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1953/03/11 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第13号
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1953/03/11 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第13号

#1
第019回国会 厚生委員会 第13号
昭和二十九年三月十一日(木曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員松本昇君辞任につき、その補
欠として谷口弥三郎君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     上條 愛一君
   理事
           大谷 瑩潤君
           常岡 一郎君
           藤原 道子君
   委員
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           中山 壽彦君
           西岡 ハル君
           横山 フク君
           廣瀬 久忠君
           竹中 勝男君
           湯山  勇君
           堂森 芳夫君
           有馬 英二君
  政府委員
   厚生政務次官  中山 マサ君
   厚生省医務局長 曾田 長宗君
   厚生省社会局長 安田  巖君
   厚生省児童局長 大宰 博邦君
   引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○未帰還者留守家族等援護法の一部を
 改正する法律案(内閣提出)
○医療法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(上條愛一君) 只今から厚生委員会を開きます。
 委員の異動を御報告いたします。三月一日付で松本昇委員が辞任せられてその後任として谷口弥三郎君が選任せられましたので御報告いたします。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(上條愛一君) それでは未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の御説明を願いたいと存じます。
#4
○政府委員(中山マサ君) 只今議題となりました未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律の提案理由について、御説明申上げます。
 未帰還者の留守家族及び未帰還者が帰還した場合における援護につきましては、第十六回国会において、未帰還者留守家族等援護法が成立し、昨年八月一日から施行され、国の責任において各種の援護が行われるに至つたことは、これらの方々の心情と生活の実情に顧みて、誠に喜ばしいことであります。今回、援護の措置を更に強化するため、この法律の一部を改正することにいたしましたが、ここにその理由及び内容の大要について御説明申上げます。
 第一に、従来の遺骨埋葬経費は、未復員者、ソビエト社会主義共和国連邦の地域内の未復員者と同様の実情にある者又は戦争裁判受刑者の死亡の事実の判明した場合にのみ支給されていたのでありますが、右以外の一般邦人未帰還者の死亡の事実が判明した場合においても、その遺族に対してこの経費を支給することが遺族の心情にも、また国民感情にもかなうものであると考えられますので、この際、その名称を葬祭料と改め、右の一般邦人未帰還者をも含め、未帰還者の死亡の事実が判明した場合には、この経費をその遺族等に支給することとした次第であります。
 第二に、遺骨引取経費は、遺族がない場合においても、葬祭を行う者があれば、その者に支給することができるようにいたしました。即ち、この経費は遺骨の引取を行う場合の経費でありますので、遺族がない場合においてもその近親者等が葬祭を行うために遺骨を引き取る場合におきましては、この経費を支給することが適当であると考えられますので、このように措置する次第であります。
 第三に、未帰還者留守家族等援護法は、沖繩地域にも施行されているわけでありますが、同地域のおかれている特殊の状態のために、法の実際上の適用が極めて困難な状況にありますので、当初から法が円滑に適用されていたと同様の効果を生ぜしめるよう特別の措置を講ずることが適当と考えられます。右の措置を講ずるに当つては極力現地の実情に即するよう配慮の要がありますので、これを政令で定めることができるようにいたした次第であります。
 第四に、従来外務省において実施いたしておりました一般邦人未帰還者の調査業務は、明年度から厚生省に移管されることになりましたので、これを機会に厚生省の附属機関として、従来の留守業務部を改編し、これを未帰還調査部とし、旧軍人軍属未帰還者等の調査業務等と併せて未帰還者等の調査究明を一元的に実施する等の措置をいたすことが適当であると考えられますので、厚生省設置法に所要の改正を行うことといたしました。
 第五に、未帰還者留守家族等援護法の施行に伴い一般職の職員の給与に関する法律の一部が改正され、未帰還の国家公務員は未帰還中の給与を支給されないことになり、従つて国家公務員共済組合法の組合員たる資格を失うこととなり、又、未帰還の地方公務員についても、国家公務員の例によりその給与が定められている関係上同様の事情になりますので、従来の実績を保障する意味におきまして、これらの未帰還者に引続き組合員たるの資格を保持せしめるようにするため、国家公務員共済組合法に所要の改正を行うことといたした次第であります。
 以上提案理由につきまして御説明申上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速かに可決あらんことを切望する次第であります。
#5
○委員長(上條愛一君) 次に、政府委員から細部の御説明を願いたいと思います。
#6
○政府委員(田辺繁雄君) 未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、只今提案理由として御説明のありました点につきまして、更に補足的に御説明を申上げたいと存じます。
 第一点は、従来遺骨埋葬経費として未復員者及び特別未帰還者に支給せられておりましたものを、名前を葬祭料に直して一般邦人にまでこれを拡張して支給しようとするわけであります。名前を葬祭料に改めましたのは、一般邦人にまで拡張してやるということになりますると、必ずしも遺骨があるわけではございませんので、むしろ葬祭料とすることが実体に合うのではないかという考え方でございます。
 それから一般邦人に拡張いたしましたのは、死亡の事実が判明いたして参りました場合に、遺族の気持ちを考えますると、せめて葬祭料を差上げて死没者のお祭りをして頂く、こういう気持ちを現わしたいという考えでございまして、この点は昨年この法律を制定されますときに、当委員会において御審議になつたときに強い御希望、御要望もございましたので、その線に沿いまして研究の結果、こういうふうに措置いたした次第でございます。
 次に、遺骨の引取りでございますが、現在の条文にちよつと不備な点がございまして、遺骨埋葬経費のほうには遺族がない場合においては、その葬祭を行う者にこれを支給すると書いてございまして、遺骨引取のほうにはそれが抜けておるものですから、これを入れまして、葬祭経費の支給の範囲と遺骨引取の支給の範囲と一致させた次第でございます。
 第三点は、沖繩に対するこの法律の適用についての特例を設けた点でございますが、この法律は当初から沖繩に施行に相成つております。ただいろいろの関係から実際この法律を沖繩について動かして行くということが、いろいろの関係から延び延びになつております。而もこの留守家族手当については本人からの届出及び申請がないというと、支給されないことになつております。而も申請のあつた翌月から支給されるということになつておるもので、法律の適用が我々のほうのいろいろな都合で遅れておる関係上、留守家族が実際上金をもらう時期が遅れることになりますので、特別の措置を作りまして、最初からこの法律が適用されておつたと同様の効果を生ずるような特例を設けたい、かような考え方でございます。詳細は政令に譲りまして、一定の期間内にこの改正法が施行になつた、或いは一定の期間内に届出のあつた場合には、当初から届出があつたと同じように措置をしたい、こう考えます。留守家族援護法を施行いたしました際にも普及徹底の期間等がありますので、届出がこの法律の施行後一定期間内にあつたときは、翌月からでなしに当初から支給するという条文がございます。それを更に拡張いたしまして、沖繩の場合には特別の措置を講じたいという考えでございます。
 次は未帰還者の調査についての機構の問題でございまするが、これも昨年この法律が当委員会で審議ざれましたときに附帯決議が付きまして、調査究明を徹底的にやるためには、どうしても外務省と厚生省とに分かれておるこの調査業務を厚生省に一元化してやれ、こういう御決議がございますので、この線に沿いまして措置をいたしたのでございます。御承知の通りこの法律によりまして国は未帰還者の状況の調査究明に努めなければならないと規定されたのでございまするが、従来は一般邦人については外務省、元軍人軍属については厚生省、この二元に分れてやつております。而も地方においては都道府県の世話課が一本でやつておりますので、中央において行われておるのは何かと不便でございますので、そのためにいろいろと調査上不行届が生じて参つておりますが、この際これを一元化いたしまして、徹底的な調査を進めて行くように努力いたしたい。こういう考えでございます。
 次は未帰還の公務員についての共済組合法上の資格の持続に対する特別措置でございますが、未帰還公務員も従来は共済組合員の資格を持つておりましたので、その家族に対しましては、療養等の特別の恩典があつたのでございます。ところが昨年この法律ができまするに伴いまして、未帰還公務員は自然共済組合の組合員の資格を失うという結果になりましたので、誠にお気の毒でございまするので、従来の実績を保障するという意味におきまして、主管省であります大蔵当局にお願いいたしまして、かような取扱いをして頂くことになつておるのでございます。これによりまして未帰還者の家族に対する、従来とつておりました組合からの療養のいろいろの恩典というものを、そのまま継続して受けられると考える次第でございます。
 まあ大体この法律案の大要は以上の通りでございますが、この法律は公布の日から施行になつておりまするので、問題は昨年中共、ソ連からお帰りになりました結果、死亡の判明した方があるわけでございます。そういう方に対しましては、一般邦人に対して葬祭料というものが支給されないことになつておりまするので、外務当局と相談をいたしまして、その辺は行政措置といたしまして、葬祭料相当りものを差上げるというふうにいたしたいと考えております。以上でございます。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(上條愛一君) 次に、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず政府委員から御説明を願いたいと思います。
#8
○政府委員(中山マサ君) 只今議題となりました医療法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申上げます。
 医療法におきましては、病院について傷病者の収容加療を主たる目的とする医療機関としての性格を明示し、その有すべき医療関係者の数、施設等につきまして特に一定の基準を設けているのに対しまして、診療所につきましては、原則としてこれらの規制を行わず、その第十三条において、診療所の管理者は、原則として同一の患者を四十八時間を超えて収容してはならないこととしているのであります。ただ、医療法制定の際、病院の分布の状況等に鑑みまして、同法の附則において第十三条の適用について特例を設け、更に、昭和二十六年法律第二百五十九号、診療所における同一患者の収容時間の制限に関する医療法の特例に関する法律を以て同条の適用を本年十一月十一日まで猶予してきたのであります。先に申上げました通り、病院は患者を収容し、診療することを建前として設けられ、組織されており、従つて、収容を要する患者は病院において診療することが一般的に言えば望ましいことではありますが、診療上止むを得ない事情がある場合には、診療所におきましても四十八時間以上収容して診療する必要がある場合も少くないのでありまして、特例法による猶予期間終了後医療法第十三条を適用いたしますことは、国民医療上却つて支障をきたす虞れがあると認められますので、今回医療法第十三条そのものを改正して、診療上止むを得ない場合の外は、診療所の管理者は、同一の患者を四十八時間を超えて収容しないように努めなければならないこととし、同条違反に対する罰則を削除することとした次第であります。
 なお、右の改正に伴い、診療所における同一患者の収容時間の制限に関する医療法の特例に関する法律を廃止することといたしております。
 以上が本法案の提案理由であります。何とぞ御審議の上速かに可決されるようお願い申上げます。
#9
○委員長(上條愛一君) それでは政府委員がまだみえておらないようでありますから、細部説明をあとにいたしたいと思います。
#10
○委員長(上條愛一君) 次に審査の順序を変更いたしまして、派遣議員の報告をお願いいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは第一班から御報告をお願いいたします。
#12
○竹中勝男君 御報告申上げます。今日は堂森委員が御欠席のようでございますので私が御報告申上げます。
 私たち第一班は、竹中、堂森両議員が多田専門員を同行して、去る三月一日から四日間岐阜県、大阪府に出張して視察いたして来たのでありますが、今回の視察は御了承の通り、生活保護の実施状況、特に最近医療扶助費の支払が全国的に遅延いたしまして、いろいろ問題を惹起しております実情を調査するのが目的でございました。なお、この機会を利用して、第二義的に保育所の経営状態並に各府県における中央に対する要望事項等をも調査して来たのでありますが、本日は生活保護実施状況特に医療扶助の実情を中心として調査いたしましたので、この点を御報告申上げます。
 先ず岐阜県におきます生活保護の状態について申述べますと、昭和二十八年九月現在の被保護者、詳しい数字はそれは省きたいと思いますが、いずれ書類にして差上げたいと思いますが、大まかな数を申上げます。二万二千五百四十二世帯、それで被保護者は五万八千六百五十一人、平均一・八三%で、全国平均の二・二五%に比較すると非常に低率でございます。保護費の支出額は、昭和二十七年度は四億四千二百万円、そうしてその四七%は生活扶助で、四六%は医療扶助になつております。その残りの七%が他の項目になつております。昭和二十八年度におきましては、本年一月まで十カ月分でありますが、四億一千万円、そうしてそのうち生活扶助が四一%、医療扶助が非常に増加しておりまして、四八%になつております。殊に二十八年の五、六両月頃から、医療扶助費が著しく増加しております。これはどういうような状況かと申しますと、二十七年の四月の支払実績の基準を一〇〇としますと、この実績に対しまして二十八年五月が六五四、六月が実に一、〇三〇になつております。七月以後は大体毎月六〇〇台になつております。これを見ますと、医療扶助費の支払が社会保険診療報酬支払基金に委託払の制度をとりましてから、これが増加してきた傾向を認めなければなりません。昨年六月に激増しておりますのは、この制度が切替になりましたために、従来の滞つておりました診療費の請求が一時に殺到したものと思われるのでありますが、併しながらその後も依然増加の傾向を示しております。即ち減少しておりません。これは県当局も医療扶助費の増加の原因は、この理由ははつきりわからないけれども、とにかく増加の傾向がある。恐らく概して国民の経済事情が悪化しておることによるものであろうという説明でございました。比較的経済事情の変動の少い農業地帯では、必ずしも激増というふうな点が見られないからであります。又県の医師会の代表の方とも面談いたしたのでありますが、医師会側の見方としましては、近来被保護者が入院する傾向が非常に多くなつておる、これが一つ。それからもう一つは精神病患者が非常に増加しておる。これは主として国立病院、日赤病院、その他公的な医療機関に入院するのでありますからして、その数が従つて激増したということの理由にもなるという説明でございます。公的病院が独立採算制度をとつておりますこともこういうふうになつて来た原因である、公的病院が独立採算制度をとるということになつたことが一つの原因とも考えられるのでございます。医師会はこういう傾向を、勿論こういう弊をもう少し、病人があれば入院さす、こういう弊を防止するために、これは岐阜県も大阪府もそうでございましたが、全国的に何か入院の基準、何か客観的にこうこうこういう者が入院できるという基準を定めて、公平に取扱をできるようにして欲しいという要望がございました。これは非常に大切な点であろうと思います。
 それから医療扶助費の支払ということは、府県財政が比較的裕福である関係上、岐阜県のごときは大変成績がいいのであります。一般の医療扶助費は県費を以て立替えて、本年の二月分まで支払を済ませております。但し国立病院、県立病院、市立病院という公的の病院、公立病院については、昨年の十一月の診療分から支払を停止しております。これは明年度の予算が成立すれば無論支払をするわけであります。特に医療扶助の問題について特に問題になるというような点は本県にはございません。又医療機関からの支払請求も、国立病院はニカ月ぐらい遅れておりますが、一般医師からの請求は現在のところ遅滞していない模様であります。
 保護費の執行、特に医療扶助の適正な実施については、厚生省からの通牒がありまして、又行政管理庁の行政監察もありまして、県当局も特に注意をしておるようであります。従つていわゆる濫給ということのないように県においても極力努めておる様子が見られるのであります。即ち濫給という事実はないようでございます。前述のような公的病院への入院関係が多少問題になると思いますが、併し今日の情勢に照らしてみて、不公平な取扱がないようにするということが非常に重要であろうと思つた次第であります。
 この人員、入院の数字などは省きまして、それからもう一つの大切と思います点は、医療扶助だけを受けるいわゆる単給の分が、他の扶助を受けております併給されておるものよりも増加の傾向が強いということであります。即ち医療扶助だけを受けておるところの被扶助者が多くなつて行く傾向を示しております。これは今日やはり社会経済、国民経済、ことに消費経済の非常に困難になつて来たということを示すものであり、一度病気になる場合においては、医療費というものにおいて今日の国民医療生活水準が限度に来ておるということを私どもは理解させられるわけであります。
 それから開始と廃止の状態を見ますと、二十七年十月から、二十八年九月までの状態を見ますと、開始が約五十世帯、五千三百七十四世帯、廃止が五千五百五世帯であります。毎月の被保護者の異動は約三分の一であります。ところがだんだん前半期と、後半期と、昨年の、二十七年の十月から二十八年の九月、一カ年の内容を分析してみますと、後半に参りますと廃止が少くなりまして、開始のほうが多くなつておるようであります。これは他のほうも大体こうだと思いますが、即ち廃止よりも開始が殖えておる。即ち医療扶助を受けるところの者の数が実態的に多くなりつつあるという傾向は、私どもがやはり注意を要するところの点であろうと存じます。
 以上が岐阜県に関するものでございますが、大阪府につきましての御報告を申上げますと、先ず生活保護において申上げますと、二十八年十二月現在におきまして被保護者は約三万世帯七万人でありまして、保護率は一・八三%、これも又全国平均二・二五%に比較すると非常に低いのであります。大阪府も被保護率は低いのであります。
 昭和二十八年四月から二十九年一月までの生活保護費の支出関係を見ますと、生活保護費の支出額は十五億九千万円でありまして、その五七・四%が医療扶助費であります。非常に医療扶助のほうが、生活保護関係の支出額の中で多くを占めておるのであります。そうして生活扶助は三六・二%、六・四%がその他の項目の扶助費であります。岐阜県よりも更にこの医療扶助の占める率が非常に大きいわけであります。
 大阪府におきましても、医療扶助費は従来支払が数カ月停滞しておりましたが、社会保険診療報酬支払基金に委託払の制度ができましてから、即ち大阪府は昨年の八月からと言われておりますが、大体これが整理されておりまして、従来滞つておりました医療機関からの請求も翌月から出されるようになつて、支払額も従来は七、八千万円でありましたものが一億円以上になつております。支払状況も非常によいのであります。一般の医療機関に対しては、府費を立替えて、一月分まで全部済んでおります。但し、国立、府立等のような公的な医療機関の分は、昨年十一月分まで、十二月分からは支払が停止されております。これは岐阜県の場合におけると同じように新年度の予算において支払われるわけであります。
 昨年十二月の医療扶助を受けた被保護者は一万八千八百人で、そのうち医療扶助を他の扶助と併給しておるところのものが七千九百六十人、五三%、又単給、医療扶助だけを受けておりますものが一万八百五十四人、即ち五七%、従来よりここの方がだんだん単給の、医療扶助だけを受けておる被保護者数が多くなつておる。即ち入院患者が多くなつておるという同一の傾向を示しておるのであります。大阪府におきましても更に同一の傾向としましては精神病患者が増加しておる。そしてそれが又医療扶助費の増大しておる原因の一つになつておると思われます。
 大阪府の見込みとしましては、二十九年度においては更に医療扶助費が増加するものであると考えます。従つて漏給をなくすると同時に今後とも濫給を防止して適正な運営を期しておる。
 医師会のお話も伺いました。医師会長も堂本さんの関係で有力なお医者さんたちもお見えになつて生活保護法に関する医師会の意見を非常によく聞くことができましたが、医師会の意見としては何ら医師会としてトラブルはない。むしろ立替払を府当局がして下さる御協力に対して好感を持つておるという状態であります。やはり入院率が高いということも、即ち医療扶助に関してもこれはやはり相当研究すべき問題だと思います。
 又厚生省の通達もあります。又行政監察組織もしつかりできておりまして、濫給や漏給という点については末端の福祉事務所にまでもこれを徹底しておる様子が、我々福祉事務所を尋ねましても窺えたのであります。福祉事務所としましては城東の福祉事務所に参りました。この福祉事務所の状態では受付件数の約一割を却下しております。即ち十分の厳重な審査を事務所長以下ケース・ワーカーがやつておる。従つてこれは比較的公平にやつておるので、不服の申立が殆んどありません。ただ濫給という場合に、こういう場合は注意さるべきだという御意見です。即ち生活保護を開始して後に収入があつた部分についての申告というものが、必ずしも迅速に又正確になされない虞れがある。そういう意味において濫給という点についてやはり研究注意する必要があるということが一つと、もう一つは朝鮮人の生活保護に関する問題であります。いわゆる生活擁護攻勢というような形で集団的に安定所に向つて強要するというような形が、やはり朝鮮の人がたくさん集団的におる地区においてはこういう問題があります。これに関連して皆さんに御注意して頂きたいことは、安定所で伺つたことでありますが、その近所にある共産系の診療所が比較的親切にやるんだそうです。それでこういう人たちがここを通して申請して来る、申出て来るという傾向があるということです。これは事のよしあしということを申上げておるのではなくて、とにかくこの非常に困る人或いは半島人に対してこういう診療所が親切であつて好評を得ておるということですね。言葉を換えて言えば他の診療所よりもここが受けがいいということについては、やはり他の診療所についてもよほど、これはそういう目的が本当に社会福祉の増進ということじやないかも知れないけれども、とにかく親切で信用を得ておつて、こういうところに相談に行つてこういうところが仲介になつて安定所に連絡をするという事実があるということを御報告申上げて御研究願いたいと思います。
 それから保育所の保護費が国庫補助に切替えられましたために、援護率三〇%を以て運営するよう政府から指示されましたので、府県においては昭和二十七年中における援護率をそのまま適用しますと多額の赤字を生ずることを恐れまして、私的契約児童からの徴収額、収容定員、ミルク給食実施の有無などを検討して、各保育所ごとに適合した事務費或いは事業費の限度を決定しております。又措置児童の扶養義務者から徴収する負担金の取扱については、収入の認定は生活保護法に準じて行います。最低生活費は生活保護法の生活最低認定額に一・三五を乗じた額を最低支払額と認定して、現に生活保護法の扶助を受けているもの及び収入認定月額が支出認定月額に満たないものは全額免除にし、余剰額のあるものはそれぞれその余剰額に応じて減免をいたしております。
 岐阜県の保育所は百九十九カ所、入所児童は二万四千ほどでありますが、定員の約一割を超過して入所せしめております。数字については、これは大阪府も岐阜県にいたしましても、定員はやはり一割から二割の超過で、今日現実に入所さしております。従つて定員を厳守するというときには相当問題があります。岐阜県の或る保育所のごときは、定員を厳格に守れば今年入れなければならない児童を殆んど入れることができないというような施設も出ておるのであります。この岐阜県にしましても大阪府にしましても、岐阜県については殊に農山村地帯が非常に広いのでありまして、そのために児童一人当りの措置費は六百円くらいで比較的少く、その援護率は五五%となつております。これにつきまして国庫補助金交付済額は四千四百九十一万円で赤字が六百九十六万円を生じております。目下この赤字補填は政府に要求中になつております。
 大阪府は岐阜県と多少異りまして、市部が大きく郡部が少いために児童一人当りの措置費が千二百円以上を必要とするために赤字の額も更に大きくなつて来まして、現状のような援護率では保育所の閉鎖、幼稚園への切替、保母の人件費の不払いというような問題が将来に起らないとも限らない、そういう状態にあります。両府県とも、岐阜県にしても、大阪府にいたしましても、この援護率を六〇%以上に引上げて欲しいという強い要望がございました。
 大体かいつまんだ報告でございますけれども、以上を以て報告を終ります。
#13
○委員長(上條愛一君) 次に第二班の御報告をお願いいたします。
#14
○西岡ハル君 第二班は常岡委員と私、それに専門員室から長谷川調査員が同行いたしまして、福島、茨城両県下における生活保護法の実施状況などを視察して参りました。私からその概略を御報告申上げます。
 先ず福島県の概況から申上げます。本県生活保護法の実施状況、本県人口約二百七万人のうち、昭和二十八年十一月現在における被保護者数は五万七千四百三十四人、一万七千四百五世帯でございます。保護率は一、〇〇〇人に対しまして二七・六八人と相成つております。これは全国平均二二・五に比して相当高率であります。同月中において生活保護を開始したもの五百四十五世帯、千六百二十人でありまして、保護を廃止したものが四百四十世帯、千三百二十一人となつておりまして、保護の廃止よりは新規開始のほうが多いという実情でございます。
 保護率は大体昨年十月頃までは横這い状態にあつたのでありますが、十一月以降は冷害等のため次第に増加の傾向を示しております。冷害により生活保護を受けている者は、本年一月現在で九百五世帯、三千三百七十人で、支出金額は約二百六十万円となつております。
 保護費の支出状況を見ますると、月額約七千五百万円程度で、うち生活扶助費が約三千万円、医療扶助費が約四千万円で、医療費の支出額が相当上廻つております。
 医療費の支払状況は昨年十一月分までは支払済となつておりますが、未払額は十二月分が一千五百四十六万円、本年一月分三千六百五十九万円、二月分三千九百三十一万円、三月分推定額三千八百三十万円、合計一億二千九百六十六万円の巨額に達しております。結局一億九百万円が昭和二十九年度へ繰延べられる見込とのことでありました。この未払金に対しましては、県において立替払などをする余裕がありませんので、ひたすら国庫負担金の交付を待ちわびている実情でございました。併しながら医療費の支払遅延などに基く診療拒否、強制退院などの実例はないとのことでございました。
 医療扶助費の増嵩に対処する方針として、県においては医療機関に対して適正診療を行うよう協力方を要請すると共に、福祉事務所に対しては調査を敏速公正に行い、医療券の発給は最小必要限度にとどめるよう督励しているとのことでございました。
 次に、福祉事務所の概況を申上げます。本県には福祉事務所が郡部に十六、市部に五、計二十一カ所ありまして、ケースを担当している主事は郡部百六十八名、市部三十一名で、一人当り担当ケース数は郡部百二世帯、市部九十五世帯となつております。福祉事務所のうち、信夫福祉事務所を実地に視察して参りましたのですが、本事務所は信夫地方事務所内に併置されておりまして、所長は地方事務所長が兼任いたし、その下に次長を置き、総務課と福祉課との二課に分れ、各課の中に課長のほかに係員や担当員を配置してありまして、総員三十一名、ケース担当員の担当件数は百二十件に及び、手不足を訴えておられました。本事務所管内の町村数は三十三カ町村で、被保護者数は千百十九世帯、四千百二十名で保護率は三四・四と頗る高率でありますが、これは管内に零細農家が多いためだと申しておられました。
 次に今回の調査事項には入つておりませんでしたが、保育所の運営状況を調べて参りました。福島県は東北六県中最も保育所が発達しておりまして、その数公私立合せて七十五、本年四月一日開設予定のもの八となつております。施設収容定員六千九十七人に対し、収容実員は七千三百二十一人で差引一千二百二十四名の定員超過となつております。又収容児童のうち措置児童数七千四十五人で、二百七十六人は私的契約児であります。右のほか、未収容の要措置児童数は約一万人と言われておりまして、更に保育所の新設拡充が要望されておりました。保育所従事職員五百四名のうち保姆の数は二百七十四名で、その待遇状況は有資格者平均給与公立六千六百三十七円、私立六千二百七十円、無資格者平均給与公立五千二百十二円、私立四千七百九十円という状況で、待遇改善の必要があると思われます。
 なお当面最も問題となつております児童措置費の状況を調べてみますると、措置費総額七千百九十一万七千百六十三円、要国庫負担額が四千八百二万一千二百三円、国庫負担金交付済額一千七百五十四万四千円、差引不足額が三千四十七万七千二百三円という実情で、各保育所とも経営難を訴え、政府の急速なる財政措置を熱望しておりますが、今のところ閉鎖したところは一カ所もない模様でございました。
 次に茨城県の概況を申上げます。生活保護法の実施につきましては、県においては社会課保護係がこれを担当し、地方は、地方事務所の組織として民生課が例外的に福祉事務所の機能を負担し、市においては市の福祉事務所が担当しております。水戸市の福祉事務所を実地に視察いたしましたが、現業員の担当ケースは平均約九十世帯で、過労のため病気欠勤者が多いとのことでありました。又福祉事務所の福祉三法が事務多量のため事務員の問題が最大の悩みであり、事務の組織化と能率化を強化することが緊急の問題とされておりました。
 県人口二百五万人のうち、本年一月現在における被保護世帯は一万二千九百四十三地帯で、人員は四万七百二十人、保護率は人口一、〇〇〇人に対して一九・九人で全国平均よりは下廻つておりますが、関東各県の中では最高率を示しております。福祉事務所の発足以来保護率は医療を除いては次第に減少の情勢にありましたが、最近の傾向といたしまして、農村における医療費の増大と水産業不振による海岸地帯の保護率の上昇は注目を要します。
 保護費の支出状況を概観いたしますと、昭和二十六年中三億三千六百万円(月平均二千八十万円)昭和二十七年中四億五千五百万円(月平均三千八十万円)昭和二十八年中は五億四千六百万円(月平均四千五十万円)となつておりまして、全額においては自然増を来しております。これは扶助基準額の改訂と、医療費の増嵩に起因するものと思われます。
 次に、医療扶助の状況を見ますと、福祉事務所発足当時の医療扶助人員の指数を一〇〇としますれば、本年一月現在の指数は二二八となり、その増加率は毎月平均四十五人となつております。現在の医療扶助人員四千三百八人のうち、二千八百八十一人、六七%は併給であり、残り千四百二十七人三三%は単給でございます。本年一月現在における入院患者は千四百四十人で、このうち単給入院患者が九百五十人六六%、併給入院患者は四百九十人三四%となつております。単給の入院患者が多数を占めております。又入院患者を病種別に見ますと、結核性疾患が最も多く七四・四%これに次ぐものは精神性疾患となつております。
 医療扶助増嵩の原因を列挙して見ますると、
 イ 被保護者内部から三〇%、ボーターライン層から疾病により被保護階層に転落する者が七〇%を占めていること。
 ロ 診療内容、新らたに抗生物質使用の範囲拡大並びに受診率が向上したこと。
 ハ 生活困窮者の生活環境は罹病率が高いこと。
 ニ 診療報酬点数が改正されたこと。
 ホ 福祉事務所職員の訓練指導面が十分でなかつたため、保護の適用、実施面に欠陥が認められること、及び医療機関の診療内容が安易に処置したと思われる点があること。等でありまして、これに対処するため、県においては次に述べます措置を講じておりました。
 イ 保護の実施面については特に福祉事務所の指導監査を強化し、適正な実施を確保すること。
 ロ 診療担当者に対しては、本法の診療方針を再確認させ、最低医療の本旨に副う診療を行うよう積極的に指導強化を図ると共に、支払基金における審査の厳正、的確化を期すること。
 ハ 支払基金の審査したものに対し、県において再審査を行うこと。等でございました。
 次に、医療費の支払状況を見ますると、昨年十一月までは、支払済となつておりますが、十二月からは国立病院、国立療養所の支払を停止し、本年一月からは県立病院の支払を停止することとなり、今年度分として最終的に配賦された国庫負担金では、以上のほか二月以降の一般病院、診療所の支払をも二十九年度に繰延べざるを得ないこととなり、而もなお約五百万円から六百万円の不足額を生ずる見込とのことであります。
 次に、保育所の現状を申上げます。本県における保育所の設置状況は、公立十五、私立二十六、計四十一カ所でありまして、全国的に見ますると、その数が甚だ僅少であります。これは寺院等が保育所を兼営することを認めない等の理由によるものでありまして、本年四月までには公立が九カ所開設されることになつております。
 保育所数が少いため、その利用率は高く、現在入所児童総数四千九十四名、内措置児童数三千十三名、私的契約児童数千八十一名となつております。
 保育所の財政面を見ますると、援護率五九・六%に対して国庫負担率は三〇%で、約四百八十万円の不足を来しているようであります。
 又国庫補助金の交付が遅いため、措置費支払について次のような現象が現れているとのことでございました。即ち
 イ 市町村は立替払をしているために市町村財政に大影響を与えている。
 ロ 昨年九月分までしか払つていない町村が一、二現れている。
 ハ 私立保育所においては所長が負債をして運営しているところもある等々。
 以上を以ちまして第二班の報告を終りますが、なお福島、茨城両県からいろいろ要望事項がございましたので、これは別途印刷してお手許ヘ御配りすることにいたします。
#15
○委員長(上條愛一君) 只今の派遣議員の報告に対する政府の見解を聴取いたしたいと存じます。
#16
○政府委員(中山マサ君) お忙しい中を御遠方まで御出張頂きました議員各位に対しまして、かくも徹底したる御調査を頂きましたことを政府といたしましては心から感謝をいたしますものでございます。私どもといたしましてもいろいろと只今拝聴いたしましたことにつきましては非常に心配をして参りましたのでございます。御報告によりましても一般の医療医師関係からはいろいろとお小言も余り出ていないようである、公立或いは国立の医療関係についての支払が停頓しておる。こういうお言葉でございましたが、そういう国の関係でやつておりまする施設には控えましてでも、一般の医師の方々に御迷惑をかけないようにというのが厚生省といたしましての方針でございまして、その間誠に皆様方の御心配を頂いておることでございまするが、当局におきましてもいろいろと又手を打ちまして、できるだけ早くこれを解消したいと、衆議院を通過いたしました予算が参議院におきまして十分なる御審議を頂きましてこれが通過をいたしますれば、この間の修正におきましても五億の増加を見ておりますから、この中から早急に何とか御迷惑をかけるところの、その困難を解消したいということでございます。
 保育の関係につきましては、これ又私どもの心配をいたしておるところでございまして、まだ閉鎖していないところがわりかた、相当あるということはその今の御報告の通りいろいろその当地におけるところの自治体の方々が極力力をいたして下さいまして、これをいろいろな面から援助して頂いているのでございましようから、こうして閉鎖しているところがわりに少いということは、如何にしてもこの問題が重要なことであるかということを私は如実に物語つておると思いますのでございます。主婦が病気をして、子供をかまうことができない、そういう子供の収容というものは実にこれは重大なものでございますし、又夫婦共稼ぎで働かなければ一家を支えて行かれないというようなところの子供たちを収容して、日本の産業を促進しそうして何とかお互いが建直つて行くという面につきましても、保育所というものは私は非常に重大な役目を果して頂いていると思うのでございます。一刻も早く何とかしていろいろと保姆の方々も非常な低いお金で我慢して頂いているということは私どもが誠に相済まないことであると思つております。当局におきましても鋭意こういう点を改善するために努力をいたしまして、皆様方の御努力、御調査頂きましたその御努力に報いたいと存じます。
 又係の局長、政府委員から御説明を、詳しいことを申上げます。
#17
○竹中勝男君 今の、中山先生に……、やはり定員を減少すると言うことは、この際は非常に現実に合わないように思うのですね。ただでさえ、今でさえ、もう入れなきやならない子供が非常に多い。ここでは数字は申上げませんけれども、非常に多いようです。それでどうしてもこれはやはり現実に即して一割か二割、とにかくそれは保育内容というものが落ちるということは多少考えられますけれども、併し全然放任して置くよりは邊かにこのほうがいい。これはもう常識でもそういうように考えられますし、実際についてもそうだと私は思つておりますが、これは、そうして又その一割か一割五分児童を入れているということによつて、保育所が又成立しているわけでありますから、これを定員を減少させるというときには、非常にこの面に保育所に入れない子供が非常に多くなるということと同時に、又保育所自体の経営が非常にこれ以上に苦しくなるという事実があり、私どもの訪ねましたところでも、もう来年度から幼稚園にしたいと思つて、折角幼稚園から保育所に、淀川の十三の、あすこは非常に綺麗なのです。ただ、前から、先生も御存じの通り、それをわざわざ保育所に切替えたのですけれども、保育所になつて非常に立派な保育所でやつておりますけれども、どうしたつてもやはりこれではやれない。又幼稚園にしなければならないという意向が大分出ておる。これらも非常に残念なことで、この措置費を思い切つた値上げをするということと、それからこの際は少くとも定員を余り減少せいという通達を出されないようにということが、現実に即し、又これは日本の全体の上から言つても、保育所くらい大事な……、これは一つの産業の面から言つてもを経済の面から言つても、いわゆる福祉の点から言うても、非常に重要な問題でありますから、この点について特に力を入れて頂きたいということが私ども参りました者の正直な印象でございます。
#18
○政府委員(中山マサ君) 御尤もでございます。
#19
○委員長(上條愛一君) それでは次に安田社会局長から御意見を伺います。
#20
○政府委員(安田巖君) 御調査頂きましたことにつきまして、厚生省のほうの考え方は、先ほど政務次官から申上げました通りでありますが、御指摘になりましたように、昨年六月に基金払いにいたしましたために、従来都道府県、又は市が直接払つておりました頃と比べまして、非常に医療費の支払が促進されたわけでありまして、で私どもそれほどとは思つておらなかつたのでありますが、蓋を開けて見ますというと、各市なり、都道府県で以て随分溜つておつたところが出て来たわけであります。そういたしますと、結局その基金払いの毎月の払いを見てみますというと、その月に当然基金を通して払うべきものと、その前から溜つておりますものとの差というものが段々溜つて来たわけでありまして、大体は十二月中には片付くだろうと思つたのが、やはり十二月払いを一月にいたしてみますというと、そこにもうやはり出ているというような状況でございます。これはまあ一つ赤字の原因にもなつているのでありますが、そういうわけで、私ども非常に心配をいたしております。で只今もお話がありましたように、県によつていろいろと実情が違いまして、例えば大阪のごとき比較的いいほうでございまして、これは大体遅れてないということが言えるのじやないかと思うのでありますが、その他、県によりましては地元で立替えるとか、或いは先ほどからお話のように、公立のほうや、国立のほうを手控えることによつて、一般の開業医の方方に御迷惑をかけないようにするとか、そういう措置を適宜とつて来たわけであります。まだ三月の末日まで若干の日にちもございますので、その点につきましてももつと努力をいたすように考えたいと思います。
#21
○委員長(上條愛一君) それでは本件に関して、派遣議員並びに政府当局に対する御質疑がありましたら願いたいと思います。
#22
○堂森芳夫君 ちよつとその前に、これは社会局長だけじやないのですが、政府に向つて資料を一つ要求したいのです。非常に遅れて少しおかしいのですが、私が地方に出張しまして、生活保護法の実態を調査して感じたことですが、二十九年度の予算を見ますると、厚生省の一般会計は二十億増加していますね。ところが、ベース・アップその他でいろいろ経費というものがぐつと変つて来ると思いますね。昨年の当初の予算と今度の予算とでは、実際に厚生省の予算が、実質的に政府は増額したとこうまあ言つているが、べース・アップその他の自然に増加している支出というものと、実際に政府が民生安定のために実際に使えるこのいろいろな内容ですね、そういうものをできるだけ詳しく書いて、一つ我々に配つて頂きたいと思うのですが、局長からも一つ各局にもお願いして、一つ厚生次官からもお願いしたいと思います。それに関連して地方で思い付いたものですからお願いするのですが、ベース・アップその他が多く食い込んでおつて、実際には非常にレベル・ダウンじやないかと、こう思うのです。その点お願いいたします。
#23
○政府委員(安田巖君) 生活保護費関係は私只今わかつておりますから、申上げますが、二十九年度予算で米価の改訂と、入院料等の医療費の改訂がございます。これで米価改訂分が約三億円、医療費の改訂分が約十一億、これだけが……。
#24
○堂森芳夫君 委員長から一つ資料を出してもらうようにお願い申上げます。
#25
○中山壽彦君 生活保護法の医療費は、各県で額は勿論違いましようが、大体一月に全額でどれくらいかかつておりますか。
 それからこの医療費の支払いが、今派遣議員の方々からいろいろ承わつたのでありますが、これは地方々々によつてよほど違つている。大阪とか、岐阜とか何かは相当に払われている。現在東京の人が、この間うちからたびたび来ての話では、東京は十二月まで払つている。それで一、二、三月はもうそういう金がない。それで二十九年度の新年度にならんと払うことができないというようなことを訴えて来ているのであります。又京都府におきましては、十一月をまだ払つておらない。で先刻来皆さんが御報告のように、国立病院、或いは公立病院というものは後廻しになつておつて、なお且つそういうような状況であるらしいのです。民間の病院といたしましても、大きな病院では、一月に百万円以上の収入が滞つておる。人件費その他は今日の時勢でありますから、どんどん払う。銀行から金を借りようと思いましても、こういう緊縮の際でありますから、なかなか金を借りることができない。そうして病院ではどんどん使用人に払つて行かなければならん、政府からは入らん、こういう状況で非常に困つているということを私どもに訴えて来られるのであります。こういう地方々々に対しては、どういう手をお打ちになるかどうか。
 なお、地方で立替払いを持ち得る地方と、立替払いのできない貧弱の県があると聞いておりますが、中央の方針としては、この立替払いというものを許されるのか、許されないのか。私どものところに府県の人が来まして、いや、中央から、立替払いをやつてもらつちや困るのだ、こういう通牒を受けておる。そうするといつこれが払つてもらえるのかというようなことを頻りに各地から私どもの手許に訴えて来ております。こういうような事情に対しまして、政府はどういうふうな方法で対処しておられるか、それを一つ承わつておきたい。
 それからもう一つ。いつもこの厚生委員会で問題となつておりますのは、生活保護法の枠の中に第三国人が相当ある。これを何とか早く始末をしてもらいたいという要望が、厚生委員会にもたびたび出おりまするが、この第三国人に対する方策について、最近政府は新らしい態度をとられるかどうか。従来通りのままであるかどうか、この点も合せて一つお尋ねをいたしたい。
#26
○政府委員(安田巖君) 御質問の第一点の、毎月生活保護の医療扶助がどのくらいの額に上るかどうだろうかということでございますが、従来の成績から言いますと、大体十億か、十億少し超えるか……、その程度のものでございます。国費といたしまして、総額にいたしますと、それでありますから十二、三億になるわけでありますが、ところがこの昨年の六月以降非常に殖えて参りまして、総額にいたしまして十六億か、十七億くらい、或いは十五億くらいになつた。これは国費にいたしますと、やはり十三億何がしかの金になるわけでございます。これは先ほど申しましたように、詳細に内容を調べてみますというと、やはりこの溜つておつた分が毎月々々くつついて来るというのが、そういう額に達しておるようでありますので、それがなくなれば大体まあ十億乃至十一億のところで納まるのじやないかという観測をいたしておるわけでございます。
 それから東京その他で遅れておるというお話でございますけれども、東京につきましては、この一月に支払うべきものでございますが、これを二月二十二日に払つております。一月支払分を二月の二十二日に払つております。
#27
○中山壽彦君 一月分をですか。
#28
○政府委員(安田巖君) つまり一月分と申しますか、一月に払う分であります。二月分はまあ三月に払う、一月分は二月に払うということでございます。十二月の診療報酬を一月の末日までに払うという今のところお約束なんでございますが、その一月末日が払えなくて、二月二十二日に延びたということであります。二月の二十二日にはすでに払つておりますから、今中山委員のおつしやつたことは少しその前の報告ではないかと思います。それから京都も大体二月一ぱいに払つておると思います。これは確かなことでございますが、そういうわけで、まあ今おつしやるほど遅れてはおりませんけれども、とにかく遅れておることは事実なんでございますから、甚だ申訳ない次第でございます。但しこれはもう予算に出ております赤字分がどうしても払えないということで、それを緩和いたしますのに、公的のほうの医療機関のほうの支払いを延ばしても、一般の開業医のほうに廻したいということでございます。四月に入りますれば早速手配いたしますし、それまでも又いろいろ手が打てるならば手を打ちたいと、こういうふうに考えております。それから各府県によりましてそう余り違わないはずなんでございますけれども、先ほど申しましたように、溜つておつた分が、それぞれ各県によつて事情が違いますために、しわが寄つて来たわけでございます。勿論府県が立替えてくれるものを私どもが阻止する理由は何もないのでございまして、立替えて頂けるものならば一つ立替えてもらいたいので、そういう阻止するというような通牒を出したことは毛頭ございません。成るたけそうしてもらいたいのでございますが、併し地方庁といたしまして、政府が払うべきものを払わないで、俺のほうに払わすということは怪しからんということを申しますから、それを無理にというわけにはいきません。今竹中委員のお話のように、地方によつてはそういう点を考慮して措置してくれておるところもあるという実情でございます。
 それから朝鮮人の生活保護の問題でございますが、これは大体二十八年の十月現在で被保護人員が八万九千七百人となつております。これをパーセンテイージにいたしますというと、在日の朝鮮人が五十五万三千五百八十一人となつておりますので、約一割七分ぐらいになると思います。でこれは先ほどどなたかの御報告の中にありましたように、日本人の場合の保護率というものが、十人に対して二十二人でありますから、二・三%、それと一七%でございますから、よほど違うわけでございます。でこれは現在の法律的な根拠といたしましては、一応二十七年の四月の二十九日でしたか、二十七日でしたか、講和の条約が効力を発生いたしましてからは、朝鮮人は一応外国人という取扱いでございますので、生活保護法はすぐには適用がないわけでございますが、併しいろいろな事情からやはり生活保護法を、内地人に準じて適用しておるという状況であります。でこれを根本的に片付けるのは、やはり日韓会談の内容等によつてきまることでございまして、困窮朝鮮人をどうするか、或いは在日六十万の朝鮮人の国籍問題をどうするかというような問題は、あとに残る問題だと思いますが、そういうものがきまらなければ、やはり生活保護の問題がきまらないのじやないか、私ども甚だ不本意ながらそういう暫定的な措置をずつと続けておるような状況でございます。私どもがただ別に朝鮮人に対して、特に厳格にするとかいうような……、方針を変更はいたしておらんのでありますが、併し京都でありますとか、下関でありますとかいうところでは、いろいろとまあ濫給になつてやしないかというような事情もあるやに聞いております。或いは先ほどもお話がありましたように、集団的な威力によつて保護を要求するというような事情もあつたやに聞いておりますので、そういうようなことがありました場合には、これは断固として私どものほうは個々に実際の調査をして、そうして資力なんかについても調査して、よく納得の行くようにしてから出せということは、飽くまでも地方庁に申しておるわけであります。若しそういうことがなければ、私どもももう国庫補助を引上げるぞというくらいにまで申しております。結局はそこは力関係でございまして、なかなかむずかしい問題があとに残つているかも知れません。そういうことを現在やつておるのでございまして、特に方針を急激に変えて、差別的な取扱いをするということはいたしておりません。
#29
○中山壽彦君 私が今この地方の支払い状況をお話いたしましたのは、京都府のほうは、一週間ほど前に京都の会長が来られまして、京都はそういうふうで非常に困つておる。借金はできない、職員には全部毎月正確に支払いをしなければならないので非常に困るというお話がございましたので、お尋ねをしたのであります。東京都の分は、やはり医師会の最高幹部の方でありますが、私のところに来られまして、東京都に尋ねて行つてみると、一、二、三はもう二十九年度の四月にならんと支払いができないということを東京都庁が答えておられるということを聞いたものですから、お尋ねしたので、全然根拠のないことでもないと私は思つておる次第であります。
 それから立替払いを青森県でやつたところが、地方でそういう立替払いをすることはやめてくれということを中央から通牒を出されたということも聞いて来た、こういうことでありますからお尋ねをしたのですが、今社会局長の御答弁のようなことが実際において行われておりまするのならば、私はもういいと思います。そういうような事実が地方々々によつて異なつたものがありますから、お尋ねをしたのであります。
 それからもう一つ厚生省は予備費をどのくらい持つておられるのですか。
#30
○政府委員(安田巖君) 厚生省の予備費というものはないのではないかと思つておりますが、私も……。
#31
○中山壽彦君 それでは政府全体として……。
#32
○政府委員(安田巖君) 政府全体はもう予備費は空つぽなんじやないですか、私もはつきりしませんが……。先般私のほうで十二億出しましたときに、もう殆んどないような……。
#33
○中山壽彦君 その必要な場合には予備費から払うというようなことも聞いたことがあるのですから、私ども予備費はそうたくさんないと思う。すでに十二億はもうお使いになつたのだから、それ以上予備費が残つておるはずはないと思つております。そういうような何か御答弁があつたように記憶しておりますので、この際改めてお尋ねしたわけです。
#34
○堂森芳夫君 さつきの中山委員の御質問に関連してですが、支払基金に移行してから急激に医療支出が殖えた。これはよくわかるのですが、併し我々まあ岐阜と今度は大阪だけを見ただけでも、丁度基金に移管した当時から患者数も件数もぐつと殖えて来ております。同時に殖えておるのです。我々統計を見てわかるのですが、これはどう考えられるのですか、局長は……。
#35
○高野一夫君 私ちよつとそれに関連して同じことをさつきから考えておつたのですが、生活保護の中で医療扶助のパーセンテージが非常に増大して来た。ますます殖えつつあるというこの根本の原因ですね。それを深く掘り下げて分析されて、こういう結果だ、こういう事情からそれが増大を見つつある、今後まだ続くだろうとか、或いはここでこの程度でとどまるだろうとかというようなことについて、何か分析された結果があるならば、併せて今の堂森委員の御答弁に合せて説明をお願いしたいと思います。
#36
○政府委員(安田巖君) 堂森委員の御質問に対してお答えいたしますが、私どものほうで支払いをいたした場合に、その支払いの中で六月に払つたといたしますというと、五月分は幾らある、四月分は幾らある、三月分は幾らある、二月分は幾らあるということも各府県ごとに調べてみますと、六月の支払分というのは五月の診療報酬でございますが、それ以外に前月、或いは前々月、更に数カ月前のとくつついておるのが相当あるわけであります。これは明らかに、そうすれば二億乃至三億ぐらいはそういうものがあると見ていいと思います。そういうものは結局基金払いによつて促進されたものと、まあ支払関係が各県なり、或いは市あたりと相対でやつております場合には、まあ率が合わないわけでありますけれども、こういうふうにはつきりいたして参りますというと、さあ政府の責任だなんとか言われましても結局はつきりして来たから払わざるを得ないというようなことになつて来た。これは私ども多少その点で誤算があつたわけでありますが、このためには私どもは一般のお医者さんからは、支払いが最近遅れておるので、そういうことを言うと怒られるかも知れませんが、むしろ基金払になつて喜ばれるのじやないかというふうに実は考えておるのであります。例えば健康保険は大体ニカ月あと払いになつておりますのが、現在生活保護のほうでは一月あと払いだということで、それが遅れても大体まあニカ月のところぐらいに今やつておるわけでありますけれども、そういうようなことから比べてみますと、図々しいとお叱りを受けるかも知れませんが、大体まあよくなつたのじやないかという気がいたしております。
 それから絶対的に殖えるのがあるのじやないかというお話でございますが、これは確かにあるのだろうと思う。例えば先ほども申上げましたように入院料その他往診料等の殖えることによつて年間十一億違うのでございますから、これも殖えることになつております。それからその結核のベッド数も殖えるということを考えますと、やはり一万円月かかるわけでありまして、そうすると仮に四万ベッド殖えるとすれば月四億違う。それから先ほどお話のように結核の入院患者の半分ぐらいが生活扶助でやつているのだということになれば、やはりその半額ぐらいが殖えて行くということがあるわけであります。そういう点もやはり考えられるのじやないか。と同時に私どもは又この前も申上げたのでありますけれども、もう一度よく現在の医療扶助の運用面について反省して見て、濫給といいますか、出さなくていい人に出ていることはないだろうかということを反省してみるのも、やはり他の生活保護費の運用を扱つている責任のある者としてはやらなければならない仕事だと思つている。例えば先ほども竹中委員の御指摘されましたように、併給でございますね。併給と申しますのは生活保護を受けている者が医療扶助を受けるというもの、それから単給、生活保護は受けていないけれども医療扶助だけ受ける。まあボーダー・ラインにおつた人だということが言えるかも知れませんが、その場合例えば只今御指摘になつた大阪の例、これは一つのテイピカルな例でございますけれども、これは七〇%ぐらいになつている。そうしてその単給の中を又調べてみますというと、全然一部負担していないものが七〇%ぐらいある。これはやはり僅かな金であるからしてもう一部負担しなくてもいいという考えもありましようけれども、やはりこういつた国庫財政であるならば、負担ができるところへはやつぱり若干でも負担してもらわなければならない。そういう意味で七〇%というものをもう一遍よく調べてみる必要があるというような私ども見解でいるわけです。そのほかこれ又いろいろ御意見がありますし、あとで又叱られるのじやないかと思つてびくびくしているのでありますけれども、とにかく中に入つている人で出てもいいのじやないか、これらの入退院基準というものが作られるならば作りたいのでありますけれども、そういうふうな出てもいい人が入つているということは、ベッドの回転を妨げることになりますし、又実際入らなければならない人を入れないで、そういう人が国費を食つているということも妙なことでありますので、そういうことになるので一つ考えなければならん。例えば精神病院につきましてもいろいろ問題があるのじやないか、そういつた点でもう少し合理化する必要があるのじやないかということが同時に考えられる、こういつた考えでございます。只今申上げましたことが同時に高野委員に対するお答えになるのじやないかと思いますが、更に御質問がありましたならばお答えいたしたいと思います。
#37
○竹中勝男君 今のに関連するのでございますが、やはり傾向として医療扶助を受ける。殊に単給の医療扶助を受けるのが増加して来たということの内容ですが、今局長が説明になりました一部負担ができるものはあるだろうと私も思いますし、七〇%の中にはこの分析も私あれしつつあると思いますが、同時に原因としてやはり社会局としてお考え頂きたい。これは希望みたいなことになりますけれども、私はやはり国民の所得ですね、国民の所得におけるやはり今の生活難の率、エンゲル係数でも何でもいいわけですけれども、消費水準のいわゆる分析から医療費が殖えるという結論が出るのじやないかというふうに私は考えているのです。例えばそれ以前にやはり失業保険を受けておつたものが日雇い労働者になるということは、生産的な労働力を持つた労働者が困窮者に転落しておるということにほかならないわけです。そうするともう国民のうちやはり一千万ぐらいのものは医療費の負担能力は全然ない人口じやないかというふうな分析ができて来るのじやないか。即ちこの傾向はやはり今日の国民経済、殊に今年度の国家財政の組み方或いは支出の仕方というものと関連して、少くともこの下半期においては更に生活水準というか、消費生活水準というものは低くなる、或いは失業者が増大する、或いは常傭労働者の雇傭量が更に縮減される。そうして臨時的な或いは極めて一時的な労働関係というものが一般化して行く。零細企業というふうなものに雇われて行く。そうすると何ら社会政策的な保護というものがないので、そういうふうな層が著しく増大する傾向があるという見通しをやはり我々はつけておく必要があるのじやないか。その際に今日の先ほども御質問があつたように、実質的に非常な切下げにならないだろうかということを我々は非常に心配するわけですが、そういう点について国民の消費生活水準の低減して行く確率というものを早急にやはり持つておられることが必要じやないかと思いますが……。
#38
○政府委員(安田巖君) 国民生活の水準というものが下つて来れば、医療費は自分で払えないものが殖えて来るというのはお説の通りでございまして、そういうふうに計数がはつきり出るならば、これはやはり単給患者が殖えるというのは当然なことでございます。ただ現在までのところではCPSと申しますか、FIESと申しますか、それらの指数から申しますと、別にエンゲル係数が上つておるということもないのでございます。そうして指数としてはだんだんよくなつておるということでございまして、そのことだけから少くともすぐ医療扶助が殖えるということが言えるかどうかという点も多少疑問があると思います。それから今年度の見通しといたしましてこういう均衡予算を組んだために生活困窮者が殖えないかということも私どもは非常に心配いたしたのでございますが、丁度ドツジ予算が組まれました場合、丁度二十三年にそういう原則が出まして二十四年度の予算に組まれたのでありまして、そのときの影響を生活保護を受けたものの数の上で見ますというと、やはり下半期から出て参りまして、むしろ二十五年その翌年の予算の執行の頃に非常に出ているというようなことがありますので、或いは私も同様に心配いたしておりますけれども、二十九年度の前半にはそういうことが出なくて、三十年の一月頃からそういう影響が出て来やしないかということを考えておるのであります。それはまあ今の医療扶助を受けるものが殖えるということの回答にはならないわけでありますが、もう一つはこういうことも考えられるのではないか、これは私専門家ではないのでほんの私見でございますけれども、国民の生活水準の上り方というものと医療内容の、つまり医療の水準というものの上り方というものの間に跛行的なものがありはしないかということを実は私は考えるのであります。例えば金がないから医療扶助を受けるものが殖えるということと、先ほどから申しましたように医療機関が整備されたためにそういうふうな機会が多くなるということも当然これは考えられるのでありまして、ベッドの増加ということを一つ考えてみてもそういうことが言えるのであります。それから私どもが昔保険の点数なんかをやつておつた頃に比べますと、単価はこれは上つて行くことは当然のことだろうと思いますけれども、一件当りの点数なんかを調べましてもやはり昔よりも上つておるのです。なぜ上つておるかというと、結局いろいろ新らしい薬が出るとか、その他或いは医療の水準が上つて来たのじやないかという気がするのですが、そういうものの上り方と、或いは国民生活の、或いは国民所得の上り方との間に釣合いのとれなくなるということがあるのじやないか。そういたしますと非常な根本的な問題でありますので、もつとひとり社会局だけの問題ではなくて根本的に考えなければならんものじやないかということを感じておるのであります。これはまあ私の個人的な意見でございますけれども、そういう点もありはしないかと思います。
#39
○横山フク君 先ほど中山委員からお話になつて、二月二十二日に支払いになつたと言われるので、私のはその前のことかとも思うのでございますけれども、やはり東京都のほうで非常に支払いが延びている。二月、三月延びている。そのために病院では一割の高利の金を借りているというところも相当出ているということを、これは責任ある人から聞いたのですが、併し医療保護のもともと単価の安い点数のきまつているもので、一割の高利の金を借りてやれるはずがないというのですけれども、併し金がなかつたら現実に支払いができないし、病院が運営できない。而も中小企業の特融資は医療関係は対象にならないので融資も受けられないということを言つて、非常に困窮を訴えられているのであります。これは精神病院でございまして、現実にございます。でございますので、支払いが延びるということは何よりも苦痛である。今健康保険の二月三月のことからすれば早いほうであるというお話もわかるのですが、早いほうといつてももともと対象が違うのでございますので、この延びたこと、今後においてどういうふうな見通し、又そういう特融資のほうには今までどのくらい御尽力を願つたか、今後においてそういう方面において御努力願う意思があるのかどうか、そういうことについて伺わせて頂きますれば結構だと思います。
#40
○政府委員(安田巖君) 今のところ金融のことまで考えておりませんので、もうあと二十日かそこらでございますので、すぐ一つお払いするようにいたします。
#41
○横山フク君 実際問題とすると、一割の高利を払うということで、病院がやつて行けるかという問題です。恐らくやれないと思うのです。やれなくても、現実に戸を開ければ金がなければやつていけないから借りている。それは事実であつて東京都へ行つてお調べ下されば、それは出て来ると思うのでございます。でございますから、そういう方面に、あと二十日間とおつしやるのは今月の問題なんで、この問題は恐らくずつと続く問題ですし、十二月の一月払いというのは実際に一月延びることですから、これは遅くこそなれ早くなりつこないのでございまして、そういう方面にもいろいろとお考え下さつて、実際に一割の利息を払うということになると、これは診療内容も多少低下しなければならない事情も出て来るだろうと思います。でございますから現実にそういう方面にも御考慮願いたいと思います。
#42
○堂森芳夫君 局長にお尋ねしますが、今度我々が視察した岐阜、大阪府の社会福祉事務所の末端の、本当に仕事をやつている人たち、ケース・ワーカーの人たち、いろいろな人たちと懇談する機会が数回あつたのですが、彼らが非常に悩んでいることは、予算が非常に引締つて来た。ところが実際に救わなければならん人が非常に殺到して来る。又結核患者が実際はどんどん殖えている。大阪で私調べたのですが、療養所へ入るためには半年かかるそうです、申込んでから……。ものすごく足りないそうです。そういうような状態ですが、一つの悩みとしてこういうことも言つておりました。例えば結核患者で入院はしている。それで十五日間くらいはよそへ行つてしまつている。半月くらいは帰つて来るというような人もあるのだ、こういう人は退院してもらつたほうがいいと、こう思つても何もできないのだということで、これはいいか悪いか、個々の場合であるから、私は言うのじやないですが、そういう事実としていろいろ言つている。ですから根本は社会局長はもつと末端の人たちに安心して仕事ができるようにやはりいろいろ指示を与えなければいかんと私は思うのですね、不親切だと思うのです。彼らは板ばさみで神経衰弱になつてしまうと言つておりましたよ、団体交渉みたいな格好になりましてね。だから政府からは具体的な指示はもらえない、我々は末端からの大衆からは要求を受ける、もうやるせがないのだと、こういうわけですね。これは大いに局長認識を新たにして頂きたい。予算は足りない、もうきまつてしまつた、これをどうにもできないのですな。この足りない予算を一つ工夫してですね、大いに……。ところがそういうことになるとすぐ役所は医療扶助を打切れ、もう対象がうんと、まあ援護をうんとやろうと、こういうふうなんではなしに、一つ根本的に大いに考えてもらつてね、末端のケース・ワーカーその他の人たちを何といいますか、勇気ずけて働いてもらうように、大事な仕事ですからそういうことを一つ、これは質問じやありません。やつてもらいたいのです。みんな訴えていましたよ。
#43
○政府委員(安田巖君) 今の御指摘になりました点は、誠に御尤もでありまして、私どもも第一線のケース・ワーカーと成るべく接触する機会を作らなければいかんということを考えております。年に一回か二回ぐらいは全国の福祉事務所長会議というのをブロツク別にやつております。それから各福祉事務所等にスーパー・バイザーというのがおりますけれども、これを集めた講習会をやりまして、それから更に年四回やつております研修がございますが、そういうのにもケース・ワーカーをよこすようにしております。なかなか忙しいので、人を出すことが困難な状況でありますけれども、それでもやはり集つて来るようでありますので、そういう機会を利用いたしまして私どものほうでは考えを申述べておるのですが、決してそれで十分とは思われませんが、今後そういう点十分気を付けて参りたいと思います。
#44
○藤原道子君 一つだけお伺いしておきたいのですが、私も全国を廻つてみると、非常にオーバー・ロードで倒れる人が多いのですね、非常に苦痛を訴えられるのです。局長は何人ぐらい受持つてやることが妥当と考えておられるか。今非常に過重労働だと思うのですが、これに対しての対策をお考えになつているかどうかということが一つお伺いしたい。
 それからいま一つは、ベッド数が足りないために、入院させる場合にすぐ入つて手術ができてすぐ帰れる人、こういう人を優先的に入院させているのですが、それで相当菌が出ておるにもかかわらず、長期を要する手術の対象患者でない場合には入院が認められない、こういう状態になつているのです。私どもから考えると、菌のどんどん出ている人こそやはり早く隔離すべきではないかと思うのですが、ベツド数の回転等と関連してそういうことが現実に行われるということが一つ。それから早期に入院すれば早く癒るのに半年とさつきお話ございましたが、半年ならいいほうで、一年ぐらい入れないという実情でございますが、この間にうんと病気は重くなるのですね。そういう場合には一体国費が却つて無駄に使われる結果になるのではないか。早くすれば早くなおる、それが遅れたために何年も治療しない、遂になおらないような結果になるということと、それからその間に家族伝染これが非常に私恐るべき問題じやないかと思うのですが、これらに対して局長はどんな対策を持つておいでになるか。
#45
○政府委員(安田巖君) 結核ベッドの回転の問題でございますが、私どもの立場からいたしますと、医療扶助を適用するかどうかということを考える場合には、やはりお医者さんに意見を聞かなければならんと思う、我々のほうとしては……。療養所のほうでは早くなおる者を成るべく入れて、そして回転をよくしようという考えを持つているのにかかわらず、我々のほうはそれと意に反した者ばかり送るというわけにいかん。そこでこれは一つ医務局等の考えもございましようし、十分そういうところと相談いたしまして濃厚感染源を一つ早く隔離しなければならんということは予防的な面から見ればその通りでありますし、又手術等をしたり、又入院させれば直ぐなおる者を先に送るということになれば、治療という面から見ればこのほうが効果がある、そこのかね合だと思いますので、よく又相談してやりたいと思つております。
 それからケース・ワーカーが過労だということでございますが、これは大体都市におきまして一人のケース・ワーカーを被保護世帯八十世帯、それから農村が六十五世帯ところが現在その充足率を見ますというと、いわゆる現業員、ケース・ワーカーでございますが、現業員では大体市部は一〇二・七%で、定員より多くいる、郡部がやはり足りない。これは大体八八%となつておりまするが、八八%、一二%だけ人員が足りないわけでございます。それから指導員というのがございまして現業員の上にスーパー・バイザーがおりますが、これは市部の九三・八%、郡部が非常に少くて五〇%くらいになつておるわけであります。こういう点にオーバーワークの原因があるかと思いまして私ども実は監査等に行きますというと、普通の私どもの係員が監査に行きましても知事さんや、副知事さんに会うくらいな元気で会つて、そして向うにもう少し置いておいてもらわなければ困るということを申す。それからひどいのは、私の名前で通牒などを出すときに、これ以上整備しなければ国庫扶助を打切るということを言つておりますが、何しろ今の地方財政の現状でございますために、人員整理はやるけれども、殖やすことは絶対にやらない。その関係で私ども非常に考えておるのであります。そういう点、それの苦しい事情というものはよく承知いたしております。
#46
○藤原道子君 それなら局長は適正なその何といいますか、運営ということを督励していらつしやるけれども、今の五〇%、八〇%というような状態で、どうしてこれ以上正しい運用が行われるか、どうしておやりになるつもりであるか。地方財政の問題だけでは片が附かない……。
#47
○政府委員(安田巖君) 実際仕事をいたします場合は現業のほうで郡部が一割二分くらい足りないということであつて、これはいろいろ制度を考えました場合に、六十五世帯に一人とか、八十世帯に一人ということでやつておるのでございますが、併しそれがなかなか充足されないということになりますと、それを声を大にして叫んでみたところで仕方がないのでございますので、どうしてやるかと言われますと困りますけれども、そこは一つ工夫をいたしまして、そうして何か仕事に工夫をして足りない人数を補うとか、或いはそのチーム・ワークということを考えてお互い助け合うということで、その足りないところを補うとか、或いはその他の社会的施設がございますので、そういうものをうまく動員するような工夫もしなければいかんと、そういうようなことで実は努力いたしておるわけでございます。
#48
○藤原道子君 私はこの生活保護法の運営は非常に大事な問題であるにかかわらず、何といいますか、非常に弱い人が対象であるものですから声が上らないようですね。で、これらの人を相手にして働いてくれている社会福祉主事の人たちの御苦労というものは我々の想像以上だと思うのですが、こうしたことがもつと真剣に考えられなければ、いつも仕方がないということで忘れられて下積みになる。ところが地方に行つて見ますると、上できめたようなことばかりに行かない困難な仕事でございますので、従いまして優秀な人こそ余計に過労になつて、これはあの労働基準法などの問題どころではなくて、夜も朝ももう本当に真剣に寝食を忘れてやつている人が多いのでございますので、この点については局長も熱心にやつていて下さるとは思いますけれども、生活保護法の問題は特別の人が対象であり、特別の仕事だという点から、一つ勇気を持つてもう少し真剣にやつて頂きたい。どうも声なきものがいつも忘れられる傾向にあることが、このいろいろな社会悪を生む原因になつている、社会悲劇の原因になつている。こういうことをなお一層考慮に入れて頂きたいということを私は強く強く要望しておきます。
#49
○政府委員(安田巖君) 一々御尤もでございますので、十分一つ考えて、努力して参りたいと思います。なおちよつと申し忘れましたけれども、市部においては大体標準まで行つているわけでございまして……。
#50
○藤原道子君 あなた行つて会つたことがありますか。局長直接に行つて会つてもらいたい。係員が行つたつて駄目なんだから。
#51
○政府委員(安田巖君) 今までも会つているのでありますけれども、今日お話を承わりましたから、今後も一層一つ地方に出ましたら会うようにいたします。それで郡部がどちらかと申しますと、地域が広うございますので、廻わりかねたのでございます。そこで近頃はやつておりますスクーターとか、モーター・パイクとか、ああいうものを成るべく買つて、機動力をつける。どうせいつになつたつても十分なということは言えそうにありませんから、そういう点で私どもとして工夫をしてやつて行きたいと思います。
#52
○委員長(上條愛一君) それでは社会局長に対する御質疑よろしうございましようか。
#53
○藤原道子君 次に譲ります。
#54
○委員長(上條愛一君) それでは児童局長に対して御質疑を願います。
#55
○竹中勝男君 今度この委員会から調査に、視察に出ましたのですが、生活保護法の適用の実際についての問題と同時に、児童福祉に関する調査視察もしたわけでございますが、殊にこの児童保育所の問題ですが、やはりこの保育所に入れなければならない児童数というものは非常に多くて、実際の保育所の定員数というものはそれに対して非常に不足しているわけでございますが、この前のときにも私が申上げたと思うのですけれども、定員を厳守するということになりますと、その結果としてすでに一割或いは二割の入つている児童をそのまま今度は卒業するといいますか、上級の学校に行く者をあとに残しますと、殆んど新らしく採るということが非常に制限されてしまうという結果になるところが非常に多いのでございます。それで即ち定員を一割乃至二割をおいておけば、それだけ保育内容が低位になるということを御心配になられておられると思うのですが、それが定員主義というものの本質であろうと思いますが、併しながらまだ不完全に放任される児童が非常に増大するということに比較すれば、保育内容が多少不完全であつても、より多くの児童を収容するということが実際的な児童に対する政策、保育所に対する政策であると私どもは固く信じているのですが、この点について私どもの希望と、地方の要望の中にもこの定員というものをまあ少し殖しておきたいという要望があります。又この定員を厳守するということによつてただでさえ措置費の低いことのために経営が困難になつておりますので、折角保育所に転換をされた幼稚園が、もう一度幼稚園に戻ろうとしているところがありますし、又保育所の増設ということが非常に困難な状態になりますので、この保育所政策、児童福祉政策の上に、これは非常に致命的な障害を残すものだと私ども考えているのでありますが、局長のお答えを伺いたいと思います。
#56
○政府委員(大宰博邦君) 保育所の運営につきましては、いろいろ昨年来多くの問題を抱えておりまして、一つ一つこれを軌道に乗せたいと思つて努力しておる状況でございますが、その一つとして今の御指摘の定員の問題を地方では議論しておるように私も存じております。それでこの定員制を厳守するということにつきましては、私ども昨年の七月に地方に通牒を出しまして、今年度内を余裕期間といたしまして二十九年度からはこれを実施するから、それに即応して準備してもらいたいということを言つておるわけであります。なぜこの定員制を実施いたしますかということを申上げますと、大体二つの面からこれを取上げざるを得ないわけでございます。お話のように今日保育所に入所させたいという子供は遥かに定員の数よりも多いのでありますので、まあ少し無理してでも入れたらどうかという議論もあるかと思います。殊にこの国家予算が相当圧縮されて参りまして、殖えつつありますけれども、その増加割合が全部の需要を賄うに足りないということになりますると、当然定員をオーバーして入れるという問題になつて来るかと思うのでありますが、これは二つの問題を先に解決しておかなければいけないのであります。その一つの問題は、保育所に関します最低基準というのが厚生省令で出ておるのであります。これは最低基準と申しますのは、児童福祉施設に関して、運営について最低の基準を設けてあるために、これを割つてはいけないということになつておるわけでございます。内容としましては保育所を運営しますについて、例えば保育所の坪数が児童一人当りどれくらいなければいけないか、或いは保姆さんが児童何人について保姆さん一人を置かなければいけない、或いは保育時間であるとか、保育のやり方であるとかいうようなことがそこに書いてあるわけでございますが、その中で特に二つの点がこれにからんで来ると思うのであります。一つは、保育所のこの保育室についてこの幼児一人について〇・六坪という制限がございます。それからもう一つは保姆さんが大体まあ普通の場合でございますると、満二歳以上の幼児についてはおおむね三十人について保姆さん一人を置かなければいけない、こういう基準が出ておるわけでございます。それでこれを、若し定員をオーバーして入れるとなりますると、この最低基準の違反になるわけでございます。それは法律の違反になると同時に、実質的には保姆に非常な負担をかけ、それから児童の保育についても支障を来す。実はこの面についていろいろ検討しおりますが、一例を申上げますると、現在の三十人について一人保姆を置くということにつきましても、保姆さんたちの中から申しますると、それがもう実はもつと二十五人に一人ぐらいにしてもらいたいのだ、併し今日三十人に一人ときまつているのだから、せめてこの線を維持してもらいたい。こういうことが、保姆さんのほうからの圧倒的な要望があるわけでございます。それから保育室などについて児童一人当り〇・六坪ということにつきましても、保姆のほうの立場から申しますると、これを更に圧縮してたくさんの子供を入れますると、御承知の通り子供というものはおとなくしておりませんので、しよつ中いたずらをしたり、かけずり廻つたりする。そうするとすぐ肩が触れ合つたとか、ぶつかつたとかというようなことでもつて泣いたりわめいたり、それから喧嘩をしたりする。そういうことが同時に又保姆さんのほうの負担になりまして、この保姆さんの神経をいらだてるというようなことからいたしまして、保姆の方々のほうからはこの最低基準というものは絶対に維持してもらわなければ困ると、まあこういうことを実は申しておるのであります。これに対しまして主として施設長の側でございまするが、このほうではあの最低基準というものについても、実は科学的な根拠というものもはつきりしたものを自分たちが納得するのはきめていないんだ。だからその点についても必ずしもあれが絶対的のものとは思わないし、それからお話のように今日外にたくさん放置されている子供のことを考えれば、そんなことは或る程度無視したつていいんじやないかということで、主として会合を開きますたびに、主としてではございませんが、各種の大会、会議などにおきまして、施設長側と、保姆の側とが真正面から対立せねばならんことになつて来ておるのであります。それで私はこの問題につきましてはやはり只今の段階といたしましては、この施設長の側の人の言うことの気持もわかるのでございまするけれども、やはり第一線に働いておる保姆さんの気持というものもこれは無視できない、そういう面から経済的には施設長のまあそういう意見を尤もと思うことがありましても、軽々には賛成できない。それで実は二十九年度におきましてさような最低基準につきましてもう少し科学的な面から実は検討してみたいというふうに今考えておるわけであります。仮に検討してみまして、まあ最低基準を若干ゆるめても、保姆さんの疲労の回復、労働の再生産、或いは子供の保育についてさほどの影響がないというようなことになりますれば、それはそれとして又そのときに保姆さんにも話して、こういうことなんだからという話の余地は又出て来るかと思う。又反対に今の基準はどうしてもこれを維持して行かなければならないんだということになりますれば、これを又施設長側に話しまして、施設長側の人にも納得してもらうということも出て来るだろうと思います。まあこういうような問題はやはりそういうようなふうにして保育事業に従事いたしまする施設長、保姆、さような人たちが皆納得してやつて行くのでなければ、必ずあとにまずい結果が残る。さようなふうに考えて、この二十九年度におきましてさような点についても少し専門家の手を煩わして検討してみたい、その結果を待つて又考えて行きたいというような気持でございます。
 それからもう一つの面は、先ほどもお話があつたと思いますけれども、財政の面でございます。御承知の通り昨年来保育所の非常に大きな問題は保育所の援護率と申しまして、この保育所の経常費について父兄から取るのが建前でありますけれども、取れない分については公の費用で見る。その取れない割合を援護率と申すのでありますが、この援護率につきまして一応予算では経常費の三〇%というふうに組んでおる。つまり七割は取れるが、三割ほどは恐らく取れないだろう。全体に換算しての話でございますが、そういうふうにして予算を実は組んでおるのでありまするが、地方の実情はその七割が父兄からとても取れない、むしろ逆に三割か四割しか父兄から取れないのであつて、従つて援護率は六割か七割にしてもらわなければ困るというような要望が昨年来強く出ておるわけであります。当然さようなふうにして参りますと、保育所の経常費に穴があく、赤字が出る、これに対して国のほうで面倒みてくれるかどうか。この問題が非常に大きな問題になつて参るわけでございます。かような保育所の運営について大きな問題をまだ未解決のままで私どもは抱いておるわけで、目下鋭意これの打開に努力しておる最中でございますが、まだ未解決で抱えておる今日の状態からいたしますと、この保育所の定員内の赤字についても今のような大きな問題を控えております際に、更に定員をオーバーした分についてその赤字の問題というものを今日更にこれを持つことが是か非かという問題にもなつて来るかと思うのであります。当然定員をオーバーしてまで入れるという上からには、そこに入れる子供はやはり保育所に入れなければならない下層勤労階層とか、或いは親が入院しておるために面倒みる人がいないというような子供になるわけでありまして、これを金持の、まあ金の取れる子供だけ入れるのであれば、これは経常費の運営が楽になりますが、それでは定員をオーバーしてまで入れた趣旨は没却されるわけでありますから、当然これはさような困つた子供を入れるということになつて参ります。そういたしますと、保育所の運営は定員内の赤字にプラス定員をオーバーした分が嵩むわけであります。実はそういう面までも財政当局と渡り合つて獲得するということにつきましては、私ども今日の段階ではまだ自信がないのであります。それにもかかわりませず、ただ地方でそういう安易な、安易と申してはあれですが、地方のそういうすなおな要求をそのまま鵜呑みにして定員超過を認めるということになりますと、これは財政面で申しますと、いよいよその赤字の穴を埋めるということについては到底できなくなつて、そうしてこれは廻り廻つて市町村費の負担が殖える、それすらもカバーできないことになりますと、今度は子供たちの面に最後にはしわ寄せが行く。こういうことになりますと、結局におきまして保育所の運営というものが阻害されるということになつてしまう。さような考えから今日のところでは、地方ではいろいろ申しております、私どももそれに対して堅持するのは非常に辛いのでありますけれども、今日の段階では涙を呑んでもこの定員制を厳守して行かなければならないというような気持で現在おる次第であります。
#57
○竹中勝男君 今の御説明大変よくわかつたのでありますけれども、その児童局長のお考えと社会局長のお考えとは逆のように私思うのですが、先ほど藤原委員は、一人当りの担当標準以上に担当しておることはケース・ワーカーに対して非常な神経衰弱にならせるような過労であるということに対して、社会局長は、現実がそうなんだから、過労でもそれをいろいろ工夫して、一人でも多くの要援護者、被保護者を担当するということが現在の社会局の考えだと言われるのに対して、あなたのは又逆に、保姆さんの立場だけが守られなければならないということなんですね。保姆さんの過労ということが一番重要で、これだけを守らなければ、結局においては保育所というものはよくならないのだということになるわけなんです、あなたの返事は……。ところが、これは現実を最も無視したことで、そうして又将来において財政のしわ寄せが児童に来るというあなたのお考えですけれども、現実において一番先に来ておるわけなんです。第一放任されておる児童というのはそこに国家の財政の児童に対して行くべきものが行つていないからして、放任されておるという事実が一番大きなしわ寄せなんです。児童の家庭生活にしわ寄せされておるということなんです。これは児童局長、保育所というものは一つの社会政策なんですから、勤労者の子供を保育所に収容しなければ、今日の生活扶助というものはどんどん殖える。のみならず、生産的な労働力に切換えることができない、家庭にいると……。だからこれは余りに一方的な、余りに理想主義的に、児童に関する限り、この児童保護、保育所に関する限り、非常にモデル・ケースをどこまでも主張されるということが私にはわからない。これが政策の根源だということも私にはわからない。もつと政治というものは、行政というものは現実に即して、現実の問題、こんなにたくさん溢れておる子供をどうしてこれを処置するかということが問題だろうと思う。
#58
○横山フク君 私も同感なんでございまして、局長の話を伺つておりますと、一体どつちが主になるのかしら、保姆さんのために園児がいるのかしら、園児のために保姆さんがいるのかしらといつた、ひがみで言えばそうとれるような形の印象を受けるのですね。理想的だからそうなるのか知らんが、私たちそう受ける。実際私たちお産に行つた場合なんか、四畳半に六人家族がいるざまでございます。夜蒲団を出してしまうと、押入れに子供たちが寝るというところもある。そういう家庭の人たちがそこに児童のある場合に、〇・六坪という問題も、実際の日本の生活状況との睨み合せてやつて欲しいのじやないかと思うのであります。保育所の保姆さんの過労という問題もわかりますけれども、と同時に児童の実際の生活状況との睨み合せという問題から来るのではないかと思うのであります。もう少し実際に即した基準というものがあつていいのじやないか。日本の基準、アメリカの影響を受けたのでない基準というものがあつていいのじやないか。日本の大多数の貧困家庭というものを見ても、この基準があつていいのじやないかと思います。ただ実際にそのために収容児が多くなつて、そうしてそのために赤字が多くなるということの問題に行くと、先ほどの後段の局長のお話はよくわかるのでありまして、まあ予算措置から来なければならんと思いますけれども、基準の改訂をなさる場合に、そういつた実際の生活状況というものもよくお考え合せになつておきめ頂けたら大変結構だと思います。
#59
○政府委員(大宰博邦君) 竹中委員それから横山委員のお話もよくわかりました。又まま前にもそういう意見があつて、伺つておるわけであります。いずれにしましても、それは法令の違反になるのです。むしろ私どもの今の行き方といたしますれば、結局保育所が足りないということになるわけであります。保育所をもつと多く殖やす。それからそれの経常費についても今のようなことでなしに、もう少し考えてやる。そういう問題になつて来ようかと思います。
 その次には、若しそれが十分でないから、今の施設をもう少しフルに使うということになりますれば、最低基準のこれを改正をしまして……、厚生省令でございまするから、やはり私どもといたしましては、むしろ最低基準というものを改正いたしまして、これでやつて行く。こういう問題にまあなつて来るかと思います。かように考えておるわけであります。私は決して保姆ばかりの味方をしているわけではありませんので、それは勿論保姆というものは、案外発言力が弱うございまして、施設長の発言力は強いのでございまして、保姆の立場を考えまして、私はそういう人たちの気持ちというものを、発言力が弱いだけに考えてやらなければいけない。そういう気持ちで申上げたわけであります。同時にそれは飽くまでも児童の保姆でございまするから、児童の立場がそれでなおざりにされてはいけませんので、その辺のことは、御意見のほどをよく承わりましたので、将来のことは研究して行きたいと思います。
#60
○竹中勝男君 今のは結局問題は、無論施設が足りないからですが、そこに問題があるのですけれども、何か児童局としては施設を殖やすということについてどういう積極的な御努力があるのですかということをお伺いしたいのが一つと、それからやはり現在のように、この措置の、実は援護率三〇%ということも、今後保育所の殖えて行かないということの一つになると思いますが、これもやはり逆に七〇%くらいにされることが現実の要求だと思います。それから局長はこの一カ年二十九年度において研究して、その結果によつてこの法令を変える場合があり得ると言われるのですが、すでに法令の点で何%、何十%くらいは余分に取つておつたことを認めて来られたのですから、この研究の期間、即ち二十九年度はやはり従来通り定員をオーバーして入れていることを認められるのが私は当然だと思うんですが、研究期間は、少くとも二十九年度を研究期間だと言われるのだつたら、それはもう一年延ばされるということが合理的だと私は思うんです。
#61
○政府委員(大宰博邦君) 施設を殖やしますことにつきましては、年々国の予算で児童福祉施設の整備費というのがございまして、その中で大半と申しますか、半分近くのものは保育所にこれを振向けているような次第でございます。これは年によつてやはり若干、今年あたりは私どもの力が足りませんでした故もございましよう。一兆円という緊縮予算の煽りを喰いまして、設備費が減つております。併しながらこれは今後御支援を頂いて、一年ぽつきりの関係じやございませんので努力して参りたい。
 それから援護率の問題につきましても、この三〇%というようなもので足りるか足りないかというお話でございますが、これは実は昨年以来財政当局とも折衝して参つたのでありまするが、不幸にしてこれを改正するということが今年度はできなかつたわけでございます。併しながら私ども何もかでも予算をたくさん取ればそれでいいというわけのものではないことは勿論でございまして、保育所の運営というものをやはり私ども謙虚に振返つて見る必要もあろうかと思うのであります。御承知の通り二十七年度まで三カ年間というものは、これが平衡交付金制度の中に入つておりまして、地方の運営に委せられておつたわけでございます。今日から振返つて見ますと地方の運営はまちまちな点が非常に多うございまして、これをやはり国庫負担制度になりますと、これを統一的な基準の下に運営されるようにしなければならないわけであります。不幸にして昨年、今年度の間にこれの検討を要する点を全部検討して軌道に乗せるということが実は完了できなかつたのでありまするが、これを二十九年度中には是非完了いたしまして、検討するものは検討し、合理化するものは合理化をして、そうして見てなお援護率が足りるかどうか。足りないということになりますれば、その場合において初めて財政当局との折衝に当り、これほどの努力をしてまでなお足りないのだということを強く主張もできるかと、かように考えているわけであります。この点は今年度に引続いて明年度におきましても努力して参りたいと思うのであります。
 なお、先ほどの最低基準の点について二十九年度に検討するということを申上げたのでありますが、これはちよつと誤解を招くと困りますから、別にあれを緩めるというような意味で検討するのじやございませんので、現状というものを白紙のままで検討して見て、それに基いて諸般の社会の客観情勢その他とも睨み合わせて、今後のあり方を白紙のままで検討して見るということでございます。いずれにいたしましても二十九年度に検討する、その間は現状のままで行くというほうが合理的じやないかというお話でございますが、今日まで決してこれをよろしいといつて私どもあれをやつたわけじやございません。即ち二十八年度から国庫負担制度に戻りました際に、この問題は当然にすぐ手を打つべきであつたわけなんであります。これが暫定予算その他の関係で遅れて参つたのでありまするが、昨年の七月にはこの点について実行するようにという通牒を地方に出したわけであります。併しながらそれを早急に実行すると言いましても、すでに年度半ばになつておりますから、一年と申しますか、今年度末まではそれを余裕期間として置いたわけでございます。この辺は意見の相違になるかも知れませんが、検討は検討いたしますけれども、少なくとも現行の法令でそういうふうになつております。而も財政的にこれをあとの面倒を見るという点について自信が持てないならば、私は良心的な行政をやるものとしては、やはりその間一時的にでもこれを現在の法令の命ずるままに、通りにさせるようにすべきであろうと思つて、そういう措置をとつた次第であります。
#62
○堂森芳夫君 竹中委員の御発言とダブるようになりますが、特に太宰局長は、保育所に対して、定員を厳守しようという意向で強く地方の各保育所にそういうふうな意向を徹底さしておられるようですが、援護率が三〇%、こういうことである限り、保育所として、皆自費によつて中へ入つて来る。入所して来るという人をやはり殖やさない限りやつて行けないということなんです。ですから太宰さんのおつしやることは一つの矛盾が僕はあると思うのです。末端でやつておる人は何とか金の辻つまを合せなければならんから、援護率が殖えない限り、自費で入るものを可能な限り殖やす。勿論これは定員の少いほうがいい。これは勿論誰でもわかることでありますが、少いほうがやはり子供の躾はいいし、目は届くし、子供の環境としては二、三十人くらいは非常にいいと思う。併し現実にはそれでは行かないわけです。援護率が殖えない。従つてだから自費の入所の子供を殖やす。従つて保姆の負担がかかる。こういうことになつて来る。これは私くどく言うのではありませんが、ですから私今定員にのみ縛つてこの運営をなさるということは、非常に末端としては困つておると思います。我々末端のそういう託児所を歩いて見てそう思うのです。又百人、二百人という託児所でありますね、これは全くひどいものだと思いますけれども、これは止むを得ないのです。そうしなければやつて行けないという現実を太宰さんは頭に置いて頂きたいと思います。
#63
○藤原道子君 二十九年度を研究期間にするとおつしやるけれども、今堂森委員が言われましたように、三〇%の援護率で行くという場合に、これはどうしてもそれじややつて行けないから、有料のを入れるということになると、出て来る結論は研究期間にならんですよ。やはり三〇%で行けるじやないかということで財務当局で言われたらどうするかということ、それから三〇%の援護率で良心的にやつて行つた場合に、必然的にそこに赤字が出て来るという場合の措置等について局長はどういうふうに考えられておるか。いま一つは、措置されるべき児童がどのくらいあつて、そうして措置されずに放置されておる現状について、局長はどういう見解を持つておるかという点、関連してお伺いいたしたいと思います。
#64
○政府委員(大宰博邦君) 私どももまま聞くのでありますが、地方の施設の側から申しますと、援護率さえ高めてくれるなら定員の上でやれる、自分たちが今やつているのは自衛策だ、こういうことです。確かにそれは今までのように国が三〇%で、あとはもう何もしないのだということになりますれば、これはもう自衛策としてもそういうことをとらざるを得ない。これもいたし方がないと思うのでありますが、併しそういうふうなことでやつておりました場合に、当然その保育所の運営が不健全なことはいたし方ないのでありまして、入れなければならない子供がございましても、それは放つておいて、そうして三〇%になるように適当に混ぜてやる。そうすれば、当然さして保育所に入れる必要のない子供までそこに入つて来るということになります。その点につきましては、私のほうでそういうふうなことを認めたのでは、これは永久に援護率がどうのこうの言つても議論にならないと思います。大蔵省のほうで、まるで三〇%で請負制度としてやるということになるんで、それじやあとまあ適当に入れてくれというふうなことになる、それで私の今の気持を率直に申上げますと、私のほうで大蔵省に援護率を三〇%で足りない、仮に足りないといたします。これを上げる、その議論を今仮に持ち出してみましても、向うに対してこちらが突つかれる点もあるわけです。というのは、先ほど申上げましたように、私どもが検討しなければならない点があるわけであります。例えて申しますならば、田舎に参りますると、措置を要しないような村会議員とか、区長とかいうような人の子供が顔で入つておる。而もそういう人からは全額費用を取つているかというと取つていない。田舎だから取れないのだという、頭からきめてかかりまして、二百円から三百円しか取つていない。それが同時にみんな措置を要する子供の費用のほうに食い込んで来ておる。さような点は、これは当然何も財政当局を例に出すわけじやございません。この国会におきましても、私御忠告を受けたことがございます。かような点については、やはり私どもとして検討しなければならん点があるわけでございます。これを早く検討を了したいと思つておるのでありますが、不幸にいたしまして、二十八年度のうちにこれが検討を得なかつたわけでありますが、これは大体二十九年度の前半くらいの間に、私は検討を終えることができると思うのでございます。それで合理的に直すものを直しまして、そしてなお且つ三〇%の援護率が足りないというならば、そのときこそは、私はどこへ出ましてもこれは堂々と主張できる、お願いもできる、又御批判も仰ぐことができると思うのでございます。さような場合に、決して国の三〇%の援護率というものは固定的なものじやございません。それだけ良心的にやつてみても、なお且つだめであるという点になりますれば、必ずやこの援護率の問題につきましても、これが解決の糸口になるのではないか。従いまして勿論援護率は全国平均でございますから、今でも何もあらゆるもの三割というわけじやございませんけれども、やはり全国集計して見まして三〇%では足りない。それでそのやり方について、一応良心的にみんなやつてくれているのだということになりますれば、そこでこの問題が初めて解決できる。どうも一年間やつて来ました例によりますと、やはりそういうふうな道をとつて行かないと、これがうまく行かないのではないかというような感じを持つておるわけでございますので、もう暫らく御猶予を頂ければ有難いと思うのでございます。それからあとの……。
#65
○藤原道子君 良心的にやつていて赤字が出た場合に……。
#66
○政府委員(大宰博邦君) それで赤字が出た場合でございますが、実は今年度の分につきましては、御承知のように予備金から五億出しまして、これの始末をつけておるわけであります。只今やつておりますのは、大体只今までの中間報告では、この予備金の五億と、それから既定の予算等で以てお叱りを受けるような無駄なことをしないで、これが大体解決ができるというような見通しで、実はほつとしたような程度の気持を持つておるわけであります。それで明年度につきましても、明年度予算の概算要求の際にも、何とかして多少とも援護率を高めて行きたいと思つたのでありますが、不幸にしてこれを現状維持で行かざるを得なくなつたのでございます。併し先ほど申上げましたような点を検討いたしまして、そうしてまあどうしても足りないということになりますれば、当然明年度分につきましても今年同様予備金で以て考慮するように努力をして、同時にそういうような点が各方面の御認識頂きますれば、まあその次の年度からはもう予算の当初から少しふくらまして行くというような程度にでも漕ぎつけて行きたいというように今のところ考えておる次第であります。
#67
○藤原道子君 措置されるべき児童どのくらいと見ておられますか。措置さるべき児童で未だに放置されておる児童……。
#68
○政府委員(大宰博邦君) 昨年の七月でございましたか、全国の抜き出し検査で調べたものからの推計でございまするが、やはり保育所に入れるべき子供というものが約十八万ほどの推計になつております。こちらは勿論正確な点は、推計でございますから言えませんけれども、まあ少くとも百人定員の保育所につきましても更に千八百くらいでございますか、それくらいのものが必要である、こういうふうなことになつておるわけであります。従いましてここ一、二年でさような子供を全部解決してしまうというわけには行かない問題だとは存じておりますが、この点については努力をするという以外には、ちよつと今のところはお答えいたしかねる次第であります。
#69
○藤原道子君 そうするとその千八百カ所作るのにどのくらいの予算が要りますか。
#70
○政府委員(大宰博邦君) 今国会で御審議を煩わしております明年度の概算要求で申しますと、新築百カ所の分につきまして二億でございまするから、約一カ所当りその割でいたしますと、国の補助の分二百万円、勿論そのほかにちよつと若干増改築がありまするから多少下廻るかも知れませんが、百七、八十万円くらいになろうかと思いますが、その割で計算して行けば大体の見当は出るかと思います。これは国庫負担分でございます。
#71
○竹中勝男君 これは希望なんですが、これはやはり児童問題は、厚生省の行政の上で非常に重要性を持つていると思いますが、これは世間で考えているよりもはるかに重要性を持つものだというふうに考えております。一つ局長慎重に研究して頂いて、幾らかあれの上で自信を以てやられるということは私は大変賛成なんですけれども、現実の問題としても、又十分に考えて頂きたいと思うのです。併し一面あらゆる学校教育でも、労働行政でも、日本の国民経済の現状からするとアンバランスのような経済なんですから、まあ不完全なことをとにかくやるという、これが現実なんですから、児童行政だけどうも固苦しくならないで、応急的な措置ということはあらゆる点で日本の行政上手を打たなければならん点だということもお考え頂きたいと思います。
#72
○藤原道子君 いま一点だけ……。当委員会では児童福祉法の審議以来幼稚園と保育所の一本化という問題、それから少年法ですとか、児童福祉法、これはやはり二本建になつておりますね。これを一本化すべしという声が相当強いのでございますが、局長はこの保育所と幼稚園の一本化、それから少年保護法ですか、少年法と児童福祉法の一本化についてどういうような御見解を持つておられますか。
#73
○政府委員(大宰博邦君) 純理論的に申上げますと、幼稚園はやはり教育機関でありまして、義務教育前の幼児教育というふうな建前になつております。それからまあ保育所は申上げるまでもなく児童福祉の機関でございます。その辺におきまして根本的な差違がある。それがいろいろな点に現われて参りまして、例えば向うのほうはこの子供を扱う時間が午前中で以て昼から帰すというような場合がありましても、こちらのほうは夜お母さんが引取りに来るまで何時までも待つているというようなこともございます。それから又向うのほうは義務教育でございませんから、この幼稚園に入れる人だけ入れる、貧乏で金を納められない人があればそんなものはオミツトしても一向差支えない。こちらは金が納められない人は、却つてそういう人こそ考えてやらなければいかん。そういうような面でいろいろな点でニユアンスが出て来ると思います。勿論保育の内容は相手が心身未成熟の子供でございますから、そのあらゆる場合において教育的な考慮というものが払われなければならないことはこれは申すまでもないのでございまして、やつていますところを見ますと幼稚園も折紙をやつている、保育所も折紙をやつている、似たところはあると思いますけれども、やはりその本質から考えて参りますれば、私はそこは判然と区別されて行くのじやないかというふうに考えております。それから少年院でございますか、あれは申すまでもなく司法権の作用としてのあれでございます。それから私どものほうのあれに準ずるといたしますと、やはり教護院というのが差当りの一つの例になると思いますが、これはやはり同じ性質のものでも、これは児童福祉の機構ということになつております。児童でございますから、例えば大人と違いまして、まあ心身の未成熟という点からいずれも考慮いたしまして、たとえ仮に間違つた行為がそこにあつたからと言つて、直ちに司法権の作用とかいうようなことをするのが果してその子供のために適切な方法かどうかということもまあ考えなければならない。さればと言つてやはり児童であるからと言つてあらゆる場合においてもう責任は問わないのだ、もう福祉々々で行くんだ、これも許されない、御承知の通り今日では十四歳未満の児童であります場合には、その犯した仮に行為がどのような行為でありましても、全部児童福祉のほうでやつている、仮に十四歳以上になりますと、或る程度の責任能力があるとされまするので、それ以上になりますと、事の軽重によりまして、少年院なり、或いは向うのほうに司法権の作用のほうに移つて行くと思います。さような点で以て一応理論的に区別をされるのですが、併しその間の連繋というものは絶えず密接にとつて行くわけでございます。御質問の趣旨がこれをどういうふうにしたらいいかというのでは、そうじやございませんか……。
#74
○藤原道子君 局長の見解を伺つたのです。幼児教育ということは大事なことで、これは平等でなければいけないと思います。貧乏人の子は幼児教育は要らないかということになる。でこれは随分議論のあるところでございますが、今日は時間の関係もございますから、局長の見解を伺いましたが、いずれ又改めて……。
#75
○委員長(上條愛一君) それでは派遣議員の報告に対する質疑はこの程度にいたしたいと思いますがよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#76
○委員長(上條愛一君) それでは次に医療法の一部を改正する法律案について政府委員の説明をお聞きしたいと思います。簡単でありまするので御承認願いたいと思います。
#77
○政府委員(曾田長宗君) 本案につきましては、提案理由の説明として政務次官より申上げましたことに更に特別附加えて申上げることもないと思うのでありますが、一点だけ申述べさして頂きたいと思います。
 この案を提出いたしますについての一つの根本的な考え方といたしましては、私どもはこの診療施設のうち病院と診療所というものの中にはただ規模の大小ということだけではなしに、その性格、役割というようなものに根本的な相違があるというふうに考えておるのでありまして、即ち病院は患者の収容、診療に当り、診療所はいずれかと申しますれば原則としてはこの外来診療を主とするものである、こういうような点から、ただ単にベツドの数が十九床以下であるか、二十床以上であるかということだけではございませんで、その機能を十分に果されるというような意味から、この病院には病院としての特殊な設備を整えて、又それに必要なその機能を十分果し得る人員も備えるということが必要だと考えておるのでありまして、御承知のように医療法には、特に病院に対してはいろいろ物的な施設及び人員の整備について細かい規定が定められておりまして、診療所より以上にこの物的人的の整備を図らなければならんということになつておるわけであります。こういうような点についての原則は私ども今後の医療機関の整備を図つて行きます場合にも、やはり堅持して参らなければならんものというふうに考えておるのでありまして、そういう点から参りますれば、理想的に考えますならば、診療所は一切患者を収容しない。収容を要する患者はすべて病院に収容する。少くとも病院の物的、人的の要件を備えておりますような相当整備した医療施設でなければ入院診療は行わないということが望ましいと考えておるわけであります。
 併しながら日本の現状といたしましては、かような原則を窮屈に実施しようということにいたしましても、必ずしも実行が可能でない。地域的にも病院の分布が十分でございませんし、又この病院の分布があるところでも、特に例えば軽症の者とか、或いは緊急を要する場合とか、かような場合には診療所において若干の患者を収容するということが、その患者のためにも非常に好都合であるという場合を認めざるを得ないのであります。
 こういうような意味から、従来の医療法の十三条に定められておりました条項を、そのまま適用して参ることに幾多の支障があるということで、御承知のように昭和二十六年法律第二百五十九号で、本年の十一月十一日までその例外として診療所においても患者を四十八時間以上収容することができるということになつておつたのであります。いよいよこの期限が切れました後において、かような特別措置が不要になるかと申しますと、やはり今直ちにこれを廃止することはできない。これを若干年延期するというようなことを考えてみましても、近い将来にこの特例が不要になるということも予想できませんので、この法律の十三条を改正いたしまして、窮屈にどうしても四十八時間以上患者を置いてはならんということではなしに、併しながら先ほど申上げましたような病院のあり方、診療所のあり方というような点から考えてみますると、やはりこの収容患者というものは病院に収容、治療を行うことが飽くまでも原則であつて、そして止むを得ない場合、又大きい支障のない場合には四十八時間を超えてもかまわないという措置をとることが一番妥当ではないかというふうに考えて、この改正案を提出いたしました次第なのでありまして、これが現在の十三条を改めまして、一つの目標規定にして必ずしもこれに窮屈に縛られないというようなことにいたした、そうして而もさればといつてこの条項を全部削除するという考え方に立ち至らなかつた理由は、今申上げたような事情による次第であります。
#78
○委員長(上條愛一君) それでは本日の各法案に対する質疑は次の機会に譲りまして、本日はこの程度で散会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと存じますので、本日の委員会はこれにて散会いたします。
   午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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