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1953/05/21 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第43号
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1953/05/21 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第43号

#1
第019回国会 厚生委員会 第43号
昭和二十九年五月二十一日(金曜日)
   午後一時四十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     上條 愛一君
   理事
           大谷 瑩潤君
           竹中 勝男君
   委員
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           横山 フク君
           廣瀬 久忠君
           安部キミ子君
           藤原 道子君
           堂森 芳夫君
  政府委員
   厚生省医務局長 曾田 長宗君
   厚生省薬務局長 高田 正己君
   厚生省社会局長 安田  巖君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保障制度に関する調査の件
 (生活保護法の適正施行及び医療費
 監査等に関する件)
○医薬関係審議会設置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(上條愛一君) では只今から厚生委員会を開会いたします。
 社会保障制度に関する調査を議題といたしまして、生活保護法の適正実施並びに行政費の削減等に関して質疑を行います。御質疑を願います。
#3
○藤原道子君 私は先ず社会局長にお伺いしたいのでございますが、最近生活保護法の適用が非常に厳しくなつて、そういうことはないということがしばしば局長から言明せられているにもかかわらず、そういう事例が頻発しておるのでございますが、特に最近における生活保護法の運営に関して、局長は何らかの特別な方針をおとりになつていられるのかどうかという点について、先ずお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(安田巖君) 生活保護法の適用について新らしい方針をとつておるかということでございますが、御承知のように生活保護費のうちで医療扶助費というのが非常に増嵩いたしまして、昨年の末になりまして、支払に苦しんだことは御承知の通りの事情でございますが、どうして殖えるかということについて、実は私どももいろいろ頭を悩ましております。それで医療を受けております世帯につきまして、まあ全国一斉に実は調査をいたしておりますが、大体私どもで調査をいたしました結果、主として医療扶助の単給世帯でございます。医療扶助だけを受けている世帯について調べますと、大体二割くらいはやはり適正を欠くと思われて何らかの措置を要すると思われるものがあるわけでございます。大都市におきましては東京、大阪、京都等調べましたが、三割幾らがやはりそういう問題がある。これは直ちにそのものが全額支払が不当であるということじやありませんけれども、収支の認定において、或いは自力の活用において、或いは世帯を分けるという分ける手続等におきまして問題が相当ございます。それからこの前も実はこの委員会でお話をいたしましたが、医療の単給世帯で一部負担を全然していないというのがやはり七〇%以上ございますので、一部負担、これは竹中先生の御質問があつたときに申上げたと思いますが、そういうことから考えまして、医療の単給でありますから、仮に月に五百円でも、千円でもやはり負担すべきものは負担させるという方法で行くべめじやないか。これは特に医療費が多くなつて私どものほうの財源が苦しくなつたということは別にいたしましても、やはりそういうことを考えるべきだというので、そういつた適切な措置をやれということは私ども何度も申しておるのでございます。大体以上でございます。
#5
○藤原道子君 確かに医療扶助を受ける家庭が殖えて来ておることは事実でございますが、その殖えて来るには、殖えて来るだけの原因があるのであつて、殖えて来たから即濫給だというような考え方には私たちは異議があるのです。これは大きな問題です。まあ最近において政府はこう医療費が殖えて来るということによつて、社会局長の通牒か何かで生活保護法による医療扶助の適正実施ということを五月八日に発せられておるというふうに聞いておりますが、事実でございましようか。
#6
○政府委員(安田巖君) ちよつとその日附は私忘れましたが、ここに持つておりますのは二月十一日に出しておるのであります。そこで今おつしやいました医療扶助がなぜ殖えるか、殖えた分だけ見て、如何にして殖えたかという原因を突きとめないで、多い、多いというのはおかしいじやないかということは、これは御尤もなことなんです。そこで先ほど申しましたように、私のほうで調べたのでございますけれども、この調べました結果は、五万五千九百八十五世帯で、そのうち保護の停廃止すべきものというのが、我々が指示したものが大体八%ございます。四千七百二世帯。それから新たに一部負担を課し、或いは一部負担の増額を指示したものが七千七百八十九世帯で一四%。これは今おつしやいましたように原因がどこにあるかということを別に具体的に一々調査をいたしましてそういう結果になつたということでございます。これはまあ一応一つお認め願つて然るべきじやないか。併し問題は現在医療扶助を受けておる、単給を受けておる世帯は決して楽じやないのでございますけれども、併しどの程度の一部負担を課すかということなんです。その場合のその家庭における生活水準というものは一体どこに見るかということが問題なんです。それを純然たる生活扶助の現在の基準まで画一的に落して行くか、或いはどの程度それにプラスしたものにするかということが技術的には問題になつて来るわけです。従来これは非常に抽象的ではありますけれども、その生活扶助という場合の、我々のほうで調査をいたしました生活水準と、それから医療扶助という場合にはやはり気持が大分違つておりまして、医療扶助ならもう普通の人々でも受けられるのだという気持が一般にあることは事実でございます。そういうことが受ける側にもあるのでございますし、それを取扱う私どもの帰還のほうにもあるということでございまして、そういうことから見れば少し締めたということになるかも知れません。併し今申しましたような数字は、これは実際にいろいろ監査に行きまして当つた結果でございまして、まあ大体そういうことは言えるのじやないかというふうに考えております。
#7
○藤原道子君 そこが私は大きな問題だと思うのです。医療扶助は普通生活扶助を受けなくても、何らか働いて生活しているわけなんです。ところが一人病気になつたという場合に、これに一部負担する能力があるかどうかということはこれは大きな問題だと思うのです。結局医療扶助を生活保護を受ける人の水準まで下げるということになれば、これは御承知のように生活保護法には労働の再生産費は見込まれていないのでございます。最低生活を規定している。ところがこの人たちは働いておるのでございます。家族が病気、子供が病気という場合には、この人は働かなければ生活の維持はできない。働いて生活の維持をしながらこの病人をどう療養を続けさせるかということが問題なのでございますから、当然これは生活保護を受けている人の家庭とはそこに差別があつていいと思います。それから一部負担のことでありますが、三百円や四百円負担ざるのは当然だと言われますけれども、入院した場合に患家において入院料を医療扶助でもらつておるからといつて、ほかに何らの出費がないでしようか。入院しておればやはりいろいろのもので必要なものが出て来る。見舞に行くにしてもそこに電車賃その他の出費が要るということになれば、一部負担をする能力があるかどうか。本当に病人のためになら、一部負担が相当家庭生活にくい込んでおるということを考えてもらいたいと思うのですが、局長はその点どう考えますか。
#8
○政府委員(安田巖君) おつしやる通りでございまして、家族の者が働けなくなるようなことをして、一部負担を取つてみても、或いは医療扶助を停止してみてもしようがないことでありますが、併しやはりそこに程度問題がございまして、この家庭ではそれじや毎日見舞に行くから毎日の電車賃をやるが片方の家庭ではそれすらできないから、月に一遍しか行かないけれどもそれじや見ないかということで、お互いに比べてみますと不釣合がたくさんできて来るわけであります。でありますから、そういう点を考慮いたしまして、できるだけ公平に取扱うと私どもといたしましては念願をいたしておるところでございます。そういう点を無理をしない程度でやつておるつもりであります。併し従来よりは私どもとにかく無駄があるところは少し締めなければいかんと、こういう気持でやつております。
#9
○藤原道子君 それでは一部負担可能なりと認定された基準を、どのくらいの報酬があるかた、どのくらいの収入のある家庭を一部負担の対象とお考えになつておるか。その点を重ねてお伺いいたします。
#10
○政府委員(安田巖君) これはやはり具体的にそのケース、ケースについて言わないとわからないのでございまして、私どもがこれで、例えば生活保護の五人世帯の基準は、例えば八千三百二十二円である、その一割増しだと言つてみてもしようがないのであります。大体生活保護の基準というものが一つの基準になりまして、更にその家庭の事情等を考えましてそういう点をきめておるわけでございます。そこにケース・ワークの妙味があるわけでございます。大体そういうふうに具体的にきめるやり方をしております。生活保護の基準を押付けるということはございません。
#11
○藤原道子君 これは医務局長と両方に亘つての御質問になるのでございますが、最近これは全国的な問題を申上げますが、大分調査が来ておるのでございますが、例を神奈川県にとつてみたいと思います。最近政府が医務局長の名前において四月二十一日に発せられました行政費の一割削減の問題について、医療費までも削減の対象になつておるということを聞いておりますがその点について私はあとで医務局長にお伺いしたい。ところが神奈川県は三月末に会計検査院が一斉検査を各施設に行われておる。そうして会計検査院が一斉立入検査をして、そうしてその結果濫給であるというお小言を大変県自体が頂いたそうでございます。その結果、今度は県自体が立入検査をいたしまして、そうして県の医者を連れて病院の施設の調査をいたしました。そうしてその場所で医療券の打切りとか、或いは看護の打切りとか、こういうものを直接にしている。このことについては、施設自体がびつくりしてしまつて、これでは医療の目的が達成せられない、こういう馬鹿なことをされては困ると言つて社会福祉事務所へ申入れたそうであります。ところが社会福祉事務所からはまだ文書による医療券の打切り等については指示はされて来ていない。そこで社会福祉事務所は何と言つたかというと、これは県の指示であるから仕方がないと言つて逃げているそうであります。だけれども、施設側では、こういうことをされたのでは我々は正しい医療もできないというようなことから、厳重に抗議をされているというようなことを聞くのでございますが、医療扶助の適用、即ち生活保護の適用は、これは検査院等によつてそういう小言をもらつたからと言つて、県自体が、社会福祉事務所も通じないで、いきなり打切りができるようなやり方を従来やつておいでになられた、こういうことは違法だと考えまするが、それに対してどうお考えになつておりますか。それといま一つは、政府が行政費の一割削減というようなことをどうしても達成したいという上からの無理が来ているのではなかろうかと、私はこうも考えるのでございますが、それについて一つ御答弁を伺いたいと思います。
#12
○政府委員(曾田長宗君) 私のほうに関係のございます行政費一割削減という点について私から御答弁申上げます。この問題につきましては、大蔵省のほうの意向として、この予算の実施計画を立てます場合に、将来この経費の節減ということが一つの可能性としては考えられるから、計画の中に一割を入れずに立てるようという意向が伝えられましたので、正式にその方針が巨まつたわけでもないのでございますけれども、あとで又混乱を生じても困りますので、一応こういう動きがあるから、そのように少くとも第一・四半期については計画を立てて欲しいということを通牒で流しましたのでございます。このことにつきまして、いろいろ言葉が足りなかつた点などがあつたと思うのでありますが、一応はこの庁費関係、或いは今お話のございました医療費、或いは患者の食糧費というようなものが含まれております。私どもとしては、これは非常に困つたことで、実際問題としては実施困難である。一応併しこの将来に予想されますこと、それからその最悪の事態に備えるというような意向もございまして、一応こういうつもりで計画を立てて欲しいということを申したのでありますが、それと同時に、大蔵省のほうにはこの今の趣旨が具体的に如何ように具現されて来るか、その内容によりましては、私どもとしてはこの施設の経営上非常に困るということをいろいろ説明申しまして、そうしてだんだんと御了解を得ているとろなのでありまして、例えば患者の食糧費、或いは看護婦生徒の食糧費、こういうようなものは、これははつきり除こう、即ち削減の対象には考えない。それで医療費の問題その他につきましても、今私どもといたしましては、頻りに折衝をいたしておりまして、実際に患者の診療上に支障が来ないような措置をとらざるを得ないというふうに考えているところであります。
#13
○藤原道子君 これは医務局長でなくて……。この検査院の検査のほうは、これはどつちが答弁するのですか。
#14
○政府委員(安田巖君) それは……今のお話ですと、検査院の検査官が療養所へ行つて、これは打切るべきだとか、或いはこれは附添を付けるべきではないと指示をしたということでございますね。私ちよつとそういうことは実は聞いておりませんけれども、多分それですぐ効果が出るとかどうとかというものではないと私は思つておりますが、若しそういう必要がありますならば、それぞれの機関で以て手続をいたすべきではないかと考えておりますが、なおよく調べてみたいと思います。
#15
○藤原道子君 そうじやないのです。検査院が立入検査をいたしまして、そうしてそこで非常にこれは濫給があるという小言があつたそうでございます。そこで県のほうで慌てまして、県が改めて立入検査をして、県が医者を帯同して検査に参りまして、その結果その場所でこれは看護婦附添を付けるのは妥当でないから打切る。これは退院させるべきだというようなことが指示された、こういうことでございます。そうして施設側が困つて、それで目下折衝中のところが、浩風園とか、神奈川療養所というようなところが非常に困つてやつているということを聞いております。
#16
○政府委員(安田巖君) 検査院のほうがいろいろ生活保護の執行状況、或いは医療扶助の執行状況を検査いたしまして、そうしてこれは不適当じやないかというようなことを申されたことはあります。それで遺憾ながら向うの指摘が誠に御尤もであつて、私どものほうですぐ直さなければならんという場合も実は多々あるのでございます。そういう事例もございましたために、私ども実はもう少しそういう点について注意しなければならんというふうに考えた点もあるのでありますけれども、例えば附添なんかでございましても、附添を打切つた、或いは退院を命じたから、すぐ必要なものまで切つたとか、或いはもう入院を当然すべき者を追出したと、こう言われるのは非常に困るのでありまして、やはり実際問題として調べてみて、附添を付ける必要はないというのが付いている場合もあるのでございます。それから又出てもらつてもいいような人が入つている場合もあるのでございますから、そういう場合には指示をいたやということは私は適当だろうと思つております。
#17
○藤原道子君 問題は程度の問題だと思います。これは是非調査をして頂きたいのでございますが、横浜療養所に、今までまあ附添が付いておりました患者が八十余名いたそうでございますが、これが打切りになつたのが六十三名だということになると、八十余名の中で六十三名も打切られるというのは、私はどうも妥当でない。一部まあ付けなくても済むような者についていたのもあつたと仮定いたしましても、そんなに多数が一緒に打切られるというはずはない。それほど濫給はいたしておりません。私のほうから言えば、漏給のほうが多いのであります。濫給と称されますのは、地方のボスなどの顔によつて、よしおれが引受けたというようなことで入院して、不正医療券の交付を受けておるようなのもかねがね私たち耳にいたします。ところが切る場合には、そういう者が切られないで、真に医療を受けるべき、お気の毒な人たちのほうが切られておるという例もあるのでございますから、これは直ちに御調査をして頂いて、御報告願いたいと思います。
 それから退院の基準ですね。幾ら経費を節約しようというのが趣旨でございましても、療養を必要とする者までも切られるということがあつたならば、これは由々しき問題だと思います。退院可能という基準をどこに持つておいでになるか、これは医務局の御判断だろうと思うのですが、幾ら生活保謹賀の節約をしようとしても、まだ療養を必要とするという者の医療券を切るということは、絶対に私は生活保護法の精神から言つてできないことである、こう考えておりますので、この退院を可能とする基準をどこに置いておいでになるかということを伺わして欲しいのです。
#18
○政府委員(安田巖君) この附添婦の問題は、前からいろいろ問題になつておつたのでありまして、私ども成るべくそういうものを付けないほうがいいという考え方でおります。で、実際当つてみますというと、付けなくてもいいという場合が相当調べてみるとあるわけでございます。なお又その人数の点等でございますけれども、当該療養所において仮に完全看護したならば何人の看護婦が要るかというようなことからも一つ数字を出してみましても、少し非常識に多いというようなことがあるのであります。そういうことから考えますと、私はその八十余人が六十人になつたものが妥当であるかどうかということについては、なお検討いたしてみますけれども、そういうこともあり得るのではないかという私の感じがいたします。
 それからなお退院の基準でございますけれども、これは実は私ども、もう二十四年頃から或る程度そういう抽象的な指示をいたしておりまして、最近、御指摘になつたのは恐らくそのことだと思いますが、入退院の基準について、大体こういうことはこれは極めて抽象的なものでございまして、これを具体的に当てはめる場合には、個々のケースについて技術的にも、或いはその人の環境その他についてもよく具体的に検討した上でやるということになつております。併し何にも基準がないということは非常に仕事がやりにくい。それでまあこういうことは或いは療養所なり、病院が責任を持つているところのお医者さんに任したらいいじやないかという或いはお考えもあるかも知れませんし、そういうことを申しますと、成るほど尤もだということなんでありますが、併しまあいろいろ私どものほうの技官あたりが調べに行きまして、そしてどうも退院してもいいのじやないかというような者につきまして、いろいろカルテを出してもらつて、お医者さんと話合いをいたしますと、初め、これは退院しないほうがいいのだというような者も実は退院させてもいいのだというようにまあなる場合があるのです。こういうことは余りはつきりは言えませんけれども、とにかく私は現在入つておる者の中で、出て然るべき者があるという気持を持つておるのであります。それから今もう入つて、入院治療しなければならんという者を追い出すということは、これは極めて非人道的なことでありますし、私どももそういうことを言われますと非常に冷酷な男のように聞えるのでございますけれども、実際は経済的に言えば、無理をして私どもそういう摩擦を起して出してみても、余り得にはなりません、これは……。と申しますのは現在在宅患者で以て入院を待つております入院予備軍と申しますか、そういう者が実はたくさんおるのでございます。ベツド数の何倍かおるのでありまして、そういう者が出た人の代りに入つて来るということでございまして、私どもは極めて少い経費ではありますけれども、それを最も効率的に使いたいという意味におきまして、入院の問題も考えてみたいと、こういうふうな取扱をいたしております。
#19
○藤原道子君 医務官長の御見解を伺いたい。
#20
○政府委員(曾田長宗君) 私どもといたしましては、勿論預りました患者の手当ということを十分にいたして、そうして退院後殆んど心配がない、自宅療養で結構、或いは近所のお医者様に通つて差支えがないという状況になるまで病院にお世話いたすということが根本的な考え方でおるわけであります。併し今社会局長から話されましたように、今日におきまして一年に二万五千余りぐらいずつ結核の病床が殖えていると言いましても、まだまだ入院のできない患者さんたちが相当に自宅におられるわけであります。で、今もお話のように、申込だけを受付けておるという者もたくさんおりますので、中には非常に感染の虞れの多い子供たちとか、若い人たち、こういう人たちと狭い家に一緒に住んでおつて、そうして喀血までしておるというような人にちがおられるのであります。で、こういうようなかたがたから入院の申込を受けまして、できるだけ早く入れて上げたいというふうに考えておるのでありますが、なかなかベツトが空かない。一方におきまして相当な期間療養所におられまして、そうしてまあ長い経過をとるのではありますけれども、除々に恢復して、最近においては殆んど菌も出て来ないようになつた、併し久しい間の療養所生活でありますから、家に帰ると言つても、家も住宅の事情だとか何かが非常に窮屈で、帰ることも困難だというようなことで、無理をして家へ帰つて体を酷使する、病人とは言いながらもいろいろと手伝うとかいうようなことが起つてぶり返す虞れがあるというようなことで、本当ならばもう少し置いて上げたほうがいいとは思う。併し今のように非常に子供に取り囲まれながら血を吐いているようなかたがあるということを考えますれば、そのいずれのかたを収容してお世話するほうがより必要かということを申しますと、これは勿論一方においてベッドをたくさん作ればいいと言えんばそれつきりの話でありますが、現のベッドを十分に使うということを考えますれば、そういうときには十分な退院後の療養の仕方というようなこと、或いは退院後に保健所あたりともよく連絡をとりましてお世話をできるだけするというような措置をとつて、こういうようにより緊急な入院の必要があるかたにベッドを譲つて頂くというふうな措置は或る程度必要ではないか、これは止むを得ざる必要だというふうに私どもは考えておるのでありまして、そういう事情がある。で、こういつたようなときになりますというと、社会局長がさつき言われましたように、とにかく入院を必要とする緊急度の高い人たちがあるので、その人たちにベツドを譲つて頂きたいというような趣旨で、先ず注意さえすれば、一応退院されても急激な変化はないだろうと思われるかた、或いはその後順調に逐次回復されるであろうというかたにベツドを空けて頂くというような話合いを進めて行くということは、これは療養所の運営上最も必要なことだというふうに考えております。そのことからいわゆるどういうかたを入所してもらつて、そうしてどういうかたに出て頂くというような、或る程度の基準というものは必要であろうということで、私どもの療養所におきましても、所長或いはそのほかの職員でこの点をかなりな期間慎重に検討しておる状況なんであります。併しこの問題は皆さまがたから御指摘を受けます通り、非常にむずかしい問題なのでありまして、私どもの関係省で検討は続けているとは言いながらも、明確な結論というものにまだ到達いたさないのでありまして、勿論幾つかの案を作つては皆の討議にかけ、又それを改めて又相談をし直しているというようなことで、そうしてそれを社会局のほうにも見て頂きまして、社会局のほうからもそういうようなものを技術的に作つてもらいたいということをおつしやつておられまするので、私どものほうとしては主としてこの患者の療養という意味から、技術的に基準を考えてみております。社会局のほうにはそれ以外にいろいろ生活保護法の立場から、他の事項についても併せ考慮されておると思うのであります。私どものほうとしましては、今のところまだどうも最後的にはつきりと書いたもので府県にまで流して出すというような結論にはまだ到達いたしておらんような状況なのであります。併し今申上げたような事例が現実には方々に起つていると思うのでありまして、その本省からのいろいろな正式の通知というようなものが来なくても、都道府県におきましては、都道府県の考え方で或る程度その趣旨を酌んだ措置を講じたいというようなことで、いろいろ具体的な動きに出られた所もあるのではないかというふうに考えております。今お話がございましたが、私のほうも療養所からも若干の所からはすでに府県でそういうような動きを示されて、厳重な現場視察等を受けて、そうしていろいろ御相談を受けて、その処理をどうしたらいいかということで困つておるというようなことを言つておる所もございます。私どもとしては、基本的な考え方としてはまじめに取上げて検討して行かなければならない、そうして社会局長が話されましたような趣旨で私どもも十分御協力するつもりでおるのでありますが、これの具体的な実施ということについてはいろいろデリケートな問題がからんで参りますが、余りに機械的にこれを実行に移すということは困難なので、よく実情に副つたような動かし方をして行かなければならん。又私どもの療養所の職員としましても、そういう御意向を伝えられたときに、無理のないようによくお話をして措置をするようにということを申しておるような実情であります。
#21
○藤原道子君 局長がいろいろ御苦心の跡歴然とした御答弁でございますが、その答弁は誠に私気に入らないのです。そういう態度だからいろいろな下部、末端において摩擦が起るのです。問題は医務局長はどうしたら結核を防ぐことになるか、どうすることが結核を撲滅するかという態度において、予算に動かされるのではなく、ほかの局からの申出等によつて動かされるのではなく、どの線は絶対に引けない結核対策の線であるということを私は確立してもらわなければならんと思う。又社会局長はやはり貧しい人の生活をどう護るか、生活保護法の精神から、予算に縛られるのではなく、貧しい人をどう護るべきであるかということに立つて頑張つてもらわなければ、貧乏人や病人は立つ瀬がないと思う。更に私は重ねてお伺いしますが、結核患者が退院していいという限界はあると思う。無菌になつてから作業療法をどれだけ続ければ社会に復帰できるとか、どの程度になつた者は退院していいのだ、退院しても家庭の療養は継げなければならんのだ、いろいろの基準はあると思う。従いまして重ねてお尋ねいたしますが、退院は無菌になつて何カ月とか、或いは安静療法はもう必要でないとかというような線があるのではないかと思うのですが、その線があつたらお示し願いたいと思います。あなたの所信を聞きたい。
#22
○政府委員(曾田長宗君) 今の具体的な御質問といたしましては、意気地がないようかも知れませんけれども、遣れは実際問題といたしまして、いろいろ意見といたしましてはございます。例えば三カ月で退院をしてよろしいという意見もあります。又やはり一年ぐらいは無菌となつてから置かなければならないという意見もおります。この問題につきましては更にもう一つの問題として取上げますことは、今作業療法というものの考え方なんであります。この作業療法と申しておりますのは、今まではただ漠然と作業療法と申しておりましたが、この作業療法と申しておりますのは、この趣旨がいわゆる患者の後療法ともうしますか、或いは後措置と申しますか、社会復帰ということを主眼とした考え方と、病気自身の経過をよくして行く、促して行くという、或いは順調な経過をとらせるという疾病治療の意味、それから更にいま一つは、患者の健康の回復の度合がどの程度まで進んだかということを見る。これは療法というよりは、診断と申しますか、これの意味というような幾つかの意味がこれはからまれて来ているのでありまして、実のところを申しますと、やはりいろいろ会計検査などを厳重に私ども受けておるのであります。そういうようなときに、特に作業療法等に熱心な施設におきましてだんだんと仕事にもなれさせて、将来の生計の足しにもなろうかということを教えている。又一方においては、その健康度をみまして、だんだんと恢復しておりますが、大体仕事をさせますのは、最初は三時間程度の仕事に堪え得るというようなところに行きますと、作業療法、それで三時間で堪え得ると思つても、三時間はさせない正のでありますが、少しづつ仕事をしてもらう、こうやつて逐次伸びて行くわけでありますが、極端なことを言いますれば、六時間、八時間以内というところまでは行くわけであります。併し六時間、七時間というところで、八時間というのは、これは紙一重の問題でありまして、この程度に治つている者ならば、何も療養所に置くという必要はないではないか、むしろ外に出てもらつて、若しも社会復帰の必要があるならば、いろいろな他に授産指導の施設があるのだから、そちらのほうで世話をすればいいので、そちらのほうにウエイトがかかつて来ているのもあります。病人としても療養所でいろいろ経費も余計かかりまやし、又先ほど言うように、ほかのもつと緊急度のある患者が入れないで、困つているのならば、こういう者は置くべきではないのではないかということで、御相談の域を脱して、お叱りを受けたという事情もあるのであります。併しこの辺のところをどの程度までいわゆる作業療法として収容して置くか、或いは私どもとしましても、ただ漫然と作業療法、作業療法というので、そういうような患者を置くことは困るかも知れませんのでありますが、特にそういう趣旨で、いろいろ設備等にいたしましても、又指導職員としましても、こういうものが揃つておるような所では、そういう患者をかなり持たせて頂くことも必要ではないか。併しただどこの療養所も同じようにただ漫然とまだ十分治つていない、家に帰つても八時間の労働には堪えられないというので、ただそれを漫然と入れて置くということは、確かに私どもとしても反省の要があるのではないか。療養所といたしましては、確かに八時間以上の労働に堪え得るところまで来た人に出て頂くというのが万全の策でありますけれども、併し万全の策というものがとれるということを待ちますれば、これは施設としても厖大な施設を設けなければならんことで、これは又別に努力いたすといたしましても、全の状況には対応できないのであります。さような意味から申しまして、今私どもとしましても、藤原委員からおつしやいましたように、そんなようなことをただ漠然と言つていてもしようがないから、例えば無菌の期間というものを何カ月くらいのところで切るということが実際的であるかということにつきまして、いろいろ専門のうちの職員だけでなく他の人たちにも入つて頂いて検討しておるのであります。なかなか早急な結論は得られないというようなわけであります。
#23
○藤原道子君 私は結核の状態から参りまして、今局長の言われた通り、菌がなくなつて体力の回復などとも併せ考えなければなりませんので、個々の病状に即して医者が安心して退院してもいいということの態度をとられるのが正しい。ところが現在はそうでなくて、あなたの言うことと逆に退院が強要されている例が多々あるのでございます。ですから医務局長としては、そういうことのないように、この病気はそれは成るほど待機患者がたくさんございます。だからと言つて、二年も三年も療養して、あと一歩というところで急いで退院させただめにこれが又元に戻つて、長い間の費用が無駄になるというような患者もたくさん出て来る。そういうようなことのないように一つ善処してもらいたいと私は強く希望しておきます。
 あなたに対する質問がまだあるのですが、安田さんがお急ぎのようですから、安田さんにお伺いいたしますが、生活保護法の患者といえども、これは一つの人権を保障されているのでありますから、従つて退院等に対しましては、一つ十分医務局との相談の上で主治医が大丈夫だということの上において退院等の処置をされるように、ただ経費を節約するというような意味で退院を強要するようなことのございませんように一つ御努力を願いたいと思うのですが、それは如何でございましよう、それといま一つは、退院、今の作業療法でございますが、そのためにアフター・ケアの施設が私らは必要だということをかねがね主張して参りましたが、今アフダー・ケアの施設の状況は何人くらいの人を充たすだけのものができておるのかということを私はお伺いしておきたい。
#24
○政府委員(安田巖君) 私は医療扶助を受けております患者に対しまして、医療上のことにつきましては別に差別をするということはないのでありまして、医療の内容等につきましても、私どもは健康保険と殆んど同じようにいたしておるのであります。ただ先ほどからたびたび申しまするように、患者の中にいたいという素朴な希望を全部かなえてやる……。
#25
○藤原道子君 私はそんなことを言つてない。
#26
○政府委員(安田巖君) 或いはそういうような気持に仮に迎合するような医師はないと思いますけれども、そういうようなことがあつてはならないというようなことなんでありまして、そこでそういう容態等につきましては、一応私どもは一番誰が見ても大体こんなものだろうという基準がございますので、これは地方庁に見せますと、これは大体甘過ぎるというようなことを言う人がありますけれども、そういうようなことがありまして、そうしてそれに適合するかどうかということは、実際にカルテ等も調べますし、その辺をなお医師等に相談いたしまして、話合いによつてやつておる。いずれにしましてもとにかく最初から申しますけれども、無駄のないような効率的な使い方ということを私はこの際或る程度工夫していいのじやないかということは、いつも最近この仕事をいたします場合に念頭を離れないのでございます。
 それからもう一つ申し忘れましたけれども、アフター・ケアは昨年が二百床の予算で大体三百床でございますが、百ベツド、それから本年がやはり同様でございまして百ベツド、これは多少水増しいたしまして百十ベツドくらいになるかも知れませんけれども、成るべくたくさん作りたいと思います。そのほかに県や或いは団体等で自分の所で保護施設の厚生施設ということでやつておりますのがほかに五つか六つございますから、まあ全部にいたしましてもそれが大体五十から百くらいの施設でございましようから、大体まあ五、六百がせいぜいだと思います。
#27
○藤原道子君 安田さんに私の言うことを間違いなくお聞き取り願いたいのでございますが、病院は下宿屋ではございませんから、当然病気が恢復して然る後に退院することに対しては私は決して反対するものではないのです。けれども、病状が回復しないのに医療券打切りによつて止むを得ず退院しなければならないという患者が殖えております。その点についてお心をいたして頂きたいということを申上げておるのであります。それと同時に、退院ができたならば、又社会復帰までのこういう施設を私は十分にして、患者の不安なきを期するのが私は一番大切なことじやないかということを申上げておるのでございますから、先ず局長が、最近全国から集まつたデータもあるでしよう。会計検査院で検査を受けたということもあるでございましよう。そうしたことに対する資料を当委員会へ一つ御提出を願いたいということをお願いいたします。
 それからこの貧乏人と申しましようか、とにかく最近の経済事情は貧富の懸隔がますますひどくなつて参りまして、あなたがたの想像以上に庶民の生活は苦しくなつて行つておるということを一つお考えになつて頂きたい。折角生活保護法があり、或いは結核予防法ができておりながら、今日の新聞にも二つか三つ出ておりましたが、一家心中、この悲劇もその原因は結核である。病苦であるとか、失業であるとかいうようなことが一家心中、親子心中の原因となつております。こういうことのなきを期するのが即ち社会局の仕事であると同時に、生活保護法の運用の妙味もあるのではなかろうか、かように考えまするので、特に私はこの点をこれはお願いをして、あなたの所でこうした人々を守つて頂こう、そのほかにないのだから、それをくどく申上げたわけであります。この点十分お願い申上げておきます。
 医務局長にお伺いしたいのです。先ほどお話のございました大蔵省の一割の行政費の削減ですね。これは実にけしからんと思うのです。あなたはいろいろお話になりましたが、すでに予算は通つておるのですね、二十九年度の予算として国の予算が成立しておるのに、これを一方的に一割削減せよということは、大蔵省から出ておるとすれば大きな私は問題だと思う。殊に患者の給食費、医療費、こういうものまで削減するなんということは由々しき問題だと思う。この点は私たちも十分質したいと思います。医務局長はこの点についてはよつぽどの重大決心を持つて、大蔵省にお願いするのではなくて、予算が正しく通つておるのに、今後殖えるであろうということを見越して補正予算を出すのは工合が悪いから、だからきまつた予算で遮二無二やつて行こうとする一つのそういう考えの現れだと思う。殊に食糧費は結核患者にとつては治療費の一部である。食餌療法ということも考えなければならん。而もそれもよつぽど莫大な食糧費が出ておるなら別でございますが、現在九十六円五十銭ですかの食糧費から一割削減すれば結局八十六円何がしということになるので、今の状態ではそれが妥当であるかどうかというようなことも、私たちは九十円のこれだつても私は本当から行けば不足なんです。けれども、いたし方ない。不満ではあるけれども、予算が成立しておるから、少くとも予算が成立しておればその範囲はごまかされては困ると思います。ですから我々からも大蔵省へは十分抗議しなければならないと思いますが、医務局としても一つ十分頑張つて頂かなければならない。聞くところによると、すでに第一・四半期においてもほかの費用の削減は指示されておるようでありますが、但し第一・四半期では食糧費はどうやら免れたけれども、第二・四半期に入つてこれが強行される虞れがある。今からその準備、心がまえをするようにという御指示があつたやにも聞いております。私は誠にそれは弱腰であると思いますので、それに対して一つあなたのお覚悟を聞きたい。冗談じやないです、これは。
#28
○政府委員(安田巖君) 先ほども申上げましたように、患者食糧費とか看護生徒の食糧費というものは、はつきりと絶対に削減はされんということを改めて各施設に知らせてやりました。
#29
○藤原道子君 やりましたか。
#30
○政府委員(安田巖君) やりました。今後も、只今の御意見のように、第二・四半期以後も絶対に削減というようなことの起らないように努力いたす考えであります。
#31
○藤原道子君 いつそれは指示なさいましたでしようか。
#32
○政府委員(安田巖君) 昭和二十九年五月十八日付で各施設に出しました。
#33
○藤原道子君 それからもう一点お伺いいたしたいのでありますが、先ほど局長は待機患者がたくさんおるんだ、血を吐いておる患者もたくさんおるから、ですからこれを入れなければねらん。従つて中に入つておる者に出てもらいたい、新陳代謝する必要があるのだというように解釈したのです。ところが現在あなたがたのほうで御調査になつて、入院を必要とする患者は百十三万人いるというデータが出たのですね。そうでしよう。結核患者は二百九十二万、こういうことになつているのに、結局病床は今年度殖えたつて十七万二千床ですか、ここに問題があるのです。ここに問題があるのだから、これはあなたがたの全努力を払つて、これの獲得のためにやつて頂かなければならない。百十三万人の入院患者が、必要とする患者がありながら、十七万二千床かないというところにも一つ問題がある。それから家庭療法でも何とかなるのじやないかというようなお話もあるやに聞えるのでございますけれども、家庭で療養できるような家庭がどれだけあるかということが問題です。住宅が三百十何万も足りないから殆んど間借りしている。それから家庭で療養するほど豊かな家庭の人は殆んど今はいないようです。こういう豊かな家庭療養のできる人のことなど、私たちは問題にしていないのです。だからこういう点もあるのでございますから、医務局は結核患者の重要度を考えれば、待機患者を入れたいというお考えもわかるけれども、長年療養を続けて来た人たちが、僅かあと半年ぐらい療養すれば完全な身体になれるのに、それが退院を急がしただめに、ぶり返せば、又この人たちに長い間の医療費というものがかかわつて来るわけです。そういう点につきましても、医務局長としての一つ重大なるお覚悟を以て今後の医療行政に当つて頂きたい。特に私たちはお願いします。本会議の鈴がりんりん鳴つておりますから、私まだたくさん聞きたいことがあるのですけれども、この程度にいたしておきます。
#34
○委員長(上條愛一君) それではお諮りいたしますが、本会議が始まつておりますので、一時休憩いたしたいと思いますが、本会議終了後に開会することにいたしましようか。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#35
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて。
 それでは一時休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時三十四分開会
#36
○委員長(上條愛一君) それでは委員会を再開いたします。
 医薬関係審議会設置法案を議題といたします。御私疑を願います。
#37
○谷口弥三郎君 昭和二十六年度におきまして医薬分業問題が検討されました場合にいろいろ検討はいたしましたが、なおまだ、例えば医療費などがどういう程度になるか、医療費は絶対に高くならずに済むだろうか、言い換えれば国民の経済に及ぼす影響はなかろうかどうかというようなことが非常に心配されて、種々検討はいたしたのですが、到頭その検討が十分できんうちに非常に急がれまして、遂に医薬制度調査会並びに臨時診療報酬調査会も終つたような状況でございます。併しもうすでに三年間経過いたしているのですから、厚生省におかれてはかなりいろいろな資料ができていると思いますので、それを一つ十分に納得の行くように御説明を願いたいと思います。
#38
○政府委員(曾田長宗君) 一応考え方を御説明申上げまして、更に細かい点御質問がございますれば、私どもでお答えできますことは申し加えるということにいたしたいと思います。
 この前にもお話申上げたのでありますが。大体私どもの考え方といたしましては、今日の医療費のうち特に医薬分業の影響を受けます部分は、薬治料に関する部分だと思うのでありますが、この薬治料なるものが、今日におきましてはいわゆる狭い意味での投薬の経費というもののほかに、医師の診断料とでも申しますか。或いは処方箋を交付する、処方箋を作成する経費とでも申しますか。或いは言い換えれば、医師の投薬に関連のある診療技術料と申しますか、こういうような部分が合わされておるものというふうに考えるのでありまして、従つて若しも診療の結果投薬をいたさないというような場合には、このいわゆる診療費なるものが何か薬から離れて支払を受けなければならん、勿論これは今日の社会保険の診療報酬といたしましても、この投薬をいたさず、又他の処置、手術等を行わない場合には、たしか二点でしたか、三点でしたか、この診察料、いわゆる再診料、二点だと思うのでありますが、再診料というものが支払われるのであります。併し多くの場合には、従来からの慣習といたしましては、この投薬を受けまして、そうしてその投薬の薬代というものに加えて、医師の診察料が支払われておつたのであります。これを若しも投薬それ自身は薬局において行われるということになりますれば、その医師の技術料、診察料、或いは処方箋料と申します部分を、現在の薬治料から引放すということになるのでありまして、この二つの部分に分けまして、そうして一方を医師に支払い、そうして直接薬品の原価及び調剤に要するいろいろな経費というものだけを薬局で支払うというふうにいたす、この方針で参りますれば、現在の薬治料を二つの部分に分けて、そうして現在では医師のところに併せて支払われておつたのでありますが、それを一部分を薬局において支払うということになるのであります。それを両者を併せましても特別な医療費の増額というものは来たさないというふうに考えておるわけであります。
#39
○谷口弥三郎君 医療費は只今のお話によるというと全体の増額は来たさんというお話ですが、それであつたならばどれくらいのこれまでは額が出されておつたか。そして今度いよいよこれを或いは技術料の方面、或いは薬剤の方面とかというふうに分けるとどれくらいの程度になりますか。それをいわゆる数字を挙げて御説明を願いたいと思います。
#40
○政府委員(曾田長宗君) これも病院と診療所等によりましていろいろ事情が異なつて参りますので、いろいろこれを分析いたして参り、それを次の段階において総合して全国的な医療費に積上げて見るということには相当な作業が要るのでありますが、大ざつぱな考え方を申上げて見たいと思うのであります。それは先般資料としてお配りいたしたものがございます。一つは年間の医療費の推計というのでございます。これは社会保険或いは生活保護或いは未復員者の救護法関係、或いは結核予防法、精神衛生法等の衛生関係の法規、こういうようなものに基きまして政府或いは地方の都道府県或いは市町村というものが支出いたします医療費、これは予算で以てわかるわけであります。それから社会保険等におきましては基金で取扱います経費、こういうようなものを土台にしまして、そのうち社会保険等においては一部負担、或いは結核予防法におきましても公費負担と同額のものを患者自身が持つておるわけであります。こういうような工合にして推計できます経費というようなもの、それに合せまして本省で以て、厚生省で以て行いました国民の間における医療費の負担状況、支払状況というようなものを調べた資料がございますが、こういうようなものを繋ぎ合せまして推計したのであります。これによりますと、大体昭和二十七年度といたしましては、約千三百億程度のものが医師、歯科医師に支払われたものというふうに出て参るのであります。勿論これは支払うほうの側から調べただけでありますがこれを医師の側と申しますが、施設の側から調査した資料もございますが、これはお手許には差上げてございませんけれども、大体年間に医師一人が何人くらい患者を診るか、入院患者、外来患者別にどれくらい患者を診断しておるかということがわかり、又その場合に平均一人一日の外来患者或いは入院患者についてどれくらいの診療報酬を得ておるか、或いは得べきであるか、いわゆる保険診療に換算いたしますれば何点くらいの診療を行なつているかというようなことが資料として出ております。これから算出いたしますと、今申上げました千三百億というものよりも少し嵩んで参りまして、これは計算で幾分ずつ違うと思うのでありますが、千四百五億くらいの数字が私どもの試算では出ておるのであります。こういうようなことが両面の計算で幾分そこに食い違いが出ております。これは又考えようによりましては尤もなことでありまして、医師として当然請求する報酬というものと現実に支払われたものという間に若干の食い違いがある。今申上げました数字によればほぼ一割ぐらいの食い違いがあるのであります。細かい点になりますと、今私どもの資料から結論されます数字を余り厳格に取扱うわけに行かねいのでありますけれども、或る程度の差がある。さようなところから大体考えますれば、国民の医療費は千三百億から千四百億ぐらいのところと考えていいのではないかと思うのであります。そのうち先ず四分の一乃至三分の一ぐらいのところでありますが、これが薬治料に当るのであります。勿論病院におきましては入院費等が嵩みますからそれよりも多くなつて来るのでありますが、診所等におきましては、まあ大体四分の一と見て頂いていいのではないかというふうに思います。即ち診療所では二五%、ちよつとそれよりも低い数字が出ておりますが、二五%程度、それから一般の病院ではほぼ一五%ぐらいというふうになつております。勿論これも精神病院だとか結核病院というものを入れますと更に下つて来るわけであります。こういうところからこの薬治料というものを推算いたしますれば、薬治料が今度すべての病院、診療所、それから病院のうちの精神、結核等を全部入れますと、総医療費のうち一五%ぐらいになつております。このうち大体医師の実収入と申しますか、いろいろ薬品の原価及び調剤の人件費或いはいろいろの消耗器財類というようなもの、かようなもの、かような三つに分けるといたしますと、ほぼ三分の一ぐらいずつになつているわけであります。幾分人件費及び消耗器材が三分の一よりもちよつと減ずるようでありますけれども、大体三分の一程度、そうしますと薬品の原価がおおむね総医療費の五%、それから医師の純収入になつておりますものは、薬は薬治料のうちに含まれております。医師の純収入というものは総収入のうちの五%、それから調剤に要する人件費、或いは調剤用の器材費というのが五%、ちよつと少いのでありますけれども、おおむねそのようにお考え願つていいのじやないかというふうに思います。全部合せますれば一五%が総医療費のうちの薬治料に当るということなんであります。
 で、今のところはこれが全部診療所、病院で支払われているのでありますが、分業になりますれば、このうちの五%だけは医師の収入として残るのでありまして、あとの一〇%に当る部分が薬局で以て支払われるということが一応考えられるわけであります。勿論薬品の原価とそれから医師の技術料というものはこれは薬局で支払われ、病院、診療所で支払われるということがはつきりいたしているのでありますが、多少問題として残ると申しますれば、この中間に残つて来ます人件費又は人件費及び調剤器材費という、この部分が問題になるとすればその点の帰属だと思うのであります。併しながら実際私ども一応考えておりますのでは、これは調剤に要する人件費又は材料費なのでありますから、この部分を薬局で支払いますれば、薬剤師の調剤技術料というものもこれから賄われ得るのではないかということが考えられるのであります。こういうように考えます限りにおいては、その総医療費の増額というものは来たさない。ところが診療所におきましては、実際は医師が自分でやつている部分と申しますのは割合に少いのではないかと思うのでありまして、看護婦とか或いは調剤助手というようなものがこの仕事をしているのではないかというふうに考えられるので、そうするとこの部分を分業になりまして、医師のところで調剤を行わないということになれば、この部分が診療所以外で支払われるということも止むを得ぬのではないかというふうに思うのでありまして、又一方薬剤師に対する調剤技術料というものが現在の病院、病院は薬剤師がたくさんおりますですが、診療所等の看護婦というようなものの手間が今申上げました人件費のうちに入つておるわけでありまして、勿論病院は大体薬剤師の手間になつていると思いますが、こういうわけで薬剤師だけではなしに看護婦の手間というものが入つておる。これが医薬分業になれば全部薬剤師の調剤ということになつて参りますのでありますから、そういう意味から言えば、もう少し人件費というものを多少殖やさなければならんというような意見も出て来るかも知れないのでありますが、とにかく現在の、殊に病院等においてはすでに薬剤師の人たちが調剤に当つておるのでありますから、現在の人件費をそのまま調剤手数料というふうに廻すという考え方で行きますれば、総医療費の増額は来たさないということになると思うのであります。そのほか細かいいろいろな考慮が加わつて来ると思うのでありますが、一応荒筋だけ申上げます。
#41
○高野一夫君 今の御説明に関連して、今の医務局長のなには総括的の意見なんであつて、これは総医療費のうちのいろいろな分析でありますが、剤薬分業を全国的に実施した場合にはこういうふうになるかも知れん。併しこれから地域を限定するとか、いろいろな方法を限定するということになれば、而も病院というものは今すでに剤薬分業をやつておる。そうして病院をオミツトして今度は診療所だけということになれば、そうして診療所であつても、なお且つ分業を実施する地域と実施しない地域もあるので、その実施地域における診療所のみということになれば、この影響力というものは僕は更に細かい数字になるのじやないかと思うのですが、そういうことを併せ考えて説明をして頂かんと、やはり誤解を招きます。
#42
○政府委員(曾田長宗君) 今御質問が出ましたから……、更にそういう観察もいたしてみておるのでありますが、それを申上げますと、病院と診療所におきまして診療いたしております患者の数というものは、勿論診療所のほうが多うございます。併しながら病院は御承知のように診療費を余計に食います入院患者を扱つておるために、診療費として見ますならば、今日病院に支払われる診療費と診療所に払われる診療費というものは半々でありまして、むしろ病院のほうが若干余計であるということになつております。こういうようにいたしますれば、先ず総医療費のうちの二分の一は病院でございます。病院には必ず薬局が設けられておるのであります。大体この部分は医薬分業の結果として何らの影響を受けないというふうに考えております。で、診療所だけは、即ち残りの二分の一、ちよつと弱なんでありますけれども、ほぼ二分の一、その二分の一の、私どものほうで試算いたしましたので行きますと、四分の一よりもちよつと下るのであります。先ほど申上げました通り、四分の一ちよつと下るかも知れませんが、まあ大ざつぱにいいますと四分の一程度のものが薬治療であります。そういうように考えますと、二分の一の四分の一でありますから、これは八分の一が医薬分業に関係のある薬治療ということになります。そうしてそのいわゆる総医療費の八分の一のうち三分の一が、先ほど私が御説明申上げましたような考えで分けるといたしますれば、医師に支払われる、三分の二が先ず薬局に支払われて然るべきじやないかというように一応考えております。そうしますと八分の一の三分の一となりますれば二十四分の一、即ち四%ぐらいになる。それから薬局に支払われますものは即ち二十四分の二でありますから、十二分の一というものが支払われるということになるのでありまして、そういうような分析もできるのであります。私ども一応試算いたしましたように、ただ二つに分けて、診療所、病院に支払われるものと、それから薬局で支払われるものというふうに分けましても、又それを合せて参りますときに大きな開きはない。そうして今医師の、医薬分業で以て仮に全部収入がなくなる、これは非常に夢のような仮定なんでありますが、全部なくなるとしましても二十四分の一、なくなると言つちや悪いかも知れませんが、それに関係のあるところは二十四分の一であります。その部分が多少減るか殖えるかということが問題になるかと思うのでありますけれども、まあ私どもとしてはそれをただそのまま残したいというふうに考えておりますので、大きな変化はない。ただこういうように制度が変つて参りますれば、妙なたとえを引くようでありますけれども、新聞紙を二つに切つて、又それを繋ぎ合せた場合に、丁度元の形になるかどうかといいますと、多少出たり入つたりするところがあるというふうな程度の重なりや、抜けるところが出て来るということは考えられますけれども、原則としては差異が出て来んというふうに思つておるのであります。
#43
○谷口弥三郎君 只今医務局長がお話になつた医療費の総額というのは、これは一体いつの統計でございますか。非常に古いやつと思われるのですが、最近では全然おやりになつておらんのではないですか。
#44
○政府委員(曾田長宗君) 今いろいろ御説明申上げております資料は、二十七年の資料でございまして、二十八年は昨年のことでございますので、なかなかこういうような細かい観察をいたしますものとしてはまとまつておりませんので、二十七年が、お叱りを受けるかも知れませんけれども、相当勉強して集めたつもりでおります。
#45
○谷口弥三郎君 二十七年度とおつしやるが、この前広く検討されたのは、二十五年度のやつが検討されたのですが、その場合と、只今のお話と少しも変らんようであります。それでただ医療費が高くならんというところだけは、この前の場合には同じようなふうに、ずつと全体の数ですが、その当時は政府においてもまあ三%そこそこは高くなるだろう。我々の医師会のほうで調べた場合は、約一一・九三%ぐらい、二二・三%ぐらいは多くなるだろうという数字を出したのですが、そのときに厚生省のほうでは、三%ぐらいは高くなるだろうと言うておられたときの数字と今の二十五年度と二十七年度とはそう変りないようなのにかかわらず、医療費の総額だけは多くならんというようなところが少しはつきりしませんが、もう少し……。
#46
○政府委員(曾田長宗君) 先ほど申上げましたように、国民総医療費のうちの、薬治料が大体一五%であります。それからそのうち三分の一ずつが薬品の原価、それから医師の技術料、診察技術料、それからそれ以外の経費というふうに分かれると申したのですが、いわゆるそれ以外の経費というところの部分でありますが、調剤に要しますいろいろな薬包紙或いは薬袋とか或いは調剤用の計量器とかというようなものの破損だとか、こういうようなものは、これは現実に薬を調剤いたしませんと、この部分は浮くだろうと思うのですが、人件費というようなものをとつて見ますと、これは長い目で見ますれば、結局それだけの手間がなくなるのでありますから、これも医師の収入から減じて行つて差支えないものと思うのであります。併し切替えというときには、多少看護婦さんの手があいたということになつても、一人やめてもらうというわけにも行かんというような事情があるといたしますれば、その中間の五%というものを、現実には果してそれを全部切落せるかどうかという問題が多少あとに残つて参ります。それから先ほど申しました調剤技術料の中に、現在においては正規の資格を持つておりません看護婦或いは調剤助手というようなものの手間が入つておるために、それをちやんと資格のある薬剤師が調剤するということにすれば、そこで幾分の増しが来やせんかというようなことが考えられるのであります。そういうような意味におきまして、この五%のところがそのままでいいか、そこに若干の重複が来るかということが問題となつて来た。仮に五%の部分が全部重複するとして考えたら、医薬分業の結果影響するところがどれくらいかというふうに見ますと、先ほど申上げましたように、診療所の診療費が約二分の一、それからそれの四分の一が薬治料、即ち八分の一、それからそのうちの、それの三分の一というのは二十四分の一になるのです。この部分が重複して来るというふうに考えたといたしましても、この診療所は、それではすべての診療所において分業が行われるかと申しますれば、これは今御審議願つております法に基いた審議会ができますと、そこで御決定を願うことになるでありましようが、恐らく診療所のうち、先ずせいぜい半分くらいの地域が分業になるのじやないか、或いはそれよりも少いかも知れませんが、半分くらいそういうふうに見ますれば、四十八分の一というものが問題になつて来るのであります。そうしますれば、パーセンテージにしますれば約二%くらいのものであります。それを若しも三分の一くらいということになれば、大体一・三%くらいのものになつて来るというような計算もできるのであります。今のように多少そこに私が先ほど申上げました紙を引き裂いて、それを合せて行くというようなときに出て来るしわというようなものとして、今のような事情を考えて見るとしますれば、そこでに多少の増があつたとしても、今のような一、二くらいのものに過ぎないのではないかというふうに思つておるわけであります。
#47
○谷口弥三郎君 まあ思いようでいろいろ思われるでしようが、大体今回できます医薬関係審議会がいいわゆる但書の審議会であつて、その審議の場合に、こういう場合には処方箋をやらんでもいいというような場合が出て参ります。そうすると医者のほうでは、今までよりか調剤数は少くなるけれども、全然そのために調剤数がなくなつてしまうのじやなくて、一定の施設には一定の人員その他はやはり置いておかなければなりませんから、それをずつと抜いてしまうて計算されたら非常な間違いが来るだろうというふうに思うのですが、その点を若しそういうようなふうにすればどのくらいになりますか。
#48
○政府委員(曾田長宗君) 今の御質問につきましては、仮に先ほど私が申しました薬治料を三つに分けて、その中間に入る三分の一というものが完全に重複するというふうに考えても、実施地域の関係というものを考慮して行きますと、その実施地域を診療所だけについて二分の一と見るか三分の一と見るかによつて、二或いは一・三三三%というくらいなものになつて来るというふうに申上げたのであります。更に、いわゆるこれも審議会でいろいろ御検討願います例外として、診療所においても調剤ができる、役薬ができるというような例外の場合が出て参りますので、その部分を差引きますとなれば、今のパーセンテージが更に減少するということになると思います。
#49
○高野一夫君 谷口委員の質問に関連してお尋ねいたしますが、これは今の医療費の問題というのはこれは本当言えば先年の第十国会において論ぜられた通りに医薬分業そのものの論議になるのであつて、実際は審議会設置法案そのものの直接的の討議事項ではないと思うのでございますが、併しながら設置法案が提出されましてから、新医療体系とか、或いは医療費の増額になるとかならんとかいうようなことが非常に憂えられておるので、私もついでに一つ二つお尋ねしておきたいと思うので、はつきり一つこれは御答弁を願いたい。
 先ず今の影響力ということについては、いろいろな場合を限定して考えてもらいたいということが一つと、我々のほうで全国の官公立、国立、私立の大病院について調査いたしまして、患者に対する一日一人当りの投薬の数、内容というものを検討いたしまするというと、投薬の数というものが今後大きな問題になるはずだと思うのです。ここで外国並みに同じように薬を水薬と散薬によつて渡すということがなくなるというようなことになれば、又これは薬事法なり、いろいろ患者の負担に非常に大きな影響を来たす、こういうことも考慮に入れて医務局長としてはやはり御答弁を願わなければなるまい、こう思うのです。これが一つどういうふうにお考えになるか。これは併し調査して見なければわからないので、現在のそういうことが必ずしも適正でないと私は申上げません。併しそういう点について検討を加えらるべき筋が多分にあると思うので、そういうことを頭に入れて医療費の影響力ということはお考え願わなければならないと思うことが一つ、これが第一に御意見を伺いたい。
 それから第十国会の昭和二十六年に分業法案が成立しましてから、今日まで厚生省は一向にこの基本になる審議会にかけられる問題は別として、それと関連があるような医療費の問題について何ら調査研究をしておらない。こういうことが非常に流布されまして、これがいろいろな誤解を招いていると私は思うのですが、そこで一つ二つ伺いたいのは、昭和二十六年、私の記憶する限りにおいて第十国会に三法が改正通過しましたのが六月四日、その七月か八月に分業実施のための診療費の算定について、厚生省でたしか診療費算定方式打合会というものを直ちに設置されたように私は記憶しておりますが、それがどうなつておるか。そういう事実があつたかどうかということ。それがあつたとするならば、何回くらいそれをお開きになつたかということ、これだけをちよつと二つ取りあえず伺つておきたい。
#50
○政府委員(曾田長宗君) 投薬剤数というものにつきましては、私どものほうでも大体調査がございますですが、これはいろいろ外科の患者、或いは耳鼻、眼科というような系統の人と、それから内科、小児科とでは大分違うのでありますが、全部それらを平均して見ますと、一人一日一剤、一剤よりもちよつと出ておりますけれども、一・一までも行かない、一・〇幾らというような数字が私どもで今持つております限りでの資料では出ております。大ざつぱに考えましては、大体一人一日一剤ぐらいというふうになつておるのであります。
 それで医薬分業になつた暁にこの剤数というものどう変つて来るかということについても検討しておるかというお話でございますが、私どもといたしましては、この医薬分業をいたしました後にどういうふうにこの診療が行われるかを……。
#51
○高野一夫君 簡単で結構です。
#52
○政府委員(曾田長宗君) どういうふうになつて来るかということについては、これは率直に申上げますれば、やつて見ないことにはわからん、妙なことを、役げやりのような言葉でございますけれども、極端に申しますればそういうことになるのであります。私どもとしては、この医薬分業の趣旨から参りますれば、医師に対して診療の適正な報酬という制度を定めて参るということになりますれば、今日行われている役薬というものは知当減少していいのではないかというふうに考えております。この趣旨が正しく理解され、実際に移されるようになりますれば、私は役薬剤数が減つて然るべきものだというふうに考えておるわけであります。併しその半面におきまして、この医師の所から薬剤、薬局に薬をもらいに行くという手間を患者も嫌い、又医師もそれよりも自分の所で処置できるものにするというような考え方から注射が殖えて来はせんか、これは私どもとしては必ずしも好ましいものとは思わないのでありますけれども、多少そういう傾向は出て来るのではないか……。
#53
○高野一夫君 私の質問しているのはそういうことではない。私の申上げることは、そういうような剤数問題ということも考慮に入れて今後お考えにならなければならんと思いますが、それについてはどうなるということで、当然結論はどうこうということは今後やつて見なければわからん、審議して見なければわからんので、私はそういう質問はしていない。
#54
○政府委員(曾田長宗君) それで只今のような点につきまして、私どもも検討は一応はしております。どういう方向に動きが出て来るかということは見ておりますが、これは量的に予想するということは今日において非常に困難と思つております。
 それから二番目にお尋ねのありましたこの原価計算の打合会というものは、お話の通り二十六年の四月かと思うのでありますが、そのときに第一回の会合を始めまして、五回まで開かれたと思つております。そのときに初めのうちは医師会のほうからも御参加を願つておつたのでありますが、おしまいになりまして、医師会のほうといたしましては御出席を頂けないというような状況になりまして、そうしてその後遂に何と申しますか、開催されずにしまつたというような状況になつております。
#55
○高野一夫君 その会の名前は……。
#56
○政府委員(曾田長宗君) 病院診療所原価計算打合会。
#57
○高野一夫君 それは私も委員として実は出たのでありまして、当時谷口さんは日本医師会の会長さんで、そうして日本医師会からも代表が何名かお出になつて、数回この討議に参加された。それはこの分業実施の準備に備えるための医療費の算定のスタートを切つたはずであつたのであります。それが五回において中止になつたというようなことは、今あなたがいろいろな理由を言つておられましたが、私の仄聞するところによりますれば、この打合会が中止を命ぜられたということを聞いておりますが、そういうような事実がありますか。
#58
○政府委員(曾田長宗君) 私その当時の事情をよく存じておらんのでありますが、中止を命ぜられたということはないのではないか。ただ、今申上げましたように、そのうちの構成メンバーの御出席を頂けないような事情が出て来た、それで厚生省といたしましても、どういうふうにこの会を持つて行くかというようことをいろいろ討議いたしました結果、その後再開に至らなかつたという事情だと思つております。
#59
○高野一夫君 この問題非常に重要な問題でありまして、現在分業実施の準備ができるできないということに関連して非常にいろいろ誤解が生じているので、私はこの問題を殊更に持出して、そうして当時政府としては、直ちにそのスタートを切つたんだということを私は承知しているので申上げ、且つ政府側の御答弁を願つたわけなんです。私の承知している限りでは、もつと具体的の事実がございますが、これは保留いたします。そこでこれ又適当な機会があれば申上げて質問をいたしますから、十分の一つ、医務局長は当時局長じやなかつたかも知れないけれども、この問題について調査をして。いて頂きたい。
 もう一つ、次にやはりこの医療費の問題、分業実施に備えての医療費の算定に関して、厚生省は更にスタートを切つたのだと考えます。昭和二十七年の夏に病院、診療所の実態調査は昨年の二月二十日まで四回に亘つて、経済上の実態調査を、病院、診療所、助産所の全数並びに病院、診療所の経営実態の把握、医療方針、医療経営その他医務行政の進展のための参考になる資料を集めるために、四回に亘つて各項目を挙げて調査におかかりになつた、その事実がありますかどうか、伺つておきたい。
#60
○政府委員(曾田長宗君) 昭和二十七年度におきまして、この医薬分業の実施ということの準備というような意味も含めまして、今お話がございましたようなこの医療費調査と申しますか、医療経済調査と申しますか、この調査を計画いたしまして、すべての医療施設について極めて簡単な一応の状況を調べる、数とか或いはそこで以て使用されております職員数とか、こういうような極めて大ざつばなものでありますが、これは全施設について調査をする。それから第二といたしましては、そのうち任意に施設を抽出いたしまして、その施設については病院の収支の状況というものを調査をいたすということ。それから第三次といたしましては、第二次で調べますのは、これは一応自計主義とでも申しますか、大体各病院に書いて頂く、従つてどうしても余り細かい点にまでは入り切れないのでありますが、第三次においては、更に二次の場合よりも数は減つて参りますけれども、相当詳細な会計、或る程度会計学的な分析ができるような資料を特殊な施設についてやつて頂くという調査をやりたい。それでそのほかに個々の診療項為、診察とか或いはいろいろな処置、手術というような個々のものにつきまして、実際どの程度に医師、看護婦その他の補助者、これらの人手を要しておるか、或いは繃帯材料、薬品類、こういうようなものをどの程度消耗しておるかというような実態調査と申しますか、詳細なものを、これは個々の診療項為でございますが、この調査をやつて見たい、個別的にやつてみたいというふうなことで、いわば四種類の調査を計画いたしたのであります。併しながらこの実施に当りましては、必ずしも調査対象として選ばれました施設から十分な御協力が得られないというような結果となりまして、そこで集められました資料は非常に不満足なものとなつたのであります。部分的には多少参考になるのでありますが、私どもが最初に予定いたしましたような結果は得られなかつたのであります。従つてこの面につきまして、私どもが相当利用し得る資料だと思つておりますのは、前年度になるのでありますけれども、昭和二十七年の三月に行いました医療経済調査、これが私どもの今持つております詳細なものの最後の材料になつておるのであります。そのほか今申上げまして十分な成果を挙げ得なかつたと申します調査につきましても、個々の資料、殊に最後に申しました個々の診療項為についての詳細なタイム・スタデイ等をやりました手間、或いは消耗器材の金額というようなものはこれは利用できる資料ではないかと思つております。
#61
○高野一夫君 私はこの問題についてはもつと突つ込んだ質問を実はいたしたいのでありますが、今日はその時期でないと思いますので、私は御遠慮いたします。
 ただ医務局長に最後に念を押したいのは、かように然らば私は了解してよろしいかどうかということを一つ念を押しておきたい。昭和二十六年に政府は誠意を以て直ちに分業実施の準備をするために医療費の算定にかかる打合会をやつたけれども、僅か五回しか開けなくて、何らかの事情があつてこれを停止しなければならなかつた事実があるということが一つ。それからもう一つは、二十七年に折角そのために更に又全国の病院、診療所、助産所について非常な細密な計画で経済問題についての調査にかかろうとしたけれども、これも何らの協力が得られなくて、そうして十分に成果を挙げることができなかつた。そしてその結果の如何を私は今問いません。それは適当な機関で御審議になればよろしいのであります。そういうようなふうにして、これも厚生省としては誠意を以てそういう調査もやつたけれども、それは不完全であつた、こういうことが世間の人は誰もわからんので、そこでいろいろ厚生省は何をしているんだ、政府は二十六年度にきまつたことを何をしているんだとか言われて、これが非常な誤解を招くゆえんになつている。それで私はこの法案に直接の質問でないけれども、谷口委員からも質問があつたから、それに関連してお尋ねしたわけですが、さようにこの二つは私は簡単に一応結論して、そういうふうに了解してよろしうございますか。
#62
○政府委員(曾田長宗君) おおむね支障ないと思います。
#63
○藤原道子君 今のに関連してお伺いしたいのでございますが、協力が得られなかつたということは誠に残念なことでございますが、それは全国のどういう施設が余り協力してもらえなかつたのでございますか。その点を更にちよつと具体的に……。
#64
○政府委員(曾田長宗君) 私どもとしましては、この調査対象になりました施設の御協力を得なければ十分な調査は困難なのであります。従つて個々の施設にお願いいたすということは、都道府県を通じまして申上げたのでありますが、一方におきましては、かような施設で仕事をしておられます医師の作つております医師会がございます。この医師会のほうのいろいろ御了解、御援助も願いたいということで、そつちの御援助もお願いしたというようなことなのでありますが、必ずしも全面的な御協力ということを得ることができませんでした。地方によつては、即ち都道府県によつてはかなり満足な御協力を得た所もありますけれども、全体として十分予定通りに参りませんかつたので、これを取りまとめることは部分的にしかできなかつたという状況でございます。
#65
○藤原道子君 私も更に突つ込んで伺いたいのでございますが、この程度にしておきます。
#66
○谷口弥三郎君 先刻高野委員からのお話のときに、当時私が日本医師会に関係しておつたという話が出ましたから、この際ちよつと申上げておきます。あとのほうの問題はよく知りませんが、前のほうの問題、即ち五回くらいまでは日本医師会の者が出ていたが、その後出なかつたということですが、これは私の知つておる範囲では、私はまあそのときは委員じやなかつたのですが、原価計算をやろうというので、この医師の技術料などを一緒に計算をする場合に、原価計算という名前でやることはどうも不穏当である、それで何かはかの方法でやろうじやないかというふうなことで初め出ておる要綱などを見せてもろうてから、これはどうも原価計算という式でやることはいけなかろうというので、かなり次々と話が出たりして遂にそういうようなものならば出る必要がないというのでやめたというようなふうに考えております。だからしてその問題の筋が少し医師会の考えておる点と違つておつたということがあつたというようなふうに記憶しております。だからその点だけをちよつと申上げておきます。
#67
○横山フク君 只今のお話、まあ私初めて伺うのでありますけれども、実は高野さんから御発言のあつたことは、私ちよつと高野さんにお話したのですが、大体今度医薬審議会ができるときになつて、果して医療単価が上るか下るか、それを八月一ぱいまでに研究する、今頃になつてそういうことを研究するということは、少し厚生省も怠慢じやないかしら、すでにこれは一月一日に実施するということになつていたらば、もう前から早くからそういうことは調査をしておくべきじやなかつたかしらということを言つたことがある。それを今になつて初めてそれを調査する。そして八月三十一日までそれに対する結果を出すということは、厚生省の怠慢だということを個人的に話したことがあつたのでございまして、今の話で大体まあ厚生省としては、或る程度手を尽されていたということはわかつたわけなんですが、そこでここで問題を伺いたいと思いますことは、曾つてそういうことを手を尽されたけれども、結局それは未解決に終つた。そうすると今度八月三十一日までにそういうことについて、今から二月ぐらいでそういうことについて果して衆議院のほうに約束されたような報告を出される見通しがおありになるかどうかということを伺いたいのでございます。
#68
○政府委員(曾田長宗君) 今申上げましたように、私どももう少し整然とした資料を整えて一応結論を成るべく早く出したいというふうには考えたのでありますが、今申上げましたような事情で多少予定に齟齬を生じたことは事実でございます。併しながらその間に集まつて参りました資料をいろいろ検討いたしまして、又出て来たものがそのまますぐには使えない。併しながら、即ち或る片寄りを持つているかも知れんというようなものが出て来るのであります。こういうようなものをいろいろ検討して参りますために、普通に順調に進んだ場合に比べまして非常な手数を、余計な手数を食つたというような事情はございますが、或る程度分業をいたす場合に如何ような姿に持込むべきであるか。又そういうようなところに持つて行つたときにそういう費途にどういう影響が来るであろうか。少くともただ単に分業という制度を持込んだというだけの影響としてはどの程度の影響かというようなことまでは、或る程度推定ができるのではないかというふうに考えておるのでありまして、いわゆる診療費に対する原価計算というようなことを、今言葉が出たのでありますが、確かに原価計算という言葉は谷口先生からもお話がございましたように、原価というものはどういうふうにこれを定義するか。原価計算というものが他の企業の場合と今診療所、病院等について出て来る計算の仕方というものとでは、どうしても特殊性があつて幾分食い違いが出て参りますので、さようなものは原価というだけでないという一つの意見としては出て来るかと思うのでありますが、併しいずれにいたしましても、いろいろな診療項為或いは病院、診療所の経営の経費というものの分析ということは或る程度可能なのでありまして、私どもとしては、一応その作業に全力を注いで来ております。それがまだもうちよつと残つておるのであります。これも近いうちに一応完了すると思うのであります。出て参りましときに、いろいろな計算をしたもののいわゆる帳尻を合せると申しますか、検算と申しますか、いろいろやつて見て間違いを訂正するというようなことが今後残つておりまして、その方法分析はそれが完了いたしますれば一応できるのでありますが、今度はそれをもう一遍いろいろな形の医療費体系と申しますか、こういうものを想定いたしまして、それに当てはめて再編成した場合に、総額がどうなつて来るかということをもう一遍検討しなければならん。この作業があとに残つておりますのでこの程度ならば二、三ケ月で馬力をかけてやれば何とか形はまとまるのじやないかというふうに思つておるわけであります。
#69
○高野一夫君 医務局長に伺いますが、これは一つ医務局長は少しはつきりつかんでおいて頂きたいと思いますのは、診療体系として調査会から答申されたものは、医師会の報酬は技術料と病院所要経費と、人件費、この三つの要素を加えたものであるということははつきりきまつておる。そして病院、診療所の所要費並びに人件費という二つの要素は、これは原価計算によらざるを得ないのでありまして、そうして調査会にも厚生省からいろいろ、或る程度我々は強調すべき原価計算の報告は持つております。そしてなお且つその案文の答申の文章の中にもそういう所要経費、人件費がすべて原価計算方式によるということがきまつておるのであります。だから先ほど谷口委員のお話もありましたが、この打合会には原価計算方式打合会というのを先ず最初にやるのが当然なことである。そして原価計算方式打合会をやらなければ、病院、診療所の診療費は出て来ない。その点はあいまいな考え方ではなくして、そうすべきものであるという確たる一つ信念の下に私は御説明を願い、お考えを願いたいと思う。これを一つ医務局長の御感想というか何というか、御意見というか、おかしなものだけれども……。
#70
○政府委員(曾田長宗君) 今の点につきましては、例の算定打合会におきましても、特にこれは医師会方面から出た御意見と思うのでありまして、原価計算のそのときに出されました案に対していろいろ御意見もあつて、そしてその際に結局問題は、その技術料の問題、技術料については原価という考え方が非常に無理なのではないかというような考え方が出て参りました。(「それは当然だ」と呼ぶ者あり。)それでその質問を当然、今お話もありましたように、当然これはまあ別問題である。他のものについては、今高野委員からも申されましたように、原価計算のやり方というもので一応打出して見るということになつたのでありまして、ただそのやり方についてはいろいろ又御検討もあるだろうと思うのであります。一応私どもとしては、その技術料を別といたしまして、その他のものについては原価計算をするという方針で取りまとめて来ておるわけであります。
#71
○高野一夫君 了承しました。
#72
○谷口弥三郎君 只今の質問に関連しまして。そうしますと技術料というのはどういうようなふうにしてやろうというようなふうに今はなつておりますか、その点を一つ。
#73
○政府委員(曾田長宗君) 私ども今いろいろ資料を整理いたしておりますのは、結局技術料、適正な技術料という問題については、これは非常にむずかしい問題であると思います。それで今の医薬分業が明年の一月一日に実施されるということに法によつて一応定まつているわけであります。その限りにおきましては、今日から明年の一月一日に突入するというこの切替えといたしましては、今日における医師の収入というものがそのまま大きな変化なしに、新らしい体系と申しますか、いわゆるこの薬代というものと診療費というものの二つに分かれて支払われる。併しながらこれは技術料それ自身としましては、今日のものがそのまま今のように診療報酬の形を変えて新らしい形をとつて行つて、額においては現状をそのまま、大きな変化なしに移して行くという考え方で参りたいというふうに思つております。
#74
○谷口弥三郎君 私どもも、その前の場合でございますが、或いは医師、薬剤師、助産婦とか看護婦とかいうような方面の技術料を計算する上においては、或いは修業年限の間にどのくらいの費用が要るのか、或いは卒業してから後に本当のその職につくまでの間にどのくらいの費用が要るというようなことを計算したやつが、すでにその当時に厚生省にも差上げたりしておいたのでありますが、それなどは今のお話の中に入つて御利用にねつているのでしようか。それともただ単に今現在の収入がこれだけだから、或いはそれを薬代を引き、機械代を引けばそれだけ、こういうふうな式に計算をされてお出しになろうとしているのですか、その点をついでに……。
#75
○政府委員(曾田長宗君) 私どもとしましては、この医薬分業の制度が明年の一月一日から実施になるということにつきましては、現在の薬師の収入というものが変化なしに新らしい形に移されて行くというふうに考えているのでありまして、現在におけるこの薬師の技術料が非常に、何といいますか、非常に低いものではないか、もう少し向上させる必要があるのではないかという点は、これは今の医薬分業の問題とは一応別にして考えたいというふうに思つているのであります。なお個人差の問題ということも、これはやはり医薬分業とは別個の問題として考えて参りたいというふうに思つております。
#76
○谷口弥三郎君 只今の医薬分業とは別個として考えたいというお話でありますが、私たちの先刻来申上げているのは、国民の医療費が高まるか安くなるかということを検討したいという場合に、やはり技術料というのは或る程度しつかりしたところをつかまえてやつて頂かんと、本当の技術料が現われて来ず、又それが現われて来たならば、それをプラスしますというと、医療費が高くねるだろうかどうかということが聞きたいのですから、又そういうところを知つておかねば本当に上る、下るということが言えんようになつて参りますからして、医薬分業と別にして考えるということはちよつと少し納得しにくいのですが、如何ですか。
#77
○政府委員(曾田長宗君) 私どもは医師に対する報酬、即ち医師の技術料というようなものが、今日においても必ずしも適正なものとは考えておらんのでありまして、これは今日の制度の下で、即ち明年度から医薬分業ということができないといたしましても、この問題は更に検討さるべき問題だと考えておるわけでありまして、そういうような意味から申しまして、この医薬分業と必ずしもからんで来る問題、同時に解決しなければならん問題だというふうには思つておらない次第でございます。
#78
○高野一夫君 この問題について又ここに一つ誤解があるようなんで私は質しておきたいと思うのです。診療費体系なるものは医薬分業とは何ら関係のあるべきものではないということは、当時日本医師会からの強い申出があつて、さような決議をして、医薬分業とは何ら関係ないような診療費の体系を作るべきだということで、六カ月かかつて調査をした。だから分業にしようとしまいとにかかわらず、現在の医療費の取り方はもうすでに今日の学問、技術というものを無視した取り方だから、それで薬に依存した取り方だから、ここに学問、技術というものを高く一定の評価をした合理的な体系を立てようじやないかということでありまして、従つて診療報酬は取るが、医者が調剤した場合の調剤報酬というものは、その方針に従つて医者が取るべきものである。だから何ら分業とは関係ないけれども、併し現在の医療費にメスを入れて、適正なあり方をきめようといつてきめたのがこの診療費体系でございますから、このことは厚生省の現在の局長のかたがたは当時おいでにならなかつたかも知らんけれども、よく一つそういう経過をお調べになつて、はつきりつかんでおいて頂かなければならんと思います。而も医薬分業にからませてはいかんということは強い医師会からの申出であつて、そうしてそれに従つてやつたことでありますから、今後も十分一つ強くしつかり記憶しておいて頂きたいと私は思うのであります。併し分業を実施するについても、やはりしないにしても、この診療費体系というものは誠に我々としては合理的な方式であると考えるから、これを促進して頂きたい、こう思つておるわけなんですが、私のさような考え方は間違いであるとお考えになるか、正しいとお考えになるか、その結論だけで結構です。ほかの説明は要りませんから、医務局長のお考えを伺つておきたい。
#79
○政府委員(曾田長宗君) 私ども考えておりますのは、いわゆる新医療費体系と申しておりますものうち、薬治料に関する部分は、医薬分業と極めて密接に察付いて来るというふうに思うのでありますが、この新医療費体系を全面的に完全に打立てなければ医薬分業に移り得ないというようなものではないというふうに考えております。
#80
○委員長(上條愛一君) 御質疑はありませんか。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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