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1953/06/01 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第53号
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1953/06/01 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 通商産業委員会 第53号

#1
第019回国会 通商産業委員会 第53号
昭和二十九年六月一日(火曜日)
   午後二時二十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事      松平 勇雄君
           海野 三朗君
           小松 正雄君
   委員      大谷 贇雄君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           高橋  衛君
           三輪 貞治君
           武藤 常介君
  政府委員
   外務政務次官  小滝  彬君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   通商産業省通商
  局市場第一課長  番  徹夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (東南アジアの経済提携に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 本日は東南アジア経済につきまして調査をいたすことにいたします。海野君より御質疑の通告がございますので……。
#3
○海野三朗君 私がお伺いいたしたいと思いますことは、只今セイロン等から二人の議員、ダルマ・パーラ氏ほか一名と、秘書、合せて三名のかたが三週間の予定で我が日本を尋ねておるのでありますが、この人たちの要求せられておるところのものは、仄聞いたしまするのに、通商関係及び機械設備、そういうものについて日本の非常なる援助をお願いしたいという意味で、こちらに参つておるようでありまするが、このことにつきましては、外務当局のお考え及び通産当局のお考えはどういうふうでいらつしやるか。その御所見を承わりたいと存じます。
#4
○政府委員(小滝彬君) セイロンの使節が今参つておることは、海野さんの御指摘の通りでございます。昨年も新聞記者の諸君が東南アジアから参りまして、非常に好評を博し、結果もよかつたようでありますので、外務省は特にこれに力を入れまして、今度もただ単にセイロンのみならず、インドとか、パキスタンとかビルマあたりからも、こういう人に来てもらいたいと考えております。今度も非常に盛りだくさんのスケジユールで、各地を廻られるようでありまして、十分日本のことを理解して頂いて、そうして今後の日本とセイロンとの関係をよくして行く上に力になつて頂ければ誠に幸いであると考えます。従来セイロンとの間には、もうすでに海野さん御承知のように、農業関係の技師を出して、農業上で協力しようという問題もありました。併し現地では土木工事なども要するし、今すぐさま日本の農家を出すというわけにも行かない。いろいろ土木工事も必要であるし、現地の農園を熱田化すると申しますか、いろいろな施策を必要とするようで、今のところ進捗をいたしておりません。が併し双方の間においてできるだけ経済上の協力関係を作ろうということは、双方とも希望いたしておるところでありまして、セイロンとの間には、この貿易協定がございまするが、これには技術上の協力をするというような規定も含まれておるのでありまして、今後こうした面に努力いたしまして、東南アジアと日本との経済協力関係を増進せしめたい、それにはあらゆる施策を講じたいという所存で、目下努力している次第でございます。なお詳細な点につきましては、幸い本日説明員が参つておりまするから、お答えすることと存じます。
#5
○説明員(番徹夫君) 市場第一課長の番でございます。私は一九五一年の正月から、約二年間ほどセイロンにおりましたのですが、そのときに見たことを申上げたいと思います。
 先ず私参りまして非常に驚きましたことは、所得に対する食糧品の比率が六三になつておりますが、これは非常に高い数でございまして、日本では大体今のところは五〇以下ではないだろうかと思いますが、これはどうしてそんな高い係数を持つているかということは、米の生産が、反当収量が非常に低いということと、それから漁業の生産力が極めて乏しくて、それで十分なる食糧を賄うことができないで、海外から輸入しなければならないという事情があつたのでありますが、それで、もともとセイロンは長い間イギリスの統治下にありましたので、工業は今のところ見るべきものがございません。それで大体日本として、セイロンに対して経済協力をする面は、第一次産業の農業と、それから漁業、それから中小企業のような労働力の部門が多い。工業、例えば綿糸布を織るような工場が一番適するのではないかと思いまして、向うの政府といろいろと話をしたのですが、向う側でも非常に賛成者がありまして、今も次官のおつしやいましたように。米の反当収量の増加することに関して、それはセイロンにおきましては経済問題であるばかりでなく、又政治問題でありましたので、その点に関して日本から協力を得たいという要請がありまして、いろいろと日本の耕作方法をセイロンに入れることを考えたのでありますが、何分日本の状況とセイロンの状況と違いますので、この効果が挙るのには少くとも五年以上かかるのではなかろうかという技術者の意見がありましたので、今のところは進んではいないようでありますけれども、だんだんとこれも具体化されて行くんではないだろうかと思います。この間もエカフエの人たちが来まして、その中にもセイロンから来た人が二人ほど交じつておりましたし、それから現在も上院議員と下院議員の人が三人ほど来ております。滞在中は日本のいろいろな工業及びその他漁業関係のことを見て行くんではなかろうかと思つております。この人たちといろいろ接触して、日本の事情をよく説明したいと考えておる次第でございます。
#6
○海野三朗君 向うの要請に対しましてはどういうふうに具体的にお進めになつておりますか。例えば、私が先方のお坊さんを昨日国会に案内して参りました。その人のいろいろ言うところを聞いて見ますと、日本の一反歩に換算をいたしますと、一反歩から約二俵のお米しか穫れていない。それで是非農業の技術者を送つてもらいたいということもありました。一反歩から二俵と言いますと、我が日本の生産から見ますと、三分の一乃至四分の一しか穫れておりません。それは農業の技術のまずいことによるのであると思うのであります。こうい点は数年を待たずとも、つまり苗代をやるというようなことは向うでやつていないようであります。話を聞いて見ますと、ただ水田に播きつ放しという方法らしいです。でありますから、そういう方面に対して、こちらから行つて、一年乃至二年教えただけでも相当の食糧増産が可能であるということはすぐうなずけるのであります。こういう点に対しましてはどういうふうに政府当局はお考えになつておりますか。又漁業の点に対しましても、向うの要求に対してはどういうふうな態度、又どこまで話をお進めになつておるのか、その辺をお伺いいたしたいと思うのです。
#7
○説明員(番徹夫君) これは去年いろいろと農業の技術協定のことに関しまして向う側と話をいたしまして、その結果といたしまして、今年初め頃外務省の者が随伴いたしまして、米の生産の技術者が参りまして、セイロンの米の増産のことに関しまして、どうすれば具体的な効果が挙るかということを研究に参りました。それで、そのときに農林大臣と話合いまして、三名近くセイロンから日本の耕作方法を学ぶために来ることになつております。恐らく九月までには日本に参りまして、二、三年間修得することになると思つております。それで、私は農業のことに関しましては素人でございますが、ちよつとここにセイロンの米の耕作方法と日本の耕作方法につきましての差異を申上げさして頂きたいと思います。日本の米の種類は一般にジヤポニカと呼んでおりますが、セイロンの米はインデカという種類でございまして、日本の稲は肥料に対しまして非常に反応が大であるということでございます。ですけれども、セイロンのインデカ種は肥料に対して反応が極めて少く、そのために肥料をやらなくても米の生産は減らないのでありますが、肥料をたくさんやつても又増加しないのであります。ですから、これは品種の改良を先ず最初にしなければ増産は困難であろうということが技術者の意見でございます。こういうような事情は、この間のセイロンの技術者もよく知つておりますし、又日本の技術者もその点から始めなければ増産はむずかしいではなかろうかということを考えている様子です。それから現在は、先も海野先生がおつしやいましたように、極めて収穫後の技術が低くて、まあ米の籾を落すのにも日本のような方式によらないで、牛に踏ませて、そうして籾を落しているというような極めて原始的な状況でありますので、現在のところでは、最も効果を生ずるのは日本から農機具を輸出しまして、そうして労働力の使用をできるだけ節約するという方法は直ちに効果を生ずるのではなかろうかと考えております。そして又技術者も大体そういうような意見でございます。
 それから米の生産のことにつきましては、この程度にさして頂きまして、漁業のほうに関しましては、これは私実地調査をいたしましたときにいろいろと直接漁民から聞いたのでございますが、船は日本では見ることのできない、ちよつと説明がしにくい漁船でございます。ちよつと説明さして頂きますと、長さはここからあすこの戸までぐらいの長さでございまして、それが丸木なんです。その中をくり抜いて、そうしてそこのところに帆柱が立ててありまして、そうして横のほうに……、そればかりですと、すぐひつくり返つてしまいますから、ひつくり返らないようにバランスをとる丸太をつけておるわけでございます。これはアウトリツカー・カヌーと言つておりますが、漁場がちよつと二マイル半くらいありまして、そこのところに達するのに五時間かかるのだそうであります。ですから往復十時間なんだそうであります。そうして漁撈作業に従事するのは僅か二時間なんだそうです。ですからそこに行くまでに暑い日にさらされて、そうして曲つて風のまにまに行くわけですから、非常に非能率な船でございます。ですから、それではどういう方法が一番日本から受けたい方法であるかと聞きましたですが、そのときには、漁業の方法というよりも、むしろ海岸から漁場に行くのにそんなに時間がかからないような船が欲しいのだ、だからモーターのついた、平たく申上げますと、ポンポン蒸気のような船が欲しいのだということでして、これは日本から参りました業界の人も興味を持ちまして、いろいろと話を進めたのですが、何分今のところゴムの価格が下つてしまつて、お金がだんだんとなくなつたものですから、買付の資金に対して困難を感じているような次第であります。まあこれについては必ず日本の技術援助、経済援助の効果はあると確信している次第であります。ですけれども、これは一方カナダのほうでコロンボ計画の枠内で無償の贈与によつてトローラーなどをセーロンに出しておりますので、そういう対外的な関係等とうまく調節して行くという必要は非常にあると思います。
#8
○海野三朗君 只今のお話で大体セーロンのあれが窺われましたが、セーロンには相当なリツチ・オアー、鉄鉱石のいいものが相当にあるように私は聞き及んでおるのであります。この鉄鉱石を何か手に入れる考えを持つておるのであれば、或いはバーター制にでもすれば相当の製鉄原料というものが手に入れられるのではないかと私は考えるのでありますが、こういう点については外務当局はどんなふうにお考えになつていらつしやるのでありますか。私はセーロンからとるべきものは、セーロンのお茶なんかではなくして、我々の目指すところのものは鉄鉱石である、リツチ・オアーである、こういうふうに私どもは考えておるのでありますが、その鉱石さえこちらへ持つて来れば相当のものを得られるのではないか、こういうふうに考えているのですけれども、この鉄鉱石、インドの鉄鉱石と並んでセーロンの鉄鉱石、そういうものに対してはどんなふうに外務当局ではお考えになつておりましようか。又やはりあの辺はポンド地域でありましようが、若しこの輸出の関係を思いますときは、バーター制でないと行かないのでありましようか、どんなふうになつておりましようか、それをお伺いいたしたいと思います。
#9
○政府委員(小滝彬君) 今私の聞きましたところでは、将来のことはいざ知らず、これまで調べたところでは、そういう豊富な鉄鉱石があるということは聞かされておらないのであります。コロンボは御承知のようにスターリング区域の中に入つておりますので、ポンドのキヤツシユの支払をするという方法で行われております。貿易につきましては、平素から通産省と協力いたしまして、できるだけこれを拡大して行きたいという考えを持ちまして先方とも交渉し、又ときには中共の米をセーロンの市場を通じてとるというような方法を以てあらゆる方法を講じまして、拡大均衡と申しまするか、できるだけ貿易関係も密接にして参りたいというように考えてそうした施策を続けておる次第であります。
#10
○海野三朗君 それから鉄鉱石の資源につきましては、やはり専門家が向うにはいないようでありますから、日本あたりから人を派遣してよく調査せしむるというようなことはお考えになつていないのでありますか。取引の関係がございますか。
#11
○政府委員(小滝彬君) これは勿論先方からの希望があれば出したいのでありまするけれども、今とかく日本は東南アジアとの経済協力というようなことが叫ばれ過ぎて、多少疑われておるというような点もなきにしもあらずでありまして、勿論向うから代表者が来、いろいろ話合つて、先方のほうで是非来てもらいたいというような機運を作ることが必要でありましようが、こちらから押しかけて行くというような点は、今申しました東南アジアにおける対日感情というような点もあるので、よほど注意してかからなければならないと思います。幸いにしてセイロンでは対日感情は大変いいようでありますが、そうした面も考えなければならないということが一つ。もう一つは、コロンボ・プランなどの関係もございまして、日本のほうが今おつしやるような趣旨において、日本は鉄が必要だから、それをとるためには先ず日本のほうが率先して出て行つて、こちらがそうした事業に乗り出すような態度を示すということはよほど警戒を要する点もありますので、そうした面も十分考慮に入れつつ、今回のごとく向うの代表者も来たような際に、そうしたあらゆる可能性をエクスプローアするというようなことで進みたいと考えております。
#12
○海野三朗君 只今のお話わかりましたが、つまり向うで是非調査してくれというような要望がありましたときには、政府当局としては考慮される考えでいらつしやるのでありますか。
#13
○政府委員(小滝彬君) その通りであります。
#14
○海野三朗君 私は昨日セイロンの人たちに会つて話を聞きましたところが、いわゆるイギリスがセイロンを占領したと申しますか、インド統治の折には、セイロンの技術者たちは実に悲惨な処罰をやられた話を聞いて驚いたのであります。金属を取扱う者やその他の工業をやる者は皆指を切つてしまつたそうです。そういう処遇をされたのであるから、以後工業の発展ということはできないで今日までいたんだというような話を私は昨日聞かされてここに非常な興奮を覚えたのでありますが、向うからやはり救いの手を差延べて来た際でありまするから、向うから来ました議員の人たちの要求は成るべく満たして上げてやつてもらいたいと思うのでありますが、やはり政府当局におきましても十分それは向うの意を汲んで意を満たすように努力をしてやるというお考えでいらつしやるのでありますか。そういう点をもう少しはつきりした御所見を承わりたいのであります。
#15
○政府委員(小滝彬君) もともとこの視察団は、我々のほうで是非来てもらいたいという意向を表明したような関係もありまするので、外務省のみならず、関係各省又民間のかたの御協力を得まして、できるだけ便宜を供与し、できるだけよく日本を理解してもらうような措置を講じようというので、相当盛りだくさんの予定を立てていろいろなところを廻つてもらつておるわけなんであります。先ほど御指摘になりました農業関係につきましても、例えば六月の七日には農業関係の懇談会をいたしまして、そうして「稲の一生」というような映画をお見せするとか、又千葉県の農業試験場などもよく見てもらう、それから田植の見学もしてもらうというようなことを考えておりまするし、又当委員会に直接関係のあるものといたしましては、中小企業関係の懇談会も六月四日にやるというように、いろいろな面を見てもらい、研究をしてもらおうと思つております、殊にこれは番君のほうがよく知つておりますが、日本のホームインダストリーというものについては、家内工業というものについてはインドも非常に興味を持つておりますが、セイロンでも非常に興味を持つておる。ここにジナダサというような代表者が来ておつた時代、私も聞いたことがありますが、非常に日本の家内工業に興味を持ちまして、その後榎本というような人が、これはまだ占領下にありましたけれども、一隊を率いて行つて家内工業についての教育をするような措置をとつたこともあります。でありますから、今度は特に我々のほうから力を入れて来て頂いたのだから、最大限に便宜を供与して所期の目的を達成せらるるように援助いたしたいと考えておる次第でございます。
#16
○海野三朗君 輸出の範囲は、やはり今中共に対してと同じような制限があるのでございますか、セイロンあたりに対しましては。
#17
○政府委員(小滝彬君) 輸出については何ら制限はございません。これはただ従来は向うの必要とするようなものを貿易計画と申しまするか、トレード・プランのようなものを作つたものがありますけれども、そういうのは何もそれだけしか輸出しないとか、それだけしか入れないというのじやなしに、大体均衡を保つには、又向うの必要とするものはこういうものだからというのでこれを掲げたわけであります。全然中共とは地位を異にしております。
#18
○海野三朗君 もう一つ通産当局にお伺いしたいのでありますが、稲の品種が違つて、つまり肥料に対しての感受性が非常に違うということを今伺つたのでありますが、これはいわゆる私どもが考えられますのに、観察の錯誤であつて、感受性に富んだ肥料がまだ研究されてないということに帰すると思うのであります。今日本における肥料は、日本の稲に対しては非常に感受性があるけれども、向うの稲に対しては感受性がない。而も只今のは高級なる科学の問題であると思うのです。こういうことをやつて行きます、結局するところどうかというと、日本の科学技術、そういう方面に力を入れなければならないということになると思うのでありますが、今後も通産当局としましても、例えばこの間科研に行つて私は研究を見て参りました。あの科研なんぞは、ペニシリンがいいというのでペニシリンが盛んに用いられているときには、すでにストレプトマイシンに進んでおつて、やがてストレプトマイシンがきかない時代が来るというときに、そのきかない時代が来たときに対抗するところの薬品を今研究しておるのであります。そういう工合に先へ先へと研究を進めて行かなければならん。そういう見地から考えますると、セイロンの稲は日本の肥料には感受性がないと、こう言われますけれども、セイロンの稲に対しても感受性に富む肥料が必ず私は研究して行けば到達し得るものであると思うのでありますから、今後そういう方面に一段と力を入れて行つて頂きたいと思うのです。通産当局はどんなにお考えになつておるのでありますか、御信念のほどをちよつと承わりたい。
#19
○説明員(番徹夫君) そのことは帰りまして農林省の人たちと話をいたしまして、何分私そのことに関しましては全然素人でございまするので、そういう説明はいたしておりません。
#20
○海野三朗君 有難うございました。それでは私このぐらいにしておきます。
#21
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
 ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#22
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。
 それじや本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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