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1953/04/15 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第32号
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1953/04/15 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第32号

#1
第019回国会 通商産業委員会 第32号
昭和二十九年四月十五日(木曜日)
   午後一時三十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           松平 勇雄君
           加藤 正人君
           海野 三朗君
   委員
           石原幹市郎君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           岸  良一君
           西田 隆男君
           三輪 貞治君
           天田 勝正君
           武藤 常介君
           白川 一雄君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業大臣官
   房長      岩武 照彦君
   通商産業省重工
   業局長     徳永 久次君
   通商産業省繊維
   局長      吉岡千代三君
   通商産業省鉱山
   局長      川上 為治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業省繊維
   局繊維課長課長
   補佐      滝沢  農君
  参考人
   石油及び可燃性
   天然ガス資源開
   発審議会会長  上床 国夫君
   帝国石油株式会
   社社長     田代 寿雄君
   帝国石油株式会
   社探鉱部長   中沢 通理君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方自治法第百五十六条第六項の
 規定に基き、繊維製品検査所の出張
 所の設置に関し承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○日本製鉄株式会社法廃止法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○石油及び可燃性天然ガス資源開発法
 の一部を改正する法律案(内閣送
 付)
○石油資源探鉱促進臨時措置法案(内
 閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開会いたします。
 本日は先ず地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。前回に引続き質疑に入りまするが、その前に先般の各委員の御質疑に対して資料が提出されておりますので、先ずこの資料に基いて政府側より説明を求めます。
#3
○政府委員(吉岡千代三君) お手許に関係資料として配付いたしたものにつきまして逐次御説明を中上一げたいと思います。
 第一に、九州地区における県別繊維製品の生産数量でございます。各原別品種別にそこに数字を出しておりますが、大体これで御覧願いますように、全体といたしまして福岡が非常に多い数字を示しておるということは御覧願えばわかると思います。
 それから宮崎につきましては人絹糸の生産高が非常に多くなつておりますが、これは御承知のように延岡に旭化成の人絹並びにベンベルグの工場がありますので、その関係で非常に多い数字が出ております。ただこれの織物に加工する面につきましては大体福井、石川あたりの北陸地方に出しております。従いまして只今問題になつております鹿児島港からの輸出というふうなものについては直接には関連ないと、かように考えております。
 その他熊本あたりも若干の数字を示しておりますが、鹿児島といたしましては、そこに書きましたように各品目別に見ましても比較的少量であるという状況でございます。
 次に、これを金額別に調べましたのが二番目の表でございまして、これで御覧願いましても、同様に福岡が最も大きい数字を示しております。鹿児島のほうはこれに比べますと非常に少いという状況でございます。
 その次に検査所の本所、支所、出張所の配置人員でございます。これは松平先生からのお尋ねの際に申上げましたが、支所、出張所につきましては大体比較いたしますと支所のほうが比較的大きい人員配置にしております。中に、ずつと御覧願いますと必ずしもそうはなつておりませんが、これはまあいろいろな沿革的な関係もあり、時期によりまして変働いたしますので、大体のそういう沿革的な理由もあつてまだ権限の上におきましては現在のところ区分されていないということはこの前申上げました通りでございます。
 それからその次に四番目に豊田先生から御質疑がございました輸出絹織物の検査標準というのは極めて技術的な内容でもございますので、一々御説明するのも如何かと思いますが、大体御覧願えますように、非常に細かい点に亘つてこういう標準で検査をしておるということは御了承願えるのじやなかろうかと思つております。
 それから五番目に支所を本所に昇格いたします場合に、人員の増加を来たすというのはどういうわけかというお尋ねがございましたが、これはそこにそれぞれ根拠法規を書いてございますが、資金並びに物品の関係の官吏というふうな面、それから人事関係の規則に基きますいろいろな業務ということで、勿論これに別々の人並を必要とするというわけじやございませんが、少くとも若干の人員は増加せざるを得ない。従いましてそういう関係もございまして支所を本所に昇格するということはよほど慎重に扱うべきであると考えます。
 大体以上でございまして、あとは西田先生からのお尋ねでございますので、西田先生がお見えになつてからお答え申上げたほうが適当かと思います。
#4
○委員長(中川以良君) 御質疑を願います。
#5
○天田勝正君 これはすでに御質問があつたかとも思いますが、私ども不思議に思いますのは、何としても我が国は全国の面積を合してもアメリカのカリフォルニア州ぐらいしかない、こういうことなんで、その中を幾つにも区分いたしましてこうした本件のようなことにいたしましても、本所を置く、且つ出張所を置く、それほど一体どういうわけでそういうふうに出張所を置かなければならないのか、この点がここではいろいろ合理的に説明されておりますけれども、併しなお我々はどうも了解しがたい。別にあんな狭い九州であればどこへどう置こうと一向差支えなかろうと、こういう常識的な感情を持つのですけれども、一体外国などでは勿論繊維といわずいろいろな輸出品について何しておるでしようが、それらを比較した場合にどれほど違つておるものでございましようか。質問の意味が或いはお取りにくいかも知れませんけれども、一応お答え願いたいと思います。
#6
○政府委員(吉岡千代三君) 外国と申しましても私もそう詳しくは存じませんが、アメリカ等におきましては、大体この検査機関というものは民間の検査機関、或いは専門の古くから信用を持つております検査会社というようなものがこの仕事を担当しておるという場合が多いように承知いたしております。それからこれは繊維に限りませず一般的に申しまして、いわゆるクオリテイ・コントロール、品質管理の面で御承知のような大量生産方式をとつており、メーカー自身の段階において品質管理ということが相当に進んでおる、そういう関係もございまして、その辺が日本のような比較的中小企業に大きな生産のウエイトを持つておるという国と事情が違う面があるかと思います。この繊維製品の検査につきましては以前から一般の他の工産品等々と比べまして非常に厳重な検査制度を実施しておつたわけでございますが、占領中に司令部の指示によりまして従来国で直接検査をしておりました国営検査の方法を原則として民間の検査機関に委譲すべきであるという御指示がございました。従いまして繊維関係におきましても現在やつております絹、人絹織物以外は生糸は別でございますが、要するに、絹、人絹、毛以外は全部現在民間の検査機関でこれを実施しておる現状でございます。それで大体現在綿、スフ、毛と申しますより各品種別に十ばかりの検査団体がございまして、これが一般の繊維製品につきましては輸出検査を担当しておるわけでございます。それでそれらのものにつきましては国営の検査所がその民間検査機関のやつておる検査事務を監督する、ときどきいわゆるスポツト・チエツクをやりまして、その他検査の基準をきめるとか、その基準通りに検査ができておるかという監督業務を中心にやつておるわけでございます。ただその際に絹、人絹織物につきましては、これは以前から非常に品質の問題が御承知のようにむずかしいわけでございましてれ又先ほど申しました司令部が占領当時検査を民間に委譲すべきであるというふうな情報が各消費国にも伝わりまして、伝わりました際に各国から絹、人絹関係だけはどうしても国営検査でやつてもらわんと不安であるというふうな非常に強い要望がございまして、これだけは国の検査で現在まで残つている、こういう現状でございます。それからその後一昨年でございましたか、やはり日本の絹製品の輸出品につきまして消費国のほうから、一昨年の国際絹業会議におきまして更に検査を厳重にしてもらいたいという要望がございまして、その後検査基準を更に厳格に引上げまして、昨年の絹業会議で日本側からこれを報告いたしました。これに対してまあ各国も非常に感謝の決議をしたというような経過もございまして、まあ絹、人絹織物につきましては今後とも、やはり現状におきましては国営検査でやつて参りたいと、ただこの前ちよつと御説明いたしましたが、戦前に比べまして、いろいろ行政整理等で人員も非常に減少しておりまして、現在の一人当りの取扱高は戦前の二倍くらいになつているという現状でございます。
 それから各地区に亘つてこの支所、出張所を設けているという点でございますが、これは只今申上げましたような関係で、これはいわゆる抜取り検査でございませんで、輸出用の絹、人絹織物全部につきまして実際にその反物一つ一つ目で見るわけでございまして、そういう関係で持込み場所の関係等から申しまして、やはり一般的に申しますと、これらの織物の産地ですね、それから産地で検査を受けないものが輸出されるという場合におきましては、横浜とか、神戸と申しますような、又今度の鹿児島もその事例でございますが、輸出港にこういう機関を設けるということがどうしても必要でございまして、これはまあそういう実際上の便宜の上からどうしても各地区に亘らざるを得ないという事情があるわけでございます。
#7
○天田勝正君 まあいずれにしましても定員には関係なしのこの機関を増設するわけですから一向に差支えないように見えますけれども、それならばいずれにしてもこれだけの狭い地域の日本でありますから、一向出張しても差支えないように我々は常識的には考える。それが特にここへ、鹿児島へ出張所を設けることによつて、出張しなくても、更にメーカーのところなり、或いはメーカーのところでないまでも、例えば宮崎なり、熊本なりというようなところへ出張しなくても済むというのならば話は別ですけれども、これを増設いたしますれば、そうした出張はなしで、鹿児島におればそれで済むと、こういうことなんでございましようか。
#8
○政府委員(吉岡千代三君) お話の通りでございまして、従来鹿児島に出張所がございませんので、福岡から出張して検査をしておつた、それで鹿児島の港から輸出されますこの製品が、大体金額にいたしまして絹、人絹織物で年間約三千万円でございます。これに対して千分の一程度の検査手数料を取つておりますので、そこでその検査手数料は大体三万円程度である。ところが福岡から出張して検査をいたしますためにこれは会計法の規定に基いて通産省令によりまして検査を受ける人がいわゆる委託出張、検査官に出張してもらうその出張旅費を負担しなければならんという制度になつておりますので、その額が年間大体二十万円ということになりますので、まあこういう極めて零細な利潤で以て仕事をしております輸出業者にとりましてはこれが非常に大きな負担にもなるし、又理窟から申しましても非常にその地区だけにそういう負担をかけるということは適当でないと考えまして今回検査官を常駐させるということにしたわけでございます。それでこの出張所を置きますとそこで検査ができる。こういう関係で、只今申上げました出張旅費の負担がなくなるということでこれは関係業者にとりましても非常な負担の軽減にもなりますし、延いてはまあ輸出の振興上も効果があるのではなかろうか、そういう関係から地元の県、市、商工会議所から非常に強い御要望がございまして、かたがた只今申上げました点を考慮いたしまして、こういう制度にいたしたいと、さように考える次第でございます。
#9
○天田勝正君 まあ確かに今の御説明の後段のほうのこの土地だけにたとえ幾らかの費用でありましても他の横浜とか或いは大阪とかと違つて余計の負担をさせるということは、これはバランス上思わしくない、こういうことはわかるのですが、その前段でありまする二十万円の出張費の負担云々ということでありますれば、それは業者とすれば一銭だつて費用は負担したくないという気持はわかろうけれども、併しさつき御提出頂きました資料によりましても、金額にして二百六十九億何千万円もの生産がある。これが福岡の支所もありますから、その半分として見たところで百三十億も百四十億ものものを扱う、こういう状態の中に二十万円の負担が云々という、私は問題じやなかろうと思うのです。そこで私はそれよりも、そういうことは大した問題でないけれども、この提案理由の説明にもありますように、検査手数料、それから職員の出張旅費を負担する、まあ検査手数料のほうは一般にこの種類似のものがほかにもございますし、これは慣行にもなつているから別段それによつて検査を手加減とかいうようなことはないと思いますけれども、一体旅費まで負担されて、それで厳正な検査ができるかどうかということについては多大なる私は疑問を持たざるを得ない。そこで私は伺うのは、二十万円のこの年間の負担をするのにそれほどに要するに零細な利潤しかないのかどうか、扱い量は百三十何億ですよ、これは商売の常識で、我々もこういう業種ではないけれども、手がけたことはあるが、常識的にそんなものではございません。その中で便宜さえ得られるならば、十万、二十万などというのは商売上から見れば微々たるものだ、問題は時機を失するか失しないかとか、そういう事柄のほうが商売人にとつては極めて重大であつて、もう十万、二十万などというのは、まあ悪い例でございますけれども、出張して来たお役人さんをちよつと接待すればなくなつてしまうようなお金なんです。それほどそれは重要なものではないと私は思うが、それが重要な要素なのかどうか。
 それから今、最後に申上げました、たとえ一銭一厘たりとも業者に負担をせしむることによつて……、手数料は別であります、それで厳正な検査というものは私は行われ得ないと思うが、そういう点については如何でございますか。
#10
○政府委員(吉岡千代三君) 先ほど配付いたしました資料は、これは御承知のように生産の金額でございます。それでこれだけの生産をやる人が負担をするものならば、お話のように勿論そういう額は問題にならんというふうにも考えられるわけでございますが、鹿児島の港から輸出されますこの絹、人絹織物の額と申しますものは、先ほど申上げたように、約三千万円でございまして、一般にこの輸出商社の利潤というものは、非常に競争の関係もございまして、薄い利潤の仕事をやつております。政府といたしましても、輸出振興の関係もありいたしまして、いろいろ免税その他の助成措置をとつていることも御承知の通りでございます。従いましてこの鹿児島の港から輸出される絹、人絹織物の金額、並びにそれを取扱います輸出商社という面から申しますれば、やはりこれは成るべく負担の軽減を図るということは必要であろうかと考えます。それからその旅費を負担した場合に、検査の厳正がそれで阻害されることはないかという点でございますが、まあこの点は現実の問題として、そういう好ましからん問題の発生ということは承知いたしておりませんけれども、併し建前から申しましても、建前としてはやはり成るべくは好ましくないことだと思います。従いまして今回こういうふうに出張所ができまして、直接の検査手数料以外に、旅費の負担はしなくてもいいということになれば、これはそのほうがなお好ましいことになると思います。
 なおこれは申すまでもないわけでございますが、旅費を負担すると申しましても、これはこの委託出張の規則に基きまして一般会計の収入になるわけでございまして、その出張した人間であるとか、或いは検査所そのものがそれを収入するという関係ではございませんで、それはそれで一般会計に通常の納入告知書等によつて納入して頂きまして、実際にその出張する人間の使います経費は、これは検査所の予算のほうから出す、こういう関係でございまして、そのもらつた金を使つて出張するという関係はございませんので、その点をなお附加えて申上げておきます。
#11
○天田勝正君 私は本件は、もとより賛成する心がまえで質問しているから、意地の悪い質問をするつもりはないのですが、これはね、かれこれと言い争うつもりはないことだけれども、私は、局長は商売を始めるについて、二十万円の価値を余り御存じがなさ過ぎると思う。どう考えてもそう思う。というのはですね、東京の仮に盛り場を一つ買つたつて、二十万円は超えるのですよ。この辺の土地を買つても、二十万円という金ではたつた四坪ですよ。私も輸出を扱つている人を知らないではありませんけれども、たとえ造花をちやちにやつても、而もそれを下請程度にやつている人だつて今日商売をやる人にとつては二十万円の資金を云々といつたような問題ではないのですよ。これはもう明らかに便、不便というようなことのほうが極めて商売には影響する。これは私は質問の本筋ではありませんから、何回も言い争うつもりはありません。ただここに説明されておりますように、出張職員の旅費の問題は、それは手続的にちやんと一般会計に入り、それから役所から改めて支出して出張せしめる、こういうことは当然でありましようが、そういうことで、当人はじかに向うから、手を出して、そこの手の上に向うから旅費として与えてもらうというのでないことは、これは常識から考えたつて当り前なんですけれども、どうしたつて今御答弁になるように望ましくないことだけはこれは望ましくない。そこで今度はここに鹿児島については、まあ国会の承認を得て出張所ができれば、それはその点は解消いたしましよう。だがほかにもそういうところがあれば、これは成るべく望ましくないことなんだからやめなければならないと私は思う。
 そこで今度お聞きするのは、他にそういうところがあつて、その現に鹿児島が今回出張所ができない状態と同様なところが他にもやはりあつて、若しそれを今回の措置と同様に全部出張所を置くとすれば解消できましようが、それが直ちに置けないという場合の、現状のままにおけるところのそうした出張旅費の負担というのは、全国でどのくらいになるのでしようか。
#12
○政府委員(吉岡千代三君) これはこの検査所は相当以前から、戦前からずつと継続をしておる制度でございます。それから大体絹、人絹のこの織物の産地というものが、以前から大体その地域的に定まつておりまして、この検査所の配置を御覧願いましても、大体これで御推測頂けるのではなかろうか、こう考えております。それから産地にない場合におきましては、この輸出物を出します港、神戸とか、横浜とか、そういうところに、更に検査所を設けております。従いましてその産地であるか、輸出港であるかというところには、大体従来から検査所を配置しておるわけでございます。ただ鹿児島につきましては、これは申すまでもなく、この戦争の結果、沖縄が外地の扱いになりましたので、そういう関係でこの鹿児島から沖繩向け、その他一部は香港、台湾向け等にも参るのでございますが、そういう関係がございまして、以前から……、以前の関係から申しますと、鹿児島からそのいわゆる輸出品がそう出るというふうなことを予想していなかつたわけでございます。そういう関係で、鹿児島につきましては産地という関係からも、又輸出港という関係からも、この検査機関が設置されていなかつた、こういう状況でございまして、いわばこれは戦争の結果による例外的な現象であるというふうにも考えられるわけでございます。勿論今後新らしく輸出港が非常に増加して参るというようなことになれば、或いはそういう問題も起るかと思いますが、只今のところこれと同様な意味におきまして、特に検査所を設置しなければ非常に不便を感ずるというようなふうな関係は、只今のところはないわけでございます。
#13
○天田勝正君 私は端的に聞くのですが、とにかく鹿児島に出張所を設ければ、今まで出張職員の旅費として業者が負担しておつたのは二十万円である、これが解消できる。他にも今出張して検査して、業者が負担しておる旅費というのはどのくらいございますか。こういう質問なんです。
#14
○政府委員(吉岡千代三君) これは極く……、この検査は大体検査所でやるのが建前でございます。ただ非常に大量に生産されます工場におきましては、一つ一つこれを検査所に持込むということにも、非常に手数も、又品質上の問題もございますので、検査をやるだけのいろいろ湿度とか、温度とかいうような条件がございまして、そういう面で、支障のない場合には、工場に出張検査を行なつておる事例がございます。併しこれは大体同じ、例えば福井なら福井の同じ町の中のその工場に行くという場合でございまして、この場合のように、福岡から鹿児島に行つて検査をしておるというような事例は、ほかにはないわけでございます。
#15
○天田勝正君 では私は古池政務次官にお聞きしますがね。古池次官はもとよりその通産行政のヴエテランなんで、而も私の承知しておるところでは、名古屋港というところを管轄する局長もなさつておるから、よく御存じだと思いますけれども、今局長の御答弁のように、とにかくたつた二十万円くらいの費用で、好ましからざることをやつておるということなんで、而もほかには殆んどないという状況だということをおつしやつておるのですが、若し他にそういう出張する場合があつても、せいぜいやはりこれ程度か、これの倍額くらいしか負担させていないと思うのですよ。そうだとすれば、好ましくないことはやめられたほうがいい。別の例を申上げるわけではありませんけれども、昨年でありましたか……、の会計検査院の発表を見ましても、十分の一のこの抜取り検査をやつても、なお四十何億の国費が不当、若しくは不正に支出されていることが報告されておるのです。そうするとこれは全部十分の一なんだから、普通算術計算をしたつて、当然その十倍である四千八百億というものは、不正でないまでも、不当に支出されている、こういうことが当然想像できるわけです。それほどの、一方においては不当な支出簿が行われておるが、ちよつと加減しさえすればそんな二十万や、三十万のはした金が要る……、言つて見れば而も好ましくない要素を含みつつ業者に負担させるということは、する必要がないと私は思うのですが、これはこういうことはおやめになる御意思がございましようか。
#16
○政府委員(古池信三君) 只今お説にございましたように、国がやる仕事について公務員が出張いたす場合の旅費は、もとより原則といたしまして、国家が予算を要求して、これによつて賄つて行くのが当然であろうと存じます。従いまして、金額の多少ということは、これは第二の問題としまして、原則としては、できる限り民間から旅費を醵出せしめるというようなやり方はできるだけ避けて、本来の公務員の出張として、国がそれらの諸経費は飽くまで賄つて行くという建前を将来はできる限りとつて参りたいと思います。
#17
○天田勝正君 もう一点政務次官にお伺いして、私は質問をやめますが、これは単にこの組織ばかりについて私は言うのではございません。或いはむしろほかの例を以て申上げますけれども、まあこの際は定員を、決して増加も、減員もしないで、こういう機構を調節すれば結構でございましよう。ただその際私が心配するのは、他の、例えば電話局などに行つて見たりいたしますと、末端に行つて、実際に仕事をする人がたというのは、人が足りなくて臨時の人を雇つている。例えば東京の小さいほうの局へ行つて見ましても、臨時の人間、臨時と言いながら実際は常勤でありまして、何年も何年も勤めておるという人を、ちよいちよい変えるといううまい現わし方をしつつ雇つている者が五、六十名も常時おる。この仕事がそれほど出て来るのはどこから出て来るかというと、大方は、いわゆる上層部というか、本省というか、そこの係り係りから果てしもなく、一日に一件乃至二件という報告を徴せられる。これは電話で報告を求められるものは、これは別だと思いますね。文書で報告を求められるものだけでも一日に一、二件ある。で実際に仕事をする、末端の国民にサービスをする係りは、一方これほど忙しくて、何も国民にサービスをしないというか、直接関係のないほうの人が、むしろ仕事を作るために報告徴収の仕事だけやつておる。それに間に合せるために、末端では定員に無理をし、且つ労働強化になりつつも、この臨時雇を雇つて、そうしてどうやら間に合せよう、こういうべらぼうなことはやめて、それでその公共企業体ならば、その係りというものをどんどん現場に出し、本省ならばそういう係りをやめてくれればいいんだ。ちつとも首切りは必要ない。そういうわけで、我々は随分耳にも入つておるし、誰が言つたということを、相手さえ差支えなければいつでも言えるのですけれども、お役人のことだから、自分が叩かれることを恐れて、私の名前は出さないで下さい、こういう始末なんです。そこで私はお聞きするのですが、やはりこの表を見ますると、末端では三人か三人の人が行つておつて、必死に、要するに国策の一端である輸出品の検査に当つておるものと思う。こういう人がもう報告ばかりに追つかけられるという状態では、それこそ好ましくないのであつて、こういう点はどうなつておられるか、このどうなつておられるかということについては、局長の御答弁で結構であります。若しそれがやはり私どもが見た他の役所と同様なことになつておれば、これは自由党内閣が、今行政整理というようなことなどを大旆として掲げておる内閣でありますから、政務次官は、一体これに対してどういうお考えを持つておられるか、分けて一つお伺いしたいのです。
#18
○政府委員(古池信三君) 我が国におきましては、私の狭い見解でございますが、国家の仕事にいたしましても、或いは公共企業体の仕事にいたしましても、更に民間の会社、団体の仕事にいたしましても、まだまだ合理化されていないという点が多々あると思うのであります。これはいろいろ沿革上の理由もありましようし、又我が国における教育制度の結果であるとか、或いは国民性、その他その原因するところはたくさんあるであろうと思いますけれども、もつともつと仕事を能率よく科学的に考究して、合理化を図つて行くということは、大変私は必要であろうと思う。ただ人を減らせばよいというものではない。人を減らすということは、無駄な人を減らすということであつて、必要な人は、これは減らしてはいけない。その必要の最小限度ということをどこにきめるかと言えば、やはり事務能率の増進、仕事の合理化というところに根拠がなくちやならんと思うのであります。そういう意味におきまして私ども仕事をして参る上においては、常にそういう点に心がけて、できるだけ全体の人間としての能率を最高度に発揮し得るような考え方をとつて行きたいと考えております。具体的に出張所でどういう仕事をしておるかということは、私より局長のほうが詳しいわけでありますから、局長より御答弁を申上げますが、今度の行政整理におきましても、こういう本当の現場におきまするいわゆる現業的な仕事に従事される方の整理は最小の率を当てはめるということになつておると承知しております。
#19
○政府委員(吉岡千代三君) 先ほど申上げましたように、戦前に比べまして、一人当りの取扱数量が一日平均五百件ということに該当すると思いますが、それらの点もいろいろ説明いたしまして、今回の行政整理におきましても、最も低い比率を、たしか四%であつたと思いますが、の整理率で検査機関のほうはやつて頂いておるというような関係もございます。なおそういう関係もございまして、本省に対する報告その他できるだけ簡素化いたしまして、できるだけ事務能率を上げるように努力いたしておる次第です。
#20
○委員長(中川以良君) それでは先般西田委員より御質疑がございましたのに対して、吉岡局長より御答弁願います。
#21
○政府委員(吉岡千代三君) 現地に電話し、或いはこちらの県の出張所等で調べました結果でございますが、時間が非常に短かくございましたので、或いは多少不正確な点があるかと思いますが、大体のことを申上げますと、この前一例として山形屋ということを申上げまして、これは非常に大きなウエイトを占めているようにお取り頂いたと思うのでございますが、鹿児島から輸出されております繊維製品の中で、これは絹、人絹のみならず、他のものを含めまして、商社別に見ますると、全部で約五十近くの商社が昨年度中取扱つておりますが、そのうち山形屋の占めておりますウエイトは約一五%でございます。その次に丸文、丸竹というふうに、一〇%1―九%、九%―八%というふうなことでございまして、山形屋が非常に圧倒的なウエイトを占めておるという関係はないということを先ず申上げたいと思います。
 それからその次、絹、人絹織物について、申上げますと、絹織物につきましては、山形屋が約三割を占めております。人絹織物につきましては、五%足らずでございます。それで全体といたしましては、人絹織物が九割近くでございますので、国営検査の対象になつておる絹、人組織物につきましても、山形屋の占めておるウエイトとしては五%程度であるということを御承知願いたいと思います。それから比較的ウエイトの高いと申しますことは、実は戦前に山形屋が沖縄にやはり山形屋という店を出しておつたという点でございます。現在は名前は或いは変つているかも知れんということでございますが、山形屋としては主として同系統の沖縄の店の関係の輸出をやつておるというような状況のようでございます。それからこの会社といたしましては鹿児島のデパートをやつておりますほうは、株式会社山形屋と申しまして、これはデパートでございますから小売のほうをやつておる。それからもう一つ株式会社山形屋卸売部という会社がございまして、これが一般の卸並びに貿易の仕事をやつておる、こういう機構のようでございます。
#22
○西田隆男君 山形屋の絹、人絹の売上げは一五%ですか、これは総販売高ですか。輸出が五%ですか。
#23
○政府委員(吉岡千代三君) 鹿児島から輸出されております繊維製品の中で、これは絹、人絹その他も含めまして山形屋の占めているウエイトは一五%である。それからそのうち直接に本件に関係のございます絹、人絹織物につきましては、山形屋の占めているウエイトは五%程度である。それからこの仕入先といたしましては大体内地の丸紅とか伊藤万とか、中央の卸売問屋を通じて仕入れている。産地としては従つて主として京阪神の地区から仕入れておる。こういう状況でございます。
#24
○西田隆男君 大体数字的な説明についてわかりましたが、そうすると山形屋を例にとつたのでありますが、山形屋ではやはり京阪地区から国内品として仕入れておるわけでしよう。そのうちの五%程度が輸出されておるという結果になつておるのですか。他の丸竹とか、丸文とかという商店のものはどういうような状況で仕入れて輸出をしておるのですか。
#25
○政府委員(吉岡千代三君) 五%と申しますのは、鹿児島港から輸出されております全体の絹、人絹織物の中で、山形屋の占めておるウエイトが五%である。それからいま少しく申上げますと、山形屋卸売部で扱つております総取扱高が年間約六、七億である、そのうち輸出向のものが約一割程度である、こういう事情であります。
#26
○西田隆男君 六千万円のうち絹、人絹はどのくらいあるのですか。
#27
○政府委員(吉岡千代三君) 人絹の織物だけの金額は実は調査ができませんのですが、先ほど申上げましたように数量におきまして五%でございますので、先ほど申上げましたように絹、人絹織物の輸出の全体の金額が約三千万円でございますから、これは数最と金額と必ずしも正確には比例しないかと思いますが、比例すると仮に仮定いたしますと、三千万円の五%でございますから、百五十万円程度になる、こういうことになるかと思うのです。
#28
○西田隆男君 結論的に言いますと、六千万円を売上げていると、そのうち百五十万円だけ輸出されているというと、余つているものを出しているということになるのですか。
#29
○政府委員(吉岡千代三君) これは只今申上げましたように山形屋の卸部と申しますのは輸出品の関係と鹿児島市内或いは近辺に対する卸業務、両方やつておるわけでございまして、数量から申しますと、ほかの繊維製品をも含めまして、卸部の取扱高のうちで輸出品は約一割であると、こういう関係でございますが、必ずしも余つたものを出しているということではないと思いますが、殊に先ほど申上げましたように、主として同系統の沖縄の商社向の輸出のものを出しておるという関係でございますので、又同時に他の多数の商社とも競争しているという関係もございますから、これが独占しているとか、或いは余つたものを出しているというようなことにならないと思います。
#30
○西田隆男君 私が山形屋の問題を、この前の委員会で持出したのは、あなたの御説明の中に、三千万円のうちの大部分が山形屋から出ているということだつたので、山形屋のことをお聞きしたのです。山形屋から五%しか出ていないということであれば、外の余計出しているものを実は調べてもらわなければいかんのです。山形屋にこだわつて聞いたわけではないのです。なぜこういうことを聞くかと言えば、輸出品として当然検査を受けたものを輸出する状態にあるにもかかわらず、福岡から出張して鹿児島だけは検査は国内品であるために受けて輸出をしなければならん。それが絶対的な条件か、或いは検査を受けたものを買つて輸出するほうがいいのかということが一つと、もう一つは、沖縄が元日本の領土だつた関係上、外国に輸出できるものとしての検定を受けた品物よりか規格において悪いような品物を国内品として仕入れて、それが沖縄に輸出されているというような、そういうことはないのか。この二点を知りたかつた。それであなたにお聞きしたわけだが、今のあなたの御答弁を聞いておりますと、どうも善意に解釈して見ても余つたものを輸出しているように考えられるし、特に御売の山形屋という株式会社があれば、その山形屋で当然輸出するものとして輸出品の規格を受けたものを京阪神の市場で仕入れてここで売ることも不可能ではないと考えられるし、ますます私どもの疑惑を深くするわけですが、なぜ出張してまでも検査をしなければならないような輸出品の買付方を鹿児島の商社が特にしておつたかという問題について御解明を願いたい。
#31
○政府委員(吉岡千代三君) 前岡実は十分調査しておりませんでしたので非常に山形屋のウエイトが大きいように申上げましたことは間違つておる点ございましたのでこれを取消したいと思います。只今申上げましたように絹織物等につきましては相当のウエイトを占めておりますが、全体としてはそう大きなウエイトでないということで御判断を御願いしたいと思います。
 それからその次のお尋ねでございますが、これは沖縄向の輸出いたしますものは、他の輸出商品と同様に、これは必ずしも日本人が使うということもございませんし、更に沖縄からこれは輸出されるという場合もございますので、これはやはり一般の輸出品と同様に、輸出検査を受けなければ輸出できないという制度になつております。それならば産地において輸出検査を受けたらいいじやないかという点は、確かにその通りでございまして、勿論産地において輸出検査を受けておりますものは、改めて輸出検査を受けずして輸出できるわけでございます。ただこれはまあ、私も仔細に現地の事情を調べておりませんので、確信を持つて申上げることも如何かと思いますが、一面にはやはり何と申しましても、沖縄の主たる商社は日本人でございますので、その好み等の関係から、やはり内地物、いわゆる品質としては内地物が好みの対象になるのじやなかろうか。で、それを一般的に仕入れをいたしまして、その中で沖縄の商社との取引関係等からいたしましてこういうものが向うでも要求されるというような場合におきまして、それが沖縄向の輸出になる。そういう場合には最初から産地で、いわゆる外国に出すものと異なりまして、いわば鹿児島までは内地での取引の形で進みまして、そこから向うに行く場合には、これは先ほど申上げましたような関係から、輸出検査を受けなければ出せないという関係になりますので、自然そういう場合には鹿児島の港において検査したほうが便利である。こういう関係が出て来るのではないかと思います。その辺のところは……。
#32
○西田隆男君 あなたの言うことは筋道が立つているようで実は筋道が立つていないのです。昨日、今日始まつた貿易ならあなたの行うことは通るのだが、何年も何年も輸出している。従つて仕入をする店にして見れば、輸出するのがどれくらい前年度においてあつたからという予想で今年は幾らぐらい輸出をするからという希望数量を買入れるのだし、買入れる場合は、単に国内品として使つているようなものは向うの嗜好に適するのだと言えば、それを京阪神市場において輸出検査を受けさせて鹿児島に持つて行つて輸出するというのが、これがノーマルな状態における輸出なんで、それを鹿児島だけは特に福岡から出張検査を毎年々々してもらつてあなたが言つているように、年に二十万の負担が影響するという商社であるのにもかかわらず、毎年毎年検査を受けないで品物を全部輸出をしているということは、これは常識的に考えられない。若し私が言うように、京阪神市場において大部分のものを輸出検査を受けた品物で仕入れて、それを沖縄に出しておれば、これはそのうちの増加したものだけが検査を受けられればよろしいということになるので、別に出張所というものを置かなくてもよろしいということに私はなると思う。これは天田君も言われたが、これは極めてタイムリーにやらなければいかんという観点からすれば、如何に少額の輸出であつても、これは出張所を置いて行くほうが便宜であるに違いないが、この前の委員会からずつとあなたの御説明なり答弁を聞いていると、どうも必要性が、置いて悪いことはないけれども、無理に出張所を置かなければならんという必要性がどうしても私は感知できないのですがね。京阪神市場から仕入れていれば京阪神市場において検査を受けたものを仕入れるということはできないのですか。
#33
○政府委員(吉岡千代三君) これは先ほど申しましたように、輸出検査は、やはり産地と輸出港という二つの性格を持つておりますことは、検査所の配置を御覧願いましても、一般的に御了解願えるのじやなかろうか。勿論それは横浜とか神戸というところとは比較にはできないと思いますが、やはりこれらの地区におきましても、特に検査所の本所を置いているということ、実際上の便宜から申しまして、産地と輸出港二カ所を重点にやはり輸出検査というものを考えるべきもんじやないか。こう考えるわけでございます。なお具体的の鹿児島の関係につきましては、滝沢説明員から補足説明をいたしたいと思います。
#34
○西田隆男君 一般論はあなたのおつしやる通りですよ。併し鹿児島だけ特にそういうような仕入方をしなければならんという理由が私にはわからんのですよ。仮に嗜好が、国内品と同様のものが、沖縄方面にそういう嗜好が多いのだということであれば、生産地で毎年仕入れるときに、輸出がどれだけあるという見当をつけて仕入れるのでしようから、そのものはすでに検査を受けたものを仕入れていれば……、二十万円の負担が非常に困るということなんだから、これは検査費を使わなくてもいいんだから、輸出をする商社としてはそのほうが非常に便利なはずだと思う。ほかに何も意味がないとすれば……まあ一応御説明を聞きましよう。
#35
○説明員(滝沢農君) 御説明申上げます。京阪神が大体産地でございまして、その土地から大体仕入れておりまして、山形屋の例をとりましても大体卸部では輸出向は一〇%でございます。そういたしますと、運賃の関係から行きまして内地物と一緒に鹿児島まで持つて参ります。そしてあとは機帆船とかそういうもので沖縄まで持つて行く、そのほうが有利な場合が多いのだそうでございます。そのために一応一〇%の輸出品も一緒に梱包いたしまして、そうして鹿児島まで持つて参りまして、そこで沖縄に仕向けられるものと、鹿児島その他の府県で捌けるものと仕分けいたしまして、そうして輸出向けに向くものにつきましては輸出の手続を済ませて輸出をするのだそうでございます。それから絹、人絹以外の繊維製品につきましても大体そういうような恰好をとつておりまして、綿スフ織物とかその他の織物につきましても大体福岡附近とか京阪神、そういうところから仕入れておるようでございます。但しメリヤスとかその他の二次製品につきましては鹿児島でも若干できますので、その府県でできたものをそこで検査を受けてそして輸出をいたしておるようでございます。
#36
○西田隆男君 鹿児島附近でできるものを鹿児島で検査をするということは、これは当り前で何も異議ありませんが、梱包して送るのは何も鹿児島までわざわざ持つて来て鹿児島で検査をしなければならんという理由は何にもないじやありませんか。京阪神で検査を受けたものを梱包して送つたらどうですか。
#37
○説明員(滝沢農君) その点につきましては繊維局といたしまして従来から検査というものは成るべく産地で検査を受けまして、そして梱包して輸出港まで持つて行くように、こういう指導をいたしたわけでございます。ところが鹿児島から輸出される数量が、あそこにおります百二十四社でございますが、その商社が取扱いますのは数量的に見ますと非常に僅かな部分でございますので、初めからしつかりした梱包をして買付けることができないのだ、こういうことでございまして、趣旨はわかるけれども実行上商売は成立たない、こういうことで実は鹿児島でも是非検査をして頂きたい、こういうふうなように伺つております。
#38
○西田隆男君 そんなことは法律の検討の説明にはなりませんよ、そういう、今あなたの言つたようなことは。数量が少ないから検査の対象にならない、数量が多くても少なくても、一つのものでも検査しなければならないでしよう。多いものだけ検査するという規定はどこにもないはずです。一つから始まつた百ですから、百のものは検査をする、一つのものは検査をしないというべら棒な検査はない。当然大体今生産地でやつて、生産地で検査のできないものだけ、これはもう絶対な必要条件、できないものだけを輸出港でやるということが私は建前と思うのですがね。特に国の費用をかけて出張所を作ると、こういうのですから、これは経費は殖やさない、人間も殖やさないと、こういうことになつておるけれども、それは福岡にたまたまあつたからその経費も人間も殖やさないというが、なければまあ鹿児島に経費を殖やし、人間も殖やしてやつて行かなければならない。必要性があるかどうかということでこれは承認するか承認せんかということがきまるのです。而も只今局長の説明では何ですよ、二十万円の費用の負担に堪えないと、こういうことじや、それじや説明にならんですよ。私は出張所のことに反対せんがために反対しているのじやないですよ。そうじやないけれども、どうも説明を聞いていると大して必要性がなさそうだ。京阪地方で検査をおやりになつたらいいので、ここから如何にタイムリーが必要であるとは言いましても月に一回も出張しておやりになつたらできそうに思われる。それを今検査されておるものを鹿児島に持つて行つておられないから検査をするのに検査所が必要だ、検査済みのものを持つて輸出港に帰られたら検査出張所を置く必要がないと考えるがどうですか。
#39
○説明員(滝沢農君) 鹿児島からの輸出されております状況を見ますと、繊維だけで梱包されないで、地下足袋とかその他の雑貨品、歯磨粉とか、そういうものがございますが、そういうものと一緒にパツキングされまして、そうして輸出されるのが主のようでございます。そのために初めから検査を受けまして、そうしてそのものを輸出する、こういうことに行かんのだそうでございます。それで輸出検査のほうは大体検査いたしました製品の端末にパスなりグレードの判を押しまして、それから梱包いたしますと、又インスペクテイードの判を、証紙でございますが、それを貼つておるわけでございます。そういたしますと鹿児島で以てそういう地下足袋とか、鉛筆とか、歯磨粉なんかと一緒に詰合せますと、そういうときにそれができないことになるわけでございます。そういうために鹿児島での検査が必要になるわけでございます。
#40
○西田隆男君 なおおかしいので、梱包は必ずしも一つのものに梱包しなくても、梱包したものを幾つも合せて一つの包みにしたらいいので、何も検査をしたものを引き破つてしまうということはないのですよ。そんな繁雑なことをすることは一つもないのですよ。仮に人絹なり地下足袋を京阪市場で買うときは、梱包は鹿児島に送る。地下足袋もそうだ、必ずしも人絹と地下足袋を又破つてしまつて、一緒にしなければならないというような理由はどこにもないじやないか。
#41
○政府委員(吉岡千代三君) これはどうも御明敏な西田先生のあれで、甚だ明快なお答えができなくてあれでございますが、やはりこれは沖繩との取引というものは勿論それは再輸出のことも考えられます。消費者も外国人もおるということで、建前としては輸出品と同じような厳重な扱いをしなければならん。併し従来の経験なり必要から申しますると、いわば内地取引と輸出取引との中間的な性格を持つておるわけでございまして、同時に荷口も非常に少い。従いましてその梱包等の面におきましてはこれは輸出検査のほうの非常に重要な要素になつておりまして、輸出品とするからには厳重な梱包をしなければならない。併しそれには荷口が非常に少い場合があり、又いろいろ混合して梱包するような場合も、これは実用として認められない。そういうことになりますと一般の輸出品のように産地で正規に検査を受けるということは方針としては勿論そうあるべきでございますが、その一本槍ではやはり実情に即さない場合が起らざるを得ない。そういう関係上やはり鹿児島で輸出検査を受け、更に梱包の輸出検査を受けて出すという場合を認めざるを得んのじやなかろうかと思います。その辺はこういう戦争による特殊の事例としてお考えを願いたいと思います。
#42
○西田隆男君 今のその政治的な局長の答弁を聞けば、我々もどうでもこうでも追究して行こうとは思いませんが、併しそれは日本人の貿易に対する考え方の一番誤つた点ではないかと思います。例えば沖繩に持つて行つても、沖繩人だけで使うわけではなくて、外国人が一人でも二人でもその品物を買う。それが輸出されるものと同一規格のものであればこれは文句ないと思うのです。ところが沖縄で買つたものがいささか品質が落ちたものがあるということになると、これは一人が買うということは百万人が買うということです。鹿児島から輸出をしたものだからというので、局長みたいな政治的な解釈をしておればいいけれども、買うほうはそう考えないで日本の品物はこんなものだ、沖繩で買つたんだということになれば、日本の貿易に非常に大きな影響を及ぼすと思う。日本人は大体外国人に対して、もう少し徳義的に考えた品物を作つて売るようにしなければならないと、かねがねから私は思つている。その一端の政策の現われがまあ局長に言わせれば政治的な解釈になつたんではないか。要約すれば鹿児島の輸出業者のための便益をこの程度図つてやらなければならないという考え方が、品質の点はどうか知りませんが、悪い品物が入つておるということも考えられる。そういうことのないように特にこの検査の出張所を作り、Aが行きBが行き、若しもそういう不正なことをしようという業者があつたら、それに公正な圧力を加える、その場合に今までよりももつともつと悪いことが行われるとすれば、それは行われる可能性がある、それは日本の貿易にとつて決してプラスではない。それでこれは日本の貿易にとつて、輸出をして行くについて非常に大きな影響を及ぼすものであり、私はこれを心配しておるんで、根強く聞いておるんです。併しもう御答弁は要りません。だからそういうことのないように特に御注意を願いたい。鹿児島だけではない。どこでもこれは必要だと思うのです。
 私は希望を申上げておいて、別に反対ではございませんから、質問はこれで打切つておきます。
#43
○海野三朗君 昨日局長の答弁では福岡には三人というお話だつたが、ここに五人となつていますが、これはどうした違いでしようか。そこをちよつとお聞きしたい。この人員の配置です。福岡には三人行つているというお話でありましたが、そのうち一人鹿児島にやるんだというお話のように私は伺つた。今日見ますというと、福岡は五人となつておりますが、これは間違いですか。
#44
○政府委員(吉岡千代三君) この五名のうち、二名が病気で今休んでいるそうでございまして、実際の人員で三名ということを申上げましたが、そういう意味であります。
#45
○委員長(中川以良君) 御質疑ございませんでしようか。
#46
○松平勇雄君 一点だけお伺いしたいのですが、この鹿児島へ出張所を設けられると、事務所はどこかの事務所の中に入つてやられるのですか。新らしくどこか事務所を借りるのか……。
#47
○政府委員(吉岡千代三君) これは従来から地元の御厚意によりまして市の商工会議所の建物をお借りして検査をやつております。それでこれはほかの民間の検査機関もそこをお借りしましてやつているようでございまして、その点は従来通りそこをお借りしまして検査をやるということでございます。
#48
○松平勇雄君 それは、事務所又は電話を借りるのは無償で借りるわけですね。
#49
○政府委員(吉岡千代三君) 只今例にお挙げになりましたようなものは、これは庁費の予算がございますので、それでお支払いするということでございます。
#50
○松平勇雄君 そうですか。
#51
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。別に御質疑もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
#53
○天田勝正君 私は本件に賛成いたします。但し私は先ほど質疑の中でも申上げておきましたが、通産省はこれらの輸出業者対してはいろいろな指導援助等を行なつているのでありますが、それにもかかわらず、検査員が出張する場合には委託出張規則に基いて出張旅費は業者に負担させる、そのこと自体が一面援助しながら、一面は負担を加重している、こういう矛盾であつて、これは先ほどの政府側の御答弁によりましても好ましくないことであると言われております。私がこういう微細なことを、これはよろしくないということを繰返し申上げるのは、元来そうでなくても業者と官庁との腐れ縁というものがとかくできやすい、裏口においては。だんだんとそうした傾向が生じやすいのが常であります。それを役所の表口のほうにおいてさえもかように業者から旅費を受けてその検査に当る、こういうことになれば役所は表口ですらそうやつているのだからというようなことで、裏口の腐れ縁がますます危険の度を増す、こういうことも憂えられるのでございまして、そういう点からも、これらは誠に芳ばしくない処置であるから、政務次官が御答弁なさつておられまするように、速かな機会にこうしたことの僅かな経費の負担で済むことは、好ましからざる方向から、好ましい方向に向つて頂きたい。
 それから、これ又先ほど申上げておきましたが、これらの検査員は勿論専門の技術を身に体して、又末端においては極く少人数によつて輸出産業の一翼を担う、こういう仕事をしているのに従来役所の慣例としてこの末端の仕事をする人たちが、むしろ本庁の机に坐つている人の仕事のための報告書ばかりに追われて、本来の仕事がとかくおろそかになるということが例としてたくさんあるのでありますから、先ほどの御答弁のようにそうした方面のことは本来の仕事でないのでありますから、これらを簡素化して、これらの人たちが本来の責務に尽瘁できるよう、一つ御監督を願いたいということを、希望を申上げまして賛成いたします。
#54
○委員長(中川以良君) ほかに御意見ございませんか。
#55
○三輪貞治君 私は本件、地方自治法に基く承認を求める件につきまして賛成をいたします。ただ質疑の過程、或いは資料等で見ますると繊維製品検査所、本所、支所、出張所を通しての人員の配置等についてもその適否について若干の疑問を持ちます。併しながらさようなことは将来の検討に任せるといたしまして、この鹿児島の輸出繊維製品検査所出張所の必要性ということについてだんだん伺つて見ますると、止むを得ない事情もかなりあるようであります。特に鹿児島は現在においては日本の最南端でありまして、沖縄、台湾を失いました今日におきましては南の輸出貿易の一つの拠点とも考えられるわけであります。その他まだ開港場として二、三のものがありまするが、従来とかく貿易不振のために或る輸出の一定金額に達しないために開港場の取消をされなければならんというような悲運に立至つておる港もあるようであります。そういうところにおきましては繊維製品のみならずその他の輸出製品の、輸出品の検査所の設置を望んでおる声もありまするので、自治庁内においてはそれらの点についても十分御検討をお願いしたいということを附加えまして、なお天田委員からも、先ほどは西田委員からも仰せられましたが、特にやはり一人の人が常駐いたしまして検査をするというような場合には、ややもすると馴合いと申しまするか、非常に一つの規格に基いて検査をされるにいたしましても、そういつた点も必ずしも出ないとは限らないのでありまするが、十分に日本の輸出品の声価を維持し、なお高めるという立場から厳重なる検査を実施されるように要望いたしまして賛成をいたします。
#56
○委員長(中川以良君) ほかに御意見ございませんか。……ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決をいたします。
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を採決いたします。本件を原案通り承認を与えることに賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#58
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本件は原案通り承認すべきものと決定いたしました。
 それから本会議においての委員長の口頭報告の内容等事後の処置につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 なお報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされた方の順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    海野 三朗  三輪 貞治
    天田 勝正  西川彌平治
    西田 隆男  酒井 利雄
    白川 一雄  松平 勇雄
    岸  良一  加藤 正人
    武藤 常介  石原幹市郎
  ―――――――――――――
#60
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#61
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 それでは次に日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 先ず前回に引続き質疑をお願いいたします。(「質問なし」と呼ぶ者あり)格別御質疑もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#63
○海野三朗君 日本製鉄のみならず、製鉄事業に対しては通産当局としていろいろ今後もつともつと勉強してもらわねばならない問題がありまするけれども、本件は事実上誠に止むを得ざる法であると考えます。こういうふうな法を一年延期、二年延期と言つておること、そのこと自体が私は誤りであつて、そういうことで法案を訂正し、一年一年延ばすというようなことなしに行かなければならない、こう思うのであります。政府当局の答弁を聞きますというと、近くこの担保法が制定されますということでありまするから、一日も早くこの担保法が制定せられることを期待いたしまして、この法案に我が党は賛成の意を表明するものでございます。
#64
○天田勝正君 社会党第二控室は本法律案に賛成いたします。本件は極めて簡単な内容でありまして、その内容自体につきましては、只今海野委員からお話になつたように、問題はございません。但し審議の過程を通じて明らかになりましたように、私はすでにこの改正は二度、三度ということでありまして、これらは極めてその都度改正、こういう気がいたすのであります。而もそれが予測されない事態が起きたが故に、従来の見通しが誤りであつて、又改めて変更しなければならないということならば、これはどなたもうなずくのでありますけれども、さようではない、特段の理由が新たに発生しないのに、一度改正、又二度、三度、こういうことは何といたしましても、通産行政が如何に見通しがなかつたかということを現わすのでありまして、特に我が国の製鉄事業のような極めて重大な業態に関連をするこういう法律案というものが幾たびも幾たびも改正されるということは極めて不見識である。今後この種案件についてはかかることのなきよう通産当局において注意されることを希望いたしまして賛成いたします。
#65
○委員長(中川以良君) ほかに御意見ございませんか。……格別御意見もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異繊なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決をいたします。
 日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案について原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決することに決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の処置につきましては委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それでは報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされた方の順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    海野 三朗  三輪 貞治
    天田 勝正  西川彌平治
    西田 隆男  酒井 利雄
    白川 一雄  松平 勇雄
    岸  良一  加藤 正人
    武藤 常介  石原幹市郎
  ―――――――――――――
#69
○委員長(中川以良君) それではこれより石油関係二法案を議題といたします。本日は前回の当委員会において御決定に相成りました通り、参考人の御出席をお願いをいたしまして、意見を聴取いたすことに相成りました。御出席の参考人の方は東京大学教授、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の会長をなさつておられまするところの上床国夫教授、それから帝国石油株式会社社長田代寿雄氏、帝国石油探鉱部長で審議会の委員であられるところの中沢道理氏の三氏でございます。
 この際参考人の方に一言委員会を代表いたしまして申上げます。本日は御多用中のところを当委員会のためにわざわざ御出席を賜わりまして誠に有難うございました。厚く御礼を申上げます。御承知の通り、只今当委員会におきまして審議をいたしておりまする石油関係二法案につきましては、政府にその提案理由を先般来承わり質疑を続けておるのでございまするが、政府がその提案理由で述べておりまする通りに、いわゆる石油資源総合開発五カ年計画の促進ということが今回の法案の根本をなしておるのでございます。そこで当委員会といたしましては、石油資源開発五カ年計画につきまして斯界の権威者の御説明を承わりますると共に、五カ年計画が達成せられると、果して国産原油の年産が予定の百万キロリツターに到達することが技術的に果して可能であるかという点でございまして、この点が本当に確信があるかどうかという点をこの際特に皆様方にお尋ねをいたしたいと存じます。同時に、又この問題は一応技術的理論的に可能であるといたしましても、実際に開発の仕事に当つておられるところの企業者側におかせられまして、これを達成するところの確固たる御決意と御用意があるかという点もこの際明らかにいたして置きたいと存ずるのでございます。参考人の三君の御陳述の内容については、これらの点について腹蔵ない御意見をこの際お述べを頂きたいと存じます。なおその他委員会審議に関しまして参考となりまする事項等につきましては、何とぞ忌憚のない御意見を御開陳を頂きたいと存じます。お一人約十五分間ぐらいの程度で以て御公述をお願い申上げたいと存じます。それでは最初に上床国夫君。
#70
○参考人(上床国夫君) 私東京大学の教授上床国夫であります。只今委員長のほうから御紹介がありましたような問題につきまして、実は石油開発五カ年計画の必要性につきましては、すでにもう御承知だと思いますし、又政府当局のほうからも例を挙げて具体的な御説明があつたと思いますので、その点は省きまして、今日は五カ年計画の開発に対するいわゆる先ほどお話がありました可能性につきまして技術的な面からその要点をお話申上げたいと思います。五カ年計画の開発の可能性と申しましても、要点は石油のいわゆる資源量が日本の油田の中にそれだけの計画をいたしますについて、あるかどうかということが、まあその主点なのであります。それでそのことにつきまして石油及び天然ガス資源開発審議会というのは、これは御存じのように、石油資源開発法が一両年前に実施されましたときに、その法律に基いてできた審議会でありますが、その前身、やはり占領当時に進駐軍が参りまして、そうして石油開発促進委員会というものを作りました。これはプレトリアム・エキスプロレイシヨン・アドバンスメント・コミテイーといつておつたんですが、これは進駐軍のいわゆる天然資源部のいわゆるヨーロツパ及びアメリカの石油技師たちが指導をいたしましてそうして、その委員会を作り、そうして我が国からはいわゆるそれに関係のある学識経験者というものを集めまして作つた委員会であります。その委員会におきまして、日本の油田を再検討するということになりまして、それ以来ここ数年間の間、その委員会によつて調査を進め、或いは探鉱を進めて来ておつたのであります。たまたま一両年前に新らしく石油資源開発法が実施されまして、今度はその委員会が改組されまして、そうして只今の石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というものが成立つて来たのであります。従つてこの五カ年計画は、只今の委員会、いわゆる審議会から提出されておりますが、その資料となりますものは数年来検討して参りましたそのPEACの資料をそのまま引継ぎまして、そうして今日その資料に基いてこの五カ年計画を立てたのであります。それが、この審議会の経過と、それから五カ年計画を立てますについての資料についてのいろいろな検討、経過であります。そういう審議会の審議の結果、一昨年の暮から昨年の夏八月頃までかかりまして、日本の石油油田の開発についてもつとこれは町検討して更にこれを計画的に開発すべきじやなかろうかという議が審議会に起りまして、そうしてこの五カ年計画なるもののいわゆる案を作つたのであります。そうしてそれを通産大臣のほうに昨年の九月答申いたしました。それはお手許に審議会の答申案として渡つておると思いますが、そういういわゆる議案が通産大臣に提出されたのであります。その当時私ども参りまして説明をいたしましたのであります。それが通産省において採択されまして、只今のような、御案内のような結果になつて来たのであります。
 次に、ではその五カ年計画をなすについての資源量の可能性について入ります。その審議いたしました結果、次のような資源量につきましての結論を得たのであります。それは今直ちに試掘をする、そうしたら油が出るという個所が百五十六カ所出ました。それはその答申案にもありますように、北海道から青森、秋田、山形、新潟、それから静岡、その他の地域が加わつております。
 それからそのほかに、石油の可能性があるからして探鉱調査すべき地域という地域が百六十八カ所出ました。それもやはり北海道、秋田、山形、新潟、その他から合計いたしまして百六十八カ所出たのであります。
 それでこの結果に基きまして、先ず試掘に際しましてどういう順序で試掘するかということ、これを五カ年に分類いたしまして、計画的にその探鉱のいわゆる試掘の計画を立てたのであります。ところでその試掘の百五十六カ所の中で、これを採掘と試掘に分けまして、試掘のほうが百十一カ所あります。これは新らしい所、それから採掘のほうは四十五カ所ありまして、これは既成油田の、いわゆる深い所を掘るわけであります。例えば八橋油田をもつと深く掘るとかいうのは、この探掘のほうに入りますが、それが四十五カ所、試掘のほうの百十一カ所の中で、空井戸を掘りまする数が、一カ所に三本といたしまして三百三十三本掘るわけでありますが、その総メートル数が四十二万六千九百メートルになるわけです。従つてそれを平均いたしますと、一個当りが千二百九十三メートルになります。それが試掘のほうであります。採掘のほうの四十五カ所におきましては、三本ずつ掘りまして百三十五個掘りまして、それの総深のメートル数が二十万九千四百メートルになります。従つて一個当り平均千五百五十一メートルの井戸を平均の深度として掘ることになるのであります。そういたしますというと、それだけの井戸を掘りましてそれは計画を立てたわけですが、一体油がどのくらい出るかということがこれは非常に技術的にむずかしい問題でありまして、それをどういうふうに計算したかということであります。これを一つお聞き願いたいと思うのです。それは我が国の過去二十年間のいわゆる試掘の実績即ち探鉱の実績をとりますというと、試掘いたしました個所が百三十二カ所あります。その中で井戸を掘りました数が三百九十三個あります。総平均のメートル数が三十五万九千六百二十六メートル、一個当りの平地深度が九百十五メートルです。それだけ掘つたわけです。そうしたら新らしい油田が幾つ見付かつたかというと、二十年間に十四の新らしい油田が発見されております。そういたしますというと、発見率は幾らかといいますというと、大体一〇%、十本掘つて一本当つたというのであります。そうしてどれだけの油が、いわゆる可採油量として計算されたかと申しますというと、七百八十四万トン出ております。従つて一つの油田が大体五十六百万トン、まあ大体六十万トン級の油田が発見されておるという実績があるのであります。それで審議会といたしましては、この過去の我が国のいわゆる油田開発の実績を、今のお話いたしましたこの計画に当てはめて見たのであります。それ以外に実際のデータとしていわゆる資料として当てはめるいろいろな資料がありませんので、これが一番合理的だと審議会では考えましたので、この二十年間の資料を当てはめて見ました。そういたしますというと、次のような結果になるのであります。
 試掘地域が新らしい五カ年計画で百五十六カ所ありまして、新油田発見率が一〇%であります。そういたしますというと、百五十六カ所掘つて一〇%ありますのですからして、大体十五カ所の新らしい油田が発見される。そういたしまして、過去二十年間の油田が五十六万トン出ておりますからして、それを掛けるわけであります。そういたしますというと、今度それに対しまして過去二十年間におきましては、平均深度が九百十五メートル掘つておるわけです。ところが今度の計画におきましては、試掘におきまして千二百九十三メートル、採掘におきまして千五百五十一メートル掘るのでありますからして、過去のいわゆる掘さく作業量に対しまして、大体におきまして五〇%の増加であります。従つて採油最も五〇%増加するものといたしまして、千二百六十万トンの油が可採油量として出て来るという勘定になつたのであります。従つて新らしい油田を発見いたしますというと、可採油量が千二百六十万トンが見込まれたわけであります。これが第一次採油法によつて採掘される油の量であります。次に二次採油法、いわゆるセコンダリー・リカバリーでありますが、この方法によりまして、今度は更に油がとれるのであります。この二次採油法と申しますのは、今度の戦時中にアメリカが古い油田に対しまして、やはり石油の増産を図るために油層にエネルギーを与えまして、そうして地下に残つている油を、これを押し出す、そのエネルギーといたしましてガスを圧入するという方法と、それから水を圧入いたしますウオーター・クラツデイング、即ち水攻法というこの二つの方法を利用いたしまして、アメリカでは非常にいい実績を挙げております。その数字はいろいろあるのでありますが、時間がありませんので申上げませんが、そのセコンダリー・リカバリーの方法を我が国におきましてもこれを採用しようというのであります。それでこの問題につきまして、進駐軍が私にアメリカの二次採油法を見て来いということでありましたので、三年ほど前に私それによつてずつとペンシルバニア、それから中部の油田、それからカリフォルニア油田と、アメリカの二次採油法を実施しております油田をずつと見て参りまして、その結果を参考とし、日本の油田にそれを実施しようということになり、同時に又進駐軍といたしましては、アメリカのカリフォルニア大学のサマトン教授を招聘いたしまして、そうしてこの二次採油法を実際に具体的に実施しようということになりまして、ここでやはり先ほどの委員会におきましてこれを実施するということを検討したのであります。その実施を秋田の八橋油田に実施いたしました。
 その結果を申上げますと、大体増産いたしました率が六六%増産いたしました。非常にいい結果であるのであります。でありますからして、このいわゆる第二次採油法を実施いたしますというと、更に油が増産するということになるのであります。ところで、このいわゆる新らしい油田の発見による増産と、それから二次採油法による増産、それから更にもう一つは、この二次採油法と言いますのは一次採油法、いわゆるプライマリー・リカバリーの方法と同時にアメリカで行なつております。二次採油法というのは老朽油田に対しますいわゆる若返り法と考えられるのでありますが、併しながら新らしく発見された油田に一次採油法と同時に二次採油法を行なつて行く、つまり並行して行なつて行きますというと、油の増産が大きくなるわけでありますからして、只今申しましたいわゆる五カ年計画で新らしく発見された油田に対しましてこれを、二次採油法を同時に行うという結果をもたらしますと非常に増産するという結論になるのであります。その結果といたしまして、どれだけの可採油量が得られるかと申しますと、既成油田に対しまして従来一九二八年から一九五二年まで大体三十五、六年間に我が国では千二百三十五万トンの油をとつております。この油田に対しまして二〇%の採油量を、いわゆる増加率をセコンダリー・リカバリーでとるということにいたしますと、二百四十七万キロリツターとれます。それから新油田に対しましてこれが先ほどお話いたしましたように、千二百六十万トン出ることになりますので、これに対しまして二次採油法を行なつて二〇%仮にとれたといたしますと二百五十二万トンとれるわけであります。これを合計いたしますと、二次採油法だけで四百九十九万トン、大体五百万トンの油が二次採油法だけでとれるわけであります。これを先ほどの新油田の発見の千二百六十万トンと加えますと、大体千七百五十九万トン、大体千七百六十万トンの油が可採油量として出て来るのでありまして、この千七百万トンという数字は、従来日本が七十年間日本の油田を今日までやつておりますが、大体今までとつた油は千七百万トンぐらいとつております。でありますから、その五、六十年の間にとつた油がこの数年間の間にこの実施方法をいたしますというと圧縮いたしまして増産するという結論の数字が出て来たのであります。
 以上が、大体資源量が、日本の油田の資源量が五カ年計画を実施するについて決して無理な資源量でないのだ、大体過去の実績から実施いたしまして、過去は三十年も四十年もかかつてだらだら三十五万トンの油をとつおつたのを、それを五カ年間に圧縮して、そうして試掘や掘さくを盛んにやれば、それの三倍の百万トンぐらいになるのは決してこれは難事ではないという結論の数字を得たのであります。
 次に申上げておきたいことは、では五カ年計画をやるにつきまして、これは後ほどこの五カ年計画の大部分を負担されますところの帝国石油株式会社の方から或いはお話があると思いますが、審議会といたしまして五カ年計画を実施するについて技術の点は、いわゆる油田開発の技術の点はどうかということが、これが懸念になりますので、その点を検討いたして見ましたところが次のような結論を得たのであります。
 それについて簡単に申上げます。と申しますのは、技術が非常に進歩いたしましたために、最近の油田の発見は非常に短時日に発見される、例えば今日山形県の新庄平原のところに、いわゆる内陸油田と言われているところに、堀内油田が発見されました。これは調査を昭和二十五年に始めまして、そうして発見いたしましたのが昨年であります。で、この夏頃からこれが鉱場として発足することになりますが、大体三年間で発見しております。ところが昔は、戦前におきましては、例えば例を挙げますと、秋田の八橋油田でありますが、これは大正五年に試掘を始めまして、そうして成功いたしましたのは昭和八年であります。その間非常に長い間かかつたのでありますが、その間中止しておる時間もありますので、実績は、これは大体十カ年ぐらいかかつて現在の八橋油田を発見したのであります。こういうものは、取りも直さず今日の技術が戦前の技術に比較いたしまして非常に進歩しておつた結果、短時日においてこの油田の新発見ができるという結論を得ておるのであります。
 では、どういう点が具体的に技術的に進歩したかと申しますというと、いわゆる探鉱の方法、いわゆる物理探鉱の方法、或いは物理探鉱の中でも地震探鉱、重力探鉱というような、そういう物理探鉱の方法、それから試掘いたしましてコアの試験方法、それから油層に当りましたときのいわゆる油層のテスト、即ちホーメーシヨン・テストというようなそういう試験方法ですね、これらがアメリカあたりの新らしい技術を取入れておりますので非常に進歩しております。同時に技術者が戦時中に南方に参りました。南方油田の開発にかなり向うの技術を修得いたしました。その経験が生きておりまして、その結果これらの新らしい試験方法、即ち計測の方法をうまくこれを実施いたしました結果、先ほど申しましたような短時日の間にこの油田の発見が可能になつたのであります。特に最近におきましては、二次採油法を実施いたしますにつきまして、最近でありますが、この間アメリカから放射能探鉱の機械を帝国石油で、これは政府の助成金を得まして二次採油法の一つの探鉱の方法として購入されたのでありますが、この油層を放射能鉱法で探鉱いたしますというと、そういたしますというと、二次採油法を行いますのにどこのところに、どの深さに油があるかということがはつきりいたしますので、それで非常にまあ技術的に都合がいいのであります。こういう技術的な問題が進歩して来ましたので、五カ年計画を遂行するにつきましては、技術的に見まして十分であるという結論を得たのであります。
 最後に結論として審議会といたしまして申上げたいことがあります。それを一つ申上げたいと思います。私どもは石油を取扱つておりますので、石油の部面だけを取上げてこれを国に、いわゆる国会にこれを開発して下さいと、或いは政府にこれを開発して下さいということをまあ進言するのでありますが、併しながら国といたしましては、一つ通産委員のほうではこういうことを御考慮して頂きたい。それは総合エネルギー政策を確立して頂きまして、そうしてそのエネルギー政策の一環として、我が国の国内油田の開発をどういたすべきしかということを一つ考慮して頂きたい。そういたしますというと、先ほど私どもが計画いたしました五カ年計画が、総合エネルギー政策の、いわゆる我が国の総合エネルギー政策のいわゆる一環として取上ぐるべきか、或いは否か、それに対する国として如何なる対策を講ずべきか、或いは又国の予算を如何ほど支出すべきかということが数字が出て来るわけであります。我が国の現在のエネルギーは、或いは御存じだと思いますが、このエネルギーをカロリーに換算いたしますというと、大体一兆カロリーであります。最近の一年間の使用量がその中で石炭が五三%、電力が二八%、石油天然ガスが八%、これは輸入原油、輸入石油も入つております。それから木炭が一一%、こういう状態であります。従つてこれが我が国のいわゆるエネルギーでありまして、これが我が国の産業のいわゆる基本になつておるわけです。ですから私が今申上げました石油が、国内資源の石油が、このいわゆるエネルギー政策に対しまして、如何ほどのものであるかということの御検討を願いたいと思います。そうしていわゆる石油政策に対しまして、如何なる確実な政策を立てたらいいかということを申上げたいと思うのです。それで御参考のために戦前における我が国の石油政策というものを申上げます。これは或いはすでに御存じだと思いますが、それが戦前における石油政策は、これが第一はん造石油の生産であります。第二が対外油田の獲得、第三が海外原油の精製、いわゆる海外原油を輸入いたしましてそれから精製すると、第四が海外原油の貯蔵ということになつております。ところでこの政策の四つばかり政策がありますが、今日この政策の中で何が残つておるかと申しますと、御案内のように残つておるものは海外原油を輸入して精製するというだけしか残つていないのです。あとのものは全部失敗したわけであります。で、ただ残されたものは、そのいわゆる国内油田の資源をどうするかということが残されておるのでありましてそういう点をいわゆる審議会といたしましても広く検討いたしました結果、今申上げました五カ年計画という案が出て来たのであります。以上で説明を終ります。
#71
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは引続いて、次に帝国石油株式会社の田代寿雄氏にお願いをいたします。
#72
○参考人(田代寿雄君) 只今御指名を頂きました田代寿雄でございます。御紹介によりまして石油の増産五カ年計画が達成する可能性があるかどうかということにつきまして、その仕事の大部分を担当いたしまする帝国石油の内容につきまして、一応御説明申上げて、皆様方の御参考にして頂き、且つ増産が達成できますようこの上御指導を頂きいと存じます。
 昨年の八月と考えますが、鉱山局長からこの増産計画の内容について帝国石油の役員会は説明を受けました。只今上床先生からお話がありました通り、審議会において慎重に研究をされます。審議会は通産省の鉱山局とは実質的には繋がりが非常に強くて、鉱山局と審議会と合つて御研究になられたものだろうと存じます。又帝国石油のほうでも委員に数名のものが出ておりまして、いるいろの調査の材料等を提供し、その間の連絡もございました。局長から御説明を伺いまして、丁度帝国石油といたしまして是非やりたいと念願しておりましたが、なかなか自力ではできないことを、国策として助成の下に達成することができるというお話を伺いまして、非常に役員会一同は何と申しますか感激を以てお話を承わりまして、全員一致で是非その国策の線に沿つて帝国石油の使命を達成したいと、かように局長にお誓い申上げた次第であります。なお会社内部におきまして幹部の職員は無論のこと、組合全体も実に結構なことと、又帝国石油としてはそれが本当の使命であるということで、会社内部におきましては非常な熱意を以てこれに当るという精神的の団結及び決意というものが十分に発輝されております。この皆の気持というものは五カ年計画を達成する上において、必ずや十分な効果を挙げることと存じます。ただそうすれば熱意だけで行くかという問題でございませんので、実際の面におきましては経理の面と技術の面が大切でございますので、先ず経理の面につきましては政府の御当局が御検討下さいました数字も頂戴しますし、又帝国石油としてもそれに基きまして十分の検討を加えまして、いろいろの想定、例えば油の値段とか或いは一年目にはどの程度、二年目にはどの程度の油が出るという想定もありますが、先ず以て無理がない想定の下に五カ年計画が経理面でも達成し得るのではないか、その基礎は、試掘の対象になる百十億の半額五十五億の国家助成を頂く、及び資金の不足面については政府の強力なる御斡旋によりまして、五ヵ年に約十六億の資金調達の御斡旋を頂き、かようにいたしまして五カ年後に所期の目的を達成しますれば、そこにおいて十億の倍額増資をしまして、十六億の負債の半数以上の十億を弁済する、そしてあとの六億につきましてはその以後の収益を以て順次償還ができる、そういたしまして更に五カ年後には国内原油のコストが国際的のコンマーシヤル・ベースにのることができまして、なお且つその後には恐らくは政府の非常な助成を仰がないで、相当独力でも調査、試掘、採掘はやつて、進めることができまして、百万キロリツターの年産は漸次第二次五カ年計画というものを立てまして、百二十万とか百五十万に進めることができる、かように検討が進みましたわけでございます。繰返して申上げて恐縮でございますけれども、なかなか今日の経済界におきまして五カ年に十六億の資金調律ということは非常に困難なことと存じます。私どもこの重要な性質に思いをいたされまして、是非国会のかたがた、又通産御当局のかたがたの御斡旋によつて、その資金の調達を円滑に進めて行くように何とぞこの上とも御後援を願いたいと存じます。
 それから技術の面につきましては、中沢探鉱部長から詳細に申上げると存じますが、上床先生からもお話がありましたが、調査の点につきまして帝国石油といたしましては、十分五カ年計画に堪え得る調査及び掘さくの技術を持つておりまして、又更にそれを実行し得る、本当に井戸を掘る技術陣がどうか、或いは実際に働く人がどうかという点につきましても詳細に検討いたしましたが、十分にそれに備え得る。初年度に全部をやるというわけではございませんので、初年度以降の問題につきましては機械の設備及び人員につきましてそれぞれ計画を立ててございますので、その具体的のことはあとで中沢部長から申上げたほうがよろしいと存じますが、そういうふうに準備ができております。さように経理面におきまして御後援を仰ぎますれば、私ども帝国石油といたしましては、多分五カ年計画の八割以上、九割くらいまでは帝国石油が担当してやらなければならんことと存じますけれども、それを立派にやり遂げるという確信を持つておりますので、国内の原油増産が必要であるという点にどうぞ御留意下さいまして、法案の御通過並びにその後の御後援をお願いしたいと存じます。
 なおいろいろのことにつきましては、あとで御質問がございますればそのときに申上げることにいたしまして、先ず中沢参考人から技術陣の内容等についてお話申上げて、その上でいろいろお尋ねを頂きたいと存じます。
 なおこの席で甚だ失礼でございますが、先般当委員会のかたがたが新潟、秋田を御視察になりまして、お忙しいところを現場の実情を把握して頂きましたことは、私どもとして非常に仕合せに且つ感謝に堪えないところであります。併せて御礼を申上げておきます。
#73
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは最後に帝国石油株式会社の中沢探鉱部長にお願いいたします。只今社長より御説明のございました通りに、社長の御説明に対する補足的に特に技術の面について御開陳をお願いいたします。
#74
○参考人(中沢通理君) 私只今御指名にあずかりました中沢でございます。私からこの五カ年計画の実施面につきまして具体的なお話を申上げたいと存じます。
 我が国の石油鉱業は御承知のように戦時中の鉱業に携わつております者の大部分が南方に陸海軍に徴用になりまして、南方の大きな規模の油田を手がけまして、又そのために人員を強化いたしましたし、器材にいたしましても、そのために非常に増強をされたのであります。その人員、器材というものは、器材につきましても、その増強されたものが現在まだ残つておるものが多分にありまして、現在帝石で持つております掘さく機械、それは実際に現在帝石で仕事をしておりますもの以上の器材を持つておるわけでございます。それから又人の面につきましても、勿論戦後必要に応じて最初人員の整理が行われたのでありまするが、併し掘さくの技術者というものはそう一朝にして養成されるものでないので、特に技術面、技術者については成るべくこれを、温存するという趣旨で現在残つております技術、実際の井戸を掘つておる人、そういうものも現在やつております仕事にはあり余るだけの人員を持つておるわけであります。そんなわけで、今回の五カ年計画を実施するに当りましては、非常に好都合と申しますか、余裕がありまするために、余り無理なくこれは遂行できるという計画が立てられておるわけであります。
 なお技術面につきましても、先ほど上床先生からお話がありましたように、戦時中南方でアメリカ人がやつておりました仕事、又オランダ人がやつておりました仕事というものを会得いたしまして、なお終戦後は特に進駐軍のNRFでは石油関係に非常に好意的に技術的な援助をして頂きまして、そういうことでの技術の向上ということが非常に顕著であつたと思います。この技術の向上というものは勿論あらゆる工業について言えることでありますが、技術が向上すれば石油についての可採埋蔵量というものが当然増加して行くのでありまして特に石油においてはこれを探鉱する技術というものと実際に出て来ます最というものとが特に顕著に比例と申しますか、これは石油自体が他の鉱物と違いまして、目で見て手で掘るということはできない。液体で移動して行くものでありまするので、その溜まつたところを探るということについては、非常に技術的に高度の探鉱技術を要するわけであります。従つてその探鉱技術の進歩ということが非常に新らしい油田を発見する率をよくして行くわけであります。
 具体的に技術の進歩のことについて一言申上げますと、探鉱についての基本的な観念が非常に進歩した。現在石油は海に沈積した地層からできておるわけでありますけれども、その沈積の環境と石油の成生とが非常に関連が深い。堆積環境を究明するということが非常に突つこんで考えられて来ております。なお且つできました石油というものは移動して溜まりやすい場所へ溜まるわけでありますが、その溜まりやすい集油構造ができる時期というものが非常に大きな関連を持つておりまして、やはりできましたものが早くできた集油構造に集まつておるわけでありますけれども、そういうことも非常に最近突つこんで地層の厚さの変化というものを精密に調べます。どこに一番早く集油構造ができたかということを突つこんで考えるのであります。
 又先ほど上床教授からお話がありましたが、物理探鉱の技術が進歩いたしまして、戦前はほんの試験的な物理探鉱をやつておつたのであります。現在は非常にこれが進歩いたしまして、特に地震探鉱では地下三千メーターの深い所までの地質の構造を調べることができる。従いましてそういう地下三千メーターというような深い所にある油田というようなものについてまで開発の端緒がつけられるという状態になつております。又掘さくの技術につきましても非常に進歩いたしまして、掘さくのスピードにつきましても戦前の約三分の一、例えば千五百メーターの井戸を掘ります場合に、戦前では試掘の場合半年かかつておりましたのが、現在では大体二月あれば千五百メートル試掘ができる。掘さくのスピードは大体三分の一くらいに短縮されたということになつております。なお掘りまして、掘さく中に油層があるかないか、その油層が使うに足るものであるかどうかということを確認する技術につきましても戦前とは非常な、格段な進歩をいたしまして、先ほどちよつとお話がありましたように地質を連続的に取つて参りまして、油層の部分に当りますと、そこを精密に取りましたホアで含まれておる油、水、又その油層の孔隙率、滲透率というようなものを調査するようになつております。なお電気検層を行いまして、地層の抵抗なり孔隙率というようなものを電気検層によつて連続的に調査する、それによつて油層の価値判定ができるようになつております。従いまして現在は試掘を行なつて油層があればこれを逃がすということは殆んどないわけでありますが、昔はよく油層に当りましても、その油層を見逃すということが多かつたわけであります。これは掘さくに重い泥水を入れて掘りますためによく油の徴候を見逃すというようなことが昔はありました。そのために油田の発見を逃したというようなこともあつたわけでありますが、最近はもうそういうことは全然なくなりました。それからなお探鉱の範囲が広くなつた現在は三千メートル以上も掘るということが可能になりまして、従つて従来見付けることができなかつた深い油層についての開発ということが可能になつて参りました。これは勿論この物理探鉱でそういう深い所の地下構造を調査することができるということになつたのと相待つて、我が国の深い所にある石油鉱床というものも今後は開発し得るという段階に来ております。五カ年計画の実際の、具体面のことを申上げますと、お手許にございます「石油資源総合開発に関する答申」というのがございますが、これが五カ年計画の全貌を持つておるわけでありますが、その実施価から申しますと、地質調査、どこに油があるかということを探す地質調査の部門と、それからこれはどこに油があるかということは、どこに最も油が溜まりやすい、どこに石油鉱床を構成する可能性が多いかということを調べる地質調査、それと実際にそういうところを今度は掘つて見て確かにそこにあるのだということを確かめる試掘の部面、なお見付けましたものを掘り出すための試掘、探掘、採掘という掘さくの部面、それから先ほど上床先生からお話のありました二次採取水攻法という三つの部面に分けることができますが、このうちの十一頁に具体的な案が出ておりますので、これについて一言御説明いたします。掘さく部面はあとにいたしまして、十一頁の2の「探鉱計画」というものの第二といたしまして、「地質調査計画」というのが表として載つております。これによりますと、地質調査計画のうちの地震探鉱、これを五カ年間に亘つて毎年大体平均いたしまして十八カ所の地震探鉱をやるという計画になつておりますが、この十八カ所を行いますのには大体地震探鉱の機械を普通六基あればよろしい、現在二十九年度に行いますものとしては帝石で地震探鉱の測定機というものを四基持つております。四基で行います。それから技術院の地質調査所で一基持つております。技術院から一部は応援してもらつておる。計画としましては帝石で更に一基購入いたしまして、帝石で五基、それから地質調査所にありますものの、これは地質調査所で全面的に石油のほうへ協力するということも無理でありますので、そのうちの一基を石油のほうの調査に充てて頂くということで測定機は六基、つまり帝石で一基更に購入いたしますればこの計画は可能である。なお人員につきましては、現在よりも七名程度帝石に殖やすことになります。次の重力探鉱は毎月十カ所をやるという予定になつておりますが、これにつきましては機械は現在帝石に一基、それから地質調査所に一基というものが充てられるわけでありますが、この十カ所をやりますために帝石としてはもう一基購入する、従つて帝石で二基、地質調査所で一基というものはこの計画を遂行するために充てられます。それで毎年十班、十カ所の重力探鉱をやるという計画になつております。
 その次の地表調査、これは精査と概査と併せまして毎年六十班の地表調査を行うという計画になつておりますが、これにつきましては帝石でそのうちの四十班を受持つ、このための人員は帝石として多少の、六名程度の増員をすれば可能である。それからあとの二十班は地質調査所並びに各大学の応援を頂きまして行う計画でございます。このあとの「地化学調査」それから「化石調査」、「構造試錐」というものはこれは作業量も少くて現在やつております程度で特に増強しないでも可能であるということであります。
 その次にあります3の「二次採取法実施計画」でありますが、これは現在帝石で二十八年度も四カ所の水攻法を行なつております。具体的に申上げますと、秋田の八橋油田、それから黒川油田、院内油田、それから新潟県の新津油田、東山油田、そのうち前に申しました秋田の黒川油田は水攻井のみ掘つておりますが、まだ実際に水攻法をやるというところまで行つておりませんで、その四ケ所を実施しておりますので、この計画のように毎年二カ所乃至三カ所ほどやる。最後は四ケ所やるという程度の作業量は、現在そのままで可能なわけでございます。
 それから掘さくについて申上げます。その次の十二頁の5の、五カ年計画に基く掘さく坑井数、それから採油井数というのがございますが、そのうちの各問題について申上げることを省きまして、一番作業量の多い五年目を見て頂きますと、ここで掘ります井戸の数は既存油田が二十、試掘が百十一坑、それから発見された油田が、油田の開発のために掘ります井戸が合せまして百十二抗、探掘、採掘合せまして百十二、それの合せましたものが二百四十三坑、第五年目に二百四十三坑の井戸を掘るという、この作業量が一番大きなものである。この作業量をやりますためには、掘さく機が大体七十二機必要である。で、その七十二基をそれじやどういうふうにするかと申しますと、現在帝石で使つております掘さく機が三十九基ございます。それから現在使つてはおりませんが、手入れをすれば使えるという掘さく機が三十一基ございます。これを合せまして七十基でございます。まだあと一基を増強すればよろしい。七十二基の内訳を申上げますと、三千メーター掘れる機械が四台、千五百メーター掘れる機械が三十四基、千メーター掘れる機械が三十四基あるということで、総計七十二基になつております。一つ新らしく購入しなければならない、作らなければならんという機械は二基でありまして、そのうちの一基は三千メーター以上掘れる機械ということで、これは本年度一部部分品を輸入いたしまして、なおそれを使いまして内地で作るという計画にいたしておりまして、それについては技術院の工業化試験の助成をお願いいたしておるのでありまして、いろいろ改良する点がございますので、新らしい試みとして、三千メーター以上掘れる機械を内地で作るということに対しての補助をお願いしてございます。これが実現されれば不足の一台はそれで間に合う。もう一台は千五百メーター級の機械、これは一応アメリカあたりの最新式のものを輸入したい。これによつて更に内地のものを改良したいという考えで、一台は輸入したいと考えております。で、このようにして、七十二基のうち僅かに二基、それも一基は今度作るのでありますが、整備いたしますれば、機械は十分に間に合うという現状でございます。
 それから掘さくの人員でございますが、この五カ年の二百四十三坑を掘りますために必要な手組は五十二組必要なわけであります。この手組と申しますのは、一組が掘さく深度によつて十五名乃至二十名で一手組、昼夜兼行で掘るわけでありますが、昼夜五十二組必要であるということになつております。現在帝石で掘さくのほうで使つております手組が三十組ございまして、なおこれを必要に応じて増強する手段といたしましては、この手組の数を、十五人から二十人で構成されております手組というものを、先ほど話しましたように人員に余裕がありますので、多少余裕を持たせたという状態でありますので、これを多少減らして、各手組の人数を減らすことによつて大体六組は出せると考えております。それからなお今採油工場で働いておりますものに、十分掘さくができる、能力のあるものが大勢おるわけでありますので、こういう採油工場の、採算の余りよろしくないところを請負に出して、そうして帝石の持つておる技術者を掘さくのほうに入れるということで四組、なお採油工場を機械的に合理化しまして、機械化しまして、浮き出す掘さくの人数というもので六組できるということで、合計しまして、四十六組は帝石の現在持つておりますものでできる。なお不足いたします六組というものは、まあこれは帝石ばかりでやる計画でもございませんし、ほかの手組を持つております掘さく請負業の会社もございます。帝石といたしましても、これは五年先のことであればその間に養成もできるということで、十分維持ができると考えております。
 以上のようなことでありまして、この五カ年計画を遂行するについては帝石といたしましては十分な技術的にも又器材の面においても、又人員の面においてもこれを十分達成するだけの能力を持つているのでございまして、私ども実施のほうを担当いたします者といたしましては是非こういう計画を実現して国内の石油資源というものを一日も早く開発したいという念願に燃えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#75
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは各参考人の公述に対する御質疑をお願いいたします。
#76
○西田隆男君 いろいろお話を承わりましたが、幸い今日は田代社長もお見えになつているので社長に是非一つ伺つておきたいことがあるのでお答え願いたい。それは衆議院のほうでこの法律案を審査した結果附帯条件をつけて衆議院を通過した。その附帯条件の中に、これは当委員会でもいろいろ今まで論議された問題なんですが、帝国石油の重役陣の内紛がこの後も続くようなら二十九年度一億三千万円の助成金をやつちやいかんというような附帯決議がつけられているかのように私は承知いたしております。今のお話を承わりますと、日本の石油の採掘可採量についても十分ありますし、なお且つ帝国石油のこの開発に要する人、技術、物、そういう面にもいささかの欠陥もないように私には受取れたのであります。そうすると現在帝石で一番欠けているものは一番重役陣の一致団結した力が見られない。これだけが瑕疵のように私は思う。この委員会でもしばしばこの問題を取上げていろいろ論議したのでありますが、幸い田代社長が見えているので、一応帝石の重役陣の内紛がかたがついたかのように、通産当局からも答弁も得ておりますが、今の重役陣の陣容で、果してあらゆる条件が揃つた中において、帝国石油がこの国策的な石油の開発に当るのに支障がないかというふうに社長がお考えになつておるかどうか、これは国民全体が国の助成金を出す場合において、一番心配しておるものです。はつきりした私は田代社長の御見解と御確信があると思うので承わつておきたい。
#77
○参考人(田代寿雄君) 只今お尋ねの帝石重役陣の内紛ということにつきましては、誠に私社長といたしまして慙愧に堪えないところがあるのでありますが、いろいろ経営に関する意見の相違のために内紛ということが言われ、経営上事実意見の相違がかなりあつた点もあつたのであります。その調整には十分努力して参りましたが、なかなか一朝一夕でそれが解決というところには至難な場面に直面いたしまして、幸い先般通産御当局が、この点について非常に御心配下さいまして、本日おいでになる川上局長の御斡旋によりまして、在来の問題が一応解決いたしまして、若干まだそれに関連しております、私が了承しておる一、二の問題について、残つた点がありますが、いわば壁の上塗りの点が残つておりますので、これも成るべく荒立てないで円満に調整ができるほうがよろしいという観点から、若干時日が延びましたが、只今その点につきまして、関係者の内部においてもいろいろと話を進めております。私の只今の見込といたしましては、近日その点の十分理解ある、相互の理解の下に解決ができる、そのように確信しておりますので、帝国石油の重大なる使命に鑑みまして、経営陣が一致団結ができるというところに至急に到達したいと考えております。万一そういうことができないというときには、私非常な責任を感ずるわけでありますから、社長の責任を以て是非遂行して行きたい、かように決心しております。
#78
○西田隆男君 社長の固い決意を今承わりましたが、まだ内紛が、余燼がくすぶつておる、私はそういうふうに受取りました。これは大臣が見えていないから、政務次官にお尋ねしますが、政府が国策上石油の開発が必要なりとして出された法律案、その法律案に対して、衆議院を通過する場合に、いやしくも政府の監督下に置かれている会社の重役が、内紛問題に対しての附帯決議までつけなければならないということは、これはただ単に帝国石油の経営陣だけの責任問題ではなくて、当然通産行政の衝に当つておられるあなた方にも重大な責任があると私は思う。それは今まではただ単なるプライベートな石油採掘会社であつたという観点からまあ一応許すとしても、若しこの法律が参議院を通つて、そうして石油の五カ年開発事業が遂行されるようになつて後に、重役陣の内紛による影響が若しあるとしたならば、これはもう許すべからざることだと私は思う。従つて通産当局としては帝石の経営陣の内紛の原因を探究して、そしてこれを根本的に排除して、燃料増産の見地からの五カ年計画の推進に支障なからしむる断乎たる決意があるかどうか、政務次官から承わりたいと思います。
#79
○政府委員(古池信三君) 本日は大臣が出席しておられませんで、私から代つてお答えを申上げますが、恐らく大臣の考えも私と同様であろうということを申上げておきたいと存じます。従来、只今御指摘のように、通商産業省が監督をいたしておりまする帝国石油の内部において、世上いわゆる内紛と称されるものがありましたことは、誠に我々としては遺憾に存じております。今回国内石油を、今後強力に石油対策を進めて行こうという今日におきまして、特に予算措置として一億三千万円の御決定を頂いた現在、今後この重大なる石油政策を遂行して行く上において、万が一帝国石油の内部において、従来のごとき遺憾なる状態が起るといたしまするならば、我々といたしましても到底これは放置しておくわけには参らんと存じます。飽くまでも国策を遂行するに足る十分なる監督権を発動いたしまして、只今御指摘になりましたような憂いの将来起らんようにいたす固い決意を持つておりますることを申上げておきます。
#80
○西田隆男君 もう一点、これは川上鉱山局長に御答弁願いたいと思います。あなたは参議院の当委員会、或いは衆議院の通産委員会等においていろいろ論議された場合に、今回の衆議院通過に対する附帯決議の中にも政府は四百六十万株の株主権を完全に行使せよという附帯決議がついておる。誠に当面の局長としては、私は十分に御成心なさらんといかんことだと思います。あなた方の今までの考え方は株主権が最終的に多数決で決定されるという面にだけ重点を置いて帝石の運営というものをお考えになつておつたように私は受取れます。併し常識で考えた場合に、どこの会社でも第一に大株主というものの発言権は非常に強いものだそうです。又強くなければならんと私は考えております。如何に民主主義は衆の政治であるとは言いながら四百六十万株も持つている、その上に監督権も持つているという国の意見が一つの企業会社においても無視されて行くというような結果が招かれることは、これは誠に情ないことだと私は考えております。従つてああいうふうな不面目な附帯決議を衆議院でつけられたという点に関しては十分御戒心になつて、今後はこういう立法ができたとは言いながら、これは別に国が管理するという法律でもないようです。従つてやはり四百六十万株の大株主としての発言権は今後遺憾のないように十分活用されて、併せて監督権というものの活用によつてこの五カ年計画の目的が達成できるようにあなたには特に推進して頂かなければならんと考えます。従つて四百六十万の大株主の代表者は大蔵大臣なんですから……。監督権を持つていつも折衝の衝に立つておられる川上鉱山局長の一つ御決心のほどを承わりたい。
#81
○政府委員(川上為治君) 私はこの委員会におきましても申上げたかと思うんですが、従来の帝国石油につきましては政府が持つております株式はこの四百六十万株というものは、これは従来の方針としましてはだんだんこれは払下げをして政府の株はもう持たないというような方針の種類の株式でありましたので、私のほうとしましてはこの株主権の行使をやることがどうかというふうに考えて参つていたわけであります。又石油の開発につきましても別に五カ年計画というものが決定されまして、予算もつきまして、この際大大的に開発しなければならんというような状態には昨年におきましてはなりませんでしたので、どちらかと申しますと、西田先生は非常にそれを消極的だというふうにお考えであつたかも知れませんけれども、そういうような状態の下におかれておりました結果、私どものほうとしましては積極的にみずからこれに乗り込んでいろいろなことをやつたわけじやありませんでしたが、今回こういう法律が通りますし、又一面におきましては予算が決定されまして、そして石油をこの際相当開発しなければならん、而も国がこれに対しまして積極的な援助をとにかくやるというようなことになりました以上は、私としましては今西田さんがおつしやいましたように、今後におきましては相当立入つて積極的にこの人事問題その他の問題につきましても調整して行きたいというふうに固い決心を持つております。
#82
○三輪貞治君 それに関連してですが、立入つた人事のことで大変恐縮なんですけれども、布石のいわゆる内紛問題に関しまして、通産当局が斡旋をされて、一応の解決を見ておるようであります。その解決の結果として社長の補佐的な組織であるところの副社長制、常務制というものがなくなつておるように聞いているのでありまするが、こういつたような非常に画期的な開発計画を推進される場合に、社長の補佐機関が必要ではないかと我々考えるわけであります。この点について田代社長の忌憚のない御意見を伺いたいと思います。
#83
○参考人(田代寿雄君) 副社長又は常務というものの制度を一応停止するとか、或いは変更するとかいうことは非常に重大なことでありますから、私のこれまでのいろいろの研究及び帝石の取締役陣を円満に運営して、そうして能率を上げて行くという観点からいたしまして、新らしく日本石油、又は監査役としてでありますけれども、昭和石油その他の重役陣の御参加を頂きましたので、この際その点については慎重に討議いたしまして、そうしてそういう人たちと忌憚ない意見を交換して、できるだけ役員の人が全部が力を発揮して私を補佐してくれる、こういう制度をとりたい、かように考えまして今その機構につきまして折角勘案中でございますので、その程度で御了承を一つ願いたいと思います。
#84
○三輪貞治君 先ほどの衆議院において附帯決議がなされたということでありましたが、私もその附帯決議の案なるものを見ました。その中に株式の配当についての一項目がございまして、他の公共事業並みにとどめるべきである、こういう言葉でありましたか、そういう趣旨のことが述べられておるようであります。これは大変結構でありまするが、裏を返せば他の公共事業並みに配当を出せという主張の根拠にも相成つて来るのであります。ところが特にこの際におきましては五カ年計画を推進されて行く過程で挙げられた利益の大部分と申しまするか、相当の部分を新らしい開発に又投入されるという必要もあろうかと思いまするので、必ずしも他の公益事業並みの配当が不可能である場合も考えられるのではないかと、こういうふうに私は決議文を見て考えたわけであります。この点についてはそういう附帯決議というものが一つの楯となりまして、そういう主張をなすについての根拠となる虞れはないか、こういうことについて御意見をお伺いしたいと思います。
#85
○参考人(田代寿雄君) 衆議院のほうの附帯決議が、配当問題について他の公益事業の会社と同様にというのが加わつたように承わりました。これはどういうふうな政府のお考えか、又委員会のお考えか、私よく存じませんが、帝国石油といたしますると、この五カ年計画というものを遂行するのはなみなみならんことなんでございます。一応の数字は先ほど申上げましたように十六億の資金調達をすれば完成するという算盤は出ておりますけれども、油の値段が果してどう動くものか、一応私どもとしては或る程度の推定をいたしまして、算盤を弾きまして、外油がこういうふうに安くなつて来るということになりますると、帝国石油が精製三社より油の値段もかなり行政官庁の御斡旋を得ましても、現状のまま行くということが必ずしもできるかどうかということについても考えられまするし、又ボーリングのようなものも平均しますと一メートル一万円とか一万五千円とか推定はつきますけれども、なかなか深い井戸をやつて見ますと、最近の例で見ましても一本二千万円で上げようと考えました唯一の井戸が八千万円もかかつた。そういうようなのが一本出て来ますると、帝国石油の小さい経済から見ますると、非常に大きな狂いが生じて来る。その他人件費の問題にしましても、物価の問題にしましても、相当の前途につきましては考慮を払わなければならない。従いまして一応の概算をいたしました数字通り収支が行くかどうかということは、恐らくはこの大事業をなす上におきましては、帝石としては裸になるというくらいの覚悟を持つて国家の助成に応えて行かなければならん、かように考えますので、政府御当局のお考え、通産委員会のお考えは如何かと存じますが、若し収支が非常に悪いというときには政府で他の公共会社と申しますか、電力とか瓦斯とか、そういうものを指されると思いますが、それが一割五分なら一割五分にして下さるようにこれは予算その他の関係で困難だろうと思いますが、そういう場合に株主としまして又経営人としましても、ないのに一割五分やれということはないと私確信いたしまして、でき得る限り株主も投資されておりますから、その投資された面についても一応民間会社の面もありますので、十分配当ということについては考慮を払わなければなりませんけれども、他の瓦斯会社が一割五分、電力会社が一割五分、それ並みで必ずやつて行くということは私困難だと考えまして、成績が幸いによければそういうふうにして頂ければ結構であります。悪い場合には悪い場合で政府当局の差詰め鉱山局とか、或いは大蔵省とかいつた方面に前以てよく御相談申上げまして、五カ年計画の線が円満に順調に進みますように善処して行きたいと、私はかように考えております。
#86
○三輪貞治君 その点については古池政務次官からも御所見のほどを承わりたいと存じます。
#87
○政府委員(古池信三君) 申すまでもございませんが、この附帯決議そのものにつきましては衆議院の通産委員会の御判断によつてきまつたものでありまして、政府の意向はこれには何ら入つておらんのであります。ただ只今田代参考人からお話がございましたように、曽つて帝石はいわゆる公共事業令社以上の配当をなされた時代があつたように聞いております。従つて私見でございまするけれども、将来といえども公益事業以上の配当はしないようにせいぜい公益事業程度の配当にとどめるべきであるという趣旨においてこの決議がなされたものではないかと推測をいたしておるのであります。必ず公益事業と同率の配当を維持せねばならんという強い御決議であるかどうかということにつきましては、私今日正確に把握していないのでございまして、いずれ衆議院の委員会のほうにもお尋ねをして見たいと考えておるところでございます。
#88
○西川彌平治君 私は全く素人でございますけれども、ちよつと質問の見当が外れて来るかも知れないのでございますが、一つ上床先生と中沢さんに伺いたいと思うのでありますが、ここに立派な五カ年計画ができ上つております。その予定掘さく深度等もここに出ておりますが、大体におきまして相当深い深度のものが計画されておるようでありますが、今日日本の油田には浅層油田、浅い層の油田というものは見付け得られないような実際のこの御調査でございますが、どうでございましようか。
#89
○参考人(上床国夫君) 御返事申上げます。この深度は平均深度を出しておるのでありますが、必ずしも皆が深いというのではないのでありまして、未開発の、例えば北海道あたりではまだ浅いところもありますし、それから新潟県あたりでも山奥のほうはまだ浅いところがありますが、併しながらまあ原則といたしましては大体何十年ももう掘つて来ておりますから、深い層が残つておるわけなんです。従つてまあこの平均深度といたしまして、先ほど申しました二十年間の平均深度に比較しまして深くなつているというのであります。これは日本ばかりではありませんで、アメリカあたりでは一番深い井戸は、今カリフォルニアで掘つておりますが、これは世界中で一番深い井戸ですが、二万一千フイートです。二万一千フイートの井戸が世界で一番深い井戸です。油を出している井戸、いわゆる採油井、これは一万三千フイートです。これもカリフォルニアのアローマという所に油田がありまして、そのように世界各国古い所では大体深くなる傾向を持つております。でありますから、ここに出ております数字は平均律度でありまして、従つて浅い所もあるのですが、深い所もある、こういうようなことになつております。
#90
○西川彌平治君 もう一つ伺つておきたいと思いますが、石油の開発当初におきましては、今の話のあつたように、非常に浅い所に油田が見付かつておるのでございますが、従つて掘さくの経費等も非常に安く上つておるのでございますが、日本にはまだ有望個所が百五十九カ所もあるというふうな今御説明でございますが、そういうたくさんのうちでまだそういう浅層油田が一体相当あるというお見込でございますか。如何でございますか。
#91
○参考人(上床国夫君) ええ、まあそれは相当あると思います。どのくらいあるかということは、ちよつとここで数字的には申し上げられませんけれども、これはまあ大丈夫だと思います。
#92
○西川彌平治君 有難うございました。
#93
○天田勝正君 私も全くの素人でございますが、上床先生並びに中沢部長、技術陣が見えておりますからその観点の御質問を申上げたいと思います。本法律案が提出されましたその理由として政府から説明された中には、「我が国の地質は豊富な石油の算出が予想され」云々、前後は省きますが、そういう言葉があるわけであります。これに添うところの資料が提出されまして、認知埋蔵量が三千二百万キロリツターと、こういうようなことが資料として提出されております。現在審議会のほうでおわかりになつております、或いはおよそこのくらいは埋蔵量があるであろうというところはどの程度のところでございましようか。三千二百万キロリツターということになるのでございましようか。
#94
○参考人(上床国夫君) それを申上げますが、調査いたしましてすぐ試掘ができるというのは百五十九カ所、先ほど申上げた通りでありますが、そのほかに調査地域が百六十八カ所あるわけなんです。この中から、まあ大体今のところの見込では百二、三十カ所の試掘地が出て来るのじやないかと、こう思つております。それが第二次の五カ年計画になると思います。それから今度は大体日本の油田の面積状態を見ますと、鉱区面積といたしましてラウンド・ナンバーにいたしまして四千平方キロメーターであります。その中で現在油が出ております井戸ですね、それはパーセントにいたしまして大体七・八%しかないのです。それからそのような状態でありますからして、まだ調査地域が次から次へと出て来るわけなんです。殊に北海道あたりの奥地に参りますというと、なかなか未踏査の所もありますし、そういうふうに考えますというと、五カ年計画を一次や、二次行いましても将来まだ油は、調査をし或いは試掘をどんどんやれば出て来るはずだという考えを持つております。従つて今御指摘になりました数字はただこの最初の五カ年計画において大体こういう数字が出て来るのじやないかという数字を挙げておるのであります。
#95
○天田勝正君 更にお伺いいたしますが、現在世界の最深の採掘を行なつている方法と、その深度については西川委員から質問されましたが、日本において最深の採油はどこで何メートルでございましようか。又現在の可能な技術において、これは経済的に採算がとれるとかいう問題でなくして、純技術的な意味でお聞きしているのですが、どの程度の深さまでの採油が技術的に可能でございましようか。
#96
○参考人(上床国夫君) 一番現在深い所から出ておりますのは秋田の八橋油田、これは大体二千メートルの試掘の予定深度で、それで二千メートル、千九百何十メートルでしたか、そこで丁度掘つておりましたときに停電が起りまして、それでその井戸がとまつたんですが、それによつて発見されました油層が八属、九層、更に十属ということになつておりまして、大体詳しい数字は、或いは中沢探鉱部長からお話なさつてもと思いますが、それらが日本では一番今日では採油井の深い井戸になつております。それから日本で一番深い井戸と申しますのは、これは台湾でございまして、台湾では戦前三千六百から八百メートルぐらいの深い井戸を掘りました。それはやはり瓦斯や油が出たのでありますが、従つて三千メートル以上の井戸を掘ることは先ほど中沢部長から話されましたように可能であると思つております。
#97
○天田勝正君 更に関連して伺いますが、さつき中沢部長のお話の中には物理探鉱、特に地震探鉱によつてこの頃では三千メートルぐらいまで探知し得る、こういうお話があつたと私は拝聴したのであります。そういたしますると、先ほど上床先生が外国の実例を申されまして、その中には二万……。
#98
○参考人(上床国夫君) 二万千フイートです。メートルじやありません。フイートです。アメリカはフイートを使つております。
#99
○天田勝正君 そうですか、私はメートルと聞いたものですから、三千メーターよりも更に深い所はどういう探鉱方法でやるのか、それをお聞きしたいと思つたのですが、併し二万千フイート……。
#100
○参考人(上床国夫君) 二万千フイートと申しましてもメートルにいたしますと……。
#101
○天田勝正君 三分の一だから七千メーターくらい……。そうすると、そういう場合如何なる技術的に探鉱方法を用いるのでしようか。
#102
○参考人(上床国夫君) 最初は物理探鉱いたしまして、そうして大体の地下の構造を推定するわけです。そういたしますと、大体地下の構造を、それは探知するのでありますから、物理探鉱で地下の構造を探知いたしまして、その構造が石油集積に適当な構造であるということがわかりますと、その一番最適の所に深い井戸を掘るというのであります。従つて物理探鉱で三千メートルくらいしか探知できなくても、その下のほうの、それ以下の構造は大体その三千メートルの構造と同じような構造を呈しているであろうと、或いは違つた構造かというようなことを探知いたしますのに試掘いたしまして、五千メートルも六千メートルも掘るという順序になるのであります。従つてやはり何千メートルか下を掘るのには、探知いたしまするには、勿論試掘でなければ実際の問題はわからないのであります。
#103
○天田勝正君 もう一点、これは田代さん並びに中沢さん、いずれでも結構なんですが、お伺いいたしたいことは、私は過日も本委員会におきましてこれだけ国費を以て御援助を申上げる、こういうことならば探鉱それ自体については国が直轄してやつてはどうか、その発見されたことについて民間において採油される、これは又然るべきだ、こういう質問を申上げて、一応政府側からは答弁を受けております。併し依然として、私は、この点は業者であるあなた方はどうお考えになつているかをお聞きしたいと思つているわけで、そこでなぜにこれを探鉱というものだけを国の手でやるということでなしに、帝石、或いはその他の会社よありましようけれども、それらでやるほうがよろしいという根拠はどこにございましようか。
#104
○参考人(田代寿雄君) それに対する私の見解は、私個人の見解になると思いますが、まだ会社においてその点について練つた考えがございませんので、そのお気持でお聞きとり願いたいと思いますが、探鉱をもつと活溌にやると、調査試掘を銭金構わずに活発にやると、どうしても三年なら三年、五年なら五年内にこれだけやるという非常な強い方針が国家としてできまするとすると、普通の私どもの民間会社ではやり得ないのでございます。それを国家でやるかやらんかという問題につきましては、政府の御当局がお考え下さるという順序に、それが順序であろうかと私考えますが、只今の五カ年計画を主として帝国石油がその衝に当つて国策に副つてやるということにつきましては、或る程度のことならばやはり民間企業を鞭撻して頂いて行くほうが私は効率的ではないか。又これを急いでやるような場合に、国家で以て御経営になると申しましても、そうしますればやはり一つ独立した国家の手足になる公団といいますか、何かそういうものを組織なさることになるだろうと思いますが、その場合に、じや誰がそれをやるかと申しますると新らしく人を集めるということは理窟の上ではできるかと存じまするが、実際問題としますると、今日調査、試掘の技術は従来の関係上帝国石油に集まつておりますので、そのほうを持つて行くということでなければ実際上の仕事はできないのじやないか。それでそういうことをしまして果して効率的に行くかどうかということについては私は非常な疑問を抱いておるのであります。ただ最も危険な調査、試掘、採掘をどれだけでもやるということで国家として強い力でやられるというならば、それは一つの御見解と存じますが、只今の段階では先ず以て現在の設備を有効に使つて頂く、それが一番能率的であると私は考えます。
#105
○天田勝正君 先ほど三輪委員から質問がございまして配当等のことに言及されたのでありますが、そのときにもお答えになつたように、又私ども聞いておりましてもこの法案が意味するように、これほどの国からの援助がありましても、なお且つ帝石においても相当の支出を要する。これが出るか出ないかという又危険もある、危険負担も当然生じて参るわけでありますから、配当等についてもなかなか困難であろうというような意味のことをお答えになつたと思うのです。そういういずれにしても危険負担があるのでありますから、そうした危険負担、将来における原油の価格の変動がどうなるかというこのことが今日只今油が出るのではなしに、この探鉱を行なつた後に何年かの後に出る。こういうことになるのでありますから、現在価格で判断することはこれはできません。そこに企業者としてのあなた方が危険感を持つのは私は理の当然だと考えております。そうでありますから、その危険の部分は国がすべて行なつて、もうしてあとのことは民間の会社で行う。こういうことにいたしますれば、若しそれが発見されて、その際における原油の価格が非常に暴落した、こういう状態であつても、国といたしますればいわゆる潜在的な資産をそこに発見できたのでありまして、将来の日本のエネルギー資源としてこれを確保して置くという、こういう価値もそこにある。これが要するに、国という場合と民間会社という場合の私は違いだ、こういうふうに考えておりますから、そこで御質問申上げたわけであります。それで、それは私の大分意見にまたがりましたからお答えがなくてもよろしいのです。
 この際同じ事柄について中沢部長は、今私が申上げたような事柄が内容することについて技術的に見た場合にどうしても帝石がやつたほうがよろしい、こういうこについてその理由が挙げられましようか。
#106
○参考人(中沢通理君) 石油鉱業、まあ探鉱、それから見付けた油田を開発する。なお採油するという面については技術的にも一貫したものであります。試掘が油が見付かつたという場合でもなおその油田を開発するためにはこれは非常な資金面でも厖大な資金も要りまするし、技術者にしても同じ技術者が非常にたくさん要る。それは掘さく作業から申しますと、先ほどの御言明の数字でおわかりのように、試掘を百十本やるということに対して見付かつた油田の探採掘というのは百二十坑ぐらいあるというように、非常に関連した仕事があるわけなのであります。これを二つの部門に分けるということは、余り能率的な面から見ましても好ましいことではないと私どもは考える。ただそれは、これは私の本当の私見でございますけれども、むしろそういうふうに探鉱面とその後の開発の面というものを分けて行くということよりは、むしろ石油鉱業自体を一貫して国で方針がきめられるようなものに持つて行くほうがいいのではないかというようなふうに考えますが、これは私の私見であります。
#107
○海野三朗君 山形県の富並の油井の深さは何尺で石油が出て来ましたか。それを伺いたい。
#108
○参考人(中沢通理君) 富並油田は二十七年度掘りました第一号井で三つの油層を認確しております。それは五百メーター、六百メーター、それから八百メーター、なおその以下にも一応はございますが、十分なテストはまだやつてないのであります。現存開発しておりますのはそのうちの五百メーター層及び六百メーター層という二つが開発の途上にあります。なお今年度は八百メーター層というものも開発する段階になると思つております。
#109
○海野三朗君 船形の背斜のほうは何メートルになつておりましたか。
#110
○参考人(中沢通理君) 船形の井戸は二本掘りまして、一号井は千五百メーター、二号井は千二百くらい掘りました。一号井、二号井とも十分採油に足るだけの油は一応ございましたが、加工に足るだけの油の量がなくて廃坑いたしました。一応今年度は船形の背斜については計画しておりません。
#111
○海野三朗君 古池政務次官にお伺いいたしますが、関税の問題が、原油の関税を免除する問題も又大蔵委員会のほうでその案が通つたのでありますが、それとこの五カ年計画の進み方は私どもは反対なように思うのですが、これは如何ようにお考えになりますか。原油が安く入つて来ればこういう方面の油のほうが困るし、その辺は通産行政の立場から如何ようにお考えになつていらつしやいますか。大蔵委員会で又二十九年度も一年関税免除というようなことをやつておるようでありますが、一年々々そういうふうに延期するということ自体が私は間違つておることである、若し免除するならそんな法律は作らなければいいじやないか、一割の関税をかけるということがちやんと法律できまつておる、それを今年に限つて、今年に限つてといつて、一年一年免除しておられる、それは水産のほうから要望があつたからとか何とかいうことでありましようけれども、通産行政の立場からして石油を掘らなければならない、こういうことから考えましたときにどうも私は進み方が反対になつておるように思うのですが、関税をかけて高くても、幾らでも高く、一割くらい高くしたつて差支えないのじやないか、そういう方面とこの石油採掘のほうはどうも私逆なように考えるのですが、その辺は如何ようにお考えになつていますか。
#112
○政府委員(古池信三君) 只今お尋ねの点につきましては、確かに国内の石油を開発する上において安い外国の原油が入つて来るということはむしろ支障にはならないかという御趣旨でございますが、その見地のみから申せば誠にお説は御尤もであると存じます。ただ関税問題は単に国内原油開発の見地のみからも考えられないのでございまして、例えば外国との関係でありますとか、或いは又現に今日油を絶対に必要なものとして使用しております例えば水産漁業の問題とか、或いは運送の問題とか、そういう方面の事情も勘案いたしまして総合的に検討をして見なければならんのではないかと存じております。勿論当初にお話になりましたようなその点だけから行けばお説は誠に御尤もであると存じます。
#113
○海野三朗君 この前愛知通産大臣のお話には、この関税をかけても相当な金高にはなるけれども、それを直ちに石油に向けるというわけには行かないというお話、それは勿論そうでありますが、二十八年度の原油に対する関税を一割かけたといたしますと六十億の金が取れるわけであります。それを一年間取らないでおるわけであります。今年度も恐らく六十億になるのじやないか、こういう方面がいろいろな方面からしてそうは行かないと言われるけれども、大局的立場に立つて見れば一兆円の予算でやろうと言われる緊縮のときに当つて、一割の関税をかけるくらいのことは何もそこでしぶる必要はないのじやないか、私はここにおいても直ちに頭に浮んで来ますことは汚職の問題であります。税金をかけなければならないというところの法律があるにもかかわらず、一年々々今年度だけといつて延期して、そうして原油を精製するところの工場はどういう工場であるかといつて調べて見ますというと、二十億或いは二十二億という資本金の精油会社であつて、どうもここに私は割切れないものがあるのであります。こういうことは、つまり大蔵省の感覚であると、こういうけれども川上局長あたりなんか如何ようにお考えになつておるか、大蔵委員会でこういうことをきめられるけれども、通産当局としては、あなたのほうではそういう場合に原油のほうに対する関税では何も今まで御意見をおつしやつたことはないのでありますか、その点をお伺いいたします。
#114
○政府委員(川上為治君) 私はいつかの委員会におきまして、関税の問題につきましては私の個人的な意見としましては関税をかけまして、それによりまして得ました国家の歳入から少くとも十億程度、或いはそれ以上を石油の開発に出して頂けるならば私は関税をかけても誠に結構なことですということを申上げたわけでありますが、これはいろいろな財政上の関係から必ずしもその関税収入によりまして石油のほうへ廻すというようなことができないのであるというようなことでありますので、全然そうした方面にできないということになりますというと、何のために関税をかけたのかわからないということになりますので、私はそういう考えを持つていたのですが、ただこの問題につきましてはこの前の委員会におきましては、その前でしたか、委員会におきまして申上げましたように、水産業とか、運輸業、こうした方面の中でやはり関税をかけますというと相当影響するものがあるのでありまして、例えば運輸業の中でガソリン・トラツク、これは関税を、この原価中に占める燃料費の割合が十九%となつておりますし、それからこの海上運輸業の中で機帆船は二〇%乃至二四%占めておりますし、その他の中でも一割以上のものを占めておりますものが相当ありまして、やはり関税をこの際かけることがこちらのほうに転嫁される虞れが多分にありますので、そのために関税をこの際かけるかどうかということについてはもう少し検討して、そうして本年度におきましては差当りかけないで行こう、こういう政府の決定になつたということになつたわけであります。これは今海野先生がおつしやいましたように、通産省内部におきましても関税をかけていいのじやないかという議論と、いやこれはやはり影響がこの際はあるのじやないかというようないろいろな議論がありまして、そうして大蔵省との間にいろいろ話をしました結果、今申上げましたような結果になつたわけでありまして、私の個人の意見を言えということになれば、先ほど申上げましたように、水産業とか、或いは運輸業、これは私の所管ではありませんのですが、ほかに少しぐらい影響がありましても、或る程度関税収入があつて、而もその中から石油開発のほうに廻して頂くということになれば、或いは十億か十五億廻して頂くということになれば甚だ私としては結構でありまして、是非ともお願いしたいというので海野先生と同じような議論をしたわけでありますが、やはりこれは大局的に見ますというと、この際暫らく待てという話合いになりましたので、そういう結果になりましたことを御報告申上げたいと思うのであります。
#115
○海野三朗君 私はいま一言、鉱山局長の立場から、つまり石油開発の立場からも、国内の石油開発は五カ年計画に全力を注いでやらなければならないのでありますからして、この関税問題なりについては、やはり大蔵当局に強く要望するだけの御決意を私は御期待しておきたいと思います。これを以て私質問を終ります。
#116
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。……それでは本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
 参考人のお方に御挨拶申上げます。本日は御多用中のところを、当委員会のために特に御出席を賜わりまして、誠に貴重なる御意見の数々を承わりまして、私どもが本法律案を審議いたしまする上に非常に尊い参考になつたことを厚くお礼申上げる次第でございます。私どもは先ほど来お話のありましたごとく、国家の総合エネルギー対策の一環といたしまして、石油資源の開発がこの二つの法律案を通じまして、本当に立派に達成できますることを念願いたしまして、公明に審議をいたし、皆さんの御期待に副いたいことを期しておる次第でございますので、今後も御意見がありましたら、何なりと私のほうにお申出を頂きたいと思います。本日はどうも有難うございました。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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