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1953/02/05 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第3号
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1953/02/05 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 人事委員会 第3号

#1
第019回国会 人事委員会 第3号
昭和二十九年二月五日(金曜日)
   午前十時五十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     松浦 清一君
   理事
           宮田 重文君
           千葉  信君
   委員
           松岡 平市君
           紅露 みつ君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       川島 孝彦君
   常任委員会専門
   員       熊埜御堂定君
  説明員
   人事院事務総局
   給与局次長   慶徳 庄意君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国家公務員の給与問題等に関する調
 査の件
 (退職年金制度に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦清一君) それではこれから委員会を開会いたします。
 人事院が昨年の十一月の十七日に国会及び内閣に対しまして、国家公務員の新恩給制度に関する勧告を行なつたわけでありますが、不幸にしてまだその実施の時期に達しませんが、今日はこの勧告の内容につきまして当局の説明を詳しく承わりたいと思います。御異議ございませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(松浦清一君) 御異議ないと認めます。
 人事院事務総局給与局次長慶徳氏がおみえになつておりますから慶徳次長からお伺いいたしたいと思います。
#4
○説明員(慶徳庄意君) 只今委員長さんからのお話がございましたように、人事院は昨年の十一月十七日付を以ちまして国家公務員法の規定に基きまして新らしい退職年金制度の成果を得ましたので、国会及び内閣にその成果の提出及び意見の申出を行なつたのでありますが、第十八国会におきまして十一月の十九日に神田人事官からその概要の御説明をもいたしてありまするので、その説明と重複するところを避けまして、私からこれが内容につきまして御説明申上げたいと存じます。
 今回提出いたしました新退職年金制度の構成は四つから構成されておりまして、その第一は国家公務員退職年金法の案、第二は国家公務員法の一部を改正する法律の案、第三は関係法律の制定改廃に関する要旨、第四は国家公務員退職年金制度収支計画書、以上の四つから構成されておりますので、この順に従いまして御説明申上げたいと存じます。
 先ず第一の国家公務員退職年金法の案でございますが、これはお手許に御配付申上げてありまするように、本則が五十五条、附則二十六条、合計いたしまして八十一条という誠に浩瀚な法律の案でございまするので、この法律の案に基きまして御説明申上げまするというと、相当長時間かかるのではなかろうかと考えられまするので、この法律の案の中味のキーポイントとも称すべきような点を摘出いたしまして、重点的に御説明申上げることをお許し願いたいと存ずる次第でございます。
 先ず第一は適用範囲でございます。現在は官吏につきましては恩給法、雇用人につきましては共済組合の長期給付というような二つの制度によりまして、而も官吏、雇用人というふうに身分的に差別的な待遇を受ける形になつておるのが現在の制度でございますが、今回はこの身分差を完全に撤廃いたしまして、官吏、雇用人の別なくすべて常勤公務員につきましてはこれを強制的に適用するというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。この場合の常勤職員の線の引き方につきまして若干問題があるのでございますが、法律におきましては人事院規則によつてこれの線の引き方をきめて行こうという考え方をとつているのでございますが、現在考えておりますものは、原則的には、定員法の適用を受ける者につきましては定員法に定めるところの常勤職員、定員法の適用のない官署につきましては大体これと同じ程度の常勤職員ということを原則的に考えておるのでございます。勿論この場合に非常勤職員のうちの実質的常勤職員等の取扱いにつきまして若干問題が残りまするが、これは今後更に検討いたしたいと考えておる次度であります。
 それから次は地方公務員及び公社職員につきましてどのような扱いをするかということが大きい問題になるところでございまするが、今回の成果の提出につきましては任意包括加入という道を開いて行こうと考えておる次第でございます。本来から言いますというと、年金制度の特異性からいたしまして、地方公務員といい、或いは公社職員といい広い意味におきましては国家機関でもございまするので、でき得べくんばこれら全体を包摂する年金制度であることが望ましいであろうと考えるのでございますが、地方自治法の精神或いは公社法の精神、更に又現在人事院が与えられておりまする権限等から考えまして、これを俄かに強制適用というふうに持つて参ることに困難がありますので、先ほど申上げたような任意包括加入というような線にいたした次第であります。
 で第二は運営機構の問題でございます。現在は恩給につきましては総理府恩給局、共済組合につきましては各共済組合、非現業官庁につきましては共済組合連合会というようなふうに多種多様の機関によりまして、等しく公務員の年金制度であるに拘らず複雑な組織によつて運営されているのが現状でございます。一方国家公務員法におきましては、新しい年金制度は人事院みずからがこれを行うものでなければならないという一種の行政組織法的な条項もございまするので、この際人事院が一切を一元的に運営するというふうに考えておる次第でございます。かようにいたすことによりまして、一面においては行政簡素化の趣旨にも副い得るのではなかろうかと考えておる次第でございます。
 もう一つ運営の問題といたしましては苦情処理機関をどうするかという問題がございますが、人事院の立場からいたしまして当然苦情処理機関を設けまするのでありますが、特に年金制度という長期給付の特殊性に顧みまして、退職年金審査会というものを法律上明確に法制化いたしまして、退職年金審査会の決定に基きまして人事院がこれを判定を行うというふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
 第三は給付の内容でございます。先ずそのうちの第一の給付の種類でございますが、これは退職年金、傷害年金、遺族年金、退職一時金、遺族一時金の五種類といたすことにいたしております。現在の制度に比べまして名称に若干の相違はございまするが、この種類といたしましては大体現行の制度と同様でございます。
 次は退職年金でございます。退職年金がこの制度といたしましてはその本体をなすものでございまするので、若干詳細に御説明申上げたいと存じます。
 先ず支給条件でございますが、現在の制度におきましては恩給につきましては一般官吏が在官十七年以上であります。警察管区職員は十二年以上でございます。雇用人の共済組合は二十年以上と相成つております。先ほども申上げましたように、官吏、雇用人の身分差を撤廃いたしまして全部在職期間を通算するという前提に立つておりまするので、新しい制度の支給条件といたしましては在職期間二十年以上、ただ警察、刑務職員等につきましてはこれを十五年以上、で退職いたしましたものに対して退職年金を支給するという考えでございます。従いまして雇用人期間の全然なかつたようなかたになりまするというと、支給条件におきまして完全に三年間延期される、つまり延ばされるというような結果に相成つて参ります。反対に、曽て雇用人の期間が相当長かつたようなかたにつきましては、非常に有利に展開されるというような結果になるであろうことを期待いたしておる次第でございます。
 次は退職年金の額でございますが、この額につきましては、言葉で申上げますよりもお手許に差上げてあります国家公務員退職年金制度に関する勧告の概要という小さな雑誌があるのでありますが、この一番裏にグラフが添附いたしてございます。むしろこのグラフで御覧願つたほうがわかりいいのではないかと存じます。
 先ずこのグラフについて申上げまするというと、下の線の十二、十五、十七、二十と書いてありまするのが在職期間でございます。左の二十、四十、六十と書いてありまするのは俸給に対する退職年金の支給率でございます。で現在の恩給で申上げまするというと、十七年で年金権が発生することになつておりまするので丁度十七年のときには本俸の三三・三%をもらうことに相成つております。最高は在職期間四十年でとどめることになつておりまするので、最高の場合には一般公務員が四八・七%ということに相成つております。ところがそれが原則でありまするが、それに対しまして高等学校の教員につきましては勤続加給という制度がございまするので、十七年のところの三三・三%は一般公務員と同様でございますが漸次増額いたしまして四十年のところでは五六・三%と相成るわけでございます。更に中小学校の先生につきましては同じ勤続加給制度があるのでありまするが、その加給の率が一層高くなつておりまするので、十七年のところの三三・三%は同様でありますが逐次増加いたしまして、最高四十年のところでは六四%まで増加することに相成つております。
 もう一つ、雇用人の共済組合でございますが、これは二十年で権利が発生いたしまして、丁度二十年のところは官吏の場合と同じように三三・三%でございます。ところが加算率が一般公務員よりよろしくなつておりまするので最高の四十年のところになりますると五五・六%、これが現在の制度のいわゆるグラフであります。
 一つにはかくのごとく一般公務員、或いは高等学校教員、中小学校教員、雇用人というようなふうに、公務員の種別ごとに一種の差別的な取扱いを受けておる。而も一般公務員の場合におきましては、勤続年数が長くなるに従いまして反対に雇用人よりも待遇が低下しておるというのが現実の姿でございます。従いましてこのような公務員の種別ごとにばらばらの待遇をいたしておるというやりかたを先ず改めまして、新しい勧告案では太い線で書いてあるんでありますが、丁度二十年のところは四〇%を与えまして、それから一年を増すごとにすべて一・五%の一律の増加率といたしまして、最高は七〇%に直して行くということでございます。
 なおこの点につきましては新しい公務員制度との何と申しますか考え方とも相当結びつく問題があろうと考えておるんであります。先ず現在のこの恩給制度の一般公務員の例をとりまするというと、大体在官年数十七年乃至二十年、年齢にして四十歳乃至四十五歳というような程度でおやめになつたかたのほうが、比較論として非常に有利にでき上つておるわけであります。ところがそれからずつと長く勤続いたして行きましても、増加率が非常に少うございますので、長く勤続するもりほど比例的にむしろ割りが悪いというような制度になつているのが現在の制度でございます。而も四十年という在官年数になりましても、僅かに本俸の四八%、御承知の通り最近エンゲル係数が余ほど改善されたとはいいましても、現在の状態におきましては漸く五〇%程度に回復しておるにすぎないのであります。四十年というような生涯の大半を公務に捧げておやめになつた、文字通り全体の奉仕者として終始一貫されたかたに対する報いといたしまして、飲食物費をも満たし得ないような年金を与える仕組自身が、新しい公務員制度の精神に結びつけて如何であろう。申すまでもなく、新しい公務員制度は能う限り職務専念の義務を果して頂き、且つ生涯の大半を公務に捧げたというようなかたにつきましては、国の責任におきまして老後の或る程度の生活を保証するというところに根本がなければならないであろうと考えられるのでありますが、遺憾ながら現在の制度は少くともこの精神にはそぐわない点があるだろうと考えられるのであります。
 かような見地に立ちまして、先ほど申上げましたように二十年を超えるものにつきましては平等に一・五%の割増率を与える。更に長く勤続するものに対しましては、能う限りこれを優遇するというような措置及び考え方に切り替えることが妥当するのではなかろうか、というような考え方も入つておる次第でございます。
 なお申し落しましたが、先ほどこのグラフで説明申上げましたところの高等学校教員と中小学校の教員は、現在におきましてはまだ勤続加給制度がございまするのでこのグラフに便宜上掲げておるんでございますが、第十六国会におきまして例の旧軍人恩給の復活に伴う恩給法の改正によりまして、この勤続加給制度が全廃されたのでございます。従いまして而もこれは本年の四月から完全全廃ということに相成つて参りまするので、このグラフの高等学校の教員、中小学校の教員のところは現在はあるのでありまするが、四月からはなくなるというふうにこのグラフを御了承願いたいと存ずる次第でございます。
 で次は退職年金の支給方法でございます。支給方法につきましてはいろいろのことが考えられるのでございますが、これも旧軍人恩給の復活に伴う恩給法の改正によりまして、従来の弱年停止を五才ずつ延ばしまして、四十五才までは全額を支給停止する。五十才までは五割を支給停止する。五十五才までは三割を支給停止する。五十五才を超えまして初めて一〇〇%の退職年金を支給するというようなふうに、第十六国会においていろいろの議論の結果、直されたばかりでございます。同時に現在の実際の人事運営の実態等から考えて見ましても、この弱年停止の制度を踏襲することを妥当とするであろうという考え方に立ちまして、現行の恩給同様のいわゆる弱年停止の方法を採用することにいたしておる次第でございます。ただ弱年停止をする考え方が、一般的に見てまだ五十五才未満のようなときには稼働能力があるであろう。その稼働能力が一般的に見てあるであろうという程度に応じて減額をするという考え方でございまするので、傷病のために労働能力がないというようなかたまで年金支給の停止をいたしますることは、実情にも副いませんし、立法の趣旨にもマツチいたしませんので、傷病のため労働能力がないような場合においては、弱年停止はいたさないという考え方でございます。
 次は傷害年金でございます。傷害年金は現在恩給につきましては増加恩給がこれに相当するものでございます。で雇用人につきましては、共済組合における給付がございませんので、国家公務員災害保障法による傷害保障という一時金のみでございます。先ほど官吏雇用人の身分制の撤廃と申上げたのでありますが、これは一般的な面から申上げたに過ぎないのでありまして、傷害年金自身におきましても、先ほど申上げましたように、官吏と雇用人とが差別的待遇を受けておるわけでございます。従いまして差別待遇を撤廃いたしまして官吏、雇用人等しくこれから申上げます傷害年金を平等に適用して行こうという考え方でございます。で支給条件でございますが、これも現在の恩給の場合と同じように、公務上の傷病のために全く公務に従事することができない程度の癈疾となりましてやめましたかたに支給しようという考え方でございます。その傷害年金の額につきましては、退職年金とは余ほど性質が違いまするので、基本額として俸給年額の六〇%を保障する考えでございます。ただ終身看護を要しますような相当重い癈疾の状態のかたにつきましては、更に一〇%の割増しをいたしまして、本俸年額の七〇%を保障しようという考え方であります。現在の恩給法によりまするいろいろの増加恩給は、旧軍人恩給を中心としたものの考え方に立脚いたしまして、そのままそつくりのものを一般文官に当てはめておりますが、例えば傷害の程度の区分におきましても、第一公傷から第七公傷まで非常に細かく細分をいたしております。又支給額にいたしましても、定額制をとつておりますというようなふうに相当複雑にやつておるのでありますが、文官制度といたしましては、先ほど申上げましたようなものに切替えて参つたら如何であろうかという考え方でございます。
 なお年金額を俸給年額の六〇%と申上げたのでありますが、大体この制度は恒久立法を前提といたしておりますので、文字通り経済界が安定した場合を目途として考えております。御承知の通り経済界が安定いたしました場合におけるエンゲル係数は、一般標準的に申上げまするならば、四〇%が理解されていいのではなかろうか、従いまして先ほど申上げました退職年金の基本額は四〇%と申上げたのでありますが、丁度二十年勤続した者にはまあ飲食物費、端的に言いますると、食える程度のものだけは保障して参る。ところがそれ以上勤続いたしましたかたにつきましては、食うもののほかに、文字通り文化的といいますか、或いは健康的といいますか、生活をなし得る何らかのプラスを考えていいというような考え方をとつておつたのでありますが、傷害年金の場合においては、先ほど申上げたような全く公務に従事できない程度の癈疾の状態にありまするので、食うだけという支給額では非常に貧弱である。食うもののほかに相当の健康にして文化的なる生活を営み得る程度のものという考え方も入りまして、本俸の六〇%という支給率を原則といたした次第でございます。
 次は遺族年金でございます。遺族年金の支給条件につきましては、大体現在の恩給或いは共済組合の退職年金と同様でございまして、例えば退職年金受給者が死亡した場合、或いは在職期間二十年以上の者が死亡した場合、或いは傷害年金受給者が死亡した場合、或いは公務上の傷病のために死亡した場合というような場合に遺族年金を支給しようとするものでございます。従いましてこれらの支給条件につきましては、大体において現行とほぼ同様と御理解願つて結構かと思うのでございます。然らばどのような遺族の範囲にこれを支給するかという次は遺族の範囲の問題であります。先ず大まかに申上げまして配偶者、次は十八歳未満の子及び孫、次は父母及び祖父母というような遺族年金を受くべき遺族の範囲にいたそうと考えておるわけでございます。現在の恩給と違いまする点を簡単に申上げますると、現在の恩給では子供は定年に達するまで、即ち満二十歳まで支給することに相成つております。ところが共済組合においては十八歳、厚生年金保険におきましては十六歳でございます。又在職中の給与における扶養手当におきましても十八歳でございます。又労働基準法の線の引き方も十八歳で線を引いております。同時に私どもはこの年金制を考えまするときにアメリカの年金制、それからイギリス、フランス、西ドイツ、この諸外国の、四カ国の年金制度もつぶさに調査研究をいたしたのでございますが、定年に達するまで年金を支給するというところは、諸外国にも殆んど例がないようであります。従いまして一般的に言いまするならば、十八歳程度にすることが妥当するのではなかろうかというような考え方が現在の停年を十八歳に落すことにしてあるわけであります。
 それからもう一つ違いまする点は、現在の恩給では孫が遺族の範囲に入つておりません。ところが父母、祖父母が入つておりまするというと、親等関係から見たバランスの上から言いましても、孫が入つてないことは如何であろうかというような考え方から、新たに孫を遺族の範囲に附加えた次第でございます。
 次は遺族年金の支給方法でございます。この支給方法とその次に述べますところの支給額というものは入り乱れて来るわけでありますが、現在の制度に比べまして相当大幅に直して行こうという考え方に立つております。御承知のように現在の恩給制度は旧民法時代に生まれておりまするので、家を本体とした建前になつております。即ち戸主があるという前提に立つております。従いまして常に遺族のうち特定の一人にのみ遺族年金を与える。即ち昔の言葉にありましたように、長は幼に先立つというような前提で立法されておるのが現在の制度でございます。従いまして、それぞれの遺族には順位性がありまして、先ず最初に配偶者たる妻に遺族年金を支給する。妻が失権いたしました場合には子供に年金を支給する。或る一人の子供が失権いたしました場合には次の子供に支給するというようなふうに順次転給する。いわゆる転給方式と俗に言つておるのでありまするが、とにかく順次転給するというやり方をとつておるのでございます。併し新らしい民法におきましてはこのような考え方も如何であろうかということと、それから生活の実態から顧みました場合においてもこのようなやり方が妥当しないのではなかろうか。更に又先ほど申上げた四カ国の諸外国の例から考えましても反省する必要があるのではなかろうかというようないろいろの角度から見ました結果、従来の転給方式を改めまして、先ほど申上げた遺族でありまするならば、どなたでも遺族年金を受くべき権利が発生し、且つ同時にこれを支給するというようなふうに改めて参りたいという考えでございます。このように転給方式を改めますると同時に、支給額につきましても現在の制度に対しましては相当大幅に改めて参りたいと考えておるわけでございます。現在の制度におきましては、配偶者につきましても、或いは子供であつても、とにかく普通恩給の五〇%を常に保障するというのが現在の制度でございます。ところが配偶者だけのときには一人につきまして完全に五〇%でありますが、配偶者がなくて例えば子供のみであるというような場合の例をとりまするというと、先ほど申上げましたように、家を本体とした建前になつておりますところへ新民法の精神をちよつぴりぶち込んで改正に相成つているのが現在の制度でありまするが、例えば子供が三人ありまするときには、普通恩給の五〇%を等分割りで支給する、ところがそのうち一人の子供が失権いたしました場合においては、二人で等分割りに支給する。従いましてこの場合には一人の持ち分が二五%ということに相成つて参ります。ところが又もう一人の子供が失権いたしました場合においては、一人で五〇%をもらうことになつて参ります。つまり家を本体として特定の一人にのみ与えるという建前でもともとあつたものに対しまして、新民法の精神をちよつぴり入れて等分支給というようなことにいたしましたために、生活の実体からいたしまするならば、子供一人の場合よりは二人の場合、二人の場合よりは三人の場合というふうに、子供の数が多くなるに従いまして生計費自身も増加して参ることは当然であるにかかわらず、年金の給付はまさにこの逆でありまして、三人の場合の持ち分は非常に少い。二人の場合には途端に又持ち分が殖えて参る。たつた一人になりましたときには又持ち分が殖えて参る。誠に矛盾撞着と申しますか、生活の実体にも即していない現行制度でございます。かような観点からいたしまして、今回の制度の提出におきましては、先ず配偶者につきましては常にこれを優先いたしまして現在と同じように退職年金の五〇%を常に保障する。配偶者以外の遺族につきましては原則として一人につきまして二五%を保障する。従いまして配偶者以外の遺族の場合には、子供であろうと、孫であろうと、おじいちやんであろうと、おばあちやんであろうと、原則として二五%をもらい得る権利が発生する建前でございます。ただこの原則のみで参りまするというと、非常に遺族の数が多いような場合においては、その本人が生きていますときよりも死んだ場合のほうが却つて年金額が多くなるというような珍現象が起つて参りまするので、最高制限の制度を設けることにいたしたのであります。どの程度最高制限かと申上げますると、退職年金額の七五%ということにいたしたのでございます。従いましてこれを更にもう少し具体的に申上げまするならば、配偶者一人だけのときには常に五〇%がもらえる。配偶者と配偶者以外の遺族が一人という場合においては、配偶者の分が五〇%、配偶者以外の遺族の分が二五%、合算いたしまして七五%、今度は配偶者と配偶者以外の遺族二人の場合におきましては、配偶者の分が五〇%、配偶者以外の遺族が二五%を等分割いたしまするので、一人の持分が一二・五%、二人分で二五%、合算額七五%ということになつて参ります。又子供だけでありまするような場合においては一人のときには二五%、二人のときには五〇%、三人のときには七五%、四人以上の場合において初めて七五%を等分支給するというような結果に相成る次第でございます。
 次は退職一時金でございます。退職一時金は現在の恩給では一時恩給がこれに相当することになつて参ります。いろいろの議論のある点であろうと思うのでありますが、大体現在の恩給制度のやり方を踏襲いたしまして、在職期間三年以上で年金を受くべき権利のない者に対しましては退職一時金を支給することにいたしております。この支給額につきましても現在の恩給と全く同じように、在職一年につきまして一カ月分ということにいたしてございます。ただ現在の恩給制度では三年未満の者につきましては国庫納金という、実際は掛金をとつておるにかかわらず、一文も支給しない建前をとつておるのでありますが、これは醵出制度の建前からいたしまして矛盾があると考えられますので、三年未満の者につきましては少くとも本人の掛けた掛金に相当するものは、返還金の形において返還をするように改めて参るという考え方でございます。
 次は遺族一時金でございます。遺族一時金は退職一時金と全く同じ性質のものでございまして、退職一時金の場合においては、退職した場合、遺族一時金の場合においては死亡した場合という点が違うのみでありまして、前に申上げたのと全く同様でございます。以上申上げましたのが、大体給付の中味でございます。
 次は給付制限をどうするかという問題でございます。現在の恩給制度におきましては、例えば禁錮以上の刑に処せられた場合、或いは懲戒免職になつたような場合、このような場合におきましては年金権を喪失させるような給付制限の方式をとつておるのでございます。この新年金制度におきましても、大体公務員制度の一環として作りまする観点からいたしまして、現在の恩給と同じようなやり方を踏襲して参ろうという考え方であります。ただ現在の恩給と違いまする点は、現在の恩給におきましては、年金権を全部失権させるのみでありまして、もう何も反対給付がないというやり方をとつておりますが、この新年金制度におきましては、少くとも自分の掛けた掛金に相当するものは返還して行くというように改めて参りたい考えであります。要すれば、懲戒免職というような公務員制度として誠に不工合な問題の場合におきましては、本人の出した部分は返してやるけれども、少くとも国の負担部分につきましては、一切これらの人々には給付いたさないというように直して参ろうという考え方でございます。
 第四といたしまして費用でございます。今まで申上げましたような給付をいたしまするには当然給付に要する費用が必要になつて来るわけでございますが、この費用の補填方法、これをどういたすべきか、これは誠にこの制度からいたしましても重要な点であろうかと考えられます。先ず結論から申上げますると、給付に要する全体の費用のうち四分の一は本人の醵出に待つて行こう、四分の三は国の負担に待とうという考え方でございます。ただ先ほど申上げましたように、警察刑務職員等につきましては、一般公務員が二十年経過いたしまして初めて退職年金権を発生いたしまするのに、警察刑務職員等につきましては、十五年で権利を発生せしめるというやり方をとつておりますので、この特例のために増額する費用は、すべて国庫負担ということにいたそうという考え方でございます。このような原則に立ちまして、掛金率を計算いたして見まするというと本俸の毎月三%が掛金率になるということに相成つて参ります。現在の制度におきましては、官吏は国庫納金として二%納めておりまするので、官吏につきましては一%の負担増ということに相成つて参ります。これに反しまして、雇傭人は各共済組合によつて違うのでありますが、大体三・八%乃至五%程度まで負担しておりまするので、〇・八%乃至一・五%程度負担減というような結果に相成つて参ります。
 ところで、このような考え方によりまして、公務員が総体の費用のうち四分の一を負担し、国が四分の三を負担するという結論を求めたが、この考え方につきまして申上げてみたいと存じます。
   〔委員長退席、理事千葉信君委員長席に着く〕
 現在恩給につきましては、先ほども触れましたように、一般公務員が国庫納金として二%を負担いたしまして、それ以外のものは全部国が負担する建前をとつております。これを保険数字的にいろいろの角度から分析をいたしたのでありますが、又民間におけるところの厚生年金保険、或いは事業主の一方的に負担するところの退職手当というようなものとの関連とも併せ考えまして、いろいろの角度から見た結果、恩給につきまして現在国庫が負担している程度のものを負担して頂くことを妥当とするのではなかろうか、更に公務員の場合におきましては、先ほども申上げましたように、官吏と雇傭人とにおいて負担率が違うのでありますが、大まかに言いまして、官吏と雇傭人の平均程度のものを求めることを妥当とするのではなかろうか。要すれば我が国力の立場からいたしまして、国の負担能力の限界、公務員の負担能力の限界、この両者間の調和をどこに求めるかということにもなろうかと思うのでありますが、とにかく現在恩給について国庫が負担している程度を国庫に負担して頂く、現在官吏、雇傭人が負担している、現に醵出しているものの平均程度を、公務員に負担して頂くというようなことを目安にいたしまして考えたのでございます。
 なおこの費用の問題につきましては、まだたくさん問題があろうかと存じまするので、改めて収支計画書等につきまして、適当な機会に詳細に申上げてみたいと存じまするので、ここではこの程度にさして頂きまして、先に説明を進めさして頂きたいと存じます。
 第五は経過措置でございます。経過措置につきましては、何分にも恩給制度が非常に沿革が古うございますので、誠にむずかしい点がたくさんございます。従いましてここにそのポイントになりますところの重要な点を摘出いたしまして申上げてみたいと存じます。
 先ずその一は、現在の既得権者の扱いをどうするかという問題でございます。申すまでもなく既得権は十分尊重しなければなりませんので、すべて現行通りにして参ろうという考え方でございます。ただこの場合に、旧軍人の恩給も恩給という建前においては既得権者になるわけでありますが、私どもの成果の提出におきましては、旧軍人恩給、準軍人の恩給は除いて、という考え方をとつております。要すれば文官系統の年金制度の整理、或いは拡充、或いは合理化というような観点に立つてこの案は作つている次第でございます。ところがこれらの普通恩給受給者の既得権者の方々が、不幸にして亡くなられましたような場合に、現在恩給法で定めていますところの扶助料を支給するか、或いは先ほど申上げたところの、新らしい制度によるところの遺族年金を支給するか、いずれを採用すべきかという点について問題が実はあるのでありますが、この案におきましては、新制度施行後に新たに権利が発生するというような観点に立ちまして、既得権者である普通恩給受給者が死亡いたしました場合においては新制度による遺族年金を支給するというようにいたしたいと考えている次第でございます。
 第二番目は過去の期間の通算と、これに伴う給付上の措置でございます。経過措置のうち最も重要な点でございます。新らしい制度が施行されましたときに在職しておりまするかたにとりましては、すべてその引続くその期間は全部これを通算するという考えでございます。従いまして現在官吏として勤めておりまするかたも大部分のかたが曽つて雇用人の期間がございます。この雇用人の期間は全部通算の対象に入る考えでございます。或いは又学校の先生の例をとりまするというと、準教育公務員と申しまして、いわゆる助教員でございます。助教員のようなかたにおきましては、現在の恩給では半減通算になつております。在職期間を半分しか見ないということになつておりまするが、これも百%通算をするという考え方でございます。ところがこのようにして過去の期間を通算されたものの中には二つの要素が入つて参ります。その一つは、官吏に任官いたしまするときに共済組合から脱退一時金をもらつているという点でございます。従いましてこのような場合におきましては、前にもらいました脱退一時金もすべて返還して頂こう、返還する代りに百%通算をいたしまして、新らしい制度による給付額で計算をして給付をきめて行こうという考え方でございます。
 それからもう一つは共済組合の長期給付のために掛金を負担しなかつた期間がございます。これもそのまま通算をいたしますというと、掛金を負担した人としなかつた人との相互間においてアンバランスが起つて参りますので、掛金を負担しなかつた期間に応じまして給付を或る程度減額して参ろうという考え方でございます。
 給付を減額する場合の具体的な金を簡単に申上げますというと、年金でありまする場合においては掛金を納めなかつた期間一年につきまして本俸の二%、二十年を越える部分につきましては一・五%の四分の一を減額する、つまり自分の掛金を納めなかつた比率に応じて、今申上げたような減額をして行こうという考えであります。
 一時金である給付につきましては、一年につきまして俸給月額の四分の一を減額して行こうという考え方でございます。
 それからその次は新制度施行当時現に在職しているものの恩給法上の公務員の特例でございます。退職年金のときに申上げましたように、現在は在官十七年以上でつくのでありまするが、新制度が施行されますというと、二十年になりまして、三年間延期されることになつて参ります。まあいわば一種の期待権が相当侵害されるというような恰好にも相成りまするので、若干これに対する救済的な経過措置を講じて行こうという考えでございます。具体的に申上げまするならば、新制度施行の際に恩給法の最短所要在職年の三分の二以上を経過しているものにつきましては、さながら現在の恩給法が生きていると同じようにこれを擬制いたしまして、現在の恩給程度のものを保証して行こうという考え方でございます。
 最短所要在職年の三分の二以上と言いますると、丁度新制度施行当時在官十一年以上ということになつて参ります。従いまして十一年未満のものにつきましてはすべて在職期間二十年以上にならなければ権利が発生して来ないということに相成るわけでございます。
 その次は普通恩給の受給者で公務員であるもののその普通恩給の取扱いでございます。建前といたしましては、普通恩給権が発生いたしましたものが現に在職していますような場合においては、その恩給権の支給をストツプいたしまして、その代り前後の在職期間を通算いたしまして最後にやめましたときに新らしい年金に改訂するというのが原則でございます。ところが現在の制度では官吏としての恩給をもらいながら雇用人として勤めておりまして、恩給と給与とを両方もらつているかたが相当ございます。これらのかたがたまですべて原則通り恩給をストツプするということになりまするというと、中には恩給と給与を併給されておることによりましてようやく生計を立てておるというようなかたもあろうかと思いまするので、経過措置といたしまして、このような場合には本人の希望によりまして従来と同じように恩給をもらう、給与ももらえるというような仕組に考えて行こうという考え方でございます。勿論この場合におきましては、このようなものにつきましては新制度は実質的に適用しない、適用しない代りに今申上げたような選択を認めて行こうという考え方でございます。
 その次は国家公務員と地方公務員又は公共企業体との相互間において人事交流があつた場合の取扱いでございます。
 現在の制度におきましては、例えば地方自治法施行当時官吏であつたものにつきましては現在でも恩給法が準用されております。或いは教育公務員特例法が施行されました当時恩給法上の公務員でありましたものは恩給法が準用されております。又公社法施行当時恩給法上の公務員であつたものは同じように恩給法が準用されております。而もこの準用されていますところの相互間におきまして人事交流がございましたときには相互間において在職期間を通算するという建前をとつております。従いまして新制度が施行されました後におきましても、今申上げた相互間におきましてはすべて現在と同じように在職期間を通算するという考えでございます。ただこの場合に問題になりまする点は、給付の内容なり或いは掛金の率なり、いろんな点におきまして現在の恩給と新年金制度は違つて参りますので、単に在職期間を通算するというだけではけりがつかない面がございます。従いましてこの場合におきましては、その給付は本人の選択によつて、依怙贔屓のないように公平にきめて行こうという考え方をとつておるわけでございます。
 以上申上げたような経過措置のために要する費用は、これは過渡的な問題でございまするので全部これを国庫が負担するという考えでございます。
 以上申上げましたのが国家公務員退職年金法の案の概要でございます。
 第二は国家公務員法の一部を改正する法律の案でございます。これは極めて簡単でございまして、現在の国家公務員法におきましては一般職についてのみ新らしい恩給制度を適用するという建前をとつておるのでありますが、年金制度の特殊性から考えまして、一般職とか特別職とかというふうに分けること自身に無理がございますので、特別職につきましてもこれを適用するようにいたそうというのが第一点でございます。
 第二は、恩給という言葉が誠に陳腐でございまして、新しい公務員の精神にも副わない点がございますので、その名称を年金に改める。以上二点を中心としたのが国家公務員法の改正でございます。
 第三は関係法律の制定改廃に関する要旨でございます。この中には三つに分れておるのでありますが、先ずその第一は特別会計法の制定ということでございます。新年金制度はすでに公務員法においても明示してありまするように、健全な保険数理に基くところのいわゆる収支相応の原則に立つ長期計画を前提といたしまして計画されておるわけでございます。従いましてこの保険数理に基くところの長期計画を明確にいたしまするために必要でありまするのと、更に又公務員の醵出いたしますところの金は積立金方式によつてこれを管理して行こうという考え方をとつておりまするので、この積立金を管理するという観点からいたしましても、特別会計を作る必要があるであろうという考え方でございます。又先ほど諸外国の四カ国の研究ということを申上げたのでございますが、いずれの国におきましても保険数理に基く制度を基幹とし、且つ基金特別会計というようなものを設けまして運営いたしておりまするので、これら諸外国の例をも併せ考えまして特別の会計を設置いたしたいという考え方でございます。問題は特別会計を作りましたときにその積立金の運営をどうすべきかという問題が問題になつて参ります。御配付申上げておりますところの収支計画書の中の総括の表にすべて計上しておるのでありますが……。収支計画書の一頁でございます。まあこの全部につきまして申上げますると余り時間が長くなりまするので、差当り積立金の分についてのみ簡単に申上げまするというと、一番下に年度末積立金という欄がございます。初年度におきまして三十四億、第二年度において六十九億、第三年度で百六億、第十年度において三百二十九億、三十年度において千百二億経営年度において千五百七十四億という相当大きな積立金を保有することになつて参ります。尤もこの収支計画書は、この備考に書いてございますように被適用者が約九十万人、本俸総額が千百四十一億、このように被適用者数も俸給総額も一応動かないという仮定に立つておりますので、被適用者数なり或いは俸給総額において異動がある場合にはこの計画書もそれに伴つて変つて参ることは当然でありますが、とにかく経営年度において千五百七十五億というような相当大きな積立金を保有することに相成つて参ります。而も今申上げた積立金は国の負担する部分ではありませんで、すべて本人の醵出分だけで構成しておるのであります。従いましてこのような積立金の性格に顧みまして、この積立の運営は公務員の利益に還元し得るように先ず優先的にこれを運営する。具体的に申上げますならば、公務員及び公務員であつた者の福祉及び利益のために運用するということを特別会計法において明確にこれを明記して頂きたいということであります。
 それから次は国家公務員共済組合法の改正でございます。何回も申上げますように、身分差の撤廃を図りまして、官吏、雇用人の区別なく全部在職期間を通算するというふうに切り替えて参りますと、当然国家公務員共済組合法に規定されておりますいわゆる長期給付に関する条項、これは削除すべき理窟になつて参ります。ただ現在の共済組合法は国鉄のような公社とか或いは地方公務員までも包摂いたしておりますので、立法技術的な面から言つて、長期給付を削除いたしますというといろいろの問題が起つて参ります。そこで共済組合法はそのままにいたしますけれども、国家公務員退職年金法制度の適用を受ける公務員につきましては、共済組合法の条項のうち、長期給付に関するところの条項は、これを適用しないというふうに改めて頂きたいということでございます。
 第三は、国家公務員退職手当等暫定措置法の改正でございます。現在の退職手当法におきましては、その第一条第三項だつたかと思いますが、現在の恩給制度、共済組合の退職給付制度、それから退職手当制度、その他退職時における給与に関しては、これを総合統一したところの恒久的な制度を作らなければならない。その制度によらなければ如何なる退職給付も支払つてはならないというふうな意味の条項があるのでございます。ところが今まで申上げましたところの退職年金制度は、勿論恒久を前提として考えておるのでございますので、本俸のみをすべて中心にして給付額を計算するという建前をとつております。御承知のように現在の給与制度におきましては、本俸、扶養手当、勤務地手当というような本俸以外の給与がまだたくさん残つております。従いまして恐らく将来のあるべき姿からいたしまするならば、このような附加的給付は漸次撤廃せられまして、本俸に一元化されるであろうと想像されるのでありますが、現在の体系におきましてはやはり本俸以外に相当附加的な給付がたくさんございます。それにかかわらず恩給制度におきまして本俸のみを以て計算するということは、これは将来の立法といたしましては止むを得ないことと私ども考えておるのでありますが、その結果におきましては恩給の給付が本来の給与水準に比較いたしまして低いという結果が当然起つて来るものと考えられるのであります。かような今の段階におきまして退職手当法第一条第二項にあつたがごとき全部綺麗さつぱりとしたものにするというところに困難があるであろうと考えられまするので、この際といたしましては新年金制度ができました場合においても、大体現在の退職手当程度のものを存置する必要があるだろうという考え方でございます。
 最後に国家公務員退職年金制度の収支概算のあらましにつきまして申上げてみたいと存じます。
 御配付申上げております国家公務員退職年金制度収支計画書、これの一頁を御覧願いたいと存じます。
 先ず収入の部といたしまして、公務員の掛金な、本法の三%と計算しておるのでありますが、毎年三十四億くらい入つて参ります。ところが先ほど申上げましたように、年度末において積立金を保有することになつて参りますので、この積立金の運用から利子が生じて参ります。これは予定利率は四分五厘にする計算をいたしております。で利子は逐年増加して参りまして、例えば三十年度くらいになりますというと四十七億、経常年度になりまするというと七十億、従いまして本人の負担部分は経常年度において見まするというと、掛金が三十四億、積立金から生ずる利子七十億、結局百四億というものが本人の醵出分を形成するという計算になるわけでございます。で国庫の負担が初年度におきましては百九億、二年度が百二十億、十年度において二百二億、三十年度において三百五十二億、経常年度において三百三十一億ということに相成りまして、その合計額は初年度におきまして百四十四億、五年度におきまして百八十八億、経常年度において四百三十六億ということに相成つて参ります。これを経常年度に結びつけて申上げまするならば、総体の収入のうち四百三十六億、そのうち三百三十一億の国庫負担の分は、丁度七五%、四分の三に相当いたすことになります。それから公務員掛金の三十四億と、利子の七十億、合計しました百四億が四分の一と、つまり本人の持分四分の一ということになつて参ります。こういう収入を前提といたしまして、給付をやつて参りまするというと、その合計について申上げまするならば、初年度におきまして百十億、二年度におきまして百二十一億、五年度におきまして百五十七億、三十年度三百九十九億、経常年度になりますると収入と全く同じ四百三十六億ということに相成りまして、積立金は先ほど申上げたような恰好で逐次増加して参りまするけれども、経常年度の千五百七十四億程度になりますると、この状態において常に循環するという計画に相成つて参るわけでございます。
 でなおここでちよつと附加的に申上げておきたいと思いまする点は、なぜこのような積立金が生れて来るかということにつきまして、少し申添えておきたいと存じます。先ほども申上げましたように、この計画は公務員の数が、年金制度の被適用者の数が九十万人ということで、計画を立てておるのでありますが、この九十万人というものは年年増加いたしまして、九十万になつて来ておるわけでございます。
 御承知の通り公務員の数は、元は非常に少うございました。ところが新らしい制度ができましてから、掛金をとりまするのは、この九十万人の人からとにかく法律の所定に従つてどんどん掛金を取つて参るわけであります。ところが一方給付をいたしまするときには、公務員の数が誠に少かつた人が、退職年金の例を取りましても、在職期間二十年以上の者が始めて権利が発生するという建前でありますので、誠に公務員の数が少かつたものが、順次退職をし、年金を受ける権利が発生するということになつて参るわけであります。
 従いまして収入のほうは九十万人の者から取るに拘わらず、当分の間における支出は、曽て公務員の数が少かつたことに比例して支出をして参りまするので、結局経常年度に至りますまでの間、その差額が積立金を構成して参る。経常年度に至りまして、初めて九十万人が百パーセント給付を受ける状態になつて循環するというようなために、こういう問題が起つて来るわけでございます。
 今まで申上げましたのは、給付費全体に対する総括表について申上げたのでありますが、実はこのような総括表を現行との比較において分析をしているのでありますが、その場合において、国庫の負担金が逐年どのように現行に比較して増減が起つて参るのであるかということを実はやつているのでございますが、まだその資料は御配付申上げていないようでございまするので、後刻資料として御配付申上げまして、その節に御説明申上げることにお許しを願いたいと存じます。
 次に最後に御配付申上げています第四ページにつきまして申上げてみたいと思います。これがいわゆる俸給総額に対する比率でございまして、平準保険料方式によつて計算したものでございますが、退職年金につきましては総財源率といたしまして、俸給総額の六・一九%を必要といたします。傷害年金は〇・〇二%、遺族年金は二・二五%、退職一時金が三・一〇%、遺族一時金が〇・二五%、合計いたしまして一一・八一%というのが新制度によるところの保険数字的財政計画の財源率でございます。この一一・八一%のうち、国庫が四分の三、即ち七五%、公務員は四分の一、即ち二五%を負担いたしまするので、国庫は八・八六%、公務員は二・九五%を負担することに相成つております。そのほか先ほど申上げた在職期間三年未満の者とか、或いは懲戒免職等になりました者に対するいわゆる返還金、それに〇・〇八%の財源を必要といたしまするので、それを合計いたしまするというと、総体において財源率一一・八九%、国庫が八・八六%、公務員が三・〇三%、この〇・三%を切りまして三%負担というようなふうにいたした次第でございます。なおこの財源率につきましても現行との比較表というようなものも別途用意いたしてございまするので、先ほど申上げました金の面における国庫負担の現行との比較、併せまして財源率に対する現行との比較というような点につきましても改めて資料として差上げましたときに説明さして頂くようにさして頂きたいと存じます。
 大変わかりにくい点が多かつたろうと思いますが、以上で私の説明は終ることにいたします。
#5
○理事(千葉信君) それではこの際特にお急ぎの質疑がなければ、先ほど委員長からお諮り申上げましたように質疑は次回に譲つて今日はこれで散会したいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○理事(千葉信君) さよう決定いたします。次回の開会につきましては委員長理事打合会でお諮りをして決定次第お知らせすることにいたします。
 それではこれで散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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