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1953/04/03 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第17号
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1953/04/03 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 水産委員会 第17号

#1
第019回国会 水産委員会 第17号
昭和二十九年四月三日(土曜日)
   午前十時三十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月三日委員愛知揆一君辞任につき、
その補欠として秋山俊一郎君を議長に
おいて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     森崎  隆君
   理事
           秋山俊一郎君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           森 八三一君
           木下 源吾君
  委員外議員    石村 幸作君
  政府委員
   厚生省公衆衛生
   局環境衛生部長 楠本 正康君
   水産庁次長   岡井 正男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       岡  尊信君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  説明員
   水産庁漁政部長 立川 宗保君
   水産庁生産部長 永野 正二君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○水産政策に関する調査の件
 (日濠漁業協定に関する件)
 (ひとでによる魚貝類被害に関する
 件)
 (ビキニ被爆事件に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(森崎隆君) それではこれより水産委員会を開会いたします。
 先ず理事の補欠互選につきましてお諮りをいたします。
 去る三月三十一日秋山理事の委員辞任に伴いまして、理事に欠員を生じましたので、この際その補欠を互選いたしたいと思いますが、これは前例によりまして委員長より指名することに御一任をお願いしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。それでは理事に秋山委員を指名いたします。
#4
○委員長(森崎隆君) それでは議題に入ります。
 第一に日程の順序を変更いたしまして、日濠漁業協定に関する件を議題に供します。説明員よりこの問題について中間報告をお願いいたします。
#5
○説明員(永野正二君) 濠州との真珠貝漁業に関します交渉につきましては、従来もその都度御報告を申上げておるのでございまするが、その後の経過につきましてこの際御報告を申上げます。
 前回までの御説明で御承知のところでございまするが、濠州側はその近海の大陸棚の上の真珠貝漁業を一方的に濠州の管轄に属せしめるために昨年の九月の十七日濠州の真珠貝漁業法の改正をいたしたのでございます。これによりまして濠州側といたしましては一方的に他の国の国民及び他の国の漁船に対しまして、この真珠貝漁業に関する限り濠州の一方的な許可制度に服せしめるということを企図いたしておるわけでございます。これに対しまして日本側といたしましては、その漁場が公海である限りにおきましては、当然そこに働く国民及び漁船は、その国籍の所属しておりまする国の許可により漁業をなし得るという見解をとつておりまするので、そこに日本と濠州との間にこの問題に関すそ国際法の解釈について争いがあるという段階がはつきりいたして参つたのでございます。そこで日本政府といたしましてはその後直ちに十月の八日にこの問題を旧懐両国の合意によりまして、国際司法裁判所へ提訴をするということにつきまして濠州側に申入を行なつたのでございます。その際併せてこの国際司法裁判所の判決がありますまでの間につきましては、日濠双方が別途な暫定的な合意を以て漁業をやつて行くという点についても申入をいたしておるのでございます。これに対しまして、濠州側は十月の三十日に回答をよこしまして、原則として国際司法裁判所に日濠双方が合意を以てこの問題を提訴するということに同意をいたして参つたのでございます。但しその同意には条件がついておるのでございます。この問題に関する国際司法裁判所の判決があるまでの間の日本漁業の操業の内容につきまして、両国政府間に暫定的な合意が成立いたしまするならば、これを条件として国際司法裁判所に共同で提訴をするということに同意をして来たのでございます。従いましてこの問題が国際司法裁判所の正式の舞台に出ます前に、暫定的な期間におきまする操業のあり方についての両国の合意が成立するということが条件になつておるわけでございます。そうしてなお当時の話合いの内容といたしまして、この国際司法裁判所にどういう点の判決を求めるかという問題、これは国際司法裁判所に対しまして、両国政府が提出いたしますところの特別合意書というものの内容になるわけでございます。この特別合意書につきましては、日本側が一応の案を出す、それから実際の漁業の暫定措置と申しますか、判決があるまでの漁業のやり方についての暫定的な取極めについては、濠州側が案を出そうという話合いになつておつたのでございます。これに基きまして両国政府はそれぞれの案を同時に東京及びキヤンベラにおいて交換するという取極めをいたしました。これに基きまして、年を越しまして本年の二月の十九日に日本側の特別合意書の案及び濠州側の暫定措置に関する案というものが同時に交換されたのでございます。これに基きましていよいよ暫定措地及び特別合意書につきましての正式な交渉が開始されたわけでございます。日本側といたしましてはこの問題を成るべく平和裡に合理的に解決いたしますために、この問題の根本的な解決は国際司法裁判所の判決に基いて解決して参りたいという根本の方針を持つておりまするので、それまでの間、徒らに濠州との間に事を構えることのないように、而も日本の漁業者といたしましては、戦争中及び戦後占領中の間は、この方面の漁場に出たい熱烈な希望を持つておりましたにもかかわらず、その機会が見られず昨年やつと最初の出漁ができたのでございまして、今後この方面におきまして日本の漁業者が操業して参ることについて非常に強い希望と、又強い必要性を持つておりまするので、国際司法裁判所の判決がありまするまでの間におきましても、できるだけこの国内の漁業者の希望及びその必要を満足させますために、成るべく我がほうの立場を十分に取入れた暫定取極めというものを取極めたいというのが、根本の立場でございまするが、先方といたしましては、この暫定措置に関する取極めが成立するということを条件をつけまして、国際司法裁判所の提訴を同意しておる次第でございますから、この根本の方針にのせましてこのことを解決するためには、どうしてもここ暫らくの間に暫定取極めにつきまして両国政府の合意を得るという必要があるわけでございます。そこで日本側といたしましても濠州側の暫定措置の案いろいろ検討をいたしたのでございまするが、大体大きな問題は二つの要点にあるのでございます。これらの詳細な内容につきましては、我々なお申上げる自由を持つておらないのでございまするが、大要を申上げまするならば、第一の問題は、この暫定取極めの期間中に、如何なる形式、如何なる手続によつて日本側の真珠貝採取が行われるかという手続の問題でございます。この点につきましては濠州側はやはり国内法による許可を日本側が受けるという建前を要求するような立場にあるわけでございます。第二の問題といたしまして、日本側の真珠貝採取業が如何なる規模において、又どの辺の漁場において行われるかという操業の実態の問題であるわけでございます。この操業の実態につきましても先方の案は必ずしも我が漁業者の希望なり、或いは我が日本政府のほうの考え方というものと一致いたしておらないわけでございます。従いましてこれらに対する日本側の対案というものを作成する必要が生じましたので、国内におきましていろいろと各方面と或る程度秘密裡に相談をいたしました結果、日本側の対案というものを作成して、これを先方に提出した次第でございます。これが三月の十二日にキヤンベラにおいて先方へ提出いたした次第でございます。日本側といたしましては、すでにだんだんと漁期になつて来ております。勿論この真珠貝漁業の漁期と申しますものは、泳ぎ廻る魚と違いまして、相当に弾力性があるのでございまするが、昨年も四月の半ばに出漁をするという計画を一月延ばして、五月に延ばしたのであります。そろそろ漁期になつておるということは明らかであると思いますが、我がほうとしましては、漁期の関係から成るべくこの暫定取極めを早く成立させたいということで、東京及び出先において交渉をいたしておるのでございまするが、先方のほうのいろいろの都合によりまして、三月の半ば頃に我がほうから提出した対案に対しての回答がまだはつきりしておらないような状況でございます。今後我がほうは全力を尽して日本側の基本的な立場を成るべく貫き、且つ又国際的にも摩擦を生じないで、この問題を合理的に解決をする方向にという従来の基本方針に副つて懸命の努力をいたしたいと、こう考えておる次第でございます。一応従来の経過並びに現在の段階につきまして御報告申上げた次第であります。
#6
○委員長(森崎隆君) 何かこれに関しまして御質疑がございましたならば御発言を願います。
 速記を暫時中止して下さい。
   〔速記中止〕
#7
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
#8
○秋山俊一郎君 大体の事情はわかりましたが、そういたしますと、今三月十二日にキヤンベラで手渡したところの対案に対しての回答は来ないということでありますが、お話の通り漁期もだんだん迫つて参つております。そうすると本年のこの漁期については出漁は、これが話がつかなければ出漁せんのか、或いは何とかして出漁する見込は立つておるのか、その辺どうでございますか。
#9
○説明員(永野正二君) 我々といたしましては、交渉の経過におきまして、必ず或る程度の取極めを成立させたいということで、懸命に努力をいたさなければならんということを考えております。
#10
○秋山俊一郎君 努力は勿論やらなければなりませんが、見込はありますか。
#11
○説明員(永野正二君) 漁期がいつであるか、それから漁期が何月何日であるかということよりして、必ずそれまでに話がつけられるかどうかという見通しの点の御返事でございますが、これは今折角この問題をやつております最中でございますし、それを日本側として一方的にこういう見通しであるというようなことは、これは国と国との間の交渉の問題につきましては、これは避けなければならないということで、私は今のような御返答を申上げたのであります。
#12
○委員長(森崎隆君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#13
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
 ほかにこの件に関しまして御質問ございませんか。
 それでは日濠漁業協定に関する件は一応本日はこの程度にいたします。
#14
○委員長(森崎隆君) 次にヒトデによる魚貝類被害に関する件を議題にいたします。水産庁から一応その後の経過並びに補助、融資、利子補給その他に関しまする農林省、大蔵省と交渉した関係等の御説明をお願いいたします。
#15
○政府委員(岡井正男君) ヒトデの問題につきましては、その後水温の上昇につれまして大体ヒトデを大分減つているというのが現況でございます。併し自然状況によつてヒトデが減つたからもういいじやないかというような気持で申上げているのではございませんで、できれば、非常に損害をこうむつた関係地区のほうに対して、金融の措置なり、又もう少し助成の方法があれば、それを一つ考えて見たい、こういう気持でその採取に要した諸経費のうち、筋として通し得るようなものを拾い上げまして、大蔵事務当局と折衝は再三再四に亘つてやつて来たのであります。私も先般大蔵事務当局と強引に交渉はいたしましたが、結論を得ておりません。大体財務当局のほうの意向といたしましては、ローカル的なこの種の問題については、その該当地区の府県のようなところで何とか処置してもらいたい、そうでなければ各地区において、大小様々なこういうケースがぼつぼつと出る。その都度予算措置とかというようなことではもう大変なことになるというのが、一口に申上げればそういうような考え方をしておるのでございます。私たちとしては、農業方面その他と睨み合いまして、漁業に薄いような国家助成というようなこともいろいろ引例して言つているのでございまするが、今なお大蔵当局と円満な折衝の御報告をするに至らないことは誠に遺憾でございます。
 ただ最後に残されたのは金融措置の関係でございます。このうちで各関係地区における漁業協同組合が現在持つている手持の漁業権証券その他につきましては、これを現金化するということには、すでに用意を整えておるわけでございまするが、この点については地元のほうがそう乗つて来ないというようなことがございまするので、この点は地元へ対しても資金化ということについては、現金化ということについては、いつでも用意しておるからということは十二分に周知いたしておるのでございます。以上申上げたようなのが今まで折衝いたしました経過でございます。
#16
○森八三一君 今のお話でローカル的なものについては、できるだけその都道府県の責任で始末がなさるべきであるという基本的な考え方、地方公共団体というもののあり方、これは一応私了承できるが、そういう基本的な態度というものを推し進めて行くためには、中央、地方を通ずる財政の調整が完全に行われて、地方自治体というものが、そういうような基本原則に則つて事を運んで行けるような確実な財源というものがきつちりと与えられて、基礎問題が確立した上で、そういう議論がなされるとすれば、これは当然なことだと思いますが、今日のように地方自治体の財政上における税制上の問題も未解決であつて、地方自治体というものが確実な、自治体それぞれの立場において行うべき仕事を推進して行くのに必要な財源というものは、殆んど与えられておらない。こういう、前提が非常に不確定な下で解決された、その場に立つた主張をされるというのでは、これは話がわからなくなる。そういうことを当然これは水産庁としても十分御承知の上で大蔵省と折衝されておるはずであると思いますが、そういう点を一体大蔵省と十分渡りあつて話をされたのか、更に又今お話のように助成の問題については十分その後も努力をしておるとおつしやいますが、水産省が画いておられる具体的な主張というものは、一体どういう内容のものであるか、それをどういう姿で折衝されたのか、もう少し詳しくその経過を御説明を頂きたいと思います。
#17
○政府委員(岡井正男君) 実は主務部長が後ほど出席すると思いますので、その詳しい点については主務部長から申上げることにいたしまして、私のほうで大体大蔵当局と折衝した場合には、只今森先生から御指摘になつたような、いわゆる国と府県の、いわゆる相対的の財政の調整に立つてのアン・バランスを指摘してまでの折衝はいたしておりません。御示唆によりまして、将来折衝する場合の重要な参考にいたしたいと思いまするが、いろいろこのヒトデ問題についての金融並びに助成の具体的な内容といたしまして、仮に採取に要した経費というような面を取上げましても、人夫賃などにつきましては、非常に算定が困難であるし、又一府二県に亘るそれぞれが、多少でこぼこもあるししますので、ずつと前いわゆる肥料が非常に少い場合に、ヒトデ、カシパン等の採取されたものにつきまして、貫当り幾らで助成をしたケースが過去においてございます。やはり大体に煎じ詰めたところ、採取せられたヒトデの量目に応じたものについての反対給付的な助成、或いは金融というようなことにならざるを得ん、かようなことでございまして、その内容等につきましては、先ほどお断わりしましたように、一つ主務部長が参りましてから御答弁をすることにいたしたいと思います。
#18
○森八三一君 詳細に交渉の内容がおわかりでないとすれば、主務部長が来られてから更に質問を継続いたしたいと思いますが、経費が幾らであつたとか、要した費用がどうとかいうことの算定が非常に困難だからということでは私は話がおかしいと思う。それはあとで計算をすればいいことで、一体そういう措置を政策的にとるべきかどうかという基本的の態度が先ずきまらなければいかんのである。それはともかくあと廻しとしまして、金があればもうすぐ、足らんけれどもやつてやる、多少につけてもやつてやるということでは、これはおかしな話である。先ず基本的態度というものをきめて、その上で計算をして見て、それは国家財政の都合もありますので、その率を下げるとか、上げるとか、ということがきまつて来るので、先に財布の勘定をしておいてから、それに基本的な態度がくつついて来るというのは、これは行政としてもおかしなことで、基本的態度を先にきめるについて、農林省は大蔵省にどういう態度でぶつかつておられるかお伺いしたい。詳しい個々の具体的な折衝といいますか、基本的な態度は一体どういう態度で臨んでおられるか。
#19
○政府委員(岡井正男君) 只今御質問の基本的態度ということでございますが、我々としてはできれば補助金と金融措置と併せて一つ災害対策に持つて行きたい、万々一助成という方法がどうしても困難な場合には、いわゆる金融措置によつて賄つて行きたい。かような考え方で進んでおるわけであります。
#20
○森八三一君 そこが非常にまだ了解点に達しないのですが、農林省がこのヒトデによる被害というものは助成を講じて救済をしなければならんという性格のものだという態度に立つて交渉を進められまする場合と、金融措置で始末がつけられるのだという考えで臨まれる場合とでは、これは結果においては非常に違つたものが出て来やせんか、それは金融をしてやつて、その金利が安いということで、間接的に助成をしたという結論も導き出されるということも考えられますけれども、今日非常に困つておる、殊に御案内の零細な業者が大部分、殆んど全部がそうだと言つてもいいと思いますが、そういうことになると金融措置ということではなかなか問題の解決は困難ではないか、やはり助成という、救済ということが基本的な態度として堅持されて行くということでないというと、問題の解決の核心には触れない。こう思うのですが、そういう感覚が中心なのか、そいつは財政上の都合が悪いからやかましいので、金融でもちよつとやつておけばそれでお茶をにごせるといつたような態度で臨んでおられるのか、それどうなんですか。
#21
○政府委員(岡井正男君) ヒトデの災害によつて、零細な関係漁民が生活にも非常に困るというような点までを深めて考えるということになれば、相当金額もかさ張るし、又従来そういうようなケースが今までない関係もございますので、これは財務当局としても、そこにまではとてもくつ付いて行かないだろうし、こちらのほうの要求といたしましても実はそこにまで踏み込んで行くというのは非常に地区に気の毒ではあるが、若干いわゆる水産眼的な考え方、いわゆる身慾な考え方に過ぎるような気もいたしますので、その点は例えばヒトデを一応先ずなくしてしまう。いわゆる種苗の貝などは成るたけ急速に、適当な時期にそこへ植付けてあげなければ、次の生産がとまるということに相成りますので、その種苗をどうするかというような問題になりますると、いわゆる運転資金的な、生産を以て次の仕込みに当てるというような段階が非常に困ると考えますので、その種苗代金について、できれば補助をしてあげるなど、足らざるところは金融も見てあげるというようなことで、次の段階には非常に困らないで営業が続けられるようにして行きたい。こういう考えの下に進んで来たというのでございまして、基本的な考え方として、という御質問に対する答えとして当らないかも知れませんが、先ず事務当局としてはそういう考え方で進んで来たわけであります。
#22
○森八三一君 僕の申上げたのは、金融措置をつけてやることは当然なことなんで、それによつて新らしい次の生産が行われましても、それは次の生産が、生活をゼロにして存在するわけはないので、それは次の生活を維持するための生産なんで、今現に起きている過去における損害というものは、今後の生産でカバーできて行くということであれば、話はわかります。わかりますが、そういう状態にあの地方の農漁村というものは置かれておらんのではないか、だから金融をつけてやつて、新らしい次の生産が継続、維持されて行くようにしてあげるということは、これは当然なことであつて、それもやられなかつたのではこれは問題にならんことで、それすらもまだ解決いたしておらんということになると、それは重大なことだと思う。私の申上げておるのは、その起きてしまつたものを一体どう始末してやるかということ、お話によれば金融の措置をつけて、次に行われる生産が進むことによつてそれで過去のマイナスもカバーして行けるのだというお気持のように思いますが、そういうような条件における金融というものは一体できるのかどうか、恐らく今までにおける農村金融の実態から見れば、そのことによつて生ずる収益で、その融資に対する元利金を一定年間に払つて、その年間における生活が先ず最低限度に維持されて行くという条件の下に金の利率と償還期限というものは決定されるので過去におけるマイナスをカバーして行くことまでに条件が緩和されて行く例を私は多く見ない。土地改良の資金等にいたしましても、そういうことだと思う。それからそこまで、今まで起きてしまつたやつは、自業自得でお前たちの負担だということでは、これは人為的に起きた、漁民の不始末で起きた損害ではなくて、僕がこの前にも申上げましたように、不可避的な、最善の注意を払つておつても避けることのできなかつた一種の天災である。これはやはり公共団体が面倒を見てあげなければいけない、こういうので、そこをはつきり御主張なさらんと問題の解決にならない。これはあとで主管部長来られればそのときもう一偏詳細に報告をして頂いて……。
#23
○委員長(森崎隆君) 今岡井次長から大体のお話がありましたが、更に一つ詳しく御答弁願いたいと思います。
#24
○説明員(立川宗保君) 先般もヒトデの問題について、当委員会においていろいろ事情を御説明申上げたのでありますが、その後も役所のとつて参りました措置といたしましては関係の三県と緊密な連絡をとりまして、事態の推移とその後の各県の模様の打合せ、並びにその駆除措置についての実施機関とそれから研究機関ともともそれに打合せをして連絡を緊密にするという協議会を開きまして、都合三回開いておりますが、連絡をとつて参つております。それから学術会議におきましてもこのヒトデの問題を取上げて、そこでヒトデについての生態並びにその科学的な処理方法について研究をしてもらつておるわけでおります。そこでその過程の中に、例えば新聞にも出ましたように、東海水産研究所でいろいろ研究をいたしておりますうちに、ヒトデについてビタミンB一二というものが非常に多分に含まれておる。これは担当の研究者が分析をいたしましたところが、余りにも多いので、実はびつくりして、これは非常に間違つたのではないかと言つてもう一遍分析をし直して確認をしたほどの量であつたと思いますが、牛の肝臓の十倍のものを含んでおる。これは非常に希望の持てる発見でありますので、これを更に推し進めると如何にして量を抽出してこれを利用し得るかというようなことも処置をいたします。それから又ヒトデがとれまして、そのヒトデを取上げましてこれを処理をするということについて一番従来考えて実施されて参りましたのは肥料であります。この肥料化についても関係の肥料の担当者といろいろ打合せをしまして、各県ともそういう肥料化についての促進の措置を図り、例えば先般も宮城県から千葉県のほうに肥料を是非買入れたいというようなことで肥料を買いに参りましたので、それを斡旋をしまして現地に行つてもらいました。その結果は私どもが従来聞いておりましたのでは、地元におきましてはヒトデを貝桁でとつて、それを揚げる費用・人夫賃・油代・船の代金、それから又それを乾燥をするという費用は大体十貫当り乾燥したもので三百円かかる。ところが肥料に売ろうと思つても大体肥料屋さんが今まで買いに来た範囲内では二百円とか二百五十円とかいう程度にしか売れない一生で申せば生はいろいろ費用がかかつておるのであるが、これは運搬賃向う持ちでただでなければいかん、こういうような状態であつたということで、非常に処置が困つておるという話もあつたのでありますが、肥料にもなし得ないという話もあつたのでありますが、その宮城県のヒトデの肥料購入者の話によりますと、四百五十円で買おう、こういう希望でありまして、それじやコストが三百円でありますのに四百五十円までぐらいなら買えるというものなら非常に有望であるということで、これは現地に行つてもらつて話を進めてもらうようにお願いをしたわけであります。
 さて先般も申上げましたその他の政府の措置について、先づ第一段として漁業権証券の資金化、これはその後も引続いて実行いたしております。それから財政の措置については、これも大蔵省の主計官とも相談をしたような状態でありますが、なかなかその補助金といつたような恰好ではどうも難航をいたしまして話がよく進んでおりませんですが、昨日もさようなことをいたしたように、その後も引続き努力をずつと継続をいたしております。以上のようなことであります。
#25
○森八三一君 その大蔵省と助成について折衝をされておる、農林省の水産庁の主張されておる要点、それに対して大蔵省が了承しかねるという理由、その詳細を一つお知らせ願いたい。
#26
○説明員(立川宗保君) 私どもが大蔵省に対しましてお話をいたしております要点につきましては、これはヒトデについては駆除をするために設備を要した。更にヒトデが発生をいたしましたために貝がいろいろ食い荒されて、今後非常に貝の生産量が少くなる。それで新らしく稚貝を買入れてこれを播付けなければならない。その稚貝の購入のためにもいろいろ費用が要る。更にヒトデの異常発生というのは今まで曾つてなかつた事態でありまするので、いろいろ試験研究調査といつたようなものが非常に必要になるのでありますが、今後もこういうことは考えられることでありますので、この際に十分その試験研究調査というものを充実をして事態に備えなければならない。そういつたものの中から例えば非常に有望な発見等も出ておりますが、こういう調査研究をやれば非常にいい結果も出て来るのであろうというようなことで駆除、それから稚貝の播付け、調査研究という内容について、大蔵省に対して是非補助の措置を考えて欲しい、こういうことであります。
 ところが大蔵省の大体の考え方と申しますと、例えば農産物に対する害虫駆除、農薬の補助というようなものにつきましても、従来のやつておりました補助措置は二十九年度の予算によつてこれを非常に整理をいたしまして、新薬の研究とこれのテストという面においてはこれは考えるけれども、従来の補助措置というものは一切この際やめるというようなことで、整理をする過程にも入つている。そこで更に従来の海についてのこういう病害虫の駆除措置ということは、従来農産物のように恒常的に措置をして来たものではない。その農産物についてすら二十九年度予算にはさような措置を一応講じられておるので、このような措置というものが非常にむづかしい。そこでこれはほかの何らかこれに代るべき措置をとつてもらうというようなことで措置をしてもらう。或いは当該県において、県の問題として片付けてもらうというようなことが現在精一ぱいであつて、これを国において補助金以上の取扱をするということは困難である、こういうことであります。
#27
○森八三一君 困難であるということは、今前置にお話になつたように、農産物等に対して従来農薬の購入助成をしておつた。昭和二十九年の予算では、これは我々は政府のとつておる態度に対して賛成をしておるわけではないのでありまして、意見はありますが、政府としてはそういう態度をとつておるので、それに合せるという意味でヒトデの損害に対する助成というものはできない、ということとは少し意味が違うので、農薬の補助が打切りになつたのは、今後の補助について、政府は二十九年度で打切つてたけれども、今我々が主張しているのは、現に起きてしまつたやつの後始末をどうしてやるかというところに一つ問題があるのです。起きてしまつた損害をどうしてやるか。それは漁民の諸君の不始末で起きた損害ではない。それは天災としてあきらめなさいということで措置ができない。こういうことなのか。財政上の財布の都合がいかんということなのか。それから検討してもただ事務当局の折衝だけではこの問題は解決ができんと思われる、一体大蔵大臣と農林大臣の政治的の折衝までやつたのかどうかということを千田委員からも御質問があつたように思いますが、そういうような措置はその後相当な時間が流れておるのですが、行われたのか行われなかつたのか。その辺はどうなのですか。
#28
○説明員(立川宗保君) 大蔵省に対しまして、私どもは話をしておりますのは、駆除費、只今申しましたように駆除費、或いは稚貝の播付費という問題を取上げてやつてやつておりまして、これによつて生じた被害の補償というような恰好では話をいたしておりません。そこで駆除費についての補助という問題について言えば、大蔵省の考え方を御紹介申上げれば、これは農薬についても、駆除費についてはこの際整理する。こういうようなことになつたから、そういうような全体の態勢でもある。かように考えるのであります。又大臣の話ということでありますが、私どもはこれは事務当局としてこの問題を考究しておりませんので、今申しましたようにいろいろ折衝を継続しております。そこで問題が大臣に上げて解決をする、或いは大臣に上げなければならないという段階に到達しておるという工合には勿論判断をしておりませんので、なお我々のでき得る限りで努力して、その結果において適当な措置を講じたい、こういう工合に考えておる次第でございます。
#29
○森八三一君 大蔵省が農薬の昭和二十九年度予算における補助金を大幅に減額したということを一つの主張に挙げておるようでありますが、農薬のほうでも必ずしも全面的にゼロになつているわけではなく、異常発生の地区には或る程度の助成は残つております。だからヒトデの発生被害というものが、農業に関する防虫書の場合において見る異常発生ということに該当するものとすれば、そういう大蔵省の御主張ならば、これはそれに該当するのじやないか。これは予算を御覧になればわかりますように、米麦に対する農薬の助成金は減りましたが、それは形を変えて、農薬の購入で保管管理をして行くための金利、保管料というものが、前年度に比べておおむね三倍に増額されておるのであります。形を変えて助成は行われておるのであります。二分の一補助という姿は成るほど退却しましたが、形を変えておる。而もその形を変えた二分の一補助というものも異常発生の部分には残されるということでありますので、ただ大蔵省が農薬についてやつたから、それに並べるのだということになれば、ヒトデの発生は病虫害における異常発生に相当するものであるということであれば、これはもう大蔵省の御主張は当然助成すべきものであるということに結論されなければ一貫性がない。異常発生ではない、通常発生と見ていいですか。
#30
○説明員(立川宗保君) これはたびたび申上げましたように、東京湾におきましては、ヒトデの害というものは、過去において発生したことはないと承知をしておりますので、その意味において異常発生と、こういうふうに考えるのであります。
#31
○森八三一君 水産庁は異常発生と確認されているとすれば、病虫害の防除に対する補助金の異常発生分は、たしか今年においては五万町歩であつたか残つております。だからそれを肩を並べるという主張で行かんというならば、肩を並べて、同じようにしてやるという主張が当然なされなければ取扱が偏頗だというふうに私は理解する。まあ事務的に折衝されまして、妥結するように御尽力を頂きたいと思うのですが、ただ荏苒と日を送つておつたのでは、零細漁民の諸君のためにとるところではありません。この、適当なときには、やつぱり首脳部の折衝に移られるというところまで行かなければ、今の国家財政の状況においてはなかなか解決は困難だと思います。
#32
○委員長(森崎隆君) 立川君に、私、一言お聞きしますが、これは一つの実際のほかの例ですが、補助金等の整理法案の場合、例の漁船保険問題の質問に対す大蔵大臣の答弁のときに、大蔵大臣はこう言つているんですね。それほど大切なものであるとは知りませんでした。それほど大切なものでありますならば、なぜ農林省ではもつと強く大蔵省に要望しなかつたのでしようか。余り強い要望がないものですから、私のほうでは余り大したことはないと思つてこの整理法案の中に入れたのでございまして、今更どうにもなりません。という大蔵大臣の答弁があつたのですね。非常に私はこれは意外に考えている。それからヒトデの問題で、現地に視察に参りましたときに、現地の千葉県庁その他のかたがたのお話では、大蔵省に直接陳情いたしますと、そういう交渉は農林省から受けていない、初耳だという言葉を述べているんですね。これは私すでに水産庁長官から何回もこの問題については折衝しているということを聞いておりましたから、これは大蔵官僚のまあ一種の偽りじやないかと思いまするのですが、それをそのまま置いておきますと癖になると思う。ですからもう一回正式の交渉を開いて項きまして、それも併せて次の機会までに、何月何日大蔵のほうでは誰が来た、主計官の何の某しと何時間に亘つてこういう交渉をしたが、そのときの返答はこうだつたという様子を一つ書いてもらいまして、それから農林大臣が大蔵大臣に対して直接折衝した過程につきまして、はつきり記録に残して、それを一つ資料として出して項けませんか。次の機会までに一つお願いいたします。これは水産庁をいじめる意味ではなくて、やはり今森委員が質問された通り、農作物に関する病虫害の異常発生の場合とちつとも変らないケースですから、その間に差別待遇をするとすれば、差別待遇をするだけの理由があると思います。それをはつきり我々として知つた上で直接大蔵省にも交渉したいと思いますので、一つその折衝過程ですね、どういう理由で応じないかというようなことにつきまして、一つ一応の折衝経過報告書というものでも出して頂きたいと思います。
#33
○秋山俊一郎君 私も今ちよつと委員長の言われたことを言おうと思つておつたのですが、先ほどの漁政部長のお話にしましても、大蔵当局の考え方が非常にローカル的なものであるというふうにいつているということでありますが、これは農業方面におきましても皆ローカルなものなんです。こういう異常発生とか何とかというものは全国一遍にあるものじやないんです。災害にしたつてそうなんです。風水害にしてもそうなんです。それでただ今度りヒトデの害が千葉県の極く一部分というわけぢやなくて、東京湾に面した沿岸一面にこの害を受けておる。勿論厚薄はありましようけれども、害を受けておるということであつて、極めて地方的と言いながらも相当広範囲なものであつて、大蔵省のそういつたような答弁はむしろ詭弁に類するような感じが我々としてはするわけです。他の農業関係と比較して考えて見た場合に、そういう言い方はあり得ないと思うのですが、只今委員長からもお話がありましたように、まあこれは漁船損害補償の問題でありましたけれども、私の質問に対して今言つたような答弁が大蔵大臣からあつたわけで、私どものほうもびつくりしたわけです。大蔵省の主計局等については予算の問題があつて、予算折衝のときにいろいろいためつけられるというようなことで、非常に遠慮が私は水産庁にあるのじやないかと思う。そういうことを遠慮すればするほど駄目なんですよ。強く突つ張るほど勝なんです。遠慮すればするほど押えつけられてすべてがいけなくなる。私はこの間の大蔵大臣の話を聞いたときにそういう傾向があつて、水産庁は予算をよう取らんのじやないか、こういうふうな感じを深くし、又並居る委員がびつくりしたわけです。そこで水産庁としましては、筋の通らんことを持つて行つて言うのではこれはいけませんけれども、筋の通つたことならば、これはもう強引に私はやるべきだと思います。それでこの間も私はお話したのですが、下のほうでばかり話をしておつてけりをつけてはいけない。信念に基いてやるべきだと考えた場合には大臣のところまで持込んで、大臣同士の話合に持つて行けばこれは私は解決する問題だと思う。他の同僚委員からもそういう御説がありましたように、一つこの問題につきましては、ただにこの問題だけじやありませんけれども、この問題が一つのケースとなつて来るんですから、先々のことも考えて一つしつかりやつて頂きたい。これは東京湾だけに起つた問題でありますが、他にもこれに類する異常発生のごときものがないとは言えない。今日各地で真珠の養殖事業なんかが盛んになつて参りましたが、赤潮の害とい題のも今までたびたび例があつているわけです。一つの湾が全滅するというようなこともあるわけです。そういつたような場合にも、これが一つのケースとなつて何らの措置も講じられないということになれば、水産はとかく従来非常に継子扱みたいな扱いを受けておつたんですから、それを是正する意味においても、この際一つ強く主張してやつて頂きたいと思います。そのことを私から要望しておきます。
#34
○委員長(森崎隆君) ほかに御発言がなければ、一応この問題はこの程度で打切ります。
  ―――――――――――――
#35
○委員長(森崎隆君) 次にビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。丁度今神奈川県のかつお、まぐろ漁業協同組合から、このビキニの爆発事件に関連しまして、魚価の値下りとか、又販売不能とか、その他これに伴う非常な損害等につきまして陳情が参つております。この際同協同組合の組合長の寺本正市君から陳情を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(森崎隆君) それではこれから陳情を聞きますから、速記を一応中止して下さい。
   〔速記中止〕
#37
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
#38
○千田正君 只今三崎の組合から陳情を受けたのでありますが、これは勿論日本にとつて、殊に漁業界にとつては重大な問題でありますので、先般も外務、厚生、又我々の委員会、文部委員会、この四委員会が合同委員会を開いて斯界の権威を参考人としていろいろ事情を聞いたのでありますが、その当時から更にこの被害を受けた漁船がまだ増加しておる。単にこれは三崎だけの問題じやなくて、これは日本の大きな問題でありますので、私は水産庁に聞こうとするのは、その後水揚港を指定して、そうしてここに集まつて来た漁獲その他に対して厚生省からは一々検査官を派遣して検査をしておるようでありますが、今回のビキニの問題を通じまして受けた現在までの損害の数並びに額については、水産庁としては十分に調査は届いておるのでありますか。
#39
○説明員(永野正二君) 先般の連合委員会以後水産庁でこの問題についての損害額についてどういう金額が出ておるかという御質問でございまするが、もうこれはよく御承知のことでございまするが、今度の問題の我がほうの各般の損害というものはいろいろ複雑多岐に亘つております。先ず第一に当然問題になりまするのは、直接原爆の放射能を含みました灰をかぶつて帰つて来ましたために身体に障害を生じておりまする第五福龍丸の乗組員、及びその第五福龍丸が殆んど使用不可能と言つてもいいという状態になりましたために、その船主のこうむりました損害、こういう損害を初めといたしまして只今いろいろ御陳情にもございましたように、この問題が起りましたために魚獲物が販売禁止といいますか、売つてはならないということになりました結果、生じた損害、或いはこの危険水域の指定のために漁業上いろいろな関係で現在並びに将来において起るべき損害、又この問題が非常に波紋が大きく、社会的に魚の消費に対する不安を巻き起したために、これを防止いたしますために、官民において必要な措置をとつて来た次第でございます。そういう関係の経費でございます。或いは又今御陳情にありましたような、多少間接の関係にも相成るかと思いますが、このために魚の取扱いの関係業者等におきまして相当な損害があつたという話も我々ほうぼうから実は聞いておるわけでありまして、これも当然検討を要する事項であると考えておるのであります。従いましてこれらの問題はいろいろな関係におきまして複雑な関係を持つておりますので、これらについてそう損害額は何億円であるというようなはつきりした結論まで現在到達いたしておりません、我々といたしましては当面急を要する問題から逐次実は解決をいたして行きたいということで、いろいろ申述べましたいろいろな事項につきまして、現在調査をとり進めておる次第でございます。
#40
○千田正君 今永野部長の立場から言いますれば詳細な調査をしてから御報告したいというお気持でありましようが、我々水産委員会といたしましては、現在でもこの直接被害を受けた分だけでもいいから取りあえず中間報告をして頂きたい。例えば漁船の受けた損害、それから漁獲物の受けた損害、それから乗組員の受けた損害、それから水揚げにおけるところの調査の結果等、少くともこの点くらいは取りあえず我々としては審議の対象といたしたいのでありますから、中間報告を、今日若しできないとするならば、次の機会までにその点だけでもいいから集約して報告をして頂きたい。
#41
○説明員(永野正二君) 只今千田委員の御要望につきましては、この問題は、例えば乗組員の医療の関係でございますとか、或いは被害を受けました船舶の関係でございますとか、或いは食糧として不適当として廃棄処分になつた問題とか、各方面、いろいろ各関係官庁におきまして分担をいたしておる次第でございまするので、そういう点は水産庁の分は水産庁として勿論できるだけの資料を差出したい、かように考えておるのでありますが、他の関係のものにつきましても適当な措置をお願いしたい、こう思います。
#42
○千田正君 勿論外務当局、或いは厚生当局に対してもこういう被害に対しての調査報告の要求は当然我々はいたしますけれども、厚生省といたしまして、あなたのほうの管轄で調査できた分を中間報告でよろしいのですから、何もそれによつてどうというわけではない、我々が審議を進める過程において必要な一つの資料として頂きたいのでありますから、重ねてこの点は委員長から特に関係各省に対し中間報告の要求を一つ出して頂きたいと思います。
#43
○委員長(森崎隆君) 承知いたしました。
#44
○青山正一君 只今の千田委員の問題に関連しまして質問いたしたいと思いますが、昨日私は三崎に参りまして多少調査して参つたわけでありますが、例えば厚生省の関係の役人についていろいろお聞きしたのですが、これはもう知らん存ぜんということで、殆んど何ら回答を得られなかつたわけであります。こういつた資料は一つ厚生省からはつきりと出して頂きたい。それも急速に出して頂きたい。差当り一番の問題は、この三崎あたりで、七割なり八割の漁獲を占めておるところの損害というものは非常に莫大である。これは勿論直接の損害もあれば、間接な損害もある。例えば間接的な損害と申しますと、まぐろを何としても食つて頂きたいというふうな、いわゆる宣伝費なども相当使つている。これは、例えば六大都市、或いはその他の消費都市におきましても、各市場が相当こういつた費用も使つている。直接的な損害といたしましては、三崎へ例えばまぐろが相当入つて来る、何とかして売つてもらいたいということで、生産者が魚商に頼み込む、魚商人はやはり上送り、或いは下送り、例えば東京の市場に送る、或いは横浜の市場へ送る、或いは神戸、京都、名古屋、大阪、こういつた市場へ送るには、どうしてもそういつた仲買人の手を通じて送らなければならん、産地仲買人もまあ先祖代々三崎の生産者に厄介になつている、何とかして御恩報じしたいということで、自分が犠牲になつてまでこの荷物を送つている。ところがその荷物は各消費都市によつてこれは廃棄する、或いは埋める、或いは値段を叩かれるというようなことで、この表に書いてある通りに少くとも一億何千万円の損害を受けている。ところがこういつた関係の業者は殆んど倒産している。現状においてはもう十軒以上も倒産している。勿論これは生産者も殆んど全部がこれによつて非常に大きい影響を受けておりますが、間接的にこういつたこの荷物を扱う業者が殆んど倒産している、というような状態であります。こういつたものも十分に一つお調べ願つて、水産庁のほう、或いは厚生省の関係は厚生省のほうの関係で十分一つ御調査頂きたいというふうに希望いたします。
 この機会に一つ私独自の気持で御質問申上げたいと思いますが、第一点といたしまして、焦眉の急として考えなければならないことは、操業が如何にして完全に行われるか、現状におきましてはアメリカの一方的な制限によつてこの操業が安全に行われていない、これは特に水産庁にお聞きしたいと思いますが、水産庁あたりから外務省を通じまして、操業が安全に行われるようにアメリカに申入れたかどうか、公海の自由の原則の建前からいたしましても、この操業を安全に保たしめるということがこれは水産庁の勤めである、外務省を通じて的確にこれはアメリカに申込まなければならないこれは事情だろうと、私はそういうふうに考えております。これは第一点の質問の要項であります。
 それから第二点といたしまして、今まで受けたこの損失を敏速且つ的確に補償したかどうか、三崎におきましては神奈川県あたりは現状におきましては三万円のいろいろな金融の途を講じている、併し政府においてそういつた途を講じているかどうか。この点が非常に私が今杞憂とするところでありますが、水産庁においてそういつた点を考えているかどうか、これは急速に的確にこういうことはしたのだろうと思いますが、そういつた途を講じているかどうか。これは、先ほど申上げました通り、直接の損害、或いは間接の損害もあろうと思うのであります。市価の暴落、こういつた点も十分考えて頂きたいと思いますが、こういう点について一つお聞きしたいと思います。その他国際折衝の上においてこれが十分に行われておるかどうか。それからもう一点特にお聞きいたしたいと思うのでありますが、生産者の関係は幾らか、この水産庁のほうで十分に骨を折る余地があるわけなんです。例えば低利の融資とか、或いはその他の金融の途を講ずる上において、非常に水産庁が力強く推進して頂けるだろうと思いますが、例えばそういつた魚商人、いわゆる産地仲買人、こういつた方面の金融の途は一体どなたが講ずるのか、場合によればこれは通産省、例えば銀行の建前から言えば商工中金ですか、そういつた方面からこれは途を図らなければいけない、こういうふうに考えられますのですが、これはどうしても農林中金とか、或いは農林漁業金融公庫、こういうものは勿論対象になりませんですが、こういつたような金融の途は一体如何に講じてくれるか、その点について特に一つお聞きいたしたい。この三点についてお願いいたしたいと思います。
#45
○秋山俊一郎君 関連しまして……。只今青山委員からお尋ねになりましたが、それに関連しまして大体今度の原爆によつて生じた損害というものは、今お話のように非常に広範囲に亘つておるわけでありますが、これのまあ水産面から言えば主務官庁は農林省、水産庁である。水産庁がこれらの事態に対して一体どういう処置をしようと考えておるか。又は努力をしておるか、その根本の問題。従来からかような一つの障害と申しますか、損害事件に対しては先づ融資の途を講ずるということ、それからこれに対する損害の補償とか、或いは補助金といいますか、そういつたようなものを出すとかいうようなことがまあ考えられるわけですが、今回の場合に一体これらをおのおの併用して考えておるのかどうか、ただ数字だけ調査したつて目的がないのに調査しても一向はかどらんと思うのですが、どういう趣旨でやるか、どういうふうに今後これを措置せんとしているか。これも先ほど大蔵省へ持つて行つてぶつかつたらこれは蹴られてしまつたというのじやどうにもならんが、併しその根本原則をはつきり打立てて進まなければならんと思います。これを一つ方針をお伺いしたい。
#46
○説明員(永野正二君) 本日長官は衆議院の委員会のほうへ参つておりますので一応私から御説明申上げます。
 一番最後に秋山委員からお触れになりました点から先に御説明いたしたほうがいいと思いますが、この問題につきましての水産庁の根本政策というお尋ねでございます。この問題はひとり我々の問題だけでございませんので、これは政府全体各方面に対しまして関連を持つております非常に大きな問題でございます。従いましてこれが対策、政府の方針をきめまして敏速に行動いたしますためには、通常の事務の協議の方法によらないで、特に内閣にこの関係の官庁の次官を構成メンバーといたします協議会をこしらえまして、随時その各関係官庁の代表者が会合いたしまして必要な協議を遂げることができるという組織を作つて頂いたわけでございます。それの会長としましては安藤国務大臣がなつておいでになると聞いております。この協議会におきまして、この問題についての諸般の対策というものが協議されるというわけでございまして、これの一つの構成分子としてと申しますか、これの方針、指令に基きまして我々水産庁としては諸般の調査をし、いろんな対策の具体化をやつておるというような状況でございます。そこで私どもといたしましてはこの問題が起りました当初から、非常にこの問題は将来に亘りまして大きな問題になるというような実は心配を持つておつたのでございまするが、私ども当面最も必要だと存じました仕事は、この問題による被害と申しますか、我が国の損失を、諸般の損失をできるだけ軽減したいということであるのであります。そのことは一つは漁業の関係がございます。それからもう一つは、魚の消費の問題があるわけでございます。第一の漁業の点につきまして、今後の損害をできるだけ防止したいという点につきましては、どういう措置をとつたかという点につきまして青山委員からも御質問がございましたが、我々としましてはこの原子爆発の実験自体につきまして云々することはちよつと我々の立場から若干離れる問題でございます。これは別個の問題であると私思つております。これが若し行われることが必要であるとするならば、それができるだけ日本の漁業にとつて影響の少い形において行なつてもらいたいということが根本の非常に大きな問題だと存じているのでございます。この問題が起りました当初から、その点につきましては、私どもとしては一応の意見を立てて、外務省を通じて折衝をしてもらうように交渉をいたしております。その詳細につきましては、むしろこれは対外折衝の部門でございますので、外務省が主管官庁になるかと思いますが、私どもの考え方といたしましては、この爆発の実験の行われます場所にアメリカ政府によりまして危険区域というものが設定されたのでございます。先ほど陳情者のお作りになりました図面には立入禁止海域という字が使つてありますけれども、これは立入禁止海域というのは誤解でございます。これは実験の危険区域の指定でございます。又先方のアメリカ側の考え方といたしましては、この危険区域を単に指定しただけで、ここに全然日本の漁船が入つていかんというような考え方ではないようでございます。当該実験の行われます都度米国政府としては十分なる被害の予防措置を講ずるということを先方は考えているようでございます。従いまして我々といたしましては、この実験によりまして日本の漁船の操業の場所なり、或いは操業の場所への往復航海なりというものが障害を受けないように、いろいろな措置をとられることを希望いたしまして、その点につきまして外務省を通じて申入をしなければならん、こう考えております。又その一部はすでに外務省から非公式であるかと思いまするが、アメリカ側に対して折衝が行われているというように聞いております。
 それから第二の問題といたしましては、当面この実験が行われますために、一部の、第五福龍丸の事件を発端といたしまして魚に放射能がある。従つてその魚を食用に供することが人体に害があるのではないかという不安が起つたのでございます。この問題は、これを放置しておきますならば、これは生命の危険の問題でもございまするので、だんだん不安に不安が重なつて思わざる大きな影響を及ぼすような結果にもなりはしないかという点を私どもとしては憂慮いたしたのでございます。又事態は実は我々の憂慮したような方向に動いて行つたようであります。これに対しましても私どもも外務省と御相談申上げまして、個々の陸揚げされる港においていやしくも放射能がありはしないかというような疑いのある船の出るごとにこれをつかまえましてガイガー計数管によつて科学的な調査をして、有害な放射能がないということを確かに検査した上で消費者の皆さんのほうへ魚をお届けするということが一番この心配を払拭するために適当な方法ではないかということで相談をいたしました結果、十八、九日頃からこの措置を急いでとつたわけでございます。この結果は、現在まで身体に害のあるような放射能があるというものは、第五福龍丸の漁獲物と、それからその後第十三光栄丸の漁獲物という二件だけでございます。それ以外の漁獲物につきましては、いずれもガイガー検査をいたしました結果、身体にはいささかも害がないということが明瞭になつておりまするので、引揚げて市場を通して出荷をされておるわけでございます。今申上げました二隻の漁獲物につきましては、これは一応心配がございますので全部廃棄処分にいたしたわけでございます。勿論最初の第五福龍丸の漁獲物につきましては、一部、その問題の発端のときでございまするので、トレースできなかつたものが僅かでありますが、ございました。それ以外はことごとく廃棄処分にいたしましたので、現在消費者のほうへ渡つております魚につきましてはそういう心配のないような措置をとつておるわけでございます。又このまぐろはアメリカその他へ輸出されておる重要な輸出品でもございます。この輸出先におきまして放射能の危険というような悪い問題が起りますると、今後の輸出関係に非常に悪影響があると存じまするので、この点につきましても厚生省のほうと御相談を申上げまして、各荷品ごとに輸出の際或いは庫入れの際正確な検査をいたしまして、無害であるということがはつきりしたものだけをアメリカのほうへ積出すというふうに措置をとつたわけでございます。今後もこの方針によりまして、この不安が続きます限りは、できるだけ正確な検査によつてこういう消費の上の不安をできるだけ防いで参りたい、こう思つておるのでございます。
 それから第三に、この問題によります我が国の各方面に及ぼした損失の補償なり賠償問題という問題でございます。この点につきましては、先ほど御説明を申上げましたように、各般の問題がございまして、それを一括して正確な結論を出すというのには相当な時日がかかるのでございます。そこで私どもといたしましては、当面最も急に迫られておる問題から逐次これは解決して参らなければならないということには考えておるのでございます。すでにアメリカ側でも或る程度の補償の意思というものは明らかにされておりますので、我々としては当面必要なものから順次外務省を通して折衝して参りたい。又それが場合によつて非常に時間がかかるというような場合には、先ほど申上げました協議会の御決定がありますれば、国内的に先ず載る程度の補償をするというようなことも必要であろうかと、こう考えておるわけでございます。以上が大体この問題を今後どう処理して参るかという点につきましての我々の考え方でございます。
 それから先ほど青山委員からお触れになりましたこの問題の損失の敏速且つ的確な調査及びこれに基く補償という問題でございますが、この点は今申上げましたように、私どもとしては実はできるだけのことはしておるつもりでございまするが、ただ先ほどお触れになりましたようなこの原爆放射能による魚の不安という問題によりまして、全国の消費市場にいろいろな波紋が巻き起り、そのためにいろいろな問題が起きておりまするが、これの敏速的確な調査ということにつきましては、実は私ども最も苦心と申しますか、頭を悩ましておる問題でございます。御承知の通り水産庁の機構といたしましては、なかなか全国の消費市場におけるこれらの波紋の全体を把握するということは実は非常に困難を極めた問題なのでございます。今後できるだけの努力をして参りたいと思いまするが、そういう事態でございまするので、まだ現在までこの間接的な被害はどのくらいである、これに対してどう処置をするというような結論は出ないでおるような状態でございます。ただ各地におきまして業者の間で非常な経済的な困難があるということは私どもも十分拝察をいたしておりますので、これらの困難につきまして当面必要な処置というような問題、例えば融資の問題というような問題につきまして、各地からの御要望がございますければ、私どもとしては個々の問題でできるだけ努力をして参りたい、こういうふうに考えております。先ほどお触れになりました取扱業者、仲買、その他の商人のほうの損失の問題はどこの主管になるかという問題でございますが、これも水産庁といたしましては当然一応責任をとつてお話を進めて参りたい、こう考えております。
#47
○木下源吾君 議事進行について。私ちよつと今よそに行かんなりませんので、安藤国務相か何か正式に……。
#48
○委員長(森崎隆君) 担当大臣……次回にこの問題を中心にしまして国務相も……。
#49
○木下源吾君 そういうように一つお願いします。
#50
○委員長(森崎隆君) わかりました。
#51
○秋山俊一郎君 簡単にちよつと伺いたい。つい両三日前の新聞に、私は名前を忘れたのですが、アメリカのこういう方面の担当の議員が、第五福龍丸は危険区域として指定した区域内におつたのだという発表をしております。これはその発表に至つた根本は、爆発の光を見てから六分後に爆音を聞いたということがあるので、それから推算して見ると、まさしくその船は危険区域内におつたのだというような発表をしておるようでありますが、これは水産庁ではどういうように考えておりますか。私どもまあ素人考えで見まするというと、誰でもそうですが、殊に沖合で仕事をしておる漁夫がだしぬけにぴかつと光つたものを見て、はあこれは原爆だと直ちに感じたかどうか、私はそれは非常に疑問だと思う。いろいろな、場合によつちや稲光もありましようし、いろいろなこともあるだろうから、そこで、ああ光つたと思つてすぐに時計を見て六分後にボーンと音がしたというような、何か、実験に立会つた人ならそれはわかります。ところがそういうような沖合で漁をしておる人が、きちんと、光つてから六分ぐらいたつたときに音を聞いたというようなことではこれは非常に不的確なものです。それをはつきりと割切つてその原爆の実験に行つておつて測つたようにその距離を測られたことは、私は正確とは言えないのではないか。これは海上保安庁、水産庁あたりが先だつての確信を持つて発表されたものというのは恐らく航海の位置等によつて出て来たのではないかと私は考えるのですが、その点はどういうふうに見ておられるか、それが一点と、それからもう一つ第十三光栄丸が最近又戻つて来たが、その持つて来た魚を廃棄処分にしなければならないということでありましたが、この船の位置は、最も近かつた位置はどれくらい離れておつたか、この二点をお伺いしたい。
#52
○説明員(永野正二君) 只今の第一の点でございまするが、いろいろ議論をされております。この根拠について詳細に承知をいたしておりませんので、先方の申しておりますことについての批判は差控えたいと思いますが、日本政府としましては、この第五福龍丸の遭難した位置というものにつきましては当時非常に問題を重大視いたしまして、実は十二分の検討をいたして調査をいたしたのでございます。その結果、先般海上保安庁から発表された位置というものを調査をして出したわけでございまして、これについては相当な根拠があるという自信を持つております。そこのことはこの間も申上げたと思いますが、閃光を認めた位置は北緯十一度百五十三分四分の一、東経百六十六度三十五分四分の一という位置でございまして、なぜこの位置が出て来たかということにつきましては、丁度当日漁撈長が天測をいたしております。又その天測をいたしております時間から申しましても極めて条件のいい時間でございます。その天測をいたしました、いろいろ計算します計算の数字も残つております。
   〔委員長退席、理事千田正君着席〕
従いまして機械が正確でございますれば、その天測による位置が正確でございます。そこで特に機械に誤差がないかというような点までも詳細に調査をいたしまして、天測の六分儀にも多少の誤差もあつたようであります。その誤差によりまして更にこの天測位置の修正までも細かくいたしまして出ました位置でございますので、これは単にストツプ・ウオツチで以て、見てから何分たつてから光を認めるという、そういうあやふやなものではありません。そういう相当正確な調べをいたしたものだというので、我々といたしましては確信を持つた位置でございます。
 それから等十三光栄丸の航跡の問題でございますが、これは実は私ここに航跡を持つて来なかつたのでございまするが、私どもの関係官が三崎へ参りまして本船の航跡については調査をして来ております。これが原爆実験当時の位置につきましては相当遠く離れておつたというふうに私は見ております。むしろ最近拡大されました危険区域よりもなお一層東のほうに離れた位置ではないか、こう見ております。なお正確なことは、私帰りまして又この次の機会に申上げることにいたします。
#53
○秋山俊一郎君 私も只今のお答えと同じように第五福龍丸の位置については日本の発表が正しいものであろうと考えておりますが、これはアメリカに対して補償を要求するという場合の大きな根拠になるものだ。従つて危険区域外にあつたのだということと、危険区域内にあつたということとは非常にアメリカ側としても、日本側としても非常に感じが違う。そこで日本の政府が調べたものが必ず正確なものであるということであるならば、そういうことをやはりアメリカのほうに通知して知らして、あなたのほうの考え方は間違つておりはせんかということを向うのほうに申入れる必要は確かに私はあると思う。その点は一つ遠慮なしに外務省と打合せされて然るべき措置をとつて頂きたい。そうしませんと、これは問題が大変変なことになつて来やせんかということを恐れるのであります。それは危険な所へ入つてはいかんという所に入つて行つたのだからそれは仕方がないじやないかと言われては困る。大体、危険だと言つてそこで危険な調査をすること自体にも我々疑問を持つていますけれども、ともかくも、予告しておつた所に入つて行つて害を受けたのだから補償の義務はないのだということになつて来ると、これは大変なことになる。その点十分水産庁から外務省のほうに申入れて頂きたい。私どものほうも又そういうつもりでいるわけです。今後の、次の機会に外務当局にも来て頂いてそういつたようなことを要求したいと思います。
 それから第十三光栄丸の位置につきましては、今正確な資料がないということでありますから、次の機会にでも伺いたいのですが、我々の聞くところによれば、一千マイルも離れておつたということをラジオか何かで私は聞いたのですが、若しも最も近い場所で一千マイルも離れた地方において航海をして来た、或いは操業をして来たまぐろが廃棄処分をしなければならないということになると、これはとんでもないことで、それじやどれくらいの位置が安全かということになると見当がつかなくなる。こういう点も私はまあ今後の問題であり、更に又近くその実験をやるというようなことを準備しておるようでありますが、どの辺まで逃げておつたらいいかということの見当がつかない。二度も三度もこういうことになると日本のまぐろというものはもう売れなくなる。これは非常な問題である。少くとも何カ月かというものは魚が売れなくなつて来るのじやないか。そうなつて来ると、漁業者も参るが業者も参る。又消費者としても非常に不便を感ずるということになりますので、これらの点については十分厳重な調査をすると同時に、アメリカに対しても、かような資料を送つて一つ本当の危険区域はどれだ。この間も何か学者のお話によるというと九五%はあつたが、あとの五%がどうなつたかわからない、これは非常に問題だということを言われましたが、勿論五%でも一%でも使われてはかなわない。この点はまあ我々としてはやめてもらうのが一番いい。やめられないとしても一つ最大の注意を払つてやつてもらうようにしなければならん。それでこの点は水産庁といたしましては、それらの資料を十分整えてそうして外務省と折衝して頂きたい。こういうことをお願いするわけであります。それから何か輸出用のまぐろの検査の方法、程度と、それから国内用のまぐろの検査の方法、程度というものが違つておるように何か新聞に出ていたということですが、その点は厚生省如何でございましようか。
#54
○政府委員(楠本正康君) 輸出まぐろの検査につきましては、何分にもこちらは物を売るほうの側でありますので、或る程度買入れるほうの側の要求も多少は入れてやらなければならん立場にありますので、アメリカ側と相談をいたしまして、その結果許される範囲のまあ比較的簡便な方法をとりまして検査をいたしております。国内の問題につきましては、要はこれは安全度が保証されればいいわけでありますので一私どもいろいろ専門家の意見等も聞きまして一つの基準を置きまして、これに基きまして調査を、試験をいたしておる次第であります。従つてその間に若干の差はありますが、といつて国内のまぐろを極めてルーズに検査をしておるというような意味では毛頭ございません。なおここには確かに御指摘のように若干の矛盾の点もありますので、目下引続いてアメリカ側と検査の方法については協議を進めております。
#55
○説明員(永野正二君) ちよつと附加えて申上げたいと思います。秋山委員からお触れになりました第十三光栄丸の漁獲物の廃棄の件でございますが、この漁獲物の放射能の程度につきましては、これは厚生省もよく御承知のことでお話があるかと思いまするが、必ずしもこれが必ず食つて悪いというふうに確実な資料があるかどうか、そこには問題がございますけれども、事が国民の健康の問題でございまするので、我々としては最も厳格な見方で、これは一応廃棄したほうがよろしいという結論を出したわけでございます。それで、魚が泳いでおつた時分、或いはとられた時分にこの放射能があつたということではないというふうに私どもは確信を持つております。むしろその後の魚の取扱と申しますか、港に着きましてからその魚を船の中でいろいろ動かす際に、ほかの灰がくつついたというような原因によるものである。そうでなければ、ほかの漁船を同じような調査をしておりますが、この船以外には、勿論あれよりもつと近いところで漁獲した魚等もございまするけれども、このほかには一件として有害な放射能があるという魚はないのでございます。ですから、この魚の船内における取扱にも多少の問題があつたのじやないかというのが我々の見解でございますので、念のために申上げておきます。
#56
○秋山俊一郎君 ちよつとそれはおかしいですね。三崎なら三崎に帰つて来て、その船体の取扱とかいうことになると、三崎が危いということになりはしませんか。
#57
○説明員(永野正二君) この船が、御承知と思いまするが、船体その他に灰が附着しておりまして、そのための放射能があつたわけでございます。従いましてその船の上で魚を動かしますときに、例えば甲板を引きずつて魚を動かしますと問題はあるわけでございます。その点は検査をいたしました厚生省のほうから御説明願いたいと思います。
#58
○政府委員(楠本正康君) 誤解があつてはいけませんので、私からはつきり一つお答えをいたしますが、当初このまぐろを数匹取出しまして、抜取り検査をいたしました。これに対しましては明らかに有害と判断される程度の放射能を認めたわけであります。ところがこの船は船体、甲板或いはその他の物件等からもかなり強度の強い放射能を証明し得たわけであります。併しこれは福龍丸等とは異なりまして、大体甲板、船体等をよく洗えばなくなるという、まあ判断をいたしました。そこでまぐろの問題でありますが、最初に取出しましたまぐろは未だ船体を洗わずに取出したまぐろであるために、或いは甲板等の危険物が附着したのではなかろうか、というふうな疑問も生じます。そこで先ず当初その船体を厳格に洗いまして、その後において更にまぐろを取出しまして検査をいたしたわけであります。従つてこの点から申しましてもまぐろは三崎に着いてから汚れたというものではなくて、かねて汚れておつたということがはつきりいたします。なお船室の表層のまぐろと深い部分のまぐろを比較いたして見ますと、むしろ深いところにあるまぐろのほうが遥かに放射能を示すわけであります。この理由は何であろうといろいろ私ども研究をいたしたわけでありますが、この漁撈期が大体三月一日以降であつた関係で恐らく当初とつたまぐろは甲板等の船体が著しく汚れておつた頃にとつたもので、そのためにも汚れたのであろう。その後雨等が降つて船体が、時間がたつに従つて若干その危険物が少くなつて来る。その後とつたものは余り汚れなかつたのではなかろうか。こういうふうに、まあ理解をいたしておりますが、この辺は那辺に原因があるかは別といたしまして、私どもといたしましては、これはまぐろの廃棄ということは極めて重大な問題でありますので、あらゆる角度から間違いがあつてはいけないということから慎重に検査を実施したわけであります。その結果最後的にこれは食用に適さないものだという判断をいたしたわけであります。
#59
○秋山俊一郎君 今の御答弁は、私は何も三崎が危いと言つたのは、御説明がそういうふうに聞えたから、そういうふうに言つたのですが、船が汚れたということは沖において汚れたはずです。何も三崎において汚れたはずはない。従つて沖において汚れたということは、一千マイルが一番近い距離であると仮定いたしますね、この間危険区域は四百五十マイルも拡げた。まだそれよりも大きかつたというのは幾らかわかりませんが、私の聞いたところでは一千マイルも離れたということを放送されておる。それほどの遠方においてすでに灰をかぶつたということであるならば非常に広い範囲に危険区域があるのじやないか、ということを申上げたのです。従つてその船が汚れていたということはそのときに船の上に灰が落ちたものであるか、或いは海水にまざつて流れておつたものが一緒にデツキの上に上つて、灰だけ残つたものであるか、そういつたような、何か海水と空との関係であろう、いずれにしましても一千マイル近くも離れたところが危険であるとするならば、これは由々しい問題だと、従つてそういうところをはつきりしてもらいたい、どの辺までは危険だということをはつきりしなければ、これは第二、第三、第四というふうな、こういう危険なまぐろが入つて来たら大変じやないか。
 それからもう一つは、非常に大事をとつたということは結構でありますが、余り大事をとり過ぎて何ら差支えないようなものをどんどん廃棄するということは、廃棄するには金を出してやればいいかも知れませんが、それが人心に又ぼす影響は大きいですよ、又廃棄された、又あれがあつたということになりますと、いよいよまぐろは食えんということになる。この点も十分注意されまして、大事をとるならもうまぐろを食わせないのが一番かも知れませんが、そういうわけには行きませんから、その限度は一つ安全だと思うならば、その安全だと思う程度を出して頂かんと、ぽんぽんそれは廃棄するものもあるので、それ自体は恐ろしくないけれども、商売の影響は恐ろしいものです。その点も厚生省としては十分考えておられるでしようが、特に私はそういうふうに感じますから要望する次第であります。
#60
○政府委員(楠本正康君) 第二点の御質問の、私どもが安全慎重に扱つたと申しますのは、そのまぐろが果して食用に供し得るか否かということを極めて慎重に判断いたしたのでありまして、従つて安全、大事をとつたという意味は、ただちよつと見て放射能があつて、それで皆捨ててしまうというようなことでは今お話のような結果になりますので、私どもとしては、慎重とはできるだけ、どこから見ても間違いのない判断をするという慎重さという意味のことを申上げておる次第でございます。勿論その結果危険のあるものとないものと見分けまして、慎重にこの廃棄処分にすべきものはする。一方かような措置をすることが、むしろ国民に対して不安を除く結果でもあろうと存じます。現在市販されておるものは、皆もう立派なものなんだ、危険なものは逐次厳格な検査の結果廃棄されておるんだ、現在市販にあるものは、むしろこれこそ安全なんだ、こういう反証にもなると思います。これらの点につきましては私どももかねて、お聞き及びの通りラジオ或いは報道機関等を通じて、その趣旨の徹底に努めておりますが、何分にも国民の側にむしろ不必要と思われるような恐怖心さえ生れまして、その結果私どもの折角の努力が却つて実を結ばずに不安がられるということは、むしろ私ども当局としては甚だ遺憾でございます。そこで今後も引続いてこのまぐろが安全であるということを国民に徹底させると同時に、各港における検査を、只今申上げました趣旨で徹底させる所存でございます。
 次に第一点の御意見でございますが、どの程度までが安全であるか、その判断としてこの第十三光栄丸等がどの位置を通つて来たか、なおそれよりも近い距離にあつたものがあるんではないか、こういうようなことになりまして、一体どういう点を以て危険というか、こういう問題になるのですが、これは極めて重大な問題であります。現在未だかような原爆によりまして、どういつた空気中、或いは海中の影響が出るかということははつきりいたしません。そこで私どもといたしましては、目下委員会を設けまして、これらの環境衛生上の調査を研究をいたしておりますが、ただここで従来とりましたいろいろな情報或いは検査の結果等を総合して考えて見ますと、これは只今お話のように船体に灰がかかつてその後に漁撈されたために、例えば漁撈具或いは船体その他機械物がまぐろに附着したものと判断をいたしております。
 なお然らば何によつて船体が汚れるか、これは勿論灰によつて汚れるわけですが、この点は今までの私どもの調査の結果から申しますと、恐らく風向その他の関係で運悪く灰にかかつたものと考えております。従つて必ずしもその距離その他に関係なく風向の関係で灰がかかつて来たというふうに今のところは理解しております。併しこれらの点につきましては当初お断り申上げましたように未だ確たる研究成績はございません。なお引続いてこれらの問題は研究を進めて参りたい所存でございます。
#61
○理事(千田正君) お諮りいたしますが、只今同僚石村議員から委員外発言を求められておりますのでお差支えなければ発言をお願いしましてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○理事(千田正君) それでは石村議員。
#63
○委員外議員(石村幸作君) 今日は水産委員会で委員の諸君が非常に熱心にいろいろ御検討中でありまして時間も大分迫つておりますので、そこで委員外質問をお許し願つて誠に有難うございました。時間もありませんので、又委員諸君から大分突つこんだ御質疑等がありましたので、簡単に二、三一つお伺いをしたいと考えております。
 この三崎の光栄丸、先ず第一番にお伺いをしたいことは、光栄丸の積んで来た一万貫に近い魚を昨日放棄した、廃棄したと承わつております。実は私は昨日現地も視察して参つたのですが、そこで厚生省の部長さんにお伺いしたいが、あのまぐろが放射能を検査された結果今縷々御説明がありましたが、あの程度で本当に人体に危険があると、食品衛生上からこれは不適格だと、こう御決定になつたそうでありますが、聞くところによりますと、この放射能の数字と言つていいでしようか、百以下はいい、百以上は危険だと、こういうふうなことを聞いておりますが、果して昨日廃棄した魚の検査の数値はどういうふうになつておりましたか、承わりたいと思います。
 それから第二点は、厚生省で相当もうこの問題については御研究になつたことと存じますので、例えば昨日廃棄したと、それが百以上であつたと、こう仮定いたしまして、これが百以上だつたらどういうふうに人体に影響があるか、ただ危険だとかというぼんやりした話でなく、どういうふうに、それを食べたらどういう結果になるか、そういうようなことも伺いたい。
 それからもう一つ関連いたしまして、この廃棄をさせた場合に、これを命令でなく廃棄されたいというような文書を交付されたようですが、それほど危険であると断定されたものを廃棄されたいという希望のような文書をお出しになつたのはどういうわけか。それからこの廃棄をさせる場合には一万貫というと莫大な金額になります。その大損害をも顧みず廃棄させるという文書を出され、これが命令であるか要望書であるか、今文書ではつきりしませんが、そういう場合に当局としてはその結果としてこうむる損害に対してその当時どういうお考えをお持ちになつておられたのか、その損害をどういうふうにして補填してやるかというような点で一つのお考えがなければならないと思うが、それを一つ今日お伺いしたいと思います。
#64
○政府委員(楠本正康君) 最初の第一点のこのまぐろの検査の結果どういう成績が出たかと、こういう御質問でありますが、後ほど資料でお示しを申上げたいと存じますが、私どもが現在聞いております、私が資料の記憶の範囲におきましては一〇%以上が百五十以上を示しておつたと記憶をいたしております。なお一体百以下ならばよくて、百以上が悪いかということは無論断定はできません。百以下でも悪いものと私どもは考えております。併しこの辺は何分にも今まで一体かような放射能のあるものを口にしたというような例は実験上でも、或いは実際上は前古未曾有の例でありまして、従つて何らかような研究はございません。併しながら私どもが従来放射能等を研究いたしておりますことから考えまして、これらのものはすでに御承知のように体内に入ると必ず臓器、殊に骨その他に沈着をいたします。従つて私どもは少量の放射能も体内に入つてこれが沈着するということは必ず支障あり、かように判断しなければならないわけであります。
 それから次に一体体内に入つた場合にどんな害があるかという問題ですが、これらは人間については未だ先ほど申上げますように、何ら研究はございません。併しながら動物実験等をその後実施いたしておりますが、動物実験等をいたしますと、これは極めて重大な障害が動物体内に各所に醸し出されます。実は灰の微量を兎その他に食べさせて見たのでありますが、これらの結果は極めて重大な臓器変化を来たすわけでございます。これらの関係から見ましても第一の御質問に遡りますが、やはり放射能が証明されるものは廃棄すべきものだと考えております。なお恕限度、私ども専門的な立場で申上げますと許される範囲というものでございますが、これらは何分にも未だ全く新らしい事態でありましてこれらの点につきましては目下先ほど申上げました委員会の手を通じて厳重に研究を進めております。
 次に第三の廃棄命令で、この廃棄処分の問題でございますが、これは御指摘のように私どもは廃棄命令を出してございません。と申しますのは、当然これは廃棄命令を出すべき性質のものであります。ところが現在の食品衛生法の建前は、不良品を発見した場合に対してこれを扱う営業者に対して廃棄命令が出せる建前になつております。私どもはこれらの生産者、これを法律では採取業者と言つておりますが、生産者に対しては廃棄処分を出せないことに規定されております。これはまあ強いて言えば法律の或る意味の欠陥かも知れません。併しながら他の条文に、何人といえどもかように汚れたものは、衛生上危害ありとわかつたものは販売してもならないし、或いは貯蔵してもならないし、人に譲渡してもならないというような規定がございます。これは国民一般の義務であります。国民一般の義務として誰でもかようなものを販売したり、譲渡したり、陳列したり、貯蔵したりしてはならない、こういう規定をしてございますので、明らかに条文に触れて来るわけでございます。併しこれは実際行為としては何ら販売したり、人に渡したりすることのできない品でありますから、従つてそれを根拠といたしまして命令ではございませんが、これはどうせどこにも出せないものだから廃棄してはどうだろうか、こういう強い意思表示をいたしたわけであります。従つてこの点を法律的に見ますれば廃棄処分と同様に効果のあるものと私どもは考えております。併しこれは法律の不備と申しましようか、法律の建前の問題を申上げたわけであります。
 それから第四番目に、これら廃棄処分によつて受けた損害、これは第五福龍丸の場合と同様でありますが、これらのものにつきましては、当然米国側から何らかの形によつて補償されるべきものと確信をいたしております。なおこれらにつきましては外務省筆にもかねて当初から話合いをいたしておりますが、この点はおおむねの了承も出ておる次第であります。但しこれらの損害額の積算その他につきましては私どもよくわかりませんので、これらは水産庁にお願いしてこれらの額を積算することになつておる次第であります。
#65
○委員外議員(石村幸作君) 今の廃棄処分の文書は命令でない、そういう法律に規定してある範囲内でそういう微温的なものを出した。併し効力においては同じような意味だ、こういうふうな御説明でした。併し最初は勧告するというような文書で出されて、地元から強く言われて、せられたいということにした。先ず成るべく命令でなくやわらかい、どつちかというと生産者が自発的に廃棄したというような恰好に持つて行こうと努めたような態度があるように見られるのですが、その間に余りこれを厚生省が強く命令的に廃棄させると、そのあとの始末に責任があるというような、その責任を多少なり逃れようかと、こういうふうな気持があつたことはどうですか。
#66
○政府委員(楠本正康君) 政府が検査いたしまして、これは食料として適さんと判断いたした以上は、当然政府の責任において実施したことでありまして、私どもさようなことを毛頭考えたこともなければ、責任逃れというようなことは、これはもう政府がやつたことなんですから、政府の責任において検査し、方針も立て、飽くまでこれは政府の責任において勧告したわけで、ただ法律にないことを命令したところでそれは命令という根拠がないから止むを得ず第四条の適用をしたわけで、まあ第四条というのは、できる範囲の条文の適用をいたしたわけであります。
#67
○委員外議員(石村幸作君) もう一つ水産庁にお尋ねいたしますか、危険立入禁止区域、これはきまつているのでございます。ところが、今回の被害の状況を見ましても、聞くところによると一千マイル離れたとか、九百マイル離れたとか、そうするとこの範囲内は危険区域ということに自然見られるわけで、立入禁止区域と現実的にここに現われた危険区域と、こういうような区域についてどうお考えになりますか。
#68
○説明員(永野正二君) 先ほどもちよつと私触れたのでございまするが、現在アメリカが航路告示をいたしておりまして、それを水産庁と漁業者のほうへ連絡をいたしております区域は、危険区域でございまして、その危険区域で実験が行われる際にはなお被害が一般の船舶に及ばないように十分なる予防措置をとられたいという建前で私どもは考えておるのでございます。今のお話は、その水域以外もつと遠い所でも被害があつたではないか、それを危険区域にするのかどうかという点であろうかと思うのでありまするが、私どもといたしましては今後この実験が行われます際に被害の予防についてこの実験が行われる合衆国政府において十分なる予防措置がとられること及びその結果なお且つ被害が生じたという場合には、その被害について合衆国政府において十分な補償をされることということを要求したいと考えております。
#69
○委員外議員(石村幸作君) いろいろお聞きしたいけれども時間が切迫しているからやめますけれども、被害の損害、これについて水産庁としては当該役所として相当お考えになつておる、又厚生省でも今の二人の説明で相当の御覚悟を持つて、確信を持つて損害が補填できるという確信を持つておやりになつておる。ここまでわかりましたが、併しアメリカから補償を得られるまでが、これは外交交渉その他で相当な時日を要する。そうするとそれまで、これは生産者にしろ、販売業者にしろ容易に持ちこたえができない。これが実情でありますので、当該の官庁においては一つそれまでの融資なり何らかの救済の方法を講じてやらなければならんというお考えが当然あると思いますが、又そういうふうな点お考えを頂いておりますか、これは水産庁、それから今の魚商については先ほどもお話があつた通り、通商産業省の中小企業庁とかいろいろな方面でありましようが、それに関連して厚生省が今の廃棄処分のようなことを直接おやりになつた、そうするとそこにやはりそういうふうなお考えも出て来ると思いますから、一つその点を簡単にお聞きいたしたい。
#70
○説明員(永野正二君) 米国政府による損害の賠償という問題が或る程度暇がかかつておるというような場合に当面日本政府の責任において問題の解決について必要な措置は十分講じなければならないと私どもは考えておりますので、政府関係の協議会にそういう方針で話合いをして行きたい。こう思つております。
#71
○森八三一君 今厚生省におきまして、放射能の人体に及ぼす危険なり、被害の程度についてはないが、動物についてはあるということであれば、その実験から身体に及ぼす被害はどんな程度のものであるかということは、これはわからなければならんはずなのにそれもわからんというのが一つ、それから第二点に、現在の法律では命令ができない、だから相談的なような文書を出した、これは法律的にはそうかも知れないが、若しそうだつたとすれば、そういうことを法律的に措置できる準備をされておるのかどうか、それが第二点。それから第三点はこれは水産庁でございますが、アメリカのほうと折衝をしてということではこれは問題にならんのです。こんなことは日本政府の責任で、少くとも今厚生省のおつしやつたように、政府の責任で法律の関係上相談的な文句を出したのだけれども、実質的には廃棄命令だ、同時に損害補償がなされなければこれはおかしいと思う。そんなことは当然なことなんですから一緒にくつつけてやるべきで、それをやることが、アメリカに要求する日本政府の交渉は、これは当然お前らの責任だと、既成事実を作るという意味から言つてこれは勇敢素直にどんどんやつてもらわなければ、向うと相談をして査定するということはこれはおかしいと思う。この三点を伺いたい。
#72
○政府委員(楠本正康君) 動物実験の結果は明らかにわかつておりますが、人体にどんな害があるかということは、実験的にはこれは初めての例でありますから当然わかりません。ただ動物の体内におきましては、これが特に骨その他に沈着いたしまして、血液に大きな支障を来たして来ることが明らかになつております。従つてこれらの点から考えますと、放射能の附着しておるものを食べると、やはり臓器に変化を起すという考え方は当然のことであります。ただそんなら証拠を見せろと言われますと、これは何分初めての例でありますから、この点はまだ不明のことであると、こういうことを科学的に申上げたわけであります。それから次に先ほども申上げましたように、私どもとしては当然政府の責任において検査し、政府の責任において悪いと判断した以上は、これは当然廃棄命令を出したいところです。併しよりどころがありません。そこで一応はそれに準ずるような意味で、他の条文を引張り出して許される範囲の処置をとつたわけであります。そこでこれは明らかに法律上に一つの欠陥があると言えば言えます。ところがこれを改正する意思があるかどうかという問題でありますが、これは当初実は私どもといたしましては、採取業者、生産者に対しても廃棄命令等が出せるようにしたがつたのでありますが、これはむしろ全体の生産計画に対して支障がある、例えば百姓が大根一本抜いて来た、ところがその大根に寄生虫卵がついていた、これで廃棄処分をされたらかなわんと、こういうようなことから一応生産者に対しては廃棄処分の命令は出せない仕組にしてございます。なおこの点は十分研究をいたして見ますが、生産から次の段階に、販売の段階に移りますまでには、いろいろな過程をとつて販売の段階に入ります。従つて物によればその段階できれいになるものもあり得るわけであります。例えば大根に寄生虫卵がついておりましても販売するまでにきれいに洗つてしまえば問題はない。ただ生産者だけを取締りましても、販売に至るまでの過程において汚される例は幾らもあります。要は私たちは販売の事態に入る直前の姿が大事でありますから、かような措置を講じてございますが、これらの点につきましては、なお今後農林省とも相談をいたしまして、善処いたしたい所存でございます。
#73
○森八三一君 そんな寄生虫卵と放射能と一緒にされては実際ナンセンスだ。そんな感覚でやるから問題が変になつてしまう。これは未だ曾つて経験しておらない、寄生虫卵と一緒に比べて御議論されるのはどうですか。本当に動物実験をやつて、どの程度かは僕は知りませんが、そんなもので直ちに生命の危険にならんということであつても、それが時の経過と共にそういう状態になるとすれば、これは立法措置をしなければこれはおかしいですよ。そういうものを措置してそれできちんきちんと政府の責任で始末をして行くということがアメリカに対して要求して行く非常に大きな根拠になるのですよ。そんなことにぼやぼやしてもらつては困る。それは怠慢ですよ。寄生虫卵と放射能と同列に並べて議論されておるのはおかしいと思うが、どうですか。
#74
○政府委員(楠本正康君) 例はおつしやるように切実でなかつたかも知れませんが、併しこの点は放射能だけを今度命令するということもできませんので、かような類似のものに皆さような措置を講じるように法律を改正することにつきましては、恐らく水産庁、農林省のほうにもいろいろ御意見があろうと思います。ただその点は只今御答弁申上げましたように、関係各省と十分連絡いたしまして態度をきめたい、こういう所存でございます。
#75
○森八三一君 僕はこの問題はほかのものと比べてどうというのじやない。放射能というものを具体的に取上げてそれだけの措置を急速に講じなければおかしいと思う。ほかのものと並べてやる、その間は命令ができない、命令ができんから何らか政府が責任を回避するというふうに見えるのは業界の人は非常に不満だと思うのです。それだけを取上げてやるべきことは当然なんです。つまりその点の立法措置はできると思うのです。できん筋はちつともない。具体的に一つのものを捉えて措置ができんということはないのだから、急速にそういう措置を講じて命令を出すそのことは、政府が反射的に責任を持つのであつて、業界諸君も安心のできるようにやつてもらわないと、今石村君が言われたように補償がしてもらえるのかもらえないのかわからん。而もその措置が政府のほうでは命令と同様の効果を持つておる相談だから、当然政府で責任を持つておると言いながらちつとも持つておらない。その点ちつともわからない。
#76
○説明員(永野正二君) 只今森委員の御質問にございました廃棄された魚類に対する補償の問題でございまするが、私どももこの魚を廃棄処分にするということをきめます際に、同じような考え方でその点は特に政府部内として念を押した上でこの措置をとつております。従いまして当然政府の責任において補償しなければならんという建前で、政府部内で相談いたしてやつたのであります。
#77
○森八三一君 補償をしなければならんと考えておるのでは問題にならん。実施してもらわなければ、とつて来た漁師の諸君はそれを売つて生活するのですから、そうして次の油を買つて行くわけだから、補償してやらなければならんと言われても、補償してもらわなければ、死ぬですよ。それは生活できませんよ。
#78
○説明員(永野正二君) 御意見の通りでございますので、ただ補償をやるということになりますると、予算その他の手続が必要でございますので、そういう関係を今後急速にとり進めて参りたい、こういうふうに考えております。
#79
○森八三一君 予算を伴うことはこれは当然なことですが、予備費というものもあるし、措置をしようと思えば措置のできんことはない。どうも聞いていると、アメリカのほうに聞いて見て、幾らの損害かということが双方の話が合わないというと、あとで日本政府がかぶることになる、責任になる部分があるのじやないかというふうに聞えるのです。そんなだらしないことでは困るのです。日本政府の責任で予備費を使おうと一何しようとどんどんやつて、これだけ出しましたから当然お前のほうの責任でよこせ、こういう強い態度でやつてもらわないと、どうも聞いていると相談して、値踏みをした上でというふうに聞えてかなわん。これは強く要望しておきます。
#80
○青山正一君 先ほど永野生産部長からお話の、全国の市場事情を調査するのはこれは大変だから、せめて六大都市の市場だけでも一つ調査の対象にして進んで行つて頂きたい。それから今森委員からお話のあつたその補償の方法ですね、非常に私どもが考えて見て、非常に緩慢な方法じやないかと思うのですが、これを先ほども申上げた通り、早急に何とか考えて頂きたい。例えば今まで水害の問題にしましても、或いは冷害の問題につきましても、そういつたものは自然的な現象であつて、政府のほうで補償の途を考えておつた。併しこのビキニの問題に関する限りは、これは人間の作つたもので、これはそれ以上に補償を当然やらなければならんというふうに特に考えております。この二点の希望意見と、それから第三点にはただ取調べたり、或いは検査したりするだけのことじやなしに、国民の栄養的な見地からいろいろな人口問題とか、或いは食糧問題の面においても特に必要なんですが、この厚生省におきましても、或いは水産庁におきましても最近まぐろのおかげでいわしとかさばとかあじに至るまで値下りをしているわけなんですからして、一つ厚生省或いは水産庁の権威のある魚類はどしどし食べて頂きたいというような宣伝を一つやつて頂きたい。こうすることによつて日本の栄養的な関係も解決するわけなんです。ただ検査するだけのことじやなしに、そういう方面にも一つ特に力を入れて頂きたいということを特に念願いたします。
 それから水産委員長にお願いいたしたいことは、これは当然立法措置を講じなければいかんと思います。近い機会におきまして厚生委員会なり、或いは水産委員会あたりで一つ焼津なり、或いは三崎、或いはその他学者とか、そういう方面の者も一つ証人なり、或いは参考人として喚問して頂いて、これは国際的な重要な問題でありますからして、そういう方面に一つ働きかけて頂きたいということを特にお願い申上げて私の希望意見といたします。
#81
○理事(千田正君) 青山委員又森委員、秋山委員等から当局に向つて種々要請がありましたので、各関係当局といたしましても十分委員会の要望を御了解されて、この次の委員会には又時間を十分とりまして、論議を尽したいと思います。
 なお私最後に一点だけ水産庁に申上げますが、只今森委員の御質問に対してそれぞれ水産庁からも、或いは厚生省からのお答えがありましたが、どうしたならば安全に操業できるかという点についてこれはなかなか御答弁できないようであります。先般のいわゆる合同委員会の際に各権威者が言うことは、今手がない、ただ併し漁船に測定器を据付けておけば或る程度被害を免がれるのじやないか、こういう中泉博士その他の権威者からの話がありましたが、こういう面も十分そういう測定器を漁船に据付けて、危いと思つたならば直ちに避難する、或いは漁獲したものに対して処置を講ずる、こういういうような方法も或いは考えられないこともないと思いますので、そういう点は十分にその権威者との間に慎重に研究されて、如何にして操業できるか十分今後研究して頂きたい。
 参考人のかたがたに申上げますが、さつき永井試験所長から資料が相当お揃いのようでございますので、お差支えなかつたらこの委員会としては十分にこの問題を審議して行きたいと思いますので、参考資料として是非委員会に御提出願いたいと思います。
 本日は大分時間がたちましたので、これで散会したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○理事(千田正君) 散会いたします。
   午後一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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