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1953/03/02 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第15号
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1953/03/02 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第15号

#1
第019回国会 通商産業委員会 第15号
昭和二十九年三月二日(火曜日)
   午後一時四十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長      中川 以良君
   理事
            加藤 正人君
            藤田  進君
   委員
            石原幹市郎君
            西川彌平治君
            岸  良一君
            豊田 雅孝君
            西田 隆男君
            海野 三朗君
            三輪 貞治君
            武藤 常介君
            白川 一雄君
  政府委員
   通商産業政務次
   官        古池 信三君
   通商産業大臣官
   房長       岩武 照彦君
   通商産業省通商
   局次長      松尾泰一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員        林  誠一君
   常任委員会専門
   員        山本友太郎君
   常任委員会専門
   員        小田橋貞壽君
  説明員
   工業技術院調整
   部熱管理課長   柴田 綱丸君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (熱管理に関する件)
○輸出保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○参考人の出頭に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今から通商産業委員会を開きます。
 本日は輸出保険法の一部を改正する法律案について御審議を願うのでありまするが、まだ通商局から出席をしておられませんので、最初に順序を変えまして海野委員より熱管理に対する御質疑の御通告がございましたので、海野委員の御発言を願うことにいたします。
#3
○海野三朗君 この間予算委員会で公聴会を開いた際に日本化薬会社の社長原君は重要法案でないところの法案を廃止すべきものであるというような暴論を吐いておつたのであります。私はこの論の中の熱管理法というようなものを、又計理士法というようなものをやめるべきものだというようなこと、これはとんでもない暴論であると考える。なぜなれば熱管理法といいますのは燃料の統制と申しますか、燃料の使い方、使い方についてここに一つの法案を設けて、そうして有効適切なる燃料の使用法、それを実行すべくここに法律ができたのであります。爾来ごの法律ができましてから今日に至るまで熱管理法というものの活用によつてこの熱管理についての非常なる効果が挙つておるのであります。
 我が国のごとき天然資源に恵まれざる日本におきましてはこの熱量の有効活用ということ、つまり有効温度の活用ということに重点を置いておかなければ産業の発展ということは期して望めないことであると考えます。このことにつきまして政府当局はこの熱管理法、これを廃止したいというような意向があるのかどうか、この法律についての政府当局の御見解を承わりたいと思います。
#4
○政府委員(岩武照彦君) 私から御答弁いたしますのが適当かごうかちよつと存じませんが、少くとも通産省の事務当局としましての考え方を御答弁いたしたいと考えております。今の海野先生のお話の件は政府部内の行政管理庁或いは法制局のほうで、まあ重要ならざる法律ということでございませんけれども、まあ直接国民の権利義務等に関係することの薄い法律はこの際廃止したらどうか、併せて事務管掌の見地もあつてそういうふうに相当法案も整理できるのじやないかということで、上つておりまする法律の中で通産省関係のものが今御指摘されました熱管理法、それからあと法律全廃の問題として二つか三つございます。
 熱管理のほうとしましては、実はこの法律は昭和二十何年か、四年でございましたか、五年でございましたか通りまして各重要な工場に熱管理士という制度を設けまして、そういう熱管理の衝に当られる人がその称号といいますか、或いは法律上の地位といいますか、というようなものを以ちましてその事業場内の熱の管理、つまり、燃焼法の合理化でありますとか或いは熱、ガス等の有効利用等につきまして事業場内のいろいろな問題を処理して参るという制度を作つておりました。実は当初はそれほど効果のないように考えておりましたが、だんだんやつて参りますと、相当目に見える効果も現われて参りました。と申しますと、これは御承知の通りに石炭とか石油とか或いはその他の熱源が統制時代でありますと割合に合理的な使用というものにつきまして関心が薄いということではございませんけれども、割当をもらえばまあいいという考えがあつたものでございますから、効果が割合挙りませんでしたが、だんだん自由経済に入りまして参りますると、まあ自分でこういう購入しました燃料、発生しました熱量をどうしたらうまく使えるか、ロスを少くやつて行けるかということにつきまして各工場々々で自分自身から創意を以ちましてそういう研究をして参る。
 それからもう一つ熱管理のやり方の特徴は定期的にそういうふうな熱管理士のかたがたがまあブロツク別に集まりきたりしまして、いろいろと燃焼法その他の問題について討議して参る、或いは参考になるところを見学してお互いに見識を広め合う、更には海外のいろいろな技術方式なんかの情報を入手しましたり交換し合うということで、相当効果を挙げて参りまして、最近では御承知の通りに熱管理協会というものがございまして、組織的に全国の重要事業場、工場を網羅しましていろいろに切磋し琢磨し合うという組織ができまして、この燃料費の節減、これはプラス、マイナス両方あると思いますが、相当研究して参る。でこの法律の内容は、直接に工場、事業場に熱管理指導上こういうことをしろというふうな規定はないのでございますが、ただ官庁のほうから必要においては勧告程度でございますが、命令権等でございませんから、従つて法律の体裁としましては若干権利義務ということよりも、むしろ訓示的といいますか、というような色彩もあるもんで、そういう見地から内閣の一部でそういう意見ができたんだろうと思つております。我々としましてはこの効果が相当挙つておりますのと、それからもう一つはこのそういうふうな熱管理の指導をやつて参りますと、一つはそういうふうなまあいろいろ施設なんかの問題につきまして、或る程度の合理化の、投資をする上につきましても非常な参考といいますか、それ以上に重要な結果を持つて参ります問題があります。
 それからもう一つは、最近における重油、石炭等の熱源関係の調整問題になつて来ますと、やはり熱管理の技術的な見地からの結果も相当重要視されて参りますので、折角普及して参りました制度を廃止することは、これは却つて折角の企業合理化の芽を潰すことになるから、マイナスではないかということで、事務当局としては、これは廃止すべからずという結論を出しまして、関係方面と折衝をいたしております。只今までの段階は、それほど廃止しろという意見が強い様子ではございませんので、まあ目下はそのまま法律の形で存続しようかと、こういうふうに存じております。
#5
○海野三朗君 熱管理につきましては、通産当局でどれくらいの予算を使つておられるか、それを一つ承わりたいことと、この石炭にいたしましても、素人の人たちが、カロリーとトン数だけを考えておるのであります。例えば亜炭にしましても、四十カロリーというならば、撫順炭の八十カロリーに対して、亜炭を二倍使えば、八千カロリーになるのじやないか、それで石炭を単にトン数のみ考えてはならないし、カロリーだけを考えてもいけない。そうして、なお且つ、この有効なる温度を使わなければ、産業というものは決して合理化されて行くものじやありません。例えば製鉄方面におきましても、平炉の中の燃焼温度で、千八百度以上にならなければ、平炉の還元が、酸化、還元が行われて行かない。それをカロリーを低くし、その発熱量を下げて使つたのでは、千七百度の温度で、何時間平炉で燃やすといえども製品にはなつて来ないのであります。即ち、このカロリーということと温度の使い方ということに対しては最大の関心を払う、これが日本の産業の合理化の根本問題である。然るに、日本の政治家は、御承知のように総理、吉田茂さんでも、あの人は外交官上りであり、例えば芦田さんにしても、あれは外交官上りだ。日本の政治家に技術者が一人もいないから、技術的な見地に立つて、この科学日本の建設という方面に甚だ薄いように私は考えるのでありまして、この熱管理法も、もつと力を入れて行かなければならない。そうすれば、期せずして、この産業の合理化が行くのである。で、石炭のトン数のみを考える。年間四千万トン、五千万トン、これだけのトン数だけを言つても、その熱量ということが大事であり、この熱量を使つて、適当なる保温を得るということが目的にあるのであります。このために熱管理法をますます強化して行かなければならないと考えるものであります。で、その点につきましては、通産当局といたしまして、若しそういうような論があつた場合には、断固これを退けるだけの御決意がありや、又この熱管理に対しての予算をどれくらい……、今熱管理法に使つておられる予算で十分なりとお考えになつておるかどうか、その御注意を一つ承わりたいと思うのであります。
#6
○政府委員(岩武照彦君) 熱管理個有の予算といたしましては、実は私ちよつと記憶を喪失しておりますが、特別の予算は余りないと記憶しております。但しこれは仕事の性質上、その関係の事務をやります人の経費、或いはこの巡回指導等の旅費といつたものは、これは相当ございまするし、又その関係の課も熱管理課という名前で、工業技術院内にあるわけでございます。むしろ直接的に効果を生じておりまするのは、財政投資のほうで、例の開銀融資の中で、熱管理という項目で昨年及び本年たしか二、四億前後の枠を以ちまして、この工業技術院の熱管理課の推進にからみまして、新らしい熱管理に必要な施設に対しましては融資をいたしております。主として新らしい燃焼装置の活動が中心かと存じますが、数字はちよつと記憶しておりませんけれども、この両三年来続いて参つているわけであります。むしろ役所の予算よりも、そのほうが実際の効果は挙つているかと存じております。
 それからお尋ねのありました法律の改正の問題でございますが、これはもうどういう点の改正を現在考えておりますか、ちよつと私、その事情をつまびらかにしておりませんが、必要とあれば所要の改正はいたしたいと考えております。
#7
○海野三朗君 今お金は、予算のところはどれくらい使つておられるか、わかりませんか。
#8
○政府委員(岩武照彦君) 後刻数字でお返事いたしたいと思います。
#9
○海野三朗君 それは人件費を含めてあるのですか。
#10
○政府委員(岩武照彦君) 人件費が中心ではないかと、私、考えておりますので、後刻調べてお返事いたします。
#11
○海野三朗君 後日そのことを御調査頂いて、御報告をお願いいたしたいと思います。
 それから通産当局といたしましては、どれほどの御決意を持つていらつしやるか、はつきりした御答弁を伺つておきたい。
#12
○政府委員(岩武照彦君) 先ほど申上げましたように、熱管理の問題は、これは比較的地味な問題でございますけれども、本当の企業のコストを下げます基本になりますので、通産省といたしましては、その機構を廃止いたしましたり、或いは関係法案を廃止するというようなことは、事務当局としてはしないつもりでおります。なおまあそういうふうになりますと、私だけの答弁で足りますかどうか存じませんが、少くとも現在の段階では、事務当局としましては、以上申上げましたような決意で参りたいと考えております。
#13
○海野三朗君 只今の事務当局としてのお答えは了承いたしましたが、私はそれだけでは足らないと思います。例えばこの火力発電にいたしましても、石炭三百万トン使う、カロリーはどれくらいで、そのカロリーの石炭を使つて、もつと高熱の熱源を得ることが必要なのかどうか、そういうところに力を入れなければならない。それが即ち熱管理なんであります。そういうところに力を入れないで、火力発電なんぞは、年間何百万トン使うから、値段はこれだけになるのだというような漠然たる考えでいることは、非常に非科学的な考え方であると、私は思います。で、これを直すにはどうするかというと、この熱管理にもつともつと力を注がなければならない。こういうふうに思いまするので、これは後日通産当局からもつとはつきりした御答弁をお願いいたすことにいたしまして、本日は私はこれで保留をいたしておきます。
#14
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#15
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 それでは只今より輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず本法案に対しまする内容説明を聴取いたします。
#16
○政府委員(松尾泰一郎君) それでは委託販売輸出保険のあらましにつきまして御説明を申上げます。この概要を御説明申上げましたあとで一枚刷のものをお手許にお配りいたしておりまするので、それにつきまして併せて御説明申上げたいと思います。
 委託販売輸出保険の概要はお手許にお配りいたしておりますこの改正要綱に示しておりまするように、輸出者が委託販売輸出契約に基きまして貨物を輸出いたしました場合に、この委託販売輸出をするために支出いたしました当該貨物の原価、運賃、保険料等を委託販売輸出契約に基く貨物の販売によつて回収することができないために受ける損失を填補することでありますが、その貨物が販売できたにもかかわりませず、その現実の代金が入手できなかつた場合の損失とか、或いは貨物自体が滅失毀損した場合の損失は填補しないことになつておるのであります。従いましてこの保険におきまして填補されまするのは次の二つの場合における損失ということになるわけであります。
 その第一は、委託販売期間内に販売されない貨物を本邦へ積戻して処分した場合の損失。それから第二が、通商産業大臣の承認を受けまして本邦外で処分をした場合の損失。この二つの損失に限られるわけであります。そこでこの期間中に販売できないものでありまして、通商産業大臣の承認を受けずに本邦外、即ち現地で処分をしたというようなものはその貨物のコストに等しい価格で処分されたものとみなしますから、如何に安く処分しましてもその損失は填補されないということになるわけであります。
 なおこの保険では保険契約におきましてあらかじめ販売価格を定めておきまして、委託販売期間中に販売されたものはすべてこの販売価格で販売されたものとして損失額を計算することとなつておるわけであります。以上のような考え方からいたしまして、この保険において填補されまする損失額を計算いたしますと、委託販売輸出のために支出した費用から、次のような金額を差引いたものとなるわけであります。
 先ず第一が、委託販売期間中に販売された貨物の代金の額であります。これは販売価格で販売をされたものとして計算することは、先ほど申上げた通りであります。第二に、委託販売期間後に積戻された貨物、要するに本邦に積戻して来た貨物を、国内で処分をいたしまして取得した金額からその処分に要した費用を控除した金額が第二であります。それから第三が、委託販売期間後に、通商産業大臣の承認を受けまして、本邦外で貨物を処分して取得した金額から、その処分に要した費用を控除した金額、これが第三になるわけであります。第四には、委託販売期間中に販売されなかつた貨物であつて、先ほど申しました第二、第三に該当しないものについて、その貨物のコストに等しい価格で処分されたものとして算出しました処分額、この四項目の金額を差引いたものが填補されるということになるわけであります。従いまして本保険の申込をいたします場合は、いわゆる輸出者と申しますか、委託者は、あらかじめ考えられまする損失額を一応想定をいたしまして、その予想の損失額を保険金額といたしまして政府と保険契約を締結することになるわけであります。政府は、その損失額の八割か、保険金額か、いずれか低いほうを支払うということになるわけであります。
 そこでお手許にお配りをいたしておりまする「委託販売輸出保険の保険金支払計算の実例」というのにつきまして御説明申上げます。Aという商品を十個委託販売輸出するために支出しました費用、即ちとの費用と申しますのは、原価、運賃、諸掛等でありまして、この中に或いは海上保険或いは火災保険、盗難保険等の保険料も含んでおることは当然でありますが、要するにその費用を仮に百万円といたします。そのうち十万円は運賃、諸掛、こういう設例を先ずするわけであります。その販売期間内に販売をすべき販売価格を一個につきまして十一万円、こうするわけであります。十個で百万円でありまするので、一個につきまして十万円ということになるわけであります。これを仮に販売価格を十一万円という例にしたわけであります。改正法案におきましては、第十条の三の第二項におきまして「販売価格は、当該貨物に係る同項の費用の額に百分の百五を乗じて得た金額を下つてはならない。」ということになつておりまして、百万円のものであるならば百五万円というのが最低販売価格であつて、百五万円以上でなければならないという規定になつておるのでありますが、仮に、これは一個十一万円でありまするので十個で百十万円、こういう例にいたしたわけであります。従いまして、これは仮に十一万円を十万五千円とおいても同じであるわけであります。そこで販売期間内にこの十個のうち五個が販売できたものと仮定をいたしまして、残りを本邦へ積戻した場合、これが第一の例であります。それからその次には通商産業大臣の承認を得まして、本邦外、いわゆる現地で処分をした場合、即ち予定の販売期間を経過して法律では一応販売期間の満了の日から三カ月以内に積戻すということが原則になつておるわけでありまするが、積戻しをせずに本邦外で処分をした場合、これを第二の例といたします。それから第三の例といたしましては、通商産業大臣の承認を得ないで、いわゆる現地で処分をした場合、この三つの場合を予想しまして、支払保険金の額を計算をして見ると、その次に掲げておるような実情になるわけであります。
 先ず第一の(イ)の場合でございますが、五個が販売できたのでありますので、残りの五個を本邦へ積戻しまして、一個七万円で処分をした場合を予想いたしますと、百万円から、現地で販売期間内に売れました五個は、仮にこれが十万円で売れておりましても、計算上この販売価格で売れたものとするという規定になつておりまするので、十一万円掛ける五個、これを先ず百万円から引き、それからあとの五個を本邦へ持つて帰りまして七万円で売つたのでございます。従つて七万円掛ける五から、その五個分について積戻しをして売るまでに要しましたいろいろな運賃、諸掛等の費用を仮に一個一万円と仮定して四個で五万円でありまするので、これを先ほどの百万円から五十五万円を引いたものから更に三十五万円を引き、それにいわゆる五万円を加えると申しますか、そうして得たその残りが十五万円ということになるわけであります。そこで支払保険金の額は十五万円掛ける百分の八十、即ち十二万円、こういうことになるわけであります。百分の八十というのは第十条の四に規定をしている率でございます。
 第二の例としまして、その残りの五個を通商産業大臣の承認を得て本邦外で一個八万円で売つた場合でございます。百万円からやはり販売期間内に売れた五個の分、即ち五十五万円を引きまして、それから一個八万円で、十一万円で売るべきものを八万円で売るということに関しまして承認を得ておりまするので、その八万円に五個掛けました四十万円引いた残りが五万円ということになります。そこで支払保険金の額は五万円掛ける百分の八十、四万円ということになるわけであります。
 それから第三の場合、その売れ残つた五個を通商産業大臣の承認を得ないで現地で処分をした場合であります。本邦外で処分をする場合は、承認を得ない場合におきましては、処分価格の如何を問いませず、いわゆるコストであるこの場合で行きますと、十個が百万円でありますので、一個十万円で売つたこととみなされるわけでありまして、そのみなす規定は第十条の四の第二項にそういう規定を設けておるわけでありますが、損失額としましては百万円から五十五万円を引き、それから十万円掛ける五万円をいわゆる引くということであつて、計算上はマイナス五万円ということになりますので、この場合は輸出者は保険金の計算上損失がないということになつて、政府からは全然填補をされない、こういうことになるわけであります。
 委託販売輸出保険の概要は只今御説明申上げた通りであります。あとこの第五条の五、或いは第五条の六、それから第九条、それから第十四条に殆んど事務的な修正をいたしておるのでありますが、本当の技術的な修正でありまして、そう大した意味もございませんので、お尋ねがございましたらお答え申上げます。
#17
○委員長(中川以良君) それでは御質疑をお願いします。
#18
○白川一雄君 この法律は輸出を助長する目的のように見えますが、私は非常に大きな危険を含んでおるかの感がいたすのでございますが、外国との取引は勿論信用の上に立たなければならないので、まあ我々の体験したことでも一見D・PのほうがD・Aよりはたしかなように思えますけれども、D・Pで向うへ送つたものを受取らないでおつて、銀行等がこれを処分するのを待つて注文したり、競売で買うというような悪性の外国商人もかなりあることであります。これで行くと出るときは馬鹿に出るように見えますが、又特に日本に滞貨しておるものは出ますけれども、それの損失は洪水のようになつて又期間を置いて帰つて来る危険が多分にあるのではないかという感じがいたしますので、運賃かけて取戻すと申しますけれども、非常に金額の多いものは、高いものは或いは運賃かけても取戻すことができますけれども、例えば陶磁器だとか何とかいうような金額は安くて非常に嵩の多いようなものはめつたに運賃をかけて向うの倉敷料まで払つて取返したら、ただ出してしまつたような危険も多分にあるのじやないかというように感ぜられまするので、このA、B、(イ)、(ロ)、(ハ)と例を挙げてありますが、これは非常にノーマルなときのみを挙げておるので、最近新聞で拝見いたしますと、生糸のリンク制のために五ドル二十セントのものが四ドル七十セントに下つて、その損失は日本ヘリンクで入れた砂糖を国内で高くしてカバーしているというために、アメリカの商人が日本の絹を扱うことをやめようということになつているというようなことを新聞で言つておりますが、そうしますと、こういう方法のために不自然に外国で安い品物が入るということになると、正常な取引をしている堅実な外国商社というものが意外の損失を受けて、目先助長のように見えますけれども、日本の輸出貿易の命取りになるような結末を生みはしないかということをこの法案を見て感ずるのでありますが、それらの点について何か御説明を頂きたいと思います。
#19
○政府委員(松尾泰一郎君) お答え申上げます。今御指摘になりました中で、D・PなりD・Aのものについてお触れになりましたが、D・P、D・Aのほうは実は昨年の八月に御決議を頂きましたこの保険法の改正を以ちまして、いわゆる輸出代金保険ということで処理しておるわけでございます。今回のこの改正におきまして、いわゆる委託販売輸出というのをカバーせんとしておるのでありますが、只今御指摘のような、例えば正常取引を阻害するのではないかという御疑念の点でありますが、我々も一応御尤もに存ずるわけでありますが、この法案を仔細に御検討願いますればわかりまするように、この販売価格、或いは販売期間についての規定なり、或いは現地でこの販売期間内に処分をいたしましても、幾ら勝手な処分をしてもこの保険契約におきましては、予定の販売価格で売つたものとみなすというふうな規定もありますし、又販売期間内に売れなかつたものにつきましては、要するに積戻すか、現地で承認を受けて処分をするか、こういうことになるわけであります。まあいわば勝手なことができないようになつておるわけでありまして、従いましてこれを濫用いたしまして、正常貿易を阻害するようなことはできるだけ防ぐという趣旨で、この条文につきましていろいろの配慮をいたしておるのであります。これはこの法案の提案理由のときに御説明されたことなのでありますが、最近の輸出に関する国際競争は漸次激化をして来まして、外国もこういう委託販売ということを相当やつております以上、日本側も業界の要望も非常に熾烈でありますので、こういう委託販売というものをやりまして、お互いの競争場裡に立向わなければいかんというふうな見地からその保険制度を設けんとしておるわけでありまして、従いましてこの保険を実施した場合におけるいろいろ起つて参ります今御指摘されましたような点につきましては、我々大体いろいろの各条項で防止ができるのではないか、まあ当該の輸出者が損を覚悟でむちやをやられるということでありますれば、これは保険につけようとつけまいとそれはあり得ることでありますが、この保険を利用してそういうダンピング等のことができないように、この第十条の四なり、或いは十条の三の販売価格の指定というふうなことで配意をいたしておるつもりでありまして、まあどつちかというと条件が少しきつ過ぎるのではないかという非難があるんではないかということを我々は恐れておつたくらいでありまして、まあ何分現地で行われる行為でありますんで、非常に的確に日本内地からそれを把握することが困難でございますので、どちらかというと心配をし過ぎたような規定を設けておるわけであります。従いまして今御指摘のような、これを濫用することによつて正常取引を阻害する虞れというものは、まあ我々としてはないのではないか。どちらかというと、少し縛り過ぎておるような懸念があるのじやないかという心配すらいたしておるので、まあこういう新らしい保険制度の最初でありまするので、我々としてはやや厳格に過ぎるような規定でスタートをして、漸次実情を見て改善して行くほうがよくなかろうかというように考えておる次第でございます。
#20
○白川一雄君 D・A、D・Pの点を申上げましたのは、外国商社にそういうような悪性の商社が相当あるという例に申上げたのでありますが、販売期間内に売りましたものは十一万円と計算いたしますが、期間外のものは、ここに(ロ)の例では八万円ということになつておりますが、果して八万円に売れるかどうかも大きな問題があろうと思いますが、仮に八万円に売れたとすると十一万円のものが八万円になつておるのでございますから、正常な取引に対しましては安い品物が向うの市場にあるという事柄のために、あとの輸出に非常に支障を来たすという事柄は事実ではないか。こういうふうに考えるのでございます。先ほど陶器の例を申上げましたが、ああいうように、全体の価格に相当しまして運賃の非常に高いようなものは、これを取戻すよりも戻さないほうが得だというようなことになる例が相当あると思うのですが、大体取戻すというのは、全体の価格と運賃との比例がどのくらいのところが限度において考えられておるのかということも承わつておきたいと思います。
#21
○政府委員(松尾泰一郎君) この設例の第二の、一個八万円で処分した場合でございますが、これは勿論通産大臣が承認をして、八万円で処分をしてよろしいというような承認をする場合でございますが、その承認の基準といたしましては、或いは現地のことで刈りますので実際は売れてしまつているものを、まだ売残つているのだというふうなことを言われる懸念もございますので、先ず第一の条件としては、売残つた貨物は現実に受託者の手許に存在しているか否か、勿論存在をしていなければならんのであります。それな確認をいたしまして、それから次に本邦に積戻しの費用、或いは本邦に積戻して後の輸送処分価格の点から見まして、今御指摘ありましたように、非常に費用が多くかかり過ぎ、そして持つて帰つても余りいい値で売れないというふうな場合。それから第三には、今先ほど御指摘がありましたような、同種の商品との競争関係と申しますか、ダンピングになる懸念があるかないか、懸念がない場合というふうなこういう角度から考えまして、平たく申せば何割割引して売ることがよろしいか、ケース・バイ・ケースに承認をして参ろう、こういう考え方でございまして、御指摘にありますように、我々としましてもダンピングになるようなことは避けなければいけませんし、又それらの商品が売れているということでありますれば、そうダンピングしないでも売れるはずではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 それからなおこの本邦外で処分をする場合には、例えばアメリカへ持つて行つたが、アメリカはどうも処分がしにくい、ヴエネズウエラとかコロンビアに持つて行つたほうが処分がしやすいという場合も考えられます。いわゆる販売地を変更するというふうなことも考えられますので、いわゆるそれらのことを勘案いたしまして承認をして参るというふうなあり方にいたしております。くれぐれもダンピング等のことのないように配慮したいというふうに考えております。
#22
○白川一雄君 販売期間内に売れなかつたものが存在しているかどうかということを調べる現実の方法としてはなかなか容易のことでないと思うのですが、若しそれが十分できないといたしますと、悪性の外国貿易商と、悪性日本貿易商とが共謀いたしますと、外貨を海外に温存するという逃げ道もここに存在するのでないかというように考えられますが、そういう危険はございませんか。
#23
○政府委員(松尾泰一郎君) このことは、全額保険の場合でありますれば、或いは御指摘の懸念も予想されるのでありますが、もともと填補率は損失額の百分の八十というふうなことにいたしておりまするし、それから現実の貨物が向うに存在するか否かという問題につきましては、在外公館のあるところならば、在外公館にも立会せ、又いろいろこういう商品の何と申しますか、存在を確認いたすような、いわゆる俗に言えばコントローラー的な信用ある海外商社もおりまするので、そういう点を、そういうふうなものを利用して売残り貨物が確実にあるかどうかというふうな確認も十分にまあできるのではないかというふうに考えているわけでありまして、なお売残つたものなり、或いは売れたものの代金の回収をしないで、向うへいわば外資を逃避するというか、そういう懸念でありますが、これは一々保険契約を政府がそれぞれじかに契約をいたすわけでありますし、又標準外決済の許可もいたすわけでありまして、従つてその商社別の把握というものは比較的容易ではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、従いましてそれらのものが資金の環元もいたさない、保険のほうもつけておきながらどうなつているかわからんというふうなことは、現実問題としては、事後チエツク等によつて完全に防止できるのではないかというふうに考えているわけであります。一応我々も今御指摘のような保険の点も考えたのでありますが、事後チエツクを厳重にやることによつてそれらの点は防げるのではないかというふうに考えております。
#24
○白川一雄君 御説明でよくわかりましたが、私は、この厳重にやるという点が、どの点に、現実の問題としてやれるかということが非常に大きな問題で、従来の例から見ますと、事志と違つた結果を生むことが非常に多いのが実例じやないか。なかなか無数にある貿易商が海外の商社と結んでやる事柄を当局が厳重にと申しましても、言葉上は厳重に行きますけれども、実際問題はなかなか容易ではあるまいという懸念を残して私の質問は終ります。
#25
○三輪貞治君 保険でありますから一般的に申しまして事故の将来における発生率というものをば基準にしてこれは考えられておると思うのであります。又今日頂きました予算書の中にも輸出保険特別会計予定額明細書が載つておりまして、その中には恐らく委託の場合のも含まれておるのでありますから、恐らくその事故率というものをば一応想定されていると思いますからそれを一つお知らせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(松尾泰一郎君) こういう新種保険でございますので、保険料率の算定の根拠というものは正直のところ非常にむずかしいのでございますが、一応こういうふうに考えておるわけでございます。昨年の一月から十二月までの委託販売輸出の実績が五十三件で五十八万ドルでありますが、この間に損失の発生をいたしましたものが二十五件で、それらにつきまして委託販売輸出保険の損失計算方法によつていわゆる一方仮に算出をいたしますと、その損失額が一応二方八十ドルということになるのであります。従いまして委託販売輸出契約額に対しまする損失額の比率が四・八%になるのであります。併しながら事故の発生したものはすべてフイリピン向けのものでありまして、而もそれはフイリピン政府による何と申しますか補償、それからこのフイリピン国の法令の改正で不可能となつたための非常事故によるものであるわけでありまして、昨年度の実績におきましてフイリピン向けの委託販売輸出が非常に大きかつたことなり、或いはこの保険の運営に当つて海外の受託者の信用状態を調査いたしまして引受けるというふうなことをかれこれ勘案をいたしまして、先ほど申した比率の実績を修正いたしまして、正常の場合の損失率をその十分の一、即ち〇・四八%と一応想定をいたしたのであります。従いまして委託販売輸出契約金額に対しましてその金額百円に対しまして一応五十銭程度の保険料というふうに一応なると考えておるのであります。
#27
○三輪貞治君 昨年の事故率の四・八%を修正して〇・四八%と想定したと言われるのでありますが、その場合これは昨年委託販売輸出保険制度が実施されない場合の例でありまして、このたびこの法律の改正によりまして、委託販売輸出保険制度が実施されれば恐らくこれは委託販売が件数が増加するのではないか、又保険制度のない場合よりも事故の発生が、先ほどの白川さんの御質問でもありましたが、増大する虞れもあるのではないか、そういうこともよく御勘案の上で修正された比率でありますかどうか。
#28
○政府委員(松尾泰一郎君) 実は先ほど申しましたフイリピン政府の、何といいますか、補償に関する法令を急遽撤廃をいたしてしまいましたがために昨年度こういう損失が出たのでありますが、昨年度フイリピンにおきまして博覧会を開催をいたした。それに対して相当各国からも出品をし、日本からも出品をいたしたのであります。その場合にその出品物について、その売残つたものについての補償をするというふうな約束になつておつたそうであります。ところが急遽出品物が出揃うてから向うでそういう補償令というふうなものを撤廃してしまつたというようなことで、思わざる突然の事故のためにこういう先ほど申しました四・八%というふうな率が出たのであります。そこでこれを平年ベースに直して考えるということは非常にむずかしいのでございますが、まあその約十分の一程度というくらいに見てスタートすべきではないかということなんでありまして、最近いろいろ受諾者の信用状態の調査もジエトロ等の機関を使いまして漸次整備をして参つておりますので、一応そういう想定をしたのでありますが、これは実際問題として科学的に算定をすることは正直のところ非常に困難でございまして、一応この辺のところでスタートして暫らく実績を見たい、こういう考え方でございます。
#29
○三輪貞治君 尤もこの特別会計予算には相当額の予備費も含まれていることでございますから、それで運営はできるでありましようが、先ほど白川さんも御心配になつておりましたが、こういう制度になりますと、外国の受諾者が販売に対して熱心にならなくてもいいというような安易な気持になりはしないかということを非常に大きく私は懸念されるのですが、そういう懸念はありませんか。又それを監督するというか、査察する何らかの機構なりを考えておられますか。
#30
○政府委員(松尾泰一郎君) 今御指摘の点につきましては、先ほどもお答え申上げましたように、もともと政府の填補率が八割でございますので、仮に安易な気持でやつたというふうな場合には、二割はまるまる業者の損になるわけであります。又現地で販売価格というものを一応きめて行くわけでありますので、勝手な価格で売つたというふうになりましても、政府側としましてはその予定の販売価格で売つた、こういうふうな計算をいたしますし、又売残つたものにつきましても、先ほど申上げておりますようないろいろな点から配慮しまして、むちやな処分と申しますかはできなくなるわけであります。承認を得ないで、要するに現地で販売期間経過後に売つたというふうな場合は一応コストで売つた、こういうような想定をいたしますので、結局政府としては一銭も損失補償しないというふうなことになるわけでありますので、輸出をする面から見れば全額政府で危険負担しておるわけではございませんので、それらの点は十分研究もし、現地のいわゆる受託者の信用調査等もすることは当然ではないかというふうな前提に立つているわけで刈ります。又そうでなければ非常な思わざる損失々招きまして、それに対して政府としても損失填補をしないというふうな建前になつておりますので、まあ安易な気持ではやれないのではないかというふうに考えております。
#31
○三輪貞治君 次に第十条の三の二項に、「前項の販売価格は、当該貨物に係る同項の費用の額に百分の百五を乗じて得た金額を下つてはならない。」即ち販売価格はコストの百分の百五以下ではいけないというふうに百分の百五というものをきめられているのですが、これはどういう理由で百分の百五という数字が出て来たのですか。
#32
○政府委員(松尾泰一郎君) まあ百分の五だけいわゆる費用に加算したものを販売価格と見たわけでありますが、いわゆる予想利益と申しますか、そういうものを百分の五と判断をしたというわけなのであります。これはこの百分の五の予想利益という点につきましては、我々も現実の商売から見ますと、少し有利過ぎると申しますか、現実の輸出取引となると実はもう少し予想利益というものは少いのであります。まあそこでこれを例えば百分の三がいいか百分の五がいいかというようないろいろな議論もあつたのでありますが、先ほど来申しておりますように、要するに現地でやる仕事でございまするので、この保険制度を濫用されると申しますか、悪用されることを絶対に防ぎたいということでありまして、従つて先ほど来いろいろ諸先生方からもお話がありますような売行き不振のような商品を強いて保険につけて向うに押出して、そしてうまく売れなかつた場合に政府に損失をおつかぶせるというようなことのなからしめるように、まあ五分程度の利益をとらなければならないというふうに一応したわけであります。確かに現実の利益から見ましてちよつと良過ぎるように考えるのでありますが、今申上げますように、保険制度の健全な運営、新らしい保険を輸出業者が悪用しないようにという配慮から若干現実の予想利益よりもまあ少し、心持高い目にして百分の五というふうにきめたわけであります。
#33
○西田隆男君 ちよつとお聞きしますが、こういう制度を設けたということによつて大体日本の輸出の総量がどんな状態になるお見通しですか。
#34
○政府委員(松尾泰一郎君) この第一条の二の第五項の五におきまして、この委託販売輸出保険の保険金の総額をきめられておるのでありますが、契約限度といたしまして予算総則には一応六億円ということになつておるのであります。で、契約限度は六億円でございますが、それから類推しますと大体八億五千万円ぐらいな委託販売輸出があるのではないかというふうな想定をいたしておるわけであります。それにしましても、ドルに直しますとそう大きな金額ではございませんで、この二十九年度の輸出は先般国際収支の表を大臣からも御説明されたことと思いますが、その中では十三億七千万ドル程度になつております。その十三億七千万ドルのうち二百万ドル若干ということになるわけでありまして、先ほどもこの三十八年度の、昨年の実績を申上げましたが、これは五十八万ドル程度でございますので、今度この保険によりまして相当伸びるだろうと思いますが、全体の輸出に占める割合というものは何分全体の十三、四億に比べますと、そう大した率ではないと思います。まあ小さな額ではございますが、最近業界の要望も非常に強くなりまして、海外からの競争から見ましても、こういうことを実施するほうが輸出の振興、或いは市場開拓上好ましいという観点から金額は少いのでございまするが、輸出振興の一助となるというふうに確信しております、
#35
○西田隆男君 大体委託前出が大分だと想定されておる輸出の品目はどんなものですか。
#36
○政府委員(松尾泰一郎君) この委託販売輸出保険につきましては品目は別段限定いたしておりませんが、従来のこの委託販売輸出の実績等から見ますると、罐詰とか、或いは綿織物の中の別珍類とか、或いは鯨油、それから生糸、或いはお茶、それから一部の機械類等が割に多くこういう制度を利用するのではないかというふうに考えております。
#37
○西田隆男君 そこで私ちよつと心配になることがあるのですが、お茶とか罐詰とか、綿布の一部分とかいうものは委託輸出もされる、又同じ市場に委託輸出でない輸出がされておる、そうして販売期間内に委託輸出のほうは売れなかつた物は当然これはそこで売るとすれば或る程度値下をして売るということが考えられる、そこで日本から輸出する同一地区向けの同じような品質の品物が一つは高い価格で販売され、そのうちの極めて一小部分は安い価格で販売されるということによつて日本からの輸出の相手方の市場でですね、日本備品の価格の下落を来たす虞れはないであろうか。これは私は多少あると思うのですが、そういう方面に対してどういうふうにお考えになつておりますか。
#38
○政府委員(松尾泰一郎君) 御指摘の点は御尤もでありまして、先ほど来申しておりますように、この委託販売輸出保険の結果、いわゆるこの正常輸出貿易を阻害するということにならないような配慮をすることがこの保険制度を設けました趣旨から申しましても当然のことなんであります。従いまして、今御指摘のような、この例えば或る特定市場に対しまして、或るAならAという商品がかなりもうどんどん出て行つておると、それにもかかわらず或る商社はその地域に対しまして同一商品を委託販売をするためにこの保険を申込んで来た場合どうするかという問題であろうかと思うのであります。これは制度といたしまして政府が保険を売る恰好になりまするので、いわばコマーシヤル・ベースでやるのが当然ではございましようが、先ほど来申しておりますよりに、正常輸出を阻害しないという配慮を強く考えておりまするので、今御指摘のような場合には保険を引受けないということもいわば契約自由の原則から申しても可能ではないのではないかというふうに考えておるのであります。で、まあ原則といたしまして余り好き嫌いをするということは厳に慎しまなければならんところでございまするが、今御指摘のような場合には、正常貿易を阻害するというふうな懸念の持たれます場合はその当該地域について、その当該高品の保険引受けを見合せるというふうな運営も併せていたさなければならんかというふうに考えております。
#39
○西田隆男君 今のあなたの御説明を聞いておると、委託輸出をする場所は新らしい市場の開拓というか、或いは現在一般的に貿易の行われていないようなところに対してのみ適用されることが非常に強く考えられるが、そういうお考え方ですか。
#40
○政府委員(松尾泰一郎君) 新市場なり、又新市場でなくてもいわゆる新規の商品について一番制度を適用することが望ましいのではありまするが、既存の市場といいましても海外との競争上正常貿易を阻害しないという場合にはかなりこの保険制度を適用する場合は多かろうと考えておるわけであります。例えば、一例は最近の例でもアメリカに、綿布といいますとまあいろいろ種類がありまするが、特殊の規格の綿布につきましてはこれまで全然出ていない、或いは出ておつてもそれは非常に微々たるものであるというふうな場合も予想できるわけであります。で又例えば罐詰にいたしましても、成るほどその当該市場には或るブランドの罐詰は出ておるが、又新らしいブランドの罐詰が戦前にはかなり出ておつたが今は余り出てないというふうな場合にその当該業者が一つ委託販売というふうなことで販路を拡張しようというふうな申入がある場合も予想できると思うのであります。従いましてこの原則としては新市場なり、或いは新市健でなくてもその商品品についての新市場、いわゆる新規商品と申しますか、そういうふうな場合もありましようし、又商品の中でも特殊の規格、特殊の品質のものの場合も予想されましよう、又戦前に非常に販売網を持つておつたところがそれが回復されて行くとうふうな場合も予想されるのじやないかと思いますが、要は正常な貿易を阻害しないという配慮で判断をいたしたい。現実にはなかなかその判断のつけにくいというふうな場合もあるかと思いまするが、最近輸出組合等も漸次育成され強化して参つておりますので、そういう判断に迷うようなときにはその当該組合と相談をいたすということもできまするので、まあその辺のところは運用で万遺憾なきを期してもらわなければならんではないかというふうに考えております。
#41
○西田隆男君 あなたの説明を聞いておるとどれもこれも皆やられるようで結局同じになるのですが、僅か年間に二百五十万ドルくらいの輸出なんですから一般貿易を阻害するようなところにはもうやらないと、新らしい市場を開拓するとか、或いは新らしい品物をやるような場合に委託販売をやるとか何とか根本的な方針をおきめにならないと、一般貿易を阻害しないようにするとおつしやつても、一般に同じ綿布なら綿布が行つておる、たくさん売れておるところに対して、極めて一小部分のものを持つて行つたつて、そんなものは必要のないくらい行つておるんです。一般貿易の行われておるところでは年間二百五十万ドルですから月割にしたら極めて僅少のものです。ですから委託販売を出すことは普通の貿易を阻害するようなことはあつても、助長せられることはないと私には思われるのです。従つて委託販売を出すには新らしい市場の開拓というような観点からされれば、これも意味もあると思うのですが、それをあなたの今の説明を聞いておると悪いようないいような、いいような悪いような、結局同じようなことになつたのですが、結局どういうような基本的な考えでこれを保険をされようというのですか。
#42
○政府委員(松尾泰一郎君) この条項を仔細に御検討願いますればおわかりになるのではないかと思いますが、この委託販売輸出保険というものが非常に濫用される、悪用する、或いはこれがダンピングの基になるというような前提であるならば、今御指摘のような懸念もあるわけなんですが、我々はこの条項を通覧いたしましてですね、まあ非常にやかましい先ほど来御指摘がありましたような費用の、例えば百分の百五の金額で販売価格をとめなければいかんとか、或いはその八割程度しか損失は填補しないとか、或いは原則としてもう販売期間内に売らなければ積戻す、積戻さなければいかん、或いは現地で積戻さずに処分させるにはかくかくだ、いろいろその防止の条項といいますか、規定を設けているつもりであります。従いましていやしくもこの条項通りに実施して行つた場合には、そういうまあダンピングの懸念というものはまあないのではないかというふうに考えておるのであります。従いまして原則的には正常貿易の阻害ということはないだろうというふうに考えておりまするが、万一そういうふうな事態の予想されるような場合には、私先ほど申しましたような配慮で以て契約の申込を受付けないというふうなことも可能であるわけでありまして、まあその新市場なり、新規商品に対して原則として適用することはまあ当然でありますが、併し新市場なり、新規商品なりに限定するというのもなかなかいろいろな事例に当りますとそう言い切れるわけにも実は行きませんので、まあ甚だ不明確なお答えを申して恐縮ではありましたが、まあ努めて正常貿易を阻害しないという線からそういう新市場、新規商品以外のものは判断をいたしたいというふうに申上げておるわけであります。
#43
○西田隆男君 私は必ずしもダンピングするだろうということでお尋ねしているのではないのですよ。仮にお茶とか生糸というような日本の代表的な商品が或るAという地区に入つて行く、それで以ていわゆる委託販売で僅かなお茶とか絹とかいうようなもの々持つて行つたが売れなかつた、これは受託者が悪い場合もあり得るでしよう。売れなかつた、そうした場合現地でこれを価段をダンピングする、一割下げるとか、一割五分下げて売つたというその事実が一回で済めばいいが何回も重なつて行くと通常貿易のお茶の価格に対して影響を及ぼす虞れが考えられる。だからそういつた方面に持つて行くことは価格の開きは少くとも、日本から送り出す全商品に対して影響を非常に及ぼすという見方でものを見なければならん。従つて年間二百万ドルのものであれば、新らしい市場に持つて行つたほうがいいのじやないか、こういうことを私は申上げる。なぜ申上げるかというと、新市場を開拓するために持つて行く商品であるとすれば、これはここに出ているような計数で試算されているものは一応考えられる。半分売れても半分売れなかつた、だからあと半分だけは売れなかつたから結局三割、四割下げて売らなければならないというような事態が起きて来る危険性が非常に強いわけですね。そういうために、委託輸出の保険制度を創設するというのならこれは意味が通るが、あなたがおつしやるように商品が行つて実際多少の圧迫にもならない、それはダンピングでもないのだということであれば、日本の三十何億ドルの輸出をやつておるのに対して、二百万ドルの特異な立法をすることもまあ邪魔にはならんでしよう、邪魔にはならんが、併し邪魔にはならんということと、多少業者が保険でもついたというので油断をすることは、相殺するようなもので大した必要性は感じない、そういう観点から今あなたにお尋ねしておつたのです。だから通産省としても必ずしも新市場だけでなければならんという厳密な規定を設ける必要はないけれども、保険をされる場合にはまあそういう考え方を補足してやられたほうが無難ではないか、こういうふうな考え方なんです。別にもう答弁は要りません。大体あなたの答弁は大分聞いたから要りませんけれどもね、でないと保険の意味がないと思う。
#44
○三輪貞治君 第十条の二の二項の「当該貨物の輸出及び販売のために支出した費用を回収することができないことにより受ける損失」でありますが、この回収することができない場合はどういうふうのことを考えておられるか。いろいろあろうと思うのですがね、あらゆる場合にそれは保険の対象になるのですか。
#45
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほどの設例で申しましたように(イ)の場合では内地へ五個の売残りの物を持つて帰りまして、七万円に売つた、でそれに一個について費用が一万円要つた、従いまして純粋には六万円しか手取がなかつたということになるわけでございます。でコストは要するに十万円でございます、その差が回収することができないことによつて受ける損失ということになるわけであります。(イ)の場合におきましては……。(ロ)の場合におきましては要するに承認を受けるのでありまするが、現地で十万円の物を八万円で売つたという場合、その差額はこれ又いずれも回収することができないことによつて受ける損失ということになるわけであります。
#46
○三輪貞治君 そういう場合のほかに実際に受託者が売つた、売つたが先ほどの白川さんの御懸念もあつたようにその売つた代金を払わなかつたという場合もあり得る。七万円で売ればその損失はこの勘定ですぐわかる。八万円の場合も出る。併し実際に何ぼで売つたか、その代金を受託者が払わない値合もやはりこの「回収することができない」場合に入ると思うのですが、これはどうですか。
#47
○政府委員(松尾泰一郎君) この何というか、売れましても向うの受託者がこちらに金を送つて来ない場合、或いは向うで火災なり盗難で以て物がなくなつたことによつて起る損失というものも勿論考えられるわけでありますが、それらは併しこの輸出販売保険の対象にすることは不適当であろうということでそれは除いておるわけであります。火災なり盗難、或いは海上での危険ということになれば、それぞれ海上保険なり火災保険なり盗難保険でカバーさるべきものでありますし、それらの保険料はいわゆる支出上費用の中に諸掛として当然含まれて来るわけでありますので、そういう貨物上の責任はそれぞれの輸出業者なり、或いは委託者側で当然いたすべき注意でございますので、それらは保険の対象から除くことは当然であるというふうに考えております。
 なお要するにこの委託販売保険というものはもともとが信任関係、現地の受託者との信任関係において発生するものでありまするので、売つても金を払つて来ないというのは委託販売保険の対象とすべきではないのでありまして、売れなかつた場合、或いはその損の行つた場合にのみ保険するのが本当の保険の対象にすべきではないかと思うのであります。従いましてこの現地の受託者が売れた金を使い込んでしまつたという場合までも保険をするということになりますと、実際問題として非常に保険の範囲も広くなりますし、又何分現地での事柄でございますので、それらのチエツクが実際問題として不可能でございますので、又そこまでやるということは非常な悪用なり濫用の危険も起りまするので、それらはその当該業者がそれぞれ十分の注意をいたしてやるべき事柄というふうに考えまして、この保険の対象から除外をいたしておるわけであります。
#48
○三輪貞治君 いや、これは何もそういう場合までも保険でやれということを言つておるわけではないのですが、それが含まれないということがわかればいいんです。併しながら一番大切なことは保険の契約のときにはつきり示されていないと、保険の契約には勿論明記されるわけですね。こういう場合に保険には入らないということは明記されるわけですね。
#49
○政府委員(松尾泰一郎君) はい。
#50
○白川一雄君 一昨日の東京新聞に、論説で名前を明記して、生糸のことで砂糖とリンク制をやつたために非常に支障を来たし迷惑しておるという悲憤慷慨した記事が載つておりましたが、あれも貿易を伸張するという御気持でやつたろうが、若もしあの通りの論説とすれば、事志と当局は非常に違つたのではないかと思うのですが、これも同じようなことはなるのではないかという懸念があるのでございますが、あの絹の問題のことにつきましてちよつと御説明願いたいと思います。
#51
○政府委員(松尾泰一郎君) 生糸の輸出と、それから砂糖の輸入のリンクの問題でございます。ちよつと御説明を申上げたいと思います。実は二十八年度の繭が例の桑の凍霜害と申しますか、それと冷害によりまして桑の出来工合が非常に悪かつたということで二十八年度の繭の生産高が一昨年の繭に比べまして大体一割増産を見込んでおつたのが逆に一割減産というふうなことは実はなつたのでございます。従いまして繭の価格も高くなりますし、生糸の価格も非常に高くなつて参つたわけでございます。御存じのように生糸の最高価格は二十四万円何がしできめられておるのでございますが、実際問題といたしましてなかなかそれの励行がむずかしいということで最高二十八万円というふうに価格が上つて行つたわけであります。従いまして日本のこの生糸価格の上昇に連れまして、海外の糸価も五ドル前後から……まあアメリカの機屋の意見は四ドル八十くらいを、他の化学繊維との競争の関係から見て生糸の適正価格と言うておるようでありまするが、五ドル前後から漸次上りまして五ドル三十セントくらいまで上つて行つたように承知をいたしておるわけであります。ところが内地の価格はどうしてもその価格では輸出できない。生糸の価格は非常に減産の結果上りましたので輸出できないということになりまして、その結果どういうことになつたかと申しますと、いわゆる三角貿易と称しまして、或いはブラジルとか或いはフインランド、スエーデン等のいわゆるオープン・アカウント協定を結んでおります諸国を通しまして生糸がニユーヨークにまあ大抵原則としてニユーヨークでありますが、入つて行くというようなことになりまして、いわゆる直接にアメリカへ出ますればアメリカドルが日本の収入になるべきものが、三角貿易でありますので、決済としてはブラジルヘの輸出、或いはオランダ、スエーデン、フインランドヘの輸出というふうなことに化けまして、荷物が出て行つたわけであります。これも現実の問題として取締ればいいじやないかという御意見もあろうかと思いますが、実際問題として非常に困難でもありましたし、又アメリカ現地の相場から見て内地の相場が割高でありまして、逆立ちしても出ない、輸出できないという場合に、三角貿易までもとめるということは、どういうようなものだろうかということで、実際問題として取締も非常に困難でありましたので、実は一時放任をいたしておつたのであります。ところがアメリカの輸入統計を見ておりますと、これは税関統計でございますので、日本から月に少いときで二千俵、多いときで三千俵なり四千俵日本から毎月入つたことに税関統計は出ておるのでありますが、日本側の輸出は昨年の七、八月頃から激変して参りまして、十一月になりまして十俵くらいに減つてしまいまして、十二月にはゼロというふうな恰好になつてしまい、その代りにいわゆるオープン・アカワント地域としての輸出が殖えて参つたわけであります。なぜそういうことが可能かと申しますと、これはオープン・アカウントのレートとドルのキヤツシユ・レートとの為替の開きを利用する取引のようでありますが、まあスエーデンにしましてもフインランドにしましても、横浜なり神戸の港を出るときはB・L面ではパナマ経由で或いはブラジル、或いはスエーデン或いはフインランド向けにちやんとなつておるわけであります。税関の取調べも何もされないのでありますが、ところが実際パナマを経由して行きますと、ニユーヨークで仮の陸揚げをいたしまして、そこでB・Lを変更いたしまして、実際はアメリカに流れて行く。決済はオープン・アカウント決済にいたしておるというふうな実情であつたわけであります。そこでリンク貿易の弊害ということもいろいろ研究をいたしたのでありますが、むざむざストレートのドルを獲得できるものが日本の価格高のために三角貿易になつて現われて行く。それもその三角貿易も情報によれば大体六、五%くらいなマージンがついて、それでまあやつとこさニユーヨークのマーケツトに上つているというふうなことで、そこでどうも放任もならない、併し我々としてはできるだけそういう貿易を本然の姿に帰すべきではなかろうか、ストレート輸出を重視すべきではなかろうかということで、昨年度の繭がそういう天候の異変から来る変態的な情勢でもありますので、ほかの生産工業とは違いまして今合理化というようなことを急に言うても養蚕家から繭はすでに製糸家の手許に昨年の秋中にもう入つてしまつているというふうなこともありますので結局放任をして放つて置くか、それとも何らかの努力をして、この六月頃、いわゆる今年の新らしい繭が出るまで何かの対策を講ずるかというところに追込まれたわけでありますが、まあ放任をするのに忍びないということで農林当局の強い要請もありまして、平均生糸一俵に対しまして一・二七トンの砂糖をリンクするというふうな決定をいたして実施をしたのであります。それでその当時一俵対砂糖一・二七トンの比率を計算しますときには、砂糖一トンについて大体三十ドルの価格差が見込めるという前提に立ちましたのと、生糸の価格を二十六万七、八千円というコストをベースにして考えたのであります。そうしてその差額出血分の三分の二を補償する、三分の一は製糸家なり輸出業者でかぶるべきだというふうな原則で今申しますような数字の集計をいたしたのであります。ところがその後率直に申しまして繊維消費税の行方と申しますか、というようなものもはつきりしたがために、生糸の価格もやや内地の価格が下落して、実際問題として二十七万円或いは二十八万円に近かつたものが少し二、三千円から多い場合は四、五千円方下つて来たということと、それから砂糖の価格がトン当り三十ドルの差益な見込んでおりましたのが、これが五十ドル、六十ドルの差益が出るというふうになつて来ましたがために、今御指摘になるような何と申しましようか、ダンピングというふうな事態が起つて来たのであります。で我々もこの相場というものが常時変転をいたしておりまするので、そういう懸念も持たれましたので、フロア・プライスというものを区切りまして、たしか標準物につきまして五ドル十二セントと覚えておりますが、その程度のフロア・プライスを作りまして、大体輸出業者は全部生糸輸出組合に加盟をいたしておりまするので、この組合を通しまして輸出業者に厳重な注意をするようしておつたのでありますが、何分差益が予想よりも多く発表し過ぎたということで、実際問題として非常に遺憾ではございますが、フロア・プライスを切つたような取引が行われたことは事実なんでございます。ところが現実のL・Cの開設の場合、或いはB・L面を見ますと、ちやんとフロア・プライス以上で取引をしたということに実はなつておるのでありますが、ところが裏面におきましていわゆるリベートと申しますか、キツク・バツクというか、そういう方向で現実に弊害が起つたというふうなことであります。そこで急遽数日前に暫らくこの最近の情勢を再検討するためにリンク制の受付を停止して、目下その対策を考えているのでありまするが、結果といたしましてそういう五ドル二、三十セントくらいのものが五ドルを切つたということは事実なんでありますが、もともと向うの機屋の要請としては大体四ドル七、八十ということを目標にして向うは主張をいたしておるのでありまして、大体それにまあ近いものにはなつたわけでありますが、併し我々といたしまして、六月以降の新繭につきまして果してその程度に下るか下らんかわかりませんので、まあ五ドル二、三十くらいまで行つたものならば五ドル二、三十セントでできるだけ維持したいということから、先ほど申しましたようにフロア・プライスが五ドル十二セントと申しますと、大体向うに行ざますと二十セント弱加わるわけでありますから、ざつと五ドル三、四十セントくらいに、フロア・プフイスにマツチした向うでの価格ということになるわけであります。フロア・プライスをやる場合には、五ドル三十セント程度というものが向うの取引価格になつておりましたので、それを標準として我がほうのF・〇・Bのフロア・プライスをきめたわけでありますが、今申しましたように五ドル以下に食込んだわけであります。併しながらこの制度を発表してから停止いたしますまでの間に実は一月―三月の輸出予定が玉糸も入れまして八千俵という予定であつたのでありますが、契約は九十四、五百俵実はできたわけでありまして、実は数日前に一時停止をしましたので、大体現地の相場も今日聞きますと五ドル二十セントくらいまでに又戻して来ているようであります。まあそういうふうな情勢でありまして、まあ我々としてはそういう相場の撹乱があつたということは非常に遺憾ではございますが、三角貿易がその結果全然とまりまして、アメリカ向けの輸出がともかく八千俵予定しておつたものが九千数百俵できたということは、それだけアメリカのドルを獲得したことになりまするので、まあそういうフロア・プライスを切つたという弊害もありまするが、直輸出をそれだけやつたという功績もこれは認めるべきではなかろうかというふうに考えておるわけであります。従いまして爾後のやり方につきましては、今リンク率を引下げるかどうかということについては研究をいたしております。それから申上げるまでもなく、これは昨年度の繭についての措置、臨時的な措置でございまするので、六月以降から新らしい繭が出てそれが生糸になりまして、輸出をされて参ります頃にはやめるということで、一応本年六月末までの積出で以て打切るということで、これは最初からそういう方向で進んでおるような次第であります。
#52
○白川一雄君 九千俵ばかり出たというのは価格はどのくらいでございますか。
#53
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほど申しますように、フロア・プライスを割るということになるといろいろの、まあ何と申しますか、違反問題が起りまするので、表面は五ドル十二セントに合つているわけでございます。従つて名目的には一ポンドこれは五ドル、物の程度によつてかなりの上下がございますが、標準物で一ポンド五ドル十二セント以上の価格になつておるわけであります。それが今申しますように、たしか九千四、五百俵と覚えておりますが、若干数字が違うかも知れませんが、とにかく九千俵以上の輸出ができたわけであります。従いましてまだ信用状は参つておりませんが、フロア・プライスに合つた信用状が来ることになつております。従いましてキツク・バツクがどういうふうな方法で行われるかということになりますと、これは非常にむずかしいのでありますが、或いは彼らがこつちへ来た場合の滞在費として、彼らのアカウントで円を積立てるものやら、或いは支店が向うにある場合には支店が若干そういう外貨で、或いは代理店で手数料とか何とかの恰好で普通若干持つておるのが普通でございまするので、そういうものを向うでリベートいたしておるのかその辺のところはちよつとわかりかねるのでありまするが、表面へ出たところは大蔵省の為替勘定にはきちつとフロア・プライスに所定の数量を掛けたものが入つて来るということになるわけであります。
#54
○白川一雄君 ちよつと新聞の中に書いてありました筋は、五ドル十二セントのものを四ドル七十セントくらいのもので、正常な取引をしておるアメリカの日本生糸扱者は先祖代々やつておる仕事だけれども、もう皆信瀬できんものだから放棄してしまうというような状態になつておる、而もリンクして入れた砂糖は日本で非常に高くなつた、結局安くして売つて無理に砂糖で日本の国内でこれを負担してカバーするような恰好になつて、結局正常な取引をする生糸業者を失つてしまうということになつておるという筋に私は見たのでございますが、大体御説明を聞くと結果は新聞の論説に、まあ権威者のようですが、書いてあつたことに一致するわけなんで、従つてこの輸出保険法の一部改正ということにつきましてもよほど考えて頂かんと、西田さんのお話になつたように、極く一部分の事柄で日本貿易の大きな根幹を揺がすようなことにならないように、十分の御注意を願わんと大変なことになるのじやないかということを申上げておきたいと思います。
#55
○藤田進君 ここに試算してあるわけですね、填補率が八〇%ということで……(イ)の場合ですね、(イ)の場合、これは十二万円の填補があるわけでしよう。ところが半分も売れなかつたということで、恐らくこの法律ができた場合には(ロ)の方式を業者はとるのではないでしようか。その結果が今のように非常な貿易に悪影響を及ぼすのではないかという点を指摘してそうでないという点の御説明を得たいのですが、(ロ)で行くと十一万円で売つていたものを、半分残つたわけだから(イ)の方式へ積戻さないで現地で六万円で売れば同じことになるのでしようね。とんとんになれば……六万円で売ればそうすると五四%強ですね。五四・五%で国内に持つて帰つて七万円で売るのと現地で六百円で売るのとは業者としてはとんとんになる。そうなると常識上十一万もするものを、輸出品目は先ほど言われたのですから、そういう品目を想定して見て、一国において特定の数字以上には必要でない品物は別だが、そうでない今品目を挙げられたものだとすれば、十二万円のものが六万円でということになれば、恐らくこれは持帰らなくてもいいだろう。こういうふうに考えると、非常にこれは影響が大きいような気がいたすのです。(ロ)の方法で恐らく値引をして販売される結果になろうと思う。これは数字的な面で申上げたわけですが、どうでしようかね。
#56
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほど生糸のことにつきましてちよつと舌足らずの点があるかと思いますので、補足させて頂きますと、先般新聞に出ておりましたことは少し私は誇張があるのではないか、私も現地のシルク・アソシエーシヨンから電報を頂いたのでありますが、こういうことでありまして、そのどつちが悪かつたという問題になるわけです。ところが現地の機屋はあの価格があれだけになつたことについて非常に歓迎をしているのであります。ところが輸入業者としては自分たちが日本側で砂糖の利益があるからどうだということで誘うて、最初は彼らが値引要求して来た。或る一社がそれに応じたということで、それが皆に蔓延したということでありますが、要するに彼らがフロア・プライスのヴアイオレーシヨンを日本の業者にやらせたその限りにおいては彼らとしては別段痛くも痒くもないので非常に歓迎をしておつた。ところが彼らが予想した数量よりもより以上の数量が入つて来た。まだ現実には入つておりませんが、契約ができたということで、あわててこれでは一つ或いはこれ以下に値が下る虞れがあるということで、予想された数量以上が来ては困るという電報なんであります。それで我々としてはやや向うの電報を馬鹿正直に受けた点もありますが、もともとフロア・プライスを厳守するというラインで行つておりましたものが、そのフロア・プライスが守れなかつたということで一時停止をした。その結果又価格が五ドル二十セントくらいに戻して行つているわけでありまして、従いましてあながち現地の業者に非常に迷惑を与えたということは、それは一、二の業者についてはあり得るかも知れませんが、今の全体の業界の意見としては、現地が余り数量が大きくなり過ぎたというのであわてたということだけでありまして、非常にダンピンクしたために手持していた商社が困つたという非難は全然今まで起つておりません。従いまして類推解釈でいろいろ大きく問題が誇張されておりますが、今養蚕業界或いは製糸業界或いは輸出業者にお聞き願えばわかると思いますが、それほどデスターヴイングではなかつた。併し業者としては、役所から言われたフロア・プライスを向うから強制されたのであるが、やるようになつたのは申訳ないとは言つておりますが、現地に、いろいろ新聞に言われたような非常な悪影響を及ぼして今後の輸出にどうこうしたということは、我々のほうはないというふうに考えておるわけであります。ちよつとその点を補足させて頂きます。
 それから今の設例の(ロ)の八万円の点でございますが、幾らで売るかということは業者が勝手にきめるということになりますと、確かに今のような懸念もあるわけでありますが、通産大臣の一応承認を得てその処分価格をきめる、こういうことでありますので、そのときに先ほど申上げましたように、ダンピングになるかならんかとか或いは正常貿易阻害の点を考えましてきめるわけでございますので、仮に業者がむやみに叩き売ろうといたしましても、それは売らさないわけでありまして、原則としては積戻しをするというのを原則にいたしておるわけであります。積戻しは費用が非常にかかるという場合においても、承認を受けてその処分価格をきめて行くということでございますので、まあ、我々のほうも最善を尽すつもりでございますので、今のような御懸念の点は、絶対にないとは保証しかねまするが、まあ、できるだけそういうことのないようにやりたいというふうに考えております。
#57
○藤田進君 そうしますと、これは、この試算は現地で八百円で売る場合が示されているが、若し六万円で売るとすればとんとんの填補額となり、業者は現地で売るという場合があるし、価格もあれでしよう、決して積戻しの場合に比して不当ではないと思われ、この点が問題でしようが、積戻しという場合には、填補額が十二万円でしよう。このままで行くと、同じ品物々現地で八万円で売つたということになれば、それは四万円の愼補額で政府としてはやはり現地でこれを売れということになれば、そうです。併し八万円というものを取上げてあるからですが、保険の填補額同様に、いずれにしても、持つて帰つても、現地で売つても、十二万円の填補額だ、こういう場合を見るというと、六万円、売価半額くらいで現地で売つても同じことになる、そういう場合にもやはり、そうすると、予算も計上して、貿易政策として政府が売つてはならんという、やはり許可をするしないにかかつているようですが、それに相当問題があるのじやないだろうかと思うわけですが、現地と売れるわけです、これは常識上、十一万円するものが半額でということになれば、なにも持つて帰らなくつたつて業者の手許では損はない。持つて帰つても、現地で売つても、同じことだ。こういう場合では、これは六万円は丁度限界点ですが、八万円の試算を七万円にして見ても結構です。こういうことにならんか、この填補率同率で以て。
#58
○三輪貞治君 今のと関連して一緒に答えて頂きたいのですが、結局そうなると、この十条の四の第二項にある「三月以内」という期間が又問題になつて来るわけですね。これを売つてしまえば、これはもうその金額を「回収した金額又は回収し得べき金額とみなす。」こういうことになつております。るから、この「三月以内」という期間がどういうことによつてきめられたかということは私は問題になつて来ると思います。一緒に一つ……。
#59
○政府委員(松尾泰一郎君) その最初の六万円で売つたということでありますが、六万円で売るか八万円で売るかは通産大臣がこの承認をいたすわけでございますので、そこで現地への影響等を考えてやるわけであります。そのかたが承認を得ないで勝手に処分したということになると、十万円で処分したと我々のほうはみなすわけでありますので、従つて勝手に十二万円のものを六万円で処分するということは我々のほうが至らなければ、そういう場合が起り得るのでありますが、それは先ほど来申しておりますように、いろいろな慎重な配慮からこれをきめるということを申上げておるわけであります。従いまして、安売りをするという懸念はないのではないか、要するに積戻しました場合にも十二万円を補償をいたすわけであります。従いまして今設例されました点、まあ六万円で売つた場合はということでありますが、そういう非難の起るような場合はいたさないわけでありまして、その場合は彼らは送返して来、十二万円の補償をもらえれば、そのほうがいいわけであります。
 それから第二の三カ月以内と言いましたのは、まあ大体このくらいの期限を見ておくのが常識上まあ穏当ではなかろうかということでありまして、これは三カ月の場合とか四カ月の場合という議論をいたしますれば、いろいろ議論もあるかと思いまするが、普通三カ月と見ておけばいいのではないかということで、三カ月と、こうしておるわけであります。
 それからもう一つ、このあとの承認を受けずにやつた場合のことをここで書いておるわけでありまして、承認を受けずに販売期間満了後の処分をした場合には、いろいろごたごた書いておりまするが、要するに補償はいたしませんぞという書き方なんであります。この「回収した金額又は回収し得べき金額とみなす。」ということは、言い換えて見ればこの設例の(ハ)に該当するわけでありまして、填補しないぞということを規定をしておるわけであります。
#60
○藤田進君 今のは何でもおれがきめるのだからいいというふうに聞えるが、その場合は許可しない。それは填補するなら通らなきや許可しないという、果して公正妥当に許可されたかしないかということは、これは行政訴訟ができるのですからね、業者としては。そうすると具体的に聞きますが、同じ品物で売る場合試算の通り行つて見ましよう。(イ)の場合積返せと言えば三万円の損をするでしよう。それから(ロ)で行きますと、これは一万円でいいのだ、業者から見れば八万円で売れるならば現地で売りたくなるでしよう。売りますという許可を求めて来るでしよう。そういう場合には(イ)と(ロ)の場合にはどちらをとられるかということを、あなたのほうで出した試算ですよ、現地で売ることを許可しますか、積返せと言いますか。そのときのその国の状況もあるだろうけれども、まあ一般論としてどつちをとりますか、政府は。
#61
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ずこれは確かに御尤もなお尋ねでありまして、(イ)の場合におきましては政府のほうでの持前が要するに十二万円である。(ロ)の場合には四万円であるということなんで、従つて純粋に考えますと、政府としてもこういう場合にはほかの問題さえなければ、(ロ)の場合をとりたいということになるわけでございます。併し今御指摘になりました八万円か六万円かという点が、果してそれはダンピングであるかいなかとか、或いはその他の人たちの商売に悪影響があるかないかという点を判断をしてきめるわけでありますので、併し若しそういう疑念がないということでありますれば、この(イ)と(ロ)の場合、どちらをとるかということになると、(ロ)の場合をとる、こういうことになるかと思います。
#62
○藤田進君 そうすると、その基礎観念になつておるのは、いわゆる貿易の政策として国が背負つて立つという立場から填補額は殖えても他の商品に悪影響を与えてはならんということが一つ。それからそういう場合でないときには、填補額が成るべく少くなるような、これはこの保険を運営する場合には当然のことだと思います。このいわゆる二つの要素がある。ところが六万円というものをこれは出して見たのですよ。六万円というものを出して見たが、先ほどの説明によると、西田委員の質問に関連して私は申上げているので、影響がないと言つたのだ、あなたは。お茶とかいろいろなものがあつて大したことがないと、そこでそういうことがまあ一つの前提になつておるが、一つの要素というのは、ウエイトを置くのは………、そうすると保険の運営からすれば、成るべく填補額を出さないで、業者もそれを好むという数字が出て来ておるわけだから、そうなると商品の約半額ということで現地で払つて、持つて帰つて七万円で売れるよりも、現地で六万円で安売りするととんとんになると、丁度これは一つの数字の限界だと思います。六万円ちよつと、六万五千円というふうにだんだん八万円近くになるにつれて、やはり業者としても政府としても現地で売れ、こういうような限界は恐らく六万円だと私は見ておるのです。そうすると六万円の場合にはやはり(ロ)をとる。(ロ)の方式で言うとこういうふうになるから、やはり問題があるのじやないかという点を、私はあなたの試算表に基いて数字を置替えて見ただけです。あとは我々のほうで判断いたします。
#63
○委員長(中川以良君) 私も関連してお伺いしたいのですが、その問題さつきから私も不思議に思つていたのですが、これは政府が一方貿易政策を大いに振興しようという立場にある、これは通産大臣ですね、保険の責任は。通産大臣が一方においては保険の運営もやつている。貿易政策が大事か、或いは保険の料金を払うことを少くするほうが大事かというジレンマに陥つていると思う。そこで先ほどのお話で、これをきめる場合には第十条によつて通産大臣がきめるのですが、これは一応運営で以てやつて行くという先ほどお話があつたのですが、これは承認の基準というものが、何か政令か何かで定めないとそういう問題に始終ぶつかつて来るのじやないかと思いますが、そういうことを御承知でしようか。これでは非常に妙なものができるので、或る常業者には非常に有利になり、或る業者には非常に不利になるということは不平等である。これでは折角の保険の法律ができても、その運営において不明確な点が出て来ますと、これはやはり禍根を残すと思いますが……。
#64
○政府委員(松尾泰一郎君) 確かにこの第十条の四の第三項の通産大臣の承認というのは、非常にこの場合重要な役割を演ずることになるわけであります。そこでこれにつきましては或いは約款の条項といたしますか、或いは告示等にいたしますか、その辺のところまはだちよつと研究が不十分ではあるのでありますが、大体の承認の基準というものを要するに明らかにしておこうという考え方をいたしているわけであります。その基準といたしましては、先ほど来申しておりましたように、売残つたものの現物が実在をしているかどうかということと、それから積戻す費用、それからこつちに持つて来た輸送処分価格と、それから現地で処分をした価格とはいずれが有利かという問題、それからダンピング等のいわゆる正常貿易に阻害を及ぼすか及ぼさんかというふうな点について三、四項目につきましての基準を明らかにしたいという考え方をいたしております。
#65
○委員長(中川以良君) それは政令か何かでお出しになるのですか、どういうことですか。省令ですか。
#66
○政府委員(松尾泰一郎君) 約款にかければ何と申しますか、特別条項というふうなことにいたしますか、或いは別途の方法になりますと政令か告示かのような考え方をいたしておるのでありますが、そのいずれをとるかまだちよつと研究が足りないのでありますが、とにかく何らかの方法によつてはつきりきめて行こうというふうに考えております。
#67
○委員長(中川以良君) そうするとそれを大体お示し頂くまではちよつとこの法案も上げにくいかと思うのでありますが、一つその案をどういうふうにやるかという方針を至急に一つお立て頂いて委員会にお示し願いたいと思うのです。
#68
○海野三朗君 次長は随分頭が疲れておられるでしようが、私は極く簡単なことをお伺いしたい。これは砂糖の値が六十円からぴんと九十円に飛び上つたり、九十五円まで行つたところもあるようですが、あれはどうしてああいうことが起るのでしようか、極く簡単に御説明願いたい、物価を安くしようというように現政府が考えているにもかかわらず、あの砂糖が六十円から九十円までも飛び上つた。あれはどうしてでありましようか。誠にけつたいな現象であると私は考えているのですが、あれはどうしてでありましようか。
#69
○政府委員(松尾泰一郎君) 一言申しますと需給、いわゆる需要供給から来た現象と申上げる以外にちよつと説明のしようがないわけであります。ちよつとくどくどしくなりますが御説明申上げますと、一昨年には砂糖は自動承認制であつたために非常に厖大な輸入がありまして、去年の春価格が非常に下つたことは御存じの通りであります。で、昨年度、要するに昨年の四月から九月、要するに今の年度の前期でございますが、前期の輸入外貨予算を編成するときに、その二十七年度の下期の輸入の状況が予想外に多いということでこれを考慮いたしまして、四月―九月期におきまして輸入をかなり削減をいたしたわけであります。それが正直なところ今まで響いて来ていると申上げたほうが私は率直な言い方ではなかろうかと思います。まあ大体年間において八、九十万トンというものを昨年の四―九月期におきまして、予算、額ははつきり覚えておりませんが、若干の差はあるかも知れませんが、たしか二十七、八万トンというのが予算だつたわけであります。それでこのうち昨年の十月からこの三月の期におきまして外貨事情も非常に情勢が変化いたしましたが、幾ら予算を組むかというときに、まあどつちかと言えば最重要物資でもないというふうな判断から、予算を編成いたしますときには、期の初めの在庫或いは期末の在庫、それから輸入許可というものは、許可してもなかなか物が入つて来るまでには相当ずれるのであります。それをスリツページと申しておりますが、それらを勘案いたしまして、下期で砂糖輸入予算といたしましてはたしか四十六万トンほど組んだわけであります。で、そのうち十月から十二月までの実施は割合に順調に行つたのでありますが、この一―三月、要するに今の予算の現実の実施が、ざつくばらんに申しまして関係各省の折衝の結果かなり遅れたのであります。それは御存じのように外貨事情からいたしまして、できればその四十六万トンを少し削減できないだろうかというふうな意見が非常に強くありましたために、その実施が非常に遅れたのであります。まあそういうことからいたしまして、この三月末の在庫というものが非常に少くなり、まあ御存じのように、例えばキユーバ糖にいたしましても、ブラジル糖にいたしましても、許可をしてから入つて来るまでに大体二カ月以上かかるわけであります。従つて今許可いたしましても、大体早くて五、六月頃の到着になるわけであります。それで近距離のものが少なかつたということから在庫が非常に少くなつたということで異常な暴騰を来たしたというのが事実であります。併し現在のところ、下期の輸入もインドネシア・スウイツチの四万トンはまだ交渉中でありますが、まあその他のものは大体輸入の割当を目下やりつつあるような段階であります。なお、この糖価対策といたしまして、目下台湾の、これは一番距離が近いのですぐの間に合うわけでありますが、この台湾の砂糖についても今研究をしておるという段階であります。
#70
○海野三朗君 つまり通産行政がまずいという結論になるじやありませんか。こういう現象が起つて来るということは、もう率直に私は申上げるのでありますが、通産行政がまずいということになりはしませんか。
#71
○政府委員(松尾泰一郎君) まあ御存じのように、砂糖はこれは農林省の関係でございまして、(笑声)通産省はこの問題については農林省の言うなりと申しますか、予算の編成にしましても、或いは配給方法にしましても、大体農林省の意見に従つてやつておるのでありまして、若しまずいということになれば、率直に申しまして、農林省のほうにそう責任を転稼してもいけませんが、これは砂糖産業というものは農林省の所管であります。我々はただ予算の問題でございますから、ただ入口のほうだけをやつておるわけであります。
#72
○海野三朗君 いや、責任転稼のお答えとしか考えられないのでありますが、私は砂糖の輸入税が一・二割の関税をかけている。そうして石油のほうは関税免除になつている。そういうことは通産当局としてはどういうふうにお考えになつているのでありますか。砂糖は一・二割の関税をかけておる。なお且つ消費税は一一〇%かけておる。砂糖の値段にしますと、一斤十九円で入るのである。それが何だかんだといつて五十円見当になつている。然るに石油のほうは全部免税になつている。こういうふうな現象は、通産当局としてはどういうふうにお考えになつていますか。
#73
○政府委員(松尾泰一郎君) 私から申上げるのも如何かと思いますが、実は今の御指摘の関税も、国会の議決を得ました法律によつておりまして、今石油類については免税、石油製品については関税は低くなつておりますが、これはあの当時もう二、三年前の関税法制定の当時からそうなつておりまして、あの当時は、要するに重要な燃料資源ということでああきまつて今日まで免税措置が続いて来ておるというふうに承知いたしておるのであります。最近若干情勢の変化がございまして、我々の方ははもう直接石油行政は、あれは関係ではございませんが、通産省全体としては、今研究をいたしておるような状況になつておりますが、何分国会の承認を得た法律でございますので、この点を御了承願いたいと思います。
#74
○海野三朗君 このことにつきましては、通産当局を責めてもしようがないかも知れませんが、この関税問題については、大蔵当局及び通産大臣にお伺いしたいことがたくさんありますのです。で、同時に砂糖の関税、そういうものについても関連して、はつきりした政府当局の御所見を承わりたいのですが、今日は丁度政務次官もおられませんし何ですから、この次は大蔵大臣なり大蔵政務次官なり、それから通産大臣御出席の所におきましてこの関税のことを私はもつとお伺いいたしたい。それで非常に片手落になつている。政府でやつたから仕方がない、これは御尤もでありましよう。政府のお役人方は政府の命令によつてやられるのであるから、それは無理もないかも知れませんが、私どもが納得の行かざるところのものがある。で、このことについて私はお伺いいたしたいのでありますが、今日はもう当局者がおられませんから、ですからこの次に延期いたしまして、この質問は私は保留いたしておきます。
#75
○委員長(中川以良君) 海野君に申上げますが、できるだけ一つ海野君の御質疑を頂く機会を委員長として作ります。
 それからもい一点今の法律案で伺いますが、保険をかけるつまり保険料の問題でございますが、全額に保険をかけなければいかんのか、部分的にかけてもいいのかという問題がありますが、これがどうもこの法律案でははつきりしないのでございますが、これはどうでございましようか。
#76
○政府委員(松尾泰一郎君) 要するに一部でも可能というふうに考えております。
#77
○委員長(中川以良君) それでは今日はこの問題の質疑はこの程度にしておきたいと思いますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(中川以良君) それから、なお、この問題につきまして一応業界側の意見を聞く必要がないかという議が起つておるのでありますが、参考人として関連産業の人にでも出てもらいまして話を聞いたらどうかということでありますが、如何いたしますか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(中川以良君) それではそういうことに一応案を立てまして、いずれ委員長理事打合会において決定さして頂きますが、よういうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○委員長(中川以良君) それではさように取計らいます。
  ―――――――――――――
#81
○委員長(中川以良君) なお、先ほど海野さんの御質疑に対し官房長が御答弁を申上げておりましたが、そのうち答弁できない問題は後日お示しをするという問題につきまして、只今工業技術院の柴田熱管理課長が見えておりまして発言を求めております。
#82
○説明員(柴田綱丸君) 熱管理の予算につきましてお答え申上げます。二十八年度の予算といたしまして、これは人件費を除きました金額でございますが、中央の予算が六十七万三千円でございます。それから地方が三十四万二千円でございます。合計百一万五千円、これが二十八年度におきます人件費を除きました熱管理の予算になつております。
#83
○海野三朗君 この予算で十分この熱管理の目的を通して行かれるというお考えでありますか。
#84
○説明員(柴田綱丸君) 私どもといたしましては予算が多ければ多々益々弁ずるわけでございますけれども、現在のところ最少の人員と経費を以ちまして最大の能率を上げたいと努力している次第でございます。
#85
○海野三朗君 このことにつきましてはやはりこれは通産大臣から確たる御答弁をお願いしなければならないと思います。只今の百一万五千円というような一億にも足らないような、こればかりの予算で熱管理の問題は到底やつて行けるものでないと私は思います。で熱管理というと一般に非常に縁が遠いように考えておられますが、根本誤りであつて、それはもう私が先に申しましたように、何ぼカロリーが多くても風呂の中に銅線を突つ込んでおいても銅線は決して熔けない。そうかと思うとこれにアセチレンのフレームを当てれば銅線はたちどころに熔ける。これは何でそうなりますかというと、これは有効温度が大切なんだということであります。あらゆる産業に関しまして、例えば自動車の部分品にいたしましても、或いは特殊鋼のほうにいたしましても、すべて熱を適当に使うということ、この熱管理が根本問題であつて、産業の実に基礎であるのであります。これに対しまして百一万円というような予算では私は到底この産業立国という見地から承服できないのでありまして、このことについては他日やはり委員長のお計らいによつて通産大臣に直接私はこれを御質問したい、こう考えております。今日はこれで私は質問を保留いたします。
#86
○委員長(中川以良君) 畏まりました。
 本日はこの程度にしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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