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1953/04/01 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第22号
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1953/04/01 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第22号

#1
第019回国会 厚生委員会 第22号
昭和二十九年四月一日(木曜日)
   午前十時五十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月三十一日委員湯山勇君辞任につ
き、その補欠として安部キミ子君を議
長において指名した。
本日委員竹中勝男君辞任につき、その
補欠として湯山勇君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     上條 愛一君
   理事
           大谷 瑩潤君
           常岡 一郎君
           藤原 道子君
   委員
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           中山 壽彦君
           西岡 ハル君
           横山 フク君
           廣瀬 久忠君
           安部キミ子君
           湯山  勇君
           有馬 英二君
  衆議院議員
           高橋  等君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
  政府委員
   厚生省薬務局長 高田 正巳君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  説明員
   厚生省援護局長 田辺 繁雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○あへん法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○らい予防法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(上條愛一君) それでは只今より厚生委員会を開会いたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案、あへん法案、らい予防法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。提案理由の説明を願います。
#3
○国務大臣(草葉隆圓君) 只今議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の提案理由について御説明申上げます。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法は、昭和二十七年四月、その成立以来各方面の御協力の下に今日に至るまで約百九十三万三千件の裁定をいたしているのであります。
 すでに御承知の通り、遺族援護法におきまして、援護の対象となつております遺族は、戦没者が公務上生じた傷病によつて死亡したものに限られているのであります。尤もこの死亡原因の認定につきましては、太平洋戦争の戦況等に鑑み、極力実情に即するようにいたしてはおりますが、多数の戦没者の中には、なお、公務によるものであると認定できないものも少くなく、すでに約一万九千件がこの故を以て却下され、又現在審査中のもの約六万五千件の中にも同様の理由で却下されるものが相当あることが想定されるのであります。併しながら、このように却下された事案でありましても死没した軍人は、当時兵役の義務を果すため、軍隊の勤務に服し、且つ、厳格な軍紀の下において生活行動が規制せられていた等の軍人たる勤務の特殊性を思いますとき、その死亡の原因は、軍人の勤務と密接な関連性を有していたものと言うべきであります。然るに、死亡の原因が公務に起因すると認定されたときは、遺族援護法、恩給法によつて、遺族年金、公務扶助料及び弔慰金が支給されるに反し、公務に起因しないと認定された場合は、これらの法律その他の諸立法において何らの処遇がなされないという不均衡が生じているのでありまして、よつて、これを是正するため、太平洋戦争に関する勤務に関連して負傷し、又は疾病にかかつて死亡した場合においては、従来の弔慰金の支給対象とならない場合であつても、弔慰金を支給することにいたした次第でありまして、これが今回の改正の第一であります。なお、軍人が支那事変に関する勤務に関連して受傷罹病し、これにより、昭和十六年十二月八日以後において死亡し、又は終戦後、即ち昭和二十年九月二日以後において死亡が判明した場合においても、同様に、弔慰金を支給することにいたしました。この弔慰金は、死亡した者一人につき五万円を支給するものでありまして、従来の弔慰金におけると同様に国債で交付することにいたしておりまして、その支給を受ける者の数は、約七万五千人と推定をいたしております。
 次に第二に、恩給法においては、すでに旧軍人に対し、第七項症の増加恩給又は旧第一款症から旧第四款症までの傷病年金を支給することになつているのでありますが、旧傷痍軍人に対するこれらの措置に応じ、本法においても、恩給法別表第一号表ノ三に定める第一款症から第三款症までの不具廃疾の状態にある旧軍属に対しては、障害年金を支給する措置をとつたのであります。但し、これらの款症にある者に障害年金を支給するのは、結核性疾患等におけるごとく症状の不安定な状態にあるものに限ることといたし、その他の者、即ち症状が完全に固定している者に対しては、障害年金を支給しないで障害一時金を支給することにいたしているのであります。
 以上が今次改正の大要でありますが、そのほか、これらの措置に伴いまして所要の調整を行なつている次第であります。
 以上提案理由について御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重に御審議の上速かに御可決あらんことを切望する次第であります。
 次にあへん法案につきまして提案の理由を御説明申上げます。
  あへんは、国民医療上必要不可欠な麻薬の原料として、極めて貴重なものであることは、申すまでもないところであります。
 このあへんの供給につきましては、国がその適正な調整を図つて来たのでありますが、あへんの国内保有量は逐次減少いたしまして、今後、国が輸入の方途を講ずると共に、終戦直後禁止されましたけしの栽培をこの際復活する必要が生じて来たのであります。又一方我が国は、一九五三年六月ニユーヨークにおいて調印いたしました条約、即ち、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の要請に基きまして、あへんの輸入、輸出、一手買取及び売渡の権能を国に専属せしめる義務も生ずることと相成りますので、これらの諸情勢に即して国民医療の万全を期するために、このたび、あへん法案を提出いたしました次第であります。
 次にこの法律案の大要について御説明申上げます。
 第一に、けしの栽培についてでありますが、あへんの生産計画及び取締上の観点から栽培区域並びに栽培面積を指定し、その範囲内におきまして、適正にして栽培経営能力等を有する者に栽培許可を与え、あへんの生産をさせることといたしております。又、けし栽培の経営につきましては、遺憾なきを期するため、特に、けし耕作者に対しまして、播種前における収納価格の公告、モルヒネ鑑定前の概算払及び災害補償等の制度を設けております。
 なお、学術研究のため、特に、けしの栽培、あへんの採取等を希望する者のために研究栽培者の制度も併せて考慮いたしております。
 第二に、あへんの収納及び売渡について申上げます。国は、けし耕作者等の生産しましたあへんをすべて収納いたしますが、その収納価格は、あへんの生産事情、輸入価格及びその他の経済事情等を考慮して適正な価格を定めることにいたしております。又収納いたしましたあへんは、輸入しましたあへんと共に国が保有し、国内需給事情に即して適正な数量を麻薬製造業者に売り渡し、以て医療用麻薬の適正な生産を期しております。
 第三に、取締について申上げます。あへんは前述のごとく、医療上不可欠の麻薬の原料でありますが、その反面恐るべき有害作用がありますので、従来麻薬取締法に基きまして種々の取締を行なつて来たのでありまして、このあへん法案におきましても、麻薬取締法に則り、同様の取締をすることにいたしております。特に、けしの栽培の復活に伴いまして、けしの栽培、あへん、けしがら等の取扱に関し、新たな取締が必要となつて参りますので、取締規定を整備いたしますと共に、あへん監視員の制度を設けて、取締上遺憾なきを期しております。
 以上が、この法律案の大要でありますが、あへんに関しましては、既に明治十一年薬用阿片売買並製造規則の制定以来、けし栽培を許可しあへんの生産をさせると共に、国はあへんについて専売を行なつて来たのであります。更に、明治三十年には、この規則を整備いたしまして阿片法を制定し、爾来昭和二十三年に至るまで、施行して来たのではありますが、昭和二十年、連合軍総司令部の覚書によつて、けしの栽培は禁止され、あへんは凍結されて、阿片法は事実上死文化しましたため、昭和二十二年麻薬取締法の制定を契機として廃止されて今日に及んでおるのであります。従いまして、今日冒頭に申し述べました通りの事情が生じておりますので何とぞ右の事情御了察の上、慎重御審議の上速かに可決せられんことを切望する次第であります。
 次に只今提案されましたらい予防法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申上げます。
 本改正の第一点は、国立療養所の入所患者の家族であつて生計困難のものに対し、新たに、都道府県知事が、らい予防法に基き、所要の生活援護を行い得ることとしたことであります。患者家族は、生計が困難となりましても患者に関する秘密漏洩の危惧等があつて、現行制度による生活援護措置を円滑に受け得ないうらみがありますので、これらの者をして安んじて所要の生活援護を受けしめますと共に、これによつて入所患者に対しても安んじて療養に専念させるよう、本改正を行おうとするものであります。
 本改正の第二点は、らいの予防及び治療に関する研究を司さどる厚生省の附属機関として、国立らい研究所を設置することであります。将来この研究所の研究の成果により、らい予防事業が効果的に行われ、更に患者の適切な治療の途が開けて行くことを期するものであります。
 以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに可決されますように御願いいたします。
#4
○委員長(上條愛一君) 次に戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する政府委員の詳細な御説明をお願いいたします。
#5
○説明員(田辺繁雄君) 改正案の条文につきまして逐条御説明申上げます。
 先ず第一は、第五条の改正でございます。第五条は本法に規定されている援護の種類が列挙されているのでありますが、これに障害一時金を支給するようになつたので、それをこの条文の中に加えたわけでございます。
 第六条は、障害一時分の支給も、他の擁護と同じに請求者の請求に基いて行うということにいたしたのでございます。
 第七条の改正は、恩給法の第一款症から第三款症までの旧傷痍軍人に対しまして、障害年金又は障害一時金を支給し得る途を開いた規定でございます。この場合年金は結核性疾患など治癒しないものに支給する一時金は外科的疾患による症状、即ち著しい症状が全く固定した場合に支給されるということにいたしたのでございます。
 第七条の但書に「不具廃疾の状態が、厚生大臣の定める場合に該当するときは、」と申しますのは、外科的疾患でありまして、それが完全に治癒した場合には一時金を支給するとこういう規定でございます。この建前は今回改正せられようとしておりまする厚生年金法における障害年金及び障害手当金の制度と軌を一にいたしておるのでございます。第二項は障害一時金についても事後重症の規定の適用を受けさせることにいたします。又第三項は、障害一時金も障害年金と同じように戦時災害によつて生じた場合にいたしたのでございます。なお恩給法の場合におきましては、第一款症から第五款症までを対象といたしておりまするが、本法におきましては、援護法という性格から鑑みまして、極めて軽度な障害、即ち第四款症、第五款症につきましては法律の対象から除いたのでございます。その点は遺族の場合に稼働能力ありと考えられる六十歳未満の者に対して年金を支給しないと同じ考え方に基いておるのでございます。
 第九条は、従来本条の第二項において、有期の障害年金を受けている者が、期限の到来前六ヵ月前までに傷痍が回復しないときは、引続き相当の年金を支給することになつておるわけでありますが、この制度は今後も引継がれるのであります。なお、有期の障害年金受給者について、その症状か固定し且つその程度が第一款症以下になつたときは年金を打切ることになりますので、本条はそういう趣旨に改めたのでございます。
 第十一条は、障害一時金についても障害が重大な過失によつて生じた場合、或いは国籍を喪失した者については支給されないということになつておりますのを、障害一時金の場合にもこれと同様の措置をとつたのでございます。
 第十二条は、未復員者給与法、留守家族等援護法により一時金を受けたものは、更に本法による障害年金又は障害一時金を受ける場合には、その間適当な調整を行うという条文でございます。
 第十四条は、症状が第四款症以下になつたときは障害年金は打切られることになりますが、第六項症から第一款症になり、且つ治癒したときにも同じく年金の支給は打切られるのでありまして、この際には新たに一時金を支給されることはないのでありまして、これは恩給の場合或いは船員保険或いは厚生年金の場合も全く同様な取扱と相成つております。それと歩調を合せた次第でございます。
 第十六条は、障害一時金の受給者が受給前に死亡した場合において相続人がこれを引継ぐという規定でございます。
 第二十三条は、障害年金受給者が公務上障害の原因となつた傷病以外の原因で死んだ場合におきましては、六割の遺族年金がその遺族に支給されておつたのでございますが、今回追加されます第一款症から第三款症までの年金受給者が死亡した場合におきましては、それが普通の病気、その年金、一時金の原因となつておる傷病以外の傷病によつて死んだ場合におきましては、遺族年金に低下させる必要がないと考えまして、新らしく拡大された障害年金につきましては、従前のような措置はとらなかつたのでございます。これも恩給法の場合と同じように歩調を合せておるのでございます。以上が障害年金及び一時金に関する規定の改正でございます。
 第三十四条は、第一項は従来公務によつて死亡した軍人軍属に対しましては、弔慰金五万円が支給されることになつておりますが、この場合受傷罹病が昭和十六年十二月八日以後である場合に限定されております。それを今回改めまして、十六年十二月八日以前に受傷罹病した場合においても、死亡した時期が十六年十二月八日以後である場合におきましては、五万円の弔慰金を支給するようにいたしたいというのがその眼目でございます。
 第二項は、いわゆる非公務死亡でございまして、軍人及び準軍人が支那事変以降、事変又は戦争に関する勤務に関連して傷病を受け、昭和十六年十二月八日以後死亡したとき、又は終戦後その死亡が判明したときは、その遺族に弔慰金を支給するという根拠規定でございます。非公務死亡の対象を軍人及び準軍人に限りました理由は、周知のごとく軍人は過去におきまして憲法上特別の地位があつたのでございまして、憲法上の権利義務に関する規定も、陸海軍の法令又は規律に牴触しない限り軍人に準用するということになつておりまして、極めてその権利は制限されております。且つ又いわゆる兵役の義務として国家との間において特殊な勤務内容を強制的に設定されておつた関係もありまして、その勤務及び身分の特殊性ということを考慮いたしまして、さような措置をとつた次第でございます。戦争又は事変に関する勤務と申しますのは、その受傷罹病の場所が戦地であると内地であるとを問わないのでございます。但し陸軍省、海軍省、或いは軍需省等、いわゆる官衙に勤務しておつた者等、勤務の態様が他の文官と比べて変つていないものにつきましては、この政令によつて除外いたす方針でございます。勤務に関連する負傷、又は疾病と申しますのは、当該勤務が誘因となつて発生した負傷又は疾病を言うのであります。又、負傷又は疾病がその勤務によつてその程度が増悪して死亡した場合におきましても、勤務に関連する負傷又は疾病により死亡したものと考えるべきであると思つております。恩給法におきましては「公務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ」と規定されておりまするし、又本法におきましては、「公務上負傷し、又は疾病にかかり、」と規定されておりますが、この公務遂行と傷病との間にいわゆる相当因果関係、つまり当該公務遂行の状態と同様の状態であつたならば、一般に当該傷病になつただろうと考えられる場合を言うのでございますが、この「関連する」という言葉はそれよりはもつと広いのでございまして、先ほど申上げたような、それが誘因となつて発生した傷病というふうに考えておりますので、結局におきまして実際の運用面におきましては故意又は重大な過失による傷痍疾病以外のものは、大部分のものがこの条文の対象になるものと考えておりますが、なお本条の適用を受けまする者は、死亡が在職期間内において発生した、或いは在職期間経過後、つまり復員後一定期間を経過した場合にのみ限定いたしたのでございます。死亡の時期を限定いたしましたのは、いわゆる非公務死亡は勤務と傷病との関連の推定が極めて困難でございまして、在職期間後一定の短期間内に死亡した場合でないと、その関連の推定すらできないという実際の状態を考慮いたしまして、さような措置をとつたのでございますが、その期限は一般には一年でございますが、結核性疾患等の場合を考慮いたしまして、特定の疾病につきましては三年に延長いたしたのでございます。過去においていろいろの死亡賜金等が支給せられておりますが、これは受傷罹病をしたときから三年というふうに相成つております。今回は在職期間内、つまり軍隊におる間に死亡した場合におきましては、三年を過ぎましようともすべて弔慰金を支給するようにする。退職したあと、つまり存郷死、つまり自分の家に帰つてから死亡した場合におきましては、実際の状態を考慮し、一年乃至三年という限定をいたした次第でございます。
 三十七条は、いわゆる非公務死に関する弔慰金の金額を五万円とするための改正でございます。
 三十八条は、非公務死の場合におきましても重大な過失によつて生じた死亡に対しましては適用しないという規定でございます。
 三十八条の二の改正はこれは三十四条の改正に伴う条文の整理でございます。
 第四十条の第一項、第四十五条、第四十六条、第四十七条、第四十八条第一項の改正は、これは不服の申立に関する規定、年金、弔慰金の時効の規定、年金、弔慰金の譲渡、担保の禁止の規定、年金、弔慰金等の差押禁止の規定、年金、弔慰金の非課税の規定、年金等の支払事務を郵政大臣の所管とした規定にそれぞれ障害一時金を加えた改正でございます。
 次に附則でございますが、この法律は四月一日から施行されることになるのでございます。但し三十四条の改正規定及び弔慰金支給の根拠規定及び三十八条の重過失によつて生じた場合には支給しないという規定は、昭和二十七年の四月一日に遡つて適用するようにいたしたのでございます。従つて弔慰金を受ける権利は二十七年の四月一日に遡つて発生したと同じように取扱われますので、遺族の順位はその日において確定いたすわけでございます。
 第二項は障害一時金を受ける権利は軍人に対しては発生せしめないという措置をとつております。軍人につきましてはすでにそういう措置をとつております。軍人につきましては、すべて恩給法によつて措置いたされますので、障害年金につきましても、すでにそういう措置をとつております。障害一時金についても同様の措置をとつたわけでございます。
 第三項は、今回の改正によつて新たに支給される障害年金及び障害一時金を本年四月一日から権利を発生せしめなければなりませんので、従来の条文に所要の読み替えの措置を講じたわけでございます。
 第四項は、障害一時金は元来権利発生の際全部とりまとめたもので支払うのが常態でございますが、本年度におきましては本年中に裁定のあつたものにつきましては明年の一月及び四月の二期にわけて支給いたします。それから明年の三月の末までに裁定のあつた分につきましては、来年の四月に支給いたします。来年の四月一日以降に裁定のあつた分はこれは当然来年以降その裁定の都度支払われることにいたしたのでございます。今年中に裁定のあつたものにつきましては、来年の一月と四月に分けて払うわけでございますが、本年度におきましては総額の三分の一、来年の四月におきましては三分の二を支払うことにいたしてございます。
 大体以上が改正の概要でございます。又御質問に応じまして順次御説明を申上げるようにいたしたいと思います。一応これで説明を終らして頂きます。
#6
○委員長(上條愛一君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について衆議院における修正の要点を衆議院議員の高橋等君から御説明をお願いいたします。
#7
○衆議院議員(高橋等君) 只今政府委員から説明のありました政府提案の法案に対しまして衆議院としまして一点だけ修正いたしたのでございます。その修正の条文は只今お手許へ配布してありまするものの小さな活字で刷つてあるところが直つておるのでございますが、非常にたくさんこれは直つた場所があるようでございますが、実は極めて簡単なのでございまして、即ち昨年八月一日にこの恩給法の一部改正が通過をし、衆議院で成立をいたしまして、その結果従来援護法で、恩給法が改正にならざりせば援護法の適用を受くべかりし人々が、援護法の適用からも恩給法の適用からも除外される人ができるという実は矛盾ができ上つたのでございます。と言いますのは軍人の遺族に対しまするものは全部公務扶助料として恩給のほうへ援護法から移されました。ところが恩給法は御存じのようにその死亡の時期におきまして民法の適用が或る場合は旧法であり、或る場合は新民法である。こういうことになります。従いまして例えて申上げますと、旧民法時代に分家をいたしておる人が、子供が死亡をするというようなことが起りました場合には、その親は恩給を受ける資格はないのであります。ところが昨年の八月一日までの間にその分家をしました子供の親が満六十歳に達しておつて、すでに援護法によりまして遺族年金を受けておるという権利が発生をいたしておりますものは、これは援護法で引続き年金を出すということに権利が確定をいたしておる。ところがそれまで六十歳に八月一日までになつておらない親が相当あるのでありまして、現に昨年の恩給法が改正になつてから本日に至るまで、大体推定二千人ぐらいの人がその後六十歳に到達をいたしております。これからも六十歳になる人が出て来るのでありますが、その人々は恩給法が若しなければ援護法で六十になつたときに年金が受取れるのでありますけれども、今申上げますように軍人恩給が全部恩給法へ移管されてしまつたものでありまするから、援護法上ももう権利がなくなるし、恩給法でも権利がなくなる。こういうことが起つて参りましたものですから、それらの人々に、まあ元来から申しますれば恩給法の新法旧法の適用の問題を根本的に解決せにやいかん点もあるのでありまするが、差当つてこのそういうことをやつておると又時間がかかるし、今国会の間にも合いませんから、本国会に提案になつている援護法で一応権利を確定さして置こうということ、そうした場合の人々が将来その資格を得ましたる場合、即ち例えば六十歳になつた場合は援護法上の権利があるのだということを実はこれは規定をいたしておる修正案でございまして、即ち権利を持つことができる、まあ期待権といいますか、そんなものがあつた人がこれを失つたものを一応この際救済をする修正をしようということで、この一点だけの修正をいたしたのがこの修正でございます。
 それで新旧対照表をお配りしてありますが、条文の細かい御説明はどうかと思うのでありますけれども、一応概略的に申上げてみますと、これは全部附則の修正でございます。援護法の附則の修正で、この1というところの上がもとのやつで下が新らしいのでありますが、横線が引いてありまするのが今申しました修正に関する条項で、昨年の八月一日からこれを施行するのだということに書いてあるわけであります。
 それからその次の附則の十二というのが、この改正案の実体でございまして、これには、この法律の施行の際に、遺族年金の支給事由と同一の事由、即ち遺族年金の支給を受けると同じ事由を持つておつた軍人軍属の遺族で、而もその資格を有しないということになつておるものについてはこの法律を適用し、今度年金を出すのだ、弔慰金を出すのだということをこれは書いておるわけであります。
 それから十四の点はこれは字句の整理に過ぎません。
 それから十八のほうは、最初の旧法のほうは、この法律の施行の際だけを規定いたしておりますが、この法律の施行後の問題も規定をいたさなければならないので、施行後のものもこれへ加えたということであります。それで、この十八については、御存じのように、一方で恩給を受けておる人がある。例えば妻が恩給を受けていて、父母は援護法を受ける、こういう場合は、父母はおのおの五千円ずつしかもらえないのだ。父母のうち第一順位者が二万六千七百円しかもらえないのだということが書いてあります。それはこの法律施行の際というのをこの法律施行後も一緒に規定せにやいかんから書いたわけであります。結局この修正案の実体はこの十二項の修正が実体になつておるわけでございます。どうぞさよう御承知おきをお願いいたしまして、御審議をお願いしたいと思います。
#8
○委員長(上條愛一君) 只今の衆議院における修正点について御質疑がありましたら、御質疑を願います。
#9
○有馬英二君 ちよつと具体的の例をお話し頂けませんか。
#10
○衆議院議員(高橋等君) 只今具体的の例を御説明申上げたのですけれども、それではもう一度申上げてみますと、今申上げたことを繰返して申上げます。恩給法が実は旧法の時代に発生したものについては旧法の適用をいたします、旧民法の……。そこで、例えば子供を分家さした、そうして親がおつた、ところが子供が戦死をいたした。そうしますと、その親は旧民法によりましては恩給の受給資格がないのであります。ところが援護法は新民法の精神を基礎にして作つております。そこで、分家をいたしましても、同居或いは生活の関係がありますれば、年金を出すという規定になつておつたわけです。ところが八月一日になりまして、去年の恩給法で軍人関係は全部恩給のほうへ持つて来て援護法から外したわけです。そうした結果、まだ援護法で受給資格のない親が、今の分家したような場合、これが恩給をもらえない、年金ももらえないというのができたわけでございます。そこで、そうした六十歳になれば年金がもらえるであろう親が、恩給法ができたためにもらえんということでなしに、一応援護法で六十歳になつたらもらえますぞという規定を作つておいてやろう、これがこの改正の趣旨でございます。十二項の点が主な改正でございます。その太い字でなしに、細い字が修正でございますから……。
#11
○廣瀬久忠君 何ですか、こういう事例が今何千件とかというお話がありましたが……。
#12
○衆議院議員(高橋等君) 推定でございます。それで実は六十歳に達しない親が六十歳に達するという、要するに昨年の八月一日までに満六十歳になつていないで、そうして今実は今年の四月一日には六十歳になるというものを極く推定でやつてみますと、約二千人全国で……。これからもだんだん六十歳になる人は年々できて来る。当分はできて来るわけでございます。大体遺族の親は五十歳から五十五歳が多いわけでございますが、数カ年はこういう状況が続きます。金額としてはこれは問題にならないわけでございます。
#13
○廣瀬久忠君 そうすると、政府が恩給法を改正して、そのために援護法と恩給法との関係上、それだけの穴があいてしまつたということが援護法の施行当事者である厚生省なり、或いは恩給法を施行しておるほうの当事者である内閣なりによつてそういうことが現実に執行されておつたならば、衆議院の修正によるまでもなく法案が出ておらなければならないことだと思うのですが、そこは政府のほうはどうなんですか。
#14
○説明員(田辺繁雄君) 実は政府のほうとしてもこういう事態が現実にあることは承知しております。昨年恩給が復活いたしました際に、恩給法と援護法との調整をどうするかということにつきまして一つの原則を立てまして、軍人に関する限りはすべて恩給に移行するという建前をとつております。但しその前にすでに権利が発生しておるものであつて、恩給に移行できないものについては、これは既得権を尊重し、実績を保障するという意味合におきまして従来通りそのまま持続さして行くという考えをとつたわけであります。高橋委員から申上げましたように、事例は実は立法の体系といたしますれば、同じ目的を持つた法律、而も同一の対象に対しまして援護法と恩給法というものがあります際に、二つにまたがつてあるということは、どうも立法体系としては面白くないし、立法体系としては、どうしても恩給法を改正して、恩給法のほうでやるべきケースではないか。殊に新民法を境として、それまでの間に死んだ人は戸籍が同一でなければならない。その後死んだ人は世帯が同一であればいいという考え方自身もどうかと思われますが、従つて私のほうとしては当初からこういう事例があるので、こういうことも考えて立法措置を講じて欲しいという要望はいたしております。そういう関係で今日まで実は御承知のように、それが実現しなかつたわけでございます。事態は誠にお気の毒な次第でございますので、今回の修正によつて、まあ体系としてはおかしうございまするが、結果においてそういう方々に援護の途が開かれるということになつたということは、政府としては異存がないのでございます。
#15
○廣瀬久忠君 これでつまり穴のあいたのを塞いで預けたので、この遺族には非常にありがたい結構なことだとは思うのですが、この点は無論異議がありませんが、一体恩給法と援護法との所管庁が違うために、そういうようなことになつて、穴があいたのを放つておくというような感じがするのですが、今の恩給と称するのは、軍人恩給ですね、そうすると軍人恩給について今年改正案が、今国会には提案されておりませんか。
#16
○衆議院議員(高橋等君) 恩給法の改正案は実は出ております。それでこれは軍人恩給と申しますけれども、これは恩給の体系は全部一括して恩給法で規定しておるわけです。そういうわけで恩給法自体を改正するということも、勿論考えられないことはないのでございまするが、実は旧民法と新民法との適用をどういうふうにするかということが大変な私は問題だろうと思います。そこでこれを審議いたしますると、相当慎重にやらなければならん問題もあるんじやないかというように考えるのであります。それでそれをやつておりますと、恐らく次の国会でも、相当あとに問題があるのじやないかというように考えておるのです。殊に今申上げましたこれは、恩給法を直すのは一番いいことはわかりきつているのでありますが、先ほど田辺君からも御説明があつたように、一応昨年の二十八年八月一日までに六十歳になつた人で、恩給法の適用を受けない人は、援護決で年金をもらうことになつておるのであります。そういうような便宜の規定を援護法で今まで救済的にやつておるのであります。まあこれは援護法で間借りと言つてはおかしいが、早急に権利の拡張をしておいてやろう。恩給法の改正は全般を狙つて一つやらなければならんということで一応ここへ入れるという考え方をしたのです。
#17
○藤原道子君 政府にお尋ねするのでありますが、これは私もどうも、恩給法の体系が納得できないのでありますが、そちらのほうでこの問題をどういうふうに考えておるんでしようか。田辺さん知りませんでしようか、恩給法の改正の場合……。
#18
○説明員(田辺繁雄君) 詳細は承わつておりませんが、これは当初から私のほうで内縁の妻という点もありますので、いろいろ恩給局に御相談を申上げて、いろいろ希望を申上げておることでございます。何分にも恩給法は非常に複雑でございまして、現実にその厖大な恩給の現実に発生する業務を捌いて行かなけばならんという関係もあるので、そこまでなかなか手が廻りかねる状態であると察せられるので、これは私の想像でございますが、又高橋さんからもお話になつた通り、旧民法、新民法とのそのギヤツプを調整するという問題は、なかなかこれは複雑な問題でございますので、時日を要しますので、そこまで行かなかつたのではないかと、私個人としては想像いたしております。
#19
○藤原道子君 この問題は確かに新民法と旧民法との調整はなかなか困難ではありますけれども、困難だからといつて、一時しのぎの便法でやるということもおかしなもんでございますね。この問題は衆議院で穴を塞いで頂いたという廣瀬委員のお言葉の通り、この措置は大変結構だと思う。これで救われる人がたくさん出るということになれば、大変結構に思いますが、ちよつとその点で納得の行かないような気がするのですが、それはいずれ……。
#20
○衆議院議員(高橋等君) 藤原さん、とにかく恩給法自体を何とか両院で研究してもらいまして、旧民法と新民法の適用で、まあ非常に複雑なやり方を、何か今の時勢に合うように直さなければならんというような考え方を持つから、これをやつたんだということだけは、御了承願いたい。
#21
○藤原道子君 あなたのお気持はよくわかります。
#22
○湯山勇君 質問というわけではないのですが、これはやはりこういう今のような声が例えばこういうものが取残されておるとか、こういう声が恩給法を担当しておる内閣委員の耳には入らなくて、実際に民生関係に直接触れている厚生委員の耳にしか入らない。そういうところから、こういうことも実際本筋から言えば恩給法改正をやらなければならないことが、こういうどちらかというと実質は同じにしても、筋の通らない改正をしなくちやならないという事態を招くと思いますので、やはりこういう問題に関しては、内閣との合同委員会とか、そういうなにを持つて頂いて、我々のほうが資料を提供して、内閣委員会の各位にもそういう問題を今後よく気を付けてもらうように要請するし、或いは又こういつた審議に当りましても、実際に恩給法はこういうふうに、新民法によつて抜本的に改正して行かなくちやならないという空気も醸成して行かなければならないと思いますので、爾後こういう問題の処理に当つては、できるだけそういう内閣委員会との合同審査というような方法を講じて頂きたいということをお願いいたします。
#23
○藤原道子君 私これとは又別問題になるのでございますが、高橋さんと田辺さんにお伺いしたいのでございます。この恩給法との関係でこの前私たちの委員会で問題になつたのでございますが、両親の中で結婚した場合に氏を変えると対象にならない。これは不合理だ、結局氏を変えるということは、男の人のほうが氏を変えるということは少いのであつて、女のほうが氏を変えるということになる。そうすると一人子を殺したお母さんは恩給を受ける資格を失い、お父さんの場合は変化はないということは不合理ではないかということがここで問題になつたのです。これは旧民法との関係でむにやむにやということになつたのでございますが、この間予算委員会で大臣に質問したのです。ところがそれはもう改正されましたとはつきり言うのです。私はそんなことはない、私は聞いていないと言いましたら、いやそれは藤原さん御存じないのです、その問題は解決しておりますとはつきりと言明した。再三質問したのでございますが、それはどうなつておりますか。それから衆議院のほうじやそのことが問題になつたかどうか。
#24
○説明員(田辺繁雄君) 大臣が改正されたと申上げましたのは、恐らく恩給法が昨年改正になりましたときに、父母が結婚した場合にはすべての場合に失権するということになつておつたのを、一定の場合においては失わないことに改正をしたので、援護法もそれと歩調を合わせようというような意味で同様に改正をした、こういうふうに申上げたのでございます。昨年援護法が改正されます際に、父母が結婚した場合にはすべて失権するということになつておりましたけれども、恩給の場合と同じように氏を改めない場合には失権しないというふうに修正されたわけであります。これは衆議院で修正になつたわけです。これは内閣委員会のほうで恩給の場合と同様の趣旨で修正したのと揆を一にするためにそういうふうに修正になつたろうと思うのであります。これは父母が結婚した場合に、すべて失権させるということは酷ではないか。それでは全部失権しないことにするか、これもどうであろうか、そこに何か基準がないかということで、いろいろ御研究の上に氏を変えてない場合には失権をしないということにすることが妥当であろうという結論に達せられたと思うのであります。これはこの前も申上げました通り、又先般この委員会におきまして問題になつた通り、これは氏というものは憲法上昔の家族制度と関係を持つておるものじやございませんが、絶対いけないとは申せないと思います。非常にいい案かと申しますると、率直に言いましてどうもその点は必ずしもそう言切れないものがあると思いますが、それかといつて、それじやこれに代るいい案があるかと申しますと、政府としてはこれに代る別のいい内容のものはない。お話の通り現に男女不平等だと藤原さんからやかましく言われましたが、(「当り前ですよ」と呼ぶ者あり)併しこれは現在結婚をしても夫の氏を称するか、妻の氏を称するかということは当事者の自由でございまして、ですから必ずしも形式上男女不平等ということにもならないのではないか、而も同じ氏を称する場合においては、従来の家というとおかしいのでございますが、世帯というか、世帯というものは同一姓を保つ場合が多いのであります。そういうものをつかまえる法律的な方法としては氏というものが一番いいのではないかというお考えから、衆議院として修正になつたのではないかと思つております。
#25
○藤原道子君 衆議院からのちよつとお答えは待つて頂いて、田辺さんにもう一回、それは審議の過程で了承している。大臣にはこういう場合とこういう場合がある、今の氏の問題をつかまえて質問したのです。ところが大臣はそれはもう解決しておりますとはつきり言うのです。大臣間違つておりますよと言つたら、間違つておりませんとはつきり言明したのです。
#26
○説明員(田辺繁雄君) ちよつと行き違いがあつたようでございますが、大臣は恐らく恩給法が改正になつたのと揆を一にして、援護法も改正されておるから、従来父母が結婚した場合にはすべて失権して不当ではないかという問題については解決しているというふうに申上げたのではないかと思うので、なおよく伺つた上で……。
#27
○藤原道子君 わかりました。その問題は田辺さんに改正されたかされないかを聞いておる。大臣の弁護はしなくてもいい。速記録をとつて、やがて大臣に質問しますから……。
#28
○衆議院議員(高橋等君) どうも余り細かいことになると困りますが、細かくないかも知れませんが、衆議院でもこの氏を変えた父母の問題について非公式に話は出ておるのであります。それでただ恩給法も援護法も氏を変えて婚姻をした父母について、婚姻によつて氏を変えた場合は権利を喪失いたすのであります。ところが氏だけを変えた場合は援護法におきましても権利は喪失いたしておりません。それから恩給法でも権利は喪失しておりませんが、恩給法につきましては私もよくわからないのですが、例えば援護法では……。
#29
○藤原道子君 問題になつたかどうかだけ伺いますれば……。
#30
○衆議院議員(高橋等君) 問題になつております。実はそうしたものも援護法で残し得るような考え方で、これを恩給法で失つたものをこれに入れる、非常にこれは広い改正になつておることだけは御承知おきを願いたいと思います。
#31
○藤原道子君 どうも有難うございました。
#32
○委員長(上條愛一君) それではほかに御質疑がなければ、衆議院の修正点に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは衆議院修正点の質疑はこの程度にいたしまして、次に政府に対する御質疑がありましたら……。
#34
○湯山勇君 援護局長にお尋ねいたします。それは只今問題になつておつた点でございますが、十五、ですか、十六国会かにおいて厚生委員会で、只今の氏を改めた父母、祖父母に対する措置は、ただ単に話合いではなくて、当委員会の全会一致の要望事項であつたと思うのです。これに関して善処されたいということは、これはそういうふうなお考えはなかつたのであるかどうかということ。
#35
○説明員(田辺繁雄君) 私その際出席いたしておりまして、湯山委員のお話をよく承わつておつたわけであります。当時の記憶では、この問題は決議とか何とかというものに残さずに、こういう問題があるということを関係者一同よく胸に含んでおいて考えようじやないかということに承わつておつたと思うのでありますが、私どももその後この問題はやはり頭にありまして、検討はしておるのでございますが、先ほど申上げたように、それではこれに代るよい案があるかと申しますと、なかなかいい案がございませんので、折角国会において御修正になつた問題でもございまするし、それを覆してどうこうするというほどのいい案もございませんので、今日に至つているような状態でございます。
#36
○湯山勇君 これは委員長報告を一度御覧頂きたいと思います。はつきり当委員会においては全会一致を以てこの点に関する善処を要望しておるはずでございます。そこでどういう方法、いい方法があるかないか、簡単な方法でございまして、父母又は祖父母が婚姻した場合においても、これを支給するというふうにすればいいだけであつて、別段むずかしい点はないと思うわけです。結局はそれをやるかやらないかにかかつておると思うのですが、これはどういう点で問題になるわけでございますか。若しそれをしぶつておるとすれば……。
#37
○説明員(田辺繁雄君) 妻が再婚した場合においては恩給法上、援護法上の権利を喪失するということになつております。父母の場合におきましても、それとは事情は違うかも知れませんが、如何なる場合においても失権しないというふうにするのも行過ぎではないかという配慮から衆議院からこういう制限を加えられた。この点は私どもとして一つの根拠として考えなければならんことで、従つて制限をするとした場合において、どういう案があるかということを検討したのでございます。一切の場合に失権しないようにしてしまうということにつきましては問題があろうかと思うのでございます。これは本法が恩給法の問題もございますし、いろいろな社会保険のほうの規定の関係もございましようし、問題が広範囲でございますので、全面的に実際の場合に失権しないようにしてしまうということも国会の御修正の趣旨に鑑みまして、私どもとしてはそこまでは決断がつきかねているような次第でございます。
#38
○湯山勇君 それじや国会の意思という点を除いて考えるならば、局長はやはり父母、祖父母の場合は全部に、何と言いますか、年金を渡すことは不当であるというように判断されますか。
#39
○説明員(田辺繁雄君) これは実情に即していろいろ検討してみなければならんと思うのであります。失権させるほうが妥当であるという場合もあろうかと思います。一概に全部を失権させないということにすることは実情に即さない場合が相当あるんじやないかと、かように考えております。
#40
○湯山勇君 次に姓を変えたか変えないかによつて区別することは、先ほどおつしやつたように、これは余りいい方法ではないというふうにおつしやつたと思うのですが、そのことをもう一度確認いたしたいと思いますが、如何でございますか。(「重大問題ですからよく考えて下さい」と呼ぶ者あり)
#41
○説明員(田辺繁雄君) 氏というのは称号でございまして、そういう称号を権利の実体に代らしめるということについては問題があろうと思うのでございます。ただ現在の実情を見た場合において、氏というものは一つの称号ではございましようとも、それをとらえて一定の生活実態を推測するというやり方は一つの方法としては考えられるのでございまして、それが結果において現在の社会事情乃至社会観念に余りにも反するということになりますと問題でもございましようし、大多数の場合においてそれが実情をとらえている、大部分の場合においてそれが妥当だということになりますれば、あながち不当だとは言い切れないのではないかと、かように考えております。
#42
○湯山勇君 実情の問題は暫くおくといたしまして、こういうやり方は民法の精神から言つても、憲法の精神から言つても、不当であるというように我々は判断するわけですが、局長はそういうふうにはお考えになりませんか。
#43
○説明員(田辺繁雄君) 必ずしも憲法違反という、憲法の精神に反するというところまでは言い切れないのではないか。これは法律改正の際に、国会において十分御検討になつた結果でございまして、他にいい案がありますれば、我々もその案に切替えることにあえて躊躇するわけではございませんが、いい案がない場合において国会の御修正になつたものを更に我々のほうで変えるというには、よほどの根拠が要るんじやないかと思つておりますので、今直ちにこれがいけないからすぐこうするというところまでは行きかねておる状態でございます。
#44
○湯山勇君 言葉尻をとるようですが、いい案があればということを再三おつしやいますが、いい案というのは、こういうことをしようという目標があつて、具体的なものがあつて、こうするためにどうするのがいいかというので、案を検討するということになると思うのです。そうすると局長の言われるいい案があればというのは、どうするためのいい案があればということなんですか。
#45
○説明員(田辺繁雄君) この問題は非常にむずかしい問題であろうと思いますが、やはり役所として検討すると同時に、立法に関係しておられた皆様方におかれても十分御検討をするというふうになつておつたと思うのでございまして、湯中委員その他の方からこういうふうにしたらどうだという案をお教え頂けますれば、我々としても十分検討をいたしたいと思つております。
#46
○湯山勇君 その点はそれじやそれだけにいたしまして、恩給法との関係ですが、先ほどのお話にもありましたように、恩給法第八十条の第一項の第三号に「父母又ハ祖父母婚姻ニ因リ基ノ氏ヲ改メタルトキ」というので、扶助料を受くる失格の条件として挙げてあります。で、なお又同じく恩給法第八十条の第二項には、「届出ヲ為ササルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ入リタリト認メラルル遺族ニ付テハ裁定庁ハ基ノ者ノ扶助料ヲ受クルノ権利ヲ失ハシムルコトヲ得」という若干緩和された総括的な条件が示されてございます。で、この恩給法との関係云々ということをおつしやいましたけれども、これは御指摘になられたように、恩給法は新民法、旧民法入り乱れておりまして、これがこうだから必ずしもこちらの援護法のほうをこれに合せなくちやならないことはないと思うのです。そのことは今回の衆議院の改正も同様な意味があると思います。従つてこの姓を変えた父母、祖父母に扶助料を渡すということは、恩給法との関連において工合が悪いということは理由にならないと思うのですが、それはどうですか。
#47
○説明員(田辺繁雄君) その点はちよつと違うんではないかと思うのであります。援護法の立法の趣旨からいたしまして、軍人に関する恩給法上の権利が復活するまでの暫定措置という趣旨で立法されたわけでございますので、恩給が復活いたしました以上、軍人に関する恩給法上の権利は恩給法に移行するというのが根本の建前でなければならんと思うのであります。それで先ほど申上げましたように、昨年の八月一日を以ちまして恩給法が改正になりました。そこで戦死した軍人をとつてみまするというと、その人に関する恩給法上の権利はすべて恩給に移行するという建前をとつたわけであります。援護法では、内縁の妻のごとく恩給法で権利の発生せしめられない人に対する既得権を保障するという観点から、それをそのまま今日に持続させておるだけでございます。従つて恩給法で救えないものを援護法で救うというのは、軍人に関する限りは、私のほうではそういう考えをとらないほうが妥当である、若し問題があるならば恩給法自体の中で調整をして行くべきではないかと、こう考えておるわけであります。
#48
○湯山勇君 建前は或いはそうであつたかと思いますけれども、現に衆議院におきましては、只今示されましたような修正をちやんとやつておるわけです。だから恩給法がこうだからこれをそういうふうに改めてはならないということは必ずしも言えないことではないかと思うのですが……。
#49
○説明員(田辺繁雄君) 法律は政府部内で立案する場合におきましては、立法のやはり体系ということを十分考慮しなければならないと思います。場山委員のおつしやる通りにいたしまするならば、援護法を直して差支えないものならば、恩給法を直しても一向差支えないわけであります。父母が結婚した場合に、実際の場合に失権しないような援護法にするということが考えられるならば、恩給法をそう直しても差支えないわけでありますから、やはりそこは立法の体系から考えまして、歩調を合わして行かなければならない、こういうように考えております。
#50
○湯山勇君 政府の考えとしては御尤もな御答弁だと思いますが、これは局長さつきおつしやつたように、恩給法は新民法、旧民法との関係もあるし、又ただ単にこういう軍人の遺家族だけでなくて一般公務員も含まれておる関係で非常に厖大なものになる。そういう関係上、先ほどのお話では、この衆議院の修正点のようなものは当然恩給法改正によつてやらなければならないものだと思うけれども、併し恩給法改正はそういう事情で困難だ、こういうお話だつたので、そういうことを肯定すれば、今のように援護法で先ず取りあえず、恩給法改正は非常に複雑で簡単には行かないから、こちらを改正してその不合理な点を直して行くということも又認められていいのじやないかということを申上げておるわけです。
#51
○説明員(田辺繁雄君) それはその通りだと思いまするが、今問題になつておりまする父母が結婚した場合に、氏を変へるか変えないかによつて失権するかしないかという問題は、新民法になつてからの問題でございますので、これは先ほど申上げました民法改正前と改正後との関係がない問題ではないかと思つております。
#52
○湯山勇君 この問題は又いずれ大臣に来て頂いて、大臣のこの間の予算委員会の御言明の関係もありますから、一つそれとの関係でなお御質問申上げたいと思います。
 局長のほうへお尋ねいたしたいのは、一年乃至三年、何条でございましたか……三十四条の二項でございます。これに在職期間経過後一年、厚生大臣の指定する疾病については三年、この一年乃至三年の区分はどういうところでおつけになる御予定でございますか。
#53
○説明員(田辺繁雄君) 先ほども申上げました通り、在職期間内に死亡した場合には制限をつけないという方針でございます。家へ帰つてから死亡した場合におきまする実際の実情を見ますというと、年月が経つほど、軍隊の中におつたときの傷病と関連が薄れて参つておりまして、他の要素が非常に入つて来るわけでございます。実際の判定が非常に困難になつて来るわけであります。家へ帰つてからの疾病の治療というものにつきましては、疾病以外のいろいろの要素が入つて参るのではないかと考えるわけであります。そういう複雑な事態を的確に我々に判定しろと言つても非常に困難でございまして、而もこれが大部分過去において亡くなられた方々であります。それを今から遡つて判定をするわけでありまするので、或る程度の制限が必要ではないか。大体の疾病につきまして見まする場合に、結核性疾患以外の病気でございますれば、大体一年以内に転帰をとるのではないかと考えまして、一年という制限をつけたわけでございます。
#54
○湯山勇君 それから次にお尋ねいたしたいのは、徴用による軍属ですね。軍属の中に徴用によつて軍属になつた者があると思うのです。そうしてこれは実際の仕事は軍人と同じ仕事をしておつて、身分だけがそういう身分で死んだ者がたくさんあると思うのですが、それらについてはどういう措置をお考えになつておられるか。
#55
○説明員(田辺繁雄君) 徴用された人は軍属になる場合とならない場合とございます。民間工場に徴用された方はなつておらないと思います。軍に配置された方々は全部有給軍属になつておられると思いますが、こういつた方々のうちで、内地勤務の方々につきましては、昔の陸軍及び海軍の共済組合によつて年金及び一時金を支給したのでございます。戦地の有給軍属につきましては、当時戦争中気が付いておりまして、これは何とか内地の有給軍属と同じように年金又は一時金を支給しなければならないということは勿論その必要性を政府において認めており、又その準備もしておつたのでありますが、これは戦地であります関係上、共済組合というものを適用するわけには行かない、新立法を必要とするということで、いろいろやつておるうちに間に合わずに終戦になつた、こういういきさつがございます。そこで、軍人恩給に見合う立法をする際に、当然当時終戦前措置すべくして間に合わなかつた制度もこの際作るのが妥当ではないか、内地の者はすでに現実にやつておるわけでございますので、援護法の中に戦地の有給軍属を取入れたような次第でございます。今回の改正でございますが、これは非公務でございまするので、よほどその理由がないとなかなかむずかしかつたわけでございます。他の戦争犠牲者との均衡という点から考えまして、まあ広く全部の人に出すということになればこれは問題がございませんが、これは国家財政との関連をよく考えなければならん。その場合において、軍人の場合におきましては、どう考えましても何か措置が必要である。殊に終戦前におきまして軍人にどういう制度があつたかということを調べてみますると、実は非公務という場合に転免役賜金という制度があつたのでございます。公務の場合には公務扶助料が出ますが、公務外の傷病によつて死亡した場合におきましても転免役賜金という制度があつたわけでございます。これは勅令によつて設けられた制度でございます。そういう制度も復活するということも勿論必要ではないか、恩給にかかる人と恩給にかからない人との間に大きなギヤツプがあるということも問題でありますので、当時そういつたことも考えられて、そういつた非公務の方に対する一時金というものがあつたのではないかと考えられるのでありまして身分及び勤務の特殊性ということに鑑みてそういう制度があつたのじやないか。こういつたことを考えまして、そういつた身分及び勤務の特殊性、過去における制度というものを勘案してこの際軍人の非公務については、戦地、内地を問わず一時金を出すということにいたしたのであります。
#56
○湯山勇君 今回の一時金の対象には今の有給軍属は入つているのでございますか。
#57
○説明員(田辺繁雄君) これは他の一般官庁における軍属との均衡をも考慮いたしまして、今回の対象からは除外してございます。又軍人の場合におきましては官衙に勤務しておつた軍人は除外する方針でございます。
#58
○湯山勇君 そこに非常に矛盾があると思うのです。今の軍人という身分の特殊性というものを認めるのであれば、当然官衙とか何とかいう区別は不必要である。実際の勤務を対象とするのであれば、当然この有給軍属というもので戦地勤務しておつた者は、同じ勤務をしておつたのだから対象に入らなければならない。つまりそこらの区分が非常にこうあいまいだと思うのですが、これはどうでしようか。
#59
○説明員(田辺繁雄君) 私のほうでは、いわゆる部隊勤務の軍人に限りたいというふうに考えておるわけであります。軍人はその身分の設定及びその身分の内容、身分から来まするいろいろな制限の内容及び勤務の内容から見まして非常な制限を受けておつたわけであります。自分の意思によつてどうこうするということができないという関係、又その勤務の内容も他の文官或いは他の一般の雇傭人と違いまして、非常に極度の制限を受けておつたという特殊性があると考えられるのでございまして、勿論他の軍属の中にも、一定の時期、一定の場所をとつてみました結果から見まするというと、そういうものが絶対なかつたとは申せませんが、併し本質におきましてはやはり軍人とそこに大きな開きがあるのではないか。五万円の弔慰金を支給します場合にやはりそこは……、而もその死亡の原因が公務によるものでない、非公務でございますので、公務によるというその公務に密着した傷病でない者にも出そうという場合におきましてはそういう身分の特殊性及び勤務の特殊性というものを両方十分考慮しなければならない、こう考えております。
#60
○湯山勇君 納得しがたい点は、やはり、戦地へ行つて同じような勤務に従事しておつた。例えば防空壕作りなら防空壕作りをやつておつた。そして一方は有給軍属であるし一方は召集兵であると、こういう場合両方とも同じような胸部疾患なら胸部疾患にかかつて、そうして、一方はまあ弔慰金がもらえて、一方はもらえない。それじや軍人ならもらえるかというと、軍人でも内地勤務をしておつたり、工場の軍需監理官といつたようなものに行つておつたものはこれはもらえないと、その辺の区別というものは極めてあいまいだと思いますので、まあどれだけ、その実際に戦地勤務をしておつた有給軍属があつたかどうかということは調査しておりませんけれども、これは当然対象にこれだけ拡大されて来れば、しなくてはならないと思うのですが、その点はどういうお考えでしようか。
#61
○説明員(田辺繁雄君) 先ほど申上げました通り、私どもは軍人たるの身分並びに勤務の特殊性の両方を考えまして、公務の場合においては弔慰金五万円を出すということにいたしたのでありますが、私どもの考えでは軍属の場合においては、軍人とそこに違いがあるんではなかろうか、そういうように考えまして、軍属の方には今回の非公務の場合におきましては、弔慰金は支給しないと一応いたしたのであります。
#62
○湯山勇君 これは実質的な違いは全くないと思うのですけれども、その点一応これはどうも際限なさそうでございますから一応打切りまして、又あとでお尋ねいたします。
#63
○有馬英二君 今湯山委員が御質問になつたことを聞きまして、ちよつと思い出したのでありますが、大東亜戦争になる前ですから、今ここに書いてあります「昭和十二年七月七日以後における在職期間」と書いて「軍属については」と書いてあるのでありますが、その時分徴用を受けて、そして船に乗つて仕事をした。恐らくその軍の輸送に関係したのじやないかと思うのですが、それが戦地で発病をして、そうして帰つて来て、不具になつたか何かで働けなくなつた。それをそういうような援護法なら援護法で取扱つてくれないというようなことの苦情を聞いたことがあるんですが、死ねばこれは弔慰金の問題でしようが、そういうことを今でもやはりそうたくさんの人間ではないでしようと思うのですが、そういう人がありましても、どれくらいの数かそれはわかりませんが、そういう人は今でもあるんだと、そして甚だその政府が少しも……、自分たちが徴用を受けて、そうして軍の輸送に関係して、国家のためにそういうひどい目にあつておるにかかわらず、何らの援護の措置も受けられないという苦情、そういうことが今でもありましようか、そういうことを聞くのですが、まあ私はあるだろうと思うのですけれども……。
#64
○説明員(田辺繁雄君) 援護法では、どこまで援護の対象を限るかということは非常にむずかしい問題でございまして、いろいろ考えられるわけでございます。現在の立法の建前といたしましては、軍人恩給というものがストツプになつた関係上、恩給法上もらい得べかりし扶助料等がもらえない人、先ずこれが第一の主眼でございます。もう一つは先ほど申上げましたように、戦地における有給の軍属、その二つをとつたわけでございます。で、これをまあ大ずかみで申しますと、終戦前に現実にあつた制度、又は当然国としてやるべきであつた制度というものを復活するという考え方をとつたわけでございます。それで支那事変中に、まあ戦争中において戦死をされた軍属ということを一つ考えて見た場合にどうだろうかと、これは極めて数は僅かであつたと思います。当時の戦争の様相から見ますと極めて僅かであつたと思いますが、まあないとは申せないと思うのでありまして、少数ながらあるだろうと思いますが、そういう問題もあると思いますが、これは実はこういう問題は、それならばそういうものを取上げるというと、当時なかつた人たちにも、制度として設けなかつたものについても、同様の措置をとるべきではないかという議論になつて来るわけであります。いわゆる徴用工に対する年金、学徒に対する年金、その他いろいろ現在一時金で済んでいる人の問題が出ると思います。そこは当時の社会観念及び制度において、それで差支えないとして済まされておつた方々であるので、そこまで国の手を及ぼすということは、今日の財政状態からみて、困難である。そこでまあいろいろ御不満はあつても、一応今日の国の力から見まして、過去におけるそういつた制度を復活するというところで、一つの線を限るのが止むを得ないのではないかと、こういう考え方で現在の制度ができているわけでございます。勿論それ以外の方々に対して援護する必要はないという考えを私は持つているわけじやございませんが、国のいろいろの財政状態その他のことを勘案いたしまして一時金ということで、そういう方々には御辛抱して頂くということをお願いしているわけであります。
#65
○有馬英二君 ちよつと、大体わかつたように思うのですが、やはりそれは「公務上負傷し、又は疾病にかかり、」と、ここにまあ書いてあるのですが、ただまあ国家に奉仕したと申しましようか、徴用者ですかな、たまたま大東亜戦争前であつた、或いは昭和十六年十二月八日より前であつたというようなことから、それからあとに同じような条件で徴用を受け、国家に奉仕したと、そうしてその公務上負傷をしたとか、或いは疾病にかかつたとかいつても、その線がここに昭和十六年十二月八日というところで、それより前とあとというために、国家の扶助を受けないと、或いは受けられないということに不満があるのではないかと私は思うのですが、はつきりそういう工合にその大東亜戦争で以て線が引かれて、その前後がどういう工合に処置されて来たのですか、お伺いします。
#66
○説明員(田辺繁雄君) その戦地に徴用したものを連れて行くというのは、支那事変中にはなかつたのではないかと思うのでございますが、船舶運営会が設立せられましたのが昭和十七年の四月一日でございます。それ以前も徴用がなかつたとは申せませんが、大東亜戦争が始まつてから、船員等の徴用が始まつたのではないかと思うのでございますが、まあそれは別といたしまして、この軍属に対するいろいろな年金ということは、内地の場合におきましても、大東亜戦争以降に限るわけでございますので、大東亜戦争以前のそういう気の毒な、少数でありましようとも犠牲者があつた場合の措置は、当時の制度としても実はなかつたのでございます。一般の社会観念及び国家の制度として、そういつた方には一時金という制度で、恐らく済んでおつたのではないかと思います。これは勿論雇傭人扶助令というものはございますので、雇傭人扶助令による一時金というものは出ているのでございます。ただ大東亜戦争以後におきましては、内地の場合におきまして、年金を支給するという制度はできております。それと歩調をとるために先般この援護法によつてこれを最上げたのであります。これは一つ一つ御尤でございますが、全体としてとりますというと、現在一時金で済んでいる方々に対する問題も同様に出て来ると思います。徴用工なり、学徒なり、こういう問題をどうするかというところまで考えませんと、一つだけ、これだけやつたらいいじやないか、数が少いからというわけには行かないと思うのであります。これはいろいろの、立法する際に議論があつたのでございますが、今日の国家の状況からして、国家の財政状態からして、この限度にとどめることは止むを得ないという結論になりましたので、立法対象が今日のような状態になつているわけです。
#67
○有馬英二君 今度のこの改正を見ますと、前には障害年金としてあつたところが今度は障害年金及び障害一時金と改めるということが非常に多く使われておりますね。今局長からの御答弁で私もさつきからお伺いしようと思つていたところが、丁度御答弁の中にあつたから思い付いたのですが、その障害一時金にかくのごとくたくさんまあ改めたというのは、年金をもらえる人が年金をもらえないで一時金でごまかされてしまうというようなことは、ごまかされてと言つちや悪いかも知れませんが、そういう工合な状態に置かれるということが非常に多くなつたという工合に解釈できるのじやないでしようか。
#68
○説明員(田辺繁雄君) ごまかすというのではございませんので、従来は第六項症以上でないというと年金はもらえなかつたわけでございます。先般恩給法が改正せられまして六項症以下の方、つまり第一款症から第三款症の方に対しても年金又は一時金が支給されるということに恩給法が改正になつたわけでございます。それにならうといいますか、或いは若干歩調を合せるという意味におきまして、援護法におきましても対象を拡張したわけでございます。つまり従来ならもらえなかつた人に対しまして、傷の軽い人に対しても年金又は一時金を支給しようということになつたわけでございます。ただその場合でも援護法という性格から見まして、極めて軽微な者につきましてはやはり年金なり一時金なりを支給するということを御遠慮願うという考え方をとつております。或いは第四款症及び第五款症は……、恩給法のその傷の内容にも書いてありまする通り軽度の妨げがある者というふうに書いてある者は三款症でございます。四款症、五款症はそこいらから見ましても又そういう規定の中身から見ましても、まあいわゆる援護の対象にする必要はないのではないか。厚生年金も大体そういう考え方をとつております。年金と一時金との支給の分け方をどうするかと申しますと外科的疾患により傷がすつかり固まつてしまつた者は一時金、内科疾患結核性疾患のような方で治療を要するような状態にある人は年金を支給して行こう、こういう考えでございます。これは今回の厚生年金の改正によつて範囲が拡張されるわけでありますが、その場合でも外科的疾患の者については障害手当金、つまり一時金を寺給するということ、内科的疾患の人に対しては年金を支給する、こういう考え方をとつておりますので、援護という観点からいたしますならば、むしろ厚生年金のそういつたやり方を真似するほうが妥当ではないか。国家補償の精神に基き援護するということでございますので、まあ遺族の場合にも若干その恩給の場合と差がついておりますと同じ考え方を、この際もとつてこういうふうにいたしたのであります。決してごまかすという意味ではございません。
#69
○有馬英二君 外科的疾患は二カ月とか、長くても半年とか、或いは一年とかでそれで治癒するということから一時年金で済まされる。併しそのあとに障害が起つて手が動かないとか、或いは足が曲らなくなつたとか、それがために労働の状態が甚だ減せられる。そうすると結局労賃が非常に少くなるわけですが、そういう人は年金をもらわないで一時金で追い払つてしまつたということで、あとちつともかまつてもらえないということが起るわけじやないでしようか。
#70
○説明員(田辺繁雄君) それはいわゆる事後重症と申しまして、一旦裁定になつて年金なり一時金なりをもらつたあとで、その傷が重くなつた場合にはは、もう一遍裁定をし直しまして、その重い状態に即応する年金に書換えるという規定がございます。現実にもそういう事態が起つております。最初障害が軽いと認められて一時金と裁定された人が、あとでいわゆる事後重症と申しますか、なつたために更に年金なり何なりを支給するというふうになる規定がございますので、お話のような場合にはそれによつて救済されることになつております。
#71
○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をやめて……。
   〔速記中止〕
#72
○委員長(上條愛一君) それじや速記を始めて……。
 本案の本日の質疑はこの程度にいたしまして次回に譲りたいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#74
○委員長(上條愛一君) なお、委員の異動を御報告いたします。三月三十一日付で委員湯山勇君が辞任されて、後任に安部キミ子君が選出されました。又四月一日付で竹中勝男君が辞任されまして湯山勇君が選任されました。御報告申上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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