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1947/06/28 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第18号
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1947/06/28 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第18号

#1
第002回国会 厚生委員会 第18号
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○温泉法案(内閣提出)
○民生委員法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○藥事法案(内閣提出、衆議院送付)
○あん摩、はり、きゆう、柔道整復等
 営業法に関する特別法案(小林勝馬
 君外四名発議)
○社会保險診療報酬支拂基金法案(内
 閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○理事(谷口弥三郎君) それでは只今より厚生委員会を開会いたします。前会に引続きまして温泉法案の質疑を始めたいと思います。御質問のある方はどうぞ。
#3
○山下義信君 本法案につきまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。この法案を通覧をいたしますと、結局現在の温泉そのものを保護する御規定のようでございますが、それにつきましてこの法案の目的は、結局この温泉の利用の適正化を図るのだ、公共の福祉の増進に寄與するのだ、こういう御趣旨のようでございます。もとより温泉を保護するそのことが目的ではないので、その保護したる温泉によつてその利用の適正化を図り、公共の福祉の増進に寄與しよう、こういうのであります。つきましてはこの法案の中にその温泉の利用の適正化をお図りになるという面が、私共には十分に取入れられない。公共の福祉の増強に寄與されてあるということが、この法案のどこに強めてあるのかという点が実は取りにくい。強いて申しますると、その利用の適正化を図るためにいろいろ協議会でございますか、温泉の審議会というようなものが置かれてあるという程度のように見受けられるのであります。政府はここに温泉法というものを新たに制定して、そうしてこれらの目的を達するというためには、定めしこの法案以外に行政の面において、いわゆる温泉対策というものを持つておいでになるに相違ない、こう思う。で何か今申上げたこの温泉の利用の適正化を図る、公共の福祉の増進に温泉を十分活用しようというためには、どういう根本対策を持つておいでになるかということを先ず第一に承わりたいのであります。
 第二は結局この法案によつて温泉源を保護するのか、特にそれが明白でないのでありますが、いずれにいたしましてもこの法案をそのまま実施いたしたのでは、成る程表面は温泉を保護するということでありましよう。けれども現実はその温泉によつて、営業をいたしておる温泉営業者、温泉企業者を保護することに終る、これは虞れが多分にあるのではないか、こう思うのである。新規に温泉を掘鑿することが、非常に抑制されて來るのでありまして、その一面には現在の温泉業者を非常に保護するということに相成る。それだけ保護した温泉を如何に公共のために開放させるか、如何に温泉療養のためにそれを十分に活用させるかということがこの法案の上に出ていない。言うまでもなく温泉盡くが然りではございませんが、今日の源泉を一つの企業といたしておりまする所は、到りところの温泉地はいわゆる亨樂地に相成つております。温泉によつて療養しようといたしまする大衆は莫大な金を持つて参りません限りには、十分にこの温泉で療養ができないということに相成りましたのでは、私はこの法律の目的は達しないのではないかと考えます。そういう点につきまして、一面には現在の温泉企業者を保護するように相成りましても、一面にはその温泉を公共のために非常に廉價で利用させるというふうに導かなければならないのではないかと思うのでありますが、その点につきまして如何なる対策を持つておいでになりますか、伺いたいと思うのであります。
 第四点は、温泉は一つの権利のように相成つておりまして、相当厖大なことにいわれておる。最近財産税などの徴收に当りまして、ほんの家庭の中に温泉を導いておるというような家庭用の入浴施設のようなものにも、先ず四、五万円という評價をして財産税を徴收いたしておる。そのくらいこの温泉というものの権利というものが厖大になつておる。こういう法案を布きますというと、もう殆んど独占になつてしまう。誠に私はこれは一つの権利としては厖大なものとなつて來ると思うのであります。それだけに十分この法案の実施に当りましては、許可とか、いろいろなことにつきましては注意をいたさなければならんと私は考える。然るにこの温泉法というものをお作りなるということが早くから巷間に漏れておる。昨年の夏であつたか、私はすでにいずれも温泉法というものができて、いろいろ規定せられるのだということで、兵庫縣下の某々が早くもこの法によつて抑制される前に、温泉についてのいろいろ利権運動をいたしておることなどを耳にいたしておる。ことはただ兵庫縣ばかりではありません。各所においてそうであると思いますが、この法案によりますと、附則によりまして、先ずそういうものも將來認めるということがあります。そうすると逸早くこの法案の立案を耳にいたした早耳筋がすでに掘鑿いたしておるということで、利権屋が相当動いておるのではないかという私は疑惑を持つております。この附則によりまして現在そういうことをいたしておる者を大体認めて行こうという上において、当局はそういう利権屋などについて相当の注意をしておるかどうかということを伺いたいのであります。
 以上は大体根本的なものでありますが、一應その点をお伺いいたして、後は條文の一、二の点を簡單に御質疑をさせて頂きたいと思います。
#4
○政府委員(三木行治君) お答えいたします。只今山下委員からの御質問の各項は、温泉法といたしまして最も重要な諸点でございまして、私共も御意見に対して全く同感に存ずるところでございます。先ずこの法律案のやり方では、單に既得権の保護ということになつてしまう虞れはないかという御質疑のようでございまするが、御指摘になりましたように、本法案第四條におきまして「温泉のゆう出量、温度若しくは成分に影響を及ぼし、その他公益を害する虞れがあると認めるときの外は、前條第一項の許可を與えなければならない。」となつておるのであります。この書き方におきましても成るべく許可をする、許可が原則であるということになつておりますことが一つ、それから更に「温泉のゆう出量、温度若しくは成分に影響を及ぼす」など、公益に害を及ぼすと認めたときは許可をしない、公益を害する虞れがなければ許可をするという、こういう表現に相成つておるのであります。御存じのように今日の温泉界の問題は、丁度法律及び命令の空白時代でございまするので、先程御指摘のありましたような各地における濫掘或いは掘下げにおきまして、大きな動力を使う問題が随所にあることは、御指摘の通りでございまして、この故にこそ、我々は全体として温泉源の枯渇を防ぐために、これらの泉源の保護ということを先ず第一に取上げて規定しなければならければならないと考えておる次第であります。從いまして、この法律の條項によりまして、公益を害さない場合においてはできるだけ許可して行くけれども、併しその場合におきましては温泉脈全体を大局的見地から見て、温泉源の枯渇ということが公益を害するとい見地に立つのでございまして、聊かの利益をも侵してはならないというような、既得権の権利の濫用という用につきましては、我々は十分注意して行かなければならん、かように考えておる次第であります。
 併しながら結果論的に申しますというと、温泉の既得権者に対して利益を與えるかのごときことにならないとは限りません。さような場合におきましては第九條に規定してございますように「温泉源保護のため必要があると認めるときは、温泉源より温泉を採取する者に対して、温泉の採取の制限を命ずることができる。」というように規定いたしておるのでございます。既得権を持つておりましても、その既得権を侵害せられる形になるのでありますが、公益のためにその採取の制限も受けなければならないように規定いたしまして、能う限りこれらの既得権の濫用というようなことのないように、公益的見地から規正を加えて、利用開発と既得権というものとの調整を図つて行くというような行き方にいたしたいという趣旨で以て、規定いたしておる次第でございます。
 更に利用の適正化の問題でございまするが、この点につきましても御指摘になりましたごとく、企業家或いはその他の利権屋のために壟断せられるということのございませんように、第九條を活用いたしまして、公益のためにこれを使つて行く、その地域の温泉源の利用開発という公益及びその他の公益のために使つて行くというような調節をいたしたい所存でございます。
 更に温泉対策というものを政府は持つておるかという御意見でございますが、温泉の問題は我が國におきましても古くからの問題でございます。新憲法と共になくなりました地方命令におきましては、主として警察命令的な規定がなされておるに過ぎないのでありまして、取締に偏しておるという状況であつたのでございます。この法律案におきましては、第十四條におきまして「厚生大臣は、温泉の公共的利用増進のため、施設の整備及び環境の改善に必要な地域を指定することができる。」第十五條「厚生大臣又は都道府縣知事は、前條の規定により指定する地域内において、温泉の公共的利用増進のため特に必要があると認めるときは、省令の定めるところにより、温泉利用施設の管理者に対して、温泉利用施設又はその管理方法の改善に関し必要な指示をすることができる。」こういう規定がございまして、單に取締ということでなく、温泉の國民生活に向つて與える積極面につきましても、かような規定をいたしておるのでございまして、即ち温泉審議会に掛けましてこれらの温泉郷とも称すベきものを設定する。そうしてその温泉郷所におきましては、公共的利用増進のために特に必要があると認めましたときにおきましては、或いは治療、病院、プール・ハウスと申しますか、それからホテル、旅館、公衆浴場等を建設する。又その管理方法につきましても、ドイツ等によくございます泉医の利用に当りましては、單に習慣によつて、或いは湯の音頭と申しまするか、音頭取によつて一齊に入り一齊に出るというようなことでなく、温泉というものを科学に立却して利用し、療養に使う、或いは健康増進に使い得るというような科学的な温泉利用の面を拡充いたしますために、泉医を設定する、或いは又保養地帶を設定するというようなことをやりまして、この温泉というものを画期的に活用して公共の福祉のために利用し得るよう、單に從來の亨樂地帶というようなことのないようにやつて行きたいと考えておる次第でございます。幸いにいたしまして、今日まで温泉というものは地中から出る温度、無機物質プラス或る物である、こういうふうな見解でございまして、温泉治療学というものが確立しておるとは必ずしも申されなかつたのでございます。併しながら最近に至りまして、温泉治療学の進歩と共に、御存じのように全国に大学の附属温泉治療研究所がございますが、そういう進歩と共に、温泉が皮下における形成細胞を増殖する、即ち温泉が疾病治療、健康増進にこの故に効き目がある、治療的に効き目があるということも明らかに相成りました次第でございますが、かような学問の基礎の上に立ちまして、十分に治療及び健康増進、国民福祉の増進のために温泉を利用するというような対策を樹立し、これに努力いたしたい。かように考えておる次第でございます。
 次に、利権となつておる問題が相当莫大なことであるという御意見でございました。成る程温泉というものは從來の慣習、或いは経濟的な事情などに從いまして、相当な利権となつておることも否み難き事実であると思うのであります。ただこれからの権利、いわゆる独立いたしました不動産、物権としての温泉権というような問題につきましては、この法律案におきましても最初触れたかつたのでございますが、併しながら幾多の慣習その他の問題、地方的な事情もございまして、今直ちに温泉権なる特別の物権を設定することはどうであらうかということでございますので、法務廳の意見もございまして、次回改正のときに取決めて行きたい。是非ともやらなければならん時期に到達しておるのでございますけれども、非常に困難な問題でございますので、次回改正のときに一つ、それまで研究いたしたいということに相成つた次第でございます。御了承得たいと思います。
 最後に、温泉法の制定が巷間に漏れて、それがために早耳筋はそれに相当な対策を講じておる。かよな場合にこの法律案附則においてはそれらも一應承認するという形になつておるのであるが、政府はそれに対する対策はどうであるかという御質疑と承わつたのであります。実際問題といたしましては、地方廳等におきましてもそれぞれ指導の面におきまして、法的根拠はございませんけれども、温泉源全般の枯渇を防ぎますために、いろいろな措置を講じておるところもございますので、それらの卒業者が利権を獲得する、或いは採掘しておるという事実も非常に少くないということを知つておるのであります。併しながら仮にさような者がございまするならば、さような空白時代の、濫掘にあらずとするも、泉源の掘鑿或いは動力の利用、新設というような問題につきましては、更に申請せしめまして、本法律案によりまして、温泉審議会の議を経て愼重にその許可或いは不許可を決定する所存でございます。
#5
○山下義信君 政府の説明で十分了承いたしました。この法律の目的は、既得権の徒らな保護ではなく、そういう企業者のための便益を図るのではなく、全く公共の福祉のためにやるのだと、從つて公共の目的のために新たに温泉を開発し、或いは種々なる温泉対策を公共のためにやるときに、若し既得業者或いは温泉の既得権者を、或いは公共のために抑制せねばならん面も十分あるのだという政府の説明で、私は了承しました。何とぞその線に副うて本法案の有効適切なる活用を行政上運用せられんことを切望に堪えません。
 次は小さいことでございますが、第八條の動力を設置する場合の規定でございますが、これは温泉を甲から乙へ運搬をいたしまするために動力を装置する場合も、この第八條に該当いたしますか、いたしませんか、これを伺いたい。
 それらから第二に、第十一條の温泉が湧出する場合の土地の掘鑿に関しまする規定でございますが、自然に自分の所有土地から噴出をいたしました場合は、この第十一條と関連いたしましてどうなるのでございますか。自然噴出の場合は大体においてよろしいのでございますか、如何でございましようか。
 次に私は、第十四條、第十五條、即ちこれが温泉に対する政府の対策の本になるところであろうと思つておりましたが、今の御説明で果して然りでございました。この点は実に重大でございますが、どうぞ只今御説明に相成りましたような有効適切なる対策を御実行下さるようにお願いしておきます。
 第三点は、第十九條の温泉審議会のことでございますが、温泉審議会を置くということだけありまして、二十條に中央の審議会と地方の審議会の取上げることをただ規定してあるのですが、これはどういう組織でやらせますか、御構想がありましたら伺いたい。中央の審議会というものはどういうようなメンバーにいたしましてやりますか。地方の審議会というものはどういうような大体メンバーになりますか。私共恐らくこの地方の審議会というのは温泉宿屋の主人みたいな者が集まつて委員になつたのでは誠に心許ないと思うのでございますが、どういう委員で以てやらせるというお考えであるか。一体私共の考えでは、この地方審議会というのは実は必要がないのではないか、これは中央審議会だけでいいのではないか、公平無私なる審議をしようとすれば中央審議会だけでよいと思う。それを地方々々に置いたならば、温泉業者の有力なる者達によつて当然左右される危險性が多分にある。局部的に相談せねばならんこともあるでしよう、けれども温泉対策というものを國策としてやつて行こうということになれば、中央審議会だけで私は十分だと思うのです。ともかく中央、地方の審議会の構成メンバーはどういう考え方を持つているかということをお聞きしたいのであります。以上でございます。
#6
○政府委員(三木行治君) お答えいたします。第八條におきまして、動力を使用する場合に、他人に分湯する場合にはこの條項に触れるかという御意見でありますが、これは泉源の開発と同樣に、動力を利用いたしまして温泉源からどんどん湯を持出すという濫採取の防止という趣旨でございまして、他人に分湯するという場合はこの中には含まれておりません。
 それから第十一條の自然に噴出するという場合はどうかという御質疑でございますが、これは別に掘鑿もいたさない次第でございまするので、掘鑿に関する許可は勿論必要はございません。ただ第十二條の温泉の利用という見地から、若しこれを自分の家の風呂だけに使うという場合におきましては、自由にやつてよろしいわけであります。併しこれを公共の浴用又は飲用に供しようという場合におきましては、第十二條第十一項におきまして許可を受けなければならない、こういうことに相成る次第でございます。
 最後に第十九條の温泉審議会につきまして、その構成メンバー等はどうなつておるかという御意見でございますが、これは温泉審議会令という政令で以て規定して行きたい所存でございまして、先ず目的とするところは、温泉に関する関係事務について諮問する、「関係各大臣は中央温泉審議会に関係庁政廳は都道府縣温泉審議会に、温泉に関する関係事務について諮問することができる。」ということに相成つております。又「温泉審議会は、温泉に関する重要事項について、中央温泉審議会にあつては関係各大臣に、都道府縣温審審議会にあつては関係行政廳に意見を具申することができる。」温泉審議会が逆に発案して意見を具申することもできるということになつておりまして、「中央温泉審議会は委員四十人以内で、都道府縣温泉審議会は委員二十人以内でこれを組織する。」ということになつております。そうして「特別の事項せ調査審議するため必要があるときは、前項の定員の外臨時委員を置くこれができる。」、「委員及び臨時委員は、関係行政廳の官吏又は吏員、温泉に関する事業に從事する者及び学識経驗のある者の中から、中央温泉審議会にあつては、厚生大臣の申出により内閣でこれを命じ、都道府縣温泉審議会にあつては、都道府縣知事がこれを命ずる。」、こういう行き方をしたいと考えておるのであります。
 尚御指摘になりました、むしろ中央を強くして置けば地方は要らないではないかとという点につきましては、私共も御同感に存ずるのでありまするが、ただ地方自治の精神等を考えまするというと、やはり地方にもこれらの審議会を必要とするのではないか。殊に温泉につきましては、御存じのように、地方的な事情、地方的な慣習というようなものも相当にございまするので、特に地方にも置きたいと考えておるような次第でございます。併しながら御指摘になりましたように、中央審議会というものが、地質或いは温泉治療学その他の権威者も集め得るわけであります。又幾多の研究機関の成果も集め易いというような点もございまするし、又御指摘になりましたような、地方事情に動かされにくいというような点もございまするので、できるだけそういう点についての活用を図つて行きたい、運用の面で御期待に副うようにやりたいと考えておる次第であります。
#7
○山下義信君 私の質疑は終つたのでありますが、これは注意でございますが、この第十九條、第二十條の審議会に関しまする書き方は、一つの立法技術として御注意を願いたいと思うのであります。將來は國家行政組織法が制定されますると、これらの審議会も恐らく法律事項になるのではないかと思うのであります。法律事項にならないにいたしましても、この審議会に関することは、政令によるか、省令によるか、何によるかということをここに明白にいたして置かなければならん。又それを明白にしないのならば、ここで明らかにそれらの構成に関するいろいろな要件を挙げて置かなければならんと思うのであります。この点政府におきまして、立法技術上多少の御注意を願いたいと思ます。以上で私の質疑を終ります。
#8
○草葉隆圓君 質疑を以上で打切つて討論を省略して、直ちに採決に入りたいという動議をいたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#9
○理事(谷口弥三郎君) それでは討論を省略いたしまして、早速採決に移りたいと思います。温泉法案を原案通り可決することに賛成の方は挙手をして頂きたいと思います。
   〔総員挙手〕
#10
○理事(谷口弥三郎君) 総員挙手と認めます。全会一致を以て可決いたします。よつて本案を原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において、本法案の内容、この委員会における質疑應答の要旨、表決の結果などを報告することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた委員は順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#12
○理事(谷口弥三郎君) 署名漏れはないと思います。
 次に藥事法案と民生委員法案を一括して上程したいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○理事(谷口弥三郎君) それでは藥事法案並びに民生委員法案について質疑をいたしたいと思います。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#14
○理事(谷口弥三郎君) それでは速記を始めて。民生委員法案についての御説明を政府委員に願います。
#15
○政府委員(木村忠二郎君) 民生委員法案の提案の理由につきましては、この前に大臣から申述べたと思いますが、大体この法案と民生委員令との主な相違につきまして、簡單に御説明いたしたいと思います。
 民生委員法案と民生委員令との主な相違は次の八つの点に要約することができるのであります。
 第一が民生委員の選出方法の民主化を図つたことであります。第二が民生委員の資格要件を明示したことであります。第三が民生委員の心構えを明示したことであります。第四が民生委員解嘱規定を詳細に規定したことであります。第五が民生委員の任期を三年にしたことであります。第六が民生委員の指導訓連に関する規定を設けたことであります。第七が民生委員の協議会の常務委員、並びに民生委員事務所に関する規定を設けたことであります。第八が民生委員に関する國庫補助の規定を設けたことであります。
 これを各項別に説明いたしますと、第一に先ず民生委員の選出方法を民生化を図つた点につきましては、現行の民生委員令におきましては、必ずしも適当でなかつたという面もあるように考えますので、次の三点におきましてはこれを改正したのであります。第一は民生委員の推薦の母体でありますが、民生委員推薦委員会の構成であります。これは從來民主委員推薦委員会と呼びまして、その詳細は省令に委せて置いてあつたのであります。その省令におきましては、委員に市町村長が單独でこれを委嘱することになつておつたのでありますが、ややもすれば市町村長の独断の流れる虞れがありましたので、本法案におきましては、これを第八條に明記いたしまして、推薦委員会の委員は、市町村議会の議員及び社会事業の実施に関係のある者その他学識経驗ある者の中で、市町村長が市町村議会の議員の意見を聞いて、これを委嘱する方法を採用したのであります。但し議員の中から委嘱される委員の数は、委員の総数の四分の一以内でなければならないということにいたしました。
 次に民生委員審査会の構成でありますが、これは從來民生委員銓衡委員会と名前を付けまして、その詳細はこれを省令に規定してあつたのであります。本法案におきましては、これを第九條に明記することにいたしました。その構成は、三人以内の都道府縣議会の議員、社会事業の実施又は兒童労働の関係のある者、その学識経驗のある者の中から都道府縣の知事が委嘱することといたしまして、この委員長は從來は都道府縣知事が委嘱いたしましたのを、本法案におきましては委員の互選にいたしたのであります。
 最後に從來の規定になかつた再推薦の規定を第十七條に規定いたしました。即ち民生委員推薦会の推薦した者の中で、民生委員として適当でない者が含まれておつたり、適当と思われる者で推薦漏れしておることがままございましたので、本法案におきましては、そのように場合には都道府県知事は、審査会の意見を聽いた上で、民生委員推薦会に対して民生委員の再推薦を命することができることにいたしたのであります。尚この再推薦を命じました場合に、民生委員推薦会が再推薦しないときには、都道府県知事事は当該市町村長及び審査会の意見を聽いて、民生委員として適当な者を定めまして、これを厚生大臣に推薦することができることといたしたのであります。第二に、民生委員の資格要件につきましては從來の民生委員令には何らの規定がなかつたのでございますが、本法案におきましては第六條におきまして、当該市町村に議員の選挙権を有していること、人格識見の高いこと、社会の実情に通じていること、社会福祉の増進に熱意のある人で、更に兒童委員としても適当であることを明らかにいたしたのであります。
 次に民生委員の心構えにつきましては民生委員令におきましては何ら規定がなかつたのでありますが、本法案におきましては第二條、第十四條、第十五條、第十六條におきましてこれを規定することにしたのであります。第二條におきましては、民生委員は常に人格識見の向上と、職務上必要なる知識及び技術の修得に努むべきことを明らかにいたしまして、民生委員の努力目標を示し、第十四條、第一五條におきましては、民生委員が職務遂行上心掛けなければならない点、即ち個人の人格の尊重、秘密の嚴守、無差別平等、それから合理的なる指示という点を明らかに規定したのであます。更に第十六條におきましては民生委員はその職務上の地位を政治活動に引用することを禁止したのであります。
 次に民生委員の解嘱につきましては、從來の民生委員令におきましては第五條但書で、特別の事由があるときには任期中でありましても、これを解任することができることと規定しておつたのでありますが、本法案におきましてはこれを第十一條に解嘱の事由を一々具体的且つ詳細に明文を以て規定したのであります。尚この解嘱の場合におきましては本人にその旨を通告いたしまして、本人の意見を聽いた上で民生委員審査会が審査することといたしまして、民生委員には二週間以内に審査会に対して意見を述べる機会を與えることにしたのであります。
 次に民生委員の任期でありますが、旧令は第五條におきまして二年と決めてあつたのでありますが、從來の経驗に鑑みまして、これは余りに短かいと考えられますので、本法案におきましては第十條におきまして三年に延長したのであります。
 次に民生委員の指導訓練に関する規定でありまするが、從來の民生委員令におきましてはこのことに関しましては何らの規定も設けてなかつたのでございますが、民生委員の職務はますます複雜になりまして、且つ職務上一定の知識技術を必要といたしまするので、その指導訓練は極めて肝要と考えられます。從いまして本法案におきましては第十八條と第十九條におきましてこれに関する規定を設けた次第であります。第十八條におきまして都道府縣知事は民生委員の指導訓練の実施に対し責任があることを明らかに規定いたしました。第十九條におきましては、都道府縣におきましては民生委員に指導訓練に從事する專門の吏員を置かなければならないことを規定いたしました。
 次に民生委員協議会の常務委員及び民生委員事務所の規定でありまするが、從來の民生委員令におきましてはこれらにつきまして何ら規定を設けず、或いは都道府縣の施行細則等が規定しておつたのでありますが本法案におきましては第二十一條におきまして明文を以てこの民生委員協議会の委員長ともいうべき常務委員の規定を詳細に規定しまして、更に第二十五條におきまして厚生大臣の指定する市には民生委員協議会ごとに民生委員事務所を設けることに規定したのであります。この民生委員事務所は民生委員協議会の事務を処理し、要保護者の便宜を図る市区町村の施設であります。
 最後に民生委員令におきましては第十三條で、民生委員に関する一切の費用は都道府縣の負担と規定して、補助については何ら規定がなかつたのでありますが、本法案では民生委員、民生委員推薦会、民生委員審査会、民生委員協議会及び民生委員の指導訓練に関する費用は、第二十六條により都道府縣の負担とし、これに対しては國庫は、第二十八條の規定によつてその二分の一を、都道府縣に補助すべきことを規定し、又民生委員事務所に関する費用は第二十七條によつて市の負担とし、第二十八條の規定よつて国庫はその二分の一を、第二十九條によつて都道府縣ははその四分の一をおのおの補助すべきことを規定したのであります。
 大体以上の八点が本基案の從來と変りました要点でございます。
#16
○理事(谷口弥三郎君) ちよつとお諮りいたします。大臣は時間がないそうでありますから、今泉委員から質問が出ているのでございます。実は藥事法案の説明を願つてからやりたいと思いましたが、その前に今泉委員の説明をして頂くことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。ではどうぞ。
#18
○今泉政喜君 我々厚生常任委員は、政府付託の藥事法案について逐條審議するに先立ちまして、本案の骨子である藥剤師調剤法について本員は総括的に意見を述べ、且め大臣に暫く御清聽を煩わす次第であります。
 そもそも我が医療制度は明治七年太政官布告以來医療分業を建前として参りましたが、旧態依然として今尚医師が調剤としても、亦今日薬剤師が調剤しても、この法案趣旨は任意分業になつているものであります。表面民主主義のようなことになりますが、医師法案の二十二條に、訟察上特に支障ある場合はその限りでない云々という大きなキヤップが掘つてあり、今日は医師優先の調剤となつている次第であります。今日、世界いずれの國と雖も文明の國においては全部強制分業でありまして、(理事谷口弥三郎君退席、理事宮城タマヨ君委員長席に著く)英米は事実においては強制分業の形になつておるわけであります。私は藥剤師であるゆえんを以ちまして、特にこの問題に対して関心を持つておりますが、大体藥学の基礎的学科を終えない医師に、調剤権を與えるということは、つまり資格のない者に資格を與えるということであります。若しそれが行われるものでありますならば、医学の基礎的学科を修めないところの藥剤紳が聽診器を握り、又身体を診るというような医師的行爲をすることと同じことではないかと思います。ただ單に知識があるとか、又経驗があるとかいうことのみにおいて、調剤ができるものであれば、好んで中学を出、昔であれば專門学校、大学の課程を苦しんで受けるわけはないのであります。私は先日來この法案の先議であつた衆議院において、衆議院の厚生委員会におきまして、医藥分業に対して政府のお答えが、今日の情勢においては時期尚早であるという三つの点を挙げられたことを私記憶しておりますが、本日その速記録をと考えましたが、まだ印刷中であるために、ここではつきりしたことを申すのには一應速記録をと思いましたけれども、大して間違いはないと思います。
 先ず第一に藥剤師の分布状態が思わしくない。つまり藥局の分布が少い。つまり藥剤師が少いということであつたと思いますが、今日藥剤師は五、六万ありますが、もともと調剤権というものが獲得されないために、折角学校を卒えて來ても、官廳に或いは製藥会社に行つて奉職している状態であります。若しこれが藥剤師に調剤権を絶対的に與えるものであれば、藥剤師の数は自然に多くなることと考えるのであります。
 第二には藥品の不足ということでありましたが、これは厚生省の方の御調査によれば明らかであると思いますが、今日患者に投藥するという程度の藥品も不足であると思うのであります。例えば統制品におきましても四百三十があつたものが、今日では百二十七か、又近々八十になるようなことを聞いておりますが、いずれにしても藥品の不足ということは、私考えます。のみならず、この藥品の生産と藥品の配給ということにつきましては、藥品はむしろ医師の方に偏在してしておるということは、これは僅かでありますけれども、内科に要るものが外科にある、耳鼻科にあるべきものが婦人科にあるという、その弊害は十分存在しておると考えます。若し政府の言われるような藥品の少いということであれば、むしろこの調剤が医師と離れて藥店に行きますと、その数量は半減されるわけだ。私はこの問題は恰かも鶏と卵のお話のように、これは分業が確立されれば自然この問題は解決されると思います。
 もう一つの点は医師より藥品を貰うことが便利であるというお答えのようでありましたが、この便利という面に対しては。私むしろ藥剤師の藥局において、処方箋によつて調剤して貰うことが非常に便利であると思うのです。これを約言いたしましたならば先ず第一に藥品が安くかかる。この安くかかるについては当然藥價礼というものが伴うものであつて、医師より貰う藥品よりも、藥剤師の藥局の方から貰う方が安く貰える、第二には時間的に非常に便利である。先ず寒村僻地は別といたしまして、市並びに町には必ず藥剤師がおる。医師の処方箋によつて、間近に、而も往診先において直ぐ調剤ができると思うのであります。殊にこの藥事法案を見ますと。第二十二條に載つておるように、医師みずから調剤するということになりますと、これは時間的に非常に不経済になると思うのであります。なぜかといいますと、今の二十二條の法案から考えますと、医師が患者を診る、そうして実際藥室に行つて調剤をする、又患者が來る、又藥室に調剤に行くというようなことは、むしろ時間において非常に相違があると思いますので、これは藥剤師の下において調剤をするということは、時間的に非常に経済になるということを申したわけであります。田舎において一々医者通いするということが、これを以て解消せられることと思います。又そういう処理箋というものが、秘密主義を離れて公開されることになれば、よりよき藥品がここに出まして、不良藥品がすべて影をひそめるものと私は考えます。のみならず大衆はこの藥品に対する薬名並びに効用その他に対して、十分知識が高まるものと思うものであります。
 以上の点について、私はこの医藥分業の促進を冀うのでありますが、もう一つここに私大いなる悩みの問題としては、実は医師と藥剤師は、車の両輪のごとくというように密接して、社会の保健を最も大衆的に又民衆化せねばならんのでありますが、今日現状において、開業されておる医師の下に患者が参りますと、この患者の心理状態は、医師に処方箋の強要ということを言い得ないのであります。非常に医師に信頼を持つために、遠慮をしております。それに加えて医師の方では、又処方箋をやりたくない、これはいろいろ理由がありますが、やりたくないという点は、非常に重大なる問題であつて、これは一外人に聞きましても、医師が患者を診たならば、直ぐ処方箋を出す、自分の家には藥室は持たないという。今日諸外國はすべてそういうふうになつておるのでありますから、法案としては医師は、患者の請求の有無に拘わらず、必ず処方箋を発行すべしという絶対的規定の下に、処方箋の交付を命ぜざる限りは、今日の医藥分業は、空文に等しいものであると私は考える者であります。要するに政府は國民大衆の保健上医藥制度の民主化を図るために、処方箋の義務的発行をさせる意思があるかどうかということについて、竹田厚生大臣のお答えを願うわけであります。
 最後にもう一つでありますが、これは法案の総括的のことでありますが、未だ藥剤師の身分法である藥剤師法案が出ていないようでありますが、藥剤師は医療機関として公共的身分を有しておるにも拘わらず、その実現を見ないのは甚だ遺憾に思うのであります。医師なり又歯科医師なり助産婦なり、又近く馬の蹄に鉄を打つ者にも馬蹄師法案が出るように聞いておりますが、藥剤師に対してこの差別的な措置を採られないで、是非藥剤師法案を一つ実施して頂きたいという、この二点に対して、大臣のお答えを願いたいと思います。
#19
○草葉隆圓君 議事進行について…。今上程されております藥事法案、民主委員法案、共に重要な法案であり、まだ質疑は大変多いと思います。從つて質疑は、至つてその要旨を一つ要領よく、又政府の答弁は簡單明瞭にお願いして、又同じ質問を繰返さないように、一つ委員長にお取計らいを願います。
#20
○國務大臣(竹田儀一君) 只今今泉委員から、藥剤師の調剤権の問題について御質問があつたのであります。医藥分業問題であろうと思いますが、これは從來も政府委員からお答えをいたしましたように、只今直ちに実行いたし難い理由といたしましては、只今御質問の中に織込んでありました通りと思いますが、やはり藥局の分布がまだ偏在しておりまして、殆んど都市に集中いたしておりまして、片田舎に藥局というものがないということは、今泉委員も御承知の通りであります。私の記憶に誤りないといたしますならば、全國に市町村は一万二千程あると思いますが、全然藥局のないという市町村が七千二百八十三あると思います。七千二百八十三の町村に一つの藥局もないというような現在の状況では、医藥分業を直ちに実施いたしますることは、如何かと思うのであります。お仰せの通りに分業すれば殖えるのではないかという御意見は御尤もであります。分業にいたしますれば当然殖えるでありましようが、その辺がむずかしいのでありまして、いずれが先かといことであると思います。おのずから水到つて渠成るといいますか、渠成つて水到るといいますか、おのずから適当な時期があろうと思つておるのであります。とにもかくにも七千二百八十三の町村に一つの藥局もないという現状におきまして、直ちに分業に進むことは如何かと、かように考えておるのであります。
 第二の医藥品の不足でありますが、重要医藥品さえ今日不足いたしておりますことは、今泉委員も御知であろうと思うのであります。藥品の生産高は、昭和十六、七年に比しまして、現在はまだ五〇%、半分くらい回復した程度でありまして、今日非常に購買力が減退いたしておりますから、需要がありませんけれども、購買力が相当回復いたしますと、或いは相当な医藥品の不足を招來するのではないかと、かように思うておるのであります。八十二品目も統制配給いたしておる状態でありますから、この医藥品の不足という面からいたしましても、直ちにということにつきましては、相当考慮を要するのではないかと、かように存ずるのであります。
 更に第三の、医師から処方箋を貰わんのが便利だからという理由は成り立たんじやないかという御意見のように拜承いたしましたが、便利だからというのではありませんで、これは長い習慣でありますことは、今泉委員御承知であろうと思います。何十年と申しますか、何百年と申しますか、長い間のお医者さんから処方箋なしに藥を調剤して貰つておるというこのことは、長い習慣は相当お医者さんの頭の中にも、患者の頭の中にもこびり付いておることと思うのであります。便利の問題でなく長い習慣を考えますときに、これを一挙にして打破いたしますということは、相当困難なことがあるのじやないか、かように思つておるのであります。又処方箋の公開ということにつきましての御意見は尊重いたします。謹んで拜聽いたします。併しながら、診療所の特別な事情によりまして、処方箋の内容を公開し、患者に知らせるということがよいか悪いか、或いは知らせない方がよい場合もあるかと思うのであります。医師法案の中では、患者の求めがあれば原則として処方箋を交付しなければならないことになつておりますから、國民の自覚が段々進んで参りますれば、御意見のように相成るのではないかと思うのであります。かようないろいろな事情からいたしまして、今直ちに分業にいたしますことは如何かと思うのであります。併しながらいつまでも分業してはならないという意見では毛頭ないことだけは御了承願いたいと思います。おのずから前の三つの問題の解決の時期も遠からず來ると思います。英米各國において結果的に見て分業が強制されておるように拜聽いたしましたが、或いはそのように近いものになるのではないかと思うのであります、かように考えております。ただ今日の場合、直ちに分業に進んで行きますことは、先程から申上げた理由でちよつと考慮いたすべきところが相当あるのじやないか、かように考えております。決して根本的に反対しておるのではないことを御了承願いたいと思います。
 尚藥剤師の身分法のことでありますが、これはできるだけ早い機会に考慮したいと思つております。御説の通りでありまして、我々の方も研究いたしております。御意見に副う時期があろと思つております。大体お答え申上げます。
#21
○草葉隆圓君 先程厚生大臣に御質問申上げましたように、一面、今回の会期に提案されておる医藥、或いは医療関係の法案は、誠の國民生活に重大な影響を來たすものでありまするから、我々は十分あらゆる角度からこれを檢討して掛からねばならないと存ずるのでありまするが、殊に只今議題となつておりまする藥事法につきましては、次の三つの点から全体的の御意見を承わりたいと思います。
 私は只今今泉さんの御質問に対して、厚生大臣の御答弁がありましたと同樣なことは避けまするが、今回の藥事法におきましては、從來とは相当変つた取扱い方を藥剤師に対する規定の上に、又その他に対する規定の上に取つておられるのであります。例えば今調剤権という問題がありましたが、從來は附則に置いておつたのを、今回は本法に入れたということが、如何にも國民の常識的な考え方からいいますると、從來調剤が藥剤師であり。診療は医師であるという観念、それが直ちにできないけれども、その線まで努めて早く持つて行こうという國家の方針から変つたのではないかという疑惑を相当持つのであります。何政にそういう、ただ現状のような方法でお進めになるならば、從來の附則で結構じやないか、本法に入れる必要がないのであつて、少くとも國民の疑惑を與えるような立法の取扱い方は正しくないではないか、こういう点であります。從つて政府は從來の方針を変えられたかどうかという点であります。いわゆる診療は医師、調剤は藥剤師であるという一つの根本方針を変えないならば、從來の附則のような取扱い方で結構じやないか、それをわざわざ本法に持つて來る必要はないのであつて、それを本法に持つて來たこところにおいて、國民の疑惑を多く呼び起しておる。二十二條のたしか、但書であつたと思う。そういう取扱い方は、いわゆる政府としては、同じ方針で來るならば妥当の取扱い方ではないのに、何故に無理にそういう取扱いをされたのかというのが第一点であります。お話のように現在直ちに医療を分業することは妥当でないということは、我々承知しておる。併し根本方針が、藥剤師は調剤、医師は診療ということが、從來から今後も変らない方針であるなら、こういう立法の方策をお取りになることはよくないのではないか。
 第二の点は医藥部外品等取締法を廢止して、今後藥事法一本にされたのであります。これはこの前の第一回國会において医藥部外品等取締法を作つてそして漸く実施したばかりであるのに、何故に藥事法の中にこれを一括してあれを廢止しなければならないか。それが取扱い上不便であるというのなら、それはつい半年前に議決したばかりである。これは小さいことのようでありますけれども、私はこれによつてこういう問題が起りはしないかと思う。藥剤師というものは、いわゆる調剤で生活するよりも、その店の中において化粧品を賣れと、そういうような商業的な行爲というものが、如何にも法案を見て参りまするというと、藥事法の中に、從來いわゆる考えられておらなかつたというような化粧品とか、そういうものが、一連の藥事法の中の取扱いとしてやつて來ることは、むしろ國家が藥剤師に対して期待することと逆な方に行くものになつて参る。藥事法の中でいろいろ直接藥事、藥剤師に関すること及び化粧品等、いわゆる医藥部外品に関することが出ておるわけであります。從來とも、やや私共はむしろ藥剤師が藥局その他における藥剤関係においての進展、進歩というものを國家は期待し、立法はこれを求めて行くべきものであると思う。それに化粧品、その他のものをここに一緒に織込んで、そうして一本の藥事法として持つて來ますことは、むしろ妥当ではない、考え方の上において又今後の指導の上において、國家の方策としてよくないのではないか。
 第三点は、藥事法の全体の取扱いというものは、外の医療関係、立法の技術なり、立法のやり方なり、或いは根本の精神なりにおいて相当違つた立場を政府は取つておられるのである。これは具体的に申しますと、條文にずつと入つて参ります。相当そういう点が、強く上つておる。これは或いは厚生省の中の部局が違うとか、或いはいろいろな立場が違うというようなことによつて起つて來た現象かも知れませんが、例えば医師法、歯科医師法或いはその他看護婦、保健婦等の取扱いに関する一連の取扱い方と、藥事法に対する取扱い方は、立法のすべての方向なり、やり方というものがすつくりこれだけ違つておる。それはこの藥事関係に対する政府の考え方が違つてるのじやないか。これはお分りになりませんければ、具体的に各條項を申上げてもいいのですが、結局そういうものが厚生省の医療行政に対する一貫した行政がないのではないか。医師法に関する立法での行き方はずつと違つておる。そういう点についての問題を承わりたいと思います。以上三点。
#22
○國務大臣(竹田儀一君) 前の法律で附則に入つておるものを、今回は條文に入れて但書にしましたことは、如何にも医藥分業の線が逆戻りをしたのじやないかという草葉さんからの御意見であつたように思うのであります。体裁の上からいたしますと、何らか附則の中に決まつておりますことを本條の中に織込まれたことは少しく逆戻りをしたのではないかという常識的な氣持の出ますことも御尤もかと存じますが、厚生省といたしましては決して方針を変えたのではないということをはつきり申上げて置きます。ただ附則にありましたことを本條の中の但書に入れたのでありまして、むしろ医師の調剤権の範囲を明確にいたしまして、そうして法文上例外をはつきりと決めたわけでございまして、考えようによりましてはむしろはつきりしたのではないかと、かようにも考えられるのでありまして、ただ附則の中から本條の中へ持つて來ましたことは、草葉君仰せの通りに、そういう氣持もいたさんではありませんけれども、決して方針が変つたのではないということをここにお答え申上げます。
 それから第二の医藥部外品のことをいろいろ書いてあるではないか、こういうことであります。これは一應御尤ものようでありますが、化粧品の中にも最近衞生上の取締を嚴重にいたさなければならん必要が起りましたので、藥事法の中へ取入れたわけであります。決して変えたわけではないのであります。
 第三の点につきましてはちよつと御趣旨が分りませんので、甚だ恐れ入りますが、もう一遍おつしやつて頂きたいと思います。
#23
○草葉隆圓君 第二の問題につきましても、私はこの間作つたばかりの医藥部外品等取締法を廢止されて、これを藥事法の中に入れられたということは、國民がこれを見ますと、藥剤師というものはもつと嚴格な職業であつて、いわゆる調剤ということを中心にいたすべきものであるのに、この法案の中に一本「化粧品」というものを入れて來たことは、今でもそういうふうに陷り易い傾向にある、藥局に対する一つの無言の指示を、政府がしたような取扱いの法案の規定になります。医藥部外品等の取締法というものを第一回國会で作つたのを廢止して、そうして藥事法の中に入れる必要は何もないのではないか。殆んど内容は同じであります。少々罰則において違うぐらいの程度であります。その点は私はもつと藥剤師の店などというものは日本の將來の進展の上においては、殊に衞生行政の上から考えると、もつと嚴格な使命を持つているのに、一本にしてこうした取扱いを発表するということは、如何にも政府が軽く見ておるのではないか。化粧品など一緒に賣つてしまつてやるというような印象を與える。だから医藥部外品等取締法則では不十分であるならば、却つてその條項をその法律において改正したらいいのであつて、それを根本的に改めてこれを一本にする必要はないので、そのために起つて來る國民のむしろ藥事に対する軽い疑惑というものが恐しいのであります。
 それから第三の問題は、例えば医療行政の外の法案にいたしても、医師法にいたしましても、或いは歯科医師法にいたしましても、藥事法と相当違つた見識と内容を持つている、同じことが違つたようであります。お分りになりませんければ重ねて申上げまするが、或いは届出の問題、或いは年々これをやつて行かなければならんといつた問題、これは衆議院で相当修正されて通過しておるようでございますが、それから又外のいろいろの点につきましても、藥事法の現われて來る藥剤師に対する國家の考え方、外の医師法なり、或いは歯科医師法なり、或いは助産婦、保健婦等に対する考え方、むしろ外の方は積極的な、助長的な立法の取扱い方をされておるのに、片一方は如何にも何だか一段低いような立法の取扱い方のように、我々が十分注意して調べますとそういうことが現われて來るのであります。これは私は甚だ不愉快に思うし、又そうでない筈なのである。むしろ医師法と藥剤師法という身分立法は、今直ちにできないから藥事法の中に織込んだというお話であるならば、それは十分に連絡を取つて、一本の行政的な、又立法的な精神から來るべきものであるのに、これはずつとお調べになるというと、その点はひどく臭いが強い。これは私はいわゆる医療行政に対する政府の方針において欠けるところがある、こういうふうに強く思うのであります。
#24
○國務大臣(竹田儀一君) 藥事法はやはりいろいろ経済的関係が多いのであります。のみならず。藥剤師の身分等に関することもいろいろありますから、多少草葉さんの御指摘のように、外の法案とは少しく何と申しますか、段が落ちるとおつしやつたのか、そういうふうな氣持のなさるのも御尤もであると思います。それは経済的な関係がありますのでこういうふうに変つたのであると思います。尚細かいかとは説明員から申上げさせたいと思います。
#25
○理事(宮城タマヨ君) 説明員をして説明させますことに御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○理事(宮城タマヨ君) それではどうぞ……。
#27
○説明員(星野毅子郎君) 草葉委員の御質牛でありますが、それは医藥部外品をこの藥事法の中に取入れましたのは、從來内務省において医藥部外品等取締につきまして、省令といたしまして医藥取締をやつており、昨年の末までに一應新憲法の趣旨によりまして、法律事項は省令によつて法律に直さなければいけないということになりまして、それが藥事法改正の時期がはつきりいたしませんものでございましたので、そのまま医藥部外品等取締法といたしまして、第一國会におきまして御審議を願いまして公布いたしたものでございますが、ただそのときに新たに化粧品につきましても、最近衞生上非常なる取締りの必要が起るような状況でございましたので、化粧品を新たに医藥部外品等取締法に取入れたのであります。今回いよいよ藥事法改正の時期となりましたので、從來の方針によりまして医藥部外品を医藥品といたしましてこの藥事法に取入れました。從いまして化粧品といたしまして明確に取入れたというわけでございます。ただ御質問の御趣旨であります化粧品等を取入れて、却つて藥剤師中心の調剤という点をぼかしたというような御意見だと思いますが、この藥事法におきましては医療用の器具機械等もこの際これに取入れまして、國民保健という立場からすべての医藥品その他の衞生資材につきまして統一いたしまして、取締りを嚴重にいたしてゆくという趣旨におきまして入れたのでございます。國民保健という点から申しますと、むしろ厚生省といたしましては統一しておりますし、それが強化されたものというふうに考えるのでございます。藥剤師自体につきましては、調剤という点につきまして、或いは藥剤師の権限というものにつきましてはむしろ明確にいたしまして、その点からいたしましてもはつきりいたしたということになつておるのでございます。尚医師法等に比べますと、個々の点につきまして多少の相違はございますが、これは麻藥等と同じく医藥品或いはその他の医藥品の取扱い方の経済的関係が入りますので、これを扱います。藥剤師という者の身分を常に明確にいたして置きますという意味におきまして、新らしい身分をはつきりさして置きます。例えば免許証というものを、その時々におきまして新らしいものを用意して置くということの一つの強い要望がございましてさように取入れたのでございまして、多少の相違がございますが、さような点において御了承を願いたいと思つております。
#28
○理事(宮城タマヨ君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#29
○理事(宮城タマヨ君) 速記を始めて。この際お諮りいたしますが、藥事法案と民生委員法案は後に廻しまして、小林勝馬委員から出ておりますこのあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特別法案の提案理由の御説明をお願いいたしますことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○理事(宮城タマヨ君) 御異議ないと認めます。小林委員。
#31
○小林勝馬君 只今議題となりましたあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特例法案の提案理由と、この法案の大要について御説明申上げます。
 第一回國会で成立しました、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の施行によりまして。本年の一月一日以後、これらの営業をなす者は、新制中学を卒業してから、公認の学校又は講習所に入り、そこであん摩の場合は二年間、はり、きゆう、柔道整復の場合は四年間修業して初めて受檢資格を得、その資格試驗に合格した者に対してのみ免許を與えられることになりました。ただ経過措置として、同法の附則第十七條におきまして、從來の法令によつて免許を受ける資格のあつた者、即ち、一月一日当時すでに指定の学校又は講習所の卒業証書を持つていた者と、当時までに、盲人であん摩になる者だけは二年以上の、他の者については四年以上の修業実歴にあつた者で、且つ、所定の試驗に合格していた者に限り、六月三十日までに免許鑑札が受けられるように例外が認められたことについては、すでに御承知の通りであります。ところが、この業界の別質とでもいいましようか、この業界には、一種の徒弟制度がありまして、所定の二年又は四年以上の修業実歴を持ちながら独立の手続をとらず、尚師匠の許で修業を続ける者が非常に多く、学校又は講習所の生徒の中にも、すでに何年かの修業をした上で入つている者が多いのであります。且つ、これらの人々の中には、旧制度の義務教育を免徐された者が多かつた等の関係から、当時、新らしい法律によつて自分達の営業の制度が変ることについて、一般に予備知識がなく、自分は所定の修業実歴があるからいつでも試驗を受けさえすれば独立できるものだと安心して、黙々と修業を続けていた者が大多数であつたのであります。
 こういう事情の下において、新法律は、昨年の暮十二月二十日に公布、僅か十日間の猶予期間を経て、今年一月一日から施行されることになりました。その間に、全國では、旧法令による最後の資格試驗を一制に施行したのでありますが、右のような事情から、新法律の施行さえ知らず、まして、最後の試驗のあることをも全然知らずして遂に受驗の機会を失つた者又は知つてはいたがただ一回しか行われなかつたために、たまたま病氣等の事故のために受驗できなかつた者、及び準備不足のためその試驗に合格しなかつた者が全國を通じて、特に田舎においては非常な数に上るのであります。これらの窮状を愬えいま一度試驗を施行して欲しいと懇願する手紙が、私の手許に参つたものでも千通に近く、又同業の連盟には、何らかの救済を要望する声が毎日のように絶えないのであります。同じ程度の実力を持ちながら、ただ一回の受驗の機会を得たか否かによつて、一方には救われた者があり、他方には遂に生計の途さえ絶たれる者のあることは、公平の原理にも戻り、又本人にとつては誠に氣の毒な限りでもあります。この不公平を是正して、同等の実力がある者には、同じ資格を與えるために、改めて受驗の機会を作ることが、この法案を提出した理由であります。
 次に法案の大要を御説明至します。この法案は、極めに簡單でありまして、第一條におきましては、盲人であん摩を営む者については二年以上の修業実歴、その他のあん摩、はり、きゆうについては四年以上の修業実歴のある者に対して、都道府縣知事は、十一月三十日までに旧法令によつて資格試驗を行うことを規定し、第二條で、その試驗に合格した者に対しては、十二月三十一日までに免許を與えることができる旨を規定したのであります。第一條にあります「附則第十六條に掲げる法令」とは、あん摩、はり、きゆうの営業に関して從來出ておりました内務省令及び厚生省令を指すのであります。
 この法案が幸いにして成立しますれば、再試驗を行うことになるのでありますが、受驗資格となる修業実歴の認定については、日本しんきゆうマツサージ連盟が、適正な統制措置をとつて、証明書の濫発による弊害を防止する予定であります。
 何とぞ会期も少く、本院が先議になつております故に、愼重審議の上速かに御採決あらんことをお願いする次第であります。
#32
○理事(宮城タマヨ君) 次に社会保險診療報酬支拂基金法案につきまして、これは参議院先議でございますが、この説明を伺いますことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○政府委員(宮崎太一君) 只今上程されました社会保險診療報酬支拂基金法案の提案理由について御説明申上げます。
 健康保險、船員保險、國民健康保險及び法律を以て組織されている共済組合が、その被保險者等の保險医等について診療が受けた報酬として支拂う費用は、從來各保險者又は共済組合から直接支拂つていたところでありますが、從來の実績に徴しまして、各保險者等から区々に支拂うことは、ややともすれば、その支拂遅延と診療担当者の請求の煩雜性によつて、とかく円満な保險診療を阻害していたことは、否めない事実と認められていたのであります。これらの通弊に鑑みまして、今般社会保險診療報酬支拂基金を創設いたしまして、從來の支拂方法を改め、その支拂機関を一元化いたしまして、円満な保險診療の推進に寄與いたしたいと存ずる次第であります。
 即ち社会保險診療報酬支拂基金は、公法人として、主たる事務所を東京都に、從たる事務所を各都道府縣に置いて業務を運営するのであります。
 基金の理事機関として、保險者代表、被保險者代表、保險医代表及び公益の各代表者を以て理事に充て、又從たる事務所にも同樣な代表者を以て幹事にいたしまして、最も民主的な運営に資することといたしておるのであります。
 基金の基本金は百万円といたしまして、その中四十万円は政府がこれを醵出することとし、残額はその他の保險者で醵出することとしておるのであります。
 基金の業務は、各保險者と契約いたしまして、保險者が診療担当者に対して支拂う診療報酬の支拂を代行し、又これら診療拡酬請求書の審査をすることであります。このために基金は、一定の支拂資金として各保險者から資金の前渡しを受けて、請求のあつた都度速かに診療担当者に一括して支拂をすることとなるのであります。
 診療報酬請求書の審査に当りましては、診療担当者及び学識経驗者の中から專門委員を委嘱いたしまして、適正な審査を行うことといたしておるのでございます。
 これらの業務の執行に要する経費は、各保險者の診療件数に應じまして事務費を徴收いたしまして、これに当することといたしておるのでございます。
 以上を以て提案理由について御説明申上げまたが、何とぞ御審議の上速かに御決定あらんことを希望いたします。
#34
○草葉隆圓君 先のあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特別法案というものに対する提案の説明がございましたのに対して、政府がこれに対してどういうお考えを持つておられるか、一つ政府の御意見を承わりたいと思います。(理事宮城タマヨ君退席、委員長着席)
#35
○政府委員(久下勝次君) あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の特例につきまして御提案があつたのでございますが、実は第一回國会におきまして御審議を頂きますときに申上げました通り、從來の規定によりまして受驗の資格を持つておりました人々は、新らしい法律の施行と同時に業者となることができないように相成つておりましたので、それに対しましては政府としてできるだけの便法を講じまして遺漏のないようにしたいということを申上げておつたのでございます。政府といたしましては、御指摘のように、極く僅かな期間きりございませんでしたけれども、各都道府縣に指示いたしまして、さような資格者に対する試驗を昨年中に極力実行をいたしましたのでございます。実は今日まで多少その試驗を受けて落ちた人でありますとか、或いは試驗を受けられる者で受けることのできなかつた人々がありますということを承知はいたしておりましたのでございますが、それ程多数の人々ではないと思いまして、大変事実が不分明で恐縮でありましたが、さような意味で政府の方からかような措置を取ることをいたさなかつたのでございます。國会の側におきまして只今のような措置をお取り頂くことは、私共としては何ら異存のないところであります。
#36
○草葉隆圓君 只今のあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特別法案並びに社会保險診療報酬支拂基金法案の御質疑にお入りになるようにお願いいたしたいと思います。
#37
○委員長(塚本重藏君) 草葉委員の動議に御同意でしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
 社会保險診療報酬支拂基金法案について質疑をお願いいたします。
#40
○中山壽彦君 この基金が百万円ということになつておりますが、この診療報酬は隨分多額に上るものですが、百万円ぐらいな基金で、この運営が円満に遂行するかどうかという一点と、それから審査会の構成が保險者と医療を担当する者とからできておると思いますが、審査の内容は、玄人じやないというと分らないと思いますが、保險者がそれに入つてよくその審査を明確にすることができ得るのでありましようか。そういうことに対する政府当局の御答弁をお願いいたします。
#41
○政府委員(宮崎太一君) 只今の御質問でございますが、基金の基本金が百万円となつておりますが、これは本当を申しますると、使う金ではございません。本当に避けることのできない事由によりまして、診療報酬の支拂に不足を生じたときにこれを使うのでございまして、例えて言えば災害その他でどうしてもここから出さなければならんというときだけ出すのでございまして、通常の場合においてこの基金の基本金を使うことはないことになつております。そこでそれでは支拂をどうするかと申しますると、各保險者から金を前渡しを受けまして、その前渡しの金で支拂うことになりまして、基本金は、これはこういう公法人を作りますための基本金でございますので、これを使う予定はございません。それで百万円という非常に少額の基本金にしたわけでございます。
 それから審査の委員会でございますが、これは保險者とそれから医療担当者になつておりますが、保險者の方はこういう審査の分る人を充てるつもりでございます。医師又は歯科医師、或いはそれに類するような人という意味におきまして、これの分る人を充てるつもりでございまして、普通の人はこれに充てない方針でおります。
#42
○中山壽彦君 その分る人というのは、具体的にいうとどういう人でございますか。
#43
○政府委員(宮崎太一君) 大体お医者さんを充てるつもりでございます。お医者さんのおらんところは、仮にお医者さんでない者を充てることがあるかも知れませんけれども、お医者さんを充てるのを原則としております。
#44
○中山壽彦君 尚この審査は公的の医療機関の診療報酬請求に対しても審査をなさるのでありますか。
#45
○政府委員(宮崎太一君) 公的の機関につきましては、審査会に諮りまして、そうしてこの審査をいたしたいと思います。
#46
○中山壽彦君 この基金法ができますというと、從來診療報酬の支拂が非常に遲れておるようでありますが、こういうことが是正せされて診療担当者に早く正確に支拂ができる御確信が確かにあるのでありますか。
#47
○政府委員(宮崎太一君) この基金の制度によりまして、迅速的確に医療担当者に報酬を支拂い得るように監督いたしたいと思つております。
#48
○米倉龍也君 簡單なことでございますが、これは結局各種の保險法によつての支拂事務を共同で或る一ところでやるというようなことですからして、多分事務費等に相当の経濟的な有利な点も出て來るだろうと思いうす。そういう点が從來と新しい基金を利用するのとの、事務費的な経済関係をお調べになつた点があるのですか。
#49
○政府委員(宮崎太一君) 從來と申しますと、ずつと以前におきましては、これは医師会、歯科医師会にお願いをいたしまして、この仕事をやつて頂いておつたのでありますが、医師会、歯科医師会が解散になりましてから、他の團体に頼みましてこの仕事をやつて貰つておるのでございますが、何分にもこういう公法的色彩を帶びた基金ではございませんので、事務的には経費が嵩むというよりも、診療報酬の支拂が非常に遲延しておるという状態であつたわけでございます。今度はこの制度によりまするので、從來遲延しておりましたものが早く行くようになるということと、それから今御指摘になりましたように、一件について若干の事務費を取るという形で参りますので、事務費の使い方も合理的に参るようにいたしたい、こういうつもりでおります。
#50
○委員長(塚本重藏君) 外に御発言ございませんか。
#51
○草葉隆圓君 社会保險診療報酬支拂基金法によりますと、全國にどのくらいの事務員が必要ですか。
#52
○政府委員(宮崎太一君) 三百五十名くらいの事務員が必要だと考えております。
#53
○委員長(塚本重藏君) 外に御発言ありませんか。
#54
○草葉隆圓君 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特例法案は、以上を以て質問を打切り、討論を省略して採決に入りたいという動議を提出したします。
#55
○委員長(塚本重藏君) 討論を省略して採決という草葉委員の御動議に御賛成ですか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(塚本重藏君) 草葉委員の動議は成立したものを認めます。これより直ちに採決いたします。あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特例法案に御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#57
○委員長(塚本重藏君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決するものと決定いたしました。尚本院規則第百四條並びに本院規則第七十二條によりますその他の報告等に関しましては、例によつて從前のごとく取計らうことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それでは御賛成下さいます方の御署名をお願いいたします。
   〔多数意見者署名〕
#59
○委員長(塚本重藏君) これを以て午前の会議を休憩いたします。午後は引続き一時半から続行いたします。
   午後雰時二十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#60
○委員長(塚本重藏君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。
 社会保險診療報酬支拂基金法案について御質疑はありませんか。
#61
○草葉隆圓君 討論を省略して直ちに採決に入ることの動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(塚本重藏君) 草葉隆圓君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。よつてこれより採決いたします。
 社会保險診療報酬支拂基金法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔総員挙手〕
#64
○委員長(塚本重藏君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 尚本院規則第百四條による諸般の手続は委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
 次に本院規則第七十二條により本案を可とせられる諸君は順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#66
○委員長(塚本重藏君) 署名漏れはございませんか……署名漏れはないと認めます。
#67
○委員長(塚本重藏君) 次に民生委員法案を議題に供します。速記を止めて……
#68
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。民生委員法案について質疑を打切り討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めまして、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#70
○姫井伊介君 私は原案に賛成いたしますが、委員制度の將來の行き方、運営についてよろしく願いたい。名譽職の点でありますが、これは性格を誤まり易い点でありますから、通牒その他によりまして、誤まりなきように願いたいのであります。
#71
○小林勝馬君 原案通り賛成するが、運営について十分徹底するようせられたいのであります。
#72
○藤森眞治君 原案に賛成いたしますが、運営について誤まりなきを期せられたい。
#73
○中平常太郎君 原案に賛成するが、五大都市については、指導訓練は別個の立場から、從つて知事から離れて、市長によりこれをなすよう省令でその点を明からにして欲しい。
#74
○山下義信君 本案は本委員会において可決する情勢にあるが、それは、厚生省を十分信頼してこのとであると思われるので、その措置については、厚生省当局において万全を期せられたいことを希望して賛成いたします。
 尚委員長をお願いするのでありますが、十二万余の國の委員の方々が努力していることに対して、本会議の委員長報告の際適当な感謝の意を表するようにお取計らいを願いたい。
#75
○草葉隆圓君 私も同樣の意見で賛成でありますが、政府においてこの点実行して貰いたい。尚本法の施行は公布と同日であるが、同日までに十分徹底するよう希望いたします。
#76
○河崎ナツ君 本法案第八條を除く外賛成でありますが、現在は希望するに止めて、本案に賛成いたします。民主的は結構であるが、更に民主化の方針に努力せられたい。政治的に利用されないように現職議員は辞退して貰いたい。参衆両院の議員で委員になつている者の退職するよう措置を願いたいと思います。
#77
○委員長(塚本重藏君) 他に御発言はございませんか。別に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認め、これより採決いたします。
 民生委員法案を原案通り可決することに賛成の諸君の起立を願います。
   〔総員起立〕
#78
○委員長(塚本重藏君) 全会一致と認めます。よつて民生委員法案は全会一致を以て原案通り可決することに決定いたしました。
 尚本院規則第百四條による諸般の手続に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
 それから本院規則第七十二條により本案を可とせられる諸君は順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#80
○委員長(塚本重藏君) 署名漏れはございませんか……署名漏れないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
 明日は午前十時より開会いたします。
   午後四時散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
           千田  正君
           小川 友三君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 竹田 儀一君
  政府委員
   厚生事務官
   (社会局長)  木村忠二郎君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
   厚生事務官
   (公衆保險局
   長)      三木 行治君
  説明員
   厚生事務官
   (医務局藥務課
   長)      星野毅子郎君
ソース: 国立国会図書館
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