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1953/04/26 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 本会議 第39号
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1953/04/26 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 本会議 第39号

#1
第019回国会 本会議 第39号
昭和二十九年四月二十六日(月曜日)
   午後二時三十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十九号
  昭和二十九年四月二十六日
   午前十時開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 第一 保安林整備臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 国有林野法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
#4
○小笠原二三男君 私はこの際、過般の本院の警告決議に対する内閣の態度に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#5
○戸叶武君 只今の小笠原二三男君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河井彌八君) 小笠原君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて、これより発言を許します。小笠原二三男君。
   〔小笠原二三男君登壇、拍手〕
#8
○小笠原二三男君 私は日本社会党を代表し、又過日内閣に警告するの決議案に養成した議員として、院議に関し政府の所信を質すものであります。
 過般の決議は、御承知のごとく二つの重要な点を内容としているものであります。即ちその一は、総理大臣が犬養前法相をして濫りに指揮権を発動せしめた点を不当と断じておるのであります。(拍手)その第二は、かかる過ちを改め、速かに善後の措置をとるべきことを要求している点であります。(拍手)決議に対し、緒方副総理は特に発言し、その前段においては撤回の意思なきことを強調しながら、且つ後段において謹んで承わつておきますと申されたのであります。従いまして私は本決議は事件の性質上、緊急なる措置を必要とするために、先ず率直にお尋ねいたしたいことは、謹んで承わりつ放しにするのか、承わつてどうする所存であるかということであります。吉田総理並びに加藤法務大臣にこの点を質したいのでありますが、特に加藤法務大臣には、造船汚職問題の捜査を今後積極的に進めるための積極的な対策についても伺つておきたいのであります。
 私たち、決議案としましては、内閣不信任、問責追及の決議として独自の案を提出いたしたのでありまするが、緑風会の申出によりこれを撤回し、自由党を除く各会派の案として、今後の責任を明らかにするため、特に会派の会長、副会長並びに議運の委員が代表発議したものであつて、会派それぞれの見解はありましても、院議としては案文に見らるるがごとく、又宮城議員の趣旨弁明に明らかなごとく、具体的に検察当局よりの稟請のあつた佐藤議員の逮捕請求を裁判所にするように許可すべしというに尽きるのであります。内閣の措置を是とし、伝えられるがごとき検察陣の総辞職等を期待しておるものではないのであります。政治的考慮が政府に如何ようにあろうとも、検察行政を不当に侵害してはならんという点を追及しているのであります。(拍手)即ち突き詰めて申すなら、法務大臣のとられた一個の行政措置を改めるよう要求しているのでありますが、而も院議なるものは、一般に国権の最高機関の意思として、内閣において尊重せられ、又遵守さるべき権威あるものであつて、単に一個の、検察行政の措置の変更を求める院議を尊重できんとするなら、それは明らかに内閣の不遜であり、院に対する軽視であり、明らかな挑戦であるとさえ言わなければなりません。(拍手)まして国家の大事に名をかり、吉田内閣の延命のためにする党利党略のため院議に従えぬとするなら、言語道断なる態度として、天人ともに許さざるところと申さなければなりません。(拍手)よつて国会即ち立法府と、内閣即ち行政府とは、如何なる関係と地位にあり、院議をどう解するか、吉田総理に、この際見解を承わつておきたいのであります。
 このたびの法務大臣の検事総長に対する指揮権発動に関する論議は、過日来幾多論ぜられたところでございますから、その煩を避けますが、私はここに明快にしておきたい点は、その手続並びにその理由とする点についてであります。指揮権の発動は、検察行政が不当である、行き過ぎであるという場合に、これを是正するがために設けられたものであつて、たとえ検察庁法第十四条があつたとしても、法務大臣はそれのみによつて、個々の具体的議員の逮捕に関し検事総長を指揮することは問題であると思うのであります。幸い部内の内規があつて、国会議員の逮捕に関しては法務大臣の指揮を仰ぐこととなつておるので、初めてこの運用によつて指揮がなされたのであつて、仮にこの内規がなかつたならば、一般犯罪容疑者の逮捕同様、一々個々のケースについて大臣が指揮し得るわけのものではないのであります。犬養法相、否、内閣は、検察庁法の運用を内規に便乗して悪用したものであります。議員の逮捕に関しては、憲法に示すほかには国会法においてその手続を規定しているのみであります。国会法では、裁判所と内閣と国会の手続関係だけを規定したものであり、その際内閣の立場は、裁判所の請求を国会に取次ぐ、単なるトンネルとしての事務手続をするだけであつて、その限りでは責任は負わないとは、政府並びに法制当局がしばしば本院において言明せられた通りであります。(拍手)従つて内規によつて初めて行われる指揮権の行使は、特段に国家的に重大な理由があり、特段に検察行政の行過ぎがあるときでない限り、濫りになし得ないものであることは明々白々であります。又その理由とするところについて見ましても、犬養前法相の指揮権発動後における発表された談話によれば、重要法案の審議の現状に鑑みとか、国際的、国家的重要法案の見込の付くまでとか、主な理由を挙げておりますが、内閣が重要法案として通過を期待することは、内閣自身においては当然といたしましても、国会においては法案の重大性は認めても、国際的、国家的に重要なりとして通過せしめるか否かは国会が独自に判断して決定することであつて、内閣の意思とは別個の問題であります。(拍手)時の内閣がその恣意、主観によつて、かかる法案の通過を期待し、国会運営を有利にするために、延いては政権の維持のために影響ある人物の逮捕を不適当として、政治的考慮を加えて不当な検察指揮をすることは断じて許せないことであります。(拍手)このことは私が申すだけでなく、当の犬養前法相が、その後辞職せられたことによつても立証せられておるところであります。(拍手)
 以上申しましたごとく、今回の措置は、手続において、その理由において、何人も納得せしむるものではないのであります。内閣としましては、政府、与党幹部に関する事件である限り、法の運用上の盲点を利用して政治的考慮を加えるべきでなく、積極的に真相を国民の前に明らかにするよう努力すべきでありましよう。又そのことによつて天下に責を負わなければならない場合は、当然内閣は総辞職すべきでありましよう。(拍手)日頃吉田総理は、筋を立てるお方であつて、筋を立てることに苦慮する余り神経痛になられたかと考えましたが、政権延命のために、単に一党幹部のために法を紊り、法を悪用して、よつて以て、これを特効薬として無理筋を立てられるというのであつては、今は少しは、痛みを我慢して立つて歩けるといたしましても、遂には日ならずして、再び足腰立たぬ運命を迫るであろうことは疑いの余地のないところであります。吉田総理は、決議に従い、過ちを改むる意思は、遺憾ながら、衆議院における不信任案否決を奇貨としてお持ち合せないかも知れませんが、少くとも、政治責任をどうお考えになつているか。国会を通じ国民の前に明らかにして頂きたいのであります。
 次に、私は特に一カ月有半、吉田首相引きこもりのあと、副総理として国会の運営或いは世論を聞いておりました緒方副総理に対してお尋ねいたしたいのでありますが、犬養法相辞職の今日、緒方副総理は吉田総理に、この院議に従つて直諌せられ、それが容れられないとするならば、緒方氏自身においてでも辞職をするお考えがあるかないかということであります。私の話が失礼に当るならば御勘弁願いたいのですが、あなたは、朝日新聞に半生を委ね、社会の木鐸として社会悪と闘い、政治の理想を追つて、破邪の筆劔を磨き、その節操を守つて今日の朝日新聞の伝統を培つたお方であることは間違いないのであります。その伝統を継ぐ朝日新聞が、各紙同様、国民の声を論説に託し、朝に夕に内閣に直言し、警告し、その反省を促し、引いては総辞職を迫つている事態をあなたは如何にお考えになつておられるのであるか。朝夕見る吉田内閣攻撃のあの活字があなたの目に針を突き指すごとく感じられないのか。あなたが見られるあの活字の新鮮な香りが、あなたの眠らんとする理性を呼び覚まそうとしていることに気が付かないのであるか。言を進めるならば、あなたの刎頸の友であり、政治の先輩である中野正剛氏の墓にあなたがぬかずいたとき、地下の声として、あなたを激励する声を聞くことができるとお考えになつておられるのであるか。犬養前法相に不当な措置を求めた総理の意思を仲立ちしたあなたは、犬養法相一人を自殺せしめるのみではなく、飽くまでも、近代的政治倫理と関係のない義理人情の世界に沈潜せんとするのか。あなたが今日吉田総理に直諌し、容れられなければ、あなた自身においても、天下に責を明らかにする措置をとるべきであろうと思うが、この点について謹んで緒方副総理の所見をお尋ねするのであります。
 時間がございませんので最後に申上げますが、内閣にとつては、衆参それぞれの院議に従うに軽重があるものではございません。行政監督の立場にある国権の最高機関たる国会の院議が、内閣において尊重せられず、闇に葬り去られる先例を将来に残すならば、参議院は院議を決することによつて、却つてこの国家機能の権威をみずから喪失するものであることを我々は銘記しなければなりません。(拍手)又国会が内閣の行政執行を規制し得ないならば、内閣の横暴独裁を防ぎ得ず、内閣の独裁政治を助長せしめ、民主政治の発展を断たれるであろうことも我々は銘記しなければなりません。参議院としては、会派の立場を超え、一旦決した院議を軽々に看過してはならないのであります。私はここに参議院の権威のために、又内閣の独裁、専制、悪意を規制するために、吉田内閣は院議に従い、責任ある措置をとるべきことを飽くまでも要求するものであります。私は内閣が、飽くまで参議院に対立するとあらば、参議院としては、かかる不遜な内閣提出の法案審議を中止する挙に出でても、院議は緊急に、断々乎たる態度で実現せしめ、民主政治を守らねばならないと確信し、併せて、院議に賛同せられた各会派のかたがたの御決意を促しまして、質問を終る次第であります。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。
 先般の本院における御決議案に対しまして、私が謹しんで承わりますと申しましたことは、謹しんで承わりまして、将来の戒めといたしたいということでありまして政府といたしましては、今回の措置を撤回する考えはございません。
 いわゆる重要法案について、いろいろ御批判があびましたが、参議院として、果してその法案が国家的、国際的に重要なものであるかどうかということに対しまして御批判をお持ちになるのは、当然でありまするが、政府といたしましては、あの諸法案、これは今日この場合に、是非とも通過成立を図りたいと、その通過成立のためには、異例の措置をとることも止むを得ないと、かように信じて、その所信から、検察庁法によりまして指揮権の発動をいたしたような次第でありましてその点は、御了承を頂きたいと思います。
 先般の本院の御決議につきましては、政府としても勿論、謹しんで承わつておるのでありますが、国会の会期も残り少い今日におきましては、重要法案等の審議促進に最善をいたすべきであると、さように考えて、この際、真に止むを得ないものと考えてあの措置をとつたことを御了承お願いいたしたいのであります。
 なお私の進退について御親切な御注意がありましたが、内閣は一体でありまするので、私はこの際、ただ自分の一身をどうするというようなことは、考えておりません。この点につきましても、御了承をお願いいたしたいのであります。
   〔国務大臣加藤鐐五郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今の小笠原君の御質疑に対しましては、緒方副総理より御答弁がありましたが、私も大体、同様な考えを持つております。犬養前法務大臣が検察庁法第十四条の指揮権を発動いたしましたことは、犬養君といたしましては、熟慮の上に熟慮し、非常な決意と信念の下に職を賭して断行したことでありますが故に、私といたしましては、その信念に敬意を表しまして、それを活かして行きたいと存じております。従つて只今のところ、この指揮を取消すつもりはございません。
 この際、特に附加えておきたいということは、今更申すまでもなく、検察庁法第十四条に基く今回の指揮は、犯罪の捜査を打切り、中止させようということではありません。ただ国会の現状、国家の大局の上より見て刑事政策上、逮捕拘束を暫く延期し、その他の方法によつて捜査をせよというのであつてこれは異例だとは申しますけれども、国家の現状、国際関係の重大なる時、大所高所より見て異例の発動をせなければならん特殊重大なる時であると考うるからであります。この指揮に対しまして世間に、あたかも司法権の弾圧のごとき感を与えておりまするが、断じて然らずでありまして、ただ検察指揮権の発動でありまして、検察庁法に基いた適法の措置であるのでございます。決して違法ではございません。いわんや司法権の侵害でないことは、申すまでもないのでございます。只今緒方副総理より申されましたごとく、この参議院における決議に対しましては、敬意を表する次第でございます。
 最後に申上げますることは、捜査には、何ら右顧左眄することなくして検察庁がその所信に向つて邁進することを、何らとめておるものではないということを念のために申添えておきます。「敬意を表するだけでどうするのだ」と呼ぶ者あり、拍手)
     ―――――・―――――
#11
○東隆君 私はこの際、緒方国務大臣の発言に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#12
○松浦定義君 私は、東君の動議に賛成をいたします。
#13
○議長(河井彌八君) 東君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。東隆君。
  [東隆君登壇、拍手]
#15
○東隆君 私はこの際、日本社会党第二控室を代表して、去る二十三日、本議場においてなされた緒方国務大臣の発言に関し緊急質問をいたします。
 参議院は、本月二十三日、「法務大臣の検事総長に対する指揮権発動に関し内閣に警告するの決議案」を、自由党を除く過半数を以て可決いたしました。この決議案は、参議院内における与党に比較的に同調していた緑風会の提案になり、その提案の過程においては参議院の改進党が原案を提示したものだと言われております。これに対し、自由党を除く各党派が本決議案に賛意を表し、可決せられたものであります。これに対し緒方副総理の言葉は、謹んで院議を承わりますとの発言でありました。あのとき、このところにおける緒方副総理の発言は、我々にとつては不満足なものではありましたが、あれ以上の言及はできないものと了承をしたのであります。併し今日に至つても、政府は参議院の警告に対し応える時期に到達したものと私は考えるのであります。
 御承知のように国会は、両院を以て形成されておりますが、参議院としては、不信任案を決議することはできませんが、法案その他を否決して政府の行動に対し、今回のごとく院議を以て警告を発することもできます。この内容については、衆議院の不信任案の決議と趣を異にするところがあると思いますが、併し衆議院における不信任案と、参議院におけるこれらの決議というものは、私は同じところの意義を持つておるものであると考えるのであります。(拍手)従つて、今回参議院の決定したる意思に対し、政府は如何なる考えを持つておるか。謹んで院議を承わつた緒方副総理の我が決議に対する措置をお尋ねをするものであります。この答えには、私は重要な前提が必要であると思います。それは政府は参議院の多数を以て決議した決議に対し如何ように考えるか。この答えは緒方副総理の答弁の如何によつては、参議院軽視のことにもなり、将来重大なる結果を及ぼすと考えますので、誤解を生じないように、明白にここから議場を通してお答えを願いたいのであります。その覚悟の上で政府の措置について、先ほど申上げたことについてお答えを願いたいのであります。
 次に、犬養法相辞任のあとを承けて、加藤法相が生れたのでありますが、加藤氏は法律の素人であるために、私は甚だ失礼な言い分であるが、加藤ロボット法相と申したいのであります。ロボット的発言であるが故に、参その背後にある政府と言わんより、総理の考えが強く背後に光つておると、私は思わざるを得ないのであります。よつて私は総理に対し、種々なる事項について、この機会にお尋ねをするのでありますが、その前に加藤法務大臣に、就任の経過と、どんな心境で法相に就任されたかについて、とかく疑惑を起すときでありまするから、法律の素人として、法的でない率直な加藤法務大臣の就任の経過と心境を、この議場を通してお述べを願いたいのであります。(拍手)これは甚だ意地悪を申しているようでありますが、決して意地悪ではございません。ロボツト大臣であるといたしましても、加藤鐐五郎氏は法相たるに相違はないのでありますから、私は一応この際、犬養氏のあとを承けて、我が参議院の警告に対し、如何に措置されるか。このことをはつきりとお聞きをしたいのであります。更にこの加藤鐐五郎氏の発言に対して、総理から、この加藤氏の発言をコンフアームして頂きたいのであります。このことは、先ほど私が述べたことから皆様も十分に御了解の行くところであると思うのであります。
 次に、私は緒方国務相の発言に関連をして重要なことがありますのでお伺いをします。それは、重要法案を通過せしむる必要がある。これは過日の吉田総理の発言でありますが、このことは、現吉田内閣にとつては極めて重要なものであります。併し我々野党に席を持つている者は、重要法案たることには相違ありませんが、極めて反動的にして逆コースを歩むための法案であるため、これが撤回を望んでいるものであります。撤回を望んでいるところの法案である限りにおいて重要な法案なのであります。従つてこれに対する態度は、政府も十分承知されているところであります。然るに政府の両院における法案審議に際してのサービスは、サービスと言わんよりチェックしているような形で昨今に至つているのであります。このことについては、首相も副総理もよく御承知のところでありますから、私はこれについては多くを述べません。これまでの審議の遷延は挙げて政府の怠慢にあると私は考えますが、(拍手)これについてはつきりと政府の考えるところをお聞きしたいのであります。
 会期も余すところ二週目であります。法案の通過に当つて総理その他の出席がなく、予算に関連した法律案の審議における参議院の審議は、率直にいつて中身を国民に向つて発表するには甚だしく困惑すべきものがあるのであります。この責任は衆議院における政府の当を得ざるために起されたものであります。而もこれにもかかわらず、参議院は、困難なる中にあつて審議をしていますが、このことについて、政府は如何に考えておるか。国会に向つて、遷延の責任について如何に考えているか。政府は如何なる答えをされるか。そのことをはつきりお述べ願いたいのであります。
 次に、議案審議の遷延した今日、会期は余すところ先ほど申しました通り二週目を出でないのであります。すでに会期の延長のことが伝わつております。総理は会期延長について、現在如何ように考えているか、率直に開陳されたいのであります。会期の延長について、過去の吉田内閣のとつたやり方は極めて乱暴なものがあります。常識的に考えても、会期末には、参議院に法案の審議すべきものが山積するのであります。これを政府は、衆議院の一方的な議決を以て会期の延長をたびたび行なつたのであります。このことは、現行の国会法の不備もありますが、参議院の意思を無視するも甚だしいのであります。政治は、今回の国会の会期について如何に考えているか。事は汚職問題に対する検察当局の徹底的捜査に重大なる関係があるのであつて、政府は、参議院の今次の決議に対し、これを尊重するか否かも、この会期延長の如何によつて判断が付くのであります。汚職議員も、その中には重要なポストにある議員もあるかも知れません。それらを議会の許諾を要せずして検察当局が徹底的に究明するためにも、副総理の答弁は、会期延長に関して、願わくば参議院の意思を尊重し、汚職なき明るい日本の建設のために会期延長をしないと確答をし得るや否や、私は以上を以て質問を終ります。(拍手)
  [国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(緒方竹虎君) 先般の本院の決議につきましては、政府といたしましても謹んで承わつたところでありまするが、法務大臣の今回の措置は、重要法案の審議促進の見地から真に止むを得なかつたものでありまして、この院議に対しましては、将来の戒めといたしたいと思います。なお先般の本院の決議は、衆議院における不信任決議案の性質を有するものではない、本院の御趣旨も、そこではない。さように考えております。又重要法案について御批判がありました。重要法案という意味は、違つておる、これは我々として撤回を求めておるのだという御意見がありましたが、政府といたしましては、その所信に基きまして、是非とも本国会におきましてこれを通過成立させたい、そう考えておる次第であります。
 次に、会期延長のことでありますが、政府は現在のところ会期延長を考えておりません。重要法案の早期成立に最善を尽したいと、一意念願している次第であります。
   〔国務大臣加藤鐐五郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 東君にお答えいたします。
 今回の汚職は、我が政界のために悲しむべきことであります。従つて私は、飽くまで厳正の態度を持し、国会の信用、威信を回復したいと念願している次第であります。従つて検察当局が純真な気持で、正義感に燃えて捜査に従事いたしておりますることは喜んでおるものであります。併しながら国家大局より見、又刑事政策の上から見て判断を下さなければならない場合においては、何ものにも掣肘されず、毅然として私の所信に邁進したいと存じます。この点は、ロボットではございませんから御安心を願います。(拍手)
     ―――――・―――――
#18
○八木幸吉君 私はこの際、法務大臣の指揮権発動に関し内閣に警告を発する決議に対する緒方国務大臣の発言に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#19
○杉山昌作君 私は、只今の八木君の動議に賛成いたします。
#20
○議長(河井彌八君) 八木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#21
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて、これより発言を許します。八木幸吉君。
   〔八木幸吉君登壇、拍手〕
#22
○八木幸吉君 私は改進党を代表いたしまして、内閣の所信を質さんとするものでございます。
 去る四月二十三日の本議場におきまして)法務大臣の検事総長に対する指揮権発動に関する警告決議案が多数を以て通過いたしましたことは、各位の御承知の通りであります。本決議案は、法務大臣の指揮権発動の結果が、検察権の行使を制約し、捜査を困難ならしめ、国民の疑惑を深め、延いては政治の信用を失墜せしめたことにつき遺憾の意を表し、速かにその非を改むべきことを警告したものでございます。然るにこの決議案に対する政府の態度を見まするに、本決議案通過直後、緒方副総理より謹んで承わりますとの御発言がありましたのみで、何らその後に政府より、そのとられたところを本院に御報告がなかつたのでございます。私どもは、これを甚だ遺憾とするものであります。本決議案は、司法権の独立確保に関する国民の要望を最も端的に表明したものであります。同時に官紀粛正の根本に関する問題でありまして、この決議案警告の成行きにつきましては、国民ひとしく注目をいたしておるところであります。国民の良識を代表する本院が、多数を以て可決いたしましたこの決議案の最も尊重せらるべきことは論を待たないところでありまして、この決議案の警告に基き、迅速に政府が善後処置をとるべきことは当然であります。ここにおきまして、私は次の二点について政府の御所見を承わりたいのであります。
 第一に、政府は国権の最高機関たる参議院の決議を如何にお考えになつているか。只今の緒方副総理の御答弁を伺いましても、将来大いに注意をするという御答弁でありましたが、本院の決議は、御承知の通り今回の与党幹事長の逮捕許諾の請訓を速かに許可せよというのが決議案文の趣旨であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)何も将来気を付けてもらいたいというのが本院の決議ではないのであります。検察庁の逮捕許諾の手続を速かに国会に提出すべしというのが、本院の決議の趣旨であります。この院議を如何に取扱うのか。これが先ず第一に私の政府に問い質さんとする要点であります。
 更に、政府におかれまして、本日の本会議場における質疑応答の結果、反省をされましたならば、将来いつまでに、この逮捕許諾の手続を完了せられるか。その日時を併せて承わりたいのであります。(拍手)若し政府の御答弁にして私どもを納得せしめないならば、政府の最も心配せられる重要法案審議についても、相当支障を来たすことを御覚悟にならなければならんと思うのであります。(拍手)何となれば、官紀の振粛、綱紀の粛正の問題は、すべての政策を超越した根本問題であるからであります。(拍手)政府の参議院議院の院議を無視するの態度が、今後如何ようの事態を招来するか、十分慎重に御考慮の上、答弁あらんことを要求するものであります。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府の今回の措置は司法権の独立を侵したものであるというお言葉がありましたが、政府の措置は決して司法権の独立を侵害いたしてはおりません。政府の権限内におきまして指揮権を発動いたしたものでありまして、その点は御了承願いたいのであります。
 更に今回の措置につきましては、繰返し本院で申上げましたように、重要法案につきましては、政府の所信におきまして、是非ともこの国会において、国会の会期内に通過成立さしたいと思つております。その法案の審議上、決して捜査の内容に立入つてこれに干渉或いは圧迫するものではないのでありまして、その間、任意捜査に任す、ただ重要法案を成立さしたい。かように考えておるのでありまして、院議となりました先般の決議の御趣旨は、又、本院の立場は十分承知いたしておりまするが、その点、切に本院の御了承を願いまして、その重要法案を通過さしたい。かように考えておるのであります。この重要法案が通過いたしますれば、政府の措置が解除されることは申すまでもございません。
 以上、お答え申上げます。(拍手)
   〔八木幸吉君発言の許可を求む〕
#24
○議長(河井彌八君) 八木君の御登壇を請います。
   〔八木幸吉君登壇、拍手〕
#25
○八木幸吉君 要点を簡単にいたしまして、政府の再答弁を要求いたします。本院が二十三日に決議をいたしました決議の趣意は、佐藤君の逮捕許諾の請求の請訓に対して許可を与え、国会にその手続をしろというのが根本であります。この院議を政府が聞くか聞かないか、将来の話を聞いておるのではありません。(拍手)佐藤君逮捕許諾の手続を国会に請求しろという院議を尊重されるか、しないか。将来ではなくして、(「今だ」と呼ぶ者あり)今直ちにこれをどうされるかということの決心を伺いたいのであります。将来の御注意は勿論でありますけれども、今伺いたいのは、ただその一点でありますから、それに対して、簡単且つ明瞭にお答えを願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしまするが、先ほどどなたかに答弁をいたしました通り、政府は、本院の院議となりました決議を尊重いたしまするが、今回とりました措置を、この際、撤回する意思はございません。(拍手)
   〔「法務大臣の答弁は」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔八木幸吉君発言の許可を求む〕
#27
○議長(河井彌八君) 八木君の御登壇を請います。
   〔八木幸吉君登壇、拍手〕
#28
○八木幸吉君 只今の御答弁を伺いますと、佐藤君の逮捕許諾の請求の手続はしない。こういうお答えでありますから、言葉を換えて言えば、参議院の二十三日の院議は尊重しない。これを無視する。こういうふうに承わつてよろしいか。その点に対する御返事を、もう一遍伺いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(緒方竹虎君) 重要法案が通過成立するまでは、撤回する意思はございません。(拍手)
   〔「重要法案と佐藤とどんな関係があるのか」「法務大臣はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔国務大臣加藤鐐五郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、この問題につきましては、先刻明確に御答弁をいたしたのであります。尊重はいたします、敬意は払いまするが、撤回、取消はいたしません。(拍手)
     ―――――・―――――
#31
○議長(河井彌八君) 日程第一、保安林整備臨時措置法案
 日程第二、国有林野法等の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。
   〔片柳眞吉君登壇、拍手〕
#33
○片柳眞吉君 只今議題となりました保安林整備臨時措置法案と国有林野法等の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果について御報告をいたします。
 先ず保安林整備臨時措置法案について申上げます。
 本法案は、去る三月二十二日内閣より提出され、四月十七日衆議院において修正議決の上、即日、本院に送付されたものであります。昨年度発生いたしました西日本及び南近畿等における大風水害を初め、近時頻発する異常災害に対処して治山治水対策協議会が内閣に設置され、保安林の整備拡充を図ることに決定しましたので、その具体的措置の一環として本法案が提出せられるに至つたのでありまして、公布の日から十年間の時限法であり、法案の内容は三つの部分から成つています。
 その一つは、国土保全の観点から、重要な河川の流域ごとに保安林の配備について再検討を施し、拡充すべきものは拡充し、保安林内の施業についても整備を行う等の目的を以て、保安林整備計画を作成することであります。その計画は、森林法に基く森林基本計画に優先するものとし、本計画を決定した上は、これに基いて森林基本計画を修正するものと定めたものであります。
 その二は、国土保全上その土地を国が所有し、国みずから治山事業を実行したほうがよろしいと思う森林等を国が買上げ又は他の国有林と交換することができることを定めた点であります。国が民有林を買上げる方法は、協議によることを原則としてありますが、森林所有者が、その所有森林に対して保安の目的を達するために定められた国の指令に従わないときは、やむを得ず強制買上げをもなし得る規定をしたのであります。勿論このときの買上価格は時価によるものであります。
 その三は、保安林を国が買上げ又は交換によつて取得することを円滑に実施するために、租税特別措置法及び地方税法の一部を改正し、森林等の所有権の異動に伴う諸税の免除を規定したものであります。即ち国と交換によつて取得する森林を登記する場合の登録税、又は譲渡による所得税、再評価税等について、若干の特例を定めたものでありまして、政府原案によれば、買上げの場合の特典は、強制買上げの場合のみでありましたものを、政府の買上げに協力した任意買上げにも及ぼすように、衆議院で修正された次第であります。
 委員会におきましては、政府並びに関係者より、保安林整備の計画、買上げ見込の数量、非経済林たる保安林の買上げと国有林野特別会計の独立採算性との矛盾の調整等、諸般の事項につき、質疑が行われました。又衆議院において政府原案を修正されましたので、修正案提案者の代表として、福田、川俣両参議院議員より説明を聴取し、質疑を重ねましたが、これが詳細については、会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
 かくて質疑を終り討論に入りましたところ、北委員より、本法律案附則第四項の不動産取得税の免除に関する規定は、不動産取得税を規定せんとする地方税法の一部を改正する法律案が、目下本院地方行政委員会において審議中であつて、未定の事柄であるから、この際、本法律案からはこの規定を削除し、地方税法の一部を改正する法律案において規定するよう措置したいとの趣旨を以て、附則第四項を削る修正動議が提出され、他に発言もなく、採決に入りましたところ、衆議院送付案に北委員の提案にかかる修正を加えて、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。
 次に、国有林野法等の一部を改正する法律案について申上げます。
 本法案は、四月十三日内閣より衆議院に提出され、四月十七日可決され、即日、本院に送付されたものであります。
 本法律案の内容は、国有林野法と国有林野整備臨時措置法、この二つの法律につきましてそれぞれその一部を改正せんとするものでありまして、国有林野法の改正については、国有林野を無償又は低廉な価格で貸付又は使用させることのできる範囲を拡張したことでありまして国有財産法の特例を定めたものであります。即ち、林道、農道、水道施設、用排水路、水害又は火害の予防施設、船揚場、水産物干場、又は漁具干場等、農林漁業に関する公益、公共的施設を、公共団体又は公益法人に貸付又は使用させるものは、無料又は低額で、放牧地、採草地、溜池、用排水路の敷地、林道、農道の敷地等、農林漁業用の共同利用施設の敷地を、地元民等に貸付又は使用させるときは、時価より低い価額でできるものとしたのであります。又地元の農林漁業用として貸付又は使用中のもの及び共用林として国有林を使用しているものが――異常且つ広範囲な風水害、冷害等の被害を受けて料金納入が困難になつたときは、その料金の減額又は免除ができるものと定めたことが、その大要であります。又国有林野整備臨時措置法につきましては、同法が本年六月二十三日で失効することになつておりまするが、昨年の災害等で事務も若干遅れておりますので、これらの状況を勘案し、明年三月三十一日まで、その期限を延長しようとするものであります。委員会におきましては、政府並びに関係者より提案理由を聞いた上、質疑に入り、期限延長が僅か九カ月余でありまするが、これでよろしいかどうか、売払後の林野の経営の適否等、各般の手続につき、慎重審議が行われましたが、その詳細は、会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
 かくて質疑を終り、討論に入りましたが、河野委員から、国有林野の処分の適正を期するため、次の附帯決議、即ち
  地方公共団体が売払いを受けた林野は、その地上立木による一時の利益を図るような目的に利用されることなく、地方公共団体の永久の利益となるよう適正な経営がなされるべきで、これがため政府は、地方公共団体の財政事情その他林野の経営能力を十分勘案して適正な売払いがなされるよう今後厳に留意のこと。
 という附帯決議を行いたい旨の動議が提出せられ、全会一致を以て、衆議院送付案に対して、河野委員提出の附帯決議を附して可決すべきものと決定されたのであります。
 右、御報告申上げます。(拍手)
#34
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 先ず保安林整備臨時措置法案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て、委員会修正通り議決せられました。
#36
○議長(河井彌八君) 次に、国有林野法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  「賛成者起立〕
#37
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、過般の本院の警告決議に対する内閣の態度に関する緊急質問
 一、緒方国務大臣の発言に関する緊急質問
 一、法務大臣の指揮権発動に関し内閣に警告を発する決議に対する緒方国務大臣の発言に関する緊急質問
 一、日程第一 保安林整備臨時措置法案
 一、日程第二 国有林野法等の一部を改正する法律案

ソース: 国立国会図書館
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