   厚 生 技 官
   (豫防局長)  濱野規矩雄君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
  説明員
   厚 生 技 官
   (豫防局防護課
   長)      石橋 卯吉君
ソース: 国立国会図書館
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