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1953/03/18 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 予算委員会 第16号
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1953/03/18 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 予算委員会 第16号

#1
第019回国会 予算委員会 第16号
昭和二十九年三月十八日(木曜日)
   午前十時二十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青木 一男君
   理事
           小野 義夫君
           高橋進太郎君
           小林 武治君
           森 八三一君
           中田 吉雄君
           松澤 兼人君
           堀木 鎌三君
           木村禧八郎君
           三浦 義男君
   委員
           石坂 豊一君
           伊能 芳雄君
           鹿島守之助君
           小林 英三君
           佐藤清一郎君
           白波瀬米吉君
           瀧井治三郎君
           中川 幸平君
           宮本 邦彦君
           吉田 萬次君
           岸  良一君
           田村 文吉君
           亀田 得治君
           藤原 道子君
           湯山  勇君
           相馬 助治君
           曾祢  益君
           武藤 常介君
           千田  正君
  国務大臣
  大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
   厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
   農 林 大 臣 保利  茂君
   通商産業大臣  愛知 揆一君
   郵 政 大 臣 塚田十一郎君
  政府委員
   外務政務次官  小滝  彬君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   文部省管理局長 近藤 直人君
   引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
   食糧庁長官   前谷 重夫君
   通商産業大臣官
   房長      岩武 照彦君
   建設政務次官  南  好雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       野津高次郎君
   常任委員会専門
   員       長谷川喜作君
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十九年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十九年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十九年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。
#3
○武藤常介君 私は、文部大臣に少しお伺いいたしたいのでありまするが、教育の本旨に鑑みまして、殊に中、小学校の教育は、身心の発達途上にある青少年をして素直にすくすくと個性を伸ばせることが最も重要であると存ずるのであります。従つて、その教育者も又これにふさわしいものでないといけないと存ずるのであります。即ち学理的にのみ片寄つたり、或いは理想的に極端に偏したりするのは好まざるところであります。この点からして、今回、政府が提案されておりまするところの教育の三法案は、肯かれないでもありません。併しながら戦後の国民は、占領下において、一方においては極端に自由放任主義に禍いされ、而も現実の生活においては非常に又圧迫されたところの環境に置かれてありました。教育者も生徒も児童も、こういつた風潮の中に育成されたのであつて、この点は今日独立はいたしたものの、現在も余り又変りがない状態に置かれてあるのであります。従つてややもすれば種々なる意味において、ひがんだ劣等感の強いものができ上つてしまうのではないかと考えるのであります。この点からして、教育者は、今後においては、文部大臣の憂慮せられておりますところのような、偏向した思想ではいけない、物事を率直に受入れることのできる健全な思想、明確な性格の持主を必要とすると思うのであります。で、これにつきまして、これをどういうふうにして教育者をこうした方面に向けるかということにつきまして、文部大臣の御意見をお伺いいたしたいのでありまするが、文部大臣は今度の提案されておりますところのあの教育の二法案によりましてその目的が達せられるとお考えになつておりますかどうか、この点についてお伺いいたしたいのであります。
#4
○国務大臣(大達茂雄君) 学校における余り極端な片寄つた教育が子供の将来を政治的に或いは思想的に方向付けるのでありますから、これはどうしてもそういうことのないようにしなければならない。これには先ず先住方が自分でよく考えてそういう片寄つて子供を仕込むということのないようにされることが第一であります。又今日学校の先生方に対してそういうふうな教育をやるようにという外部からの働きかけがあつた、であるからしてかような働きかけというものを排除する、こういうのが今回の二法案の趣旨であります。学校の先生方が学校で教える教育の一々を捉えて、これを検討して、そうしてこれに対して処罰を以て臨むということは極めて行過ぎの事態を生ずるのでありますから、この点は学校の先生方の自粛と良識に待つのほかはないのであります。これを保障する意味におきまして、いわゆる教育公務員特例法の一部を改正いたしまして、できるだけ先生方が余り極端に政治の面に深入りをしないで欲しい、それによつて教育の面において非常に政治的に片寄つた教育の行われることのないように保障したい、こういう考え方であります。それから同時に外から学校の先生にさような教育をするように教唆扇動する、働きかける、これは甚だ妥当でない、不都合な行為であることは言うまでもないことであります。この二つの方法によりまして、現在ややもすれば偏向せんとしておるところの学校教育を正常な軌道に上せたい、こう考えるのであります。この二法案の成立によりまして果して万全の効果を挙げ得るかどうか。これはやはり何と申しましても教育に関係する人々の良識に待たなければならんことでありまして、単に処罰の規定を作つたからそれでこれで十分であると、こういうふうに私は考えません。併しこれが教育関係者の自粛を促す故にもなりましようし、そうして又極端な場合においてこれを阻止する効果も挙げ得る。これで全然完全であるということは、これは如何なる処罰法令の場合におきましても、それで事足りるということはなかなか言えないのでありますが、これによつて或る程度日本の教育を正常の軌道に上し得れば誠にいいことではないか、こういう考えから法律案の提出をした次第であります。
#5
○武藤常介君 只今大臣の御意見を伺いましたが、狙いは確かにそこにあるのでありまするが、今日まで政府は教育の重要性と特殊性とに鑑みまして教育者の人格を尊重して、そうして地方公務員並みの扱いをいたしておりまして、又この取締につきましても監督が極めてルーズであつたようでございます。ところが今回はこの二法案を見まするというと、非常な一足飛びな極めて厳重な罰則でありまして、これは教育者を頭から威嚇するようなものになつております。これは根本において私は誤まりではないかと思うのであります。御承知のように多年教育者が国費の負担を要望いたしておりました。ところがそれが漸く昨年実現されましたが、その東の間に今度は直ちに身分を拘束する、こういうことになりますので、教育者は非常に憤慨いたしまして、如何とも蔽うべからざるものがあるようでございます。日教組の関係からだんだんこういうことになつたんだろうと思いまするが、これは丁度薫に懲りて膾を吹くということがありますが、全くそのような扱い方ではないかと私は考えるのであります。で、若し今度の御提案の政府案がそのまま実施せられたならばどういう結果になるかということを私は恐れるのであります。その結果は教育者は或いは誠にゆとりのない極めて圧迫された枠の中において小さな活動をしておるということになりまして、極めて進歩的でなく、又研究心もなくなつてしまう、全くその日暮しの、将来性のない教育者になり、又教育の影響も、実に将来に対して寒心に堪えないものがあるであろうと、こういうふうに私は考えるのであります。こういう点から考えて見まして、文部大臣は教育者の心理の状況、又教育者がひがんで只今申したような結果を招来するだろうと考えないのであろうか、又それらに対してはどういうふうなお考えを持つておられますか、これを一つお伺いいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(大達茂雄君) 今回提案の法律案におきまして、地方公務員たる教育公務員を、国家公務員たる教育公務員の例によるということにいたしたのであります。その理由とするところは、通常の地方公務員は、その地域社会の全部に対する奉仕者としてその公務を執行しておるのであります。然るに教育公務員の場合におきましてはこれは義務教育等は憲法にその根拠があり、又国の基本的法律である教育基本法において育成せられておるものでありまして、その内容は、これは単純な地域的なものではないのでありまして、従つて教育公務員は国民全体に対する奉仕者としてその公務たる教育を行うべきものである。従つてその点において国家公務員と何ら区分する理由がない、かような見地から国家公務員の例によるということにいたしたのであります。ただ只今お話になりましたこれによつて一切の政治活動が封殺せられて、その結果教育公務員というものが殆んど政治的な何らの発言ができなくなるというふうな御心配でございますが、併しこれはさようなことはないのでありまして、国家公務員の政治行為の制限につきましては、公務員法並びにそれに基くところの人事院規則において規定せられておるのでありますが、これは特定の局限せられた政治行為だけについて禁止をしておるのでありまして、決して只今お話になりましたような教育費の予算の増額を要望するとか、或いは教職員に関する国旗の負担額増額に対して要望をするとか、そういうようなことは何ら禁止せられておらんのであります。すでにこの国家公務員法というものは既存の法律秩序として、すべての国家公務員に等しく課せられておるのであります。国家公務員たる教育職員、大学の先生は勿論でありますが、やはり附属中学、小学の先生までことごとく現にこの制限に服しておるのでありまして、それは今お話になりますような一切の政治的発言を封殺されるというような状態でないことは、現状がこれを説明をし証明をしておるのであります。その点御心配になるような事態は生じ得ないと、かように考えます。
#7
○武藤常介君 只今文部大臣は、今度の法律の実施の暁も何ら影響がないというような極めて楽観された御意見でありまするが、私は決してそんな簡単なものではないと思います。大臣そのものも今度この法律を出すからには重大な決心があり、又重大な効果を心に期待されておるであろうと私は思うのでありまするが、先ず他から教育者を扇動したり或いは種々なる……、外部からやるということはまだしも、教育者自身が政治的にこの態度を持して行くということについて、これに対して多少の問題がありましても、刑法上の問題を以てこれに当るというようなことは、これは私はとんでもないことでありまして、こういうことを考えることがすでに教育の悪化であり、教育の行政の失敗ではないかと私は考えるのでありますが、仮に今新聞やその他にありまして盛んに教育者に対しては刑罰を以て臨まない、けれどもが、行政処分は仕方がないだろうというような論議も大分闘わせられております。如何にしても私はこれは非常にまずいことであるが、仮に一歩を譲つて行政処分にするといたしましても、十分考えなければならんことほ、例えば地方事務所の地方公務員或いは町村役場の公務員、その他地方的の公務員がたくさんありまするが、それらと教育者を別にしてその管轄以外に行つてもこの活動ができない、非常な束縛を与えるというようなことが結局やはりその教育者の考えを圧迫する。従つてこれはひがんでしまうという結果になるのでありますが、この管轄以外に行つての活動をどうして束縛するようになるかということを私は考えざるを得ないのでありまするが、これらにつきましては、只今法案は各党とも審議中でありまするから、確たるところの方針はきまらないのでありまするが、地方的に管内と管外との区別を当てる考えがあるかないかということを私は文部大臣にお伺いしておきたいと思います。
#8
○国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げますように、国家公務員の例によるということにこの法律案は規定しておるのでありますから、その学校の所在地とか、或いは区域外であるとか、そういう差別はこの法律案に関する限りはなくなつて、全国的に特定の政治行為というものは制限される、こういうことになるのであります。
#9
○武藤常介君 私はやはり、国庫から半額の補助をすることになりましたが、負担をすることになりましたが、その教育者を国家公務員と同じに扱うということが、先ず以て私はどうしても理に合わない、国家公務員という名目の下に教育者を圧迫すると、こういうことになろうと思いまするが、これは甚だ面白くないと思います。今度の法案の狙いは要するに極端なる左翼的な考えを持つておる人を目標としておるのではないか、こういうように私は考える。必ずしも極端と、左派とは言いませんが、或いは極端なるかたもありましよう。けれどもがそういう極端な者の、これを排除するという考えから、むしろ穏健中正なものが非常に多いのにもかかわらず、この法案を仮に実施したならば、穏健中正なるところの教育者は、大臣は一向構わないようなことを申しておりまするが、実際におきましては私は非常に憤慨し、非常に不平を持つて将来に対して非常にひがんだ教育者ができ、極めてこれは重大な結果を招来するのではないかと、こういうふうにどこまでも私は考えるのでありまするが、これはまだまだ今後論及の時期もありますので、この点は余り深く突つこんでは今日は申しませんが、文部大臣はこの法案をお出しになられたのであるからして、これをなかなか引込ませるということはできないだろうと思いますが、結論としてこの法案を緩和して、何とか教育者の悪化する途を防ごう、むしろ緩和いたしまして教育者の立場を理解する、又教育者を尊重し善良なる教育者を保護する、もう一歩進んで鼓舞激励する、そうして国策の線に力強く活躍してもらうというふうな方向に向けたほうがよかろうと思うのでありまするが、文部大臣はこれを緩和する考えはないか、こういうことを伺いたいと存ずるのであります。
#10
○国務大臣(大達茂雄君) 教育公務員特例法の一部改正に関する点につきましては、要するに国家公務員と区別する理由はない。これはその公務の内容である教育の特性、特殊の性質から見てそうである、こういうふうに考えておるのでありまして、ただいわゆる第二の法律案と申しますか、教育の中立性確保に関する法律案、このほうにおきましてはでき得る限り行過きの場合が生じないようにあらゆる配慮を加えて法律案の作成に当つたつもりであります。従つてこれを緩和するということがどういう内容のものでありますか。私はできるだけ、場合によれば或る程度の必要を抑えても、行過ぎにならないように配慮を加えて提案したつもりであります。
#11
○武藤常介君 緩和の内容はどういうことであるかというお話でありまするが、私をして言わしめるならば、教官者は重刑罰を科するようなことは勿論しない。同時に国民教育であるからして、これは国家公務員と同じに扱うということがこれは理論的に成立たない。例えば地方事務所の職員にしても、役場の吏員にしても、今日は大部分が国家の事務であります。これらは地方公務員として扱い、教育者だけが今回特に取締の関係上国家公務員に扱うというその理論の根拠が極めて不純であると、こういうことから、私はこれは国家公務員同様に扱うことは決してよろしくない、従つて私をして言わしめるならば、その管轄内、つまり町村内の場合は別として、それ以外の場合はやはり地方公務員と同様に扱うべきものではないかと、こういうことを私は考えておるのでありまして、やはり緩和するならばその点に副つて緩和すべきものだろうと、こういうふうに考えるのであります。
#12
○国務大臣(大達茂雄君) 結局いわゆる教育公務員特例法の一部改正に関する法律案は撤回する意思があるかどうかということに帰着するようであります。これは先ほどから申上げておりますように、教育公務員は成るほどその給与が地方団体の手で支給されております。又その任免の人事につきましても地方において行われております。それが今日地方公務員として取扱われておる理由であると思いますが、併しその内容である教育というものは、これは明らかに国の重大なる仕事であります。であればこそ、この給与におきましても国庫においては当然にこれは負担をする。これは補助ではなくて、ただ地方団体に対する財政補助ではなくて、国が当然の義務として負担をするということが明らかになつておるのであります。その公務の実施において国家的な仕事であることは、これは言うまでもないことであります。先ほど申上げますように、その見地からこれを国家公務員並みに扱うべきものである。かように考えておるのでありまして、この法律案を緩和と申しますか、結局お考えによれば撤回するということになるのでありますが、さような意思はありません。
#13
○武藤常介君 時間がありませんから簡単にお伺いいたしますが、なおこの法案を時限的に期間を付する、或いは地域を定めて施行する、政令によつて。そういう御意思はありませんか。
#14
○国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げますように、私はさような性質のものであると考えますので、これを時限的に施行するという考え方は私どもの考え方から言えば成立たないのであります。又地域を定めて施行するということはどういうことでありまするか。一部の先生方は国家公務員並みにする、一部の先生方は従来通りに地方公務員並みに扱う、これもさような区別をすべき理由はないと考えます。
#15
○武藤常介君 時間がありませんから文部大臣に対する質問はこれで打切ります。
 次に通産大臣にお伺いいたします。昨年実施されました中小企業金融公庫に対する中小企業者の期待は非常に大きいものがありまして、我々非常な期待を持つておつたのでありましたが、ところが、実施されました暁は、その期待に反しまして更に利用されない、こういうことでありまして、中小企業者が非常な落胆をいたしております。期待が大なるだけそれだけ又落胆も大きいのでありまして、私ども各方面に参りまして、一体ああいう公庫を作つても更に効果がないではないか、こういうふうなことをよく申されましたのですが、いろいろ調べて見ましたところ、最近は幾らか直つて参りましたようであります。併しながらまだまだどうも十分に行つていない。これは今日まで銀行等をよく利用されました者は別ですが、どうも銀行利用では十分のことが行かない人が、何とかいう一縷の望みがどうも達せられない。これにつきましてはどうしても地方の要望といたしましては、銀行から貸出をしないで、金融公庫直属の単独の出先機関を設置して頂きたいと、こういうふうな要望が非常に強いのでありまするが、通産大臣は、この問題では実は通産委員会でも伺つたのですが、その後何とかこれは工夫の途はないか、こういうことを伺いたいのであります。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 中小企業金融公庫におきましては、御承知のように当初の設立のときの考え方が、できるだけ直接貸を避けまして代理貸を中心にして参りたいということから、開業後現在に至りますまで大体四百余りの代理店を指定しておるわけでございます。同時に先般武藤委員から通産委員会でも御指摘になられたように、それだけでは十分な効果が挙げにくい場合もあるように考えられまするので、実は計画といたしましても、大阪等におきましては特に配意をいたしまして、直接貸の範囲を広くするように考えておるのでありまするが、その他の地域におきましても実情をとくと調べまして御趣旨に副い得るように一つ考えて見たいと思つております。併しこれはあえて中小企業金融公庫だけの問題ではありませんので、例えば商工中金その他の出張所或いは支店の拡充というようなことと総合的に考えて参りたいと思つておるわけであります。
#17
○武藤常介君 只今の御答弁で将来性のある明るいような感じがいたしまして、どうぞこの中小企業者の切実なる要望を達せらるるようにお願いいたしたいと存じます。
 時間の関係上これで打切りまして、次の二十九年度の肥料の問題でございまするが、昨年の冷害或いは災害等によりまして非常な不作をいたしまして、その後営農資金の地方への配分がありましたが、営農資金等は実際に当りましては県によつても違うのでありましようが、相当四割くらいの冷害をこうむつた所で、大体一戸平均三、四千円というような状態でありまして、到底肥料にまでは廻らない。食糧の買入の不足にやつと間に合うくらいである。こういうふうな状態でありますので、従つて肥料商への肥料代金の回収が殆んど十分でない。こういうふうなことでありますので、二十九年度の肥料は十分に行渡らないであろう、こういうふうなことを盛んに申されておりますが、これに対しまして通産省といたしましても又農林大臣といたしましてもどういうふうなことになつておりますか。すでに十分なる御調査が済んでおりますか。これに対する対策等をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
#18
○国務大臣(保利茂君) 昨年の凶作に対しましては、昨年の臨時国会で救農措置を講ずるよう各種の立法措置もお願いをいたしました。営農資金、特に再生産を確保いたしますための営農寄金につきましても凍霜害以来四百八十億以上の営農資金の利子補給及び損失補償の措置をとつて、無論これは個々につきましてはいろいろ行届かない面があろうかとは存じますけれども、大体におきましては営農資金がそのほうに廻るということのようにやつて頂いておりますれば、肥料資金に事欠くことはなかろう。無論農業手形の拡張等の措置もございますから、肥料の入手についての故障が起らないように十分手配をいたすつもりでありますから、御了承願いたいと思います。
#19
○武藤常介君 なおいろいろ伺いたいこともありますが、時間の関係上、この点十分一つ御調査の上遺憾なきを期して頂、きたいと存じます。
 次に木材の価格のことで農林大臣でなく、これは私のほうの通告が遅れましたが、林野庁長官に実は伺いたいと思つたのでありますが、この木材の価格が地方によりまして非常な差がありまして、これはやはり木材の生産地が偏在しておる、又需要地等の関係が非常に偏在しておる関係上、これが重大なる原因であろうと思うのでありますが、現実の相場といたしましては、国内で三割乃至四割ぐらいの差がありまして、この住宅の建設のために非常な困難を感じておる向きがなかなかたくさんあります。甚だしいのはこの東北方面のほうに九州から木材を買つて来て、県営の住宅を建てておる、こういうふうな現在の状態であります。これらは誠に遺憾なんでありますが、この木材価格の非常な差額のあるものを緩和するのには一番何がいいかというと、営林署の木材を以てこれを緩和するということが最も大切なんでありますが、現在の制度においてはむしろそれが反対の結果を来たしまして、国有林の競売がむしろ高い地方の木材をより以上高騰させている、こういうふうな結果になつております。これは現実の問題なんでありまするが、これに対しましては営林署なども何とか緩和してやりたいと思いましても、現在の制産下においてはなかなかできないので、非常な困難を感じておるのであります。こういうことは余り型にはまらないで、適当な方法でこれを緩和することができようかと思うのでありますが、農林省といたしまして、これらの何とか適当な措置を講ずる考えはないかと、こういうことをお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(保利茂君) 仰せのごとく木材価格は昨年の西九州の大災害によりまして非常なこの暴騰と申しますか、騰勢を示したのでありますが、九月を山としてこの騰勢も鈍り、最近の状況は金融引締め等の措置が原因してでございましようか、かなり下向きの傾向を示して来ておるのでございます。そこでお話の点は誠に御尤もでございますけれども、同時にこの国有林、用材林の既開発林は、用材林面積を全体としますれば僅か四割五分に過ぎない。で末開発林の開発のためにはどうしても林道の延長、或いは新設をやらなければならん。これをやらずして国有林を計画以上に過伐いたしまするというと、これはもう申上げるまでもなく国土保全上非常に重大な結果を来たすことになりますので、これもまあ程度によるわけでございまして、お話のような点は十分考慮に入れて措置をして参りたいと思いますわけでございますが、すぐその手近かなところの、あの地帯が値段が上つておるから手近かなところをすぐ闇雲に切つて対策を講ずるというようなことをやりますと、国土荒廃に拍車をかけるということにもなりますし、ここらを見合いまして適当な措置を講じたいと考えます。又こういうところはいいんじやないかとお気付きになりました点がございましたならば、個別的にも一つ御注意を頂くようにして善処して参りたいと考えております。
#21
○武藤常介君 只今の農林大臣の御答弁でありますが、実はそのちよつと見当違いなんであります。つまり木材の少ないところでは国有林の木材が比較的重要な部面を占めておりますので、それが競売になりまするというと非常な高値に評価される。従つてその地方が民有林等を個々に売買する相場から見るというと、大体一躍二、三割高くなる。そうするとそれが相場になりまして一般木材が上る。この結果は全国的な平均よりもその地方が特に三、四割も高いという実例がありまして、非常に困つておるのでありますが、これは又御答弁を頂かなくても、将来いろいろと御研究を願いたいと存じます。
 次に最後にいま一つお伺いいたしたいのですが、これは自治庁長官にお伺いいたしたいんですが、現在木材の引取税が施行されておりまするが、引取税というと簡単に受取れますが、実際木材の売払代金の五分を徴収しております。ところがこれは村によりましては、相当の財源でありますので、最初はなかなかこれ対しては魅力を持つておつたのでありまするが、一体この引取税であるが、この木材の引取税の根本は御承知のように立木には固定資産税をかけない、その代りに引取税をかけるのであると、こういうふうな性格なんでありまして、これを買受けた者から納税するということは実は筋違いなのでありまして、立木の所有者が本当は納付すべき筋合なのであります。それを買受けたところの業者が支払うので、いずれの地もこの引取税は大体において完納していない。いても非常なでこぼこがある。おとなしい者は支払う、ずるい商人は殆んど納めない、或いは二分の一、或いは三分の一、極めて不公平な税でありまして、これには町村も殆んど困難しておる。予算は立てても実際にはその結果においてなかなか収入がない。ところがこれを見込んで今日までは平衡交付金において差引かれておつた、こういうふうな欠点がありますので、これは本当に悪税だと私は思います。こういう税金を今日残しておくということは極めてこれはうまくない。これはどうしても撤廃すべきものであると私は考えるのでありまするが、長官はどういうふうにお考えになられますか、一つ御意見を伺いたいと存じます。
#22
○国務大臣(塚田十一郎君) 木材の引取税のお話だと思うのでありますが、これは法の建前からは、本材の取引という流通の過程を捉えまして、そこのところで引取者が持つておる担税力というものを目標にして税をかけておるということでありまするからして、法の予定しておるこの税の納税義務者、負担をして頂くかたは引取者、従つて音通の場合には業者と、こういうことになつております。法も山の所有者、木材の所有者に負担をしてもらうというようには予定はしておらんわけでありまして、ただ現実にはこの徴収を売つた持主というような人にしてもらつておるのであります。これは特別徴収義務者という形にしておるのでありますが、徴収の便宜からいたしましてこの考え方のほうが私は妥当ではないかとも思うのであります。ただ御指摘のようにこの税率も五%ということになつておりますが、場合によれば価額によらず石数によつていいというような規定にもなつておりまして、多少市町村によつてまちまちであるかも知れません。併し大体価額による場合と石数による場合は均衡を失しないようにという法律上の制限もあるようでありますから、そう税法自体の上にはまちまちになる原因は、理由はないと思います。ただ徴収率の上で若干御指摘のようなあれがあるかも知れませんが、これは個々の市町村の徴税のときのやり方、心がまえ等によるのでありますが、まあ徴収も相当困難であるということを予定しまして、平衡交付金の算定基礎になる基準財政収入算定などの場合には七七%程度の徴収ということを見込んでおりますので、その辺のところも考慮して平衡交付金には考慮を加えてあります。ただこういう税を必要といたしまする所は、恐らく木材をたくさんに産する土地であり、そういう所は従つて又山林経営そういうものにいろいろ余計費用を出しておられると考えますので、そういう点等睨み合せると、やはりこの税は個々の町村にとつてやはり必要な税ではないかという考え方からなお存置しておるのでありますが、折角の御意見もありますので今後十分検討いたしたいと考えております。
#23
○武藤常介君 これで打切りたいのですけれども……。実は引取税は、木材の、立木の固定資産税がかからないと、それであるからしてその代りに引取税を課するのであるという、あの当時法令の説明がパンフレットに出ておりましたが、やはりこれはどうしても、固定資産税のかからなかつたものを今度は買つた以後の業者から取るという、引取税という名目でありますが、実際においては、そういうことになつておりまして、五%の引取税を課するということは極めて妥当を欠いていると、これは木材業者などはこれに対して非常な怨嗟の声があります。けれどもなかなか、今日までそのままになつておりまするが、これは十分実態を御研究を願いたいと最後にお願いして私の質問を終わります。
#24
○千田正君 議事進行についてお伺いいたしますが、昨日本委員会において問題になりましたところのビキニ環礁における日本漁船の被害の問題、この問題は単に外交問題のみならず、農林省、或いは厚生省、その他に対して私は質疑をしたいと思うのでありますが、この点については委員長、理事会に昨日お任せになつたのでございますが、その結論としてはどういうふうになつておりますか。一応その点を委員長から明らかにされて、私は更に質問に入りたいと思います。議事進行についてお伺いいたします。
#25
○委員長(青木一男君) 只今の千田君の御発言ですが、昨日理事会において委員長から政府に対して関係各省の意見をまとめて成るべく早い機会に報告するようにということを要求いたしまして、本朝政府はその計らいをしておるはずでございます。これは成るべく早い機会に代表者から意見を求めたいと思つております。今手続中のところでございます。
#26
○千田正君 それでは本日中にこの委員会において報告されるのでありますか、さもなければ私は緊急を要する問題でございますので、外務当局並びに農林当局に対して質問をしたいと思うのでありますが、その点は、お許し願えるかどうか、委員長御勘考願います。
#27
○委員長(青木一男君) これは先ほど申した報告のあつた機会に又取計らいます。
#28
○千田正君 外務大臣に一応重大な問題もありますのでお尋ねしておきます。外務大臣は出席がないが、来られないのでございますか。
#29
○委員長(青木一男君) 政務次官がおります。
#30
○千田正君 外務当局にお伺いしておきたい点は在外資産の問題でありますが、現在において在外資産の大なる額は主として中国にある、ところが日本の現在の外交の対象としておるのは台湾におるところの蒋介石政権でありますために在外資産の処理が中国関係においては何ら手を打つておられない、而も日本の国内の経済事情を見た場合において海外の国際収支のバランスはだんだん崩れて行つてマイナスのみが残つて来ておると、むしろこの際中国におけるところの在外資産の処理と併せて日本の自主経済を確立するのが本質ではないかと思うのでありますが、外務大臣としましては一体日本の中国におけるところの在外資産の処理は現在の蒋介石政権に対してなすべきものであるか、それとも中共に対してこれをなすべきものであるか、その点について質したいと思うのであります。
#31
○政府委員(小滝彬君) 今台湾の中国政府は大陸に実力を持つておりませんので現実の問題としては御指摘のように解決するに至つておりませんが、併し御承知のように在外資産につきましては中立国である在外資産であれば赤十字の国際委員会のほうへこれを提供し、又これに代るものを提供して、そうして戦争によつて被害をこうむつた人たちを救済しなければならないということになつておりますし、連合国にあつた在外資産でありますれば平和条約第十四条の規定があるわけであります。而も中国や又中共はこの条約には加入しておりませんけれども、平和条約の二十一条によつて十四条の利益を、権利を受けるということになりまするので平和条約の建前から行けばこれは日本として放棄しなければならないことになつております。ところが中国政府との間には御承知のように、相互に請求権は特別取極めをしないということになつておりますので、今後中共との関係が調整せられまして交渉ができるということになれば或いは現任中国と取極めておりまするような規定が適用できるようになるかも知れませんが、御指摘のように現在はそうした話合う段階に至つておりません。これを台湾の中国政府に要求いたしましても解決されない。が併しでき得れば今後中国との取極と同じような措置をとるように努力したいと思つております。
#32
○委員長(青木一男君) 千田君にちよつと申上げます。大蔵大臣は本会議に十一時二十五分に入られるそうでありますから、その前に若し大蔵大臣に御買問がありましたらやられることが便宜でございますが……。
#33
○千田正君 それならば大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今の問題の続きをつよつと五分ばかりやつておきます。
 小瀧政務次官のお答えは当分の間予定がつかないと、併しながら個人の財産は、当然国際公法上から認められておる通りに請求権がある。先般もいわゆるドイツのアデナウアー首相は在米財産に対しての要求をしておるのでありますし、アメリカなどにおいても個々の財産権は当然これは返すべきである、こういうことを言うておるのであります。たといそれが国交が回復しないからと、何十年、或いはどれだけ待りていいのかわからない現在の状況にわいてはこれは国内においてその財産に代るべき、いわゆる被害者に対して当然個人の財産の補償をすべきであると思うが、小瀧政務次官の考え方はどういうふうに考えておられますか。個人の財産権はどうするか、この問題であります。
#34
○政府委員(小滝彬君) 個人の財産権についてもこの平和条約にこのような規定がありまするので、結局個人と国家との関係は国内法で考えなければならないかと考えます。まあ憲法でも公益のために提供した場合は補償しなければならんという条項もありまするが、併し日本でこれまで、戦災をこうむつたものに対する措置というようなものとの牽連もあるものと思いまするので、この点につきましては若しそういう措置を早くやらなければならないということになれば大蔵省と十分連絡をいたしましてそうした措置を睨み合せつつ解決の方法をつけなければならないものであるというように考えております。
#35
○千田正君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、先般来大蔵当局が主体となつていわゆる補助金に対するところの特例の法律案を提案しておつたのでありまするが、これは関係六省に亘るところの問題であるのであります。而もその関係六省であるところの各省のこの問題につきましてはいわゆる議員立法によつて衆議院、参議院との全会一致を以て通過したところのこの法案に対して新らしくこの一兆円の枠を抑えるために補助金打切り、或いは停止というような法律をこの際政府提案として出されておる。私は憲法上疑義があると思います。というのは、この立法府が国会が制定したところの法律に対して予算の都合上いわゆる行政府がそれに対して法律を作る、こういうことはいわゆる立法府を行政府によつて一つの制限するところの法律である、私はこう考えるのでありますが、大蔵大臣としましてはその助成金打切り、補助金打切りの法案というものは政府提案であるという建前から言つて立法府に対するところ一つの制圧ではないかいわゆる憲法的な疑義が存しておるのでありまして、この点を私は明確にして頂きたいと思うのであります。
#36
○国務大臣(小笠原三九郎君) 補助金等に対する立法について、一時当分の間これを停止するということにお願いしておることは、御審議をお願いしておることは御承知の通りであります。私どもが大体この補助金につきましては、これは千田さんも御承知の通りに相当整理せよというやかましい要望が両院にありまして、そのいろいろやりました結果法律の措置をとらないで消し得るものも相当ございますので、そうしてこれらを合計いたしますと百件、六十六億円に達する、そのうち立法の措置を要するもの、これを現に法律になつているから、これを変えなければならんという分、これが今お願いしておるもので二十数件、そのうち今お話になりましたいわゆる議員立法と称するものが十三件含まれておると思つております。あとは議員立法ではございません。この率をとにかく今日の財政事情でございまするから、一時当分の間ですね、これを停止して頂く、こういうのでお出ししておるわけでございまして、これはまあ千田さんも御承知のようにそれに基いて予算を立て、又法律があつても法律の改正を出しまする場合は、これは何も憲法に差障りないので、例えて申しますれば一番わかりいい例は税金でありますが、例えば税金を今後減税するとか、増税するとかという場合に増税を見込んで予算を出し、減税を見込んで予算を立てる。併し法律案は別個に出すんでありますが、これは何ら差支えないことくに、補助率に対する問題でございますので、これは補助率を変えたということで、私どもは予算を編成しておる。その関係で御協賛をお願いしておるわけでございますので、これは何ら憲法上は差支えない、又過去幾多そんな関連を持つておりますので、そのような疑義は実は何ら持つていないわけでございます。
#37
○千田正君 その点は多少見解の相違がありますが、ここで関運いたしまして、そうであるならば、むしろ仮に十三に亘るところの議員立法の面がある。これに抵触する面があるとするならば同時にその改正法案というものを提出して、そこに疑義の挟まない問題として両面からこれは出すべきなのが至当ではないかと私は考えますが、大蔵大臣はどう思いますか。
#38
○国務大臣(小笠原三九郎君) お考えのようなのも一つの方法と私は思います。けれどもまあ丁度成るべく一つにまとめてああいういわゆる当分の間の臨時立法でございまするから、一つにまとめておくほうがはつきりしてよかろうと、これは実は考え方は両方で多少わかりますが、私もさように考える。又衆議院のほうにおきましても御承知のごとく一つの特別委員会ができまして、それのみに御審議をお願いしておる。何かにそういう便宜もございましたのでああいつたような処置をとつたわけでございます。
#39
○千田正君 外務省当局とこれは厚生省と跨がつた問題でありますが、只今引揚問題に対して非常に国民の関心を持つておるこのソ連からの引揚げがどうやら再開されつつある。但しこれにはソ連の曾つての戦犯名簿に載らないところの人たちが帰つて来るというふうに発表されておりまするが、我々のところに入手して来ますところの数字から見まするというと、それには北鮮を含んで相当のものがあつたのでありますが、相当帰つて来ておると……千何百名が残つておると、併しながらまだ多数のものが残されておると、今度帰つて来る一体人たちは戦犯としてリストに載つておる人たちか、又リストから外された人たちか、一般邦人であつて刑に服しておつた人たちか、或いは刑に服さないのだがそのままソ連領内に残つておつた人たちか、この辺が甚だ不明確なのでありまして、この点を伺いたいと同時に、今後の一体引揚問題に対してはソ連並びに中共に対して外務省としてはどういう手を打つておるのか。全然外務省は関係なしに今の日赤その他の団体に任して当分の間この引揚を促進するつもりなのか。これは外務省当局から伺つておきたいことを、その残されておるところの大部分はどういう一体種類の人たちであるかということをはつきりしておかんというと、留守家族の人たちが非常にこの問題について待望しておりますので、この際引揚再開されるに際しましてその点を明らかにして頂きたいと思うのであります。
#40
○国務大臣(草葉隆圓君) 第一の質問は、実はソ連からの名簿が参りましたので、予想されます千四十七名とは、今回の四百六十四名帰還しますると予想されておりまする人は全然違つております。違つておりまするから、或いは受刑満期になつた人とも言われておりますが、従つてこのほかになお千四十七名がおると、少くともソ連の発表による名簿を受けた人たちがおると予想されるのではないかと思つております。
#41
○政府委員(小滝彬君) ソ連につきましては今日赤のほうから工藤代表がナホトカのほうに参つておりまするので、この際に日赤の代表を通じて更にあとに残された人たちができるだけ早く帰つて来れるように交渉してもらうはずであります。同時にこれまでいろいろの委員会でも申上げておりまするように、安否調査表を作りまして、これを国際赤十字連盟を通じて通達いたしまして、その安否を調査するという方法もとることになつております。中共につきましては引揚特別委員会でも、又参議院の厚生委員会でも御決議の次第もございまするので、これを促進するのに適切な措置をとるように目下検討いたしておる次第でございます。なお又御承知のように国連による捕虜特別委員会は今月の二十九日からジユネーヴで又開かれることになります。日本側からも資料を出すようにという要求を沢田大使を通じていたしておりますから、ジユネーヴのほうに資料を送りまして、捕虜特別委員会、いわゆる三人委員会のほうでこの問題を更に調査し検討してもらつて、そうしてそのあとで、国連総会を通じて前回にとられたような措置をとつてもらうというような措置も考えておる次第でありまして、この国際的な輿論に訴え、且つ又でき得る限りあらゆるチヤネルを通じて引揚が早く促進できるように努力いたしたい所存でございます。
#42
○千田正君 外務省にお伺いしたいのでありますが、この中共の問題は先般来留守家族及び各厚生委員その他からの要請があつたように、日赤が、この中共からの引揚の代表として行つた際に中共紅十字会の代表であるところの李徳全女史を招待するから、こういう約束をして来たのであるが、それがなかなか外務当局の肯定するところとならないために、荏苒として中共との間の問題が解決できない。而も外務省の態度が強硬であるために李徳全女史に対するところの旅券の下附ができない。却つて中共内において折角引揚の港まで来たものが逆に奥地に押返されて、そうして引揚の促進が停頓しておるという声を非常に強く聞くのでありますが、この点に対してはどうであるかという点と、それから只今小満次官からのお話によるというと、この四月ゼネバにおいて捕虜委員会がある。これは従来も繰返しておつたのですが、なかなか容易でない。ところが先般四大国の外相会議において決定したところの、ソ連の提唱によつて中共もこの六月ゼネバにおいてこの四大国外相会議に中共も参加させる。五大国における外相会議を開くということが報道されておりますが、この四月の捕虜委員会を更に強化するために、この五大国の外相会議に、日本の捕虜問題に対して提訴する考えがないかどうか、この三点を伺いたいと思うのであります。
#43
○政府委員(小滝彬君) 中共のほうは個別的引揚については今後も適当な取計らいをするということを日本の代表者に約束しておるのでありますから、その言明にして実行せられるものならば、特別な取計らいをしなくても順次帰さるべきものと考えます。が、併し日赤の代表者のかたが李徳全女史を呼ぶように最善の努力をするということを向うに話されたというような関係もあるようでありますから、外務省といたしましては、これが本当に引揚に有効な措置であり、そうしてそれに重大なる弊害が伴わないということがはつきりいたしますれば、この点は十分その趣旨にも副うように考慮いたしたいと目下検討しておるところであります。ただ感謝というような意味で申しまするならば、国府のほうは、中国政府のほうは何万人の人を即座に帰してくれたけれども、実は国府に対してはそういう措置もとつていないというような関係もありますので、そうした面も十分検討いたしまして、この点を成るべく早く解決いたしたいと考えております。なお四月二十六日からジユネーヴにおいて四大国の招請する会議が開かれることになつておりまするが、これは朝鮮事件の後始末、並びにできればインドシナの問題を解決するために開かれる会議のようでありまして、招請せられておりますのも、この軍事行動に直接関係のあつた国ということに限定せられておりまするので、政府といたしましては、只今これに参加するということは考えておりません。但しこれは極東に重大な関係もある会議でありまするから、十分に注意をし、又自由主義国家群の友好諸国とは絶えず緊密なる連絡をとりましてこの成行きを注視し、又必要に応じては何らかの申出をするということもあるかも知れませんが、参加は考えておりません。殊に今おつしやいますような問題は、この会議の議題にはならないだろうというふうに私ども考えております。殊にこの会議を開くについては秘密会議が持たれましたために、その内容は十分わかつておりませんが、新聞情報の報ずるところによれば、一応ソ連側は極東問題一般を論じたい、そうして五大国会議をしたいということを主張しましたのを、いろいろ妥協の末今の原案となつている、あの平和を阻害しておる事件を解決する問題だけに限定するということにきまつたようでありまするから、そうした情報とも併せ考えまして、目下のところはこの会議にこうした問題を取上げるというのでなしに、他の方法で引揚を促進いたす考えでございます。
#44
○千田正君 どうも外務省の行き方は弱いと我々は考える。あなたが今おつしやつたのは、あらゆる機会を捉えてこの問題を解決したい。五大国会議においては更に極東の問題に言及されて、朝鮮の三十八度線の問題におけるところの、最後の仕上げであるところの捕虜問題に言及されることは当然のことであります。この韓国の捕虜問題を通じて、この極東の問題が相当もめたことは、すでに国際的な重大問題として取残された問題である。こういう問題をいわゆる捉えてこそ初めて捕虜問題、今なお八年も捕虜にされておるところの人たちに対する解放問題をやるのは、当然外務省の問題である。それは単なる五大国がやるのだから、我々はそれにはタツチしないという考えではできないのであつて、むしろあらゆる機会を捉えて、こういう問題は促進されるべきものである。私はこう考えるが、あなたはどう考えるか。
#45
○政府委員(小滝彬君) 勿論朝鮮事変に関連した捕虜の問題は重大化し、事実上は今解決いたしておりますけれども、この問題が相当会議上において利用されるかも知れないということは考え得ることであります。併し、今度の会議はできるだけ問題を限定しなければ、それでなくても果してどういう結論を得るかわからない、恐らく流会になるだろうというように観測されておるくらいでありますから、日本のほうからそういう問題を提起するというのは、諸般の情勢から考えまして適当ではないと私ども考えておるような次第であります。
#46
○千田正君 厚生大臣にお伺いしたいのですが、この留守家族に対する処遇の問題でありますが、殆んど行方不明と称されておりますところの末帰還の人たちに対しては、現在いわゆる留守家族に対するところの手当が出されております。併し、一旦これが死亡と確定した場合においては、戦死なり死亡の報告をなされるはずです。そのとき受取るところの、いわゆる遺族としての処遇と、それからその処遇についてでありますが、それは死亡した年に遡つて、この問題に対する支給を考えるか、それともいわゆる昨年の四月一日から施行された恩給法の中から、これを考慮してやられるものであるか、その点甚だ明確じやないので、遺族になるだろうというこの行方不明の留守家族の人たちは非常にこれを心配しておる、その点をこの際明らかにして頂きたいと思います。
#47
○国務大臣(草葉隆圓君) 死亡公報、或いは戦死公報等が入りますまでは、留守家族手当を支給し、その後は援護法によりまして支給をいたすのであります。従いまして遺族或いは留守家族の上に不利益のないようにというので、両方調整いたしております。でありまするから留守家族か遺族になりましても、それは引続きいずれかのほうに該当をする。恩給法におきましても同様な措置がとられておりますから、或いは留守家族であつた人が遺族になりましても、その間切れることのないように、留守家族、遺族に不利益を来たすことのないようにいたしております。
#48
○千田正君 農林大臣にお尋ねしたいのですが、特にこの米価の問題についてお伺いをしたいと思います。政府は、米価審議会の答申を全然無視しまして、そして二十八年度産米のこの減収価格を石当り五百五十五円と決定したのでありますが、これは米価審議会の答申案であるところの追加払い四百三十二円という、こういう全然考慮せざるところの処置と思われるのであります。専門家或いは権威者を以て組織されておりますところの、この審議会の答申案なるものが、かくのごとく無視しなければならないというならば、一体こういう審議会はなくともいいのじやないか。石当り九百三十二円として、追加払い四百三十二円にするというこの審議会の決定は全然無視されておる。もつと農業生産者のために本当に考えたならば、厖大ないわゆる外米を購入するところのこの価額を更に生産者に対して振向けるだけのことが、特別会計の中にこれは或る程度調整され得るものと私は考えるのですが農林大臣はその点はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
#49
○国務大臣(保利茂君) 只今の問題にお答えいたします前に、先日千田委員から御質問のございました「らつこ」、「おつとせい」の問題に関しまして、答弁を保留さして頂いておつた問題について、お答え申上げたいと思います。
 お話のように、昭和二十六年二月七日の漁業に関する吉田・ダレス書簡には、「おつとせい」については言及されていなかつたことは仰せの通りであります。併し同年の四月六日と七日のアメリカと日本政府との覚書で、右書簡の中には書簡が「おつとせい」の海上猟獲に及ぼされることを確認いたし、日本政府は国際的権利を害することなく、新らしい条約が締結されるまでの間、日本人による「おつとせい」の海上猟獲を自発的に禁止する用意があるということを明らかにいたしているわけでございまして、従つて今日のような処置に相成つているわけでございます。新条約を作ります基礎として、北太平洋の「おつとせい」の生物学的な調査を日米加三国の専門家によつて、昭和二十七年二月から六月まで、その調査を実施いたして、その調査ができ上つているわけでございますから、只今その報告書の作成を急いでいるわけでございます。この報告書の作成を待ちまして、関係国と新条約の締結について交渉を始めるという段階にございますわけです。このことを申上げておきます。
 それから先ほどの……。
#50
○千田正君 只今の「らつこ」、「おつとせい」のことにつきまして、ちよつと関連してお尋ねしたいのです。今の減収価格の問題については、その次にお答え願いたいと思います。
 只今農林大臣から当時の吉田・ダレス書簡におけるところの「らつこ」、「おつとせい」捕獲禁止法案に対するお答えがあつたのでありますが、これは先般も私が申上げました通り日本の領土に棲息しておらないところの、而も日本の漁民の圧迫になるようなこういう法律を作られるということは、国際信義という大きな観点からであろうと思うのですが、それは誠に我々としては当時の状況としては或る程度首肯されるのでありますが、併し今日において私はこういうものは「らつこ」、「おつとせい」は、当時からすでに四百万頭も増加している。もう満限以上に達している。そのために日本の漁民が圧迫されているのだ。「いわし」とか或いは「さけ」、「ます」というものが食われる。更に今度のようなビキニ環礁のような問題が起きて来まして、そうしてさなきだに圧迫されるところの日本の漁業は、今度はこういうビキニ環礁のような向う様の試験によつてこうむるところのいわゆる損害というものは、又甚大である。北洋については日米加条約において一線のラインを引かれる。韓国との間には李承晩の勝手ないわゆる李承晩ラインが引かれる。更に濠洲においては、アラフラ海の制限というような、これも濠洲の一方的な制限によつて、日本の漁場が閉鎖される。今度又アメリカの爆弾の試験によつて、日本の漁業のいわゆる漁場というものは、潰滅に瀕するような状況に追込まれている。こういうような状況下におつて、而もこういうような害獣の取締などというものは当然廃止していいと私は考えるのですが、こういうものと、今度の問題と、このビキニ環礁というような問題を総合しまして、日本の漁業の行く未を考えた場合に、私は黯然たるものがあるのであります。これに対して主管大臣としての農林大臣はこうした国際的に狭められつつあるところの日本の漁場に対して、どういう打開の手を講じられるかという点を一点お伺いしておきたいと思います。
#51
○国務大臣(保利茂君) お答えを申上げます。「おつとせい」問題につきましては、只今申上げましたように日米加三国の専門家による調査が整つてその報告書の作成中でありますから、報告書の作成を待つて直ちに外交交渉を始めて頂くように、これは外務当局でもその腹がまえを持つておりますから、この問題はそういうふうに扱つて参りたいと存じます。李承晩ラインの問題であるとか、或いはアラフラ海の問題でありますとか、いずれも我が国漁業の前に当面している非常に困難な問題に遭遇していることは、もう御指摘の通りでございます。これにつきましては、アラフラ海の問題については、アラフラ海の操業を営み得るような方途を講じているわけでございますけれども、いずれにいたしましても最終的には国際司法裁判所に提起する用意を整えておりますから、それの決定を待たなければなりませんけれども、その間におきましても、今日までやりましたような操業は是非維持したいということで只今努力をいたしております。
 今回のビキニ周辺の事件につきましては調査をいたしておりますけれども、私として特に考えますことは、あの危険区域外において今後操業することが危険であるか、或いは安全であるかということは速かにこれは確認しなければならない問題でございますから、その点につきましては昨日来外務大臣とも相談をして、必要の措置をとるように要請をいたしているわけであります。いずれにいたしましてもまあ今回の事件は別としましても李承晩ラインの問題にいたしましても、アラフラ海の問題にいたしましても、要は親善関係が増進され、そうしてやはりこの日本を含めた共存共栄という立場をそれぞれに尊重をして頂くような外交の成果が生れない限りは、何か局部的には私は困難だというように感じておりますけれども、併しそういう苦しいさなかにおきましても、月本の漁業は千田さんもご承知のようにいろいろの困難に打ち勝つてどんどん発展をいたしているということも又これは事実でございます。更にいろいろの障害克服につきましては、できるだけの努力を払つて参るつもりであります。
#52
○千田正君 私は農林大臣にお願いしたいのは、これは外務大臣に要求する言葉ではありますけれども、今のようなビキニ問題のような少くともアメリカとの関係においては北太平洋、或いは今「らつこ」、「おつとせい」、或いは今度はビキニ問題というようなものが出て来ましたので、そういう問題を勘案して外交上から一方によつて圧縮され、狭められた場合においては、一方においては解放してやるというようなバランスのある外交政策をやつてもらわなければ、日本の漁業としてはたまらない。そういうわけでありますから、片方において今度の問題を解決する場合においては或る程度の範囲の線を引かれると思います。禁止区域の。併し一方において「らつこ」、「おつとせい」のような害獣のようなこういうものを国内法で取締るというようなほうは或る程度向うの了解の下に外してもいいのじやないか、こういう面は外交当局に向つて農林大臣から特に強くこの面を推進してもらいたいということを要望しておきます。
 只今のこの減収価格清算に対する問題についてのお答えを願います。
#53
○国務大臣(保利茂君) この減収加算の問題は前国会におきましてもいろいろの賛否の御意見がありました。昨年の米作が極めて恵まれない不作の状態になつた。従つて不作の地帯に対する匡救措置を講じなければならないということが臨時国会の召集ともなつたわけでございますが、そこでこの減収加算の問題は凶作対策としてこれを考えれば、凶作地の農民は恩典にあずかることが比較的少く、そうでない地帯が凶作によつて非常に不当に恵まれて来るじやないかということで、かなり反対意見も当委員会でもありましたことは御承知の通りであるわけであります。併しながら米価審議会におきまして昨年の麦にとりました減収加算の措置もあるし、こういう不作の年に用いられた投下資材等のことも考えて減収加算をすべきであるという御意見に基いて、これは米価審議会の御意見でございます。米価審議会の御意見に基いて一応石五百円の概算払いをいたして基本米価に加えたわけであります。なおその加えましたが従来減収加算の措置をとつた前例がないために、従つてその算定方式が全然どういう準拠によるべきであるかという、その基準が定まつておりませんために、その基準について、算定方式について米価審議会の意見を開いてこれを清算するということになつておつたことは御承知の通りであるわけであります。そこで米価審議会にそのことを諮問いたしまして、米価審議会ではかなり専門的に、私どもから言えば非常にむずかしい専門的な算定方式をいろいろと研究をせられたようでございます。その審議の過程におきまして昨年のような減収度が地方的に著しく差異を来たしているときは、この減収の分散度を或る程度考慮することが妥当であるという小委員会の有力な御意見もあつたわけであります。併しこれは結論的には審議会の答申としては出ておりませんけれども、答申の出て来る過程において、これも学問的に根拠のある極めて有力な一説であつたわけであります。政府はそれらの意見も併せ考え、今日全体の財政の状況、及び生産者の状況、食管会計の状況全体を按配いたしまして右の少数意見ではありましたけれども、減収の分散度を考慮するという方式に従つてこの決定をいたしたわけでありますが、従いまして一応その米価審議会の答申は答申通りにやれば四百三十円かになるわけであります。これをやり得なかつたということは遺憾に存じておりますけれども、併し五十五円の追加払いをいたすという、そのことに対しましても学問的にも十分根拠はありますし、国民経済全体からいつてこれをとることが妥当であろう、こう考えて決定いたしたような次第であります。
#54
○千田正君 外米を配給しても取らない、いわゆる剰余米ですね、配給剰余米、それから例えば菓子だとか、或いは酒だとかいう材料に払下げているところの米が、相当市場に流れ出しつつあるということを私はよく噂に開くのですが、そういうようなことはございませんか。例えば外米を配給しても取らない人が相当いる。そういうものの処理が甚だ明確じやないということ、それから例えば、酒造米ですね、酒造米として予定されたようなものが酒造の、酒の目的に使われないで或いはその他の食料として逆に流れているというようなことを聞くのですが、それは実際においてあなたのほうの管轄の面においては現われて来ているかどうかということを伺つておきたいのです。
#55
○国務大臣(保利茂君) 御尤もなる御疑念だと存じます。私も実は昨年の凶作による配給の確保は一応なし、今年度は最低十五日の配給を一応確保して行くということが国民生活に著しいその打撃を与えることにしないためには必要であると、こう確信をしまして莫大なる外貨を費して外米の輸入を確保いたしおるわけでございます。併し常に懸念いたしておりますのは、この大きな国民経済上の犠牲を払つて輸入いたしました外米に対する全体の消費者の考え方はどうであるか。こういうものならばこれで結構だというかたが大多数であるか、或いはこういう外米ならばもう大抵でいいじやないかというようなことになるか、非常に私は大きな問題を将来に残す問題として注意をいたしているわけです。従いまして今日配給をいたしておりまする外米の消費状況につきましては、食糧庁に命じまして配給辞退はこれはもう或る程度年来あるわけでございます。取分け今年のこの外米に対する消費者の気持の動きがどうである、需要の実際がどうであるかということを厳重に一つ調べてくれるようにということで只今ずつと調べておりますけれども、まだ私の手許までそれが来ておりませんでございます。これは今後の食糧政策を打立てて参ります上に、非常に大きな私としては資料にしなければならないということで、細心の注意を払つておりますけれども、お話のこの酒造米等がほかに利用されて流れているのじやないかということは、これは私はあり得ないと思うのです。と申しますのは酒造米は実際の何から来ておりますから、そういう必要は、酒造米のほうに流れているということは、これはもうちよつと捕捉いたしがたい。そういう調査が整いましたら又これは申上げさして頂きます。
#56
○千田正君 今のは酒造米よりも、酒造米じやない、あの加工米のほうに、酒造米以外の加工米のほうにそういういろいろな米が流れておらないかということなんです。
#57
○国務大臣(保利茂君) あり得ることだと思いますから十分調べて見ます。
#58
○千田正君 最後に二点だけお願いしたいのですが、その一つは硫安の問題であります。今度政府が臨時硫安需給安定法案及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の二法案を提出されておりますが、これは輸出価格と国内価格との差が余りにも開き過ぎておつた二、三年前の時ならこの案も或る程度考えられますが、現在においては、出血輸出もどうやら或る程度まで国内の配給価格とそう差がないところまで来ているときに、こういう一体法案を出していいのか悪いのか、この点を一つ聞きたいと思うのであります。メーカーのほうは赤字々々と言つているけれども、果して赤字であるかどうかと、こういう問題に対して恐らく所要する金は相当額が多いと思うのでありますが、大体メーカー関係からこれに対する合理化を図る裏付として、二百億くらい必要だということを要求しているようでありますが、こういう一体、硫安工業の合理化結構であります、併しながらこれは単なる硫安工業だけの合理化にこれをやろうとしましても、その源泉であるところの電気であるとか、石炭とかという、その硫安を作るところの基礎産業のほうの合理化を根本的に図らなかつたならば、何ら意味がないと私は考えるのであつて、これをなさずして、単なる肥料だけのいわゆる合理化ということは我我は当を得た策でないと思うのでありまして、この点を一体農林大臣としてはどうお考えになつておられるか、これを一応伺つておきたいと思います。
#59
○国務大臣(保利茂君) 肥料二法案を前々国会から御審議を願つておるわけでございますが、末だ成立いたしていないことは非常に遺憾に存じております。提出の動機、理由はもうお話の通り国内価格と輸出価格が非常なアンバランスで、輸出による出血が内地農民に転嫁られるというごうごうたる非難の中に、そういうことをしてはならないという趣意で立案をいたしたもので、狙いといたしますところは、もとより輸出による損失が内地農民に転嫁せられないという保障をいたすところに第一の理由はありますけれども、同時に農業の最も大きい部分を占めます生産資材である肥料を、できるだけ一つ安く確保して行くということは、長いやはり政策でなければならない。そういう上から行きまして、一面において肥料工業の成るほど設備は大きくなり、能力は大きくなつておりますけれども、先進諸国との今日の状態ではかなりここに合理化の余地が残されておる。お話のように無論電気、石炭の関係は大きい部分として占めておるわけでございます。それらを含めまして合理化をして、そうして一面に輸出競争力を養い、一面においてできるだけ安い価格を内地農民に保障するという意義を持つている法案でございますから、成るほどその非常な只今大分お話のように内地価格と輸出価格が接近して来ておりますから、そのほうの論議は比較的少くなつておりますけれども、だからといつて、私はこの意義が薄くなつたとは考えませんので、是非これは御協力を得て成立さして頂きたいと、こう考えておるわけであります。
#60
○千田正君 成るほど農林大臣のおつしやる点もわかりますが、逆にこれは資本家のやるカルテル、トラストの方向へ向つて行つて、幸いにしてこういう法案の結果生産農民に安く提供されるといういい面が出て来ればいいのですが、逆に資本家、メーカーのトラスト的なあれが強くなつて来て、そうして今度はこの肥料生産によつて農民が希案言つてもなかなか通らないようなことがあると悪い面が出て来るというものに対してもそういうふうな制限を考えなければならない。勿論その案のそこにある点は今おつしやつた通り、石炭、電気というようなものの根源に対しても、やつぱりメスを加えて行つてそこに合理化をしない限りにおいては、私は必然的な、農民が要求されるような安いものは出て来ないと思います。この点において十分御研究願いたいと思います。
 最後にただ一点、私は水産委員会の委員もかねておりますので、特に農林大臣に聞きたいのですが、昭和二十九年度の農林省の公共事業費のうち、水産庁関係におけるところのいわゆる漁港の経費が節減されておる。一番困るは二十八年度において決定された漁港、これに対しては殆んど調査費程度しか出ない。更に今まで継続しておつたものも一制乃至一割五分の削減であるとするならば、当初考えておつたところの漁港整備計画というものはもう十年たつても、二十年たつても農林省当局が考えておるような漁港の整備計画は完成しない。なお且つ先ほども申上げました通り、沿岸から沖合、沖合から海洋へと日本の漁業は進展の過程を辿つておるときにその根拠地であるところの漁港がいわゆるこのたびの予算の面にはそうした増産対策の根底をなすところの漁港予算というものが何ら盛られておらないというときに、私は真剣にこの水産というものを考えた場合において、片手落のいわゆる予算じやないか。これは農林と水産というものは言うまでもなく日本の基礎産業の二大産業でもあると、片一方の破行的な予算であるという点において私は不満を持つのですが、これに対しては是正されるお考えがあるのかないのか、将来又、この内閣があなたがたの内閣がいつまで続くかわからないけれども、三十年度において再びこういうような圧縮されたことであつたならば当初農林省が計画しておつたところの漁港整備計画などというものは到底これは絵に描いた餅にしか過ぎない。これではとても漁民に対してお約束ができないわけでありますが、この点につきましては農林大臣のお考えは、どういうふうに善処するつもりでありますか、承わつておきたいと思います。
#61
○国務大臣(保利茂君) 漁港の整備費が縮小予算の中にあつて整備計画の遂行と睨み合せますればまさに御懸念のように整備計画それ自体が絵に描いた餅に終るのじやないかという不安を抱かれることは当然だと私は考えます。漁港に対する考え方は私も全く何様に考えております。今日の水産政策の方向をお話のように沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へということは申上げるまでもなく漁船の船型の変化と申しますか、大型百化を意味しておるわけで、それに以て来ましてその根拠地であるところの漁港の整備が著しく立遅れておる。そこにどうして強力な水産政策が推進して行かれるはずがない。そういう上から行きまして漁港の整備というものは水産政策の私は基本問題として考えておるわけでございます。全体として農林予算の中において漁港予算が非常な冷遇を受けておるというようには私は考えておらない。苦しい中において農林予算とバランスを失わない総体的な予算から宛て頂きますればこれは御了解を頂けるのじやないかと思います。いずれにしてもそういう意味で率直に申しますれば先般衆議院で修正が行われておりますけれども、あれだけ修正を頂くならば漁業にも幾らかの修正があつて然るべきじやないかと私自身は考えるような次第であります。(「自由党は関係してるじやないか」と呼ぶ者あり)従つて来年度以降のことは、これは無論財政計画全体の問題でございますから、今日からどうこう申上げることは無論できませんけれども、そういう考え方の上に立ちまして私としてはできるだけの努力を払つて行くつもりであります。
#62
○千田正君 たくさんまだ言い残した点もございますが、問題は今や国際的な視聴を集めておるところのビキニ環礁の問題、これは予算委員会においてとにかくできるだけ早くこの報告をして頂きたいということは、この漁業の問題にしろ、或いは外交問題にしろ、日本にとつて非常に大きな問題でありますので、この点については改めて外務大臣及び農林大臣に質問したいと思いますから、できるだけ早くこの委員会において発表願うことをお願いいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。
#63
○松澤兼人君 昨日理事会で決定いたしまして、委員長から政府に対し第五福龍丸の問題については早急にその真相と漁民に対する補償、救済の問題について報告を願うということになつておりまして、この点につきましてはいつ報告して頂けますか。委員長何かお聞き及びのことがありますか。
#64
○委員長(青木一男君) お答えいたします。政府も今朝協議されたようでございますから、関係大臣は見えておりますが、外務大臣が本会議に出席されておりますので、このまま暫らく休憩して外務大臣が出席されたならば或いはこの際報告を願うのが便宜だと思つております。
#65
○松澤兼人君 只今外務大臣が報告されるということは、政府の統一された意見として報告されるのでありますか、或いは外務大臣としての報告でありますか、その点をはつきりして頂きたい。
#66
○委員長(青木一男君) 勿論政府の統一した意見と考えます。
#67
○松澤兼人君 と言いますのは、例えば農林省でありますとか、海上保安庁でありますというような関係で協議された結果としてその真相を報告され、或いは対策を報告されるということであるのか、或いは外務大臣が外務省関係の情報だけで報告されるのか、そこのところをはつきりして頂きたい。
#68
○委員長(青木一男君) お答えいたします。私は必ずしも単一大臣が全部お答えになる必要はないと思つております。それぞれ所管大臣がお答えになつて差支えないと考えております。ちよつと今外務大臣の都合を聞きますから、このまま休憩を願います。
 速記をとめて下さい。
   午後零時十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時三十分速記開始
#69
○委員長(青木一男君) 速記を始めて下さい。
 本会議が休憩の予定でございましたが、更に又協議の結果質疑を継続されるそうでありまして、外務大臣がこちらへ来る時間がすぐ期待できませんので、本日はこれにて散会いたしまして明日今の報告を求めたいと思います。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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