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1953/05/07 第19回国会 参議院 参議院会議録情報 第019回国会 本会議 第42号
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1953/05/07 第19回国会 参議院

参議院会議録情報 第019回国会 本会議 第42号

#1
第019回国会 本会議 第42号
昭和二十九年五月七日(金曜日)
   午後二時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十二号
  昭和二十九年五月七日
   午前十時開議
 第一 当せん金附証票法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第二 入場税法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 宮城県石巻市山下に無集配特定郵便局設置の請願(委員長報告)
 第四 広島県和田村に無集配郵便局設置の請願(委員長報告)
 第五 福島県富成郵便局の集配事務開始に関する請願(委員長報告)
 第六 熊本県芳野郵便局の集配事務開始に関する請願(委員長報告)
 第七 青森県小湊町に郵政省結核療養所設置の請願(委員長報告)
 第八 東京都西品川に特定郵便局設置の請願(委員長報告)
 第九 岡山市平井地区に特定郵便局設置の請願(委員長報告)
 第一〇 福島県中村町西部地区に特定郵便局設置の請願(二件)(委員長報告)
 第一一 長崎県下原簡易郵便局の無集配特定局昇格に関する請願(委員長報告)
 第一二 合併市町村の郵便局等の統合整理促進に関する請願(委員長報告)
 第一三 長崎県西有家郵便局の集配局昇格に関する請願(委員長報告)
 第一四 北海道占冠郵便局電報配達員増員に関する陳情(委員長報告)
 第一五 特定郵便局事務の請負化反対に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
#4
○羽生三七君 私はこの際、対米債務等に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#5
○天田勝正君 私は、只今の羽生三七君の動議に賛成いたします。
#6
○副議長(重宗雄三君) 羽生君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。羽生三七君。
   〔羽生三七君登壇、拍手〕
#8
○羽生三七君 かねて懸案中のガリオア、イロア等、米国が日本を占領中の対日援助処理について、来たる十一日から日米会議が開催される模様でありますので、私はこの際日本社会党を代表して、以下数個の点について政府の所見を質したいと思います。なお、私は主観的な意見を極力避けまして、問題点のみを質しますので、答弁もそのつもりで具体的にお願いいたします。
 先ず問題の第一点は、これら対日援助を負債として政府単独の見解においてこれを処理せんとする法的根拠について具体的に御説明を願いたいのであります。昨日の衆議院外務委員会において、外務大臣は、国会の承認を得て債務が確定すると答弁されたように聞いておりますが、国内的にはとにかく、対米関係から言いますと、政府の決定は、国会自身を拘束することになるのではないかと思いますが、政府の見解を伺いたいと思うのでありますなお又、政府がこれを債務と確認するに至つたのは、時期的に言つていつからでありましようか。二、三年前までの国会における政府答弁は、現在の政府の見解と著しく異なつていたように思われるのであります。そこで平和条約締結の過程において、何らかこの問題について話合つたのでありましようか。その辺も併せて御答弁をお願いいたします。これが問題の第一点であります。
 問題の第二点は、これら占領中の対日援助については、国会はしばしば感謝決議を行なつたのでありますが、これは多くの国会議員が、これを純粋の援助と考えていたからであると思います。正当な援助に対して感謝することは当然でありますが、併し政府はこの問題について、これが負債か、それとも債務を伴わざる純粋の援助かという基本的な問題について、特にガリオア等に関して何らか話合いをしたことがあるのでありましようか。それとも最初からそういう基本的な問題には触れず、債務確認を前提として、その総額、条件等を問題の出発点とする方針なのでありますか。この点率直にお答えを願いたいのであります。
 問題の第三点は、ワシントン情報によりますと、この債務は、一九四五年九月二日から対日平和条約が発効した一九五二年四月二十八日までの間、日本が受取つた原料、物資その他の援助と言われておりますが、我が方の見返資金積立以前のものは、米国側の一方的記帳を基礎としているようにも聞いております。この不明確なものについては、どのようにして算定するお考えでありますか、政府の見解をお示し願いたいのであります。
 問題の第四点は、これら債務の総額を、米国側は或いは二十億四千四百万ドルとも言い、或いは日本側としては一応十九億五千万ドルと推算しているとのことでありますが、具体的にその推算の基礎を示されたいのであります。
 問題の第五点は、これらいわゆる債務と終戦処理費との関連についてであります。終戦処理費はその総領が五千二百億円、四十七億ドルという計算になつております。五千二百億円が四十七億ドルという換算はいささか変に聞こえますが、これは当時正規の単一為替レートが存在せず、複数制レートであつたことと、政府が暫定的に軍換算率によつて示した数字が以上のものであります。それはともかくといたしまして、この厖大な終戦処理費を日本国民は負担して来たのでありますから、対日援助とこの終戦処理費との関連で何らか具体的な話合いをされたことはございましようか、この点を伺います。勿論私は、これによつて直ちにこの彼此相殺という結論を導き出すものではありませんが、併しかくのごとき厖大な経費を負担して来た事実に鑑み、これについて十分な我がほうの見解を相手側に披瀝する、或いは率直に述べる、そういう用意が政府にあるかどうかを具体的にお聞かせ願いたいのであります。
 第六点は、大蔵大臣は、債務返還については西独よりも有利な条件を期待すると語つているようでありますが、事実西独への援助は経済援助的な色彩が濃厚でありまして、その点我が国の場合と著しく条件の相違があると思います。これは現に私西独へ参つたときにも、このことは或る程度聞いて参りました。我が国の場合は食糧、軍用衣料等のウエイトが多いと思われるのでありますが、これを数字的に見ますると、援助額中に占める食糧費関係の比率は、一九四五六年が八八%、一九四七年が七一・五%、一九四八年が少し減りまして五〇・五%、それから一九四九年は六〇・八%と食糧費関係が圧倒的に多いのであります。更に、当時この食糧は、品質的にも相当問題があつたのでありますが、当時の食糧事情から、国民はよくこれを忍んだのであります。而も更に重要なことは、国民はこれに対して皆正当な代価を支払つているということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今度若しこれが債務と確定して、国民の負担において返済することとなれば、国民の立場から言えば二重払いということになるのではないかと思うのであります。だからガリオアと言えば、言うまでもなくこれは占領地救済資金でありまして、これによつて援助された物資は、通常の貿易による輸入ではないはずであります。先にも述べましたように、国会が感謝決議を行なつたのは、率直に申して、これを債務の伴わざる純粋の援助だと考えたからであることに間違いはありません。大蔵大臣は、これらの点を勘案して、具体的に西独に比してどの程度の条件緩和を期待しているのか、率直にお述べ願いたいと思います。
 問題の第七点は、対日援助見返資金特別会計設定以前のことは、この際暫く別としましてこの見返資金特別会計設定後の八億七千万ドルにつきましては、この使途は正確に限定されていたと思うのであります。即ちこの会計が開銀に引継がれるまでの総額は三千百六十九億円でありまして、その内訳は、債務償還一千百十八億円、公企業投資八百八十四億円、私企業融資一千六十七億円、計三千百六十九億円となつているのであります。なお又この私企業関係の内容は、電力、海運等が主なるものでありまして、この会計が現在開銀に引継がれていることは先ほど述べた通りであります。そうだといたしますと、この対日援助が債務と確定して、国民の税負担でこれを賄う場合、この場合国民の税負担で一部私企業を育成して来たという理窟になると思いますが、政府の見解はどうでありましようか。これは勿論対米問題とは関係のない純粋国内問題としての問題であります。この点についてお答えを願います。
 問題の第八点、日本側としては返済する資金が何らかの形で東南アジア方面に還流することを期待しておるとのことでありますが、具体的にはどのようなことを期待しておられるのでありますか、お聞かせ願います。
 問題の第九点、日本経済の現状は、言うまでもなく輸出の不振等から貿易上のアンバランスが著しく、外貨の保有も漸減の一途を辿つておることは言うまでもありません。而も防衛費の増加が国民生活への圧迫となつております現状からして、この債務問題の処理如何は、東南アジア諸国に対する賠償問題等とも関連して、日本経済に重大な影響を及ぼすこととなり、延いては真の意味において却つて日本の安全の障害となるような情勢も生じかねないと思われるのであります。更に又我が国は、敗戦の結果多くの国土を失い、資源も乏しく、又厖大な過剰人口に悩み、このまま進めば日本経済は重大な暗礁に乗り上げることは必至であります。これらの点を政府はどのように認識されておるか。又かかる見地に立つてアメリカと十分話合う用意があるかどうかを率直にお述べ願いたいのであります。
 以上が大体私のお伺いしたい主要な九点でありますが、最後にこの問題とはやや違いますが、この関連で一つだけ外務大臣にお伺いいたします。これは、この前のいつの日でしたか、当議場における緊急質問で曾祢議員がフイリピンの賠償問題について緊急質問をされたことがあります。その後交渉が中絶をし、使節団も帰国したような状況にあり、更に又この問題に関し、フイリピンのガルシア外相、ラウレル全権等もそれぞれ局面打開の発言を行なつているようでありますが、その後の経過について、この機会に外務大臣から御報告を求めたいと思います。
 以上を以て緊急質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(緒方竹虎君) 第一に、この対日援助を債務と心得る法的根拠はどこにあるかという御質疑でありましたが、この援助は、債務として確定したものではないのでありまするが、政府としましては、初めから道義的にこれは債務的なものである、債務であると心得て参つたのであります。
 それから、政府の決定は国会を拘束するかという御質問でありまするが、本件は国会の承認がなければ、政府が如何なる決定をいたしましようとも、憲法上確定債務となるはずはないのであります。又政府の決定が国会を拘束すると考えるのは全く根拠のないものであります。
 平和条約締結の際にこの問題について話合つたかという御質問でありましたが、正式な話合いの対象となつたことはございません。
 それから、これまでこの対日債務についてアメリカ側と正式交渉をしたことがあるか。これは正式交渉をしたことはありません。
 爾余の御質問に対しましては、所管大臣からそれぞれ御答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体、只今副総理から答えられた通りでありますが、補足して申上げますと、政府が当初から債務と心得ておつたということは、副総理の申された通りでありますが、まだ、この心構えを文書で確認したものとしましては、昭和二十四年四月十四日に締結されました「阿波丸請求権の処理のための日米間の協定の附属の了解事項」がありまして、その中で「占領費並びに日本国の降伏のときから米国政府によつて日本国に供与された借款及び信用は日本国が米国政府に対して負うておる有効な債務である」ということを文書で確認しておりますが、ただその当時国会で御説明いたしました通り、これは憲法第八十九条に規定されておる意味の債務ではなくて、何らかの形で将来処理解決を要するものであるという意味であることを、当時累次国会で御説明をいたしております。
 それから総額の推算の基礎はどこにあるか。これは十九億とも言われ、二十一億とも言われ、又その他の数字も出ておりますが、いずれにいたしましても、双方の資料を突き合せまして、今後の交渉においてこれを確定する以外に方法はないわけであります。
 又終戦処理費と対日援助の関係はどうであるかと、こういうことでありますが、これはもう、国際法等ではつきりといたしておりますように、いわゆる終戦処理費と称すべき性費のものは、被占領国の負うべきものであつて、これに対しては何ら疑いを入れる余地はないと考えております。従いまして、法的には終戦処理費と対日援助との関連は何らないのでありますが、ただ、実際上日本としましては、相当厖大なる財政支出を終戦処理費としていたしておるのでありまするから、今後の交渉に当りましては、この点は十分考慮いたすべきものと考えております。
 なお、この金は、将来東南アジア等に還流するのではないかという趣旨の御質問でありますが、これははつきり私は御質問の意味をとり得ないのでありますが只今政府の考えておりますことは、賠償は賠償、或いは東南アジアとの経済協力というようなことは、又それで解決いたすのであつて、これと対日援助の返還等と結付けて考えではおりません。従いまして、例えば賠償等は条約上の義務として日本が行うべきものであると、明らかに区別をいたしております。
 最後に、賠償問題についてのお尋ねでありまするが、今も羽生君がおつしやいましたように、先方の要路者も解決のためにいろいろと努力をいたしておるのであります。なお大統領の特派しました視察団も、只今来朝中でありまして、この視察団等の視察の結果も、有力なる一つの解決の糸口になるのではないかと考えておりますので、事態は決して悪いほうには向いておらないと考えております。今暫くこれを静観して行きたいと考えておるのであります。(拍手)
   〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。
 日本側として債務を十九億五千万ドルと算定しておるようだが、その推算の基礎如何というお話でありました。実はこの数字は、通商産業省の企業局長が決算委員会で述べた数字が基になつておるようでありまするが、実は御承知のごとくアメリカの対日援助の総額については、終戦後から二十四年見返資金特別会計設置までの期間は援助物資の輸入も、商業勘定にとる輸入と同様に、占領軍当局で管理されておりましたので、日本側といたしましては、当時正確な数字を把握することができない状態にあつたのであります。而して総司令都経済科学局の統計によりますると、一応十一億八千四百万ドルとなつておるのであります。この数字に見返資金特別会計設置以後の分として八億七千万ドルございまするので、これを加えますると、合計二十億五千四百万ドルとなる次第であります。ところが通商産業省企業局長が出しました決算委員会での資料によりますると、この十九億五千万ドルをガリオア、イロアの分として見、更にSIM、サープラス・インセンテイブ・マテリアルス、この分が四千二百万ドル、QM、クオーター・マスタース・マテリアルス、これは五千七百万ドル、こういうものを合せて合計二十億五千四百万ドル、こういう数字が出されておるのであります。併し、もともとこれらの数字は性格の異なつた二つの統計を繋ぎ合せたものでありまするし、又これらのうち考慮すべきものがあると思われまするので、正確なものとは言えないと存じます。政府といたしましては、現在総司令部から引継いだ数字に基いて鋭意調査を進めている次第であります。
 それから終戦処理費の問題は、すでに対日援助関係につきましては、只今外務大臣がお答え申上げた通りであります。西ドイツとの関係についてのお話でございまするが、これは羽生さん仰せの通りに、いろいろ事情の違う点もございます。又併し、西独に対しましても、いろいろな事情があつたようでございまするが、日本といたしましても、目下賠償とか或いは防衛力の問題とか、経済自立等のいろいろな問題に直面しておるので、相当困難な事情もあることは御了承の通りでございますので、こういつた特殊事情について十分アメリカ側の理解を深めて、又日本が先ほどお話のごとくに主として食糧その他であつたというような点等を考えて、西独に対して不利にならないように折衝してもらいたいと考えておる次第でございます。目下のところ、まだそれ以上申上げる段階には参つておりません。
 それから更に二重払いになるではないかというお話でございまするが、これにつきましては、食糧等の援助物資を売却しました際に、国民はその代金を政府に支払つておりまするけれども、これは政府と食糧等の消費者との関係であるのであります。今回交渉を開始いたします対米債務返済の問題は、日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の債務の返済の問題でございます。従いまして、現在その調達財源を何に求めるかという点については、まだ結論を出す段階に至つておりませんが、アメリカに対する関係におきましては、何ら二重払いにならないことは勿論、又国内的に見ましても二重払いになるという性質のものではないと考えております。
 更に、見返資金三千百六十五億円が特殊の産業に利用されておるが云々というお話でございましたが、これらの現在の段階では、一体この対日援助の性格とか、及びその返済総額とか、こういつた原則的な問題に重点があるのでありまして、この返済資金の調達をどうするかという、こういう問題につきましては、これは追つて検討することにいたしたいと考えておる次第でございます。
 以上を以てお答えといたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#12
○副議長(重宗雄三君) 日程第一、当せん金附証票法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 日程第二、入場税法案(内閣提出、衆議院送付)
 以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
   〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
#14
○大矢半次郎君 只今議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず、当せん金附証票法の一部を改正する法律案について申上げます。
 本案は、衆議院議員淺香忠雄君外十八名の提出にかかるものであります。当せん金附証票法の現行規定によりますと、当せん金品の支払い又は交付は、証票の購入者又はその相続人その他の一般承継人に限られております。従いまして、最近岸和田市に起つた事例のごとく、当せんした当せん金附証票を拾得し、警察に届出た場合に、落し主が判明しないときは、それにがかる債権は一年間の時効によつて消滅することとなり、後日において拾得者が民法の規定によつて所有権を取得することとなつたとしても、無価値の紙片に過ぎない結果となつてしまうのであります。又この間警察署長が、債権保全のため民法の規定に従つて忠実に管理義務を遂行しようとしても、現行法の下では当せん金品の支払い又は交付が受けられないのであります。かかる事例は今後も起り得ることでありますので、遵法精神に富んだ善行者を保護する意味において、当せん金附証票を拾得し、その後その所有権を取得した者等が、当該当せん金附証票の当せん金品を受取ることができるよう、所要の改正をいたそうとするものであります。
 本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと思います。
 質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります次に、入場税法案について申上げます。
 本案は御承知のごとく、現在地方税として都道府県において徴収されておりまする入場税について、今回地方財源の偏在を是正する等の税制改正の方針に基きまして、現行法の課税範囲、税率等について若干の変更を加えて国において徴収いたそうとするものであります。
 次に、本案の内容の主なるものについて現行法と照応しつつ申上げますと、第一点は、入場税の課税範囲につきまして、現行法では課税客体を三種に区分し、映画、演劇、展覧会場、遊園地への入場する行為のほか舞踏場、たまつき場等の施設の利用についても入場税を課することとしておりますが、国税として課税することの可否等を考慮して今回は舞踏場等の施設の利用につきましては、課税範囲から除外することといたしております。
 第二点は、映画館等の入場税については、現在一律に入場料金の百分の五十となつておりますが、大衆娯楽の負担の軽減を図るため、今回入場料金を四十円から百五十円までの四段階に区分し、この区分に応じてそれぞれ最低百分の二十から最高百分の五十までの税率を課すると共に、展覧会場等についても百分の二十を百分の十に引下げております。
 なお純音楽、純オペラ等の催物又はスポーツを催す場所については、現征法通り百分の二十の税率を適用することといたしておりますが、入場料金が七百円を超えるものについては、負担の権衡上百分の四十の税率を課することとしております。
 第三点は、現行法には免税点の規定がありませんが、今回入場料金が二十円以下の場合には課税しないこととするほか、小学校等の児童等が教育的目的を以て団体入場する場合、入場料金が三十円以下であるときは非課税としております。又教育関係団体、社会福祉関係団体等が社会事業等の目的を以て主催する催物等には、現行法通り入場税は免除することといたしております。
 なお御参考までに申上げますと、入場税の本年度税収見込は百九十二億円でありますが、別途提案になつております交付税及び譲与税配付金特別会計法及び入場譲与税法によりまして、この会計において収納した入場税収入額の十分の九に相当する額をおおむね都道府県の人口を基準として配分することとなつております。
 本意については、衆議院において修正議決されたものでありまして、修正の要旨を申上げますと、映画、演劇等への入場料金については、五十円から百五十円までの五段階に区分し、その区分に応じてそれぞれ最低百分の十から最高百分の五十までの税率を課することとするほか、純音楽の催物等について、その入場料金が八十円以上の場合には、一律に百分の二十の税率により課税することといたそうとするものであります。更に又免税点の規定は展覧会場への入場の場合のみに適用すること。本年四月一日の施行期日を「公布の日から起算して五日を経過した日」に変更いたそうとすることであります。
 本案については、参考人より意見を聴取するほか、地方行政委員会と連合委員会を開く等慎重なる審議が行われたのでありまして、その主なる質疑応答を申上げますと、「遊興飲食税と入場税は大体同じ性質のものであるのに、この際政府はなぜ入場税のみを国税に移管するのか」との質疑に対しましては、大蔵大臣より、両者について一挙に国税に移管することは種々困難な事情もあり、この際は比較的財源の偏在度の強い入場税のみを取上げ、漸進的に地方財源の調整を図ろうとするものである」との答弁があり、又「衆議院の修正によつて、一応相当額の減収が予想され、これらの補填は一兆円の予算に影響するものと思われるが、その処置如何」との質疑に対しましては大蔵大臣より、「入場税の税収見込については多少のゆとりがあるものと思われるが、万一税収が不足する場合には、一般会計に繰入れる一割相当額十九億二千万円を歳入減とみなし、更に不足する場合は、特別会計において一時借入金ができることとなつている二十億円を以て充当することとし、なお不足する場合は次年度の予算に計上し、地方財政に支障なきよう取計らいたい」との答弁がありました
 このほか現行地方税法の第三種を国税から除外した理由等についての質疑応答がありましたが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、「本案に対する衆議院の態度未決定のため、我々は昭和二十九年度予算に対する態度決定を留保し、従つて未曾有の予算自然成立という事態を招来したのであるが、衆議院は政府原案に相当の修正を加え、譲与税の不足補填のため一般会計より捻出せざるを得ざらしめた。顧みて昭和二十九年度予算に対する我々の態度決定留保の賢明であつたことを痛感する次第である。衆議院の修正により、政府原案は当初の目的を達成することは困難な状態となつているから、この際政府はその態度を明らかにすべきものと思われ、この点大いに不満とするところであるが、入場税を国税に移管することは、地方財源の偏在是正に一歩を進めるものとして賛意を表する。併しその徴収に当つては、業者の資金繰り及び優待券の問題等について円滑なる運用を期待すると共に、税率の引下げに伴い入場料金の引下げ乃至施設の改善等に努力さすべきである」との要望を附して賛成の意見が述べられ、菊川委員より、「地方自治体に独立財源を確保すべきであること、地方財源の偏在度是正のためという理由は妥当ではないこと、遊興飲食税の移管を取りやめ、比較的政治力の弱い入場税のみを対象としたこと及び移管反対陳情に鑑み、国税当局は真剣なる自己反省をすべきであると、以上の点から反対する」との意見が述べられ、次いで東委員より、菊川委員と同様な趣旨の発言がなされたのでありますが、更に「僻地の特殊事情に鑑み、地方の徴税については十分配慮すべきであり、又入場税は大衆課税となるので反対する一との意見が述べられ、更に堀木委員より、「今回の交付税、譲与税等を新設するがごとき税財政改正に当つて総合的配慮が欠けているから、将来中央地方を通ずる財政の確立に努められたい」等の要望を附して賛成の意見が述べられ、なお平林委員より、「去る四月二十三日の本院本会議における決議に対し、吉田内閣はその責任を明確にすべきである。このような意味において本案の趣旨には賛成であるが、大局的見地からあえて反対せざるを得ない」との意見が述べられました。
 討論を終り、採決の結果、多数を以て、衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上、御報告申上げます。(拍手)
#15
○副議長(重宗雄三君) 入場税法案に対し討論の通告があります。順次発言を許します。成瀬幡治君。
   〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
#16
○成瀬幡治君 私は、日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今上程されました本法律案に反対をいたすものでございます。以下簡単に反対の理由を申述べます。
 入場税設定について、歴史的に申しますならば、敗戦直後の税制改革において、地方公共団体に独立財源を与え、中央に依存することなく、地方自治体が実質的に独立して行けるようにとの観点から、入場税として遊興飲食税と共に創設せられたものであります。即ち入場税は、地方の独立財源の中心をなすものであります。而して今回税制調査会は、この入場税及び遊興飲食税を税金の偏在是正のために、国税に移管せよと答申して参りました。政府はこの答申に接し、入場税、遊興飲食税を答申案通り、国税に移管する方針を最初に決定いたしましたが、汚職でとみに名を挙げました赤坂、新橋の待合、料理店を中心とした反対陳情に接するや、文字通り一夜のうちに豹変し、入場税のみを国税に移管して関係業者並びに国民に暗い影を与えたのであります。(拍手)元来入場税、遊興飲食税は車の両輪で地方税の中心をなして来たのであります。当時の、未だ現政府の汚職疑獄が表面化しておらなかつたので、国民も余り騒がなかつたのでありますが、若しこれが今日なされたとするなら、世論はその不明朗な取引を許さなかつたでしよう。
 政府の税制改正の方途を見ておりますと、先ず最初に、今度はこの税制を改正するぞとアドバルーンを揚げます。業者が驚いて陳情に駈けつけて、縷々陳情をしますと、その効果が実を結び、アドバルーンは泡のごとく消え去つて参ります。すると政府は又新らしい税制改革のアドバルーンを揚げるのであります。白羽の矢を立てられた関係業者は陳情に駈けつける。このことが繰返えされ、陳情の度合が薄かつたと思われるもののみが、法律案として提出されるように思われてならないのであります。民主政治を陳情政治のごとく考えており、又昨日も、我が党の松本議員の質問に答えて、吉田首相は、政党に対する政治寄金は、政党政治の続く限りあるのは当然だと申されておるのでありますが、まさしく造船疑獄を初めとする今回の汚職で、その一端をさらけ出したごとく、この立法は、すべて献金、リベートのためにするという政府の態度は、国民を憤激せしめ、かかる吉田自由党内閣は、速かに退陣すべきであるというのが、今日全国津々浦々の国民の声であります。(拍手)入場税法案は立法過程において誠に不明朗なものがあり、又遊興飲食税と共に入場税は、地方税として存置すべきであるというのが我が党の態度であります。入場税は入場譲与税として、地方公共団体へ交付されるのでありますから、地方自治体は結局中央へ陳情せねばならなくなります。これは中央集権化であり、地方自治体の強化、確立とは逆行し、警察法改正などと共に反動立法であります。これが反対の第一の理由であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 反対の第二の理由は、課税範囲並びに課税標準及び税率を、プロ野球を初めとするスポーツと映画、演劇などの文芸関係の健全娯楽と競馬、競輪等の賭博的行為と同一にしておる点であります。否、競馬、競輪などの賭博的行為の入場に関しては、入場税は取らないという結果になつておるのであります。何となれば、競馬、競輪は大体において入場料金を一人一回五円から五十円で、課税対象以下の入場料金であります。従つて入場税は課せられないということになるのであります。敗戦後の国民気風は、希望を失い、ために自暴自棄となり、刹那的になり、賭博的行為に息を抜くというのが、敗戦国民の例であり、これが惰性となり、遂にその民族の滅亡を招くのであります。為政者、指導的立場にある者は、この国民に希望を与え、奮起を求める政策を立てることが何より大切であり、言葉のみの愛国心はどれほど大きな声で叫んでも、何の役にも立たないのであります。よき政策こそのみが敗戦の国民気風を一新するものであります。然るに、自暴自棄、刹那的な国民気風に迎合して、競輪、競馬、モーターボート、小型自動車などの賭博的立法をなし、てら銭稼ぎを政府はやつておるのでありますが、政府は前非を悔い、かかる賭博的行為の入場には、税を重くし、少しでも国民が賭博的行為から遠ざかるようにすることこそ重要なことであると思われるのに、今回の改正においては、実情を知りつつ、入場税が全然課税されないようにし、却つてこれを奨励するかのごときは、一部業者のための改正であると申すべきであり、国を憂えざる者のなす業であり、誠に遺憾に堪えないところであります。(拍手)汚職と賭博は国を亡ぼすものであります。賭博的行為にチエツクして、半面健全娯楽を推奨して行く、かかる法の改正こそなされるべきであります。これが反対の第二の理由であります。第三点は、免税興行と入場税の保全担保の件が、委員会の質疑を通じてあいまいであるという点であります。免税興行におきましては、別表に事例を挙げ、その第十二項において「その他前各号に掲げるものに類するもので、政令で定めるもの」とあり、又支出先又は支出の目的の項で、事例を挙げ、終りに「その他これらに類するもので、政令で定めるもの」となつているのであります。すべてが政令に委ねられているのは徴税者によつて融通自在であります。今までの例によりますと、正直者が馬鹿をみておるのであります。不正直者が世にはばかるような立法は、百害あつて一利なしであります。次に保全担保でありますが、国税庁関係の人たちによつて、その必要の認定が独断でなされるのであります。成るほど基準は第十四条の一項二項によつて示されておるのでありますが、その認定はやはり心証であります。主催者に脅威を与える権限を持つているものが心証による断定は、汚職に発展する危険を十二分に持つているのであります。即ち利害得失を及ぼすものの認定が、あいまいな基準になつていることは、利に敏な業者につけ込まれ、知らず知らずの間に犯罪者を作り出すことになるのであります。以上、要するに本法案は、その過程において不明朗であり、中央集権化であり、その内容において、賭博的行為の奨励をなし、国民の頽廃的思潮に油を注ぐことは、国を売るものであり、又汚職が生み出される危険も十二分に持つておるのであります。我が党はかかる本法案に断固反対するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(河井彌八君) 東隆君。
   〔東隆君登壇、拍手〕
#18
○東君 日本社会党第二控室を代表して入場税法案に反対の意思を表明いたします。
 入場税は、大衆課税の標本であります。民主的な文化と健全な娯楽を国民に与えるためにも、この提案されている入場税法案を葬むることが、最も正しい措置であると確信するものであります。然るに政府は地方財源の偏在是正を理由にして、地方税から国税に移管しようとしておるのであります。そこには廃止の意図などは毛頭もありません。却つてその徴収機構を拡大しようとしておるのであります。
 なぜ、政府はかくのごときことをあえてするのでありましようか。それには理由があると思うのであります。地方から財源を奪い取つて、中央集権的な権力政治をいたそうとしているのが、その理由であります。そのために基本になる地方財源を政府の手中に収めることは、容易に我々に首肯することができるところであります。誠に今回の入場税の国税移管の措置は、自由党政府が中央集権的な威力を培うためのものであつて、警察法の改正や教育関係二法案その他と密接な関連を持つた法案であります。民選で出た、而も政府の言いなりにならない地方自治体の首長を支配するための道具立てであります。知事官選の布石とも言うべきものであります。
 政府が述べているように、入場税の国税移管が果して地方財源の偏在是正になるでありましようか。我々は別途入場譲与税法案等によつて、百分の九十が人口の比重によつて配分されることを聞かされていますが、人口のみによつて按分したのでは、都市人口の多い府県に集中されることは、火を見るより明らかであります。従つて地方財源の偏在是正は名目のみであつて、このような配分をする限り、政府は税率その他をきめて、地方自治体の財源にするほうが賢明であると言わなければなりません。殊更に徴税の仕事を作り、地方公務員の職場に脅威を与えるようなことは、国家公務員の整理の埋合せを地方公務員の犠牲の上にやるのだと言われても、弁解の言葉がないではありませんか。こんなやり方は、自由主義経済を旗印にする政府としては、いささかその進路に昏迷を生じておるのではないかと思いながらも、なぜこれを強行するのか。それには理由があるのであります。政府の地方財源偏在是正の方法は、先に述べたことく国税として中央に集めたものを、人口割を以て配分することであります。一見みごとな算術であります。併しこのことは、政府が百分の十を手許に残すことによつて、地方はそれだけ減収することになります。人口の多いところは入場税も多く取れるし、従つて配分も多くなるのでありますから、国税移管にするほどの是正とはなりません。そこで私は、真に政府が地方財源偏在の是正とするというならば、人口のみによらず、面積も配分のフアクターに入れるべきであると申します。併し面積の条件を入れることは、政府が地方財源偏在是正の考えを持つていることを明らかにいたしますが、これはいわゆる日本の雄県、即ち人口の多い県からの猛烈な反撃を受けることになるので、政府はその反撃を恐れてひたすら国会通過のために、是正にならない偏在是正の看板を掲げて、中央集権的威力を培う野望に燃えているのであります。誠に政府は、地方財源の偏在是正を理由にして、巧妙にも地方の財源を掌握し、地方に命令をする、即ち中央集権的な威力を地方自治体の民選知事に加えんとするものであると断ぜざるを得ないのであります。若し然らずとするならば、地方財源偏在の是正を明らかにして、その方途に忠実であるべきであります。
 次に、国税に入場税が移管されることによつて、徴税の弾力性がなくなつて来ることであります。即ち地方には地方の事情があるのでありますが、それが一律に国税として取扱を受けることになりますと、機械的に課税されるために、不合理なことがたくさん出て来るのであります。この不合理なことの最たるものは、中央からかけ離れた地方において現われて来ると思います。都市から離れた農山漁村になるほど、その不合理さが増大をして参ります。私は北海道地区から出たものであるから特に考えさせられるので、議員各位に訴えるのであります。僻地教育の振興等が叫ばれていますが、北海道の開拓地には、娯楽機関がございません。バッテリーを以て戦争前のフイルムが上映されておるのであります。フイルムは勿論「雨降りフイルム」であります。娯楽に飢えた開拓民は、それをも夜を徹して繰返して見るのであります。入場料金は安いかも知れません。併し距離の遠い電灯のないところには、相当な輸送費もかかるのでありますから、入場料は安くなるはずはありません。安いのは、現代離れのしたフイルムで、都会人の想像外のフイルムでありますから、そういうことになつているのであります。而もそれに入場税がかけられることになるといたしますと、文字通り「新派悲劇」であります。
 これは一つの例でありますが、かくのごとく田舎の何ら目を楽しませるもののない、文化かろほど遠いところから国税として吸上げることとなるのであります。開拓地を知つております者は、何らかの救済策を地方税の範囲で考えているのでありますが、今回の法律には、その弾力はありません。救済の片鱗もありません。ただあるのは、一律に課税して合理化の実を挙げるというのにとどまつているのであります。私は北海道の例を挙げたのでありますが、都府県の中にも、この「北海道」は存在するのであります。文化から見離された山村を見ると、よくわかります。島の住民を思うと、よいのであります。これはまさしく人道問題なのであります。税制改革は、課税の合理化や徴税の増加だけであつてはなりません。以上述べたような不合理を是正するところに真の税制改正の根本的な使命が横わつていると言わざるを得ません。
 以上反対の点を要約いたしますと、第一点は、入場税のごとき大衆課税は、これを廃止すべきものであるということであります。第二点は、政府は地方財源の是正を言つているが、是正は名目で、却つて中央集権的な権力を握ろうとしているということであります。第三点は、弾力性がないため文化からほど遠いものから更に根こそぎ文化の芽をもぎ取ることになるということであります。以上の三点は、本法案に賛成する政府並びに与党各位に猛省を私は促したい点であります。
 以上三点に関連をして、政府の今次のこの入場税を含む税制の改正には、財界に迎合した面が非常に多いということであります。即ち生活費に課税することになる間接税が、今回の税制改正には大幅に新設され、増徴されています。而して直接課税である所得税、法人税等は減税されています。殊に先頃来の汚職事件が明るみにさらされるに従い、国家財政融資の面は自然的に引締められつつあるのであります。従つて財界は財産税、所得税、法人税等の合法的な減額を政府に強力に要請しておるのであります。政府はこれに対して税制改正の諸法案を通過せしめ、消費税等の間接税に転嫁せしめているのであります。この傾向は、現政府の続く限りいよいよ露骨となるでありましよう。この入場税法案もまぎれもなくその一環であります。而も今、露骨な中央集権的な野望と結付いて、地方に対するしわ寄せの形で現われようとしておるのであります。
 この点を私はあえて附言して、断固として本法案に反対をいたして討論を終ることにいたします。(拍手)
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#19
○議長(河井彌八君) 平林太一君。
   〔平林太一君登壇、拍手〕
#20
○平林太一君 入場税法案に対し、無所属クラブを代表して反対の意を表明するものであります。要約して、反対理由に対し特に重要と認むる二つの事柄を明瞭にいたして、その理由といたすものであります。
 第一は、入場税の国税移管によつて生ずる予算の見込額の総額は百九十五億円と算定いたされております。これに対しまして、先刻は成瀬君から、車の両輪のことしとのお説がありましたが、即ちこの相離るることのできない関係を持つておりまする遊興飲食税であります。この遊興飲食税を入場税と同様の措置をいたしますれば、約三百億円と私は承知いたしておるのであります。政府が地方財政の偏在を是正して、地方町村の貧弱、困憊、困窮せる財政に潤いを与えんとしてこの入場税の措置をいたしたのでありまするかち、なぜ三百億円のこの遊興飲食税を、入場税と同様の措置をこのたびとらなかつたか。極めて奇怪であり、不可解の事柄であります。先ずこの措置をとらざるがために、この入場税に対しまする措置をいたしました裏面に非常な不明朗なる、不純なるものが存するということをここに明らかに申上げて置く次第であります。(拍手)
 御承知のごとく、物に例えて申上げましても、ここに一本の杖、一本の杖は人が使用する場合に、三尺の長さを以て杖としての用をなすのであります。然るにこれを二尺に切り、一尺に切りまする場合におきましては、二尺の杖というものは用をなしません。いわんや一尺の杖は用をなさない。入場税の百九十五億円というがごときものを地方財政に、これを措置いたしましても、これはあたかも杖に例えますれば一尺なり二尺のものである。用をなさない。これに対して三百億円の遊興飲食税をこれに継ぎ足しをいたしますれば、即ち三尺の杖としてこれが使用される効力を発揮するのである。極めて明らかなる事実である。然るにかような明瞭なる事実がわかつておるにもかかわらず、殊更にこの遊興飲食税を除外したということは、どういう理由であるかということを、大蔵大臣に委員会におきまして質しましたところが、大蔵大臣はいわく、遊興飲食税はこれを国会に提出しても、議決をされる見通しが付かない。議決をされる見通しの付かないものをあえてするということは、ひとり遊興飲食税だけの問題でない。政府提出の法案はその事前において見通しを付けて、これが通過するという見通しがあるもののみに限つてこれを提出するのであると、こういうことであります。
 然らばこの見通しを付けるということをどこで付けたか。これは衆議院の政府与党である自由党であるということ、極めて明らかであります。そういたしますと、遊興飲食税を拒否いたしましたところのこの元兇というものは、衆議院の政府与党であるということである。(拍手)故に多くを費しませんが、この遊興飲食税が阻止せられたという裏面には、衆議院の自由党或いは総務会等においてこれをいたしたのでありましようが、いわゆる造船汚職と同様なる、これは恐るべき汚職疑獄がこれに潜んでおるということを明らかにいたすのであります。(拍手)これが先ず第一の理由である。
 私は、現に当院におきましても、極めて善良と思われておりまする加藤武徳君が、衆議院自由党の放射能の毒素によつて(笑声)今日あのようなみじめなる事態を呈しておる。(拍手)かようなことがあるから、本日このことをあえて申すのであります。故に反対せざるを得ない第一の理由である。
 第二の理由は、すでに先刻委員長によつて報告をいたしておりまするがごとく、本院は去月二十三日に、当議場における特定なる政党を除く他の各党会派一人の異論者もなくして、現内閣、殊にその責任者である内閣総理大臣吉田茂君に対して、警告決議案を議決いたしております。この警告決議案の意図するところは、第一に検察庁法第十四条の指揮権発動の撤回を求めるということである。第二は、その当該の大臣であつた法務大臣犬養健君の行政的処分措置を、単なる辞職にとどむることは妥当でない。懲戒免官の処分にすべしということが第二の目的である。(拍手)以て信を天下に明らかにすべきである。第三は、その政治的責任として、吉田君の退陣、辞退を求めておるというのがこの決議案の意図、目的である。(拍手)然るに、これに対して政府当局は、今日までの経過に徴しまして、何らの処置をとつておらないのみならず、とらないどころではない、吉田君の答弁とするところは、かくのごとき行為は当然のことである。併し、これが法律的暴力行為と認むるかも知れんが、これはいたして敢えてこれを辞せないのであるというのである。法律的行為であるというのである。驚くべき言葉である。而も、かような問題に対しては答弁をいたしません。昨日のごときも当議場において、その質疑に対して、いわゆる罵詈讃謗に対しては答弁をしませんというのであります。答弁をしないということは、内閣総理大臣としての職務を放棄したのである。(「その通り」と呼ぶ者あり)職務を放棄したということは、事実上辞職をしたということである、彼は。(拍手)こういう驕慢粗暴、傍若無人、全然反省をしていない。併し、それでこの決議案がこのままに放置せられてよろしいか。この決議案というものは、今日まで回を重ねること十九国会に及んでおりますが、この十九国会の間において未だ前例を見ざる重大なる、本院といたしましては、参議院の全性格をかけて、全国民を代表して政府の処決を求めておるものである。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに、只今も申した通りの政府の態度である。これ以上はどうすればよろしいか。(「入場税の話をしろ」と呼ぶ者あり)関連をします。これに対しまして、先日も廣瀬久忠君はこの問題に対して、この質疑をいたしておりまするが、同君は曾つて今期国会の劈頭におきまして、綱紀粛正特別委員会設置に対して、政府の清潔を信じて反対をした人であります。なおこの決議案に対しましては、廣瀬君と同様の会派に属する宮城タマヨ君が、揩スけき女性の身を以て而も全国民の輿望を担つて、その趣旨弁明をいたしたのである。(拍手)かくのごときこの決議案が、そのまま放置せられるということを、政府が反省をしないということであれば、当然、当院といたしましては、議案に対しては、次々にこれを否決し、不成立ならしめ……。
#21
○議長(河井彌八君) 平林君、時間が来ました。
○平林太一君(続)或いは審議未了ならしめて、この法案をなくすということ以外の措置はないのではないか。(拍手)これは本院の性格をかけた重大なる問題である。昨日も……。
#22
○議長(河井彌八君) 平林君、時間が来ました。
○平林太一君(続)議長は、昨日も吉田君に対して、再度の答弁を職務上要求しておつたが、吉田内閣総理大臣は、我が参議院議長のその慫慂を拒否して、逃げるがごとくこの議場を去つたのではないか。(「何を言つているか」「時間」と呼ぶ者あり)かくのごとき総理大臣というものは、一日も速かに退陣せしめなければならない
#23
○議長(河井彌八君) 平林君、平林君、時間が来ました。
#24
○平林太一君(続) そのためには、この法案を否決して行くということである。だから入場税に対しても、この取敢えずの処置としてこれに反対するものであります。
 以上を申述べる次第であります。(拍手)
#25
○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。
 これより両案の採決をいたします。
 先ず、当せん金附証票法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#26
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#27
○議長(河井彌八君) 次に、入場税法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(河井彌八君) 日程第三より第十三までの請願及び日程第十四及び第十五の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長池田宇右衞門君。
   〔池田宇右衞門君登壇、拍手〕
#31
○池田宇右衞門君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず、宮城県石巻市山下に無集配特定郵便局設置の請願、広島県和田村に無集配郵便局設置の請願、福島県富成郵便局の集配事務開始に関する請願、熊本県芳野郵便局の集配事務開始に関する請願、東京都西品川に特定郵便局設置の請願、岡山市平井地区に特定郵便局設置の請願、福島県中村町西部地区に特定郵便局設置の請願二件、長崎県下原簡易郵便局の無集配特定局昇格に関する請願、合併市町村の郵便局等の統合整理に関する請願、長崎県西有家郵便局の集配局昇格に関する請願でありますが、これらはいずれも関係地域の発展に伴う郵便施設の改善方につき郵政省の措置を要望する請願であります。
 次に、青森県小湊町に郵政省結核療養所設置の請願でありますが、これは同地区における郵政従業員に対する結核病床が十分でないから専用の療養所を設置せられたいとの請願であります。
 最後に、北海道占冠郵便局電報配達員増員に関する陳情、特定郵便局事務の請負化反対に関する陳情であります、が、前者は同局の電報配達要員が一名であるため、時間外の配達に支障があるから増員せられたいとの陳情であり、後者は、特定郵便局を請負化するとの風評があるが、現機構を改変することのないよう考慮せられたいとの陳情であります。
 委員会におきましては、以上申述べました諸件につき、慎重審議の結果、いずれも願意を妥当と認めてこれを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。
 右、御報告申上げます。(拍手)
#32
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員会報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて、これらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会は、明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、対米債務等に関する緊急質問
 一、日程第一 当せん金附証票法の一部を改正する法律案
 一、日程第二 入場税法案
 一、日程第三乃至第十三の請願
 一、日程第十四及び第十五の陳情
ソース: 国立国会図書館
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