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1953/03/09 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第18号
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1953/03/09 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第18号

#1
第019回国会 通商産業委員会 第18号
昭和二十九年三月九日(金曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長      中川 以良君
   理事
            松平 勇雄君
            加藤 正人君
            海野 三朗君
   委員
            石原幹市郎君
            大谷 贇雄君
            西川彌平治君
            酒井 利雄君
            高橋  衛君
            岸  良一君
            豊田 雅孝君
            西田 隆男君
            三輪 貞治君
            武藤 常介君
            白川 一雄君
  政府委員
   通商産業政務次
   官        古池 信三君
   通商産業省石炭
   局長       佐久  洋君
   中小企業庁長官  岡田 秀男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員        林  誠一君
   常任委員会専門
   員        山本友太郎君
   常任委員会専門
   員        小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○商品取引所法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○国際的供給不定物資等の需給調整に
 関する臨時措置に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付)
○理事の辞任及び補欠選任の件
○特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出・衆議院送
 付)
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (石炭鉱業における争議に関する
 件)
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
○中小企業信用保険法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 本日は先ず商品取引所法の一部を改正する法律案につきまして政府側より提案理由の説明を聴取いたします。
#3
○政府委員(古池信三君) 只今議題となりました商品取引所法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申上げます。
 現行商品取次所法(昭和二十五年決律第二百三十九号)が施行されましてから約三年を経過いたし、その間に設立されました商品取引所も二十を数えるに至つたのでありますが、商品取引所の公共的機能と性格とに鑑み、且つ又現行法施行後の経験にも徴し、商品取引所の設立を許可制にすると共に、その運営の合理化を図るため、現行制度に適正な改善を加える必要を痛感するに至つたのであります。本改正法律案は、右の趣旨から、それぞれ必要な事項の改正について立法化するために提出したものであります。
 その内容について御説明いたしますと、
 第一は、商品取引所の設立を許可制に改めたことであります。現行法は、自由設立を建前として登録制をとつているのでありますが、商品取引所の公共的機能と性格とに鑑み、投機市場化する虞れがあつたり、その他健全な発達を期待できないような取引所の設立を抑制できるような体制をとることが必要と考えられるからであります。
 第二は、定款の変更及び業務規程のうち、重要事項の変更については、主務大臣の認可を要することとしたことであります。現行法では、これらの変更は、単なる届出で足りることになつておりますが、このような体制は、公正な相場の形成、過当投機の防止又は委託者の保護に遺憾のないようにする見地からは不十分且つ不適当と考えられますので、この点を改善しようとするものであります。
 第三は、商品取引所の運営の合理化を図るために必要な制度の改善を行うことといたしたことでありまして、その主な点を申上げますと、
 一、会員信認金、仲買保証金及び売買証拠金に充用することができる有価証券の範囲を拡張したこと。
 二、議決権及び役員の選挙権については、定款の定めるところにより、書面又は代理人による行使を認めることとしたこと。
 三、取引所は、売買取引の公正を確
  保し、又は委託者を保護するため特に必要があるときは、二以上の商品市場において、又は他の取引所において売買取引する会員又は商品仲買人の純資産額の最低額を定款で定めるところにより加重することができるものとしたこと。
 四、持分を承継して会員となつた相続人又は受遺者は、被承継人の未決済の売買取引にかかる権利義務を承継するものとすると共に、脱退した高品仲買人でも脱退前にした委託にかかる未決済の売買収田の決済を結了できるようにしたこと。
 五、会員の脱退の予告の最低期間については、現行法では六十日となつているのを三十日に短縮したこと。
 であります。
 以上三点のほか、本法律案におきしましては、今次改正を機会に、他の法律との均衡を考慮し、罰金及び過料の額を引上げると共に、その他所要の条文整備を行うことにいたした次第であります。
 本改正法律案の内容は、おおむね以上の通りであります。
 何とぞ慎重御審議の上御可決下さいますようお願い申上げます。
#4
○委員長(中川以良君) 本法律案は参議院先議として政府より提案をされております。本日は一応提案理由の御説明だけにとどめておきまして、審議は次回にいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中川以良君) なお資料の御要求がございましたら、この際にお中出を願います。大体いろいろな資料け出ておりますようですが、後ほどでもよろしうございますから一つお申出を願います。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(中川以良君) それでは次に国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして政府側より提案理由の説明を聴取いたします。
#7
○政府委員(古池信三君) 只今議題となりました国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の有効期限は、本年三月末日までと定められておりますので、政府としましては、更に期限を延長する必要があるか否かについて検討いたしました結果、国際的供給不足物資の需給は、一般的には昨年来緩和の傾向を辿つておりますが、ただニツケル及びモリブデンについては、主要生産国であるカナダ及びアメリカにおいて輸出の調整を行なつております関係上、我が国への輸入は必ずしも順調ではなく、従つて現実には国内の需給も逼迫している状況でありますので、これらの物資について引続き需給を調整することに上り、国民経済の健全な発展を図る必要があると考えましたので、有効期間を更に一カ年延長するため、この法律案を提出いたした次第であります。
 なお、この際品目を整理して、需給の均衡がとれるに至つたコバルト、タングステン及び白金については、附表中より削除することといたしたのであります。
 何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願い申上げます。
#8
○委員長(中川以良君) 本法律案の審議も次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(中川以良君) それではさように決定いたします。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(中川以良君) それではこの際お諮りいたしますが、只今藤田委員より、御都合により理事の辞任のお申出がございました。これを御承認いたしますることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(中川以良君) それでは御承認いたすことにいたします。ついては、理事の補欠を選びたいと存じますが、先例によりまして委員長に御一件を願いたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(中川以良君) それでは海野委員にお願いいたすことにいたします。
  ―――――――――――――
#13
○委員長(中川以良君) それでは特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず質疑を行います。どうぞ順次御発言をお願いいたします。
 ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#14
○委員長(中川以良君) それでは速記を始めて下さい。
#15
○豊田雅孝君 今回トン当り十円と規定せられておりまするが、それをそれぞれ三十円或いは十五円この引上げるその算定の基礎というものについて御説明が従来あつたんならば何ですが、なかつたならばこの際一つ……。
#16
○政府委員(佐久洋君) 最初この法律を施行しまして五年間で特別鉱害の復旧をやります場合には、直接この鉱害を起した炭鉱の出炭については二十円、その炭鉱に所属する、直接鉱害は起さないが、同じ会社に所属しておるというものについては、その出炭については十円という基準で納付金を定めたのでございます。その後今日までずつと仕事を続けて参りましたが、途中にこの労賃の値上り、それから一般物価の値上りというのが相当顕著でございまして、かなり工事量が遅れて、いつの目か納付金の引上げをしなければならんということはわかつておつたのでございますが、どうもこのインフレの傾向と申しますか、カーブがなかなか収まらないということで、止むなく今日まで見送つて参つたのでありますが、これで昭和二十七年に、二十五年当時と比べて見ますと一般物価については五割七分の値上りをしております。それから一般建築資材或いは労賃というようなものについても大体五割見当の値上りを見ております。同時に石炭価格のほうも二十五年当時と比較しますと、最近若干値下りを来たしておりますが、昨年の夏頃は五割ちよつと超えた値上り、それから最近は四割六、七分というようなことで、大体五割の値上げをすればこの工事は期間を若干延長することによつて完了するだろう。こういう基礎でございます。
#17
○豊田雅孝君 大体物価指数に応じてやられたというので、その御趣旨はよくわかりました。
 同時にこの有効期間を二年間延長するという、それについての具体的な説明を……。
#18
○政府委員(佐久洋君) これは最初昭和二十五年にこの法律を作りますときには、その当時の物価、或いは労賃、それから当時の工事量、工事能力でございますが、そういうものから考えまして大体五年で完了するという予定の下に計画を立てたわけでございます。最初は金額としまして七十九億という工事量になるわけでございます。その後昭和二十七年に途中で工事量そのものだけの物価補正をいたしまして、それが九十六億くらいになるわけでございます。で今日まで工事量として完成いたしましたのが金額にしまして大体五十一億でございます。それで今度この法律案を提出いたしますに当りまして先ほど申上げました五〇%の物価補正というものを考えて行きますと、残る工事が五十八億ほどになりますので、単にこの納付金引上げということだけでは賄い切れないと、然らば納付金をもつと上げたらいいじやないかという議論になりますが、これは工事能力という一つの制約がございますので、工事能力と納付金の引上げという両方睨み合せまして年限を二年延長した、こういうわけでございます。
#19
○豊田雅孝君 更に将来延長しなければならないというような懸念はないのですか。
#20
○政府委員(佐久洋君) 只今のところで計算いたしましてもこの納付金自体に一億六、七千万円のアローワンスが見てございますので、若干の労賃の値上りとかいうようなことがあつても十分にそれでカバーし得る、こういうように見ております。
#21
○委員長(中川以良君) ほかに御発言のかたはございませんか。……いずれも他に御発言もないようでございますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。……別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決をいたします。
 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案を採決いたします。本法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#24
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本法案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。
 それから本会議における委員長の口頭報告等、事後の手続につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
 なお報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、本法案を可とせられたかたは順次御署名をお願い申上げます。
  多数意見者署名
    西田 隆男  西川彌平治
    大谷 贇雄  加藤 正人
    豊田 雅孝  岸  良一
    海野 三朗  石原幹市郎
    武藤 常介  三輪 貞治
    酒井 利雄  高橋  衞
    白川 一雄  松平 勇雄
#26
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
#28
○海野三朗君 石炭のことでお伺いいたしますが、炭鉱国管の当時におきましては、労賃というものは炭価の五十数%を占めておつたのであります。昨今はずつと下りまして炭価の四十何%かになつておるのでありますが、組合側のほうのこれは調査を私が読んだのでありますけれども、労賃というものは下つておるのでありますが、その辺はどういうことになつておるのでありましようか。炭鉱国管当時よりも遥かに炭鉱業者は割がいいわけじやないか、こういうふうに素人目には考えられるのでありますが、どういうものでございましようか、その辺ちよつとお伺いいたしたい。
#29
○政府委員(佐久洋君) 炭鉱国管当時の賃金は恐らく原価計算からいうと五七・八%、六〇%近く計算をされたと思いますが、その当時の能率が労務者一人月六トンぐらいに記憶しております。現在は一人平均十一トンぐらいに回復をいたしておりまして、従つて能率の向上しただけ原価に占める労賃の率というものは下つておるわけでございますが、実質的には賃金そのものが収得としては殖えておるわけであります。その間の何と申しますか、炭鉱国管当時のあの原価計算は殆んど償却或いは利潤というものを見てないといつていいくらいの状況でございまして、仮にあのままの姿で国管が解除されたあとも続いたとすれば恐らく各炭鉱というものは全部今頃はなくなつているんじやないかと思います。国管が解除されたあとにおきましては、勿論この財政投資その他の援助というものがありますけれども、償却なり或いは借入金の返済というものは自力でやつておりますので、能率の上つた方面はそういう方面に廻しておる、こういうことでまだ十分の返済もすんでおりませんし、又償却についても十分とは申せませんので、経営自体としては安定した状況に入つたとは私どもは考えておりません。そういう状況であります。
#30
○海野三朗君 その割合から申しますと、つまり給料のほうが少くなつておる。石炭の生産から見れば給与のほうは割合に増加していないというふうな結果になるのではありませんか。それが一つと、又炭鉱方面に国家が融資をしておるお金はどれくらい年々融資しておられますか、それをお伺いしたいのです。
#31
○政府委員(佐久洋君) 勿論能事が向上いたしますればそれだけ原価というものは下つて参りまして、炭鉱国符時代から見れば石炭の経営というものは相当健全な道を歩んで来たということは言えると思います。併し終戦後の借入金の厖大な返済というものはまだ完了いたしておりません。又最近昨年の春あたりからのこの石炭の値下りと申しますか、これは健全経営の下に値下りするという部面よりもむしろ重油とか外国炭とかいうものの競争の関係で止むを得ず値下げをせざるを得ないというような長い目で見れば健全な歩み方でないという値下りが起きておりますので、その点は先ほど申しましたようにもつと改善する余地があるのじやないか、こういうふうに思います。それから年々の貸付と申しますか、財政投資でありますが、これは二十八年度でございますが、これはざつと五十億弱でございます。二十九年度に予定されますのは、これはまだ予算が通りません関係で石炭鉱業に幾らということがはつきりいたしませんが、財政投資全体の枠が非常に絞られておりますので、今までの見通しでは非常にうまく行かない、三十五億程度じやないか、こういうふうに見るのでありますが、それに反しまして、来年度の財政投資に対する返済金が五十数億ございます。この点はむしろ揚超ということになるわけでございます。今日まで炭鉱に投資されました財政投資の総額は総額として恐らく炭住資金その他を入れますると六百数十億になると思います。現在借入残が三百八十億ほどあると記憶しております。
#32
○海野三朗君 一昨年あたりはこの儲けたほうの長者番付に炭鉱業者がずらつと出ておりましたが、同じ炭鉱のうちでも非常に融資に恵まれたるところと恵まれないところとがあるのではないか。こういうふうに私どもは考えられるのであります。そうして相当あそこでは儲かつたやに新聞では報告されてありましたが、あれは事実なんでございましようか。
#33
○政府委員(佐久洋君) しばしばこの長者番付というのが問題になりますが、これは長者番付というのは特殊の炭鉱と申しますか、企業形態から申しますとむしろ異例に属する企業形態でございます。これは殆んど個人経営でございますし、なお宇部地区におきましては特殊な匿名組合制度というあの地方独得の形のものがございますから一般の石炭企業と比較することは私はできないと思います。なお個人経営の場合にその収得全部が如何にも石炭から生れた利益というふうに考えられがちでございますが、これはまあいろいろな仕事を個人でありますけれどもやつておりましてその収益全部に対するものでございます。従つて正確に分析をする場合にはその中で石炭について幾らという分析をした結果論ずべきだと思います。それから確かに、朝鮮ブームと申しますか、あの当時の石炭需要というものは非常に殖えましたので需給関係からいうと値上りして来た。相当の利益が見られたということは一般的に言えると思います。と申しますのは総投下資本に対する利益率という点から見ましても朝鮮ブーム画後に大体一四%程度は上つております。これは、それから二、三年前の例えば繊維とかいう特殊な産業について見られる現象で必ずしも炭鉱地帯だけに見られた現象ではありませんが、若干の時期のズレはありながら朝鮮ブームの影響が相当影響したということは言えると思います。最近の状況はこれが総投下資本に対する利益率というものは一%程度に下つておりまして、一般産業がまだ六・七%、不景気とは言いながら六・七%を維持しているときに石炭鉱業だけは一%という数字を見ても石炭鉱業の経営というものは非常に不況にあるということは言えるのじやないかと思います。
#34
○海野三朗君 石炭は外国炭よりも値が高いというようなことで炭鉱業者が非常に苦境に陥つているようでありますが、つまり賃上げのストなんどでそれで炭価が相当外国から入つて来るものに対抗できるお見通しでありますか。日本内地の炭鉱業者が外国炭に負けないで安い炭を出し得るというお見通しでありますか、それをお伺いしたい。
#35
○政府委員(佐久洋君) 確かに国内炭が外国炭あたりに比べて割高であるということはこれはまあ私どもの悩みの一つの種でございます。それが輸出の関係に、或いは一般物価の引下げという点について支障を来たしているということもこれは否めない事実でございまして、私どもの今考えておりますのは、とにかくあらゆる方法を講じて炭価を引下げようという点でございます。従いまして若しも賃上げというようなことが全然行われないで済むということであればそれはそのほうがいいに違いないのでございますが、只今の何と言いますか態勢、或いは法制上から申しまして、賃上げを全然ストツプするという方法がございません。従いましてその方法は労使双方の自主的な話合いに待つより仕方ないのでありますが、今後の炭価の田下げという点につきましては、毎々申上げますように、相当老朽化した炭鉱の対策については竪坑の対策によつて合理的な炭価引下げを行う。なおその他の炭鉱につきましてもできるだけ機械化するというようなことで能率を上げて炭価を引下げるということを考えておりますが、その方法を講じましても、なお且つ自然条件と申しますか、地下に埋蔵されておりまする条件それ自体が不利なために、どうしても克服できない部面というものは若干残るのではないかというように思うのでございます。
#36
○海野三朗君 古池政務次官にお伺いをいたしたいのでありますが、この賃上げのストライキが妥結した、それで果して石炭が外国炭に負けないだけの値を持つて行かれるかどうか、それに対しての政府当局の御決意、つまり日本の石炭業者もやはり同じ日本人でありますから、どうしたつて食つて行かなければならないのだ。外国炭の安いやつに競争が若しできない現状であるとすれば、それに対する政府はどういうふうな御決意を持つておるか、又その具体的方策はどういうふうであるか、その御所見を承わりたいと思います。
#37
○政府委員(古池信三君) 石炭は言うまでもなく、我が国の地下資源といたしまして、最も重要なものの一つでございます。従つて今後といえどもこの国内資源を十分に開発をして、国内の産業その他民生方面に資するという方針には毫も変りはないと考えます。輸入炭のほうが炭質、或いは値段の点において遺憾ながら条件がいいという場合がありましても、できるだけ輸入炭に依存するという態度は我々はとりたくないと考えております。従つてこれから我が国の石炭をもつと安く能率的に掘るというためには、飽くまでもこれを合理化して行かなくちやならん、そのためにはできるだけ資金も援助いたしまして、石炭を掘る上においてもつと近代化し、機械化をして行く、そうして必要な石炭は十分に国産の石炭を以て賄い得る、こういうような状態を実現したい、かように考えております。
#38
○海野三朗君 只今のその設備の改善などに対しまして、政府はどれだけのお金を融資してやろう、設備の改善には融資してやろうというお考えになつておるのでありましようか、予算に如何ほど計上されておりますか。
#39
○政府委員(佐久洋君) 本年度二十八年度について申しますると、五十億弱の投融資に対し二十億程度が設備改善費でございます。残り二十数億が竪坑、こういうふうに大きく分けて考えております。
#40
○海野三朗君 その際にやはり融資いたしましたときには、政府といたしましてはその金を任しきりでなしに、その事業なり計画なりについてやはりよく見ていらつしやいますか。その辺についての政府としてはどういう態度でいらつしやるか、ただ金をかけただけで、設備の改善に対してただ融資なさつただけでそのまま放つて置かれてはならないのではないか。相当限を光らして見て行かなくちやならないのではないか、こういうふうに私素人として考える。そうでないと、この前昭和電工事件のような放漫なやり方になるのです。ですから炭鉱なら炭鉱に対してこういうことをやつて行くのだというときに、これに専門の見地からでもこれをよく見る人が入つて、そうしてこれは当然であるという確実性を見てから融資して行かれなければならないのじやないか、こういうふうに思われますが、当局としてはどういうお考えでいらつしやるか。
#41
○政府委員(古池信三君) 只今お尋ねの御意見は誠に私も同感に存じます。国家から相当な助成をやります限りにおいては、勿論竪坑の対策と言い、或いは機械の近代化と言い、十分にこれを監督して無駄のないように放漫のないように期して参りたいと存じます。お話のごとく放漫に資金を使うというようなことは如何なる場合から考えましても決して利益のあるはずはないのでありますから、十分に報告も徴し、又こちらの担当者が現場に出向いて調べる、その他の方法を以ちまして監督は飽くまで厳重に且つ適正にやつても参りたいと考えております。
#42
○政府委員(佐久洋君) 只今の御質問に対して補足的な御説明を申上げますが、現実にどういう方法で貸出をしているかということを御説明申上げますれば御理解を願えるのではないかと思いますが、これは単に開発銀行に申請書を出せばそれで金が出るというような性質のものではございませんで、地方に本社を持つているものについては地方の通産局に先ず書類を出します。それから東京に本社を持つているものにつきましては、私どものほうに出しまして、そこで合理化計画なり、開発計画なりというものを詳細に計画の検討をいたしますと同時に、この借りました金額の返済計画についてもかなり突つこんだ検討をいたしまして、あやふやなものについては私どもも推薦するわけには参りません。その間の監督と申しますか、審査というものは相当厳重でございます。なおそのほかに開発銀行でも銀行独自の見地からかなり厳重な審査をいたしますし、又現場に出向きまして現場の調査もいたしますというようなことで、貸出の場合の厳選という点については、私はもう殆んど遺憾の点がないのではないかというふうに考えております。なおこの工事の進捗状況の検査でございますが、これは各地方の通産局が絶えず出向きまして、計画通りやつているかという監督はいたしておりますし、殊に竪坑のごとき一年間では完成しないというようなものについては、一つの継続工事になります。継続工事になりますと、翌年度の開銀資金を借りる場合に怠慢である場合には、必ずそこで問題が起きますので、業界自身としてもよほど自粛しておると見られます。
#43
○海野三朗君 今お話の開発銀行から融資をする場合に、担保というものは、やはりお取りになるのでありますか、担保はお取りになつていないのでありますか。
#44
○政府委員(佐久洋君) 担保はたしか取つていると思います。具体的にどういうものを取つているかということについて今ちよつと私頭にありませんが、担保の話は絶えずしておりますから、これは取つていると思います。
#45
○海野三朗君 中小企業の方面は担保を取つていることは承知しておりますが、開発銀行では担保を取つておりますか。担保を取つていないように考えるが……。
#46
○政府委員(佐久洋君) 詳細なところは私ははつきり費えませんが、私どものところで審査をするときには、絶えず担保の話がいつも出ますので、取つているのではないかと私は考えております。
#47
○海野三朗君 古池政務次官にお尋ねいたしますが、担保は取つていないのじやありませんか、開発銀行は……。如何ですか。
#48
○政府委員(古池信三君) 只今の点は重要なる問題でありまするから、正確なる事実を調べまして後ほどお答えを申上げます。
#49
○海野三朗君 今までの開発銀行のやり来たつたところは、私が寡聞にして今日まで調べておりますのでは、担保を取つていないのです。担保を取つていないときた莫大なる金を融資するということは、まあ石炭の場合などは間違いはないでありましようが、ところが担保を取つているかどうかということ、それが大きな問題になるので、それを担保を取つていないので、それではこれを誰が貸すかということになると、開発銀行の総裁一手で担保がなくても最後にきめられる。つまりこういうことが汚職の温床となるのではないかと、こういうふうに考えられまするから、是非その点をはつきりお調べになつてお示しを願いたいと存じます。
#50
○委員長(中川以良君) 私から一点伺いたいのですが、新聞等を見ますると、今回の争議で以て受けた損害は約四十五億というふうに聞いておりますが、先ほどからお話をだんだん伺つておりますると、来年度も返済の金が五十億である。殆んどその返済の金だけすつてしまつたという恰好になるので、誠にどうもこの争議は遺憾の極みだと存ずるのでありまするが、果してそういう損害の計算が出るのですか、どうですか。
#51
○政府委員(佐久洋君) 生産原価が大体これは月によつて少し違いますが、四千六、七百円、そのうちの固定費というのは二千百円くらいになります。そうしますると、あとの二千七、八百円というものは結局損失、本来入るべきものが入らないということで、そういう計算から申しますと四十数億ということになろうかと思います。
#52
○委員長(中川以良君) この取返しというのはなかなかできないもの手か。
#53
○政府委員(佐久洋君) これは今後の石炭の需要状況がどう動くかということでございますが、石炭の現在の規模で申しますれば、相当増産の可能性はございますので、需要の伴つた増産ができればそれによつて或る程度の回復というものはできるのではないかと、こういうふうに思います。併し来年度に入りまして需要が一向伸びない、掘つても貯炭になつてしまうというような場合におきましては、これの回復というものはなかなか困難じやないか、こういうふうに考えております。
#54
○委員長(中川以良君) 去年の争議ではどれだけの損害になつておりましたか。
#55
○政府委員(佐久洋君) 二十七年度の長期の争議の場合には、今はつきりした記憶がございませんが、たしか百二十億という計算だつたと思います。
#56
○委員長(中川以良君) 百二十億の損を一昨年はいたしておるわけでありますが、今年又ここで四十五億の損をしておる、これは石炭業にとつては非常に私は痛手だと思いますので、そういうような点について、まあこれは労使協調して大いに一つがんばつてもらわんと、今石炭を重油に置換えるとか、いろいろな議論が出ておりますけれども、先般も私は当委員会で石炭業界が墓穴を掘るような結果になるということを申上げたのでありますが、まさにその通りになつていると思いますが、これは重油転換を行政指導なさるのは非常に結構でありますが、こういつた合理化、労使協調の面の行政指導ということをもつと一つ真剣におやりにならんと、私は日本の石炭業界の将来というものは非常に危ういものがあるんじやないかと思いますが、こういう点についてのお考えはどうでございますか。
#57
○政府委員(佐久洋君) 私も全く同感でございまして、先般当委員会におきまして委員長からの御質問を受けました際にもその趣旨は詳細申上げたつもりでございますが、今後の労使のあり方というものについては、やはり現実を直視して、如何にすれば石炭の価格が下るかということと同時に、如何にすれば自分の企業が伸びるかという観点で、これは私は労使双方が本当に活眼を開くと申しますか、まじめに考えれば意見が一致していいところがあるんじやないかと思いますので、そういう点の具体的と申しますか、指導と申しますか、そういう点についてはできるだけのまあ努力は払いたいと、こういうふうに思うわけであります。
#58
○委員長(中川以良君) どうぞ一つ今目先の重油転換とか、或いは外炭の輸入の措置とかいうことをおやりになることは結構でありますが、そういう根本的の対策に対して、もつと政府としては真剣味を持つて一つお当りを頂きたいということを希望いたしておきます。
#59
○海野三朗君 只今非常な損害をこうむつたと言われておるのでありますが、貯炭が売れないで山になつていた、その貯炭がそれが残り少くなつたということであれば、どうせ売れないで放つて置いたものならば却つて結構じやないですか。貯炭をそのまま百万トンなりそれが売れないでそこに寝かしておくということになると、今度は自然発火ということもありますし、そういうことでありますから、幾ら幾らの大損害であるということは直ちにそろばんで考えるほど損害じやないのじやありませんでしようか、局長如何にお考えでありますか。
#60
○政府委員(佐久洋君) 勿論貯炭がはけた部分が全部ストによつてはけたのか、或いはストがなくても或る程度はけたかという見方はいろいろございます。併し貯炭が相当量はけたということは、確かに相当貯炭で苦しんでおりました最中でありますので、一つのこれはいい条件であろうと思います。併しまあ実際に何と申しますか、収入はないが支出だけは殖えたという点は、これが必ずしも全部を細かに計算して四十五億になるかどうかという点はなお検討を要すると思いますが、一応そういう計算もできるんじやないか、こういうふうに思うわけであります。
#61
○海野三朗君 この石炭は外国炭より高い、こうやつておりますというと、又賃上げとかいろいろなことで、いわゆる先ほど委員長から言われたように、石炭が自滅するんじやないかということにつきましては、私も非常に関心を持つておるものであります。つきましては重油とか、つまり石油類、そういうものの輸入に対しては税金を免除しているではないですか、私は非常にそこに矛盾を覚えざるを得ません。一割の関税をかけるのを以て原則としているのに、大蔵委員会で二十六年以来二度三度に亘つて石油の免税を決定しておるのであります。そうして而もこれもその消費者のほうに税金を三割からかけております。そういうことが日本の石炭が使われないような方向になり、手持の石炭が売れない、これは当然なんであります。一割関税をかけるべきものをかけていない、そこに私は大きな矛盾を思うのであつて、その関税をかけるのはどれくらいになつておるかと申しますと、六、七、八、今年の三月三十一日まで約百六十億の関税を取り得るのであります。それを政府が金持だからこれを取らないでいる。これは法律を以て一割かけるということがきまつているのをなぜこれをかけないのであるか。そういうことが一つの石炭業者の圧迫になつているものである。殊にこの一兆円の緊縮予算を言うている内閣がこういうふうな片手落をやつてなぜ関税をとらないのであるか、私はその点に関しては非常にわからないのであります。従つて石炭は重油そういうものから圧迫を食つて来ておる。そうして困つておるじやないか。私は非常にこれわからないのである。一割にしまして、千六百億の輸入をやつておりますから一割をかけても百六十億の関税が取れたのである。ところがそれを取らないでおるものだから重油、すべて製鉄工業の方面においても重油々々と言う。重油に転換する。そういうことが石炭の業者のつまり圧迫になつておるのではないか。これは私は間違つておるやり方ではないかと、こう思うのであります。で砂糖とか、ほかの関税に比べて見ると、砂糖なんぞは一割二分もかけておる、関税に。併しこの石油のほうはかけていないということになつておるのでありますが、これは片手落と私考えるのですが、政府御当局はどういうふうにお考えになつているのでありましよう。これをお伺い申したい。
#62
○政府委員(古池信三君) 油の関税問題はなかなかむずかしい問題だと存じますが、私も税のほうは所管外でありますので詳しい点はわかりませんが、只今御指摘のように大体一割課税すべきものをせずに、年々特例を設けて免除しておつたということにはやはりそれだけの理由があつたのであろうと思うのでありまして、大蔵委員会等におきまする審議の過程をよく検討すれば或いはわかるかも知れんと思いますが、それは政策の問題としましては税金をかけてそれだけ高い油を国内に使わせることがいいのか、或いは税金を免除してそれだけ安く使わせるのがいいのかというこれは全般的総合的に考えなければならん問題であろうと思つております。
 それからその免税が直ちに石炭の需要の減少ということに大きな影響をどれだけもたらすかということも数字的に検討して見ないと簡単には言えないのではないかと思うのでありまして、何しろ今の石炭の値段が国際的に見ましても高いということ、それから油を使えば石炭を使用する場合に比べて設備によつては非常に簡単であり、諸般の手数或いはコストが節約できるというような利便もあるような関係上、従来相当油のほうに転換されて使用されて来たのではないかと考えるのであります。それらがただ一に一割の関税のみが原因であつたとは考えられませんけれども、併し税金がかかる場合に比べればかからん場合はそれだけ安くなることは事実であります。全然石炭の需要に影響ないとは申せませんけれども、その程度は、これは簡単には申上げられんのではないかというふうに存じております。税の関係でありますので、私から責任を以て政府の態度としてお答えを申上げることは少し越権であろうと思いますので差控えたいと思います。
#63
○海野三朗君 只今の御答弁伺いましたが、私がお伺いいたしますのはそういうふうな通産行政ではいけないじやないか、石炭がつまり高いからしてますます使われない、つまり国内の石炭が消費されないような方向になつておるんではないか、そういうことが通産行政としてはまずいのではないか、これを申上げるのです。で油が一割の関税とおつしやるけれども、一割にしても大したものだと私は思うのです。で消費は三割余をかけておりますが、砂糖なんぞはもつともつと十割以上もかけておるようでありますが、油は三割ぐらいにしてある。そういうことが非常に使用する人にはいいかも知れませんけれども、国全体として考えて見れば間違つているじやないか、石炭のほうとも睨み合せなければいかんじやないか、こういうふうに私は考えます。税金のことにつきましては通産の管轄ではないかも知れませんけれども、そういうふうな税金を大蔵省できめるということ、きめる際に通産としてはそのままにしておいてはいけないのじやないか、幾らかでも石炭を助ける方向へ行かなければならないし、又一割の関税をかけるというのが法律でもきまつているのである。それを特例を設けて二十八年度まではかけないということにした。それは如何なる理由があつたのかわかりませんけれども、大蔵委員会の採決を調べて見まするというと、甚だ納得の行かないきめ方があるのであります。でその一割の税金はどれだけになるかというと百六十億になる。実に莫大なる金である。こういうことが今日のいわゆる疑獄、汚職の疑いの的になるのであります。東洋の諺にも李下に冠を正さずという言葉がありますが、こういうふうなかけなければならないものを何故かけないでおるのか、私はこれが国民の疑惑を生ずべき大きな問題だと思うのです。でこれは通産当局といたしましても石炭をどうしてやつて行くか、税金は幾らかけられてもそれは知らんという態度ではおられないのではないか。それで燃料という方面、税金からすべてを考えてこの通産行政をやつて頂かなければならないのである。こういうふうに私は考えるものでありまして、この関税については非常に関心を持たざるを得ないのであります。でこの前大蔵委員会で一年間、又一年間ということでこのいわゆる石油の輸入業者にそれだけの恩典を与えておる。まあいわば率直に言えば恩典です。その業者が税金を払わないで、つまり使用者に末端側に税金をかけておるという形になる。ここが国民の疑惑を生ずる点であると私は考えるのであります。この点について御所見を承わりたいと思います。
#64
○政府委員(古池信三君) 私は一割の関税を特例法によつて免除しておることについて汚職があるとは信じておりません。又原油の輸入についてそれだけ課税をしないということによつて石油業者、製油業者のみが利益を得るようなお尋ねもございましたが、私はそうではなくて、それが延いてはやはり製品にも影響し、国民全般がそれだけ安い油を使うのでありますから、国民の利益になつておると、かように考えます。ただ問題は先ほど当初にお話になりましたような、そのために石炭業者に対して悪影響を及ぼしておるのではないかという点は私は若干はそういうことは是認できると思います。併しその影響の程度というものはどの程度であるかということはこれは簡単には言い切れないのではないかということを申上げたのでございます。
#65
○海野三朗君 私はその点について何も汚職とか何とかいうことを申上げたのではありません。ただその一割の関税を取るべきものとなつておるのに特例を設けて取らないということは国民の疑惑を引くのではないか、ということを私は恐れるのです。そういうことが数多く政治の上に現われて来ると、国民が政治に信頼しなくなつて来る。これは私は重大なる問題であると考える。その点からして、やはりかけるべき関税はちやんとかけるのが本当であり、取るべきものは国家の収入として取るべきが本当である。特殊なものに特別の恩典を与えるということはいけないのじやないかということを私は申上げます。その御所見を承わつたわけであります。
#66
○政府委員(古池信三君) お言葉を返すようで甚だ恐縮でありますけれども、私は極く一部の特殊のものだけに恩典を与えるということには考えないのでありまして、それだけ輸入税が安くなれば、これを使用する国民のあらゆる階層に対していい影響を与えるじやないか。例えば、この油を使つて、水産、漁業に従事する人であるとか、或いは油を家庭の燃料として使う人というような人までも、その減税の恩典ということは、あまねく行き及ぶわけでありまして、単なる一部の製油業者のみがその恩典にあずかるという性質のものではないと考えておりますので、その点はどうか御了解を願いたいと思います。
#67
○海野三朗君 然らば何故に関税一割を取つたのでありましようか。どこにその恩典が及んでおるのでありましようか。輸入業者に恩典が及んでおるのは当然でしよう。一割も安いものですから私はそれをお伺いしたいのです。それは輸入業者の六、七人の会社を恵んだに過ぎないのです。一割だけ安く入れたのですから……。
#68
○政府委員(古池信三君) 実は私のお答え申上げますることを、或いは表現の仕方がまずいのでありますから御了解を願えないのかと思いますが、仮に一割関税がかかるとすれば、その原油を元にして精製した油というものは、やはり算術的に簡単に考えましても一割だけ高く売らなければならない。こういうことになります。従つて、その製油を使います国民全般は一割だけ生活費が高くなる。従つて二、三の業者が利益するものではないということを申上げたつもりであります。
#69
○海野三朗君 そこです。今次官言われる言葉はそれは当然です。それだけ値が高くなつて行くのですから……。併しながら一割の関税を免除したということは、その業者が納める金が減つたということになりましよう。そこに恩恵を与えておる。その恩恵を与えたことが一割の関税を免除されることになつておるのです。そうなつて来るんです。それを一割の関税、それならばそれでかけたらいいんじやないか、かければかけただけあとが高くなつて行く。それは当然でしよう。かけただけ、かけた分だけ高くなつて行く。それは当然です。それを一割を関税を免除したというところに、その業者の輸入するお金がそれだけ減つて来るということです。明らかにその業者が恵まれた。こう言うのほかありません。これは数字的に考えてもそうなんです。これは当然です。そこが国民の疑惑の生ずるところだと私は思うのです。そういうことは一切やるべきものではなくて、一割の関税をかけるなら一割の関税をかけて、当然それを取るべきものじやないかと私は言うのです。例えば今の原毛課税、繊維課税の問題、原毛にかけるべきものを原毛のほうから反対されたからやめて、今度繊維のほうにかけて行く、それはどつちにしても値は同じでありましよう。ただ出すほうは違うのです。原毛の業者のふところから出すか、末端のほうから出させるかという違いで、値段に変りはないのですよ。そうなんですよ。ここが国民から疑惑を招くところであろうと申上げる。
#70
○西田隆男君 私から二、三点お尋ねします。ストライキの問題と重油の問題で、日本における石炭鉱業はどうあるべきかと非常に重要な問題にまで今日は発展して来たものでありますから、私は黙つておるつもりでしたが、一、二お伺いしたい。これは古池さんには無理でございましようから石炭局長にお尋ねいたします。私はかねがねこの委員会で、この前の通産大臣のときもそうであつたのですが、石炭が高いと言われている。併し今市場における石炭の販売価格は皆さんがおつしやつているような販売価格ではない、こういうことを価格を挙げて実証いたしました。その上佐久さんもそうだが、竪坑七十九本の開鑿をすることによつて三割下るからというのが、一昨々年頃からのあなたの持論でした。通産大臣は、依然として、この国会においても、一割ぐらいは下つているからもう二割下げたい、こういう要求をしておられる。そこで私はいつもあなたに質問しているのは、石炭鉱業の生産原価を厳密にお調べになつて、その原価の中のどういう費目から、どれだけのものを節減できるんだということを、一つ具体的な数字を出して御説明願いたいということを、通産大臣にも要求したし、あなたにも要求したと思うのですが、いつもあなたの御答弁は、極めて抽象的な答弁しか頂けない。従つていつまでも国民一般の石炭の価格というものに対する疑惑が解けない。今日のあなたの答弁を聞いておつても、増産によつて生産費を低減するのだ、設備の改良によつて、生産費を減少するのだということは抽象的にお話になりますけれども、具体的には一つもお話にならない。これを一つ、これは通産省ではすぐできることなんですから、石炭の生産原価調べを行なつて、その費目のうち、どういう費目をどの程度節減する、それによつて全生産原価がどの程度低減される、現在の石炭の生産能力はどれくらいである、従つて国内でこの石炭の消費が完全に行われるような政策をとりますれば、増産による生産原価が幾ら低減される、今のまま重油を外国から輸入するという建前をとれば、日本の石炭の消費量は幾らになるのだ、而して日本の石炭鉱業の現在持つている生産の能力というものに対して、行政的に何らの措置を講ぜねばならんか、しなくてもよろしいかというような点を、抽象論じやなくて具体的に、一つこの委員会で実証して御説明願いたい。そうしなければいつまでもこの石灰の価格の問題について、国民の疑惑が解けない。従つて石炭を使うほうの人たちも、石炭というものが本当にノルマルな状態で、日本経済運用の面に役立つようにするためには、価格はどれだけ下るのだ、どれがノルマルないわゆる石炭の価格なんだということも、恐らくわからないだろうと思う。これはもう通産省としては、非常に大きな責任である。この前も申上げたように、日本で使つて余るのは石炭だけだ。それと人間だ。ほかには何にも余るものはありません。出せるだけ出して、余るだけの設備と力を持つているものを、国内の消費減退のため産業に非常に大打撃を与えるということは、政治的に見ても非常にまずいことだと私は考える。従つてこれに関連して通産省は重油の輸入をどうするか、外国からの輸入をどうするかという問題も関連して考えなければならんと思う。そういうことを、楯の一面だけ見ないで、縦横の両面、裏表から見て、そうして通産省としての結論を出して、日本における石炭鉱業のあり方はかくあるべきだという結論を出して頂きたい。今日はここで御答弁は無理だと思います。だから資料を出した上で、一つ御答弁願いたい。
#71
○政府委員(佐久洋君) 只今の西田委員からのお尋ねは、私どもが常に考えていることでありますが、只今資料を持合しておりませんので、いずれ資料を整備しました上で、又御説明申上げたい、こういうふうに考えます。
#72
○委員長(中川以良君) 石炭局長から、先ほどの海野君の御質疑に対する御答弁の資料ができましたので、答弁されますから、先にそれを求めます。
#73
○政府委員(佐久洋君) 先ほどの開銀の融資について、担保を取るかどうかというお話がございましたが、原則として保証人は必要といたしませんが、担保は取つております。担保の対象となりますものは、設備或いは鉱業抵当法による鉱業財団であります。
#74
○海野三朗君 今古池政務次官にお伺いいたしましたことについての御答弁はこの次に一つよく御調査頂いて明確なる御答弁を願いたいと思います。
#75
○政府委員(古池信三君) 先ほど来の御質疑に対しましては私考えておることを率直に申上げたのでありまして、あれ以上資料と申しますとどういうような資料を御要求になつておるのでしようか。
#76
○海野三朗君 私先ほど申上げましたことを要約いたしますると、関税をかけるべきやつをなぜかけないであつたか。二十六、二十七、二十八年の三年間なぜ一割の関税をかけないで来たか。一割関税をかけなければそれだけ安く業者に行くじやないかという御答弁でありましたけれども、それは関税一つもかけなければすべてそう行くべきはずでありますが、関税をかけないということはこれは確かに特例でありまして、どれくらいの関税になつておるかを調査いたしましたところ百六十億になつておる。実に莫大なるお金であります。それを取らない。結局誰が利益するのかということになりますと、輸入業者がそれだけ金を積まなくてもいいのである。そこに業者に利益があるのです。非常に業者は恵まれた立場にあるのであります。それを私は申上げたのです。その一割の関税をなぜ取らないか。ほかのものはかけておりながら、なぜ原油に限つて、石油に限つてかけないのであるか。国家が窮乏しておる財政状態において、それにかけないということはいけないじやないか。それをかけないということにするためにはここに相当な国民が納得する理由がなければならん。併しどの方面から考えても恐らく納得できないのであります。これを要約すると、石油の輸入業者、精製する会社の利益を図つてやつたとしか考えられない。これは常識であります。そういうことが国民の疑惑を招き、汚職の温床となるのではありませんか。そういうことを私は申上げた。その一割の関税をなぜかけなかつたか、我々の納得のできる理由を承りたい。大蔵委員会でこれは前にきめております。その人の名前も皆わかつております。わかつておりますが、そういうことが政府のあり方としてはまずいじやないか。又通産といたしましても、今重油のほうに関税をかけない。従つて石炭業者のほうが困る。そればかりではないでありましようけれども、幾らかでも石炭業者が仕事をやつて行ける方向へと通産行政を運んで行かれるべきではないか。それは大したことじやないからと言つて、これを捨てておくわけには行かないではありませんか。あらゆる方面から、石炭業者も炭鉱の労働者も立つて行かれるようにしてやらなければならないじやないか。こういうことを私がお伺いしたので、それに対してはつきりした御答弁を承わりたい。今簡単に或いはお答えになられないかも知れませんが、そういう場合でしたら、後日に譲りますけれども、その点を私は率直にお伺いしたわけであります。
#77
○委員長(中川以良君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#78
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 それでは石炭問題に関する質疑は本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#80
○委員長(中川以良君) それでは次に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案並びにこれに関連をいたしております中小企業信用保険法の一部を改正する法庫案に関しまして内容説明を聴取いたします。
#81
○政府委員(岡田秀男君) 中小企業信用保険法の一部改正をいたしまする法案と、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案と併せて御審議を願つておるわけでございます。その両方につきまして、一応提案理由といたしまして、なぜ御審議を願うかということの趣旨を御説明申上げたのでございまするが、更にそれをやや具体的に敷衍して説明さして頂きたいと存ずるのでございます。
 先ず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の要綱について申上げたいと思うのでございまするが、先ず改正の第一点といたしましては、中小企業者の定義中に新たに消費生活協同組合及び同連合会を加えることといたしたのでございます。消費生活協同組合は国民の自発的な生活協同組織といたしまして、組合員の生活の安定と生活文化の向上を期することを目的といたしておるのでございます。その事業といたしましては、組合員への奉仕をいたすものであり、営利を目的とするものではないのでございます。併しながらこの点につきましては、例えば農業協同組合が組合員に諸般の物資を販売するような仕事をしておりまするのと事業内容においてはほぼ同様のものでございます。組合の行う事業それ自体の内容から申しますれば、何ら中小企業者の行う事業と区別する理由がないように考えられるのでございます。又消費生活協同組合の組合員たる資格は消費生産協同組合法によりまして一定の地域内に住所を有し、又は一定の職域内に勤務する者であるならばよろしいのでございまして、構成員は中小企業者であることを要しないのでございますが、この点を以ちまして消費年活協同組合を中小企業信用保険法の適用から除くということは不適当ではないかと考えるのでございます。例えば、屁理窟ではございまするが、株式会社の株主或いは農業協同組合の組合員等におきましても、中小企業者ではない、或いは中小企業信用保険法の適用業種に属する業者ではないというふうな場合が多々あるのでございます。他方消費生活協同組合は全国で千六百余の多きを数えておりまして、その多くが資金の融通難を訴えておるのでございます。従いまして、農業協同組合或いは漁業協同組合等を保険法の対象といたしておることと併せ考えましてれ新たにこれを保険の対象に加えたい、かように考えておる次第でございます。
 第二の点といたしましては、各府県にございまするところの信用保証協会を相手方といたしまする保証保険の中にこれらの保証協会が付保し得る債務の保証を手形の割引にも適用いたしたいと考える点でございます。通常手形割引の対象となる手形は、期限が六十日とか、長くても九十日のものでございまするが、この信用保険法におきまして、一般の金融機関が直接貸付けまする貸付を対象とする融資保険におきましては、六カ月以上の長期のものに限りましてこの信用保険に付け得るということにいたしております関係上、この手形割引のような、六十日とか九十日とかいうふうな短期のものは、現在の情勢からいたしまして、信用保険に付け得るということにいたしましても、全く意味がないのでございます。従いまして信用保証協会が保証をいたしました場合に限りまして、この手形割引を、信用保険の対象に付け得るということにいたしたのでございます。
 第三といたしまして、指定法人、つまり信用保証協会を相手方といたしまする小口保証保険制度を新らしく作りまして、この協会が小企業者の金融機関に対して負担する債務の保証をこの保険に付けます場合には、保証をした債務の額が、小企業者一人につきまして合計十万円、その小企業者が中小企業等協同組合でございまする場合は、合計三十万円でございまするが、この十万円乃至三十万円を超えないものに限りまして、保険金額を保険価額の百分の八十に引上げる、つまりいわゆる填補率を、普通は百分の六十でございまするものを、この場合に限りまして面分の八十に引上げるという途を開くことにいたしたいと考えております点が第三であります。この保険の適用を受けまする小企業者とは何であるかと申しますと、資本の額、又は出資の総額が五十万円以下の会社、これが一つでございます。又常時使用する従業員の数が五人、商業又はサービス業を主たる事業とする事業者につきましては二人、人数で言いますると五人又は二人以下の会社又は個人でございまして、従来と同様にこの保険法に指定してある事業を行うものが先ず第一であります。その次が出資の総額が五十万円以下の中小企業等協同組合、農業協同組合、同連合会、水産業協同組合、森林組合、同連合会、消費生活協同組合、同連合会でございまして、特定事業を行うもの、又はこれらの組合でございまして、その構成員の三分の二以上が前段に申上げましたものに該当する、つまり資本金額又は出資額が五十万円以下の会社であるとか、常時使用する従業員の数が五人、サービス業、商業等におきましては二人というふうな程度のものでございますればよろしいというのが第二であります。
 第三は医業を主たる事業とする法人でございまして、常時使用する従業員の数が五人以下のもの、この三つのものを小企業者と観念いたしましてこれについていわゆる小口の保証保険制度を創設いたしたい。これによりまして今後予想されますところの小口の金融の疏通に資したいと考えておる次第でございます。この信用保険法の改正をお願いいたしておりまする要点は、さような点にあるのでございます。
 それから中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案のほうについてでございまするが、先ず第一の改正をお願いいたしておりまする点は、中小企業者の定義中に、新たに塩業組合、消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会を加えること、これでございます。消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会につきましては、先ほど信用保険法の点について御説明申しげたのでございます。塩業組合につきましては、これは従来は中小企業等協同組合法に基いて、組合が結成されておつたのでございますが、昨年の国会におきまして、塩業組合の運用上、例えば一人一票という制度を、出資額の六分の一の限度内におきまして、一人一票の制度を変えて多少この資本的な色合いを付けるというふうな点を加味して、法律改正をいたし、そして塩業に関しまする限り中小企業等協同組合法から離れまして、別途塩業組合を作られたのでございます。内容から申しますれば、全く塩業協同組合と申して差支えのない内容のものでございます。これは従来においてれあらゆる面において協同組合として取扱つて来たものでございますので、今度法律改正があつて、名前が塩業組合になりましたけれども、これは公庫の対象に加えて然るべきじやないか、かように考えて加える次第であります。
 第二の点は、今回予算が成立いたしますというと、公庫に対しまして新たに二十五億円の出資増と相成るわけでございます。従いまして昭和二十八年度におきまする、政府の一般会計からの出資金百三十億円と合せまして、公庫の出資金を百五十五億円といたしたい。これが改正の第二点でございます。なお細かい点ですが、登録税法の一部を改正いたしまして、中小企業金融公庫に関係のありまする登録税を非課税とするように所要の改正を行いたいと存じておるのでございます。以上が改正をお願いいたしておる点で、ございまして、これらによりまして、この公庫の運用上一段と中小企業者にお役立ちいたしたい、かように考えておる次第であります。
#82
○委員長(中川以良君) 御後段の資料に対する御説明ありますか。
#83
○政府委員(岡田秀男君) お手許に配付いたしてありまする資料としては、只今消費生活協同組合並びに塩業組合につきまして、若干の御説明を申上げたのでございますが、これらの消費生活協同組合並びに塩業組合が、現在どういう状態になつておるかという資料を差上げてあるのでございます。先ず厚生省の調査によりまして、昭和二十七年三月末の消費生活協同組合は、どういう工合にあるかという点でございまして、これによりますれば総計で五百七十二の組合がある。それをまあ中小企業の信用保険内の指定業種として該当いたしまするものは四百五十四くらいに相成るであろうというふうな点をここに掲げておるのでございます。これは利用事業別の組合数の表でございます。なお念のために消費生活協同組合という名の付いておるもの全部を計算いたしますと千六百十九組合ある。その千六百十九組合のうち、こういうふうな仕事の内容として私どものほうの問題になりそうなものを挙げて見ますると五百七十二ある、そのうちこの信用保険等の対象になりそうなものは四百五十四である、こういうふうにこの表を御覧願いたいのでございます。
 それからその次は塩業組合の現況調でございまして、塩業組合のうち、共同製塩をしておる組合と、それから塩の製造業者がまとまつておる組合と二色、それに塩の濃い水だけを作つておるものの組合と三種類ございまして、合計で六十七組合がある、そのうち地区塩業組合が三十五、事業協同組合が三十二というふうなものに相成つておるのであります。塩業組合の連合会は七つある。これが現在の塩業組合としての状況でございます。
#84
○委員長(中川以良君) 御質疑をお願いします。
#85
○豊田雅孝君 両法案一緒に質問をいたすことにいたします。中小企業信用保険法の一部改正法樺案につきましては五点質問をいたします。中小企業金融公庫法の一部改正法律案につきましては二点質問をいたします。
 中小企業信用保険法の一部改正法律案に関して第一に質問したいと思います点は、今回の法律によると、小品は十万円ということになつておるのでありますが、これを国民金融公庫法に比べますと、同法の第十八条には「小口貸付の業務を行う。」ということになつておるのでありましてその小口というのは二十万円になつておるのであります。更に十人連帯で行けば二百万円までも貸せるということになつておるのであります。この国民金融公庫は要するに小口の融資をやる専門金融機関でありまして、その小品貸付がすでに二十万円になつておるのにかかわらず、今回はその信用保険の対象とする小口というものを十万円にしておるというところに矛盾があると思うのであります。それからもう一つは、先般風水害の被害小企業者に対しまして利子補給の特別措置法を通過させたのでありますが、これにおきましても、その小企業者の融資、要するに小品融資というものは二十万円で、これとも矛盾をするということになるのでありまして、従来小品と言えば二十万円ということが法律並びに慣例上普通であつたにかかわらず、今回特にこれを小品で十万円にしたというその趣旨を伺いたいと思うのが第一点であります。
 それから第二点は、今回かような小口の信用保険の新らしい制度ができたのでありますが、大体から見まして金融機関は保証を付けてまで貸出すというような金のゆとりがないというのが今日の現状でありまして、今回新たにかような制度を一つ加えられたのでありまするけれども、それに伴つて当然新らしい資金源というものを見なければいかんということになると思うのでありまして、この点に対する用意はどうかという点を伺いたいのであります。
 第三点は、従来から保険料が高いがために、一般の金融機関がこれを利用しないということが非常に問題になつておつたのでありまして、この点については最も保険料の引下げが喫緊の要務だというふうになつておつたのでありますが、今回それがあろうかと思つて実は期待しておつたのでありまするけれども、依然として保険料の引下げがない。これについて如何に中小企業庁が努力せられ、又その努力の結果にもかかわらずかような状態になつたというところは甚だ遺憾に思うのでありますが、その経緯を率直に詳細承わりたい。
 第四点は、指定法人が付保し得る債務の保証を手形の割引にも適用できるようになつたということは誠に結構であります。これは要するに間接に短期保険を認めたということになると思うのでありまして、然らば指定法人に関するものでなく、一般の信用保険についても短期保険をこの際なぜ認めないのかということを伺いたいのであります。それに関連いたしまして、これは前国会かにおいても質問したのでありますが、二つの府県以上に跨がる連合会に対して、指定法人に対して今度新らしい制度ができましたけれども、これは活用ができるのかどうか、この点を伺いたいのであります。
   〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
 最後に第五点でありますが、これは今回消費生活協同組合を保険の対象にせられるようになつたことの今事情を聞きまして御尤もの点もある。要するに消費生活協同組合という一つの制度がある以上、これにも融資の途を開いて行くのがいいんじやないかということは御尤もであります。併しながら消費生活協同組合というものは、御承知のように場合によると従業員も無報酬である。それから又その営業場においても、場合によると会社等から無償で提供するというようなものが非常に多いのでありまして、そういう点においてコストが普通の中小企業者とは非常に違う。そこにおいて競争ができにくいというところへ中小企業者は立たされているのでありますが、今回消費生活協同組合に対して、金融なり或いは信用保険の途が開かれていることは、一面においてはいい傾向ではありまするけれども、これが順調に行くということになりますると、消費生活協同組合はいよいよコストの点において、又金融の面において恵まれるが故に、中小企業者がさなきだに苦んでいる際に、中小企業者を非常なる苦境に陥れるということになつて行くわけであります。従つて消費生活協同組合というものと中小企業者、或いは中小企業者の協同組合との利害関係をどういうふうに調整するか、消費生活協同組合にはどういうふうに今後指導して行くか、その指導によつて中小企業者との利害関係がうまく調整して行くようにしなければいけない。それを前提にして初めてかような制度というものが国家的にできて然るべきものであるということになると思うのでありまして、若しもこれを今申すような両者の深刻なる利害の調整というものに対して基本の方針を確立せずして融資の途をつける、或いは信用保険の途をつけるということになりますと、さなきだに従来非常に問題であつた点が激化せられるということになることは火を見るよりも明らかなことでありまして、この点についてどういう対策を立てられているのか、その点を伺いたいと思うのであります。
 それから中小企業金融公庫法につきましては二点質問をいたしますが、その一点は、今回予算修正で中小企業金融公庫の二十九年度の資金源というものは百八十九億になると思うのであります。これを月割にいたしますと大体十五億でありまして、これを取扱う店舗の数は六千以上に今日なつておるのであります。一つの取扱店舗当りにいたしますると、恐らく二十五万円くらいにしかならない。にもかかわらず、法律の建前は一千万円貸す、或いは組合である場合には三千万円も貸す、そこが余りにも羊頭狗肉であるということになると思うのでありまして、かようなさなきだに少い資金源を小さく配分いたしておりますると、全く焼石に水という文字通り焼石に水になるのであります。折角の金が伸び伸びと十分に使えないということになるのでありますが、これに対する対策をどういうふうに立てられておるか、これは今日中小企業金融公庫の私は最も大きな欠陥の一つだと思うのでありまして、これについてはつきりした対策を伺いたい。
 それから第二の点は、中小企業金融公庫法には特定業種というものがあるのでありますが、例えば理髪業等のものが入つておらんのであります。今日理容業は国民金融公庫から借りたらいいじやないか、それだけでいいじやないかというふうにするのは非常に酷だと思うのであります。なぜかならば国民金融公庫の二十万円の金では間に合わん営業状態に理容業等はなつておるのでありまして、折角中小企業金融公庫ができておるにもかかわらず特定業種の指定を厳重にする私は意味がないと思うのです。これはこの際緩和をしてそうしてその実情に応じて貸出の徹底さえして行けばいいじやないか。初めから中小企業金融公庫の利用ができない仕組にするのは非常によくないと私は思うのであります。従つてこの特定業種、例えば理容業などについてはこの際これを緩和すべきだ、特定業種に追加すべきだと思うのでありますが、それについての御意見を承わりたいのであります。以上であります。
#86
○政府委員(岡田秀男君) 信用保険の改正の法律に関連いたしまして六点の御質問を頂いたのでありまするが、第一点といたしましては小口保険の限度が十万円であるのは少きに過ぎるので、例えば風水害の関係であるとか、或いは国民金融公庫の甲種の貸出のほうが二十万円になつておるという、二つのものと比較しておかしいじやないかという御質問があつたのでございますが、確かに一つの御見解と存ずるのでございます。ただまあ新らしく制度を作りまして、小口分について信用保険を少し緩和した条件でやつて行こうということになりますと、一方におきましてはこの特別会計が独立採算でやつて行かねばならんので、これに大きな危険を伴うかどうかという点が、一つのものを考える物差になるのでございます。一方におきまして現在の中小企業の月平均一件あたりの貸付金額、これを押えて見ますると、相互銀行が十五万円程度、信用金庫もそれと大差ない金額でございまするし、国民金融が公庫におきましてもやはり十五、六万円程度であります。信用保証協会の一口当りの平均付保金額は一口三十五万円くらいになつておる。これは全国の資料はなかなか取りにくいのでございますが、東京の信用保証協会の保証件数の中で十万円未満のものを押えて見ますると、約四〇%程度になつておるというふうな点を睨み合せまして、一方では新らしい制度を作るのであつて、これがどの程度行くものであるかということを一応見てみたい。そうして一方において中小企業の貸出の平均というものが大体十四、五万円程度である、或いは東京の信用保証協会の保証件数の中で十万円未満のものが四〇%くらいあるんだというふうな点を押えて見まして、先ず十万円でスタートして見て、それによりまして行く行くは二十万円に持つて行くということも考え得る次第でございまして、私どもといたしましては大蔵省といろいろ相談いたしましたのでございまするが、先ず差当り十万円で成績を見てみようじやないか、それによつてよければ二十万円に持つて行くということを早急に次のステツプとして考えて見ようじやないかということで、先ず差当り議論のみ多くした時機を失するよりも、いろいろのデータの点から一応十万円というものを入れるという見通しをつけたのでありますから、先ず多少欲を申しますれば少な過ぎるという点はあるかも知れないけれども、早く実施しようじやないかということで十万円にいたしたのであります。その辺の事情を御諒察願いたいのでございますが、二十万円にするのは反対ではないのです。この様子によりまして二十万円まで早く持つて行きたいという希望を私ども持つております。
 なお資金源の用意の点でございますが、これは御趣旨としては誠に御尤もでございまするが、特に政府の手で、例えば相互銀行でございまするとか、或いは信用金庫であるとか、その他中小企業、商工中金でございますとかの資金源を政府で面倒を見るということになりまするというと、過去における事例から申しますと、いわゆる指定預金を政府がやるということがあつた、或いは商工中金につきましては商工中金債について資金運用部で或る一定のものを引受けてやる、この程度しか用意がないわけでございます。そして一方におきましては本年度におきまして、財政の点で膨脹を避け、又一方において金融の引締めをやつて行くという態勢から、一応この指定預金というものは引揚げるという態勢をきめたわけであります。併し三月一ぱいで引揚げるという急激なる変化を中小企業の資金源に与えることは不適当であるという意味におきまして、一応九月までに分割して返還をしてもらうという手を現在きめたところでございます。さような意味におきまして、積極的にこの資金源を国でどうこうするというところまでは今のところ手を打ちかねるのでございまするが、まあ私どもといたしましては、だんだんデフレの様相になつて参りますれば、預金が或る程度増加して来るというのが普通の傾向のように、過去における例から見ますると、さようなことが見受けられるのでありまして、これらの金融機関の努力によりまして、資金源の或る程度の拡張ができますることを念願をいたしておる次第でございます。
 保険料の点につきましては、これはもう信用保険制度について何らかの話が始まりますれば常に問題となる点でございまして、現行の融資の保険なり或いは金融機関を相手方といたしまするところの保証保険の保険料が年三分、それから指定法人を相手方といたしまするところの保証保険が年二分というこの保険料が今少しく下げ得られますならば、この制度を利用する中小企業者も大いに喜ぶでありましようし、又その一部を負担しまする金融機関としてもこの制度を一層利用しやすくなるであろうということにつきましても、全く異存はないのでございまするが、この保険料の問題につきましての根本の障害は、この中小企業信用保険特別会計を独立採算制でやつて行く、つまり保険というものは性質上保険料と、それから保険金の支出というものが見合つて行くべきものであるという建前、この根本原則を崩さんということにいたしまするならば、やはりこの保険料と保険金との差引きについての或るしつかりした統計資料が出て参りまして、現行の保険料をどの程度下げてもこの独立採算上差支えはないのだという確信を得ませんというと、どうも手をつけかねるわけであります。が併しこの指定法人、つまり信用保証協会に関しましてはともかくもこれが保証をいたします場合に、自分で保証すべきや否やの審査をいたしておるのであります。金融機関を相手方とする保険におきまして全然この特別会計が無審査で逆選択を完全に許しておる場合とは若干事情を異にいたしまするし、又信用保証協会におては保険料の転嫁ということが殆んどむずかしいという実情もございまするので、昨年の法律改正によりまして指定法人、つまり信用保証協会に関するものについては、年一%を下げたのでございます。この小口保険におきまして、填補率を従来六〇%から八〇%に引上げましたけれども、保険料は二%に据置いておるのでございまして、この辺でまあ私どもとしましては、或るべく保険料を下げて行きたいということの微意の一端を表わしたものというふうに御理解を願えれば幸いと存ずるのであります。
 第四点といたしまして、手形の割引を信用保証協会を通じて、この保険制度の中に織込んだのであれば、他の金融機関の関係においても同様に認めたらいいんじやないかというような御見解であつたかと思うのでございます。これもものの考え方でありまして、さようなことが保険技術上できんということではないと思いますけれども、先ほど申しましたように金融機関と保険の特別会計とは、いわゆる無審査、逆選択が完全に認められておるのでございます。三十日とか、或いは六十日、九十日とかいう手形を保険に引取るという場合においてれこれを完全に逆選択の状態において、これを保険として見得るかどうか、又その件数がどの程度保険にかかつているかにもよると思いますけれども、相当の付保の或績が挙つて来るものといたしますと、今の準備において、直ちにこれに応ずることは不可能じやないかというような関係もございまして、差当り信用保証協会という一つの関門を通つて来る場合に限りましてれ手形の割引を認めるということにいたしたのでございます。信用保証協会をつまり活用して、今回の小口保険なりいろいろの運用をいたしておるといたしまして、金を借りる人の事業が二府県以上に亘るものはどうであろうかということでございます。これはその中小企業者の主たる事務所がどこにあるかということによりまして、利用すべき信用保証協会を区別することによつて運用して頂いて差支えないじやないかというように、現在のところ私どもは考えておるのでございます。
 なお消費生活協同組合の関係についてお尋ねがあつたのでございます。これはいろいろそれは見解もあろうかと存ずるのでありまして、特に小売商と消費生活協同組合との関係等につきましては、いろいろ問題があろうかと思うのでございます。併しこの点は、農業協同組合がいろいろな物資その他を購入いたしまして、組合員である農業者に分配をするということと、法律上全く同一の機能を営んでおると考えられるのでございまして、この中小企業金融公庫を作りましたときにおきましても、衆議院におきまして、かなり消費生活協同組合についての問題を論じられたのであります。確かに消費生活協同組合が、どういうふうな方向に今後進むかという方向の問題につきましては、余りにもこれが、広範囲といいますか、例えば組合員以外にも現実に物を売つたりするというような現象が無きにしもあらずと思うのでありますが、さような妙にこう手を拡げるということになりますれば、これは非常に都合が悪いと思うのでありまして、監督官庁でございますところの厚生省の方面とは十分の連絡をとりまして、本来法に定めております趣旨に従う活動をやつて頂くように、厚生省側の指導を特に要請をいたしたいと私どもとしては考えておるのでございまするが、併し、この保険制度からこれを除外しておるということにつきましては、いささか半端過ぎる待遇じやないかと考えまして、とにかく信用保険を利用するならば利用し得る資格を与えて置こうというふうに考えまして今回の改正に持つて行つたような次第でございます。
 金融公庫の関係につきましては、店舗数と公庫の資金量との関係についての御質問があつたと思うのでございます。先般の予算の修正によりまして、公庫が二十九年度において、日本開発銀行に返すべき債務を十九億持つているのでございますが、これを返還する時期を更に一年延長しまして、差当り二十九年度には払わなくてもいいという措置をとりまして、当初予定しておりました運用量より、十九億ほど殖えることに相成つたのでございます。これをまあ十二で割りますと十六億円足らず、十五億幾ら、まあ十六億円に近いかと思うのでございますが、月当り十六億円ぐらいの貸出量になろうかと思います。これが店舗数が非常に多いから、一店舗当り非常に少い金額になる、その結果資金効率が非常に悪くなるのじやないかというお尋ねでございます。これは現在の代理店の数が四百六ございます。その代理店の中におきましては、いわゆる現行のごとく支店の数が非常に多いものもございますので、支店その他のつまり店舗の数でこれを論じますれば、六千を超えるように相成るのでございます。従いましてこれをまともに割つて見ますると、確かに一店舗当り極めて微細なる金額に相成ることは、もう御指摘の通りでございます。併しながら例えば商工中金等におきましては、尤も商工中金には相当の運用額をつけておりまして、公庫が始まりまして以来、この第四・四半期の枠を超えますと十三、四億の多額に相成ろうかと思いますが、いずれにしましても、中金等におきましては、各支店にこの金を分散せずに、各支店では申込を受付けまして、本部でこれを統括して公庫に連絡をとるという仕組をとつているのであります。支店を多数持つております銀行等におきましても、枠を各支店に分割するという考え方よりも、やはり支店は申込を受付けて、それを一応見て、本店に送るという作用をしているようなところが、どちらかと言えば多いのじやないかと思うのでございます、現実に貸出の実績を見てみましても、一軒当りの平均といたしまして、いわゆる十一大銀行その他の都市銀行におきましては、一軒当り三百五十万円見当、地方銀行におきまして、一軒当り二百三十万見当、相互銀行二百万円、信用金庫等で百五十万円というふうな金額、これを総平均いたしまして、二百二十万見当の貸出に相成つているのであります。従いましていわゆる店舗数が六千ある、それを算術平均いたしまして、一店舗当り何万円というふうな資金の運用には、現実問題として相成つておらんのではないかと考えているのでございます。又一方におきまして、この資金の枠を毎四半期にきめまする場合におきまして、この与えられました枠の活用が不十分でありますところの代理店につきましては、余つた枠をそのまま残しまして、新らしい枠を与えるというふうなことをいたしませんで、利用の旺盛な代理店と、絶えず枠の残りまする代理店との点につきましては、絶えずこの枠が一方は殖え、一方は減るという操作を科学的に計算して出しているのでございます。それによりまして代理店としての金の使い方が、いいところはだんだん殖えて行く、余り御活用にならんところは減つて行くということによりまして、枠の操作を通じて、或る程度のこの代理店の修理と申しまするか、金の活きて使われるところへ金が多く行くという仕組が、若干の日時をお貸し願ううちに確立できるのではないかと考えているのでございまして、ともかくも代理店の数が多いという点は確かでございますけれども、さような操作によりまして、数は多くても資金効率の落ちないようなふうに今後とも努力を進めて参りたいと考えるのでございます。
 理容業の点につきましては、私どもといたしましてもいろいろと公庫のできますときに考えたのでございますが、これは国民金融公庫の乙種貸付、つまり普通で五十万円、連帯で二百万円という口のほうに入れて頂けばよろしいじやないかと思つて、大蔵省と話しておりまして、大蔵省側にも大体の御了解は得ているのでございます。併し御指摘になりましたような趣旨、つまり公庫の金を貸し得る業種を一々並べている現在のやり方がよいのか、或いは多少抽象的と申しますか、例えば開発銀行が書いておりまするような工合に、大まかな点を掲げまして、具体的の個々の事業については、その情勢に応じて運用ができるということにいたすのがよいのかという問題については、十分の研究の必要があろうと存ずるのでございます。例えばまあ理髪業のほかにおきましても、クリーニング業等につきまして、現在の公庫のやり方が、個々の業種を一々掲げるという建前からいたしておりますために、クリーニング業に公庫が金を出し得るかどうかということが多少の問題に相成つているのでございます。この業種の指定は、これは政令事項でございますので、現在のいろいろの情勢から考えまして、今のような一つ一つ掲げる方式がよろしいか、或いは多少包括的に書くのがよろしいか、目下研究をいたしているのでございまして、いずれにいたしましても、多少は状況に応じ得るように書くということも確かに一理あろうかと思いましてれ今公庫に命じまして立案の一案を作らしているような次第でございまして、そのうちに、私どもといたしましても、大蔵省側ともこの辺についてまともな交渉をして見たいという段階にありますことを申上げておきます。
#87
○理事(松平勇雄君) 委員諸君に申上げます。豊田委員からの御要求によりまして、大蔵省の銀行局長の出席を求めておりましたが、同局長は大蔵委員会に出席のため、代つて大蔵省の有吉特殊金融課長が只今出席しておられますから、同課長にも御質問願います。
#88
○豊田雅孝君 只今岡田長官の御答弁によつて、或る程度満足し得るものもありますし、まあそれはもう時間がないと思いますので、重ねて申すことを成るべく省略いたしますが、第一点といたしまして、重ねて御質問かたがた要望したいと思いますのは、小口十万円が低きに失するじやないか、他の法令で認めておる二十万円と矛盾するじやないかという点につきまして、御答弁によると、平均これくらいになつておるのじやないかというお話があつたのですが、この小口十万円、平均十万円という建前で抑えるのだつたら、私は何も文句はないのです。ところが実情は十万円だというのですが、この法律のほうは最高限度十万円で抑えておるので、問題になるのであります。併し長官の言われるところも、今後できるだけ早い機会に二十万円に持つて行きたいというふうな答弁であつたと思いますので、できるだけ早い機会に二十万円に持つて行かれるということをはつきり言われるならば、私はもう了承いたします。
 それから次は保険料の引下げについて、保険の特別会計の苦しさについて縷々お話があつたのでありますが、現在この特別会計の収支状態は一体どんなふうになつておりますか、これを一つ伺いたい。その上で質問を申します。
 それから次の第三点は、二府県以上に跨がつておる組合の連合会は主たる事務所のある府県の指定法人で行なつたらよかろうというので、このことは結構だと思うのでありますが、その場合に、例えば神奈川県と東京都で組合の連合会ができた、その場合に主たる事務所は東京都にあるとすると、その東京都の指定法人に保険を付けるように申込んで行く、仮に受けられると、先々そこに保険事故が起きた場合には、神奈川県下の分に対しても東京都が負担の責に任ぜなけりやならん。そこに地方公共団体相互間において負担の問題が出て来ると思うのでありますが、これを如何に見るべきかという点を伺いたいのであります。
 それからもう一点は理容業、それからお話のクリーニング業等は、全くこれは追加するか、或いはそれを包括して認めるような行き方をしなけりやならんと思うのでありますが、旅館などが認められて一方おるようでありますから、それらと比べて、一体差別をするというところに私は非常に問題があると思うのでありまして、この点も包括的な行き方等によつてやられるように、婉曲に言われたようでもありますし、はつきりしないものでありますから、これも包括してやるならやる、或いは追加してやるならやる、どつちでもいいが、問題になつているような業種は、この際大らかなる気持で受入れて行くというふうに、はつきり答弁せられれば、私どもはそれで了承をするのであります。以上であります。
#89
○政府委員(岡田秀男君) 第一点の小口の信用保険の限度でございまするが、先ほども申上げましたように、十万円にいたしまして、これが私どもが期待いたしております通りに、円滑に運用されますならば、それによつてデータが出るわけでございますので、成るべく短期間内にそのデータを眺めながら、二十万円に持つて行くように努力をいたしたい、私どもといたしましてはさような心持で十万円を御審議願つておるわけでございます。
 順序は違いまするが、二府県に亘るものについての再度の御質問でございますが、私ども各信用保証協会と交渉連絡をいたしまして、二府県以上に亘ります場合におきましては、主たる事務所があるところの信用保証協会がこの事務をとるということに話合いをつけておりまするので、さように運用して頂きまして差支えない、こう考えます。
 それから保険料の問題に関連いたしまして、信用保険の特別会計の内容についての御質疑でございます。現在のところにおきます特別会計の内容は、決して悪くございません。ただ保険が始まりましてからまだ三年たちましたに過ぎないのでございまして、現在の特別会計の運用といたしましては、収入のほうが多くて、支出いたすべき時期が来ていないものが非常にたくさんあるのでございます。これをもう少し時間を稼ぎまして、保険料収入と保険金の支払との関係が統計上出て来る時期を待ちたい、かような趣旨で申上げたのでございまして、現在の特別会計の状態を数字で御説明いたすにつきましては、資料を整えましてから御説明したほうが御便利かと思いますので、そのときまでお待ちを願えば、この次に持つて参りますでございますから、そのときに御質疑を願いたいと思いますが、概括申しますれば現在の内容といたしましては、決して悪くございません。理髪業とか、クリーニング業等の関係でございますが、私どもといたしましてもこれを少くともクリーニング業について放つて置くことはおかしいのではないかということについては私も同感でございます。理髪業を国民金融公庫にお願いしておる趣旨は、国民金融公庫にお願いするので都合よく行くのじやないかというふうな考えからさようにいたしておるので、ございまして、国民金融公庫にいたしましても、私どもの今御審議願つております中小企業金融公庫にいたしましても、等しく国家資金を出すのでございますから、理髪業は国の資金の対象にならんという趣旨で考えておるわけではございません。いずれにいたしましてもこれらのものをここに取入れるという意味において、政令の追加の形で行くのがよろしいのか、或いは政令の書き方それ自体を多少ゆとりのあるようなふうに包括的に書直すのがよろしいのか、これらの点を目下検討しておるという段階でございます。
#90
○豊田雅孝君 只今の理髪業或いはクリーニング業のことは御検討の結果、これはさつきの二十万円にするというのと同じですが、努力目標はやるというほうにあるのかどうか、その点をはつきりお聞かせを頂きたいと思います。
#91
○武藤常介君 それに関連して……。只今豊田委員さんから大分この問題で御質問がありましたが、先般愛知通産大臣に私が質問を申上げたところが、国民金融公庫は一般的な、まあ役所的な金融機関であるが、中小企業金融公庫のほうは全くそれと違つて中小企業者のために作つたのであるからと、こういうふうな御意見でありまして、これによると大体国民金融公庫よりも中小企業金融公庫のほうが額にしても将来大体多額な金融をする、こういうふうな御気分のお話を承わりましたが、只今その結果は一方は二十万円であるし、一方は十万円であるということになりますと、その御趣旨と実際に現われたものが反対になつておる。こういうことであるとやはりこの中小企業者の金融のためには十分の目的を達することはできないのではないか、こういうふうに私は考えるのでありまするが、どうも官庁でなさる仕事はやはり各方面から種々の注文もありまするで、だんだん広汎になつて、今度は消費組合も入れるとか、その他種々なものを、だんだん広汎になつて参ります。これは当然でありましようが、やはり長い間我々中小企業者が非常に待望して漸く生れたのですから、これを様子を見るとか何とかいうことでなく、やはり早速二十万円ぐらいにして十分活用のできるようなふうに早く、やはり信用、それから公庫のほうも、うまくできるように一つしたほうがいいのではないか、こういうふうに私考えるのですが、如何でありましようか。
#92
○政府委員(岡田秀男君) 中小企業金融公庫にクリーニング業、理髪業を附加えるという方向へ努力するのか、せんのかというお話でございますが、先ほど申上げましたように、理髪業につきましては国民金融公庫でやつて丁度よろしいのじやないかというふうに大蔵省と私どものほうとでは今までのところ相談して参つておるのであります。クリーニング業に関しましては、これはいずれのほうも扱いにくいような感じになつております。それで私といたしましては丁度そのときクリーニング業の問題が起きましたときに、これは今の書き方がいいのか、もう少しゆとりのあるような書き方がいいのかということも考えましたので、クリーニング業を中心といたしまして書き方の問題を研究いたしておるのでございます。理髪業に関しましてはこれを中小企業金融公庫へ取るのがいいのか、悪いのかという点について、いま少し大蔵省側と検討を加えて見る必要があろうかと存じまするが、要するに今の書き方で行くのがいいのか、もう少しゆとりのあるように書くのがいいのか、というのは、主としてクリーニング業を対象として今研究いたしておるのでございます。理髪業につきましては今申しましたようないきさつではございまするけれども、御趣旨もございまするので、大蔵省とその点についてはいま少しく打合せて見たいと存じます。
 それから国民金融公庫が普通貸付において二十万円まで貸すということになつておるのに、信用保険の今度の小口のほうが十万円というのはおかしいから、むしろ考えずにすぐ二十万円にしたらどうかという御質疑だと存ずるのでございまするが、これは先ほども申しましたように、二十万円という線も一つの線として考え得られるのでございます。私どもといたしましても十万円、二十万円をいろいろ議論をいたしたのでございまするが、先ずこの新らしい制度を作りまして、特別会計の建前から、大きな運用損が出るということは非常に警戒をせねば相成りませんので、十万円のベースにおきまして相当のまあ研究をいたしたのでございまするが、二十万円についてやるということになりますると、更に又或る種の作業を要しまするし、施行が非常に遅れることも考えられまするので、この際の経済情勢から見て、こういう種類の制度は一日も早く施行する必要があろうというので、差当り大蔵省と話のつきました線において十万円というものを先ず取上げてやつて見る、そうして一方においてその成績を見ながら二十万円というものも研究いたしまして、確信の得次第、最も短い期間において確信の得次第、二十万円まで持つて行きたい、かような考え方でまあ十万円というものを御提案申上げておるわけでございまして、心持といたしましては用意のでき次第二十万円まで持つて行きたいという気持を私ども持つておるということを、先ほど来から申上げておるのでございます。差当りといたしましては十万円ということで御辛抱願いたいと存ずるのであります。
#93
○武藤常介君 只今のお話で大体了解いたしましたが、一体この中小企業者に対する十万円という金額の単位が、昔ならいざ知らず、今日じや十万円じや何とも中小企業者も利用しても大変効果的でない。余り小さい金を貸すというと、どつちつかずであつて結局利用されない。こういうことになりますので、どうせやるならば徹底してやはり二十万円ぐらいは最低私は保証したほうがよかろうと、こういうふうに考えるのですが。希望を申上げておきます。
#94
○政府委員(岡田秀男君) 先ほど豊田委員の御質問の際に申し上げたのでございまするが、差当りデータの私ども利用し得るものといたしまして、東京信用保証協会の資料を調べて見たのでございまするが、これの保証件牧の中で、十万円未満のものが総件数の四割を占めておるというわけでございます。この零細な金を必要とするどつちかと言えば小規模の企業者というものが案外多いんだということを考えますると、この十万円というものもあながち経済的に無意味なものだということには相成らんのではないかと考えておるのでございます。二十万円に速かにせよという御趣旨につきましては、今後とも懸命の努力をいたすといたしましても、十万円というものもかなりの効果を持つておるものだということは私は否定し得ないのじやないかと考えておる次第であります。
#95
○海野三朗君 その際返済方法はどういうことになつておりましようか。それをお伺いいたしたい。
#96
○政府委員(岡田秀男君) 只今御審議を願つておりまするものは、保険に付ける場合の問題でございまして、貸借関係は金融機関と中小企業者、金融機関と申しましてもこの中小企業信用保険の特別会計と契約を結んだ金融機関でなければならんのでございまするが、その金融機関と小規模の中小企業者との間において貸借関係がきまるわけでございまして、その貸借関係はもとより金融機関によつても、又中小企業者によつてもいろいろとその条件は違うと思うのであります。これは短期でありましても、長期でありましても、或いは返済の方法が日掛によりましようと月賦でありましようと、その辺のところは無関係でございまして、我々のほうといたしましては信用保証協会が金融機関と中小企業者との貸借関係を保証したその保証協会の保証債務を信用保険で一種の再保険にとる。そのとり方を十万円未満について従来の他のものよりも優遇しようという法案を御審議願つておるわけでございまして、十万円の金銭貸借関係の内容、返還方法はどうであるかということとは関係がないのでございます。
#97
○海野三朗君 中小企業金融公庫のほうの利息というものが、案外高いように私は聞いておるんでありますが、その利息についてはどういうふうにお考えになつていらつしやるんですか。
#98
○政府委員(岡田秀男君) 中小企業金融公庫の利忠は最終金利が年一割でございます。この金利はいわゆる大企業に金を借しておりますところの日本開発銀行の基準金利と同一でございまして、いわゆる普通の市中銀行がこの公庫と同じような意味において長期の貸付をいたしますると、一番安いのが一割二分くらい、或いはそれからまあ高くなれば一割三分とか一割五分とかいろいろございましようが、普通銀行では一番安いのが一割二分でございます。従いまして公庫の年利一割というものは現行の金利体系から申しますれば比較的中小企業者に有利である。と申しまするのは、金融機関といたしましては一件当りの貸出金額が比較的少い中小企業金融というものは、手数がかかるという意味において大体大口金融よりも金利の高いのが通例なのでございます。然るに中小企業金融公庫におきましては一口の金額の如何にかかわりませず最終金利を一割といたしておるのでございます。
#99
○海野三朗君 年一割というのは少し高いじやありませんか。市中の銀行ではもう少し安く借りられるのじやありませんか。どうもその点についていろいろ評判を聞くのでありますが、ちよつと金利が商い。もう少し安くならないものかということを私は再三耳にするのでありますが、殖産とかいうようなところから借り出すのと比べて金融公庫のほうから出るやつは一割というのはちよつと副いというように考えておるのでありますが、市中のほうもお調べになつていらつしやいますか。
#100
○政府委員(岡田秀男君) 先ほど御説明が足らなかつたと存じまするが、金利にはこれはいろいろございまして、今の御質問から申しますと、私は市中銀行が短期の資金を貸出しておる場合の利息とお比べになりましてれ公庫の金の金利が高いというふうに御指摘になつておるのじやないかと思うのでございます。この中小企業金融公庫は一年より短い金は貸さないのでございます。一年以上の金を貸出しておるのでございます。一年以上の長い金を貸す場合におきましては市中銀行の貸出金利は一割二分より安いのはないのであります。短期の金――手形の割引でございますとか、その他の手形貸付でありますとか、短い金でございますればそれは日歩二銭四、五厘とかいろいろと安い金利もございます。併し一年以上に亘ります金につきましては市中金利として一割二分より安い金利はございません。
#101
○豊田雅孝君 関連質問だと結構なんですが、もう私のはすぐ済みますから……。
#102
○理事(松平勇雄君) まだあるんですか。
#103
○豊田雅孝君 ええ、さつきの締めくくりをつけますから。先ほど長官から業種指定の問題が答弁せられたのでありますが、この問題について私は国民金融公庫へ行く業種はこういうもの、中小企業金融公庫へ行くものはこういうものというふうに業種別に金融機関を違えて行くという行き方は、実情に合わんと思うのです。金額が二十万円までのものなら国民金融公庫へ行くとか、或いはそれを超えるものなら中小企業金融公庫べ行くとかいうことならこれはまあわかりますけれども、こういう業種のものは国民金融公庫へ行かなければいかん、こういうものは中小企業金融公庫へ行かなければならんということになると、さなきだに中小企業者なるものはなかなか実情からいつて金融機関を選ぶというのは非常に困難なんですから、これを又細かいクリーニング業はどこへ行くとか、理容業はどこへ行くとかいうようなことをするということは、私は全く中小企業の実情に合わんと思う。又国民金融公庫へ入れるような業種のものでも中小企業金融公庫で貸付対象になつているものが幾らでもあるので、むしろそのほうが多いのですから、ですから特定の業種だけについてこれはどうしても国民金融公庫でなければいかんというような考え方をすることを私は徹底的に批判したいと思うのです。その点について基本的に考え直してもらつて、相当金額の要るような業種のものは、少くとも国民金融公庫だけでなく、中小企業金融公庫へも行けるというように是非やられることが必要なんだと思うのでありまして、この点御意見を聞きたいのであります。
 それからもう一点は、保険料の特別会計の収支はいずれあとで出されるということでありますからその際でもいいのでありますが、この際私は併せて言つておきたいのでありますが、中小企業対策というものを政府が非常にやかましく言われるのにかかわらず、その信用保険の特別会計でいつも黒字を必ず出さなければいかん、端的に言えば、儲けて行かなければいかんという考え方自身が、私は一体そういうことは政府が国民全体に果して言つていいのかどうか、そういうような考え方自身が非常に私は問題がある。社会政策なり或いは社会保障なり中小企業対策というものは一層このデフレ政策推進の際に特別の例外措置として熱を入れてやらなければいかん。それでなければデフレ政策それ自体がとんでもない方向に向いて、これはむしろ角を矯めて牛を殺すようなことになり、国民経済全体が大変なことになろうかという際なんでありますから、私は保険のこの特別会計に必ず黒字を出さなければいかんという考えは一擲してもらいたいと思う。これは私は内閣自身やられることだと思うのでありまして、その点についても御意見を伺つておきたいと思うのであります。
 それからもう一点は今の問題に関連しますが、もう中小企業の苦難は今に始まつたことでないのでありますが、今非常な段階でありまして、中小企業がこれは倒産続出するという今状態でありますが、これはやがて大企業へはね返つて行くのでありますから、必ず大企業も私は一つの相当なことになるということは、もう政府は挙げて覚悟しなければいかんと思うのでありますが、そういう際であるだけに、少くとも不当なしわ寄せの行く中小企業に対して徹底的にやる、資金もこの際出して行くと、そうして折角中小企業金融公庫に出ているような資金は、弾力性のある運用をして、そうして重点的な使用をさせるということで、資金効率を是非挙げて行かなければいかんというふうに思うのでありまして、この点三点について特に御意見を伺いたい。
#104
○政府委員(岡田秀男君) 理髪業に関する御意見につきましては私も同感でございまして、その趣旨においてとくと研究をいたして見たいと存じます。
 それから第二点の保険特別会計の問題でございまするが、私どもといたしましても特別会計が絶えず儲かるという思想を持つてはおらんのでございまして、損をせねばいい、赤字を出したくないということを申上げておるのでありまして、現に特別会計といたしましては二十億の基金を持つておりまして、これの運用によりまして年九千万円の利息収入が現に上つておるわけであります。これらはその限度において保険特別会計が或る意味においては赤を出してもいいだけの用意をしておるとも言い得るのでございます。従いまして決して我々としても特別会計が儲けようと考えておるのではございませんで、やはり保険という制度でありまする以上、その保険料収入と、保険金支出というものが大体のバランスがとれ、まあ最後の場合におきましても二十億の基金の運用で穴が埋め得るのだという程度のはつきりした見通しがつかないと保険料の引下げがいたしにくい状態にあるという意味のことを申上げておるのでございまして、保険料を下げるということの必要につきまして私どもとしても何ら異存はございませんし、むしろその方向へ一日も早く到達いたしたいと考えまして日夜苦慮いたしておるような状態でございます。その特別会計の具体的な状況につきましては別途資料によつて御説明をさして頂きたいと存ずるのであります。
 それから第三点といたしまして今後の経済情勢の動き方から見て、中小企業が非常に辛い状態に現になつておるし、今後も大いに辛い状態が強くなつて来るであろう、それはやがては大企業にもはね返る問題でもあるからして、この際中小企業に大いに金を出して弾力性のあるやり方をやるべきであろうという点でございます。私どもといたしましては、基本的な考えといたしましては先般この委員会において私どもの大臣がいろいろと御説明申上げました通り、最近の日本経済が、どちらかと言いますれば非常な物価高、或いは信用の膨脹、輸出の不振に輸入の極端なる増嵩というふうな非常な不健全な要素が重なり合つて、その結論が外貨の非常なる減少というところに現われて来ておる。従いましてこれを健全なる姿に建直して輸出が伸び、まともな姿において日本経済が発展いたす基盤を一日も早く作らなければならん。その手段といたしまして財政の膨脹を避け、信用の収縮を図つて行く、その他まあいろいろと対策を総合的にやりました上において究極の目標を達して行くのであるということを述べられた点でございますが、この基本の線においては中小企業と申しましてもやはり順応いたしまして、この日本経済が一日も早く健全な姿になるように協力すべきものであろうということについては私はさように考えておるのでございます。ただ併し中小企業が他の大企業等と比べまして経済変動に対する抵抗力が非常に弱い、その他いろいろの弱点のありまする関係上、経済の引締めに対しまして一番先に応えるところになつておる。従いましてこの大きな目標は結構でありますけれども、その目標に到達する道中において、これらの中小企業が多大の損害を受けて行くということになりますれば、これは国全体を健全化するという目標のために国の経済が壊れるということになるわけでありまするから、この関係において中小企業に或る程度の特別の操作をする、又大企業からの関係において不当のしわ寄せを受けないような配慮を加える、かようなことは必要だろうと思いまするけれども、基本ラインにおいては私はやはり中小企業も協力すべきものであろうと考えるのであります。さような筋合におきまして、今度の予算が一般的に非常な圧縮を受けているにかかわりませず、まあ中小企業関係の予算は考えようによつては、不十分であるということは申し得るかと思いますけれども、かなりの配慮を加えて組んだということになつているのでございまして、今後とも情勢に応じましていろいろと考えては参らなければならんと思いまするが、基本ラインを頭に描きながら、同時に中小業者の実情に合いますような操作を、両公庫の金なりその他中小企業専門金融機関、或いは協同組合に対する補助関係でありますとか、或いは又企業診断の関係であるとか、協同組合の関係等におきまして、我々といたしましては努力をして参りたい、かように考えるのでございます。私どもといたしましても、御指摘頂きました線においてほぼ同様の考えを持つていると思うのでございまするが、その線に沿つて今後とも努力して参りたいと考えます。
#105
○海野三朗君 少し方面がずれているかも知れませんが、私お伺いいたしたいのは先ほどの金利の問題であります。この金利は非常に財界の根本でありまして、金利を高くするということはつまりインフレが増長するという一要素になつていると思うのであります。地方中小商工業者の話を私は大分耳に入れているのでありますが、金利をもう少し政府が安くしなければいけんのじやないか、そうしてもつと中小商工業を救わなければならんのじやないかと私は思うのでありますが、金利はこれで先ほど長官は決して高くないと言われましたけれども、世界開発銀行ですか、あれなんかは年五分で融通している。この金利の基準のおき方、そういうことについては私は今日のあり方は決して正しくないと考えている。もう少し研究しなければならんのじやないか、こう思つているわけでありますが、この金利は、大蔵省できめるのでございますか、又日本銀行の一万田総裁がきめるのですか、一体どういうところからこれは割出して来ているのでありましようか、それを伺いたい。
#106
○政府委員(岡田秀男君) この金利がどこできめられるか、どういうようになるかという点につきましては、私の記憶によりますると、先般の当委員会におきまして、河野銀行局長がかなり詳細に御説明を申上げたと思うのでございます。あのときに申しましたように、金利は大蔵省なり、日本銀行なり、それぞれのところで、日本銀行それ自体の割引歩合というようなものがきまりますし、又一方において資金の需要供給というような作用もあるし、というふうなことから非常に詳細に、大蔵省銀行局の所管でございますから、非常に詳細に御説明があつたと思うのでございます。少とくもあれ以上の説明を私はここで申上げる力もございませんので御勘弁を願いたいと思います。
#107
○海野三朗君 この前銀行局、長から縷々説明も伺いましたが、結局まあ相談ずくできめたのだという結論を私は聞いているのですが、何ら根拠がない。ただ需要と供給の関係とか、そんなこととただ睨み合せて、学識経験者の話を輝いてとか、実にぼんやりした観念であつて不得要領でありました。それは今日も私はよく覚えております、あの説明は。縷々数千万言を尽すといえども一つも私はピンと来ていない。この金利というものはつまり日本の現在のこの状態、経済状態から考えまするというと、一番根本をなしておると私は思うのでありますが、併しまあ企業庁長官といたしましてはそういうものでないというふうにお考えになつておるのかどうか、端的にそれをお伺いいたしたい、こう思つたのであります。この前銀行局長から縷々説明を聞いたけれども、結局出まかせでわからないんだ、そういう結論であります。如何なる主義があるのか、これでなければならないんだというところの根本のはつきりした原則がない。ただ需要供給の関係で、あるとか、或いは学識経験者、それから日本銀行総裁、みんな寄つてきめるんだとか何だとか言つているけれども、或いはこの造船の利子の問題にしてもそうであるし、そういうところが甚だぐらついておるように私どもは考えるものであつて、この金利はもう少しはつきりした、研究した立場から来なければならないんじやないかと、こう思うのでありますが、併しその点については古池政務次官や長官たちは如何ようにお考えになつておるのでありましようか、ちよつと端的に御所見を承わりたい。
#108
○政府委員(古池信三君) この金利の問題は私、詳しく検討しますならば立派なこれは博士論文になる問題だろうと思うのであります。従つて私どもまだ未熟でありますから、深い研究をいたしたことはないのでありまするけれども、併し大体の見当といたしましてはやはり根本は資金の需要供給の関係であろうと思うのであります。従つて戦後特に日本は資金は欠乏し、これに反して需要の而が非常に旺盛である、その関係からおのずから金利は高くなつて来る、これが若し逆に資本の蓄積が盛んになつて資金はあり余るほどある、又これに対して資金の需要はそれほど盛んでないということになれば、おのずから金利は下るべき運命であろう、かように思うのであります。それで日本の産業の面から言いますると、確かに現在の金利は世界の水準から言つても高いように思います。これは漸次切下げられるということが産業の発展、特に輸出関係の影響等から見まして必要なる問題でなかろうかと思うのでありますが、併しながら今申しましたような基本的な基礎条件が最も必要なんでありまして、単に人工的にこれを引下げるというようなことは、これは言いやすくして実際できない問題であろうと存じております。
#109
○海野三朗君 いわゆる日本の製鉄業とか、或いは造船業にしましてもそうですが、或いは他の方面の会社の話を聞いてもそうですが、金利が高いために資本の蓄積ができない。儲ければ儲けただけ税金に持つて行かれるし、金利が高いから、それで資本の蓄積が一つもできていない日本の工業の現状です。皆ちよつと一押しすればもうがたがた潰れて行きそうな今日の中工業、大工業は少くともそういう状態にあるのでありますので、政府当局としてもそういう点はこの金利はこのままでいいとお考えになつておるか、又それに対していろいろお話でもあるのでございますか、ありませんですか、それもちよつと伺いたい。
#110
○政府委員(古池信三君) 具体的に金利下げの問題についての打合せは私承知いたしておりませんですが、只今御指摘のように金利が高いということは事業の運営の面において非常に大きな支障になつておるということはその通りであろうと存じます。併しこれは結局やはり卵が先か鳥が先かという議論になつて参りまして、金利が高いから資本の蓄積も困難である、又これは半面資本の蓄積が十分でないから金利が高いということになるのであります。そこで根本的な方策としてこれはなかなか口では言いましても容易ならんことでありますが、この際できるだけ外国から資金を借入れる、而も安い金利で以て借入れて、これを有効に国内で消化して行くという方法が十分とられるならば、これは今日本の現状として最も好ましい方法ではないかというふうに考えております。
#111
○理事(松平勇雄君) 本日はこの程度にて打切りたいと思いますが、如何ですか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#112
○理事(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 次回は明後十一日午前十時より輸出保険法改正案に関して委員会を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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